特許第6235059号(P6235059)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6235059
(24)【登録日】2017年11月2日
(45)【発行日】2017年11月22日
(54)【発明の名称】リッド保持構造
(51)【国際特許分類】
   B62J 11/00 20060101AFI20171113BHJP
   B62J 6/18 20060101ALI20171113BHJP
   B62J 99/00 20090101ALI20171113BHJP
【FI】
   B62J11/00 G
   B62J6/18
   B62J99/00 K
【請求項の数】6
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-51328(P2016-51328)
(22)【出願日】2016年3月15日
(65)【公開番号】特開2017-165214(P2017-165214A)
(43)【公開日】2017年9月21日
【審査請求日】2016年11月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100077665
【弁理士】
【氏名又は名称】千葉 剛宏
(74)【代理人】
【識別番号】100116676
【弁理士】
【氏名又は名称】宮寺 利幸
(74)【代理人】
【識別番号】100149261
【弁理士】
【氏名又は名称】大内 秀治
(74)【代理人】
【識別番号】100136548
【弁理士】
【氏名又は名称】仲宗根 康晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136641
【弁理士】
【氏名又は名称】坂井 志郎
(72)【発明者】
【氏名】柳原 伸哉
(72)【発明者】
【氏名】西田 洋一
【審査官】 結城 健太郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−180710(JP,A)
【文献】 特開2000−313383(JP,A)
【文献】 特開2005−104258(JP,A)
【文献】 特開2005−35438(JP,A)
【文献】 再公表特許第2013/094558(JP,A1)
【文献】 中国特許出願公開第102837776(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62J 11/00
B62J 6/18
B62J 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入口(50)を介して外部端子(64)を挿入することにより車両(12)のバッテリ(66)からの電力を供給可能な電源供給端子(44、46)を有する本体部(40)と、前記入口(50)を覆うリッド(36)とを備える電源供給ソケット(24)のリッド保持構造(10)において、
前記車両(12)のハンドル(14)と、前記車両(12)の部品(22)を前記ハンドル(14)に支持させるための部品支持部(20)と、前記電源供給ソケット(24)を前記ハンドル(14)に支持させるためのステー(38)とを有し、
前記ハンドル(14)は、前記車両(12)の前方で操舵可能に支持されるパイプハンドル(16)と、前記パイプハンドル(16)の端部に設けられ、前記車両(12)の乗員が把持するグリップ(18L、18R)とを備え、
前記部品支持部(20)は、前記グリップ(18L、18R)よりも車体中心側において前記部品(22)を前記パイプハンドル(16)に支持させ、
前記ステー(38)は、前記パイプハンドル(16)に支持される被支持部(38a、38b)と、前記パイプハンドル(16)との間で隙間(60)を設けつつ、前記被支持部(38a、38b)から上方に延びる平面部(38c)と、前記ハンドル(14)から離間するように前記平面部(38c)から屈曲し、前記本体部(40)を支持する本体支持部(38d)とを備え、
前記本体部(40)は、前記本体支持部(38d)の上方に前記入口(50)が位置するように前記本体支持部(38d)に支持され、
前記リッド(36)は、前記本体支持部(38d)の上方で連結部(54)を介して前記本体部(40)と連結され、
前記入口(50)から取り外された前記リッド(36)は、前記平面部(38c)、前記パイプハンドル(16)及び前記部品支持部(20)に囲まれた空間(62)で保持されることを特徴とするリッド保持構造(10)。
