特許第6235142号(P6235142)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6235142チャネル形成エリア及び湿り度インジケータを有する吸収性物品
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6235142
(24)【登録日】2017年11月2日
(45)【発行日】2017年11月22日
(54)【発明の名称】チャネル形成エリア及び湿り度インジケータを有する吸収性物品
(51)【国際特許分類】
   A61F 13/532 20060101AFI20171113BHJP
   A61F 13/42 20060101ALI20171113BHJP
   A61F 13/53 20060101ALI20171113BHJP
【FI】
   A61F13/532 210
   A61F13/42 B
   A61F13/53 100
【請求項の数】12
【全頁数】32
(21)【出願番号】特願2016-534123(P2016-534123)
(86)(22)【出願日】2014年12月18日
(65)【公表番号】特表2017-501768(P2017-501768A)
(43)【公表日】2017年1月19日
(86)【国際出願番号】US2014071147
(87)【国際公開番号】WO2015095514
(87)【国際公開日】20150625
【審査請求日】2016年5月24日
(31)【優先権主張番号】61/917,998
(32)【優先日】2013年12月19日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】590005058
【氏名又は名称】ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100082991
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 泰和
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100137523
【弁理士】
【氏名又は名称】出口 智也
(74)【代理人】
【識別番号】100152423
【弁理士】
【氏名又は名称】小島 一真
(74)【代理人】
【識別番号】100130719
【弁理士】
【氏名又は名称】村越 卓
(72)【発明者】
【氏名】ラビータ、ジョセフ
【審査官】 田中 尋
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−024418(JP,A)
【文献】 特開2012−223231(JP,A)
【文献】 特開2011−240050(JP,A)
【文献】 特表2012−522624(JP,A)
【文献】 特開2000−279442(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 13/15−13/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前縁部(10)と、後縁部(12)と、2つの長手方向に延在する側縁部(13、14)とを有する、おむつ又はトレーニングパンツなどの吸収性物品(20)であって、
前記吸収性物品が、トップシート(24)、バックシート(25)、及び前記トップシートとバックシートとの間の吸収性コア(28)を備え、
前記吸収性コアが、超吸収性ポリマー粒子を含む吸収性材料(60)を封入するコアラップ(16、16’)を備え、
前記コアラップが、上側(288)、及び底側(290)を備え、
前記吸収性コアが、吸収性材料を実質的に含まない少なくとも2つの長手方向に延在するチャネル形成エリア(26a、b)を備え、当該チャネル形成エリアを介して前記コアラップの前記上側が前記コアラップの前記底側に取り付けられており、それにより、前記吸収性材料が、液体を吸収して膨潤したときに、前記コアラップが、前記物品の外側から少なくとも3mmの深さで吸収性材料を実質的に含まないこれらのエリア(26a、b)に沿ってチャネル(26’a、b)を形成し、前記チャネル形成エリアはそれぞれ、2mm〜20mmの、当該エリアの少なくとも一部における幅(Wc)を有し、1)横方向へ2つのチャネル形成エリア間に、2)厚さ方向に関する前記コアラップの底側と前記バックシートの内側表面との間に、及び3)前記吸収性材料が膨潤する場合に前記物品の外側から見えるように、これらの1)〜3)の要件を満たす位置に湿り度インジケータは配置され、
前記湿り度インジケータが、尿と接触したときに外観を変化させる組成物、とりわけ、pHインジケータ及び/又は水溶性染料を含む組成物を含むことを特徴とする、吸収性物品。
【請求項2】
前記湿り度インジケータが、出現信号、消失信号、色変化信号、又はこれらの組み合わせを提供する、請求項1に記載の吸収性物品。
【請求項3】
前記組成物が、安定剤、着色剤、及びマトリックスを含む、請求項1又は2に記載の吸収性物品。
【請求項4】
前記組成物が、前記バックシートの前記内側表面上にスロットコーティングされるか、又は印刷される、請求項1〜3のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項5】
前記吸収性材料が、前記吸収性材料の少なくとも70重量%、とりわけ、少なくとも80重量%、かつ最大100重量%の超吸収性ポリマー粒子を含み、前記吸収性物品が、2g〜50gの超吸収性ポリマー粒子を含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項6】
前記少なくとも2つのチャネル形成エリア(26a、b)が、前記吸収性物品の長手方向軸(80)に対して対称に配設される、請求項1〜5のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項7】
前記少なくとも2つのチャネル形成エリア(26a、b)が各々、前記物品の長手方向軸(80)上に突出した長さ(L’)を有し、当該長さは前記吸収性物品の長さ(L)の少なくとも10%、及び少なくとも2cm長であり、
前記長手方向軸(80)は、前記吸収性物品の左右方向中央の軸である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項8】
前記コアラップが、前記コアラップの前記上側を実質的に形成する第1の不織布(16)と、前記コアラップの前記底側を実質的に形成する第2の不織布(16’)とを備え、前記第1の不織布が、前記第2の不織布の周囲にCラップシールを形成する、請求項1〜7のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項9】
前記コアラップ内の前記吸収性材料の周辺部が、吸収性材料堆積エリア(8)を画定し、前記吸収性材料堆積エリアが、矩形であるか、又は股ポイント(C)において前記コアの残りの部分における前記吸収性材料堆積エリアの最大幅よりも狭い幅を有する形状にされるかのいずれかであり、前記股ポイントが、前記コアの長手方向軸(80)上のポイントとして定義され、かつ前記吸収性物品の前記前縁部(10)からLの5分の2(2/5)の距離において配置され、Lが、その長手方向軸(80)に沿って測定された前記吸収性物品の長さである、請求項1〜8のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項10】
前記吸収性コアが、第1の吸収性層及び第2の吸収性層を備え、前記第1の吸収性層が、第1の基材(16)及び超吸収性ポリマー粒子の第1の層(61)を備え、前記第2の吸収性層が、第2の基材(16’)及び超吸収性ポリマー粒子の第2の層(62)を備え、かつ繊維状の熱可塑性接着材料(51)が、超吸収性ポリマー粒子の各層をそれらのそれぞれの基材に少なくとも部分的に結合させ、前記第1の基材及び前記第2の基材が、コアラップの前記上側及び前記底側を実質的に形成する、請求項1〜9のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項11】
前記吸収性材料(60)と、前記コアラップの前記上側(16)の前記内側表面及び/又は前記底側(16’)の前記内側表面との間に補助糊剤(71、72)を含む、請求項1〜10のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項12】
前記吸収性物品が、0.2〜4mmの、前記コアの股ポイント(C)にて測定されるキャリパーを有する、請求項1〜11のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チャネル形成エリアと、湿り度インジケータとを備える乳児用おむつ、トレーニングパンツ、及び成人用失禁製品などであるが、これらに限定されない、吸収性物品を対象とする。
【背景技術】
【0002】
上に示した型の個人衛生用の吸収性物品は、身体排泄物、特に大量の尿を吸収及び収容するように設計される。これらの吸収性物品は、層の中でもとりわけ、異なる機能を提供するいくつかの層、例えば、トップシート、バックシート、及びその中間の吸収性コアを備える。吸収性コアの機能は、典型的には、排泄物を長期間吸収して保持すること、再湿潤を最小限に抑えて着用者を乾いた状態に維持すること、及び衣類又はベッドシーツが汚れるのを回避することである。
【0003】
現在市販されている吸収性物品の大半は、吸収性材料として、吸収性ゲル化材料(AGM)とも称される、粒子形態にある超吸収性ポリマー(SAP)を有する粉砕木材パルプの配合物を含む。例えば、米国特許第5,151,092号(Buell)を参照されたい。吸収性材料として本質的にSAPからなるコア(いわゆる「エアフェルトを含まない」コア)を有する吸収性物品も提唱されている(例えば、国際公開第2008/155699号(Hundorf)、同第95/11652号(Tanzer)、同第2012/052172号(Van Malderen)を参照されたい)。スリット又は溝を有する吸収性コアも、典型的には、コアの流体捕捉特性を増大させるため、又は折り畳みガイドとして作用するために、提供されている。
【0004】
国際公開第2012/170778号(Rosatiら、同第2012/170779号、同第2012/170781号、及び同第2012/170808号も参照されたい)は、超吸収性ポリマー、任意選択でセルロース系材料、及び少なくとも一対の実質的に長手方向に延在するチャネルを含む吸収性構造物を開示する。コアラップは、チャネルを通じて接着結合され、チャネル結合を形成することができ、その一体性は、乾燥状態及び湿潤状態の両方で少なくとも部分的に維持される。吸収性構造物が液体を吸収し膨潤するにつれて、吸収性構造は3次元形状をとり、チャネルが可視的となる。チャネルは、吸収性構造物の使用を通して、改善されたフィット感及び/若しくはより良好な液体捕捉/輸送、並びに/又は改善された性能を提供することが示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第5,151,092号
【特許文献2】国際公開第2008/155699号
【特許文献3】国際公開第95/11652号
【特許文献4】国際公開第2012/052172号
【特許文献5】国際公開第2012/170778号
【特許文献6】国際公開第2012/170779号
【特許文献7】国際公開第2012/170781号
【特許文献8】国際公開第2012/170808号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
コア内の吸収性材料を含まないエリアを通してコアラップの両側を付着させることによって形成されたチャネル形成エリアを有する、上に開示した型の吸収性構造物は、優れた湿潤フィット特性を有する。実際に、従来の吸収性コアでは、吸収された流体の重量が、物品の中央部分を引き下げ、充填されたおむつを着用者の脚の間で著しくたるませるが、吸収性材料エリア内のコアラップ結合は、コア内に長手方向の張力を生み出し、相当量の流体が吸収されたときでも、吸収性物品を上向状態で維持することを見出した。発明者らはここで、この効果が介護者にとって不利益であり得ることを見出し、着用者の脚の間の物品のたるみを、高レベルの吸収された流体及び物品を交換するための信号と関連付けることを学んだ。実際に、新たな吸収性構造物の非常に高い湿潤フィットに起因して、介護者は、物品を交換する時であることを認識しない場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、特許請求の範囲に定義される吸収性物品を提供することによって、上に示したような予想外の問題を解決する。おむつ又はトレーニングパンツなどの吸収性物品は、トップシート、バックシート、及び吸収性コアを備える。コアラップは、超吸収性ポリマー粒子、とりわけ多量のSAPを含む吸収性材料を、エアフェルトを含まないコアなどに封入する。コアラップは、上側及び底側を備える。吸収性コアは、吸収性材料を実質的に含まない少なくとも2つの長手方向に延在するエリアを備え、それを通してコアラップの上側がコアラップの底側に付着され、それにより、吸収性材料が尿などの液体の吸収時に膨潤したときに、コアラップが吸収性材料を実質的に含まないこれらのエリアに沿ってチャネルを形成する。吸収性物品は、物品の外側から見たときに、2つのチャネル形成エリアの間、及び/又はチャネル形成エリアのうちのいずれかと、物品の長手方向に延在する側縁部のうちのいずれかとの間に配置された湿り度インジケータを更に備える。湿り度インジケータは、尿と接触したときに外観を変化させ、出現信号、消失信号、又は尿と接触したときに外観を変化させる色変化信号を含み得る。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】いくつかの層を部分的に除去した、本発明に従うテープ付きおむつの形態の例示的な吸収性物品の上面図である。
