(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
上記光源は、LEDであり、上記透明伝熱部材およびこの透明伝熱部材に熱を伝える上記伝熱手段は、少なくとも上記LEDと同等の耐熱性を有する、請求項1の照明装置。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、実施形態について説明する。
ここでは、照明装置のいくつかの実施形態として、室内の天井等に設けられたソケットに脱着可能に取り付けるLED電球101、102、103、104、105、106、107、108について説明する。
【0011】
(第1の実施形態)
図1(a)は、第1の実施形態に係るLED電球101を示す外観図であり、
図1(b)は、このLED電球101をその管軸を通る面で縦に2分割した断面図である。
図1(a)に示すように、LED電球101は、天井の図示しないソケットに螺合する口金2、中空な略球殻状の透明なグローブ4(透明伝熱部材)(
図1(b)に断面を図示)、およびこのグローブ4の表面4aを覆う透明な保護部材5を有する。口金2は、ソケットに対してLED電球101を電気的且つ機械的に接続する。
【0012】
LED電球101をソケットに取り付けた図示の状態では、口金2はグローブ4の鉛直上方に位置する。口金2は、有底の円筒形の金属であり、図示下端に円形の開口2aを有する。室内の電源等によりソケットを介して給電すると、口金2に接続した光源10から光が射出し、口金2の図示下方に設けたグローブ4の表面4aから光が出射し、保護部材5を透過した光が室内を照明する。
【0013】
図1(b)に示すように、LED電球101の内部には、電源回路6、基板8(背面側伝熱部材)、光源10、およびレンズ12が設けられている。
電源回路6は、口金2の内部に収容配置されている。電源回路6は、天井のソケットから供給される電力を光源10に供給する。具体的には、ソケットから交流電圧が印加され、電源回路6が、交流電圧(例えば、100V)を直流電圧に変換し、光源10に対してこの直流電圧を印加する。口金2と電源回路6とは、図示しない配線により電気的に接続されている。また、電源回路6と光源10とは、図示しない配線により電気的に接続されている。
【0014】
基板8は、円板状のものであり、その表面8aに光源10を備え、口金2の開口2aを塞ぐように接触して取り付けられる。電源回路6は、基板8の裏面8b側に配置される。基板8は、図示しない接合部材を介して、その周縁部が口金2の開口2aに接合される。この接合部材は、PBSやPEEK等の電気絶縁性、耐熱性、耐燃焼性を有する素材であることが好ましい。
【0015】
基板8は、例えば、アルミ、銅、鉄等を含む金属や、セラミックス等により形成できる。基板8は、少なくともグローブ4や保護部材5よりも高い熱伝導率を有する材料で形成することが好ましく、例えば、耐熱性の高い樹脂を用いて形成される。
【0016】
光源10は、例えば、基板8の表面8aに実装されるLEDチップ、およびこのLEDチップを基板8の表面8aに封止した透明な樹脂製の封止部材を有する。或いは、光源10として、基材に取り付けたLEDチップを基材に封止した基板8とは別体のLED素子を用いても良い。この光源10は、電源回路6から給電されることで、可視光を射出する。この際、LEDチップを封止した封止部材の表面が発光面として機能する。
【0017】
光源10は、基板8の表面8aに1つまたは複数設けられ、例えば白色光等の可視光を射出する。光源10の光の射出方向は基板8の表面8aから離れる方向である。一例として、光源10には、波長450nmの青色光を発生するLEDチップを、青色光を吸収して波長560nm近傍の黄色光を発生する蛍光体を含む樹脂材等で封止したものが用いられる。
【0018】
特に、基板8とは別体のLED素子を光源10として用いる場合、このLED素子を、熱伝導性に優れるシートや粘着テープ、接着剤、サーマルグリス(図示せず)を介して基板8の表面8aに取り付ける。これにより、光源10が発する熱を基板8に良好に伝えることができ、光源10と基板8との間の接触熱抵抗を小さくできる。なお、基板8の表面8aとLED素子との間に電気的な絶縁が必要な場合には、光源10は、電気絶縁性を有する素材(絶縁シート等)を介して基板8の表面8aに接するように設けられる。
