(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、このように哺乳瓶等の飲料容器及びその収容容器全体を加熱するときは、その内部に収容されている哺乳瓶の内側まで消毒するには時間がかかるという問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、飲料容器等を短時間で消毒することができる消毒装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的によれば、加熱部と、前記加熱部の加熱により消毒用媒体となる媒体を収容する媒体収容部と
、前記消毒用媒体を前記媒体収容部から排出する排出口と、飲料を導入する開口部と、この開口部から導入された飲料を収容可能な底部及び側部から成る飲料収容部と、を備える飲料容器を支持する構成となっている飲料容器支持部と、前記飲料容器の内側に配置され、前記排出口から排出された前記消毒用媒体を前記飲料容器の前記底部に案内する案内
面を有する消毒用媒体案内部と、を有
し、前記飲料容器の開口部と前記飲料容器支持部には、それぞれ共に相互に螺合する開口部側ネジ部と支持部側ネジ部が形成され、これらが相互に螺合することで、前記飲料容器は前記飲料容器支持部に支持されると共に、これらの螺合が完了したときに、前記開口部側ネジ部と前記支持部側ネジ部の間に通気可能な隙間部が形成される構成となっていることを特徴とする消毒装置により達成される。
【0007】
従来、飲料容器を加熱された消毒用媒体で消毒する場合、かかる消毒用媒体は、飲料容器自体が底部と側部とで閉塞された空間であることから、飲料容器の開口部から流入した場合には、徐々に底部側に到達することになり、その底部側に消毒用媒体が達して消毒を完了するには長い時間が必要であった。
この点、前記構成では、この消毒用媒体を飲料容器の底部に案内する案内面を有する消毒用媒体案内部を備えるので、飲料容器のうち、最も消毒に時間のかかる底部を短時間で消毒することができる。このため、飲料容器全体の消毒も短時間で完了させることができる。
また、前記構成によれば、開口部側ネジ部と支持部側ネジ部の間に通気可能な隙間部が形成されるので、加熱された消毒用媒体が、飲料容器内に過度に充満し、不測の事態が発生するのを未然に防止することができる。
【0008】
好ましくは、前記飲料容器支持部は、前記開口部を支持すると共に、前記飲料容器の自重が委ねられる構成となっていることを特徴とする。
【0009】
前記構成によれば、利用者は、飲料容器の開口部を飲料容器支持部で支持されるように配置するだけで、飲料容器は、飲料容器支持部に支持される。したがって、利用者にとって使い易い消毒装置となる。
【0010】
好ましくは、前記消毒用媒体案内部が、前記飲料容器の内側に配置されたとき、前記消毒用媒体案内部の外面と前記飲料収容部の内面との間には、空間部が形成され、前記消毒用媒体案内部から排出された前記消毒用媒体は、前記底部に到達した後、前記空間部を進み、前記開口部へと導かれること特徴とする。
【0011】
前記構成によれば、消毒用媒体案内部から排出された前記消毒用媒体は、底部に到達した後、空間部を進み、開口部へと導かれるという澱みの内ない流れ等が生じるので、飲料容器の底部に空気溜まり等が発生せず、迅速に飲料容器内部を消毒することができる。
【0014】
好ましくは、前記消毒用媒体案内部が、前記飲料容器の内側に配置されたときに、前記飲料容器の前記開口部から前記底部までの方向において、前記飲料容器の長さの半分以上の長さを有することを特徴とする。
【0015】
前記構成によれば、消毒用媒体案内部から排出された前記消毒用媒体は、底部に到達した後、空間部を進み、開口部へと導かれ、澱みのない流れ等を生じさせ易く、消毒時間を短くすることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、本発明は、飲料容器を短時間で消毒することができる消毒装置を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、本発明の好ましい実施形態を、図面を参照して詳しく説明する。
なお、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。
