(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の一実施形態における削孔装置の概略構成を示す。
図2は
図1のA−A断面図である。
図3は
図1の部分Bの部分拡大図である。
図4は
図3のC−C断面図である。
尚、本実施形態では、ケーシング4が圧入される被圧入物の一例として水底の地盤10を例にとって、本発明に係る削孔装置、削孔方法、及び、削孔用のガイド装置を説明するが、被圧入物はこれに限らない。
【0012】
削孔装置1は、作業台船2と、ケーシング圧入装置3と、円筒状のケーシング(ケーシングチューブ)4と、クレーン5と、掘削装置としてのハンマーグラブ6(
図8参照)と、第1ガイド装置7と、第2ガイド装置8と、を含んで構成される。ここで、第1ガイド装置7及び第2ガイド装置8は、それぞれ、ケーシング圧入装置3とは別体である。
作業台船2は、互いに隣り合って水面上に浮かぶ2つの台船2a,2bからなる。台船2a,2bは、それぞれが、例えば、図示しない係留索を介して、図示しない岸壁の固定用アンカーに固定される。
ここで、
図2に示すように、便宜上、台船2aを前側の台船とし、台船2bを後側の台船として、削孔装置1の前後左右を規定して、以下説明する。
【0013】
後側の台船2bは平面視で矩形形状を有しており、クレーン5が設置されている。
前側の台船2aは平面視で矩形形状を有し、その中央部に、ケーシング4の挿通用の貫通孔9が形成されている。
前側の台船2aには、貫通孔9の大部分を上方から塞ぐように、ケーシング圧入装置3が設置されている。すなわち、ケーシング圧入装置3は、水面より上方に位置する。
【0014】
ケーシング圧入装置3は、その下側に位置する矩形形状のベースフレーム(図示せず)と、このベースフレームの四隅にそれぞれ設けられたスラストジャッキ(図示せず)と、これらスラストジャッキの伸縮に応じて昇降する昇降フレーム(図示せず)と、を含んで構成される。この昇降フレームには、回転筒(図示せず)が回転自在に支持されている。この回転筒の上部と前述のベースフレームとには、それぞれ、ケーシング4を把握するチャック装置(図示せず)が設けられている。尚、ベースフレームのチャック装置は、前述の回転筒の上部のチャック装置が把握解放状態で昇降フレームが昇降するときにケーシング4を把握保持する。
ケーシング圧入装置3では、前述の回転筒にケーシング4が挿入された状態で、前述の回転筒の上部のチャック装置によりケーシング4がその外方から把握される。
【0015】
ケーシング圧入装置3では、ケーシング4が前述の回転筒の上部のチャック装置により把握された状態で前述の昇降フレームを前述のスラストジャッキにより下降させることで、ケーシング4を下降させる。
また、ケーシング圧入装置3では、ケーシング4が前述の回転筒の上部のチャック装置により把握された状態でモータ(図示せず)を駆動源として前述の回転筒を回転させることにより、ケーシング4を回転させる。
従って、ケーシング圧入装置3は、ケーシング4を回転させつつ下降させることにより、ケーシング4を水底の地盤10に回転圧入することができる。
【0016】
また、ケーシング圧入装置3では、ケーシング4が前述の回転筒の上部のチャック装置により把握された状態で前述の昇降フレームを前述のスラストジャッキにより上昇させることで、ケーシング4を上昇させる。
従って、ケーシング圧入装置3は、ケーシング4を回転させつつ上昇させることにより、ケーシング4を水底の地盤10から引き抜くことができる。
【0017】
ケーシング4は、外径が1m〜3m程度、1本あたりの長さが1m〜6m程度の鋼管をつないで形成されるものであり、上下方向に延在して、ケーシング圧入装置3から水底の地盤10に至る。ケーシング4の下端(先端)には、図示しない複数のビットが取り付けられている。尚、ケーシング4における鋼管の継ぎ足しにはクレーン5が用いられる(