【0019】
レンズ12は、基板8の表面8aに接触する略円環状の背面12aを有する。背面12aの中央には、光源10を非接触状態で収容配置するための凹部12bが設けられている。凹部12bの内面は、光源10の発光面に近接対向した受光面として機能する。レンズ12の表面12cは、この表面12cを通過する光を屈折させて透過させることで所望する方向へ配光する曲面を構成している。ここでは、表面12cの形状について詳述しない。
【0020】
レンズ12は、図示のように必ずしも光源10に対して非接触で配置する必要はなく、光源10の発光面に密着して配置しても良い。本実施形態では、1mmに満たない隙間を介して光源10の発光面にレンズ12が対向するように、凹部12bの形状およびサイズを設計した。いずれにしても、レンズ12の表面に光源10の発光面に近接対向する部位(本実施形態では凹部12bの内面)を設けることで、レンズ12を光源10の発光面に近付けて配置することができ、レンズ12に対する光の入射光率を高めることができる。
【0021】
レンズ12は、可視光に対して透明で、光源10と同等の耐熱温度(100℃以上)を有し、一般的な樹脂より高い熱伝導率(1.0W/mK以上)を有する材料、例えば、ガラスにより形成される。レンズ12は、その側面12dがグローブ4の内面4bに密着するように取り付けられている。
【0022】
具体的には、レンズ12は、熱伝導性に優れるシートや粘着テープ、接着剤、サーマルグリス、ネジ(図示せず)等を介して、基板8の表面8aに取り付けられる。これにより、基板8の表面8aからレンズ12の背面12aに熱を良好に伝えることができ、基板8の表面8aとレンズ12の背面12aとの間の接触熱抵抗を小さくできる。
【0023】
また、レンズ12は、熱伝導性に優れる透明なシートや粘着テープ、熱伝導性に優れる透明な接着剤、熱伝導性に優れる透明なサーマルグリス等を介して、グローブ4の内面4bに密着される。これにより、光源10から直接、および基板8の表面8aを介してレンズ12に伝えられた熱を、グローブ4の内面4bに良好に伝えることができ、レンズ12の側面12dとグローブ4の内面4bとの間の接触熱抵抗を小さくできる。
【0024】
グローブ4は、中空な球殻の上端を口金2の方向に膨出させて円形の開口4cを形成した形状を有する。グローブ4は、可視光に対して透明(透過率92%以上)で、光源10と同等の耐熱温度(100℃以上)を有し、一般的な樹脂より高い熱伝導率(1.0W/mK以上)を有する材料、例えば、ガラスにより形成されている。
【0025】
グローブ4の内面4bは、光源10およびレンズ12に対向する。グローブ4の外面には、薄い空気層7を介して、保護部材5が設けられている。保護部材5は、グローブ4の表面4aの全面をカバーしている
。
【0026】
グローブ4の開口4c側の端面4dは、基板8の表面8aに接触するとともに、口金2の開口2a側の端面にも接触している。具体的には、グローブ4の端面4dは、熱伝導性に優れるシートや粘着テープ、接着剤、サーマルグリス(図示せず)等を介して、基板8の表面8aおよび口金2の端面に密着されている。
【0027】
本実施形態では、レンズ12をグローブ4と別体に設けたが、これに限らず、レンズ12とグローブ4を一体に形成しても良い。この場合、レンズ12の側面12dとグローブ4の内面4bとの間の接合部の熱抵抗が無くなるので、その分、LED電球101の放熱性能を向上させることができる。
【0028】
保護部材5は、可視光に対して透明もしくは半透明(透過率85%以上)であり、光源10と同等の耐熱温度(100℃以上)を有し、落下衝撃に耐える機械的強度を有し、且つ、難燃性を有する材料により形成することが望ましい。保護部材5は、例えば、ポリカーボネイトを用いて形成される。
【0029】
保護部材5の内面は、グローブ4の表面4aに対して空気層7を介して対向する。保護部材5は光学的な拡散材を含んでも良い。この場合、保護部材5の内面から入射した光が、保護部材5を透過する際に拡散されて、保護部材5の外面から外部空間に射出される。これにより、光の広がりがもたらされる。
