(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記固定子は、コイルと、当該コイルが間に配される複数のティースを前記回転子と対向する部位に有するとともに前記第2摩擦力が生じる前記外周面を有する固定子本体と、を備え、
前記固定子本体における前記ティースの先端から前記外周面までの長さに対する、前記凹部の前記外周面からの深さの割合が20%以下である
ことを特徴とする請求項1に記載の密閉型圧縮機。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1は、本実施の形態に係る密閉型圧縮機1の軸方向断面図である。
密閉型圧縮機1は、空気調和装置等の冷媒回路に用いられるスクロール型圧縮機である。
密閉型圧縮機1は、冷媒を圧縮する圧縮部10と、圧縮部10を駆動する駆動モータ20と、これら圧縮部10および駆動モータ20を収納するハウジング30と、を備えている。そして、本実施の形態に係る密閉型圧縮機1は、駆動モータ20の後述する回転軸23の軸方向が重力の方向となるように配置される縦型スクロール圧縮機であり、以下では、回転軸23の軸方向を「上下方向」と称し、
図1で見た場合の上側を「上側」と称し、下側を「下側」と称する場合がある。
【0010】
先ずは、圧縮部10について説明する。
圧縮部10は、固定された固定スクロール11と、固定スクロール11に対して旋回する可動スクロール12と、ハウジング30に対して固定されるとともに固定スクロール11を保持する保持部材13と、可動スクロール12の旋回を円滑にさせるボールカップリング14と、を備えている。
【0011】
固定スクロール11は、円筒状の円筒状部111と、円筒状部111における上側の開口部を覆う覆い部112と、円筒状部111における下側の端部から半径方向の外側に突出した突出部113と、を備えている。また、固定スクロール11は、覆い部112における下端部から下方に突出するとともに下方から見た場合には渦巻き状に形成された固定側渦巻き体114を有している。
【0012】
円筒状部111には、半径方向の貫通孔111aが形成されている。この貫通孔111aは、円筒状部111および覆い部112と、可動スクロール12とで囲まれた空間に冷媒を吸入する吸入口として機能する。
覆い部112における中央部には、上下方向の貫通孔112aが形成されている。この貫通孔112aは、円筒状部111および覆い部112と可動スクロール12とで囲まれた空間から冷媒を吐出する吐出口として機能する。
以上のように構成された固定スクロール11は、突出部113に形成された上下方向の貫通孔に通されたボルトにて、保持部材13に締め付けられる。
【0013】
可動スクロール12は、円板状の円板状部121と、円板状部121における上側の端部から上方に突出するとともに上方から見た場合には渦巻き状に形成された可動側渦巻き体122と、円板状部121における下側の端部から下方に突出した円筒状の円筒状部123と、を備えている。
【0014】
可動側渦巻き体122は、固定スクロール11の固定側渦巻き体114と、同一形状の渦巻き体である。そして、可動側渦巻き体122および固定スクロール11の固定側渦巻き体114とは、固定スクロール11の円筒状部111および覆い部112と、円板状部121との間に形成された空間に配置され、圧縮室15を区画形成する。そして、固定された固定側渦巻き体114に対して可動側渦巻き体122を円運動させることにより、圧縮室15の体積を小さくし、冷媒を圧縮する。言い換えれば、固定側渦巻き体114と可動側渦巻き体122との間の内部空間が回転中心に向かって収縮して、冷媒を圧縮する。
円筒状部123には、ニードルベアリングを介して回転軸23の後述する偏心軸232が嵌め込まれている。このように、円筒状部123は、偏心軸232の軸受けとして機能する。
【0015】
保持部材13は、円筒状の第1円筒状部131と、第1円筒状部131における下側の端部から下方に突出した円筒状の第2円筒状部132と、を備えている。そして、保持部材13は、第1円筒状部131の外周面がハウジング30の後述する中央ハウジング31の内周面と全周に亘って気密に密着するように中央ハウジング31に固定されている。また、第1円筒状部131および第2円筒状部132の内側には、ニードルベアリングを介して駆動モータ20の後述する回転軸23が嵌め込まれている。このように、保持部材13は、回転軸23を回転可能に支持する軸受けとしても機能する。
【0016】