図2図1の実施形態の横方向断面図である。
図3】おむつが尿などの流体で充填された結果としてコア内にチャネルが形成された場合の、図2と同じ点でとった物品の横方向断面図である。
図4】本発明に従う吸収性物品で使用され得る例示的な吸収性コアの上面図である。
図5図4のコアの横方向断面図である。
図6図4のコアの長手方向断面図である。
図7図6の一部の拡大図である。
図8】充填前に着用したときに出現し得る、図1のテープ付きおむつの斜視図である。
図9】液体で充填された後の図8のテープ付きおむつの斜視図である。
図10】充填前に着用したときに出現し得る、物品の側縁部のそれぞれと、対応する最も近いチャネルとの間に配置された2つの湿り度インジケータを有する、テープ付きおむつの斜視図である。
図11図9及び10の湿り度インジケータを組み合わせるテープ付きおむつの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
物品20の概説
本明細書で使用する場合、用語「吸収性物品」は、身体から排出された排泄物、とりわけ尿を吸収及び収容するように着用者の身体に当接又は近接させて配置される、乳児用おむつ、幼児用トレーニングパンツ、又は成人用失禁製品などの個人衛生用の使い捨て製品を指す。本発明の吸収性物品について、以下の説明において、かつ図において、テープ付きおむつの形態で更に例解することにする。しかしながら、この説明におけるいかなる内容も、別段の明確な指示がない限り、特許請求の範囲を制限するものとみなされるべきではない。
【0010】
ここで吸収性物品を、概述し、図1に例示的に表すように、乳児用おむつ20の形態で更に例解する。図1は、例示的なおむつ20の平らに広げられた状態の平面図であり、構造の一部分を切り欠き、おむつ20の構造をより明瞭に示している。本発明は、広範囲に及ぶ様々なおむつ又は他の吸収性物品を製造するために使用され得るため、このおむつ20は、例解目的のみで示される。
【0011】
吸収性物品は、液体透過性トップシート24、液体不透過性バックシート25、及びトップシート24とバックシート25との間の吸収性コア28を備える。任意選択の捕捉及び/又は分配層54が図1〜2に表わされており、この図はまた、物品の後縁部に向かって付着され、物品の正面にあるランディングゾーン44と協働する接着剤タブ42と、典型的にはトップシート及び/又はバックシートを介して吸収性物品のシャーシに接合され、かつおむつのシャーシと実質的に平面であるバリアレッグカフ34及び弾性ガスケットカフ32とを含む締着システムなどの、他の典型的なテープ付きおむつ構成要素を示す。吸収性物品はまた、後弾性ウエスト機構、前弾性ウエスト機構、横方向バリアカフ(複数可)、ローションアプリケーションなどの図示されていない他の典型的な構成要素を備えてもよい。
【0012】
吸収性物品20は、前縁部10、後縁部12、及び2つの長手方向に延在する側縁部13、14を備える。物品の前縁部10は、着用されるときに使用者の前方に向かって配置されるように意図される縁部であり、後縁部12は、物品の反対側の縁部である。吸収性物品を平らに置き、図1のように上から見ると、この吸収性物品は、長手方向軸80によって概念的に分割され得、物品の前縁部から後縁部へと延在し、この軸に対して実質的に対称な2つの半分に物品を分割している。物品の長さLは、前縁部10から後縁部12へと長手方向軸80に沿って測定され得る。本物品は、本明細書では、物品20の前縁部10から始まるLの5分の2(2/5)の距離に長手方向軸上に配置されたポイントとして定義される股ポイントCを含む。股ポイントにおけるおむつ用途のための物品の幅は、とりわけ、50mm〜300mm、又は80mm〜250mmであり得る。成人用失禁製品の場合、幅は、最大450mmになってもよい。おむつなどの物品の長さLは、典型的には、対象とする着用者に応じて200mm〜600mmで異なり得る。
【0013】
股領域は、股ポイントCを長手方向の中心とする、かつ吸収性物品の前に向かって、及び後に向かって、各方向にLの5分の1(L/5)の距離をおいて延在する、おむつの領域として定義され得る。前領域及び後領域は、それぞれ物品の前縁部及び後縁部に向かって配置される、おむつの残りの部分として定義することができる。
【0014】
トップシート24、バックシート25、吸収性コア28、及び他の物品構成要素は、種々の周知の構成にて、特に糊付け又は熱エンボス加工によって組み立てられ得る。例示的なおむつの構成は、米国特許第3,860,003号、同第5,221,274号、同第5,554,145号、同第5,569,234号、同第5,580,411号、及び同第6,004,306号に、概説されている。吸収性物品は、薄いことが好ましい。物品の股ポイントCにおける厚さは、本明細書に記載の吸収性物品キャリパー試験(Absorbent Article Caliper Test)によって測定して、例えば、3.0mm〜12.0mm、とりわけ4.0mm〜10.0mmであり得る。
【0015】
ほとんどの吸収性物品に関して、液体排出は、特におむつの場合、物品の前半部にて主に生じる。したがって、物品の前半部(前縁部と、前又は後縁部からLの半分の距離に位置する横方向線90との間の領域によって画定される)は、コアの吸収能力のほとんどを備え得る。したがって、コアに含まれる超吸収性ポリマー(「SAP」)の少なくとも60%、又はSAPの少なくとも65%、70%、75%、若しくは80%が、吸収性物品の前半部に存在し、残りのSAPが吸収性物品の後半部に配設されてもよい。
【0016】
吸収性物品は、国際公開第2012/174026A1号に提示されている平坦捕捉試験方法に従って測定するとき、30秒未満、好ましくは27秒未満の初期噴出の捕捉時間を有し得る。この捕捉時間は、特に、体重が8〜13kg±20%の範囲の着用者のための乳児用おむつ(例えば、Pampers Active Fitのサイズ4若しくは他のPampers幼児用おむつのサイズ4、Huggies幼児用おむつのサイズ4、又は大部分の他の商標名の幼児用おむつのサイズ4)で測定してもよい。
【0017】
吸収性物品の異なる構成要素、とりわけ、吸収性コア及び湿り度インジケータが、ここで更に考察され、下で例示される。
【0018】
吸収性コア28の概説
吸収性コアは、典型的には、最も高い吸収能力を有する、物品の構成要素である。使用前(乾燥状態)の本発明の例示的吸収性コア28は、図4〜6に単独で示されている。示される吸収性コア及びその説明は、純粋に例示目的であり、別途記載がない限り、特許請求の範囲を制限することを意図せず、断面図は概略的であり、異なる層をより良好に示すために、垂直方向に拡大される。
【0019】
本発明の吸収性コアは、吸収性材料を封入しているコアラップ(16、16’)を備え、また少なくとも1つの接着剤を備えてもよい。吸収性材料60は、典型的には、超吸収性ポリマー(「SAP」)を粒子形態で含み得る。吸収性材料は、コアラップ内に封入された比較的多量のSAPを含み得る。「吸収性材料」とは、SAP及びセルロース繊維など、何らかの吸収特性又は液体保持特性を有する材料を意味する。典型的には、吸収性コアの作製に使用される接着剤は、吸収特性を有さず、吸収性材料とはみなされない。吸収性コアは、例えば、ライン上で作製され、物品の残りの構成要素と共に直接組み立てられてもよく、あるいは別の場所にてライン外で作製され、加工ラインに移送されてもよい。
【0020】
吸収性コアは、典型的には、前側280、後側282、及び前側280と後側282とを接合する2つの長手方向に延在する側方側284、286を備える。吸収性コアはまた、コアラップによって形成される、略平面である上側288及び略平面である底側290を備える。コアの前側280は、吸収性物品の前縁部10に向けて配置されるように意図されているコアの側部である。コアは、図1においてのように平面図で上部から見て、物品80の長手方向軸に実質的に対応する長手方向軸80’を有してもよい。典型的には、吸収性材料は、より高い吸収性が前部で要求されるため、後側に向かうよりもコアの前側及び中間部分に向かって、より多くの量が有利に分配される。典型的には、コアの前側及び後側は、コアの長手方向側よりも短い。
【0021】
コアラップは、吸収性コアの側部に沿って少なくとも部分的に封止され得る2つの基材16、16’、典型的には、不織布材料によって形成されてもよい。第1の不織布16は、実質的にコアラップの上側288を、第2の不織布は、実質的にコアラップの底側290を形成し得る。コアラップは、その前側、後側、及び/又は2つの長手方向側に沿って少なくとも部分的に封止されて、使用中の吸収性材料の収容を改善させ得る。Cラップの封止は、例えば、改善された収容が所望される場合、図5に示されるコアの長手方向側284、286上に提供され得る。
【0022】
吸収性コア28は、吸収性材料を実質的に含まない少なくとも2つのエリア26を備え、それを通してコアラップの上側が結合27に沿ってコアラップの底側に付着される。吸収性材料が液体を吸収したときに、吸収性材料は比例して膨潤し、コアラップは、吸収性材料を実質的に含まない結合エリア26に沿って3次元チャネル26’を徐々に形成する。
【0023】
前側280から後側282までの軸80’に沿って測定した吸収性コア28の長さL"は、それが使用されることになる意図される物品に適合させるべきである。幼児用おむつの場合、長さL”は、例えば、50〜400mmの範囲であり得る。吸収性コアは、該吸収性コアが統合される吸収性物品の股ポイントCに対して垂直に対応するコアのポイントとして画定された仮想股ポイントC’を含む。股ポイントC’は、典型的には、コアの長手方向軸80’上に存在し得る。吸収性コアは薄くてもよく、例えば、本明細書で開示される乾燥吸収性コアキャリパー試験(Dry Absorbent Core Caliper Test)によって測定した場合、とりわけ股ポイントC’又は吸収性コアのいずれの他のポイントにおいても、5mmを超えない、例えば、0.2mm〜4mm、とりわけ0.5〜3mmの厚さを有する。吸収性コアの個々の構成要素を、これから更に詳細に説明する。
【0024】
コアラップ(16、16’)
コアラップの機能は、吸収性材料を封入することである。典型的なコアラップは、互いに付着される2つの基材16、16’を備えるが、コアラップはまた、吸収性材料の周りに折られた単一の基材で作製されてもよく、あるいはいくつかの基材を備えてもよい。2つの基材を使用する場合、これらは、典型的には、吸収性コアの周辺部の少なくとも一部に沿って互いに付着され、封止を形成することができる。典型的には、第1及び第2の基材のどちらも特定の形状を有する必要がないため、製造を簡易にするため矩形に切断されてもよいが、他の形状も除外されない。
【0025】
基材は、別の基材に有利に付着され、コアの全ての縁部に沿って封止を形成する。典型的な封止は、いわゆるCラップ及びサンドイッチラップである。図5に例示的に示されるCラップでは、コアの長手方向に延在する側方側封止の場合、基材のうちの1つ、例えば、第1の基材16が、コアの対向縁部上に延在するフラップを有し、これは次に他の基材の上に折り畳まれる。これらのフラップは、典型的に、糊付けすることによって、他の基材の外部表面に結合される。このいわゆるCラップ構造は、サンドイッチ封止(sandwich seal)と比較して、湿潤負荷状態(wet loaded state)での耐破裂性を改善させるなどの利益を提供することができる。
【0026】
コアラップの前側280及び後側282も、その後、例えば第1の基材及び第2の基材を互いに糊付けすることによって封止され、コアの周辺部の全体にわたる吸収性材料の完全な封入を提供し得る。図6に示すように、コアの前側及び後側については、第1及び第2の基材が延在し、実質的に平面方向で共に接合されることで、いわゆるサンドイッチ構成体を形成し得る。いわゆるサンドイッチ封止構成体では、第1及び第2の基材の両方は、吸収性材料堆積エリアの外向きに材料の延在を有し、次いで典型的には糊付け及び/又は熱/圧力結合によって、コアの周辺部の全体又は部分に沿って平坦に封止される。
【0027】
用語「封止」及び「封入」は、広義に理解されるべきである。封止は、コアラップの周辺部全体に沿って連続的である必要はなく、線上に離間配置された一連の封止点によって形成されるなど、その一部又は全体に沿って不連続であってもよい。典型的には、封止は、糊付け及び/又は熱結合によって形成され得る。コアラップはまた、ある単一の基材によって形成されてもよく、その基材は、小包のように吸収性材料を封入し、例えば、コアの前側及び後側並びに一方の長手方向に延在する封止に沿って封止され得る。
【0028】
コアラップは、吸収性材料を封入するのに好適な任意の材料によって形成され得る。従来のコアの製造に使用される典型的な基材材料、とりわけ、不織布、それだけでなく紙、ティッシュ、フィルム、織布、又はこれらのうちのいずれかの積層体を使用してもよい。コアラップは、具体的に、カード不織布、スパンボンド不織布(「S」)、メルトブローン不織布(「M」)、及びこれらのうちのいずれかの積層体などの、不織布ウェブから形成され得る。例えば、スパンメルトされたポリプロピレン不織布が好適であり、特に、積層体ウェブのSMS、又はSMMS、又はSSMMS型の構造を有するもの、及び坪量が約5gsm〜15gsmの範囲であるものが好適である。好適な材料は、例えば、米国特許第7,744,576号、米国特許出願公開第2011/0268932A1号、同第2011/0319848A1号、又は同第2011/0250413A1号に開示される。PE、PET、及びとりわけPPなどの合成繊維から得られる不織布材料が使用されてもよい。
【0029】
