(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1羽板(101)における前記大気圧側羽板(101B)の前記冷却風取入口(63)と当接しない部位に切欠き部(101C)を形成することで、前記第1羽板(101)における前記負圧側羽板(101A)の面積を前記第1羽板(101)における前記大気圧側羽板(101B)の面積よりも大きく形成し、前記切欠き部(101C)に重合する重合部(103A)が、前記第2羽板(102)又は前記第3羽板(103)のいずれか一方に形成されることを特徴とする請求項2に記載の強制空冷式内燃機関。
前記ファンカバー(61)に、前記第1羽板(101)、前記第2羽板(102)、前記第3羽板(103)を車幅方向外側から覆うルーバー部材(64)が取付けられ、当該ルーバー部材(64)には、前記第1羽板(101)が全開のときに前記第1羽板(101)における前記大気圧側羽板(101B)が当接する当接部(64C4)が形成され、前記切欠き部(101C)は、前記当接部(64C4)の形成箇所を避けて形成されることを特徴とする請求項3に記載の強制空冷式内燃機関。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態に係る自動二輪車について図面を参照して説明する。なお、説明中、前後左右および上下といった方向の記載は、特に記載がなければ車体に対する方向と同一とする。また、各図に示す符号FRは車体前方を示し、符号UPは車体上方を示し、符号LEは車体左方を示している。
図1は、自動二輪車1の右側面図である。
この自動二輪車1は、ユニットスイング式内燃機関のパワーユニット20を搭載し、乗員がシート3(乗員用シート)に跨って着座する鞍乗り型のスクータ型小型車両である。
この自動二輪車1の車体フレームFは、後上がりに傾斜する筒状のヘッドパイプ11と、該ヘッドパイプ11から後下がりに延びるダウンチューブ12と、ダウンチューブ12の後部にクロスメンバ13を介して連結される左右一対のメインパイプ14とを備える。ヘッドパイプ11は、前輪15を軸支するフロントフォーク16ならびに該フロントフォーク16に連結される操向ハンドル17を操向可能に支持する。ダウンチューブ12は、下方に延びた後に屈曲して後方に水平に延び、シート3前方に、左右に開放する足置き空間4を形成する。
【0018】
ダウンチューブ12とメインパイプ14との結合部位には、パワーユニット支持用のブラケット18が設けられ、このブラケット18には、リンク部材19が連結され、このリンク部材19を介してパワーユニット20が支持される。
パワーユニット20の後部には後輪軸21が設けられ、この後輪軸21に後輪22(駆動輪)が軸支される、また、パワーユニット20の後部とメインパイプ14との間にはリヤクッション23が装着され、このリヤクッション23によりパワーユニット20及び後輪22が懸架される。このパワーユニット20上方、且つ、左右一対のメインパイプ14間には、ヘルメットなどの荷物を収容する収容部25や燃料タンク26等が前後に間隔を空けて支持される。
【0019】
車体フレームFは、該車体フレームFと協働して車体を構成する合成樹脂製の車体カバー31で覆われる。この車体カバー31は、ヘッドパイプ11を前方から覆うフロントカバー32と、乗員(運転者)の足の前方を覆うようにフロントカバー32に連なるレッグシールド33と、レッグシールド33の下部から後方に延びるステップフロア34と、フロアステップ34に連なって車体左右を覆う左右一対のサイドカバー35とを備える。
サイドカバー35上には、前後に延びて2人乗車可能なシート3が設けられ、このシート3によって収容部25と燃料タンク26とが上方から覆われる。
【0020】
図2は、パワーユニット20を周辺構成とともに示した右側面図である。
パワーユニット20は、内燃機関Eと、内燃機関Eおよび後輪22(
図1参照)のそれぞれの間に設けられるVベルト式変速機(無段変速機)(不図示)とを備える。内燃機関Eは、クランクケース41からシリンダブロック42、シリンダヘッド43及びシリンダヘッドカバー44が水平に近い状態にまで前傾するように設けられた水平エンジンに形成されている。このクランクケース41からシリンダヘッドカバー44に至る部分が内燃機関Eの機関本体45を構成する。
クランクケース41の下部には、前方に突出するブラケット46が設けられ、このブラケット46がリンク部材19を介して車体フレームF(
図1参照)に連結される。このリンク部材19を介してパワーユニット20が上下に揺動自在に支持される。
【0021】
シリンダヘッド43の上面には、吸気管49を介してスロットルボディ50が連結され、このスロットルボディ50の上流側にエアクリーナ51(
図1参照)が連結される。
シリンダヘッド43の下面には排気管55が接続され、この排気管55は、パワーユニット20下方を後方に延びて、内燃機関Eの後部に支持ブラケット56を介して支持された排気マフラー57(消音装置とも言う)に連結される。
この場合、排気管55は、シリンダヘッド43から下方へ延びるとともに車体側方(右側)へ屈曲して後方に延び、車体右側に配置された排気マフラー57に連結されるため、クランクケース41の右側方に連結された後述するファンカバー61の下方を通るように配索される。排気マフラー57は、内燃機関Eの後方、後輪22の側方(右側方)、且つ、サイドカバー35(
図1参照)の下方に配置され、パワーユニット20と一体に上下に揺動する。
パワーユニット20は、クランクケース41の右側面にファンカバー61を備えている。ファンカバー61は、クランクケース41内に配置された冷却ファン62(
図5参照)の冷却風取入口63を形成するカバーであり、この冷却風取入口63はルーバー部材64によって覆われる。
【0022】
図3は、パワーユニット20の要部を示した右側面図である。
図4は、
図3からルーバー部材64を取外した状態を示した右側面図である。
図5は、
図3のV−V線断面を周辺構成と共に示した断面図である。
図3〜
図5を参照しながら、冷却ファン62をその周辺構造と共に説明する。
クランクケース41内には、車幅方向に延びるクランク軸71(
図5参照)が複数の軸受72(
図5参照)を介して回転自在に支持されており、内燃機関Eの4サイクル運転によりクランク軸71が回転駆動される。このクランク軸71は、クランクケース41内を左右に延び、左側軸部にVベルト式無段変速機の駆動プーリ(不図示)が設けられ、Vベルト式無段変速機を介して所定の変速比で後輪軸21(
図1参照)が回転駆動される。
【0023】
クランク軸71の右側軸部は、クランクケース41の円筒部41Aを貫通して車幅方向右側に突出する。クランク軸71の右側軸部には、車幅方向内側から順に、発電機74及び遠心式の冷却ファン62が固定される。
発電機74のアウターロータ74Aは、車幅方向内側に開放する円形椀状に形成され、その内側には、クランクケース41の円筒部41Aに固定されたインナーステータ74Bが配置される。このため、クランク軸71の回転によりアウターロータ74Aとインナーステータ74Bとの間で電磁誘導作用が生じ、発電電力が得られる。また、冷却ファン62がクランク軸71と一体に回転するので、ファンカバー61に設けられた冷却風取入口63から外気を吸い込むことができる。
ファンカバー61内に取込まれた外気は、
図2に示したパワーユニット20のシリンダブロック42、シリンダヘッド43を冷却した後に不図示の冷却風排出口から外に排出される。これによってパワーユニット20を強制的に空冷することができる。なお、
