特許第6235466号(P6235466)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6235466
(24)【登録日】2017年11月2日
(45)【発行日】2017年11月22日
(54)【発明の名称】断熱容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 81/38 20060101AFI20171113BHJP
   B65D 3/22 20060101ALI20171113BHJP
【FI】
   B65D81/38 B
   B65D3/22 B
【請求項の数】49
【全頁数】53
(21)【出願番号】特願2014-515882(P2014-515882)
(86)(22)【出願日】2012年6月7日
(65)【公表番号】特表2014-520044(P2014-520044A)
(43)【公表日】2014年8月21日
(86)【国際出願番号】US2012041395
(87)【国際公開番号】WO2012173873
(87)【国際公開日】20121220
【審査請求日】2015年6月3日
(31)【優先権主張番号】61/498,455
(32)【優先日】2011年6月17日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/618,587
(32)【優先日】2012年3月30日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】513318537
【氏名又は名称】ベリー プラスチックス コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100060690
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 秀雄
(74)【代理人】
【識別番号】100070002
【弁理士】
【氏名又は名称】川崎 隆夫
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100110733
【弁理士】
【氏名又は名称】鳥野 正司
(72)【発明者】
【氏名】レサー、クリス、ケー
(72)【発明者】
【氏名】ドリスキル、フィリップ、エイ
(72)【発明者】
【氏名】ワラス、チャールス、ティー
(72)【発明者】
【氏名】オイラー、ジョン、ビー
(72)【発明者】
【氏名】パラディノ、ジェイソン、ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】マラヴィック、ミラン、シー
(72)【発明者】
【氏名】デイヴィス、ダニエル、オー
(72)【発明者】
【氏名】マン、ジェフリー、エイ
(72)【発明者】
【氏名】ボールズ、ランディ、エイ
【審査官】 加藤 信秀
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−321566(JP,A)
【文献】 特開平02−269683(JP,A)
【文献】 特開2010−173258(JP,A)
【文献】 特開2008−162700(JP,A)
【文献】 実開平05−043967(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 81/38
B65D 3/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スリーブ状の側壁を含む本体と、
前記本体に結合された底面であって、前記スリーブ状の側壁と前記底面とによって囲まれた内部領域を画成する底面と
を含む断熱性カップであって、
前記本体が、前記本体の少なくとも1つの選択した領域において局所的な塑性変形を可能にするように構成された断熱気泡質の非芳香族ポリマー材料を含むシートを含み、
前記断熱気泡質の非芳香族ポリマー材料を破損させずに、前記本体の前記選択された領域の第1の部分に位置する、第1の密度を有する、塑性的に変形された第1の材料セグメントと、
前記本体の前記選択された領域の隣接する第2の部分に位置する、前記第1の密度を下回る第2の密度を有する第2の材料セグメントと、を提供する断熱性カップであって、
前記断熱気泡質の非芳香族ポリマー材料が、ポリプロピレンベースの樹脂と、少なくとも1種の核生成剤と、密度を低下させるように前記樹脂を膨張させるガスによる手段とを含むことを特徴とする断熱性カップ。
【請求項2】
前記断熱気泡質の非芳香族ポリマー材料によって局所的な塑性変形が可能にされる、前記本体の前記選択された領域の第1の領域が、前記スリーブ状の側壁にあり、および前記スリーブ状の側壁が、前記底面から上方に延在するように配置されかつ前記本体の前記選択された領域の前記第1の領域に前記第1の密度を有する前記第1の材料セグメントを提供するように構成されている直立内側タブと、前記底面から上方に延在しかつ前記直立内側タブと間にある境界面に沿って接するように配置された直立外側タブと、前記直立内側タブと外側タブを相互接続して前記内部領域を囲むように配置されかつ前記本体の前記選択された領域の前記第1の領域に前記第2の密度を有する前記第2の材料セグメントを提供しかつ前記直立内側および外側タブと協働して前記スリーブ状の側壁を形成するように構成された直立囲いとを含む、請求項1に記載の断熱性カップ。
【請求項3】
前記断熱気泡質の非芳香族ポリマー材料によって局所的な塑性変形が可能にされる、前記本体の前記選択された領域の第2の領域が、前記本体に含まれるロール状の縁にあり、前記ロール状の縁は、前記スリーブ状の側壁の上端と結合して、前記底面に対して離間しており、かつ前記内部領域への開口部の縁を形作り、および前記ロール状の縁は、前記本体の前記選択された領域の前記第2の領域に前記第1の材料セグメントを提供するように構成されかつ前記スリーブ状の側壁に含まれる前記直立外側タブの上端に結合されたロール状の内側タブと、前記スリーブ状の側壁に含まれる前記直立内側タブの上端および前記ロール状の内側タブの外向きの外面に結合されたロール状の外側タブと、前記ロール状の内側および外側タブの各々の向かい合う側縁部を相互接続するように配置されかつ前記本体の前記選択された領域の前記第2の領域に前記第2の密度を有する前記第2の材料セグメントを提供しかつ前記ロール状の内側および外側タブと協働して前記ロール状の縁を形成するように構成されたロール状のリップ部とを含む、請求項2に記載の断熱性カップ。
【請求項4】
前記断熱気泡質の非芳香族ポリマー材料によって局所的な塑性変形が可能にされる、前記本体の前記選択された領域の第3の領域が、前記本体に含まれる底面マウントにあり、前記底面マウントは、前記ロール状の縁に対して離間するように前記スリーブ状の側壁の下端と、前記底面を前記スリーブ状の側壁に対して静止位置に支持するように前記底面とに結合されて、前記内部領域を形成し、および前記底面マウントは、前記スリーブ状の側壁の前記下端に結合されかつ前記本体の前記選択された領域の前記第3の領域に前記第2の密度を有する前記第2の材料セグメントを提供するように構成されたウェブ支持リングと、前記底面に結合されかつ前記ウェブ支持リングによって囲まれるように配置された底面保持フランジと、前記底面保持フランジと前記ウェブ支持リングを相互接続するように配置されかつ前記本体の前記選択された領域の前記第3の領域に前記第1の密度を有する前記第1の材料セグメントを提供するように構成されたウェブとを含む、請求項3に記載の断熱性カップ。
【請求項5】
前記断熱気泡質の非芳香族ポリマー材料によって局所的な塑性変形が可能にされる、前記本体の前記選択された領域の第4の領域が、前記底面マウントの前記底面保持フランジにあり、前記底面保持フランジは、左右に隣り合って配置されて前記ウェブから前記スリーブ状の側壁と前記底面とで囲まれる前記内部領域の方へ上方に延在する一連の交互に厚いおよび薄い直立ステーブを含み、前記厚い直立ステーブの第1の厚い直立ステーブが、前記ウェブから前記内部領域の方へ上方に延在する右側縁部を含むように構成され、前記厚い直立ステーブの第2の厚い直立ステーブが、前記ウェブから前記内部領域の方へ上方に延在しかつ前記厚い直立ステーブの前記第1の厚い直立ステーブの前記右側縁部と離間して向かい合うように配置された左側縁部を含むように構成され、および前記薄い直立ステーブの第1の薄い直立ステーブが、前記厚い直立ステーブの前記第1の厚い直立ステーブの前記左側縁部と前記厚い直立ステーブの前記第2の厚い直立ステーブの前記右側縁部を相互接続しかつ前記左および右側縁部と協働してそれらの間に垂直チャネルを画成するように配置され、前記薄い直立ステーブの前記第1の薄い直立ステーブが、前記本体の前記選択された領域の前記第4の領域に前記第1の材料セグメントを提供するように構成され、および前記厚い直立ステーブの前記第1の厚い直立ステーブが、前記本体の前記選択された領域の前記第4の領域に前記第2の材料セグメントを提供するように構成されている、請求項4に記載の断熱性カップ。
【請求項6】
前記薄い直立ステーブの前記第1の薄い直立ステーブが、前記厚い直立ステーブの前記第1および第2の厚い直立ステーブに対して配置されて、前記垂直チャネルを、内側に、前記底面保持フランジと、前記底面に含まれかつ前記底面保持フランジの上方に配置された水平台とで囲まれた下部内部領域に開口させる、請求項5に記載の断熱性カップ。
【請求項7】
前記薄い直立ステーブの前記第1の薄い直立ステーブが、前記厚い直立ステーブの前記第1および第2の厚い直立ステーブに対して配置されて、前記垂直チャネルを、前記ウェブ支持リングの方向へ外側に開口させる、請求項5に記載の断熱性カップ。
【請求項8】
前記直立内側タブが、前記内部領域の一部分と境界を接する内表面と、前記直立外側タブの方に面する外表面とを含み、前記直立外側タブが、前記内部領域の方に向きかつ前記直立内側タブの前記外表面と接して前記直立内側タブと直立外側タブとの間に前記境界面を画成する内表面を含み、および前記直立外側タブが、さらに、前記直立内側タブから見て外方に面する外層面を含む、請求項2に記載の断熱性カップ。
【請求項9】
前記直立内側および外側タブの前記内表面および外表面の各々が、水平断面において弓形形状を有し、かつ20°未満の鋭角に相対する、請求項8に記載の断熱性カップ。
【請求項10】
前記直立囲いが水平断面においてC字形状であり、および前記直立内側タブおよび直立外側タブの各々が水平断面において弓形形状を有する、請求項2に記載の断熱性カップ。
【請求項11】
前記直立囲いが、直立左側縁部と、前記直立左側縁部に離間して向かい合うように配置された直立右側縁部とを含み、および前記直立外側タブが、前記第1の密度を有しかつ前記直立内側タブと接してブリッジを確立するように構成され、前記ブリッジは、前記直立囲いの前記直立左側縁部と右側縁部を相互接続するように配置され、かつ前記第1の密度を有する塑性的に変形した材料で形成されている、請求項2に記載の断熱性カップ。
【請求項12】
前記直立囲いが、前記内部領域の一部分と境界を接する内表面と、前記内部領域から見て外方に向きかつ前記直立囲いの前記内表面を囲んで前記直立囲いの前記内表面と協働してそれらの間に第1の厚さを規定する外表面とを有し、前記直立内側タブが、前記内部領域の一部分と境界を接する内表面と、前記直立外側タブの方に面する外表面とを含み、前記直立外側タブが、前記内部領域の方に向きかつ前記直立内側タブの前記外表面と接して前記直立内側タブと直立外側タブとの間に前記境界面を画成する内表面を含み、および前記直立外側タブが、さらに、前記直立内側タブから見て外方に面する外層面を含み、前記直立内側タブの前記内表面と外表面が協働して、それらの間に、前記第1の厚さのほぼ半分の第2の厚さを規定し、および前記直立外側タブの前記内表面と外表面が協働して、前記第1の厚さのほぼ半分の第3の厚さを規定する、請求項11に記載の断熱性カップ。
【請求項13】
前記本体が、さらに、前記断熱気泡質の非芳香族ポリマー材料を含むロール状の縁を含み、前記ロール状の縁が、前記スリーブ状の側壁の上端に結合されて、前記底面に対して離間しており、かつ前記内部領域への開口部の縁を形作り、および前記ロール状の縁が、前記第1の密度を有する前記塑性的に変形された第1の材料セグメントを提供しかつ向かい合う左側縁部および右側縁部を含むように構成されたロール状の内側タブと、前記ロール状の内側タブの前記向かい合う左側縁部と右側縁部を相互接続するように配置されかつ前記第2の密度を有する前記第2の材料セグメントを提供するように構成されたロール状のリップ部とを含む、請求項1に記載の断熱性カップ。
【請求項14】
前記ロール状の縁が、さらに、前記ロール状の内側タブの外向きの面に結合されたロール状の外側タブを含み、前記ロール状の外側タブは、前記ロール状の内側タブを覆いかつ前記第1の密度を有する塑性的に変形した材料で形成された外殻を提供する、請求項13に記載の断熱性カップ。
【請求項15】
前記ロール状の外側タブが、向かい合う左側縁部および右側縁部を含み、および前記ロール状のリップ部が、前記ロール状の外側タブの前記向かい合う左側縁部と右側縁部を相互接続するように配置されている、請求項14に記載の断熱性カップ。
【請求項16】
前記ロール状のリップ部が水平断面においてC字形状であり、および前記ロール状の内側および外側タブの各々が、それらの前記向かい合う左側縁部と右側縁部との間に弓形形状を有して、円環形の前記ロール状の縁を提供する、請求項15に記載の断熱性カップ。
【請求項17】
前記本体が、さらに、前記断熱気泡質の非芳香族ポリマー材料を含むスリーブ状の側壁を含み、および前記スリーブ状の側壁が、前記底面から上方に延在するように配置されかつ前記第1の密度を有する前記塑性的に変形された第1の材料セグメントを提供するように構成された直立内側タブと、前記底面から上方に延在しかつ前記直立内側タブと間にある境界面に沿って接するように配置された直立外側タブと、前記直立内側タブと外側タブを相互接続して前記内部領域を囲むように配置されかつ前記第2の密度を有する前記第2の材料セグメントを提供するように構成された直立囲いとを含む、請求項13に記載の断熱性カップ。
【請求項18】
前記本体が、さらに、前記断熱気泡質の非芳香族ポリマー材料を含む底面マウントを含み、および前記底面マウントが、前記スリーブ状の側壁の下端に結合されかつ前記第2の密度を有する前記第2の材料セグメントを提供するように構成されたウェブ支持リングと、前記底面に結合されかつ前記ウェブ支持リングによって囲まれるように配置された底面保持フランジと、前記底面保持フランジと前記ウェブ支持リングを相互接続するように配置されかつ前記第1の密度を有する前記塑性的に変形された第1の材料セグメントを提供するように構成されたウェブとを含む、請求項13に記載の断熱性カップ。
