(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下の実施の形態においては便宜上その必要があるときは、複数のセクションまたは実施の形態に分割して説明するが、特に明示した場合を除き、それらはお互いに無関係なものではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、詳細、補足説明等の関係にある。
【0016】
また、以下の実施の形態において、要素の数等(個数、数値、量、範囲等を含む)に言及する場合、特に明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でもよい。
【0017】
さらに、以下の実施の形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことはいうまでもない。同様に、以下の実施の形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に明らかにそうでないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似または類似するもの等を含むものとする。このことは、上記数値および範囲についても同様である。
【0018】
以下、代表的な実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。また、以下の実施の形態では、特に必要なとき以外は同一または同様な部分の説明を原則として繰り返さない。
【0019】
さらに、実施の形態で用いる図面においては、断面図であっても図面を見やすくするためにハッチングを省略する場合もある。また、平面図であっても図面を見やすくするためにハッチングを付す場合もある。
【0020】
また、断面図および平面図において、各部位の大きさは実デバイスと対応するものではなく、図面を分かりやすくするため、特定の部位を相対的に大きく表示する場合がある。また、平面図と断面図が対応する場合においても、各部位の大きさを変えて表示する場合がある。
【0021】
なお、以下の実施の形態においてA〜Bとして範囲を示す場合には、特に明示した場合を除き、A以上B以下を示すものとする。
【0022】
(実施の形態1)
以下、図面を参照しながら本実施の形態1の半導体装置の構造および製造工程について詳細に説明する。本実施の形態1では、半導体装置が、CMOSイメージセンサを備えている例について説明する。
【0023】
<半導体装置の構成>
図1は、画素の構成例を示す回路図である。なお、
図1では、1個の画素を示すが、実際にカメラなどの電子機器に使用される画素数は数百万のものがある。
【0024】
図1に示すように、画素PUは、例えば、フォトダイオードPDと、4つのMOSFETとで構成される。これらのMOSFETは、nチャネル型であり、RSTはリセットトランジスタ、TXは転送用トランジスタ、SELは選択トランジスタ、AMIは増幅トランジスタである。転送用トランジスタTXは、フォトダイオードPDにより生成された電荷を転送する。なお、これらのトランジスタの他に、他のトランジスタや容量素子などの素子が組み込まれることもある。また、これらのトランジスタの接続形態には種々の変形・応用形態がある。また、MOSFETは、Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistorの略であり、MISFETと示されることもある。さらに、FET(Field Effect Transistor)は、電界効果トランジスタの略である。
【0025】
なお、複数の画素PUは、
図3を用いて後述する画素領域1Aに配置されている。
【0026】
図1に示す回路例においては、接地電位GNDとノードn1との間にフォトダイオードPDと転送用トランジスタTXとが直列に接続されている。ノードn1と電源電位VDDとの間にはリセットトランジスタRSTが接続されている。電源電位VDDと出力線OLとの間には、選択トランジスタSELおよび増幅トランジスタAMIが直列に接続されている。この増幅トランジスタAMIのゲート電極はノードn1に接続されている。また、リセットトランジスタRSTのゲート電極はリセット線LRSTに接続されている。また、選択トランジスタSELのゲート電極は選択線SLと接続され、転送用トランジスタTXのゲート電極は転送線LTXと接続されている。
【0027】
例えば、転送線LTXおよびリセット線LRSTを立ち上げてHレベルとし、転送用トランジスタTXおよびリセットトランジスタRSTをオン状態とする。この結果、フォトダイオードPDの電荷が抜かれて空乏化される。その後、転送用トランジスタTXをオフ状態とする。
【0028】
この後、例えば、カメラなどの電子機器のメカニカルシャッターを開くと、シャッターが開いている間、フォトダイオードPDにおいて、入射光によって電荷が発生し、蓄積される。つまり、フォトダイオードPDは、入射光を受光して電荷を生成する。言い換えれば、フォトダイオードPDは、入射光を受光して電荷に変換する。
【0029】
次いで、シャッターを閉じた後、リセット線LRSTを立ち下げてLレベルとし、リセットトランジスタRSTをオフ状態とする。さらに、選択線SLおよび転送線LTXを立ち上げてHレベルとし、選択トランジスタSELおよび転送用トランジスタTXをオン状態とする。これにより、フォトダイオードPDにより生成された電荷が転送用トランジスタTXのノードn1側の端部(後述する
図2に示すフローティングディフュージョンFD)に転送される。このとき、フローティングディフュージョンFDの電位は、フォトダイオードPDから転送された電荷に応じた値に変化し、この値が、増幅トランジスタAMIにより増幅され出力線OLに表れる。この出力線OLの電位が、出力信号として読み出される。
【0030】
図2は、実施の形態1の半導体装置の画素を示す平面図である。
【0031】
図2に示すように、本実施の形態1の半導体装置の画素PU(
図1参照)は、フォトダイオードPDと転送用トランジスタTXとが配置されている活性領域AcTPと、リセットトランジスタRSTが配置されている活性領域AcRとを有する。さらに、画素PUは、選択トランジスタSELと増幅トランジスタAMIとが配置されている活性領域AcASと、接地電位線と接続されているプラグPgが配置されている活性領域AcGとを有する。
【0032】
活性領域AcRには、ゲート電極Grが配置され、その両側のソース・ドレイン領域上にはプラグPr1およびPr2が配置されている。このゲート電極Grとソース・ドレイン領域とによりリセットトランジスタRSTが構成される。
【0033】
活性領域AcTPには、ゲート電極Gtが配置され、平面視において、ゲート電極Gtの両側のうちの一方には、フォトダイオードPDが配置されている。また、平面視において、ゲート電極Gtの両側のうちの他方には、電荷蓄積部または浮遊拡散層としての機能を有する、フローティングディフュージョンFDが配置されている。フォトダイオードPDは、pn接合ダイオードであり、例えば、複数のn型またはp型の不純物領域、すなわち半導体領域より構成される。また、フローティングディフュージョンFDは、例えば、n型の不純物領域、すなわち半導体領域で構成される。このフローティングディフュージョンFD上には、プラグPfdが配置されている。
【0034】
活性領域AcASには、ゲート電極Gaおよびゲート電極Gsが配置され、活性領域AcASのゲート電極Ga側の端部にはプラグPaが配置され、活性領域AcASのゲート電極Gs側の端部にはプラグPsが配置されている。ゲート電極Gaおよびゲート電極Gsの両側は、ソース・ドレイン領域であり、このゲート電極Gaおよびゲート電極Gsとソース・ドレイン領域とにより、直列に接続された選択トランジスタSELおよび増幅トランジスタAMIが構成されている。
【0035】
活性領域AcGの上部にはプラグPgが配置されている。このプラグPgは、接地電位線と接続される。よって、活性領域AcGは、半導体基板のウェル領域に、接地電位GNDを印加するための給電領域である。
【0036】
上記プラグPr1、プラグPr2、プラグPg、プラグPfd、プラグPaおよびプラグPsを、複数の配線層(例えば、後述する
図5に示す配線M1〜M3)により接続する。また、ゲート電極Gr、ゲート電極Gt、ゲート電極Gaおよびゲート電極Gsのそれぞれの上のプラグPrg、プラグPtg、プラグPagおよびプラグPsgを、複数の配線層(例えば、後述する
図5に示す配線M1〜M3)により接続する。これにより、
図1に示す回路を構成することができる。
【0037】
図3は、実施の形態1の半導体装置が形成される半導体基板および素子領域を示す平面図である。
図3に示すように、半導体基板1Sは、半導体基板1Sの表面側に、複数の素子領域CHPを有し、1つの素子領域CHPは、画素領域1Aと、画素領域1Aと異なる周辺回路領域2Aとを有する。画素領域1Aには、複数の画素PUが配置されている。したがって、前述した活性領域AcTPは、半導体基板1Sの表面側の画素領域1Aに形成されている。また、周辺回路領域2Aには、論理回路、すなわちロジック回路が配置されている。この論理回路は、例えば、画素領域1Aから出力される出力信号を演算し、この演算結果に基づき画像データが出力される。
【0038】
なお、半導体基板1Sは、一方の主面としての表面と、表面と反対側の他方の主面である裏面を有するものとし、表面側に、素子領域CHPが形成されるものとする。
【0039】
図4は、実施の形態1の半導体装置の周辺回路領域に形成されるトランジスタを示す平面図である。
【0040】
図4に示すように、周辺回路領域2Aには、ロジックトランジスタとしてのトランジスタLTが配置されている。このトランジスタLTは、電子をキャリアとするN型MOSFET(NMOSFET)および正孔をキャリアとするP型MOSFETで構成され、
図4に示すトランジスタLTは、論理回路を構成するトランジスタ、例えばNMOSFETのうちの一つである。半導体基板1Sの表面側の周辺回路領域2Aには、活性領域AcLが形成されている。活性領域AcLには、ゲート電極Gltが配置され、ゲート電極Gltの両側であって、活性領域AcLの内部には、
図6を用いて後述する高濃度半導体領域NRを含むソース・ドレイン領域が形成されている。また、ソース・ドレイン領域上、すなわち活性領域AcL上には、プラグPt1およびPt2が配置されている。
【0041】
図4においては、1つのトランジスタLTのみを示している。しかし、周辺回路領域2Aには、複数のトランジスタが配置されている。これらの複数のトランジスタのソース・ドレイン領域上のプラグまたはゲート電極上のプラグを複数の配線層(例えば、後述する
図6に示す配線M1〜M3)により接続することで、論理回路を構成することができる。また、トランジスタ以外の素子、例えば、容量素子や他の構成のトランジスタなどが論理回路に組み込まれる場合もある。
【0042】
なお、以下では、トランジスタLTがnチャネル型のMISFETである例を説明するが、例えばCMISFETを構成する場合など、トランジスタLTがpチャネル型のMISFETであってもよい。
【0043】
<画素領域および周辺回路領域の素子構造>
次いで、画素領域および周辺回路領域の素子構造を説明する。
図5および
図6は、実施の形態1の半導体装置の構成を示す断面図である。
図5は、
図2のA−A断面に対応している。
図6は、
図4のB−B断面に対応している。
【0044】