図5に示した冷却ファン62を含む空冷構造は、公知の構造を広く適用可能である。
【0024】
次に、ファンカバー61及びルーバー部材64について説明する。
図4及び
図5に示すように、ファンカバー61は、車幅方向内側に開放して冷却ファン62を覆う略円形の椀状カバーに形成され、樹脂材料を用いて一体成形により製作されている。なお、樹脂材料以外の材料を用いて製作しても良い。
このファンカバー61は、冷却ファン62の外周を覆う外周覆い部61Aと、外周覆い部61Aの車幅方向外側にて縮径する縮径部61Bと、縮径部61Bから車幅方向外側に延出する筒部61Cとを一体に備えている。
筒部61Cは、冷却ファン62の車幅方向外側に冷却風取入口63を形成する部材であり、クランク軸線L1を中心とする真円断面の円筒形状に形成される。つまり、本構成の冷却風取入口63は真円の円形開口に形成されている。
【0025】
図4に示すように、ファンカバー61の外周覆い部61Aには、上方1カ所、及び、後方1カ所にボルト締結部61D,61Fが設けられ、これらボルト締結部61D,61Fが、締結ボルト81(
図2〜
図4参照)によってクランクケース41の右側面に固定される。尚、
図4中の符号61E、61E'は、締結ボルト81にて、ファンカバー61の前方に連設される前部カバー61'(
図2参照)に固定される部位である。
このファンカバー61は、クランクケース41に固定された状態で筒部61Cの後方に連なるとともに外周覆い部61A及び縮径部61Bから車幅方向外側に突出する右側面視で矩形断面の枠部61G(収容部)を一体に備えている。
【0026】
この枠部61Gは、前後方向に比して上下方向に長い縦長の枠形状に形成されており、後述する複数の回転軸(第1回転軸111,第2回転軸112、第3回転軸113)の後端部を収容するとともに、これら回転軸111〜113を回転駆動させる動力伝達機構105を収容する。この枠部61Gは、大別すると、冷却風取入口63の後方にて動力伝達機構105を収容する第1収容部61GAと、この第1収容部61GAの下方で、後述するアクチュエータ104等を囲って収容する第2収容部61GBとを一体に備えている。
【0027】
なお、この第1収容部61GA内のエリアには、ファンカバー61をクランクケース41に取付けるためのボルト締結部61Fが設けられており、このボルト締結部61Fに締結される締結ボルト81も、この第1収容部61GA内に配置される。これによって、外部に露出する締結ボルト81を減らすことができる。
また、この枠部61Gの車幅方向内側は、上記ボルト締結部61Fを一体に備える内壁61GCが設けられ、この内壁61GCによって、枠部61Gの車幅方向内側の開口は閉塞される。この構成により、車幅方向内側から枠部61G内への雨水等の浸入を防止できるとともに、ファンカバー61自体の剛性を高めることができる。
【0028】
図5に示すように、ルーバー部材64は、ファンカバー61の冷却風取入口63を車幅方向外側から隙間を空けて覆う保護部材であり、樹脂材料を用いて一体成形により製作される。なお、樹脂材料以外の材料を用いて製作しても良い。
このルーバー部材64は、
図3に示すように、ファンカバー61の筒部61Cに連なる円筒枠形状を有するルーバー本体部64Aと、ファンカバー61に設けられた枠部61Gの車幅方向外側の開口を覆うカバー部64Bとを一体に備えている。ルーバー本体部64Aは、ルーバー本体部64Aの開口内で互いに直交する固定ルーバー(横ルーバー64C及び縦ルーバー64D)を一体に備え、外気を取入れ可能にしつつ内部の冷却ファン62等を保護する。
また、
図3に示すように、ルーバー部材64には、ルーバー本体部64Aの周方向に間隔を空けて複数(本例では3個)のボルト締結部64Eが設けられ、これらボルト締結部64Eが、締結ボルト82を介してファンカバー61の右側面に固定されるように構成されている。
【0029】
図4及び
図5に示すように、本構成の自動二輪車1(
図1参照)は、ファンカバー61の冷却風取入口63を開閉自在にする可動ルーバー機構100を備えている。この可動ルーバー機構100は、冷却風取入口63を開閉するための複数の羽板(第1羽板101,第2羽板102,第3羽板103)と、これら羽板101〜103の駆動源となるアクチュエータ104と、アクチュエータ104と羽板101〜103との間の動力伝達を行う動力伝達機構105とを備えている。なお、
図3〜
図5は、羽板101〜103によって冷却風取入口63を閉じた状態を示している。以下、可動ルーバー機構100を周辺構成と共に詳述する。
【0030】
図4に示すように、ファンカバー61には、冷却風取入口63を横断する第1〜第3回転軸111〜113が間隔を空けて設けられ、これら回転軸111〜113に第1〜第3羽板101〜103がそれぞれ一体に形成されている。以下、第1回転軸111に設けられた羽板を第1羽板101と言い、第2回転軸112に設けられた羽板を第2羽板102と言い、第3回転軸113に設けられた羽板を第3羽板103と言う。
【0031】
第1〜第3回転軸111〜113は、上下に間隔を空けて互いに平行に配置される。より具体的には、第1回転軸111は、冷却風取入口63の円中心C1を通る回転軸となるように配置される。また、第2回転軸112は、第1回転軸111と平行で円中心C1から一方側(下方側)へオフセットした回転軸となるように配置される。また、第3回転軸113は、第1回転軸111と平行で円中心C1から他方側(上方側)へオフセットした回転軸となるように配置される。なお、第2及び第3回転軸112,113は、第1回転軸111を基準にして上下対称位置に配置されている。
【0032】
第1〜第3回転軸111〜113は、冷却風取入口63を跨いで前後に設けられた凹溝61P,61P,61Q,61Q,61R,61Rに挿入されることで支持され、凹溝61P,61P,61Q,61Q,61R,61Rのそれぞれの開口側(手前側)にルーバー部材64が装着されることによって、凹溝61P,61P,61Q,61Q,61R,61Rからの脱落が防止される。つまり、第1〜第3回転軸111〜113はファンカバー61とルーバー部材64との間に回転自在に挟持される。
これら回転軸111〜113は、上下に間隔を空けて前後方向に指向している。なお、
図4の状態は、乗員が乗車していないため、回転軸111〜113の軸線が前上がりとなっているが、乗員が乗車し、乗員の体重の影響によりパワーユニット20が右側面視で時計回り方向に揺動した場合に、各回転軸111〜113の軸線が前後方向、且つ、水平方向に指向するように配置されている。
【0033】
ここで、
図3に示すように、ルーバー部材64の横ルーバー64Cは、第1〜第3回転軸111〜113と同方向に指向しており、より具体的には、第1〜第3回転軸111〜113に車体側面視で重なる軸上ルーバー64C1〜64C3と、これら軸上ルーバー64C1〜64C3間に配置される上下一対の軸間ルーバー64C4,64C5とを備えている。軸間ルーバー64C4は、前後に一対設けられる。
これら軸上ルーバー64C1〜64C3により、第1〜第3回転軸111〜113を外部の飛散物から保護するとともに、第1〜第3回転軸111〜113の車幅方向外側へのずれ等を抑制することができる。
軸間ルーバー64C4,64C5は、冷却風取入口63を外部の飛散物から保護するとともに、第1及び第3羽板101,103が全開したときに第1及び第3羽板101,103が当接する位置に設けられ、第1及び第3羽板101,103の全開位置を位置決めする当接部としても機能している。
【0034】
