特許第6235103号(P6235103)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6235103
(24)【登録日】2017年11月2日
(45)【発行日】2017年11月22日
(54)【発明の名称】グリップボトル
(51)【国際特許分類】
   B65D 1/02 20060101AFI20171113BHJP
【FI】
   B65D1/02 221
【請求項の数】4
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-227386(P2016-227386)
(22)【出願日】2016年11月24日
(62)【分割の表示】特願2012-159266(P2012-159266)の分割
【原出願日】2012年7月18日
(65)【公開番号】特開2017-36096(P2017-36096A)
(43)【公開日】2017年2月16日
【審査請求日】2016年11月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000178826
【氏名又は名称】日本山村硝子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100143122
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 功雄
(72)【発明者】
【氏名】小島 敦
【審査官】 小川 悟史
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−095238(JP,A)
【文献】 特開2011−157135(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0121409(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャップが装着される口部と、この口部から軸方向下方に向けて広がるショルダー部と、このショルダー部から軸方向下方へ向かって同径で長く形成された収容空間である容器本体を構成すると共に、ラベルが添付されるラベル領域を有する胴部と、この胴部の軸方向下側の底部と、で構成されたグリップボトルであって、
前記胴部に内方へ窪む第1、第2の胴凹部が形成されており、
これら2つの胴凹部の一部と、前記ラベル領域と反対側の当該両胴凹部間で外方へ張り出す張出部と、でグリップが構成されているグリップボトルにおいて、
前記第1、第2の胴凹部はそれぞれ、最も深い部分である底部と、この底部の周囲で当該底部に連続して形成された環状の内側面と、この内側面の周囲で当該内側面に連続して形成された外側面と、によって当該底部から当該外側面へ向かって広がるように構成されており、
当該グリップボトルの外周面における、前記第1の胴凹部と前記第2の胴凹部との間を最短でつなぐ前記張出部の軸方向寸法が、前記胴部の軸方向寸法の50%〜90%であり、
前記張出部の軸方向中心が、前記胴部の軸方向中心の軸方向上側で30mmの範囲内に存在し、
前記グリップにおけるグリップ周りの平断面周長が100mm〜190mmであり、
前記グリップの平断面における、前記第1の胴凹部側頂部から前記第2の胴凹部側頂部間のグリップ幅をTとし、当該第1の胴凹部の底部から当該第2の胴凹部の底部間の寸法をdとするときに次式を満たし、
(d/T)=0.01〜0.50
前記胴部の平断面における、
前記第1の胴凹部の最深の湾曲頂部を通り、かつ当該第1の胴凹部を略半分ずつに分ける仮想的な中央線と、
前記第2の胴凹部の最深の湾曲頂部を通り、かつ当該第2の胴凹部を略半分ずつに分ける仮想的な中央線と、が、同一の一直線上に存在すると共に、
前記胴部の軸芯に直交しかつ前記グリップを2等分する仮想的な直交線上で交差し、
その交差点が当該軸芯から前記張出部側へ離間し、かつ当該直交線上における、当該軸芯と、前記張出部の外周面に交わる点と、の中央点と当該軸芯間の当該中央点寄りに存在していることを特徴とするグリップボトル。
【請求項2】
前記第1、第2の胴凹部及び前記張出部は、平断面において前記胴部の半体域内に形成されていることを特徴とする請求項1に記載のグリップボトル。
