特許第6235173号(P6235173)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6235173円筒状セラミック中空体用の固定デバイスおよびかかるタイプの固定デバイスを有する耐火セラミック製ガスパージブリック
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6235173
(24)【登録日】2017年11月2日
(45)【発行日】2017年11月22日
(54)【発明の名称】円筒状セラミック中空体用の固定デバイスおよびかかるタイプの固定デバイスを有する耐火セラミック製ガスパージブリック
(51)【国際特許分類】
   C21C 7/072 20060101AFI20171113BHJP
【FI】
   C21C7/072 J
【請求項の数】14
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-571478(P2016-571478)
(86)(22)【出願日】2015年7月28日
(65)【公表番号】特表2017-506704(P2017-506704A)
(43)【公表日】2017年3月9日
(86)【国際出願番号】EP2015067204
(87)【国際公開番号】WO2016050380
(87)【国際公開日】20160407
【審査請求日】2016年8月30日
(31)【優先権主張番号】14186888.5
(32)【優先日】2014年9月29日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】503069193
【氏名又は名称】リフラクトリー・インテレクチュアル・プロパティー・ゲー・エム・ベー・ハー・ウント・コ・カーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ボヤン・ジヴァノヴィッチ
(72)【発明者】
【氏名】ベルンハルト・ハンドレ
【審査官】 川崎 良平
(56)【参考文献】
【文献】 特表平03−505757(JP,A)
【文献】 特表2000−504780(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B22D 1/00
C21C 5/48,7/072
F16B 1/00,4/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒状セラミック中空体(SR)用の固定デバイスであって、作動位置において、
a)ベース本体(12)が、底部(12B)および外周壁部(12W)によって、対応する中心長手方向軸(M)を有する円筒状空間(12R)を画成し、
b)前記底部(12B)が、前記中心長手方向軸(M)と整列する長手方向軸(L)を有する開口(12O)を特徴として有し、
c)前記底部(12B)が、前記開口(12O)の周囲に同心状に延在するリング形状チャネル(14N)を特徴として有し、
d)前記開口(12O)に隣接する前記リング形状チャネル(14N)の少なくとも内方壁部(14I)が、圧力印加下で塑性的延性を有する材料から構成されており、かつ
e)リング形状コンパクト(16)が、下方自由端部(16U)から上方に向かってサイズが増大する径方向壁部断面を有し、それにより前記リング形状チャネル(14N)の前記内方壁部(14I)が、塑性的に変形し、それにより、前記リング形状コンパクト(16)が前記リング形状チャネル(14N)内へと押し込まれた後に前記開口(12O)の断面を縮小させる、
という特徴を有する、固定デバイス。
【請求項2】
前記底部(12B)中の前記リング形状チャネル(14N)は、径方向に矩形断面を特徴として有する、請求項1に記載の固定デバイス。
【請求項3】
前記底部(12B)中の前記リング形状チャネル(14N)は、その開口端部へと上方に向かって径方向に拡張する断面を特徴として有する、請求項1に記載の固定デバイス。
【請求項4】
前記リング形状チャネル(14N)は、別個の要素(14)中に延在し、前記別個の要素(14)は、前記底部(12B)の上方セグメントを形成し、前記円筒状空間(12R)内に実質的な遊びを有さずに配置されている、請求項1に記載の固定デバイス。
【請求項5】