【0030】
保護部材5は、光を透過する機能と、グローブ4を衝撃から保護する機能と、グローブ4が破損した場合に、グローブ4が飛散することを防止する機能と、を担う。また、保護部材5は、グローブ4から伝わる熱を外部空間へ放射する役割を担う。
【0031】
上記構造のLED電球101を点灯させると、光源10の発光面から射出された光は、レンズ12、グローブ4、および保護部材5を透過して、LED電球101の外部に照射される。
このとき、レンズ12の表面12cで光の一部が反射されて配光角がつけられて広配光にされる。このため、仮に、グローブ4や保護部材5に拡散材を含ませたりサンドブラスト加工を施したりして光拡散性を持たせなくても、ある程度広がりのある光を生出させることができる。このように、グローブ4および保護部材5が共に拡散材などを含まない透明な材料で形成されている場合には、このLED電球101はクリア電球となる。
【0032】
レンズ12を透過した光は、グローブ4や保護部材5をそのまま透過するとともに、グローブ4や保護部材5の内部を伝って全体に拡がる。この際、グローブ4や保護部材5に拡散材を含ませたり表面にサンドブラスト加工を施したりして光の拡散性を持たせると、より光が拡がり明るさが均一になる。本実施形態では、保護部材5に拡散材を含ませて光の拡散性を持たせた。このように、グローブ4および保護部材5の少なくとも一方が拡散材などを含む場合、このLED電球101はシリカ電球となる。
【0033】
以上のように、本実施形態では、光源10の発光面にレンズ12を近接対向させて配置し、レンズ12の側面12dに密着して比較的肉厚のグローブ4を配置したため、光源10から射出される光を効率良くグローブ4に伝えることができ、グローブ4を介して光を効果的に伝えることができ、良好な照明光を得ることができる。
【0034】
一方、光源10から発生する熱は、以下のように伝達されてLED電球101の外部へ放熱される。
第1に、光源10の熱は、その背面側から基板8へ伝えられ、基板8の表面8aに接触しているグローブ4を介してLED電球101の発光部の全体に伝えられる。また、基板8の熱は、表面8aに接触したレンズ12を介してグローブ4に伝えられるとともに、レンズ12を介してグローブ4内の空間(空気)に伝えられる。さらに、光源10の熱は、凹部12bを介して直接レンズ12に伝熱され、グローブ4およびグローブ4内部の空間へ伝えられる。このようにして、グローブ4に伝えられた熱は、空気層7を伝って保護部材5に伝熱され、保護部材5の外面全体から外部へ放熱される。
【0035】
第2に、光源10の熱は、基板8を介して口金2へ伝熱される。口金2へ伝えられた熱は、天井の図示しないソケットへ伝えられて放熱される。なお、発熱源として、上述した説明では、光源10のみを例にあげて説明したが、これ以外に、電源回路6も発熱源となる。この電源回路6から発生する熱は、基板8の裏面8bに伝えられるとともに、口金2にも伝えられる。
【0036】
以上のように、本実施形態によると、光源10の光を伝えるための導光部材(グローブ4、保護部材5、レンズ12)を介して光源10の熱をLED電球101全体に伝えることができ、放熱性能を高めることができる。
【0037】
以下、本実施形態のLED電球101において、良好な放熱性能を発揮するための、グローブ4の厚さ、保護部材5の厚さ、および空気層7の厚さについて考察する。
グローブ4の形状を球殻に近似し、管軸を中心軸とした場合、経度方向の熱抵抗R
tlは次式1で表される。
【数1】
【0038】
ここで、r
1は球殻の内半径、r
2は外半径、θ
1とθ
2は緯度、λは熱伝導率である。E26型口金2で直径φ55mm、全長98mmのLED電球101の口金2を除く表面積は約108cm
2であり、これと表面積が等しい球殻の外半径は約30mmとなる。口金2の直径を考慮すればθ
2は約153°、球の表面積をおおよそ二分割する角度θ
1は約87°となる。グローブ4の材質をガラス(1.1W/mK)とした場合、グローブ4の厚さと熱抵抗の関係は