図4に示すように、第1羽板101は、第1回転軸111の上下(第1回転軸111に直交する両側)に一対の羽部101A,101Bを有している。
一方の羽部101Aは、第1回転軸111と第2回転軸112との間の冷却風取入口63の開口形状に相当する板形状に形成されている。また、他方の羽部101Bは、第1回転軸111を基準にした羽部101Aと軸対照な形状に対して、切欠き部101Cが形成されている。即ち、羽部101Bは、第1回転軸111と第3回転軸113との間の冷却風取入口63の開口形状に相当する板形状に対して、切欠き部101Cで切り欠かれた形状に形成されている。
【0035】
第2羽板102は、第2回転軸112を基準として第1羽板101が配置される側と反対側(下方)のみに形成された羽部102Aからなる。羽部102Aは、より具体的には、第2回転軸112と冷却風取入口63の外縁との間にできる下方凸の開口形状に相当する板形状に形成されている。
また、第3羽板103は、第3回転軸113を基準として第1羽板101が配置される側と反対側(上方)に形成された羽部103Bと、第3回転軸113を基準として第1羽板101が配置される側に形成されて第1羽板101の切欠き部101Cの縁部に重なる羽部103Aとを有している。より具体的には、羽部103Bは、第3回転軸113と冷却風取入口63の外縁との間にできる上方凸の開口形状に相当する板形状に形成され、羽部103Aは、切欠き部101Cを塞ぐ形状に形成されている。
【0036】
図6は、
図5の第1〜第3羽板101〜103を第1〜第3回転軸111〜113の直交方向に切断した断面を周辺構成と共に示した断面図である。なお、図中に示した黒丸は、第1〜第3回転軸111〜113のそれぞれの軸線111C,112C,113Cを示している。
図6に示すように、第2及び第3回転軸112,113には、冷却風取入口63を閉じた状態のときに、第1羽板101の羽部101A,101Bの先端が重合して当接する凹溝部112M,113Mが設けられている。
図6において詳述すると、第2回転軸112の凹溝部112Mは、車幅方向外側かつ下方に凹んだ凹溝に形成され、第1羽板101の羽部101Aの下端が、冷却風取入口63を閉じる向きである車幅方向外側に向かって回動した際に当接し、第1羽板101を閉じた状態に位置決めする。この凹溝部112Mは、
図4に示すように、第2回転軸112における冷却風取入口63の範囲全体に渡って形成されており、この凹溝部112Mに第1羽板101の羽部101Aが当接した状態にすることにより、第2回転軸112と第1羽板101との間の隙間全体を閉塞することができる。
【0037】
図4及び
図6に示すように、第3回転軸113の凹溝部113Mは、車幅方向内側かつ上方に凹んだ凹溝に形成され、第1羽板101の切欠き部101Cを除く上端の二カ所が、冷却風取入口63を閉じる向きである車幅方向内側に向かって回動した際に当接し、第1羽板101を閉じた状態に位置決めする。
凹溝部113Mは、
図4に示すように、羽部103Aの両側の第3回転軸113上に二カ所形成され、羽部101Bの先端の二カ所が当接することにより、第3回転軸113と第1羽板101との間の隙間全体を閉塞することができる。
以上により、第1羽板101は、第2及び第3回転軸112,113の凹溝部112M,113Mによって閉じた状態に位置決めされる。
【0038】
同
図6に示すように、上述した羽部101Aの下端は、軸線111Cに対して、車幅方向内側にオフセットして形成される。このため、この下端が当接する凹溝部(第2回転軸112の凹溝部112M)の車幅方向外側への深さをオフセットの分だけ浅くすることができ、第2回転軸112の剛性を確保し易くなる。
また、上述した羽部101Bの上端は、軸線111Cに対して、車幅方向外側にオフセットして形成されるので、この上端が当接する凹溝部(第3回転軸113の凹溝部113M)の車幅方向内側への深さをオフセットの分だけ浅くすることができ、第3回転軸113の剛性も確保し易くなる。
【0039】
ファンカバー61の筒部61Cには、冷却風取入口63を閉じた状態のときに、第2及び第3羽板102,103の先端が重合して当接する上下一対の凸部61M,61Nが設けられる。
下方の凸部61Mは、第2羽板102の羽部102Aの下端が車幅方向外側に向かって回動した際に当接する段差形状に形成され、冷却風取入口63と羽部102Aの下端との間の全体に渡って形成され、羽部102Aと冷却風取入口63との間の隙間全体を閉塞する。なお、羽部102Aの下端についても、軸線112Cに対して、閉じる場合の回動方向と反対側にオフセットして形成される。
【0040】
上方の凸部61Nは、第3羽板103の羽部103Bの上端が車幅方向内側に向かって回動した際に当接する段差形状に形成され、冷却風取入口63と羽部103Bの上端との間の全体に渡って形成され、羽部103Bと冷却風取入口63との間の隙間全体を閉塞することができる。なお、羽部103Bの上端についても、軸線113Cに対して、閉じる場合の回動方向と反対側にオフセットして形成される。
また、筒部61Cには、第1羽板101の前後の縁部が重合して当接する凸部(不図示)が設けられ、第1羽板101と冷却風取入口63との間の隙間全体を閉塞している。この凸部については、
図12にて詳述する。
上記の閉塞構造により、第1〜第3羽板101〜103によって冷却風取入口63を隙間無く閉塞することができる。このように冷却風取入口63を閉塞することにより、冷却ファン62が回転した場合に、クランクケース41内を大気圧よりも低い状態(真空状態)に近付けることができ、空気抵抗を減らすことができる。これによって、クランク軸71の回転フリクションを低減することができ、燃費向上に有利となる。
【0041】
図7は、
図5の第1〜第3羽板101〜103が開いた状態を示した断面図である。
図8は、第1羽板101が開いた状態を周辺構成と共に下方から見た断面図である。
図9は、第3羽板103が開いた状態を周辺構成と共に下方から見た断面図である。
図7に示すように、第1〜第3羽板101〜103は、後述する連結部材125によって、いずれも同方向(車体後面視で時計回り方向)に回動して開く。
図7では、第1及び第3羽板101,103は時計回り方向に回動しており、第1羽板101の上側の羽部101B及び第3羽板103の羽部103Bの先端が、車幅方向外側に向かって回動し、ルーバー部材64に予め設けた軸間ルーバー64C4,64C5(当接部)に当接する位置まで開く。
【0042】
この当接位置は、冷却風取入口63を十分に開口させるとともに、各羽板101〜103を車幅方向外側に向かって斜め下方に開く位置に設定されている。
つまり、
図6に示すように、軸間ルーバー64C4は第1回転軸111よりも下方に設けられ、軸間ルーバー64C5は第3回転軸113よりも下方に設けられている。このため、第1及び第3羽板101,103が軸間ルーバー64C4,64C5に当接する位置まで開くと、第1及び第3羽板101,103は外側下向きに傾斜した状態となる。
これによって、ファンカバー61内に冷却風を十分に取り入れ可能にするとともに、雨水等が各羽板101〜103にかかっても各羽板101〜103の傾斜に沿わせて外に排出させることができ、ファンカバー61内への浸入を抑制することができる。
【0043】
図8及び
図9に示すように、軸間ルーバー64C4,64C5は、他のルーバー(軸上ルーバー64C1〜64C3(
図3参照)及び縦ルーバー64D(