前記別個の要素(14)は、圧力印加の下で塑性的延性を有する材料から作製されている、請求項4に記載の固定デバイス。
【請求項6】
前記リング形状コンパクト(16)は、圧力印加の下で塑性的延性を有する材料から作製されている、請求項1に記載の固定デバイス。
【請求項7】
前記塑性的延性材料は、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金、スズ、スズ合金、亜鉛、亜鉛合金を含む群から選択された材料である、請求項1に記載の固定デバイス。
【請求項8】
前記内方壁部(14I)の内方表面(14II)および外方壁部(14A)の外方表面(14AA)の少なくとも一方に少なくとも1つの周方向凹部(14R)を有する、請求項1に記載の固定デバイス。
【請求項9】
前記凹部(14R)は、鋸歯状プロファイルを特徴として有する、請求項8に記載の固定デバイス。
【請求項10】
前記ベース本体(12)に装着可能な蓋(18)であって、前記ベース本体(12)の前記底部中の前記開口(12O)まで同心状に延在する蓋開口(18O)を特徴として有する蓋(18)を有する、請求項1に記載の固定デバイス。
【請求項11】
前記蓋(18)および前記ベース本体(12)が、共に螺合され得る、請求項10に記載の固定デバイス。
【請求項12】
前記蓋(18)は、形状嵌めで前記円筒状空間(12R)に挿入され得る延在部(18V)を特徴として有し、前記蓋開口(12O)まで同心状に延在する穿孔(18B)をさらに特徴として有する、請求項10に記載の固定デバイス。
【請求項13】
耐火セラミック製のガスパージブリックであって、作動位置において冶金容器の底部に、
a)下方端部に位置するガス分配チャンバ(GV)と、
b)前記ガス分配チャンバ(GV)の天井部(MB)のエリア内で相互にある距離を置いて配置された複数の請求項1に記載の固定デバイス(10)と、
c)各固定デバイス(10)が、円筒状セラミック中空体(SR)を保持し、各円筒状セラミック中空体(SR)は、前記ガスパージブリックのセラミック基材(MM)をその上方面まで貫通して延在することと、
の特徴を有する、耐火セラミック製ガスパージブリック。
【請求項14】
前記ガス分配チャンバ(GV)の前記天井部(MB)は、金属から構成され、前記固定デバイスは、溶接部(S)により前記天井部(MB)の貫通穴(DB)内に装着されている、請求項13に記載のガスパージブリック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばガスパージブリックにおけるいわゆる指向的有孔性を可能にするために耐火セラミック製ガスパージブリックで使用されるものなどの、円筒状セラミック中空体用の固定デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
ガスパージブリックは、ガスパージブリックを経由して溶融金属中に噴射されるガスによりこの溶融金属を処理するために、冶金容器の底部または壁部に取り付けられる。
【0003】
指向的有孔性を有するガスパージブリックは、処理ガスが、規定された主として直線状の流路を経由してガスパージブリックの第1のいわゆる低温端部からガスパージブリックの第2のいわゆる高温端部へと輸送されることを特徴とする。高温端部は、溶融金属と接触状態にある端部である。
【0004】
指向的有孔性は、耐火性マトリックス材中のスリットまたは穿孔のいずれかにより形成され得る。この方法は、より大型のガスパージ要素の場合には特に困難であり、したがってそれ故に高密度耐火性マトリックス材により囲まれた円筒状セラミック中空体(以降ではパージ管と呼ばれる)が開発された。
【0005】
これらの円筒状セラミック体は、高密度の耐熱セラミック(例えば酸化アルミニウム-すなわちアルミナ-および/または酸化ジルコニウム-すなわちジルコニア-をベースとした)から構成され、軸方向に延在する1つまたは複数の流通チャネル(ガス流用のチャネル)を特徴として有する。
【0006】
これらの「パージ管」は、ガスパージブリック内で正確におよび可能な限り気密に固定されなければならない。これを実現するために、パージ管をクランプ固定する種々の固定デバイスが知られている。遊びのない固定を実現するために、延性(変形可能な)炭素ガスケット(シール)が使用される。
【0007】
