(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
湿式不織布に金属皮膜処理を施してなる電磁波シールド材であって、単繊維繊度が1.1dtex以下のポリエステル繊維を含み、かつ厚さが10〜30μmの範囲内であり、かつ前記湿式不織布の目付けが10g/m2以下であることを特徴とする電磁波シールド材。
前記金属皮膜処理に用いられる金属が、金、銀、銅、アルミニウムおよびニッケルからなる群より選択される1種以上からなる、請求項1〜5のいずれかに記載の電磁波シールド材。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の電磁波シールド材は、湿式不織布に金属メッキを施してなる電磁波シールド材であって、単繊維繊度が1.1dtex以下(より好ましくは0.0001〜0.8dtex、特に好ましくは0.001〜0.15dtex)のポリエステル繊維が含まれる。かかるポリエステル繊維は、特許第4473867号公報に記載されたような超極細繊維であってもよい。
【0010】
前記ポリエステル繊維の単繊維繊度が1.1dtexよりも大きい場合、電磁波シールド材の厚さが厚くなるおそれがあり好ましくない。
前記ポリエステル繊維の繊径(直径)としては10μm以下(より好ましくは5μm以下)であることが好ましい。なお、該繊径(直径)は、単繊維断面形状が丸断面以外の場合は外接円の直径を測定するものとする。
【0011】
前記ポリエステル繊維を形成するポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレートやポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ乳酸、ステレオコンプレックスポリ乳酸などのポリエステルや、第3成分を共重合させた共重合ポリエステルなどが好ましく例示される。かかるポリエステルとしては、マテリアルリサイクルまたはケミカルリサイクルされたポリエステルや、特開2009−091694号公報に記載された、バイオマスすなわち生物由来の物質を原材料として得られたモノマー成分を使用してなるポリエチレンテレフタレートであってもよい。さらには、特開2004−270097号公報や特開2004−211268号公報に記載されているような、特定のリン化合物およびチタン化合物を含む触媒を用いて得られたポリエステルでもよい。該ポリマー中には、本発明の目的を損なわない範囲内で必要に応じて、微細孔形成剤、カチオン染料可染剤、着色防止剤、熱安定剤、蛍光増白剤、艶消し剤、着色剤、吸湿剤、無機微粒子が1種または2種以上含まれていてもよい。
【0012】
前記ポリエステル繊維は前記のポリエステルを常法により紡糸・延伸した繊維でよい。その際、前記ポリエステル繊維は前記のポリエステルを1成分とする複合繊維であってもよいが、前記のポリエステル成分単独からなる繊維が好ましい。
【0013】
また、前記ポリエステル繊維の単繊維断面形状は特に限定されず、丸断面、十断面、H断面、T断面、Y断面、異型多フィン断面、中空断面などいずれでもよいが、極細繊維を容易に製造できる点で丸断面が好ましい。
【0014】
また、前記ポリエステル繊維において、繊維の形態は長繊維でもよいが、繊維の分散性をあげることによりバインダー成分の流動性を向上させバインダー成分による固着点が形成されやすくする上で短繊維が好ましい。その際、繊維長としては1〜25mm(より好ましくは2〜10mm)の範囲内であることが好ましい。該繊維長が1mmよりも小さいと、湿式不織布の強度が低下するおそれがある。逆に、該繊維長が25mmよりも大きいと、水分散が極めて難しく、均一な地合いを有する湿式不織布が得られないおそれがある。
【0015】
また、前記ポリエステル繊維において、捲縮については、付与されていてもよいし付与されてなくてもよい。捲縮が付与されている場合、捲縮付与方法としては、熱収縮率の異なるポリマーをサイドバイサイド型にはり合わせた複合繊維を用いてスパイラル状捲縮を付与するか、または異方冷却によりスパイラル状捲縮を付与するか、または通常の押し込みクリンパー方式による機械捲縮を付与するなどの種々の方法を用いればよく、嵩高性、製造コスト等の面から機械捲縮を付与するのが最適である。その際、捲縮数としては3〜40個/2.54cm(より好ましくは7〜15個/2.54cm)が好ましい。
