(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0017】
本開示の実施態様を詳細に説明する前に理解すべき点は、本発明がその適用において、下記説明で示される又は下記図面で示される構成部分の構造及び配置関係の詳細に限定されないことである。本発明は他の実施態様が可能であり、また種々の形で実践又は実施されることが可能である。また言うまでもなく、本明細書中に使用される表現及び用語は説明を目的としたものであり、制限的なものと見なすべきではない。「含む(including)」、「含む(comprising)」、又は「有する(having)」及びこれらの変化形は、その後で挙げるもの及び同等のもの、並びに付加的なものを包含することを意味する。他に指定又は限定のない限り、「取り付け(mounted)」、「結合(connected)」、「支持(supported)」及び「カップリング(coupled)」及びその変化形は、広範に使用され、直接及び間接双方の取り付け、結合、支持、及びカップリングを包含する。さらに、「結合(connected)」及び「カップリング(coupled)」は、物理的又は機械的な結合又はカップリングに制限されない。言うまでもなく、本開示の範囲を逸脱することなしに他の実施態様を利用してもよく、また構造的又は論理的な変更を加えてもよい。さらに、「前」、「後」、「上」、及び「下」などのような用語は、互いに関連するエレメントを記述するために使用されるに過ぎず、装置の必要な又は所要の配向を指示又は暗示するために、或いはここに記載された発明がどのように用いられるか、取り付けられるか、表示されるか、又は使用時に位置決めされるかを指定するために、装置の特定の配向を述べるものではない。
【0018】
本開示は大まかに言えば、試料処理装置を処理するための試料処理システム、方法、及び装置に関し、そして具体的には試料処理装置の特定チャンバ内に材料が存在するかどうかを検出するための試料処理システム、方法、及び装置に関する。より具体的には、いくつかの実施態様の場合、本開示のシステム、方法、及び装置を用いて、材料の選択された体積が特定チャンバ内に存在するかどうかを検出することができる。いくつかの事例では、試料を流体的に処理し操作するために使用される試料処理装置は、種々の弁エレメント及び計量エレメントを含むことができる。例えば、試料処理装置上に試料をローディングすることができ、種々の弁、チャネル、チャンバ、及び/又は計量装置を使用して、試料を処理し、そして試料が試料処理装置の種々の区画中を移動するようにすることができる。試料処理装置は最終的には処理チャンバ又は検出チャンバで終わる。このチャンバ内で試料は、試料中の当該被分析物の不在、存在及び/又は量を判定するためにアッセイ又は問い合わせ(例えば光学的に)されることになる。試料処理装置上の試料の流体処理に不具合が生じたかどうかを確認するために、試料が処理チャンバ又は検出チャンバに適切に移されたかどうかを知ることが有用であり得る。結果として、本開示のシステム、方法、及び装置は概ね、試料、又は試料の選択された体積が検出チャンバ内に存在するかどうかを判定することに向けられる。
【0019】
本開示のいくつかの実施態様(例えば
図16〜
図22の試料処理装置300に関して下述する)、当該試料(例えば生試料、例えば生患者試料、生環境試料など)を、特定アッセイのために試料を処理する際に使用される種々の試薬又は媒質とは別々にローディングすることができる。いくつかの実施態様では、このような試薬を単一のカクテル又は「マスターミックス」試薬として添加することができる。この試薬は当該アッセイに必要な試薬の全てを含む。試料は希釈剤中に懸濁又は調製することができ、希釈剤は、当該アッセイのための試薬を含んでよく、又はこの試薬と同じであってよい。試料及び希釈剤をここでは便宜上単に「試料」と呼ぶことにし、希釈剤と合体(一緒に)された試料は、実質的な処理、測定、又は溶解などがまだ行われていないので、概ねまだ生試料と考えられる。
【0020】
試料は固形物、液体、半固体、ゼラチン状材料、及びこれらの組み合わせ、例えば液体中の粒子の懸濁液を含むことができる。いくつかの実施態様の場合、試料は水性液体であってよい。
【0021】
試料処理装置はこの場合、試料及び試薬が試料処理装置中を移動するようにし、最終的に必要な場所で必要な時に試料と試薬とを合体させるための手段を含むことができる。いくつかの実施態様の場合、試薬(例えば試薬マスターミックス)は1種又は2種以上の内部対照を含むことができる。これらの内部対照を使用して反応及び試薬が作用していることを確認することができる。例えば、多重検出システムの1つのチャネルを使用して内部対照を検出し、そして多重検出システムの他のチャネル内で増幅が検出されないと、試薬が試料処理装置内に適切に移され、適切に作用していることを確かめることができる。すなわち、内部対照を使用して偽陰性を確認することができ、また内部対照増幅がないならばそのランを無効化する。しかし、生試料には同様の内部対照はない。従って、試料の操作及び移送に不具合があり(例えば弁装置内又は計量装置内)、これにより試料が検出チャンバに到達せず、試薬マスターミックスと合体されない場合、試薬マスターミックス中の内部対照はまだ増幅し、偽陰性判定を可能にしてしまう。本開示の試料処理システム、方法、及び装置を用いて、試料が検出チャンバに移動したこと、及び/又は、試料の選択された体積が検出チャンバ内に存在することを検証することができる。このような検証が見いだされない場合、このことは、警告を発すること、不具合レポートを生成すること、ランを無効化すること、ランを中断することなど、又はこれらの組み合わせによって指示することができる。
【0022】
「生試料(raw sample)」という語句は一般に、希釈剤中で単に希釈又は懸濁されることを除いて、試料処理装置上にローディングされる前にいかなる処理又は操作も受けていない試料に言及するために使用される。すなわち、生試料は細胞、デブリ、インヒビターなどを含んでよく、試料処理装置上にローディングされる前に、予め溶解、洗浄、緩衝などを施されていない。生試料は、その供給源から直接に得られて、操作を施すことなしに1つの容器から別の容器へ移された試料を含むこともできる。生試料は、例えば輸送媒質、脳脊髄液、全血、血漿、血清などを含む種々の媒質中の患者検体を含むこともできる。例えば、患者から得られたウィルス粒子を含有する鼻腔用綿棒試料を、処理前に粒子を懸濁して安定化するために使用される緩衝剤又は媒質(抗菌剤を含有することができる)中で輸送及び/又は保存してよい。粒子が懸濁された輸送媒質の一部を「試料」と考えることができる。本開示の装置及びシステムとともに使用され、本明細書中で論じられる「試料」の全ては生試料であり得る。
【0023】
図1〜
図15は概ね、本開示に基づく試料処理システムであって、光学的検出のために用いられる構成部分及び特徴を含むこのようなシステムの特徴、エレメント、機能、動作方法を含めて試料処理システムを示している。このような試料処理システムは、試料処理装置を処理するために使用することができる。試料処理装置は一般に消耗品(例えば使い捨て品)であって、当該試料を誘導して操作することができる種々のフルイディクス(すなわちマイクロフルイディクス)を含み得る。試料処理システムは、試料及び試料処理装置の種々の特徴を検出するために使用することができる。
【0024】
図16〜
図23は、本開示に基づいて使用することができ、そして本開示の試料処理システム内に採用することができる試料処理装置(例えば「ディスク」)の模範的実施態様を示している。
【0025】
図24は、本開示の1つの模範的なディスク・ハンドリング・システムの少なくとも一部を示している。ディスク・ハンドリング・システムは本開示の試料処理システムの一部を形成するか、又は試料処理システムと一緒に使用することができる。具体的には、
図24は、模範的な試料処理装置(すなわち
図16〜
図22の試料処理装置)とディスク・ハンドリング・システムのカバー及びベースプレートとの相互作用を示している。すなわち、
図24は、「ディスク」が本開示の試料処理システムの種々の構成部分といかにして物理的(例えば構造的、機械的、且つ/又は熱的)に相互作用するかを示している。
【0026】
なお、本開示の試料処理装置は円形としてここでは示されており、ここでは「ディスク」と呼ばれることがあるものの、本開示の試料処理装置の種々様々な他の形状及び形態が可能であり、本開示は円形試料処理装置には限定されない。結果として、「ディスク」という用語は便宜上「試料処理装置」の代わりにしばしばここで用いられるが、しかしこの用語は制限的であることを意図するものではない。
【0027】
試料処理システム
本開示の試料処理システムは、熱処理、例えば感受性化学プロセス、例えばポリメラーゼ連鎖反応(PCR)増幅、転写媒介増幅(TMA)、核酸配列ベースの増幅(NASBA)、リガーゼ連鎖反応(LCR)、自家持続配列複製、酵素反応速度研究、均質リガンド結合アッセイ、イムノアッセイ、例えば酵素免疫吸着剤アッセイ(ELISA)、及び正確な熱制御及び/又は急速な熱変化を必要とするより複雑な生化学的プロセス又はその他のプロセスを伴う方法に使用することができる。試料処理システムは、装置上の処理チャンバ内に位置する試料材料の温度を制御することに加えて、試料処理装置を同時に回転させることができる。
【0028】
本発明との関連において使用するように適合し得る好適な構成技術又は材料のいくつかの例は、例えばENHANCED SAMPLE PROCESSING DEVICES SYSTEMS AND METHODS と題する同一譲受人による米国特許第6,734,401号、同第6,987,253号、同第7,435,933号、同第7,164,107号及び同第7,435,933号明細書(Bedingham他);MULTI-FORMAT SAMPLE PROCESSING DEVICES と題する米国特許第6,720,187号明細書(Bedingham他);MULTI-FORMAT SAMPLE PROCESSING DEVICES AND SYSTEMSと題する米国特許出願公開第2004/0179974号(Bedingham他);MODULAR SYSTEMS AND METHODS FOR USING SAMPLE PROCESSING DEVICESと題する米国特許第6,889,468号明細書(Bedingham他);SYSTEMS FOR USING SAMPLE PROCESSING DEVICESと題する米国特許第7,579,186号明細書(Bedingham他);THERMAL STRUCTURE FOR SAMPLE PROCESSING SYSTEMと題する米国特許出願公開第2009/0263280号(Bedingham他);VARIABLE VALVE APPARATUS AND METHODと題する米国特許出願公開第2010/0167304号(Bedingham他);SAMPLE MIXING ON A MICROFLUIDIC DEVICEと題する米国特許出願公開第2011/0027904号(Bedingham他);METHODS AND DEVICES FOR REMOVAL OF ORGANIC MOLECULES FROM BIOLOGICAL MIXTURES USING ANION EXCHANGEと題する米国特許第7,192,560号、同第7,871,827号、及び米国特許出願公開第2007/0160504号の各明細書(Parthasarathy他);METHODS FOR NUCLEIC ACID ISOLATION AND KITS USING A MICROFLUIDIC DEVICE AND CONCENTRATION STEPと題する米国特許出願公開第2005/0142663号明細書(Parthasarathy他);SAMPLE PROCESSING DEVICE COMPRESSION SYSTEMS AND METHODSと題する米国特許第7,754,474号明細書及び米国特許出願公開第2010/0240124号明細書(Aysta他);COMPLIANT MICROFLUIDIC SAMPLE PROCESSING DISKSと題する米国特許第7,763,210号明細書及び米国特許出願公開第2010/0266456号明細書(Bedingham他);MODULAR SAMPLE PROCESSING APPARATUS KITS AND MODULESと題する米国特許第7,763,210号明細書及び同第7,767,937号明細書(Bedingham他);MULTIPLEX FLUORESCENCE DETECTION DEVICE HAVING FIBER BUNDLE COUPLING MULTIPLE OPTICAL MODULES TO A COMMON DETECTORと題する米国特許第7,709,249号明細書(Bedingham他);MULTIPLEX FLUORESCENCE DETECTION DEVICE HAVING REMOVABLE OPTICAL MODULESと題する米国特許第7,507,575号明細書(Bedingham他);VALVE CONTROL SYSTEM FOR A ROTATING MULTIPLEX FLUORESCENCE DETECTION DEVICEと題する米国特許第7,527,763号明細書及び同第7,867,767号明細書(Bedingham他);HEATING ELEMENT FOR A ROTATING MULTIPLEX FLUORESCENCE DETECTION DEVICEと題する米国特許出願公開第2007/0009382号明細書(Bedingham他);METHODS FOR NUCLEIC AMPLIFICATIONと題する米国特許出願公開第2010/0129878号明細書(Parthasarathy他);THERMAL TRANSFER METHODS AND STRUCTURES FOR MICROFLUIDIC SYSTEMSと題する米国特許出願公開第2008/0149190号明細書(Bedingham他);ENHANCED SAMPLE PROCESSING DEVICES, SYSTEMS AND METHODSと題する米国特許出願公開第2008/0152546号明細書(Bedingham他);ANNULAR COMPRESSION SYSTEMS AND METHODS FOR SAMPLE PROCESSING DEVICESと題する米国特許出願公開第2011/0117607号明細書(Bedingham他);SYSTEMS AND METHODS FOR PROCESSING SAMPLE PROCESSING DEVICESと題する米国特許出願公開第2011/0117656号明細書(Robole他);SAMPLE PROCESSING DEVICES, SYSTEMS AND METHODSと題する、2000年10月2日付けで出願された米国仮特許出願番号第60/237,151号明細書(Bedingham他);SAMPLE PROCESSING DISC COVERと題する米国特許第D638550号明細書及び同第D638951号明細書(Bedingham他);SAMPLE PROCESSING DISC COVERと題する、2011年2月4日付けで出願された米国仮特許出願番号第29/384,821号明細書(Bedingham他);及びROTATABLE SAMPLE PROCESSING DISKと題する米国特許第D564667号明細書 (Bedingham他)に記載されている。これらの開示内容は参照することにより本明細書中に組み入れられる。
【0029】
他の可能な装置構成は例えば、CENTRIFUGAL FILLING OF SAMPLE PROCESSING DEVICESと題する米国特許第6,627,159号明細書 (Bedingham他);SAMPLE PROCESSING DEVICESと題する米国特許第7,026,168号、同第7,855,083号、及同第7,678,334号、及び米国特許出願公開第2006/0228811号、及び同第2011/0053785号の各明細書(Bedingham他);SAMPLE PROCESSING DEVICES AND CARRIERSと題する米国特許第6,814,935号明細書及び同第7,445,752号明細書(Harms他);及びSAMPLE PROCESSING DEVICES AND CARRIERSと題する米国特許第7,595,200号明細書(Bedingham他)に見いだすことができる。これらの開示内容全体は参照することにより本明細書中に組み入れられる。
【0030】
多重蛍光検出を行うことができる試料処理システムを、このようなシステムの種々の特徴、エレメント、及び動作を含めて以下に説明する。
【0031】
図1は、試料処理システム12の部分として採用することができる多重蛍光検出装置10、データ取得装置21、及びディスク・ハンドリング・システム500の模範的実施態様を示す概略図である。ディスク・ハンドリング・システム500は
図24を参照しながらより詳細に下述する。検出装置10を使用して、試料処理装置(例えば回転ディスク13)の検出チャンバ内に試料、又は試料の選択された体積が存在するかどうかを含む、試料の種々の特徴を検出することができる。いくつかの実施態様では、試料処理装置は消耗品であって交換することができ、そして必ずしも試料処理システム12の一部を形成すると考えなくてもよく、試料処理システム12と一緒に使用するか又は試料処理システム12によって処理することができる。
【0032】
図示の例では、装置10は、4つの異なる色素を光学的に検出するための4つの「チャネル」を提供する4つの光モジュール16を有している。具体的には、装置10は、所与の時点で回転ディスク13の異なる領域を励起する4つの光モジュール16を有しており、これらの光モジュールは発せられた蛍光光エネルギーを色素からの異なる波長で収集する。結果として、光モジュール16は、試料22中に発生する複数の並発反応に問い合わせし、且つ/又は試料22、又は試料22の選択された体積がディスク13の所期領域内(例えば特定チャンバ内)に位置しているかどうかを判定する。
【0033】
複数の反応は、例えば回転ディスク13の単一のチャンバ内で同時に発生してよい。光モジュール16のそれぞれは試料22に問い合わせ、そしてディスク13が回転するのに伴って異なる波長で蛍光エネルギーを収集する。例えばモジュール16内部の励起源は、対応波長でデータを収集するのに十分な時間にわたって順次に活性化されてよい。すなわち、第1光モジュール16は、第1反応に対応する第1色素に対して選択された第1波長範囲でデータを収集するための時間にわたって活性化されてよい。次いでこの励起源は不活性化されてよく、そして第2光モジュール16内部の励起源が、第2反応に対応する第2色素に対して選択された第2波長範囲で試料22に問い合わせるように活性化されてよい。このプロセスは、全ての光モジュール16からデータが捕捉されるまで続くことができる。1実施態様において、光モジュール16内部の励起源のそれぞれは、定常状態に達するために約0.5秒間の開始期間にわたって活性化され、これに続いて、ディスク13の10〜50回転中継続する問い合わせ期間が設けられている。他の実施態様では、励起源はこれよりも短い(例えば1又は2ミリ秒間)又は長い期間にわたってシーケンシングされてよい。いくつかの実施態様ではディスク13の回転を停止することなしに試料22に同時に問い合わせるために、2つ以上の光モジュールを同時に活性化してよい。
【0034】
単一の試料22が示されてはいるが、ディスク13は、試料を保持する複数のチャンバを含有していてよい。光モジュール16は、種々異なるチャンバのうちのいくつか又は全てに異なる波長で問い合わせしてよい。1実施態様の場合、ディスク13はディスク13の周囲に96のチャンバ空間を含む。96チャンバ・ディスク及び4つの光モジュール16によってディスク10は、384の異なる種からデータを取得することができる。
【0035】
1実施態様の場合、光モジュール16は、低廉な高出力発光ダイオード(LED)である励起源を含む。LEDは種々様々な波長で商業的に入手可能であり、長い寿命(例えば100,000時間以上)を有している。別の実施態様では、慣用のハロゲン・バルブ又は水銀灯を励起源として使用してよい。
【0036】
図1に示されているように、光モジュール16のそれぞれは、光ファイバ束14の1つの脚部にカップリングされていてよい。光ファイバ束14は、感度を損なうことなしに光モジュール16からの蛍光信号を収集するためのフレキシブルなメカニズムを提供する。一般に、光ファイバ束は、サイド・バイ・サイド状に配置された複数の光ファイバを含む。光ファイバは端部で互いに結合され、可撓性保護ジャケット内に収容されている。或いは、光ファイバ束14は、共通の端部を有する、ガラス又はプラスチックから成る、より少数の離散大直径マルチモード・ファイバを含んでいてもよい。例えば、4光モジュール装置の場合、光ファイバ束16は、それぞれ1mmコア直径を有する4つの離散マルチモード・ファイバを含んでよい。束の共通の端部は、互いに結合された4本のファイバを含有する。この例では、検出器18のアパーチャは8mmであってよい。これは4本のファイバとのカップリングには十分すぎるほどである。
【0037】
この例では、光ファイバ束14は光モジュール16を単一の検出器18にカップリングしている。光ファイバは、光モジュール16によって収集された蛍光を運搬し、捕捉光を検出器18に効果的に送達する。1実施態様において、検出器18は光電子増倍管である。別の実施態様の場合、検出器は単一の検出器内部に複数の光電子増倍管エレメントを、それぞれの光ファイバに対して1つずつ含んでよい。他の実施態様の場合、1つ又は2つ以上の固体検出器を使用してよい。
【0038】
単一の検出器18の使用は、使用する検出器が1つで済む点でコストを最小限に維持しながら、高感度の、そして場合によっては高価な検出器(例えば光電子増倍管)の使用を可能にするので有利である。単一の検出器が本明細書中で論じられているが、しかしより数多くの色素を検出するために1つ又は2つ以上の検出器を含んでもよい。例えば4つの付加的な光モジュール16及び第2検出器をシステムに付加することにより、1つのディスクから発せられた8つの異なる波長の検出が可能になる。回転ディスク13と一緒に使用するための単一検出器にカップリングされた模範的な光ファイバ束が、2005年7月5日付けで出願された“MULTIPLEX FLUORESCENCE DETECTION DEVICE HAVING FIBER BUNDLE COUPLING MULTIPLE OPTICAL MODULES TO A COMMON DETECTOR”と題する米国特許第7,709,249号明細書に記載されている(この内容全体は参照することにより本明細書中に取り入れられる)。
【0039】
光モジュール16は装置から取り外し可能であり、そして異なる波長での問い合わせのために最適化された他の光モジュールと容易に交換可能であり得る。例えば、光モジュール16は、モジュール・ハウジングの位置内に物理的に取り付けられていてよい。光モジュール16のそれぞれは、ガイド(例えば凹状溝)に沿ってハウジングのそれぞれの位置内に容易に挿入されてよい。ガイドは光モジュールの1つ又は2つ以上のマーキング(例えばガイドピン)と対合する。光モジュール16のそれぞれはラッチ、磁石、ねじ又はその他の締め付け装置によってキャリッジ内部に固定されてよい。それぞれの光モジュールは、光ファイバ束14の1つの脚部にカップリングするための光出力ポート(
図6及び
図7に図示)を含んでいる。光出力ポートは、脚部のねじ山付きコネクタにカップリングされたねじ山付き端部を有していてよい。或いは、「クイック・コネクト」の形態(例えばOリング及びキャッチピンを有するスライド可能な結合)を使用してもよい。クイック・コネクトは、光ファイバ束14が光出力ポートに対してスライド可能に係合・係合解離するのを可能にする。さらに、光モジュール16のそれぞれは、完全に挿入されると制御ユニット23に電子的にカップリングするための1つ又は2つ以上の電気的なコンタクト・パッド又はフレックス回路を有していてよい。回転ディスク13と一緒に使用するための模範的な取り外し可能な光モジュールは、2005年7月5日付けで出願された“MULTIPLEX FLUORESCENCE DETECTION DEVICE HAVING REMOVABLE OPTICAL MODULES”と題する米国特許第7,507,575号明細書に記載されている(この内容全体は参照することにより本明細書中に取り入れられる)。
【0040】
装置10のモジュール・アーキテクチャは、所与の分析環境、例えば多重PCRにおいて使用される蛍光色素の全てに装置が容易に適合されるのを可能にする。装置10内で用い得る他の化学反応はInvader (Third Wave, Madison, Wisconsin)、転写媒介増幅(GenProbe, San Diego, California)、蛍光標識酵素免疫吸着剤アッセイ(ELISA)、及び/又は蛍光in situハイブリダイゼーション(FISH)を含む。装置10のモジュール・アーキテクチャの別の利点は、多重反応において対応色素を選択的に励起して検出するために、小さな特異的な波長ターゲット範囲のために相応の励起源(図示せず)及び励起・検出フィルタを選択することにより、それぞれの光モジュール16の感度を最適化し得ることである。
【0041】
例示の目的で、装置10は4色多重配列状態で示されているが、しかしこれよりも多い又は少ないチャネルを適切な光ファイバ束14と一緒に使用することができる。このモジュール設計は、別の光モジュール16を装置10に付加し、そして光ファイバ束14の1つの脚部を新しい光モジュール内に挿入するだけで、使用者が装置10を現場で容易にアップグレードするのを可能にする。光モジュール16は、光モジュールを識別し、較正データをダウンロードする電子装置を装置10の内部制御モジュール又は他の内部電子装置(例えば制御ユニット23)内に組み入れていてよい。
【0042】
図1の例では、試料22がディスク13のチャンバ内に含有されている。ディスクは制御ユニット23の制御下で回転プラットフォーム上に取り付けられている(回転プラットフォームの1つの実施態様は
図24に一例として示されている)。スロット・センサ・トリガ27が、ディスク回転中にデータ取得装置21をチャンバ位置と同期させるために、制御ユニット23によって利用される出力信号を提供する。スロット・センサ・トリガ27は、機械的、電気的、磁気的、又は光学的なセンサであってよい。例えば、より詳細に下述するように、スロット・センサ・トリガ27は、ディスク13を貫通して形成されたスロットを通して光ビームを発する光源を含んでよい。この光ビームはディスクの回転毎に検出される。別の例としては、スロット・センサ・トリガは、ディスク13の回転と、モジュール16及び検出器18によるデータ取得とを同期させる目的で反射光を検知することができる。他の実施態様の場合、ディスク13は、スロットに加えて、又はスロットの代わりに、タブ、突起、又は反射面を含んでいてよい。スロット・センサ・トリガ27は、ディスク13の半径方向位置をこれが回転するのに伴って位置確認するために任意の物理的な構造又はメカニズムを使用してよい。光モジュール16がどの時点でも異なるチャンバとオーバラップするように、光モジュール16を回転プラットフォーム25の上方に物理的に取り付けてよい。
【0043】
検出装置10は、ディスク13上の試料22の温度を調節するために加熱エレメント(
図1には示されていないが、しかし模範的加熱エレメントが
図24に示されており、これについては下述する)を含むことができる。加熱エレメントは、反射封入体内部に含有された円筒形ハロゲン・バルブを含んでよい。反射チャンバはバルブからの輻射線をディスク13の半径方向セクション上に合焦させるように付形されている。一般に、ディスク13の加熱領域は、ディスク13が回転するのに伴って環状リングを含むことができる。この実施態様では、反射封入体の形状は、正確な合焦を可能にする楕円形及び球形の幾何学的形状の組み合わせであってよい。他の実施態様の場合、反射封入体は異なる形状を有していてよく、又はバルブはより広い面積を広範に照射してもよい。他の実施態様では、反射封入体は、バルブからの輻射線をディスク13の単一領域上、例えば試料22を含有する単一の処理チャンバ上に合焦させるように付形されていてよい。
【0044】
いくつかの実施態様の場合、加熱エレメントは空気を加熱し、そして高温空気を1つ又は2つ以上の試料上に押し動かすことにより温度を調節することができる。加えて、試料をディスクによって直接に加熱してもよい。この場合には、加熱エレメントをプラットフォーム25内に配置し、そしてディスク13に熱カップリングしてよい。加熱エレメント内部の電気抵抗は、制御ユニット23によって制御された状態で、選択されたディスク領域を加熱することができる。回転ディスク13と一緒に使用するための模範的な加熱エレメントが、2005年7月5日付けで出願されたHEATING ELEMENT FOR A ROTATING MULTIPLEX FLUORESCENCE DETECTION DEVICEと題する米国特許出願公開第2007/0009382号明細書(Bedingham他)に記載されている(この内容全体は参照することにより本明細書中に取り入れられる)。
【0045】
或いは、又は加えて、装置10は冷却構成部分(図示せず)を含んでもよい。装置10内にファンを含むことにより、冷気、すなわち室温空気をディスク13へ供給することができる。試料の温度を適切に調節し、そして試験完了後に試料を保存するために冷却が必要となる場合がある。他の実施態様では、冷却構成部分はプラットフォーム25とディスク13との間の熱カップリングを含んでよい。それというのも、プラットフォーム25は必要な場合にはその温度を低減し得るからである。例えばいくつかの生物学的試料を4℃で保存することにより、酵素活性又はタンパク質変性を低減することができる。
【0046】
検出装置10は、処理チャンバ内部に含有された反応種を制御できるようになっていてもよい。例えば何らかの種を処理チャンバ内にローディングすることにより1つの反応を生じさせ、そして最初の反応が終了したら、後から別の種を試料に添加することが有益である場合がある。弁制御システムを利用して、処理チャンバから内側保持チャンバを分離する弁を制御し、これにより、ディスク13の回転中のチャンバへの種の添加を制御してよい。弁制御システムは光モジュール16のうちの1つのモジュール内部に配置されるか又はこれに取り付けられていてよく、或いは光モジュール16から分離していてもよい。レーザーの真下、ディスク13の下に、ディスク13に対してレーザーを位置決めするためのレーザーセンサがあってよい。
【0047】
1実施態様の場合、弁制御システムは、近赤外(NIR)レーザーを含む。近赤外レーザーは、センサとの組み合わせで2つ又は3つ以上の出力レベルで駆動され得る。低い出力設定下では、レーザーは、例えばディスク13のスロットを通るレーザーによって発せられるNIR光を検知するセンサによって、ディスクを位置決めし、選択弁をターゲットするために使用することができる。ターゲットされた弁を所定の位置に回転させると、制御ユニット23が、高出力エネルギーのショート・バーストを出力するようにレーザーを導き、これにより弁を加熱して、ターゲットされた弁を開くことができる。エネルギーのバーストは、例えば穿刺、溶融、又はアブレートによって弁内にボイドを形成し、弁を開かせ、流体が内側保持チャンバからチャネルを通って外側処理チャンバへ流れるのを可能にする。いくつかの実施態様の場合、ディスク13は種々のサイズ及び材料の複数の弁を含むことにより、複数の反応を順番に発生させることができる。複数のチャンバ弁を有するディスクを利用する場合には、2つ以上の弁制御システム・セットを使用してもよい。
【0048】
データ取得装置21は、それぞれの色素に対する装置10からのデータを順次に又は並行して収集することができる。1実施態様の場合、データ取得装置21は、光モジュール16からのデータを順次に収集し、そしてスロット・センサ・トリガ27から受信された出力信号から測定された光モジュール16のうちのそれぞれ1つに対するトリガ遅延によって空間的オーバーラップを補正する。
【0049】
装置10のための1つの用途はリアルタイムPCRではあるが、しかし本明細書中に記載された技術は、複数の波長で蛍光検出を利用する他のプラットフォームに範囲が及んでもよい。装置10は、高速熱サイクリング、熱エレメントの利用、及び核酸の単離、増幅、及び検出のための遠心分離誘起型マイクロフルイディクスを組み合わせることができる。多重蛍光検出を利用することによって、複数のターゲット種を並行して検出し分析することができる。
【0050】
リアルタイムPCRの場合、蛍光を使用して、3つの一般技術のうちの1つにおいて増幅の量を測定する。第1技術は色素、例えばSybr Green (Molecular Probes, Eugene, Oregon)の使用である。その蛍光は二重鎖DNAに結合すると増大する。第2技術は蛍光標識プローブを使用する。このプローブの蛍光は、増幅されたターゲット配列に結合されると変化する(ハイブリダイゼーション・プローブ、ヘアピン・プローブなど)。この技術は、二重鎖DNA結合色素の使用と同様ではあるが、しかしより特異的である。なぜならばプローブはターゲット配列の所定区分にだけ結合するからである。第3技術は、加水分解プローブ(TaqmanTM, Applied BioSystems, Foster City California)の使用である。このプローブにおいて、ポリメラーゼ酵素のエキソヌクレアーゼ活性は、PCRの伸長段階中にプローブからクエンチャー分子を開裂し、これを蛍光活性にする。
【0051】
これらのアプローチのそれぞれにおいて、蛍光は、増幅されたターゲット濃度に対して線形比例する。データ取得装置21は、近リアルタイムで増幅を観察するために、PCR反応中に検出器18からの(或いは任意には制御ユニット23によってサンプリングされ通信された)出力信号を測定する。多重PCRにおいて、複数のターゲットには、独立して測定される種々異なる色素が標識付けされている。大まかに言えば、それぞれの色素は異なる吸光度及び発光スペクトルを有することになる。このような理由から、光モジュール16は、種々異なる波長で試料22に問い合わせるために光学的に選択された励起源、レンズ、及び関連フィルタを有していてよい。
【0052】
図2は、模範的な光モジュール16Aを示す概略図である。この光モジュールは
図1の光モジュール16のうちのいずれかに相当し得る。この例では、光モジュール16Aは高出力励起源、LED30、コリメーティング・レンズ32、励起フィルタ34、ダイクロイック・フィルタ36、集束レンズ38、検出フィルタ40、及びレンズ42を含むことにより、蛍光を光ファイバ束14の1つの脚部内に合焦させる。
【0053】