第1円筒状部131における外周部には、上側の端面から上方に突出した突出部131aが設けられている。この突出部131aには、雌ねじが形成されており、この雌ねじに、固定スクロール11の突出部113に形成された貫通孔に通されたボルトが締め付けられることで、固定スクロール11が保持部材13に取り付けられる。
【0017】
また、第1円筒状部131には、上側の端面から下方に凹んだ第1凹部131bと第2凹部131cが形成されている。半径方向には、第1凹部131bは中央部に形成されており、第2凹部131cは、第1凹部131bと突出部131aとの間に形成されている。そして、第1凹部131bに、可動スクロール12の円筒状部123が挿入される。第2凹部131cには、保持部材13と可動スクロール12との間に配置されて、可動スクロール12の旋回を円滑にするボールカップリング14が配置されている。
また、第1円筒状部131には、外周部における中央から下部にかけて上下方向に伸びる溝131dが形成されている。また、第1円筒状部131には、第1凹部131bの内部と溝131dとを連通する半径方向の連通孔131eが形成されている。
第2円筒状部132の内周には、ニードルベアリングを介して回転軸23が嵌合されており、第2円筒状部132は、回転軸23を回転自在に支持する軸受けとして機能する。
【0018】
なお、上述した圧縮部10には、固定スクロール11と可動スクロール12とで圧縮された冷媒を吐出する吐出通路(不図示)が形成されている。吐出通路は、一端が、固定スクロール11と可動スクロール12とで囲まれた空間から冷媒を吐出する吐出口として機能する覆い部112の貫通孔112aに繋がり、他端が、ハウジング30内における保持部材13よりも下方の空間と繋がっている。
【0019】
次に、駆動モータ20について説明する。
駆動モータ20は、圧縮部10の下方においてハウジング30に固定されている。
駆動モータ20は、固定子を構成するステータ21と、回転子を構成するロータ22と、ロータ22を支持してハウジング30に対して回転する回転軸23と、回転軸23を回転可能に支持する支持部材24と、を備えている。
【0020】
ステータ21は、ステータ本体211と、このステータ本体211に巻かれるコイル212と、を有している。
ステータ本体211は、電磁鋼板が多数積層された積層体であり、概略形状が円筒状である。そして、ステータ本体211の外周面の径は、ハウジング30の後述する中央ハウジング31の内周面の径よりも小さく形成されており、ステータ本体211(ステータ21)は、中央ハウジング31にしまりばめで嵌め込まれている。ステータ本体211を、中央ハウジング31に嵌め込む手法としては、焼嵌めや圧入であることを例示することができる。
【0021】
また、ステータ本体211は、ロータ22の外周と対向する内側の部位に、ティース213(
図2参照)を、円周方向に複数有している。コイル212は、隣接するティース213間に存在する後述する切欠き215(
図3参照)に配置される。本実施の形態に係るステータ21においては、コイル212は、複数の、隣接するティース213間に存在する切欠き215の中に入れ込まれた分布巻きであることを例示することができる。
また、ステータ本体211には、外周部に、上下方向の全域に亘って外周面から内側に凹んだ凹部214が円周方向に複数形成されている。この凹部214については後で詳述する。
【0022】
ロータ22は、リング状の電磁鋼板が多数積層された積層体であり、全体として円筒状の形状である。そして、ロータ22の内周面の径は、回転軸23の外周面の径よりも小さく形成されており、ロータ22は、回転軸23にしまりばめで嵌め込まれている。ロータ22に回転軸23を嵌め込む手法としては圧入であることを例示することができる。そして、ロータ22は、回転軸23に固定されて回転軸23とともに回転する。また、ロータ22は、内部に永久磁石が埋め込まれた物であることを例示することができる。
ロータ22の外周面の径は、ステータ21のステータ本体211の内周面の径よりも小さく形成されており、ロータ22とステータ21との間には隙間が空いている。
【0023】
回転軸23は、ロータ22が嵌合される軸本体231と、この軸本体231の上部に設けられて、軸本体231の軸心から偏心している軸心を持つ偏心軸232と、を有している。
軸本体231は、下部が支持部材24に回転可能に支持され、上部が圧縮部10の保持部材13に回転可能に支持されている。また、偏心軸232は、可動スクロール12の円筒状部123に回転可能に支持されている。