【請求項19】
前記本体が、さらに、前記断熱気泡質の非芳香族ポリマー材料を含む底面保持フランジを含み、および前記底面保持フランジが、前記底面に結合され、かつ左右に隣り合って配置されて前記スリーブ状の側壁と前記底面とによって囲まれた前記内部領域の方へ上方に延在する一連の交互に厚いおよび薄い直立ステーブを含むように形成され、前記厚い直立ステーブの第1の厚い直立ステーブが、前記内部領域の方へ上方に延在する右側縁部を含むように構成され、前記厚い直立ステーブの第2の厚い直立ステーブが、前記内部領域の方へ上方に延在しかつ前記厚い直立ステーブの前記第1の厚い直立ステーブの前記右側縁部から離間して向かい合うように左側縁部を含むように構成され、および前記薄い直立ステーブの第1の薄い直立ステーブが、前記左側縁部と右側縁部を相互接続してそれらの間に垂直チャネルを画成するように配置され、前記薄い直立ステーブの前記第1の薄い直立ステーブが、前記塑性的に変形された第1の材料セグメントを提供するように構成され、および前記厚い直立ステーブの前記第1の厚い直立ステーブが、前記第2の材料セグメントを提供するように構成されている、請求項13に記載の断熱性カップ。
【請求項20】
前記本体が、さらに、前記断熱気泡質の非芳香族ポリマー材料を含む環状のロール状の縁を含み、前記環状のロール状の縁が、前記スリーブ状の側壁の環状の上端に結合されて前記底面に対して離間しており、かつ前記内部領域への開口部の縁を形作り、前記環状のロール状の縁が、前記第1の密度を有する前記塑性的に変形された第1の材料セグメントを提供しかつ向かい合う左および右側縁部を含むように構成されたロール状のタブを含み、および前記環状のロール状の縁が、さらに、前記スリーブ状の側壁の前記環状の上端に結合されかつ前記ロール状のタブの前記向かい合う左側縁部と右側縁部を相互接続するように配置されかつ前記第2の密度を有する前記第2の材料セグメントを提供するように構成されたロール状のリップ部を含む、請求項1に記載の断熱性カップ。
【請求項21】
前記本体が、さらに、前記断熱気泡質の非芳香族ポリマー材料を含む底面マウントを含み、前記底面マウントが、前記スリーブ状の側壁の下端および前記底面に結合されて、前記底面を前記スリーブ状の側壁に対して静止位置に支持して前記内部領域を形成し、および前記底面マウントが、前記底面に結合された底面保持フランジと、前記スリーブ状の側壁の前記下端に結合されかつ前記底面保持フランジを囲むように配置されたウェブ支持リングと、前記底面保持フランジと前記ウェブ支持リングを相互接続するように配置されかつ前記第1の密度を有する前記塑性的に変形された第1の材料セグメントを提供するように構成されたウェブとを含み、および前記ウェブ支持リングが、前記第2の密度を有する前記第2の材料セグメントを提供するように構成されている、請求項1に記載の断熱性カップ。
【請求項22】
前記ウェブおよび前記ウェブ支持リングの各々が円環形を有する、請求項21に記載の断熱性カップ。
【請求項23】
前記底面保持フランジが円環形を有する、請求項22に記載の断熱性カップ。
【請求項24】
前記底面保持フランジ、前記ウェブ、および前記ウェブ支持リングの各々が、前記底面と接する内面を有する内側層と、前記内側層の外面と接する、重なり合う外側層とを含む、請求項21に記載の断熱性カップ。
【請求項25】
前記底面が、前記内部領域の一部分と境界を接する水平台と、前記水平台に結合されかつ前記内部領域から離れて前記底面保持フランジと前記ウェブ支持リングとの間に設けられた空間の方へ下方に延在して前記底面保持フランジおよび前記ウェブ支持リングの各々と接するように配置された台支持部材とを含む、請求項21に記載の断熱性カップ。
【請求項26】
前記台支持部材が円環形を有し、かつ前記底面保持フランジを囲んで、前記水平台と前記ウェブとの間に設けられた環状空間に位置するように配置される、請求項25に記載の断熱性カップ。
【請求項27】
前記底面保持フランジ、前記ウェブ、および前記ウェブ支持リングの各々が、前記底面と接する内面を有する内側層と、前記内側層の外面と接する、重なり合う外側層とを含み、および前記底面保持フランジ、前記ウェブ、および前記ウェブ支持リングの各々の前記内側層が、前記台支持部材と接するように配置されている、請求項25に記載の断熱性カップ。
【請求項28】
前記本体が、さらに、前記断熱気泡質の非芳香族ポリマー材料を含むスリーブ状の側壁を含み、および前記スリーブ状の側壁が、前記底面から上方に延在するように配置されかつ前記第1の密度を有する前記塑性的に変形された第1の材料セグメントを提供するように構成された直立内側タブと、前記底面から上方に延在するように配置されかつ前記直立内側タブと間にある境界面に沿って接する直立外側タブと、前記直立内側タブと外側タブを相互接続しかつ前記内部領域を囲むように配置されかつ前記第2の密度を有する前記第2の材料セグメントを提供するように構成された直立囲いとを含む、請求項21に記載の断熱性カップ。
【請求項29】
前記本体が、さらに、前記断熱気泡質の非芳香族ポリマー材料を含む底面保持フランジを含み、および前記底面保持フランジは、前記底面に結合され、かつ左右に隣り合って配置されて前記スリーブ状の側壁と前記底面とで囲まれた前記内部領域の方へ上方に延在する一連の交互に厚いおよび薄い直立ステーブを含むように形成され、前記厚い直立ステーブの第1の厚い直立ステーブが、前記内部領域の方へ上方に延在する右側縁部を含むように構成され、前記厚い直立ステーブの第2の厚い直立ステーブが、前記内部領域の方へ上方に延在しかつ前記厚い直立ステーブの前記第1の厚い直立ステーブの前記右側縁部に離間して向かい合うように位置する左側縁部を含むように構成され、および前記薄い直立ステーブの第1の薄い直立ステーブが、前記左側縁部と右側縁部を相互接続してそれらの間に垂直チャネルを画成するように配置され、前記薄い直立ステーブの前記第1の薄い直立ステーブが、前記塑性的に変形された第1の材料セグメントを提供するように構成され、および前記厚い直立ステーブの前記第1の厚い直立ステーブが、前記第2の材料セグメントを提供するように構成されている、請求項21に記載の断熱性カップ。
【請求項30】
前記本体が、さらに、前記スリーブ状の側壁に対して静止位置に配置されかつ前記底面に結合されて前記底面を前記スリーブ状の側壁に対して静止位置に保持する底面保持フランジを含み、前記底面が、前記スリーブ状の側壁の内表面と接する外周縁部を有する水平台と、前記内部領域の一部分と境界を接する上向きの上面とを含み、および前記底面保持フランジが、互いに左右に隣り合って位置するように配置されて前記水平台の下向きの下面の方へ上方に延在する一連の交互に厚いおよび薄い直立ステーブを含み、前記厚い直立ステーブの第1の厚い直立ステーブが、前記水平台の前記下面の方へ上方に延在する右側縁部を含むように構成され、前記厚い直立ステーブの第2の厚い直立ステーブが、前記水平台の前記下面の方へ上方に延在するように配置されかつ前記厚い直立ステーブの前記第1の厚い直立ステーブの前記右側縁部に離間して向かい合うように位置する左側縁部を含むように構成され、および前記薄い直立ステーブの第1の薄い直立ステーブが、前記左側縁部と右側縁部を相互接続しかつ前記左および右側縁部と協働してそれらの間に垂直チャネルを画成するように配置され、前記薄いステーブの前記第1の薄いステーブが、前記第1の密度を有する前記第1の材料セグメントを提供するように構成され、および前記厚いステーブの前記第1の厚いステーブが、前記第2の密度を有する前記第2の材料セグメントを提供するように構成されている、請求項1に記載の断熱性カップ。
【請求項31】
前記薄い直立ステーブの前記第1の薄い直立ステーブが、前記厚い直立ステーブの前記第1および前記第2の厚い直立ステーブに対して配置されて、前記垂直チャネルを、内側に、前記水平台と前記底面保持フランジとで囲まれた下部内部領域に開口させる、請求項30に記載の断熱性カップ。
【請求項32】
前記本体が、さらに、前記スリーブ状の側壁の下端に結合されかつ前記底面保持フランジを囲むように配置されたウェブ支持リングと、前記ウェブ支持リングと前記底面保持フランジを相互接続するように配置されたウェブとを含み、および前記薄い直立ステーブの前記第1の薄い直立ステーブが、前記厚い直立ステーブの前記第1および第2の厚い直立ステーブに対して配置されて、前記垂直チャネルを、前記ウェブ支持リングの方向に外側に開口させる、請求項30に記載の断熱性カップ。
【請求項33】
前記底面保持フランジが円環形を有し、かつ前記水平台の中心点を通る垂直に延在する中心軸を囲むように配置され、および前記薄いステーブの前記第1の薄いステーブが、前記下部内部領域を通過する前記垂直に延在する中心軸の部分の方に面する内壁を有する、請求項30に記載の断熱性カップ。
【請求項34】
前記底面がさらに台支持部材を含み、前記台支持部材は、前記底面保持フランジを囲み、かつ前記水平台と協働して、下向きに開口する底面空洞部を形成するように配置され、前記空洞部に前記一連の交互に厚いおよび薄い直立ステーブを含む、請求項33に記載の断熱性カップ。
【請求項35】
前記本体が、さらに、前記断熱気泡質の非芳香族ポリマー材料を含むスリーブ状の側壁を含み、および前記スリーブ状の側壁が、前記底面から上方に延在するように配置されかつ前記第1の密度を有する前記塑性的に変形された第1の材料セグメントを提供するように構成された直立内側タブと、前記底面から上方に延在しかつ前記直立内側タブと間にある境界面に沿って接するように配置された直立外側タブと、前記直立内側タブと外側タブを相互接続して前記内部領域を囲むように配置されかつ前記第2の密度を有する前記第2の材料セグメントを提供するように構成されている直立囲いとを含む、請求項30に記載の断熱性カップ。
【請求項36】
断熱気泡質の非芳香族ポリマー材料の前記シートにある前記第1の材料セグメントが、比較的薄い第1の厚さを有し、および断熱気泡質の非芳香族ポリマー材料の前記シートにある前記第2の材料セグメントが、比較的厚い第2の厚さを有する、請求項1に記載の断熱性カップ。
【請求項37】
前記本体が、さらに、前記断熱気泡質の非芳香族ポリマー材料に接着された軸延伸ポリプロピレンフィルムを含む気泡質の非芳香族スキンを含む、請求項36に記載の断熱性カップ。
【請求項38】
前記本体が、さらに、前記断熱気泡質の非芳香族ポリマー材料の帯条片の外面に結合されかつフィルムと、前記フィルムと前記外面との間に挟まれた接着剤と、前記フィルムに印刷されてグラフィックデザインを提供するインクとを含むように構成されたグラフィックススキンを含む、請求項1に記載の断熱性カップ。
【請求項39】
前記フィルムが軸延伸ポリプロピレンである、請求項38に記載の断熱性カップ。
【請求項40】
前記断熱気泡質の非芳香族ポリマー材料が、ポリプロピレンベースの樹脂、ポリプロピレンコポリマー樹脂、少なくとも1種の核生成剤、および密度を低下させるように前記樹脂を膨張させるガスによる手段を含む、請求項1に記載の断熱性カップ。
【請求項41】
前記ガスによる手段が二酸化炭素を含む、請求項40に記載の断熱性カップ。
【請求項42】
前記ポリプロピレンベースの樹脂が、単峰型分布によって特徴付けられる分子量分布が広範なポリプロピレンを含む、請求項40に記載の断熱性カップ。
【請求項43】
前記ポリプロピレンベースの樹脂がさらにポリプロピレンホモポリマー樹脂を含む、請求項40に記載の断熱性カップ。
【請求項44】
前記断熱気泡質の非芳香族ポリマー材料が、ポリプロピレンベースの樹脂と、ポリプロピレンホモポリマー樹脂と、少なくとも1種の核生成剤と、密度を低下させるように前記樹脂を膨張させるガスによる手段とを含む、請求項1に記載の断熱性カップ。
【請求項45】
前記ガスによる手段が二酸化炭素を含む、請求項44に記載の断熱性カップ。
【請求項46】
前記ポリプロピレンベースの樹脂が、単峰型分布によって特徴付けられる分子量分布が広範なポリプロピレンを含む、請求項44に記載の断熱性カップ。
【請求項47】
前記断熱気泡質の非芳香族ポリマー材料が、単峰型分布によって特徴付けられる分子量分布が広範なポリプロピレンを含む、請求項1に記載の断熱性カップ。
【請求項48】
前記第1の密度が約0.350g/cm3であり、および前記第2の密度が約0.175g/cm3である、請求項1に記載の断熱性カップ。
【請求項49】
前記断熱気泡質の非芳香族ポリマー材料が、ガスで満たされた気泡を含むように形成され、および各気泡が、前記断熱気泡質の非芳香族ポリマー材料に設けられた気泡壁で囲まれ、かつ局所的な塑性変形にさらす間、非弾性的に変形可能であるように構成されている、請求項1に記載の断熱性カップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
参考文献の相互参照
本出願は、35 U.S.C.§ 119(e)下において、2011年6月17日出
願の米国仮特許出願第61/498,455号明細書、および2012年3月30日出願
の米国仮特許出願第61/618,587号明細書の優先権を主張し、これらを参照する
ことにより明白に本書に援用する。
【0002】
本開示は、器、特に熱いまた冷たい飲料または食品を入れるためのカップなどの断熱容器に関する。より具体的には、本開示は、ポリマー材料から形成された断熱カップに関する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本開示による器は、内部領域に生産物を保持するように構成される。例示的実施形態では、器は、飲料カップ、食品保存用カップ、またはデザートカップなどの断熱容器である。
【0004】
例示的実施形態では、断熱性カップは、スリーブ状の側壁を有する本体と、本体に結合されかつ側壁と協働して、食品、液体、または任意の好適な生産物を貯蔵する内部領域を形成する底面とを含む。本体はまた、側壁の上端に結合されたロール状の縁と、側壁の下端および底面に結合された底面マウントとを含む。
【0005】
例示的実施形態では、本体は、断熱気泡質の非芳香族ポリマー材料を含むシートで作製される。本開示の一部の実施形態では、本体は、断熱気泡質の非芳香族ポリマー材料を含む基材層と、基材層に結合されかつイラストおよびテキストを表示するように構成されたスキンを含む外側層とを含む多層シートで作製される。本開示の他の実施形態では、そのようなテキストおよびイラストを、断熱気泡質の非芳香族ポリマー材料の外面に直接印刷する。例示的実施形態では、底面も、断熱気泡質の非芳香族ポリマー材料を含む。