本明細書で使用する場合、「不織布ウェブ」とは、摩擦及び/又は粘着及び/又は接着により結合させた、指向性に又はランダムに配向された繊維から作られたシート、ウェブ、又は打延べ綿シートを意味し、紙、及び更なるニードル加工の有無を問わず、結束糸若しくはフィラメントを組み込んだ織り製品、編み製品、タフト加工品、ステッチ結合製品、又は湿式粉砕によるフェルト製品は含まない。繊維は、天然起源のものであっても人工起源のものであってもよく、ステープル若しくは連続フィラメントでもよく、又はその場で形成されたものでもよい。市販の繊維は、約0.001mm未満〜約0.2mmを超える範囲の直径を有し、短繊維(ステープル又はチョップドとして知られる)、連続単繊維(フィラメント又はモノフィラメント)、未撚連続フィラメント束(トウ)、及び連続フィラメントの撚糸束(ヤーン)などの、いくつかの異なる形態で提供される。不織布ウェブは、メルトブロー法、スパンボンド法、溶媒紡糸法、電界紡糸法、カーディング法、及びエアレイイング法などの多くの方法によって形成され得る。不織布ウェブの坪量は、通常は、グラム毎平方メートル(g/m又はgsm)で表される。
【0030】
コアラップが第1の基材16と第2の基材16’とを備える場合、これらは同じタイプの材料から作製されてもよく、あるいは異なる材料から作製されてもよく、あるいは、いずれか一方の基材が他方とは異なって処理されて、異なる特性が与えられてもよい。不織布の製造に使用されるポリマーは、典型的には、本質的に疎水性であるので、吸収性コアの流体受容側に配置されている場合は、親水性コーティングで処理されていてもよい。コアラップの上側288、即ち吸収性物品の中で着用者により接近して配置される側が、コアラップの底側290よりも親水性であることが有利である。典型的には、界面活性剤を含む組成物は、より親水性にするために、基材上に噴霧され得る。耐久性のある親水性コーティングを用いて不織布を製造するための考えられる方法は、親水性モノマー及びラジカル重合反応開始剤を不織布上に塗布し、UV光で活性化して重合を起こすことによって、不織布の表面に化学結合したモノマーを生成させるものである。耐久性の親水性コーティングを用いて不織布を製造するための考えられる代替的方法は、例えば、国際公開第02/064877号で説明されるような、不織布を親水性ナノ粒子でコーティングすることである。
【0031】
恒久的に親水性の不織布も、いくつかの実施形態では有用である。表面張力は、どれほど恒久的にある特定の親水性レベルが達成されるのかを測定するために使用することができる。液体滲み出し(liquid strike through)を使用して親水性レベルを測定することができる。第1及び/又は第2の基材は、生理食塩水溶液で湿潤される場合、とりわけ、少なくとも55mN/m、好ましくは少なくとも60mN/m、最も好ましくは少なくとも65mN/m以上の表面張力を有してもよい。基材はまた、液体の5回の噴出に対し、5秒未満の液体滲み出し時間を有してもよい。これらの値は、米国特許第7,744,576B2号(Busamら)「Determination Of Surface Tension」及び「Determination of Strike Through」それぞれに記載の試験方法を使って測定することができる。
【0032】
親水性及び湿潤性は、典型的には、接触角、及び例えば不織布布地を通過する流体の滲み出し時間に関して定義される。これに関しては、「Contact angle,wettability and adhesion」と題する、Robert F.Gouldにより編集された、American Chemical Societyの刊行物(Copyright 1964)に詳述されている。水と基材表面との間の接触角が小さい基材は、他の基材よりも親水性が高いと言ってもよい。
【0033】
基材はまた、空気透過性であってもよい。したがって、本明細書において有用なフィルムは、微小孔を含み得る。基材は、EDANA法140−1−99(125Pa、38.3cm)によって判定される空気透過率が、40又は50〜300又は200m/(m×分)のものであってもよい。代替的に、コアラップの材料は、例えば、真空を含む移動表面での取り扱いを容易にするために、より低い空気透過性を有してもよく、例えば、非空気透過性である。
【0034】
吸収性材料60及び吸収性材料堆積エリア8
吸収性コア28は、コアラップ内に吸収性材料60を含む。吸収性材料は、例えば、コアラップ内に連続層として堆積してもよい。吸収性材料はまた、例えば、コアラップ内に封入され、材料を含まない接合エリアによって互いから分離された吸収性材料の個々のポケット又はストライプとして不連続的に存在し得る。吸収性材料の、とりわけSAPの連続層はまた、一致する不連続的な吸収性材料の塗布パターンを有する2つの吸収性層を組み合わせることによって得られてもよく、結果として得られる層は、吸収性粒子状ポリマー材料エリアにわたって実質的に連続的に分布している。例えば、米国特許公開第2008/0312622A1号(Hundorf)に教示されるように、各吸収性材料の層は、故に、吸収性材料ランドエリアと吸収性材料を含まない接合エリアとを有するパターンを含み、第1の層の吸収性材料ランドエリアは、第2の層の吸収性材料を含まない接合エリアに実質的に対応し、逆もまた同様である。図6〜7に例解されるように、吸収性コア28は、故に、第1の吸収性層及び第2の吸収性層を含んでもよく、第1の吸収性層は、第1の基材16及び吸収性材料の第1の層61を含み、これは100% SAPであってもよく、第2の吸収性層は、第2の基材16’及び吸収性材料の第2の層62を含み、これも100%SAPであってもよい。第1及び第2のSAP層は、組み合わされる前のそれらの対応する基材上の所望の吸収性材料堆積エリア8と同じ幅を有する、横方向ストライプ又は「ランドエリア」として適用され得る。ストライプは有利にも、異なる量の吸収性材料を含んで、図6に示されるように、コア80’の長手方向軸及び/又は横方向軸に沿ってプロファイル化した坪量をもたらし得る。第1の基材16及び第2の基材16’はコアラップを形成し得る。補助糊剤71、72は、各吸収性層上のマイクロファイバー糊剤51と同様に、一方又は両方の基材と吸収性層との間に塗布してもよい。
【0035】
吸収性材料堆積エリア8は、図4に示される吸収性コアの上側から見ると分かるように、コアラップ内の吸収性材料60によって形成される層の周辺部によって画定され得る。吸収性材料堆積エリア8は、例えば、図4に示すように、略矩形であってもよいが、「T」若しくは「Y」又は「砂時計」若しくは「犬用の骨」形状など他の形状も使用され得る。特に、堆積エリアは、コアの股領域に向けてその幅に沿った漸減を示し得る。このように、吸収性材料堆積エリアは、吸収性物品の股領域内に配置されるように意図されたコアのエリアにおいて、比較的狭い幅を有し得る。これにより、例えば、より良好な着用時の快適性を提供することができる。故に、吸収性材料堆積エリア8は、約100mm、90mm、80mm、70mm、60mm未満、又は更に約50mm未満であるその最も狭い点での幅(横方向に測定した場合)を有し得る。この最も狭い幅は更に、堆積エリア8の前領域及び/又は後領域におけるその最も大きい点での堆積エリアの幅よりも、例えば、少なくとも5mm、又は少なくとも10mm小さくてもよい。
【0036】
SAPの坪量(表面の単位当たり堆積される量)はまた、コアの長手方向(図6に示す)、同横方向、又はその両方の方向において、吸収性材料、とりわけSAPの輪郭のある(profiled)分布を創出するように、堆積エリア8に沿って変化してもよい。よって、コアの長手方向軸線に沿って、及び横方向軸線に沿って、又はこれらの軸のいずれかに平行であるどの軸に沿っても、吸収性材料の坪量は異なってもよい。比較的高い坪量のエリアにおけるSAPの坪量は、故に、比較的低い坪量のエリアよりも、例えば、少なくとも10%、又は20%、又は30%、又は40%、又は50%高くてもよい。特に、股ポイントC’の長手方向位置にて吸収性材料堆積エリア中に存在するSAPは、吸収性材料堆積エリア8の別のエリアと比較して、より多い表面の単位当たりのSAPの堆積を有し得る。
【0037】
吸収性材料は、比較的高速でSAPを比較的正確に堆積させ得る既知の技術を使用して堆積することができる。多量のSAPを含む様々な吸収性コア設計が過去に提唱されており、例えば、米国特許第5,599,335号(Goldman)、欧州特許第1,447,066号(Busam)、国際公開第95/11652号(Tanzer)、米国特許公開第2008/0312622A1号(Hundorf)、国際公開第2012/052172号(Van Malderen)、とりわけ同第2012/170778号(Rosatiら、同第2012/170779号、同第2012/170781号、及び同第2012/170808号も参照されたい)を参照されたい。特に、例えば米国特許公開第2006/024433号(Blessing)、同第2008/0312617号及び同第2010/0051166A1号(どちらもHundorfらに付与)で開示されるSAP印刷技術が使用されてもよい。この技術は、印刷ロールなどの移動装置を使用して、支持体のグリッド上に配置された基材上にSAP粒子を堆積させるものであり、この支持体は、複数のクロスバーの間に延在するリブを形成するように、互いに実質的に平行に、かつ互いから離間して延在する、複数のクロスバーを含み得る。この技術は、とりわけ、基材上のSAPの高速かつ精密な堆積を可能にし、それを通してコアラップの結合を行うことができる吸収性材料によって包囲された吸収性材料を実質的に含まないエリア26を提供する。吸収性材料を実質的に含まないこれらのエリア26は、米国特許公開第2012/0312491号(Jackels)に例示的に開示されるように、選択されたエリアにSAPが適用されないように、例えば、グリッドのパターンを修正し、ドラムを受容することによって形成され得る。
【0038】
超吸収性ポリマー粒子(SAP)
吸収性材料60は、超吸収性ポリマーを粒子形態で含む。本明細書で使用する場合、「超吸収性ポリマー」又は「SAP」は、遠心分離保水容量(CRC)試験(EDANA法WSP 241.2−05E)を使用して測定するとき、0.9%生理食塩水溶液を、重量の少なくとも10倍吸収可能な架橋ポリマー材料である吸収性材料を指す。これらのポリマーは、乾燥状態において流動性があるように、粒子形態で典型的に使用される。用語「粒子」は、顆粒、繊維、フレーク、球体、粉末、小板、並びに超吸収性ポリマー粒子の、当業者に既知の他の形状及び形態を指す。
【0039】
SAP含有量は、コアラップ内に封入された吸収性材料の少なくとも70重量%以上(とりわけ、少なくとも80重量%、少なくとも85重量%、少なくとも90重量%、少なくとも95重量%、及び最大100重量%)を示してもよい。コアラップ自体は、吸収性コア内のSAPの百分率を評価する目的では吸収性材料とはみなされない。多量のSAPによって、典型的には40〜60重量%のセルロース繊維を含む従来のコアと比較して、比較的薄いコアが得られる。吸収性材料は、とりわけ、10重量%未満若しくは5重量%未満の天然若しくは合成繊維を含んでもよく、又は更には天然及び/若しくは合成繊維を実質的に含まなくてもよい。吸収性材料は有利に、エアフェルト(セルロース)繊維をほとんど又は全く含まなくてもよく、とりわけ、吸収性コアは、吸収性コアの15重量%、10重量%、5重量%未満のエアフェルト(セルロース)繊維を含んでもよく、又は更にはセルロース繊維を実質的に含まなくてもよい。
【0040】
典型的な粒子状吸収性ポリマー材料は、ポリ(メタ)アクリル酸ポリマーから形成される。しかしながら、例えば、澱粉系の粒子状吸収性ポリマー材料も使用することができ、更に、ポリアクリルアミド共重合体、エチレン無水マレイン酸共重合体、架橋カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール共重合体、架橋ポリエチレンオキシド、及びポリアクリロニトリルの澱粉グラフト共重合体も使用することができる。超吸収性ポリマーは、内部及び/又は表面架橋されたポリアクリレート及びポリアクリル酸ポリマーであってもよい。超吸収性ポリマーは、内部で架橋されることができ、即ち、重合は、ポリマー網状組織へとフリーラジカル的に共重合され得る、2つ以上の重合可能な基を有する化合物の存在下において行われる。先行技術の例示的な超吸収性ポリマー粒子は、例えば、国際公開第2006/083584号、同第2007/047598号、同第2007/046052号、同第2009/155265号、同第2009/155264号に記載されている。
【0041】
SAPは、多くの場合、様々なパラメータによって定義される、それらの特性によって特徴付けられる。2種類以上の超吸収性ポリマー粒子を有する実施形態の場合、パラメータは、吸収性コア中で使用されるときにそれらの対応する割合で存在する2種類以上の超吸収性ポリマー粒子の混合物上で測定され得る。
【0042】
本発明のコア中で使用されるSAPは、例えば、国際公開第2012/174,026A1号に記載されているK(t)試験方法によって測定される、240s未満の20g/g(T20)の取り込みに到達するまでの時間を有し得る。SAPは、とりわけ、220秒未満、又は200秒未満、又は180秒未満、又は160秒未満のT20を有してもよい。K(t)法も、同様に本発明において有利に使用され得る他のSAPパラメータを判定するのに有用である。20分でのSAPの取り込み(U20)は、国際公開第2012/174,026A1号に開示されているK(t)試験方法に従って測定するとき、とりわけ、少なくとも22g/g、又は少なくとも24g/g、又は少なくとも28g/g、又は少なくとも30g/g、又は28g/g〜60g/g、又は30g/g〜50g/g、又は30g/g〜40g/gであり得る。SAPは、K(t)試験方法に従って測定するとき、少なくとも5・10−8cm、又は少なくとも7・10−8cm、又は少なくとも8.5・10−8cm、又は5・10−8cm〜1・10−6cm、又は7・10−8cm〜5・10−7cm、又は8.5・10−8〜1・10−7cmの20分での有効透過率(K20)を有し得る。