【請求項3】
前記張出部の外面に沿って描かれる円は、軸芯を中心として前記胴部の外面に沿って描かれる仮想円に略一致していることを特徴とする請求項1又は2に記載のグリップボトル。
【請求項4】
前記グリップ幅が、前記胴部の平断面における最大幅の30%〜60%の範囲内となっていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のグリップボトル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲料物や酒、醤油などを入れるボトルに関し、容器本体に内方へ窪む2つの胴凹部を形成することでグリップが構成されているグリップボトルに関する。
【背景技術】
【0002】
内容物が充填された大容量のボトルでは、重量が大きくなることに加え、容器寸法も大型となるため、片手で持ち易いようなグリップ機能が付加されたものが普及している。容器本体に、別体の取手部材を取り付けたグリップボトルがあるが、このようなボトルは、取手部材の分だけ樹脂量が増加することや、取手部材を取り付けるための工程を要することなどから、製造コストが増大する。これを解決するものとして、収容空間を形成する容器本体に内方へ窪む2つの胴凹部が形成され、これら2つの胴凹部の一部と当該両胴凹部間で外方へ張り出す張出部とでグリップが構成されたグリップボトルが知られている。
【0003】
このグリップボトルは、取手を取り付ける工程が不要であり、成形がし易いため、製造コストの上昇を抑えることが可能である。かかるグリップボトルでは、容器本体に形成された2つの胴凹部間に指先を入れ、両胴凹部間で形成された張出部を包み込むように握ることで、容易に持つことができるといった点が好まれている。
【0004】
例えば、特許文献1には、収容空間を形成する容器本体に内方へ窪む第1、第2の胴凹部を形成し、これら2つの胴凹部の一部と当該両胴凹部間で外方へ張り出す張出部とでグリップを構成したグリップボトルが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許4700297号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1のグリップボトルでは、容器本体の中段に形成された第1、第2の胴凹部に指を入れると共に、張出部に第1指と第2指の間を当ててグリップを握り、グリップボトルを持つ。しかし、握る部分の高さ範囲は、容器本体よりもかなり狭くなっており、グリップボトルを持つ際の位置が略固定されてしまい、消費者にとってバランスをとり易い部分を持つことができないといった欠点がある。
【0007】
そこで本発明は、上記従来技術の問題点に鑑み、グリップを握った際のバランスをとり易くして、安定した状態で持つことができるグリップボトルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、次の技術的手段を講じた。即ち本発明は、キャップが装着される口部と、この口部から軸方向下方に向けて広がるショルダー部と、このショルダー部から軸方向下方へ向かって同径で長く形成された収容空間である容器本体を構成すると共に、ラベルが添付されるラベル領域を有する胴部と、この胴部の軸方向下側の底部と、で構成されたグリップボトルであって、前記胴部に内方へ窪む第1、第2の胴凹部が形成されており、これら2つの胴凹部の一部と、前記ラベル領域と反対側の当該両胴凹部間で外方へ張り出す張出部と、でグリップが構成されているグリップボトルにおいて、前記第1、第2の胴凹部はそれぞれ、最も深い部分である底部と、この底部の周囲で当該底部に連続して形成された環状の内側面と、この内側面の周囲で当該内側面に連続して形成された外側面と、によって当該底部から当該外側面へ向かって広がるように構成されており、当該グリップボトルの外周面における、前記第1の胴凹部と前記第2の胴凹部との間を最短でつなぐ前記張出部の軸方向寸法が、前記胴部の軸方向寸法の50%〜90%であり、前記張出部の軸方向中心が、前記胴部の軸方向中心の軸方向上側で30mmの範囲内に存在し、前記グリップにおけるグリップ周りの平断面周長が100mm〜190mmであり、前記グリップの平断面における、前記第1の胴凹部側頂部から前記第2の胴凹部側頂部間のグリップ幅をTとし、当該第1の胴凹部の底部から当該第2の胴凹部の底部間の寸法をdとするときに次式を満たし、