【0016】
本発明の電磁波シールド材を構成する湿式不織布には、前記のポリエステル繊維だけでなくバインダー成分も含まれていることが好ましい。
かかるバインダー成分としては、バインダー繊維でもよいし、非繊維系樹脂バインダー(例えば、粉末状のケミカルバインダー)でもよい。なかでも強固な固着点を得て湿式不織布の強度および曲げ剛性を高める上で、バインダー繊維が好ましい。
その際、バインダー繊維において、単繊維繊度が1.8dtex以下(より好ましくは0.0001〜1.3dtex、特に好ましくは0.001〜0.3dtex)であることが好ましい。該単繊維繊度が1.8dtexよりも大きいと、電磁波シールド材の厚さが厚くなるおそれがある。
【0017】
また、前記バインダー繊維の繊維長としては、1〜25mm(好ましくは2〜10mm)の範囲内であることが好ましい。該繊維長が1mmよりも小さいと、湿式不織布の強度や曲げ剛性が低下するおそれがある。逆に、該繊維長が25mmよりも大きいと、水分散が極めて難しく、均一な地合いを有する湿式不織布が得られないおそれがある。
【0018】
かかるバインダー繊維としては、湿式不織布の強度を大きくする上でポリエステルからなる未延伸繊維が好ましい。かかる未延伸繊維としては、ポリエチレンテレフタレートやポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステルを紡糸速度が800〜1,200m/分で紡糸された未延伸繊維が挙げられる。好ましくは、ポリエチレンテレフタレートやポリトリメチレンテレフタレートからなる未延伸繊維である。ポリエチレンテレフタレートやポリトリメチレンテレフタレートからなる未延伸繊維は、通常、o−クロロフェノール、35℃で測定された固有粘度が0.80〜1.00dL/gのポリマーを240〜280℃の紡糸口金から吐出し、800〜1200m/分、好ましくは900〜1100m/分で巻き取ることにより得られる。この未延伸繊維は、通常、複屈折率が0.01〜0.05で、融点は220〜230℃であり、バインダー繊維として有用である。
【0019】
また、バインダー繊維として、主体繊維を形成するポリマーよりも40℃以上低い融点を有するポリマーが熱融着成分としてその表面に配された芯鞘型バインダー繊維でもよい。
ここで、熱融着成分として配されるポリマーとしては、ポリウレタン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、非弾性ポリエステル系ポリマー及びその共重合物、ポリオレフィン系ポリマー及びその共重合物、ポリビニルアルコール系ポリマー等を挙げることができる。
【0020】
このうち、ポリウレタン系エラストマーとしては、分子量が500〜6,000程度の低融点ポリオール、例えばジヒドロキシポリエーテル、ジヒドロキシポリエステル、ジヒドロキシポリカーボネート、ジヒドロキシポリエステルアミド等と、分子量500以下の有機ジイソシアネート、例えばp,p’−ジフェニールメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート水素化ジフェニールメタンイソシアネート、キシリレンイソシアネート、2,6−ジイソシアネートメチルカプロエート、ヘキサメチレンジイソシアネート等と、分子量500以下の鎖伸長剤、例えばグリコールアミノアルコールあるいはトリオールとの反応により得られるポリマーである。
【0021】
これらのポリマーのうちで、特に好ましいのはポリオールとしてはポリテトラメチレングリコール、またはポリ−ε−カプロラクタムあるいはポリブチレンアジペートを用いたポリウレタンである。この場合の有機ジイソシアネートとしてはp,p’−ビスヒドロキシエトキシベンゼンおよび1,4−ブタンジオールを挙げることができる。
【0022】