図5に示すように、半導体基板1Sの主面としての表面の一部の領域である画素領域1Aの活性領域AcTPには、p型ウェルPWLおよびn型ウェルNWLからなるフォトダイオードPDと、転送用トランジスタTXとが形成されている。
図6に示すように、半導体基板1Sの主面としての表面の他の領域である周辺回路領域2Aの活性領域AcLには、トランジスタLTが形成されている。
【0045】
半導体基板1Sは、例えば、リン(P)や砒素(As)などのn型不純物(ドナー)を含有する単結晶シリコンである。活性領域AcTPの外周には素子分離領域LCSが配置されている。このように、素子分離領域LCSで囲まれた半導体基板1Sの露出領域が、活性領域AcTP等の活性領域となる。
【0046】
活性領域AcTPおよび活性領域AcLには、ホウ素(B)などのp型不純物を導入した半導体領域としてのp型ウェルPWLが形成されている。
【0047】
図5に示すように、画素領域1Aの活性領域AcTPにおいては、p型ウェルPWLに内包されるように、リン(P)や砒素(As)などのn型不純物を導入した半導体領域としてのn型ウェルNWLが形成されている。このp型ウェルPWLとn型ウェルNWLによって、フォトダイオードPDが構成される。
【0048】
このn型ウェルNWLの表面の一部には、p
+型半導体領域PRが形成されている。このp
+型半導体領域PRは、半導体基板1Sの表面に多数形成されている界面準位に基づく電子の発生を抑制する目的で形成される。すなわち、半導体基板1Sの表面領域では、界面準位の影響により、光が照射されていない状態でも電子が発生し、暗電流の増加を引き起こす場合がある。このため、電子を多数キャリアとするn型ウェルNWLの表面に、正孔を多数キャリアとするp
+型半導体領域PRを形成することにより、光が照射されていない状態での電子の発生を抑制でき、暗電流の増加を抑制することができる。
【0049】
また、平面視において、n型ウェルNWLの一部と重なるように、ゲート電極Gtが形成されている。このゲート電極Gtは、半導体基板1S上にゲート絶縁膜GOXを介して配置され、その両側の側壁には、側壁絶縁膜としてのサイドウォールSWが形成されている。
【0050】
なお、本願明細書では、平面視において、とは、半導体基板1Sの主面としての表面に垂直な方向から視た場合を意味する。
【0051】
このゲート電極Gtの一方(フォトダイオードPDと逆側)には、例えば、リン(P)や砒素(As)などのn型不純物を導入したn型の高濃度半導体領域NRが形成されている。n型の高濃度半導体領域NRは、フローティングディフュージョンFDとしての半導体領域であり、転送用トランジスタTXのドレイン領域でもある。
【0052】
フォトダイオードPDの表面、すなわちn型ウェルNWLおよびp
+型半導体領域PRの表面には、キャップ絶縁膜CAPが形成されている。このキャップ絶縁膜CAPは、半導体基板1Sの表面特性、すなわち界面特性を良好に保つために形成される。このキャップ絶縁膜CAP上には、反射防止膜ARFが形成されている。すなわち、反射防止膜ARFは、n型ウェルNWL上に形成されている。
【0053】
一方、
図6に示すように、周辺回路領域2Aにおける活性領域AcLのp型ウェルPWL上には、ゲート絶縁膜GOXを介してゲート電極Gltが形成されており、その両側の側壁には、サイドウォールSWが形成されている。また、両側の側壁にサイドウォールSWが形成されたゲート電極Gltのさらに両側のp型ウェルPWL中には、ソース・ドレイン領域が形成されている。このソース・ドレイン領域は、LDD(Lightly Doped Drain)構造を有し、n型の低濃度半導体領域NM、すなわちn
−型半導体領域NM、および、n型の高濃度半導体領域NR、すなわちn
+型半導体領域NRからなる。また、n型の高濃度半導体領域NRの表面には、例えばニッケルシリサイドなどの金属シリサイドからなるシリサイド層SILが形成されている。
【0054】
なお、フローティングディフュージョンFDとしてのn型の高濃度半導体領域NRの表面には、シリサイド層が形成されていない。すなわち、フローティングディフュージョンFDの上層部には、シリサイド層が形成されていない。
【0055】
画素領域1Aでは、ゲート電極Gtおよび反射防止膜ARF上を含めて半導体基板1Sを覆うように、層間絶縁膜IL1が形成されており、この層間絶縁膜IL1を貫通して、フローティングディフュージョンFDとしてのn型の高濃度半導体領域NRに達するプラグPfdが形成されている。すなわち、画素領域1Aでは、半導体基板1Sの表面上に、反射防止膜ARFおよびキャップ絶縁膜CAPを介してフォトダイオードPDを覆うように、層間絶縁膜IL1が形成されている。また、周辺回路領域2Aでは、ゲート電極Gltを含めて半導体基板1Sを覆うように、層間絶縁膜IL1が形成されており、この層間絶縁膜IL1を貫通して、n型の高濃度半導体領域NRの表面、すなわち上層部に形成されたシリサイド層SILに達するプラグPt1およびプラグPt2が形成されている。
【0056】
層間絶縁膜IL1は、例えば、TEOS(Tetra Ethyl Ortho Silicate)を原料とした酸化シリコン膜から形成されている。そして、プラグPfd、プラグPt1およびプラグPt2は、層間絶縁膜IL1に形成されたコンタクトホールに、例えば、チタン膜およびチタン膜上に形成された窒化チタン膜、すなわちチタン/窒化チタン膜からなるバリア導体膜と、バリア導体膜上に形成されたタングステン膜とを埋め込むことにより形成されている。
【0057】
なお、
図5および
図6に表れないプラグも層間絶縁膜IL1中に形成されている。また、
図5および
図6には表れないが、リセットトランジスタRST、選択トランジスタSELおよび増幅トランジスタAMIも、p型ウェルPWL上にゲート絶縁膜を介して形成されたゲート電極と、ゲート電極の両側のp型ウェルPWL中に形成されたソース・ドレイン領域を有する(
図2参照)。選択トランジスタSELおよび増幅トランジスタAMIは直列に接続されているため、一方のソース・ドレイン領域を共有している(
図2参照)。
【0058】
そして、画素領域1Aおよび周辺回路領域2Aで、層間絶縁膜IL1上には、例えば、層間絶縁膜IL2が形成されており、この層間絶縁膜IL2に配線M1が形成されている。層間絶縁膜IL2は、例えば酸化シリコン膜から形成されるが、これに限定されるものではなく、酸化シリコン膜よりも誘電率の低い低誘電率膜から形成することもできる。低誘電率膜としては、例えばSiOC膜を挙げることができる。また、配線M1は、例えば銅(Cu)配線から形成されており、ダマシン法を使用することにより形成することができる。なお、後述する変形例で説明するように、配線M1は、銅配線に限定されるものではなく、アルミニウム(Al)配線から形成することもできる。
【0059】
配線M1が例えば銅配線からなるとき、層間絶縁膜IL2上には、例えば炭窒化ケイ素(SiCN)膜などの絶縁膜からなるライナー膜LF1が形成されている。ライナー膜LF1は、例えば銅配線からなる配線M1の拡散を防止する拡散防止膜である。また、ライナー膜LF1は、層間絶縁膜IL2を保護する保護膜である。
【0060】
ライナー膜LF1上には、例えば酸化シリコン膜または低誘電率膜からなる層間絶縁膜IL3が形成されており、この層間絶縁膜IL3に、例えば銅配線からなる配線M2が形成されている。配線M2が例えば銅配線からなるとき、層間絶縁膜IL3上には、例えばSiCN膜などの絶縁膜からなるライナー膜LF2が形成されている。ライナー膜LF2は、例えば銅配線からなる配線M2の拡散を防止する拡散防止膜である。また、ライナー膜LF2は、層間絶縁膜IL3を保護する保護膜である。
【0061】
ライナー膜LF2上には、例えば酸化シリコン膜または低誘電率膜からなる層間絶縁膜IL4が形成されており、この層間絶縁膜IL4に、例えば銅配線からなる配線M3が形成されている。配線M3が例えば銅配線からなるとき、層間絶縁膜IL4上には、例えばSiCN膜などの絶縁膜からなるライナー膜LF3が形成されている。ライナー膜LF3は、例えば銅配線からなる配線M3の拡散を防止する拡散防止膜である。また、ライナー膜LF3は、層間絶縁膜IL4を保護する保護膜である。ライナー膜LF3上には、例えば酸化シリコン膜または低誘電率膜からなる層間絶縁膜IL5が形成されている。
【0062】
このようにして、複数の層間絶縁膜IL2〜IL5のうち、複数の層間絶縁膜IL2〜IL4の各々の内部にそれぞれ形成された複数の配線M1〜M3により、配線層WL1(
図6参照)が形成されている。また、層間絶縁膜IL1〜IL5およびライナー膜LF1〜LF3、ならびに、反射防止膜ARFおよびキャップ絶縁膜CAPをまとめて絶縁膜部IF1と称する場合、半導体基板1Sの主面上、すなわち表面上に、フォトダイオードPDを覆うように、絶縁膜部IF1が形成されている。このとき、絶縁膜部IF1は、層間絶縁膜IL1と、複数の第1絶縁層としての層間絶縁膜IL2〜IL4の各々と、複数の第2絶縁層としてのライナー膜LF1〜LF3の各々とが交互に積層された積層絶縁膜と、を含む。また、好適には、複数のライナー膜LF1〜LF3の各々は、複数の層間絶縁膜IL2〜IL4のいずれとも異なる材料からなる。
【0063】
なお、例えば層間絶縁膜IL5には配線が形成されていないように、複数の層間絶縁膜IL2〜IL5の全てに配線が形成されていなくてもよく、複数の層間絶縁膜IL2〜IL5のいずれかの層間絶縁膜に形成された配線により配線層WL1が形成されていてもよい。
【0064】
画素領域1Aでは、配線M1〜M3は、フォトダイオードPDと平面的に重ならないように形成されている。これは、フォトダイオードPDに入射される光が配線M1〜M3によって遮られないようにするためである。
【0065】
画素領域1Aでは、層間絶縁膜IL1〜IL5およびライナー膜LF1〜LF3には、例えば層間絶縁膜IL1〜IL5およびライナー膜LF1〜LF3を貫通して反射防止膜ARFに達する凹部CC1が形成されている。凹部CC1は、平面視において、フォトダイオードPDの中心CPと重なるように、形成されている。したがって、前述したように、層間絶縁膜IL1〜IL5およびライナー膜LF1〜LF3、ならびに、反射防止膜ARFおよびキャップ絶縁膜CAPをまとめて絶縁膜部IF1と称する場合、凹部CC1は、平面視において、フォトダイオードPDの中心CPと重なる部分の絶縁膜部IF1の上面に、形成されている。
【0066】
なお、本願明細書では、平面視におけるフォトダイオードPDの中心とは、平面視におけるフォトダイオードPDの重心を意味する。
【0067】
また、
図5に示す例では、凹部CC1は、層間絶縁膜IL1〜IL5およびライナー膜LF1〜LF3を貫通して反射防止膜ARFの上面に達するように、形成されている。すなわち、凹部CC1は、絶縁膜部IF1の上面から絶縁膜部IF1の途中まで達するように、形成されている。あるいは、凹部CC1は、例えば、層間絶縁膜IL5、ならびに、ライナー膜LF3、層間絶縁膜IL4、ライナー膜LF2、層間絶縁膜IL3、ライナー膜LF1および層間絶縁膜IL2からなる積層絶縁膜を貫通して、層間絶縁膜IL1に達するように、形成されていてもよい。
【0068】
画素領域1Aおよび周辺回路領域2Aで、層間絶縁膜IL5上には、例えば酸化シリコン膜または低誘電率膜からなる透過膜TF1が形成されている。
【0069】