その結果、LED30からの励起光は、コリメーティング・レンズ32によってコリメートされ、励起フィルタ34によってフィルタリングされ、ダイクロイック・フィルタ36を透過させられ、収束レンズ38によって試料22内に合焦させられる。試料によって発せられた結果としての蛍光は、同じ集束レンズ38によって収集され、ダイクロイック・フィルタ36から反射させられ、そして検出フィルタ40によってフィルタリングされた後、光ファイバ束14の1つの脚部内に合焦させられる。光ファイバ束14は次いで光を検出器18に伝送する。
【0054】
LED30、コリメーティング・レンズ32、励起フィルタ34、ダイクロイック・フィルタ36、集束レンズ38、検出フィルタ40、及びレンズ42は、光モジュール16Aとともに使用されるようになっている多重色素の特異的な吸収帯及び発光帯に基づいて選択される。このようにして、複数の光モジュール16は、種々異なる色素をターゲットするように装置10内部に構成されローディングされていてよい。
【0055】
下記の表は、4チャネル多重蛍光検出装置10内で使用し得る模範的な構成部分を挙げている。好適な色素の一例としては、5−カルボキシフルオレセイン色素、すなわちApplera, Norwalk, Californiaから商品名FAMで入手可能なフルオレセイン誘導体;6−カルボキシ−2’,4,4’,5’,7,7’−ヘキサクロロフルオレセイン色素、すなわちAppleraから商品名HEXで入手可能なフルオレセイン誘導体;6−カルボキシ−4’,5’−ジクロロ−2’,7’−ジメトキシフルオレセイン色素、すなわちAppleraから商品名JOEで入手可能なフルオレセイン誘導体;Appleraから商品名VICで入手可能なフルオレセイン誘導体;Appleraから商品名TETで入手可能なフルオレセイン誘導体;6−カルボキシ−X−ローダミン色素、すなわちInvitrogen, Carlsbad, Californiaから商品名ROXで入手可能なローダミン色素;Invitrogenから商品名SYBR(下記表では「Sybr Green」と称する)で入手可能なインターカレーティング色素;Invitrogenから商品名TEXAS RED(下記表では「Tx Red」と称する)で入手可能なローダミン誘導体色素;5−N−N’−ジエチルテトラメチルインドジカルボシアニン色素、すなわちAmersham, 英国Buckinghamshireから商品名CY5(下記表では「Cy5」と称する)で入手可能なシアニン誘導体;BioSearch Technologies, Novato, Californiaから商品名CAL FLUOR RED 610(下記表では「CFR610」と称する)入手可能なホスホラミダイト誘導体色素;及びBioSearch Technologies, Novato, Californiaから商品名QUASAR 670(下記表では「Quasar670」と称する)で入手可能なインドカルボシアニン誘導体色素が挙げられる。
【0057】
上記モジュール式多重検出アーキテクチャの1つの利点は、多種多様の色素に対する検出を最適化する上で、且つ/又は材料、又は材料の選択された体積がディスク13の特定チャンバ内に存在するかどうかを判定する際にフレキシビリティがあることである。考えられる限りでは、使用者はいくつかの異なる光モジュール16から成る列を有していてよい。これらの光モジュールは必要に応じて装置10内にプラグ接続することができる。N個の光モジュールをどの時点でも使用することができる。ここでNは装置によって支持されるチャネルの最大数である。加えて、光モジュール16のうちの1つ又は2つ以上の光モジュールの光チャネルのうちの1つ又は2つ以上を、専ら材料、又は材料の選択された体積がディスク13の特定チャンバ内に存在するかどうかを検知する(例えば光学的に問い合わせる)ようにすることができる。例えば、いくつかの実施態様の場合、ディスク13に向けられた電磁信号の後方散乱反射を検出するには、FAM光チャネルが特に好適であり得る。そしていくつかの実施態様では、蛍光を使用して検出チャンバ内の材料、又は材料の選択された体積の存在を検出するにはCFR610光チャネルが特に好適であり得る。従って、装置10及び光モジュール16は、任意の蛍光色素及びPCR検出法とともに使用されてよい。より大型の光ファイバ束を使用してより多数の検出チャネルを支持することができる。さらに、複数の光ファイバ束を複数の検出器とともに使用することができる。例えば2つの4脚部光ファイバ束を8つの光モジュール16及び2つの検出器18と一緒に使用してよい。
【0058】
図3は、ハウジング内部の取り外し可能な光モジュールの模範的なセットを示す正面図である。
図3の例では、装置10はベースアーム44とモジュール・ハウジング46とを含む。主要光モジュール48、補足光モジュール52、及び補足光モジュール56がモジュール・ハウジング46内部に含まれている。光モジュール48,52及び56はそれぞれ光出力ビーム43,49,53及び57を生成する。これらのビームはディスク13の種々異なる処理チャンバを順次に励起する。換言すれば、出力ビーム43,49,53及び57はディスク13の湾曲に従うことにより、処理チャンバを含有するディスクの同じ半径方向位置をそれぞれ励起する。光モジュール48は2つの光チャネルを含有している。これらの光チャネルはそれぞれ異なるビーム43及び49を出力する。図示のように、スロット・センサ・トリガ27は赤外線源31を含むことができる。赤外線源は、検出器33によって検出される光35を生成する。
【0059】
光モジュール48,52及び56のそれぞれは、モジュール・ハウジング46と係合するために、それぞれリリース・レバー50,54又は58を含むことができる。それぞれのリリース・レバーは、モジュール・ハウジング46内部に形成されたそれぞれのラッチと係合するために、上向きの付勢をもたらすことができる。技術者又は他の使用者は、モジュール・ハウジング46から光モジュール48,52及び56を係止解除して取り外すために、リリース・レバー50,54又は58を押し下げることができる。バーコード・リーダー29は、ディスク13を識別するためのレーザー62を含むことができる。
【0060】
ベースアーム44は検出装置10から延びており、モジュール・ハウジング46及び光モジュール48,52及び56のための支持体を提供する。モジュール・ハウジング46はベースアーム44上に固定的に取り付けられていてよい。モジュール・ハウジング46は、光モジュール48,52及び56のうちのそれぞれ1つを受容するように適合された場所を含んでいてよい。例示を目的としてモジュール・ハウジング46に関して記載しているが、検出装置10のモジュール・ハウジング46は光モジュール48,52及び56を受容するための複数の場所を有していてもよい。換言すれば、光モジュール48,52及び56のために、別個のハウジングを使用することが必要とならない。
【0061】
モジュール・ハウジング46のそれぞれの場所は、1つ又は2つ以上の軌道又はガイドを含有していてよい。これらの軌道又はガイドは、技術者又は他の使用者が光モジュールを挿入するときに、その場所内部に関連光モジュールを正確に位置決めするのを助ける。これらのガイドはそれぞれの場所の上部、底部、又は側部に沿って配置されていてよい。光モジュール48,52及び56のそれぞれはガイド又は軌道を含んでよい。これらのガイド又は軌道は、モジュール・ハウジング46の場所のガイド又は軌道と対合する。例えばモジュール・ハウジング46は、光モジュール48,52及び56の凹状ガイドと対合する突出ガイドを有していてよい。
【0062】
いくつかの実施態様の場合、モジュール・ハウジング46は、光モジュール48,52及び56のそれぞれを完全には取り囲まなくてもよい。例えば、モジュール・ハウジング46は、光モジュール48,52及び56のそれぞれをベースアーム44に固定するための取り付け点を提供してよいが、しかしそれぞれの光モジュールの部分又は全ては露出されてよい。他の実施態様では、モジュール・ハウジング46は、光モジュール48,52及び56のそれぞれを完全に取り囲んでいてよい。例えばモジュール・ハウジング46は、光モジュール48,52及び56上を閉鎖する単一のドア、又はモジュールそれぞれのためのそれぞれのドアを含んでいてよい。この実施態様は、モジュールがめったに取り外されない用途、又は検出装置10が極端な環境条件に晒されている用途に適している。
【0063】
技術者ならば、光モジュール48,52及び56のいずれも容易に取り除くことができ、このことは片手だけを使用して完了することができる。例えば、技術者は光モジュール52のリリース・レバー54の下方に配置された成形リップの下に人差し指を当てることができる。次いで技術者の親指がリリース・レバー54を押し下げることにより、光モジュール52をモジュール・ハウジング46から解放することができる。親指と人差し指との間に光モジュール52を掴みながら、技術者は光モジュールを引き戻すことにより、光モジュールを検出装置10から取り外すことができる。両手での取り外しを利用する方法を含む他の方法を用いて、光モジュール48,52及び56のいずれかを取り外してもよい。光モジュール48,52及び56のいずれかの挿入は、片手又は両手で逆の形式で達成することができる。
【0064】
図3の例では、2つの光モジュールの構成部分が、主要光モジュール48を形成するように組み合わされている。主要光モジュール48は、2つの異なる光波長を生成する光源と、ディスク13内の試料からそれぞれの異なる蛍光波長を検出するための検出器とを含有していてよい。従って、主要光モジュール48は、光ファイバ束14の2つの脚部に接続してよい。こうして主要光モジュール48は、2つの独立した光励起・収集チャネルを有する二重チャネル光モジュールと見なすことができる。いくつかの実施態様では、主要光モジュール48は3つ以上の光モジュールのための光学成分を含有していてよい。他の事例では、モジュール・ハウジング46は、複数(2つ又は3つ以上)の単一チャネル光モジュール、例えば補足光モジュール52及び56を含有している。さらに他の事例では、モジュール・ハウジング46は、1つ又は2つ以上の二重チャネル光モジュール48と1つ又は2つ以上の単一チャネル光モジュール52,56との組み合わせを含有している。
【0065】
図3に示されているように、主要光モジュール48は、(光モジュール48内部に配置された)レーザー弁制御システム51のための構成部分を含有していてもよい。レーザー弁制御システム51は、ディスク13の外縁部近くに配置された小さなスロットによってディスク13の位置を検出する。検出器(図示せず)が低出力レーザー光55を検出することにより、ディスクを回転させるモータに対するディスク13の位置をマッピングする。制御ユニット23はマップを使用して、ディスク13上の弁(
図3には示されていない)を位置確認し、レーザー弁制御システム51を介してターゲット弁を開放位置に回転させる。
【0066】
ターゲット弁が所定の位置に位置すると、レーザー弁制御システム51は、高出力の1つ又は2つ以上のショート・バーストを用いてレーザー光55を弁に合焦させる。ショート・バーストは、例えば弁を穿刺、溶融、又はアブレートすることによってターゲット弁内にボイドを形成し、ディスク13が回転するのに伴って、内側保持チャンバの内容物が外側処理チャンバに流れるのを可能にする。次いで、検出装置10は、処理チャンバ内の後続の反応をモニタリングし、且つ/又は内容物、又はその選択された体積が処理チャンバに事実上移ったかどうかを検出することができる。チャンバ内部の内容物は、流体又は固体の状態の物質を含んでいてよい。
【0067】
いくつかの実施態様の場合、レーザー弁制御システム51は単一チャネル光モジュール、例えば補足光モジュール54又は補足光モジュール56内部に含有されていてよい。他の実施態様では、レーザー弁制御システム51は、光モジュール48,52及び56のいずれとも別個に検出装置10に取り付けられていてよい。この場合、レーザー弁制御システム51は取り外し可能であり、そしてモジュール・ハウジング46内部又は検出装置10の異なるハウジング内部の所定の場所と係合するように適合されてよい。
【0068】
図3の例において、ディスク13のいずれかの側で、取り外し可能なモジュールの近くにスロット・センサ・トリガ27が配置されている。1実施態様では、スロット・センサ・トリガ27は光源31を含有することにより、赤外線(IR)35を発する。ディスク13内のスロットが、光がディスクを通って検出器33に達するのを可能にすると、検出器33はIR線35を検出する。制御ユニット23は検出器33によって生成された出力信号を使用して、光モジュール48,52及び56からのデータ取得をディスク13の回転と同期させる。いくつかの実施態様の場合、装置10の動作中、スロット・センサ・トリガ27はベースアーム44から延びてディスク13の外縁部に達することができる。他の実施態様では、機械的検出器を使用して、ディスク13の位置を検出することができる。
【0069】
バーコード・リーダー29は、ディスク13の側縁部上に配置されたバーコードを読み取るためにレーザー62を使用する。バーコードはディスク13のタイプを識別することにより、装置10の適切な動作を可能にする。いくつかの実施態様では、バーコードは実際のディスクを識別することにより、技術者が複数のディスク13から特定試料のデータを追跡するのを助けることができる。
【0070】
光モジュール48,54及び56の全ての表面構成部分は、ポリマー、複合材料、又は金属合金から構成されていてよい。例えば、表面構成部分を形成する際には高分子量ポリウレタンを使用してよい。他の事例では、アルミニウム合金又は炭素繊維構造が形成されていてもよい。いずれの場合にも材料は耐熱性、耐疲労性、耐応力性、耐腐食性であってよい。検出装置10が生物学的材料と接触することがあるので、構造はチャンバ内容物がディスク13から漏れ出す場合に滅菌可能であってよい。
【0071】
図4は、検出装置10のモジュール・ハウジング46内部の取り外し可能な光モジュール48,52及び56の模範的なセットを示す側面図である。
図4の例において、ベースアーム44はバーコード・リーダー29、並びにモジュール・ハウジング46内部に取り付けられた取り外し可能な光モジュール48,52及び56を支持している。ディスク13は光モジュール48,52及び56の下方に配置されており、この場合、試料22は異なる時点で各モジュールのそれぞれの経路の下に位置する。
【0072】
モジュール・ハウジング46内部には、補足光モジュール56及び主要光モジュール48の前面を見ることができる。補足光モジュール56は成形リップ59とリリース・レバー58とを含有している。前述のように、モジュール・ハウジング46に対して光モジュールを取り外し又は挿入するときには、成形リップ59を使用してモジュール56を掴むことができる。光モジュール48,52及び56の全てはそれぞれの成形リップ及びリリース・レバーを有していてよく、又は単一のリリース・レバーを使用して光モジュールの全てを取り外すことができる。いくつかの実施態様の場合、光モジュール48,52及び56は、モジュールを掴むための異なる構成部分を含有していてよい。例えば光モジュール48,52及び56のそれぞれは、モジュール・ハウジング46から鉛直方向又は水平方向にそれぞれのモジュールを取り外すためのハンドルを含有していてよい。
【0073】
モジュール・ハウジング46内部の光モジュール48,52及び56の場所は、いかなる時点でもディスク13内部の異なる試料を別々に励起するように固定されていてよい。例えば主要光モジュール48は、補足光モジュール52及び56よりも僅かにベースアーム寄り44に配置されていてよい。補足光モジュール52及び56は、主要光モジュールのいずれかの側の場所に対してオフセットされている。さらに、光モジュール48,52及び56は、水平方向でオフセットされて(
図4では矢印によって示されている、図のXは、外側光ビームが内側光ビームからオフセットされている距離である)、光モジュールによって生成された励起光ビームがディスクの湾曲に従うようになっていてよい。この配置関係では、光モジュール48,52及び56によって生成された光ビームは、ディスク13が回転するのに伴って同じ経路をトラバースし、これにより、経路に沿って配置された処理チャンバからの光を励起して収集する。いくつかの実施態様の場合、光モジュール48,52及び56は、励起光ビームが回転ディスク13の周りの異なる経路をトラバースするように整列させることができる。いくつかの実施態様では、光モジュール48,52及び56は、励起光ビームが回転ディスク13の周りの異なる経路、同じ経路、又はこれらの組み合わせの経路をトラバースするように整列させることができる。
【0074】
この例では、ベースアーム44は電気接点ボード66を含有する。電気接点ボード66はモジュール・ハウジング46内に延びている。モジュール・ハウジング46の内部で、電気接点ボード66は光モジュール48,52及び56のそれぞれのための電気接点を含有することができる。電気接点ボード66は制御ユニット23に電気的にカップリングされていてよい。いくつかの実施態様の場合、光モジュール48,52及び56のそれぞれは、制御ユニット23に接続された別個の連携電気接点ボードを有していてよい。いくつかの実施態様の場合、制御ユニット23及びデータ取得装置21の少なくとも一部を、
図3〜
図8の装置10の外部に配置することができる。いくつかの実施態様の場合、制御ユニット23の少なくとも一部を、光モジュール48,52及び56のうちの1つ又は2つ以上の内部に配置してよい。
【0075】
光ファイバ・カプラー68が、光ファイバ束14の一方の脚部を光モジュール56の光出力ポートにカップリングする。図示はされていないが、光モジュール48,52及び56のそれぞれは、モジュール・ハウジング46に取り付けられたそれぞれの光ファイバ・カプラーと係合するように適合された光出力ポートを含んでいる。光ファイバ・カプラー68と光ファイバ束14との接続はねじ山付きねじロック、スナップ・クロージャ、又は摩擦力結合であってよい。
【0076】
バーコード・リーダー29は、ディスク13のバーコードを読み取るためのレーザー光64を生成する。レーザー光64は、ディスク13の外縁部と相互作用する直接経路に従う。光64は一度にディスク13の大面積をカバーするように広がってよい。いくつかの実施態様の場合、ディスクが低速で回転しているときに、バーコード・リーダー29はディスク13上のバーコードを読み取ることができる。他の実施態様の場合、バーコード・リーダー29は動作中に定期的にバーコードを読み取ることにより、新しいディスクが装置10内にローディングされていないことを確認することができる。バーコード・リーダー29は他の実施態様においてディスク13上の2つ以上のバーコードを検出することができる。
【0077】
いくつかの実施態様の場合、ベースアーム44は、例えばガントリ・システム上の種々のガントリ位置間で、ディスク13に対して運動可能であってよい。この場合、ベースアーム44は、種々異なるサイズのディスク上の試料、又はディスク13の内部に配置された試料を検出するように形成可能であってよい。例えば、ディスク13の中心からベースアーム44を遠ざけることにより、より多くの処理チャンバ又はより大きな処理チャンバを含有するより大きなディスクを使用することができる。モジュール・ハウジング46は、光モジュール48,52又は56のそれぞれのための設定可能な位置を有してもよいので、各光モジュールはディスク13の周りの処理チャンバの1つ又は2つ以上の円形経路に移動可能であってよい。いくつかの実施態様の場合、ベースアーム44はディスク13の中心に対して半径方向内側及び半径方向外側に向かって移動可能であってよく、そしてガントリ位置は概ね[半径方向のガントリ位置」又は「半径方向位置」と呼ぶことができる。
【0078】
図5は、モジュール・コネクタを露出させるために1つのモジュールが取り外された状態で装置10を示している。具体的には、モジュール・ハウジング46が
図5には示されておらず、そして光モジュール56を取り外すことにより、取り外されたモジュール56のための接続部とともに光モジュール52及び48を露出させている。
【0079】
光モジュール56のリリース・レバー58(
図3)は、ベースアーム44に取り付けられた取り付けポスト69に固定的に結合している。この例では、取り付けポスト69は光モジュール56内に延びており、リリース・レバー58にカップリングされている。他の実施態様では、他の取り付けメカニズム、例えばねじ又はスナップ固定装置を使用して、光モジュール56をベースアーム44に固定することができる。
【0080】
ベースアーム44は、光モジュール56が挿入されたらこれを受容してこれと係合するための、モジュール・ハウジング46内部の2つの異なる動作接続部を提供する。具体的には、ベースアーム44は電気接点ボード66を提供する。電気接点ボード66は、光モジュール56内部に含有された電気接点(図示せず)とカップリングするための電気接続部70を含んでいる。電気接続部70は、制御ユニット23がモジュール56内部の電気的構成部分と連通するのを可能にする。例えば、モジュール56は電気回路、ハードウェア、ファームウェア、又はこれらの任意の組み合わせを含んでよい。1つの例において、内部電気的構成部分は、固有識別情報、例えばシリアルナンバーを記憶し、これを制御ユニット23に出力してよい。或いは、又は加えて、電気的構成部分は、取り外し可能なモジュール56内部に含有された光学的構成部分の具体的特徴を記述する情報を提供してもよい。例えば、電気的構成部分は、プログラム可能な読み取り専用メモリー(PROM)、フラッシュメモリー、又は他の内部の又は取り外し可能な記憶媒体を含んでよい。他の実施態様は一連の抵抗器、回路、又は光モジュール48,52又は56の独自のシグネチャを制御ユニット23に出力するための埋め込み型プロセッサを含んでいてよい。別の例では、光モジュール56は、レーザー源、及びレーザー弁制御システム、すなわちレーザー弁制御システム51の部分を形成する他の構成部分を含んでいてよい。
【0081】
電気接点ボード66を取り外して、異なる取り外し可能な光モジュールと関連する別のバージョンと交換することができる。この選択肢は装置性能のアップグレードを支援し得る。他の実施態様の場合、接続部70はより多くの又はより少ない接続ピンを含有していてよい。
【0082】
加えて、ベースアーム44及びモジュール・ハウジング46は、光モジュール56を受容するための場所内部に光チャネル72を提供する。光チャネル72は、光ファイバ束14の脚部とインターフェイスをとる光ファイバ・カプラー68(
図4)に接続されている。光チャネル72は、光モジュール56内部の場所に挿入されている。光モジュール56によって捕捉された光は光チャネル72、光ファイバ・カプラー68、及び光ファイバ束15を通って検出器18に導かれてよい。これらの接続部間のフィッティングは、光が逃げない又は光路に入らないことを保証するために緊密であってよい。
【0083】
いくつかの実施態様の場合、光モジュール56との接続部は異なる形態で配置されていてよい。例えば接続部は、別の方向から光モジュール56を受容するために別の位置に配置されていてよい。他の実施態様では、電気的接続部が光モジュール56の一方の側に配置されているのに対して、光モジュール56の第2の表面上には光学的接続部が配置されている。いずれの事例においても、モジュール・ハウジング46の場所内に配置された電気的接続部及び光学的接続部は、取り外し可能な光モジュール、すなわちこの例では光モジュール56を収容している。
【0084】
図5に示された光モジュール56の光学的接続部及び電気的接続部は、光モジュール48及び52を含む任意のモジュールと一緒に使用してよい。加えて、それぞれの光モジュールのための接続部は同一でなくてもよい。所期取り外し可能な光モジュールとカップリングするために接続部を改変することができるため、モジュール・ハウジング46の特定場所内部に挿入された特定の光モジュールによって利用される接続部はいかなる時点でも変わることができる。
【0085】
図6は、模範的な取り外し可能な主要光モジュール48の内部構成部分を示している。
図6の例において、主要光モジュール48はリリース・レバー50、ピボットピン61、及びラッチ74を含んでいる。内側ハウジング78はモジュール48のそれぞれの側を分離し、そしてリボン81に結合された電気接点パッド80を含有している。光学的構成部分は、LED82、コリメーティング・レンズ84、励起フィルタ86、ダイクロイック・フィルタ88、集束レンズ90、検出フィルタ92、及びレンズ94を含む。光出力ポート17は光ファイバ束14の脚部にカップリングされている。第2光チャネル(図示せず)のための別個の光学的構成部分セットが内側ハウジング78の他方の側に配置されている。加えて、主要光モジュール48はコネクタ96、レーザーダイオード98、及び、制御ユニット23によって制御されるレーザー弁制御システム51の部分としての集束レンズ100を含んでいる。
【0086】
リリース・レバー50はピボットピン61によって光モジュール48に取り付けられている。ピボットピン61は、リリース・レバー50がピン61の軸を中心として回転するのを可能にする。リリース・レバー50が押し下げられると、アーム63はピン61の軸を中心として反時計回りに回転することによりラッチ74を持ち上げる。ラッチ74が持ち上げられると、光モジュール48はモジュール・ハウジング46からの取り外しが自由になる。リリース・レバー50に抗する付勢力を維持するばね又は他のメカニズムが存在することにより、ラッチ74を下側位置に維持することができる。いくつかの実施態様では、ラッチ74を下側位置又は係止位置に維持するモーメント・アームを提供するために、ピボットピン61の周りにばねが含まれていてよい。他の実施態様では、他の取り付けメカニズムを上記レバーに付加するか、又は上記レバーの代わりに使用してよい。例えば、1つ又は2つ以上のねじ又はピンによって、モジュール・ハウジング46には光モジュール48を付加することができる。
【0087】
伝達リボン81及びLED82を取り付けるために、光モジュール48内部に取り付けボード76が設けられていてよい。リボン81は電気接点パッド80に接続されており、パッドと光モジュール48内部の電気的構成部分との接続を可能にする。接点パッド80及びリボン81は、レーザー弁制御システム51及び任意の内部メモリ又は他の記憶媒体を含む、主要光モジュール48の両方の側に必要とされる情報を運搬することができる。リボン81は光モジュール48内部で曲がりくねって進むために可撓性であってよい。リボン81は、電気的構成部分と制御ユニット23との間で信号を交信するために、且つ/又は電気的構成部分に電力を送達するために、複数の導電性ワイヤを含有していてよい。いくつかの実施態様では、それぞれの電気的構成部分は、構成部分と制御ユニット23とを接続する別個のケーブルを有していてよい。ハウジングから光モジュール48を取り外すときに、技術者がモジュール・ハウジング46からケーブル又はフレックス回路を断絶することを必要とする場合がある。
【0088】
いくつかの実施態様の場合、光モジュール48は、ディスク13からの光を検出するための検出器と、データを処理して記憶するための電子装置とを含有していてよい。電子装置は、検出された光を表すデータを制御ユニット23へ無線転送するための遠隔測定回路を含有していてよい。無線通信は赤外線、ラジオ周波数、ブルートゥース(Bluetooth)、又は他の遠隔測定技術によって実施することができる。光モジュール48は電子装置に給電するためのバッテリを含んでよい。バッテリは例えば制御ユニット23によって再充電可能であってよい。
【0089】
LED82は、取り付けボード76に固定されており、リボン81に電気的にカップリングされている。LED82は所定の波長の励起光49を生成することにより、試料22を励起する。励起光43は第2光チャンバ(図示せず)によって生成される。光49がLED82を去った後、光が励起フィルタ86に入る前に、コリメーティング・レンズ84によって拡張される。1つの波長帯域の光49はダイクロイック・フィルタ88を通過し、集束レンズ90によって試料上に合焦される。光49は試料を励起し、集束レンズ90によって蛍光が収集され、そして蛍光はダイクロイック・フィルタ88によって検出フィルタ92に送達される。結果としての光波長域はレンズ94によって収集され、光出力ポート17に送達される。光出力ポート17では、収集された蛍光は、検出器18への搬送のために光ファイバ束14の脚部に入る。このような蛍光は(例えば手近のアッセイの結果として)当該被分析物の存在を示すことができ、且つ/又は、例えば材料がチャンバ内の特定の場所又は高さに存在するかどうかを見るために、チャンバの特定位置(例えば半径方向位置)に光学的に問い合わることによって、このような蛍光は材料の選択された体積の存在を示すことができる。チャンバが光学的に問い合わされるときには、材料がチャンバ内に存在するかどうかを判定するために、チャンバは当該材料の光学特性に関して問い合わされる。このような光学特性は、例えば吸収率、蛍光、レイリー(Rayleigh)後方散乱、発せられた電磁信号の後方散乱反射率など、又はこれらの組み合わせを含む。
【0090】
上記光学特性のうちのいずれかに関して問い合わせることによって、「信号」を形成することができ、この信号はベースラインからの増大及び/又は減少であってよい。例えば信号は下記モードに由来することができる:
(i) 後方散乱(又は反射)−屈折率の変化により液体中のメニスカスを検出すること、被検出材料中の粒子を検出すること、被問い合わせディスク13上のチャンバの後ろ側からの反射、又はこれらの組み合わせに由来する。
(ii) 蛍光−被検出材料の蛍光、又はバックグラウンド蛍光(例えば検出チャンバの底部を形成する表面内又は表面上にフルオロフォアが、例えば接着剤、又は被膜などに内蔵されることにより配置されている場合)の消光を検出することによって得られる。
【0091】
これらの検出モード、すなわち後方散乱モード及び蛍光モードの両方は、被検出材料とチャンバ内の空気と場合によってはディスク13内の材料との屈折率差によって、影響を及ぼされることがある。結果としての屈折は信号を増強又は減衰し得る。いくつかの実施態様の場合、当該チャンバの底部又は頂部を形成する表面上に、構造化面を配置することにより、光を合焦させ又は光を分散させるのを助けることができる。例えば被検出材料と同じ屈折率(=ほぼ1)を有する構造化材料は、乾燥時には検出経路から光を反射させ、そして湿潤時、つまり被検出材料と接触しているときには直線経路反射を可能にする。
【0092】
加えて、これらの検出モードの双方は、被検出材料、及び/又はディスク13の構成部分による信号の吸収によって影響を及ぼされることもある。いくつかの実施態様の場合、信号は、チャンバ底部を形成する表面内又は表面上にクロモフォアを配置する(例えば接着剤、又は被膜などに内蔵される)ことにより変調することができる。或いは、又は加えて、いくつかの実施態様の場合、材料をディスク13上にローディングする前又は後で、被検出材料にクロモフォアを添加することによって信号を変調することもできる。
【0093】
ディスク13、又はその一部、例えばディスク13上のチャンバ、又はディスク13上のチャンバ内部に配置された試料22によって、必ずしも試料を励起して蛍光をもたらすことなしに、光49を後方散乱させることができる。例えば、電磁信号(例えば光49)を検出チャンバ内に発することができ、検出チャンバからの電磁信号の後方散乱反射を検出することによって、スキャンを得ることができる。このような後方散乱反射は蛍光と同様に収集し検出することができる。すなわち、後方散乱光はレンズ94によって収集し、光出力ポート17に送達することができる。光出力ポート17において、収集された後方散乱光は、検出器18への搬送のために光ファイバ束14の脚部に入る。一例を挙げるならば、ディスク13からの後方散乱光の送達及び収集は、試料、又は試料の選択された体積がディスク13上の特定チャンバ内に存在するかどうかを判定する(例えば光学的問い合わせによって)1つの方法であり得る。較正する場合には、後方散乱電磁信号を使用して、チャンバ内の材料量を定量化することができる。
【0094】
内側ハウジング78は、試料を励起し、そして選択された波長に関して試料によって発せられた蛍光を検出する際に含まれる全ての構成部分を支持することができる。内側ハウジング78の他方の側では、光学的構成部分の類似の形態を含むことにより、異なる波長の光を生成し、相応する異なる蛍光波長を検出することができる。それぞれの側を分離することにより、一方の側から他方の側の光チャネルに入る光汚染を排除することができる。
【0095】
モジュール48のそれぞれの側の間には、レーザー弁制御システム51の構成部分が部分的に収容されている。これらの構成部分は、コネクタ96と、レーザーダイオード98と、集束レンズ100とを含む。内側ハウジング78は、これらの構成部分のための物理的支持体を提供することができる。リボン81は駆動信号及び電力をレーザー源に伝達するためにコネクタ96に接続されている。レーザーダイオード98はコネクタ96に接続されており、ディスク13上の弁を開くために使用されるレーザーエネルギー55を生成する。レーザーダイオード98は、レーザーエネルギー55をディスク13上の特定の弁に導くために、この近赤外線(NIR)を集束レンズ100に送達することができる。開かれる必要のある特定の弁を位置確認するために、ディスク13の下方にNIRセンサを配置することができる。他の実施態様では、これらの構成部分は光学的構成部分とは別に収容されていてよい。
【0096】
いくつかの実施態様の場合、レーザー弁制御システム51の発光レンズ98及び集束レンズ100を単一チャネル光モジュール、例えば補足光モジュール52及び56(
図3)内部に含有することができる。
【0097】
図7は、検出装置10に対して容易に取り外し・挿入し得る模範的な補足光モジュールの内部構成部分を示している。
図7の例において、光モジュール56は主要光モジュール48と同様に、リリース・レバー58、ピボットピン59、及びラッチ102を含んでいる。光モジュール56はまた、リボン107に結合された電気接点パッド106を含んでいる。リボン107は取り付けボード104に接続されていてもよい。主要光モジュール48と同様に、光学的構成部分はLED108、コリメーティング・レンズ110、励起フィルタ112、ダイクロイック・フィルタ114、集束レンズ116、検出フィルタ118、及びレンズ120を含む。光出力ポート19は光ファイバ束14の脚部にカップリングされている。リリース・レバー58及びラッチ102は、
図6に示された上述の光モジュール48と実質的に同様に動作することができる。
【0098】
伝達リボン107及びLED108を取り付けるために、光モジュール56内部に取り付けボード104が設けられていてよい。リボン107は電気接点パッド106に接続されており、パッドと光モジュール56内部の電気的構成部分との接続を可能にする。接点パッド106及びリボン107は、光学的構成部分を操作するのに必要とされる情報を運搬することができる。リボン107は光モジュール56内部で曲がりくねって進むために可撓性であってよい。リボン107は、構成部分と制御ユニット23との間で信号を交信するために、且つ/又は電気的構成部分に電力を送達するために、複数の導電性ワイヤを含有していてよい。いくつかの実施態様では、それぞれの電気的構成部分は、構成部分と制御ユニット23とを接続する別個のケーブルを有していてよい。ハウジングから光モジュール56を取り外すときに、技術者がモジュール・ハウジング46からケーブル又はフレックス回路を断絶することを必要とする場合がある。