【請求項2】
請求項1記載のリッド保持構造(10)において、
前記リッド(36)及び前記連結部(54)は、弾性部材からなることを特徴とするリッド保持構造(10)。
【請求項3】
請求項2記載のリッド保持構造(10)において、
前記連結部(54)は、前記本体部(40)と前記リッド(36)の前記ハンドル(14)側とを連結し、
前記入口(50)から取り外された前記リッド(36)は、前記車両(12)の側面視で、前記連結部(54)を中心として、前記入口(50)から前記ハンドル(14)に向かって略270°回転し、前記連結部(54)が前記リッド(36)の上方に位置するように前記空間(62)で保持されることを特徴とするリッド保持構造(10)。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載のリッド保持構造(10)において、
前記部品支持部(20)は、前記パイプハンドル(16)の前方に配置され且つ前記部品(22)を支持する前方支持部(20f)と、前記パイプハンドル(16)の後方に配置される後方支持部(20r)とを備え、
前記前方支持部(20f)、前記後方支持部(20r)及び前記被支持部(38a、38b)は、締結部材(58a、58b)により前記車両(12)の前後方向で共締めされることにより、前記パイプハンドル(16)に支持されることを特徴とするリッド保持構造(10)。
【請求項5】
請求項4記載のリッド保持構造(10)において、
前記前方支持部(20f)、前記後方支持部(20r)及び前記被支持部(38a、38b)は、一対の前記締結部材(58a、58b)を用いて前記パイプハンドル(16)の上方及び下方で前記車両(12)の前後方向に共締めされることにより、前記パイプハンドル(16)に支持されることを特徴とするリッド保持構造(10)。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載のリッド保持構造(10)において、
前記リッド(36)は、前記入口(50)を覆う蓋部(52)と、前記蓋部(52)の側方から突出し且つ前記蓋部(52)よりも厚みの薄いつまみ部(56)とを備え、
前記入口(50)から取り外された前記リッド(36)は、前記つまみ部(56)が前記パイプハンドル(16)と前記平面部(38c)との隙間(60)に配置されることにより、前記空間(62)に挟持されることを特徴とするリッド保持構造(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、本体部からリッドを取り外した状態で、本体部の入口に外部端子を差し込み、外部端子と本体部の電源供給端子とを接続することにより、車両のバッテリから電源供給端子及び外部端子を介して外部機器に電力供給を行う電源供給ソケットのリッド保持構造に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、自動二輪車の後部におけるシート直下の収納ボックス内に電源供給ソケットを配置することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−40087号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、自動二輪車等の車両のハンドル周辺にナビゲーション装置やスマートフォン等のアクセサリを配置し、アクセサリに対する車両の乗員の視認性を向上させることが行われている。この場合、車両のバッテリからアクセサリに電力供給を行うための電源供給ソケットをハンドル周辺に設けることが望まれている。
【0005】
しかしながら、特許文献1の技術では、収納ボックスの側部に電源供給ソケットを設け、収納ボックス内に配置された電源供給ソケットの頭部からリッドを取り外し、該電源供給ソケットの入口を開放した状態で、収納ボックス内の外部機器に電力供給を行う。従って、特許文献1の技術をハンドル周辺への電源供給ソケットの配置に適用することができない。
【0006】
本発明は、上記の課題を考慮してなされたものであり、車両のハンドル周辺に電源供給ソケットを適切に配置することにより、ハンドル周辺に配置されたアクセサリに対する電力供給を可能とするリッド保持構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、入口を介して外部端子を挿入することにより車両のバッテリからの電力を供給可能な電源供給端子を有する本体部と、前記入口を覆うリッドとを備える電源供給ソケットのリッド保持構造に関する。