【0006】
本体に含まれる断熱気泡質の非芳香族ポリマー材料は、本開示に従って、本体の少なくとも1つの選択した領域(例えば、側壁、ロール状の縁、底面マウント、および底面マウントに含まれる底面保持フランジ)の局所的な塑性変形を可能にする手段を提供するように構成され、(1)本体の選択された領域の第1の部分に第1の密度を有する、塑性的に変形された第1の材料セグメント、および(2)本体の選択された領域の隣接する第2の部分に比較的低い第2の密度を有する、第2の材料セグメントを提供する。例示的実施形態では、より高密度な第1の材料セグメントは、第2の材料セグメントよりも薄い。
【0007】
例示的実施形態では、断熱気泡質の非芳香族ポリマー材料は、高溶融強度を有するポリプロピレンベースの樹脂と、ポリプロピレンコポリマーまたはホモポリマー樹脂(または双方)と、一次および二次核形成剤、および樹脂に注入されて樹脂を膨張させかつ密度を低下させる二酸化炭素ガスなどの発泡剤を含む気泡形成剤とを含む。ベース樹脂は、単峰型分布(二峰性ではない)によって特徴付けられる分子量分布が広範なポリプロピレンを含む。
【0008】
例示的実施形態では、スキンは、断熱気泡質の非芳香族ポリマー材料の外面に結合される。スキンは、フィルム、フィルムと断熱気泡質の非芳香族ポリマー材料の外面との間に挟まれた接着剤、およびフィルムに印刷されて、イラスト、テキスト、またはそれら双方を含むグラフィックデザインを提供するインクを含む。例示的実施形態では、フィルムはニ軸延伸ポリプロピレンである。
【0009】
本開示の追加的な特徴が、ここで認識されるような開示を実施する最良の態様を例示する、例示的実施形態を考慮することにより、当業者に明らかとなる。
【0010】
詳細な説明は、特に、添付の図面を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本開示による断熱性カップの斜視図であり、断熱性カップが、本体と、底面とを含むことを示し、および本体の4つの領域が、本体に予め定められた断熱性を維持しながら、密度が高められている局所的な塑性変形領域を含んでいることを示す。
図1A図1の断熱性カップの本体に含まれる側壁の一部分の拡大断面図であり、側壁が、左から右へ、スキン、インク層、接着剤層、および断熱気泡質の非芳香族ポリマー材料を含むシートから作製されていることを示す。
図2図2の断熱性カップの分解組立図であり、断熱性カップが、上から下へ、底面、およびロール状の縁と、側壁と、図1に示すように底面と接する(mate)ように構成された支持構造とを含む本体を含むことを示す。
図3図2の線3−3に沿って取った断面図であり、断熱性カップの本体に含まれる側壁が、ほぼ均一な厚さを有することを示し、および底面が、本体に含まれる底面マウントに結合されていることを示す。図3A−Dは局所的な塑性変形をそれぞれ含む、図1の断熱性カップの第1、第2、第3、および第4の領域を示す一連の図である。
図3A】第1の領域が本体の側壁にあることを示す、図1の線3−3に沿って取った部分的な断面図である。
図3B】第2の領域が本体のロール状の縁にあることを示す、図1の線3−3に沿って取った部分的な断面図である。
図3C】第3の領域が、本体の底面マウントに含まれる接続ウェブにあることを示す、図1の線3−3に沿って取った部分的な断面図である。
図3D】第4の領域が、本体の底面マウントに含まれるウェブ支持リングにあることを示す、図1の線3−3に沿って取った部分的な断面図ある。
図4図1の線4−4に沿って取ったデッドセクション(dead section)図であり、断熱性カップの側壁が、C字形状の囲いすなわちフェンスと、C字形状の囲いの一方の端部に結合された直立外側タブと、C字形状の囲いの対向端部に結合された直立内側タブとを含むことを示し、および第1および第2のタブが互いに重なり合って、C字形状の囲いの各端部間に延在するブリッジすなわち橋絡部を確立し、それらの間に内部領域を画成するように配置されていることを提案している。
図4A】本開示によるブリッジの拡大デッドセクション図であり、第1および第2のタブの双方において断熱気泡質の非芳香族ポリマー材料を圧縮して、ブリッジに対向するC字形状の囲いにおける側壁の厚さと同様の厚さにブリッジを薄くして生成した方法を示す。
図4B図4AのC字形状の囲いの一部分の拡大デッドセクション図であり、断熱気泡質の非芳香族ポリマー材料が圧縮されていないことを示す。
図4C】第1および第2のタブが互いに接してブリッジを確立する前の、それらタブの拡大デッドセクション図である。
図5図4Aと同様の拡大図である。
図6】局所的な塑性変形の第2の領域を示す、図1図3、および図3Bのロール状の縁のデッドセクションの線図である。
図6A図1の断熱性カップと、蓋との組み合わせの部分的な断面図であり、図6Bで提案するように、蓋が、断熱性カップのロール状の縁と接するへりを含むことを示す。
図6B】蓋がカップと接するため、蓋のへりが断熱性カップのロール状の縁と係合して、内部領域へ開口する口を閉鎖している状態の、蓋および図5の断熱性カップの部分的な断面図である。
図7図1図3、および図3Cの断熱性カップの部分的な拡大立面図であり、底面が、底面マウントによって側壁に結合され、および底面マウントが、側壁に結合されたウェブ支持リングと、ウェブ支持リングから半径方向に離間した底面保持フランジと、ウェブ支持リングと底面保持フランジを相互接続する接続ウェブとを含むことを示す。
図7A】本開示による断熱性カップの一部分のデッドセクション図であり、底面マウント接続ウェブにある、断熱気泡質の非芳香族ポリマー材料の局所的な塑性変形の第3の領域を示し、および底面保持フランジと底面の一部分との間の境界面に沿った断熱気泡質の非芳香族ポリマー材料の溶融を示す。
図8図7Aと同様の拡大図である。
図9図1図3および図3Dの断熱性カップの部分的な拡大立面図であり、局所的な塑性変形の第4の領域が、底面保持フランジに形成され、かつ底面保持フランジのそれぞれ隣接する厚いセクション間に形成されたチャネルを含むことを示す。
図9A図3Dと同様の図であり、底面保持フランジの交互に厚いおよび薄いセクションを示す。
図9B】本開示による底面保持フランジの一部分のデッドセクション図であり、チャネルが、底面保持フランジの2つの隣接する厚いセクション間に形成されていることを示す。
図10図9Bと同様の拡大図である。
図11図10のチャネルの拡大図であり、断熱気泡質の非芳香族ポリマー材料が、ガスで満たされた気泡を含むように形成され、各気泡が、隣接する気泡と共有する気泡壁で囲まれており、および気泡壁が、図15〜19で提案するようなカップ形成プロセスの最中に変形されて、局所的な塑性変形の領域において密度を高めていることを示す。
図12A図1の本体を作製するために使用される本体ブランクの平面図であり、本体ブランクが、断熱気泡質の非芳香族ポリマー材料の帯条片と、断熱気泡質の非芳香族ポリマー材料の帯条片に積層されたスキンとから形成されていることを示すために、複数の部分を切り欠いた状態であり、およびブランク形成プロセスの最中に、ウェブ形成部分が、弓状の折り目に沿って本体ブランクの一部分を圧縮して接続ウェブを形成し、およびステーブ(stave)形成部分が、弓状の折り目と下部アーチ形縁部との間の本体ブランクの別の部分を圧縮して、弓状の折り目と第2の下部アーチ形縁部との間に延在する一連の交互に厚いおよび薄いステーブを形成していることを提案している。
図12B】ブランク形成プロセス実施後の、図12Aと同様の図であり、接続ウェブおよびステーブの双方が本体ブランクに形成されていることを示す。
図12C】本開示による本体ブランクの別の実施形態の平面図であり、本体ブランクが、断熱気泡質の非芳香族ポリマー材料のみを含むシートから形成されていることを示す。
図13図12Bの側壁ブランクの部分的な拡大平面図であり、弓状の折り目と、底面保持フランジにチャネルを画成するように協働する交互に厚いおよび薄いステーブとを示す。
図14図13の線14−14に沿って取ったデッドセクション図であり、側壁ブランクに含まれる底面保持フランジの隣接する対の厚いセクション間に形成されたいくつものチャネルを示す。
図15】温度試験を受けている、本開示による断熱性カップの経時による性能を示すグラフである。
図16】本開示によるカップ製造プロセスの斜視図を含む線図であり、カップ製造プロセスが、積層シートの積層ロールを提供すること、図17〜19に詳細を提案するように断熱性カップを形成すること、および図20に詳細を提案するように断熱性カップのスタックを梱包することを含むことを示し、および断熱性カップの形成が、図17に詳細を提案するように本体ブランクを形成するステップ、本体ブランクをアニーリングするステップ、図18に詳細を提案するようにカップベースを形成するステップ、および図19に詳細を提案するようにロール状の縁を形成するステップを含むことを示す。
図17】本体ブランク形成段階の斜視図を含む線図であり、本体ブランク形成段階が、積層ロールを装填して積層シートを提供するステップ、積層シートをアニーリングするステップ、積層シートを圧縮して、圧縮シートを形成するステップ、圧縮シートを裁断して、本体ブランクおよびスクラップを形成するステップ、スクラップを収集するステップ、および本体ブランクを積み重ねて本体ブランクのスタックを形成するステップを含むことを示す。
図18】カップベース形成段階の斜視図を含む線図であり、カップベース形成段階が、本体ブランクのスタックを装填するステップ、本体ブランクを加熱するステップ、本体ブランクをマンドレルの周りに巻き付けるステップ、本体を形成するステップ、別の積層ロールを装填して積層シートを提供するステップ、積層シートを裁断して、底面ブランクおよびスクラップを形成するステップ、底面ブランクを底面に付形するステップ、底面を加熱するステップ、本体を加熱するステップ、底面の周りに本体を巻き付けるステップ、および底面をベースに結合してカップ本体を確立するステップを含むことを示す。
図19】縁形成段階の斜視図を含む線図であり、縁形成段階が、カップベースを縁成形機に移送するステップ、任意選択的にベースの上部を潤滑にするステップ、ベースの上部を加熱するステップ、およびベースの上部をロール状にして、ロール状の縁を有する断熱性カップを形成するステップを含むことを示す。
図20】カップ梱包段階の斜視図を含む線図であり、カップ梱包段階が、漏れに関して断熱性カップを検査するステップ、良品のカップを積み重ねて、断熱性カップのスタックを形成するステップ、および断熱性カップのスタックを、保管および輸送のために梱包するステップを含むことを示す。
図21】本開示による本体ブランクの別の実施形態の平面図であり、本体ブランクが、第1の上部アーチ形縁部と、第2の下部アーチ形縁部と、それらの間の弓状の折り目と、弓状の折り目と第2の下部アーチ形縁部との間に延在し、かつロール状の縁を形成するように本体ブランクが重なり合う部分の断熱気泡質の非芳香族ポリマー材料の厚さを薄くするように圧縮された縁タブを含む一連の離間したチャネルとを含むことを示す。
図22図21の線22−22に沿って取った断面図である。
図23】本開示による本体ブランクのさらに別の実施形態の平面図であり、本体ブランクが、第1の上部アーチ形縁部と、第2の下部アーチ形縁部と、それらの間の弓状の折り目と、弓状の折り目と第2の下部アーチ形縁部との間に延在する一連の離間したチャネルと、ブリッジを形成するように本体ブランクが重なり合う部分の材料の厚さを薄くするように、本体を形成する前に圧縮された第1および第2のタブとを含むことを示す。
図24図23の線24−24に沿って取った断面図である。
図25】本開示による断熱性カップの別の実施形態の斜視図であり、断熱性カップが、ロール状の縁、側壁、および底面マウントを含む本体と、支持構造および側壁の底部の双方に結合された底面とを含むことを示し、および側壁の各部分が圧縮されて、側壁の圧縮された部分から外側に延在するいくつものリブを形成していることを示す。
図26図25に示す断熱性カップの本体を形成するために使用された本体ブランクの平面図であり、本体ブランクが、第1の上部アーチ形縁部と、第2の下部アーチ形縁部と、それらの間の弓状の折り目と、弓状の折り目と第2の下部アーチ形縁部との間に延在する一連の離間したチャネルと、使用者の手とカップの外表面との間の接触表面積を小さくするために、間にリブを確立する側壁の圧縮された部分とを含むことを示す。
図27図26の線27−27に沿って取った断面図である。
図28】本開示による断熱性カップのさらに別の実施形態の斜視図であり、断熱性カップが、ロール状の縁、側壁、および底面マウントを含む本体と、支持構造および側壁の底部の双方に結合された底面とを含むことを示し、および側壁の変位部分の結果として、側壁に形成されたいくつもの突出するリブを示す。
図29図28に示す断熱性カップの本体を作製するために使用された本体ブランクの平面図であり、本体ブランクが、第1の上部アーチ形縁部と、第2の下部アーチ形縁部と、それらの間の弓状の折り目と、弓状の折り目と第2の下部アーチ形縁部との間に延在する一連の離間したチャネルと、材料を変位させて、使用者の手とカップの外表面との間の接触表面積を小さくするために使用されるリブを形成する結果として形成された、突出するリブとを含むことを示す。
図30図29の線30−30に沿って取った断面図である。
図31図30の拡大した部分であり、材料が側壁において変位されて、リブを形成していることを示す。
図32】本開示によるロール状の縁の別の実施形態のデッドセクション図であり、ロール状の縁が、全体にわたってほぼ一定の厚さを有することを示す。
図33】本開示によるロール状の縁のさらに別の実施形態のデッドセクション図であり、ロール状の縁が、ロール状の縁の自由端に向かって比較的薄くなる厚さを含むことを示す。
図34】本開示によるロール状の縁のさらに別の実施形態のデッドセクション図であり、ロール状の縁が、それ自体にロール状にされて、全体的にロール状の縁には空間が形成されないことを示す。
図35】本開示による断熱性カップの別の実施形態の部分的な拡大立面図であり、底面保持フランジの内周面にチャネルが形成されるため、断熱性カップの組み立て時にチャネルが隠される、局所的な塑性変形の第4の領域を示す。
図36図35と同様の底面の部分的な拡大立面図であり、断熱性カップに含まれる底面マウントと接する底面を示し、およびチャネルが、互いに、接続ウェブから、および底面から離間していることを示す。