図3参照)よりも車幅方向内側に突出することで、第1及び第3羽板101,103が開いた際に、第1及び第3羽板101,103の車幅方向に最も突出する先端だけが当接する。これによって、第1及び第3羽板101,103の全開位置を規制しつつ軸間ルーバー64C4,64C5を小型に設けることができ、また、軸間ルーバー64C4,64C5をルーバー部材64に一体成形により容易に設けることができる。
【0044】
図7に示すように、第2羽板102は、第1及び第3羽板101,103と同方向に回動することにより、第2羽板102の羽部102Aの先端が、車幅方向内側に向かって回動する。これにより、冷却風取入口63を開口させつつ、最も下方にある第2羽板102を、車幅方向外側に張り出さないように開閉することができる。
これにより、第2羽板102の車幅方向外側を覆うルーバー部材64については、第2回転軸112側(車幅方向内側)に寄せて配置することが可能になる。本実施形態では、ルーバー部材64の下部を第2羽板102に寄せるように傾斜部64Xを形成し、左右への車体バンク角をより稼ぐ形状にすることが可能である。
図4、
図5及び
図7において、第1羽板101の羽部101A、第2羽板102の羽部102A及び第3羽板103の羽部103Aは、車幅方向内側に向かって回動する。第1及び第3羽板101,103が閉じた状態で、アクチュエータ104と動力伝達機構105とが非連結状態となった場合は、クランク軸71の所定回転数以上の回転に伴い、冷却ファン62が回転すると、ファンカバー61内に発生する負圧によって羽部101A,102A,103Aが回動するため、羽部101A,102A,103Aを負圧側羽板とする。
また、第1羽板101の羽部101B及び第3羽板103の羽部103Bは、車幅方向外側に向かって回動する。ここでは、羽部101B,103Bを大気圧側羽板とする。
【0045】
第1羽板101において、羽部101Aの面積は、羽部101Bの面積よりも切欠き部101Cが無い分大きい。即ち、第1羽板101では、負圧側羽板の面積が大気圧側羽板の面積よりも大きい。また、第3羽板103において、羽部103Aの面積は、羽部103Bの面積よりも小さい。即ち、第3羽板103では、負圧側羽板の面積が大気圧側羽板の面積よりも小さい。第2羽板102は、負圧側羽板である羽部102Aのみを備え、大気圧側羽板を備えていない。従って、大気圧側羽板の面積はゼロであるから、第2羽板102では、負圧側羽板の面積が大気圧側羽板の面積よりも大きいと言える。
また、第2羽板102の羽部102Aと第3羽板103の羽部103Bとは、面積が等しい。
このように、第1〜第3羽板101〜103のうち、過半数の第1羽板101、第2羽板102で、負圧側羽板の面積が大気圧側羽板の面積よりも大きくなっている。
換言すれば、負圧側羽板(羽部101A,102A,103A)の総面積は、大気圧側羽板(羽部101B,103B)の総面積よりも大きい。
なお、第1〜第3回転軸111〜113を含む第1〜第3羽板101〜103は、樹脂材料を用いて一体成形により製作されているが、回転軸111〜113と羽板101〜103とを別体に製作しても良い。また、樹脂材料以外の材料を用いて製作しても良い。
【0046】
次いで第1〜第3羽板101〜103を回動するための動力伝達機構105、及び、アクチュエータ104について説明する。
図10は、動力伝達機構105をアクチュエータ104と共に示した斜視図である。
第1〜第3回転軸111〜113の一端(後端)には、環状の回動リンク部材121,122,123がそれぞれ回動自在に装着され、これら回動リンク部材121〜123は、単一の連結部材125を介して互いに連動して回動するように連結される。
詳述すると、これら回動リンク部材121〜123は、車幅方向内側に延びる腕部121A〜123Aを有し、これら腕部121A〜123Aが、棒状の連結部材125に回動自在に連結される。
【0047】
この連結部材125は、第1〜第3回転軸111〜113の配列方向に沿って下方に延びる単一の棒状部材であり、回動リンク部材121〜123を連動して回動させる。
つまり、連結部材125が上方へ移動すると、回動リンク部材121〜123が、矢印Aで示す方向に同じ回転角度だけ回動させる。
一方、連結部材125が下方へ移動すると、回動リンク部材121〜123が、矢印Aとは反対方向に同じ回転角度だけ回動させる。
【0048】
上記したように、連結部材125は、回動リンク部材121〜123から車幅方向内側に延びる腕部121A〜123Aに連結されるため、
図5及び
図7に示すように、連結部材125を第1〜第3回転軸111〜113よりも車幅方向内側に配置することができる。これによって、連結部材125が車幅方向外側に張り出さず、また、第1〜第3羽板101〜103を開閉させても、連結部材125がほぼ上下方向に移動するだけなので、連結部材125が車幅方向外側に張り出さない。従って、連結部材125による車幅方向外側への張り出し量を抑えることができ、車体バンク角を稼ぎやすくなる。
【0049】
同
図10に示すように、回動リンク部材121の近傍の連結部材125には、車幅方向内側に突出する連結用突出部125Aが一体成形され、この連結用突出部125Aに、アクチュエータ104の動力を、増幅リンク126を介して連結部材125に伝達するリンク部材127が揺動可能に連結されている。
このリンク部材127は、上記連結部材125と同様に、第1〜第3回転軸111〜113よりも車幅方向内側を上下方向に延びる棒状に部材に形成され、且つ、一端(上端)が連結部材125の連結用突出部125Aに回動自在に連結され、他端(下端)が増幅リンク126の一端に連結される。
【0050】
増幅リンク126は、ファンカバー61に設けられた支軸61J(
図4参照)に回動自在に設けられ、
図10に示すように、所定の角度(本構成では約90度)を空けて支軸61Jから径方向外側に突出する一対の腕部126A,126Bと、腕部126Bから一体に上方斜め外側方に突出する摘み部126Dを有している。増幅リンク126に摘み部126Dを設けることで、組立の際に摘み部126Dを指で把持することができ、作業性を向上させることができる。なお、
図10中、符号L2は、支軸61Jの軸線を示している。
一方の腕部126Aは、アクチュエータ104の可動部として機能するシリンダロッド104A(出力ロッド)の先端部104Bが摺動自在に嵌る凹形状のフォーク部(以下、フォーク部と言う)に形成され、先端部104Bを容易に挿脱可能である。他方の腕部126Bは、支軸61Jと平行なピン軸126Cを一体に備え、このピン軸126Cを介してリンク部材127の下端に設けられた孔部127Aに容易に嵌合可能である。
【0051】
以上のリンク構造により、アクチュエータ104のシリンダロッド104Aの先端部104Bが移動すると、この移動量に応じた回転角度だけ増幅リンク126が軸線L2を基準に第1リンクとして回動し、この回動に応じてリンク部材127が作動して連結部材125を介して回動リンク部材121,122,123を、第1回転軸111、第2回転軸112、第3回転軸113周りにそれぞれ回動させ、第1羽板101、第2羽板102及び第3羽板103を回動させる。
即ち、アクチュエータ104の駆動力は、増幅リンク126、リンク部材127、連結部材125及び回動リンク部材121,122,123を介して第1回転軸111、第2回転軸112及び第3回転軸113に順に伝達され、第1羽板101、第2羽板102及び第3羽板103が開閉される。
【0052】
上記した動力伝達機構105は、増幅リンク126(第1リンク部材)、リンク部材127(第2リンク部材)、連結部材125(第3リンク部材)及び回動リンク部材121,122,123(第4リンク部材)から構成されるリンク機構である。
