特許第6235301号(P6235301)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6235301-樹脂組成物およびそれからなる成形体 図000006
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6235301
(24)【登録日】2017年11月2日
(45)【発行日】2017年11月22日
(54)【発明の名称】樹脂組成物およびそれからなる成形体
(51)【国際特許分類】
   C08L 67/04 20060101AFI20171113BHJP
   C08L 25/04 20060101ALI20171113BHJP
   C08L 53/02 20060101ALI20171113BHJP
【FI】
   C08L67/04
   C08L25/04
   C08L53/02
【請求項の数】2
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-223786(P2013-223786)
(22)【出願日】2013年10月29日
(65)【公開番号】特開2015-86251(P2015-86251A)
(43)【公開日】2015年5月7日
【審査請求日】2016年9月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】399051593
【氏名又は名称】東洋スチレン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110870
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 芳広
(74)【代理人】
【識別番号】100096828
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 敬介
(72)【発明者】
【氏名】秋葉 圭太
(72)【発明者】
【氏名】蔵田 利春
(72)【発明者】
【氏名】今野 勝典
(72)【発明者】
【氏名】岡田 宝晃
【審査官】 松浦 裕介
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−274191(JP,A)
【文献】 特開2006−328318(JP,A)
【文献】 特開2008−308608(JP,A)
【文献】 特開2010−222456(JP,A)
【文献】 特開2007−044931(JP,A)
【文献】 特開2013−163757(JP,A)
【文献】 特開2004−299075(JP,A)
【文献】 特開2008−050426(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0030243(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
IPC C08L 1/00 − 101/14
C08K 3/00 − 13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)ポリ乳酸1〜70質量部、(B)スチレン系樹脂(但し、下記の(C)成分を除く)30〜99質量部の合計100質量部に対して、(C)Z平均分子量(Mz)が20万≦Mz≦50万でありスチレンと1,3−ブタジエンからなるブロック共重合体であって、下記(イ)成分及び(ロ)成分からなり、(イ)成分を62質量%以上90質量%未満、(ロ)成分を10質量%を超え38質量%以下含むブロック共重合体1〜15質量部からなる樹脂組成物。
(イ)Mwが20万未満であるスチレンと1,3−ブタジエンからなるブロック共重合体
(ロ)Mwが20万以上であるスチレンと1,3−ブタジエンからなるブロック共重合体
【請求項2】
請求項1に記載の樹脂組成物を成形して得られる成形体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、低環境負荷であり、耐衝撃性および耐熱性に優れた樹脂組成物およびそれからなる成形体を提供する。
【背景技術】
【0002】
近年、地球温暖化の問題から二酸化炭素の低減が求められており、見かけ上二酸化炭素を排出しない「カーボンニュートラル」な材料としてバイオマスプラスチックが注目されている。中でも、とうもろこし、キャッサバ、さとうきび等から得られるでん粉を原料とし、でんぷんの発酵によって得られた乳酸モノマーを重合させたポリ乳酸は早くから実用化され、その生産量も多い。しかしながら、ポリ乳酸は耐衝撃性および耐熱性に劣るため、その用途は、食品容器、食品包装等の用途に限定されてしまう。
【0003】
ポリ乳酸の耐熱性および耐衝撃性を向上させる方法として、下記技術が報告されている(特許文献1および2)。しかしながら、耐衝撃性と耐熱性の両立は達成できていない
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−50426号公報