(d/T)=0.01〜0.50
前記胴部の平断面における、前記第1の胴凹部の最深の湾曲頂部を通り、かつ当該第1の胴凹部を略半分ずつに分ける仮想的な中央線と、前記第2の胴凹部の最深の湾曲頂部を通り、かつ当該第2の胴凹部を略半分ずつに分ける仮想的な中央線と、が、同一の一直線上に存在すると共に、前記胴部の軸芯に直交しかつ前記グリップを2等分する仮想的な直交線上で交差し、その交差点が当該軸芯から前記張出部側へ離間し、かつ当該直交線上における、当該軸芯と、前記張出部の外周面に交わる点と、の中央点と当該軸芯間の当該中央点寄りに存在していることを特徴とする。
【0009】
上記本発明のグリップボトルによれば、張出部の軸方向寸法を、胴部の軸方向寸法の50%〜90%としているので、握る部分の高さ範囲が、胴部に対して広くなっており、バランスをとり易い部分を持つことができる。これにより、グリップを握った際のバランスがとり易くなり、安定した状態で持つことができる。
【0010】
前記グリップの平断面における、前記第1の胴凹部側頂部から前記第2の胴凹部側頂部間のグリップ幅をTとし、当該第1の胴凹部の底部から当該第2の胴凹部の底部間の寸法をdとするときに次式を満たしている。
(d/T)=0.01〜0.50
【0011】
グリップ幅Tと2つの胴凹部の底部間寸法dとが上記の式を満たしていれば、グリップ幅に対する2つの胴凹部の深度が調整され、当該両胴凹部が深く入り込むことになる。これにより、グリップボトルを持つときの握り易さがさらに良好なものとなり、指に過大な負担がかからず、より安定した状態で持つことができる。
【0012】
前記張出部の軸方向中心が、前記胴部の軸方向中心の軸方向上側で30mmの範囲内に存在している。張出部の軸方向中心を、胴部の軸方向中心の軸方向上側で30mmの範囲内に存在させることによって、グリップを握った際のバランス感を向上させることができる。
【0013】
前記第1、第2の胴凹部及び前記張出部は、平断面において前記胴部の半体域内に形成されていることが好ましい。第1、第2の胴凹部及び張出部が、胴部の半体域内に形成されていることで、グリップが構成されている軸方向範囲における収容空間を、少なくとも胴部の半体域よりも大きくとることができる。そのため、大容量を確保するために、グリップボトルの高さが過度に大きくならず、グリップボトルを持ったときのバランス感の低下を抑えることができる。
【0014】
前記張出部の外面に沿って描かれる円は、軸芯を中心として前記胴部の外面に沿って描かれる仮想円に略一致しているものであってもよい。この場合、グリップの張出部の外面と、胴部のグリップ反対側の外面とが略同心円上に存在することになり、グリップボトルを持つ際の良好なバランス感を得ることができる。
【0015】
前記グリップ幅が、前記胴部の平断面における最大幅の30%〜60%の範囲内となっているものであってもよい。この場合には、胴部の平断面における最大幅に対する所定範囲のグリップ幅が確保され、グリップボトルを持つ際の力のかけ易さを高めることができる。
【発明の効果】
【0016】
上記の通り、本発明によれば、握る部分の高さ範囲が容器本体に対して広くなっているため、バランスをとり易い部分を持つことができる。これにより、グリップを握った際のバランスをとり易くなり、安定した状態で持つことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の第1実施形態に係るグリップボトルの背面図である。
図2】第1実施形態に係るグリップボトルの側面図である。
図3】第1実施形態に係るグリップボトルの正面図である。
図4】第1実施形態に係るグリップボトルのコンピュータグラフィックで表した側面図、背面図及び斜視図である。
図5】第1実施形態に係るグリップボトルの図2A−A線断面図である。
図6】第1実施形態に係るグリップボトルの図3B−B線断面図である。
図7】本発明の第2実施形態に係るグリップボトルのコンピュータグラフィックで表した側面図、背面図及び斜視図である。
図8】第2実施形態に係るグリップボトルの上部断面図である。