アクチュエータ104のシリンダロッド104Aが、矢印Bの向きに伸びると、第1羽板101、第2羽板102及び第3羽板103は、矢印Cの向きに回動して開く。また、シリンダロッド104Aが伸びた状態から矢印Bとは反対の向きに縮むと、第1羽板101、第2羽板102及び第3羽板103は、矢印Cとは反対の向きに回動して閉じる。
【0053】
本構成では、
図5に示したように、シリンダロッド104Aが伸びてその先端部104Bが、図中に実線で示す縮み側位置(初期位置に相当)から二点鎖線で示す伸び側位置(作動位置に相当)に移動することにより、増幅リンク126が反時計回りに角度θAだけ回動し、それに伴いピン軸126Cが角度θCだけ回動し、全ての回動リンク部材121〜123が角度θBだけ回動する。
ここで、
図5、
図10に示すように、増幅リンク126は、回動支点(支軸61Jの軸線L2)からピン軸126Cまでの距離が、例えば、回動リンク部材123における回転中心(第3回転軸113の回転中心)から腕部123Aが連結部材125に連結される部位の中心123A’までの距離よりも長くなるように形成されている。なお、回動リンク部材121、122についても、回動リンク部材123と同一に形成されている。このため、増幅リンク126の回動角度θCよりも、回動リンク部材121〜123の回動角度θBを大きくすることができる。
これにより、アクチュエータ104のシリンダロッド104Aの伸縮量を抑えてアクチュエータ104を小型化しながら、回動リンク部材121〜123の回動角度θBを大きく確保できるように構成されている。
【0054】
図10に示すように、回動リンク部材121〜123と第1〜第3羽板101〜103との間には、第1〜第3羽板101〜103を
図7に示す全開位置、及び、
図5に示す全閉位置に止めた状態で付勢するように、回動リンク部材121〜123を余計に回動させた時のオーバーストローク分を吸収するオーバーストローク吸収機構130が設けられている。
詳述すると、
図10に示すように、回動リンク部材121〜123からは径方向外側に突出して前方に屈曲する係止部121K,122K,123Kが設けられ、第1〜第3回転軸111〜113からも径方向外側に突出して後方に屈曲する係止部111K,112K,113Kが設けられ、上記係止部121K〜123Kと径方向に重なる。
【0055】
第1〜第3回転軸111〜113には、ねじりコイルばね131(付勢部材)がそれぞれ嵌合され、これらねじりコイルばね131の両端部によって、係止部111Kと係止部121K、係止部112Kと係止部122K、係止部113Kと係止部123Kがそれぞれ回動方向両側から挟持される。
上記した係止部111K、係止部121K、ねじりコイルばね131の組合わせ、係止部112K、係止部122K、ねじりコイルばね131の組合わせ、係止部113K、係止部123K、ねじりコイルばね131の組合わせは、それぞれオーバーストローク吸収機構130を構成する。
【0056】
上記オーバーストローク吸収機構130によって、回動リンク部材121〜123が回動すると、ねじりコイルばね131を介して第1〜第3回転軸111〜113が回動し、第1〜第3羽板101〜103が回動する。そして、羽板101〜103が軸間ルーバー64C4,64C5(当接部)に当接してそれ以上回転しなくなると、回動リンク部材121〜123が、ねじりコイルばね131の両端部の距離を広げながらねじりコイルばね131の弾性力に抗して空回りし、回動リンク部材121〜123、及び、第1〜第3羽板101〜103に過大な負荷が加わるのを防止するとともに、第1〜第3羽板101〜103に軸間ルーバー64C4,64C5に対する適度の押圧力を付与する。また、第1羽板101、第2羽板102及び第3羽板103を閉じる際にも、同じように、過負荷を防止するとともに適度の閉じ力を付与する。
つまり、本構成では、増幅リンク126を設けることによってアクチュエータ104のストローク量を抑えつつ第1〜第3羽板101〜103の回動量を稼ぎ、且つ、オーバーストローク吸収機構130を設けることによって第1〜第3羽板101〜103の過度な回動を防止し、過大な負荷が作用することを防止するとともに、ねじりコイルばね131の弾性力により第1〜第3羽板101〜103を、がたつきなく確実に開閉するようにしている。
【0057】
なお、
図10に示す動力伝達機構105を構成する各部品(増幅リンク126,リンク部材127,連結部材125,回動リンク部材121〜123)は、
図4に示すように、ファンカバー61に一体に設けられた枠部61G内に収容される。このため、この枠部61Gによって周囲の飛散物から十分に保護することができる。また、枠部61Gの車幅方向の開口は、ルーバー部材64によって覆われるので、ルーバー部材64によっても動力伝達機構105を構成する各部品を保護することが可能である。
【0058】
図5において、本構成のアクチュエータ104は、温度に応じて作動する感温式のサーモアクチュエータが適用される。より具体的には、このアクチュエータ104には、感温部104Cの温度上昇により膨張するワックスを収容し、ワックスの膨張・収縮により移動するピストンと一体にシリンダロッド104A(出力ロッドとも称する)が進退する感温ワックスシリンダが用いられる。
このアクチュエータ104は、ステー部材85(
図3も参照)を一体に備え、このステー部材85を介して締結ボルト86によりクランクケース41の下部に取付けられ、クランクケース41下部のオイルパン41P(オイルパン部)に貯留されるオイルの温度に応じてシリンダロッド104Aを車幅方向に進退させる。アクチュエータ104は、冷却ファン62の下方に配置され、その出力軸を構成するシリンダロッド104Aの軸線L3が、クランク軸71のクランク軸線L1と平行に配置される。また、アクチュエータ104の周囲(上下及び前後)はファンカバー61の第2収容部61GBによって囲われている。
【0059】
これによって、冷却ファン62に影響されずにアクチュエータ104を車幅方向内側に寄せて配置でき、上記連結部材125やリンク部材127よりも車幅方向内側に寄せて配置することができる。このように、連結部材125やリンク部材127よりも更に下方に配置されるアクチュエータ104を車幅方向内側に寄せて配置するので、車体バンク角を確保し易くなる。
【0060】
また、本構成では、
図5及び
図7に示すように、アクチュエータ104の下方に排気管55が配索されているため、排気管55とアクチュエータ104とを熱的に遮断することが望まれる。同
図5及び
図7に示すように、本構成では、アクチュエータ104の周囲をファンカバー61で囲っているので、アクチュエータ104を外部の飛散物から保護できるとともに、アクチュエータ104への排気管55の熱影響を回避し易くなる。従って、クランクケース41内の油温に合わせてアクチュエータ104を適正に作動させることができる。
また、ファンカバー61の車幅方向外側の開口はルーバー部材64によって覆われるので、このルーバー部材64によってもアクチュエータ104を飛散物から保護できるとともに外部の熱影響を回避することができる。
【0061】
以上の構成により、クランクケース41内のオイル温度が低い冷間時にあっては、アクチュエータ104のシリンダロッド104Aが
図5に示す縮み側位置にあり、第1〜第3羽板101〜103により冷却風取入口63が全閉となる。これにより、始動時や暖気運転時に外気の取り込みを抑制することができ、始動性の向上や暖気の促進を積極的に図ることが可能になる。
