(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、実施の形態の撮像装置を、図面を参照して詳細に説明する。
<実施の形態>
図1は、実施の形態の撮像装置を示す図である。
図1(a)は、撮像装置を斜めから見た図であり、
図1(b)は、撮像装置を正面から見た図である。
【0012】
第1の実施の形態の撮像装置1は、眼鏡型の装置である。なお、実施の形態では眼鏡型の装置として説明するが、これに限らず、ハンズフリーで顔近傍に装着できるようになっていれば、装置の形状は特に限定されない。
撮像装置1は、耳に取り付ける取付部を備え顔の一部に装着されるフレーム2と、制御部3とを備えている。
制御部3は、フレーム2を介して目と反対側に配置されている。
図2は、実施の形態の撮像装置のハードウェア構成を示す図である。
【0013】
制御部3は、ハウジング(ケーシング)30と、CPU31と、電界発生用アンテナ32と、電界変化認識部33と、カメラ34と、メモリ35と、通信インタフェース36とを備えている。
制御部3は、CPU(Central Processing Unit)31によって装置全体が制御されている。
【0014】
CPU31が備えるRAM(Random Access Memory)は、撮像装置1の主記憶装置として使用される。RAMには、CPU31に実行させるプログラムの少なくとも一部が格納される。また、RAMには、CPU31による処理に使用する各種データが格納される。
また、CPU31は、カメラ34のシャッターを切るためのシャッター信号を生成する。
電界発生用アンテナ32は、CPU31の指示に応じて電界を発生させる。
図2では、発生する電界のイメージを点線で図示している。
電界発生用アンテナ32は、電極面から最大15cm離れた面で挟む空間に電界を作り出す。
【0015】
電界変化認識部33は、電界発生用アンテナ32が発生した電界の変化を検出する。具体的には、電界変化認識部33は、例えば、目や目尻、眉間、こめかみ等、人体の動き(特に顔面の動き)変化を検出する。そして、電界変化認識部33は、検出した変化量に応じた大きさのアナログ信号(アナログ検出信号)を出力する。
【0016】
この電界変化認識部33は、電界の変化を検出可能な箇所(軸)を複数設定できる。このため、例えば、目の変化に着目した場合は、まばたきの検知以外にも、眼球の動きを検出(眼球が左右上下どこをみているか、眼球がどこにフォーカスしているか)したり、複雑なまばたきの検知(まばたきの強弱や複数回まばたきの検知)をしたりすることが可能となる。また、目と眉間、目とこめかみ等、複数の動きを検知することもできる。
以下、一例としてまばたきを検出してカメラ34のシャッターを切る場合を説明する。
【0017】
電界変化認識部33は、ハウジング30内部に収納しても電極面から最大15cm離れた面で挟む空間内のまばたきを検出可能なので、カメラ方式や赤外線方式のようにケースに穴を開ける必要がない。また、周囲の光/音に影響されず、まばたき動作を検出することができる。
CPU31は、電界変化認識部33が出力したアナログ検出信号をデジタル化してRAMに記憶する。
なお、電界変化認識部33としては、例えば、マイクロチップ社のMGC3030や、MGC3130等の制御ICが挙げられる。
カメラ34は、撮像素子を備え、CPU31からシャッター信号が送られてくると、シャッターを切る。
【0018】
カメラ34に用いる撮像素子の種別としては、例えばCCD(Charged-coupled devices)や、CMOS(Complementary metal-oxide-semiconductor)等が挙げられる。
【0019】
内蔵メモリ35は、カメラ34により撮像されたデータの書き込みおよび読み出しを行う。なお、内蔵メモリ35としては、例えばフラッシュメモリ等の半導体記憶装置が挙げられる。
【0020】
通信インタフェース36は、他のコンピュータまたは通信機器にデータを送信する。通信インタフェース36としては、例えばBluetooth(登録商標)等が挙げられる。
以上のようなハードウェア構成によって、本実施の形態の処理機能を実現することができる。
次に、RAMに記憶される情報を説明する。
図3は、RAMに記憶されるパラメータの一例を示す図である。
図3では、パラメータがテーブル化されて記憶されている。
パラメータ管理テーブルT1には、パラメータ、および数値の欄が設けられている。横方向に並べられた情報同士が互いに関連づけられている。
パラメータの欄には、CPU31の処理に用いるパラメータが設定されている。
CMAの欄には、後述するキャリブレーション処理により得られたアナログ検出信号の最頻値が設定される。
閾値の欄には、シャッターを押すか否かを決める際の閾値が設定される。閾値の値は、後述するキャリブレーション実行決定処理により決定される。
SMAの欄には、後述するシャッター決定処理の際に、閾値を超えた値が格納される。
SCNTの欄には、シャッター処理の際に、閾値を超えた回数が格納される。
【0021】
SFLAGの欄には、CPU31がカメラ34にシャッターを切らせるか否かを識別するための値が格納される。この欄に「1」が格納されれば、CPU31は、カメラ34のシャッターを切るためのシャッター信号を生成する。