図37図1Aと同様の図であり、上から下へ、フィルム、インク層、接着剤層を含むスキンと、断熱気泡質の非芳香族ポリマー材料の帯条片とを含むシートの実施形態を示す。
図38図37と同様の図であり、上から下へ、フィルム、インク層、および接着剤層を含む外側スキンと、断熱気泡質の非芳香族ポリマー材料の帯条片と、フィルム、インク層、および接着剤層を含む内側スキンとを含むシートの別の実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1および図3〜3Dで提案するように、本開示に従って、例えば、断熱気泡質の非芳香族ポリマー材料を含む断熱性カップ10の本体11の4つの領域101、102、103、および104に、局所的な塑性変形がもたらされる。材料は、例えば、外部圧縮荷重を受けたことに応答して形状が変化して永久歪みを生じ塑性的に変形され、その新しい形状は、荷重が除去された後も保たれる。本明細書で説明する断熱性カップ10は、紙カップではなく、熱いおよび冷たい内容物を保持するのに好適な断熱の質を備える気泡質の非芳香族ポリマー材料製のカップである。
【0013】
図1および図2〜11に、本開示に従って、局所的な塑性変形によって、断熱性カップ10の隣接セグメントよりも材料密度の高い断熱性カップ10のセグメントを提供する4つの領域101〜104を有する断熱性カップ10の第1の実施形態を示す。一例として、断熱性カップ10は、図12〜14に示す例示的な本体ブランク500を使用して作製される。図16〜20に、本体ブランク500および断熱性カップ10を作製するカップ製造プロセス40を示す。図21〜31に、断熱性カップを形成するために使用し得る、本開示による本体ブランク800、820、836、および856の他の実施形態を示す。図32〜34に、様々な断熱性カップと共に使用し得るロール状の縁16A、16B、16Cを示す。図1Aおよび図37に、断熱性カップ10を形成するために使用される断熱気泡質の非芳香族ポリマー材料の第1の実施形態を示す。図38に、本開示による断熱気泡質の非芳香族ポリマー材料の別の実施形態を示す。
【0014】
例えば、図1に示すように、断熱性カップ10は、スリーブ状の側壁18を含む本体11と、本体11に結合された底面20とを含み、スリーブ状の側壁18と底面20とによって囲まれた内部領域14を画成する。図1〜3で提案するように、本体11は、さらに、側壁18の上端に結合されたロール状の縁16と、側壁18の下端に結合された底面マウント17とを含む。
【0015】
本明細書で説明するように、本体11は、断熱気泡質の非芳香族ポリマー材料の帯条片から形成される。本開示によれば、断熱気泡質の非芳香族ポリマー材料の帯条片は、本体11の少なくとも1つの選択された領域(例えば、領域101〜104)の局所的な塑性変形を可能にする手段を提供するように構成され(圧力を加えることによって−熱を加えてまたは熱を加えずに)、断熱気泡質の非芳香族ポリマー材料を破損させずに、本体11の選択された領域の第1の部分に位置する、第1の密度を有する、塑性的に変形された第1の材料セグメントと、本体11の選択された領域の隣接する第2の部分に位置する、第1の密度を下回る第2の密度を有する第2の材料セグメントとを提供するため、本体11に、予め定められた断熱性が維持される。
【0016】
図1図3A、および図4で提案するように、断熱気泡質の非芳香族ポリマー材料によって局所的な塑性変形が可能にされる、本体11の選択された領域の第1の領域101は、スリーブ状の側壁18にある。図1図3、および図4で提案するように、スリーブ状の側壁18は、直立内側タブ514、直立外側タブ512、および内側タブ514と外側タブ512との間に延在する直立囲い513を含む。直立内側タブ514は、底面20から上方に延在するように配置され、かつ本体11の選択された領域の第1の領域101に、より高い第1の密度を有する第1の材料セグメントを提供するように構成される。図4で提案するように、直立外側タブ512は、底面20から上方に延在し、かつ直立内側タブ514と、それら両タブの間の境界面Iに沿って接する(mate)ように配置される。直立囲い513は、直立内側タブ514と直立外側タブ512を相互接続して内部領域14を囲むように配置される。図3および図4で提案するように、直立囲い513は、本体11の選択された領域の第1の領域101に、より低い第2の密度を有する第2の材料セグメントを提供し、かつ直立内側および外側タブ514、512と協働してスリーブ状の側壁18を形成するように構成される。
【0017】
図1図3B、および図6で提案するように、断熱気泡質の非芳香族ポリマー材料によって局所的な塑性変形が可能にされる、本体11の選択された領域の第2の領域102は、本体11に含まれるロール状の縁16にある。ロール状の縁16は、スリーブ状の側壁18の上端に結合され、底面20から離間しており、かつ内部領域14への開口部の縁を形作る。図1図3、および図6で提案するように、ロール状の縁16は、ロール状の内側タブ164、ロール状の外側タブ162、およびロール状のリップ部163を含む。ロール状の内側タブ164は、本体11の選択された領域の第2の領域102に、より高い第1の密度を有する第1の材料セグメントを提供するように構成される。ロール状の内側タブ164は、スリーブ状の側壁18に含まれる直立外側タブ512の上端に結合される。ロール状の外側タブ162は、スリーブ状の側壁18に含まれる直立内側タブ514の上端と、ロール状の内側タブ164の外向きの外面とに結合される。ロール状のリップ部163は、ロール状の内側および外側タブ164、162の各々の向かい合う側縁部を相互接続するように配置される。図1で提案するように、ロール状のリップ部163は、本体11の選択された領域の第2の領域102に、より低い第2の密度を有する第2の材料セグメントを提供し、かつロール状の内側および外側タブ164、162と協働してロール状の縁16を形成するように構成される。
【0018】
図1図3C図7、および図7Aで提案するように、断熱気泡質の非芳香族ポリマー材料によって局所的な塑性変形が可能にされる、本体11の選択された領域の第3の領域103は、本体11に含まれる底面マウント17にある。底面マウント17は、ロール状の縁16から離間するようにスリーブ状の側壁18の下端と、スリーブ状の側壁18に対して静止位置に底面20を支持するように底面20とに結合されて、内部領域14を形成する。図3で提案するように、底面マウント17は、ウェブ支持リング126、底面保持フランジ26、およびウェブ支持リング126と底面保持フランジ26との間に延在する接続ウェブ25を含む。ウェブ支持リング126は、スリーブ状の側壁18の下端に結合され、かつ本体11の選択された領域の第3の領域103に、より低い第2の密度を有する第2の材料セグメントを提供するように構成される。図3で提案するように、底面保持フランジ26は、底面20に結合され、かつウェブ支持リング126によって囲まれるように配置される。接続ウェブ25は、底面保持フランジ26とウェブ支持リング126を相互接続するように配置される。接続ウェブ25は、本体11の選択された領域の第3の領域103に、より高い第1の密度を有する第1の材料セグメントを提供するように構成される。例示的実施形態では、接続ウェブ25は、図16〜20で提案するように断熱性カップ10を画成するように本体ブランク500が形成される前に、本体ブランク500に前もって作られる。
【0019】
図1図3D図9図9A、および図9Bで提案するように、断熱気泡質の非芳香族ポリマー材料によって局所的な塑性変形が可能にされる、本体11の選択された領域の第4の領域104は、底面マウント17の底面保持フランジ26にある。底面保持フランジ26は、一連の交互に厚いおよび薄い直立ステーブ(すなわち凹部と凸部)を含み、これらステーブは、左右に隣り合って配置されて、接続ウェブ25から、スリーブ状の側壁18と底面20とで囲まれる内部領域14の方へ上方に延在する。例示的実施形態では、この一連の交互に厚いおよび薄いステーブは、図16〜20で提案するように断熱性カップ10を画成するように本体ブランク500が形成される前に、本体ブランク500に前もって作られる。図7で提案するように、厚い直立ステーブの第1のステーブ261は、ウェブ25から内部領域14の方へ上方に延在する右側縁部261Rを含むように構成される。厚い直立ステーブの第2のステーブ262は、ウェブ25から内部領域14の方へ上方に延在しかつ厚い直立ステーブの第1のステーブ261の右側縁部261Rと離間して向かい合うように配置される左側縁部262Lを含むように構成される。図7で提案するように、薄い直立ステーブの第1のステーブ260は、厚い直立ステーブの第1のステーブ261の右側縁部261Rと厚い直立ステーブの第2のステーブ262の左側縁部262Lを相互接続しかつ左および右側縁部262L、261Rと協働してそれらの間に垂直チャネル263を画成するように配置され、この垂直チャネルは、底面保持フランジ26と、底面20に含まれかつ底面保持フランジ26の上方に位置する水平台21とによって囲まれる下部内部領域264に内側に開口する。薄い直立ステーブの第1のステーブ260は、本体11の選択された領域の第4の領域104に、より高い第1の密度を有する第1の材料セグメントを提供するように構成される。厚い直立ステーブの第1のステーブ261は、本体11の選択された領域の第4の領域104に、より低い第2の密度を有する第2の材料セグメントを提供するように構成される。
【0020】
図1図3図3A、および図4に示す例示的実施形態では、本体11のスリーブ状の側壁18は一対のタブ514、512を含み、それらタブは互いに接して、切頭円錐形(frustoconical shape)の側壁18を提供する。図4および図4Cに示すように、側壁18の直立内側タブ514は、内部領域14の一部分と境界を接する内表面514iと、直立外側タブ512の方に面する外表面514oとを含む。直立外側タブ512は、内部領域14の方に向きかつ直立内側タブ514の外表面514oと接する内表面512iを含み、直立内側タブ514と直立外側タブ512との間に境界面Iを画成する。直立外側タブ512は、さらに、直立内側タブ514から見て外方に面する外層面512oを含む。図4Cで提案するように、直立内側および外側タブ514、512の内表面および外表面の各々は、水平断面において弓形形状を有し、かつ図4で提案するように、20°未満の鋭角に相対する。
【0021】
図4で提案するように、側壁18の直立囲い513は、水平断面においてC字形状であり、および直立内側および外側タブ514、512の各々は、水平断面において弓形形状を有する。図4Cでは、直立囲い513は、直立左側縁部513Lと、直立左側縁部513Lと離間して向かい合うように配置された直立右側縁部513Rとを含む。直立外側タブ512は、より高い第1の密度を有しかつ同様により高い第1の密度によって特徴付けられる直立内側タブ514と接するように構成され、直立囲い513の直立左側縁部513Lと右側縁部513Rを相互接続するように配置されたブリッジすなわち橋絡部512、514を確立する。ブリッジ512、514は、より高い第1の密度を有する塑性的に変形した材料で形成される。
【0022】
図4で一例として示す通り、側壁18の直立囲い513は、内部領域14の一部分と境界を接する内表面513iと、内部領域14から見て外方を向きかつ直立囲い513の内表面513iを囲む外表面513oとを有する。外表面513oは直立囲い513の内表面513iと協働して、それらの間に第1の厚さT1を規定する。直立内側タブ514は、内部領域14の一部分と境界を接する内表面514iと、直立外側タブ512の方に面する外表面514oとを含む。直立外側タブ512は、内部領域14の方に向きかつ直立内側タブ514の外表面514oと接する内表面512iを含み、直立内側タブ514と直立外側タブ512との間に境界面Iを画成する。直立外側タブ512は、さらに、直立内側タブ514から見て外方に面する外層面512oを含む。直立内側タブ514の内表面および外表面は協働して、それらの間に、第1の厚さT1を下回る第2の厚さT2Iを規定する。直立外側タブ512の内表面および外表面は協働して、第1の厚さT1を下回る第3の厚さT2Oを規定する。
【0023】
図1および図3Bで提案するように、本体11のロール状の縁16は、スリーブ状の側壁18の上端に結合されて底面20と離間し、かつ内部領域14への開口部の縁を形作る。ロール状の縁16のロール状の内側タブ164は、より高い第1の密度を有する塑性的に変形された第1の材料セグメントを提供しかつ向かい合う左および右側縁部を含むように構成される。ロール状の縁16のロール状のリップ部163は、ロール状の内側タブ164の、向かい合う左側縁部と右側縁部を相互接続するように配置され、かつより低い第2の密度を有する第2の材料セグメントを提供するように構成される。図1で提案するように、ロール状の縁16のロール状の外側タブ162は、ロール状の内側タブ164の外向きの面に結合されて、ロール状の内側タブ164を覆う外殻を提供し、この外殻は、より高い第1の密度を有する塑性的に変形した材料で形成される。ロール状の外側タブ162は、向かい合う左および右側縁部を含む。ロール状のリップ部163は、ロール状の外側タブ162の向かい合う左側縁部と右側縁部を相互接続するように配置される。ロール状のリップ部163は、水平断面においてC字形状である。ロール状の内側および外側タブ164、162の各々は、その向かい合う左側縁部と右側縁部との間に弓形形状を有し、円環形のロール状の縁16を提供する。
【0024】
図1図3および図3Cで提案するように、本体11の底面マウント17は、スリーブ状の側壁18の下端と底面20とに結合されて、底面20を、スリーブ状の側壁18に対して静止位置に支持して、内部領域14を形成する。図3Cで提案するように、底面マウント17は、底面20に結合された底面保持フランジ26と、スリーブ状の側壁18の下端に結合されかつ底面保持フランジ26を囲むように配置されたウェブ支持リング126と、底面保持フランジ26とウェブ支持リング126を相互接続するように配置された接続ウェブ25とを含む。接続ウェブ25は、より高い第1の密度を有する第1の材料セグメントを提供するように構成される。接続ウェブ支持リング126は、より低い第2の密度を有する第2の材料セグメントを提供するように構成される。接続ウェブ25およびウェブ支持リング126の各々は円環形を有する。底面保持フランジ26は円環形を有する。図3および図7で提案するように、底面保持フランジ26、接続ウェブ25、およびウェブ支持リング126の各々は、底面20と接する内面を有する内側層と、内側層の外面と接する、重なり合う外側層とを含む。