【0024】
そして、回転軸23には、この回転軸23を軸方向に貫通する貫通孔233が形成されている。また、回転軸23には、貫通孔233と支持部材24の軸受けとを連通する第1の連通孔234と、貫通孔233と保持部材13の軸受けとを連通する第2の連通孔235と、貫通孔233と円筒状部123の軸受けとを連通する第3の連通孔236と、が半径方向に形成されている。
【0025】
支持部材24は、円筒状の第1円筒状部241と、第1円筒状部241における下側の端部から下方に突出した円筒状の第2円筒状部242と、を備えている。そして、支持部材24は、第1円筒状部241の外周面がハウジング30の後述する中央ハウジング31の内周面と対向するように中央ハウジング31に固定されている。そして、第1円筒状部241および第2円筒状部242の内側には、ニードルベアリングを介して回転軸23が嵌め込まれている。このように、支持部材24は、回転軸23を回転可能に支持する軸受けとして機能する。
また、第1円筒状部241には、第1円筒状部241よりも上方の空間と下方の空間とを連通する孔(不図示)や溝(不図示)が形成されている。
支持部材24の第2円筒状部242における下端部には潤滑油を汲み上げるポンプ243が装着されている。
【0026】
次に、ハウジング30について説明する。
ハウジング30は、上下方向の中央に配置された円筒状の中央ハウジング31と、中央ハウジング31における上側の開口部を覆う上側ハウジング32と、中央ハウジング31における下側の開口部を覆う下側ハウジング33と、を備えている。また、ハウジング30は、圧縮部10で圧縮された高圧の冷媒をハウジング30の外部へ吐出する吐出部34と、ハウジング30の外部から冷媒を吸入する吸入部35と、を備えている。
【0027】
中央ハウジング31には、上述したように、圧縮部10の保持部材13と、駆動モータ20のステータ21および支持部材24とが固定されている。また、吐出部34および吸入部35は、中央ハウジング31に形成された貫通孔に管が挿入されることで構成されている。吸入部35は、また、固定スクロール11の円筒状部111に形成された貫通孔111aに対応する位置に設けられており、ハウジング30の外部から、固定スクロール11と可動スクロール12とで囲まれた空間に冷媒を吸入する。
下側ハウジング33は、椀状に形成されており、潤滑油を溜めることが可能になっている。
【0028】
次に、密閉型圧縮機1の作動について説明する。
密閉型圧縮機1の駆動モータ20が駆動すると、回転軸23が回転し、回転軸23の偏心軸232に嵌め込まれた可動スクロール12が固定スクロール11に対して旋回する。可動スクロール12が固定スクロール11に対して旋回することで、低圧の冷媒が、吸入部35を介して、ハウジング30の外部から固定スクロール11と可動スクロール12とで囲まれた空間に吸い込まれる。そして、この冷媒が、圧縮室15の容積変化に伴って圧縮される。圧縮室15で圧縮された高圧の冷媒は、圧縮部10の下方に流出する。
【0029】
圧縮部10の下方に流出した高圧の冷媒は、固定スクロール11に形成された貫通孔112a、圧縮部10に形成された吐出通路、ハウジング30に設けられた吐出部34などを介してハウジング30の外部へ吐出される。また、ハウジング30の外部へ吐出される過程で、ロータ22とステータ21との間の隙間や、ステータ21と中央ハウジング31との間の隙間などを流通する。そして、ハウジング30の外部へ吐出された高圧の冷媒は、冷媒回路において、凝縮、膨張、蒸発の各工程を行った後、再度吸入部35から吸入される。
【0030】
一方、ハウジング30の下側ハウジング33に溜まった潤滑油は、ポンプ243により汲み上げられて、回転軸23に形成された貫通孔233を上昇する。上昇した潤滑油は、回転軸23に形成された、第1の連通孔234、第2の連通孔235および第3の連通孔236を介して回転軸23の各軸受けに供給されたり、圧縮部10の摺動部に供給されたりする。そして、圧縮部10の摺動部に供給された潤滑油や、第2の連通孔235および第3の連通孔236を介して回転軸23の軸受けに供給された潤滑油は、保持部材13に形成された連通孔131eおよび溝131dや、ステータ21と中央ハウジング31との間の隙間や、ロータ22とステータ21との間の隙間や、支持部材24に形成された軸方向の孔などを介して下側ハウジング33に戻り、ハウジング30の下部に溜まる。この過程、および高圧の冷媒がハウジング30の外部へ吐出される前にロータ22とステータ21との間の隙間やステータ21と中央ハウジング31との間の隙間などを流通する過程で、潤滑油および冷媒は、駆動モータ20を冷却しながら低圧側に流れる。高圧の冷媒とともに流通した潤滑油は、その後冷媒と分離され、ステータ21と中央ハウジング31との間の隙間などを介してハウジング30の下部に溜まる。