また、ポリエステル系エラストマーとしては、熱可塑性ポリエステルをハードセグメントとし、ポリ(アルキレンオキシド)グリコールをソフトセグメントとして共重合してなるポリエーテルエステル共重合体、より具体的にはテレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、ナフタレン−2,7−ジカルボン酸、ジフェニル−4,4’−ジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸、コハク酸、シュウ酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカンジ酸、ダイマー酸等の脂肪族ジカルボン酸またはこれらのエステル形成性誘導体などから選ばれたジカルボン酸の少なくとも1種と、1,4−ブタンジオール、エチレングリコールトリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ペンタメチレングリコール、ヘキサメチレングリコールネオペンチルグリコール、デカメチレングリコール等の脂肪族ジオールあるいは1,1−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンメタノール等の脂環式ジオール、またはこれらのエステル形成性誘導体などから選ばれたジオール成分の少なくとも1種、および平均分子量が約400〜5,000程度のポリエチレングリコール、ポリ(1,2−および1,3−ポリプロピレンオキシド)グリコール、ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコール、エチレンオキシドとプロピレンオキシドとの共重合体、エチレンオキシドとテトラヒドロフランとの共重合体等のポリ(アルキレンオキサイド)クリコールのうち少なくとも1種から構成される三元共重合体を挙げることができる。
【0023】
特に、接着性や温度特性、強度の面からすれば、ポリブチレン系テレフタレートをハード成分とし、ポリオキシブチレングリコールをソフトセグメントとするブロック共重合ポリエーテルエステルが好ましい。この場合、ハードセグメントを構成するポリエステル部分は、主たる酸成分がテレフタル酸、主たるジオール成分がブチレングリコール成分であるポリブチレンテレフタレートである。むろん、この酸成分の一部(通常、30モル%以下)は他のジカルボン酸成分やオキシカルボン酸成分で置換されていても良く、同様にグリコール成分の一部(通常、30モル%以下)はブチレングリコール成分以外のジオキシ成分で置換されていても良い。また、ソフトセグメントを構成するポリエーテル部分は、ブチレングリコール以外のジオキシ成分で置換されたポリエーテルであってよい。
【0024】
共重合ポリエステル系ポリマーとしては、アジピン酸、セバシン酸などの脂肪族ジカルボン酸、フタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸類および/またはヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸などの脂環式ジカルボン酸類と、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、パラキシレングリコールなどの脂肪族や脂環式ジオール類とを所定数含有し、所望に応じてパラヒドロキシ安息香酸などのオキシ酸類を添加した共重合エステル等を挙げることができ、例えばテレフタル酸とエチレングリコールとにおいてイソフタル酸および1,6−ヘキサンジオールを添加共重合させたポリエステル等が使用できる。
また、ポリオレフィン系ポリマーとしては、例えば低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、さらにはそれらを変性した物等を挙げることができる。
【0025】
前記芯鞘型バインダー繊維において、熱融着成分の相手側成分としては前記のようなポリエステルが好ましく例示される。その際、熱融着成分が、少なくとも1/2の表面積を占めるものが好ましい。重量割合は、熱融着成分とポリエステルが、複合比率で30/70〜70/30の範囲にあるのが適当である。芯鞘型バインダー繊維の形態としては、特に限定されないが、熱融着成分とポリエステルとが芯鞘型であることが重要である。この芯鞘型バインダー繊維では、ポリエステルが芯部となり、熱融着成分が鞘部となるが、この芯部は同心円状、若しくは、偏心状にあってもよい。主体繊維との接着性や、抄紙工程での工程性(分散性等)の観点から、芯にポリエステルを配し、鞘に低融点ポリエステルを配す事がより好ましい。
なお、上述のポリマー中には、各種安定剤、紫外線吸収剤、増粘分岐剤、艶消し剤、着色材その他各種の改良剤等も必要に応じて配合されていても良い。
【0026】