図9】第2実施形態に係るグリップボトルの下部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。図1は本発明の第1実施形態に係るグリップボトル1の背面図であり、図2はグリップボトル1の側面図であり、図3はグリップボトル1の正面図であり、図4はグリップボトル1のコンピュータグラフィックで表した側面図、背面図及び斜視図である。以下の説明において、図1上下に対応する方向を単に上下とし、この方向に直交する方向を左右とする。グリップボトル1は、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどの熱可塑性樹脂で2軸延伸ブロー成形などの成形法によって成形されたものである。グリップボトル1の層構造は限定するものではなく、単層構造以外に、内外層間の中間層にバリヤー層を挟んだ複数構造とすることができ、更には、複数の樹脂をブレンドしたもので単層、複層構造としたものであってもよい。
【0019】
本実施形態のグリップボトル1は、上下全長:約400mm、最大経:約140mmの大容量に構成されているものであり、キャップが装着される口部2と、この口部2から下方に向けて広がるショルダー部3と、このショルダー部3から略同径で下方へ向かって長く形成されて容器本体を構成する略円筒状の胴部4と、この胴部4の下側の底部5とで構成されている。
【0020】
口部2は、上端から下端まで略同径に形成された円筒状の筒状体2aに、雄ねじ2bやサポートリング2cなどが設けられて構成されており、当該口部2にキャップが装着されてグリップボトル1が密閉される。
【0021】
ショルダー部3の周囲には、複数の平面状部6が周方向に連なって形成されており、グリップボトル1の意匠性を向上させている。各平面状部6は、軸芯を中心として40°の角度をもって広がっており、直線で形成された左右両辺6aと曲面で形成された上下に膨らむ上下両辺6bで構成されている。
【0022】
ショルダー部3と胴部4との境目には、第1環状凹部7が形成されており、この第1環状凹部7がショルダー部3と胴部4とを区画している。また、胴部4とその下側の底部5との境目にも、同様の凹部として第2環状凹部8が形成されており、この第2環状凹部8が胴部4と底部5とを区画している。底部5の周囲は軸方向断面アール状となっており、設置面5aの内側は内方へ窪んでいる。
【0023】
本実施形態の胴部4は、内部に大容量の収容空間を有している。この胴部4は、正面側半体の正面部10と、背面側半体の背面部11とに大きく分けられており、図3のように正面部10には、ラベルを添付するためにラベル領域12が四方形状に形成されている。このラベル領域12の表面12aは、胴部4の外面4aと略面一となっており、当該ラベル領域12の周囲には、当該ラベル領域12と他の部分を区画する区画凹部13が形成されている。この区画凹部13の幅は、第1環状凹部7や第2環状凹部8の幅よりも広くなっている。ラベル領域12は、グリップボトル1の半体である正面部10に大きく広がって形成されており、当該グリップボトル1に、商品名などが表示されたラベルを添付するための広い領域が確保されている。図2のようにラベル領域12を区画する区画凹部13の下側部分が背面部11の中途へ延びており意匠性を向上させている。
【0024】
図1及び図4に示すように胴部4の背面部11には、内方へ窪んだ同形状の第1、第2の胴凹部20、20が形成されており、これら2つの胴凹部20、20の一部と当該両胴凹部20、20間で外方へ張り出す張出部21とで縦長のグリップ22が構成されている。図5はグリップボトル1の図2A−A線断面図である。図2及び図5に示すように、各胴凹部20は全体として、内方へ窪んでいるところから外方へ向かって外側へ広がように形成されており、最も深い部分である底部26と、この底部26の周囲に形成された内側面27と、この内側面27の外側に形成された外側面28とで構成されている。
【0025】