【0025】
例えば、図2および図3Cに示すように、断熱性カップ10の底面20は、内部領域14の一部分と境界を接する水平台21と、水平台21に結合された台支持部材23とを含む。図3および図7で提案するように、台支持部材23はリング状であり、かつ水平台21および内部領域14から離れて下方に、底面保持フランジ26と底面保持フランジ26を囲むウェブ支持リング126との間に設けられた空間27まで延在して、底面保持フランジ26およびウェブ支持リング126の各々と接するように配置される。
【0026】
図3図3C、および図3Dで提案するように、底面20の台支持部材23は円環形を有し、かつ底面保持フランジ26を囲んで、水平台21と接続ウェブ25との間に設けられた環状空間に位置するように配置される。図3および図6で提案するように、底面保持フランジ26、接続ウェブ25、およびウェブ支持リング126の各々は、底面20と接する内面を有する内側層と、内側層の外面と接する、重なり合う外側層とを含む。図3Cで提案するように、底面保持フランジ26、ウェブ25、およびウェブ支持リング126の各々の内側層は、台支持部材23と接するように配置される。
【0027】
図3図3C、および図7で提案するように、底面マウント17の底面保持フランジ26は、スリーブ状の側壁18に対して静止位置にありかつ底面20に結合されるように配置され、底面20を、スリーブ状の側壁18に対して静止位置に保持する。図3および図3Cで提案するように、底面20の水平台21は、スリーブ状の側壁18の内表面と接する外周縁部と、内部領域14の一部分と境界を接する上向きの上面とを有する。
【0028】
底面マウント17の底面保持フランジ26はリング状であり、かつ一連の交互に厚いおよび薄い直立ステーブを含み、これらステーブは、互いに左右に隣り合ってあり、水平台21の下向きの下面の方へ上方に延在するように配置されている。厚い直立ステーブの第1のステーブ261は、水平台21の下面の方へ上方に延在する右側縁部261Rを含むように構成される。厚い直立ステーブの第2のステーブ262は、左側縁部262Lを含むように構成され、この左側縁部は、水平台21の下面の方へ上方に延在しかつ厚い直立ステーブの第1のステーブ261の右側縁部261Rと離間して向かい合うように配置される。図3D図7、および図9で提案するように、薄い直立ステーブの第1のステーブ260は、左側縁部262Lと右側縁部261Rを相互接続しかつ左および右側縁部262L、261Rと協働してそれらの間に垂直チャネル263を画成するように配置され、この垂直チャネルは、水平台21と底面保持フランジ26とで囲まれる下部内部領域264に内側に開口する。薄いステーブの第1のステーブ260は、より高い第1の密度を有する第1の材料セグメントを提供するように構成される。厚いステーブの第1のステーブ261は、より低い第2の密度を有する第2の材料セグメントを提供するように構成される。
【0029】
図3Cおよび図3Dで提案するように、底面マウント17の底面保持フランジ26は円環形を有し、かつ水平台21の中心点を通る、垂直に延在する中心軸CAを囲むように配置される。薄いステーブの第1のステーブ260は、下部内部領域を通過する、垂直に延在する中心軸CAの一部分の方に面する内壁を有する。台支持部材23は、底面保持フランジ26を囲みかつ水平台21と協働して、一連の交互に厚いおよび薄い直立ステーブを収容する下方に開口する底面チャンバ20Cを形成するように配置される。
【0030】
断熱気泡質の非芳香族ポリマー材料の各第1の材料セグメントは比較的薄い第1の厚さを有する。断熱気泡質の非芳香族ポリマー材料の、相手方の各第2の材料セグメントは、比較的厚い第2の厚さを有する。
【0031】
図12Aに示すように、本体11は、断熱気泡質の非芳香族ポリマー材料のシート11Sから形成され、このシートは、例えば、断熱気泡質の非芳香族ポリマー材料の帯条片11S1と、断熱気泡質の非芳香族ポリマー材料の帯条片11S1の一面に結合されたスキン11S2とを含む。本開示の一実施形態では、テキストおよびイラストまたはそれら双方を、スキン11S2に含まれるフィルムに印刷できる。スキン11S2は、さらに、フィルムに適用されたインク層を含み、フィルムと断熱気泡質の非芳香族ポリマー材料の帯条片との間にインク層を配置し得る。別の例では、スキンおよびインク層は、インク層と断熱気泡質の非芳香族ポリマー材料との間に位置するように配置された接着剤層によって、断熱気泡質の非芳香族ポリマー材料の帯条片に積層される。一例として、スキンは、ニ軸延伸ポリプロピレンとし得る。
【0032】
断熱気泡質の非芳香族ポリマー材料は、例えば、高溶融強度を有するポリプロピレンベースの樹脂と、ポリプロピレンコポリマーおよびホモポリマー樹脂の一方または双方と、1種以上の気泡形成剤とを含む。一例として、気泡形成剤は、一次核生成剤と、二次核生成剤と、樹脂を膨張させて密度を低下させるためのガスによる手段によって規定された発泡剤とを含み得る。一例では、ガスによる手段は二酸化炭素を含む。別の例では、ベース樹脂は、二峰性ではなく単峰型分布によって特徴付けられる分子量分布が広範なポリプロピレンを含む。
【0033】
例えば、図1に示すように、本開示の例示的な一実施形態による断熱性カップ10は、内部領域14を含むように形成されたベース12と、ベース12に結合されたロール状の縁16とを含む。図1図2図3C、および図9に示すように、ベース12は、側壁18、支持構造19、および底面20を含む。底面20は、支持構造19と側壁18とに結合され、内部領域14を画成する。ベース12は、内部領域14に入っている飲料や食品を断熱するための手段を提供するように(圧力を加えることによって−熱を加えてまたは熱を加えずに)構成された断熱気泡質の非芳香族ポリマー材料を実例として含み、飲料や食品を支持しかつ変形および穿孔に対する耐性をもたらすのに十分な機械特性を有する構造を形成する。例えば図16〜20に示すように、断熱性カップ10は、例示的カップ製造プロセス40において形成される。
【0034】
図3に示すように、側壁18はロール状の縁16と支持構造19との間に延在する。側壁18は、ロール状の縁16に結合されたベース12の上部22と、支持構造19に結合される底部24とを含む。支持構造19は、底面20と側壁18の底部24を相互接続するように配置される。例示的実施形態では、図12に示すように、縁16、側壁18、および支持構造19は、単一の本体ブランク500から形成される。断熱性カップ10は、本体ブランク500と底面20とを含むアセンブリである。一例として、底面20は、カップ製造プロセス40の最中に底部24と接して、それらの間に一次シールを形成する。支持構造19と底面20との間に二次シールも確立され得る。断熱性容器は、一次シールのみ、二次シールのみ、または一次シールと二次シールの双方を有して形成され得る。
【0035】
再度図1を参照して説明すると、側壁18の上部22が、底面20の方へ下向き28に延在するように配置され、かつ底部24に結合する。底部24は、反対に、ロール状の縁16の方へ上向き30に延在するように配置される。上部22は、カップ製造プロセス40の最中にカールされてロール状の縁16を形成する。ロール状の縁16および上部22は協働して口32を形成し、この口は、内部領域14に開口するように配置される。
【0036】
図3に示すように、支持構造19は、底面保持フランジ26および接続ウェブ25を含む。接続ウェブ25は、側壁18の底部24に結合され、かつ底部24から半径方向に離れて内部領域14の方へ延在するように配置される。底面保持フランジ26は、接続ウェブ25に結合され、かつ底面20および内部領域14の方へ上向き30に延在するように配置される。底面保持フランジ26、接続ウェブ25、および底部24がともに協働して、それらの間に受け溜め27を画成する。図3で提案するように、底面20の一部分は、受け溜め27まで下方に延在して底面保持フランジ26と底部24との間に保持されるように配置される。図3の例示的実施形態では、底面20の台支持部材23は、受け溜め27まで完全に延在し、かつ接続ウェブ25と接触する。
【0037】
図35および図36に示す別の実施形態では、カップ710は断熱性カップ10と同様であるが、底面720が、底面台721と、断熱性カップ10の台支持部材23よりも短い底面リング723とを含む。底面リング723は、保持フランジ726と接続ウェブ725と底部724との間に形成された受け溜め727まで完全には延在しない。この手法によって、底面リング723の長さ部分をしっかりと保持し、かつカップ製造プロセス40の最中に干渉が生じる恐れを低減する必要がなく、カップ製造プロセス40の最中に底面720を位置決めできる。
【0038】
図1図2図3C、および図9に示すように、底面20は、水平台21および台支持部材23を含む。水平台21は、例えば、平坦な丸いディスクであり、側壁18と協働して、それらの間に内部領域14を画成する。台支持部材23は、水平台21の外周に結合され、かつ水平台21から離れて受け溜め27の方へかつそこまで下向き28に延在するように配置される。その結果、水平台21は、断熱性カップ10が載置されるいずれの面からも離間する。
【0039】
断熱性カップ10を作製するために本開示に従って使用される断熱気泡質の非芳香族ポリマー材料の圧縮性によって、他のポリマー材料が経験するような制限を受けずに、断熱気泡質の非芳香族ポリマー材料を、断熱性カップ10の機械的組立に対応できるように準備できる。本明細書で説明する断熱気泡質の非芳香族ポリマー材料の気泡性の性質によって、以下説明するような断熱性をもたらす一方、塑性変形に対する感受性があることによって、断熱気泡質の非芳香族ポリマー材料を破損なく、生産可能とする。断熱気泡質の非芳香族ポリマー材料の帯条片が圧力荷重を受けると生じる塑性変形を使用して、圧力荷重除去後にも断熱気泡質の非芳香族ポリマー材料に永久歪みを形成する。例示的実施形態では、いくつかの箇所において、永久歪みの箇所は、例えば、断熱気泡質の非芳香族ポリマー材料が制御式に集まるように位置決めされる。
【0040】
また塑性変形を使用して、断熱気泡質の非芳香族ポリマー材料に折り目を形成して、カップ組立プロセスの最中に作業が行われいるときに材料の変形を制御するようにし得る。変形が存在する場合、変形によって形成されたボイド内に材料が存在しないことによって、変形箇所で容易に材料を折り畳むことを可能にする逃げ部を提供する。ここで図4Aおよび図5を参照して説明すると、断熱気泡質の非芳香族ポリマー材料の2つの部分602と604との間の例示的な接合部600は、境界面606を含む。境界面606は、部分602の表面608と部分604の表面610との間の接触面を含み、そこで、各表面が互いに接着して、部分602と604との間にシールおよび機械的インターロックを形成している。境界面は、各部分602および604の非芳香族ポリマー材料が互いに固定するように混ざり合ったメルトライン612を含む。
【0041】
部分602は、実例として、非芳香族ポリマー材料624に囲まれた気泡614の構造を含み、気泡614は、例えばCO2などのガスを含む発泡剤を包むように閉鎖している。ある個所616に圧力を加えると、気泡614のサイズが小さくなるために、気泡のサイズの小さい局所的な領域618、620、622が形成され、かつ非芳香族ポリマー材料624が流動して気泡614の形状を変更する。非芳香族ポリマー材料624の流動によって、例えば領域626および628などの変形されていない領域よりも、容積単位で多くの非芳香族ポリマー材料624が含まれることとなる。それゆえ、十分な荷重がかけられると、断熱気泡質の非芳香族ポリマー材料の厚さは薄くなり、かつ局所的な領域の密度が高くなる。
【0042】
場合によっては、塑性変形は、力と熱の組み合わせによって達成される。断熱気泡質の非芳香族ポリマー材料の加熱は、材料を変形させるために必要な力を少なくし得る。局所的な加熱は軟化を生じ、それにより、より少ない力で塑性流動が可能になって、望ましい永久歪みが達成される。これにより、断熱気泡質の非芳香族ポリマー材料の局所的な領域において、より薄く密度の高い材料を達成するための、気泡の変形が可能になる。
【0043】
例示的一実施形態では、本開示は、断熱気泡質の非芳香族ポリマー材料624に分散した独立気泡614を主に有する断熱気泡質の非芳香族ポリマー材料の帯条片652を提供し、これは、所与の材料厚さで、予想外の望ましい物理的特性を呈する。そのような特性は、例えば、断熱特性、強度/剛性特性、および耐穿孔特性を含む。例示的な材料は、例えば、断熱気泡質の非芳香族ポリマー材料シート、帯条片、チューブ、糸、ペレット、顆粒などの形態、または本明細書で説明するようなポリマーベースの配合物を、押出ダイを通して押し出す結果である他の構造で提供され得る。本明細書で説明するように、断熱気泡質の非芳香族ポリマー材料は、ニ軸延伸ポリプロピレンフィルム(すなわち、2つの異なる温度で行われる2つの連続的な延伸ステップを含む連続的な二軸延伸プロセスによって作製されたフィルム)と接続されて(mate)、積層シートならびにカップまたは断熱性容器、ラップ、巻きロール材料などの様々な最終生産物を確立し得る。
【0044】
図37に示す一実施形態では、シート650は、断熱気泡質の非芳香族ポリマー材料652と、フィルム658、インク層656、および接着剤層654を含むスキンとを含む。一例として、インク層656は、スキンを断熱気泡質の非芳香族ポリマー材料652に接着させる前に、フィルム658に印刷され得る。図37の例示的実施形態では、フィルム658はニ軸延伸ポリプロピレンフィルムを含む。
【0045】
図38に示す別の実施形態では、シート660はシート650と同様であるが、断熱気泡質の非芳香族ポリマー材料652の帯条片の両面に接着剤層654、インク層656、およびフィルム658を含む。他の実施形態では、1つまたは複数のインク層656を片面または両面で省略し得る。
【0046】
例示的実施形態では、断熱性カップは、断熱性の材料から形成される構成部品から組み立てられる。断熱性の材料は、頑丈で剛性の気泡質の非芳香族ポリマー構造を含む。断熱気泡質の非芳香族ポリマー材料は、圧力荷重下で塑性的に変形可能であるため、材料は圧力荷重の除去後に永久歪みを生じて、断熱性カップの形成を容易にする構造上の特徴を生み出す。一部の実施形態では、折り畳み時または変形時における材料の秩序正しい集まりが、断熱気泡質の非芳香族材料の構造によって容易となる。例示的実施形態では、断熱気泡質の非芳香族ポリマー材料は可撓性があり、材料を破損させずに、カップを氷点下温度で使用できるようにする。本明細書では、用語非芳香族ポリマーは、ポリマー鎖において芳香族環構造(例えば、フェニル基)を欠いているポリマーを指す。