本発明の電磁波シールド材において、湿式不織布を構成する主体繊維が前記ポリエステル繊維だけで構成されることが最も好ましいが、必要に応じて(例えば、主体繊維の40重量%以下)他の繊維が含まれていてもよい。
また、湿式不織布に含まれる前記ポリエステル繊維とバインダー成分の重量比率は、(ポリエステル繊維/バインダー成分)80/20〜20/80(より好ましくは60/40〜40/60)であることが好ましい。ポリエステル繊維が80重量%を超える(バインダー成分が20重量%未満)と、湿式不織布の形態を構成する接着点が少なくなり過ぎ、強度不足となるおそれがある。一方、ポリエステル繊維が20重量%未満(バインダー成分が80重量%より大)では、不織布を生産する際に収縮が発生しやすく、厚み斑や密度斑が発生するおそれがある。
【0027】
本発明の電磁波シールド材において、湿式不織布を製造する方法は湿式不織布を製造する通常の方法でよい。すなわち、通常の長網抄紙機、短網抄紙機、丸網抄紙機、あるいはこれらを複数台組み合わせて多層抄きなどにしても何ら問題ない。
【0028】
熱処理工程としては、抄紙工程後、ヤンキードライヤー、あるいはエアースルードライヤーのどちらでも可能である。また、金属/金属ローラー、金属/ペーパーローラー、金属/弾性ローラーなどのカレンダー/エンボスを施しても良い。特にカレンダー加工(2本のロールの間に不織布を通す加工)を不織布に施すと、バインダー成分が熱溶融し、該バインダー成分が熱接着されるため、湿式不織布の強度が向上し好ましい。
その際、熱カレンダー処理としては、温度が150〜230℃(より好ましくは180〜200℃)で、圧力が80〜240kg/cm(784〜2352N/cm)(より好ましくは120〜180kg/cm(1176〜1764N/cm))であることが好ましい。
【0029】
次いで、前記湿式不織布に金属皮膜処理を施す。処理方法としては、公知の方法が用いられ、無電界金属メッキ、電気メッキ、金属蒸着、スパッタリング加工などいずれでもよく、なかでも無電界金属メッキによる方法が好ましい。前記金属皮膜は1層でもよいし2層以上の多層であってもよい。
その際、金属の種類としては、金、銀、銅、亜鉛、ニッケル、スズ、またはこれらの合金などがあげられ、なかでも導電性と製造コストとを考慮して銅の無電界金属メッキが好ましい。
【0030】
さらに金属皮膜処理の加工工程に示すと、前記湿式不織布を前処理工程に供給して湿式不織布表面に付着している糊剤、油剤を除去するために精錬処理を行い、その後、必要に応じてアルカリ性溶液に該湿式不織布を浸漬して減量加工を行う。精錬処理された湿式不織布は、キャタリスト工程として無電界金属メッキの核となるパラジウムをスズでコロイド化した処理剤を繊維表面に吸着させ、水洗した後、アクセレート工程にて該コロイドの活性化処理を行うことが好ましい。活性化処理した後、再び水洗して銅メッキ浴に浸漬することにより、湿式不織布の表面に金属皮膜を形成することができる。
【0031】
前記金属皮膜の厚さとしては、平均値で0.1〜2.0μmの範囲内であることが好ましい。皮膜の厚さが該範囲よりも小さいと十分な電磁波シールド性が得られないおそれがある。逆に、皮膜の厚さが該範囲よりも大きいと金属皮膜の脱落が起こりやすくなるおそがある。さらに、防錆のため、ニッケル等の防錆性の良好な金属をその外層に積層してもよい。その際、その積層方法は前記の方法で実施可能であり、特に、無電界メッキや電解メッキによる方法が好ましい。
【0032】
前記湿式不織布と金属皮膜層との重量比率としては(湿式不織布/金属皮膜層)75/25〜25/75(より好ましくは60/40〜40/60)の範囲内であることが好ましい。金属皮膜層の重量比率が該範囲よりも小さいと、繊維が露出し電磁波シールド性が低下するおそれがある。逆に金属皮膜層の重量比率が該範囲よりも大きいと、金属皮膜層の重量が過多となり柔軟性が低下するおそれがある。
かくして得られた電磁波シールド材は、電磁波シールド性を損うことなく、薄くかつ強度に優れる。
【0033】
ここで、電磁波シールド材の厚さとしては10〜30μmの範囲内であることが肝要である。該厚さが30μmよりも大きいと、厚さが厚くなり電子機器、通信機器、電化製品などに使えないおそれがある。逆に該厚さが10μmよりも小さいと、強度が低下するおそれがある。