【0043】
超吸収性ポリマー粒子は、40を超える、又は好ましくは50を超える、又は60を超える、又は50〜500、又は55〜200、又は60〜150UPM単位の、UPM(尿透過率測定)値として表される平衡状態での透過率を更に有してもよく、1UPM単位は、1×10−7(cm.秒)/gである。UPM値は、国際公開第2012/174,026A1号に提示されるUPM試験方法に従って測定される。この方法は、先行技術によるSFC試験方法と密接に関連している。UPM試験方法は、典型的には、超吸収性ポリマー粒子の予備膨潤層の流動抵抗を測定し、即ち、流動抵抗は平衡状態で測定される。したがって、高UPM値を有するかかる超吸収性ポリマー粒子は、吸収性物品の有意な容積が、液体排泄物によって既に湿潤している場合に、高い透過率を呈する。これらの実施形態は、初期噴出のみでなく、続く噴出においても良好な吸収特性を呈する。
【0044】
使用されるSAPはまた、0.1g/g/sを超える、又は0.1〜2g/g/s、又は0.3〜1g/g/s、又は0.3〜0.6g/g/s、又は0.4〜0.6g/g/sのFSR(自由膨潤率)を有してもよい。SAPの自由膨潤率は、国際公開第2012/174,026A1号に提示するFSR試験方法に従って測定される。高自由膨潤率値を有するSAPは、封圧がない状態で液体を素早く吸収することができる。K(t)試験方法とは逆に、自由膨潤率の測定のために、ゲルベッドに外圧を印加しない。非常に低いFSR値を有するSAPは、本発明のK(t)試験方法に従って測定するとき、20g/gの取り込みを達成するのに240秒超を要することがあり、結果として液体排泄物を必要な速さで吸収することができない。しかしながら、上述したように、高FSR値を有する超吸収性ポリマー粒子は、K(t)試験方法に従って測定するとき、自動的に高い取り込み値をもたらさない。
【0045】
SAPは、EDANA法WSP 241.2−05に従って測定するとき、18g/g超、又は20g/g超、又は22g/g超、又は24g/g超、例えば、最大50g/g、又は最大40g/g、又は最大30g/gのCRC(遠心保持容量)値を有し得る。CRCは、過剰の液体中で自由膨潤する超吸収性ポリマー粒子によって吸収される液体を測定する。高CRC値を有する超吸収性ポリマー粒子は、液体吸収に求められる全体容量を増強するのに必要とされる超吸収性ポリマー粒子がより少量であるため、好ましい場合がある。
【0046】
吸収性コアに存在するSAPの合計量は、物品の想定される使用者によっても変動し得る。新生児用のおむつは、乳幼児用又は成人用失禁おむつと比べて必要なSAPが少ない。コア中のSAPの量は、例えば、典型的な乳幼児用おむつでは約2〜50g、とりわけ5〜25gをなしてもよい。SAPの(又は複数存在する場合は「少なくとも1つの」)堆積エリア8内の平均SAP坪量は、例えば、少なくとも50、100、200、300、400、500g/m又はそれ以上となり得る。この平均坪量を算出するために、吸収性材料の堆積エリア8に存在する材料を含まないエリア26が吸収性材料の堆積エリアから推定される。
【0047】
チャニング(Channing)形成エリア26及びチャネル26’
本発明の吸収性コアは、吸収性材料を実質的に含まない長手方向に延在するチャネル形成エリア26の少なくとも2つのエリアを含む。「実質的に含まない」とは、これらのエリアの各々において、吸収性材料の坪量が、吸収性材料堆積エリア8の残りの部分における吸収性材料の平均坪量の少なくとも25%未満、とりわけ、少なくとも20%未満、又は10%未満であることを意味する。具体的には、吸収性材料は、これらのエリアにおいて存在しなくてもよい。作製方法中に発生し得る吸収性材料による不随意の汚染などの最小量は、吸収性材料とはみなされない。エリア26は有利に、図4で見られるようにコアの平面で見たときに吸収性材料によって囲まれており、このことは、エリア26が、吸収性材料の堆積エリア8の縁部のいずれにも延在しないことを意味する。
【0048】
コアラップの上側16は、図5に示される吸収性材料を実質的に含まないエリア26を通して、コアラップ結合27によってコアラップの底側16’に付着される。図2及び3に示すように、吸収性材料が液体を吸収して膨潤するときに、コアラップ結合27は、実質的に材料を含まないエリア26において、少なくとも最初は付着したままである。吸収性材料は、それが液体を吸収するときに、コアの残りの部分で膨潤し、それにより、コアラップが、コアラップ結合27が存在する吸収性材料を実質的に含まない各エリア26a、26bに沿って、3次元チャネル26’a、26’bを形成する。これらのチャネル26’は、侵襲性流体をそれらの長さに沿って、コアのより広いエリアに分布させ、故により速い流体捕捉速度及びコアの吸収能力のより良好な利用を提供することができる。吸収性材料が膨潤するにつれて、チャネルはより深くなり、物品の外側からバックシートを通って可視的となるように十分な深さ(数mmの深さ、例えば、膨潤したコア上で測定するとき、少なくとも3mm)になる。チャネル26’はまた、繊維状層54などの重複層の変形をもたらし、かつ重複層において対応する水路29をもたらし得る。吸収性コアは、吸収性材料を実質的に含まないがコアラップ結合を有しない他のエリア(複数可)を含むが、これらの非結合エリアは、典型的には、湿潤時にチャネルを形成しないことは、除外されない。
【0049】
コアラップの上側288及び底側290は、吸収性材料を実質的に含まないエリア26に沿って連続的に共に付着されてもよいが、コアラップ結合27はまた、一連の点結合など不連続的(断続的)であってもよい。典型的には、コアラップの上側をエリア26を通して底部に付着させるために接着剤が使用され得るが、圧力結合、超音波結合、若しくは熱結合、又はこれらの組み合わせなどの他の既知の付着手段によって結合させることが可能である。コアラップの上側及び底側の付着は、下で詳述されるように、コア中に存在する場合には、1つ又は2つ以上の接着材料、とりわけ、補助糊剤71、72の1つ若しくは2つ以上の層、及び/又は繊維性接着材料51の1つ若しくは2つ以上の層によってもたらされてもよい。したがって、これらの糊剤は、吸収性材料を固定化し、コアの上側及び底側を共に付着させる二重の機能を果たし得る。補助糊剤(複数可)は、一連の薄い(例えば、1mm幅)糊剤スロット内で長手方向にスロットコーティングすることによって塗布され得る。
【0050】
下記は、吸収性材料を実質的に含まないチャネル形成エリア26の形状及びサイズの実施例であるが、本発明の範囲を限定するものではない。概して、コアラップ結合27は、一部の製造方法において求められる公差に起因して、同一ではあるがエリア26よりもわずかに小さい外形を有し得る。チャネル形成エリア26は、吸収性材料26a及び26bを実質的に含まない2つの長手方向に延在するエリアによって図1に表すように、物品の股領域内に、具体的に少なくとも股ポイントCと同じ長手方向レベルで、存在し得る。吸収性コア28はまた、3つ以上の、例えば、少なくとも3つ、又は少なくとも4つ、又は少なくとも5つ、又は少なくとも6つの吸収性材料を実質的に含まないエリアを含んでもよい。
【0051】
チャネル形成エリア26は、実質的に長手方向に延在するが、これは、典型的には、各エリアが、横方向よりも長手方向により延在し、典型的には、(それぞれの軸上で突き出した後に測定して)横方向よりも長手方向に少なくとも2倍延在するという意味である。チャネル形成エリア26は、吸収性物品の長さLの少なくとも10%、とりわけ20%〜80%である、物品の長手方向軸80上に突き出した長さL’を有し得る。チャネル形成エリア26は、例えば、長手方向軸上で測定するとき、少なくとも2cm、又は少なくとも4cm、6cm、8cm、又は10cm、及び例えば最大40cm、若しくは30cmの長さL’を有し得る。エリア(複数可)26の少なくとも一部又は全てが、コア内で完全に、又は実質的に完全に横方向に配向されないことは有利であり得る。吸収性材料を実質的に含まないより短いエリア(複数可)も、例えば、国際公開第2012/170778号の図面に見られるように、例えば、コアの後領域又は前領域に存在し得る。
【0052】
チャネル形成エリア26は、図に示される物品の長手方向軸80に対して対称に配置されたエリア26a、26bの対を含み得るか、又はそれらからなる。チャネル形成エリア26は、長手方向軸に対して完全に長手方向に、かつ平行に配向され得るが、湾曲していてもよい。とりわけ一部又は全てのこれらのエリア、とりわけ物品の股領域に存在するこれらのエリアは、例えば、図1に表すように、長手方向軸80に向かって凹状であり得る。曲率半径は、典型的に、吸収性材料体積エリア8の平均横寸法に対して、少なくとも等しくてよく(及び好ましくは、この平均横寸法の少なくとも1.5倍又は少なくとも2.0倍)、また長手方向軸に対して平行なラインと(例えば、5°〜)最大30°、又は例えば最大20°、又は最大10°の角度で真っ直ぐであり得る。曲率半径は、吸収性材料を実質的に含まないエリア(複数可)に対して一定であってもよく、又はその長さに沿って変化してもよい。これはまた、その中に角度を有する吸収性材料を実質的に含まないエリア(複数可)を含み得るが、チャネルの2つの部分の間の該角度が少なくとも120°、好ましくは少なくとも150°であることを条件とし、かつこれらの場合のうちのいずれにおいても、エリアの長手方向の広がりが横方向の広がりを超えることを条件とする。これらのエリア(複数可)はまた、分岐していてもよく、例えば、物品の後に向かって及び/又は前に向かって分岐する股領域において長手方向軸と重なる、材料を実質的に含まない中央部エリアであってもよい。
【0053】
恐らくは、チャネル形成エリア26は、物品の長手方向軸80と一致しない。このように、湿り度インジケータ100は、長手方向軸80と重なり得るか、又は中央に置かれ得る。とりわけ、長手方向軸に対して1つ又は2つ以上の対称対(複数可)として存在するときに、チャネル形成エリアは、それらの全体長手方向寸法上で互いから離間され得る。最小の間隔距離は、例えば、少なくとも5mm、又は少なくとも10mm、又は少なくとも16mmであり得、湿り度インジケータのための十分な空間をその間に残す。
【0054】
更に、流体漏出の危険性を低減するために、吸収性材料を実質的に含まないエリア26は有利に、吸収性材料堆積エリア8の縁部のいずれかに達するまでは延在せず、したがって、コアの吸収性材料堆積エリア8によって囲まれ、かつその内に完全に包囲されている。典型的には、吸収性材料を実質的に含まないエリア(複数可)と吸収性材料堆積エリアの最も近い縁部との間の最小距離は、少なくとも5mmである。
【0055】
吸収性材料を実質的に含まない各エリアは、少なくとも2mm、又は少なくとも3mm、又は少なくとも4mm、最大で、例えば、20mm、又は16mm、又は12mmである、そのエリアの長さの少なくとも一部に沿っている幅Wcを有してもよい。各チャネル形成エリア26の幅Wcは、実質的にその全長を通して一定であってもよく、又はその長さに沿って異なってもよい。
【0056】
吸収性コア内のチャネル26’は、吸収性材料が尿などの液体を吸収し膨潤し始めるときに形成され始める。コアがより多くの液体を吸収するにつれて、チャネルによって形成された吸収性コア内の窪みはより深くなり、図3に例解されるように、バックシートが消費する吸収性材料によって外側に押されるときに、物品の外部から肉眼及び感触でより明らかになる。コアラップ結合が十分に強く、SAPのレベルが高すぎない場合、コアラップ結合27は、吸収性材料の完全な飽和まで永久に継続することが可能である。一方で、コアラップ結合はまた、一部の場合には、コアが実質的に充填されるときに吸収性材料の膨潤を制限することもある。故に、発明者らは、コアラップ結合27がまた、大量の流体に曝露されるときに制御された様式で開放するように設計され得ることを見出した。故に、結合は、吸収性材料が相応の量の流体を吸収するため、少なくとも第1の段階の間には、実質的に無傷のままであってもよい。第2の段階では、チャネル中のコアラップ結合27は、増加したコアの横方向の可撓性及び流体管理などのチャネルの利益の大部分を保ちながら、吸収性材料が膨潤するためにより大きい空間をもたらすように開放し始めることができる。第3の段階では、吸収性コアの非常に高い飽和に対応して、チャネル結合のより大部分が、膨潤する吸収性材料が膨張するために更により大きい空間をもたらすように開放することができる。より多くの吸収性材料は通常、より大きな膨潤を引き起こし、結合により大きな圧力をかけることになるため、チャネル内のコアラップ結合27の強度は、例えば、コアラップの2つの面を付着させるために使用される糊剤の量及び性質、コアラップ結合を作製するために使用される圧力、及び/又は吸収性材料の分配を変化させることによって、制御することができる。コアラップの材料の伸張性も関与する。
【0057】
湿り度インジケータ100
吸収性物品20は、物品の外側から可視的であり、身体排泄物、とりわけ尿と接触するときに外観を変化させる、湿り度インジケータ100を備える。湿り度インジケータ100は、物品の外側から見るときに、2つのチャネル形成エリア26a、bの間、及び/又はチャネル形成エリア26a、26bのうちのいずれかと、側縁部13、14のうちのいずれか、若しくは両方との間に配置され得る。
【0058】
本明細書のプリアンブルに示されるように、発明者らは、驚くべきことに、本発明のコアの優れた湿潤フィット特性に起因して、おむつを交換する時であることを介護者が認識しない場合があることを見出した。介護者が、上記のように、チャネルの存在を吸収性コアの流体充填と関連付けることを学んだ場合でも、大量の充填時には、チャネルを形成する結合が完全に開く可能性があり、かつチャネルが消失する。この構成では、介護者はまた、チャネルがもはや可視的ではないとき、吸収性コアが流体の吸収を開始していないと誤って信じる場合がある。湿り度インジケータは、物品が汚れており、交換が必要であり得ることを着用者に警告する役割を果たす。