【0019】
図1は、飲料容器である例えば、哺乳瓶100を消毒するため、哺乳瓶100を装着した状態の消毒装置1を示す概略斜視図である。
図1に示すように、消毒装置1は、後述する消毒装置本体を覆うケース10を有している。
このケース10は、例えば、平面視では全体が略円形等からなり、側面側は角部を形成しない滑らかな表面を形成している。
なお、本実施の形態では、ケース10は、その平面視で、全体が略円形等からなっているが、本発明は、この形状に限られることなく、全体が箱形等の他の形状であってもよいことは勿論である。
また、
図1の正面側には、全体が略逆三角形でなる操作部11が配置され、この操作部11には、略円形の操作ボタン11a〜11hが、例えば、8個形成されている。
したがって、消毒装置1の利用者は、この操作ボタン11a等を操作することで、哺乳瓶100を消毒することができる構成となっている。
【0020】
図2は、
図1に示す消毒装置1の消毒機能を発揮する消毒装置本体20を示す概略断面図である。
図2に示すように、消毒装置1は、下方に基部30を有し、この基部30は、媒体である例えば、水又は薬液(加熱していない水又は薬液)を所定量、収容させることができる媒体収容部である例えば、水収容部32を有している。
また、基部30は、この水収容部32に溜められた水等を加熱し、消毒用媒体である例えば、水蒸気とするための加熱部である例えば、ヒータ31も有している。
【0021】
この基部30の上部には、
図1に示すように全体が略円筒形から成る部品配置部40が形成されている。
この部品配置部40には、例えば、哺乳瓶100の付属部品等である人工乳首50、キャップ51及びフード52等が消毒する際に配置される構造となっている。
図3は、人工乳首50、キャップ51及びフード52を示す概略斜視図である。
図3に示す人工乳首50は、キャップ51で保持されて哺乳瓶100に固定され、哺乳瓶100内の人工乳を人工乳首の50を介して乳児が哺乳する構成となっている。
【0022】
また、フード53は、乳児が直接、口腔内に挿入する人工乳首51を覆い、外部の汚れ等から人工乳首51を守る機能を発揮する。
図4は、部品配置部40の内部等を示す概略斜視図である。
図4に示すように部品配置部40は、略円筒形から成り、下方側には基部30側を視認することができる構成となっている。
具体的には、
図2の基部30の水収容部32の上部は開口となっており、そこには、水蒸気を通過させると共に、部品等を落下せずに配置することが可能な部品載置部33が形成されている。
【0023】
図5は、
図4の部品載置部33を示す概略図である。
図4に示すように、部品載置部33には、開口である水蒸気通過部33aが、7カ所形成されると共に、部品等を載置可能な部分である載置部33bも形成されている。
したがって、
図2に示すように、人工乳首50、キャップ51及びフード52を、この載置部33b上に配置することで、これらは、
図2の水収容部32に落下することなく、水蒸気を当てて消毒をすることができる構成となっている。
なお、この部品載置部33の水蒸気通過部33aは、排出口の一例となっている。
【0024】
また、
図2に示すように、部品配置部40の上部には、容器配置部60が載置されている。
容器配置部60は、部品配置部40と着脱可能な構成となっており、部品配置部40内に人工乳首50等を配置するときは、容器配置部60を外して,挿入配置する。
【0025】
また、容器配置部60の上部には、上方に向かって突出するように略円筒形状の消毒用媒体案内部である例えば、煙突部61が形成されている。
この煙突部61の下側の開口は、部品配置部40と接続され、ヒータ31によって生成された水蒸気が部品配置部40を介して、煙突部61の内部に導入される構成となっている。
すなわち、水蒸気は煙突部61の内面である水蒸気案内面61aに案内されながら煙突部61の上部開口に向かって移動することになる。
なお、本実施の形態では、煙突部61が1本の例を示しているが、本発明は、これに限らず、複数本配置しても構わない。
【0026】
ここで、消毒装置1で、消毒する対象である哺乳瓶100について説明する。
