(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6235345
(24)【登録日】2017年11月2日
(45)【発行日】2017年11月22日
(54)【発明の名称】ストーマと共に使用するための医療装置
(51)【国際特許分類】
A61F 5/445 20060101AFI20171113BHJP
A61F 2/04 20130101ALI20171113BHJP
【FI】
A61F5/445
A61F2/04
【請求項の数】24
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-557815(P2013-557815)
(86)(22)【出願日】2012年3月7日
(65)【公表番号】特表2014-511251(P2014-511251A)
(43)【公表日】2014年5月15日
(86)【国際出願番号】US2012027984
(87)【国際公開番号】WO2012122220
(87)【国際公開日】20120913
【審査請求日】2014年12月22日
(31)【優先権主張番号】61/450,422
(32)【優先日】2011年3月8日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】391028362
【氏名又は名称】ダブリュ.エル.ゴア アンド アソシエイツ,インコーポレイティド
【氏名又は名称原語表記】W.L. GORE & ASSOCIATES, INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100077517
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 敬
(74)【代理人】
【識別番号】100087871
【弁理士】
【氏名又は名称】福本 積
(74)【代理人】
【識別番号】100087413
【弁理士】
【氏名又は名称】古賀 哲次
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100138210
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 達則
(72)【発明者】
【氏名】シェリフ エー.エスカロス
(72)【発明者】
【氏名】デイビッド シー.エバーソン
(72)【発明者】
【氏名】ジョージ エヌ.フォウトラキス
(72)【発明者】
【氏名】ジョン エム.ハーマン
(72)【発明者】
【氏名】マシュー エー.ジョンソン
(72)【発明者】
【氏名】ピーター ジェイ.ルッツ
(72)【発明者】
【氏名】マイケル エル.オーハラ
【審査官】
佐藤 智弥
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許第4119100(US,A)
【文献】
特表2010−528821(JP,A)
【文献】
特表2007−530128(JP,A)
【文献】
米国特許第5261898(US,A)
【文献】
国際公開第2009/109348(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 5/445
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
a.中空の体腔の内容物を捕捉して迂回させるために前記中空の体腔内に配設されるようにされた近位部分であって、少なくとも該近位部分は、前記中空の体腔内への該近位部分の挿入のための初期直径を有する初期状態から、前記初期直径よりも大きい直径を有する中空の体腔の組織に係合するための拡張状態に拡張可能な近位部分と、
b.調節可能な長さを有し移行部位を介し前記近位部分に接続された遠位部分であって、前記中空の体腔の内容物を前記近位部分の外へ導くために前記中空の体腔の壁におけるストーマを貫いて延びるようにされた遠位部分と、
c.双円板型瘻孔カラーと
を具備し、ここで前記移行部位は前記双円板型瘻孔カラーを通っている、装置であって、
前記遠位部分及び前記近位部分が、バリヤ材料の少なくとも一つの層を具備しており、
前記近位部分及び前記遠位部分の少なくとも一方が、拡張可能な支持フレームを更に具備しており、前記拡張可能な支持フレームは、長さと、該拡張可能な支持フレームを通して延びるチャネルとを有する、装置。
【請求項2】
前記初期状態において該装置はほぼ軸方向に方向付けられており、前記拡張状態において該装置は曲率半径を有する少なくとも一つの領域を具備する、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記少なくとも一つの領域は、選択的曲げ機構を具備する、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記選択的曲げ機構が縦方向補剛部材である、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記選択的曲げ機構が係止構成要素を更に具備する、請求項3に記載の装置。