【特許文献2】特開2008−308608号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明はこのような現状を鑑み、上記の問題点を解決し、低環境負荷かつ、耐衝撃性および耐熱性に優れた樹脂組成物およびそれからなる成形体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、(A)ポリ乳酸1〜70質量部、(B)スチレン系樹脂(但し、下記の(C)成分を除く)30〜99質量部の合計100質量部に対して、(C)Z平均分子量(Mz)が20万≦Mz≦50万でありスチレンと1,3−ブタジエンからなるブロック共重合体であって、下記(イ)成分及び(ロ)成分からなり、(イ)成分を62質量%以上90質量%未満、(ロ)成分を10質量%を超え38質量%以下含むブロック共重合体1〜15質量部からなる樹脂組成物であることを特徴とする。
(イ)Mwが20万未満であるスチレンと1,3−ブタジエンからなるブロック共重合体
(ロ)Mwが20万以上であるスチレンと1,3−ブタジエンからなるブロック共重合体
【0007】
また、本発明は上記樹脂組成物を成形して得られる成形体を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明で得られる樹脂組成物は、耐衝撃性および耐熱性に優れるため、容器・包装分野およびOA機器や家電部品等での使用が有利になる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、(C−1)スチレンと1,3−ブタジエンのブロック共重合体のGPCチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明で使用する(A)ポリ乳酸には、ポリ(L−乳酸)が用いられる。二酸化炭素排出量削減という観点から、植物由来原料が好ましい。
【0011】
また、ポリ(L−乳酸)を主体とする(A)ポリ乳酸の場合、D−乳酸成分の比率によってその耐熱性が異なる。本発明においては、成形体の耐熱性を考慮すると、D−乳酸成分の割合を約5.0モル%未満とすることが好ましい。
【0012】
(A)ポリ乳酸の分子量は、重量平均分子量(Mw)が5万〜40万であることが好ましく、更に好ましくは8万〜30万、特に好ましくは10〜25万の範囲である。重量平均分子量(Mw)が5万未満だと成形体の機械的特性や耐熱性に劣り、40万を超えると成形性が低下するため好ましくない。
【0013】
本発明において使用する(B)スチレン系樹脂とは、芳香族ビニル化合物を重合して得られるものであり、必要に応じて共役ジエン系ゴム状重合体を加えてゴム変性を行ってもよい。重合方法としては公知の方法、例えば、塊状重合法、塊状・懸濁二段重合法、溶液重合法等により製造することができる。芳香族ビニル化合物系単量体は、スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン等の公知のものが使用できるが、好ましくはスチレンである。また、これらの芳香族ビニル化合物系単量体と共重合可能なアクリロニトリル、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル等のスチレン系単量体や無水マレイン酸等以外の単量体も、スチレン系樹脂組成物の性能を損なわない程度ものであれば良い。さらに本発明ではジビニルベンゼン等の架橋剤をスチレン系単量体に対し添加して重合したものであっても差し支えない。
【0014】
本発明の(B)スチレン系樹脂のゴム変性に用いる共役ジエン系ゴム状重合体としては、ポリブタジエン、スチレン−ブタジエンのランダムまたはブロック共重合体、ポリイソプレン、ポリクロロプレン、スチレン−イソプレンのランダム、ブロック又はグラフト共重合体、エチレン−プロピレンゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴムなどが挙げられるが、特にポリブタジエン、スチレン−ブタジエンのランダム、ブロック又はグラフト共重合体が好ましい。また、これらは一部水素添加されていても差し支えない。
【0015】
このような(B)スチレン系樹脂の例として、ポリスチレン(GPPS)、耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)、ABS樹脂(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体)、AS樹脂(アクリロニトリル−スチレン共重合体)、MS樹脂(メチルメタクリレート−スチレン共重合体)、AAS樹脂(アクリロニトリル−アクリルゴム−スチレン共重合体)、AES樹脂(アクリロニトリル−エチレンプロピレン−スチレン共重合体)、MBS樹脂(メチルメタクリレート−ブタジエン−スチレン共重合体)等が挙げられる。
【0016】
本発明においては、(A)ポリ乳酸と(B)スチレン系樹脂の合計を100質量部とした時に、(A)ポリ乳酸が1〜70質量部、(B)スチレン系樹脂が30〜99質量部である。環境負荷低減および耐熱性のバランスから、(A)ポリ乳酸の配合量は10〜70質量部が好ましく、特に好ましくは25〜60質量部である。
【0017】
本発明の(C)Z平均分子量(Mz)が20万≦Mz≦50万でありスチレンと1,3-ブタジエンからなるブロック共重合体は、スチレンと1,3-ブタジエンとを重合して得られることを特徴とするブロック共重合体である。Mzが20万未満だと衝撃性向上の効果を発揮せず、50万を超えると流動性が著しく低下する。好ましくは、Mzが25万≦Mz≦40万である。
【0018】