哺乳瓶100は、人工乳を充填し、又は人工乳首50をキャップ51を介して装着する開口部である例えば、瓶開口部110を有している。
この瓶開口部110には、キャップ51と螺合させるための開口部側ネジ部である例えば、瓶側ネジ111が形成されている。
【0027】
また、哺乳瓶100は、全体が有底の略円筒形状を成しているため、瓶開口部110の反対側、
図2において上部側には、人工乳等が溜まる底部112と、側部113を有している。
すなわち、この底部112と側部113で形成される液体収容部である例えば、瓶内部114に人工乳が収容されることになる。
なお、本実施の形態では、この煙突部61の長さは、哺乳瓶100の瓶開口部110から底部112までの長さの例えば、半分以上が好ましい。
【0028】
一方、
図2の容器配置部60には、哺乳瓶100の瓶開口部110を支持する飲料容器支持部である例えば、瓶支持部62を有している。この瓶支持部62は、容器配置部60から上方に突出して、平面視が略円形を成している。
また、瓶支持部62には、瓶側ネジ111と螺合可能な支持部側ネジ部である例えば、支持部側ネジ62aが形成されている。
図6は、
図2の矢印Aで示す部分の概略拡大図である。
図6に示すように、瓶側ネジ111と支持部側ネジ62aが当接し、緩やかに螺合することで、哺乳瓶100は、瓶支持部62によって支持され、
図2に示すように、哺乳瓶100が、瓶開口部110を下に向けた状態で、安定的に支持される。
【0029】
このとき、哺乳瓶100は、瓶支持部62と螺合によって安定的に支持されると共に、自己の自重も加わることで、より安定的に消毒装置1に載置されることになる。
したがって、哺乳瓶100を消毒装置1上に安定的に配置させるための特別な装置は必要ないので、哺乳瓶100の消毒を行う母親等にとって極めて使い易い構成となっている。
本実施の形態のように、消毒装置1が、加熱された水蒸気の熱で消毒する場合、使用中に哺乳瓶100が消毒装置1から外れてしまうことがないようにする必要がある。
【0030】
一方、哺乳瓶100が外れないように特別な装置を用いると、本装置1の利用者が必ずしも装置類の操作を得意としていない母親等であることや、使用する場所の制約等を考慮すると、使用し難い装置となるおそれがある。
そこで、本実施の形態では、母親等にも使い易く、且つ容易に哺乳瓶100が消毒装置1から外れない構成を採用している。
【0031】
ところで、
図6に示すように、瓶側ネジ111と支持部側ネジ62aとは螺合が完了した状態でも、哺乳瓶100の内部の雰囲気が外部と通気可能になる隙間部Bが形成されている。
また、
図6に示すように、瓶支持部62の例えば、基端側には、瓶支持部62の内側と外部との通気のための通気孔である例えば、支持部通気孔62cが複数個、形成されている。
【0032】
さらに、
図2及び
図6に示すように、瓶支持部62には、支持部通気孔62cの外側に突出するように、全体が略円筒形状の壁部62dが形成されている。
このため、支持部通気孔62cから排出された蒸気や熱水等が、この壁部62cの内側で塞き止められ、外部に拡散されるのを未然に防止することができる。
すなわち、壁部62dは、支持部通気孔62cから排出された蒸気等によりやけど等を防止するものであり、支持部通気孔62cからの蒸気を壁部62dの壁面に当てることで、冷やされて水になり、その内側に水等の溜まり部62eを形成することができる構成となっている。
【0033】
さらに、
図6に示すように、煙突部61の基端側の瓶支持部62(瓶開口部110)に対応する位置には、煙突部61内の水蒸気を瓶開口部110に向けて吐出させるための消毒用媒体吐出部である例えば、吐出口61bが複数個、形成されている。
【0034】
本実施の形態にかかる消毒装置1は、以上のように構成されているが、以下、その動作等を説明する。
先ず、利用者、例えば、母親等は、乳児に人工乳を与える際に使用する哺乳瓶100から、人工乳首50,キャップ51及びフード52を取り外す。
そして、
図1及び
図2等の容器配置部60を部品配置部40から外し、
図4に示す状態の部品配置部40内に、例えば、
図2に示すように、人工乳首50,キャップ51及びフード52を組み合わせた状態で、
図5の載置部33b上に載置する。
【0035】
また、