【請求項6】
前記支持フレームが略円形の横断面を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記支持フレームが、前記チャネルの対向する側で非対称である、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記近位部分がラジアル構成要素を更に具備しており、前記ラジアル構成要素は、張力を加えられたとき前記近位部分の直径を縮小する、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記ラジアル構成要素と連通しているテンション部材を更に具備する、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記テンション部材が、前記チャネル内で方向付けられて、前記近位部分から前記遠位部分へ延びている、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記近位部分が、アンカー構成要素を更に具備する、請求項1に記載の装置。
【請求項12】
前記バリヤ材料の少なくとも一つの層が少なくとも一つの開口を具備する、請求項1に記載の装置。
【請求項13】
前記中空の体腔が、腸、胃、胆嚢、膀胱、偽性嚢胞、腹膜腔、及び胸腔から選択される、請求項1に記載の装置。
【請求項14】
前記遠位部分が、胃腸管内に位置決めされている、請求項1に記載の装置。
【請求項15】
前記遠位部分が、腹壁を貫通して位置決めされている、請求項1に記載の装置。
【請求項16】
該装置に接続された弁であって、腸内容物が前記遠位部分から選択的に排出されることを可能にする自制を提供する弁を更に具備する、請求項1に記載の装置。
【請求項17】
前記遠位部分が、初期直径を有する初期状態から、前記初期直径よりも大きい直径を有する拡張状態に拡張可能である、請求項1に記載の装置。
【請求項18】
前記近位部分及び前記遠位部分が、前記中空の体腔からの除去のために、前記拡張状態から圧縮可能である、請求項17に記載の装置。
【請求項19】
前記遠位部分が調節可能な長さを有する、請求項1に記載の装置。
【請求項20】
前記遠位部分が波型にされている、請求項1に記載の装置。
【請求項21】
前記拡張可能なフレームがニチノールである、請求項1に記載の装置。
【請求項22】
前記拡張可能なフレームがステンレス鋼である、請求項1に記載の装置。
【請求項23】
前記拡張可能なフレームがポリマーである、請求項1に記載の装置。
【請求項24】
前記拡張可能なフレームが生体吸収性である、請求項1に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、2011年3月8日に出願された仮出願第61/450422号に対する優先権を主張する。
【0002】
本発明は、患者による経皮的適用で使用される装置に関するものであり、前記患者は手術を受けて、その手術の結果として、例えば腸のような中空の体腔の壁に及び/又は腹壁に開口又はストーマが残された患者である。
【背景技術】
【0003】
腸の部分を修復又は除去する腸の手術又は他の処置を受けた患者のために、結腸瘻造設術手術又は回腸造瘻術手術の実施が高い頻度で必要になる。結腸瘻造設術に関しては、大きな腸が腹壁を通して持って来られ、回腸造瘻術に関しては、小さな腸が腹壁を通して持って来られる。どちらの場合でも、患者の身体からの汚物の排出を可能にするための導管を提供するために、ストーマと呼ばれる開口が形成される。患者の消化器官からの排出又は放出は、腹壁の開口又はストーマを通して行われる。腹壁から突出する身体の管路は、典型的には縫合又は他のやり方で前記開口の周囲の皮膚に付着させられる。ストーマを通して排泄される液状、個体状、及びガス状排泄物を回収して保持するために、柔軟な袋又は他の受容手段がストーマに典型的に取り付けられる。
【0004】
例示的なそのような処置が、ループ回腸造瘻術を示す
図1A及び
図1Bに図解されている。ストーマ14が、腹部から突出する腸の輪を切ることによって作り出される。腸の上流側区域13がストーマを通して腸内容物を空にする。粘液性瘻孔11が、腸の下流側端部12に形成され、その区域が腸内容物を受容することを典型的に阻止する一方で、ストーマが所定の場所に在る。シャント15が皮膚と腸の輪との間で時々用いられる。
【0005】
ストーマを形成するために腸を外在化することは欠点を有する。腸内容物の流れを制御することが時々困難であって、結果として起こる感染及び皮膚炎のリスクが生まれる。腸内物質の回収のためのストーマ装具の取付けも困難なことがある。腸の狭窄及び脱出が、このタイプの処置に伴う追加のリスクである。