【0008】
そして、上記の目的を達成するため、本発明に係るリッド保持構造は、前記車両のハンドルと、前記車両の部品を前記ハンドルに支持させるための部品支持部と、前記電源供給ソケットを前記ハンドルに支持させるためのステーとを有する。
【0009】
この場合、前記ハンドルは、前記車両の前方で操舵可能に支持されるパイプハンドルと、前記パイプハンドルの端部に設けられ、前記車両の乗員が把持するグリップとを備える。また、前記部品支持部は、前記グリップよりも車体中心側において前記部品を前記パイプハンドルに支持させる。さらに、前記ステーは、前記パイプハンドルに支持される被支持部と、前記パイプハンドルとの間で隙間を設けつつ、前記被支持部から上方に延びる平面部と、前記ハンドルから離間するように前記平面部から屈曲し、前記本体部を支持する本体支持部とを備える。
【0010】
また、前記本体部は、前記本体支持部の上方に前記入口が位置するように前記本体支持部に支持される。前記リッドは、前記本体支持部の上方で連結部を介して前記本体部と連結される。前記入口から取り外された前記リッドは、前記平面部、前記パイプハンドル及び前記部品支持部に囲まれた空間で保持される。
【0011】
このように、本発明によれば、前記入口から取り外された前記リッドは、前記空間に保持されることで、前記パイプハンドルの軸方向(前記車両の左右方向)への移動が前記部品支持部によって規制されると共に、前記車両の前後方向への移動が前記パイプハンドル及び前記平面部によって規制される。
【0012】
この場合、前記パイプハンドルは、断面視で円環状であるため、前記パイプハンドルと前記平面部との隙間に上方から前記リッドを差し込む場合、前記隙間は、入口は広く、下方に向かうに従って狭くなる略V字状である。この結果、最も揺れやすい前記リッドの先端(下端)を前記パイプハンドルと前記平面部とで保持することにより、前記リッドの振動を抑えつつ、該リッドの保持状態を良好に維持することができる。
【0013】
このように、本発明では、前記ハンドルの周辺に前記電源供給ソケットを配置し、前記入口から取り外された前記リッドを適切に保持することができる。この結果、前記外部端子を前記入口に挿入して前記電源供給端子と接続することにより、前記バッテリから前記電源供給端子及び前記外部端子を介して、前記ハンドルの周辺に配置されたアクセサリ(外部機器)に電力を供給することが可能となる。
【0014】
ここで、前記リッド及び前記連結部は、弾性部材からなることが好ましい。これにより、前記リッド及び前記連結部が弾性変形可能となるため、前記パイプハンドル、前記平面部及び前記部品支持部で囲まれた前記空間に前記リッドを配置しやすくなる。また、弾性部材である前記リッドと前記平面部との面接触により、前記リッドと前記平面部との摩擦力が大きくなるので、前記リッドの保持状態を良好に維持することができる。
【0015】
この場合、前記連結部は、前記本体部と前記リッドの前記ハンドル側とを連結し、前記入口から取り外された前記リッドは、前記車両の側面視で、前記連結部を中心として、前記入口から前記ハンドルに向かって略270°回転し、前記連結部が前記リッドの上方に位置するように前記空間で保持される。これにより、前記パイプハンドルと前記平面部との隙間で前記リッドが保持された際、弾性部材である前記連結部が上方から前記リッドを押さえることになる。この結果、前後方向、左右方向及び上下方向のいずれの方向からも前記リッドの位置を規制することが可能となる。
【0016】
さらに、前記部品支持部は、前記パイプハンドルの前方に配置され且つ前記部品を支持する前方支持部と、前記パイプハンドルの後方に配置される後方支持部とを備える。この場合、前記前方支持部、前記後方支持部及び前記被支持部は、締結部材により前記車両の前後方向で共締めされることにより、前記パイプハンドルに支持される。
【0017】
前記締結部材は、本来、前記部品を支持する前記部品支持部を前記パイプハンドルに固定する部材である。そこで、前記締結部材を用いて、前記前方支持部及び前記後方支持部と前記被支持部とを前記車両の前後方向で共締めすることにより、前記ハンドルの重量増加を抑えつつ、前記ステーを前記パイプハンドルに固定することができる。また、前記ステーも共締め固定することにより、該ステーを前記パイプハンドルに直接固定する場合と比較して、前記平面部と前記パイプハンドルとの隙間を形成しやすくなる。
【0018】