図4は、RAMに記憶されるデータの一例を示す図である。
図4では、データがテーブル化されて記憶されている。
データ管理テーブルT1には、ID、および数値の欄が設けられている。横方向に並べられた情報同士が互いに関連づけられている。
IDの欄には、CPU31がアナログ検出信号をデジタル化した単位(分解能)が設定される。
取得値の欄には、CPU31がアナログ検出信号をデジタル化した信号の値が格納される。
次に、撮像装置1の処理を、フローチャートを用いて説明する。
図5は、実施の形態の撮像装置の全体処理を説明するフローチャートである。
[ステップS1] 電源が投入されると、CPU31は、電界発生用アンテナ32に電界を発生させる。その後、ステップS2に遷移する。
【0022】
[ステップS2] CPU31は、メインループを初期化する。具体的には、CPU31は、パラメータ管理テーブルT1の数値の欄に設定されている数値を0にリセットする。そして、閾値の欄に、予め決定された初期値を設定する。その後、ステップS3に遷移する。
【0023】
[ステップS3] CPU31は、キャリブレーション処理を実行し、状況に応じてキャリブレーションを行う。なお、キャリブレーション処理の処理内容については、後に詳述する。その後、ステップS4に遷移する。
【0024】
[ステップS4] CPU31は、センサモニタリング処理を実行し、状況に応じてシャッターを切るか否かを決定する。CPU31は、シャッターを切ると判断した場合は、パラメータ管理テーブルT1のSGLAGの欄の数値を「1」に設定する。なお、センサモニタリング処理の処理内容については、後に詳述する。その後、ステップS5に遷移する。
【0025】
[ステップS5] CPU31は、ステップS4にてシャッターを切ると判断した場合にシャッターを切るためのシャッター信号をカメラ34に送るシャッター信号出力処理を実行する。具体的には、CPU31は、パラメータ管理テーブルT1のSGLAGの欄を参照する。そしてSGFLAGが「1」であれば、シャッターを切るためのシャッター信号をカメラ34に送る。その後、ステップS6に遷移する。
【0026】
[ステップS6] CPU31は、電源オフか否かを判断する。電源オフではない場合(ステップS6のNo)、ステップS2に遷移し、ステップS2以降の処理を引き続き実行する。電源オフの場合(ステップS6のYes)、
図5の処理を終了する。
なお、全体処理の1ループ辺りの処理時間は、一例として1000msである。
【0027】
ステップ毎の処理時間は、一例としてステップS2が0ms−2ms、ステップS3のキャリブレーション処理が3ms−100ms、ステップS4のセンサモニタリング処理が101ms−998msである。
次に、ステップS3のキャリブレーション処理をフローチャートを用いて説明する。
図6は、キャリブレーション処理を説明するフローチャートである。
【0028】
[ステップS3a] CPU31は、電界変化認識部33からアナログ検出信号の入力を受け付ける。CPU31は、受け付けたアナログ検出信号をデジタル化し、データ管理テーブルT2の取得値の欄に格納していく。その後、ステップS3bに遷移する。
【0029】
[ステップS3b] CPU31は、キャリブレーションを実行するか否かを決定するキャリブレーション実行決定処理を実行する。処理内容については、後に詳述する。その後、キャリブレーション処理を終了する。
以上でキャリブレーション処理の説明を終了する。
次に、ステップS3bのキャリブレーション実行決定処理をフローチャートを用いて説明する。
図7は、キャリブレーション実行決定処理を説明するフローチャートである。
【0030】
[ステップS3b1] CPU31は、アナログデータ管理テーブルT2の取得値の欄を参照する。そして、取得値の最頻値を決定する。そして、CPU31は決定した最頻値をパラメータ管理テーブルのCMAの欄に設定する。その後、ステップS3b2に遷移する。
【0031】
[ステップS3b2] CPU31は、キャリブレーションを実行するか否かを判断する。具体的には、パラメータ管理テーブルT1のCMAの欄に格納されている数値と、閾値の欄に格納されている数値とを比較する。そして、両方の値が予め定めた値以上離れている場合、キャリブレーションを実行すると判断する。キャリブレーションを実行する場合(ステップS3b2のYes)、ステップS3b3に遷移する。キャリブレーションを実行しない場合(ステップS3b2のNo)、キャリブレーション実行決定処理を終了する。
【0032】
[ステップS3b3] CPU31は、パラメータ管理テーブルT1のCMAの欄に格納されている値を閾値の欄に設定(上書き)する。その後、キャリブレーション実行決定処理を終了する。
なお、キャリブレーション実行決定処理の処理時間は、一例として48ms−100msである。
次に、ステップS4のセンサモニタリング処理をフローチャートを用いて説明する。
図8は、センサモニタリング処理を説明するフローチャートである。
【0033】
[ステップS4a] CPU31は、電界変化認識部33から検出信号の入力を受け付ける。CPU31は、受け付けた検出信号をアナログデータ管理テーブルT2の取得値の欄に格納していく。その後、ステップS4bに遷移する。