【0099】
図6に示された上述の光モジュール48と同様に、いくつかの実施態様の場合、光モジュール56は、ディスク13からの光を検出するための検出器と、データを処理して記憶するための電子装置とを含有していてよい。電子装置は、上記無線伝達モード又は技術のうちのいずれかを用いて、検出された光を表すデータを制御ユニット23へ無線転送するための遠隔測定回路を含有していてよい。光モジュール56は電子装置に給電するためのバッテリを含んでよい。バッテリは例えば制御ユニット23によって再充電可能であってよい。
【0100】
LED108は、取り付けボード104に固定されており、リボン107に電気的にカップリングされている。LED108は所定の波長の励起光101を生成することにより、試料22を励起する。光101がLED108を去った後、光が励起フィルタ112に入る前に、コリメーティング・レンズ110によって拡張される。1つの波長帯域の光101はダイクロイック・フィルタ114を通過し、集束レンズ116によって試料上に合焦される。光101は試料を励起し、集束レンズ116によって蛍光が収集され、そして蛍光はダイクロイック・フィルタ114によって検出フィルタ118に送達される。結果としての光波長域はレンズ120によって収集され、光出力ポート19に送達される。光出力ポート19では、収集された蛍光は、検出器18への搬送のために光ファイバ束14の脚部に入る。
【0101】
光モジュール48と同様に、必ずしも試料を励起して蛍光をもたらすことなしに、ディスク13、又はその一部、例えばディスク13上のチャンバ、又はディスク13上のチャンバ内部に配置された試料22からの後方散乱光を送達して検出するために、光モジュール56(及び/又は光モジュール52)を(又は光モジュール48の代わりに)使用することもできる。このような後方散乱反射は蛍光と同様に収集し検出することができる。すなわち、後方散乱光はレンズ120によって収集し、光出力ポート19に送達することができる。光出力ポート19において、収集された後方散乱光は、検出器18への搬送のために光ファイバ束14の脚部に入る。光モジュール48と同様に、蛍光及び/又は後方散乱光は、試料の選択された体積がディスク13上の特定チャンバ内に存在するかどうかを判定する手段であり得る。
【0102】
補足光モジュール56はレーザー弁制御システム51の構成部分を含有していてよい。レーザー弁制御システム51は、装置10内部で使用されるただ1つのシステムであるか、又は複数のレーザー弁制御システムのうちの1つであってよい。このシステムのための構成部分は、
図6の光モジュール48において記載した構成部分と同様であってよい。
【0103】
補足光モジュール56の構成部分は、任意の補足光モジュール、又は1つの光波長帯域を発して検出するために使用される任意の光モジュールに類似していてよい。いくつかの実施態様の場合、構成部分は、種々異なる試験用途に対応するために形態を変更することができる。例えば、異なる方向から挿入するように、或いは装置内の、ディスク13に対する異なる位置に配置するように、いずれの光モジュールも改変することができる。いずれの場合でも、光モジュールは、装置10に改変フレキシビリティを提供するように取り外し可能であってよい。
【0104】
図8は、ディスクに設けられたスロット上にレーザー弁制御システムが配置された装置ハウジング内部の取り外し可能な光モジュール48,52及び56の模範的セットを示す側面図である。
図8の例は
図4と類似している。しかし、レーザー弁制御システム51は、エネルギー源、すなわちレーザーダイオードからレーザー光71をディスク13のスロット75を通すように位置決めされている。光がスロット75を通るとセンサ73がレーザー光71を検出する。
【0105】
ガントリ60を使用して、モジュール・ハウジング46、及び含有される光モジュール48,52及び56をディスク13の中心に対して水平方向(
図8で矢印及びXによって示される)に動かすことができる。換言すれば、モジュール・ハウジング46、及び含有される光モジュール48,52及び56は、ディスク13の中心に対して半径方向に動くことができる。ガントリ60の他の運動方向を、例えば二次元平面、三次元空間などで採用することもできる。レーザー光71をレーザーによって、低減された電流で発することにより、ディスク13内のスロット75を位置確認するための低出力輻射線(例えば近赤外線(NIR))を生成することができる。いくつかの事例において、レーザー弁制御システム51はスロット75を位置確認するためにレーザー光71を出力している間、ガントリ60はモジュール・ハウジング46を水平方向に並進させることができる。
【0106】
レーザー光がスロット75を通って移動すると、センサ73はレーザー光71を検出することができ、これによりセンサ73は、検知された低出力レーザー光71を表す電気信号を制御ユニット23に出力するようにする。センサ73からの電気信号を受信すると、制御ユニット23は、検知されたディスク位置を、回転プラットフォーム25の既知の位置に対してマッピングし、回転プラットフォーム25の既知の位置に対するディスク13のそれぞれの弁の位置を識別する位置マップを構成する。制御ユニット23は、構成された位置マップを続いて使用することにより、レーザーを動かすか、ディスクを回転させるか、又はその両方を行うことによって、ディスク13の所期の弁をターゲットする。他の実施態様では、レーザー弁制御システム51と同じ、ディスク13の側にセンサ73を配置することにより、ディスク13の反射部分からのレーザー光71を検出することができる。
【0107】
レーザー弁制御システム51を選択された弁上に位置決めしたら、制御ユニット23はレーザー弁制御システムが高出力エネルギーの短パルス(例えば1ワット(W)で1秒)を送達することにより選択された弁を開くように導く。弁は、発せられた電磁エネルギー、すなわちレーザー光71を吸収するポリマー、又は類似の材料から成っていてよく、レーザー光はポリマーを破裂させ、これにより、内側保持チャンバと外側処理チャンバとの間のチャネルを開放する。他のエネルギー源を使用することもでき(例えばラジオ周波数エネルギー源)、そして生成されたエネルギーを吸収し、そして破裂(すなわち開放)する材料を選択することができる。弁が開かれると、ディスク13の回転は、それぞれの内側保持チャンバの内容物をそれぞれの外側処理チャンバへ誘導する。
【0108】
いくつかの実施態様の場合、レーザー弁制御システム51とスロット・センサ・トリガ27とが、ディスク13の効果的な位置決めのために交信することができる。例えば、スロット・センサ・トリガ27は一般に、スロット75の存在を検知することにより、ディスク13の半径方向位置を確認することができる。レーザー弁制御システム51は、ディスク13のより正確な半径方向・角度位置に関して、スロット75の縁部のそれぞれを具体的に検出することができる。スロット75の縁部がスロット75自体よりも小さな形態であるので、レーザー弁制御システム51は、スロット・センサ・トリガ27よりも高い空間分解能検出システムを提供することができる。或いは、スロット・センサ・トリガ27が、より高い時間分解能を提供可能であってもよい。それというのも、スロット75の位置は高い回転速度で検出され得るからである。スロット75の縁部は、高い回転速度ではレーザー弁制御システム51によって検出できないことがある。
【0109】
さらに、いくつかの実施態様は、光路とディスク13上の構造とを整合させるように構成部分を水平方向(又は半径方向)に動かすためのガントリ60を含まないことがある。例えば、レーザー弁制御システム51及び光モジュール48,52及び56は、ディスク13の中心から適切な半径方向距離を置いて固定されていてよい。別の例としては、レーザー弁制御システム51及び/又は光モジュール48,52及び56は、ディスク13の種々異なる半径方向位置にレーザー光を向けるように、制御ユニット23の誘導のもとで旋回することができる。
【0110】
図9は、多重蛍光検出装置10の機能ブロック図である。具体的には、
図9は、装置構成部分(実線矢印で示す)と、構成部分を通る概略的な光路(破線矢印で示す)の電気的接続を示している。
図9の例では、装置10は少なくとも1つのプロセッサ122又は他の制御論理、メモリ124、ディスク・モータ126、光源30、励起フィルタ34、レンズ38、検出フィルタ40、コリメーティング・レンズ42、検出器18、スロット・センサ・トリガ27、交信インターフェイス130、加熱エレメント134、レーザー136、及び電源132を含む。
図9に示されているように、レンズ38及び集光レンズ42は、別の構成部分に電気的に接続される必要はない。さらに、光源30、フィルタ34及び40、レンズ38及び集光レンズ42は1つの光モジュール16を形成する。
図9には示されていないが、装置10は前述のように、付加的な光学モジュール16を含有してよい。その場合、それぞれの付加的な光モジュールは
図9に示されたものと実質的に同様に配置された構成部分を含んでよい。
【0111】
光は
図9のいくつかの構成部分を通る所定の経路に従う。光が光源30によって発せられると、これは励起フィルタ34に入り、そして離散波長の光として去る。次いで光はレンズ38を通過し、この場所で光は検出装置10を去り、そして処理チャンバ(図示せず)内部で試料22を励起する。試料22は、異なる波長で蛍光を発するか又は光を後方散乱させることにより応答する。この時点で、光はレンズ38に入り、検出フィルタ40によってフィルタリングされる。フィルタ40は試料22からの所期の蛍光又は後方散乱光以外の波長のバックグラウンドを除去する。残りの光は集光レンズ42を通して送られ、そして検出器18によって検出される前に光ファイバ束14の脚部に入る。検出器18は続いて受信された光信号を増幅する。
【0112】
プロセッサ122、メモリ124、及び交信インターフェイス130は、制御ユニット23の部分であってよく、上述のように、制御ユニット23の1つ又は2つ以上の構成部分を光モジュール16内に配置してよい。プロセッサ122はディスク・モータ126を制御することにより、光(例えば蛍光)情報を収集するか、又は流体がディスク13を移動するようにする必要に応じて、ディスク13を回転又はスピンさせるように、プロセッサ122はディスク・モータ126を制御する。プロセッサ122は、スロット・センサ・トリガ27から受信されたディスク位置情報を使用して、回転中にディスク13上のチャンバの場所を識別し、そしてディスクから受信される光データの取得を同期することができる。プロセッサ122は、材料の選択された体積がディスク13の特定チャンバ内に必要なときに検出されなければ、中止し、キャンセルし、且つ/又はエラーコード、警告、又は通知を出力してもよい。
【0113】
プロセッサ122は、光学モジュール16内部の光源30がオン・オフされるときを制御してもよい。いくつかの実施態様では、プロセッサ122は励起フィルタ34及び検出フィルタ40を制御する。照射される試料に応じて、プロセッサ122は励起光の異なる波長が試料に達するのを可能にし、又は蛍光の異なる波長が集光レンズ42に達するのを可能にするようにフィルタを変えることができる。いくつかの実施態様では、特定の光モジュール16の光源30に対して一方又は両方のフィルタを最適化してよく、プロセッサ122によっては変更できないようになっていてよい。
【0114】
集光レンズ42は、集光レンズから検出器18への光の光路を提供する光ファイバ束14の一方の脚部にカップリングされている。プロセッサ122は検出器18の動作を制御することができる。検出器18は全ての光をコンスタントに検出してよいが、いくつかの実施態様は他の取得モードを利用してもよい。プロセッサ122は、検出器18がいつデータを収集するのかを判定してよく、検出器18の他の形態パラメータをプログラム設定してよい。1実施態様では、検出器18は集光レンズ42によって提供された光からの蛍光情報を捕捉する光電子増倍管である。これに応答して検出器18は、受容された光を表す出力信号128(例えばアナログ出力信号)を生成する。
図9には示されていないが、検出器18は装置10の他の光モジュール16からの光を同時に受容してもよい。その場合、出力信号128は種々の光モジュール16から検出器18によって受信された光入力の組み合わせを電気的に表し、そしてディスク13上の特定チャンバ内の材料の選択された体積の存在に関連する情報を含むこともできる。
【0115】
プロセッサ122は、装置10からのデータフローを制御してもよい。(例えば、材料の選択された体積が特定チャンバ内に存在するかどうかを判定するための、ディスク13上の特定チャンバに対する特定位置(例えばガントリ位置)における)検出器18からのサンプリング蛍光又は検出後方散乱光、(例えば特定アッセイの結果を判定するための)検出器18からのサンプリング蛍光、加熱エレメント134及び関連センサからの試料の温度、及びディスク回転情報、のようなデータを分析のためにメモリ124内に記憶することができる。プロセッサ122は、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)、又は他のデジタル論理回路のうちのいずれか1つ又は2つ以上を含んでよい。さらに、プロセッサ122は、コンピュータ可読媒体、例えばメモリ124上に記憶されたファームウェア、ソフトウェア、又はこれらの組み合わせのための動作環境を提供することができる。
【0116】
メモリ124は、種々様々な情報を記憶するための1つ又は2つ以上のメモリを含んでよい。例えば、あるメモリは特定の形態パラメータ、実行可能命令を含有していてよく、またあるメモリは収集データを含有していてよい。従って、プロセッサ122は、装置の動作及び較正を制御するために、メモリ124内に記憶されたデータを使用してよい。メモリ124は、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)、読み取り専用メモリ(ROM),電子的消去可能なプログラマブルROM(EEPROM)、又はフラッシュメモリなどのうちのいずれか1つ又は2つ以上を含んでよい。
【0117】
プロセッサ122は加えて、加熱エレメント134を制御してもよい。メモリ124内部に含有された命令に基づいて、加熱エレメント134は、所期加熱プロフィールに従って1つ又は2つ以上のチャンバの温度を制御するように選択的に駆動されてよい。一般に、加熱エレメントはディスクが回転するのに伴って、ディスク13の1つの半径方向セクションを加熱する。加熱エレメント134は、ディスク13の特定領域上に、又はより具体的には回転プラットフォーム25又はその特定領域上に加熱エネルギーを集中させるために、ハロゲン・バルブ及びリフレクタを含んでよく、これにより次いで熱をプラットフォーム25からディスク13の特定領域に伝導することができる。いくつかの実施態様の場合、加熱エレメント134は1つ又は2つ以上のチャンバを順次加熱してよい。このような実施態様では、プラットフォーム25及び/又はディスク13の一部が加熱されている間、ディスク13が定置であることを必要とする。いずれの実施態様においても、加熱エレメント134は必要に応じて極めて迅速にターンオン(入)及びターンオフ(切)することが可能であってよい。
【0118】
レーザー136を使用して弁の開放を制御する。弁が開くと、保持チャンバの内容物がディスク13上の別のチャンバ、例えば処理又は検出チャンバへ流れるのを可能にする。プロセッサ122及び支持用ハードウェアは、ディスク13内部に含有される特定の弁を選択的に開くようにレーザー136を駆動する。プロセッサ122は、所期弁に対するレーザーの位置を判定するために、ディスク13の下方又はディスク13に対して他の位置に位置決めされたレーザーセンサ(例えば
図8のセンサ73)と相互作用してよい。プロセッサ122は次いでディスク・モータ126と相互作用することにより、回転プラットフォーム25、ひいてはディスク13を所定の位置に回転させる。所定の位置に来たら、プロセッサ122は、弁にターゲットされたエネルギーのバーストを生成するために、レーザー136を導くための信号を出力する。いくつかの事例では、バーストは約0.5秒間にわたって継続し、これに対して他の実施態様は、より短い又はより長い開放継続時間を含んでよい。レーザーエネルギー及びパルス継続時間は、レーザー136との交信を介してプロセッサ122によって制御されてよい。
【0119】
プロセッサ122は、データ取得システム21と交信するために交信インターフェイス130を利用する。交信インターフェイス130は、データを転送するために、単一の方法又は方法の組み合わせを含んでよい。いくつかの方法は、高いデータ転送速度でユニバーサル・シリアル・バス(USB)ポート又はIEEE 1394ポートを含んでよい。いくつかの実施態様において、データ記憶又は後処理のために、これらのポートのうちの1つに記憶装置が直接に取り付けられていてよい。データはプロセッサ122によって前処理され、ビューイングの準備が整えられていてよく、或いは分析が開始可能になる前に、完全に処理される必要がある場合がある。
【0120】
検出装置10との交信は、ラジオ周波数(RF)交信又はローカル・エリア・ネットワーク(LAN)接続によって達成されてもよい。さらに、接続性は直接接続によって、又は有線又は無線交信を支持するネットワーク・アクセス・ポイント、例えばハブ又はルーターを介して達成されてよい。例えば検出装置10は、ターゲット・データ取得装置21によって受信するために、データを所定のRF周波数で伝送することができる。データ取得装置21は汎用コンピュータ、ノートブック型コンピュータ、ハンドヘルド型コンピュータ、又は特定用途向け装置であってよい。さらに、複数のデータ取得装置がデータを同時に受信してもよい。他の実施態様ではデータ取得装置21は、1つの一体型検出・取得システムとして検出装置10と一緒に含まれていてよい。
【0121】
加えて、検出装置10は、ネットワーク、例えばインターネットを介して、リモート装置からアップデートされたソフトウェア、ファームウェア、及び較正データをダウンロードすることもできる。交信インターフェイス130はプロセッサ122がインベントリをモニタリングするか又は任意の不具合又はエラーを報告するのを可能にしてもよい。動作問題が発生した場合、プロセッサ122は、動作データを提供することにより、使用者が問題点をトラブルシューティングするのを助けるために、エラー情報を出力することができる。例えば、プロセッサ122は、(例えば材料の選択された体積がディスク13の1つ又は2つ以上のチャンバ内に存在しないことを示す情報を検出器18から受信することにより)不具合のある加熱エレメント、同期問題、又はディスク13における種々の計量及び/又は弁構造の不具合を使用者が診断するのを助けるために情報を提供することができる。
【0122】
電源132が装置10の構成部分に動作電力を送達する。電源132は、標準的な115ボルト電源からの電気を利用するか、又は動作電力を生成するためのバッテリ及び発電回路を含んでよい。いくつかの実施態様の場合、バッテリは、拡張された動作を可能にするために再充電可能であってよい。例えば、装置10は緊急時、例えば災害区域において、生物学的試料を検出するために可搬性であってよい。再充電は115ボルト電源を通して達成し得る。他の実施態様の場合、伝統的なバッテリが使用されてよい。
【0123】
図10は、光ファイバ束14の4つの光ファイバにカップリングされた単一の検出器18の機能ブロック図である。この実施態様では、検出器18は光電子増倍管である。光ファイバ束14、光ファイバ14A、光ファイバ14B、光ファイバ14C、光ファイバ14Dの各脚部は、検出器18の光入力インターフェイス138にカップリングされている。このように、光ファイバ14のいずれかによって担持された光は検出器18の単一光入力インターフェイス138に提供される。光入力インターフェイス138は、凝集光を電子増倍管140に提供する。アノード142が電子を収集し、そして対応するアナログ信号を出力信号として生成する。
【0124】
換言すれば、図示のように、光ファイバ14は検出器18のための入力側光学的アパーチャ内に嵌め込まれている。結果として、検出器18は、光ファイバ束14のそれぞれの脚部からの光を同時に検出するために使用することができる。光入力インターフェイス138は光を電子増倍管140に提供する。光電子増倍管の場合、光ファイバからの光子は光電子放出カソードに衝突する。このカソードは光電子を放出する。次いで、光電子は一連のダイノードに衝突することによりカスケードする。それぞれのダイノードと接触すると、より多くの光電子が放出される。結果としての電子群は、光ファイバ14によって最初に伝達された小さな光信号を事実上倍増している。数が増大した電子は最終的にアノード142によって収集される。アノード142からのこのような電流はアナログ出力信号として、電流・電圧増幅器144によって転送される。このアナログ出力信号は、複数の光モジュール16によって提供された信号からの光学的蛍光信号を表す。
【0125】
いくつかの実施態様の場合、制御ユニット23は、アナログ・デジタル(A/D)変換器146を含むことができる。A/D変換器はアナログ信号を、サンプリング・デジタルデータ流、すなわちデジタル信号に変換する。プロセッサ122はデジタル信号を受信し、そして上述のように、データ取得装置21との交信のためにメモリ124内にサンプリング・データを記憶する。いくつかの実施態様では、A/D変換器146は、制御ユニット23の一部を形成する代わりに、検出器18内部に含有されてもよい。
【0126】
このように、単一検出器18を利用して、光ファイバ束14からのすべての光を収集し、そしてそれを表す信号を生成する。信号が増幅器144によって増幅されてデジタル信号に変換されると、デジタル信号は、それぞれの個々の光モジュール16によって収集された光に相当するデータにデジタル分離することができる。信号全体(すなわち凝集信号)は周波数範囲によって、それぞれの蛍光を表すそれぞれ検出された信号に分離することができる。これらの周波数は、データ取得装置21によって適用された、又は装置10内部のデジタル・フィルタによって分離されてよい。
【0127】
他の実施態様の場合、増幅された信号は、アナログ・フィルタを用いて周波数によって分離し、A/D変換器146の前の分離チャネルに送ることができる。いずれの場合にも、単一検出器は全ての蛍光情報、又はその他の光信号又は上方を、それぞれの光モジュール16から捕捉することができる。次いで、データ取得装置21は、ディスク13の各ウェルから取得された信号をリアルタイムでプロットして分析することができ、この場合、複数の検出器を必要としない。
【0128】
いくつかの実施態様の場合、検出器18は光電子増倍管でなくてよい。一般に、検出器18は、光送達メカニズム、すなわち光ファイバ束14の複数の脚部からの光を捕捉し、そして捕捉された光を伝達可能に表すことができる。
【0129】
図11は、多重蛍光検出装置10の動作を示すフローダイヤグラムである。最初に、ステップ148において、使用者はデータ取得装置21上で、又は制御ユニット23とのインターフェイスを介してプログラム・パラメータを指定する。例えばこれらのパラメータは、ディスク13の回転速度及び回転時間、反応に対応する定義された温度プロフィール、及びディスク13上の試料位置を含んでよい。
【0130】
次に、ステップ150において、使用者はディスク13を検出装置10内にローディングすることができる。装置10を固定したら、使用者はプログラムをスタートさせ(152)、制御ユニット23がディスクを指定速度で回転させ始めるようにする(154)。ディスクが回転し始めた後、2つの同時プロセスが発生し得る。
【0131】
先ず第一にステップ156において、検出装置10は、1つ又は2つ以上の試料内部の1つ又は2つ以上の反応によって生成された励起光から、蛍光又は他の光信号又は情報を検出し始めることができる。検出器18は、それぞれの試料から光(例えば蛍光)信号を増幅させる。これらの信号を、それぞれの試料及び蛍光が発せられた時点と同期させる(158)。このプロセス中、プロセッサ122は、捕捉されたデータをメモリ124に保存し、そしてランの進行をモニタリングするために、また付加的な処理のために、データ取得装置21にデータをリアルタイムで通信することができる(160)。或いは、プロセッサ122は、プログラムが完了するまで装置10内部のデータを保存してもよい。プロセッサ122は、プログラムが完了するまで、試料の蛍光を検出し続け、そしてデータを保存する(162)。ランが完了したら、制御ユニット23はディスクの回転をストップさせる(164)。
【0132】
このプロセス中、制御ユニット23はディスク温度をモニタリングし(166)、そしてディスク、又はそれぞれの試料、温度を調整することにより、その時間にわたってターゲット温度を得ることができる(168)。制御ユニット23は、プログラムが完了するまで温度をモニタリングして制御し続けることができる。ランが完了したら、制御ユニット23は試料の温度をターゲット貯蔵温度、通常は4℃に保持する(172)。
【0133】
装置10の動作は
図11の例とは異なっていてよい。例えば、1分間当たりのディスク回転数をプログラム全体を通して変更し、ディスク13上の種々のチャンバをモニタリングすることにより、材料の選択された体積が存在するかどうかを判定し、且つ/又はレーザー136を利用することにより、複数の反応及び/又は材料の移動を可能にするようにディスク上のチャンバ間の弁を開くことができる。これらのステップは、使用者が定義するプログラムに応じて、動作範囲内の任意の順序で行ってよい。
【0134】
図12は、検出装置10のレーザー弁制御システム51の模範的動作を示すフローダイヤグラムである。例示を目的として、
図8を具体的に参照しながら、ディスク13及び装置10に関して
図12について説明する。
【0135】
最初に、制御ユニット23はレーザー弁制御システム51を、低減された電流を利用する低出力モード(ターゲティング・モードとも言う)にする(149)。次に、制御ユニット23はディスク13Aの回転を開始する(151)。センサ73(例えばNIRセンサ)は、ディスク13が回転するのに伴ってスロット75の縁部を検出すると、制御ユニット23にトリガ信号を出力し、制御ユニット23がディスク13の配向及びディスク13上の弁の位置を、装置10の回転プラットフォーム25の既知の位置に対してマッピングするのを可能にする(153)。
【0136】
マッピングを使用して、制御ユニット23はガントリ60と係合することにより、レーザー弁制御システム51を、ディスク13の中心又は回転軸に対する弁の既知の位置(すなわち
図8の左側に位置決めされている)に移動する。制御ユニット23は次いで、開かれるべき第1選択弁までディスク13を回転させる(157)。次に、制御ユニット23はレーザー弁制御システム51を高出力モードにし、そして弁を開くためにシステムが高エネルギーレーザー光71のパルスを生成するようにシステムを導く(159)。付加的な弁が開かれる(161)のを必要とする場合、制御ユニット23はディスク13を次の弁まで回転させ(157)、そして弁を開く(159)。このプロセスは、開かれることが望まれる全ての弁が開くまで続く。次いで、制御ユニット23がディスク13を回転させることにより、例えばディスク13の回転軸の近くに配置されたチャンバ(「インプット・チャンバ」又は「保持チャンバ」と呼ぶこともある)から、開いた弁を通して、回転軸から離れて配置されたチャンバ(「処理チャンバ」又は「検出チャンバ」と呼ぶこともある)へ、例えばディスク13の周囲に向かって、流体を移動する(163)。他の実施態様では、制御ユニット23は、弁を開くようにレーザー弁制御システム51を導きながら、ディスク13を連続して回転させることができる。
【0137】
最後に、制御ユニット23はガントリ60と係合することにより、光モジュール48,52及び/又は56を処理チャンバの上方の半径方向位置に移動し、そして処理チャンバ内の材料及び/又は反応から蛍光又は他の光信号を検出開始することができる(165)。いくつかの実施態様では、保持チャンバの内容物は、処理チャンバ内の生成物を不活性化又は安定化するように作用することができる。このような事例では、検出装置10は新しい試料又は反応をモニタリングする必要があることもないこともある。
【0138】
図13Aは、ディスク内のスロット75の模範的ダイヤグラムを示している。
図13A,
図13B及び
図13Cにおいて、ディスク13は、装置10内の模範的ディスクとして使用される。スロット75は外縁部210,内縁部214、前縁部212、及び後縁部216を含む。レーザー弁制御システム51はそれぞれのエッジを検出することにより、ディスク13の位置の正確なマップを提供する、距離Dは、スロット75の外縁部半径方向位置から内縁部半径方向位置を差し引いた位置である。各縁部210,212,214及び216は、ディスク13材料と、スロット75として記載されたディスク内のボイドとの検出可能な境界を形成する。いくつかの実施態様の場合、スロット75は任意の形状又はサイズを有していてよい。
【0139】
図13Bは、ディスク内のスロットの内縁部及び外縁部を検出するための模範的方法を示すタイミング図である。制御ユニット23は、ディスク13から離れる方向にレーザー弁制御システム51を動かす。ガントリ60がレーザー弁制御システム51をディスク13の中心に向かって、又は回転軸に向かって動かしている間に、ディスク13は回転させられる。
【0140】
センサ73は、スロット75がレーザー光71がディスク13を通過するのを可能にするときにだけ、レーザー光71(
図8)を検出する。センサ73からの信号218は、ガントリ60が内方に向かって前進している間にスロット75の外縁部210が検出されるのに伴ってスパイク220で変化する。信号218は、スロット75がレーザー光71を間欠的に通過するのに伴って変調し続ける。スパイク222は、制御ユニット23がスロット75の内縁部214としてマークする最後の信号変化を示す。スロット75の外縁部210及び内縁部214のガントリ位置が記録される。制御ユニット23は今や、ディスク13位置のマップの半径方向成分を有する。制御ユニット23は、内縁部半径方向位置と外縁部半径方向位置との間の真ん中の半径方向位置に、レーザー弁制御システム51を動かす。この位置は、内縁部214の半径方向位置に距離Dの半分をプラスしたものとなる。スロット75のこの位置に対するレーザー弁制御システム51の位置決めは、システムが、スロット75の縁部の角度位置に誤差を招く、スロット75の角部、例えば内縁部214と後縁部216との間の角部の丸みなしに、スロット75の角度位置を検出するのを可能にする。いくつかの実施態様の場合、ディスク13は、レーザー弁制御システム51がスロット75の内縁部及び外縁部を検出するために、回転させられる必要がない場合がある。
【0141】
図13Cは、レーザー弁制御システム51のホーム・ポジションを判定するための模範的な方法を示すタイミング図である。レーザー光71の存在を示す信号224が制御ユニット23に送達される。レーザー弁制御システム51は、ディスク13上のスロット75の前縁部212及び後縁部216を位置確認する。
【0142】
ディスク13が定置であるとき、信号224は一定である。ディスク13がゆっくりと時計回り方向に回転させられると、スパイク226が、スロット75の前縁部212の角度位置を示す。後縁部216がスパイク228として検出されるまで、レーザー光71はセンサ73によって検出される。次いで制御ユニット23はディスク13を停止させ、そしてスパイク230が後縁部216の存在をもう一度示すまで、ディスク13を反時計回りにゆっくりと回転させる。制御ユニット23はこの角度位置をホーム角度ポジションとして記憶する。今やレーザー弁制御システム51は
図13Bの半径方向位置と、
図13Cの角度位置とを使用することにより、ディスク13上の弁又は他の構造を位置確認する。他の実施態様では、ディスク13を効果的に位置決めするために、レーザー弁制御システム51は前縁部212又は後縁部216を検出するだけでよい。
【0143】
いくつかの実施態様の場合、駆動システム(例えばモータを含む)及び/又は回転プラットフォーム25は2つの異なるモード、すなわち速度モード及び位置モードで操作することができる。半径方向ホーム・ポジション、又はガントリ・ホームは、駆動システムが速度モードにあるときには一定の速度(例えば1500rpm)のもとで判定することができる。ガントリ・ホームが判定された後、モータを停止するまで減速し、位置モードに切り換えることができる。位置モードでは1つのティック(すなわち位置)から次のティックまでゆっくりとラスターすることができる。速度モードと位置モードとの相違点は、駆動システムによって使用することができる比例積分微分(PID)定数であり得る。位置モードはいかなる位置においても緻密な制御を可能にする。これは例えば弁のために使用することができる。速度モードは安定した速度が必要なとき、例えば蛍光データ取得中に使用することができる。
【0144】
いくつかの実施態様の場合、ディスク13は、反対方向に回転させることができる。他の実施態様では、
図13B及び
図13Cの模範的信号は、信号強度対時間に関するいかなる比率においても反転される。他の実施態様では、レーザー弁制御システム51は、ディスク13の半径方向位置を検出する前に先ず角度位置を検出してよい。記載の位置決め法の順序は、特定の用途、ディスク、又は技術者の好みに対応するように変化させてよい。
【0145】
図14は、レーザー弁制御システムのホーム・ポジションの模範的判定を示すフローダイヤグラムである。制御ユニット23はディスク13を回転させることによって開始することができる(228)。ディスク13の外側から、ガントリ60がレーザー弁制御システム51をディスク13の中心に向かって移動することができる(230)。レーザー弁制御システム51はディスク13内のスロット75の外縁部210を位置確認することができ、その外側半径方向位置を保存する(232)。ガントリ60が動き続けるのに伴って、レーザー弁制御システム51は、レーザー光71がセンサ73によってもはや検出されなくなるとスロット75の内縁部214を位置確認することができ、その内側半径方向位置を保存する(234)。制御ユニット23は2つの半径方向位置を記憶し、そしてディスク13の回転を停止させる(236)。
【0146】
制御ユニット23は次いで内側半径方向位置と外側半径方向位置との間の真ん中の半径方向位置にレーザー弁制御システム51を動かすことができる(238)。制御ユニット23はディスク13をゆっくりと回転させることにより、スロット75の前縁部212及び後縁部216の両方が、レーザー弁制御システム51の傍らを通り過ぎるようにする(240)。スロット75の後縁部216が検出されたら、制御ユニットは反対方向にディスク13をゆっくりと回転させることができる(242)。スロット75の後縁部216が再び検出されると、制御ユニット23は、後縁部の位置をゼロ角度位置又はホーム角度ポジションとして保存することができる(244)。制御ユニット23は今やスロット75の半径方向位置及び角度位置を有し、そしてディスク13のホーム・ポジションとしてこの情報を記憶することができる(246)。