この場合、前記前方支持部、前記後方支持部及び前記被支持部は、一対の前記締結部材を用いて前記パイプハンドルの上方及び下方で前記車両の前後方向に共締めされることにより、前記パイプハンドルに支持されることが好ましい。これにより、前記車両の上下方向に長尺な前記ステーを良好に固定支持することができる。また、前記ステーを介して前記電源供給ソケットをより強固に前記パイプハンドルに固定支持することができるので、前記パイプハンドルよりも上方に配置された前記入口に前記外部端子を差し込む際に発生する前記電源供給ソケットの位置ずれを防止することができる。
【0019】
また、前記リッドは、前記入口を覆う蓋部と、前記蓋部の側方から突出し且つ前記蓋部よりも厚みの薄いつまみ部とを備える。この場合、前記入口から取り外された前記リッドは、前記つまみ部が前記パイプハンドルと前記平面部との隙間に配置されることにより、前記空間に挟持される。これにより、前記パイプハンドルと前記平面部との隙間を一層狭くすることができる。この結果、前記パイプハンドルから後方への前記電源供給ソケットの突出を抑えることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、ハンドルの周辺に電源供給ソケットを配置し、入口から取り外されたリッドを適切に保持することができるので、外部端子を入口に差し込んで電源供給端子と接続することにより、バッテリから電源供給端子及び外部端子を介して、ハンドルの周辺に配置されたアクセサリに電力を供給することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本実施形態に係るリッド保持構造が適用される自動二輪車の前方部分の平面図である。
図2図1の電源供給ソケット周辺を拡大して図示した斜視図である。
図3図1のIII−III線に沿った断面図である。
図4図1のIV−IV線に沿った断面図である。
図5図1のV−V線に沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明に係るリッド保持構造について、好適な実施形態を挙げ、添付の図面を参照しながら以下詳細に説明する。
【0023】
[自動二輪車12の概略構成]
図1図3に示すように、本実施形態に係るリッド保持構造10は、例えば、車両としての自動二輪車12に適用される。
【0024】
自動二輪車12の前方には、ハンドル14が設けられている。ハンドル14は、自動二輪車12の前方で車体中心から左右に延び、操舵可能に支持されるパイプハンドル16と、パイプハンドル16の両端部で乗員が把持するグリップ18L、18Rとを備える。
【0025】
パイプハンドル16において、右側のグリップ18Rよりも車体中心側には、部品支持部20が固定支持されている。部品支持部20は、自動二輪車12の部品であるマスタシリンダ22をパイプハンドル16の前方で支持し、一方で、アクセサリソケットである電源供給ソケット24をパイプハンドル16の後方で支持する。なお、マスタシリンダ22は、樹脂製のケース26内に収容されている。
【0026】
グリップ18Rの前方には、ブレーキレバー28がマスタシリンダ22と連結可能にパイプハンドル16に支持されている。乗員がブレーキレバー28を右手で操作すると、マスタシリンダ22から図示しない前輪に設けられたブレーキ装置にブレーキ液圧が作用し、前輪に制動力が付与される。
【0027】
パイプハンドル16において、部品支持部20、マスタシリンダ22及び電源供給ソケット24よりも車体中心側には、ETC(Electronic Toll Collection System)用の車載器30(外部機器)が配置されている。また、自動二輪車12では、シートに着座した乗員からの視認性を向上するため、ナビゲーション装置32(外部機器)がパイプハンドル16の前方に配置されている。この場合、ナビゲーション装置32の画面34は、パイプハンドル16前方の車体中心位置に配置されている。
【0028】
なお、図1及び図2において、上述の構成要素以外の自動二輪車12の構成要素(例えば、バックミラー、ウィンカ、フロントフェンダ、燃料タンク)は周知であるため、その詳細な説明は省略する。
【0029】
[リッド保持構造10の構成]
次に、本実施形態に係るリッド保持構造10について、図1図3を参照しながら説明する。
【0030】
リッド保持構造10は、電源供給ソケット24のリッド36を自動二輪車12のパイプハンドル16近傍で保持するための機構であり、パイプハンドル16と、部品支持部20と、部品支持部20に支持されつつ電源供給ソケット24を支持するステー38とで構成される。