【0031】
次に、駆動モータ20のステータ本体211について詳述する。
図2は、ステータ本体211を上方から見た図である。
図3は、
図2のIII部の拡大図である。
図2に示すように、ステータ本体211に設けられたティース213は、半径方向が長手方向となるように形成された長方形状である。そして、ティース213は、円周方向に等間隔に複数形成されている。本実施の形態に係るステータ本体211は、円周方向に10度間隔で、計36個のティース213を有している。そして、隣接するティース213間には、ステータ本体211の内周面から凹んだ切欠き215が形成される。コイル212は、この切欠き215を通るように巻かれる。同様に、本実施の形態に係るステータ本体211には、円周方向に10度間隔で、計36個の切欠き215が形成されている。
【0032】
本実施の形態に係るステータ本体211における外周部には、180度間隔で直線部216が形成されている。2つの直線部216は、ステータ本体211の外周面を切削加工する場合に、ステータ本体211を固定する治具がステータ本体211を保持するのに用いる。なお、ステータ本体211の外周面を切削加工できるのであれば直線部216を設けなくてもよい。
【0033】
そして、上述した凹部214は、
図2に示すように、ステータ本体211の外周部において、直線部216が設けられていない円弧状の部位に複数形成されている。本実施の形態に係るステータ本体211においては、計28個の凹部214が形成されている。
そして、
図2および
図3に示した上下方向に見た場合の各凹部214の形状は、ティース213における円周方向の中心線213a(
図3参照)に対して対称な略U字状である。そして、各凹部214の幅W(
図3参照)およびステータ本体211の外周面の基準円211a(
図3参照)から各凹部214の底までの長さである深さD(
図3参照)は以下に述べるように設定されている。U字状における側辺と底辺とを繋ぐ円弧の曲率半径は、ベースとなる電磁鋼板の打ち抜きの歩留まりを考慮した大きさに設定されている。
【0034】
先ず、各凹部214の幅Wは、ステータ本体211の外周面と中央ハウジング31の内周面との間に生じる摩擦力(第2摩擦力)が、ロータ22の内周面と回転軸23の外周面との間に生じる摩擦力(第1摩擦力)とが略同一となるように設定されている。つまり、ステータ本体211の外周面と中央ハウジング31の内周面の接触面積が、ステータ本体211の外周面と中央ハウジング31の内周面との間に生じる摩擦力と、ロータ22の内周面と回転軸23の外周面との間に生じる摩擦力と、が略同一となるように定められる。そして、中央ハウジング31の内周面と接触しない部位である凹部214の幅Wが、ステータ本体211の外周面を基準円211aにて構成されるとした場合の表面積から、中央ハウジング31の内周面との接触面積を除算した面積に基づいて定められる。
【0035】
これは、幅Wを大きくして凹部214の開口面積を増やして潤滑油の戻り量をできる限り増やすことが好ましい一方で、ステータ本体211の外周面と中央ハウジング31の内周面との接触面積が小さく両者間に生じる摩擦力が小さいとステータ21の空回りや脱落が生じるおそれがあるからである。ステータ本体211の外周面と中央ハウジング31の内周面との間に生じる摩擦力と、ロータ22の内周面と回転軸23の外周面との間に生じる摩擦力とが略同一である場合には、ロータ22の回転によりロータ22とステータ21との間に作用反作用の力が生じても、ロータ22が回転軸23に対して空回りしない保持力であれば、ステータ21が中央ハウジング31に対して空回りしたり脱落したりしないと考えられるからである。
【0036】
次に、ステータ本体211の外周面の基準円211aから各凹部214の底までの深さDは、ステータ本体211の厚さH(
図3参照)、つまりティース213の先端から基準円211aまでの厚さHに対する深さDの割合(=D/H×100%)が20%以下となるように設定するとよい。
図4は、厚さHに対する深さDの割合毎の鉄損比を示す図である。横軸は、厚さHに対する深さDの割合(=D/H×100%)である。縦軸は、ステータ本体211に凹部214を設けない場合の鉄損Puに対するステータ本体211に横軸の割合となる凹部214を設けた場合の鉄損Pの割合(鉄損比)(=P/Pu×100%)である。