【0147】
いくつかの事例では、スロット・センサ・トリガ27はレーザー弁制御システム51と協働することにより、ディスク13の位置を正確にマッピングすることができる。例えばスロット・センサ・トリガ27は高分解能時間位置情報を提供し得るのに対して、レーザー弁制御システム51は高分解能空間位置情報を提供する。両システムはディスク13の同じ構造を使用するため、協働的な位置決めはより正確な位置決め情報を提供することができる。
【0148】
図15は、光を検出してディスク13からのデータをサンプリングする模範的な方法を示すフローダイヤグラムである。最初に、使用者はどの光モジュール48,52,56がディスク13からの蛍光を検出するかを指定し、そして制御ユニット23はモジュールのLEDをターンオンする(249)。LEDが定常状態に加熱したら、制御ユニット23はディスク13を、ディスク・スロット75がスロット・センサ27によって検出されるまで約1470回転/分の速度で回転させる(251)。制御ユニット23は1回の完全回転中に蛍光のデータ取得を開始することができる。その回転中、モジュールはディスク13の処理(又は「検出」)チャンバから蛍光発光された光を収集し(253)、そして制御ユニット23は所期数の試料(例えば16)を、それぞれの処理チャンバと連携するメモリBIN内に入れる(255)。制御ユニット23は、スロット75の第2の通過を検出することにより、データが正しいモータ速度で取得されたことを保証することができ、そして制御ユニット23は時間依存データをメモリ内に入れることができる。
【0149】
ディスク13がさらに1回転分回転させられるのを必要とする場合(257)、制御ユニット23はディスク13をさらに1回転させる(251)、所期数の回転がサンプリングされたならば、モジュールはLEDによる検出を完了する。例えば、16回転がサンプリングされ、そして各回転がそれぞれの処理チャンバから16の試料を取得したならば、各処理チャンバは全部で256回サンプリングされたことになる。所期数の回転が完了した後、制御ユニット23はLEDをターンオフすることができる(259)。別のモジュールが検出を続ける必要がある場合(261)、制御ユニット23は次のモジュールLED(249)をターンオンすることができる。他のモジュールがデータ収集することを必要とされない場合、制御ユニット23は、ディスク13からのデータ収集を中断することができる。データ取得装置21は、それぞれのモジュールの個々のスキャンを統合し、それぞれのウェル及びモジュールに対してヒストグラム値を形成することができる。この値はデータファイルに記録することができる。
【0150】
いくつかの実施態様の場合、それぞれの処理チャンバは16試料及び16回転よりも多い又は少ない回数でサンプリングされてよい。制御ユニット23はより高速でディスク13を回転させることにより、より迅速な結果を提供するか、或いはディスク13をより低速に回転させることにより、より多くの試料を取得することができる。
【0151】
図15に示されたプロセスは、(例えば蛍光検出を用いて)当該被分析物の存在又は不存在を検出するために用いることができ、また、上述のように、例えば蛍光検出及び/又は後方散乱光を用いて、ディスク13上の特定チャンバ内に、材料の選択された体積が存在するかどうかに関する情報を収集することもできる。ディスク13が回転している間に、ディスク13のチャンバ内に存在する材料は、半径方向で見てチャンバの最も外側の縁部に押し付けられることになる。結果としてガントリ60は半径方向外側位置から半径方向内側位置に向かって1つ又は2つ以上の光モジュールをインデキシングし、例えばチャンバの半径方向で見て最も外側の縁部の傍らから出発して半径に沿ってディスク13の中心に向かって動く。材料はディスク13が回転している間にチャンバの最も外側の縁部に押し付けられるので、チャンバ内の材料の体積がチャンバの内部容積よりも小さいならば、材料のメニスカス層又は流体レベルが、チャンバの半径方向で見て最も内側の縁部と、チャンバの半径方向で見て最も外側の縁部との間の位置(例えば半径方向位置)に存在することになる。このような流体レベルは、例えば蛍光の変化によって、又は反射後方散乱電磁エネルギーの屈折によって検出することができる。
【0152】
図15のプロセスに従って、ガントリ60は、ディスク13が回転するのに伴って、光モジュールをその半径に沿って半径方向(例えば内方)に移動し、複数のガントリ位置(例えば複数の半径方向位置)でデータを収集することができる。次いでこのようなデータを流体レベル又はメニスカスに関して分析することができる。例えば、当該チャンバ内に材料が存在しないことが判っているときに、ディスク13上の当該各チャンバに対して、バックグラウンド・スキャンを実施することができ、そして材料、又は材料の選択された体積がチャンバ内に存在することが推定された後に、チャンバに対して更なるスキャンを実施することができる。次いで2つのスキャンを比較することにより、流体レベル(例えばメニスカス層)が検出される半径方向位置を判定することができる。或いは又は加えて、ガントリ(例えば半径方向)位置から(前の較正を基準として)体積を推定することもできる。或いは又は加えて、特定のガントリ位置を閾値として使用するので、流体レベルが検出されるガントリ位置が閾値数を下回る場合には、データ取得装置21は、アッセイにとって十分な量の材料が存在しないという結果(例えば無効アッセイ、エラーコード、アッセイの失敗又は中断など)を出力するが、しかし流体レベルが検出されるガントリ位置が閾値数以上である場合には、所期の材料体積の存在を確認することができる。
【0153】
試料処理装置
本開示の1つの模範的処理装置、又はディスク300が
図16〜
図22に示されている。試料処理装置300の更なる詳細及び特徴は、2011年5月18日付けで出願された米国意匠特許出願第29/392,223号明細書に見いだすことができる。この明細書は参照することによりその全体を本明細書中に組み入れられる。
【0154】
試料処理装置300は一例として円形のものとして示されている。試料処理装置300は中心301を含んでおり、試料処理装置300は、支所装置300の中心301を通って延びる回転軸A−Aを中心として回転させることができる。
【0155】
試料処理装置300は、基体又はボディ302と、基体302の上面306にカップリングされた1つ又は2つ以上の第1層304と、基体302の下面309にカップリングされた1つ又は2つ以上の第2層308とから形成された多層複合構造であってよい。
図22に示されているように、基体302は、上面306内に3つの段部又はレベル313を有するステップ状形態を含む。結果として、試料処理装置300のそれぞれの段部313内に所定の体積の材料(例えば試料)を保持するように設計された流体構造(例えばチャンバ)を、基体302、第1層304、及び第2層308によって少なくとも部分的に画定することができる。加えて、3つの段部313を含む段状形態に基づき、試料処理装置300は3つの第1層304を含んでおり、1つの層が試料処理装置300のそれぞれの段部313に対応している。流体構造及び段状形態のこのような配置は一例として示すものであって、本開示はこのような設計によって制限されるものではない。
【0156】
基体302は、一例としてポリマー、ガラス、シリコン、石英、セラミックス、又はこれらの組み合わせを含む、種々様々な材料から形成することができる。基体302が高分子である実施態様の場合、基体302は、比較的容易な方法、例えばモールディングによって形成することができる。基体302は均質なワンピース一体型ボディとして示されてはいるが、その代わりに非均質なボディとして提供されてもよく、例えば同じ又は異なる材料から成る層から形成されてもよい。基体302が試料材料と直接に接触することになる試料処理装置300の場合、基体302は、試料材料と非反応性の1種又は2種以上の材料から形成することができる。多くの異なる生物分析用途における基体のために使用し得るいくつかの好適な高分子材料の一例としては、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート(PMMA),ポリプロピレン(例えばイソタクチックポリプロピレン)、ポリエチレン、ポリエステルなど、又はこれらの組み合わせが挙げられる。これらのポリマーは一般に、下記のように、流体構造を定義する上で有用であり得る疎水性表面を呈する。ポリプロピレンが一般に、他の高分子材料のうちのいくつか、例えばポリカーボネート又はPMMAよりも疎水性が高いが、しかしここに挙げた高分子材料の全てはシリカ系マイクロ電子機械システム(MEMS)装置よりも疎水性が高い。
【0157】
図17及び
図19に示されているように、試料処理装置300は、
図12〜
図14に関して記載されているように、例えば電磁エネルギー源、及び光モジュールなどに対して試料処理装置300をホーミングして位置決めするために、基体302又は他の構造(例えば反射タブなど)を通して形成されたスロット375を含むことができる。
【0158】
試料処理装置300は、複数の処理又は検出チャンバ350を含む。これらのチャンバのそれぞれは、試料、及び試料と一緒に熱処理(例えばサイクリング)されることになっている任意の他の材料を含有する容積を画定する。本開示との関連において使用される「熱処理」(及びこれらの変化形)は、所期反応を達成するために試料材料の温度を制御(例えば維持、上昇、又は低下)することを意味する。熱処理の1つの形態として、「熱サイクリング」(及びこれらの変化形)は、所期反応を達成するために2つ又は3つの温度設定点間で試料材料の温度を順次変化させることを意味する。熱サイクリングは、例えば低温と高温との間でのサイクリング、低温、高温、及び少なくとも1つの中間温度の間でのサイクリングを伴ってよい。
【0159】
図示の装置300は、それぞれのレーン303に1つが対応する、8つの検出チャンバ350を含んでいるものの、言うまでもなく、本開示に従って製造された装置との関連において提供される検出チャンバ350の正確な数は、所望の通りに8つを上回っても下回ってもよい。
【0160】
図示の装置300内の検出チャンバ350は、チャンバの形態を成してはいるものの、本開示の装置内の検出チャンバは、毛管、通路、チャネル、溝、又は任意の他の好適に画定された容積の形態を成して提供されてよい。
【0161】
いくつかの実施態様の場合、試料処理装置300の基体302、第1層304、及び第2層308は、例えばチャンバ内に配置された成分が熱処理中に急速に加熱されるのに伴って検出チャンバ350内部に発生し得る膨張力に抵抗するのに十分な強度を持って、互いに付着又は結合することができる。構成部分間の結合の堅牢性は、装置300が熱サイクリング・プロセス、例えばPCR増幅のために使用される場合には特に重要であり得る。このような熱サイクルに関与する反復加熱及び反復冷却は、試料処理装置300のサイド間の結合に対してより厳しい要求を課す場合がある。構成部分間のより堅牢な結合によって対処される別の潜在的問題は、構成部分を製造するために使用される種々異なる材料の熱膨張係数差である。
【0162】
第1層304は、透明、不透明、又は半透明の膜又はフォイル、例えば接着剤を被覆されたポリエステル、ポリプロピレン、又は金属フォイル、又はこれらの組み合わせから形成し得るので、試料処理装置300の下側構造を見ることができる。第2層308は透明又は不透明であってよいが、しかししばしば熱伝導性金属(例えば金属フォイル)、又は他の適切に熱伝導性の材料から形成することにより、試料処理装置300が物理的にカップリングされている(且つ/又は接触を促進される)プラテン及び/又は熱構造(例えば回転プラットフォーム25の一部にカップリングされているか、又はこの一部を形成する)から試料処理装置300へ、そして必要な場合には、具体的には検出チャンバ350へ伝導することによって、高温又は低温を伝達する。
【0163】
米国特許第6,734,401号明細書、及び米国特許出願公開第2008/0314895号明細書及び同第2008/0152546号明細書に記載されているように、第1層304及び第2層308は、任意の所期不動態化層、接着層、他の好適な層、又はこれらの組み合わせとの組み合わせで使用することができる。加えて、米国特許第6,734,401号明細書、及び米国特許出願公開第2008/0314895号明細書及び同第2008/0152546号明細書に記載されているように、第1層304及び第2層308は、例えば接着剤及び溶接(化学的、熱的、及び/又は超音波)などを含む任意の所期技術又は技術の組み合わせを用いて基体302にカップリングすることができる。
【0164】
一例として、8つの異なるレーン、ウェッジ、部分又は区分303を含むものとして試料処理装置300が示されている。それぞれのレーン303は他のレーン303から流体的に分離されているので、8つの異なる試料は、同時に又は異なる時点で(例えば順次に)試料処理装置300上で処理することができる。レーン303間の交差汚染を阻止するために、それぞれのレーンは使用前及び使用中の両方において、例えば試料処理装置300の所与のレーン303内に生試料をローディングした後で、周囲から流体的に分離することができる。例えば、
図16に示されているように、いくつかの実施態様では、試料処理装置300は使用前層305(例えば粘着剤を含むフィルム、又はフォイルなど)を最も内側の第1層304として含むことができる。第1層は、使用前に試料処理装置300の上面306の少なくとも一部に付着させることができ、そして所与のレーン303からその特定レーンの使用前に選択的に(例えば剥離によって)取り外すことができる。
【0165】
図16に示されているように、いくつかの実施態様の場合、使用前層305は折り目、パーフォレーション、又は切り込み線312を含むことにより、所望の通り試料処理装置300の1つ又は2つ以上のレーン303を選択的に露出させるために、使用前層305の一部だけを一度に取り外すのを容易にすることができる。加えて、いくつかの実施態様の場合、
図16に示されているように、使用前層305は、使用前層305の縁部を取り外しのために掴むのを容易にする1つ又は2つ以上のタブ(例えば1つのレーン303当たり1つのタブ)を含むことができる。いくつかの実施態様の場合、試料処理装置300及び/又は使用前層305は、レーン303を互いに明らかに区別化するために、レーン303のそれぞれに隣接してナンバリングすることができる。
図16に一例として示されているように、使用前層305は試料処理装置300のレーン番号1〜3から取り外されている。使用前層305が試料処理装置300から取り外されている場所では、「SAMPLE」と記された第1インプット・アパーチャ又はポート310及び試薬を表す「R」と記された第2インプット・アパーチャ又はポート360が露出している。
【0166】
加えて、レーン303間、レーン303の試薬材料ハンドリング部分と、レーン303の試料材料ハンドリング部分との間、及び/又は周囲と試料処理装置300の内部との間の交差汚染をさらに阻止するために、第1及び第2インプット・アパーチャ310及び360のうちの一方又は両方を、例えば
図16に示されているようなプラグ307で塞ぐか又は栓をすることができる。種々の材料、形状、及び構造を採用して、インプット・アパーチャ310及び360を塞ぐことができ、プラグ307は一例として、第1インプット・アパーチャ310と第2インプット・アパーチャ360との両方の中に指一本で押すだけで挿入することができる複合プラグとして示されている。或いは、いくつかの実施態様では、使用前層305はシール層又はカバー層として役立つこともでき、試料及び/又は試薬をそのレーン303内にローディングした後、特定レーン303の上面306に再被着することにより、周囲からレーン303を再シールすることができる。このような実施態様では、前使用層305のそれぞれの区分のタブは、層305が対応レーン303の上面306に再被着された後、層305の残りから取り外すことができる(パーフォレーションに沿って裂断ずる)。タブの取り外しは、タブと任意の処理ステップ、例えば弁操作、ディスク回転などとの間で発生し得るいかなる妨害をも阻止することができる。加えて、このような実施態様の場合、前使用層305は第1及び第2のインプット・アパーチャ310及び360を露出させるのに丁度十分な程度にめくり返し、次いで上面306に載せ戻すことができるので、前使用層305は上面306から決して完全に取り外されることはない。例えば、いくつかの実施態様の場合、前使用層305の隣接区分間のパーフォレーション又は切り込み線312は、裂断ストッパとして作用し得る貫通孔で終わることができる。このような貫通口は、前使用層305の最も内側の縁部の半径方向外側に位置決めすることができるので、前使用層305のそれぞれの区分の最も内側部分は、上面306から完全に取り外される必要はない。
【0167】
図17,
図19及び
図21に示されているように、
図16〜
図22の図示の実施態様において、試料処理装置300のそれぞれのレーン303は、レーン303の試料ハンドリング部分又は試料ハンドリング側311と、レーン303の試薬ハンドリング部分又は試薬ハンドリング側361とを含んでおり、そして試料ハンドリング部分311と試薬ハンドリング部分361とは、下記のように、2つの側が例えば1つ又は2つ以上の弁を開くことによって互いに流体連通されるまで、互いに流体分離することができる。各レーン303は「分配システム」又は「処理アレイ」と呼ぶことができ、或いはいくつかの実施態様の場合、レーン303のそれぞれの側311,361を「分配システム」又は「処理アレイ」と呼ぶことができる。しかし一般に、「処理アレイ」はインプット・チャンバ、検出チャンバ、及びこれらの間の流体接続のことを言う。
【0168】
図17,
図19及び
図21を参照すると、第1インプット・アパーチャ310はインプット・ウェル又はチャンバ315内に開口している。同様のインプット・チャンバ365がレーン303の試薬ハンドリング側361に配置されている。このレーン内には第2インプット・アパーチャ360が開いている。別個の試料及び試薬インプット・アパーチャ310及び360、インプット・チャンバ315及び365、及びそれぞれのレーン303のハンドリング側311及び361は、生の未処理試料が、前処理、希釈、測定、又は混合などをほとんど又は全く必要とすることなしに、試料処理装置300上に分析のためにローディングされるのを可能にする。このようなものとして、試料及び/又は試薬は正確な測定又は処理なしに添加することができる。結果として試料処理装置300は、「中複雑度(moderate complexity)」ディスクと呼ぶことがある。なぜならば、比較的複雑な「オンボード」処理を、前処理をさほど又は全く必要とすることなしに、試料処理装置300上で実施することができるからである。すなわち、試料処理装置300は、オンボード計量構造を含むことができる。オンボード計量構造を使用して、試料及び/又は試薬媒質の選択された体積をインプット・チャンバ315,365から検出チャンバ350へ送達することができる。選択された体積を検出チャンバ350へ送達することにより、所期の試料対試薬比を達成することができ、この場合、使用者は試料処理装置300上に試料又は試薬の特定体積を正確に測定してローディングする必要はない。むしろ使用者は、試料及び/又は試薬の非特異的な量を試料処理装置300上にローディングすることができ、そして試料処理装置300自体が、所期材料量を検出チャンバ350へ計量供給することができる。試料ハンドリング側311について先ず説明する。
【0169】
図示のように、いくつかの実施態様では、インプット・チャンバ315は、1つ又は2つ以上のバッフル又は壁316、又はその他の好適な流体誘導構造を含むことができる。これらは、インプット・チャンバ315を、少なくとも計量部分、チャンバ、又はリザーバ318と、廃棄物部分、チャンバ、又はリザーバ320とに分割するように位置決めされている。バッフル316は、インプット・チャンバ315内で流体を誘導し、且つ/又は含有するように機能することができる。
【0170】
図示の実施態様のように、試料処理装置300の1つ又は2つ以上のレーン303内にインプット開口310を介して試料をローディングすることができる。次いで試料処理装置300を回転軸A−Aを中心として回転させるのに伴って、次いで(例えば1つ又は2つ以上のバッフル316によって)試料を計量リザーバ318に導く。計量リザーバ318は、材料の選択された体積を維持又は保持するように形成されている。過剰分は廃棄物リザーバ320に導かれる。いくつかの実施態様の場合、インプット・チャンバ315、又はその一部は「第1チャンバ」又は「第1処理チャンバ」と呼ぶことができ、また検出チャンバ350は「第2チャンバ」又は「第2処理チャンバ」と呼ぶこともできる。
【0171】
図21及び
図22に示されているように、計量リザーバ318は、試料処理装置300の中心301及び回転軸A−Aに向かって位置決めされた第1端部322と、中心301及び回転軸A−Aから離れて位置決めされた第2端部324とを含むので、試料処理装置300が回転させられるのに伴って、試料は計量リザーバ318の第2端部324に向かって押し進められる。計量リザーバ318の第2端部324を画定する1つ又は2つ以上のバッフル又は壁316は、選択された体積を画定するように配置されたベース323と側壁326(例えば部分側壁;
図21参照)とを含むことができる。側壁326は、過剰の選択体積中の任意の体積が側壁326から溢れ、廃棄物リザーバ320内に流れ去るのを可能にするように配置されて成形されている。結果として、廃棄物リザーバ320の少なくとも一部を計量リザーバ318又はインプット・チャンバ315の残りの半径方向外側に向かって位置決めすることにより、過剰の材料体積を廃棄物リザーバ320内に移動し、そして半径方向外側に向けられた力のもとで(例えば試料処理装置300が回転軸A−Aを中心として回転させられている間)、過剰体積が計量リザーバ318内に戻るのを阻止することができる。
【0172】
換言すれば、
図21を引き続き参照すると、インプット・チャンバ315は、インプット・アパーチャ310から計量リザーバ318に向かって材料を導くように位置決めされた1つ又は2つ以上の第1バッフル316Aと、選択された体積の流体を含有し、そして選択された体積の過剰の流体を廃棄物リザーバ320内に導くように位置決めされた1つ又は2つ以上の第2バッフル316Bとを含むことができる。
【0173】
図示のように、ベース323には、開口又は流体通路328が形成されていてよい。流体通路は毛管弁330の少なくとも一部を形成するように構成することができる。結果として、流体経路328の断面積は、流体が毛管力に起因して流体通路328内に流入するのが阻止されるほど十分に計量リザーバ318(又は計量リザーバ318内に保持された流体の体積)に対して小さいことが可能である。結果として、いくつかの実施態様の場合、流体通路328は「狭窄」又は「狭窄通路」と呼ぶことができる。
【0174】
いくつかの実施態様の場合、計量リザーバ318、廃棄物リザーバ320,バッフル316(例えばベース323、側壁326、及び任意には1つ又は2つ以上の第1バッフル316A)のうちの1つ又は2つ以上、及び流体通路328(又は毛管弁330)はまとめて、例えば所望の場合に下流側の流体構造に送達することができる材料の選択された体積を含有することに関与する「計量構造」と呼ぶことができる。
【0175】
一例として述べるならば、試料処理装置300が第1速度(例えば角速度、RPM)で回転軸A−Aを中心として回転させられると、第1遠心力が試料処理装置300内の材料に加えられる。計量リザーバ318及び流体通路328は、第1遠心力が、所与の表面張力を有する試料を比較的狭い流体通路328内に押し込むには不十分であるように(表面エネルギー、相対寸法、及び断面積において)構成することができる。しかし試料処理装置300が第2速度(例えば角速度、RPM)で回転軸A−Aを中心として回転させられると、試料処理装置300内の材料に第2遠心力が加えられる。計量リザーバ318及び流体通路328は、第2遠心力が、所与の表面張力を有する試料を流体通路328内に押し込むのに十分であるように構成することができる。或いは、添加剤(例えば界面活性剤)を試料に添加することによりその表面張力を変化させ、これにより、所望の場合に流体通路328内に試料を流入させることもできる。いくつかの実施態様において、第1及び第2の力は、試料処理装置300が種々異なる処理段階で回転させられる加速プロフィール及び速度を制御することにより、少なくとも部分的に制御することができる。このような速度及び加速度については、
図26のところでより詳細に説明する。
【0176】
いくつかの実施態様において、インプット・チャンバ315(又はその部分、例えば計量リザーバ318)の体積に対する流体通路328の断面積のアスペクト比を制御することによって、例えば所与の表面張力を有する流体に関しては、所望されるまで流体は流体通路328内に流入しないことを少なくとも部分的に保証することができる。
【0177】
例えばいくつかの実施態様において、流体通路の断面積(A
p)(例えば計量リザーバ318のベース323における流体通路328の入口における)と、流体がそこから流体通路328内に移動し得るリザーバ(例えばインプット・チャンバ315、又はその一部、例えば計量リザーバ318)の容積(V)との比、すなわちA
p:Vは、約1:25〜約1:500であってよく、いくつかの実施態様では約1:50〜約1:300であってよく、そしていくつかの実施態様では約1:100〜約1:200であってよい。換言すれば、いくつかの実施態様ではA
p/Vの割合は少なくとも約0.01であってよく、いくつかの実施態様では少なくとも約0.02であってよく、そしていくつかの実施態様では少なくとも約0.04であってよい。いくつかの実施態様ではA
p/Vの割合は約0.005以下であってよく、いくつかの実施態様では約0.003以下であってよく、そしていくつかの実施態様では約0.002以下であってよい。別の形で報告するならば、いくつかの実施態様ではV/A
pの割合、又はVとA
pとの比は少なくとも約25(すなわち25:1)であってよく、いくつかの実施態様では少なくとも約50(すなわち約50:1)であってよく、そしていくつかの実施態様では少なくとも約100(すなわち約100:1)であってよい。いくつかの実施態様では、V/A
pの割合、又はVとA
pとの比は約500(すなわち約500:1)以下であってよく、いくつかの実施態様では約300(すなわち約300:1)以下であってよく、そしていくつかの実施態様では約200(すなわち約200:1)以下であってよい。
【0178】
いくつかの実施態様の場合、これらの比は、流体通路328内の種々の寸法を採用することにより達成することができる。例えば、いくつかの実施態様では、流体通路328は横方向寸法(例えば中心101から半径に沿ったその長さに対して垂直方向の寸法、例えば直径、幅、深さ、厚さなど)が約0.5mm以下、いくつかの実施態様では約0.25mm以下、そしていくつかの実施態様では約0.1mm以下であってよい。いくつかの実施態様では、流体通路328の断面積A
pは約0.1mm
2以下、いくつかの実施態様では約0.075mm
2以下、そしていくつかの実施態様では約0.5mm
2以下であってよい。いくつかの実施態様では、流体通路328の長さは少なくとも約0.1mm、いくつかの実施態様では少なくとも約0.5mm、いくつかの実施態様では少なくとも約1mmであってよい。いくつかの実施態様では、流体通路328の長さは約0.5mm以下、いくつかの実施態様では約0.25mm以下、そしていくつかの実施態様では約0.1mm以下であってよい。いくつかの実施態様では、例えば流体通路328の幅は約0.25mm、深さは約0.25mm(すなわち断面積が約0.0625mm
2)、そして長さが約0.25mmであってよい。
【0179】
図17,
図19,
図21及び
図22に示されているように、毛管弁330は計量リザーバ318の第2端部324と流体連通した状態で配置することができるので、流体通路328は回転軸A−Aに対して計量リザーバ318の半径方向外側に位置決めされている。毛管弁330は、流体通路328の寸法、計量リザーバ318及び/又は流体通路328を画定する表面の表面エネルギー、流体の表面張力、流体に加えられる力、(例えば下記のように、下流側に形成されるベーパーロックの結果として)存在し得る任意の背圧、及びこれらの組み合わせに応じて、流体(すなわち液体)が、計量リザーバ318から流体通路328内へ移動するのを阻止するように構成することができる。結果として、流体通路328(例えば狭窄)は、(例えば回転軸A−Aを中心として試料処理装置300が回転することによる)流体に加えられた力、流体の表面張力、及び/又は流体通路328の表面エネルギーが流体を、流体通路328の傍らを通過させるのに十分になるまで、流体が弁チャンバ334に入るのを阻止するように構成(例えば寸法設定)することができる。
【0180】
図示の実施態様に示されているように、毛管弁330は隔膜弁332と直列配列することができるので、毛管弁330は隔膜弁332の半径方向内側に位置決めされており、隔膜弁332の入口と流体連通している。隔膜弁332は弁チャンバ334と弁隔膜336とを含むことができる。回転プラットフォーム上の所与の配向(例えば実質的に水平方向)で、毛管力を平衡させ、遠心力によって相殺することにより流体流を制御することができる。隔膜弁332(「相変化タイプの弁」と呼ばれることもある)は熱源(例えば電磁エネルギー)を受容し得る。熱源は、弁隔膜336を通る通路を開くために弁隔膜336を溶融させることができる。
【0181】
隔膜336は弁チャンバ334と、試料処理装置300内の1つ又は2つ以上の下流側流体構造との間に配置することができる。このようなものとして、検出チャンバ350は隔膜弁332の出口(すなわち弁チャンバ334)と流体連通していてよく、そして中心301の回転軸A−Aに対して、弁チャンバ334の少なくとも部分的に半径方向外側に位置決めすることができる。隔膜336は(i)隔膜336が流体(具体的には液体)不透過性であり、任意の下流側流体構造から弁チャンバ334を流体的に分離するように位置決めされている閉形態;及び(ii)隔膜336が流体(具体的には液体)透過性であり(例えば試料が貫流するのを促進するようにサイズ設定された1つ又は2つ以上の開口を含む)、そして弁チャンバ334と任意の下流側流体構造との流体連通を可能にする開形態を含むことができる。すなわち、弁隔膜336は無傷の時に、流体(すなわち液体)が弁チャンバ334と任意の下流側流体構造との間に移動するのを防止することができる。
【0182】
弁構造及びプロセスの種々の特徴及び詳細が、2011年5月18日付けで出願された米国出願第61/487,618号明細書、及び2011年5月25日付けで出願された米国出願第61/490,012号明細書に記載されている。これらのそれぞれは参照することによりその全体を本明細書中に組み入れられる。
【0183】
弁隔膜336は、不透過性バリアを含むか又は不透過性バリアから形成することができる。不透過性バリアは電磁エネルギー、例えば可視、赤外、及び/又は紫外スペクトル内の電磁エネルギーに対して不透明又は吸収性である。本開示との関連において使用される「電磁エネルギー」(及びこれらの変化形)は、源から所期の場所又は材料へ送達され得る(波長/周波数とは無関係な)電磁エネルギーを意味する。電磁エネルギーの非制限的な例は、レーザーエネルギー、ラジオ周波数(RF)、マイクロ波輻射線、光エネルギー(紫外スペクトル〜赤外スペクトルを含む)などを含む。いくつかの実施態様の場合電磁エネルギーは、紫外線から赤外線までのスペクトル範囲内(可視スペクトルを含む)に含まれるエネルギーに制限することができる。
【0184】
弁隔膜336又はその一部は基体302(例えば基体302のために使用される材料とは異なる材料から形成されている)から区別可能であってよい。基体302及び弁隔膜336のために異なる材料を使用することにより、それぞれの材料はその所期特徴のために選択することができる。或いは、弁隔膜336は基体302と一体的であり、基体302と同じ材料から形成されていてもよい。例えば、弁隔膜336は単純に基体302内に成形されていてよい。もしもそうならば、電磁エネルギーを吸収するその能力を高めるために、これは被覆又は含浸されていてよい。
【0185】
弁隔膜336は任意の好適な材料から形成されていてよいが、隔膜336の材料が、試料処理装置300内で行われる反応又はプロセスを妨害し得る顕著な副産物、廃棄物などを生成することなしにボイドを形成すると特に有利であり得る。弁隔膜336、又はその一部として使用し得る材料クラスの一例は、顔料付き配向ポリマーフィルム、例えば商業的に入手可能なライナー又はバッグを製造するために使用されるフィルムを含む。好適なフィルムは、記号406230Eでコネチカット州Danbury在Himolene Incorporatedから入手可能な1.18ミル厚の黒色の缶ライナーであってよい。他方においていくつかの実施態様では、隔膜336は、基体302自体と同じ材料から形成することもできるが、しかし基体302の他の部分よりも小さな厚さを有していてよい。隔膜厚は、基体302を形成するために使用されるモールド又は工具によって制御することができるので、隔膜は、電磁信号からのエネルギーを吸収することによって十分に開かれるのに十分な厚さを有している。
【0186】
いくつかの実施態様では、弁隔膜336の断面積は少なくとも約1mm
2、いくつかの実施態様では少なくとも約2mm
2、そしていくつかの実施態様では少なくとも約5mm
2であってよい。いくつかの実施態様では、弁隔膜336の断面積は約10mm
2以下、いくつかの実施態様では約8mm
2以下、そしていくつかの実施態様では約6mm
2以下であってよい。
【0187】
いくつかの実施態様では、弁隔膜336の厚さは少なくとも約0.1mm、いくつかの実施態様では少なくとも約0.25mm、そしていくつかの実施態様では少なくとも約0.4mmであってよい。いくつかの実施態様の場合、弁隔膜336の厚さは約1mm以下、いくつかの実施態様では約0.75mm以下、そしていくつかの実施態様では約0.5mm以下であってよい。
【0188】
いくつかの実施態様では、弁隔膜336は概ね円形であってよく、直径が約1.5mm(すなわち断面積約5.3mm
2)、厚さ約0.4mmであってよい。
【0189】
いくつかの実施態様では、弁隔膜336は、選択された波長の電磁エネルギーを吸収してエネルギーを熱に変換しやすい材料を含むことができ、その結果、弁隔膜336にボイドが形成される。吸収性材料は弁隔膜336、又はその部分内部に含有され(例えば隔膜を形成する材料(樹脂)内に含有される)、その表面上に被覆されてよい。例えば、