【0031】
部品支持部20は、断面円環状のパイプハンドル16の外周を取り囲むようにパイプハンドル16に取り付けられる金属製の円環部材であり、パイプハンドル16の前方に配置された前方支持部20fと、パイプハンドル16の後方に配置される後方支持部20rとを備える。すなわち、円環状の部品支持部20を半分に割ったときの前方部分が前方支持部20fとなり、後方部分が後方支持部20rとなる。
【0032】
前方支持部20fは、マスタシリンダ22を収容するケース26と一体的に構成されることにより、マスタシリンダ22を支持する。前方支持部20f及び後方支持部20rの上部及び下部は、上方及び下方にそれぞれ膨出し、膨出部分には、前後方向に延びるネジ孔がそれぞれ形成されている。
【0033】
ステー38は、金属製の板状部材であり、後方支持部20rの後側の上部及び下部にそれぞれ面接触可能な被支持部38a、38bと、被支持部38a、38bに連結し且つ上方に延びる平面部38cと、平面部38cの上端から後方に屈曲する本体支持部38dとを備える。なお、被支持部38a、38bには、前方支持部20f及び後方支持部20rにそれぞれ形成された各ネジ孔と略同じ直径の孔がそれぞれ形成されている。また、本体支持部38dには、大径の孔38eが形成されている。
【0034】
電源供給ソケット24は、有底筒状の本体部40とリッド36とを有する。本体部40は、給電用開口42を有し、給電用開口42の奥部に給電用接点44(電源供給端子)が設けられている。また、給電用開口42の内壁には、接地端子46(電源供給端子)が設けられている。
【0035】
本体部40の外周には凹凸状の段差部48が形成され、段差部48の窪み部分が本体支持部38dの孔38eに嵌まり込むことにより、電源供給ソケット24が本体支持部38dに支持される。この結果、給電用開口42の入口50は、本体支持部38dの上方に位置することになる。
【0036】
リッド36は、電源供給ソケット24の防水カバーであり、給電用開口42を閉塞する上面が平坦な蓋部52を有する。本体部40の給電用開口42上方の箇所は、リッド36と一体形成された開口側シール部53で覆われている。開口側シール部53とリッド36とは、連結部54を介して連結されている。これにより、蓋部52の前側が連結部54及び開口側シール部53を介して本体部40に支持される。また、蓋部52の後方の側部(先端)には、蓋部52よりも厚みの薄いつまみ部56が設けられている。なお、蓋部52、開口側シール部53、連結部54及びつまみ部56は、ゴム等の弾性部材からなる。
【0037】
そして、リッド保持構造10では、パイプハンドル16を前方支持部20f及び後方支持部20rにより前後方向から挟み、本体支持部38dが本体部40を支持している状態で、前方支持部20f及び後方支持部20rの各一対のネジ孔と、被支持部38a、38bに形成された一対の孔とを位置合わせした後に、当該各孔を介して、一対の締結部材としてのネジ部材58a、58bを各ネジ孔にそれぞれ螺合させて共締めする。
【0038】
この場合、上方のネジ部材58aは、上方の被支持部38aの孔を貫通し、前方支持部20f及び後方支持部20rの上側の各ネジ孔と螺合する。一方、下方のネジ部材58bは、下方の被支持部38bの孔を貫通し、前方支持部20f及び後方支持部20rの下側の各ネジ孔と螺合する。
【0039】
これにより、パイプハンドル16の上方及び下方で、前方支持部20f、後方支持部20r及びステー38が前後方向に共締めされ、パイプハンドル16に支持される。また、図2及び図3に示すように、部品支持部20よりも車体中心側で、パイプハンドル16、部品支持部20及びステー38の平面部38c間には、パイプハンドル16と平面部38cとの隙間60が形成されると共に、下方ほど狭くなる略V字状の隙間60を含む空間62が形成される。
【0040】
次に、乗員がリッド36のつまみ部56を把持し、連結部54を中心として、蓋部52を回動させることにより、図4に示すように、給電用開口42の入口50が外部に露出する。そして、蓋部52を図3に示す位置(入口50の位置)から前方に向かって略270°回転させた後、つまみ部56を下にして、該つまみ部56を空間62の隙間60に差し込む。この場合、リッド36を構成する蓋部52が平面部38cに当接し、面接触することで、蓋部52と平面部38cとの摩擦により位置ずれを防ぐことができる。また、つまみ部56をパイプハンドル16と平面部38cとの間に差し込み、挟持することで、より良好に空間62にリッド36が保持される。