図9に表される。グローブ4から放熱するには、R
slは30K/W以下であることが望ましいため、グローブ4の厚さは約7mm以上であることが望ましい。
【0039】
光源10から、グローブ4を介する放熱経路において、保護部材5は熱抵抗となる。また、グローブ4と保護部材5の間は密着させても隙間を設けても良く、隙間を設ける場合には、グローブ4と保護部材5の間の空気層7も熱抵抗となる。グローブ4、空気層7、保護部材5の形状を球殻に近似した場合、グローブ4の表面4aから保護部材5の内面に向かう方向の熱抵抗R
atは次式2で表される。
【数2】
【0040】
ここで、r
1は球殻の内半径、r
2は外半径、θ
1とθ
2は緯度、λは熱伝導率である。E26型口金2で直径φ55mm、全長98mmのLED電球101の口金2を除く表面積は約108cm
2であり、これと表面積が等しい球殻の外半径は約30mmとなる。口金2の直径を考慮すればθ
2は約153°、θ
1は0°となる。保護部材5と空気層7の厚さと熱抵抗の関係は
図10に表される。グローブ4からの放熱を促すには、R
atは30K/W以下であることが望ましく、少なくとも保護部材5の厚さは約20mm以下、空気層7の厚さは約7mm以下であることが望ましい。
【0041】
以上のように、本実施形態のLED電球101によると、高い透過性と耐熱性を有するグローブ4を用い、さらにグローブ4の厚さを適切な値に設定することで、LED電球101の光射出面積を広く取ることができ、同時に放熱性能を高くすることができる。また、グローブ4を覆う保護部材5が、高い耐熱温度を有し、高い機械的強度を有し、拡散材を含み、さらに厚さを適切な値に設定することで、広い面積の光射出・広配光・放熱・耐衝撃性を両立させることが可能となる。また、グローブ4と保護部材5の間に適切な間隔(空気層7)を設けることで、LED電球101の耐衝撃性能をさらに向上させることができる。
【0042】
また、グローブ4は、内部あるいはその内面4bに散乱体を含んでも良い。この場合、LED電球101の配光角をさらに広げることが出来る。
【0043】
なお、本実施形態では、保護部材5がグローブ4の全面を覆う構造を採用したが、グローブ4の一部を覆う保護部材5を設けても良い。この場合、保護部材5からの放熱に加え、保護部材5で覆われていないグローブ4の露出した表面4aの部位から直接放熱することができる。
【0044】
また、保護部材5の代わりに、グローブ4の表面4aに、光拡散・飛散防止のためのコーティングを施しても良く、シートを貼り付けても良い。この場合、拡散性・耐衝撃性は低下するが、保護部材5及び空気層7による熱抵抗を少なくすることができる。
【0045】
また、保護部材5とグローブ4の表面4aとの間に図示しない支持部材を設けても良い。このような支持部材を設けることで、保護部材5とグローブ4の表面4aとの間の隙間7を適切に維持することができ、LED電球101に対してより高い機械的強度を付与でき、耐衝撃性を高めることができる。また、高い熱伝導率を有する支持部材を用いることで、放熱性能を高めることができる。
【0046】
また、本実施形態では、上述したように、光源10の周辺に金属を配置しないようにした。具体的には、光源10の発光面の面積をAとした場合、光源10の発光面の発光方向(-90°から+90°まで)で、光源10からの距離dが次式3の範囲内には金属を配置しないようにした。
【数3】
【0047】
一般に、本実施形態のように、光源10の周辺に金属を設けない場合、光源10からの熱を逃がすための放熱経路を確保するのが難しい。しかし、本実施形態では、金属の代わりに、ある程度熱伝導性の高い光透過性の材料を光源10の近くに配置することで、光源10の放熱経路を確保するようにした。
【0048】
光源10から射出される光は、発光面に近いほど輝度(光のエネルギー密度)が高い。そのため、発光面の近くに金属あるいは光吸収性の材料が存在すると、それらに光が吸収されてしまい、器具効率の低下を招く。そこで、光源10の周辺部には、そのような吸収性の材料を配置しないことが望ましい。
【0049】