【0006】
身体内の二つの中空の体腔又は器官を接続することにより一方の器官から他方の中への排出を可能にするために、同様の処置が企てられるかもしれない。例えば、中空の体腔から胃腸管内への排出を可能にするために、ストーマが身体内の中空の体腔に作り出されることがある。
【発明の概要】
【0007】
出願人は、ストーマとともに利用され得る装置であって、腹壁を通して腸を外在化する必要性を排除する装置を提供することによって、従来型のストーマに結びついた多くの欠点に対処した。例示的な実施形態では、本発明は、内容物を捕捉して迂回させるために腸内又は他の中空の体腔もしくは器官内の中間に配設されるようにされた近位部分であって、腸内への該近位部分の挿入のために腸の直径よりも小さな初期直径を有する初期状態から、例えば、該近位部分を腸の内壁に係合させるために初期直径よりも大きい直径を有する拡張状態に、任意選択的には自己拡張性ニチノール・ステントを用いることによって拡張可能な近位部分と、近位部分に接続された遠位部分であって、内容物を近位部分の外へ導くために腹壁を通して延びるか又は代りに他の中空の体腔もしくは器官内に延びるようにされた遠位部分と、を含む装置を提供する。代替の実施形態では、装置は、内容物が遠位部分から選択的に排出されることを可能にする自制を提供するために遠位部分に結合された弁も含んでいる。装置は、近位部分を遠位部分に接続する移行部分を任意選択的に含む。近位部分は、腸又は他の中空の体腔もしくは器官からの該近位部分の除去のために、拡張状態から任意選択的に圧縮可能である。
【0008】
代替の実施形態では、遠位部分は、圧縮によってか又は制御された様態で装置の一部を除去することによって調節可能な長さを有する。また、遠位部分は任意選択的に波型にされもする。装置は、可撓性、圧潰抵抗性、及びよじれ抵抗性であり得る。
【0009】
別の様相では、中空の体腔の内容物を排出する方法であって、以下の段階、即ち、(a)胃腸管に切り口を形成する段階、(b)中空の体腔の壁の中に切り口を形成する段階、(c)前記切り口をとおして本発明による装置を挿入する段階、(d)前記近位部分を中空の体腔内に位置決めする段階、(e)中空の体腔の内容物を捕捉して迂回させるために、前記近位部分を展開する段階、(f)中空の体腔の内容物を近位部分から胃腸管内へ排出するために、前記遠位部分を胃腸管内に位置決めする段階、を含む方法が提供される。
【0010】
更に別の様相では、腹部を通して腸を持って来ることなしに腸から腸内容物を迂回させる方法であって、以下の段階、即ち、(a)腹壁を貫く切り口を形成する段階、(b)腸の全直径を切ることなく腸の中に切り口を形成する段階、(c)本発明による装置を、前記切り口をとおして経皮的に挿入する段階、(d)近位部分を腸の中に位置決めする段階、(e)腸内容物を捕捉して迂回させるために近位部分を展開する段階、及び(f)近位部分の外へ腸内容物を導くために、腹壁を貫いて延びるように遠位部分を位置決めする段階、を含む方法が提供される。任意選択的に、本発明は、腸内容物が装置から選択的に排出されることを可能にする自制を提供するために、装置に弁を取り付ける段階を含む。更なる任意選択的段階は、腸を密封するために腹部の内壁に腸を取り付ける段階、及び腹壁の厚さを占めるように遠位部分の長さを調節する段階を含む。本発明は、前記装置を腸から除去する段階も代替的に含む。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1A】従来技術によるループ回腸造瘻術の側面図である。
【
図1B】従来技術によるループ回腸造瘻術の模式的側面図である。
【
図3】本発明の別の例示的実施形態の側面図である。
【
図4】本発明の別の例示的実施形態の側面図である。
【
図5】本発明の別の例示的実施形態の側面図である。
【
図8】本発明の別の例示的実施形態の側面図である。
【
図12】部分的に反転された
図10の実施形態の斜視図である。
【
図13】C字形の配向に選択的に曲げられた本発明の装置の一実施形態の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図2は、本発明による装置の例示的実施形態を描いている。装置の近位部分10が腸11内の中間に配設されている。ここで用いられる「中間に」は、外科的に切断されたその端部ではなく、腸の長さ内に配設されることを意味する。近位部分10は、腸11内からの内容物を捕捉して迂回させるように構成されている。近位部分10のための構造材料は、耐久性を有し生物学的適合性を有するバリヤ材料であって、漏れを防ぐとともに、腸の内容物が近位部分10にくっつくことなく近位部分10の内側の長さに沿って通ることを可能にするバリヤ材料であり得る。