画素領域1Aでは、透過膜TF1は、フォトダイオードPDに入射される入射光を透過させる。また、透過膜TF1は、層間絶縁膜IL5上に、すなわち絶縁膜部IF1上に、凹部CC1を閉塞するように形成された透過膜部である。透過膜TF1の膜厚は、例えば100〜500nmである。また、透過膜TF1が、例えば酸化シリコン膜または低誘電率膜からなる場合、可視光に対する透過膜TF1の透過率を向上させることができる。
【0070】
凹部CC1と透過膜TF1とにより、中空の空間SP1が形成されている。前述したように、凹部CC1は、平面視において、フォトダイオードPDの中心CPと重なる部分の絶縁膜部IF1の上面に形成されている。したがって、空間SP1は、平面視において、フォトダイオードPDの中心CPと重なるように配置されている。
【0071】
空間SP1は、フォトダイオードPDに入射光を導く中空の光導波路WG1である。すなわち、透過膜TF1を透過した光が中空の光導波路WG1としての空間SP1を通してフォトダイオードPDに入射される。そのため、透過膜TF1を透過し、光導波路WG1に入射された入射光を、減衰させずにフォトダイオードPDに導くことができる。
【0072】
周辺回路領域2Aでは、透過膜TF1、層間絶縁膜IL5およびライナー膜LF3を貫通して、層間絶縁膜IL4に形成された配線M3に達するプラグPt3が形成されている。また、周辺回路領域2Aでは、透過膜TF1上には、電極パッドEP1が形成され、この電極パッドEP1は、プラグPt3と電気的に接続されている。
【0073】
画素領域1Aおよび周辺回路領域2Aでは、透過膜TF1上に、例えば窒化シリコン膜からなる保護膜PF1が形成されている。
【0074】
画素領域1Aでは、凹部CC1の上方に位置する部分の保護膜PF1には、保護膜PF1を貫通して透過膜TF1に達する開口部OP1が形成されている。開口部OP1の内部には、カラーフィルタ層CFが形成されている。すなわち、カラーフィルタ層CFは、凹部CC1の上方に位置する部分の透過膜TF1上に、形成されている。
【0075】
カラーフィルタ層CFは、例えば赤(R)、緑(G)または青(B)などの特定の色の光を透過させ、その他の色の光を透過させない膜である。言い換えれば、カラーフィルタ層CFは、ある特定の範囲の波長の光を透過させ、その他の波長の光を透過させない膜である。したがって、カラーフィルタ層CFは、例えば赤(R)、緑(G)および青(B)の各色に着色された膜からなる。
【0076】
周辺回路領域2Aでは、保護膜PF1は、透過膜TF1上に、電極パッドEP1を覆うように、形成されている。電極パッドEP1上の保護膜PF1には、保護膜PF1を貫通して電極パッドEP1に達する開口部OP2が形成されており、開口部OP2の底部には、電極パッドEP1が露出している。
【0077】
画素領域1Aでは、カラーフィルタ層CF上に、上面として凸曲面を有するマイクロレンズMLが形成されている。マイクロレンズMLは、その上面が湾曲した凸レンズであり、光を透過させる膜からなる。
【0078】
図5において、光が画素PU(
図1参照)に照射されると、まず、入射光は、マイクロレンズMLを透過する。その後、カラーフィルタ層CFおよび透過膜TF1を透過した後、中空の光導波路WG1としての空間SP1を通って反射防止膜ARFに入射される。反射防止膜ARFでは、入射光の反射が抑制されて充分な光量の入射光がフォトダイオードPDに入射される。
【0079】
フォトダイオードPDでは、入射光のエネルギーがシリコンのバンドギャップよりも大きいため、光電変換により入射光が吸収されて正孔電子対が生成される。このとき生成された電子は、n型ウェルNWLに蓄積される。そして、適切なタイミングで、転送用トランジスタTXをオンする。具体的には、転送用トランジスタTXのゲート電極にしきい値電圧以上の電圧を印加する。すると、ゲート絶縁膜直下のチャネル形成領域にチャネル領域が形成され、転送用トランジスタTXのソース領域としてのn型ウェルNWLと、転送用トランジスタTXのドレイン領域としてのn型の高濃度半導体領域NRとが、電気的に導通することになる。この結果、n型ウェルNWLに蓄積された電子は、チャネル領域を通ってドレイン領域に達し、ドレイン領域から配線層を伝わって外部回路に取り出される。
【0080】
なお、転送用トランジスタのドレイン領域としてのn型の高濃度半導体領域NRの表面、すなわち上層部に、シリサイド層SILが形成されていてもよい。これにより、n型の高濃度半導体領域NRとプラグPfdとの接続抵抗を低減することができる。
【0081】
<中空の光導波路の配置>
次いで、平面視における中空の光導波路の配置について説明する。例えば一眼レフカメラ用のCMOSイメージセンサなど、高感度を有するCMOSイメージセンサを備えた半導体装置では、例えば平面視において、矩形形状を有する画素の1辺の長さが、例えば2〜4μm程度であり、1μmを超えることがある。以下では、画素の1辺の長さが、1μmを超える場合を例示して説明する。
【0082】
図7は、実施の形態1の半導体装置の画素の一例を示す平面図である。
図7に示す例では、活性領域AcTPが、平面視において、辺SD1と、辺SD1と交差する辺SD2と、辺SD1と対向する辺SD3と、辺SD2と対向する辺SD4とを有し、矩形形状を有する。
【0083】
中空の光導波路WG1としての空間SP1、すなわち凹部CC1は、平面視において、フォトダイオードPDの中心CPと重なる部分の絶縁膜部IF1(
図5参照)の上面に形成されている。これにより、フォトダイオードPDのうち、少なくとも平面視における中央部には、マイクロレンズML(
図5参照)およびカラーフィルタ層CF(
図5参照)を透過した光が、中空の光導波路WG1を通して入射される。そのため、マイクロレンズMLおよびカラーフィルタ層CFを透過した光が、フォトダイオードPDの中央部に入射されるまでに減衰しないので、CMOSイメージセンサの感度を向上させることができる。
【0084】
好適には、凹部CC1は、平面視において、フォトダイオードPDが形成された領域内に形成される。このとき、中空の光導波路WG1としての空間SP1は、平面視において、フォトダイオードPDが形成された領域内に配置される。フォトダイオードPDのうち、平面視における外周部には、例えば結晶欠陥が存在することなどにより、光を照射していない状態でも流れる電流である暗電流が発生し、撮像される画像の劣化を引き起こすおそれがある。したがって、中空の光導波路WG1が、平面視において、フォトダイオードPDが形成された領域内に配置されることにより、フォトダイオードPDのうち、平面視における外周部に光が照射されにくくなるので、暗電流を低減することができる。
【0085】
ここで、平面視におけるフォトダイオードPDの外周の位置、および、平面視における中空の光導波路WG1の外周の位置が、活性領域AcTPの外周の位置と同じ位置である場合を考える。また、活性領域AcTPの辺SD1およびSD3の長さを長さLN1とし、活性領域AcTPの辺SD2およびSD4の長さを長さLN2とする。このとき、辺SD1および辺SD3に沿った方向における中空の光導波路WG1の幅WD1は、活性領域AcTPの辺SD1および辺SD3の長さLN1に略等しく、辺SD2および辺SD4に沿った方向における中空の光導波路WG1の幅WD2は、活性領域AcTPの辺SD2および辺SD4の長さLN2に略等しい。
【0086】
図7に示す例で、例えば、長さLN1が3.2μmであり、長さLN2が2.4μmであり、幅WD1が長さLN1に等しく、幅WD2が長さLN2に等しく、中空の光導波路WG1の深さDP1(
図5参照)が3.5〜3.9μmであるとする。このとき、中空の光導波路WG1の幅WD1または幅WD2に対する深さDP1の比であるアスペクト比RT1は、1.1〜1.6となる。あるいは、例えば、長さLN1が5.7μmであり、長さLN2が4μmであり、幅WD1が長さLN1に等しく、幅WD2が長さLN2に等しく、中空の光導波路WG1の深さDP1が4.3μmであるとする。このとき、中空の光導波路WG1の幅WD1または幅WD2に対する深さDP1の比であるアスペクト比RT1は、1.1または0.75となる。
【0087】
図8は、実施の形態1の半導体装置の画素の他の例を示す平面図である。
図9は、実施の形態1の半導体装置の画素の他の例を示す断面図である。
図9は、
図8のC−C線に沿った断面図である。なお、
図9では、キャップ絶縁膜CAP(
図5参照)、および、キャップ絶縁膜CAPよりも上方に位置する部分の図示を省略している。
【0088】
図8に示す例でも、
図7に示す例と同様に、活性領域AcTPが、平面視において、辺SD1と、辺SD1と交差する辺SD2と、辺SD1と対向する辺SD3と、辺SD2と対向する辺SD4とを有し、矩形形状を有する。
【0089】
一方、
図8に示す例では、平面視において、1つの活性領域AcTPの内部に、フォトダイオードPDとして、2つのフォトダイオードPD1およびPD2が互いに離れて配置されている。このような場合、1つの活性領域AcTPに1つの画素PUが形成されるものの、1つの画素PUは、2つのフォトダイオードPD1およびPD2からなる。
【0090】
図8に示す例では、中空の光導波路WG1としての空間SP1、すなわち凹部CC1は、平面視において、フォトダイオードPD1の中心CPとしての中心CP1、および、フォトダイオードPD2の中心CPとしての中心CP2と重なる部分の絶縁膜部IF1(
図5参照)の上面に形成されている。これにより、フォトダイオードPD1のうち、少なくとも平面視における中央部、および、フォトダイオードPD2のうち、少なくとも平面視における中央部には、マイクロレンズML(
図5参照)およびカラーフィルタ層CF(
図5参照)を透過した光が、中空の光導波路WG1を通して入射される。そのため、マイクロレンズMLおよびカラーフィルタ層CFを透過した光が、フォトダイオードPD1の中央部およびフォトダイオードPD2の中央部のいずれにも入射されるまでに減衰しないので、CMOSイメージセンサの感度を向上させることができる。
【0091】
図8に示す例で、例えば、長さLN1が3.2μmであり、長さLN2が2.4μmであり、幅WD1が長さLN1に等しく、幅WD2が長さLN2に等しく、中空の光導波路WG1の深さDP1(
図5参照)が3.5〜3.9μmであるとする。このとき、中空の光導波路WG1の幅WD1または幅WD2に対する深さDP1の比であるアスペクト比RT1は、1.1〜1.6となる。
【0092】
図10は、n型ウェルとp型ウェルとの境界における不純物濃度の変化を模式的に示すグラフである。
図10は、
図9に示す領域AR1における不純物濃度の変化を示す。
【0093】
本願明細書では、平面視におけるフォトダイオードPDの外周を、n型ウェルNWLとp型ウェルPWLとの境界であると定義する。また、n型ウェルNWLとp型ウェルPWLとの境界を、n型不純物濃度とp型不純物濃度が等しくなる位置と定義する。
【0094】
図10に示すように、n型ウェルNWLのうち、n型不純物濃度が検出可能な範囲の下限値、例えば1×10
15cm
−3である位置を位置CN1とする。また、p型ウェルPWLのうち、p型不純物濃度が検出可能な範囲の下限値、例えば1×10
15cm
−3である位置を位置CN2とする。このような場合、n型不純物濃度とp型不純物濃度が等しくなる位置CN3は、位置CN1と位置CN2との間に位置する。
【0095】
例えば
図5に示す半導体装置の断面における不純物濃度の分布を、走査型静電容量顕微鏡法(Scanning Capacitance Microscopy;SCM)を用いて測定することにより、位置CN1と位置CN2とを決定することができる。そして、例えば位置CN1と位置CN2との中間の位置を、位置CN3として決定することができる。