また、本実施形態では、グローブ4の内部に空間を設けたが、これに限らず、グローブ4を中実に構成しても良い。この場合、式1で表される熱抵抗は最小となる。
【0050】
(第2の実施形態)
図2(a)は、第2の実施形態に係るLED電球102を示す外観図であり、
図2(b)は、このLED電球102をその管軸を通る面で縦に2分割した断面図である。
本実施形態のLED電球102は、保護部材5と空気層7の間に複数本の金属細線22を有し、レンズ12の代わりに発光体24を有する以外、上述した第1の実施形態のLED電球101と同様の構造を有する。よって、ここでは、上述した第1の実施形態のLED電球101と同様に機能する構成要素には、同一符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0051】
各金属細線22は、一端(図示上端)が口金2の端面に接触し、他端がグローブ4の頂点(図示最下端)まで延びている。これら複数本の金属細線は、保護部材5を介してLED電球102の外部へ射出される光の透過を妨げるため、例えば、透明な伝熱性の他の材料で形成しても良い。本実施形態では、複数本の金属細線22の線径、間隔、本数などを適当な値に調整することで、LED電球102の透明感を損なわないよう工夫した。
【0052】
複数本の金属細線22は、グローブ4によるLED電球102の放熱を補助するよう機能する。つまり、各金属細線22は、グローブ4の熱を効果的に保護部材5に伝えるとともに、口金2の熱をLED電球102の発光部の全体に伝える。このため、本実施形態によると、上述した第1の実施形態と比較して、より放熱性能を高めることができる。
【0053】
また、複数本の金属細線22は、グローブ4を外部からの衝撃から守るようにグローブ4の保護機能も担う。なお、複数本の金属細線22は、メッシュであっても良い。
【0054】
発光体24は、レンズ12と同じ材料で形成した細長い略円筒形の導光部材26、および球状の散乱体28を有する。導光部材26は、基板8の表面8aに接触する背面26aを有し、図示下端近くに散乱体28を収容するための球形の収容部26bを有する。導光部材26は、収容部26bをグローブ4の中心に配置可能な長さを有する。背面26aは、第1の実施形態と同様に、光源10を非接触状態で収容配置するための凹部12bを有する。
【0055】
散乱体28は、例えば、粒径が1μm〜10μm程度の酸化チタンの粉末を透明レジンで封止したものを球状に丸めた構造を有する。散乱体28を収容部26bに配置するため、導光部材26は、収容部26bを2分割した構造を有し、散乱体28を収容部26bに収容した後、貼り合せることで組み立てられる。
【0056】
発光体24は、LED電球102のグローブ4の中心を光らせるため、散乱体28を有する。このように、LED電球102の中心を光らせることで、一般的な白熱電球と同じようにLED電球102を光らせることができる。
【0057】
(第3の実施形態)
図3(a)は、第3の実施形態に係るLED電球103を示す外観図であり、
図3(b)は、このLED電球103をその管軸を通る面で縦に2分割した断面図である。
本実施形態のLED電球103は、レンズ12を持たず、光源10をグローブ4の内面4bに配置した以外、上述した第1の実施形態のLED電球101と同様の構造を有する。よって、ここでは、上述した第1の実施形態のLED電球101と同様に機能する構成要素には、同一符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0058】
本実施形態のLED電球103は、複数個の光源10を有する。各光源10は、透明な熱伝導性を有する接着剤(伝熱手段)を介してグローブ4の内面4bに接着固定されている。各光源10に給電するための配線32は、透明なITO(酸化インジウムスズ)製であり、口金2の端面からグローブ4の頂点まで真っ直ぐ延びてグローブ4の内面4bに形成されている。
【0059】
配線32は、
図1(a)に示すように、等間隔で複数本設けられているため、複数個の光源10は、グローブ4の表面4aの全体に広く分布するレイアウトとなる。このため、本実施形態によると、熱源をLED電球103の発光部の全体に分布させることができ、均熱化を図ることができる。