また、オイル温度の上昇に応じてアクチュエータ104のシリンダロッド104Aが車幅方向外側に突出するので、第1〜第3羽板101〜103が回動して冷却風取入口63が徐々に開口する。これにより、冷却ファン62の回転により外気が吸い込まれ、開口面積に応じた風量でパワーユニット20を空冷できる。これによって、オイル温度に比例した冷却が可能になり、適切な冷却が可能になる。
【0062】
また、ファンカバー61の冷却風取入口63が円形開口に形成されているので、冷却風の乱れを抑制することができる。しかも、ファンカバー61が、冷却風取入口63の下流側に連接される円筒形状の筒部61C(円筒部)を有しているので、これによっても冷却風の乱れを抑制でき、整流効果を高めることができる。従って、整流効果を高めて効率よく冷却風を吸入し、効率の良い冷却が可能となる。
【0063】
また、本構成では、
図4及び
図5に示すように、クランク軸71と連動して回転し、外気を吸引する冷却ファン62と、冷却ファン62を覆うとともに外気を取込む冷却風取入口63が形成されたファンカバー61と、ファンカバー61に取り付けられ、冷却風取入口63を開閉自在に回動するとともに、連結部材125で連結された複数の第1〜第3羽板101〜103とを備える内燃機関の冷却装置において、冷却風取入口63が円形開口に形成され、ファンカバー61は、冷却風取入口63の下流側に連接される筒部61Cを有し、複数の第1〜第3羽板101〜103は、冷却風取入口63の円中心C1を通る第1回転軸111に設けられる第1羽板101と、第1回転軸111と平行で円中心C1から一方側へオフセットした第2回転軸112に設けられる第2羽板102と、第1回転軸111と平行で円中心C1から他方側へオフセットした第3回転軸113に設けられる第3羽板103とを少なくとも含み、第2羽板102は、冷却風取入口63と当接する部分が、第2回転軸112を基準として、第1羽板101が配置される側と反対側のみに形成され、第3羽板103は、冷却風取入口63と当接する部分が、第3回転軸113を基準として、第1羽板101が配置される側と反対側のみに形成される。即ち、第3羽板103は、第3回転軸113を基準として第1羽板101が配置される側と反対側に羽部103Bが形成されるともに、第3回転軸113を基準として第1羽板101が配置される側に、第1羽板101の切欠き部101Cの縁部に重なる羽部103Aが形成される。
【0064】
従って、円形開口の冷却風取入口63の内壁面に接触させずに第1〜第3羽板101〜103を回動させることができる。これにより、冷却風取入口63を開閉する際の第1〜第3羽板101〜103の回動で羽板101〜103と筒部61C内壁面とが干渉することなく、第1〜第3羽板101〜103を円滑に回動させることができる。
これらにより、本構成では、冷却風取入時の整流効果の向上と、第1〜第3羽板101〜103の円滑な回動とを両立することが可能になる。
【0065】
さらに、
図4及び
図6に示したように、第2及び第3回転軸112,113の少なくとも一方には、第1羽板101が配置される側に、第1羽板101が全閉時に重合して密着する凹溝部112M,113Mが設けられるので、全閉時に第1羽板101と第2及び第3回転軸112,113との間の隙間を無くすことができ、内部への冷却風の取り込みを効果的に抑制することができる。また、密着時の負荷を、相対的に剛性の高い第2及び第3回転軸112,113に作用させることができ、第2及び第3羽板102,103への負荷の作用を低減することができる。
【0066】
また、
図5及び
図7に示したように、ファンカバー61は、車幅方向に指向するクランク軸71を収容するクランクケース41に車幅方向外側から取付けられ、クランクケース41を含む機関本体45(
図2参照)が、揺動自在に車体フレームF(
図1参照)に支承され、クランクケース41の下部であって、第1〜第3羽板101〜103を連結する連結部材125の下方に、これら羽板101〜103の駆動源となるアクチュエータ104を配置し、第1回転軸111及び第2回転軸112よりも車幅方向内側に、アクチュエータ104と連結部材125との間の動力伝達を行うリンク部材127を配置したので、リンク部材127が、車幅方向外側に出っ張って配置されることを防ぐことができる。従って、スイング式の機関本体45を有する自動二輪車1(
図1参照)の車体バンク角を確保し易くなる。
【0067】
さらに、
図5及び
図7に示したように、第2回転軸112は、第1回転軸111よりも下方に配置されるとともに、回転軸線を車体前後方向に指向させて配置され、第2回転軸112は、第2羽板102が車幅方向内側へ向かって開くように回動するので、冷却風取入口63を開閉する際に、第1回転軸111よりも下方に配置される第2羽板102が車幅方向外側へ突出することを防止でき、車体バンク角を確保し易くなる。
また、上記連結部材125は、第1回転軸111及び第2回転軸112よりも車幅方向内側に配置されるので、連結部材125が車幅方向外側へ出っ張って配置されることを防ぐことができ、これによっても車体バンク角を確保し易くなる。
【0068】
また、アクチュエータ104は、そのシリンダロッド(出力軸)104Aの軸線L3がクランク軸71のクランク軸線L1と平行になるようにクランクケース41に取付けられ、ファンカバー61には、クランクケース41に取付けられたアクチュエータ104を収容する枠部61G(第2収容部61GB)が形成され、当該枠部61Gはアクチュエータ104の少なくとも下方を覆うとともに、アクチュエータ104の下方には排気管55が配索される。
この構成によれば、ファンカバー61に設けた第2収容部61GBでアクチュエータ104の下方を覆うにあたってファンカバー61の下方への膨出を防ぐことができる上、車幅方向外側からクランクケース41にファンカバー61を取付ける際に、ファンカバー61とアクチュエータ104とが干渉しにくくなり、ファンカバー61の取付け、及び、第2収容部61GBへのアクチュエータ104の収容を容易に行うことができる。しかも、アクチュエータ104の少なくとも下方をファンカバー61で覆うので、飛び石等はもちろんのこと、排気管55の熱害からアクチュエータ104を保護することができ、アクチュエータ104の作動精度の向上も図ることができる。
【0069】
また、
図6及び
図7に示すように、ファンカバー61に、第1〜第3羽板101〜103を車幅方向外側から覆うルーバー部材64が取付けられ、当該ルーバー部材64には、全開のときに第1羽板101が当接する軸間ルーバー64C4(当接部)が設けられるので、第1羽板101の軸間ルーバー64C4への当接によって、連結部材125で連結された全ての羽板101〜103の全開量を規制することができるとともに、全開時の羽板101〜103の角度を安定させて保持することができる。このため、スイング式の機関本体45のように、機関本体45の振動が大きいものに搭載しても、羽板101〜103のばたつきを抑制し易くなる。
【0070】
さらに、本構成では、ルーバー部材64に、全開のときに第3羽板103が当接する軸間ルーバー64C5(当接部)も設けているので、より確実に、羽板101〜103の全開量を規制することができるとともに、全開時の羽板101〜103の角度を安定させて保持することができる。
また、第1羽板101が当接する軸間ルーバー64C4は第1回転軸111よりも下方に設けられるので、暖気後に全開又は全開に近い状態になると、全ての羽板101〜103が外側下向きに保持されることになり、雨水等が各羽板101〜103にかかっても外に排出させ、ファンカバー61内への浸入を抑制することができる。