図6参照)。
【0018】
クレーン5は、ハンマーグラブ6(
図8参照)を昇降自在に吊下げ可能である。
ハンマーグラブ6は、ケーシング4内の土砂(水底の地盤10)の掘削排土に用いられ得る。ハンマーグラブ6は、例えば、シェルと、シェルホルダと、シェルの開放用ばね装置が内蔵された滑車装置を含む本体と、シェルの開閉用ワイヤーロープのロックとクラウン部との連結機構を備えたヘッド部と、を含んで構成される。ハンマーグラブ6は、クレーン5のワイヤーによって操作されることにより、水底の地盤10のうち圧入されたケーシング4内の土砂を掘削し、更にこの掘削した土砂をつかんで土運船(図示せず)まで搬出する。ここで、土運船は、台船2a,2bの少なくとも一方に接舷され得る。
【0019】
第1ガイド装置7は、圧入されるケーシング4内に位置するように水底の地盤10の表面に設けられる。
本実施形態において、第1ガイド装置7は、水底の地盤10の表面のうち圧入されるケーシング4内に位置する部分に載置される(
図9参照)。また、水底の地盤10の表面のうち第1ガイド装置7が載置される部分は、ケーシング圧入装置3の下方に位置する。従って、ケーシング圧入装置3の設置位置と第1ガイド装置7の載置位置との間には高低差がある。
【0020】
ここで、第1ガイド装置7の構成について
図4及び
図5を用いて説明する。
図5は第1ガイド装置7の斜視図である。
第1ガイド装置7は、円柱状の重錘21と、重錘21の側面(外周面)に設けられた複数(図では8個)の張り出し部材22と、図示しない複数の玉掛け用の吊り金具と、を含んで構成される。すなわち、第1ガイド装置7は、その外周面に、複数の張り出し部材22からなる複数の凸部を有する。
【0021】
重錘21は、上下方向に延在して断面形状が円形である鋼管23内にコンクリート24を充填して形成される。また、重錘21の鋼管23の下端には、鋸歯状の凹凸部25が形成されている。ここで、重錘21については、その下端に凹凸部25を有すること、及び、水の比重よりも大きな比重を有するコンクリート24が鋼管23内に充填されていることにより、重錘21に水平方向の力が作用しても、良好に踏ん張ることができる。
重錘21の鋼管23は、その外径が、ケーシング4の内径よりも10cm〜20cm程度小さい。すなわち、重錘21は、ケーシング4より小径の円柱状である。また、重錘21の鋼管23の長さは、例えば1m〜3m程度である。
【0022】
張り出し部材22は例えば溝形鋼により形成されており、上下方向に延在する。張り出し部材22の長さは、鋼管23の長さよりも短い。
複数の張り出し部材22は、鋼管23の周方向に互いに間隔を空けて、鋼管23の外周面に取り付けられている。
【0023】
張り出し部材22については、ケーシング4内に第1ガイド装置7が挿入された状態で、ケーシング4の内周面と鋼管23の外周面との間に位置し得る寸法である。また、鋼管23に取り付けられた張り出し部材22は、ケーシング4の内周面に接触可能である。それゆえ、第1ガイド装置7は、ケーシング4を水底の地盤10内に圧入するときに、ケーシング4の下降をガイドする機能を有する。
また、ケーシング4内に第1ガイド装置7が挿入された状態で、ケーシング4から第1ガイド装置7に水平方向の力が作用しても、第1ガイド装置7は良好に踏ん張ることができるので、第1ガイド装置7はケーシング4の水平移動(特に、ケーシング4の下端部の水平移動)を規制することができる。
【0024】
図3及び
図4に示すように、第2ガイド装置8は上下方向に積層された構造(図では上下4層構造)であり、複数(図では計12本)のH形鋼31〜42により構成されている。
第2ガイド装置8の上から1段目の層(最上層)51は4本のH形鋼31〜34により構成され、上から2段目の層52は4本のH形鋼35〜38により構成され、上から3段目の層53はH形鋼39,40により構成され、上から4段目の層(最下層)54はH形鋼41,42により構成されている。