図20に示されているように、弁隔膜336は、上部(すなわち基体302の上面306)から電磁エネルギーで照射されるように形成することができる。結果として、弁隔膜領域上の第1層304(
図16参照)は、弁隔膜336内のボイドを形成するために使用される電磁エネルギーの選択された波長、又は波長範囲に対して透明であってよく、そして弁隔膜336はこのような波長を吸収することができる。
【0190】
毛管弁330は隔膜弁332と直列状態にあるものとして、また具体的には隔膜弁332の入口又は上流端部の上流側にあり、そして隔膜弁332の入口又は上流端部と流体連通状態にあるものとして、
図16〜
図22に例示された実施態様に示されている。弁隔膜336が閉形態にあるときに、毛管弁330及び隔膜弁332のこのような形態はベーパーロック(すなわち弁チャンバ334内で)を形成することが可能であり、そして試料が動かされ、圧力が試料処理装置300内で発生し得る。このような形態はまた、(例えば、試料の表面張力が一定のままであるときに、試料に加えられる遠心力に影響を及ぼす、試料処理装置300を回転させる速度を制御することにより;且つ/又は試料の表面張力を制御することにより)いつ流体(すなわち液体)が弁チャンバ334に入り、弁隔膜336に隣接して収集されるのが許されるか、そのときを使用者が制御することも可能にする。すなわち毛管弁330は、隔膜弁332を開く前に、すなわち弁隔膜336が閉形態にあるときに、流体(すなわち液体)が弁チャンバ334に入り弁隔膜336に隣接してプールされ収集されることを阻止することができる。
【0191】
毛管弁330及び隔膜弁332はまとめて、又は別々に、試料処理装置300の「弁」又は「弁構造」と呼ぶことができる。すなわち、試料処理装置300の弁構造は概ね、毛管弁及び隔膜弁を含むものとして上述した通りである。しかし言うまでもなく、いくつかの実施態様では、試料処理装置300の弁又は弁構造は単に、流体通路328、弁チャンバ334、及び弁隔膜336を含むものとして記述することもできる。さらに、いくつかの実施態様では、流体通路328は、インプット・チャンバ315の一部を形成するものとして(例えば計量リザーバ318の一部を形成するものとして)記述することができるので、下流側端部324は、所望されるまで流体が弁チャンバ334に入るのを阻止するように構成された流体通路328を含んでいる。
【0192】
流体(すなわち液体)が、弁隔膜336の一方の側に隣接して収集されるのを阻止することにより、弁隔膜336を開くことができ、すなわち閉形態から開形態へ変えることができ、この場合他のものを妨害することはない。例えば、いくつかの実施態様の場合、弁隔膜336の一方の側(例えば試料処理装置300の上面306)に好適な波長の電磁エネルギーを導くことにより、弁隔膜336にボイドを形成することによって弁隔膜336を開放することができる。本発明者らが発見したのは、いくつかの事例において、液体が弁隔膜336の反対側で収集された場合、液体が電磁エネルギーのためのヒートシンクとして機能することによって、ボイド形成(例えば溶融)プロセスを妨害し得ることである。このことは弁隔膜336にボイドを形成するために必要な電力及び/又は時間を増大させることができる。結果として、流体(すなわち液体)が弁隔膜336の一方の側に隣接して収集されるのを阻止することによって、弁隔膜336の第2の側に流体(例えば試料又は試薬のような液体)が存在しないときに弁隔膜336の第1の側に電磁エネルギーを導くことにより、弁隔膜336を開放することができる。流体(例えば液体)が弁隔膜336の後ろ側で収集されるのを阻止することにより、隔膜弁332は種々様々な弁状態、例えばレーザー出力(例えば440,560,670,780及び890ミリワット(mW))、レーザーパルス幅又は継続時間(例えば1又は2秒)、及びレーザーパルス数(例えば1又は2パルス)にわたって信頼性高く開放することができる。
【0193】
結果として、毛管弁330は(i)試料の選択された体積を計量して下流側の検出器チャンバ350に送達し得るように、計量リザーバ318の閉じた端部を事実上形成するために、そして(ii)弁隔膜336がその閉形態にあるときに、例えば弁チャンバ334内にベーパーロックを形成することによって弁隔膜336の一方の側に隣接して流体(例えば液体)が収集されるのを事実上阻止するために、機能する。
【0194】
いくつかの実施態様において、弁構造は試料処理装置300の中心301に対して実質的に半径方向に配向された長手方向を含むことができる。いくつかの実施態様では、弁隔膜336は、弁隔膜336内に形成し得る1つ又は2つ以上の開口の寸法よりも大きい長手方向に延びる長さを含むことができるので、弁隔膜336の長さに沿って1つ又は2つ以上の開口を形成することができる。すなわちいくつかの実施態様の場合、弁隔膜336内の長さに沿って選択された場所に開口を形成することにより、試料の選択されたアリコートを取り出すことが可能である。選択アリコート体積は、開口間の半径方向距離(例えば回転軸A−Aに対して測定)、及び開口間の弁チャンバ334の断面積に基づいて判定することができる。このような「可変弁」の他の実施態様及び詳細は米国特許第7,322,254号明細書及び米国特許出願公開第2010/0167304号明細書に見いだすことができる。
【0195】
弁隔膜336内に開口又はボイドが形成された後、弁チャンバ334は弁隔膜336のボイドを介して、弁隔膜下流側の流体構造、例えば検出器チャンバ350と流体連通するようになる。上述のように、試料がレーン303の試料ハンドリング側311内にローディングされた後、第1インプット・アパーチャ310を閉じ、シールし、且つ/又は塞ぐことができる。このようなものとして、試料処理装置300は周囲からシールすることができ、又は処理中に「無通気(unvented)型」にすることができる。
【0196】
本開示との関連において使用される「無通気型処理アレイ」又は「無通気型分配システム」は、試料のためのインプット・チャンバ315(又は試薬のためのインプット・チャンバ365)内に、流体構造体積内に通じる開口だけが配置されている分配システム(すなわち「処理チャンバアレイ」、「処理アレイ」又は「レーン」303)である。換言すれば、無通気型分配システム内部の検出チャンバ350に到達するために試料(及び/又は試薬)材料はインプット・チャンバ315(又はインプット・チャンバ365)に送達され、そしてインプット・チャンバ315は続いて周囲からシールされる。
図16〜
図22に示されているように、このような無通気型分配システムは、試料材料を検出器チャンバ350に(例えば下流方向に)送達するための1つ又は2つ以上の専用チャネルと、空気又は別の流体が、試料が移動する通路とは別個の通路を介して検出チャンバ350を出るのを可能にするための1つ又は2つ以上の専用チャネルとを含んでよい。対照的に、通気型分配システムは処理中は周囲に対して開いており、またおそらくは、分配システムに沿った1つ又は2つ以上の場所、例えば検出チャンバ350の近くの場所に位置決めされた通気口を含むことになる。上述のように、無通気型分配システムは、環境と、試料処理装置300の内部との間の汚染(例えば試料処理装置300からの漏れ、又は環境又は使用者から試料処理装置300内への汚染物質の導入)を阻止し、また1つの試料処理装置300上の複数の試料間又はレーン303間の交差汚染をも阻止する。
【0197】
図17,
図19及び
図21に示されているように、処理中の試料処理装置300における流体の流動を容易にするために、レーン303は1つ又は2つ以上の平衡チャネル355を含むことができる。平衡チャネル355は、、レーン303の下流及び半径方向外側部分(例えば検出チャンバ350)を、検出チャンバ350の上流又は半径方向内側の1つ又は2つ以上の流体構造(例えばインプット・チャンバ315の少なくとも一部、試薬ハンドリング側361のインプット・チャンバ365の少なくとも一部、又はその両方)と流体的にカップリングするように位置決めされている。
【0198】
一例を述べると、
図20及び
図21に示された図示の試料処理装置300の各レーン303は平衡チャネル355を含んでいる。平衡チャネル355は、検出チャンバ350を、レーン303の試薬ハンドリング側361の試薬インプット・チャンバ365の上流、又は半径方向内側(すなわち中心301に対して)部分と流体的にカップリングするように位置決めされている。平衡チャネル355は、流体構造のさもなければベーパーロックされる下流部分から流体(例えば閉じ込められた空気のようなガス)が上流移動することによって、試料処理装置300のさもなければベーパーロックされる領域内に他の流体(例えば試料材料、液体など)が容易に下流移動するのを可能にする付加的なチャネルである。このような平衡チャネル355は、試料処理装置300上の流体構造が、試料処理中、すなわち試料処理装置300上の流体移動中に周囲に対して無通気又は閉じられた状態であり続けるのを可能にする。結果として、いくつかの実施態様において、平衡チャネル355は「内部通気」又は「通気チャネル」と呼ぶことができ、材料移動を容易にするための、閉じ込められた流体の放出プロセスを「内部通気」と呼ぶこともできる。
【0199】
換言すれば、いくつかの実施態様において、インプット・チャンバ315(又は試薬インプット・チャンバ365)から検出チャンバ350への試料(又は試薬)の流れは、第1移動方法を画定することができ、平衡チャネル355は第1方向とは異なる第2運動方向を画定することができる。具体的には、第2方向は第1方向と対向するか又は実質的に対向する。試料(又は試薬)が力(例えば遠心力)を介して検出チャンバ350に移動されると、第1方向は概ね力方向に沿って配向することができ、そして第2方向は力方向と概ね対向して配向することができる。
【0200】
弁隔膜336を(例えば隔膜336で電磁エネルギーを放出することによって)開形態に変えると、弁チャンバ334内のベーパーロックを解除することができる。その理由は少なくとも一つには、平衡チャネル355が隔膜336の下流側をインプット・チャンバ365にまで戻し接続するからである。ベーパーロックの解除は、流体(例えば液体)が流体通路328内、弁チャンバ334内、及び検出チャンバ350に流入するのを可能にする。いくつかの実施態様では、この現象は、チャネル及びチャンバが疎水性であると、又は一般に疎水性表面によって画定されると促進される。すなわちいくつかの実施態様の場合、基体302及び、少なくとも部分的にチャネル及びチャンバを画定する任意のカバー又は層304,305及び308(又はそれに被覆された、例えばシリコーンポリ尿素を含む接着剤)は、特に水性の試料及び/又は試薬材料と比較して疎水性の材料から形成することができ、又は疎水性の表面を含むことができる。
【0201】
いくつかの実施態様の場合、材料表面の疎水性は、当該液体の液滴と当該表面との間の接触角を測定することによって判定することができる。この事例では、このような測定は種々の試料材料及び/又は試薬材料と、試料及び/又は試薬と接触することになる試料処理装置の少なくとも何らかの表面を形成する際に使用される材料との間で行うことができる。いくつかの実施態様では、試料材料及び/又は試薬材料は水性液体(例えば懸濁液など)であってよい。いくつかの実施態様の場合、本開示の試料及び/又は試薬と、試料処理装置300の少なくとも一部を形成する基体材料との接触角は少なくとも約70度であってよく、いくつかの実施態様では少なくとも約75度であってよく、いくつかの実施態様では少なくとも約80度であってよく、いくつかの実施態様では少なくとも約90度であってよく、いくつかの実施態様では少なくとも約95度であってよく、そしていくつかの実施態様では少なくとも約99度であってよい。
【0202】
いくつかの実施態様では、流体に十分な力が加えられると(例えば流体に対する閾値力が達成されたとき、例えば試料処理装置300の回転軸A−Aを中心とした回転が閾値加速度又は回転加速度を超えたとき)、流体は流体通路328内に流入することができる。流体が毛管弁330内の毛管力を克服した後、流体は開いた弁隔膜336を下流流体構造(例えば検出チャンバ350)に向かって貫流することができる。
【0203】
本開示全体を通して論じているように、試料処理装置300を通して移動される試料及び/又は試薬材料の表面張力は、流体通路328内にその材料を移動するために、そして毛管力を克服するために必要となる力の量に影響を及ぼすことができる。大まかに述べるならば、試料処理装置300を通して移動される材料の表面張力が低ければ低いほど、毛管力を克服するために必要となる、材料に加えられる力も低くなる。いくつかの実施態様では、試料及び/又は試薬材料の表面張力は少なくとも約40mN/m、いくつかの実施態様では少なくとも約43mN/m、いくつかの実施態様では少なくとも約45mN/m、いくつかの実施態様では少なくとも約50mN/m、いくつかの実施態様では少なくとも約54mN/mであってよい。いくつかの実施態様では、表面張力は約80mN/m以下、いくつかの実施態様では約75mN/m以下、いくつかの実施態様では約72mN/m以下、いくつかの実施態様では約70mN/m以下、そしていくつかの実施態様では約60mN/m以下であってよい。
【0204】
いくつかの実施態様では、試料処理装置300を通して動かされる試料及び/又は試薬材料の密度は少なくとも約1.00g/mL、いくつかの実施態様では少なくとも約1.02g/mL、いくつかの実施態様では少なくとも約1.04g/mLであってよい。いくつかの実施態様では、密度は約1.08g/mL以下、いくつかの実施態様では約1.06g/mL以下、そしていくつかの実施態様では約1.05g/mL以下であってよい。
【0205】
いくつかの実施態様では、試料処理装置を通して動かされる試料及び/又は試薬材料の粘度は少なくとも約1センチポイズ(nMs/m
2)、いくつかの実施態様では少なくとも約1.5センチポイズ、そしていくつかの実施態様では少なくとも約1.75センチポイズであってよい。いくつかの実施態様では、粘度は約2.5センチポイズ以下、いくつかの実施態様では約2.25センチポイズ以下、そしていくつかの実施態様では約2.00センチポイズ以下であってよい。いくつかの実施態様では、粘度は1.0019センチポイズ又は2.089センチポイズであってよい。
【0206】
下記の表は、試料希釈剤及び/又は試薬として本開示に採用され得る水性媒質のための種々のデータを含む。1つの例は、ウイルス、クラミジア、マイコプラズマ、及びウレアプラズマのためのCopan Universal Transport Media (“UTM”), 3.0mL管、部品番号330C、ロット39P505 (Copan Diagnostics, Murrietta, GA)である。このUTMは例における試料として使用する。別の例はFocus Diagnostics (Cypress, CA)から入手可能な試薬マスターミックス(“Reagent”)である。本開示のいくつかの試料材料及び/又は試薬材料が、水から水中25%グリコールまでの材料特性を有し得るので、25℃の水及び水中25%グリコールに関する粘度及び密度データが下記表に含まれている。下記表の接触角測定値をブラック・ポリプロピレン上で測定した。ブラック・ポリプロピレンは、Flint Hills Resources (Wichita, Kansas)の製造番号P4G3Z-039ポリプロピレン、ナチュラルと、Clariant Corporation (スイス国Muttenz)から入手可能なClariant Colorant UN0055O, Deep Black (カーボンブラック)、3%LDRとをプレスで合体させることにより形成した。このようなブラック・ポリプロピレンは、本開示の試料処理装置(例えば試料処理装置300)の少なくとも一部(例えば基体302)を形成するためにいくつかの実施態様において使用することができる。
【0208】
無通気型分配システムを含む試料処理装置内部の試料材料の移動は、回転中に装置の加速及び減速を交互に行い、種々のチャネル及びチャンバを通る試料材料を本質的にバープすることによって促進することができる。回転は、少なくとも2つの加速/減速サイクル、すなわち初期加速、続いて減速、第2ラウンドの加速、及び第2ラウンドの減速を用いて実施することができる。
【0209】
加速/減速サイクルは、平衡チャネル、例えば平衡チャネル355とともに分配システムを含む処理装置(例えば試料処理装置300)の実施態様において必要ではないことがある。平衡チャネル355は、空気又は他の流体が、流体構造を通る試料材料の流れを妨害するのを防止する助けをすることができる。平衡チャネル355は、押し退けられた空気又は他の流体が検出チャンバ350を出るための通路を提供することにより、分配システム内部の圧力を平衡化する。このことは、分配システムを「バープ(burp)」させるための加速及び/又は減速の必要性を最小化することができる。しかし加速及び/又は減速技術は、無通気型分配システムを通る試料材料の分配をさらに容易にするためになおも用いられてよい。加速及び/又は減速技術は、不規則な表面、例えばEM誘導弁によって形成された粗い縁部、不完全な成形チャネル/チャンバなどの上方及び/又は周りに流体を動かすのを支援するために有用な場合もある。
【0210】
加速及び/又は減速が急速であるならばさらに有用である。いくつかの実施態様の場合、回転は1方向でのみ行われてよく、すなわちローディング・プロセス中に回転方向を反転する必要はない。このようなローディング・プロセスは、システム内への開口よりも試料処理装置300の回転中心301から大きく離れて配置されたシステム部分に試料材料が空気を押し退けることを可能にする。
【0211】
実際の加速度及び減速度は、種々様々な要因、例えば装置の温度、サイズ、回転軸からの試料材料の距離、装置を製造するために使用される材料、試料材料の特性(例えば粘度)などに応じて変動してよい。有用な加速/減速プロセスの一例は、1分間当たり約4000回転(rpm)までの初期加速、続いて約1秒間にわたる約1000rpmまでの減速を含んでよく、この場合装置の回転速度の振幅は、試料材料が所期距離だけ移動するまで1秒のインターバルで1000rpm〜4000rpmである。
【0212】
有用なローディング・プロセスの別の例は、約500rpmの第1回転速度までの少なくとも約20回転/sec
2の初期加速、これに続いて第1回転速度での5秒間の保持、これに続いて約1000rpmの第2回転速度までの少なくとも約20回転/sec
2の第2加速、これに続いて第2回転速度での5秒間の保持を含んでよい。有用なローディング・プロセスの別の例は、約1800rpmの回転速度までの少なくとも約20回転/sec
2の初期加速、これに続いてその回転速度での10秒間の保持を含んでよい。
【0213】
図20及び
図21に示されているように、平衡チャネル355は、基体302の上面306及び/又は底面309に設けられた一連のチャネルと、上面306と底面309との間に延びる1つ又は2つ以上のビアとから形成することができる。ビアは上面306と底面309の段状部分をトラバースするのを助けることができる。具体的には、
図20に示されているように、図示の平衡チャネル355は、最も外側の段部313の上面306に沿って延びる第1チャネル又は部分356;上面306の段状部分をトラバースしなければならない平衡チャネル355を回避するために、上面306から底面309へ延びる第1ビア357;及びインプット・チャンバ365の半径方向内側部分に延びる第2チャネル又は部分358(
図21参照)を含んでいる。
【0214】
検出チャンバ350が試料材料又は他の材料を受容すると、検出チャンバ350内部の空気又は別の流体を押し退けることができる。平衡チャネル355は、押し退けられた空気、又は他の押し退けられた流体が検出チャンバ350から排出されるための通路を提供することができる。平衡チャネル355は、分配システムのいくつかのチャネルが一方向(例えば上流方向又は下流方向)の流体流専用になるのを可能にすることにより、試料処理装置300のそれぞれの分配システム内部(例えばインプット・チャンバ315及び検出チャンバ350、及びインプット・チャンバ315と検出チャンバ350とを接続する種々の通路)の圧力を平衡化することによって、試料処理装置300を通る流体のより効率的な移動を支援することができる。
図16〜
図22に示された実施態様の場合、試料は概ねインプット・チャンバ315から下流側に、そして半径方向外側に向かって(例えば試料処理装置300が中心301の周りを回転させられたときに)、毛管弁330及び隔膜弁332を通って、そして分配チャネル340を通って検出チャンバ350に流れる。他の流体(例えば検出チャンバ350内に存在するガス)は概ね試料の移動方向とは反対方向に、検出チャンバ350から上流側又は半径方向内側に向かって、平衡チャネル355を通ってインプット・チャンバ365に流れることができる。
【0215】
弁構造に戻ると、弁隔膜336の下流側(すなわち図示の試料処理装置300の上面306に面した側;
図20及び
図22参照)は、分配チャネル340内に面し、そして最終的には分配チャネル内に開口する(例えば弁隔膜336内に開口又はボイドが形成された後)。分配チャネル340は弁チャンバ334(及び最終的にはインプット・チャンバ315、及び具体的には計量リザーバ318)と検出チャンバ350とを流体的にカップリングする。平衡チャネル355と同様に、分配チャネル340も基体302の上面306及び/又は下面309に設けられた一連のチャネルと、上面306と底面309との間に延びる1つ又は2つ以上のビアとから形成することができる。ビアは基体302の上面306の段状部分をトラバースするのを助けることができる。例えば
図20〜
図22に示されているように、いくつかの実施態様の場合、分配チャネル340は、基体302の中央段部313の上面に沿って延びる第1チャネル又は部分342(
図20及び
図22参照);上面306から底面309へ延びる第1ビア344(
図20〜
図22参照);段状上面306をトラバースするのを回避するために底面309に沿って延びる第2チャネル又は部分346(
図21及び
図22参照);底面309から上面306へ延びる第2ビア347(
図20〜
図22参照);及び上面306に沿って延びて検出チャンバ350内に開口する第3チャネル又は部分348(
図20及び
図22参照)を含むことができる。
【0216】
簡潔さのために
図18〜
図22において全ての層及びカバーが試料処理装置300から取り外されているので、基体302が単独で示されているが、言うまでもなく、底面309上に形成された任意のチャネル及びチャンバを第2層308によって少なくとも部分的に画定することもでき、また、上面306上に形成された任意のチャネル及びチャンバを、
図16〜
図17に示されているように、第1層304によって少なくとも部分的に画定することもできる。
【0217】
試料に力を加えることにより、試料をインプット・チャンバ315(すなわち計量リザーバ318)から流体通路328を通って弁チャンバ334内に、弁隔膜336のボイドを通って、分配チャネル340に沿って、そして検出チャンバ350内に移動させることができる。上述のように、このような力は、回転軸A−Aから半径方向外側に向かって試料を移動するために、例えば回転軸A−Aを中心として試料処理装置300を回転させることにより発生させ得る遠心力であってよい(すなわち、検出チャンバ350の少なくとも一部がインプット・チャンバ315の半径方向外側に配置されているからである)。しかしながら、このような力は圧力差(例えば正圧及び/又は負圧)、及び/又は重力によって確立することもできる。適切な力を受けると、試料はビアを含む種々の流体構造を通ってトラバースすることにより、最終的には検出チャンバ350内に位置することができる。具体的には、試料の計量リザーバ318(すなわちバッフル316及び廃棄物リザーバ320)によって制御された、選択された体積は、隔膜弁332が開かれた後に検出チャンバ350に移動され、そして毛管弁330の流体通路328を通るように試料を移動するのに十分な力を試料に加える。
【0218】
図16〜
図22に示された実施態様の場合、弁隔膜336は、弁チャンバ334と検出(又は処理)チャンバ350との間に配置されており、具体的には、弁チャンバ334と、検出器チャンバ350に通じる分配チャネル340との間に配置されている。分配チャネル340は一例として示されているが、いくつかの実施態様では、弁チャンバ334は検出チャンバ350内に直接に開口することができるので、弁隔膜336は弁チャンバ334と検出チャンバ350との間に位置決めされている。
【0219】
レーン303の試薬ハンドリング側361は、レーン303の試料ハンドリング側311と実質的に同様に構成することができる。従って、上記試料ハンドリング側311の詳細、特徴、又はこれらの代替物は、試薬ハンドリング側361の特徴にまで拡大適用することができる。
図17,
図19及び
図21に示されているように、試薬ハンドリング側361は、インプット・チャンバ又はウェル365内に開口する第2インプット・アパーチャ360を含む。図示のように、いくつかの実施態様では、インプット・チャンバ365は、1つ又は2つ以上のバッフル又は壁366、又はその他の好適な流体誘導構造を含むことができる。これらは、インプット・チャンバ365を、少なくとも計量部分、チャンバ、又はリザーバ368と、廃棄物部分、チャンバ、又はリザーバ370とに分割するように位置決めされている。バッフル366は、インプット・チャンバ365内で流体を誘導し、且つ/又は含有するように機能することができる。図示の実施態様に示されているように、インプット・アパーチャ360を介して、試料処理装置300の対応試料と同じレーン303内に試薬をローディングすることができる。いくつかの実施態様では、試薬は、所与のアッセイのために所期時点でローディングすることができる完全試薬カクテル又はマスターミックスを含むことができる。しかし、いくつかの実施態様では、試薬は、特定アッセイに対する必要に応じて、種々異なる時点でローディングされた複数部分を含むことができる。試薬がアッセイカクテル又はマスターミックスの形態を成していて、特定アッセイのために必要となる全ての酵素、蛍光標識、プローブなどを一度に(例えば専門家でない使用者によって)ローディングし、続いて計量し、適切な場合に(試料処理装置300によって)試料に送達し得るようになっている場合に、特別な利点が注目されている。
【0220】
試薬を試料処理装置300上にローディングした後、試料処理装置300はその回転軸A−Aを中心として回転させ、(例えば1つ又は2つ以上のバッフル366によって)試薬を計量リザーバ368に導くことができる。計量リザーバ368は、材料の選択された体積を維持又は保持するように形成されている。過剰分は廃棄物リザーバ370に導かれる。いくつかの実施態様の場合、インプット・チャンバ365、又はその一部は「第1チャンバ」又は「第1処理チャンバ」と呼ぶことができ、また検出チャンバ350は「第2チャンバ」又は「第2処理チャンバ」と呼ぶこともできる。
【0221】
図21に示されているように、計量リザーバ368は、試料処理装置300の中心301及び回転軸A−Aに向かって位置決めされた第1端部372と、中心301及び回転軸A−Aから離れて位置決めされた第2端部374とを含むので、試料処理装置300が回転させられるのに伴って、試料は計量リザーバ368の第2端部374に向かって押し進められる。計量リザーバ368の第2端部374を画定する1つ又は2つ以上のバッフル又は壁366は、選択された体積を画定するように配置されたベース373と側壁376(例えば部分側壁)とを含むことができる。側壁376は、過剰の選択体積中の任意の体積が側壁376から溢れ、廃棄物リザーバ370内に流れ去るのを可能にするように配置されて成形されている。結果として、廃棄物リザーバ370の少なくとも一部を計量リザーバ368又はインプット・チャンバ365の残りの半径方向外側に向かって位置決めすることにより、過剰の材料体積を廃棄物リザーバ370内に移動するのを容易にし、そして試料処理装置300が回転させられるのに伴って、過剰体積が計量リザーバ368内に戻るのを阻止することができる。
【0222】
換言すれば、
図21を引き続き参照すると、インプット・チャンバ365は、インプット・アパーチャ360から計量リザーバ368に向かって材料を導くように位置決めされた1つ又は2つ以上の第1バッフル366Aと、選択された体積の流体を含有し、そして選択された体積の過剰の流体を廃棄物リザーバ370内に導くように位置決めされた1つ又は2つ以上の第2バッフル366Bとを含むことができる。
【0223】
図示のように、ベース373には、開口又は流体通路378が形成されていてよい。流体通路は毛管弁380の少なくとも一部を形成するように構成することができる。毛管弁380及び計量リザーバ368は、レーン303の試料ハンドリング側311の毛管弁330及び計量リザーバ318と同様に機能することができる。加えて、流体通路378のアスペクト比、及びその範囲は、毛管弁330に関して上述したものと同じであってよい。
【0224】
図17,
図19及び
図21に示されているように、いくつかの実施態様では、試薬計量リザーバ368は、試料計量リザーバ318よりも大きい体積を保持するように形成することができる。結果として、特定アッセイのために必要とされる試料の所期の(そして比較的小さな)体積は、試料計量リザーバ318によって保持し、そして下流に向かって(例えば弁構造330,332及び分配チャネル340を介して)処理のために検出チャンバ350に送ることができ、そして特定アッセイ(又はそのステップ)のために必要となる試薬の所期の(そして比較的大きい)体積を、試薬計量リザーバ368によって保持し、そして下流に向かって、今説明する構造を介して処理のために検出チャンバ350に送ることができる。
【0225】
試料ハンドリング側311と同様に、試薬ハンドリング側361上の毛管弁380は隔膜弁382と直列配列することができる。隔膜弁382は弁チャンバ384と弁隔膜386とを含むことができる。隔膜336に関して上述したように、隔膜386は、弁チャンバ384と、試料処理装置300内の1つ又は2つ以上の下流側流体構造との間に配置することができ、そして隔膜386は閉形態と開形態とを含むことができ、無傷の時に、流体(すなわち液体)が弁チャンバ384と任意の下流側流体構造との間に移動するのを防止することができる。
【0226】
弁隔膜386は、弁隔膜336に対して上述した材料のいずれかを含むか又はこれから形成することができ、同様に構成して操作することができる。いくつかの実施態様の場合、試薬弁隔膜386は、試料弁隔膜336とは異なる電磁エネルギー波長又は波長範囲に対して感受性を有し得るが、しかしいくつかの実施態様では、2つの弁隔膜336及び386は実質的に同じであり、同じ電磁エネルギーに対して感受性を有するので、試料処理装置300上の隔膜弁330及び380の全てを開くために1つのエネルギー源(例えばレーザー)を使用することができる。
【0227】
弁隔膜386内に開口又はボイドが形成された後、弁チャンバ384は弁隔膜386のボイドを介して、弁隔膜下流側の流体構造、例えば検出器チャンバ350と流体連通するようになり、試薬を試料と合体させることができる。試薬がレーン303の試薬ハンドリング側361内にローディングされた後、第2インプット・アパーチャ360を閉じ、シールし、且つ/又は塞ぐことができる。このようなものとして、試料処理装置300は周囲からシールすることができ、又は処理中に「無通気型」にすることができる。
【0228】
図16〜
図22に示された実施態様の場合、同じ平衡チャネル355は、試料ハンドリング側311及び試薬ハンドリング側361の両方において下流方向における流体移動を容易にするので、試料及び試薬の両方を検出チャンバ350に移動するのを支援することができる。このことは同時に又は異なる時点で行うことができる。
【0229】
弁隔膜386の下流側(すなわち図示の試料処理装置300の上面306に面した側;
図20参照)は、分配チャネル390内に面し、そして最終的には分配チャネル内に開口する(例えば弁隔膜336内に開口又はボイドが形成された後)。分配チャネル390は弁チャンバ384(及び最終的にはインプット・チャンバ365、及び具体的には計量リザーバ368)と検出チャンバ350とを流体的にカップリングする。平衡チャネル355及び試料分解チャネル340と同様に、分配チャネル390も基体302の上面306及び/又は下面309に設けられた一連のチャネルと、上面306と底面309との間に延びる1つ又は2つ以上のビアとから形成することができる。ビアは基体302の上面306の段状部分をトラバースするのを助けることができる。例えば
図20及び
図21に示されているように、いくつかの実施態様の場合、分配チャネル390は、基体302の中央段部313の上面306に沿って延びる第1チャネル又は部分392(
図20参照);上面306から底面309へ延びる第1ビア394(
図20及び
図21参照);段状上面306をトラバースするのを回避するために底面309に沿って延びる第2チャネル又は部分396(
図21参照);底面309から上面306へ延びる第2ビア397(
図20及び
図21参照);及び上面306に沿って延びて検出チャンバ350内に開口する第3チャネル又は部分398(
図20参照)を含むことができる。
【0230】
試料に力を加えることにより、試料をインプット・チャンバ365(すなわち計量リザーバ368)から流体通路378を通って弁チャンバ384内に、弁隔膜386のボイドを通って、分配チャネル390に沿って、そして検出チャンバ350内に移動させることができる。この検出チャンバ350で試薬と試料とを合体させることができる。上述のように、このような力は、例えば回転軸A−Aを中心として試料処理装置300を回転させることにより発生させ得る遠心力であってよいが、しかし、このような力は圧力差(例えば正圧及び/又は負圧)、及び/又は重力によって確立することもできる。適切な力を受けると、試料はビアを含む種々の流体構造を通ってトラバースすることにより、最終的には検出チャンバ350内に位置することができる。具体的には、試料の計量リザーバ368(すなわちバッフル366及び廃棄物リザーバ370)によって制御された、選択された体積は、隔膜弁382が開かれた後に検出チャンバ350に移動され、そして毛管弁380の流体通路378を通るように試料を移動するのに十分な力を試料に加える。
【0231】
図16〜
図22に示された実施態様の場合、弁隔膜386は、弁チャンバ384と検出(又は処理)チャンバ350との間に配置されており、具体的には、弁チャンバ384と、検出器チャンバ350に通じる分配チャネル390との間に配置されている。分配チャネル390は一例として示されているが、言うまでもなくいくつかの実施態様では、弁チャンバ384は検出チャンバ350内に直接に開口することができるので、弁隔膜386は弁チャンバ384と検出チャンバ350との間に位置決めされている。加えて、いくつかの実施態様の場合、試料分配チャネル340も試薬分配チャネル390も採用せず,或いは
図16〜
図22の実施態様に示されているように、分配チャネル340,390の両方ではなく一方だけを採用する。
【0232】