【0059】
発明者らは、チャネル形成エリア26の間、及び/又はこれらのエリア26のうちのいずれかと、物品の側縁部13、14との間に配置することが、いくつかの利益を有することを見出した。湿り度インジケータがチャネルのうちのいずれかと直接接触して配置された場合、チャネル形成エリア26が、典型的には、捕捉層及び/又は分布層、故に侵襲性流体と直接接触し得るため、中度の第1の流体侵襲の直後に反応し得る。湿り度インジケータ100を、チャネル形成エリア26a、bの外側に配置することによって、湿り度インジケータは、いくらかの流体が吸収性コアによって吸収された後のみに反応する。湿り度インジケータは、更に典型的には、コアの底側向かって、とりわけ、コアの底側とバックシート25の内側表面との間に配置され得るため、これは、湿り度インジケータが早まって反応しないことを保証し得る。
【0060】
湿り度インジケータ100は、物品の外側から見たときに、図8に例示的に示すように、2つのチャネル形成エリア26a、26bの間、又は物品の外側から見たときに、図10に例示的に示すように、物品の側縁部13、14のうちのいずれかと、チャネル形成エリア26a、bのうちのいずれかとの間、又は図11に示すように、両方の間に配置され得る。「物品の外側から見たとき」とは、物品20を外側から考慮するとき、つまり典型的には、図8に示すようにバックシートの外部表面を見るとき、湿り度インジケータ100が、チャネル形成エリア26の平面内、又は更にコア28内に直接配置されてもよいが、湿り度インジケータが、チャネル形成エリア26の間に配置されているように見えることを意味する。物品が尿で十分に充填されたとき、チャネル26’は、典型的には、物品の外側から可視的であるため、図9に示すように、湿り度インジケータは、典型的には、物品の外側から見たときに、充填された物品中のチャネル26’の間に配置されているようにも見える。用語「ように見える」は、本明細書において広義に解釈されるべきであり、いくつかの実施形態では、湿り度インジケータは、出現信号又は消失信号を含み得る、又はそれからなり得、それにより、湿り度インジケータは、下で更に例示されるように、湿潤状態又は乾燥状態でのみ観察者に可視的である。
【0061】
湿り度インジケータ100は、2つのチャネル形成エリア26a、26bの間に配置され得る。チャネル形成エリア26a、26bが長手方向軸80に対して対称である場合、図8に例解されるように、物品の長手方向軸80の中央、又は少なくともその近くに湿り度インジケータ100を有することは有利であり得る。図3及び9に例解されるように、物品が湿潤したとき、チャネル26’aと26’bとの間の膨張吸収性材料60は、次に物品の外側に向かって突き出し、チャネルの近くにあるか、又はチャネルと接触している物品の領域よりもより容易に可視的であり得る。
【0062】
一方で、湿り度インジケータはまた、図10に例解されるように、物品の側縁部13、14のうちのいずれかと、チャネル形成エリア26a、bのうちのいずれかとの間に配置されてもよい。故に物品の外側から見たときに、第1の湿り度インジケータ100aは、物品の第1の側方側13と、第1のチャネル形成エリア26との間に配置されてもよく、及び/又は第2の湿り度インジケータ100bは、第2の側方側14と、第2のチャネル形成エリア26bとの間に配置され得る。発明者らは、場合によって、物品が液体で比較的高度に充填されるとき、チャネル間の中央エリアが、各チャネルと、物品の対応する側縁部との間に含まれる吸収性材料によって内向きに押され得ることを見出した。この場合、側縁部と、最も近いチャネル形成エリアとの間に湿り度インジケータ100a、100b、例えば、図10に示すように、各側縁部と各最も近いチャネルとの間に湿り度インジケータを有することは有益であり得る。図11に例示的に示されるように、これらの側部湿り度インジケータ100a、100bを、チャネル形成エリア26a、26bの間に配置された第3の中央湿り度インジケータ100と組み合わせることも可能である。
【0063】
湿り度インジケータの考えられる配置について考察したが、考えられる湿り度インジケータの実施例が下に提供される。本発明の湿り度インジケータは、当該技術分野において既知の任意の湿り度表示システムに従い得る。湿り度インジケータが、出現信号、消失信号、又は色変化信号、及び当然のことながらそれらの組み合わせを提供することができることが知られている。出現信号は、典型的には、可視的でないか、又はより一般的には、乾燥物品において認識可能であり、物品が湿潤しているときに可視的となるか、又は他の方法で認識可能となる。出現信号は、例えば、透明であるか、又はバックシート材料の色に一致する色を有する、典型的には、白色の乾燥状態の組成物によって提供され得、尿と接触したときに異なる色に変化する。他の出現湿り度インジケータは、吸収性アセンブリの完全レベルを示す身体的感覚を提供することができる要素であってもよい。そのような要素の実施例は、国際公開第2008132630号に開示されており、温度変化要素(冷却又は加熱要素)、圧力誘導要素、又は泡生成要素を含む。
【0064】
本発明の湿り度インジケータは、物品が湿潤しているときに、消失信号を提供することもできる。消失信号は、乾燥時の第1の色が、バックシートの全体的な色、又はバックシートに印刷されたいずれのグラフィックにも一致する第2の色に変化する組成物によって提供されてもよく、それにより、第2の色は、物品上の第1の色よりも認識されないようになる。そのような消失信号は、例えば、尿中に溶解する染料を含む組成物によって提供されてもよく、故に物品が湿潤すると退色する。
【0065】
湿り度インジケータは、有利に色変化信号を提供することができ、これらは、典型的には、乾燥時に第1の色、及び湿潤時に第1の色とは異なる第2の色を有する組成物によって得ることができ、両方の色が、物品の乾燥状態及び湿潤状態を考慮する外部観察者によって認識可能である。湿り度インジケータは、とりわけ、好適なpHインジケータ又は尿と接触したときに色を変化させる別の化学物質を含む、色変化組成物であり得る。そのような組成物は、例えば、国際公開第03/070138A2号、同第2010/120705号(Klofta)、又は米国公開第2012/165771号(Ruman)に開示されている。以前に引用された文書は、そのような好適なpHインジケータのいくつかの実施例を付与し、例えば、ブロモクレゾールグリーン、ブロモクレゾールパープル、ブロモフェノールブルー、m−クレゾールパープル、クレゾールレッド、クロロフェノールレッド、ブロモチモールブルー、ブロモピロガロールレッド、ブロモキシレノールブルー、アクリジン、又はアクリジンオレンジ、チモールフタレイン、チモールブルー、キシレノールブルー、ブロモクロロフェノールブルー、及びインディゴカルミンを含む。例えば、ブロモクレゾールグリーンは、酸安定剤を有する組成物に適用され得、それにより、pHインジケータは、乾燥物品上で黄色を出現し、尿と接触したときに緑青の色合いに変わり、典型的な尿のpHは、約pH 7である。
【0066】
より一般的には、本発明の湿り度インジケータ組成物は、国際公開第2010/120705号(Klofta)に開示される通りであり得、着色剤、マトリックス、及び安定剤を含む。着色剤は初期の色状態を有し、この状態は、湿り度インジケータ組成物の第1の状態に関連付けられる。この第1の色状態の実施例は、例えば、赤色、青色、緑色、インディゴ、バイオレット、黄色、橙色、紫色などのヒトの目にとって可視的である色、例えば、電磁スペクトルの紫外線(若しくはUV)、又は赤外線(若しくはIR)部分において可視的な色などのヒトの目にとって可視的ではない色などを含むが、これらに限定されない。第1の色状態は、不可視的、白色、黒色、半透明、又は不透明であってよい。着色剤(複数可)は最終の色状態も有し、この状態は、湿り度インジケータ組成物の第2の状態に関連付けられる。この第2の色状態の実施例は、例えば、赤色、青色、緑色、インディゴ、バイオレット、黄色、橙色、紫色などのヒトの目にとって可視的な色、例えば、電磁スペクトルのUV又はIR部分において可視的な色などのヒトの目にとって可視的ではない色などを含むが、これらに限定されない。第2の色状態は、不可視的、白色、黒色、半透明、不透明であってよく、又は第1の色状態と比較した場合、強度又は視覚弁別性における変化を有する。着色剤の初期の色状態は、何らかの形態で最終の色状態とは異なる。例えば、初期の色状態は、黄色などの第1の色であり得るが、第2の色状態は、青色などの異なる色であり得るか、又は初期の色状態は、青色などの第1の色であり得るが、第2の色状態は、透明、例えば、ヒトの目にとって可視的ではない、かつ電磁スペクトルのUV部分においてのみ可視的な色であり得る。本発明の任意選択の実施形態では、湿り度インジケータ組成物は、2つ以上の着色剤を含み得る。着色剤は、液体の存在を示すのに有効であり、組成物の約0.001重量%〜約5重量%、約0.005重量%〜約2重量%、及び約0.01重量%〜約1重量%、及び更に0.01重量%〜0.5重量%などの濃度で組成物中に用いられてよい。
【0067】
本発明の組成物は、液体との接触の前、間、及び後に着色剤を適所に保持するように作用するマトリックスを含み得る。本発明のマトリックスは、着色剤の浸出に対して高い耐性を有し得、高湿度環境における早過ぎる活性に対して耐性を有し得る。尿、経血、血液などの液体に接触すると、マトリックスは、十分な量の液体を着色剤と接触させ、外見に変化をもたらす。マトリックスは同時に、着色剤がその初期の色状態又は最終の色状態のいずれかにおいて、マトリックスから使い捨て吸収性物品の吸収性コアなどの周囲の環境への浸出を防止する。湿り度インジケータ組成物が基材に取り付けられている場合、マトリックス、結果として組成物は、完全に基材に保持され続けるために、湿潤状態及び乾燥状態での十分な粘着力、接着力、及び/又は可撓性を有する必要がある。換言すれば、組成物は、組成物の部分が残りの組成物及び/又は基材から欠け落ちる、又は剥げ落ちるなど、組成物の部分が分離するのを防止するために、十分な可撓性、粘着力、及び接着力を保持する。したがって、マトリックスは、着色剤の浸出を予防し、防止するのに役立つだけではなく、湿潤状態及び乾燥状態の両方において湿り度インジケータ組成物の構造的一体性を維持するのにも役立つ。そのようなマトリックスは、国際公開第2010/120705号で詳細に開示されるように、第1及び第2の結合剤を含むことができ、組成物の約5重量%〜約95重量%、約10重量%〜約80重量%、及び約25重量%〜約75重量%などの着色剤の固定化及び安定化に有効な濃度で、湿り度インジケータ組成物中に用いられてよい。
【0068】
第1の結合剤は、着色剤がその初期の色状態のときに、着色剤を固定化する任意の材料であってよい。本発明の湿り度インジケータ組成物の第1の結合剤としての使用に好適であり得る様々な材料が存在する。第1の結合剤として選択される材料は、第1の色状態のときに着色剤を固定化する任意の材料である。本発明の一実施形態では、考えられる第1の結合剤には、ロジン、ロジンエステル、重合ロジン、ペンタエリスリトールロジンエステル、スチレン化テルペン、ポリテルペン樹脂、テルペンフェノール、及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。第1の結合剤は、組成物の約4重量%〜約90重量%、約10重量%〜約75重量%、及び約20重量%〜約65重量%などの、第1の状態にある着色剤の固定化及び安定化に有効な濃度で組成物中に用いられてよい。
【0069】
第2の結合剤は、着色剤が最終の色状態のときに、着色剤を固定化する任意の材料であってよい。本発明の湿り度インジケータ組成物の第2の結合剤としての使用に好適であり得る様々な材料が存在する。第2の結合剤は、米国特許第6,904,865号(Klofta)に開示されている第2の結合剤から選択されてもよいが、これらに限定されない。第2の結合剤は、第四級アンモニウム塩化合物、カチオン性粘土、ポリアクリル酸ポリマー、有機酸、及びこれらの組み合わせからなる群から選択され得る。好適な第四級アンモニウム化合物の例としては、ジメチル(2−エチルヘキシル水素化タローアルキル)アンモニウムメチルサルフェート、ココアルキルメチル[エトキシル化(15)]アンモニウムクロリド、ドデシルトリメチルアンモニウムクロリド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムメチルサルフェート、オクタデシルトリメチルアンモニウムクロリド、ジココアルキルジメチルアンモニウムクロリド(dicocoalkyldimethly ammonium chloride)、ジ(水素化タローアルキル)ジメチルアンモニウムクロリド、及びジステアリルジメチルアンモニウムクロリドが挙げられるが、これらに限定されない。第四級化合物又は1つ又は2つ以上のカチオン性基を有する任意の第2の結合剤に関連付けられる対アニオンは、特に塩化物に限定されるわけではないことに留意するべきである。他のアニオンも用いることができ、非限定例としては硫酸メチル及び亜硝酸が挙げられる。同様に、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、亜鉛、プロトン、アンモニウム、置換アンモニウムなどであるが、これらに限定されない、任意の好適な対カチオンが、1つ又は2つ以上のアニオン性基を有する第2の結合剤に関連付けられてよい。
【0070】