【0025】
最下層54を構成するH形鋼41,42は、水底の地盤10の表面のうち、ケーシング4が圧入される予定の部分(すなわち、削孔される予定の部分)の左方及び右方にそれぞれ載置されて、各々が前後方向に延在している。また、H形鋼41,42は、各々の後端部が、水中に予め構築された構造物11にアンカー固定されている。尚、水底の地盤10の強度が比較的高い場合には、H形鋼41,42については、構造物11の代わりに水底の地盤10にアンカー固定されてもよい。
上から3段目の層53を構成するH形鋼39,40は、水底の地盤10に圧入されるケーシング4の前方及び後方にそれぞれ位置するようにH形鋼41,42上に配置されて、各々が左右方向に延在している。H形鋼39,40は、図示しない挟締金具(例えば、ブルマン(登録商標))によって、又は、ボルト締結によって、H形鋼41,42に固定される。
【0026】
上から2段目の層52を構成するH形鋼35〜38は、水底の地盤10に圧入されるケーシング4の周囲を囲むようにH形鋼39,40上に配置されている。H形鋼35〜38は、図示しない挟締金具(例えば、ブルマン(登録商標))によって、又は、ボルト締結によって、H形鋼39,40に固定される。
最上層51を構成するH形鋼31〜34は、水底の地盤10に圧入されるケーシング4の周囲を囲むようにH形鋼35〜38上に配置されている。H形鋼31〜34は、図示しない挟締金具(例えば、ブルマン(登録商標))によって、又は、ボルト締結によって、H形鋼35〜38に固定される。
【0027】
ここで、層52〜54を構成するH形鋼35〜42については、水底の地盤10に圧入されるケーシング4と接触しない程度の間隙を当該ケーシング4との間に有する。一方、層51を構成するH形鋼31〜34については、水底の地盤10に圧入されるケーシング4の外周面に接触可能である。それゆえ、第2ガイド装置8は、ケーシング4を水底の地盤10内に圧入するときに、ケーシング4の下降をガイドする機能を有する。
また、ケーシング4を水底の地盤10内に圧入するときに、ケーシング4から第2ガイド装置8に水平方向の力が作用しても、構造物11にアンカー固定された第2ガイド装置8が良好に踏ん張ることができるので、第2ガイド装置8はケーシング4の水平移動(特に、ケーシング4の下端部の水平移動)を規制することができる。
【0028】
次に、削孔装置1を用いて水底の地盤10を削孔する方法について、
図1〜
図5に加えて、
図6〜
図9を用いて説明する。
図6〜
図8は水底の地盤10を削孔する方法を示す。
図9は第1ガイド装置7の使用方法を示す。尚、
図9については、図示簡略化のため、第1ガイド装置7のうち重錘21のみを図示している。
【0029】
削孔装置1を用いて水底の地盤10を削孔する方法では、まず、
図6に示すように、台船2a上のケーシング圧入装置3を用いてケーシング4を下降させる。また、台船2b上のクレーン5を用いてケーシング4における鋼管の継ぎ足しを行う。このケーシング4の下降と鋼管の継ぎ足しとを、ケーシング4の下端が水底の地盤10の表面に接触するまで交互に繰り返す(
図9(ア)参照)。
【0030】
この後、GPS(グローバル・ポジショニング・システム)等の位置測定手段を用いてケーシング4の位置測定を行い、その測定結果に基づいて、ケーシング4が削孔予定位置に位置するように、ケーシング4の位置調整を行う。また、ケーシング4に予め傾斜計を設置しておき、当該傾斜計により測定されるケーシング4の傾斜度合いに応じて、ケーシング4の姿勢を調整してもよい。
【0031】
次に、
図9(イ)に示すように、水底の地盤10のうちケーシング4内に位置する部分の上に、敷均し材として砕石12を敷均す。尚、本実施形態では敷均し材として砕石12を用いているが、敷均し材はこれに限らず、例えば天然砂利等であってもよい。ここで敷均される砕石12の高さk1は、例えば50cm程度である。