【0096】
<半導体装置の製造方法>
次いで、本実施の形態1の半導体装置の製造方法について説明する。
【0097】
図11および
図12は、実施の形態1の半導体装置の製造工程の一部を示す製造プロセスフロー図である。
図13〜
図28は、実施の形態1の半導体装置の製造工程を示す断面図である。なお、
図11および
図12は、実施の形態1の半導体装置の製造工程のうち、主として画素領域1Aにおける製造工程を示す。また、
図13〜
図28の各断面図は、
図5のA−A断面または
図6のB−B断面に対応している。
【0098】
図13および
図14に示すように、半導体基板1Sとして、例えば、リン(P)または砒素(As)などのn型不純物を含有した、n型の単結晶シリコン基板を準備する(
図11のステップS11)。
【0099】
次いで、半導体基板1Sに素子分離領域LCSを形成する。素子分離領域LCSは、熱酸化膜からなる。例えば、半導体基板1Sのうち、活性領域AcTPおよび活性領域AcL等の活性領域となる領域を窒化シリコン膜で覆い、熱酸化することにより、酸化シリコン膜等の絶縁部材からなる素子分離領域LCSを形成する。このような素子分離方法をLOCOS(Local oxidation of silicon)法という。この素子分離領域LCSにより活性領域AcTPおよび活性領域AcL等の活性領域が区画、すなわち形成される。
【0100】
なお、活性領域AcTPは、画素領域1Aに形成され、活性領域AcLは、周辺回路領域2Aに形成される。
【0101】
LOCOS法に代えてSTI(Shallow Trench Isolation)法を用いて素子分離領域を形成してもよい。この場合、素子分離領域は、半導体基板1S中の溝内に埋め込まれた絶縁部材からなる。例えば、上記窒化シリコン膜をマスクとして半導体基板1Sをエッチングすることにより、分離溝を形成する。次いで、この分離溝の内部に酸化シリコン膜などの絶縁膜を埋め込むことにより素子分離領域を形成する。
【0102】
次いで、
図13および
図14に示すように、画素領域1Aおよび周辺回路領域2Aで、p型ウェルPWLを形成する(
図11のステップS12)。
【0103】
このステップS12の工程では、フォトリソグラフィ技術およびイオン注入法を使用することにより、活性領域AcTP内、および、活性領域AcL内で、半導体基板1S内に、ホウ素(B)などのp型不純物を導入する。これにより、画素領域1Aおよび周辺回路領域2Aで、p型ウェルPWLを形成する。p型ウェルPWLの導電型はp型であり、半導体基板1Sの導電型であるn型の反対の導電型である。
【0104】
次いで、
図15および
図16に示すように、画素領域1Aで、ゲート絶縁膜GOXを介してゲート電極Gtを形成し、周辺回路領域2Aで、ゲート絶縁膜GOXを介してゲート電極Gltを形成する(
図11のステップS13)。
【0105】
まず、画素領域1Aおよび周辺回路領域2Aで、半導体基板1Sを熱酸化することにより、p型ウェルPWLの表面に酸化シリコン膜からなるゲート絶縁膜GOXを形成する。ゲート絶縁膜GOXとして、窒化シリコン膜や酸窒化シリコン膜などを用いてもよい。また、酸化ハフニウムに酸化ランタンを導入したハフニウム系絶縁膜などのいわゆる高誘電体膜、すなわち窒化シリコン膜よりも誘電率の高い膜を用いてもよい。これらの膜は、例えば、CVD(Chemical Vapor Deposition)法を用いて形成することができる。
【0106】
画素領域1Aと周辺回路領域2Aとの間で、ゲート絶縁膜の膜厚を変えてもよい。この場合、画素領域1Aおよび周辺回路領域2Aで、半導体基板1Sを酸化した後に周辺回路領域2Aで酸化膜を除去した後、画素領域1Aおよび周辺回路領域2Aで、半導体基板1Sを酸化させることで、周辺回路領域2Aのゲート絶縁膜を、画素領域1Aのゲート絶縁膜よりも薄くして、周辺回路の動作速度を向上させることができる。
【0107】
次に、ゲート絶縁膜GOX上を含む半導体基板1S上に、導電膜として、例えば多結晶シリコン膜を、CVD法などを用いて形成する。次に、導電膜をパターニングする。具体的には、導電膜上にフォトレジスト膜、すなわちレジスト膜(図示は省略)を形成し、フォトリソグラフィ技術を用いて露光・現像することにより、ゲート電極Gtおよびゲート電極Gltの形成予定領域にフォトレジスト膜を残存させる。次いで、このレジスト膜をマスクとして、導電膜および酸化シリコン膜をエッチングする。これにより、画素領域1Aで、酸化シリコン膜からなるゲート絶縁膜GOXを介して、導電膜からなるゲート電極Gtを形成し、周辺回路領域2Aで、酸化シリコン膜からなるゲート絶縁膜GOXを介して、導電膜からなるゲート電極Gltを形成する。次いで、レジスト膜をアッシングなどにより除去する。このようなレジスト膜の形成から除去までの工程をパターニングという。この際、例えば
図2に示した他のトランジスタ、すなわちリセットトランジスタRST、選択トランジスタSELおよび増幅トランジスタAMIの、ゲート電極Gr、ゲート電極Gsおよびゲート電極Gaを形成してもよい。
【0108】
次いで、
図15および
図16に示すように、画素領域1Aで、ゲート電極Gtの一方の側(
図15中の左側)のp型ウェルPWLに内包されるように、n型ウェルNWLを形成する(
図11のステップS14)。
【0109】
例えば、ゲート電極Gtの一方の側を開口したレジスト膜(図示は省略)をマスクとして、n型の不純物イオンをイオン注入する。これにより、
図15に示すように、p型ウェルPWLに内包されたn型ウェルNWLを形成する。このp型ウェルPWLとn型ウェルNWLによってフォトダイオードPDが形成される。そして、このn型ウェルNWLの一部は、転送用トランジスタのゲート電極Gtと平面視においてオーバラップするように形成される。このようにn型ウェルNWLの一部と転送用トランジスタのゲート電極Gtとをオーバラップさせることにより、n型ウェルNWLを転送用トランジスタのソース領域としても機能させることができる。
【0110】
次いで、
図15および
図16に示すように、画素領域1Aにおいて、n型ウェルNWLの表面領域にp
+型半導体領域PRを形成する(
図11のステップS15)。例えば、フォトリソグラフィ技術およびイオン注入法を使用することにより、n型ウェルNWLの表面領域に、p型の不純物イオンをイオン注入する。これにより、
図15に示すように、n型ウェルNWLの表面領域に、p
+型半導体領域PRを形成する。
【0111】
次いで、
図15および
図16に示すように、周辺回路領域2Aで、ゲート電極Gltの両側のp型ウェルPWL中に、n型の低濃度半導体領域NMを形成する。例えば、周辺回路領域2Aを開口したレジスト膜(図示は省略)およびゲート電極Gltをマスクとして、n型の不純物イオンをイオン注入する。これにより、ゲート電極Gltの両側のp型ウェルPWL中に、n型の低濃度半導体領域NMを形成する。
【0112】
次いで、
図17および
図18に示すように、画素領域1Aで、キャップ絶縁膜CAPを形成する(
図11のステップS16)。
【0113】
まず、ゲート電極Gtおよびゲート電極Gltの側壁に、絶縁膜よりなるサイドウォールSWを形成する。例えば、半導体基板1S上に絶縁膜として酸化シリコン膜または窒化シリコン膜あるいはそれらの積層膜を、CVD法などを用いて堆積し、この絶縁膜をRIE(Reactive Ion Etching)法などを用いて異方性エッチングする。これにより、ゲート電極Gtおよびゲート電極Gltの側壁に、絶縁膜からなるサイドウォールSWを残存させることができる。
【0114】
このようにしてサイドウォールSWを形成した後、画素領域1Aで、キャップ絶縁膜CAPを形成する。例えば、半導体基板1S上に、絶縁膜として酸化シリコン膜をCVD法などにより形成した後、この絶縁膜をパターニングする。これにより、画素領域1Aにおいて、ゲート電極Gtの一方の側のn型ウェルNWLおよびp
+型半導体領域PRの表面領域に、酸化シリコン膜からなるキャップ絶縁膜CAPを形成する。キャップ絶縁膜CAPを構成する絶縁膜として、酸化シリコン膜に代えて窒化シリコン膜を用いてもよい。
【0115】
なお、上記のフローでは、サイドウォールSWの形成後に、キャップ絶縁膜CAPおよび反射防止膜ARFを形成する。しかし、サイドウォールSWの形成時に、フォトダイオードPD上に形成されたレジストパターンをマスクとして用いてRIE法でエッチングすることにより、反射防止膜ARFを形成してもよい。このとき、キャップ絶縁膜CAP膜、ゲート絶縁膜GOXおよび反射防止膜ARFは、サイドウォールSWと同じ材料からなる。
【0116】
次いで、
図17および
図18に示すように、画素領域1Aで、反射防止膜ARFを形成する(
図11のステップS17)。半導体基板1S上に、反射防止膜ARFとして、例えば、酸窒化シリコン膜をCVD法などにより形成した後、この酸窒化シリコン膜をパターニングする。これにより、ゲート電極Gtの一方の側のキャップ絶縁膜CAP上に、反射防止膜ARFを形成する。
【0117】
次いで、
図17および
図18に示すように、画素領域1Aにおいて、ゲート電極Gtの他方の側(
図17中の右側)のp型ウェルPWL中に、n型の高濃度半導体領域NRを形成する(
図11のステップS18)。例えば、反射防止膜ARFおよびゲート電極Gtをマスクとして、n型の不純物イオンをイオン注入する。これにより、
図17に示すように、転送用トランジスタTXのゲート電極Gtの他方の側(
図17中の右側)のp型ウェルPWL中に、n型の高濃度半導体領域NRを形成する。このn型の高濃度半導体領域NRは、転送用トランジスタTXのドレイン領域でもあり、フォトダイオードPDのフローティングディフュージョンFDとなる半導体領域でもある。
【0118】
このステップS18の工程では、好適には、周辺回路領域2Aにおいて、ゲート電極GltおよびサイドウォールSWの合成体の両側のp型ウェルPWL中に、n型の高濃度半導体領域NRを形成する。例えば、ゲート電極GltおよびサイドウォールSWをマスクとして、n型の不純物イオンをイオン注入する。これにより、
図18に示すように、トランジスタLTのソース・ドレイン領域、すなわち、n型の低濃度半導体領域NMおよびn型の高濃度半導体領域NRよりなるLDD構造のソース・ドレイン領域を形成することができる。
【0119】
なお、このステップS18の工程を利用して、例えば
図2に示した他のトランジスタ、すなわちリセットトランジスタRST、選択トランジスタSELおよび増幅トランジスタAMIのソース・ドレイン領域を形成してもよい。
【0120】
また、周辺回路領域2Aにp型MISFETが形成される場合には、周辺回路領域2Aにおいて、p型MISFETのソース・ドレイン領域となるp型の高濃度半導体領域を形成してもよい。例えば、周辺回路領域2Aの図示しないp型MISFETのゲート電極の両側のn型ウェル中にp型の不純物イオンをイオン注入する。このp型の不純物イオンとしては、例えば、ホウ素(B)を用いることができる。この際、活性領域AcGにホウ素をイオン注入してもよい。
【0121】
以上の工程により、半導体基板1Sの画素領域1Aに、フォトダイオードPD、転送用トランジスタTX、ならびに、
図17および
図18の断面図に表れない他のトランジスタ、すなわちリセットトランジスタRST、選択トランジスタSELおよび増幅トランジスタAMIが形成される(
図2参照)。また、半導体基板1Sの周辺回路領域2Aに、MISFETとしてのトランジスタLTが形成される。