本発明の湿り度インジケータ組成物は、例えば、国際公開第2010/120705号に詳述される、安定剤を更に含み得る。着色剤がpHインジケータであるとき、及び吸収性物品が高温多湿の状況下で保管されることがあるとき、安定剤を含むことが望ましくあり得る。湿り度インジケータ組成物中に安定剤を含むことは、湿り度インジケータ組成物中の着色剤の色の変化を時期尚早に活性化させてしまう可能性がある材料及び/又は化学物質が存在する新しいおむつの設計にとっても特に重要である。安定剤は、酸性又は塩基性安定剤であり得る。理論によって制限されることを望むものではないが、安定剤を含むことは、システムが高湿度及び/又はおむつの特定の構成要素に曝露された場合でも、着色剤の周囲を酸性安定剤で低pH環境などの安定したpHに維持することにより、湿度環境及び/又はおむつの特定の構成要素への曝露を原因とする予定よりも早期の変化に対して着色剤を安定化させるのに重要な役割を果たすと考えられる。このように安定したpH環境を維持することにより、特に着色剤がpHインジケータであるとき、着色剤がその初期の乾燥状態の色に保持される。安定剤は、存在する場合には、典型的には、組成物の約0.001重量%〜約30重量%、約0.1重量%〜約15重量%、及び約1重量%〜約10重量%の、着色剤を安定化するのに有効な濃度で組成物中に用いられる。
【0071】
色変化組成物は、例えば、米国公開第2011274834号(Brown)に開示されている、スロットコーティングプロセス又は印刷接着コーティングによる、物品の基材構成要素上の組成物の容易な塗布を可能にする更にホットメルト接着剤であり得る。ホットメルト接着剤組成物は、典型的には、60℃を超える温度で流体になり得、それが冷却するにつれて、それが塗布された基材に接触するときに固化する。ホットメルト接着剤は、凝集強度を提供するために1つ又は2つ以上のポリマー(例えば、エチレン−プロピレンコポリマー、ポリエーテルアミド、ポリエーテルエステル、及びそれらの組み合わせなどの脂肪族ポリオレフィン;エチレン酢酸ビニルコポリマー;スチレン−ブタジエン、又はスチレン−イソプレンブロックコポリマーなど)、接着強度を提供するために樹脂若しくは類似材料(増粘剤と呼ばれることがある)(例えば、石油蒸留物から蒸留された炭化水素;ロジン及び/又はロジンエステル;例えば、木材若しくは柑橘類などに由来するテルペン)、並びに粘度を改質するために任意選択のろう、可塑剤、若しくは他の材料(例えば、鉱物油、ポリブテン、パラフィン油、エステル油など)、及び/又は抗酸化剤若しくは他の安定剤を含むが、これらに限定されない他の添加剤を含み得る。マトリックスは、第1及び第2の結合剤を含んでもよい。マトリックスは、液体との接触前、接触中、接触後に着色剤を定位置に保持するように機能する。
【0072】
より一般的に、本発明のホットメルト湿り度インジケータ(HMWI)は、pH感受性着色剤(pHインジケータ)、非水溶性成分(樹脂/増粘剤)、湿潤剤(ポリマー、界面活性剤)、安定剤(酸)、レオロジー改質剤、及び抗酸化剤を、例えば次の重量パーセントの範囲で含み得る。
【0073】
【表1】
【0074】
湿り度インジケータ組成物は、吸収性物品の作製中に、従来の技術、例えば、印刷、噴霧、又はコーティングを使用して吸収性物品の任意の層に塗布され得る。層は、有利にバックシートの内側表面又はコアラップの底側の外部表面であり得る。これは、湿り度インジケータが、物品の外側から透明性によってバックシートを通して可視的であるようにする一方で、湿り度インジケータ組成物を物品内に保持する。とりわけ、湿り度インジケータは、特に組成物がホットメルトとして塗布され得る場合、スロットコーティングプロセスによってそのような不織布又はフィルム上に容易に塗布され得る。スロットコーティングプロセスは、典型的には、物品の長手方向に平行である変換ラインの機械方向に延在する十分に定義されたスロット又は一連のスロットを適用することを可能にする。湿り度インジケータ組成物のそのようなスロット100は、例えば、図1に示される。
【0075】
湿り度インジケータは、チャネル形成エリア26に対して長手方向により小さい、より長い、又は等しいサイズであり得る。典型的には、物品中の流体の量又は再分割のより良好な表示を介護者に付与するように、比較的長い、例えば、少なくとも10cm長の湿り度インジケータを有することが有利であり得る。
【0076】
補助糊剤(複数可)71、72
本発明の吸収性コアは、コアラップの上側16及び/又は底側16’の内側表面上に存在する補助糊剤71、72を更に含み得る。補助糊剤は、コアラップ内でSAPを固定化するのを助け、コアラップの一体性を保証し、及び/又はコアラップの底側を、吸収性材料を実質的に含まないエリア26を通してコアラップの上側に付着させるコアラップ結合27を形成し得る。
【0077】
補助糊剤71、72は、コアラップの上側(第1の不織布16)及び/又は底側(第2の不織布16’)の内側表面に塗布され得る。補助糊剤は、当該技術分野で使用される任意の従来の糊剤、特にホットメルト糊剤であり得る。典型的なホットメルト糊剤は、SIS(スチレン−イソプレン−ブロックコポリマー)、SBS(スチレン−ブタジエン−ブロックコポリマー)、又はmPO(メタロシン(metalocin)ポリオレフィン)などの接着性ポリマーに基づき得る。糊剤はまた、水素添加炭化水素樹脂などの粘着付与剤、並びに油及び抗酸化剤を含んでもよい。水素添加炭化水素樹脂は、後に選択的に水素添加して、低色度、高安定性、及び広い相溶性を有する多種多様な材料をもたらす芳香族/脂肪族混合樹脂から作製される。市販の接着剤の例は、HL1358LO及びNW1286(共にHB Fuller製)、並びにDM 526(Henkel製)として利用可能である。
【0078】
補助糊剤は、2gsm〜20gsm、より具体的には4gsm〜10gsmの範囲の平均坪量で、コアラップの上側及び/又は底側に適用され得る。補助糊剤は、均一に適用され得るか、又は不連続に、具体的には、一定間隔をあけてかつ長手方向に配向された一連のストライプ、例えば、1mm〜3mmの範囲の距離で相互に離間配置された一連の約1mm幅の補助糊剤のストライプとして、適用されてもよい。補助糊剤は、十分な圧力及び補助糊剤が、材料を含まないエリア26内に適用されて、コアラップの両面を付着させる場合に、コアラップ結合27の形成に役立ち得る。補助糊剤層は、底側の内側表面、上側の内側表面、又はコアラップの両方の内側表面に適用され得る。
【0079】
マイクロファイバー糊剤51
吸収性コアはまた、繊維状の熱可塑性接着材料51、特にマイクロファイバー糊剤を含んで、吸収性材料をコア内に更に固定化してもよい。繊維状の熱可塑性接着材料51は、上に示すように、とりわけ吸収性層(複数可)が接合エリアによって分離されるランドエリアを備える場合に、吸収性材料61、62を、それらの対応する基材に固定化するのに有用であり得る。繊維状の熱可塑性接着材料51は、その後、ランドエリアにおいて少なくとも部分的に吸収性材料61、62に接触してもよく、また接合エリアにおいて基材層16、16’に少なくとも部分的に接触してもよい。これによって、それ自体は本質的に、長さ方向及び幅方向の寸法に比べて比較的薄い2次元構造である、熱可塑性接着材料51の繊維層に、本質的に3次元の網様構造が付与される。それにより、繊維状の熱可塑性接着剤材料は、ランドエリアにおいて吸収性材料を被覆するようにキャビティを提供することができ、それによりこの吸収性材料を固定化する。マイクロファイバー糊剤51は、例えば、各吸収性層に噴霧することによって塗布してもよい。
【0080】
熱可塑性ポリマーは、典型的には、10,000より大きい分子量(Mw)、及び、通常、室温未満又は−6℃<Tg<16℃のガラス転移温度(Tg)を有し得る。ホットメルト中のポリマーの典型的な濃度は、約20〜約40重量%の範囲内である。熱可塑性ポリマーは、水に非感受性であってもよい。例示的なポリマーは、A−B−A三元ブロック構造、A−B二元ブロック構造、及び(A−B)n放射状ブロックコポリマー構造を含む(スチレン)ブロックコポリマーであり、Aブロックは、典型的にはポリスチレンを含む非エラストマーポリマーブロックであり、Bブロックは、不飽和共役ジエン又はその(部分的に)水素添加物である。Bブロックは一般的に、イソプレン、ブタジエン、エチレン/ブチレン(水素添加ブタジエン)、エチレン/プロピレン(水素添加イソプレン)、及びこれらの混合物である。用いることができる他の好適な熱可塑性ポリマーとして、シングルサイト触媒又はメタロセン触媒を使用して調製されるエチレンポリマーであるメタロセンポリオレフィンがある。その場合、少なくとも1つのコモノマーをエチレンと重合して、コポリマー、ターポリマー、又はより高次のポリマーを作製することができる。非晶質ポリオレフィン、又はC2〜C8のアルファオレフィンのホモポリマー、コポリマー又はターポリマーである非晶質ポリアルファオレフィン(APAO)もまた、適用可能である。
【0081】
粘着付与樹脂は、例示的に5,000未満の分子量(Mw)、及び通常、室温よりも高いTgを有し、ホットメルト中の樹脂の一般的な濃度は、約30〜約60%の範囲であり、可塑剤は、一般的には1,000未満の低い分子量(Mw)及び室温よりも低いTgを有し、一般的な濃度は約0〜約15%である。
【0082】
繊維層に使用される熱可塑性接着剤は、好ましくはエラストマー特性を有することで、SAPが膨潤するにつれてSAP層上に繊維により形成されたウェブが伸縮することができるようにする。例示的なエラストマーホットメルト接着剤としては、熱可塑性エラストマー、例えば、エチレン酢酸ビニル、ポリウレタン、硬成分(一般に、ポリプロピレン又はポリエチレンなどの結晶性ポリオレフィン)及び軟成分(例えば、エチレン−プロピレンゴム)のポリオレフィン、ポリ(エチレンテレフタレート−コ−アゼライン酸エチレン)などのコポリエステル、及び熱可塑性末端ブロック及びA−B−Aブロックコポリマーと指定される弾性中間ブロックを有する熱可塑性エラストマーブロックコポリマー:構造的に異なるホモポリマー若しくはコポリマーの混合物、例えば、ポリエチレン若しくはポリスチレンのA−B−Aブロックコポリマーとの混合物;熱可塑性エラストマー及び低分子量樹脂改質剤の混合物、例えば、スチレン−イソプレンスチレンブロックコポリマーのポリスチレンとの混合物;並びに本明細書に記載の熱可塑性ホットメルト感圧性接着剤が挙げられる。これらの型のエラストマーホットメルト接着剤は、米国特許第4,731,066号(Korpman)に、より詳細に記載される。
【0083】
熱可塑性接着材料51は、例示的に、約1〜約50マイクロメートル又は約1〜約35マイクロメートルの平均厚さ、及び約5mm〜約50mm又は約5mm〜約30mmの平均長さを有し得る。基材又は任意の他の層、とりわけ任意の他の不織布層への熱可塑性接着材料の接着を改善させるために、かかる層は、補助接着剤で事前処理されてもよい。繊維は相互に接着されて、メッシュとしても説明され得る繊維層を形成する。
【0084】
吸収性コアは有利に、米国特許公開第2010/0051166A1号に記載の湿潤固定化試験(Wet Immobilization Test)に従って、約70%、60%、50%、40%、30%、20%、10%以下のSAP損失を達成する。
【0085】
トップシート24
トップシート24は、着用者の肌に接触することになる吸収性物品の層である。トップシート24は、当該技術分野で既知のように、バックシート25、コア28、及び/又はいずれかの他の層に接合させることができる。通常、トップシート24及びバックシート25は、物品の周辺部又はその近くで相互に直接接合され得、他の位置では、物品20の1つ又は2つ以上の他の要素へこれらを直接接合することにより、間接的に接合されている。トップシートは、任意の従来手段、特に、糊付け、機械的結合又は熱結合、及びこれらの組み合わせによって、捕捉層及び/又は分配層であってもよい下層54に付着され得る。トップシートは、特に、図7に例示的に示すように、繊維層の水路が形成されるエリアにおいて繊維層54に直接的又は間接的に付着されてもよい。これは、物品の表面にて第2の水路29の形成をもたらし得るか、又は形成に役立ち得る。
【0086】
トップシート24は、着用者の皮膚にとってしなやかで、柔らかい感触で、かつ非刺激性であることが好ましい。更に、トップシート24の少なくとも一部分は、液体透過性であり、液体がその厚さを通して容易に浸透することを可能にする。好適なトップシートは、例えば、多孔質発泡体、網目状発泡体、有孔プラスチックフィルム、あるいは天然繊維(例えば、木材繊維又は綿繊維)、合成繊維又はフィラメント(例えば、ポリエステル繊維、若しくはポリプロピレン繊維、若しくは二成分PE/PP繊維、又はそれらを混ぜたもの)、あるいは天然繊維と合成繊維との組み合わせの織布又は不織布材料などの幅広い範囲の材料から製造されてもよい。トップシートが繊維を含む場合、繊維は、スパンボンド繊維、カーディングした繊維、ウエットレイド繊維、メルトブローン繊維、水流交絡繊維、又は具体的に、スパンボンドPP不織布のように当該技術分野で既知の方法で処理されたものであってもよい。ステープル長のポリプロピレン繊維のウェブを含む好適なトップシートとしては、Walpole,MA所在のInternational Paper Companyの一部門であるVeratec,Inc.によってP−8の製品名にて製造されるものがある。
【0087】
好適な成形フィルムのトップシートもまた、米国特許第3,929,135号、同第4,324,246号、同第4,342,314号、同第4,463,045号、及び同第5,006,394号に記載されている。他の好適なトップシートは、Curroらに発行された米国特許第4,609,518号及び同第4,629,643号に従って製造されてもよい。そのように形成されたフィルムは、Cincinnati,OhioのThe Procter & Gamble Companyの「DRI−WEAVE」、及びTredegar Corporation(Richmond,VAに拠点)の「CLIFF−T」として入手可能である。
【0088】