【0032】
次に、
図9(イ)及び
図7に示すように、クレーン5を用いて、砕石12の上に(すなわち、水底の地盤10の表面のうちケーシング4内に位置する部分の上に砕石12を介して)第1ガイド装置7を載置する。ゆえに、第1ガイド装置7は、ケーシング4内に位置するように水底の地盤10の表面上に設けられる。また、ケーシング4の周囲を囲むように第2ガイド装置8を水底の地盤10の表面上に設置する。尚、第2ガイド装置8については、ケーシング4の下端が水底の地盤10に接触するに先立って、予め仮組みを行っておき、ケーシング4の位置調整が完了した後に本組みしてもよい。また、第2ガイド装置8の仮組み作業や本組み作業等は潜水士による水中作業になる。
【0033】
次に、
図9(ウ)に示すように、ケーシング圧入装置3を用いて、ケーシング4を回転させつつ水底の地盤10に所定の深さm1まで圧入する。ここで、所定の深さm1については、
図8及び
図9(エ)に示すハンマーグラブ6による水底の地盤10の掘削深さn1の計画値に応じて予め設定される。所定の深さm1は、例えば、ケーシング圧入装置3のスラストジャッキの2ストローク分(例えば1ストロークを75cm程度として2ストロークで150cm程度)である。
次に、クレーン5を用いて、第1ガイド装置7をケーシング4内から撤去する。
【0034】
次に、
図8及び
図9(エ)に示すように、ハンマーグラブ6を用いて、水底の地盤10を計画の深さn1だけ掘削する。ここで、深さn1は、例えば、ケーシング圧入装置3のスラストジャッキの1ストローク分(例えば75cm程度)である。また、ハンマーグラブ6を用いて、ケーシング4内の掘削土砂を前述の土運船まで搬出する。このハンマーグラブ6による掘削及び土砂搬出工程では、前述の砕石12が掘削土砂と共に前述の土運船に搬出される。
【0035】
次に、
図9(オ)に示すように、水底の地盤10のうちケーシング4内に位置する部分の上に、
図9(イ)と同様の砕石12を敷均す。ここで敷均される砕石12の高さk2は、前述の砕石12の高さk1以下であり、例えば30cm程度である。
次に、
図9(オ)に示すように、クレーン5を用いて、砕石12の上に(すなわち、水底の地盤10のうちケーシング4内に位置する部分の上に)、第1ガイド装置7を載置する。ゆえに、第1ガイド装置7は、ケーシング4内に位置するように水底の地盤10の表面上に設けられる。
【0036】
次に、
図9(カ)に示すように、ケーシング圧入装置3を用いて、ケーシング4を回転させつつ水底の地盤10に更に深さm2だけ(すなわち、深さm1+m2まで)圧入する。ここで深さm2は、例えば、ケーシング圧入装置3のスラストジャッキの1ストローク分(例えば75cm程度)である。
次に、クレーン5を用いて、第1ガイド装置7をケーシング4内から撤去する。
【0037】
次に、
図9(キ)に示すように、ハンマーグラブ6を用いて、水底の地盤10を更に深さn2だけ(すなわち、深さn1+n2まで)掘削する。ここで、深さn2は、例えば、ケーシング圧入装置3のスラストジャッキの1ストローク分(例えば75cm程度)である。また、ハンマーグラブ6を用いて、ケーシング4内の掘削土砂を前述の土運船まで搬出する。このハンマーグラブ6による掘削及び土砂搬出工程においても、前述の砕石12が掘削土砂と共に前述の土運船に搬出される。
【0038】
そして、ケーシング4の下端部の周囲が岩盤等によって拘束されるまで、
図9(カ)及び(キ)に示す工程を繰り返す。ケーシング4の下端部が周囲の岩盤等によって拘束されると、従来のオールケーシング工法と同様に、ケーシング圧入装置3によってケーシング4を回転させつつ水底の地盤10中に圧入すると共に、ハンマーグラブ6によってケーシング4内の土砂を排出することによって水底の地盤10を掘り下げて、水底の地盤10を削孔する。
このようにして、削孔装置1を用いて、水底の地盤10が削孔される。