【0071】
図11は、ファンカバー61の筒部61C及びその近傍を示した側面図である。
ファンカバー61の筒部61Cには、半径方向内側に突出する円弧状の凸部61M,61N,61S,61T,61U,61Vが一体に形成されている。
凸部61Mは、第2羽板102の下端(羽部102Aの下端)である円弧状の縁部102Dが当接する部分であり、凸部61Nは、第3羽板103の上端(羽部103Bの上端)である円弧状の縁部103Dが当接する部分である。
凸部61S,61T,61U,61Vは、第1羽板101の長手方向(第1回転軸111に沿う方向)の縁部である円弧状の縁部101E,101F,101G,101Hが当接する部分である。詳しくは、凸部61S,61Tは、第1羽板101の羽部101Aの縁部101E,101Fが当接し、凸部61U,61Vは、第1羽板101の羽部101Bの縁部101G,101Hが当接する部分である。
第1回転軸111より下方に設けられる凸部61M,61S,61Tは、第2羽板102及び第1羽板101に対して車幅方向外側(図の手前側)に位置する。第1回転軸111より上方に設けられる凸部61N,61U,61Vは、第3羽板103及び第1羽板101に対して車幅方向内側(図の奥側)に位置する。
凸部61M,61N,61S,61T,61U,61Vのそれぞれの間には、第1回転軸111、第2回転軸112、第3回転軸113が通される。
【0072】
図12は、ファンカバー61の枠部61Gの下部及びその周囲を示した斜視図である。
枠部61Gの下部には、アクチュエータ104に連結される増幅リンク126が配置されている。図は、増幅リンク126を組付ける前の状態を示している。
枠部61Gの下部の前後の側壁61W,61Wには、増幅リンク126を組立時に載せておくリンク載置部61X,61Xが形成され、各リンク載置部61Xの上部には増幅リンク126に形成された筒状の軸部126E,126Eを受ける凹溝61Y,61Yが形成されている。
側壁61W,61W及びリンク載置部61X,61Xには、前後方向に貫通する支軸挿通穴61Z,61Zが開けられている。支軸挿通穴61Z,61Zには、増幅リンク126の軸部126E,126E間を貫通する支軸挿通穴126Fと共に、支軸61Jが通される。なお、符号133は、支軸61Jの先端に形成された環状溝に嵌められる止め輪であり、止め輪133によって、支軸挿通穴61Z,61Zからの支軸61Jの抜けが防止される。
尚、止め輪133は必須ではなく、支軸61Jをファンカバー61に装着した状態で、当該支軸61Jの軸方向両端部の外側をルーバー部材64のカバー部64Bで覆うように形成して、このカバー部64Bで支軸61Jの抜け止めを行えば、止め輪133を廃止できる。
【0073】
次に、上記の可動ルーバー機構100を組み付ける工程を、
図3、
図4、
図5、
図10及び
図12を用いて説明する。
まず、
図5に示したように、アクチュエータ104を複数の締結ボルト86によりクランクケース41に取付ける(第1工程)。次に、予めファンカバー61(
図4参照)に、
図10に示した第1〜第3羽板101〜103から増幅リンク126(第1リンク部材)に至るリンク部材(回動リンク部材121〜123(第3リンク部材)、連結部材125、リンク部材127(第2リンク部材)、ねじりコイルばね131(付勢部材))を組んで小組(サブアッセンブリー化とも言う)しておき、小組されたファンカバー61を、複数の締結ボルト81(
図4参照)を用いてクランクケース41に取付ける(第2工程)。
【0074】
次いで、増幅リンク126の腕部126A(
図10参照)に、アクチュエータ104の先端部104Bを挿入することにより、増幅リンク126をアクチュエータ104と連結した後、増幅リンク126を、支軸61Jを介してファンカバー61に取付ける(第3工程)。この第3工程では、
図12において、ファンカバー61の凹溝61Y,61Yに増幅リンク126の軸部126E,126Eを載せておくことで、支軸61Jを、枠部61Gの後方からファンカバー61の支軸挿通穴61Z、増幅リンク126の支軸挿通穴126F、支軸挿通穴61Zに容易に通すことができ、増幅リンク126の組付け作業を容易に行うことができる。
以上の第1〜第3工程により、可動ルーバー機構100の組み付けが終了する。
可動ルーバー機構100を組み付けた後は、ルーバー部材64を、締結ボルト82(
図3参照)を用いてファンカバー61に取付ける(第4工程)。これによって可動ルーバー機構100周りの組み立てが全て完了する。
【0075】
このように、ファンカバー61に予め第1〜第3羽板101〜103、連結部材125、リンク部材127が取付けられた状態で、アクチュエータ104が取付けられた状態のクランクケース41にファンカバー61が取付けられるので、ファンカバー61に第1〜第3羽板101〜103、連結部材125、リンク部材127を小組みする工程と、クランクケース41とファンカバー61とを取付ける工程といった簡易な作業で組み立てることができ、組み立てや脱着作業を容易にし易くすることができる。
【0076】
以上の
図4、
図5、
図7及び
図10に示したように、クランクケース41に回転自在に支持されるクランク軸71と連動して回転し、外気を吸引する冷却ファン62と、冷却ファン62を覆ってクランクケース41に取付けられるとともに外気を取込む冷却風取入口63が形成されたファンカバー61と、ファンカバー61に支軸としての第1回転軸111、第2回転軸112、第3回転軸113が取付けられ、第1回転軸111、第2回転軸112、第3回転軸113を中心に冷却風取入口63を開閉自在に回動する羽板としての第1羽板101、第2羽板102、第3羽板103と、第1羽板101、第2羽板102、第3羽板103を回動させる動力源となるアクチュエータ104と、アクチュエータ104から第1羽板101、第2羽板102、第3羽板103へ開閉のための動力を伝達するリンク機構としての動力伝達機構105と、を備えた強制空冷式の内燃機関Eにおいて、第1羽板101、第2羽板102、第3羽板103は、第1回転軸111、第2回転軸112、第3回転軸113の一側方に配置されてファンカバー61の内部に入り込むことが可能な負圧側羽板としての羽部101A,102A,103Aと、第1回転軸111、第2回転軸112、第3回転軸113の他側方に配置されてファンカバー61の外部に向けて突出することが可能な大気圧側羽板としての羽部101B,103Bとから構成され、負圧側羽板である羽部101Aの面積が、大気圧側羽板である羽部101Bの面積よりも大きく形成され、また、負圧側羽板である羽部102Aの面積が、第2羽板102の大気圧側羽板(本実施例では存在しない部分)の面積よりも大きく形成される。
【0077】
この構成によれば、アクチュエータ104と動力伝達機構105とが非連結状態となり、アクチュエータ104からの動力が第1羽板101、第2羽板102、第3羽板103へ伝達されなくなった場合でも、冷却ファン62の回転に伴いファンカバー61内に発生する負圧によって第1羽板101、第2羽板102が閉じる方向よりも開く方向に強く付勢されるため、第1羽板101、第2羽板102を強制的に開いてファンカバー61の外部から冷却風を取込むことができる。従って、内燃機関Eの温度上昇を抑制でき、車両を通常通り走行させることができる走行可能期間を延ばすことができる。
【0078】
また、アクチュエータ104と動力伝達機構105とが非連結状態となったときに、第1羽板101、第2羽板102が負圧によって回動するので、第1羽板101、第2羽板102を開いて冷却風取入口63から冷却風を取込み、内燃機関Eを冷却することができる。