図6はグリップボトル1の図3B−B線断面図である。同図において、グリップ22は左右対称に形成されている。底部26は、軸方向に細長く内方へ向かう平断面湾曲状に形成されている。底部26が内方へ向かう平断面湾曲状に形成されているので、指先を位置決めした状態でグリップ22を握ることができる。図2のように、各胴凹部20の内側面27は、上下の上内側面30、下内側面31、及びラベル領域側の内内側面32、張出部側の外内側面33からなっている。各胴凹部20の外側面28は、上下の上外側面35、下外側面36、及びラベル領域側の内外側面37、張出部側の外外側面38からなっている。内側面27、外側面28は、共に外方へ向かうに従って外側へ広がるように形成されている。
【0026】
図5に示すように、底部26の周囲に形成された内側面27の上内側面30が、軸芯と直交する直交線g(以下、直交線g)となす角度θ1は30°であり、下内側面31が、直交線gとなす角度θ2は38°となっている。このように、上内側面30は、下内側面31よりも急な角度で傾斜している。図6に示すように、底部26の周囲に形成された内内側面32が底部26の湾曲頂部26aを通る中央線(以下、中央線x)となす角度θ3は15°であり、外内側面33が中央線xとなす角度θ4は25°となっている。このように、内内側面32は、外内側面33よりも急な角度で傾斜している。内内側面32が中央線xとなす角度θ3は5°〜30°が好ましく、外内側面33が中央線xとなす角度θ4は5°〜30°が好ましい。内内側面32と外内側面33がこの範囲の角度で傾斜していれば、グリップ22の良好な握り易さを得ることができる。本実施形態では、上内側面30が下内側面31よりも急な角度で傾斜しているが、当該上内側面を下内側面よりも緩やかな角度で傾斜させてもよく、当該両内側面を同じ角度で傾斜させてもよい。
【0027】
内側面27の更に周囲に形成された外側面28の上外側面35、下外側面36、及び内外側面37は、それぞれ内側面27の対応する上内側面30、下内側面31、及び内内側面32によりも緩やかな角度で傾斜している。従って、各胴凹部20は、底部26から内側面27で外側へ拡がり、続いて外側面28で更に外側へ広がっており、当該底部26から2段階で外側へ拡がり、胴部4の他の部分へ繋がっている。
【0028】
図2に示すように、上内側面30の上下幅は下内側面31よりも狭く、内内側面32の左右幅は外内側面33よりも広い。また、上外側面35と下外側面36は互いに略同じ上下幅となっており、内外側面37は上下に細長くなっている。
【0029】
外側面28の外外側面38は、図4図6から解るように各胴凹部20の一部を構成するものの、機能的には内側面27の外内側面33と一体となって、グリップ22の一部を構成している。つまり、外側面28の外外側面38と、内側面27の外内側面33とはそれぞれ一体となって、底部26、内側面27の上内側面30、下内側面31、内内側面32、外側面28の上外側面35、下外側面36、内外側面37と区画された部分となっている。
【0030】
内側面27の上内側面30、下内側面31、内内側面32は、外外側面38及び外内側面33と区画されていることから、側面視逆コの字状となっている。同様に、外側面28の上外側面35、下外側面36、内外側面37も、外外側面38及び外内側面33と区画されていることから、側面視逆コの字状となっている。
【0031】
図6の断面図に示すように、底部26は湾曲状であり、この底部26から外方へ向かって内内側面32が直線状に延びると共に、外内側面33が滑らかな曲線状に延びている。2つの胴凹部20、20の外外側面38及び外内側面33と、当該両胴凹部20、20間で外方へ張り出す張出部21とでグリップ22が構成されている。
【0032】
本実施形態のグリップ22は、図1に示すように上端22aから下端22bまで同じ左右幅で形成されている。図6において、第1の胴凹部20の底部26の湾曲頂部26aから張出部21を経て第2の胴凹部20の底部26の湾曲頂部26aまで(以下、湾曲頂部間範囲)とされるグリップ周りの仮想線で示す平断面周長Sは、本実施形態では148mmとなっている。グリップ周りの平断面周長Sは、100mm〜190mmの範囲であることが好ましく、130mm〜160mmの範囲であることがより好ましい。
【0033】
グリップ周りの平断面周長Sは、第1指の末節から第2指の末節、第1指の末節から第3指の末節、第1指の末節から他の指の末節に渡る握り寸法に沿ったものとなっている。グリップ22が、第1指の末節から第2指の末節、第1指の末節から第3指の末節などに渡る握り寸法に沿ったものとなっていれば、グリップボトル1を持つときの握り易さが非常に良好なものとなり、指に過大な負担がかかることもなく、安定した状態で持つことができる。