【0039】
本実施形態によれば、削孔装置1は、水底の地盤10(被圧入物)に筒状のケーシング4を圧入するケーシング圧入装置3と、圧入されるケーシング4内に位置するように水底の地盤10の表面上に設けられてケーシング4の水平移動を規制する第1ガイド装置7と、を含んで構成される。これにより、水底の地盤10への掘削口付け時にケーシング4の下端の位置ずれを抑制することができるので、水底の地盤10にケーシング4を精度良く圧入することができる。
【0040】
また本実施形態によれば、第1ガイド装置7は、ケーシング圧入装置3とは別体である。これにより、ケーシング圧入装置3の構成を複雑にすることなく、簡素な構成で、ケーシング4の下降をガイドすることができる。
【0041】
また本実施形態によれば、ケーシング圧入装置3は水面より上方に位置し、被圧入物の表面は水面より下方に位置する。これにより、ケーシング4が圧入される被圧入物が水底の地盤10であっても、ケーシング4を精度良く圧入することができる。
【0042】
また本実施形態によれば、ケーシング4は円筒状であり、第1ガイド装置7は、ケーシング4より小径の円柱状の重錘21を含んで構成される。これにより、比較的簡素な構成でケーシング4の水平移動を規制することができる。
【0043】
また本実施形態によれば、第1ガイド装置7は、その下端に凹凸部25を有する。これにより、凹凸部25が水底の地盤10及び/又は砕石12に食い込むので、第1ガイド装置7に水平方向の力が作用しても、第1ガイド装置7が良好に踏ん張ることができる。
【0044】
また本実施形態によれば、第1ガイド装置7は、その外周面に複数の凸部(張り出し部材22)を有し、該凸部がケーシング4の内周面に接触可能である。これにより、第1ガイド装置7とケーシング4との接触面積を低減することができるので、第1ガイド装置7に対するケーシング4の下降をスムーズに行うことができる。
【0045】
また本実施形態によれば、削孔装置1は、ケーシング4の外周面に接触可能なように配置されてケーシング4の水平移動を規制する第2ガイド装置8を含んで構成される。これにより、水底の地盤10への掘削口付け時にケーシング4の下端の位置ずれを抑制することができるので、水底の地盤10にケーシング4を精度良く圧入することができる。
【0046】
また本実施形態によれば、ケーシング圧入装置3はケーシング4を回転させつつ水底の地盤10に圧入する。これにより、水底の地盤10が岩盤等であっても当該地盤にケーシング4を良好に圧入することができる。
【0047】
また本実施形態によれば、第1ガイド装置
7は、水底の地盤10(被圧入物)に圧入される筒状のケーシング4内に位置するように水底の地盤10の表面上に設けられてケーシング4の水平移動を規制する。これにより、水底の地盤10への掘削口付け時にケーシング4の下端の位置ずれを抑制することができるので、水底の地盤10にケーシング4を精度良く圧入することができる。
【0048】
また本実施形態によれば、削孔装置1を用いて水底の地盤10(被圧入物)を削孔する方法として、ケーシング4の下端を水底の地盤10の表面に接触させる工程(
図9(ア)参照)と、水底の地盤10の表面のうちケーシング4内に位置する部分に第1ガイド装置
7を載置する工程(
図9(イ)参照)と、ケーシング4を水底の地盤10に圧入する工程(
図9(ウ)参照)と、を含む。これにより、水底の地盤10への掘削口付け時にケーシング4の下端の位置ずれを抑制することができるので、水底の地盤10にケーシング4を精度良く圧入することができる。
【0049】
また本実施形態によれば、削孔装置1を用いて水底の地盤10を削孔する方法として、第1ガイド装置
7の載置工程(
図9(イ)参照)に先立って、水底の地盤10の表面のうちケーシング4内に位置する部分の上に砕石12(敷均し材)を敷均す工程(