トップシート24の任意の部分が、当該技術分野で既知のローションでコーティングされてもよい。好適なローションの例としては、米国特許第5,607,760号、同第5,609,587号、同第5,635号、同第5,643,588号、同第5,968,025号、及び同第6,716,441号に記載されるものが挙げられる。トップシート24はまた、抗菌剤を含むか、あるいは抗菌剤にて処理されてもよく、その一部の例は国際公開第95/24173号に開示されている。更に、トップシート24、バックシート25、又はトップシート若しくはバックシートのいずれかの部分には、より布に近い外観を持たせるためにエンボス加工及び/又はつや消し仕上げを施してもよい。
【0089】
トップシート24は、尿及び/又は糞便(固体、半固体、若しくは液体)など、それを通る排出物の浸透を容易にするための1つ又は2つ以上の開口を備えていてもよい。少なくとも一次開口部のサイズは、所望の排泄物封入性能を達成するために重要である。一次開口部が小さ過ぎると、排泄物は、排泄物源と開口位置の位置合わせがよくないことが原因で、又は開口より大きい直径を有する糞便の塊が原因で、開口部を通過しない場合がある。開口部が大き過ぎると、物品からの「再湿潤」により汚染される可能性のある皮膚面積が増加する。典型的には、おむつの表面の開口部の総面積は、約10cm〜約50cm、とりわけ、約15cm〜35cmの面積を有してもよい。開口部付きのトップシートの例が、BBA NONWOVENS SIMPSONVILLEに譲渡された米国特許第6632504号に開示されている。国際公開第2011/163582号にも、12〜18gsmの坪量を有し、かつ複数の結合点を含む、好適な着色トップシートが開示されている。各結合点は、2mm〜5mmの表面積を有し、複数の接合点の累積表面積は、トップシートの合計表面積の10〜25%である。
【0090】
典型的なおむつのトップシートの坪量は、約10〜約28gsmであり、とりわけ、約12〜約18gsmであるが、他の坪量も可能である。
【0091】
バックシート25
バックシート25は、概して、使用者が着用したときに物品の外部表面の大半を形成する吸収性物品20のその部分である。バックシートは、吸収性コアの底側に向けて位置付けられ、その中に吸収及び収容された排泄物がベッドシーツ及び下着などの物品を汚すのを防止する。バックシート25は、典型的には、液体(例えば、尿)に対して不透過性である。バックシートは、例えば、約0.012mm〜約0.051mmの厚さを有する熱可塑性フィルムなどの薄いプラスチックフィルムであるか、又はそれを含んでもよい。例示的なバックシートフィルムとしては、Richmond,VAを拠点とするTredegar Corporationによって製造され、CPC2フィルムの商標で販売されるものが挙げられる。他の好適なバックシート材としては、おむつ20から蒸気を逃す一方で、依然として排泄物がバックシート25を通過することを防止する通気性材料が挙げられる。例示的な通気性材料としては、織布ウェブ、不織布ウェブ、フィルムコーティングされた不織布ウェブなど複合材料、日本のMitsui Toatsu Co.により、名称ESPOIR NOで製造され、かつTredegar Corporation(Richmond,VA)によって、名称EXAIREで販売されているような微孔性フィルム、及びHYTREL blend P18−3097の商品名にて、Clopay Corporation(Cincinnati,OH)により製造されているようなモノリシックフィルムを挙げることができる。いくつかの通気性複合材料については、E.I.DuPontの名義で1995年6月22日に公開された国際特許出願公開第WO95/16746号、米国特許第5,938,648号(LaVonら)、米国特許第4,681,793号(Linmanら)、米国特許第5,865,823号(Curro)、及び米国特許第5,571,096号(Dobrinら)、米国特許第6,946,585B2号(London Brown)により詳細に述べられている。
【0092】
バックシート25は、当該技術分野において既知のいずれかの付着手段によって、トップシート24、吸収性コア28、又はおむつ20の他のいずれかの要素に接合されてもよい。好適な付着手段は、トップシート24を物品20の他の要素に接合するための手段に関して上で説明される。例えば、付着手段としては、接着剤の均一な連続層、接着剤のパターンが施された層、又は接着剤の分離した線、螺旋、若しくは点の配列を挙げることができる。好適な付着手段として、米国特許第4,573,986号に開示されるように、接着剤のフィラメントの開放パターン網目構造(open pattern network)が挙げられる。他の好適な付着手段としては、米国特許第3,911,173号、同第4,785,996号、及び同第4,842,666号に示される装置及び方法により例解されるような、螺旋パターンに渦を巻く接着剤フィラメントのいくつかの線が挙げられる。満足のいくものであることが判明した接着剤は、H.B.Fuller社(ミネソタ州St.Paul)が製造し、HL−1620及びHL1358−XZPの名称で市販されている。代替的に、付着手段は、熱接着、圧力接着、超音波接着、動的機械的接着、又は当該技術分野で既知の他の任意の好適な付着手段、若しくはこれら付着手段の組み合わせを含んでもよい。
【0093】
追加の層54
吸収性物品は、図中で層54によって例解するように、流体を捕捉及び分配する働きをし得る1つ又は2つ以上の追加の層54を更に備えてもよい。追加の層(複数可)は、図中に表すように、トップシート24と吸収性コア28との間に存在してもよいが、それはバックシート25と吸収性コア28との間、又はその両方にあってもよい。追加の層54は、吸収性材料を実質的に含まないエリア(複数可)においてコアラップの上側又は底側に少なくとも部分的に結合され得る。故に、吸収性材料の膨潤時の吸収性コアにおけるチャネル26’の形成は、追加の層54における1つ又は2つ以上の対応する水路27をもたらす。
【0094】
追加の層(複数可)は、不織布、織布材料、又は更には遊離繊維などのいかなる種類のものであってもよい。追加の層は、特に、捕捉層及び/又は分配層のための当該技術分野で既知である型のものであってもよい。SAPは流体の捕捉及び分配を遅延させるため、典型的な捕捉層及び/又は分配層はSAPを含まないが、追加の層はまた、ある程度の流体保持特性が所望される場合にはSAPを含んでもよい。先行技術により、使用し得る多数の型の捕捉・分配システムが開示されており、例えば、国際公開第2000/59430号(Daley)、同第95/10996号(Richards)、米国特許第5,700,254号(McDowall)、国際公開第02/067809号(Graef)を参照されたい。
【0095】
分配層は、コアの吸収性能をより効率的に使用することができるように、排泄された流動液を物品内のより大きい表面にわたって広げることができる。典型的には、分配層は、合成繊維又はセルロース繊維系の比較的密度の低い不織布材料によって作製される。分配層の密度は、物品の圧縮度に応じて異なってもよいが、典型的には、0.30psi(2.07kPa)で測定して、0.03〜0.25g/cm、とりわけ、0.05〜0.15g/cmの範囲であってもよい。分配層はまた、米国特許第5,137,537号に開示されている手順に示されているとおりに測定して、25〜60、好ましくは30〜45の保水値を有する材料であってもよい。分配層は通常、30〜400g/m、とりわけ100〜300g/mの平均坪量を有し得る。
【0096】
分配層は例えば、少なくとも50重量%の架橋セルロース繊維を含み得る。架橋セルロース繊維は、捲縮されるか、撚り合わされるか、若しくはカールされてもよく、又は、捲縮、撚り合わせ、及びカールを含むそれらの組み合わせであってもよい。この種類の材料は、捕捉システムの一部として使い捨ておむつ、例えば、米国特許公開第2008/0312622A1号(Hundorf)において過去に使用されている。架橋セルロース繊維は、製品のパッケージ内の圧縮に対して、又は使用条件、例えば、赤ちゃんの重量下において、第1の吸収性層に、高い復元力、及びそれ故の高い耐性をもたらす。これにより、コアに、高い空隙容積、透過性、及び液体吸収作用が付与されるので、漏出が低減され、乾燥状態が改善される。
【0097】
例示的な化学架橋セルロース繊維は分配層に好適であり、米国特許第5,549,791号、同第5,137,537号、国際公開第9534329号、又は米国特許公開第2007/118087号に開示されている。例示的な架橋剤は、クエン酸などのポリカルボン酸並びに/又はアクリル酸及びマレイン酸共重合体などのポリアクリル酸を含む。
【0098】
吸収性物品は追加の層として捕捉層を備えてもよく、その機能は、流体をトップシートから離して素早く捕捉し、着用者に優れた乾燥性を提供することであり得る。このような捕捉層は、典型的には、トップシートの直下に配置される。吸収性物品はまた、次に、典型的には捕捉層と吸収性コアとの間に配置される分配層を備えてもよい。
【0099】
捕捉層は、典型的には、スパンボンド、メルトブローン、及び更にスパンボンドされた層、又は、代替的に、カーディングを施された化学結合された不織布を含む、例えば、SMS又はSMMS材料など、不織布材料であってもよく、又はそれを含んでもよい。不織布材料は、具体的に、ラテックス結合されていてもよい。例示的な上部捕捉層52は、米国特許第7,786,341号で開示される。使用される繊維が、中実で円形又は丸形で中空のPETステープル繊維(6デニール繊維と9デニール繊維との50/50又は40/60の混合)である場合は特に、カーディングされた樹脂結合不織布が使用されてもよい。例示的な結合剤は、ブタジエン/スチレンラテックスである。不織布は、加工ラインの外側で製造され、ロール材料として保管及び使用され得るという利点を有している。更に有用な不織布は、米国特許第6,645,569号、同第6,863,933号(共にCramerに付与)、同第7,112,621号(Rohrbaugh)、並びにCramerらに付与された共同特許出願の米国特許公開第2003/148684号及び米国特許公開第2005/008839号(共にCramerに付与)に記載されている。
【0100】
このような捕捉層52は、ラテックス結合剤、例えば、スチレン−ブタジエンラテックス結合剤(SBラテックス)により安定化されてもよい。かかる格子状構造を得るための方法は、例えば、欧州特許第149880号(Kwok)及び米国特許公開第2003/0105190号(Diehlら)で既知である。特定の実施形態では、結合剤は、約12重量%、約14重量%、又は約16重量%を超えて捕捉層52に存在してもよい。SBラテックスは、商品名GENFLO(商標)3160(OMNOVA Solutions Inc.(Akron,Ohio))で入手可能である。
【0101】
上述した第1の捕捉層に加えて、更なる捕捉層が使用されてもよい。例えば、組織層が、第1の捕捉層と分配層との間に配置されてもよい。組織は、上述した捕捉層と比較して、増強された毛管現象による分配特性を有し得る。組織及び第1の捕捉層は同じサイズのものであってもよく、又は、異なるサイズのものであってもよく、例えば、組織層は、第1の捕捉層よりも、吸収性物品の後へと更に延在していてもよい。親水性組織の例は、供給業者Havixによるセルロース繊維から作製された、0.13〜0.221Pa(13〜22.5gsm)の高湿潤強度である。
【0102】
捕捉層が存在する場合、この捕捉層が、長手方向及び/又は横方向寸法で下層の分配層より大きいか、又は少なくとも同じ大きさであることが有利であり得る。このように、分配層は、捕捉層の上に配設され得る。これは、特に捕捉層がストック材料のロールから広げられ得る不織布である場合に、取り扱いを簡略化する。分配層はまた、コアラップの吸収性コアの上側又は物品の別の層に直接配設されてもよい。また、分配層よりも大きい捕捉層は、捕捉層を貯蔵コアに直接糊付けすることを可能にする(より大きい面積で)。このことは、増大したパッチ一体性及びより良好な液体連通を付与することができる。
【0103】
締着システム42、44
吸収性物品は、例えば、テープ付きおむつにおいて既知である、締着システムを含んでもよい。この締着システムは、テープ付きおむつでは一般的であるように、吸収性物品の周囲に側方張力を与えて、吸収性物品を着用者に対して保持するために使用され得る。トレーニングパンツ物品のウエスト領域は既に結合されているので、この締着システムは、トレーニングパンツ物品には必須ではない。締着システムは通常、例えば、テープタブ、フックとループの締着要素、タブ及びスロットのような連結締着具、バックル、ボタン、スナップ、並びに/又は雌雄同体締着要素等の締着具を備えてもよいが、いずれの他の既知の締着手段も概ね許容可能である。締着具が着脱可能に付着されるように、ランディングゾーンは通常、前ウエスト領域に設けられる。いくつかの例示的な表面締着システムは、Buellに発行された米国特許第3,848,594号、同第4,662,875号、同第4,846,815号、同第4,894,060号、同第4,946,527号、同第5,151,092号、及び同第5,221,274号に開示されている。例示的な連結締着システムは、米国特許第6,432,098号に開示されている。締着システムはまた、Robertsonらに発行された米国特許第4,963,140号に開示されているように、使い捨て式の構成で物品を保持するための手段を提供してもよい。
【0104】
締着システムはまた、重なり部分のずれを減らすために米国特許第4,699,622号に開示されるように、又はフィット感を改善するために米国特許第5,242,436号、同第5,499,978号、同第5,507,736号、同第5,591,152号に開示されるように、第1及び第2の締着システムを含んでもよい。
【0105】
バリアレッグカフ34