【0122】
次いで、
図17および
図18に示すように、シリサイド層を形成する(
図11のステップS19)。画素領域1AのフローティングディフュージョンFD上には、シリサイド層を形成せず、周辺回路領域2Aのn型の高濃度半導体領域NRおよびゲート電極Glt上に、シリサイド層SILを形成する。なお、フローティングディフュージョンFD上にもシリサイド層を形成してもよい。
【0123】
次いで、
図19および
図20に示すように、画素領域1Aおよび周辺回路領域2Aで、半導体基板1S上に、層間絶縁膜IL1を形成する(
図11のステップS20)。このとき、画素領域1Aでは、半導体基板1Sの表面上に、反射防止膜ARFおよびキャップ絶縁膜CAPを介してフォトダイオードPDを覆うように、層間絶縁膜IL1を形成する。
【0124】
例えば、半導体基板1S上に、TEOSガスを原料ガスとしたCVD法により酸化シリコン膜を堆積する。この後、必要に応じて、層間絶縁膜IL1の表面をCMP(Chemical Mechanical Polishing;化学的機械的研磨)法などを用いて平坦化する。
【0125】
次いで、
図19および
図20に示すように、層間絶縁膜IL1をパターニングすることにより、コンタクトホールCHfd、コンタクトホールCHt1およびコンタクトホールCHt2を形成する。フローティングディフュージョンFDおよび転送用トランジスタTXのドレイン領域としてのn型の高濃度半導体領域NRの上方で、層間絶縁膜IL1を貫通してn型の高濃度半導体領域NRに達するコンタクトホールCHfdを形成する。また、トランジスタLTのソース・ドレイン領域としてのn型の高濃度半導体領域NRの上方で、層間絶縁膜IL1を貫通し、ソース・ドレイン領域としてのn型の高濃度半導体領域NRの表面、すなわち上層部に形成されたシリサイド層SILに達するコンタクトホールCHt1およびコンタクトホールCHt2を形成する。
【0126】
この際、転送用トランジスタTXのゲート電極Gt上にもコンタクトホールが形成される。また、この際、例えば
図2に示した他のトランジスタ、すなわちリセットトランジスタRST、選択トランジスタSELおよび増幅トランジスタAMIの、ゲート電極Gr、ゲート電極Gsおよびゲート電極Ga、ならびに、ソース・ドレイン領域上にも、コンタクトホールが形成される。
【0127】
次いで、
図19および
図20に示すように、コンタクトホールCHfd、コンタクトホールCHt1およびコンタクトホールCHt2の内部に導電膜を埋め込むことにより、プラグPfd、プラグPt1およびプラグPt2を形成する。
【0128】
まず、コンタクトホールCHfd、コンタクトホールCHt1およびコンタクトホールCHt2の底面および側面を含む層間絶縁膜IL1上にチタン/窒化チタン膜を形成する。チタン/窒化チタン膜は、チタン膜およびチタン膜上の窒化チタン膜の積層膜から構成され、例えばスパッタリング法を使用することにより形成することができる。このチタン/窒化チタン膜は、例えば、後の工程で埋め込む膜の材料であるタングステンがシリコン中へ拡散するのを防止する、いわゆる拡散バリア性を有する。
【0129】
そして、コンタクトホールCHfd、コンタクトホールCHt1およびコンタクトホールCHt2を埋め込むように、半導体基板1Sの主面の全面にタングステン膜を形成する。このタングステン膜は、例えばCVD法を使用して形成することができる。そして、層間絶縁膜IL1上に形成された不要なチタン/窒化チタン膜およびタングステン膜を例えばCMP法で除去することにより、プラグPfd、プラグPt1およびプラグPt2を形成することができる。
【0130】
次いで、
図21および
図22に示すように、画素領域1Aおよび周辺回路領域2Aで、層間絶縁膜IL1上に、層間絶縁膜IL2〜IL4および配線M1〜M3を含む配線層WL1を形成する(
図12のステップS21)。
【0131】
例えば、層間絶縁膜IL1上に、例えば酸化シリコン膜またはSiOC膜などの低誘電率膜からなる層間絶縁膜IL2をCVD法などで形成する。次いで、層間絶縁膜IL2をパターニングすることにより、配線溝を形成する。次いで、配線溝の内部を含む層間絶縁膜IL2上に、バリア膜としてタンタル(Ta)膜とその上部の窒化タンタル(TaN)膜との積層膜をスパッタリング法などで堆積する。次いで、バリア膜上にシード膜(図示は省略)として薄い銅膜をスパッタリング法などで堆積し、電解メッキ法によりシード膜上に銅膜を堆積する。次いで、層間絶縁膜IL2上の不要なバリア膜、シード膜および銅膜をCMP法などにより除去する。このように、配線溝の内部にバリア膜、シード膜および銅膜を埋め込むことにより配線M1を形成することができる(シングルダマシン法)。
【0132】
次いで、層間絶縁膜IL2上に、例えば炭窒化ケイ素(SiCN)膜などの絶縁膜からなるライナー膜LF1をCVD法などで形成し、ライナー膜LF1上に、例えば酸化シリコン膜または低誘電率膜からなる層間絶縁膜IL3をCVD法などで形成する。ライナー膜LF1は、例えば銅配線からなる配線M1の拡散を防止する拡散防止膜である。また、ライナー膜LF1は、層間絶縁膜IL2を保護する保護膜である。次いで、配線M1と同様の方法により、層間絶縁膜IL3中に配線M2を形成することができる。
【0133】
次いで、層間絶縁膜IL3上に、例えばSiCN膜などの絶縁膜からなるライナー膜LF2をCVD法などで形成し、ライナー膜LF2上に、例えば酸化シリコン膜または低誘電率膜からなる層間絶縁膜IL4をCVD法などで形成する。ライナー膜LF2は、例えば銅配線からなる配線M2の拡散を防止する拡散防止膜である。また、ライナー膜LF2は、層間絶縁膜IL3を保護する保護膜である。次いで、配線M1と同様の方法により、層間絶縁膜IL4中に配線M3を形成することができる。
【0134】
次いで、層間絶縁膜IL4上に、例えばSiCN膜などの絶縁膜からなるライナー膜LF3をCVD法などで形成し、ライナー膜LF3上に、例えば酸化シリコン膜または低誘電率膜からなる層間絶縁膜IL5をCVD法などで形成する。ライナー膜LF3は、例えば銅配線からなる配線M3の拡散を防止する拡散防止膜である。また、ライナー膜LF3は、層間絶縁膜IL4を保護する保護膜である。
【0135】
このようにして、複数の層間絶縁膜IL2〜IL5のうち、複数の層間絶縁膜IL2〜IL4の各々の内部にそれぞれ形成された複数の配線M1〜M3により、配線層WL1(
図22参照)が形成される。また、層間絶縁膜IL1〜IL5およびライナー膜LF1〜LF3、ならびに、反射防止膜ARFおよびキャップ絶縁膜CAPをまとめて絶縁膜部IF1と称する場合、画素領域1Aおよび周辺回路領域2Aで、半導体基板1Sの主面上、すなわち表面上に、フォトダイオードPDを覆うように、絶縁膜部IF1が形成されることになる。
【0136】
このとき、絶縁膜部IF1を形成する工程は、層間絶縁膜IL1を形成する工程と、複数の第1絶縁層としての層間絶縁膜IL2〜IL4の各々と、複数の第2絶縁層としてのライナー膜LF1〜LF3の各々とが交互に積層された積層絶縁膜を形成する工程と、を含む。また、好適には、複数のライナー膜LF1〜LF3の各々は、複数の層間絶縁膜IL2〜IL4のいずれとも異なる材料からなる。
【0137】
なお、例えば層間絶縁膜IL5には配線が形成されていないように、複数の層間絶縁膜IL2〜IL5の全てに配線が形成されなくてもよく、複数の層間絶縁膜IL2〜IL5のいずれかの層間絶縁膜の内部に配線を形成することにより配線層WL1が形成されてもよい。
【0138】
次いで、
図23および
図24に示すように、凹部CC1を形成する(
図12のステップS22)。
【0139】
このステップS22の工程では、画素領域1Aで、層間絶縁膜IL1〜IL5およびライナー膜LF1〜LF3に、層間絶縁膜IL1〜IL5およびライナー膜LF1〜LF3を貫通して反射防止膜ARFに達する凹部CC1を形成する。凹部CC1は、平面視において、フォトダイオードPDの中心CPと重なるように、形成される。したがって、前述したように、層間絶縁膜IL1〜IL5およびライナー膜LF1〜LF3、ならびに、反射防止膜ARFおよびキャップ絶縁膜CAPをまとめて絶縁膜部IF1と称する場合、凹部CC1は、平面視において、フォトダイオードPDの中心CPと重なる部分の絶縁膜部IF1の上面に、形成される。
【0140】
具体的には、まず、層間絶縁膜IL5上にレジスト液を塗布してレジスト膜RF1を形成し、形成されたレジスト膜RF1をパターン露光および現像する。これにより、レジスト膜RF1を貫通して、フォトダイオードPDの上方に位置する部分の層間絶縁膜IL5に達する開口部OR1を形成する。そして、開口部OR1が形成されたレジスト膜RF1からなるレジストパターンRP1を形成する。
【0141】
その後、レジストパターンRP1をマスクとして、レジストパターンRP1の開口部OR1の底面に露出した部分の層間絶縁膜IL5、および、層間絶縁膜IL5の下に位置する部分の絶縁膜部IF1のエッチングを行う。例えばエッチングガスを用いたドライエッチング法により、絶縁膜部IF1をエッチングすることができる。これにより、例えばフォトダイオードPDの上方に位置する部分の層間絶縁膜IL5、ライナー膜LF3、層間絶縁膜IL4、ライナー膜LF2、層間絶縁膜IL3、ライナー膜LF1、層間絶縁膜IL2および層間絶縁膜IL1を貫通して、反射防止膜ARFの上面に達する凹部CC1を形成する。あるいは、層間絶縁膜IL5、ならびに、ライナー膜LF3、層間絶縁膜IL4、ライナー膜LF2、層間絶縁膜IL3、ライナー膜LF1および層間絶縁膜IL2からなる積層絶縁膜を貫通して、層間絶縁膜IL1に達する凹部CC1を形成してもよい。
【0142】
好適には、凹部CC1を、平面視において、フォトダイオードPDが形成された領域内に形成する。これにより、フォトダイオードPDのうち、平面視における外周部に光が照射されにくくなるので、暗電流を低減することができる。
【0143】
前述したように、配線M1〜M3が、銅配線からなる場合、絶縁膜部IF1がライナー膜LF1〜LF3を含む。このような場合、フォトダイオードPDの上方に位置する部分のライナー膜LF1〜LF3が残されていると、入射光が、層間絶縁膜IL2〜IL5のいずれとも異なる材料からなるライナー膜LF1〜LF3のいずれかと、層間絶縁膜IL2〜IL5のいずれかと、の界面で反射されることにより、減衰される。そのため、フォトダイオードPDの上方に位置する部分の絶縁膜部IF1の上面に凹部CC1を形成せず、絶縁膜部IF1を残して光導波路として用いる場合、層間絶縁膜IL1〜IL5を残すことはできるが、フォトダイオードPDの上方に位置する部分のライナー膜LF1〜LF3を除去する必要がある。したがって、ライナー膜LF1〜LF3の各々を形成する際に、フォトダイオードPDの上方に位置する部分のライナー膜LF1〜LF3の各々をエッチングして除去する工程を行うため、半導体装置の製造工程にける工程数が増加するおそれがある。
【0144】
一方、本実施の形態1では、フォトダイオードPDの上方に位置する部分の絶縁膜部IF1に凹部CC1を形成するため、この凹部CC1を形成する工程で、フォトダイオードPDの上方に位置する部分のライナー膜LF1〜LF3を一括して除去することができる。これにより、半導体装置の製造工程における工程数を削減することができる。
【0145】
その後、図示は省略するが、例えば酸素プラズマを用いたアッシングによりレジストパターンRP1を除去する。
【0146】