【0034】
[ステップS4b] CPU31は、シャッターを押すか否かを決定するシャッター決定処理を実行する。処理内容については、後に詳述する。その後、センサモニタリング処理を終了する。
以上でセンサモニタリング処理の説明を終了する。
次に、ステップS4bのシャッター決定処理をフローチャートを用いて説明する。
図9は、シャッター決定処理を説明するフローチャートである。
【0035】
[ステップS4b1] CPU31は、パラメータ管理テーブルT1とデータ管理テーブルT2を参照する。そして、CPU31は、データ管理テーブルT2の各取得値のうち、閾値を超えた回数が何回あったかを計数する。そして、閾値を超えた回数があった場合、超えた値をパラメータ管理テーブルT1のSMAの欄に格納する。また、閾値を超えた回数をパラメータ管理テーブルT1のSCNTの欄に格納する。その後、ステップS4b2に遷移する。
【0036】
[ステップS4b2] CPU31は、パラメータ管理テーブルT1を参照する。そして、SMAの欄に格納されている値と、SCNTの欄に格納されている値を用いてシャッターを押すか否かを決定する。具体的には、CPU31は、SMAの欄に格納されている値が予め定めた値以上、かつ、SCNTの回数が予め定めた回数以上の場合(ステップS4b2のYes)、ステップS4b3に遷移する。SMAの欄に格納されている値が予め定めた値未満、または、SCNTの回数が予め定めた回数未満である場合(ステップS4b2のNo)、シャッター決定処理を終了する。
[ステップS4b3] CPU31は、パラメータ管理テーブルT1のSFLAGの欄に「1」を設定する。その後、シャッター決定処理を終了する。
なお、シャッター決定処理の処理時間は、一例として450ms−998msである。
【0037】
なお、本実施の形態ではステップS4b1にて回数を計数したが、閾値を超えた時間を計測してもよい。この場合、ステップS4b2では、CPU31は、SMAの欄に格納されている値が予め定めた値より大きく、かつ、閾値を超えた時間が一定時間より長い場合、ステップS4b3に遷移する。
【0038】
本実施の形態のシャッター決定処理を実行することにより、意識的な人体の動きの変化を検出したときはシャッターを切ることを決定し、無意識な(自然な)人体の動きによりシャッターを切ることを抑制することができる。
【0039】
以上述べたように、撮像装置1によれば、電極をハウジング内部に収納しても電極面から最大15cm程度離れた面で挟む空間内の人間の動作(例えばまばたき等)を検出可能である。このため、カメラで顔の動きを撮像してシャッターを切る方式や、赤外線で顔の動きを検知してシャッターを切る方式のようにケースに穴を開ける必要がない。また、フレーム2を介して目と反対側に配置することも可能である。さらに、周囲の光/音に影響されないで人間の動作の検出が可能である。
【0040】
さらに、前述したように、電界変化認識部33は、電界の変化を検出可能な箇所(軸)を複数設定できる。このため、例えば、目の変化に着目した場合は、まばたきの検知以外にも、眼球の動きを検出(眼球が左右上下どこをみているか、眼球がどこにフォーカスしているか)したり、複雑なまばたきの検知(まばたきの強弱や複数回まばたきの検知)をしたりすることが可能となる。また、目と眉間、目とこめかみ等、複数の動きを検知することもできる。このため、予め設定しておいた人体の複数の動作パターンを検出させることにより、撮像装置1に複数の機能を実行させることもできる。例えば、人体の意図的なまばたき動作を検出したときにはカメラ34のシャッターを切って静止画を撮像する。人体の意図的なまばたき動作を2回連続で検出したときにはカメラ34のシャッターを切って動画像を撮像する等が可能となる。
【0041】
なお、本実施の形態では、カメラを制御部3に含めて一体的なモジュールとした。しかし、これに限らず、カメラを含まない信号出力装置として用いてもよい。この信号出力装置の用途としては、例えば、電子機器の動作のON、OFF(例えば、車のエンジンのスターターや、自宅の電子ドアの施錠、解錠や、テレビのON/OFFやチャンネル操作、コンピューターのマウスのような複雑な操作等)に用いることができる。
【0042】
以上、本発明の信号出力装置および撮像装置を、図示の実施の形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置換することができる。また、本発明に、他の任意の構成物や工程が付加されていてもよい。
また、本発明は、前述した実施の形態のうちの、任意の2以上の構成(特徴)を組み合わせたものであってもよい。
【0043】
上記については単に本発明の原理を示すものである。さらに、多数の変形、変更が当業者にとって可能であり、本発明は上記に示し、説明した正確な構成および応用例に限定されるものではなく、対応するすべての変形例および均等物は、添付の請求項およびその均等物による本発明の範囲とみなされる。
撮像装置1は、人体に非接触の位置に配置され、電界を発生させる電界発生用アンテナ32と、発生させた電界の変位を検出する電界変化認識部33と、電界変化認識部33の検出に応じて信号を出力するCPU31と、を有する。