しかし、これらの炭素ガスケットは、高い印加温度で酸素含有ガスと接触した場合に破壊される(燃焼される)という欠点を被る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、本発明の目的は、使用される処理ガスのタイプに関わらずパージ管のしっかりとしたおよび規定の固定を可能にする指定タイプの固定デバイス(固定手段)を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この問題の解決策を探る場合に、以下の点が考えられた。
- ガスパージブリック内および特に耐火性マトリックス材内などの固定が、堅固な(固定された)および規定されたものでなければならない。
- 固定デバイス内でのパージ管の固定が、パージ管が延性を有さない脆性セラミック体であるという点を考慮したものでなければならない。
- 固定デバイス用の材料は、固定デバイスがガスパージブリックの低温端部に取り付けられるため、高い耐熱性を有する必要がない。しかし、使用される材料は、ここで発生し得る摂氏数百度の高温においてもその機能を果たす必要がある。
- 指向的有孔性を有するガスパージブリックについて、ガス供給を単純化するためにいわゆるガス分配チャンバを経由して個々のパージ管/パージチャネルにガスを分配することが一般的である。その限りにおいて、固定デバイスは、確実にガス分配チャンバにまたはガス分配チャンバ内に連結され得るように考慮されなければならない。
【0010】
驚くべきことには、脆性セラミックパージ管(円筒状中空体)は、いくつかの構造的特徴が考慮されると、固定デバイス内に固定的におよび永続的にグラウト固定され得ることが判明した。
【0011】
したがって、本発明は、そのほとんどの一般的実施形態では、その作動位置において以下の特徴を有する、円筒状セラミック中空体用の固定デバイスに関する。
a)ベース本体が、底部および外周壁部を有し、これらの底部および外周壁部と共に、対応する中心長手方向軸(M)を有する円筒状空間(体積)を画成する。
b)底部が、中心長手方向軸(M)と整列する長手方向軸(L)を有する開口を特徴として有する。
c)底部が、開口の周囲に同心状に延在するリング形状チャネル(溝)を特徴として有する。
d)開口に隣接するチャネルの少なくとも内方壁部が、圧力印加下で塑性的延性を有する材料から構成される。
e)リング形状コンパクトが、下方自由端部から上方に向かってサイズが増大する径方向壁部断面を有し、それによりチャネルの内方壁部が、塑性的に変形し、コンパクト(本体)がチャネル内へと押し込まれた後に開口の断面を縮小させる。
【0012】
コンパクトの挿入時に内方壁部を内方へと(開口断面内に)変形させることにより、指定された開口を備える固定デバイスに事前に挿入された円筒状セラミック体(パージ管の)の所望の固定が達成される。
【0013】
驚くべきことには、チャネルの内方壁部の表面変形が、複数の役割を、すなわち
- パージ管の固定と、
- パージ管の位置決めと、
- パージ管と固定デバイスとの間の封止と、
- チャネル壁部の塑性的延性材料が酸素供給下に置いても燃焼しない群から選択される限りにおける防食と
を果たすことが判明した。
【0014】
固定デバイスにおけるパージ管の可能な限り最善の位置決め、固定、および封止に関して、パージ管、開口、およびチャネルが軸対称(回転対称)形状を特徴として有する場合には有利となる。
【0015】
さらに、固定デバイスの底部の開口の断面(特に円形形状の場合の直径)は、パージ管の断面(外径)と同一かまたはそれよりも若干より大きい。このことは、チャネルの内方壁部の内方断面(内径)についても同様に該当する。換言すれば、チャネルの内方壁部は、極端な例では開口の外方壁部と整列状態で延在し、または、むしろ開口の上方セクションを形成する。それにより、開口の軸方向長さが拡大し、これにより開口内に配置されたパージ管は、より良好に案内および固定され得る。
【0016】
(リング形状)チャネル自体は、径方向に矩形断面を特徴として有することが可能である。リング形状コンパクトの壁部が円錐形状断面であることにより、コンパクトが上方からチャネル内に駆動された場合に、パージ管に向かう方向にチャネルの内方壁部を変形させることがさらに可能となる。軸対称形状により、外周部にわたる力分布が均一となる。応力ピークは回避される。