【0041】
なお、パイプハンドル16が断面円環状であるため、部品支持部20が回転してパイプハンドル16の周方向に対する位置ずれが発生する可能性がある。その場合でも、パイプハンドル16とステー38との隙間60が一定であるため、該周方向に対するステー38の位置精度を無視することができる。
【0042】
また、蓋部52と連結部54の連結部分は、図5に示すように、リッド36の上方に位置することになる。リッド36及び連結部54は弾性部材であるため、リッド36は、連結部54によって上から押さえつけられる。この結果、リッド36を空間62に保持することができる。
【0043】
入口50が開放されることにより、車載器30又はナビゲーション装置32の電源端子64を給電用開口42に差し込むことができる。この場合、給電用接点44は、自動二輪車12のバッテリ66の正極に接続され、接地端子46は、バッテリ66の負極に接続されている。そのため、電源端子64の正極端子と給電用接点44とが接続され、且つ、負極端子と接地端子46とが接続された際には、バッテリ66の電力を給電用接点44及び電源端子64を介して車載器30又はナビゲーション装置32に供給することができる。
【0044】
[本実施形態の効果]
以上説明したように、本実施形態に係るリッド保持構造10は、パイプハンドル16、部品支持部20及びステー38から構成される。
【0045】
部品支持部20は、右のグリップ18Rよりも車体中心側においてマスタシリンダ22をパイプハンドル16に支持する。また、ステー38は、部品支持部20を介してパイプハンドル16に支持される被支持部38a、38bと、パイプハンドル16との間で隙間60を設けつつ、被支持部38a、38bから上方に延びる平面部38cと、パイプハンドル16から離間するように平面部38cから屈曲し、電源供給ソケット24の本体部40を支持する本体支持部38dとを備える。
【0046】
そして、本体部40は、本体支持部38d上方で入口50が位置するように本体支持部38dに支持される。また、リッド36は、本体支持部38d上方で連結部54を介して本体部40と連結される。この場合、入口50から取り外されたリッド36は、パイプハンドル16、部品支持部20及び平面部38cに囲まれた空間62で保持される。
【0047】
従って、リッド保持構造10において、入口50から取り外されたリッド36は、空間62で保持されることにより、パイプハンドル16の軸方向(自動二輪車12の左右方向)への移動が部品支持部20によって規制されると共に、前後方向への移動がパイプハンドル16及び平面部38cによって規制される。
【0048】
パイプハンドル16は、図3図5の断面視で円環状であるため、パイプハンドル16と平面部38cとの隙間60に上方からリッド36を差し込む場合、隙間60は、入口は広く、下方に向かうに従って狭くなる略V字状である。この結果、最も揺れやすいリッド36の先端(下端)のつまみ部56をパイプハンドル16と平面部38cとで保持することにより、リッド36の振動を抑えつつ、該リッド36の保持状態を良好に維持することができる。
【0049】
このように、本実施形態では、パイプハンドル16の周辺に電源供給ソケット24を配置し、入口50から取り外されたリッド36を適切に保持することができる。この結果、外部端子である電源端子64を入口50に挿入して給電用接点44及び接地端子46と接続することにより、バッテリ66から給電用接点44及び接地端子46と電源端子64とを介して、ハンドル14の周辺に配置されたアクセサリである車載器30及びナビゲーション装置32に電力を供給することが可能となる。
【0050】
すなわち、自動二輪車12では、シートに着座した乗員からの視認性を向上するため、パイプハンドル16周辺にナビゲーション装置32等の外部機器が配置されている。そこで、本実施形態では、電源供給ソケット24をパイプハンドル16で支持することにより、バッテリ66から電源供給ソケット24を介した外部機器への電力供給を容易に行えるようにしている。
【0051】
また、リッド36及び連結部54が弾性部材であれば、リッド36及び連結部54が弾性変形可能となるため、パイプハンドル16、部品支持部20及び平面部38cで囲まれた空間62にリッド36を配置しやすくなる。また、弾性部材であるリッド36と平面部38cとの面接触により、リッド36と平面部38cとの摩擦力が大きくなるので、リッド36の保持状態を良好に維持することができる。