図9(イ)参照)を更に含み、第1ガイド装置7は、敷均された砕石12の上に載置される。これにより、水底の地形が傾斜していても、第1ガイド装置7が載置される表面を水平面とすることができるので、第1ガイド装置7を精度良く設置することができる。
また本実施形態によれば、敷均し材は砕石12である。これにより、比較的簡素な構成で、第1ガイド装置7が載置される表面を水平面とすることができる。
【0050】
尚、本実施形態では、ケーシング圧入装置3によってケーシング4が圧入される被圧入物として水底の地盤10を挙げて説明したが、被圧入物はこれに限らない。
図10は、被圧入物が水中のコンクリート構造物である場合を示す。
図10では、ケーシング圧入装置3によってケーシング4が圧入される被圧入物として、既設のコンクリート構造物であるフーチング15が図示されている。フーチング15は、既設のダム堤体16の底部近傍であって、かつ、貯水池17の底部に予め構築されている。尚、この場合において、作業台船2は貯水池17の水面上に浮かんでいる。
図10に示すように、フーチング15にケーシング4を圧入する際に、第1ガイド装置7及び第2ガイド装置8を用いることにより、掘削口付け時のケーシング4の下端の水平移動が抑制されるので、ケーシング4がダム堤体16に接触してダメージを与えることを抑制することができる。
【0051】
また、本実施形態では、掘削装置としてハンマーグラブ6を用いて説明したが、ケーシング4内の被圧入物を掘削可能であれば、掘削装置の構成はこれに限らない。
【0052】
また、本実施形態では、削孔装置1が第1ガイド装置7と第2ガイド装置8との両方を備えているが、この他、掘削口付け時のケーシング4の水平移動が抑制され得る限りにおいて、削孔装置1が第1ガイド装置7と第2ガイド装置8とのいずれか一方を備えてもよい。ここで、削孔装置1が第1ガイド装置7を備えて第2ガイド装置8を備えない場合には、H形鋼31〜42の仮組み作業や本組み作業等の水中作業が不要となる。
【0053】
また、本実施形態では、削孔装置1を用いて水底の地盤10を削孔する方法として、ケーシング4の下端を水底の地盤10(被圧入物)の表面に接触させる工程(
図9(ア)参照)に先立って、水底の地盤10の表面を掘削して水平面にする工程を更に含んでもよい。このようにして、水底の地盤10のうちケーシング4内に位置する部分を掘削により水平面とすることで、前述の砕石12の敷均し工程(
図9(イ)参照)を省くことができる。尚、この水底の地盤10の表面掘削にはハンマーグラブ6を用いてもよい。
【0054】
図11は、本発明の第2実施形態における第1ガイド装置7’の概略構成を示す。
前述の第1実施形態と異なる点について説明する。
本実施形態では、削孔装置1が第1ガイド装置7’を含んで構成される。
第1ガイド装置7’は、圧入されるケーシング4内に位置するように水底の地盤10の表面に設けられる。第1ガイド装置7’は、円柱状の本体部27と、本体部27の下端に設けられたスクリュー部28と、複数(図では2個)のストッパー装置29と、を含んで構成される。
【0055】
本体部27は、前述の重錘21と同様の構成の円柱状であり、その外径が、ケーシング4の内径よりも小さい。尚、本体部27は、ケーシング4を水底の地盤10内に圧入するときにケーシング4の下降をガイドすることが可能な程度の外径で形成されている。
スクリュー部28は、いわゆる削孔ドリルであり、上下方向に延びる軸と、その軸の外面にらせん状に設けられた羽根部とにより構成される。スクリュー部28は、その上端が、本体部27の下端に固定されている。
【0056】
ストッパー装置29は、ケーシング4内に第1ガイド装置7’が挿入された状態で、ケーシング4の下端部(先端部)の内周面の一部と本体部27の外周面の一部とを着脱可能に連結固定する。尚、本実施形態では、ストッパー装置29によりケーシング4と本体部27とが互いに固定されているときに、本体部27の下端部とスクリュー部28とが外部に露出している。