【0017】
また、底部のリング形状チャネルは、チャネルの径方向に見た場合に開口端部に向かって上方へと拡張する断面を特徴として有することが可能である。換言すれば、チャネルの内方壁部は、自由端部に向かって縮小する壁部厚さを特徴として有する。この場合に、準運動学的反転を伴うと、壁部厚さが垂直方向下方セグメントのチャネルの幅よりも大きい限りにおいて、均一な壁部厚さを有するリング形状コンパクト(剛体)を使用することも可能となる。
【0018】
いずれの場合でも、コンパクトの形状は、非荷重状態で短距離にわたりチャネルに進入することが可能となり(チャネルおよびコンパクトを相互に位置決めするために)、その後コンパクトが固定デバイスの軸方向へとチャネル内にさらに駆動されて、チャネルの内方壁部およびさらに該当する場合にはチャネルの外方壁部を変形させるように選択されなければならない。チャネルの内方壁部(ケーシングの底部開口に向かう方向にチャネルを閉鎖する壁部)の延性は、この内方壁部がその内方表面および/または外方表面に例えば外周溝の形態の1つまたは複数の凹部または空洞を特徴として有する場合には上昇する。
【0019】
チャネルの外方壁部の同時変形は、固定デバイスのベース本体への追加の固定が可能となるという利点を有し、これは、リング形状チャネルが、底部の上方セグメントを形成し空間内に遊びをほぼ伴わずに配置される別個の(個別)要素内に延在する場合には特に重要となる。「遊びをほぼ伴わずに」は、要素が、固定デバイスの組立時に空間に容易に挿入され得るが、最終位置に達するとそこに留まることを意味する。また、チャネルのこの外方壁部は、内方壁部に関して以前に説明したように、その内方表面および/または外方表面に凹部を特徴として有することも可能である。
【0020】
これらの凹部により、相対物(チャネルの壁部を基準とする)内におけるコンパクトの所望の変形ならびにしたがってクランプ固定および封止の効果が最適化される。
【0021】
例えば、凹部は、凹部の少なくとも1つの壁部が対応する本体の表面に対して90°以外の角度で延在することをとりわけ特徴とする鋸歯状プロファイルを特徴として有し得る。
【0022】
このための一実施形態が、以下の実施形態の中の1つにおいて示される。
【0023】
その限りにおいて、要素全体は、圧力印加の下で塑性的に延性を有する材料から作製され得る。
【0024】
また、コンパクト自体は、圧力印加の下で塑性的に延性を有する材料から作製され得る。
【0025】
塑性的延性材料は、さらに以下の特徴を有する。
【0026】
一般的に、十分な基本強度以外にパージ管のセラミック材料よりも高い延性(荷重下で)を有する任意の材料が考えられ得る。一般的に、例えば銑鉄などが使用され得る。材料の強度(MPa)を利用して合理的な選択を行い得る。セラミック材料に関して、圧縮強度は、オーストリア規格ONORM EN 993-5:1998にしたがって決定される。特に金属材料の延性に関して、引張強度は、DIN EN ISO 6892-1:2009にしたがって決定される。
【0027】
中空体のセラミック材料(例えばアルミナAl2O3をベースとする)は、2000〜3000MPaの領域の圧縮強度を一般的に有する。例えば、封止壁部(特にチャネルのまたはチャネルを含む別個の要素全体の内部側の壁部)の延性材料は、銅、銅-スズ、銅-スズ-亜鉛、銅-亜鉛、銅-アルミニウム、銅-鉛、銅-ニッケル、銅-ニッケル-亜鉛、アルミニウム等をベースとする材料を含む。これらの材料の典型的な引張強度は、600MPa未満であり、しばしば<500MPa、<400MPa、または<300MPaである。
【0028】
固定デバイス内におけるパージ管の固定の軸方向長さは、異なることが可能であり、より長いほどより良好になる。複数の固定デバイスが、軸方向に連続して、および/またはガスパージブリックの耐火性マトリックス材内で相互に隣接して同一軸方向高さにて組み立てられ得る(配置され得る)。
【0029】
一実施形態によれば、固定デバイスは、ベース本体に装着可能である蓋を特徴として有する。蓋は、ベース本体の底部の開口まで同心状に延在する蓋開口を特徴として有する。
【0030】
したがって、この実施形態では、パージ管は、相互に距離を置いた少なくとも2つの場所で、すなわち蓋の開口のエリア内およびベース本体の底部の開口のエリア内で案内される。
