【課題を解決するための手段】
【0009】
この問題の解決策を探る場合に、以下の点が考えられた。
- ガスパージブリック内および特に耐火性マトリックス材内などの固定が、堅固な(固定された)および規定されたものでなければならない。
- 固定デバイス内でのパージ管の固定が、パージ管が延性を有さない脆性セラミック体であるという点を考慮したものでなければならない。
- 固定デバイス用の材料は、固定デバイスがガスパージブリックの低温端部に取り付けられるため、高い耐熱性を有する必要がない。しかし、使用される材料は、ここで発生し得る摂氏数百度の高温においてもその機能を果たす必要がある。
- 指向的有孔性を有するガスパージブリックについて、ガス供給を単純化するためにいわゆるガス分配チャンバを経由して個々のパージ管/パージチャネルにガスを分配することが一般的である。その限りにおいて、固定デバイスは、確実にガス分配チャンバにまたはガス分配チャンバ内に連結され得るように考慮されなければならない。
【0010】
驚くべきことには、脆性セラミックパージ管(円筒状中空体)は、いくつかの構造的特徴が考慮されると、固定デバイス内に固定的におよび永続的にグラウト固定され得ることが判明した。
【0011】
したがって、本発明は、そのほとんどの一般的実施形態では、その作動位置において以下の特徴を有する、円筒状セラミック中空体用の固定デバイスに関する。
a)ベース本体が、底部および外周壁部を有し、これらの底部および外周壁部と共に、対応する中心長手方向軸(M)を有する円筒状空間(体積)を画成する。
b)底部が、中心長手方向軸(M)と整列する長手方向軸(L)を有する開口を特徴として有する。
c)底部が、開口の周囲に同心状に延在するリング形状チャネル(溝)を特徴として有する。
d)開口に隣接するチャネルの少なくとも内方壁部が、圧力印加下で塑性的延性を有する材料から構成される。
e)リング形状コンパクトが、下方自由端部から上方に向かってサイズが増大する径方向壁部断面を有し、それによりチャネルの内方壁部が、塑性的に変形し、コンパクト(本体)がチャネル内へと押し込まれた後に開口の断面を縮小させる。
【0012】
コンパクトの挿入時に内方壁部を内方へと(開口断面内に)変形させることにより、指定された開口を備える固定デバイスに事前に挿入された円筒状セラミック体(パージ管の)の所望の固定が達成される。
【0013】
驚くべきことには、チャネルの内方壁部の表面変形が、複数の役割を、すなわち
- パージ管の固定と、
- パージ管の位置決めと、
- パージ管と固定デバイスとの間の封止と、
- チャネル壁部の塑性的延性材料が酸素供給下に置いても燃焼しない群から選択される限りにおける防食と
を果たすことが判明した。
【0014】
固定デバイスにおけるパージ管の可能な限り最善の位置決め、固定、および封止に関して、パージ管、開口、およびチャネルが軸対称(回転対称)形状を特徴として有する場合には有利となる。
【0015】
さらに、固定デバイスの底部の開口の断面(特に円形形状の場合の直径)は、パージ管の断面(外径)と同一かまたはそれよりも若干より大きい。このことは、チャネルの内方壁部の内方断面(内径)についても同様に該当する。換言すれば、チャネルの内方壁部は、極端な例では開口の外方壁部と整列状態で延在し、または、むしろ開口の上方セクションを形成する。それにより、開口の軸方向長さが拡大し、これにより開口内に配置されたパージ管は、より良好に案内および固定され得る。
【0016】
(リング形状)チャネル自体は、径方向に矩形断面を特徴として有することが可能である。リング形状コンパクトの壁部が円錐形状断面であることにより、コンパクトが上方からチャネル内に駆動された場合に、パージ管に向かう方向にチャネルの内方壁部を変形させることがさらに可能となる。軸対称形状により、外周部にわたる力分布が均一となる。応力ピークは回避される。
【0017】
また、底部のリング形状チャネルは、チャネルの径方向に見た場合に開口端部に向かって上方へと拡張する断面を特徴として有することが可能である。換言すれば、チャネルの内方壁部は、自由端部に向かって縮小する壁部厚さを特徴として有する。この場合に、準運動学的反転を伴うと、壁部厚さが垂直方向下方セグメントのチャネルの幅よりも大きい限りにおいて、均一な壁部厚さを有するリング形状コンパクト(剛体)を使用することも可能となる。
【0018】
いずれの場合でも、コンパクトの形状は、非荷重状態で短距離にわたりチャネルに進入することが可能となり(チャネルおよびコンパクトを相互に位置決めするために)、その後コンパクトが固定デバイスの軸方向へとチャネル内にさらに駆動されて、チャネルの内方壁部およびさらに該当する場合にはチャネルの外方壁部を変形させるように選択されなければならない。チャネルの内方壁部(ケーシングの底部開口に向かう方向にチャネルを閉鎖する壁部)の延性は、この内方壁部がその内方表面および/または外方表面に例えば外周溝の形態の1つまたは複数の凹部または空洞を特徴として有する場合には上昇する。
【0019】