また、電磁波シールド材の引張り強度としては15mm巾で5N以上(より好ましくは8〜50N)であることが好ましい。また、表面抵抗値が0.06Ω/□以下であることが好ましい。また、100〜1000MHzでの電磁波シールド性が30dB以上であることが好ましい。
【0034】
本発明の電磁波シールド材は、電磁波シールド性を損うことなく、薄くかつ強度に優れるので、電子機器用、通信機器用、電化製品用などとして好適に用いられる。これらの機器や製品には、携帯電話、スマートフォン、モバイルフォン、パーソナルコンピューター、モバイルなどの機器やこれらを収納するケース、テレビジョンや洗濯機などの電化製品が含まれる。特に、本発明の電磁波シールド材は、プラスチックハウジング、フレキシブルプリント基板、電線ケーブル、コネクターケーブル等に、接着、圧着、融着、巻きつけ等により固定することにより好適に使用される。
【実施例】
【0035】
次に本発明の実施例及び比較例を詳述するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。なお、実施例中の各測定項目は下記の方法で測定した。
(1)引張り強度(裂断長)
JIS P8113(紙及び板紙の引張強さ試験方法)に基づいて実施した。
(2)伸度
JIS P8132(紙及び板紙の伸び試験方法)に基づいて実施した。
(3)目付け
JIS P8124(紙のメートル坪量測定方法)に基づいて実施した。
(4)厚み
JIS P8118(紙及び板紙の厚さと密度の試験方法)に基づいて実施した。
(5)密度
JIS P8118(紙及び板紙の厚さと密度の試験方法)に基づいて実施した。
(6)表面抵抗値
JIS K7194(導電性プラスチックの4探針法による抵抗率試験方法)に基づいて測定した。
(7)電磁波シールド性(電界)
KECによる電磁波シールド性(電界)に基づき測定した。
(8)通気度
JIS L1913(一般短繊維不織布試験方法)に基づいて測定した。
【0036】
[実施例1]
常法によって製造された、ポリエチレンテレフタレートからなるポリエステル繊維(帝人株式会社製、登録商標:テピルス、銘柄:TA04N SD0.6dtex(繊径7.4μm)×繊維長5mm)と未延伸型バインダー繊維(帝人株式会社製、銘柄:TA07N SD1.2dtex(繊径10.7μm)×繊維長5mm)とを(ポリエステル繊維/未延伸型バインダー繊維)60/40の重量比で原料を準備し、円網抄紙機を用いて、目付け15g/m
2を得た後、金属/弾性ローラーからなる熱圧カレンダー設備を用いて(温度190℃×線圧50kg/cm)を施した。
その後、無電解メッキ法により銅、ニッケルのメッキを実施した後、電磁波シールド材を得た。その物性を表1に示す。
次いで、かかる電磁波シールド材を電子機器用として用いたところ、薄くかつ強度に優れるものであった。
【0037】
[実施例2]
実施例1で用いた繊維と同構成にて、目付を10g/m
2としたこと以外は同様の加工を実施して電磁波シールド材を得た。その結果を表1に示す。
【0038】
[実施例3]
実施例1で用いたポリエステル繊維を極細ポリエチレンテレフタレート繊維(帝人株式会社製、銘柄:TA04PN SD0.1dtex(繊径3μm)×繊維長3mm)に変更し、かつ未延伸型バインダー繊維を極細ポリエチレンテレフタレート未延伸型バインダー繊維(帝人株式会社製、銘柄:TK08PN SD0.2dtex×繊維長3mm)に変更し、ポリエステル繊維/バインダー繊維の比率を50/50とする以外は同様の方法で電磁波シールドを得た。その物性を表1に示す。
【0039】
[実施例4]
実施例3で用いた繊維と同構成にて、目付を10g/m
2と変更したこと以外は実施例3と同様の加工を実施し、電磁波シールド材を得た。その結果を表1に示す。
【0040】
[実施例5]
実施例3で用いた繊維と同構成にて、目付を8g/m
2と変更したこと以外は実施例3と同様の加工を実施し、電磁波シールド材を得た。その結果を表1に示す。
【0041】
[比較例1]
実施例1で用いたポリエステル繊維を変更(帝人株式会社製、銘柄:TT04N SD1.7dtex(繊径12μm)×繊維長5mm)に変更すること以外は実施例1と同様の加工を実施し、電磁波シールド材を得た。その物性を表1に示す。
【0042】
[比較例2]
実施例1において、目付けのみを変更したこと以外は実施例1と同様の方法で電磁波シールド材を得た。その物性を表1に示す。
【0043】
【表1】