吸収性物品は、一対のバリアレッグカフ34及び/又はガスケットカフ32を備えてもよい。米国特許第3,860,003号は、弾性レッグカフ(ガスケットカフ)を提供するために1つのサイドフラップと1つ又は2つ以上の弾性部材とを有する収縮性脚部開口部を提供する、使い捨ておむつを記載している。Azizらに発行された米国特許第4,808,178号及び同第4,909,803号は、脚部領域の収容を改善させる「直立型」の弾性フラップ(バリアレッグカフ)を有する使い捨ておむつを記載している。Lawson及びDragooそれぞれに発行された米国特許第4,695,278号及び同第4,795,454号は、ガスケットカフ及びバリアレッグカフを含む二重カフを有する使い捨ておむつを記載している。バリアレッグ及び/又はガスケットカフの全て又は一部分は、ローションで処理されてもよい。
【0106】
バリアレッグカフ34は、一片の材料、典型的には不織布から形成され得、これは、物品の残りの部分に部分的に結合され、それにより、例えば、図5に示すように、物品が引っ張られて平坦になるときに、材料の一部分であるバリアレッグカフが、トップシートによって画定される平面から部分的に隆起し立ち上がることができるようにする。バリアレッグカフは、およそ着用者の胴と脚の移行部にて、液体及び他の身体排泄物の改善された収容を提供することができる。バリアレッグカフは、長手方向軸の両側のおむつの前縁部と後縁部との間に少なくとも部分的に延在し、股ポイント(C)の長手方向位置に少なくとも存在する。バリアレッグカフは、物品の残りの部分、典型的にはトップシート及び/又はバックシートに接合される近位縁64と、着用者の皮膚と接触し封止を形成することが意図される自由末端縁66とによって範囲を定められる。バリアレッグカフは、例えば、糊付け、融合結合、又は既知の結合手段の組み合わせによってなされ得る結合65によって、近位縁64で物品のシャーシと接合される。近位縁64での結合65は、連続的又は断続的であってもよい。バリアレッグカフ32の隆起区間に最も近い結合65の側部は、レッグカフの立ち上がり区間の近位縁64の範囲を定める。
【0107】
バリアレッグカフ32は、トップシート若しくはバックシートと一体であるか、又はより典型的には、物品の残りの部分に接合された別個の材料から形成されることができる。典型的には、バリアレッグカフの材料は、おむつの長さ全体を通して延在し得るが、これらの区間においてバリアレッグカフ材料がトップシートと同一平面上のままであるように、物品の前縁部及び後縁部に向かってトップシートに「タック結合」される。各バリアレッグカフ34は、より良好な封止を提供するように、この自由末端縁66に近接して1つ、2つ、又はそれ以上の弾性ストリング35を備え得る。
【0108】
バリアレッグカフ34に加えて、物品は、吸収性物品のシャーシ、特にトップシート及び/又はバックシートに接合されたガスケットカフ32を備えてもよく、バリアレッグカフに対して外側に配置されてもよい。ガスケットカフは、着用者の大腿の周りにより良好な封止を提供することができる。通常は、各ガスケットレッグカフは、1つ又は2つ以上の弾性ストリング又は弾性要素を含むことになるが、これは、脚部開口部のエリアの、例えば、トップシートとバックシートとの間に、おむつのシャーシに含まれる。
【0109】
前及び後耳部46、40
吸収性物品は、当該技術分野で既知のように、前耳部46と後耳部40とを備えてもよい。耳部は、サイドパネルとして、例えば、トップシート及び/又はバックシートから形成されたシャーシの一体部分であってもよい。代替的に、図1に表すように、耳部は、糊付け及び/又は熱エンボス加工若しくは圧力結合により付着される分離型の要素であってもよい。後耳部40は、有利には、ランディングゾーン40にタブ42の付着を容易にし、かつ着用者のウエストの周りにテープ付きおむつを適所に維持することができるように伸縮可能である。後耳部40はまた、弾性のある耳部により吸収性物品の側部が伸縮することができるので、吸収性物品を最初に着用者に対して適合するようにフィットさせ、吸収性物品が排泄物で充填されてからかなり後でも着用している間ずっとこのフィット感を維持することによって、より快適であり、かつ体に巻き付くようなフィット感を付与するように、弾性又は伸長可能であってもよい。
【0110】
弾性ウエスト機構
吸収性物品はまた、改善されたフィット及び収容を提供する上で役立つ、少なくとも1つの弾性ウエスト機構(図示せず)を備え得る。弾性ウエスト機構は、一般的に、弾性的に伸縮して、着用者のウエストに動的にフィットするように意図したものである。この弾性ウエスト機構は、好ましくは、吸収性コア28の少なくとも一方のウエスト縁部から少なくとも長手方向に外側に延在し、吸収性物品の末端縁部の少なくとも一部を概ね形成する。使い捨ておむつは、2つの弾性ウエスト機構を有するように構成され得るが、一方は、前ウエスト領域に定置され、他方は、後ウエスト領域に定置される。弾性ウエスト機構は、米国特許第4,515,595号、同第4,710,189号、同第5,151,092号、同第5,221,274号に記載されたものを含め、いくつかの異なる構成で構築されてもよい。
【0111】
物品の作製方法−層間関係
本発明の吸収性物品は、当該技術分野において既知の任意の従来法によって作製され得る。具体的には、物品は手作りであってもよく、又は高速で産業的に生産されてもよい。通常、隣接する層及び構成要素は、層の表面の全体若しくは一部へのスロットコーティング若しくは噴霧を介した接着剤コーティング、又は、熱結合、若しくは圧力結合、あるいはそれらの組み合わせなど、従来の結合法を使用して互いに接合される。この結合は、チャネル形成エリア26を画定するコアラップ内の結合について例示的に表される。他の糊剤又は付属品は明確化及び可読性のために表さないが、特に除外されない限り、物品の層間の典型的な結合が存在するものとみなされたい。接着剤は通常、例えばバックシートとコアラップとの間で、異なる層の接着性を改善させるために使用され得る。使用される糊剤は、当該技術分野で既知のとおり、任意の標準的なホットメルト糊剤であってよい。
【0112】
吸収性コア28、及びとりわけその吸収性材料堆積エリア8は、繊維捕捉層及び/又は分配層54と少なくとも同じ大きさ及び長さであってもよく、かつ有利に少なくとも部分的に大きい及び/又は長くてもよい。これは、コア中の吸収性材料が、通常はより効果的に流体を保持し、繊維層54よりも大きい面積にわたって乾燥性の利益をもたらすことができるためである。吸収性物品は、矩形のSAP層及び非矩形(成形)繊維層を有してもよい。吸収性物品はまた、矩形(非成形)繊維層及びSAPの矩形層を有してもよい。
【0113】
実験の設定
遠心保持容量(CRC)
CRCは、過剰の液体中で自由膨潤する超吸収性ポリマー粒子によって吸収される液体を測定する。CRCは、EDANA法WSP 241.2−05に従って測定する。
【0114】
乾燥吸収性コアキャリパー試験
この試験を使用して、コアの股ポイントC’又は任意の他のポイントにて、標準化された様式で吸収性コアのキャリパー(使用前、即ち、流体充填なし)を測定し得る。
【0115】
装置:分解能が0.01mmのMitutoyo製手動キャリパーゲージ又は同等の計器。
【0116】
コンタクトフット(Contact Foot):直径17.0mm(±0.2mm)を備える平坦な環状フット円形の重りをフットに適用して(例えば、シャフトの周囲の適用を促進するためにスロットを有する重り)、目的の重量を達成してもよい。フットと付加された重量(シャフトを含む)との総重量は、サンプルに2.07kPa(0.30psi)の圧力をもたらすように選択される。
【0117】
キャリパーゲージは、コンタクトフットの下部表面が約20×25cmの基部プレートの平坦で水平な上部表面の中心に接触するように、水平面でコンタクトフットの下部表面に取り付ける。ゲージは、基部プレート上に静置されているコンタクトフットでゼロであるように設定する。
【0118】
目盛:mmで目盛が付けられた較正済の金属定規
【0119】
ストップウォッチ:精度1秒
【0120】
サンプル調製:コアを上記のように少なくとも24時間状態調整する。
【0121】
測定手順:コアを、底側、即ち、最終物品においてバックシートに向けて配置する予定の側を下向きにして平坦に置く。測定点(例えば、最終物品におけるこの点に対応する股ポイントC)を、コアを圧縮又は変形させないように注意しながら、コアの上側に注意深く描く。
【0122】
キャリパーゲージのコンタクトフットを持ち上げ、コアを、コアの上側を上向きにしてキャリパーゲージの基部プレート上に平坦に配置して、下げたときにフットの中心が印を付けた測定点上にあるようにする。
【0123】
フットを物品の上に優しく下げ、放す(測定の開始前に較正が「0」であることを確認する)。キャリパーの値は、フットを放した10秒後に最も近い0.01mm単位で読み取る。
【0124】
手順を各測定点について繰り返す。測定点に折り目がある場合には、測定は、この点に最も近いが折り目の一切ないエリアで行う。10個の物品を所与の製品に対してこの様式で測定し、平均キャリパーを算出し、10分の1mmの精度で報告する。
【0125】
吸収性物品キャリパー試験
吸収性物品キャリパー試験は、コアのキャリパーの代わりに最終吸収性物品のキャリパーを測定するという差異はありながら、乾燥吸収性コアキャリパー試験についてのように行うことができる。測定のポイントは、物品の任意のエリア、とりわけ、吸収性物品の長手方向軸(80)と横方向軸(90)との交点又は物品の股ポイントCであってもよい。吸収性物品が折り畳まれて及び/又はパッケージ中で提供される場合は、測定する物品を広げる及び/又はパッケージの中心エリアから取り出す。パッケージが4超の物品を含む場合、パッケージの各面上の最も外側の2つの物品が試験で使用される。パッケージが4個を超えるが14個より少ない物品を含む場合には、物品のパッケージ2個以上の試験を完了する必要がある。パッケージが14個以上の物品を含む場合には、物品のパッケージ1個のみの試験を行う必要がある。パッケージが4個以下の物品を含む場合には、パッケージ中の全ての物品を測定し、かつ複数のパッケージの測定を行う必要がある。キャリパーの読み取り値は、物品をパッケージから取り出し、広げ、状態調整してから24±1時間後に取るべきである。製品の物理的操作は最小限であり、必要なサンプルの準備のみに限定されるべきである。
【0126】
物品がキャリパーフットの下に平坦に配置されるのを阻止する物品のいずれの弾性構成要素も、切断するか、又は除去する。これらにはレッグカフ又はウエストバンドを挙げることができる。パンツ型物品は、必要に応じて、開くか、又はサイドシームに沿って切り出す。十分な張力を印加して、いかなる折り目/しわも平坦にならす。測定のエリアに触れること及び/又はそれを圧縮することを避けるように注意する。
【0127】
その他(MISC)
本明細書で使用する場合、用語「接合された」又は「結合された」又は「付着された」は、例えば、糊付けによって、ある要素を別の要素に直接貼り付けることによりその要素が別の要素に直接固定される構成と、ある要素を中間部材に貼り付け、次に中間部材(複数可)を他の要素に貼り付けることにより、その要素が別の要素に間接的に固定される構成とを包含する。
【0128】
「備える(comprise)」、「備えている(comprising)」、及び「備える(comprises)」は、非限定的な用語であり、それぞれの語の後に記載されるもの(例えば、構成要素)の存在を特定するものであるが、他の特徴(例えば、当該技術分野において既知であるか、又は本明細書に開示される要素、工程、構成要素)の存在を除外するものではない。動詞「備える(comprises)」に基づくこれらの用語は、明記されていない任意の要素、工程、又は成分を除外する「からなる」、並びに、明記された材料又は工程及び、要素がその機能を実施する方式に実質的に影響を与えないものに要素の範囲を限定する「本質的に〜からなる」という、より狭義の用語を包含するものとして読まれるべきである。以下に記載する好ましい又は例示的な実施形態はいずれも、特記事項がない限り、特許請求の範囲を制限しない。「典型的には」、「通常は」、「有利には」などの語もまた、明確な指定がない限り、特許請求の範囲を制限することが意図されない要素を修飾する。
【0129】
本明細書で開示する寸法及び値は、列挙された正確な数値に厳密に限られるとして理解されるべきではない。代わりに、特に指定のない限り、各そのような寸法は、列挙された値と、その値の周辺の機能的に同等の範囲との両方を意味するように意図される。例えば、「40mm」として開示される寸法は、「約40mm」を意味することを意図する。
【0130】
任意の相互参照又は関連特許若しくは関連出願を含む本明細書に引用される全ての文献は、明確に除外ないしは別の方法で限定されない限り、参照によりその全体が本明細書中に組み込まれる。いかなる文献の引用も、本明細書中で開示又は特許請求される任意の発明に対する先行技術であるとはみなされず、あるいはそれを単独で又は他の任意の参考文献(単数又は複数)と組み合わせたときに、そのような発明全てを教示、示唆、又は開示するとはみなされない。更に、本文書における用語の任意の意味又は定義が、参照することによって組み込まれた文書内の同じ用語の意味又は定義と競合する程度に、本文書におけるその用語に与えられた意味又は定義が適用されるものとする。
【0131】
本発明の特定の実施形態が例解され記載されてきたが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく他の様々な変更及び修正を加えることができることが当業者には自明であろう。したがって、本発明の範囲内に含まれるそのような全ての変更及び修正は、添付の特許請求の範囲にて網羅することを意図したものである。
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