これらの特性は、前記材料それ自体によって、又は前記材料を適切な被覆と組み合わせることによって達成され得る。好適には、近位部分10は、例えば延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)のようなフルオロポリマーの多層構造から作られる。近位部分10のための代替材料は、(例えばFEPのような)他のフルオロポリマー、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリオレフィン、ポリイミド樹脂、ポリエステル、シリコーン樹脂、フルオロシリコーン樹脂、並びにPGA、TMC、PLAのポリマー及びコポリマーのような生体吸収性材料、並びにこれら材料の任意の組み合わせを含んでいる。特定の実施形態では、近位部分のバリヤ材料は、その中に少なくとも一つの開口を具備し得る。
【0013】
近位部分10は支持構造体19を含んでいる。支持構造体19は、好適には、例えばニチノールのような自己拡張性材料である。代りに、支持構造体19は、ステンレス鋼もしくは他の生体適合性金属、又はバルーン拡張材料のような、外力を加えることによって拡張可能なポリマーである。代りに、支持構造体19は高分子材料から形成されてもよい。支持構造体19は生体吸収性であるか又は生体非吸収性であってよい。
【0014】
支持構造体19は、遠位部分10の周囲の内側又は外側に配設され得る、つまり支持構造体19は、近位部分10に使用される(例えば)ePTFEの外側の周りにあるか、又は近位部分10に使用されるePTFEの内側に配設され得る。代りに、それは、近位部分10に用いられる材料の複数の層又は被覆の間に挟まれることも可能である。いずれにしろ、それは(例えば)ePTFEに取り付けられて、外向きの力を及ぼすように使用され、前記外向きの力は、腸11の内壁に係合して、腸内の所定の位置に近位部分10を固定し、腸の内容物が腸11からほぼ完全に迂回させられることを可能にする。
【0015】
支持構造体19は、近位部分を腸11内へ挿入するために腸11の直径よりも小さな初期内径を有する初期状態から、近位部分10を腸11の内壁12に係合させるために前記初期内径よりも大きな直径を有する拡張状態に、近位部分10が拡張可能であることを可能にする。近位部分10は、腸11から近位部分を除去するために、その拡張状態から圧縮可能でもある。
【0016】
図3は、本発明の代替実施形態を図解している。特に、
図3では、支持構造体19は近位部分10の長さを越えて延びて、近位部分10の下で腸11内へ延びている。この構造体は、ストーマ部位の腸11に追加された補強及び従って開存性を与える。それは、ストーマ部位に近接する腸11の捩れ又はよじれを制限して、腸内流の望ましくない低速化を招く腸11の(例えば閉塞によるような)狭窄を防ぐという利点を提供する。
【0017】
図4は、支持構造体19が遠位部分13に含まれる、本発明の実施形態を図解している。その支持構造体は、近位部分10に関連して上述されたものと同じ代替構造体のものであり得る。
【0018】
図15は、更に別の代替の支持構造体19を描いており、そこでは装置の長さに沿う一部分が支持されないが、遠位部分13と近位部分10の両方の領域が支持される。
【0019】
図2〜4に示されるように、装置は、近位部分10に接続された遠位部分13も含む。遠位部分13は、近位部分10の外へ腸内容物を導くために、腹壁14を貫通して延びるように構成されてよい。少なくとも遠位部分13は、それの捻れ又はよじれを防ぐためによじれ抵抗性を有し得る。これは、管状に形成され得る任意の生体適合性材料から遠位部分13を構築することによって為されるだろう。好適には、遠位部分13は、ePTFEから製作され、支持構造体19に関連して上述されたものと同様の支持構造体によって補強される。
図4は、好適な実施形態を図解しており、そこでは、遠位部分13のための支持構造体が一連のニチノールリングである。代りに、補強材はFEPであり得る。特定の実施形態では、遠位部分の材料はその中に少なくとも一つの開口を具備してよい。
【0020】
遠位部分13は、腹壁14の異なる幅を収容するために、調節可能な長さを任意選択的に有する。調節可能な長さは、所定サイズに切断される材料の選択によって、又は圧縮可能性もしくは伸長を容易にする波型構造もしくは伸縮構造を用いることによって提供され得る。
【0021】
本発明の装置は、(図示されない)漏斗状構造を装置の遠位端に更に具備してよく、前記漏斗状構造は、装置の移行もしくは移動を防ぐことを助けて、ストーマを通る装置の引き抜けを潜在的に回避し得る。
【0022】
本発明の装置は、腸11を腹壁14の内壁16に取り付けるために、近位部分10を遠位部分13に接続する移行部分15を任意選択的に含む。また、フランジ又は他の固定手段18も、遠位部分13を患者の皮膚に接続して密封するために、開口部において任意選択的に含まれる。
【0023】