図2の基部30の水収容部32内に水又は薬液を所定量注入する。
次いで、容器配置部60を再び部品配置部40上に装着し、哺乳瓶100を、その瓶開口部110側を下方向、すなわち、逆さまに、
図2の容器配置部60の瓶支持部62の内側に置く。さらに、哺乳瓶100を螺合方向に回転させ、哺乳瓶100の瓶側ネジ111を瓶支持部62の支持部側ネジ62aと螺合させ、
図2及び
図6の状態とする。
【0036】
ここで準備段階が終了し、消毒工程となる。先ず、母親等は、
図1の操作ボタン11a〜11hを操作して、消毒装置1を始動させる。
すると、ヒータ31が駆動し、水収容部32内の水を加熱し、水蒸気を発生させる。発生した水蒸気は、そのまま上方に移動し、
図5の基部30の水蒸気通過部33aを通過し、部品配置部40内の人工乳首50等を消毒しつつ、さらに上昇する。
その後、水蒸気は容器配置部60に達し、容器配置部60の煙突部61内を水蒸気案内面61aに沿って上昇し、煙突部61の上部開口から哺乳瓶100の底部112に向かって移動する(
図2の矢印C)。
【0037】
次いで、水蒸気は、底部112に達した後、哺乳瓶100の側部113に沿って下降し、側部113と煙突部61の間の空間部Dを通り、瓶開口部110に達する(
図2の矢印C)。
このように、水蒸気は哺乳瓶100内を澱みのない流れで移動する。
【0038】
次いで、水蒸気は
図6の矢印Cで示すように、瓶側開口部110の瓶側ネジ111と、瓶支持部62の支持部側ネジ62a間に形成された隙間部Bを介して外部に排出される。
したがって、水蒸気が哺乳瓶100内部に過度に充満して、不測の事態が発生するのを未然に防止することができる。
また、従来は、哺乳瓶100自体が底部112と側部113とで閉塞された空間であることから、哺乳瓶100の底部112付近には、空気溜まり等が発生して、温度上昇に時間がかかっていたが、本実施の形態では、
図2の矢印Cで示すように、水蒸気は煙突部61から哺乳瓶100の底部112に向かって移動するので、短時間、例えば、1分で、所望の温度、例えば、98℃に達する。
したがって、最も温度が上昇し難かった部分を僅か1分で消毒可能であるので、従来と比べ、消毒時間を大幅に短縮することができる。
【0039】
また、本実施の形態では、
図6に示すように、瓶支持部62の基端部側には、支持部通気孔62cが複数、形成されているので、矢印Cで示す水蒸気の外部への排出が、隙間部B及び支持部通気孔62cで行われるため、より効果的に排出でき、矢印Cで示す水蒸気の澱みのない流れを効率良く発生させることができる。
また、本実施の形態では、
図6に示すように、煙突部61の基端部側に瓶開口部111に向かって水蒸気を吐出させるための吐出口61bが複数、形成されている。
このため、煙突部61内を通過する水蒸気は、この吐出口61bから
図6の哺乳瓶100の瓶開口部111に向かっても吐出されるので、特に消毒の必要性が高い哺乳瓶100の瓶開口部111をより多くの水蒸気で消毒することができる。
【0040】
本発明は、上記実施形態に限定されず、特許請求の範囲を逸脱しない範囲で種々の変更を行うことができる。
なお、煙突部61の高さは、哺乳瓶100の底部112に消毒に足りる温度の蒸気等が到達すれば足り、本実施の形態では、例えば、哺乳瓶100の瓶開口部110から底部112までの長さ(高さ)の半分以上としたが、これに限らず、消毒する哺乳瓶100の大きさや高さに応じて、煙突部61の長さを変更させることができる。また、煙突部を伸縮可能な形状としても良い。
また、瓶支持部62の径は、哺乳瓶100の瓶開口部110に合わせてさまざま用意してもよい。
また、本実施の形態では、瓶支持部62に、瓶側ネジ111と螺合可能な支持部側ネジ62aを形成して,哺乳瓶100を瓶支持部62に固定しているが、本発明はこれに限らず、ネジを形成する代わりに、柔らかいエラストマーなどで瓶支持部62を形成して、哺乳瓶100と瓶支持部62との間に一定の隙間を形成するように哺乳瓶100を保持する構成としてもよい。また、瓶支持部62の支持部通気孔62cは、要所要所に形成することができる。
さらに、瓶支持部62は、様々なサイズの哺乳瓶100に対応できるように、適宜変更することができ、その際、哺乳瓶100を支持しつつ蒸気が、際限なく漏れない構成としても構わない。