本発明の(C)Z平均分子量(Mz)が20万≦Mz≦50万でありスチレンと1,3-ブタジエンからなるブロック共重合体は、共重合体中のスチレン含有量が10〜50質量%である。ブロック共重合体中のスチレン含有量が10質量%未満であると耐熱性を著しく低下させ、50質量%を超えると耐衝撃性向上効果に乏しい。好ましくは、ブロック共重合体中のスチレン含有量が10〜40質量%である。
【0019】
(A)ポリ乳酸と(B)スチレン系樹脂の合計を100質量部とした時、(C)Z平均分子量(Mz)が20万≦Mz≦50万でありスチレンと1,3-ブタジエンからなるブロック共重合体の配合量は、1〜15質量部である。ブロック共重合体が1質量未満だと、衝撃性向上の効果が発現せず、15質量部を超えると耐熱性が大きく低下するため好ましくない。ブロック共重合体中の配合量は2〜15質量部が好ましく、特に好ましくは2〜10質量部である。
【0020】
また、上記(C)Z平均分子量(Mz)が20万≦Mz≦50万でありスチレンと1,3-ブタジエンからなるブロック共重合体は、(イ)Mwが20万未満であるスチレンと1,3-ブタジエンからなるブロック共重合体および(ロ)Mwが20万以上であるスチレンと1,3-ブタジエンからなるブロック共重合体の樹脂組成物である。
【0021】
(C)ブロック共重合体中(イ)成分は40質量%以上90質量%未満、(ロ)成分は10質量%を超え60質量%以下である。(イ)成分が40質量%未満であると樹脂組成物の流動性が低下し、90質量%以上であると本発明樹脂組成物の耐衝撃性向上効果に乏しい。好ましくは、(イ)成分が50質量%以上70質量%以下、(ロ)成分が30質量%以上50質量%以下である。
【0022】
また、本発明の樹脂組成物には、本発明の要旨を超えない範囲で各種添加物、例えば難燃剤、染顔料、着色防止剤、滑剤、酸化防止剤、老化防止剤、光安定剤、帯電防止剤、充填剤、相溶化剤等の公知の添加剤、酸化チタンやカーボンブラックなどの着色剤などの改質剤を添加できる。これらの添加方法は特に限定される訳では無く、公知の方法、例えば、使用する(A)ポリ乳酸もしくは(B)スチレン系樹脂の重合開始前、重合途中の反応液に対して、または重合終了後、及び(C)スチレンと1,3-ブタジエンからなるブロック共重合体を配合する際、更には、押出機や成形機においても添加することができる。
【0023】
本発明の樹脂組成物の混合方法は、公知の混合技術を適用することが出来る。例えばミキサー型混合機、V型他ブレンダー、及びタンブラー型混合機等の混合装置であらかじめ予備混合しておいた混合物を、更に溶融混練することで均一な樹脂組成物とすることが出来る。溶融混練にも特に制限はなく公知の溶融技術を適用出来る。好適な溶融混練装置として、バンバリー型ミキサー、ニーダー、ロール、単軸押出機、特殊単軸押出機、及び二軸押出機等がある。更に押出機等の溶融混練装置の途中から難燃剤等の添加剤を別途に添加する方法がある。
【0024】
本発明の樹脂組成物から成形品を得る成形法には特に制限は無いが、好ましくは真空成形および射出成形である。
【実施例】
【0025】
以下に本発明を参考例、実施例及び比較例によって詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0026】
(A)ポリ乳酸として、海正生物材料社製の商品名REVODA110(D−乳酸成分の比率2.5モル%)を用いた。
【0027】
(A)ポリ乳酸の重量平均分子量(Mw)は20万であった。
【0028】
(B)スチレン系樹脂には汎用ポリスチレン(GPPS)を使用した。以下にその製造方法を記す。完全混合型撹拌槽である第1反応器と第2反応器及び静的混合器付プラグフロー型反応器である第3反応器を直列に接続して重合工程を構成した。各反応器の容量は、第1反応器を39リットル、第2反応器を39リットル、第3反応器を16リットルとした。スチレン84.0質量%、エチルベンゼン16.0質量%の混合溶液を作成し、スチレンに対して2,2−ビス(4,4−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパンを質量基準で400ppm混合し、原料溶液とした。2,2−ビス(4,4−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパンは、日油株式会社製パーテトラAを使用した。この原料溶液を毎時11.2kgの割合で第1反応器へ連続的に供給した。各反応器の反応温度は、第1反応器で116℃、第2反応器で120℃、第3反応器では、流れの方向に沿って温度勾配をつけ、中間部分で140℃、出口部分で150℃となるよう調整した。続いて、第3反応器より連続的に取り出した重合体を含む溶液を直列に2段より構成される予熱器付き真空脱揮槽に導入し、未反応スチレン及びエチルベンゼンを分離した後、ストランド状に押し出しして冷却した後、切断してペレットとした。なお、1段目の脱揮槽内の樹脂温度は160℃に設定し、真空脱揮槽の圧力は65kPaとし、2段目の脱揮層内の樹脂温度は235℃に設定し、真空脱揮槽の圧力は0.4kPaとした。
【0029】
得られた(B)スチレン系樹脂の重量平均分子量(Mw)は38万であった。
【0030】
(C)Z平均分子量(Mz)が20万≦Mz≦50万でありスチレンと1,3-ブタジエンからなるブロック共重合体には、(C−1)スチレンと1,3-ブタジエンのブロック共重合体であるクレイトン社製の商品名DX410(Mz:36万、スチレン含有量:18%、ブタジエン含有量82%、(イ)/(ロ)質量比:62/38)を用いた。