【0034】
グリップ周りの平断面周長Sが190mmを上回ると、良好に握れる握り寸法から外れたものとなり、指先が各胴凹部20の底部26まで周りきらずに握り難くなり、平断面周長Sが100mmを下回ると、良好に握れる握り寸法から外れたものとなり、指先が各胴凹部20の底部26につかえる感じを生じさせるからである。
【0035】
図6に示すように、グリップ22の平断面における、第1の胴凹部側頂部c1から第2の胴凹部側頂部c2間の本実施形態におけるグリップ幅T(以下、グリップ幅T)は54mmとなっている。グリップ幅Tは40mm〜80mmの範囲となっていることが好ましい。ここでいうグリップ幅Tとは、グリップ22の両側の最も外側にある頂部間を図1背面視において軸芯と直交する線で結んだ寸法のことである。グリップ幅Tのより好ましい範囲は50mm〜65mmである。グリップ幅Tが40mmを下回ると、手をかける幅が狭すぎて安定して握れなくなり、グリップ幅Tが80mmを上回ると、手をかける幅が広すぎて力を入れ難くなるからである。
【0036】
更に、グリップ周りの平断面周長Sと、第1の胴凹部側頂部c1から第2の胴凹部側頂部c2間のグリップ幅Tとは、握り易さに関して互いに深く関係しており、特に、平断面周長Sとグリップ幅Tとを最適な組み合わせとすることで、両若男女を問わず、これまでになかった握り易さや、力のかけ易さ、持つ時の良好な安定感などを得ることができる。より具体的には、グリップ周りの平断面周長Sが120mm〜130mmに対して、グリップ幅Tが50mm〜55mmであり、グリップ周りの平断面周長Sが140mm〜150mmに対して、グリップ幅Tが55mm〜65mmである。これら両範囲の組み合わせによって、極めて良好な握り易さなどを得ることができる。
【0037】
図6のように、各胴凹部20は胴部4の内方へ深く入り込んでいる。両胴凹部20、20の底部26、26間は狭くなっており、グリップ幅Tと、両胴凹部20、20の底部26、26間の平断面寸法d1(d)と、が次式を満たしている。
(d1/T)=0.01〜0.50
また、(d1/T)のより好ましい範囲は、0.01〜0.30である。
【0038】
グリップ幅Tと2つの胴凹部20、20の底部26、26間寸法d1とが上記の式を満たしていれば、グリップ幅Tに対する2つの胴凹部20、20の深度が調整され、当該両胴凹部20、20が深く入り込むことになる。より具体的には、両胴凹部20、20の底部26、26間の平断面寸法d1は1mm〜40mmである。グリップ幅Tを適切に調整すると共に、両胴凹部20、20の底部26、26間を狭くして当該両胴凹部20、20を深く入り込ませることは、握り易さの点から非常に重要である。グリップ22を握ったときに第1指の末節と第2指の末節等とが近づくことや、グリップ22を手全体で包み込むような状態となること等によって、グリップボトル1を持ったときの高い安定感を生じさせることができる。
【0039】
図1及び図2を参照して、本実施形態のグリップ22の軸方向寸法h1は約145mmであり、胴部4の軸方向寸法h2は約250mmであり、当該軸方向寸法h1は、当該軸方向寸法h2の73%となっている。グリップ22の軸方向寸法h1は、胴部4の軸方向寸法h2の50%〜90%であることが好ましく、60%〜80%がより好ましい。ここで、グリップ22の軸方向寸法h1とは、本実施形態では図1においてグリップ22のグリップ幅Tが同じ部分の範囲の寸法をいい、実質的にグリップ22を構成する部分の寸法のことである。胴部4の軸方向寸法h2とは、本実施形態では図1において第1環状凹部7から第2環状凹部8間のことであり、実質的に収容空間を形成する容器本体を構成する部分の寸法のことである。従って、場合によってはショルダー部の一部も含まれる。なお、グリップ22の軸方向寸法h1は、グリップボトル1の底面から口部2の上端までの軸方向寸法の20%〜50%であることが好ましい。
【0040】