【0047】
芳香族分子は、一般に、非芳香族分子と比べたときに高い疎水性を示す。その結果、ポリスチレンベースの断熱気泡ポリマー材料から、ポリプロピレンベースの断熱気泡ポリマー材料へ変更することにより、必ずしも予測可能でも望ましくもないが、得られる材料の表面吸着特性が変化することと併せて、疎水性が変化することが予想される。さらに、フェニル基に1つおきに炭素中心が付けられたポリスチレンの炭化水素鎖に起因して、隣接するフェニル基は、いわゆるπスタッキング(ポリスチレンおよび他の芳香族ポリマーの高い分子内強度(intramolecular strength)に寄与する機構である)で携わることができる。ポリプロピレンなどの非芳香族ポリマーに使用可能な、同様の機構はない。さらに、ポリスチレンとポリプロピレンの同様の化学反応性および耐化学性にもかかわらず、ポリスチレンは、製造時に熱硬化性または熱可塑性のいずれかとし得る一方、ポリプロピレンは、もっぱら熱可塑性である。その結果、表面吸着特性の範囲内において、ポリスチレンと同様の製造オプションおよび強度特性が模索され、ポリスチレンベースの断熱気泡ポリマー材料に適した代替物は、非芳香族ポリマーではなく別の芳香族ポリマーにおいて見出される。
【0048】
例示的実施形態では、断熱気泡質の非芳香族ポリマー材料を、断熱気泡質の非芳香族ポリマー材料にフィルムが積層された複合材シートにおける基材として、使用する。フィルムは、基材に積層される前に裏面印刷されるため、印刷はフィルムを通して見ることができ、フィルムは、印刷を覆う保護カバーを形成する。
【0049】
例示的実施形態では、断熱気泡質の非芳香族ポリマー材料は、1種以上のポリプロピレン材料をベース材料として含み得る。積層フィルムもポリプロピレンであるため、カップ全体が粉砕されて、同じプロセスにおいて再使用され得る。
【0050】
実例として、例示的な一実施形態では、断熱気泡質の非芳香族ポリマー材料は、ポリプロピレンベースとしてもよく、および(a)少なくとも1種の高溶融強度ポリプロピレン樹脂を含む第1の材料;(b)インパクトコポリマー(impact copolymer)および高結晶性ホモポリマーからなる群から選択された少なくとも1種のポリプロピレン樹脂を含む第2の材料;(c)少なくとも1種の核形成剤;(d)発泡剤;および(e)スリップ剤を含む組成物から形成され得る。
【0051】
例示的一態様では、ポリプロピレンベースの断熱気泡質の非芳香族ポリマー材料は、第1の材料すなわちベースポリマー樹脂として高溶融強度ポリプロピレンを含む。溶融強度、すなわち、張力実験における最大引落張力(drawdown force)は、線状ポリプロピレンには実質的に存在しない。しかしながら、溶融強度は、長鎖分岐が存在することによって著しく高くなる。長鎖分岐を含む、得られる高溶融強度ポリプロピレンは、形成プロセス、熱成形プロセス、および押出プロセスに必要な加工性と高溶融弾性のバランスをとる。
【0052】
好適な高溶融強度ポリプロピレンは、望ましいガス保持特性を有し、および断熱気泡質の非芳香族ポリマー材料に、望ましい気泡のサイズおよび滑らかな表面仕上げを与えるが、もしある場合には、容認可能な臭気も有する。好適な高溶融強度ポリプロピレン樹脂の例示的一例は、DAPLOY(商標)WB140ポリプロピレンホモポリマー(Borealis A/Sから入手可能)である:
【0053】
【表1】
【0054】
別の例示的態様では、ポリプロピレンベースの断熱気泡質の非芳香族ポリマー材料は、ベースポリマー樹脂と組み合わせて使用される二次ポリマー樹脂を含む。二次ポリマーは、例えば、インパクトポリプロピレンコポリマー、高結晶性ポリプロピレンホモポリマーなど、ならびにそれらの混合物とし得る。インパクトポリプロピレンコポリマーの例示的一例は、PRO−FAX SC204(商標)(LyndellBasell Industries Holdings、B.V.から入手可能)として市販されている樹脂である。例示的なホモポリマーは、限定されるものではないが、Braskemから入手可能なHomo PP−INSPIRE 222、およびBraskemからF020HCとして入手可能な高結晶性ポリプロピレンホモポリマーを含む。いくつかの異なる二次ポリマーを使用して、一緒に混合してもよい。
【0055】
いくつかの代替的な例示的な実施形態では、二次ポリマーは、ポリエチレン、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニルコポリマー、エチレン−エチルアクリレートコポリマー、エチレンーアクリル酸コポリマーおよび同様のポリマーとし得る。しかしながら、非ポリプロピレン樹脂材料の使用は、得られる断熱気泡質の非芳香族ポリマー材料のリサイクル性、断熱性、マイクロ波性(microwavability)、耐衝撃性、および/または他の特性に影響を及ぼし得る。
【0056】
別の例示的態様では、ポリプロピレンベースの断熱気泡質の非芳香族ポリマー材料は、少なくとも1種の核形成剤を含む。1種以上の核形成剤を使用して、核形成部位を提供しかつそれを制御し、押出プロセスの最中の溶融樹脂における泡すなわちバブル、ボイドまたは気泡の形成を促進する。好適な核形成剤は、望ましい粒径、アスペクト比、およびトップカット(top−cut)性を有する。例は、限定されるものではないが、タルク、CaCO3、マイカ、および上記の少なくとも2種類の混合物を含む。
【0057】
別の例示的態様では、ポリプロピレンベースの断熱気泡質の非芳香族ポリマー材料は、発泡剤を含む。発泡剤は、樹脂混合物にある気泡を膨張させるガスを取り込む。核形成剤は、比較すると、泡すなわちバブルが形成できる部位を提供することによって、気泡の形成を促進する。そのため、核形成剤と発泡剤が一緒に働いて、気泡形成剤を提供する。発泡剤は、溶融樹脂の気泡を膨張させることによって、密度を低下させるように作用する。発泡剤は、物理的変化を生じさせるものであっても、または化学薬品であってもよい。物理的変化を生じさせる発泡剤は、一般に、押出機にあるポートを介して溶融樹脂に取り込まれるガスである。ガス状発泡剤の代表例は、限定されるものではないが、二酸化炭素、窒素、ペンタン、ブタンまたは他のアルカン、ガスの混合物などを含む。あるいは、ガスは、R134aとしても公知の1,1,1,2−テトラフルオロエタンなどのハイドロフルオロカーボン、または他のハロアルカン冷媒とし得る。発泡剤の選択は、環境影響を考慮して行われ得る。
【0058】
化学発泡剤は特定の温度で品質低下するかまたは反応して、分解してガスを生成する。化学発泡剤は、吸熱性または発熱性とし得る。吸熱性化学発泡剤の例示的一例は、クエン酸またはクエン酸ベースの材料である。1つの代表例は、Hydrocerol(商標)CF−40E(商標)(Clariant Corporationから入手可能)である。化学発泡剤の追加的な例示的例は、限定されるものではないが、アゾジカーボンアミド;アゾジイソブチロ−ニトリル;ベンゼンスルホンヒドラジド(benzenesulfonhydrazide);4,4−オキシベンゼンスルホニルセミカルバジド(4,4−oxybenzene sulfonylsemicarbazide);p−トルエンスルホニルセミ−カルバジド;アゾジカルボン酸バリウム;N,N’−ジメチル−N,N’−ジニトロソテレフタルアミド(N,N’−dimethyl−N,N’−dinitrosoterephthalamide);トリヒドラジノトリアジン;メタン;エタン;プロパン;n−ブタン;イソブタン;n−ペンタン;イソペンタン;ネオペンタン;フッ化メチル;ペルフルオロメタン;フッ化エチル;1,1−ジフルオロエタン;1,1,1−トリフルオロエタン;1,1,1,2−テトラフルオロ−エタン;ペンタフルオロエタン;ペルフルオロエタン;2,2−ジフルオロプロパン;1,1,1−トリフルオロプロパン;ペルフルオロプロパン;ペルフルオロブタン;ペルフルオロシクロブタン;塩化メチル;塩化メチレン;塩化エチル;1,1,1−トリクロロエタン;1,1−ジクロロ−1−フルオロエタン;1−クロロ−1,1−ジフルオロエタン;1,1−ジクロロ−2,2,2−トリフルオロエタン;1−クロロ−1,2,2,2−テトラフルオロエタン;トリクロロモノフルオロメタン;ジクロロジフルオロメタン;トリクロロトリフルオロエタン;ジクロロテトラフルオロエタン;クロロヘプタフルオロプロパン;ジクロロヘキサフルオロプロパン;メタノール;エタノール;n−プロパノール;イソプロパノール;二酸化炭素;窒素;アルゴン;水;空気;窒素;ヘリウム;重炭酸ナトリウム;炭酸ナトリウム;重炭酸アンモニウム;炭酸アンモニウム;亜硝酸アンモニウム;N,N’−ジメチル−N,N’−ジニトロソテレフタルアミド;N,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミン;アゾジカーボンアミド;アゾビスイソブチロニトリル(azobisisobutylonitrile);アゾシクロヘキシルニトリル(azocyclohexylnitrile);アゾジアミノベンゼン(azodiaminobenzene);アゾジカルボン酸バリウム;ベンゼンスルホニルヒドラジド;トルエンスルホニルヒドラジド;p,p’−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド);ジフェニルスルホン−3,3’−ジスルホニルヒドラジド;カルシウムアジド;4,4’−ジフェニルジスルホニルアジド;およびp−トルエンスルホニルアジドを含む。
【0059】
別の例示的態様では、ポリプロピレンベースの断熱気泡質の非芳香族ポリマー材料は、スリップ剤を含む。スリップ剤は、樹脂混合物に添加されて、いわゆる目ヤニを減らすかまたはなくす、一般的クラスの材料を説明するために使用される用語である。スリップ剤材料の代表例は、脂肪または脂肪酸、例えばエルカミドおよびオレアミドを含む。2種類以上のスリップ剤の組み合わせを使用できる。
【0060】
実例として、ポリプロピレンベースの断熱気泡質の非芳香族ポリマー材料は、(a)少なくとも1種の高溶融強度ポリプロピレン樹脂を含む第1の材料を提供すること;(b)インパクトコポリマーおよび高結晶性ホモポリマーからなる群から選択された少なくとも1種のポリプロピレン樹脂を含む第2の材料を提供すること;(c)第1の樹脂と第2の樹脂を混合して樹脂混合物を形成すること;(d)樹脂混合物に少なくとも1種の核形成剤を添加すること;(e)樹脂混合物にスリップ剤を添加すること;(f)樹脂混合物に、発泡剤として不活性ガスを添加すること;(g)樹脂混合物を押し出して、内部に気泡を有する断熱気泡質の非芳香族ポリマー材料の混合物を形成すること;および(h)断熱気泡質の非芳香族ポリマー材料の混合物の帯条片を形成することを含むプロセスによって、断熱気泡質の非芳香族ポリマー材料シートとして形成され得る。
【0061】
例示的一態様では、断熱気泡質の非芳香族ポリマー材料シートとして形成された、例示的なポリプロピレンベースの断熱気泡質の非芳香族ポリマー材料の厚さは、約60ミル〜約80ミルの範囲とし得る。別の例示的態様では、断熱気泡質の非芳香族ポリマー材料シートとして形成された、例示的なポリプロピレンベースの断熱気泡質の非芳香族ポリマー材料の密度は、約0.15g/cm3〜約0.20g/cm3の範囲とし得る。断熱気泡質の非芳香族ポリマー材料は、カップ製造プロセス40において、局所的な塑性変形領域を有する断熱性カップ10を作製するために使用される。局所的な塑性変形領域は、断熱気泡質の非芳香族ポリマー材料を圧縮した結果のものとし得る。局所的な塑性変形領域は、約0.3g/cm3〜約0.4g/cm3の範囲の第1の密度を有する。局所的な塑性変形領域を囲む断熱気泡質の非芳香族ポリマー材料は圧縮されておらず、かつ約0.15g/cm3〜約0.20g/cm3の範囲の第2の密度を有する。
【0062】
図10および図11で提案するように、断熱気泡質の非芳香族ポリマー材料の密度は、材料の厚さの変化に反比例している。一例として、材料厚さが半分に減らされる場合、圧縮された領域の密度は、約2倍となる。
【0063】
別の例示的態様では、断熱気泡質の非芳香族ポリマー材料の帯条片として形成された、例示的なポリプロピレンベースの断熱気泡質の非芳香族ポリマー材料の、縦方向および横方向における引張強度は、それぞれ、約4.0MPa〜約7.0MPa、および約3.0MPa〜約6.0MPaの範囲とし得る。別の例示的態様では、断熱気泡質の非芳香族ポリマー材料の帯条片として形成された、例示的なポリプロピレンベースの断熱気泡質の非芳香族ポリマー材料の、縦方向および横方向における弾性係数は、それぞれ、約160MPa〜約240MPa、および約120MPa〜約170MPaの範囲とし得る。
【0064】
別の例示的態様では、断熱気泡質の非芳香族ポリマー材料の帯条片として形成された、例示的な断熱気泡質の非芳香族ポリマー材料は、方向性の伸長された卵形の形状の気泡を有し得る。別の例示的態様では、断熱気泡質の非芳香族ポリマー材料の帯条片として形成された、例示的なポリプロピレンベースの断熱気泡質の非芳香族ポリマー材料は、縦方向67において幅約0.0362インチ(0.92mm)×高さ0.0106インチ(0.27mm)の平均気泡寸法としてもよく、縦方向の気泡サイズのアスペクト比が約3.5となる。横方向の、すなわち縦方向67を直交する平均気泡寸法は、幅約0.0204インチ(0.52mm)×高さ約0.0106インチ(0.27mm)であり、横方向の気泡サイズのアスペクト比が1.94となる。その結果、発泡体の気泡のアスペクト比は、約1.0〜3.0である。別の例では、発泡体の気泡のアスペクト比は、約1.0〜約2.0である。
【0065】
断熱気泡質の非芳香族ポリマー材料の帯条片82を使用して断熱性カップ10を形成する。図1に示すように、断熱性カップ10は、例えば本体11および底面20を含む。本体11は、側壁18と、底面20に結合されて、底面20をスリーブ状の側壁18に対して静止位置に支持する底面マウント17とを含む。図3Cで提案するように、底面マウント17は、底面20に結合された底面保持フランジ26と、スリーブ状の側壁18の下端に結合されかつ底面保持フランジ26を囲むように配置されたウェブ支持リング126と、底面保持フランジ26とウェブ支持リング126を相互接続するように配置された接続ウェブ25とを含む。
【0066】