【0037】
図4に示すように、厚さHに対する深さDの割合が10%である場合には鉄損比は約1%であり、厚さHに対する深さDの割合が20%である場合には鉄損比は約1.1%である。これに対して、厚さHに対する深さDの割合が30%である場合には鉄損比は約1.55%となり、厚さHに対する深さDの割合が10%、20%である場合の鉄損比と比べて、それぞれ約1.55倍、約1.4倍となる。これは、厚さHに対する深さDの割合が大きくなると、凹部214と切欠き215との間の距離が短くなるため、磁路が妨げられ、鉄損が増加するからである。したがって、本実施の形態に係るステータ本体211においては、厚さHに対する深さDの割合が20%以下となるように深さDを設定することで鉄損を小さくし、モータ効率を高めている。
【0038】
以上説明したように、本実施の形態に係る密閉型圧縮機1においては、ステータ本体211の周方向に均等に複数形成した凹部214の幅Wが上述したように定められているので、凹部214の開口面積を増やすことができる。したがって、以下に述べるようにモータ効率低下の抑制を図りつつ、ステータ21と中央ハウジング31との間の隙間を利用してより多くの潤滑油をハウジング30の下部に戻すことができる。これにより、圧縮部10などに供給される潤滑油が不足することを抑制することができる。また、ステータ21と中央ハウジング31との間の隙間を流通する潤滑油および冷媒が駆動モータ20を冷却するので、駆動モータ20の過熱を抑制することができる。
【0039】
また、ステータ本体211の周方向に均等に外周面から凹んだ凹部214を複数形成するとともにステータ本体211の凹部214の深さDが上述したように定められているので、ステータ21に潤滑油などの流路を形成することに起因して鉄損が増加することを抑制することができる。その結果、ステータ21に潤滑油などの流路を形成することに起因してモータ効率が低下することを抑制することができる。
【0040】
なお、上述した実施の形態においては、ステータ本体211の外周部に形成した凹部214における上下方向に見た場合の形状は略U字状であるが、特にかかる形状に限定されない。
図5は、凹部214の形状の変形例を示す図である。
図5に示すように、凹部214における上下方向に見た場合の形状の変形例は、ティース213における円周方向の中心線213aとステータ本体211の外周面の基準円211aとの交点217を中心とする円形である。
【0041】
そして、
図5に示した変形例においては、交点217を中心とする円の半径Rの約2倍が凹部214の幅Wと同一となるが、この半径Rを、ステータ本体211の外周面と中央ハウジング31の内周面との間に生じる摩擦力が、ロータ22の内周面と回転軸23の外周面との間に生じる摩擦力とが略同一となるように設定するとよい。
また、
図5に示した変形例においては、半径Rが、ステータ本体211の外周面の基準円211aから各凹部214の底まで深さDと同一となるので、半径Rを、ステータ本体211の厚さHに対する半径Rの割合(=R/H×100%)が20%以下となるように設定するとよい。
【0042】
凹部214の形状をかかる形状とすることで、凹部214の開口面積を増やすことができ、ステータ21と中央ハウジング31との間の隙間を利用してより多くの潤滑油をハウジング30の下部に戻すことができる。これにより、圧縮部10などに供給される潤滑油が不足することを抑制することができる。また、ステータ21と中央ハウジング31との間の隙間を流通する潤滑油および冷媒が駆動モータ20を冷却するので、駆動モータ20の過熱を抑制することができる。また、ステータ21に潤滑油などの流路を形成することに起因して鉄損が増加することを抑制することができる。その結果、ステータ21に潤滑油などの流路を形成することに起因してモータ効率が低下することを抑制することができる。
【0043】
なお、この変形例に係る凹部214の形状は、交点217を中心とする円形であることを例示しているが、円形の中心は、交点217の近辺であってもよい。かかる場合も、凹部214の幅Wを、ステータ本体211の外周面と中央ハウジング31の内周面との間に生じる摩擦力が、ロータ22の内周面と回転軸23の外周面との間に生じる摩擦力とが略同一となるように設定するとともに、深さDを、ステータ本体211の厚さHに対する半径Dの割合が20%以下となるように設定することで上述したのと同様の効果を得ることができる。