代替実施形態では、本発明の装置は、装置に沿う任意の点で組み入れられた弁を含んでいる。好適には、前記弁は、患者に自制を提供するために、前記近位部分11又は前記遠位部分13のどちらかに結合されることができ、それにより腸内容物が遠位部分13から選択的に排出されることを可能にする。近位部分11に配置された弁は、弁開口のより大きな直径が物質の容易な通過を可能にして詰まりのリスクを潜在的に低下させることができるという利点を提供し得る。他の実施形態では、弁は装置の近位部分に配置されるが遠位部分から制御されるだろう。
【0024】
図5は、装置50を腸内の所定の場所に保持するための保持手段51を近位部分52に含む本発明の実施形態を描いており、前記保持手段51は、棘又は鱗等であり得る。この実施形態における支持構造体53は、近位部分52から遠位部分54を通り且つ含んで全長に延びるニチノール・ステントリングを具備している。この実施形態では、装置50は保持カラー55及び空気圧で作動される絞り弁56も含んでいる。保持カラー55は、患者からの装置50の移動又は移行を防ぐために、腹部の内壁上に位置付けられるように設計されている。絞り弁56は、患者が、腸内容物の外部への放出を制御することを可能にするように意図されていて、身体の外側に配設されるように設計されている。
【0025】
図6は、本発明の別の様相を図解している。
図6は、双円板型瘻孔カラー60を示している。カラー60は、装置が所定の場所にあるように意図されるかぎり存続するようにデザインされた生体吸収性材料から好適に作られている。より長持ちする装置が使用されてもよく、例えばePTFEの足場が生体吸収性材料とともに使用され得る。瘻孔カラー60の目的は、腸の内側を腹壁につなぎ留めることである。これは、管腔63を通してカラー60の中央を通過する装置に対して支持を提供する。これは、腸内容物が腹腔内に漏れないように腸の密封を促進する。装置50における保持カラー(55、
図5)は、装置50が腹腔内に引き落とされないようにしている。カラー60の端部61が腸の内側に配置されるようにデザインされる一方で、端部62は腹壁に対して配置されるようにデザインされている。中央管腔63のアコーディオン作用を可能にして、装置50を締め付けて腸を腹壁の方へ引き付けるために、配置の後に圧縮紐64が引かれる。
【0026】
本発明の別の様相が
図7に図解されている。
図7は、腸プラグ70を図解しており、前記腸プラグ70は、装置の除去後に残る自然瘻孔チャネルを密封するために用いられる。腸プラグ70は、双円板型瘻孔カラー60と同様に、生体吸収性材料単独で、又は強度及び長寿命を与えるために例えばePTFEから作られた足場と共に作製され得る。双円板型瘻孔カラー60は、装置の除去後に生体内に置き去りにされている。腸プラグ70のデザインは、双円板型瘻孔カラー60に似ているが、中央管腔63を有しない。腸プラグ70の端部71は腸内に配置されるようにデザインされていて、端部72は腹壁に対して配置されるようにデザインされている。圧縮紐74が二つの円板71及び72を引いて一緒にする。
【0027】
図8は、本発明の実施形態を図解しており、そこでは、配設後且つ除去前の内在装置が示されている。近位部分81が腸内容物を迂回させる。双円板型瘻孔カラー82が装置を所定の場所につなぎ留める。保持カラー83が、装置が腸の内部へ引っ込むのを防ぐ。絞り弁84が、患者による腸内容物の放出の制御を可能にする。圧縮紐85は腸を密封して腹壁の方に引く。この実施形態における支持構造体86は、ニチノールのフレームであり、前記フレームは装置に選択的湾曲を生み出す背骨を具備しており、前記背骨は、装置を腸内の所定の場所に保持するのを助けるが、除去シースによる装置の除去を可能にするのに十分なほどに可撓性である。装置の湾曲の底部が双円板型瘻孔カラー82によって所定の場所に保持されていることが注目される。
【0028】
図9は、本発明による装置の除去を図解している。装置が理想的には外来患者の設定で経皮的に除去され得るように、除去シース90が使用されて装置を圧縮する。除去シース90は、図示された実施形態では、除去シース90の中央管腔内への装置91の引き込みを可能にするような大きさの重合体の中空管である。除去シース90は、装置91を除去するとき圧潰または蛇腹状圧縮を防ぐのに十分な剛性を有している。テンション部材92が、ステントグラフトをシース内に引き込むために(弁の除去後に)装置91の端部に取り付けられる。シースは、テンション部材が、装置91を完全に捕捉するために引かれるにつれて前進せしめられ、そして患者から除去される。
図9は、除去シース90内に引き込まれる過程の装置91の説明図である。
【0029】
除去の代替の方法が
図10〜12に例示されており、そこでは装置の近位端が、除去を簡単にするために装置の主チャネル内に反転されることが可能である。