【0060】
また、本実施形態によると、各光源10の発光面が内側を向くため、光をより拡散させることができ、グレア感を低減させることができる。
【0061】
(第4の実施形態)
図4(a)は、第4の実施形態に係るLED電球104を示す外観図であり、
図4(b)は、このLED電球104をその管軸を通る面で縦に2分割した断面図である。
本実施形態のLED電球104は、口金2と基板8の間に両者を熱的につなぐ筐体42を有する以外、上述した第1の実施形態のLED電球101と同様の構造を有する。よって、ここでは、上述した第1の実施形態のLED電球101と同様に機能する構成要素には、同一符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0062】
筐体42は、口金2の端面からグローブ4の端面4dに向けて緩やかに拡開する略円筒状の構造を有し、比較的小径の端面42a(図示上端面)が口金2の端面に接触し、比較的大径の端面42b(図示下端面)がグローブ4の端面4dおよび保護部材5の端面に接触する。この筐体42は、アルミニウム等の熱伝導性に優れた金属材料で形成することが望ましい。
【0063】
基板8は、筐体42の比較的大径の端面42bの内側に嵌め込まれて配置され、熱伝導性に優れるシート、粘着テープ、接着剤、サーマルグリス等を用いて接合される。筐体42の比較的小径の端面42aと口金2の端面との間、および筐体42の比較的大径の端面42bとグローブ4との間にも、熱伝導性に優れるシート、粘着テープ、接着剤、サーマルグリス等が設けられる。
【0064】
光源10からの熱は、上述した第1の実施形態と同様の径路を通して伝達されるとともに、基板8を介して筐体42に伝えられる。また、電源回路6から発生する熱も、口金2を介して、或いは直接、筐体42へ伝えられる。筐体42は、光源10および電源回路6から伝えられた熱を、内部で伝導するとともに、一部の熱を対流および輻射によって外面42cから外部空間へ放熱する。
【0065】
本実施形態のように口金2とグローブ4との間に筐体42を設けると、LED電球103の光出射面が小さくなって、白熱電球の外観とは異なる外観となる。しかし、高い熱伝導性を有する金属製の筐体42を設けることで、第1の実施形態のLED電球101と比較して、放熱性能を高めることができる。
【0066】
(第5の実施形態)
図5(a)は、第5の実施形態に係るLED電球105を示す外観図であり、
図5(b)は、このLED電球105をその管軸を通る面で縦に2分割した断面図である。
本実施形態のLED電球105は、基板8の代わりにグローブ4の内面4bに沿った略球殻状の筐体52(背面側伝熱部材)を有し、この筐体52の図示下端の取付面52aに光源10を設け、この光源10に対向するグローブ4の頂点にレンズ54としての機能を一体に持たせ、レンズ54の裏面側に光源10を収容配置するための凹部54a(受光面)を設けた以外、上述した第1の実施形態のLED電球101と同様の構造を有する。よって、ここでは、上述した第1の実施形態のLED電球101と同様に機能する構成要素には、同一符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0067】
筐体52の図示上端にある端面52bは、口金2の開口2aの内側に嵌め込まれた金属製の円環状の伝熱部材56に接触し、口金2と熱的に接合している。筐体52は、熱伝導性の高いアルミニウム等の金属で形成することが望ましい。筐体52の内部は、空気で満たされているが、真空にしても良い。
【0068】
筐体52は、光源10から発生する熱を、取付面52aを介して受け、筐体52の全体に伝熱するとともに、伝熱部材56を介して口金2に伝熱する。逆に、電源回路6の熱は、口金2および伝熱部材56を介して筐体52に伝えられる。本実施形態によると、熱源となる光源10および電源回路6を互いに離間させて配置でき、LED電球105の全体として均熱化を図ることができ、放熱効率を高めることができる。
【0069】
ここで、放熱性能を高めるための筐体52の適切な厚さについて考察する。