図7に示すように、底面保持フランジ26は、内表面26Aおよび外表面26Bを含む。内表面26Aは、台支持部材23の方に面するように配置され、かつ外表面26Bは、内表面26Aとは反対側に面するように配置される。底面保持フランジ26は、さらに、外表面26Bに形成された一連の離間した窪み518を含むように形成される。一例として、図12に示すように、各窪み518は、中心510から生じる半径線に重なる長手方向軸を有し、線形である。別の例では、窪みは、角度が付けられても、ダイアモンド形状でも、または1つ以上のこれらの組み合わせでもよい。
【0067】
図9B図10図11、および図14に、断熱気泡質の非芳香族ポリマー材料に窪み518を形成して得られる効果を示す。窪み518は表面26Bに形成され、かつ断熱気泡質の非芳香族ポリマー材料が永久歪みを生じて窪み518を形成するように断熱気泡質の非芳香族ポリマー材料が働くと、一部の気泡630が小さくなる。材料の流れの領域において材料624が流動して、気泡630の気泡壁632が薄くなる一方、スキン634はいくつかの領域において厚くなる。図10および図11の例示的実施形態では、窪み518を形成するツールが加熱されたため、材料624がある程度溶融し、それにより、肥厚領域634への流れが生じる。
【0068】
図1図2、および図3〜3Cに示すように、側壁18は、図16に示すカップ製造プロセス40の例示的な実施形態の最中に、側壁シーム34を含むように形成される。側壁18は第1の壁厚さT1を有し、これは、底部24および保持フランジ26の双方に存在する。側壁18は第2の壁厚さT2を有し、これは側壁シーム34に存在する。図6に示すように、厚さT2は、カップ製造プロセス40の最中に縁部(内側および外側タブ)514、512(図12参照)を圧縮した結果、厚さT1にほぼ等しい。その結果、各タブ514、512は、厚さT1、T2の約50%である第3の壁厚さT3を有する。接続ウェブ25も、カップ製造プロセス40の最中に圧縮した結果、例示的な第3の壁厚さT3を有する。一部の実施形態では、接続ウェブ25は、厚さT3以外の異なる厚さを有してもよい。例えば、接続ウェブ25の圧縮の程度は、縁部512および514の圧縮の程度と異なってもよい。同様に、縁部512および514の一方または他方の圧縮の程度は、適用条件に依存して、異なってもよい。
【0069】
別の例示的な実施形態では、側壁は、第1および第2の縁部の周りで圧縮されない。その結果、厚さT2は、厚さT1より厚くなり得る。圧縮を行わない一例では、厚さT2は、厚さT1の約2倍とし得る。
【0070】
別の例示的な実施形態では、縁部の一方だけを圧縮する。さらに、別の実施形態では、一方の縁部または両縁部の一部分を圧縮する。
【0071】
図3および図3Bに示すように、側壁シーム34は、ベース12に沿って上方にロール状の縁16まで続く。その結果、ロール状の縁16は、第1の縁寸法B1と、側壁シーム34に比較的同等の第2の縁寸法B2とを有する。縁における材料の厚さB3は、第1の壁厚さT1および第2の壁厚さT2の双方にほぼ等しい。図6に示すように、縁寸法B2は、カップ製造プロセス40の最中に第1および第2の縁部512、514を圧縮する結果、縁寸法B1にほぼ等しい。その結果、ロール状の縁16の各縁部512、514は、厚さB1、B2の約50%である第3の縁厚さB3を有する。
【0072】
第1および第2の縁部512、514を圧縮することによって、縁の幾何学的形状に関わらず、縁寸法B2を縁寸法B1に適合させることができる。下記でさらに詳細に説明するように、縁の形状は、他の実施形態における縁16の幾何学的形状から変化し得る。縁16は、飲むのに適した縁および密閉する縁の双方の機能を果たすように構成される。図6から分かるように、側壁18の内表面108は、点112において縁16の外径110に接線方向に交わる一方、外表面106は縁16で終端する。移行点112は、仮に使用者が断熱性カップ10から液体を飲む場合、縁16を越える液体の流れをこぼしたり中断したりせずに、液体の流れを滑らかに移行させる。ここで図6Aおよび図6Bを参照して説明すると、縁16はまた、蓋116の保持部114と協働する働きをし、液体シールによって蓋116を断熱性カップ10に固定するため、使用者は、蓋116と縁16との間に液体を逃がさずに、蓋116の飲み口118を使用し得る。保持部114は、縁16の直径の部分110に嵌って係合するため、蓋116のフランジ122が点120において直径110に係合して、蓋116を断熱性カップ10に対して密閉する。
【0073】
図32〜34においてロール状の縁の代替的な実施形態を開示し、および各実施形態はロール状の縁16の代替としてもよい。例えば、図32に示すロール状の縁16Aは、寸法X1、X2、およびX3がほぼ等しい一定の厚さの断熱気泡質の非芳香族ポリマー材料を有するが、縁の厚さB4は、断熱性カップ10の縁の厚さB1よりも厚い。より厚みのある縁の厚さB4は、縁16Aの内部空間900にクリアランスをもたらし、縁をロール状にする最中にクリアランスを与えることによって縁16Aの製造可能性を高める。
【0074】
図33に示すように、ロール状の縁16Bの壁厚さX1は、縁をロール状にするプロセスの最中に減少されて薄くされ、それにより、X2における減少、およびX3におけるさらなる減少をもたらす。縁16Bは、縁16Aよりも比較的製造するのが簡単であり、かつ縁の厚さB4とほぼ同じ縁の厚さB5の縁を提供するが、縁の高さB6は、B5よりも大きい。これにより、縁16Bの内部空間904に追加的な逃げ部をもたらす。縁16Bは、密閉のための追加的な接触域を提供するため、蓋と共に使用するのにより好適である。
【0075】
さらに別の実施形態では、図34に示すように、ロール状の縁16Cは中実の縁に近く、第1の壁寸法X1がX2まで減少され、X3においてさらに減少され、およびX4およびX5においてそれ自体の周りでロール状にされた状態である。加熱および/または圧縮することによって、縁16Cは、縁16Cの内部空間に逃げ部がないため、高剛性の中実の縁構造を提供する。そのような縁は、飲むために好適であり、かつスナップ嵌め式の蓋、例えば蓋116を使用中に適所に維持するのを支援する剛性をもたらす。図34の実施形態では、縁の厚さB7は、断熱性カップ10の縁の厚さB1にほぼ等しい。
【0076】
図16〜20で提案するように、側壁18は、カップ製造プロセス40の最中に本体ブランク500を使用して形成される。本体ブランク500は、断熱気泡質の非芳香族ポリマー材料の帯条片、図16に示しかつ下記でさらに詳細に説明するような積層シート80、または印刷済みの断熱気泡質の非芳香族ポリマー材料の帯条片から作製され得る。ここで図12および図13を参照して説明すると、本体ブランク500は、第1の面502および第2の面504(図12参照)を備え、全体的に平面的である。本体ブランク500は、第1の縁部506を規定する外弧の長さS1および第2の縁部508を規定する内弧の長さS2を備える円形のリングセクタとして供される。弧の長さS1は、相対角(subtended angle)Θ(ラジアン)×軸510から縁部506までの半径R1によって規定される。同様に、内弧の長さS2は、相対角Θ(ラジアン)×半径R2として規定された長さを有する。R1−R2の差は、2つの線形縁部512および514の長さである長さhである。R1、R2およびΘの変化は、断熱性カップ10のサイズの変化を生じ得る。第1の線形縁部512および第2の線形縁部514は、各々、中心510から生じるそれぞれの半径線に位置する。それゆえ、本体ブランク500は2つの平面的な側面502および504、ならびに4つの縁部506、508、512、および514を有し、それらが本体ブランク500の境界を規定する。縁部512および514は、下記で説明するような処理に対応しかつそれら加工を有し得る。
【0077】
折り目516は、中心510と折り目516との間で測定された半径R3を有し、および折り目516は長さS3を有する。図12に示すように、R1は、R3よりも相対的に長い。R3は、R2よりも相対的に長い。R1と、R2と、R3との差は、適用に依存して変化し得る。
【0078】
図12に示す折り目516は、本開示に従って塑性的に変形されて(圧力を加えることによって−熱を加えてまたは熱を加えずに)永久歪みを誘発し、密度を高くしかつ厚さを薄くした局所的な領域を生じた、断熱気泡質の非芳香族ポリマー材料の帯条片の選択された領域である。図12に示すように、折り目516における断熱気泡質の非芳香族ポリマー材料の厚さは、約50%薄くされている。さらに、ブランクは、アーチ形縁部508と折り目516との間にいくつもの窪み518またはリブ518が位置決めされるように形成されており、窪み518が、表面531に不連続性を形成している。各窪み518は、中心510から生じる半径線に重なる長手方向軸を有する線形である。上述の通り、窪み518は、底面保持フランジ26を秩序正しく形成するのを促す。折り目516における厚さの薄い断熱気泡質の非芳香族ポリマー材料は、最終的に例示的な断熱性カップ10における接続ウェブ25の機能を果たす。上述の通り、接続ウェブ25は、底面保持フランジ26を内部領域14の方へ内側に折ることを促す。例示的な本体ブランク500を作製するために使用される断熱気泡質の非芳香族ポリマー材料の性質ゆえに、圧力を加えることにより−熱を加えてまたは熱を加えずに−折り目516および窪み518において材料の厚さを薄くすることによって、局所的に厚さが減少した箇所の断熱気泡質の非芳香族ポリマー材料の密度が高くなる。
【0079】
図13に示すように、各窪み518は、それぞれの隣接する窪みから第1の距離551離間している。例示的例では、第1の距離551は約0.067インチ(1.7018mm)である。各窪み518はまた、第1の幅552を有するように構成される。例示的例では、第1の幅552は約0.028インチ(0.7112mm)である。各窪み518はまた、折り目516から第2の距離553離間している。例示的例では、第2の距離553は約0.035インチ(0.889mm)である。
【0080】
窪み518および折り目516は、本体ブランク500を、断熱気泡質の非芳香族ポリマー材料の帯条片、積層シート80、または印刷済みの断熱気泡質の非芳香族ポリマー材料の帯条片から裁断するダイによって形成され、かつこのダイは、パンチまたは突出部を含むように形成され、これらパンチまたは突出部は、裁断プロセスの最中に、特定の箇所において本体ブランク500の厚さを減少させる。裁断および厚さ減少ステップは、図17で提案するように別々に実施できる、同時に実施できる、または複数のステップを使用して材料を形成し得る。例えば、漸進的なプロセスでは、第1のパンチまたは突出部を使用して、第1の圧力荷重を加えることによって、厚さを、第1の量、低下させる。その後、第1の圧力荷重を上回る第2の圧力荷重で第2のパンチまたは突出部を適用できる。代替例では、第2の圧力荷重において第1のパンチまたは突出部を適用できる。任意の数のパンチまたは突出部が、適用に依存して様々な圧力荷重で適用され得る。
【0081】
図7〜11に示すように、窪み518は、台支持部材23および水平台21を支持する底面保持フランジ26を制御式に集めることを可能にする。底面保持フランジ26は、折り目516の辺りで曲がって受け溜め27を形成し、折り目516は接続ウェブ25を形成する。窪み518に材料がないことによって、断熱気泡質の非芳香族ポリマー材料が底面保持フランジ26に形成される際に、逃げ部を提供する。この制御式に集めることを、逃げ部のない材料がより寸法の小さい構造に形成されるときに発生する材料の束と比較できる。例えば、伝統的な紙カップでは、保持フランジのタイプは、制御されずに集められるために、不連続面を有する。そのような表面は、通常二次作業工程で作業され、許容可能な見た目の面を提供するようにするか、または制御されない集まりは、さらに加工されることなく、劣った外観のままにされる。断熱気泡質の非芳香族ポリマー材料が、圧力を加えること(熱を加えてまたは熱を加えずに)に応答して、局所的なゾーンにおいて塑性変形の影響を受けやすく、優れた外観を達成するという点で、本開示による窪み518を形成する手法は本開示の断熱気泡質の非芳香族ポリマー材料の利点である。
【0082】
再度図35および図36の実施形態を参照して説明すると、カップ710は断熱性カップ10と同様であるが、カップ710は、断熱性カップ10の表面26Aに対応する表面726Aに形成された窪み718を備えて形成される。表面726Aに形成されている窪み718は、滑らかで連続した表面726Bを残す。ここで図7Aおよび図8を参照すると、カップ710が組み立てられるときの非芳香族ポリマー材料624の厚くなった部分および薄くなった部分ならびに気泡614の歪みを示すように撮影された、保持フランジ726および底部724と底面リング723の相互作用を示す。
【0083】
製造方法の例示的一例として、断熱性カップ10は、図16〜20に示すようなカップ製造プロセス40に従って作製される。図16および図17に示すように、積層シート80は、積層段階44においてロール78からスキン84が積層される断熱気泡質の非芳香族ポリマー材料の帯条片82で形成された複合材である。積層シート80のロール86はカップ形成段階45に供給される。図16に示すように、カップ形成段階45は、実例として、本体ブランク形成ステップ451、任意選択的な本体ブランクアニーリングステップ451a、カップベース形成ステップ452、および縁形成ステップ453を含む。図17に示すように、本体ブランク形成ステップ451では、積層シート80を使用して本体ブランク92を作製する。図18に示すように、カップベース形成ステップ452では、底面ブランク90を形成するための別の積層ロール86によって提供された別の積層シート80と共に側壁ブランク92を使用し、側壁18を形成して、側壁18を底面20に接合してベース12を確立する。図19で提案するように、縁形成ステップ453では、ベース12の上部22をロール状にして、ベース12にロール状の縁16を形成する。
【0084】
断熱気泡質の非芳香族ポリマー材料の帯条片82を含む積層シート80の予想外の特性は、断熱性カップ10などの丸みのある物品を形成するように曲げたときに、著しく滑らかで、折り目やしわのない表面を形成する能力である。表面106は、表面108のように滑らかでしわがない。本開示の表面106および108の滑らかさは、カップ製造プロセス40の最中に伸展力および圧縮力を受けるときに自然に生じる折り目またはしわの深さが、ほとんどの場合100ミクロン未満、さらには5ミクロン未満であることである。10ミクロン未満では、折り目またはしわは裸眼では見えない。