チャネルの外方壁部の同時変形は、固定デバイスのベース本体への追加の固定が可能となるという利点を有し、これは、リング形状チャネルが、底部の上方セグメントを形成し空間内に遊びをほぼ伴わずに配置される別個の(個別)要素内に延在する場合には特に重要となる。「遊びをほぼ伴わずに」は、要素が、固定デバイスの組立時に空間に容易に挿入され得るが、最終位置に達するとそこに留まることを意味する。また、チャネルのこの外方壁部は、内方壁部に関して以前に説明したように、その内方表面および/または外方表面に凹部を特徴として有することも可能である。
【0020】
これらの凹部により、相対物(チャネルの壁部を基準とする)内におけるコンパクトの所望の変形ならびにしたがってクランプ固定および封止の効果が最適化される。
【0021】
例えば、凹部は、凹部の少なくとも1つの壁部が対応する本体の表面に対して90°以外の角度で延在することをとりわけ特徴とする鋸歯状プロファイルを特徴として有し得る。
【0022】
このための一実施形態が、以下の実施形態の中の1つにおいて示される。
【0023】
その限りにおいて、要素全体は、圧力印加の下で塑性的に延性を有する材料から作製され得る。
【0024】
また、コンパクト自体は、圧力印加の下で塑性的に延性を有する材料から作製され得る。
【0025】
塑性的延性材料は、さらに以下の特徴を有する。
【0026】
一般的に、十分な基本強度以外にパージ管のセラミック材料よりも高い延性(荷重下で)を有する任意の材料が考えられ得る。一般的に、例えば銑鉄などが使用され得る。材料の強度(MPa)を利用して合理的な選択を行い得る。セラミック材料に関して、圧縮強度は、オーストリア規格ONORM EN 993-5:1998にしたがって決定される。特に金属材料の延性に関して、引張強度は、DIN EN ISO 6892-1:2009にしたがって決定される。
【0027】
中空体のセラミック材料(例えばアルミナAl2O3をベースとする)は、2000〜3000MPaの領域の圧縮強度を一般的に有する。例えば、封止壁部(特にチャネルのまたはチャネルを含む別個の要素全体の内部側の壁部)の延性材料は、銅、銅-スズ、銅-スズ-亜鉛、銅-亜鉛、銅-アルミニウム、銅-鉛、銅-ニッケル、銅-ニッケル-亜鉛、アルミニウム等をベースとする材料を含む。これらの材料の典型的な引張強度は、600MPa未満であり、しばしば<500MPa、<400MPa、または<300MPaである。
【0028】
固定デバイス内におけるパージ管の固定の軸方向長さは、異なることが可能であり、より長いほどより良好になる。複数の固定デバイスが、軸方向に連続して、および/またはガスパージブリックの耐火性マトリックス材内で相互に隣接して同一軸方向高さにて組み立てられ得る(配置され得る)。
【0029】
一実施形態によれば、固定デバイスは、ベース本体に装着可能である蓋を特徴として有する。蓋は、ベース本体の底部の開口まで同心状に延在する蓋開口を特徴として有する。
【0030】
したがって、この実施形態では、パージ管は、相互に距離を置いた少なくとも2つの場所で、すなわち蓋の開口のエリア内およびベース本体の底部の開口のエリア内で案内される。
【0031】
パージ管のこの案内は、蓋がベース本体の体積内に突出する延在部を特徴として有する場合に、およびこの延在部が蓋開口の軸方向延在部を備える場合に最適化され得る。これにより、中心軸長さに沿ったパージ管の蓋側の安定化が得られる。
【0032】
好ましくは、蓋の軸方向延在部は、形状嵌めでベース本体内に載置されるように設計される。これにより、ある種の「パイプ-イン-パイプ固定」が形成される。
【0033】
例えば、蓋は、ベース本体に螺着され得る。以下の図面に示すように、ねじ山は、延在部に沿って延在し、ベース本体の内部の雌ねじ山と連携する。
【0034】
延在部が、ベース本体の底部に到達する(取付け状態において)と、パージ管の連続軸方向案内が生じる。ガスパージ管の一方の端部が、底部の開口内に突出し(ガスが主にガスパージ要素のガス分配チャンバからこの開口を経由して供給される)、パージ管の大部分が、頂部にて固定デバイスを越えて突出し、実質的にパージ要素のセラミックマトリックス材を貫通してガス出口側端部まで延在する。
【0035】
やはり本発明の対象である対応するガスパージ要素については、以下の特徴が、冶金容器の底部において、作動位置にて有効となる。
- ガスパージブリックが、下方端部にガス分配チャンバを備える。
- 指定のタイプの複数の固定デバイスが、ガス分配チャンバの天井部内にて相互に距離を置いて配置される。
- 各固定デバイスが、ガスパージブリックのセラミック基材をその上方面まで貫通して延在する円筒状セラミック中空体を保持する。
【0036】
固定デバイスのベース本体が金属から作製される場合には、固定デバイスは、例えば溶接などによってガス分配チャンバの金属天井部に容易に装着され得る。これを実施するために、固定デバイスは、金属天井部の対応する貫通穴を通して送られ、続けて溶接される。
【0037】
ガス分配部材から固定デバイスのベースの開口を通りパージ管内までのガス供給が可能となる点が重要である。
【0038】
本発明のさらなる特徴は、サブクレームの特徴およびさらなる出願文献から明らかになろう。
【0039】
以下、種々の実施形態により本発明をさらに説明する。
【0040】
図面はいずれも概略図である。