試料処理装置300は例2及び例3と
図31に使用した。
【0233】
図23は、本開示の別の実施態様に基づく別の試料処理装置400の1つのレーン403を示している。同様の番号は同様のエレメントを示す。試料処理装置400は、
図16〜
図22の例示実施態様に関連して上述したものと同じエレメント及び特徴の多くを共有している。従って
図16〜
図22の例示実施態様のエレメント及び特徴に対応するエレメント及び特徴は、400番台の同じ参照番号で示す。
図23で示された実施態様の特徴及びエレメント(このような特徴及びエレメントの代替物)のより完全な説明のためには、添付の
図16〜
図22に関する上記説明が参照される。
【0234】
試料処理装置400はまた概ね円形又はディスク系であり、そして1つのレーン403は
図23において一例として示されている。試料処理装置400は、試料処理装置400を回転させるときの中心となる中心401を含んでおり、これによりこの中心401を通して材料を移動することができる。試料処理装置400は、試料ハンドリング側411と試薬ハンドリング側461とを含んでいる。試料処理装置400は、
図23に示された底面409を備えた基体402を含み、さらに、第1層及び第2層(使用前層を含む)、例えば
図16〜22の試料処理装置300に関して上述したものを含むこともできる。試料処理装置400は、
図12〜
図14に関して記載されているように、例えば電磁エネルギー源、及び光モジュールなどに対して試料処理装置400をホーミングして位置決めするために、基体402又は他の構造(例えば反射タブなど)を通して形成されたスロット475を含むことができる。
【0235】
それぞれの側411,461はインプット・アパーチャ410,460、インプット・チャンバ415,465、及びそれぞれ試料及び試薬を検出器チャンバ450に輸送するための分配チャネル440,490を含む。検出器チャンバ450において試料と試薬とを合体させることができる。
図23に示されているように、いくつかの実施態様では、試薬インプット・チャンバ465は、試料よりも体積が大きい試薬を収容するように、試料インプット・チャンバ415よりもサイズが大きくてよい。
【0236】
試料処理装置300とは異なり、試料処理装置400は特定の計量構造又は弁構造を含んでいない。しかしインプット・チャンバ415,465の体積に対する分配チャネル440,490の入口の断面積のアスペクト比は、試料処理装置300の流体通路328に関して上述したものと同じであってよいので、インプット・チャンバ415,465から検出チャンバ450への試料及び/又は試薬の移送のタイミングを制御することができる。加えて、試料分配チャネル440のアスペクト比は試薬分配チャネル490と同じである必要はなく、試料及び試薬が同時に試料処理装置400上にローディングされなくても、(例えば回転速度に起因する)材料に加えられる力に応じて試料及び試薬を検出チャンバ450へ異なる時点でなおも移送することができる。
【0237】
いくつかの実施態様の場合、試料は先ず試料処理装置400上へローディングし、そして試料処理装置400を回転させることにより検出チャンバ450へ移送することができ、次いで試薬をローディングし、試料処理装置400を回転させることにより試薬を検出チャンバ450へ移送し、この検出チャンバにおいてこれを試料と合体させ、そして任意には熱処理することができる。
【0238】
いくつかの事例では、
図23の試料処理装置400は、材料、又は材料の選択された体積が試料処理装置の特定チャンバ内に存在するかどうかを判定するためのプロセス及びシステムをテストするために使用することができる。なぜならば種々の計量構造及び弁構造が取り除かれているからである。試料処理装置400は例1及び
図27〜
図30に使用した。
【0239】
模範的試料処理装置を含む模範的ディスク・ハンドリング・システム
本開示の試料処理システムのいくつかの実施態様はディスク・ハンドリング・システムを含むことができる。このようなディスク・ハンドリング・システムはベースプレート(例えば前述の回転プラットフォーム25)を含むことができる。ベースプレートは、回転軸を中心としたベースプレートの回転を可能にするように駆動システムに取り付けられている。試料処理装置がベースプレートに固定されると、試料処理装置はベースプレートと一緒に回転することができる。ベースプレートは、試料処理装置の部分を加熱するために使用し得る少なくとも1つの熱構造を含むことができ、また種々の他の構成部分、例えば温度センサ、抵抗ヒータ、熱電モジュール、光源、光検出器、トランスミッタ、レシーバなどを含んでもよい。
【0240】
試料処理及び/又はハンドリング装置を処理するシステム及び方法の他のエレメント及び特徴は、米国特許出願公開第2011/0117607号明細書に見いだすことができる。これは参照することによりその全体を本明細書中に組み入れられる。
【0241】
1つの例示的なディスク・ハンドリング・システム500が
図24に示されている。
図24に示されたシステム500は概ね、試料処理装置の回転、及び試料処理システム12の他の構成部分(例えば光モジュールなど、
図24には示されていない)に対する所定の場所における試料処理装置の位置決めを含む、試料処理装置(例えば試料処理装置300)のハンドリングのために構成されている。加えて、システム500は、例えば熱処理のために試料処理装置を加熱及び/又は冷却するように構成することもできる。
【0242】
図24に示されているように、システム500は、回転軸511を中心として回転するベースプレート510を含むことができる。ベースプレート510は、例えばシャフト522を介して駆動システム520に取り付けることもできる。しかし言うまでもなく、ベースプレート510は任意の好適な代わりの装置、例えばベースプレート510などに直接に作用するベルト又は駆動ホイールを介して、駆動システム520にカップリングされてもよい。
【0243】
また
図24には、試料処理装置300、及びベースプレート510との関連で使用することができる環状カバー560が示されている。いくつかの実施態様では、本開示のディスク・ハンドリング・システム及び/又は試料処理システムは実際には試料処理装置を含んでいなくてもよい。なぜならば、いくつかの事例では試料処理装置は種々の試験などを実施するために使用され、次いで廃棄される消耗品だからである。結果として、本開示のシステムは、種々異なる試料処理装置と一緒に使用してよく、試料処理装置300は一例として示されているにすぎない。
【0244】
図24に示されているように、図示のベースプレート510は熱構造530を含む。熱構造はベースプレート510の上面512上に晒された熱転移面532を含む。「晒す(expose)」という用語は、熱構造530の熱転移面532を試料処理装置300の一部と物理的に接触させるように配置して、熱構造530と試料処理装置550とが、熱エネルギーを伝導を介して転移するために熱カップリングされるようになっていることを意味する。いくつかの実施態様の場合、熱構造530の熱転移面532は、試料処理中に試料処理装置300の選択された部分の真下に配置することができる。例えばいくつかの実施態様では、試料処理装置300の選択された部分は、「熱処理チャンバ」と考えることができる1つ又は2つ以上の処理チャンバ、例えば処理チャンバ350を含むことができる。処理チャンバは例えば、ENHANCED SAMPLE PROCESSING DEVICES SYSTEMS AND METHODS と題する米国特許第6,734,401号明細書(Bedingham他)で論じられたものを含むことができる。更なる例としては、試料処理装置300は、種々の特徴及びエレメント、例えばCOMPLIANT MICROFLUIDIC SAMPLE PROCESSING DISKSと題する米国特許出願公開第2007/0009391号明細書(Bedingham他)に記載されたものを含むことができる。
【0245】
結果として、一例を挙げるならば、試料処理装置300のインプット・チャンバ315,365は、熱処理チャンバ350と流体的に連通して位置決めされた「非熱」チャンバ又は「非熱」処理チャンバと呼ぶこともある。試料処理装置300上に試料をローディングし、そして
図16〜
図22に関して上述したように、この試料をチャネル(例えばマイクロ流体チャネル)及び/又は弁を介して他のチャンバに、且つ/又は最終的には熱処理チャンバ350に移動することができる。
【0246】
いくつかの実施態様において、
図24に示されているように、インプット・アパーチャ310,360は試料処理装置300の中心301と、熱処理チャンバ350のうちの少なくとも1つとの間に位置決めすることができる。加えて、環状カバー560は、インプット・アパーチャ310,360を含む試料処理装置300の一部へのアクセスを可能にするように構成して、カバー560が試料処理装置300に隣接して位置決めされるか又はこれにカップリングされたときに、インプット・アパーチャ310,360にアクセスできるようにすることができる。
【0247】
図24に示されているように、環状カバー560はベースプレート510と一緒に、これらの間に配置された試料処理装置300を圧縮することにより、ベースプレート510上の熱構造530と試料処理装置300との間の熱カップリングを増強することができる。加えて、環状カバーはベースプレート510上で試料処理装置300を保持及び/又は維持するように機能することができるので、試料処理装置300及び/又はカバー560は、これが駆動システム520によって軸511を中心として回転させられるのに伴って、ベースプレート510と一緒に回転することができる。回転軸511はシステム500のz軸を画定することができる。
【0248】
本明細書中で使用される「環状」という用語又はその派生形は、外縁部と内縁部とを有する構造であって、内縁部が開口を画定するものを意味する。例えば環状カバーは円形又は丸い形(例えば円形リング)、又は三角形、四角形、正方形、台形、多角形など、又はこれらの組み合わせを含む任意のその他の好適な形状を有することができる。例えば、本発明の「円環」は必ずしも対称である必要はなく、非対称又は不規則な形状であってもよいが、対称形状且つ/又は円形状を用いるとある一定の利点が得られることがある。
【0249】
ベースプレート510とカバー560との間に発生する圧縮力は、種々異なる構造又は構造の組み合わせを使用して達成してよい。
図24の実施態様に示された1つの模範的圧縮構造は、カバー560上に配置された(又は少なくとも動作カップリングされた)磁気エレメント570と、ベースプレート510に配置された(又は少なくとも動作カップリングされた)対応磁気エレメント572とを含んでいる。磁気エレメント570及び572を使用して、カバー560とベースプレート510とを互いに引き合わせ、これによりこれらの間に配置された試料処理装置300を圧縮し、保持し、且つ/又は変形させることができる。結果として、磁気エレメント570及び572は、互いに引き付け合うことによって、システム500のz軸に沿って第1方向D
1に環状カバー560を押し動かすことができるので、試料処理装置300の少なくとも一部がベースプレート510の転移面532と接触するように促される。
【0250】
本明細書中で使用される「磁気エレメント」は、磁界を呈するか又は磁界によって影響を受ける構造又は物品である。いくつかの実施態様の場合、磁界は、本明細書中に論じられた、試料処理装置300とベースプレート510の熱構造530との熱カップリングをもたらす所期圧縮力を発生させるのに十分な強度を有することができる。磁気エレメントは磁気材料、すなわち永久磁界を呈する材料、一時磁界を呈することができる材料、及び/又は永久磁界又は一時磁界によって影響を受ける材料を含むことができる。
【0251】
潜在的に好適な磁気材料のいくつかの例は、例えば磁性フェライト、又は鉄と1種又は2種以上の他の金属との混合酸化物を含む材料である「フェライト」、例えばナノ結晶性コバルトフェライトを含む。しかし、他のフェライト材料を使用してもよい。システム500において使用してよい他の磁気材料の一例としては、高分子物質(例えばプラスチック、ゴムなど)と組み合わせ得るストロンチウム鉄酸化物から形成されたセラミック及び可撓性磁気材料;NdFeB(この磁気材料はジスプロシウムを含んでもよい);ホウ化ネオジミウム;SmCo(サマリウムコバルト);及びアルミニウム、ニッケル、コバルト、銅、鉄の組み合わせ;チタンなど;並びに他の材料が挙げられる。磁気材料の一例としては、ステンレス鋼、常磁性体、又は十分な電界及び/又は磁界に磁化可能材料を晒すことにより十分に磁性にされ得る他の磁化可能材料が挙げられる。
【0252】
いくつかの実施態様の場合、磁気エレメント570及び/又は磁気エレメント572は強力な強磁性体を含むことにより、時間に伴う磁化損失を低減するので、時間に伴う磁力の著しい損失なしに磁気エレメント570及び572を信頼性高い磁力でカップリングすることができる。
【0253】
さらに、いくつかの実施態様では、本開示の磁気エレメントは電磁石を含んでよい。電磁石の場合、磁界は第1の磁性状態と第2の非磁性状態との間でオン・オフ切り換えすることにより、所望のときに所望の形態でシステム500の種々の領域内の磁界を活性化することができる。
【0254】
いくつかの実施態様の場合、磁気エレメント570及び572は,
図24に記載されているような、カバー560及びベースプレート510に動作カップリングされた不連続物品であってよい(ここでは磁気エレメント570及び572は個別の円筒形物品である)。しかしながら、いくつかの実施態様では、ベースプレート510、熱構造530、及び/又はカバー560は、十分な磁気材料を含むことができる(例えば、成形されるか又は構成部材の構造中に他の形式で提供される)ので、別個の不連続な磁気エレメントは必要とされない。いくつかの実施態様の場合、不連続磁気エレメントと十分な磁気材料との組み合わせ(例えば成形又はその他)を採用することができる。
【0255】
図24に示されているように、環状カバー560は、図示の実施態様ではカバー560がベースプレート510にカップリングされたときに回転軸511と一致する中心501と、開口566を少なくとも部分的に画定する内縁部563と、外縁部565とを含んでいる。上述のように、開口566は、例えば、たとえ環状カバー560が試料処理装置300に隣接して位置決めされるか又はこれにカップリングされたときでも、試料処理装置300の少なくとも一部(例えばインプット・アパーチャ310,360を含む部分)へアクセスするのを容易にすることができる。
図24に示されているように、環状カバー560の内縁部563は、例えば環状カバー560が試料処理装置300に隣接して位置決めされると、環状カバー560の中心501に対して、熱処理チャンバ350の内側に向かって(例えば半径方向内側に向かって)位置決めされるように構成することができる。加えて、環状カバー560の内縁部563は、インプット・アパーチャ310,360の半径方向外側に向かって位置決めされるように形成することができる。さらに、いくつかの実施態様では、
図24に示されているように、環状カバー560の外縁部565は、熱処理チャンバ350の外側に向かって(例えば半径方向外側に向かって)(そしてまたインプット・アパーチャ310,360の外側に向かって)位置決めされるように構成することができる。
【0256】
内縁部563は、環状カバー560の中心501から第1距離d
1(例えば第1半径方向距離又は「第1半径」)のところに位置決めすることができる。このような実施態様では、環状カバー560が実質的に円環形状である場合、開口566は第1距離d
1の2倍に等しい直径を有することができる。加えて、外縁部565は、環状カバー560の中心501から第2距離d
2(例えば第2半径方向距離又は「第2半径」)のところに位置決めすることができる。
【0257】
加えて、環状カバー560は、内壁562(例えば「内周壁」又は「半径方向内壁」)(下記のようにいくつかの実施態様では内側圧縮リングとして機能することができる)、及び外壁564(例えば「外周壁」又は「半径方向外壁」)(下記のようにいくつかの実施態様では外側圧縮リングとして機能することができる)とを含むことができる。いくつかの実施態様の場合、内壁562及び外壁564はそれぞれ内縁部563及び外縁部565を含むか又は画定するので、内壁562は熱処理チャンバ350の内側に向かって(例えば半径方向内側に向かって)位置決めすることができ、そして外壁564は熱処理チャンバ350の外側に向かって(例えば半径方向外側に向かって)位置決めすることができる。さらに
図24に示されているように、いくつかの実施態様の場合、内壁562は磁気エレメント570を含むことができるので、磁気エレメント570は内壁562の一部を形成するか又はこれにカップリングされる。例えば、いくつかの実施態様の場合、磁気エレメント570を内壁562内に埋め込む(又は成形する)ことができる。
図24に示されているように、環状カバー560はさらに上壁567を含むことができ、上壁は、試料処理装置300の一部、例えば熱処理チャンバ350を含む部分をカバーするように位置決めすることができる。
【0258】
いくつかの実施態様の場合、上壁567は、内壁562及び磁気エレメント570の内側に向かって(例えば半径方向内側に向かって)延びることができる。
図24に示された実施態様の場合、上壁567は内壁562の内側に向かって大きくは延びていない。しかしいくつかの実施態様では、上壁567は例えば内壁562及び/又は磁気エレメント570の内側に向かってさらに大きく(例えばカバー560の中心501に向かって)延びているので、開口566のサイズは
図24に示されているものよりも小さい。さらにいくつかの実施態様では、上壁567は内縁部563及び/又は外縁部565を画定することができる。
【0259】
いくつかの実施態様では、カバー560の少なくとも一部、例えば内壁562、外壁564、及び上壁567のうちの1つ又は2つ以上は光学的にクリアであってよい。本明細書中に使用される「光学的にクリア」という語句は、赤外線スペクトルから紫外線スペクトルの電磁線(例えば約10nm〜約10μm(10,000nm)に対して透明である物体を意味することができるが、しかしいくつかの実施態様では「光学的にクリア」という語句は、可視スペクトル(例えば約400nm〜約700nm)内の電磁線に対して透明である物体を意味することができる。いくつかの実施態様では「光学的にクリア」という語句は、上記波長範囲内で少なくとも約80%の透過率を有する物体を意味することができる。
【0260】
環状カバー560のこのような形態は、カバー560が試料処理装置300にカップリングされるか又はこれに隣接して位置決めされたときに、試料処理装置300の熱処理チャンバ350を事実上又は実質的に分離するように機能することができる。例えば、カバー560は試料処理装置300の一部、例えば熱処理チャンバ350を含む部分を物理的、光学的、及び/又は熱的に分離することができる。いくつかの実施態様の場合、試料処理装置300は1つ又は2つ以上の熱処理チャンバ350を含むことができ、さらにいくつかの実施態様では、1つ又は2つ以上の熱処理チャンバ350は、試料処理装置300の中心301の周りに環を成して配置することができる。この環は「環状処理リング」と呼ばれることがある。このような実施態様では、環状カバー560は、環状処理リング又は熱処理チャンバ350を含む試料処理装置300の部分をカバーし且つ/又は分離するように適合させることができる。例えば、環状カバー560は、内壁562、外壁564、及び上壁567を含むことにより、熱処理チャンバ350を含む試料処理装置300の部分をカバーし且つ/又は分離する。いくつかの実施態様では、内壁562、外壁564、及び上壁567のうちの1つ又は2つ以上が、図示のように連続壁であってよく、又は内壁、外壁(又は内側圧縮リング又は外側圧縮リング)、又は上壁として一緒に機能する複数部分から形成することができる。いくつかの実施態様では、内壁562、外壁564、及び上壁567のうちの少なくとも1つが連続壁であるときには、物理的及び/又は熱的な分離を増強することができる。
【0261】
加えていくつかの実施態様の場合、周囲から且つ/又はシステム500の他の部分から熱処理チャンバ350をカバーして効果的に熱的分離する環状カバー560の能力は重要である。なぜならば、さもなければ、ベースプレート510及び試料処理装置300が回転軸511を中心に回転させられると、空気が熱処理チャンバ350の傍らを素早く移動させられ得るからである。このことは例えば、熱処理チャンバ350が加熱されるのが望ましいときに、熱処理チャンバ350を望ましくなく冷却するおそれがある。こうしていくつかの実施態様では、試料処理装置300の形態に応じて、内壁562、上壁567、及び外壁564のうちの1つ又は2つ以上が熱的分離にとって重要であり得る。
【0262】
図24に示されているように、いくつかの実施態様の場合、試料処理装置300の基体302は外側リップ、フランジ、又は壁395を含むことができる。いくつかの実施態様の場合、図示のように、外壁395は、ベースプレート510と協働するように適合された部分391と、環状カバー560と協働するように適合された部分399とを含むことができる。例えば、図示のように、環状カバー560(例えば外壁564)は試料処理装置300の外壁395によって取り囲まれた領域内部で受容されるように寸法設定することができる。結果として、いくつかの実施態様では、試料処理装置300の外壁395は環状カバー560と協働することにより、熱処理チャンバ350をカバー及び/又は分離することができる。このような協働はまた、試料処理装置300に対する環状カバー560の位置決めを容易にすることもできるので、環状カバーを押し下げるか又は熱処理チャンバ350のいずれかと接触することなしに熱処理チャンバを保護しカバーすることができる。
【0263】
いくつかの実施態様の場合、試料処理装置300の外壁395、及び試料処理装置300の1つ又は2つ以上の段部313(例えば
図24に示された中央段部313)は、試料処理装置300内の凹部(環状凹部)353を事実上画定することができる。この凹部内には、環状カバー560の少なくとも一部を位置決めすることができる。例えば、
図24に示されているように、環状カバー560が試料処理装置300上に位置決めされるか又はこれにカップリングされると、内壁562(例えば磁気エレメント570を含む)と外壁564とは、試料処理装置300の凹部353内に位置決めすることができる。結果として、いくつかの実施態様の場合、外壁395、段部313及び/又は凹部353は、試料処理装置300に対するカバー560の信頼性高い位置決めを可能にする。
【0264】
いくつかの実施態様の場合、図示のように、カバー560の磁気エレメント570は、内壁562の少なくとも一部を形成するか、又は内壁にカップリングすることができるので、磁気エレメント570は、ベースプレート510の熱構造530の熱転移面532に対して試料処理装置300を押し付け、保持し、且つ/又は変形させるための内側圧縮リング562の一部として機能することができる。
図24に示されているように、磁気エレメント570及び572の一方又は両方は、例えば回転軸511を中心として環を成して配置することができる。さらに、いくつかの実施態様では、磁気エレメント570及び572の少なくとも一方は、このような環の周りに磁力を実質的に均一に分配する手段を含むことができる。
【0265】
加えて、カバー560内の磁気エレメント570の配置と、ベースプレート510内の磁気エレメント572の相応配置とにより、試料処理装置300及びベースプレート510のうちの一方又は両方に対するカバー560の付加的な位置決め補助手段を提供することができる。例えば、いくつかの実施態様において、磁気エレメント570及び572はそれぞれ、交互極性区分、及び/又は磁気エレメントの特定の形態又は配列を含むことができるので、カバー560の磁気エレメント570と、ベースプレート510の磁気エレメント572とは互いに「調和(keyed)」し得ることにより、カバー560が試料処理装置300及びベースプレート510のうちの少なくとも一方に対して、所期配向(例えば回転軸511に対する角度位置)で信頼性高く位置決めされるのを可能にする。
【0266】
図24には明示されていないが、いくつかの実施態様の場合、ベースプレート510は、熱構造530がベースプレート510の第1上面512並びに第2底面514上に晒される。ベースプレート510の上面512上に熱構造530を晒すことによって(例えば単独で、又は底面514に加えて)熱構造530の転移面532と、カバー560及びベースプレート510の間に配置された試料処理装置300との間に、直接熱通路を提供することができる。
【0267】
或いは、又は加えて、電磁エネルギーをベースプレート510の底面514上に導く供給源によって放出される電磁エネルギーによって熱構造530が加熱されるようになっていると、ベースプレート510の底面514上に熱構造530を晒すことも有利であり得る。
【0268】
一例を挙げるならば、システム500は、熱構造530に熱エネルギーを送達するように位置決めされた電磁エネルギー源590を含み、この場合、供給源590によって放出される電磁エネルギーは、ベースプレート510の底面514、及びベースプレート510の底面に晒される熱構造530の部分上に導かれる。いくつかの好適な電磁エネルギーの一例としては、レーザー、広帯域電磁エネルギー源(例えば白色光)などが挙げられる。
【0269】
システム500は電磁エネルギーの供給源590を含むものとして示されてはいるが、いくつかの実施態様では、熱構造530の温度は、熱構造530に熱エネルギーを送達し得る任意の好適なエネルギー源によって制御することができる。電磁エネルギー源以外の、本開示との関連において使用するための潜在的に好適なエネルギー源の例は、例えばペルティエ素子、電気抵抗ヒーターなどを含んでよい。
【0270】
システム500は、本開示の試料処理装置を保持し、ハンドリングし、回転させ、位置決めし、且つ/又は熱処理するように構成し得る試料処理システム(すなわちディスク・ハンドリング・システム)の一部の例である。システム500は、
図1〜
図15のシステム12内に組み込むことができる。例えば
図8を参照すると、試料処理装置300はディスク13の代わりとなることができ、そしてシステム500を使用して、システム12の他の構成部分に対して試料処理装置300を(例えばガントリ60上で)位置決めすることができる。加えて、試料22は、試料処理装置300上の熱処理チャンバ350内に配置することができる。さらに、ベースプレート510及び駆動システム520は
図1の回転プラットフォームとして使用することができる。結果として、上記開示内容及び添付の図面から、本開示のディスク又は試料処理装置をどのように保持し、ハンドリングし、回転させ、熱処理し、且つ/又はシステム12の他の構成部分(例えば検出装置10)に対して位置決めし得るかが明らかである。
【0271】
本開示の種々の実施態様が一例として添付の図面に示されてはいるが、言うまでもなく、本開示の範囲を逸脱することなしに、ここに記載され例示された実施態様の種々の組み合わせを採用することができる。例えば、試料処理装置300は、
図24のシステム500とともに使用される状態で示されてはいるものの、言うまでもなく、
図23の試料処理装置400はその代わりにシステム500と一緒に採用することもできる。加えてシステム500の種々の特徴を
図1〜
図15のシステム12全体の一部として採用することもできる。さらに、
図16〜
図22の試料処理装置300の種々の特徴を
図23の試料処理装置400内に採用することもでき、その逆も可能である。結果として、種々の特徴、エレメント、及び本明細書中に記載された特徴及びエレメントの代替物、並びにこのような特徴及びエレメントの可能な組み合わせの全てに関して、本開示は全体としてとらえられるべきである。
【0272】
材料の選択された体積が存在するかどうかを判定するプロセス
試料及び試薬を試料処理装置内にローディングし、そして試料の選択された体積が検出チャンバ350に移動されたか、又は検出チャンバ350内に存在することを検証する模範的プロセスについて、
図1〜
図15の試料処理システム12、
図24のシステム500、及び
図16〜
図22の試料処理装置300を参照しながらここに説明する。具体的には試料処理装置300の1つのレーン303における試料移動に関して説明する。
【0273】
上述のように、試料が所与のレーン303の検出チャンバ350に移動しているか又はそこに存在することを検出するために、種々様々な方法を用いることができる:
(1) 試料だけがローディングされ、(例えばレーン303の試料ハンドリング側311で)任意の必要な弁が開かれ、そして試料を検出チャンバ350に移動するために試料処理装置300が回転させられた後で、検出チャンバ350をスキャンすることができる;
(2) 試薬だけがローディングされ、(例えばレーン303の試薬ハンドリング側361で)任意の必要な弁が開かれ、そして試薬を検出チャンバ350に移動するために試料処理装置300が回転させられた後で、検出チャンバ350をスキャンすることができる;
(3) 試料及び試薬の両方がローディングされ、(例えばレーン303の両側311,361で)任意の必要な弁が開かれ、そして試料及び試薬を検出チャンバ350に移動するために試料処理装置300が回転させられた後で、検出チャンバ350をスキャンすることができる;及び/又は
(4)上記方法のいずれかの組み合わせ。
【0274】
方法(4)の例は、試薬だけが移送された後に検出チャンバ350の第1スキャンを形成し、次いで試料がさらに検出チャンバ350に添加された後で検出チャンバ350の第2スキャンを形成し、次いで2つのスキャンを比較することを含むことができる。この例の更なる発展形を以下に説明する。
【0275】
いくつかの実施態様(例えば方法(1))において、検出装置10の蛍光検出能力を用いて、光信号の後方散乱反射を検出することにより、材料中のメニスカス層を検出することができる。しかしいくつかの実施態様では、検出装置10は材料中(例えば試薬中)の1つ又は2つ以上の蛍光プローブからの蛍光信号を検出することができ、このような信号の「エッジ」(例えばピーク)は、検出ウェル中の流体量を示す。さらにいくつかの実施態様では、これらの検出スキームの組み合わせを採用することができる。
【0276】
いずれのタイプの検出スキーム(すなわち後方散乱及び/又は蛍光)においても、検出チャンバ350は下記方法のうちの1つ又は2つ以上でスキャンすることができる:
(a) 試料(又は試料及び試薬)を移動する前後に一方の半径方向端部から他方の半径方向端部へ検出チャンバ350をスキャンすることができ、そして材料を移動する前後の、一方の端部から他方の端部までの検出チャンバ350を表す2つのスキャン(例えば、このようなスキャンのグラフ表示では、x軸はガントリ又は半径方向の位置を表すことができる)を形成することができる;
(b) 試料(又は試料及び試薬)を検出チャンバ350へ移動する前後に1つの半径方向位置で検出チャンバ350を操作することによって、材料が存在するときにスキャンが変化するかどうかを判定する;又は
(c) これらの組み合わせ。
【0277】
いかなるスキャン法においても材料の有無を検出し、且つ/又は材料の量を判定することができる。全てのスキャン法は、試料処理装置300が回転している間に実施することにより、検出チャンバ350内に存在するいかなる材料も遠心力を被り、そして高いレベルを有するようになるという現象を活用することができる。なお、この高レベルは概ね十分に定義されて検出チャンバ350の半径方向最内端部(又は「内側境界」)351と半径方向最外端部(又は「外側境界」)352との間に位置することになるであろう(
図20参照)。すなわち、回転軸A−Aを中心として試料処理装置300が回転すると、検出チャンバ350内に存在するいかなる材料も、回転軸A−Aから最も遠くに位置する検出チャンバ350内の位置まで押し動かすことができるので、材料は検出チャンバ350の外側境界352に押し付けられるようになる。
【0278】
また上述のように、
図16〜
図22の試料処理装置300の場合のように計量することにより、又は
図23の試料処理装置400の場合のようにインプット・ウェル内にそれぞれの所期体積を正確にローディングすることにより、試料及び試薬の所期体積を検出チャンバ350に移動することができる。結果として、検出チャンバ350内の半径方向位置(例えば
図8のガントリ60のガントリ位置)と、材料の体積とを相関させることにより、システム12を較正することができる。
【0279】
例えば、方法(1)を用いる場合、そして体積V
1(例えば10マイクロリットル)の試料を検出チャンバ350に移送したい場合、位置P
1(例えば半径方向位置又はガントリ位置;
図20参照)を体積V
1と相関させるように、システム12を較正することができ、又は位置P
1を体積V
1のレベルの下方、又は真下にあるように選択することができる。材料が検出チャンバ350の半径方向で見て最も外側の壁に押し付けられるように試料処理装置300が回転させられている間、このような位置P
1は体積V
1と相関することになるであろう。
【0280】
例えば、方法(2)を用いる場合、そして体積V
2(例えば40マイクロリットル)の試薬を検出チャンバ350に移送したい場合、位置P
2(
図20参照)を体積V
2と相関させるようにシステム12を較正することができ、又は位置P
2を体積V
2のレベルの下方、又は真下にあるように選択することができる。
【0281】
さらに、試料及び試薬の両方が検出チャンバ350に移動させられた後、総体積V
3(例えば、40マイクロリットルの試薬と10マイクロリットルの試料がローディングされる場合には50マイクロリットル)が検出チャンバ350内に存在するべきことを使用者が知っている場合、位置P
3(
図20参照)を体積V
3と相関させるようにシステム12を較正することができ、又は位置P
3を体積V
3のレベルの下方、又は真下にあるように選択することができる。いくつかの実施態様の場合、位置P
3は検出チャンバ350の内側境界351に近接する半径方向位置であってよい。
【0282】
図20及び
図25を参照すると、いくつかの実施態様において、試料と試薬とが合体された後の試薬中の蛍光の希釈現象を活用することにより、試料、又は試料の選択された体積が検出チャンバ350に適切に移動されたかどうかを確認することができる。例えば、いくつかの実施態様の場合、試薬だけの第1スキャンS
1(すなわち検出チャンバ350の外側境界352から内側境界351へ)を、試料+試薬の第2スキャンS
2と比較することができる。蛍光プローブ濃度は、試料が試薬に添加されたときに信号が希釈されることにより、蛍光プローブ濃度が概ね低下するので、第1スキャン(すなわち試薬だけ)S
1のピーク蛍光は、第2スキャン(すなわち試料+試薬)S
2のピーク蛍光よりも、具体的にはP
2において概ね大きくなるであろう。しかし第1スキャンS
1において位置P
3には材料は存在することはないので、第1スキャンS
1における位置P