【0057】
次に、第1ガイド装置7’を含んで構成される削孔装置1を用いて水底の地盤10を削孔する方法について説明する。
【0058】
削孔装置1を用いて水底の地盤10を削孔する方法では、まず、作業台船2上にて、ケーシング4内の下端部に第1ガイド装置7’を挿入し、ストッパー装置29により、ケーシング4に第1ガイド装置7’を装着して一体化する。このときに、第1ガイド装置7’の本体部27の下端部とスクリュー部28とは、外部に露出している。
次に、台船2a上のケーシング圧入装置3を用いてケーシング4を回転させつつ下降させる。また、台船2b上のクレーン5を用いてケーシング4における鋼管の継ぎ足しを行う。このケーシング4の回転・下降と鋼管の継ぎ足しとを、ケーシング4の下端が水底の地盤10の表面に接触するまで交互に繰り返す。
【0059】
尚、このケーシング4の回転・下降時に、ケーシング4と共に第1ガイド装置7’も回転・下降する。また、このケーシング4の回転・下降時において、ケーシング4の下端が水底の地盤10の表面に接触するに先立って、スクリュー部28が水底の地盤10にささった状態で本体部27の下端部が水底の地盤10の表面に接触する。これにより、第1ガイド装置7’が水底の地盤10に固定される。ゆえに、ケーシング4から第1ガイド装置7’に水平方向の力が作用しても、第1ガイド装置7’は良好に踏ん張ることができるので、第1ガイド装置7’はケーシング4の水平移動(特に、ケーシング4の下端部の水平移動)を規制することができる。
【0060】
第1ガイド装置7’を水底の地盤10に固定すると、次に、ストッパー装置29によるケーシング4と第1ガイド装置7’との一体化を解除する。これにより、第1ガイド装置7’がケーシング4から離脱する。
次に、ケーシング圧入装置3を用いてケーシング4を水底の地盤10に圧入し、クレーン5を用いて第1ガイド装置7’をケーシング4内から撤去して、ハンマーグラブ6を用いてケーシング4内の掘削土砂を搬出する。
【0061】
この後、従来のオールケーシング工法と同様に、ケーシング圧入装置3によってケーシング4を回転させつつ水底の地盤10中に圧入すると共に、ハンマーグラブ6によってケーシング4内の土砂を排出することによって水底の地盤10を掘り下げて、水底の地盤10を削孔する。
【0062】
特に本実施形態によれば、第1ガイド装置7’は水底の地盤10(被圧入物)に固定される。これにより、第1ガイド装置7’はケーシング4の水平移動(特に、ケーシング4の下端部の水平移動)を良好に規制することができる。
【0063】
また本実施形態によれば、第1ガイド装置7’は、ケーシング4の下端部に着脱可能に固定される。これにより、ケーシング4と第1ガイド装置7’とが一体となって回転・下降することができるので、ケーシング4の回転・下降を利用して、第1ガイド装置7’を水底の地盤10に固定することができる。
【0064】
また本実施形態によれば、第1ガイド装置7’を用いて水底の地盤10(被圧入物)を削孔する方法として、ケーシング4の下端部に第1ガイド装置7’を装着する工程と、ケーシング4を回転・下降させつつ第1ガイド装置7’を水底の地盤10に固定する工程と、第1ガイド装置7’をケーシング4から離脱させてケーシング4を水底の地盤10に圧入する工程と、を含む。これにより、水底の地盤10への掘削口付け時にケーシング4の下端の位置ずれを抑制することができるので、水底の地盤10にケーシング4を精度良く圧入することができる。
【0065】
尚、本実施形態では、第1ガイド装置7’と共に、前述の第2ガイド装置8を用いて、掘削口付け時のケーシング4の水平移動を抑制してもよい。
【0066】
また、図示の実施形態はあくまで本発明を例示するものであり、本発明は、説明した実施形態により直接的に示されるものに加え、特許請求の範囲内で当業者によりなされる各種の改良・変更を包含するものであることは言うまでもない。