【0031】
パージ管のこの案内は、蓋がベース本体の体積内に突出する延在部を特徴として有する場合に、およびこの延在部が蓋開口の軸方向延在部を備える場合に最適化され得る。これにより、中心軸長さに沿ったパージ管の蓋側の安定化が得られる。
【0032】
好ましくは、蓋の軸方向延在部は、形状嵌めでベース本体内に載置されるように設計される。これにより、ある種の「パイプ-イン-パイプ固定」が形成される。
【0033】
例えば、蓋は、ベース本体に螺着され得る。以下の図面に示すように、ねじ山は、延在部に沿って延在し、ベース本体の内部の雌ねじ山と連携する。
【0034】
延在部が、ベース本体の底部に到達する(取付け状態において)と、パージ管の連続軸方向案内が生じる。ガスパージ管の一方の端部が、底部の開口内に突出し(ガスが主にガスパージ要素のガス分配チャンバからこの開口を経由して供給される)、パージ管の大部分が、頂部にて固定デバイスを越えて突出し、実質的にパージ要素のセラミックマトリックス材を貫通してガス出口側端部まで延在する。
【0035】
やはり本発明の対象である対応するガスパージ要素については、以下の特徴が、冶金容器の底部において、作動位置にて有効となる。
- ガスパージブリックが、下方端部にガス分配チャンバを備える。
- 指定のタイプの複数の固定デバイスが、ガス分配チャンバの天井部内にて相互に距離を置いて配置される。
- 各固定デバイスが、ガスパージブリックのセラミック基材をその上方面まで貫通して延在する円筒状セラミック中空体を保持する。
【0036】
固定デバイスのベース本体が金属から作製される場合には、固定デバイスは、例えば溶接などによってガス分配チャンバの金属天井部に容易に装着され得る。これを実施するために、固定デバイスは、金属天井部の対応する貫通穴を通して送られ、続けて溶接される。
【0037】
ガス分配部材から固定デバイスのベースの開口を通りパージ管内までのガス供給が可能となる点が重要である。
【0038】
本発明のさらなる特徴は、サブクレームの特徴およびさらなる出願文献から明らかになろう。
【0039】
以下、種々の実施形態により本発明をさらに説明する。
【0040】
図面はいずれも概略図である。
【図面の簡単な説明】
【0041】
図1】ガスパージブリックの垂直長手方向断面図である。
図2】ガスパージブリックのガス分配チャンバと連結状態にある固定デバイスの垂直長手方向断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下の図の説明では、全ての詳細は、処理ガスが底部から頂部に軸方向へとガスパージ要素を通り流れる、取瓶などの冶金容器の底部へのガスパージブリックの取付け(位置決め)に関する。
【0043】
図1に示すガスパージデバイスは、ガスパージブリックの下方端部(低温端部)にガス分配チャンバGV中へと排出を行うガス供給パイプGZを特徴として有する。
【0044】
ガス分配チャンバは、上方端部にて金属シートMBにより閉鎖される。金属シートMBは、複数の貫通穴DBを特徴として有し、それらの中の4つが図1に示される。
【0045】
以下でさらに説明されるような固定デバイス10の下方端部12Eが、各貫通穴DBを通り延在する。
【0046】
パージ管SRとも呼ばれる(1つの)円筒状セラミック中空体が、各固定デバイス10を貫通して延在する。各パージ管SRは、下方端部が貫通穴DBの領域に位置し、ガスパージブリックのマトリックス材MMを貫通してガスパージブリックの面STまで軸方向に延在する。この面STは、作動位置においては溶融金属MSに接触する。
【0047】
これに対応して、処理ガスが、ガス供給パイプGZを通して送られ、ガス分配チャンバGVを通りおよび貫通穴DBを通りパージ管SR内へと流れ、その後面STを経由してパージ管SRから退出し、溶融金属MSに流入する。
【0048】
ガスは、ある程度一方向(軸方向)にガスパージブリックを通り流れるため、このガスパージブリックは、マトリックス材MMが全体としては気密性であっても、指向的有孔性を有するガスパージブリックとして識別され得る。
【0049】
図2は、金属シートMBと、したがってガス分配チャンバGVの天井部と協働する固定デバイス10を示す。