3の信号は極めて低いはずである。反対に、第2スキャンS
2においては、蛍光濃度が低減することにより、位置P
2の蛍光は低下するであろうが、しかし位置P
3の蛍光は第1スキャンS
1の蛍光よりも高いはずである。なぜならば、試料及び試薬の両方が存在するときには位置P
3に材料が存在することになるからである。結果として、位置P
2における2つのスキャンS
1,S
2の蛍光間の差(又はパーセント減少率)、及び/又は位置P
3における2つのスキャンS
1,S
2の蛍光間の差(又はパーセント増加率)を用いて、試料、又はその選択された体積が検出チャンバ350に移動したかどうかを確認することができる。いくつかの実施態様の場合、「信号」単位は相対蛍光強度単位であってよく、またいくつかの実施態様の場合、バックグラウンド信号に対するパーセント変化率であってよい。
【0283】
試料が検出チャンバ350に移動されたこと、又は試料の所期体積が移動されたことを判定するために、試料(又は試料及び試薬)を検出チャンバ350に移動する前及び移動した後に検出チャンバ350をスキャンし、そしてこれらのスキャンを比較することができる。すなわち、検出チャンバ350が空(カラ)であると想定されるときには第1「バックグラウンド・スキャン」を求め、そして(i)試料、(ii)試薬、及び/又は(iii)試料及び試薬が検出チャンバ350内に存在すると想定されるときには、そのスキャンを第2スキャンと比較することができる。(例えば所期半径方向位置における)第1バックグラウンド・スキャンと第2スキャンとの間に、閾値の変化又は差(例えばパーセント変化率)が存在する場合、試料、又は試料の選択された体積が検出チャンバ350内に存在することを判定することができる。いくつかの実施態様では、先ず、閾値変化が見いだされる検出チャンバ350内の半径方向位置を判定し、次いでその半径方向位置と体積とを相関させることにより、検出チャンバ350内に存在する材料体積を判定することで、そのような判定を行うことができる。
【0284】
試料処理中の温度変動の結果として潜在的な光信号ドリフトが生じるのを回避するために、検出チャンバ350のバックグラウンド・スキャンを、後続スキャンと同じ処理温度(例えば細胞溶解温度)で求めることができる。しかしいくつかの実施態様では、試料処理装置300はこのように「予熱」されなくてよく、バックグラウンド・スキャンを室温で求めることができる。なお、任意の材料(例えば試料)を試料処理装置300上にローディングする前に、又は材料をローディングした後でしかも弁が開かれる前(すなわち、材料が検出チャンバ350に移動させられる前)にバックグラウンド・スキャンを求めることができる点に留意されたい。
【0285】
模範的プロセス600の詳細を、
図26を参照しながら以下に説明する。
【0286】
一例として、模範的プロセス600の場合、試料処理装置300をシステム500上に位置決めする前に、試料及び試薬を両方とも試料処理装置300にローディングする。しかし言うまでもなく、その代わりに検出チャンバ350のバックグラウンド・スキャンを得た後で、試料及び試薬を試料処理装置300にローディングすることもできる。
【0287】
当該レーン303上の使用前層305を取り外し、そしてレーン303の試料ハンドリング側311でインプット・アパーチャ310を介して生試料をインプット・チャンバ315内に注入(例えばピペッティング)することにより、試料及び試薬を試料処理装置又は「ディスク」300上にローディング(
図26のステップ602)する。試薬はこの時点でローディングすることもできる。この例で、本発明者らは、レーン303の試薬ハンドリング側361でインプット・アパーチャ360を介して試薬をインプット・チャンバ365内に注入することにより、試薬もこの時点でディスク300上にローディングすると想定する。次いで上記のように、アパーチャ310,360を周囲からシールするために、プラグ307、又は他の好適なシール部材、フィルム、又はカバーを使用することができる。例えば、いくつかの実施態様の場合、使用前層305をインプット・アパーチャ310,360上で単純に取り換えることができる。
【0288】
ディスク・ハンドリング・システム500上にディスク300をローディングし(ステップ604)、そしてそのディスクをベースプレート510とカバー560との間にカップリングすることができるので、ディスク300、及び具体的には検出チャンバ(又は熱処理チャンバ)350はベースプレート510の転移面532との接触を促される。
【0289】
駆動システム520は、回転軸511を中心としてベースプレート510を回転させるように操作することができる。このことによりディスク300は、回転軸511と一致するその中心301の周りを回転することになる。ディスク300は、試料及び試薬をそれらの計量リザーバ318,368内に押し込むのに十分な第1速度(又は速度プロフィール)及び第1加速度(又は加速度プロフィール)で回転させることができる。この場合所期体積を上回る過剰分はそれぞれの廃棄物リザーバ320,370内に誘導される(ステップ606)。
【0290】
例えば、いくつかの実施態様の場合、第1速度プロフィールは次のものを含んでよい:ディスク300は(i)材料の全てを廃棄物リザーバ320,370内に押し込むことなしに材料をそれぞれの計量リザーバ318,368に移動するために第1速度で回転させられ、(ii)所定の時間にわたって(約3秒間)にわたって保持され、そして(iii)計量リザーバ318,368の容積よりも大きい材料量を廃棄物リザーバ320,370内にオーバーフローさせるために第2速度で回転させられる。このような回転スキームは「計量プロフィール」、又は「計量スキーム」などと呼ぶことができる。なぜならば、これは材料がそれぞれの計量リザーバ318,368内に移動されるのを可能にする一方、材料が廃棄物リザーバ320,370内に全体的に押し込まれないことを保証するからである。このような例において、速度及び加速度は、試料及び/又は試薬がそれぞれの流体通路328,378内に移動して弁隔膜336,386を「ウェット・アウト」するようにする速度及び加速度を下回った状態に維持される。速度プロフィール及び加速度プロフィールは、隔膜336,386のウェット・アウトをもたらし得るプロフィールを下回ったままで試料及び試薬を計量するのに十分なので、これを単に「第1」速度及び加速度と記すことができる。すなわち、第1速度及び加速度は、試料又は試薬をそれぞれの流体通路328,378内に押し込むには不十分であるので、試料及び試薬の計量された体積はそれぞれのインプット・チャンバ315,365内に留まる。
【0291】
計量システム及び計量プロセスの種々の特徴及び詳細は、2011年5月18日付けで出願された米国特許出願第61/487,672号明細書、及び2011年5月25日付けで出願された米国特許出願第61/490,014号明細書に記載されている。これらは、それぞれ、参照することによりその全体が本明細書中に組み入れられる。
【0292】
ディスク300は回転を続けるが許され、次いで、
図15で概略を示し、上記した手順に概ね従って、検出チャンバ350のバックグラウンド・スキャンを求めることができる(ステップ608)。電磁源590を電源オンにすることと、ディスク300が回転させられるのに伴って電磁源590は熱構造530を加熱し、熱構造530の転移面532は伝導によって検出チャンバ350を加熱することができる。このような加熱は上記したディスク300の「予熱」として機能することができる。
【0293】
検出装置10、及び具体的には光モジュール48,52,56のうちの1つ又は2つ以上を、ガントリ60によって試料処理装置300の中心301に対して半径に沿って移動することができる。光モジュール48に関して一例として説明する。光モジュール48は上記検出スキームに従って検出チャンバ350に光学的に問い合わせ(すなわち後方散乱及び/又は蛍光)、そして検出チャンバ350の半径方向最外位置から検出チャンバ350の半径方向最内位置までのバックグランド・スキャンを作成する。或いは、上記のように、光モジュール48は、1つ又は2つ以上の不連続な半径方向位置(例えば位置P
1,P
2及び/又はP
3)で検出チャンバ350に問い合わせることもできる。
【0294】
この時点で、ディスク300は回転を停止することができ、そして例えばレーザー弁制御システム51を使用して弁隔膜336,386にボイドを形成することにより、試料隔膜弁332及び試薬隔膜弁382のうちの一方又は両方を開くことができる。この例のために、本発明者らは、試薬を検出チャンバ350へ移動する前に、試料だけのスキャンを行うことで、試料隔膜弁332を先ず開く(ステップ610)ことを想定した。
図12及び
図14に概略的に示され、上記したプロセスに従って試料弁隔膜336を配置し開放することにより、インプット・チャンバ315と検出チャンバ350とを下流方向を介して流体連通させることができる。
【0295】
次いで、ディスク300は、試料が流体通路328内に移動し(すなわち毛管弁330を開き、試料が毛管弁を貫流するのを可能にするのに十分な移動)、隔膜336内に形成された開口を通り、分配チャネル340を通り、そして検出チャンバ350内に移動するのに十分な第2速度(又は速度プロフィール)及び第1加速度(又は加速度プロフィール)で回転させることができる(ステップ612)。その間、検出チャンバ350内に存在するいかなる流体(例えばガス)も、試料が検出チャンバ350内に移動されるのに伴って平衡チャネル355内に押し退けることができる。この回転速度及び加速度は、試料を検出チャンバ350に移動するのに十分であり得るが、しかし、試薬を毛管弁380の流体通路378内に移動させて隔膜386をウェットアウトさせるには十分でない。
【0296】
次いで、ディスク300を回転させ、そして上記のように、光モジュール48及びガントリ60を操作することにより、検出チャンバ350の試料だけのスキャンを実施することができる(ステップ614)。この検出ステップ中に発生するディスク300の回転は、第2速度及び加速度と同じ又は異なる速度及び加速度であってよい。加えて、ディスク300は、試料が検出チャンバ350に移動させられ、次いで検出のために再び回転させられた後、停止することができ、又はディスク300は試料が検出チャンバ350に移動したと推測された後、単に回転され続けることができ、又はその組み合わせを行うこともできる。このステップはまた検出チャンバ350を(例えば電磁源390及び熱構造530を使用して)(例えば75℃まで)加熱することを含むこともできる。このような加熱ステップは例えば試料中の細胞の溶解を引き起こすことができる。いくつかの実施態様の場合、試薬がこの加熱ステップのために検出チャンバ350内に存在しないことが重要である。なぜならば、熱細胞溶解に必要とされる温度は、試薬中に存在する所要酵素(逆転写酵素)を変性することがあるからである。熱細胞溶解が一例として記載されるが、しかし言うまでもなく、他の(例えば化学的)溶解プロトコルを代わりに用いることもできる。
【0297】
次いでディスク300の回転を停止することができ、そして試薬隔膜弁382を開くことができる(ステップ616)。レーザー弁制御システム51(すなわち
図12及び
図14に概略を示すプロセスに従う)を使用して試薬弁隔膜386内にボイドを形成することによって、インプット・チャンバ365を下流方向を介して検出チャンバ350と流体連通させることにより、弁382を開くことができる。
【0298】
次いでディスク200は、試薬を検出チャンバ350へ移送するために、第2速度(又は速度プロフィール)及び第2加速度(又は加速度プロフィール)、又は第2速度及び加速度よりも高い速度及び/又は加速度で回転させることができる(ステップ618)。つまりこの回転速度及び加速度は、試薬を流体通路378内に移動し(すなわち毛管弁380を開き、試料がその毛管弁を貫流するのを可能にするのに十分な回転速度及び加速度)、隔膜386内に形成された開口を通り、分配チャネル390を通り、そして検出チャンバ350内に移動するのに十分であり得る。その間、検出チャンバ350内に存在するいかなる流体(例えばガス)も、試薬が検出チャンバ350内に移動されるのに伴って平衡チャネル355内に押し退けることができる。このことは具体的には、ディスク300のような実施態様によって可能になる。なぜならば、ディスク300が回転している間、検出チャンバ350内に存在するいかなる液体(例えば試料)も最も外側の端部352に押し付けられるので、検出チャンバ350内に存在するいかなる液体も、分配チャネル390及び平衡チャネル355が検出チャンバ350に接続する場所から半径方向外側に向かって配置されることになるので、ガス交換が発生し得るからである。換言すれば、ディスク300の回転中、分配チャネル390及び平衡チャネル355が検出チャンバ350に、検出チャンバ350内の流体レベルの上流側(例えば半径方向内側)の場所で接続する。
【0299】
プロセスのステップ618はさらに、検出チャンバ350の付加的なスキャンを実施するために1つ又は2つ以上の光モジュールを操作することにより、材料、又は材料の選択された体積が検出チャンバ350内に存在するかどうかを判定することを含むこともできる。例えば、いくつかの実施態様において、バックグラウンド・スキャンを得ることができ、試料だけ(又は試薬だけ)の第1スキャンを得ることができ、次いで試料+試薬の第2スキャンを得ることができる。上述のように、これらのスキャンのいずれか又は全ては、検出チャンバ350の全ての半径方向位置に沿ったスキャン、複数の不連続な半径方向位置のスキャン、又は1つの不連続な半径方向位置のスキャンを含むことができる。加えて、試薬を検出チャンバ350へ移動するために用いられた回転ステップを検出のために続けることができ、ディスク300を停止し、次いで検出のために再び回転させることができ、又はその組み合わせを行うことができる。
【0300】
次いで、所期の反応及び検出スキームのために必要に応じて、ディスク300の回転を続けることができる(ステップ620)。例えば、今や試薬が検出チャンバ350内に存在するので、検出チャンバ350を逆転写を開始するのに必要な温度まで加熱することができる(例えば47℃)。必要に応じて、付加的な熱サイクリング、例えばPCRなどに必要な加熱及び冷却サイクルを採用することができる。
【0301】
試料処理装置300内の材料には種々の処理段(ステージ)において種々な力を加えることができる。
図26において報告された前記速度及び加速度スキームによって明らかなように、このような力は、試料処理装置300の回転速度及び加速度プロフィール(例えば1平方秒当たりの回転数(revolutions/sec
2)で報告された角加速度)を制御することによって、少なくとも部分的に制御することができる。いくつかの実施態様は下記のものを含む:
(i) 第1速度及び第1加速度。これらの速度及び加速度を用いて、試料処理装置上の1つ又は2つ以上の処理アレイ100内の流体を計量することができ、そしてこれらのものは、流体をその試料処理装置上の任意の処理アレイの流体通路128内に移動させるには不十分である;
(ii) 第2速度及び第1加速度。これらの速度及び加速度を用いて、試料処理装置上の処理アレイ100のうちの少なくとも1つのアレイの流体通路128内に流体を移動することができる(例えば下流側の隔膜弁132が開かれており、しかも弁チャンバ134内のベーパーロックが解除されている処理アレイ100で、なお、下流側の隔膜弁132が開かれていない残りの処理アレイ100の流体通路128内に流体が移動するのはなおも阻止される);そして
(iii) 第3速度及び第2加速度。これらの速度及び加速度を用いて、試料処理装置上の全ての処理アレイ100の流体通路128内に流体を移動することができる。
【0302】
いくつかの実施態様では、第1速度は約1000rpm以下、いくつかの実施態様では約975rpm以下、いくつかの実施態様では約750rpm以下、そしていくつかの実施態様では約525rpm以下であってよい。いくつかの実施態様では、「第1速度」は実際には2つの不連続な速度、すなわち計量リザーバ118内に材料を移動するための1つの速度、及び次いで計量リザーバ118を過剰充填し、そして過剰分が廃棄物リザーバ120内に移動するのを可能にすることによって材料を計量するためのもう1つの速度を含むことができる。いくつかの実施態様では、第1の移送速度は約525rpmであってよく、そして第2の計量速度は約975rpmであってよい。双方は同じ加速度で生じることができる。
【0303】
いくつかの実施態様では、第1加速度は約75回転/sec
2以下、いくつかの実施態様では約50回転/sec
2以下、いくつかの実施態様では約30回転/sec
2以下、いくつかの実施態様では約25回転/sec
2以下、そしていくつかの実施態様では約20回転/sec
2以下であってよい。いくつかの実施態様において、第1加速度は約24.4回転/sec
2であってよい。
【0304】
いくつかの実施態様では、第2速度は約2000rpm以下、いくつかの実施態様では約1800rpm以下、いくつかの実施態様では約1500rpm以下、そしていくつかの実施態様では約1200rpm以下であってよい。
【0305】
いくつかの実施態様では、第2加速度は少なくとも約150回転/sec
2、いくつかの実施態様では少なくとも約200回転/sec
2、そしていくつかの実施態様では少なくとも約250回転/sec
2であってよい。いくつかの実施態様では、第2加速度は約244回転/sec
2であってよい。
【0306】
いくつかの実施態様では、第3速度は少なくとも約3000rpm、いくつかの実施態様では少なくとも約3500rpm、いくつかの実施態様では少なくとも約4000rpm、そしていくつかの実施態様では少なくとも約4500rpmであってよい。しかしいくつかの実施態様では、速度プロフィール及び加速度プロフィールがそれぞれの流体通路128内の毛管力を克服するのに十分である限り、第3速度は第2速度と同じであってよい。
【0307】
なお、
図26のプロセス600はディスク300上で一度に1つのレーン303内で採用することができ、或いは、
図26のプロセス600に従って、1つ又は2つ以上のレーンを同時にローディングして処理することもできる点を留意されたい。
【0308】
本開示の下記実施態様は例示を意図したものであり、制限を意図したものではない。
【0309】
実施態様
実施態様1は、
検出チャンバを含む試料処理装置を用意し;
該試料処理装置を、回転軸を中心として回転させ;そして
該試料処理装置を回転させながら、該検出チャンバ内に材料の選択された体積が存在するかどうかを判定する
ことを含む、試料処理装置を処理する方法である。
【0310】
実施態様2は、該検出チャンバ内に材料の選択された体積が存在するかどうかを判定することが、試料の選択された体積が該検出チャンバ内に存在するかどうかを判定することを含む、実施態様1に記載の方法である。
【0311】
実施態様3は、該検出チャンバ内に材料の選択された体積が存在するかどうかを判定することが、試料及び試薬媒質の選択された総体積が該検出チャンバ内に存在するかどうかを判定することを含む、実施態様1に記載の方法である。
【0312】
実施態様4は、該検出チャンバ内に材料の選択された体積が存在するかどうかを判定することが、選択された位置で該検出チャンバに光学的に問い合わせることにより、該材料が該選択された位置に存在するかどうかを判定することを含む、実施態様1から3までのいずれかに記載の方法である。
【0313】
実施態様5は、該検出チャンバ内に材料の選択された体積が存在するかどうかを判定することが、試料の光学特性に関して該検出チャンバに光学的に問い合わせることにより、該試料が該検出チャンバ内に存在するかどうかを判定することを含む、実施態様1から4までのいずれかに記載の方法である。
【0314】
実施態様6は、該検出チャンバが、該回転軸の最も近くに配置された内側境界を含み、そして該検出チャンバ内に材料の選択された体積が存在するかどうかを判定することが、該検出チャンバの該内側境界に近接したガントリ位置で、該検出チャンバに光学的に問い合わせることを含む、実施態様1から5までのいずれかに記載の方法である。
【0315】
実施態様7は、該検出チャンバに光学的に問い合わせることが、メニスカスに関して該検出チャンバに光学的に問い合わせることを含む、実施態様4から6までのいずれかに記載の方法である。
【0316】
実施態様8は、該検出チャンバに光学的に問い合わせることが、
電磁信号を該検出チャンバ内に発し、そして
該電磁信号を該検出チャンバ内に発した後、該電磁信号の後方散乱反射を検出することによって、スキャンを得る
ことを含む、実施態様4から7までのいずれかに記載の方法である。
【0317】
実施態様9は、スキャンを得ることが:
該検出チャンバの第1バックグラウンド・スキャンを得、
該検出チャンバ内に試料を位置決めした後、該検出チャンバの第2スキャンを得、そして
該第1バックグラウンド・スキャンと該第2スキャンとを比較することにより、該試料の選択された体積が該検出チャンバ内に配置されているかどうかを判定する
ことを含む、実施態様8に記載の方法である。
【0318】
実施態様10は、該第1バックグラウンド・スキャンと該第2スキャンとを比較することにより、該試料の選択された体積が該検出チャンバ内に配置されているかどうかを判定することは、該第1バックグラウンド・スキャンと該第2スキャンとの間に閾値変化が存在するかどうかを判定することを含む、実施態様9に記載の方法である。
【0319】
実施態様11は、さらに、ガントリ上の該試料処理装置に対して相対的に動作可能に位置決めされた光モジュールを用意することを含み、該検出チャンバに光学的に問い合わせることは、該回転軸に対する複数の半径方向位置で、該光モジュールによって該検出チャンバに光学的に問い合わせることを含む、実施態様10に記載の方法である。
【0320】
実施態様12は、さらに、
該第1バックグラウンド・スキャンと該第2スキャンとの間に閾値変化が見いだされる半径方向位置を判定し;そして
該半径方向位置を用いて、該検出チャンバ内に配置された該試料の体積を判定する
ことを含む、実施態様11に記載の方法である。
【0321】
実施態様13は、電磁信号の後方散乱反射を検出することによりスキャンを得ることは、FAM光チャネルを使用して行われる、実施態様8から12までのいずれかに記載の方法である。
【0322】
実施態様14は、光学的に問い合わせることが、
電磁信号を該検出チャンバ内に発し、そして
該電磁信号を該検出チャンバ内に発した後、該検出チャンバ内の材料によって発せられた蛍光を検出することによって、スキャンを得る
ことを含む、実施態様4から7までのいずれかに記載の方法である。
【0323】
実施態様15は、スキャンを得ることが、
該検出チャンバの第1バックグラウンド・スキャンを得、
該検出チャンバ内に試料を位置決めした後、該検出チャンバの第2スキャンを得、そして
該第1バックグラウンド・スキャンと該第2スキャンとを比較することにより、該試料の選択された体積が該検出チャンバ内に配置されているかどうかを判定する
ことを含む、実施態様14に記載の方法である。
【0324】
実施態様16は、該第1バックグラウンド・スキャンと該第2スキャンとを比較することにより、該試料の選択された体積が該検出チャンバ内に配置されているかどうかを判定することは、該第1バックグラウンド・スキャンと該第2スキャンとの間に蛍光の閾値変化が存在するかどうかを判定することを含む、実施態様15に記載の方法である。
【0325】
実施態様17は、さらに、ガントリ上の該試料処理装置に対して相対的に動作可能に位置決めされた光モジュールを用意することを含み、該検出チャンバに問い合わせることは、該回転軸に対する複数の半径方向位置で、該光モジュールによって該検出チャンバに光学的に問い合わせることを含む、実施態様16に記載の方法である。
【0326】
実施態様18は、さらに、
該第1バックグラウンド・スキャンと該第2スキャンとの間に蛍光の閾値変化が見いだされる半径方向位置を判定し;そして
該半径方向位置を用いて、該検出チャンバ内に存在する該試料の体積を判定する
ことを含む、実施態様17に記載の方法である。
【0327】
実施態様19は、さらに、該検出チャンバを加熱することを含み、
該検出チャンバ内に材料の選択された体積が存在するかどうかを判定することが、該検出チャンバを加熱しながら行われる、実施態様1から18までのいずれかに記載の方法である。
【0328】
実施態様20は、光学的に問い合わせることが、
電磁信号を該検出チャンバ内に第1波長で発し、そして
該電磁信号を該検出チャンバ内に第1波長で発した後、該検出チャンバから第2波長で発せられた電磁信号を検出する
ことを含む、実施態様4から19までのいずれかに記載の方法である。
【0329】
実施態様21は、材料が、被分析試料と試薬媒質とを含み、そして該検出チャンバに光学的に問い合わせることは、該検出チャンバ内の該試料及び該試薬媒質のうちの少なくとも一方の光学特性に関して該検出チャンバに光学的に問い合わせることを含む、実施態様4から20までのいずれかに記載の方法である。
【0330】
実施態様22は、さらに、ガントリ上の該試料処理装置に対して相対的に動作可能に位置決めされた光モジュールを用意することを含み、該検出チャンバに光学的に問い合わせることは、所定のガントリ位置に配置された該光モジュールによって該検出チャンバに光学的に問い合わせることを含む、実施態様4から21までのいずれかに記載の方法である。
【0331】
実施態様23は、さらに、ガントリ上の該試料処理装置に対して相対的に動作可能に位置決めされた光モジュールを用意することを含み、該検出チャンバに光学的に問い合わせることは、複数のガントリ位置で該光モジュールによって該検出チャンバに光学的に問い合わせることを含む、実施態様4から21までのいずれかに記載の方法である。
【0332】
実施態様24は、複数のガントリ位置のそれぞれは材料量と関連しており、そしてさらに:
ガントリ位置で閾値信号を検出し;そして
該ガントリ位置を該検出チャンバ内に存在する材料量に相関させる
ことを含む、実施態様23に記載の方法である。
【0333】
実施態様25は、該複数のガントリ位置は、検出チャンバ内に該回転軸に対して種々異なる半径方向位置を含む、実施態様23又は24に記載の方法である。
【0334】
実施態様26は、第1ガントリ位置が第2ガントリ位置の半径方向外側に向かって位置決めされている、実施態様23から25までのいずれかに記載の方法である。
【0335】
実施態様27は、該光モジュールが多重蛍光検出のために形成されている、実施態様11又は12,17又は18,及び22から26までのいずれかに記載の方法である。
【0336】
実施態様28は、該試料処理装置が複数の検出チャンバを含み、該検出チャンバに光学的に問い合わせることが、該試料処理装置を回転させながら該複数の検出チャンバのうちの少なくとも1つに光学的に問い合わせることを含む、実施態様1から27までのいずれかに記載の方法である。
【0337】
実施態様29は、該検出チャンバ内に材料の選択された体積が存在するかどうかを判定しながら、該試料処理装置を回転させると、該検出チャンバ内に存在する任意の材料を、該回転軸から最も遠くに位置する該検出チャンバ内の位置へ押し動かすことになる、実施態様1から28までのいずれかに記載の方法である。
【0338】
実施態様30は、該検出チャンバが、該回転軸から最も遠くに位置決めされた外側境界を含み、該検出チャンバ内に材料の選択された体積が存在するかどうかを判定しながら、該試料処理装置を回転させると、該検出チャンバ内に存在する任意の材料を、該検出チャンバの該外側境界に向かって押し動かすことになる、実施態様1から29までのいずれかに記載の方法である。
【0339】
実施態様31は、該試料処理装置が、
インプット・チャンバと、
検出チャンバと、
該インプット・チャンバと該検出チャンバとを流体的にカップリングするように位置決めされたチャネルと
を含む処理アレイを含み、
そしてさらに:
該試料処理装置の該インプット・チャンバ内に試料を位置決めし;
該試料処理装置を回転軸を中心として回転させることにより、該試料を該検出チャンバに移動させる
ことを含む、実施態様1から30までのいずれかに記載の方法である。
【0340】
実施態様32は、該試料処理装置がさらに、該チャネル内に位置決めされた弁を含んでいて、該インプット・チャンバと該検出チャンバとが、該弁が閉じられているときには該弁を介して流体連通されず、そして該弁が開いている時には該チャネルを介して流体連通されるようになっており、そしてさらに該弁を開くことを含み、該検出チャンバに該試料を移動するために該試料処理装置を回転軸を中心として回転させることは、該弁を開いた後に行われる、実施態様31に記載の方法である。
【0341】
実施態様33は、該検出チャンバに該試料を移動するために該試料処理装置を回転軸を中心として回転させることが、試料の選択された量を該検出チャンバへ計量供給することを含む、実施態様31又は32に記載の方法である。
【0342】
実施態様34は、該検出チャンバに該試料を移動するために該試料処理装置を回転軸を中心として回転させることが、該検出チャンバへ試薬媒質を移動することを含む、実施態様31から33までのいずれかに記載の方法である。
【0343】
実施態様35は、該検出チャンバ内に材料の選択された体積が存在するかどうかを判定することが、該検出チャンバに光学的に問い合わせることを含む、実施態様1から34までのいずれかに記載の方法である。
【0344】
実施態様36は、
検出チャンバを含む試料処理装置を用意し;
該試料処理装置を、回転軸を中心として回転させ;そして
試料の光学特性に関して該検出チャンバに光学的に問い合わせることにより、該試料が該検出チャンバ内に存在するかどうかを判定する
ことを含み、光学的に問い合わせることが該試料処理装置を回転させながら行われる、試料処理装置を処理する方法である。
【0345】
実施態様37は、該検出チャンバは該試料処理装置内の処理アレイの一部を形成し、そしてさらに、該試料処理装置の該処理アレイ内に試料を位置決めすることを含む、実施態様36に記載の方法である。
【0346】
実施態様38は、該試料処理装置を回転軸を中心として回転させると、該試料が該検出チャンバに移動することになる、実施態様36に記載の方法である。
【0347】
実施態様39は、
インプット・チャンバと、
検出チャンバと、
該インプット・チャンバと該検出チャンバとを流体的にカップリングするように位置決めされたチャネルと
を含む処理アレイを含む試料処理装置を用意し;
該試料処理装置の該処理アレイの該インプット・チャンバ内に試料を位置決めし;
該試料処理装置を回転軸を中心として回転させることにより、該試料を該検出チャンバに移動し;
該試料処理装置を回転させることにより該試料を該検出チャンバに移動した後、試料の光学特性に関して該検出チャンバに光学的に問い合わせることにより、該試料が該検出チャンバに移動したかどうかを判定し;そして、
該検出チャンバに光学的に問い合わせながら、該試料処理装置を回転させる
ことを含む、試料処理装置を処理する方法である。
【0348】
実施態様40は、該試料処理装置がさらに、該チャネル内に位置決めされた弁を含んでいて、該インプット・チャンバと該検出チャンバとが、該弁が閉じられているときには該弁を介して流体連通されず、そして該弁が開いている時には該チャネルを介して流体連通されるようになっており、そしてさらに該弁を開くことを含み、該検出チャンバに該試料を移動するために該試料処理装置を回転軸を中心として回転させることは、該弁を開いた後に行われる、実施態様39に記載の方法である。
【0349】
実施態様41は、該検出チャンバに該試料を移動するために該試料処理装置を回転軸を中心として回転させることが、試料の選択された量を該検出チャンバへ計量供給することを含む、実施態様39又は40に記載の方法である。
【0350】
実施態様42は、該検出チャンバに該試料を移動するために該試料処理装置を回転軸を中心として回転させることが、該検出チャンバへ試薬媒質を移動することを含む、実施態様39から41までのいずれかに記載の方法である。
【0351】
実施態様43は、該検出チャンバに光学的に問い合わせながら、該試料処理装置を回転させると、該検出チャンバ内に存在する任意の材料を、該回転軸から最も遠くに位置する該検出チャンバ内の位置へ押し動かすことになる、実施態様39から42までのいずれかに記載の方法である。
【0352】
実施態様44は、該検出チャンバが、該回転軸から最も遠くに位置決めされた外側境界を含み、該検出チャンバに光学的に問い合わせながら、該試料処理装置を回転させると、該検出チャンバ内に存在する任意の材料を、該検出チャンバの該外側境界に向かって押し動かすことになる、実施態様39から43までのいずれかに記載の方法である。
【0353】
実施態様45は、該試料処理装置が該回転ステップ間に回転を停止されないように、該第1回転ステップから該第2回転ステップまで連続して回転させられる、実施態様39から44までのいずれかに記載の方法である。
【0354】
実施態様46は、該検出チャンバに光学的に問い合わせることが、メニスカスに関して該検出チャンバに光学的に問い合わせることを含む、実施態様39から45までのいずれかに記載の方法である。
【0355】
実施態様47は、該検出チャンバに光学的に問い合わせることが、
電磁信号を該検出チャンバ内に発し、そして
該電磁信号を該検出チャンバ内に発した後、該電磁信号の後方散乱反射を検出することによって、スキャンを得る
ことを含む、実施態様39から46までのいずれかに記載の方法である。
【0356】
実施態様48は、スキャンを得ることが:
該試料を該検出チャンバへ移動するために該試料処理装置を回転させる前に、該検出チャンバの第1バックグラウンド・スキャンを得、
該試料を該検出チャンバへ移動するために該試料処理装置を回転させた後で、該検出チャンバの第2スキャンを得、そして
該第1バックグラウンド・スキャンと該第2スキャンとを比較することにより、該試料の選択された体積が該検出チャンバ内に配置されているかどうかを判定する
ことを含む、実施態様47に記載の方法である。
【0357】
実施態様49は、該第1バックグラウンド・スキャンと該第2スキャンとを比較することにより、該試料の選択された体積が該検出チャンバ内に配置されているかどうかを判定することが、該第1バックグラウンド・スキャンと該第2スキャンとの間に閾値変化が存在するかどうかを判定することを含む、実施態様48に記載の方法である。
【0358】
実施態様50は、さらに、該試料処理装置に対して相対的に動作可能に位置決めされた光モジュールを用意することを含み、該検出チャンバに光学的に問い合わせることは、該回転軸に対する複数の半径方向位置で、該光モジュールによって該検出チャンバに光学的に問い合わせることを含む、実施態様49に記載の方法である。
【0359】
実施態様51は、さらに:
該第1バックグラウンド・スキャンと該第2スキャンとの間に閾値変化が見いだされる半径方向位置を判定し;そして
該半径方向位置を用いて、該検出チャンバ内に存在する試料の量を判定する
ことを含む、実施態様50に記載の方法である。
【0360】