筐体52の形状を球殻に近似し、管軸を中心軸とした場合、経度方向の熱抵抗R
tlは次式4で表される。
【数4】
【0070】
ここで、r
1は球殻の内半径、r
2は外半径、θ
1とθ
2は緯度、λは熱伝導率である。E26型口金で直径φ55mm、全長98mmの電球の口金2を除く表面積は約108cm
2であり、これと表面積が等しい球殻の外半径は約30mmとなる。口金2の直径を考慮すればθ
2は約153°であり、球の表面積をおおよそ二分割する角度θ
1は約87°となる。グローブ4の材質をアルミニウム(120W/mK)とした場合、筐体52の厚さと熱抵抗の関係は
図11に表される。グローブ4から放熱するには、R
slは30K/W以下であることが望ましいため、筐体52の厚さは約0.08mm以上であることが求められる。
【0071】
本実施形態のLED電球105において、光源10から射出された光は、次のように伝達される。
グローブ4は、光源10と対向するレンズ54に凹部54a側から入射した光を、グローブ4の内面4bと表面4aとの間で全反射させながら導光(伝播)する。グローブ4の内面4bまたは表面4aには、光を散乱させるために、例えばシルク印刷や切り込み等により形成される図示しない散乱マークが設けられている。散乱マークがグローブ4を伝播する光の一部が、表面4aを介して外部へ取り出され、照明光として利用に供される。
【0072】
なお、筐体52の外面とグローブ4の内面4bとの間にも、図示しない支持部材が配置され、間隔dの隙間58が設けられている。この隙間58は例えば空気層である。図示しない支持部材は、筐体52とグローブ4の内面4bとの間に少なくとも1箇所設けられる。この支持部材は、例えば、円柱状の部材である。
【0073】
ここで、空気層の厚さ、すなわち隙間58の間隔dの適正値について考察する。
間隔dは、基本的に、光源10が射出する光の波長λよりも大きくなるように設定される。同時に、間隔dとしては、後述のように筐体52からグローブ4へ熱を伝え易くするためには、散乱マークや支持部材等の加工上の精度において許容し得る範囲で、小さくなるように0.01〜1.0mm程度に設定することが好ましい。
【0074】
図12は、グローブ4をアクリル製とし、筐体52をアルミニウム製とした場合に、グローブ4内を入射角45°で全反射する際、d/λと反射率の関係を示したグラフである。この
図12によれば、d/λ>1、すなわちd>λの場合、反射率は100%に近く、一方、d/λ<1、すなわちd<1の場合には、筐体52により光が吸収されて、d=0に近づくにつれ反射率は低減することがわかる。
【0075】
したがって、本実施形態のLED電球105では、筐体52の外面とグローブ4の内面4bとの間に間隔dの隙間を設けることで、グローブ4内を導光する光の反射率を100%に近くすることができる。すなわち、グローブ4内を導光する光のほとんどを照明光として表面4aから取り出すことができ、筐体52が光を吸収することによる光のロスを低減することができる。これは、つまり、エバネッセント波によって光が筐体52に伝搬するのを防ぎ、それによりロスを低減できることを意味する。
【0076】
(第6の実施形態)
図6(a)は、第6の実施形態に係るLED電球106を示す外観図であり、
図6(b)は、このLED電球106をその管軸を通る面で縦に2分割した断面図である。
本実施形態のLED電球106は、複数個の光源10をグローブ4の図示上端の円環状の端面4dに沿って配置し、グローブ4の頂点にレンズ54を設けない構造を有する。これ以外の構造は、上述した第1の実施形態のLED電球101と同様の構造を有する。よって、ここでは、上述した第1の実施形態のLED電球101と同様に機能する構成要素には、同一符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0077】
本実施形態によると、LED電球106の図示下端におけるグローブ4の部位を薄くすることができ、LED電球106の放熱性能を、さらに向上させることができる。
【0078】
(第7の実施形態)
図7(a)は、第7の実施形態に係るLED電球107を示す外観図であり、