図10は、装置100の近位部分10の直径又は少なくとも近位端部103の直径を縮小するラジアル構成要素101を具備する本発明の実施形態を示している。例えばテンション紐又は回収線の形をしているテンション部材102が、ラジアル構成要素101と連通している。テンション紐又は回収線はラジアル構成要素とは別個の部材であるか、又はラジアル構成要素の延長された端部であるかもしれない。
図11におけるように、テンション部材に力が作用されると、装置の少なくとも近位端部の直径及びアンカーフィン111の直径を縮小するラジアル構成要素101に張力が加えられて、装置の近位部分及び/又は近位端部の周囲に位置決めされた前記アンカーフィン111が周囲の組織から解放される。近位端部がそのように縮小されると、テンション部材102に加えられる追加の力が、装置の近位端部を装置の主チャネル内に引き込むとともに、
図12に示される反転プロセスを開始するように作用する。近位部分のより大きな直径がそれによって縮小される。
【0030】
更に別の実施形態では、本発明の装置は、腸又は他の中空の体腔もしくは器官からの簡単な取外しのために管理された様態で引き離される。一つの実施形態では、引き離し方法を容易にするために、装置は回収線を具備することができ、前記回収線は、例えばニチノールの一体型ワイヤフレームのような支持フレームの近位端部に直接に取り付けられている。回収線を引くことは、支持体の近位端部をグラフト材料から引き出すだろう。回収線に対する継続的張力は、ニチノールワイヤを引き続けて、連続する長さにあるグラフト材料から自由にする。一つの実施形態では、ワイヤの十分な量がそこから引き出されたとき、支持された近位領域はストーマの直径と同様の直径を有し、装置は除去され得る。代りに、装置がニチノールの一体型ワイヤ支持フレームを具備しているが回収線がない場合、人はニチノールワイヤの遠位端部を引き始めることができる。この方法は、装置の最大直径部分が最後にほぐされるので、使用者が装置の大部分を除去の前にほぐすことを必要とするだろう。
【0031】
上述されたように、本発明の装置は、選択的な曲げ機構を更に具備することができ、前記曲げ機構は、装置の拡張の際に装置の領域に対して曲率半径を選択的に一方向で与える。曲率半径を獲得することができる装置の領域は、装置の近位部分、又は装置の遠位部分、又はそれらの間の任意の移行部分に配置され得る。選択的曲げ機構は、装置の領域の一方の側に沿う背骨の形をしているかもしれない。装置が支持フレームを具備している場合、対向する側において非対称の支持フレームは、拡張の際に装置の好適な曲げを獲得するための適切な背骨を提供することができる。装置が支持フレーム53を具備する
図11に示されるように、装置の少なくとも一方の側の領域に沿って隣接するステントリングの頂点113の間のより長い頂点間隔112は、装置に背骨を提供することができ、また適切な選択的曲げ機構であるだろう。代りに、選択的曲げ機構は、装置の長さに沿うブリッジ部材であって、装置の一方の側において隣接するステントリングを接続することにより背骨を生成するブリッジ部材の形をしていてよい。代りに、背骨は、装置の領域の一方の側に沿うより緻密なバリヤ材料の領域、又は任意の他の縦方向補剛部材を具備することができる。
図13は、装置100をC字形又はJ字形にするために装置の背骨150に沿って選択的に曲げられた装置を示している。
図15では、装置の背骨150は、装置の別な状態の非支持領域の一方の側に沿って縦方向支持構造体を具備しており、前記縦方向支持構造体は適切で選択的な曲げ機構を提供する。
【0032】
選択的曲げ機構は、係止特徴部を更に具備してよく、前記係止特徴部は、係止が解除されるか開放されるときまで、装置が曲げ位置に留まることを可能にする。装置を選択的曲げ配向に係止する一つの利点は、装置それ自身がクランプとして作用することであり、それにより周囲の組織をクランプして、アンカーを所定の場所に保持して移行を阻止するための補助的なアンカー手段の必要性を排除する。通常は、装置の近位部分が、第1の中空の体腔又は器官内に配置されるとともに、装置の遠位端部が、第1の中空の体腔からの排液又は代りに腹壁を通る排液を受容するのに適した第2の中空の体腔内に配置されることができる。しかしながら、本発明の装置は、周囲の組織に対する例えば縫合又は他の手段による付着によって所定の場所に更に保持されてよい。
図14は、係止されて選択的に曲げられて二つの中空の体腔又は器官を結びつけている使用中の装置100を示している。
【0033】
例えば抗菌薬のような任意の数の作用薬剤が、本明細書に記載された任意の実施形態と共に充填剤又は被覆として含まれてもよい。
【0034】
本発明の特定の実施形態が本明細書で図解及び説明されてきたが、本発明はそのような実例及び説明に限定されるべきでない。変更及び修正が本発明の部分として添付の請求項の範囲内で取入れられて具体化されてよいことが明らかであるに違いない。