次いで、
図25および
図26に示すように、貼り合わせ基板11Sの表面上に、透過膜TF1を形成する(
図12のステップS23)。
【0147】
図25および
図26に示すように、まず、例えば半導体基板からなる貼り合わせ基板11Sを準備し、貼り合わせ基板11Sの主面上、すなわち表面上に、例えば酸化シリコン膜からなり、可視光を透過させる透過膜TF1をCVD法などにより形成する。透過膜TF1の膜厚を、例えば100〜500nmとすることができる。
【0148】
次いで、
図25および
図26に示すように、画素領域1Aおよび周辺回路領域2Aで、層間絶縁膜IL5上に、表面に透過膜TF1が形成された貼り合わせ基板11Sを貼り合わせる(
図12のステップS24)。
【0149】
図25および
図26に示すように、貼り合わせ基板11Sの表面と、半導体基板1Sの表面とが対向した状態で、半導体基板1S上に貼り合わせ基板11Sを、例えば常温など低温で貼り合わせる。次いで、貼り合わせ基板11Sが貼り合わされた半導体基板1Sを、例えば400℃以下の比較的低い温度でアニール、すなわち熱処理し、貼り合わせ基板11Sの透過膜TF1と、半導体基板1Sの層間絶縁膜IL5との界面、すなわち接合面における密着力を増加させる。これにより、貼り合わせ基板11Sの表面上に形成された透過膜TF1と、半導体基板1Sの表面上に形成された層間絶縁膜IL5とを接合する。すなわち、貼り合わせ基板11Sの表面上に形成された透過膜TF1と、半導体基板1Sの表面上に形成された絶縁膜部IF1とを接合する。
【0150】
次いで、
図27および
図28に示すように、画素領域1Aおよび周辺回路領域2Aで、半導体基板1Sの表面上に透過膜TF1を残した状態で、半導体基板1Sに貼り合わされた貼り合わせ基板11Sを除去する(
図12のステップS25)。
【0151】
具体的には、半導体基板1Sに貼り合わされた貼り合わせ基板11Sを研削または研磨することにより、半導体基板1Sの表面上に透過膜TF1を残した状態で、半導体基板1Sに貼り合わされた貼り合わせ基板11Sを除去することができる。あるいは、例えば単結晶シリコンからなる貼り合わせ基板11Sを研削または研磨して薄化した後、薄化された貼り合わせ基板11Sを、スマートカット法などで剥離させることにより、貼り合わせ基板11Sを除去することができる。スマートカット法は、薄化された貼り合わせ基板11Sと透過膜TF1との界面にイオン注入法により水素原子を導入し、さらに熱処理によりシリコン結晶の結合を切断して貼り合わせ基板11Sを剥離させる方法である。
【0152】
これにより、透過膜TF1が、層間絶縁膜IL5上に、凹部CC1を閉塞するように形成される。すなわちフォトダイオードPDに入射される入射光を透過させる透過膜部としての透過膜TF1が、絶縁膜部IF1上に、凹部CC1を閉塞するように形成される。そして、凹部CC1と透過膜TF1とにより空間SP1が形成される。前述したように、凹部CC1は、平面視において、フォトダイオードPDの中心CPと重なる部分の絶縁膜部IF1の上面に形成されている。したがって、空間SP1は、平面視において、フォトダイオードPDの中心CPと重なるように配置される。
【0153】
空間SP1は、フォトダイオードPDに入射光を導く中空の光導波路WG1である。すなわち、透過膜TF1を透過した光が中空の光導波路WG1としての空間SP1を通してフォトダイオードPDに入射される。そのため、透過膜TF1を透過し、光導波路WG1に入射された入射光を、減衰させずにフォトダイオードPDに導くことができる。
【0154】
次いで、
図6に示したように、周辺回路領域2Aでは、透過膜TF1、層間絶縁膜IL5およびライナー膜LF3を貫通して、層間絶縁膜IL4に形成された配線M3に達するプラグPt3を形成する。また、周辺回路領域2Aでは、透過膜TF1上に、プラグPt3と電気的に接続されるように、電極パッドEP1を形成する。
【0155】
次いで、
図5および
図6に示したように、画素領域1Aおよび周辺回路領域2Aで、透過膜TF1上に、例えば窒化シリコン膜からなる保護膜PF1をCVD法などで形成する(
図12のステップS26)。また、周辺回路領域2Aでは、保護膜PF1は、透過膜TF1上に、電極パッドEP1を覆うように、形成される。
【0156】
次いで、
図5に示したように、画素領域1Aで、平面視において、凹部CC1の上方に位置する部分の保護膜PF1に、保護膜PF1を貫通して透過膜TF1に達する開口部OP1を形成し、開口部OP1の内部に、カラーフィルタ層CFを形成する(
図12のステップS27)。すなわち、カラーフィルタ層CFは、平面視において、凹部CC1の上方に位置する部分の透過膜TF1上に、形成される。カラーフィルタ層CFは、例えば赤(R)、緑(G)または青(B)などの特定の色の光を透過させ、その他の色の光を透過させない膜である。
【0157】
また、
図6に示したように、周辺回路領域2Aで、電極パッドEP1上の保護膜PF1に、保護膜PF1を貫通して電極パッドEP1に達する開口部OP2を形成する。開口部OP2の底部には、電極パッドEP1が露出する。
【0158】
次いで、カラーフィルタ層CF上に、上面として凸曲面を有するマイクロレンズMLを形成する(
図12のステップS28)。マイクロレンズMLは、その上面が湾曲した凸レンズであり、光を透過させる膜からなる。例えばカラーフィルタ層CF上に透明な膜を形成した後、形成された膜を加熱して溶融させ、その膜の上面の形状を丸めることにより、マイクロレンズMLを形成することができる。
【0159】
以上の工程により、本実施の形態1の半導体装置を製造することができる。
【0160】
<実施の形態1の変形例の半導体装置およびその製造方法>
次いで、本実施の形態1の変形例について説明する。
図29および
図30は、実施の形態1の変形例の半導体装置の構成を示す断面図である。
図29は、
図2のA−A断面に対応している。
図30は、
図4のB−B断面に対応している。
【0161】
本変形例の半導体装置では、配線M1〜M3は、銅配線に代え、アルミニウム(Al)配線からなる。そのため、
図29および
図30に示すように、配線M1〜M3の拡散を防止する拡散防止膜としてのライナー膜LF1〜LF3(
図5および
図6参照)が設けられていなくてもよい。
【0162】
したがって、層間絶縁膜IL1上には、例えば酸化シリコン膜または低誘電率膜からなる層間絶縁膜IL2が形成されており、この層間絶縁膜IL2に、例えばアルミニウム配線からなる配線M1が形成されている。層間絶縁膜IL2上には、例えば酸化シリコン膜または低誘電率膜からなる層間絶縁膜IL3が形成されており、この層間絶縁膜IL3に、例えばアルミニウム配線からなる配線M2が形成されている。層間絶縁膜IL3上には、例えば酸化シリコン膜または低誘電率膜からなる層間絶縁膜IL4が形成されており、この層間絶縁膜IL4に、例えばアルミニウム配線からなる配線M3が形成されている。層間絶縁膜IL4上には、例えば酸化シリコン膜または低誘電率膜からなる層間絶縁膜IL5が形成されている。
【0163】
このようにして、複数の層間絶縁膜IL2〜IL5のうち、複数の層間絶縁膜IL2〜IL4の各々の内部にそれぞれ形成された複数の配線M1〜M3により、配線層WL1(
図30参照)が形成されている。また、層間絶縁膜IL1〜IL5、ならびに、反射防止膜ARFおよびキャップ絶縁膜CAPをまとめて絶縁膜部IF1と称するとき、半導体基板1Sの主面上、すなわち表面上に、フォトダイオードPDを覆うように、絶縁膜部IF1が形成されている。また、画素領域1Aでは、層間絶縁膜IL1〜IL5を貫通して反射防止膜ARFに達する凹部CC1が形成されている。したがって、層間絶縁膜IL1〜IL5、ならびに、反射防止膜ARFおよびキャップ絶縁膜CAPをまとめて絶縁膜部IF1と称する場合、凹部CC1は、平面視において、フォトダイオードPDの中心CPと重なる部分の絶縁膜部IF1の上面に、形成されている。
【0164】
その他、本変形例の半導体装置のうち、層間絶縁膜IL2よりも下方の部分、透過膜TF1、および、透過膜TF1よりも上方の部分については、実施の形態1の半導体装置と同様である。
【0165】
図31〜
図38は、実施の形態1の変形例の半導体装置の製造工程を示す断面図である。なお、
図31〜
図38の各断面図は、
図29のA−A断面または
図30のB−B断面に対応している。
【0166】
本変形例では、実施の形態1と同様に、
図11のステップS11〜
図11のステップS20の工程を行って、層間絶縁膜IL1を形成する工程までの工程を行った後、層間絶縁膜IL1上に、層間絶縁膜IL2〜IL5および配線M1〜M3を含む配線層WL1を形成する(
図12のステップS21)。
【0167】
ただし、本変形例では、実施の形態1と異なり、ライナー膜LF1〜LF3を形成しない。したがって、
図31および
図32に示すように、層間絶縁膜IL1上には、例えば酸化シリコン膜または低誘電率膜からなる層間絶縁膜IL2を形成し、この層間絶縁膜IL2に、例えばアルミニウム配線からなる配線M1を形成する。層間絶縁膜IL2上には、例えば酸化シリコン膜または低誘電率膜からなる層間絶縁膜IL3を形成し、この層間絶縁膜IL3に、例えばアルミニウム配線からなる配線M2を形成する。層間絶縁膜IL3上には、例えば酸化シリコン膜または低誘電率膜からなる層間絶縁膜IL4を形成し、この層間絶縁膜IL4に、例えばアルミニウム配線からなる配線M3を形成する。層間絶縁膜IL4上には、例えば酸化シリコン膜または低誘電率膜からなる層間絶縁膜IL5を形成する。
【0168】
次いで、
図33および
図34に示すように、
図12のステップS22の工程を行って、実施の形態1と同様に、凹部CC1を形成する。次いで、
図35および
図36に示すように、
図12のステップS23の工程を行って、実施の形態1と同様に、貼り合わせ基板11Sの表面に、透過膜TF1を形成する。次いで、
図35および
図36に示すように、
図12のステップS24の工程を行って、実施の形態1と同様に、貼り合わせ基板11Sを貼り合わせる。次いで、
図37および
図38に示すように、
図12のステップS25の工程を行って、実施の形態1と同様に、貼り合わせ基板11Sを除去する。次いで、
図12のステップS26〜ステップS28の工程を行って、
図29および
図30に示したように、本変形例の半導体装置を製造することができる。
【0169】
<フォトダイオードに入射される入射光の減衰>
次に、光導波路を通ってフォトダイオードPDに入射される入射光の減衰について、比較例1および比較例2の半導体装置と比較しながら説明する。
図39は、比較例1の半導体装置の構成を示す断面図である。
図40は、比較例2の半導体装置の構成を示す断面図である。
【0170】
図39に示すように、比較例1の半導体装置では、フォトダイオードPDの上方に位置する部分の絶縁膜部IF1には、凹部CC1(
図5参照)は形成されていない。したがって、マイクロレンズMLおよびカラーフィルタ層CFを透過した光は、層間絶縁膜IL1〜IL5に形成された光導波路WG101を通ってフォトダイオードPDに入射される。
【0171】
しかし、比較例1の半導体装置では、光導波路WG101の内部における屈折率と、光導波路WG101の外部における屈折率との間に差がない。そのため、光導波路WG101を通る光を、光導波路WG101の内部に閉じ込めることができず、カラーフィルタ層CFを透過した光のうち、フォトダイオードPDに到達する光の割合を大きくすることができない。したがって、フォトダイオードPDに入射される入射光の光量が減少するので、CMOSイメージセンサの感度を向上させることができない。