グリップ22の軸方向寸法h1が、胴部4の軸方向寸法h2の50%を下回れば、握る部分の高さ範囲が胴部(容器本体)に対して狭くなり、グリップボトルを持つ際の位置が略固定されてしまい、バランスをとり易い部分を持つことができ難くなり、グリップ22の軸方向寸法h1が、胴部4の軸方向寸法h2の90%を上回れば、握る部分の高さ範囲が胴部に対して広くなりすぎて、バランスをとり難くなるからである。
【0041】
また、グリップ22の軸方向中心e1が、胴部(容器本体)4の軸方向中心e2の軸方向上下30mmの範囲内に存在している。グリップ22の軸方向中心e1を、胴部4の軸方向中心e2の軸方向上下30mmの範囲内に存在させることで、グリップ22を握った際の安定感を向上させることができる。
【0042】
図6から解るように、第1、第2の胴凹部20、20及び張出部21は、平断面において胴部4の半体域内に形成されている。第1、第2の胴凹部20、20及び張出部21が、胴部4の半体域内に形成されていることで、グリップ22が構成されている軸方向範囲における収容空間を、少なくとも胴部4の半体域よりも大きくとることができる。そのため、大容量を確保するために、グリップボトル1の高さが過度に大きくならず、グリップボトル1を持ったときの安定感の低下を抑えることができる。
【0043】
張出部21の最も外方にある外面21a(中央R状部23a)に沿って描かれる円は、軸芯を中心として胴部4の外面4aに沿って描かれる仮想円Pに略一致しており、当該仮想円P上に、当該外面21aが略重なっている。張出部21がかかる平断面位置に形成されていることから、グリップ22が平断面において最適な位置に存在することになり、グリップボトル1を持つ際の良好な安定感を得ることができる。
【0044】
グリップ幅Tが、胴部4の平断面における最大幅Bの30%〜60%の範囲内となっている。これにより、胴部4の平断面における最大幅Bに対する所定範囲のグリップ幅Tが確保され、グリップボトル1を持つ際の力のかけ易さを高めることができる。
【0045】
本実施形態のグリップ22は、複数の平断面R状部のみで構成されており、当該複数の平断面R状部のR寸法が5mm以上となっている。グリップ22は図6からも解るように平断面で全体として滑らかな曲線で囲まれており、グリップ周りの全ての周面23がR状となっている。周面23は、最も外方にある中央R状部23aとその両側の側R状部23bなどを有し、中央R状部の好ましいR寸法は5mm以上であり、側R状部の好ましいR寸法は5mm以上となっている。グリップ周りの周面23の平断面R状の部分で、R寸法が5mmを下回る部分があると、握り難さを生じてしまうからである。
【0046】
本実施形態では、全ての平断面R状部のR寸法が5mm以上となっているため、手を添えた時の感覚が良好となり、大容量のものであっても手が痛くならないようにすることができる。更に、丸棒を掴む間隔に近づき、手に伝わる感覚をより向上させることができる。
【0047】
上記本実施形態のグリップボトル1によれば、グリップ22の軸方向寸法h1を、胴部4の軸方向寸法h2の50〜90%としているので、握る部分の高さ範囲が、胴部4に対して広くなっており、バランスをとり易い部分を持つことができる。これにより、グリップ22を握った際のバランスをとり易くなり、安定した状態で持つことができる。
【0048】
グリップ幅Tを適切に調整すると共に、両胴凹部20、20の底部26、26間を狭くして当該両胴凹部20、20を深く入り込ませているので、グリップ22を握ったときに第1指の末節と第2指の末節などが近づき、グリップ22を手全体で包み込むような状態となる。これにより、握り易さがさらに良好なものとなり、指に過大な負担がかからず、グリップボトル1を持ったときの高い安定感を生じさせることができる。
【0049】
更に、胴部4に内方へ窪む第1、第2の胴凹部20、20の一部と当該両胴凹部20、20間で外方へ張り出す張出部21とで構成されたグリップ22のグリップ周りの平断面周長Sが100mm〜190mmであることによって、グリップ22が第1指の末節から第2指の末節、第1指の末節から第3指の末節などに渡る握り寸法に沿ったものとなる。従って、グリップボトル1を持つときの握り易さが非常に良好なものとなり、指に過大な負担がかかることもなく、安定した状態で持つことができる。
【0050】