図7(b)は、このLED電球107をその管軸を通る面で縦に2分割した断面図である。
本実施形態のLED電球107は、上述した第5の実施形態のLED電球105と第6の実施形態のLED電球106を組み合わせた構造を有する。よって、ここでも、上述したLED電球105、106と同様に機能する構成要素には、同一符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0079】
本実施形態によると、複数個の光源10aをグローブ4の端面4dに配置し、且つ光源10bをLED電球107の頂点近くに配置したため、発熱源である光源10a、10bを金属製の筐体52を間に挟んで互いに離間させることができ、筐体52の均熱化を促進でき、グローブ4の発光分布をより均一にできる。
【0080】
(第8の実施形態)
図8(a)は、第8の実施形態に係るLED電球108を示す外観図であり、
図8(b)は、このLED電球108をその管軸を通る面で縦に2分割した断面図である。
本実施形態のLED電球108は、グローブ4の内面4bに対向した筐体52を無くしてグローブ4の肉厚を厚くした以外、上述した第6の実施形態のLED電球106と同様の構造を有する。よって、ここでは、上述した第6の実施形態のLED電球106と同様に機能する構成要素には、同一符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0081】
本実施形態のLED電球108は、グローブ4に沿った不透明な筐体52を持たないことで、透明な外観を持たせることができる。
【0082】
以上述べた少なくともひとつの実施形態によれば、光源10の近くに透明な伝熱部材を配置したため、高い器具効率を有し放熱性および耐熱性に優れた照明装置を提供することができる。
【0083】
これら実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、様々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同時に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
以下、本願の出願当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1]
発熱する光源と、
この光源に近接して配置した透明で且つ熱伝導性を有する透明伝熱部材と、
上記光源から上記透明伝熱部材へ熱を伝える伝熱手段と、
を有する照明装置。
[2]
上記伝熱手段は、上記光源の発光面に近接対向した受光面を有する透明な部材であり、この透明な部材は、上記透明伝熱部材に密着して熱を伝える、[1]の照明装置。
[3]
上記透明伝熱部材は、ガラス製のグローブである、[1]の照明装置。
[4]
上記透明伝熱部材は、ガラス製のグローブであり、上記伝熱手段は、ガラス製のレンズである、[2]の照明装置。
[5]
上記透明伝熱部材は、上記光源の発光面に近接対向した受光面を有する、[1]の照明装置。
[6]
上記光源に給電する電源回路をさらに有する、[1]の照明装置。
[7]
上記光源は、LEDであり、上記透明伝熱部材およびこの透明伝熱部材に熱を伝える上記伝熱手段は、少なくとも上記LEDと同等の耐熱性を有する、[1]の照明装置。
[8]
上記透明伝熱部材およびこの透明伝熱部材に熱を伝える上記伝熱手段は、1.0W/mk以上の熱伝導率を有する、[1]の照明装置。
[9]
上記光源を取り付けた熱伝導性を有する背面側伝熱部材をさらに有する、[1]の照明装置。
[10]
上記背面側伝熱部材は、金属製の筐体である、[9]の照明装置。
[11]
上記背面側伝熱部材は、上記光源を実装した基板である、[9]の照明装置。
[12]
上記グローブは、光を拡散させる手段を有する、[3]の照明装置。
[13]
上記グローブの表面を覆うように設けた透明な保護部材をさらに有する、[3]の照明装置。
[14]
上記光源は、上記グローブの内面に設けられており、上記熱を伝える手段は、上記光源を上記グローブの内面に接着した透明な熱伝導性を有する接着剤である、[3]の照明装置。