【0172】
また、
図40に示すように、比較例2の半導体装置では、フォトダイオードPDの上方に位置する部分の絶縁膜部IF1には、凹部CC1が形成されているものの、凹部CC1の内部が、例えば窒化シリコン膜などからなる絶縁膜IF101により埋め込まれており、凹部CC1の内部に空間SP1(
図5参照)は形成されていない。また、絶縁膜IF101により、光導波路WG102が形成されている。
【0173】
比較例2の半導体装置では、例えば絶縁膜IF101を、例えば酸化シリコン膜からなる層間絶縁膜IL1〜IL5の屈折率よりも大きい屈折率を有する窒化シリコン膜からなるものとすることが考えられる。すなわち、光導波路WG102の内部における屈折率を、光導波路WG102の外部における屈折率よりも大きくすることが考えられる。これにより、光導波路WG102を通る光が、凹部CC1の側面で反射されることにより、光導波路WG102の内部に閉じ込められる。
【0174】
ところが、比較例2の半導体装置の製造工程では、凹部CC1を形成した後、凹部CC1の内部を絶縁膜IF101で埋め込むことは、困難である。また、凹部CC1を絶縁膜IF101で埋め込んだ後、層間絶縁膜IL5上、すなわち凹部CC1の外部の絶縁膜IF101を研削または研磨して平坦化することは、困難である。したがって、半導体装置の製造工程における工程数または各工程に要する時間に要する時間が増大し、製造コストが増大するおそれがある。
【0175】
また、フォトダイオードPDに入射される入射光が、凹部CC1の内部に埋め込まれた絶縁膜IF101からなる光導波路WG102を通る際に減衰することにより、フォトダイオードPDに入射される入射光の光量が減少するので、CMOSイメージセンサの感度が低下し、半導体装置の性能が低下する。
【0176】
図7および
図8を用いて前述したように、例えば一眼レフカメラ用のCMOSイメージセンサなど、高感度を有するCMOSイメージセンサを備えた半導体装置では、例えば平面視において、矩形形状を有する画素の1辺の長さが、例えば2〜4μm程度であり、1μmを超える。このような1辺の長さが1μmよりも大きい大型の画素において、例えば1μmよりも大きい幅を有する凹部CC1を形成した後、凹部CC1の内部を埋め込む場合、凹部CC1の深さと同程度の膜厚を有する絶縁膜IF101を形成する必要がある。
図5を用いて前述したように、凹部CC1の深さDP1は、3〜5μmとなることがあるので、このような3〜5μm程度の膜厚を有する絶縁膜IF101を形成した後、層間絶縁膜IL5上の絶縁膜IF101を研削または研磨して除去する必要がある。したがって、画素の1辺の長さが1μmを超える場合、半導体装置の製造工程における工程数または各工程に要する時間がさらに増大し、製造コストがさらに増大するおそれがある。さらに、窒化シリコン膜は高い応力を有するため、窒化シリコン膜からなる絶縁膜IF101を厚く堆積すると、半導体基板1Sが反り、半導体基板1Sが割れるといった問題もある。
【0177】
さらに、
図39に示す比較例1では、前述したように、実施の形態1と同様に、配線M1〜M3が、銅配線からなる場合を示し、絶縁膜部IF1が、層間絶縁膜IL1〜IL5に加え、ライナー膜LF1〜LF3を含む場合を示している。このような場合、フォトダイオードPDの上方に位置する部分のライナー膜LF1〜LF3が残されていると、入射光が、層間絶縁膜IL2〜IL5のいずれとも異なる材料からなるライナー膜LF1〜LF3のいずれかと、層間絶縁膜IL2〜IL5のいずれかと、の界面で反射されることにより、減衰される。
【0178】
そのため、フォトダイオードPDの上方に位置する部分の絶縁膜部IF1の上面に凹部CC1を形成せず、絶縁膜部IF1を残して光導波路として用いる場合、層間絶縁膜IL1〜IL5を残すことはできるが、フォトダイオードPDの上方に位置する部分のライナー膜LF1〜LF3を除去する必要がある。したがって、ライナー膜LF1〜LF3の各々を形成する際に、フォトダイオードPDの上方に位置する部分のライナー膜LF1〜LF3の各々をエッチングして除去する工程を行うため、半導体装置の製造工程にける工程数が増加するおそれがある。
【0179】
上記特許文献1に記載された技術では、光透過層に窒化シリコンにより形成されたコアと、平面視でコアの外周部の全周に亘って環状に形成されたエアギャップとを有する光導波路が設けられる。しかし、上記特許文献1に記載された技術では、エアギャップは、窒化シリコンからなるコアから光が漏れる漏れ量を小さくするために、コアの屈折率よりも小さい屈折率を有する部分として設けられるものであり、エアギャップをクラッドとすることで、コアとクラッドとを有する光導波路が構成されるものである。したがって、光導波路に入射される光は、コアに閉じ込められるのであるが、中空の光導波路を通る場合に比べれば、減衰する。
【0180】
<本実施の形態の主要な特徴と効果>
本実施の形態1の半導体装置では、半導体基板1Sの主面上に、フォトダイオードPDを覆うように絶縁膜部IF1が形成され、フォトダイオードPDの中心CPと重なる部分の絶縁膜部IF1の上面に、凹部CC1が形成され、絶縁膜部IF1上に、凹部CC1を閉塞するように透過膜TF1が形成されている。凹部CC1と透過膜TF1とにより空間SP1が形成され、空間SP1は、平面視において、フォトダイオードPDの中心CPと重なるように配置されている。
【0181】
これにより、フォトダイオードPDのうち、少なくとも平面視における中央部には、入射光が、中空の光導波路WG1としての空間SP1を通して入射される。そのため、入射光が、光導波路を通る際に減衰しないので、CMOSイメージセンサの感度を向上させることができ、半導体装置の性能を向上させることができる。
【0182】
また、凹部CC1を形成した後、凹部CC1の内部を絶縁膜で埋め込む必要がなく、凹部CC1を絶縁膜で埋め込んだ後、層間絶縁膜IL5上、すなわち凹部CC1の外部の絶縁膜を研削または研磨して平坦化する必要がない。したがって、半導体装置の製造工程における工程数または各工程に要する時間を削減することができ、製造コストを削減することができる。そして、画素の1辺の長さが1μmを超える場合に、半導体装置の製造工程における工程数または各工程に要する時間を削減する効果がさらに大きくなり、製造コストを削減する効果がさらに大きくなる。
【0183】
また、凹部CC1を形成した後、凹部CC1の内部に空間を残して絶縁膜で埋め込む場合に比べ、平面視における空間の位置、および、空間の高さ位置のばらつきを低減することができる。
【0184】
さらに、配線M1〜M3が、銅配線からなり、絶縁膜部IF1がライナー膜LF1〜LF3を含む場合でも、凹部CC1を形成する工程で、フォトダイオードPDの上方に位置する部分のライナー膜LF1〜LF3を一括して除去することができる。これにより、半導体装置の製造工程における工程数を削減することができる。また、入射光が、層間絶縁膜IL2〜IL5のいずれとも異なる材料からなるライナー膜LF1〜LF3のいずれかと、層間絶縁膜IL2〜IL5のいずれかと、の界面で反射されることもない。したがって、CMOSイメージセンサの感度を向上させることができ、半導体装置の性能を向上させることができる。
【0185】
(実施の形態2)
実施の形態2では、実施の形態1の半導体装置において、さらに、凹部の側面に、側壁絶縁膜が形成された例について説明する。
【0186】
本実施の形態2の半導体装置の構成、および、周辺回路領域の素子構造については、
図1〜
図4および
図6を用いて説明した実施の形態1の半導体装置の構成、および、周辺回路領域の素子構造と同様であり、その説明を省略する。
【0187】
<画素領域の素子構造>
次いで、画素領域の素子構造を説明する。
図41は、実施の形態2の半導体装置の構成を示す断面図である。
図41は、
図2のA−A断面に対応している。
【0188】
本実施の形態2における画素領域の素子構造については、凹部CC1の側面に側壁絶縁膜SWFが形成されている点を除き、
図5を用いて説明した実施の形態1における画素領域の素子構造と同様である。
【0189】
一方、
図41に示すように、本実施の形態2では、凹部CC1の側面に、側壁絶縁膜SWFが形成されている。側壁絶縁膜SWFは、例えば酸化シリコン膜もしくは窒化シリコン膜、または、酸化シリコン膜と窒化シリコン膜との積層膜からなる。これにより、中空の光導波路WG1を通る光が凹部CC1の側面に入射された場合に、側壁絶縁膜SWFの表面、または、側壁絶縁膜SWFと凹部CC1の側面との界面で、光を反射することができるため、中空の光導波路WG1を通ってフォトダイオードPDに到達する光の光量を増加させることができる。あるいは、側壁絶縁膜SWFが積層膜からなる場合には、層同士の界面でも、光を反射することができるため、フォトダイオードPDに到達する光の光量を増加させることができる。したがって、CMOSイメージセンサの感度を向上させることができ、半導体装置の性能を向上させることができる。
【0190】
なお、凹部CC1の底面にも、側壁絶縁膜SWFが形成されていてもよい。
【0191】
<半導体装置の製造方法>
次いで、本実施の形態2の半導体装置の製造方法について説明する。
【0192】
図42は、実施の形態2の半導体装置の製造工程の一部を示す製造プロセスフロー図である。
図43〜
図45は、実施の形態2の半導体装置の製造工程を示す断面図である。なお、
図42は、実施の形態2の半導体装置の製造工程のうち、主として画素領域1Aにおける製造工程を示す。また、
図43〜
図45の各断面図は、
図2のA−A断面または
図4のB−B断面に対応している。
【0193】
本実施の形態2では、実施の形態1と同様に、
図11のステップS11〜
図11のステップS20の工程を行って、層間絶縁膜IL1を形成する工程までの工程を行った後、
図12のステップS21と同様の工程を行って、層間絶縁膜IL1上に、配線層WL1を形成する(
図42のステップS31)。次いで、
図12のステップS22と同様の工程を行って、凹部CC1を形成する(
図42のステップS32)。
【0194】
次いで、
図43および
図44に示すように、画素領域1Aおよび周辺回路領域2Aで、凹部CC1の側面、および、層間絶縁膜IL5上に、側壁絶縁膜SWFを形成する(
図42のステップS33)。このステップS33の工程では、凹部CC1の側面、および、層間絶縁膜IL5上に、例えば酸化シリコン膜もしくは窒化シリコン膜、または、酸化シリコン膜と窒化シリコン膜との積層膜からなる側壁絶縁膜SWFをCVD法などで形成する。
【0195】
なお、凹部CC1の底面にも、側壁絶縁膜SWFが形成されてもよい。
【0196】
次いで、画素領域1Aおよび周辺回路領域2Aで、凹部CC1の外部の側壁絶縁膜SWFを除去する(
図42のステップS34)。このステップS34の工程では、画素領域1Aでは、
図45に示すように、例えば側壁絶縁膜SWFをエッチバックすることなどにより、凹部CC1の外部および凹部CC1の底面の側壁絶縁膜SWFを除去する。また、ステップS34が行われた後の、周辺回路領域2Aにおける断面構造は、
図22に示した断面構造と同一である。
【0197】
なお、凹部CC1の一部をレジスト膜で覆い、側壁絶縁膜SWFをエッチバックすることで、凹部CC1の底面にも、側壁絶縁膜SWFが残されてもよい。
【0198】
次いで、