【0031】
比較として(C)Z平均分子量Mzが20万≦Mz≦50万でありスチレンと1,3-ブタジエンからなるブロック共重合体の代わりに、(C−2)スチレンと1,3-ブタジエンのブロック共重合体であるクレイトン社製の商品名DX405(Mz:12万、スチレン含有量:24%、ブタジエン含有量:76%、(イ)/(ロ)の質量比:98/2)を用いた。
【0032】
比較として(C)Z平均分子量Mzが20万≦Mz≦50万でありスチレンと1,3-ブタジエンからなるブロック共重合体の代わりに、(C−3)スチレンとイソプレンのブロック共重合体であるクレイトン社製の商品名D1111(Mz:21万、スチレン含有量:22%、イソプレン含有量78%、(イ)/(ロ)の質量比:64/36)を用いた。
【0033】
次に、本発明の樹脂組成物の混合方法を述べる。(A)ポリ乳酸、(B)スチレン系樹脂、(C)スチレンと1,3-ブタジエンからなるブロック共重合体を表に示す量にて配合し、これら全成分をヘンシェルミキサー(三井三池化工社製、FM20B)にて予備混合し、二軸押出機(東芝機械社製、TEM26SS)に供給してストランドとし、水冷してからペレタイザーへ導きペレット化した。この際、シリンダー温度200℃、供給量30kg/時間とした。なお、比較例についても(C)Z平均分子量(Mz)が20万≦Mz≦50万でありスチレンと1,3-ブタジエンからなるブロック共重合体の代わりに各種ブロック共重合体を配合し、同様の操作を行った。
【0034】
実施例及び比較例に示した各種測定は以下の方法により実施した。
【0035】
<分子量>
数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)、Z平均分子量(Mz)は、ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)を用いて、次の条件で測定した。
GPC機種:昭和電工株式会社製Shodex GPC−101
カラム:ポリマーラボラトリーズ社製 PLgel 10μm MIXED−C
移動相:クロロホルム
試料濃度:0.2質量%
温度:オーブン40℃
検出器:示差屈折計
本発明における各成分の分子量測定は、単分散ポリスチレンの溶出曲線より各溶出時間における分子量を算出し、ポリスチレン換算の分子量として算出したものである。
また、本発明における(C)Z平均分子量(Mz)が20万≦Mz≦50万でありスチレンと1,3-ブタジエンからなるブロック共重合体の(イ)/(ロ)質量比は、JIS K 7252−2の積分分子量分布曲線から算出した。
【0036】
<スチレンおよびブタジエン含有量>
(C)Z平均分子量(Mz)が20万≦Mz≦50万でありスチレンと1,3-ブタジエンからなるブロック共重合体のスチレン含有量およびブタジエン含有量の測定はJIS K 6231−2に準拠し、熱分解ガスクロマトグラフを用いて行った。
【0037】
<試験片作成>
射出成形機:日本製鋼所株式会社製J100E−P
シリンダー温度:190℃
金型温度:45℃
得られたペレットを温度70℃×3時間で加熱乾燥後、射出成形機にて、JIS K 7139に記載のA型試験片(ダンベル)を成形した。
【0038】
<耐衝撃性>
本発明における樹脂組成物の耐衝撃性はシャルピー衝撃値(ノッチ無し)により評価した。
シャルピー衝撃値は、JIS K 7111−1に準拠し、エッジワイズ衝撃で、1.0Jの錘を用いて試験を行った。
本発明では、成形品としての耐衝撃性を考慮し、上記試験条件にてシャルピー試験片が破断しないものを合格とした。
【0039】
<耐熱性>
本発明における樹脂組成物の耐熱性はビカット軟化温度によりで評価した。
ビカット軟化温度は、JIS K 7206に準拠し、昇温速度50℃/hr、試験荷重50Nで求めた。
ビカット軟化温度が70℃未満だと成形品としての耐熱性が不十分であるため、本発明では70℃以上を合格とした。
【0040】
下記表1〜4に結果を示した。
【0041】
【表1】
【0042】
【表2】
【0043】
【表3】
【0044】
【表4】
【0045】
表1および表2の実施例より、本発明の樹脂組成物は、耐衝撃性および耐熱性優れていることがわかる。
【0046】
表3および4の比較例より、本発明の規定を満足しない樹脂組成物は、耐衝撃性および耐熱性に劣る。
【0047】

(A)ポリ乳酸および(B)スチレン系樹脂の配合量を変化させても(C)ブロック共重合体の配合量が規定より少ないと、耐衝撃性の向上効果が発現せず、逆に規定より多いと、耐熱性が不十分である(比較例1〜5)。(C)ブロック共重合体のZ平均分子量(Mz)が規定より低いと、(B)スチレン系樹脂の配合量を変化させても耐衝撃性の向上効果が発現しない(比較例6〜9)。また、スチレンと1,3-ブタジエン以外の化合物から得られたブロック共重合体を用いると、耐衝撃性の向上効果が発現しない(比較例10)。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明の樹脂組成物は、低環境負荷であり、耐衝撃および耐熱性に優れているため、食品トレイや包装ラップ等の容器包装分野およびOA機器や家電部品等の家電分野での利用が有利になる。
図1