また、負圧側羽板である羽部101A,102A,103Aの面積は、内燃機関Eがアイドル回転数にある状態の負圧で第1羽板101、第2羽板102、第3羽板103が回動するように設定されるので、アクチュエータ104と動力伝達機構105とが非連結状態となる事象が生じた場合であっても、内燃機関Eのアイドル回転数又はそれ以上の回転数でファンカバー61内に負圧が発生すれば、素早く第1羽板101、第2羽板102を回動させることができ、内燃機関Eの温度上昇を抑制することができる。
【0079】
また、第1羽板101、第2羽板102、第3羽板103は、複数設けられ、動力伝達機構105は、複数の第1羽板101、第2羽板102、第3羽板103同士を連動させる連動部材としての連結部材125を有し、複数の第1羽板101、第2羽板102、第3羽板103のうちの少なくとも過半数の第1羽板101、第2羽板102で、負圧側羽板である羽部101Aの面積が大気圧側羽板である羽部101Bの面積よりも大きく形成され、負圧側羽板である羽部102Aの面積が第2羽板102の大気圧側羽板(存在しない部分)の面積よりも大きく形成されるので、複数の第1羽板101、第2羽板102、第3羽板103が設けられる場合、過半数の第1羽板101、第2羽板102を開く方向に強く付勢させることができるので、仮に複数の第1羽板101、第2羽板102、第3羽板103の全てが上記の面積設定になっていなくても、連動部材125で羽板同士を連動させることができれば、過半数の第1羽板101、第2羽板102が開く方向に回動することに伴い、連結部材125によって全ての第1羽板101、第2羽板102、第3羽板103が開く方向に連動駆動させることができる。
尚、連動部材125と第1羽板101、第2羽板102、第3羽板103とが非連結状態となるような事象が仮に生じた場合であっても、過半数の第1羽板101、第2羽板102を負圧で回動させることができるので、冷却風取入口63から冷却風を取込み、内燃機関Eを冷却することができる。
【0080】
また、
図4、
図5、
図6及び
図11に示したように、冷却風取入口63は、円形開口に形成され、ファンカバー61は、冷却風取入口63の下流側に続く筒部61Cを有し、支軸としての第1回転軸111、第2回転軸112、第3回転軸113は、複数設けられ、複数の羽板101,102,103は、冷却風取入口63の円中心C1を通る第1の支軸としての第1回転軸(111)に設けられる第1羽板101と、第1回転軸111と平行で円中心C1から一方側へオフセットした第2の支軸としての第2回転軸112に設けられる第2羽板102と、第1回転軸111と平行で円中心C1から他方側へオフセットした第3の支軸としての第3回転軸113に設けられる第3羽板103とを少なくとも含み、第2羽板102は、冷却風取入口63と当接する縁部102Dが、第2回転軸112を基準として、第1羽板101が配置される側と反対側のみに形成され、第3羽板103は、冷却風取入口63と当接する縁部103Dが、第3回転軸113を基準として、第1羽板101が配置される側と反対側のみに形成されるので、第1羽板101、第2羽板102、第3羽板103のうち、第2羽板102及び第3羽板103における冷却風取入口63と当接する縁部102D,103Dを、第2羽板102、第3羽板103の片側のみに形成したことで、円形開口の冷却風取入口63とその下流側の筒部61Cとが設けられたファンカバー61に、複数の第1羽板101、第2羽板102、第3羽板103を取付け、これら複数の第1羽板101、第2羽板102、第3羽板103を連結部材125で連結して回動させる場合であっても、各々の第1羽板101、第2羽板102、第3羽板103を筒部61Cの内壁面と干渉することなく円滑に回動させることができ、各々の第1羽板101、第2羽板102、第3羽板103の円滑な回動と、筒部61Cによる整流効果の向上との両立を図ることができる。
【0081】
また、第1羽板101における大気圧側羽板である羽部101Bの冷却風取入口63と当接しない部位に切欠き部101Cを形成することで、第1羽板101における負圧側羽板としての羽部101Aの面積を第1羽板101における大気圧側羽板としての羽部101Bの面積よりも大きく形成し、切欠き部101Cに重合する重合部としての羽部103Aが、第2羽板102又は第3羽板103のいずれか一方に形成されるので、切欠き部101Cを形成する簡単な構成で面積設定ができる上、切欠き部101Cは冷却風取入口63と当接しない部位に形成されるため、冷却風取入口63を円形開口として、その下流側に筒部61Cが設けられたファンカバー61とした場合であっても、切欠き部101Cや重合部である羽部103Aが筒部61Cの内壁面と干渉することなく、各々の第1羽板101、第2羽板102、第3羽板103の円滑な回動が可能となる。
【0082】
また、
図6、
図7及び
図8に示したように、ファンカバー61に、第1羽板101、第2羽板102、第3羽板103を車幅方向外側から覆うルーバー部材64が取付けられ、ルーバー部材64には、第1羽板101が全開のときに第1羽板101における大気圧側羽板としての羽部101Bが当接する当接部としての軸間ルーバー64C4が形成され、切欠き部101Cは、軸間ルーバー64C4の形成箇所を避けて形成されるので、複数の第1羽板101、第2羽板102、第3羽板103が連結部材125で連結されていることから、第1羽板101の軸間ルーバー64C4への当接によって全ての第1羽板101、第2羽板102、第3羽板103の全開量を規制できるとともに、全開時において、第1羽板101、第2羽板102、第3羽板103の角度が安定して保持されるので、第1羽板101、第2羽板102、第3羽板103がばたつくのを抑制できる。更に、切欠き部101Cは、軸間ルーバー64C4の形成箇所を避けて形成されるので、大気圧側羽板としての羽部101Bの軸間ルーバー64C4への当接を許容しつつ、切欠き部101Cを形成できる。
【0083】
上述の実施形態は、あくまでも本発明の一態様を示すものであり、本発明の主旨を逸脱しない範囲で任意に変更が可能である。
例えば、上述の実施形態では、3枚の羽板101〜103を有する可動ルーバー機構100に本発明を適用する場合を説明したが、これら羽板101〜103を含む複数の羽板(奇数枚数が望ましい)を有する可動ルーバー機構に本発明を適用しても良い。
また、上述の実施形態では、第2及び第3回転軸112,113の両方に、第1羽板101が全閉時に重合して密着する凹溝部112M,113Mを設ける場合を説明したが、いずれか一方の第2回転軸112又は第3回転軸113に設けても良く、要は、少なくとも一方の回転軸112又は113に凹溝部112M又は113Mを設けるようにすれば良い。
【0084】
また、アクチュエータ104に感温ワックスシリンダを用いる場合を説明したが、感温ワックスシリンダ以外のサーモアクチュエータを用いても良いし、又は、電動シリンダや油圧シリンダ等の他のアクチュエータを用いても良い。
また、上述の実施形態では、ユニットスイング式内燃機関のパワーユニット20に適用される冷却装置に本発明を適用する場合を説明したが、公知の他の内燃機関の冷却装置に本発明を適用しても良い。また、上述した自動二輪車1に適用する冷却装置に限らず、自動二輪車以外も含む鞍乗り型車両等に搭載される内燃機関の冷却装置に本発明を適用しても良い。なお、鞍乗り型車両は、自動二輪車(原動機付き自転車も含む)のみならず、ATV(不整地走行車両)やトライクなどに分類される三輪車両や四輪車両を含む車両である。