図12のステップS23と同様の工程を行って、実施の形態1と同様に、貼り合わせ基板11Sの表面上に、透過膜TF1を形成する(
図42のステップS35)。次いで、
図12のステップS24と同様の工程を行って、実施の形態1と同様に、貼り合わせ基板11Sを貼り合わせる(
図42のステップS36)。次いで、
図12のステップS25と同様の工程を行って、実施の形態1と同様に、貼り合わせ基板11Sを除去する(
図42のステップS37)。次いで、
図12のステップS26〜ステップS28と同様の工程(
図42のステップS38〜ステップS40)を行って、
図41および
図6に示したように、本実施の形態2の半導体装置を製造することができる。
【0199】
<本実施の形態の主要な特徴と効果>
本実施の形態2の半導体装置は、例えば空間SP1が平面視においてフォトダイオードPDの中心CPと重なるように配置されているなど、実施の形態1の半導体装置の特徴と同様の特徴を有しているため、実施の形態1の半導体装置の効果と同様の効果を有する。
【0200】
それに加え、本実施の形態2の半導体装置では、凹部CC1の側面に側壁絶縁膜SWFが形成されている。これにより、中空の光導波路WG1を通る光が凹部CC1の側面に入射された場合に、側壁絶縁膜SWFの表面、または、側壁絶縁膜SWFと凹部CC1の側面との界面で、光を反射することができるため、中空の光導波路WG1を通ってフォトダイオードPDに到達する光の光量を増加させることができる。あるいは、側壁絶縁膜SWFが積層膜からなる場合には、層同士の界面でも、光を反射することができるため、フォトダイオードPDに到達する光の光量を増加させることができる。したがって、実施の形態1に比べ、CMOSイメージセンサの感度をさらに向上させることができ、半導体装置の性能をさらに向上させることができる。
【0201】
(実施の形態3)
実施の形態1では、凹部を閉塞する透過膜が形成された貼り合わせ基板を貼り合わせて透過膜を接合した後、透過膜を残した状態で貼り合わせ基板を除去することにより、凹部を閉塞する例について説明した。一方、実施の形態3では、マイクロレンズおよびカラーフィルタ層が形成された支持基板を接着することにより、凹部を閉塞する例について説明する。
【0202】
本実施の形態3の半導体装置の構成については、
図1〜
図4を用いて説明した実施の形態1の半導体装置の構成と同様であり、その説明を省略する。
【0203】
<画素領域および周辺回路の素子構造>
次いで、画素領域および周辺回路領域の素子構造を説明する。
図46および
図47は、実施の形態3の半導体装置の構成を示す断面図である。
図46は、
図2のA−A断面に対応している。
図47は、
図4のB−B断面に対応している。
【0204】
本実施の形態3における画素領域および周辺回路の素子構造については、層間絶縁膜IL5よりも上方に位置する部分を除き、
図5および
図6を用いて説明した実施の形態1の半導体装置における画素領域および周辺回路領域の素子構造と同様である。
【0205】
一方、
図46に示すように、本実施の形態3では、画素領域1Aおよび周辺回路領域2Aで、透過膜TF1(
図5および
図6参照)が形成されておらず、保護膜PF1が層間絶縁膜IL5上に直接形成されている。
【0206】
ここで、層間絶縁膜IL1〜IL5、ライナー膜LF1〜LF3および保護膜PF1、ならびに、反射防止膜ARFおよびキャップ絶縁膜CAPをまとめて絶縁膜部IF1と称する場合、半導体基板1Sの主面上、すなわち表面上に、フォトダイオードPDを覆うように、絶縁膜部IF1が形成されている。また、画素領域1Aでは、平面視において、フォトダイオードPDの中心CPと重なる部分の絶縁膜部IF1の上面に、凹部CC1が形成されている。
【0207】
周辺回路領域2Aでは、層間絶縁膜IL5およびライナー膜LF3を貫通して配線M3に達するプラグPt3が形成されている。また、周辺回路領域2Aでは、層間絶縁膜IL5上には、電極パッドEP1が形成され、この電極パッドEP1は、プラグPt3と電気的に接続されている。
【0208】
画素領域1Aでは、保護膜PF1上に、カラーフィルタ層CFが形成されている。カラーフィルタ層CFは、フォトダイオードPDに入射される入射光のうち、特定の色の光を透過させる。カラーフィルタ層CFは、保護膜PF1上に、すなわち絶縁膜部IF1上に、凹部CC1を閉塞するように形成された透過膜部である。そして、凹部CC1とカラーフィルタ層CFとにより、中空の空間SP1が形成されている。前述したように、凹部CC1は、平面視において、フォトダイオードPDの中心CPと重なる部分の絶縁膜部IF1の上面に形成されている。したがって、空間SP1は、平面視において、フォトダイオードPDの中心CPと重なるように配置されている。
【0209】
周辺回路領域2Aでは、層間絶縁膜IL5上に、電極パッドEP1を覆うように、保護膜PF1が形成されている。電極パッドEP1上の保護膜PF1には、保護膜PF1を貫通して電極パッドEP1に達する開口部OP2が形成されており、開口部OP2の底部には、電極パッドEP1が露出している。
【0210】
画素領域1Aでは、凹部CC1の上方に位置する部分のカラーフィルタ層CF上に、上面として凸曲面を有するマイクロレンズMLが形成されている。また、カラーフィルタ層CF上に、マイクロレンズMLを覆うように、透明な支持基板21Sが形成されている。
【0211】
<半導体装置の製造方法>
次いで、本実施の形態3の半導体装置の製造方法について説明する。
【0212】
図48は、実施の形態3の半導体装置の製造工程の一部を示す製造プロセスフロー図である。
図49〜
図51は、実施の形態3の半導体装置の製造工程を示す断面図である。なお、
図48は、実施の形態3の半導体装置の製造工程のうち、主として画素領域1Aにおける製造工程を示す。また、
図49〜
図51の各断面図は、
図46のA−A断面または
図47のB−B断面に対応している。
【0213】
本実施の形態3では、実施の形態1と同様に、
図11のステップS11〜
図11のステップS20の工程を行って、層間絶縁膜IL1を形成する工程までの工程を行った後、
図12のステップS21と同様の工程を行って、層間絶縁膜IL1上に、配線層WL1(
図22参照)を形成する(
図48のステップS41)。
【0214】
次いで、
図50に示すように、周辺回路領域2Aでは、層間絶縁膜IL5およびライナー膜LF3を貫通して、層間絶縁膜IL4に形成された配線M3に達するプラグPt3を形成する。また、周辺回路領域2Aでは、層間絶縁膜IL5上に、プラグPt3と電気的に接続されるように、電極パッドEP1を形成する。
【0215】
次いで、
図49および
図50に示すように、画素領域1Aおよび周辺回路領域2Aで、層間絶縁膜IL5上に、例えば酸化シリコン膜からなる保護膜PF1をCVD法などで形成する(
図48のステップS42)。また、周辺回路領域2Aでは、保護膜PF1は、層間絶縁膜IL5上に、電極パッドEP1を覆うように、形成される。
【0216】
次いで、
図51に示すように、凹部CC1を形成する(
図48のステップS43)。このステップS43の工程では、画素領域1Aで、保護膜PF1、層間絶縁膜IL1〜IL5およびライナー膜LF1〜LF3を貫通して反射防止膜ARFに達する凹部CC1を形成する。凹部CC1は、平面視において、フォトダイオードPDの中心CPと重なるように、形成される。したがって、前述したように、層間絶縁膜IL1〜IL5およびライナー膜LF1〜LF3、ならびに、反射防止膜ARFおよびキャップ絶縁膜CAPをまとめて絶縁膜部IF1と称する場合、凹部CC1は、平面視において、フォトダイオードPDの中心CPと重なる部分の絶縁膜部IF1の上面に、形成される。具体的な凹部CC1の形成工程は、
図12のステップS22と同様にすることができる。
【0217】
次いで、
図46に示したように、支持基板21Sの表面側に、マイクロレンズMLを形成する(
図48のステップS44)。
図46に示したように、まず、例えば透明なガラス基板などからなる支持基板21Sを準備し、支持基板21Sの主面側、すなわち表面側に、マイクロレンズMLを形成する。次いで、
図46に示したように、支持基板21Sの表面上に、マイクロレンズMLを覆うように、カラーフィルタ層CFを形成する(
図48のステップS45)。
【0218】
次いで、
図46に示したように、画素領域1Aで、保護膜PF1上に、表面にマイクロレンズMLおよびカラーフィルタ層CFが形成された支持基板21Sを接着する(
図48のステップS46)。
図46に示したように、支持基板21Sの表面と、半導体基板1Sの表面とが対向し、かつ、マイクロレンズMLと凹部CC1とが対向した状態で、半導体基板1S上に支持基板21Sを接着する。これにより、支持基板21Sの表面上に、マイクロレンズMLを覆うように形成されたカラーフィルタ層CFと、半導体基板1Sの表面上に形成された保護膜PF1とを接着する。すなわち、支持基板21Sの表面上に、マイクロレンズMLを覆うように形成されたカラーフィルタ層CFと、半導体基板1Sの表面上に形成された絶縁膜部IF1とを接着する。
【0219】
このとき、透過膜部としてのカラーフィルタ層CFが、層間絶縁膜IL5上に、凹部CC1を閉塞するように形成される。すなわちフォトダイオードPDに入射される入射光を透過させる透過膜部としてのカラーフィルタ層CFが、絶縁膜部IF1上に、凹部CC1を閉塞するように形成される。そして、凹部CC1とカラーフィルタ層CFとにより空間SP1が形成される。前述したように、凹部CC1は、平面視において、フォトダイオードPDの中心CPと重なる部分の絶縁膜部IF1の上面に形成されている。したがって、空間SP1は、平面視において、フォトダイオードPDの中心CPと重なるように配置される。
【0220】
また、絶縁膜部IF1上にカラーフィルタ層CFからなる透過膜部が形成され、凹部CC1の上方に位置する部分のカラーフィルタ層CF上に、マイクロレンズMLが形成される。
【0221】
なお、半導体基板1Sの表面上にカラーフィルタ層CFおよびマイクロレンズMLを残した状態で、実施の形態1と同様に、半導体基板1Sに接着された支持基板21Sを除去してもよい。
【0222】
一方、支持基板21Sとして、半導体基板1Sに接着されたときに、平面視において周辺回路領域2Aに位置する部分には、例えば開口部などが形成されている。したがって、周辺回路領域2Aでは、保護膜PF1の開口部OP2の底部に露出した電極パッドEP1上、および、保護膜PF1上には、支持基板21Sは接着されない。このようにして、
図46および
図47に示したように、本実施の形態3の半導体装置を製造することができる。
【0223】
<本実施の形態の主要な特徴と効果>
本実施の形態3の半導体装置は、例えば空間SP1が平面視においてフォトダイオードPDの中心CPと重なるように配置されているなど、実施の形態1の半導体装置の特徴と同様の特徴を有しているため、実施の形態1の半導体装置の効果と同様の効果を有する。
【0224】
それに加え、本実施の形態3の半導体装置では、マイクロレンズMLおよびカラーフィルタ層CFが形成された支持基板21Sを接着することにより、凹部CC1を閉塞する。これにより、凹部CC1を閉塞する際に、凹部CC1が支持基板21Sにより閉塞された状態を維持することができるので、製造途中において凹部CC1が透過膜TF1のみにより閉塞された状態を有する実施の形態1に比べ、凹部CC1を容易に閉塞することができる。
【0225】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。