【0052】
さらに、連結部54は、本体部40とリッド36の前方側とを連結している。この場合、入口50から取り外されたリッド36は、図3図5の側面視で、連結部54を中心として、入口50からパイプハンドル16に向かって略270°回転し、連結部54がリッド36の上方に位置するように空間62で保持される。これにより、パイプハンドル16と平面部38cとの隙間60でリッド36が保持された際、弾性部材である連結部54が上方からリッド36を押さえることになる。この結果、前後方向、左右方向及び上下方向のいずれの方向からもリッド36の位置を規制することが可能となる。
【0053】
さらに、部品支持部20は、パイプハンドル16の前方に配置され且つマスタシリンダ22を支持する前方支持部20fと、パイプハンドル16の後方に配置される後方支持部20rとを有している。この場合、前方支持部20f、後方支持部20r及び被支持部38a、38bは、ネジ部材58a、58bにより前後方向で共締めされることにより、パイプハンドル16に支持される。
【0054】
ネジ部材58a、58bは、本来、部品支持部20をパイプハンドル16に固定する締結部材である。そこで、ネジ部材58a、58bを用いて、前方支持部20f及び後方支持部20rと被支持部38a、38bとを前後方向で共締めすることにより、ハンドル14の重量増加を抑えつつ、ステー38をパイプハンドル16に固定することができる。また、ステー38も共締め固定することにより、該ステー38をパイプハンドル16に直接固定する場合と比較して、平面部38cとパイプハンドル16との隙間60を形成しやすくなる。
【0055】
しかも、前方支持部20f、後方支持部20r及び被支持部38a、38bは、上下一対のネジ部材58a、58bを用いて、パイプハンドル16の上方及び下方で前後方向に共締めされて、パイプハンドル16に支持される。これにより、上下方向に長尺なステー38を良好に固定支持することができる。また、ステー38を介して電源供給ソケット24をより強固にパイプハンドル16に固定支持することができるので、パイプハンドル16よりも上方に配置された入口50に電源端子64を差し込む際に発生する電源供給ソケット24の位置ずれ(電源端子64を差し込む力に起因した電源供給ソケット24の倒れ)を防止することができる。
【0056】
さらに、リッド36は、入口50を覆う蓋部52と、蓋部52の後側の側部から突出し且つ蓋部52よりも薄い厚みのつまみ部56とを有する。この場合、入口50から取り外されたリッド36は、つまみ部56がパイプハンドル16と平面部38cとの隙間60に配置されることにより、空間62に挟持される。これにより、隙間60を一層狭くすることができる。この結果、パイプハンドル16から後方への電源供給ソケット24の突出を抑えることができる。
【0057】
以上、本発明について好適な実施形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は、上記の実施形態の記載範囲に限定されることはない。上記の実施形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることは、当業者に明らかである。そのような変更又は改良を加えた形態も、本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。また、特許請求の範囲に記載された括弧書きの符号は、本発明の理解の容易化のために添付図面中の符号に倣って付したものであり、本発明がその符号をつけた要素に限定されて解釈されるものではない。
【符号の説明】
【0058】
10…リッド保持構造 12…自動二輪車(車両)
14…ハンドル 16…パイプハンドル
18L、18R…グリップ 20…部品支持部
20f…前方支持部 20r…後方支持部
22…マスタシリンダ(部品) 24…電源供給ソケット
30…車載器(外部機器) 32…ナビゲーション装置(外部機器)
36…リッド 38…ステー
38a、38b…被支持部 38c…平面部
38d…本体支持部 38e…孔
40…本体部 42…給電用開口
44…給電用接点(電源供給端子) 46…接地端子(電源供給端子)
48…段差部 50…入口
52…蓋部 53…開口側シール部
54…連結部 56…つまみ部
58a、58b…ネジ部材(締結部材)
60…隙間 62…空間
64…電源端子(外部端子) 66…バッテリ
図1
図2
図3
図4
図5