グリップ22の平断面におけるグリップ幅Tが40mm〜80mmであることによって、グリップ22を握った際に、第1、第2の胴凹部20、20へ指を確実に回し込むことができる。これにより、力をかけ易くなり、グリップボトル1を持つ際の安定感を高めることができる。
【0051】
以下、本発明にかかる他の実施形態について例示して説明する。図7は本発明の第2実施形態に係るグリップボトル200のコンピュータグラフィックで表した側面図、背面図及び斜視図であり、図8は本実施形態に係るグリップボトル200の上部断面図であり、図9は本実施形態に係るグリップボトル200の下部断面図である。本実施形態のグリップ上部のグリップ周りの平断面周長Sは142mmであり、グリップ幅Tは61mmであり、底部201間の平断面寸法d1は16mmとなっており、グリップ下部のグリップ周りの平断面周長Sは127mmであり、グリップ幅Tは52mmであり、底部201間の平断面寸法d1は16mmとなっている。このグリップボトル200では、底部201が略平断面に形成され、グリップ202が、第1の胴凹部203の底部201の張出側端部から張出部204を経て第2の胴凹部205の底部201の張出側端部までの範囲で構成されており、グリップ周りの平断面周長Sは同範囲の長さとなっている。
【0052】
グリップ202の下部には、幅広部分が形成されている。本実施形態のグリップボトル200では、グリップ202が軸方向下方に向かうに従って幅狭となっており、グリップ幅Tが軸方向下方へ向かうに従って減少している。このような形状のグリップ202を採用すれば、グリップボトル200を持ち上げる際に、手の滑りが抑えられて力をかけ易くなる。そのため、大容量とした場合に持ち易くすることができる。
【0053】
グリップ形状の他の例として、グリップを軸方向上側に向かうに従って幅狭として、グリップ幅Tを軸方向上側へ向かうに従って減少させてもよい。このような形状のグリップを採用すれば、グリップボトルを持ち上げる際に、グリップの上部に指を回し込み易くなる。これにより、例えばグリップボトルを手で完全に保持するのではなく、指を掛けてぶら下げるような半持ち状態にし易くなる。さらに、グリップを軸方向中央に向かうに従って幅狭として、グリップ幅Tを軸方向中央へ向かうに従って減少させてもよい。このような形状のグリップを採用すれば、グリップの中央部に指を回し込み易くなり、グリップに対する手の軸方向へのずれを防ぐことができる。
【0054】
上記で開示した各実施形態のグリップボトルは、本発明を例示したものであり、口部、胴部、底部の形状、寸法、構成する樹脂、成形方法等は適宜変更されるものである。第1、第2の胴凹部を互いに異なる形状として、グリップを左右非対称に形成してもよい。本実施形態では、容器本体を構成する胴部の形状を円筒状としたが、断面四角形や三角形、楕円形などの他の断面形状に形成して本発明を適用してもよい。グリップ形状を軸方向に沿って波打ち状にしてもよい。この場合には、グリップを握ったときのそれぞれの指のずれが無くなり、それぞれの指にグリップボトルの荷重を直接掛けることができ、グリップボトルを持ったときの感触を変えることができる。グリップの張出部や、第1、第2の胴凹部の所要箇所にリブを形成してもよい。具体的には、グリップの張出部に、軸方向と直交方向に沿って数本のリブを形成すること等が挙げられる。胴部の形状や容量、或いは消費者の年齢、性別などに対応させて、グリップ周りの平断面周長S、グリップ幅T、グリップの形状など変更すればよい。
【符号の説明】
【0055】
1 グリップボトル
2 口部
4 胴部
5 底面
10 正面部
11 背面部
20 各胴凹部
21 張出部
22 グリップ
23 周面
23a 中央R状部
23b 側R状部
26 底部
26a 湾曲頂部
27 内側面
28 外側面
30 上内側面
31 下内側面
32 内内側面
33 外内側面
35 上外側面
36 下外側面
37 内外側面
38 外外側面
S 平断面周長
T グリップ幅
c1 第1の胴凹部側頂部
c2 第2の胴凹部側頂部
d1 平断面寸法
h1 グリップの軸方向寸法
h2 胴部の軸方向寸法
e1 グリップの軸方向中心
e2 胴部の軸方向中心
B 胴部の平断面における最大幅
P 仮想円
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9