【実施例】
【0025】
以下に本発明を参考例、実施例及び比較例によって詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0026】
(A)ポリ乳酸として、海正生物材料社製の商品名REVODA110(D−乳酸成分の比率2.5モル%)を用いた。
【0027】
(A)ポリ乳酸の重量平均分子量(Mw)は20万であった。
【0028】
(B)スチレン系樹脂には汎用ポリスチレン(GPPS)を使用した。以下にその製造方法を記す。完全混合型撹拌槽である第1反応器と第2反応器及び静的混合器付プラグフロー型反応器である第3反応器を直列に接続して重合工程を構成した。各反応器の容量は、第1反応器を39リットル、第2反応器を39リットル、第3反応器を16リットルとした。スチレン84.0質量%、エチルベンゼン16.0質量%の混合溶液を作成し、スチレンに対して2,2−ビス(4,4−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパンを質量基準で400ppm混合し、原料溶液とした。2,2−ビス(4,4−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパンは、日油株式会社製パーテトラAを使用した。この原料溶液を毎時11.2kgの割合で第1反応器へ連続的に供給した。各反応器の反応温度は、第1反応器で116℃、第2反応器で120℃、第3反応器では、流れの方向に沿って温度勾配をつけ、中間部分で140℃、出口部分で150℃となるよう調整した。続いて、第3反応器より連続的に取り出した重合体を含む溶液を直列に2段より構成される予熱器付き真空脱揮槽に導入し、未反応スチレン及びエチルベンゼンを分離した後、ストランド状に押し出しして冷却した後、切断してペレットとした。なお、1段目の脱揮槽内の樹脂温度は160℃に設定し、真空脱揮槽の圧力は65kPaとし、2段目の脱揮層内の樹脂温度は235℃に設定し、真空脱揮槽の圧力は0.4kPaとした。
【0029】
得られた(B)スチレン系樹脂の重量平均分子量(Mw)は38万であった。
【0030】
(C)Z平均分子量(Mz)が20万≦Mz≦50万でありスチレンと1,3-ブタジエンからなるブロック共重合体には、(C−1)スチレンと1,3-ブタジエンのブロック共重合体であるクレイトン社製の商品名DX410(Mz:36万、スチレン含有量:18%、ブタジエン含有量82%、(イ)/(ロ)質量比:62/38)を用いた。
【0031】
比較として(C)Z平均分子量Mzが20万≦Mz≦50万でありスチレンと1,3-ブタジエンからなるブロック共重合体の代わりに、(C−2)スチレンと1,3-ブタジエンのブロック共重合体であるクレイトン社製の商品名DX405(Mz:12万、スチレン含有量:24%、ブタジエン含有量:76%、(イ)/(ロ)の質量比:98/2)を用いた。
【0032】
比較として(C)Z平均分子量Mzが20万≦Mz≦50万でありスチレンと1,3-ブタジエンからなるブロック共重合体の代わりに、(C−3)スチレンとイソプレンのブロック共重合体であるクレイトン社製の商品名D1111(Mz:21万、スチレン含有量:22%、イソプレン含有量78%、(イ)/(ロ)の質量比:64/36)を用いた。
【0033】
次に、本発明の樹脂組成物の混合方法を述べる。(A)ポリ乳酸、(B)スチレン系樹脂、(C)スチレンと1,3-ブタジエンからなるブロック共重合体を表に示す量にて配合し、これら全成分をヘンシェルミキサー(三井三池化工社製、FM20B)にて予備混合し、二軸押出機(東芝機械社製、TEM26SS)に供給してストランドとし、水冷してからペレタイザーへ導きペレット化した。この際、シリンダー温度200℃、供給量30kg/時間とした。なお、比較例についても(C)Z平均分子量(Mz)が20万≦Mz≦50万でありスチレンと1,3-ブタジエンからなるブロック共重合体の代わりに各種ブロック共重合体を配合し、同様の操作を行った。
【0034】
実施例及び比較例に示した各種測定は以下の方法により実施した。
【0035】
<分子量>
数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)、Z平均分子量(Mz)は、ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)を用いて、次の条件で測定した。
GPC機種:昭和電工株式会社製Shodex GPC−101
カラム:ポリマーラボラトリーズ社製 PLgel 10μm MIXED−C
移動相:クロロホルム
試料濃度:0.2質量%
温度:オーブン40℃
検出器:示差屈折計
本発明における各成分の分子量測定は、単分散ポリスチレンの溶出曲線より各溶出時間における分子量を算出し、ポリスチレン換算の分子量として算出したものである。
また、本発明における(C)Z平均分子量(Mz)が20万≦Mz≦50万でありスチレンと1,3-ブタジエンからなるブロック共重合体の(イ)/(ロ)質量比は、JIS K 7252−2の積分分子量分布曲線から算出した。
【0036】
<スチレンおよびブタジエン含有量>
(C)Z平均分子量(Mz)が20万≦Mz≦50万でありスチレンと1,3-ブタジエンからなるブロック共重合体のスチレン含有量およびブタジエン含有量の測定はJIS K 6231−2に準拠し、熱分解ガスクロマトグラフを用いて行った。
【0037】
<試験片作成>
射出成形機:日本製鋼所株式会社製J100E−P
シリンダー温度:190℃
金型温度:45℃
得られたペレットを温度70℃×3時間で加熱乾燥後、射出成形機にて、JIS K 7139に記載のA型試験片(ダンベル)を成形した。
【0038】
<耐衝撃性>
本発明における樹脂組成物の耐衝撃性はシャルピー衝撃値(ノッチ無し)により評価した。
シャルピー衝撃値は、JIS K 7111−1に準拠し、エッジワイズ衝撃で、1.0Jの錘を用いて試験を行った。
本発明では、成形品としての耐衝撃性を考慮し、上記試験条件にてシャルピー試験片が破断しないものを合格とした。
【0039】
<耐熱性>
本発明における樹脂組成物の耐熱性はビカット軟化温度によりで評価した。
ビカット軟化温度は、JIS K 7206に準拠し、昇温速度50℃/hr、試験荷重50Nで求めた。
ビカット軟化温度が70℃未満だと成形品としての耐熱性が不十分であるため、本発明では70℃以上を合格とした。
【0040】
下記表1〜4に結果を示した。
【0041】
【表1】
【0042】
【表2】
【0043】
【表3】
【0044】
【表4】
【0045】
表1および表2の実施例より、本発明の樹脂組成物は、耐衝撃性および耐熱性優れていることがわかる。
【0046】
表3および4の比較例より、本発明の規定を満足しない樹脂組成物は、耐衝撃性および耐熱性に劣る。
【0047】
(A)ポリ乳酸および(B)スチレン系樹脂の配合量を変化させても(C)ブロック共重合体の配合量が規定より少ないと、耐衝撃性の向上効果が発現せず、逆に規定より多いと、耐熱性が不十分である(比較例1〜5)。(C)ブロック共重合体のZ平均分子量(Mz)が規定より低いと、(B)スチレン系樹脂の配合量を変化させても耐衝撃性の向上効果が発現しない(比較例6〜9)。また、スチレンと1,3-ブタジエン以外の化合物から得られたブロック共重合体を用いると、耐衝撃性の向上効果が発現しない(比較例10)。