【0050】
固定デバイス10は、ベース本体12から構成され、このベース本体12は、その底部12Bおよび外周壁部12Wと共に、対応する中心長手方向軸Mを有する円筒状空間(体積)12Rを画成する。
【0051】
底部12Bは、中心長手方向軸Mと整列する長手方向軸Lを有する開口12Oを特徴として有する。
【0052】
ポット形状を一般的に特徴として有する別個の要素14が、底部12B上に載置される。要素14は、ベース本体12の底部12B上に載置され、したがって底部の上方セグメントを形成する底部14Bを特徴として有する。さらに、要素14は、内方壁部14Iおよび外方壁部14Aを特徴として有する。チャネル14Nが、内方壁部14Iと外方壁部14Aとの間に形成され、非荷重状態(図示せず)では矩形断面を一般的に特徴として有する。
【0053】
要素14の内方壁部14Iの内方表面14IIおよび外方壁部14Aの外方表面14AAは、複数のリング形状溝14Rを特徴とし、これらのリング形状溝14Rは、(軸方向LMに)鋸歯様式で相互に連結される。
【0054】
図2による固定デバイスは、対応するパージ管SRが既に定位置にすなわちリング形状コンパクト16により固定された状態で表示される。コンパクト16は、その径方向壁部断面が下方自由端部16Uから上方へと拡張し、それにより、コンパクト16がチャネル14Nに押し込まれた場合に、チャネル14Nの内方壁部14I、むしろ要素14が変形されることを特徴とする。
【0055】
換言すれば、コンパクト16が駆動すると、内部でチャネル14Nを閉鎖するリング形状内方壁部14Iは、内部へと径方向に変形しており、それにより事実上ある特定の表面積にわたってパージ管SRの外方壁部に連結され、しっかりとおよび気密的に固定デバイス10内にパージ管SRを固定している。
【0056】
この変形を実現するために、要素14は、ベース本体12が鋼本体である場合に真鍮から作製される。コンパクト16の圧力下では、要素14の内方壁部14Iが、変形し、パージ管SR用のガスケットへと疑似的に変わるだけでなく、同時に要素14の外方壁部14Aもまた、径方向に外部へと押され、したがってベース本体12内に要素14をクランプ固定した。
【0057】
先導ツール/コンパクト16の駆動(圧迫)は、この実施形態では蓋18の補助により行われ、この蓋18は、ベース本体の対応する雌ねじ山12Iと連携する雄ねじ山18Aをヘッド18Kの下方に有する軸方向延在部18Vを特徴として有する。
【0058】
ヘッド18Kおよび延在部18Vは、遊びを伴うことなくパージ管SRを位置決めするために使用される連続穿孔18Oを特徴として有する。したがって、穿孔18Oは、一般的には開口12Oと同心状に/整列して、および内方壁部14Iにより閉鎖される自由空間まで延在する。
【0059】
蓋18の下方面18Uがコンパクト16に到達した途端に、この下方面18Uは、チャネル14N内へと下方にさらに押されて、パージ管SRの所望の固定が達成されるまで特に内方壁部14Iの所望の変形を実現する。
【0060】
コンパクト16が、チャネル14N内へと最大レベルまで圧迫されると、小スリットSだけが(公差のために)、蓋ヘッド18Kとベース本体12の対応する上方リムとの間に残ることとなる。
【0061】
金属シートMB上への固定デバイス10の固定は、貫通穴DBの領域での溶接によって(溶接部V)、または貫通穴DBおよびベース本体12の下方テーパ状端部12Eの外方表面への対応する雌ねじ山/雄ねじ山の形成によって実施される。
【符号の説明】
【0062】
M 中心長手方向軸
MM マトリックス材
MB 金属シート
MS 溶融金属
S 小スリット
SR パージ管
ST 面
DB 貫通穴
GV ガス分配チャンバ
GZ ガス供給パイプ
L 長手方向軸
V 溶接部
10 固定デバイス
12 ベース本体
12B 底部
12E 下方端部
12I 雌ねじ山
12O 開口
12R 円筒状空間
12W 外周壁部
14 別個の要素
14A 外方壁部
14B 底部
14I 内方壁部
14N チャネル
14R リング形状溝
14AA 外方表面
14II 内方表面
16 リング形状コンパクト
16U 下方自由端部
18 蓋
18A 雄ねじ山
18B 穿孔
18K ヘッド
18O 連続穿孔
18U 下方面
18V 軸方向延在部
図1
図2