実施態様52は、電磁信号の後方散乱反射を検出することによりスキャンを得ることは、FAM光チャネルを使用して行われる、実施態様47から51までのいずれかに記載の方法である。
【0361】
実施態様53は、光学的に問い合わせることが、
電磁信号を該検出チャンバ内に発し、そして
該電磁信号を該検出チャンバ内に発した後、該検出チャンバ内の材料によって発せられた蛍光を検出することによって、スキャンを得る
ことを含む、実施態様39から46までのいずれかに記載の方法である。
【0362】
実施態様54は、スキャンを得ることが:
該試料を該検出チャンバへ移動するために該試料処理装置を回転させる前に、該検出チャンバの第1バックグラウンド・スキャンを得、
該試料を該検出チャンバへ移動するために該試料処理装置を回転させた後で、該検出チャンバの第2スキャンを得、そして
該第1バックグラウンド・スキャンと該第2スキャンとを比較することにより、該試料の選択された体積が該検出チャンバ内に配置されているかどうかを判定する
ことを含む、実施態様53に記載の方法である。
【0363】
実施態様55は、該第1バックグラウンド・スキャンと該第2スキャンとを比較することにより、該試料の選択された体積が該検出チャンバ内に存在するどうかを判定することが、該第1バックグラウンド・スキャンと該第2スキャンとの間に蛍光の閾値変化が存在するかどうかを判定することを含む、実施態様54に記載の方法である。
【0364】
実施態様56は、該試料処理装置に対して相対的に動作可能に位置決めされた光モジュールを用意することを含み、該検出チャンバに光学的に問い合わせることは、該回転軸に対する複数の半径方向位置で、該光モジュールによって該検出チャンバに光学的に問い合わせることを含む、実施態様55に記載の方法である。
【0365】
実施態様57は、さらに:
該第1バックグラウンド・スキャンと該第2スキャンとの間に蛍光の閾値変化が見いだされる半径方向位置を判定し;そして
該半径方向位置を用いて、該検出チャンバ内に存在する試料の量を判定する
ことを含む、実施態様56に記載の方法である。
【0366】
実施態様58は、さらに、該検出チャンバを加熱することを含み、
該検出チャンバ内に材料の選択された体積が存在するかどうかを判定することが、該検出チャンバを加熱しながら行われる、実施態様39から57までのいずれかに記載の方法である。
【0367】
実施態様59は、光学的に問い合わせることが、
電磁信号を該検出チャンバ内に第1波長で発し、そして
該電磁信号を該検出チャンバ内に第1波長で発した後、該検出チャンバから第2波長で発せられた電磁信号を検出する
ことを含む、実施態様38から58までのいずれかに記載の方法である。
【0368】
実施態様60は、試料が、被分析試料と試薬媒質とを含み、そして該検出チャンバに光学的に問い合わせることは、該検出チャンバ内の該試料及び該試薬媒質のうちの少なくとも一方の光学特性に関して該検出チャンバに光学的に問い合わせることを含む、実施態様39から59までのいずれかに記載の方法である。
【0369】
実施態様61は、さらに、ガントリ上の該試料処理装置に対して相対的に動作可能に位置決めされた光モジュールを用意することを含み、該検出チャンバに光学的に問い合わせることは、所定のガントリ位置に配置された該光モジュールによって該検出チャンバに光学的に問い合わせることを含む、実施態様39から60までのいずれかに記載の方法である。
【0370】
実施態様62は、さらに、ガントリ上の該試料処理装置に対して相対的に動作可能に位置決めされた光モジュールを用意することを含み、該検出チャンバに光学的に問い合わせることは、複数のガントリ位置で該光モジュールによって該検出チャンバに光学的に問い合わせることを含む、実施態様39から61までのいずれかに記載の方法である。
【0371】
実施態様63は、複数のガントリ位置のそれぞれは材料量と関連しており、そしてさらに:
ガントリ位置で閾値信号を検出し;そして
該ガントリ位置を該検出チャンバ内に存在する材料量に相関させる
ことを含む、実施態様62に記載の方法である。
【0372】
実施態様64は、該複数のガントリ位置は、検出チャンバ内に該回転軸に対して種々異なる半径方向位置を含む、実施態様62又は63に記載の方法である。
【0373】
実施態様65は、第1ガントリ位置が第2ガントリ位置の半径方向外側に向かって位置決めされている、実施態様62から64までのいずれかに記載の方法である。
【0374】
実施態様66は、該光モジュールが多重蛍光検出のために形成されている、実施態様50又は51,56又は57,及び61から65までのいずれかに記載の方法である。
【0375】
実施態様67は、さらに、該検出チャンバ内に存在する試料量を判定するために、該検出チャンバに光学的に問い合わせることを含む、実施態様39から66までのいずれかに記載の方法である。
【0376】
実施態様68は、該試料処理装置は複数の処理アレイと複数の検出チャンバとを含み、該検出チャンバに光学的に問い合わせることが、該試料処理装置を回転させながら複数の検出チャンバのうちの少なくとも1つに光学的に問い合わせることを含む、実施態様39から67までのいずれかに記載の方法である。
【0377】
実施態様69は、
インプット・チャンバと、
検出チャンバと、
該インプット・チャンバと該検出チャンバとを流体的にカップリングするように位置決めされたチャネルと
を含む処理アレイを含む試料処理装置を用意し;
該試料処理装置の少なくとも1つの処理アレイの該インプット・チャンバ内に試料を位置決めし;
該試料処理装置を回転軸を中心として回転させることにより、該試料を該検出チャンバに移動し;
該試料処理装置を回転させることにより該試料を該検出チャンバに移動する前に、該処理アレイの該検出チャンバに光学的に問い合わせることにより、第1バックグラウンド・スキャンを得;
該試料処理装置を回転させることにより該試料を該検出チャンバに移動した後、該処理アレイの該検出チャンバに光学的に問い合わせ;
該検出チャンバに光学的に問い合わせながら、該試料処理装置を回転軸を中心として回転させることにより、該第2スキャンを得;そして
該第1バックグラウンド・スキャンと該2スキャンとを比較することにより、該第1バックグラウンド・スキャンと該第2スキャンとの間に閾値変化が存在するかどうかを判定する
ことを含む、試料処理装置を処理する方法である。
【0378】
実施態様70は、該検出チャンバに光学的に問い合わせることにより第1バックグラウンド・スキャンを生成し、そして該検出チャンバに光学的に問い合わせることにより第2スキャンを生成することが、同じ温度で行われる、実施態様69に記載の方法である。
【0379】
実施態様71は、
検出チャンバを含む試料処理装置と;
該試料処理装置を該回転軸を中心として回転させるように形成されたモータと;
該試料処理装置に対して動作可能に位置決めされた光モジュールと
を含み、該光モジュールが、該試料処理装置の検出チャンバ内に材料の選択された体積が存在するかどうかを判定するように形成されている、試料処理装置を処理するためのシステムである。
【0380】
実施態様72は、光モジュールが、モータが該試料処理装置を回転軸を中心として回転させながら、該検出チャンバ内に材料の選択された体積が存在するかどうかを判定するように形成されている、実施態様71に記載のシステムである。
【0381】
実施態様73は、該光モジュールは複数の光チャネルを含んでおり、そして該光チャネルのうちの少なくとも1つが、該試料処理装置の該検出チャンバ内に材料の選択された体積が存在するかどうかを判定するように形成されている、実施態様71又は72に記載のシステムである。
【0382】
実施態様74は、該試料処理装置がさらに、
インプット・チャンバと、
該インプット・チャンバと該検出チャンバとを流体的にカップリングするように位置決めされたチャネルと
を含む、実施態様71から73までのいずれかに記載のシステムである。
【0383】
実施態様75は、該試料処理装置がさらに、該チャネル内に位置決めされた弁を含んでいて、該弁が閉じられているときには、該インプット・チャンバと該検出チャンバとが該弁を介して流体連通しておらず、そして該弁が開いている時には該インプット・チャンバと該検出チャンバとが該チャネルを介して流体連通している、実施態様74に記載のシステムである。
【0384】
実施態様76は、該インプット・チャンバは、
試料の選択された量を該検出チャンバへ計量供給するように形成された計量チャンバを含む、実施態様74又は75に記載のシステムである。
【0385】
実施態様77は、該光モジュールが、ガントリを介して該試料処理装置に対して相対的に動作可能に位置決めされており、そして該光モジュールは、回転軸に対して複数のガントリ位置で位置決めされるように形成されており、さらに、該複数のガントリ位置で該検出チャンバに光学的に問い合わせるように形成されている、実施態様71から76までのいずれかに記載のシステムである。
【0386】
実施態様78は、該複数のガントリ位置が、該回転軸に対して該検出チャンバ内の種々異なる半径方向位置に対応する、実施態様77に記載のシステムである。
【0387】
実施態様79は、第1ガントリ位置が第2ガントリ位置の半径方向外側に向かって位置決めされている、実施態様77又は78に記載のシステムである。
【0388】
実施態様80は、該光モジュールが、ガントリを介して該試料処理装置に対して相対的に動作可能に位置決めされており、そして該光モジュールは、回転軸に対して所定のガントリ位置で位置決めされるように形成されており、さらに、該所定のガントリ位置で検出チャンバに光学的に問い合わせるように形成されている、実施態様71から76までのいずれかに記載のシステムである。
【0389】
実施態様81は、該検出チャンバが、該回転軸の最も近くに配置された内側境界を含み、そして該光モジュールが、該検出チャンバの該内側境界に近接したガントリ位置で、該検出チャンバに光学的に問い合わせるように形成されている、実施態様80に記載のシステムである。
【0390】
実施態様82は、該光モジュールが、該検出チャンバ内に材料の選択された体積が存在するかどうかを判定するために、該検出チャンバに光学的に問い合わせるように形成されている、実施態様71から81までのいずれかに記載のシステムである。
【0391】
実施態様83は、該光モジュールが多重蛍光検出のために形成されている、実施態様71から82までのいずれかに記載のシステムである。
【0392】
実施態様84は、該光モジュールが、
電磁信号を該検出チャンバ内に発し、そして
該電磁信号の後方散乱反射を検出する
ことによって、該検出チャンバ内に材料の選択された体積が存在するかどうかを判定するように形成されている、実施態様71から83までのいずれかに記載のシステムである。
【0393】
実施態様85は、該光モジュールが、
電磁信号を該検出チャンバ内に発し、そして
該検出チャンバ内の材料によって発せられた蛍光を検出する
ことによって、該検出チャンバ内に材料の選択された体積が存在するかどうかを判定するように形成されている、実施態様71から84までのいずれかに記載のシステムである。
【0394】
実施態様86は、該光モジュールが、
電磁信号を該検出チャンバ内に第1波長で発し、そして
該電磁信号を該検出チャンバ内に第1波長で発した後、該検出チャンバから第2波長で発せられた電磁信号を検出する
ことによって、該検出チャンバ内に材料の選択された体積が存在するかどうかを判定するように形成されている、実施態様71から85までのいずれかに記載のシステムである。
【0395】
実施態様87は、該光モジュールがさらに、該検出チャンバ内に存在する材料の量を判定するように形成されている、実施態様71から86までのいずれかに記載のシステムである。
【0396】
下記実施例は本開示の例示を意図したものであり、制限を意図したものではない。
【実施例】
【0397】
例1
例1はディスク(Channel Development Disk)の検出チャンバ内で直接に試料(流体)検出することを実証した。
材料:
試料:ウイルス、クラミジア、マイコプラズマ、及びウレアプラズマのためのCopan Universal Transport Medium (UTM)、3.0mL管、部品番号330C、ロット39P505 (Copan Diagnostics, Murrietta, GA)
【0398】
設備:
St. Paul, MNの3Mから入手可能な、上記し
図23に示されたChannel Development Diskを試料処理装置又は「ディスク」としてこの例で使用した。
St. Paul, MNの3Mから入手可能なIntegrated Cycler Model 3954を試料処理システム又は器具(“instrument”)として、Channel Development Diskとともにこの例で使用した。この器具はFAMモジュール(青色LED、475nm励起フィルタ、520nm検出フィルタ)を含有した。
【0399】
Channel Development Disk上の試料流体検出分析のための手順
1. 空のChannel Development DiskをIntegrated Cycler器具に加えた。
2.
図14に関して上述した方法に従ってレーザーホーミングを実施した。
3. FAMモジュールを使用して、全ての検出チャンバのバックグラウンド・スキャンを実施した。初期ガントリ=4000〜最終ガントリ=8000;ステップ・サイズ=100;セットポイント温度=25℃。
4. ディスクを停止し、器具からディスクを取り出した。
5. 種々の量のUTM試料をディスク上の異なるレーンに添加した:
a. レーン5:5μL輸送培地
b. レーン6:10μL輸送培地
c. レーン7:15μL輸送培地
d. レーン8:20μL輸送培地
6. ローディングされたディスクを器具上に戻した。
7. 再び
図14に関連して上述した方法に従って、レーザーホーミングを実施した。
8. 下記回転スキーム、すなわち下記の5サイクルに従って、ディスクの回転を介して検出チャンバ内に流体をローディングした:
a. 244回転/sec
2の加速度で4500rpmまで加速した。
b. 4500rpmで1秒間保持した。
c. 244回転/sec
2の減速度で750rpmまで減速した。
d. 750rpmで1秒間保持した。
9. FAMモジュールを使用して、試料検出スキャンを実施した。初期ガントリ=4000〜最終ガントリ=9000;ステップ・サイズ=100;セットポイント温度=25℃
図27参照:レーン#5の検出チャンバ内に5μLのUTM
図28参照:レーン#6の検出チャンバ内に10μLのUTM
図29参照:レーン#7の検出チャンバ内に15μLのUTM
図30参照:レーン#8の検出チャンバ内に20μLのUTM
【0400】
図27〜
図30は、それぞれ5μL、10μL,15μL、及び20μLの試料に対するメニスカス検出結果を示している。プロットのそれぞれは、後方散乱強度(任意単位)対ガントリ位置のスキャンであり、ガントリは内方に向かって半径方向に移動するので、ガントリ位置は、ガントリが半径方向外側位置から半径方向内側位置へ移動されるのに伴って増大する。メニスカスは励起光ビームを屈折させ、後方散乱強度を低下させた。このことはガントリ位置6000〜7000の間の下落として現れた。最大且つ最も信頼性高い速度値はFAMモジュールにおいて取得された。下落規模はバックグラウンド・スキャン値から10〜15%変動した。
図27に示された5μLの試料結果は、このような低い流体レベルでは、メニスカスを信頼性高く検出できないことを示唆した。しかし10μL,15μL及び20μLの試料流体レベルでは、メニスカスを検出することができる。
【0401】
例2
例2では、ディスク(Moderate Complexity Disk)内で10μLの試料を自動的に検出するための最適なガントリ位置及び閾値を判定した。
材料:
試料:ウイルス、クラミジア、マイコプラズマ、及びウレアプラズマのためのCopan Universal Transport Medium (UTM)、3.0mL管、部品番号330C、ロット39P505 (Copan Diagnostics, Murrietta, GA)
【0402】
設備:
St. Paul, MNの3M Companyから入手可能な、FAMモジュール(青色LED、475nm励起フィルタ、520nm検出フィルタ)を含有するIntegrated Cycler 器具、Model 3954、及びSt. Paul, MNの3M Companyから製品番号3958として入手可能な、
図16〜
図22に示された上記2つの「Moderate Complexity Disks」を試料処理装置又は「ディスク」としてこの例で使用した。「試料有り」の事例を表す第1ディスクには、レーン1〜8の試料ポートに50μLのUTMをローディングした。「試料無し」の事例を表す第2ディスクには、いかなる材料もローディングしなかった。両ディスクを下記手順によって等しく処理した:
1. Integrated Cycler 器具上にディスクを置いた。
2. 計量を実施した:24.4回転/sec
2の加速度で525rpmでディスクを回転させ、5秒間保持し、次いで24.4回転/sec
2の加速度で975rpmでディスクを回転させ、そして5秒間保持した。
3.
図14に示された上記プロセスに従って、レーザーホーミングを実施した。使用したレーザーは、日本国東京在Sony Corporationから入手可能な高出力密度レーザーダイオード、部品番号SLD323Vであった。
4. FAMモジュールを使用して、ガントリ位置(初期ガントリ=4000,最終ガントリ=9000,ステップ・サイズ=100)の関数としての検出チャンバのバックグラウンド・スキャンを実施した。
5. モータを停止し、そして
図12に示された上記プロセスに従って、800ミリワット(mW)で2秒に1つのレーザーパルスを用いて試料弁を開いた。
6. 24.4回転/sec
2の加速度で1800rpmでディスクを回転させることにより検出チャンバに試料を移送し、そして10秒間保持した。
7. FAMモジュールを使用して、ガントリ位置(初期ガントリ=4000,最終ガントリ=9000,ステップ・サイズ=100)の関数として検出チャンバをスキャンした。
【0403】
各ディスク上の各検出チャンバに対して、バックグラウンドからの信号のパーセント変化率をFAMモジュールのためのガントリ位置の関数として計算した。種々異なるガントリ位置におけるデータの一部が下記第1表に示されている。ディスク1上のそれぞれの検出チャンバ(試料有り)は、ガントリ位置5900に最大の信号変化を有した。ディスク2上のそれぞれの検出チャンバ(試料無し)の、ガントリ位置5900におけるパーセント変化率は無視し得るほど僅かであり、そればかりか、全てのガントリ位置においてパーセント変化率は無視し得るほど僅かであった。各ディスクからのデータの平均及び標準偏差を計算し、下記第1表及び第2表に示す。
【0404】
【表3】
【0405】
【表4】
【0406】
上記のデータは、試料有りディスクと試料無しディスクとの差が著しいことを示している。ディスク1に対して、ガントリ位置5900におけるパーセント変化率の平均値から3つの標準偏差を差し引くことにより、最適ガントリ位置5900における臨床検査試料の存在を自動的に検出するための閾値を計算した。計算された閾値は、12.298−(3×1.814)=6.85であった。
【0407】
例3
例3は、蛍光試薬マスターミックスを用いてディスク(Moderate Complexity Disk)上の2つの異なる流体検出アプローチを実証した。
材料:
試料:ウイルス、クラミジア、マイコプラズマ、及びウレアプラズマのためのCopan Universal Transport Medium (UTM)、3.0mL管、部品番号330C、ロット39P505 (Copan Diagnostics, Murrietta, GA)
試薬マスターミックス:Applied Biosystems (Foster City, CA) 10×PCR緩衝剤、P/N 4376230、ロット番号 1006020を、ヌクレアーゼ非含有水で1xに希釈し、ROX Reference 色素(Invitrogen (Carlsbad, CA) P/N 12223-012、ロット番号786140でスパイクした。最終色素濃度は800nMであった。
【0408】
設備:
St. Paul, MNの3M Companyから製品番号3958として入手可能な、
図16〜
図22に示された「Moderate Complexity Disks」を試料処理装置又は「ディスク」としてこの例で使用した。
St. Paul, MNの3M Companyから入手可能な、FAMモジュール(例1及び例2参照)及びCFR610モジュール(黄色LED,580nm励起フィルタ、及び610nm発光フィルタ)を含有するIntegrated Cycler Model 3954を試料処理システム又は「器具」としてこの例で使用した。
【0409】
Moderate Complexity Disk上の試料及び総流体の検出のための手順:
1. 下記の手法でディスクの各レーンをローディングした。
【0410】
【表5】
2. ローディングされたディスクを器具上に位置決めした。
3. 試料流体及び試薬流体(10μL試料+40μL試薬)を計量リザーバ内に、下記手順により計量供給した:24.4回転/sec
2の加速度で525rpmでディスクを回転させ、5秒間保持し、次いで24.4回転/sec
2の加速度で975rpmでディスクを回転させ、そして5秒間保持した。
4.
図14に示された上記プロセスに従って、レーザーホーミングを実施した。使用したレーザーは、日本国東京在Sony Corporationから入手可能な高出力密度レーザーダイオード、部品番号SLD323Vであった。
5. FAMモジュールを使用して、ガントリ位置(初期ガントリ=4000,最終ガントリ=9000,ステップ・サイズ=100)の関数としての検出チャンバのバックグラウンド・スキャンを実施した。
6. モータを停止し、そして
図12に示された上記プロセスに従って、800ミリワット(mW)で2秒に1つのレーザーパルスを用いて試料隔膜弁を開いた。
7. 24.4回転/sec
2の加速度で1800rpmでディスクを回転させることにより検出チャンバにUTM試料を移送し、そして10秒間保持した。
8. FAMモジュールを使用して、ガントリ位置(初期ガントリ=4000,最終ガントリ=9000,ステップ・サイズ=100)の関数として検出チャンバをスキャンした。
9. モータを停止し、そして
図12に関して上記したプロセスに従って、800ミリワット(mW)で2秒に1つのレーザーパルスを用いて試料隔膜弁を開いた。
10. 244回転/sec
2の加速度で2250rpmでディスクを回転させることにより検出チャンバにPCR緩衝剤+ROX試薬を移送し、そして10秒間保持した。
11. FAM610モジュールを使用して、ガントリ位置(初期ガントリ=4000,最終ガントリ=9000,ステップ・サイズ=100)の関数として検出チャンバをスキャンした。
【0411】
アプローチ1:FAMモジュールを使用した試料だけのメニスカス検出
試料を検出チャンバへ移送した(ステップ7)後、ステップ8において収集されたデータを用いて、ガントリ位置5900におけるメニスカス・レベルの後方散乱強度のパーセント変化率を計算した。例2において判定された、検出チャンバ内の試料の存在を自動的に検出するための閾値6.85を、第4表に示されたパーセント変化率結果に適用した。第4表の結果によって示すように、検出チャンバ内の試料の有無を正確に判定した。
【0412】
【表6】
【0413】
アプローチ2:CFR610モジュールを使用した総流体検出(試料+試薬)
ステップ11から取得されたCFR610モジュールに対するデータを、総流体レベル検出のために処理した。この場合、信号は緩衝剤中のROX色素からの蛍光であった。試料だけの検出チャンバ及び空の検出チャンバ内には信号はなかった。試薬だけ(PCR緩衝剤+ROX)から検出された信号は、試料+試薬の事例と比較してより高いピークに、より低いガントリ位置で達した。なぜならば、10μLの試料の希釈効果が40μLの緩衝剤に加えられ、そしてより大きい体積が検出チャンバの内縁部のより近くに達するからである。
図31はこの例を示しており、例えば検出チャンバ1及び7と比較して検出チャンバ3及び5において増加率が大きいことを明らかにしている。レーン2,4,6及び8はそれぞれレーン1,3,5及び7の複製であるため、
図31では省いた。
【0414】
(i)PCR緩衝剤+ROX、又は(ii)PCR緩衝剤+ROX及び試料を含有する検出チャンバを備えた一連のディスクを使用して、例2と同様のプロセスに従って、試薬チャンバ対試薬+試料チャンバの事例を線引きするための最適ガントリ位置及び閾値を判定した。最適ガントリ位置は、試薬だけのチャンバと試薬+試料のチャンバとの間に信号の最大差があった位置として判定された。最適なガントリ位置は7600と判定され、そして閾値は1398%と判定された。ガントリ位置7600において、そして閾値1398%を用いて、検出チャンバ3及び4内の総流体量50μLの存在を正確に検出した。10μLの試料(UTM)だけを含有する検出チャンバ1&2;40μLの試薬(PCR緩衝剤+ROX)だけを含有する検出チャンバ3&4;及び空の検出チャンバ7&8、これら全てはパーセント変化値が1398閾値未満であり、従ってこれらは正しい総流体レベルを有していないものとみなされた。第5表は、ガントリ位置=7600を用いて、例3におけるディスクに総流体レベル検出アプローチを適用した結果を示している。
【0415】
【表7】
【0416】
上述し、図示した実施態様は一例として示されるに過ぎず、本開示の概念及び原理に制限を加えるものとしては意図されていない。このようなものとして、エレメント及びこれらの構成及び配置関係の変更が、本開示の思想及び範囲を逸脱することなしに可能であることは、当業者には明らかである。
【0417】
本明細書中に示された全ての参考文献及び刊行物は参照することによりそれらの全体が本開示内容に明示的に組み入れられる。
【0418】
本開示の種々の特徴及び態様が下記
の付記に示される。
〔付記1〕
試料処理装置を処理する方法であって、該方法が:
検出チャンバを含む試料処理装置を用意し;
該試料処理装置を、回転軸を中心として回転させ;そして
該試料処理装置を回転させながら、該検出チャンバ内に材料の選択された体積が存在するかどうかを判定する
ことを含む、試料処理装置を処理する方法。
〔付記2〕
該検出チャンバ内に材料の選択された体積が存在するかどうかを判定することが、選択された位置で該検出チャンバに光学的に問い合わせることにより、該材料が該選択された位置に存在するかどうかを判定することを含む、付記1に記載の方法。
〔付記3〕
該検出チャンバ内に材料の選択された体積が存在するかどうかを判定することが、試料の光学特性に関して該検出チャンバに光学的に問い合わせることにより、該試料が該検出チャンバ内に存在するかどうかを判定することを含む、付記1又は2に記載の方法。
〔付記4〕
該検出チャンバが、該回転軸の最も近くに配置された内側境界を含み、そして該検出チャンバ内に材料の選択された体積が存在するかどうかを判定することが、該検出チャンバの該内側境界に近接したガントリ位置で、該検出チャンバに光学的に問い合わせることを含む、付記1から3までのいずれか1項に記載の方法。
〔付記5〕
該検出チャンバに光学的に問い合わせることが、メニスカスに関して該検出チャンバに光学的に問い合わせることを含む、付記2から4までのいずれか1項に記載の方法。
〔付記6〕
該検出チャンバに光学的に問い合わせることが、
電磁信号を該検出チャンバ内に発し、そして
該電磁信号を該検出チャンバ内に発した後、該電磁信号の後方散乱反射を検出することによって、スキャンを得る
ことを含む、付記2から5までのいずれか1項に記載の方法。
〔付記7〕
スキャンを得ることが:
該検出チャンバの第1バックグラウンド・スキャンを得、
該検出チャンバ内に試料を位置決めした後、該検出チャンバの第2スキャンを得、そして
該第1バックグラウンド・スキャンと該第2スキャンとを比較することにより、該試料の選択された体積が該検出チャンバ内に配置されているかどうかを判定する
ことを含む、付記6に記載の方法。
〔付記8〕
該第1バックグラウンド・スキャンと該第2スキャンとを比較することにより、該試料の選択された体積が該検出チャンバ内に配置されているかどうかを判定することは、該第1バックグラウンド・スキャンと該第2スキャンとの間に閾値変化が存在するかどうかを判定することを含む、付記7に記載の方法。
〔付記9〕
さらに、ガントリ上の該試料処理装置に対して相対的に動作可能に位置決めされた光モジュールを用意することを含み、該検出チャンバに光学的に問い合わせることは、該回転軸に対する複数の半径方向位置で、該光モジュールによって該検出チャンバに光学的に問い合わせることを含む、付記8に記載の方法。
〔付記10〕
さらに、
該第1バックグラウンド・スキャンと該第2スキャンとの間に閾値変化が見いだされる半径方向位置を判定し;そして
該半径方向位置を用いて、該検出チャンバ内に配置された該試料の体積を判定する
ことを含む、付記9に記載の方法。
〔付記11〕
光学的に問い合わせることが、
電磁信号を該検出チャンバ内に発し、そして
該電磁信号を該検出チャンバ内に発した後、該検出チャンバ内の材料によって発せられた蛍光を検出することによって、スキャンを得る
ことを含む、付記2から5までのいずれか1項に記載の方法。
〔付記12〕
スキャンを得ることは、
該検出チャンバの第1バックグラウンド・スキャンを得、
該検出チャンバ内に試料を位置決めした後、該検出チャンバの第2スキャンを得、そして
該第1バックグラウンド・スキャンと該第2スキャンとを比較することにより、該試料の選択された体積が該検出チャンバ内に配置されているかどうかを判定する
ことを含む、付記11に記載の方法。
〔付記13〕
該第1バックグラウンド・スキャンと該第2スキャンとを比較することにより、該試料の選択された体積が該検出チャンバ内に配置されているかどうかを判定することは、該第1バックグラウンド・スキャンと該第2スキャンとの間に蛍光の閾値変化が存在するかどうかを判定することを含む、付記12に記載の方法。
〔付記14〕
さらに、ガントリ上の該試料処理装置に対して動作可能に位置決めされた光モジュールを用意することを含み、該検出チャンバに問い合わせることは、該回転軸に対する複数の半径方向位置で、該光モジュールによって該検出チャンバに光学的に問い合わせることを含む、付記13に記載の方法。
〔付記15〕
さらに、該第1バックグラウンド・スキャンと該第2スキャンとの間に蛍光の閾値変化が見いだされる半径方向位置を判定し;そして
該半径方向位置を用いて、該検出チャンバ内に存在する該試料の体積を判定する
ことを含む、付記14に記載の方法。
〔付記16〕
さらに、該検出チャンバを加熱することを含み、
該検出チャンバ内に材料の選択された体積が存在するかどうかを判定することが、該検出チャンバを加熱しながら行われる、
付記1から15までのいずれか1項に記載の方法。
〔付記17〕
光学的に問い合わせることが、
電磁信号を該検出チャンバ内に第1波長で発し、そして
該電磁信号を該検出チャンバ内に第1波長で発した後、該検出チャンバから第2波長で発せられた電磁信号を検出する
ことを含む、付記2から16までのいずれか1項に記載の方法。
〔付記18〕
前記材料が、被分析試料と試薬媒質とを含み、そして該検出チャンバに光学的に問い合わせることは、該検出チャンバ内の該試料及び該試薬媒質のうちの少なくとも一方の光学特性に関して該検出チャンバに光学的に問い合わせることを含む、付記2から17までのいずれか1項に記載の方法。
〔付記19〕
さらに、ガントリ上の該試料処理装置に対して動作可能に位置決めされた光モジュールを用意することを含み、該検出チャンバに光学的に問い合わせることは、所定のガントリ位置に配置された該光モジュールによって該検出チャンバに光学的に問い合わせることを含む、付記2から18までのいずれか1項に記載の方法。
〔付記20〕
さらに、ガントリ上の該試料処理装置に対して動作可能に位置決めされた光モジュールを用意することを含み、該検出チャンバに光学的に問い合わせることは、複数のガントリ位置で該光モジュールによって該検出チャンバに光学的に問い合わせることを含む、付記2から19までのいずれか1項に記載の方法。
〔付記21〕
複数のガントリ位置のそれぞれは材料量と関連しており、そしてさらに:
ガントリ位置で閾値信号を検出し;そして
該ガントリ位置を該検出チャンバ内に存在する材料量に相関させる
ことを含む、付記20に記載の方法。
〔付記22〕
該複数のガントリ位置は、検出チャンバ内に該回転軸に対して種々異なる半径方向位置を含む、付記20又は21に記載の方法。
〔付記23〕
該検出チャンバ内に材料の選択された体積が存在するかどうかを判定しながら、該試料処理装置を回転させて、該検出チャンバ内に存在する任意の材料を、該回転軸から最も遠くに位置する該検出チャンバ内の位置へ押し動かす、付記1から22までのいずれか1項に記載の方法。
〔付記24〕
該検出チャンバが、該回転軸から最も遠くに位置決めされた外側境界を含み、該検出チャンバ内に材料の選択された体積が存在するかどうかを判定しながら、該試料処理装置を回転させて、該検出チャンバ内に存在する任意の材料を、該検出チャンバの該外側境界に向かって押し動かす、付記1から23までのいずれか1項に記載の方法。
〔付記25〕
試料処理装置を処理する方法であって、該方法が:
検出チャンバを含む試料処理装置を用意し;
該試料処理装置を、回転軸を中心として回転させ;そして
試料の光学特性に関して該検出チャンバに光学的に問い合わせることにより、該試料が該検出チャンバ内に存在するかどうかを判定する
ことを含み、光学的に問い合わせることが該試料処理装置を回転させながら行われる、試料処理装置を処理する方法。
〔付記26〕
該試料処理装置を回転軸を中心として回転させて、該試料を該検出チャンバに移動する、付記25に記載の方法。
〔付記27〕
試料処理装置を処理する方法であって、該方法が:
インプット・チャンバと、
検出チャンバと、
該インプット・チャンバと該検出チャンバとを流体的にカップリングするように位置決めされたチャネルと
を含む処理アレイを含む試料処理装置を用意し、
該試料処理装置の該処理アレイの該インプット・チャンバ内に試料を位置決めし;
該試料処理装置を回転軸を中心として回転させることにより、該試料を該検出チャンバに移動し;
該試料処理装置を回転させることにより該試料を該検出チャンバに移動した後、試料の光学特性に関して該検出チャンバに光学的に問い合わせることにより、該試料が該検出チャンバに移動したかどうかを判定し;そして、
該検出チャンバに光学的に問い合わせながら、該試料処理装置を回転させる
ことを含む、試料処理装置を処理する方法。
〔付記28〕
試料処理装置を処理するためのシステムであって、該システムが:
検出チャンバを含む試料処理装置と;
該試料処理装置を回転軸を中心として回転させるように構成されたモータと;
該試料処理装置に対して動作可能に位置決めされた光モジュールであって、該試料処理装置の検出チャンバ内に材料の選択された体積が存在するかどうかを判定するように構成されている光モジュールと
を含む、試料処理装置を処理するためのシステム。