【0085】
本開示を進める間に、断熱性カップ10の外周が、押し出された断熱気泡質の非芳香族ポリマー材料82の縦方向67と位置合わせされる場合、深さが200ミクロンを超える深い折り目が、一般に表面108に形成されることが分かった。予想外にも、図16に示すように断熱性カップ10の外周が縦方向67にほぼ垂直に位置合わせされる場合、表面108に深い折り目は形成されず、断熱性カップ10の形成中、押し出された断熱気泡質の非芳香族ポリマー材料82の縦方向67に対する横方向66は、圧縮力に耐性があることを示すことが分かった。これは、押し出された断熱気泡質の非芳香族ポリマー材料82のポリマー鎖の向きの結果であり、ポリマー鎖は、縦方向67に向けられ、かつ縦方向においてより密集していると考えられる。
【0086】
図17に示すように、本体ブランク形成ステップ451は、積層ロール装填ステップ4511、任意選択的なアニーリングステップ4511a、圧縮ステップ4512、裁断ステップ4513、スクラップを収集するステップ4514、およびブランクを積み重ねるステップ4515を含む。積層ロール装填ステップ4511では、積層ロール76を、ダイカット機またはメタルオンメタルスタンピングマシン(metal−on−metal stamping machine)などの裁断機上に装填する。その結果、積層シート80は、裁断機に引き込まれて加工される。任意選択的なアニーリングステップ4511aでは、積層シート80が裁断機を移動するときにそれを加熱するため、積層シート80の非芳香族ポリマー構造の応力が解放されて、断熱性カップ10の表面106および108の折り目およびしわを減少させる。圧縮ステップ4512では、積層シート80の各部分を圧縮して圧縮シートを形成する。一例として、圧縮ステップ4512では、図12に示すような折り目516および窪み518を形成する。裁断ステップ4513では、圧縮シートを裁断して、ブランクキャリアシート94から本体ブランク92を切り取る。スクラップを収集するステップ4514では、裁断ステップ4513の完了後にブランクキャリアシート94を収集して、ブランクキャリアシート94をリサイクルし得る。ブランクを積み重ねるステップ4515では、各本体ブランク92を積み重ねて、図19に示すようなカップベース形成ステップ452で使用するための本体ブランクスタック95を形成する。
【0087】
図18に示すように、カップベース形成ステップ452は、本体ブランク装填ステップ4521A、本体ブランクを加熱するステップ4522A、本体ブランクを巻き付けるステップ4523A、側壁を形成するステップ4524A、積層ロール装填ステップ4521B、底面ブランクを裁断するステップ4522B、底面を付形するステップ4523B、底面を加熱するステップ4524B、本体を加熱するステップ4525A、本体を巻き付けるステップ4526、および底面シーム形成ステップ4527を含む。本体ブランク装填ステップ4521Aでは、さらに加工するために本体ブランクスタック95をカップ成形機に装填する。本体ブランクを加熱するステップ4522Aでは、本体ブランク92に熱96を加える。本体ブランクを巻き付けるステップ4523Aでは、加熱された本体ブランク92を、カップ成形機に含まれるマンドレルの周りに巻き付ける。側壁を形成するステップ4524Aでは、カップ成形機に含まれる主および補助シームクランプを使用して側壁18の各部分を圧縮することによって、側壁18を形成する。主および補助シームクランプは局所的な圧縮をもたらし、これにより、図4に示すように、厚さT2を有する側壁18のある部分と、厚さT1を有する別の部分とをもたらす。例として、厚さT2は、厚さT1にほぼ等しい。
【0088】
積層ロール装填ステップ4521Bでは、別の積層ロール76をカップ成形機に装填して、積層シート80をカップ成形機に引き込んで加工するようにする。底面ブランクを裁断するステップ4522Bでは、積層シート80を裁断して、ブランクキャリアシート94から底面ブランク90を切り取る。その後、ブランクキャリアシート94が収集されてリサイクルされ得る。底面を付形するステップ4523Bでは、底面ブランク90をカップ成形機のマンドレルに挿入することによって底面20を形成する。底面を加熱するステップ4524Bでは、本体を加熱するステップ4525Aで側壁18に熱96を加えるのと同時に、底面20に熱96を加える。本体を巻き付けるステップ4526では、底面20の台支持部材23の周りに支持構造19を巻き付ける。底面シーム形成ステップ4527では、底面20および側壁18を圧縮して、底面20と側壁18との間に底面シームまたはシールを確立して、ベース12を確立し、図19に示すような縁形成ステップ453の準備が整う。
【0089】
カップベース形成ステップ452では、有利には、熱成形プロセスと比較すると、側壁18の厚さT1を維持する。熱成形プロセスにおいて断熱気泡質の非芳香族ポリマー材料を加熱してマンドレル上で加工するのではなく、得られるカップの壁の各部分を薄くし、かつその断熱特性および構造特性を潜在的に低下させることから、カップベース形成ステップ452は、側壁18全体を溶融温度にさらす必要のない組立プロセスである。これは、側壁18の厚さT1における一貫性を維持し、それにより、深絞り熱成形プロセスを行う器と比較して、一貫して優れた断熱特性を維持するという利点をもたらす。
【0090】
図19に示すように、縁形成ステップ453は、カップベースを移送するステップ4531、任意選択的な上部を潤滑にするステップ4532、上部を加熱するステップ4533、および上部をロール状にするステップ4534を含む。カップベースを移送するステップ4531では、ベース12をカップベース成形機から縁成形機へ移送する。上部を潤滑にするステップ4532では、ベース12の上部22を潤滑にする。上部を加熱するステップ4533では、ベース12の上部22に熱96を加える。上部をカールさせるステップ4534では、内部領域14から離れるように上部22をカールさせてロール状の縁16を確立し、断熱性カップ10を形成する。
【0091】
図20に示すように、カップ梱包段階46は、漏れ検査ステップ461、カップを積み重ねるステップ462、およびカップを梱包するステップ463を含む。漏れ検査ステップ461では、縁形成ステップ453の最中に形成された各断熱性カップ10を漏れに関し検査する。漏れ検査に不合格となるカップは、断熱気泡質の非芳香族ポリマー材料からそれらのカップを形成するゆえに、収集されてリサイクルされる。漏れ検査に合格するカップは、カップを積み重ねるステップ462において積み重ねられて、断熱性カップのスタック98を形成する。図20に示すように、カップを梱包するステップ463では、保管、使用、または輸送のために断熱性カップのスタック98を保管する。
【0092】
上記では、圧力荷重(熱を加えてまたは熱を加えずに)にさらされて塑性変形の影響を受けて、本開示の断熱気泡質の非芳香族ポリマー材料が永久歪みを生じる材料の能力を説明したが、図21および図22に、本体ブランク800の別の実施形態を示す。本体ブランク800は、2つの薄くされた領域802および804が本体ブランク800に形成されて、縁16などの縁がカップでロール状にされる際に材料の重なった部分に逃げ部を提供するときに、開示の断熱気泡質の非芳香族ポリマー材料の特性を利用する。本体ブランク800は、薄くされた領域802および804が追加された状態で、本体ブランク500と同様である。図21に示すように、領域802および804は厚さが約50%薄くされているため、カップが本体ブランク800から形成される際に、領域802および804が重なり合う縁の厚さは、重なり合っていない領域とほぼ同じである。
【0093】
別の実施形態では、図23および図24に示すように、本体ブランク820は、本体ブランク820の線形の辺826および828に沿って薄くされた領域822および824を含む。薄くされた領域822および824は、厚さが約50%だけ薄くされているため、カップ製造プロセス40の最中に薄くされた領域822および824が重なり合うと、重なり合ったシームの厚さは、壁ブランク820から形成されたカップの側壁の残りの部分とほぼ同じである。
【0094】
さらに別の実施形態では、図25〜27に示すように、カップ830は、いくつものリブ834を含むように形成された側壁832を含み、これらリブは、側壁832の薄くされた領域838から延在する。本体ブランク836は、領域838、840、842、および844において薄くされているため、リブ834は、薄くされた領域838、840、842、および844から離れるように延在する。リブ834は、カップ830を保持する使用者の手と側壁832の残りの部分との間に空隙または空間をもたらし、接触面積を小さくする。リブ834はまた、カップ830に配置されたスリーブ(図示せず)によって接触され、薄くされた領域838、840、842、および844とスリーブとの間に空隙をもたらして、使用者の手に対し断熱し得る。
【0095】
さらに別の実施形態では、図28に示すカップ850は、図29に示す壁ブランク856の各部分を、図30および図31で提案するように変位させることによって側壁854に形成されたリブ852を含む。先の実施形態では、断熱気泡質の非芳香族ポリマー材料は、塑性的に変形されて永久歪みを形成して、厚さを薄くされた。例示的なカップ850では、断熱気泡質の非芳香族ポリマー材料の帯条片が圧力荷重の作用を受けて、図30および図31で提案するように材料が移動するように作用するときに、材料が荷重から逃れて移動し、断熱気泡質の非芳香族ポリマー材料の帯条片は、一面に窪み864をおよび対向する面に突出するリブ852を形成するように変形する。断熱気泡質の非芳香族ポリマー材料の帯条片は変形して、領域858のある部分はある程度薄くなる一方、変位された壁860の厚さは側壁854の厚さ862とほぼ等しいままである。突出部852は、カップ830に関して上述のリブ834と同様の目的を果たす。突出部852の利点は、側壁854の厚さはほぼ一定のままであるが、壁の厚さ全体の断熱特性およびリブの利点を提供し続けることである。
【0096】
本明細書で説明する実施形態は、未加工の断熱気泡質の非芳香族ポリマー材料、または本明細書で説明するような断熱気泡質の非芳香族ポリマー材料を使用する複合材を任意に変形して形成し得る。これは、片面または両面をポリマーフィルムで積層する実施形態を含む。
【0097】
カップ形成プロセスの別の例示的な実施形態では、上記で説明したカップ製造プロセス40は、基材にフィルム層を積層しないことによって、修正される。その結果、フィルム層を完全に省略して、断熱気泡質の非芳香族ポリマー材料の層に直接印刷を行ってもよい。
【0098】
本開示の材料はまた、他の構造に巻き付けることができる変形可能なシートに形成し得る。例えば、この材料のシートは、断熱性を高めるために、パイプ、導管または他の構造の周りに形成されて巻き付けられ得る。
【0099】
本開示の例示的な実施形態による断熱気泡質の非芳香族ポリマー材料で形成された断熱性カップの潜在的な特徴は、カップの、材料の無駄が少ないことである。さらに、本開示の材料は、従来の台所タイプの電子レンジからの熱を、数分までの期間受けるときに、著しく排ガス量を低くし得る。
【0100】
本開示による断熱気泡質の非芳香族ポリマー材料で形成された断熱性カップの別の潜在的な特徴は、顕著な構造上のまたは材料の破壊や材料特性への悪影響なく、カップを従来の住宅用または市販の食洗機の洗浄サイクル(上部ラック)に配置してかけることができる。これは、同様の洗浄プロセス下で破壊し得るビーズの発泡ポリスチレンカップまたは容器と比較される。従って、本開示の一態様に従って作製されるカップは、洗浄して再使用できる。
【0101】
本開示の様々な態様に従って断熱気泡質の非芳香族ポリマー材料で形成された断熱性カップの別の潜在的な特徴は、断熱性カップおよびスクラップ材料をリサイクルできることである。リサイクル可能は、材料の構成成分を分離させずに、材料を押出または他の形成プロセスに戻す(粉砕再生材料など)ことができることを意味する。一例として、断熱気泡質の非芳香族ポリマー材料で形成された断熱性カップは、押出プロセスに再び入れる前に、1種以上の材料または構成成分を除去する操作を行う必要がない。
【0102】
別の例では、断熱気泡質の非芳香族ポリマー材料の外面に印刷済みのフィルムスキンが積層されたシートから形成された断熱性カップは、断熱性カップが粒子に粉砕される前に、フィルム層を切り離す必要がない場合、リサイクル可能とし得る。対照的に、紙が巻き付けられた発泡ポリスチレンカップは、リサイクル不可能とし得る。なぜなら、ポリスチレン材料は、カップの材料が別の生産物に形成される可能性があっても、発泡ポリスチレンカップの形成において材料として使用することが現実的にできないためである。
【0103】
別の例として、印刷済みのフィルムの層が接着された非発泡ポリスチレン材料から形成された断熱性カップは、リサイクル不可能とみなされ得る。なぜなら、フィルム層を分離する必要があり、これは、粉砕再生材料の一部として押出プロセスに投入するのに望ましくないためである。本開示の断熱気泡質の非芳香族ポリマー材料を使用して形成される物品のリサイクル性は、生み出されるごみの量を最小限にする。比較すると、それゆえ、ビーズに分解されるビーズの発泡ポリスチレンカップは、通常、物品が形成されたのと同じ材料を用いる製造プロセスにおいて、容易には再使用できない。さらに、一般に、液体抵抗のために押出被覆のプラスチック層またはプラスチックの積層を有する紙カップは、通常、リサイクルできない。なぜなら、異なる材料(紙、接着剤、フィルム、プラスチック)は、通常、商用のリサイクリング作業では現実的に分離できないためである。
【0104】
本開示の一態様(非積層プロセス)による断熱気泡質の非芳香族ポリマー材料で形成された断熱性カップの潜在的な特徴は、断熱気泡質のポリプロピレンシートの壁表面の外側(または内側またはそれら双方)(用いられる製造プロセスに依存して、断熱性カップに形成される前、またはカップ形成の最中)は、高解像度のグラフィックスの印刷に対応できる。対照的に、ビーズの発泡ポリスチレンカップの表面は、一般に、低解像度のグラフィックス以外の印刷に対応するほど十分に滑らかではない。ビーズの発泡ポリスチレンカップのように、被覆されていない紙カップの表面も、一般に、そのような高解像度のグラフィックスに十分な滑らかさではない。紙カップは、断熱性レベルに達するのが困難であり、および断熱性を達成するように、紙カップに組み込まれてまたは関連付けられて設計された空隙を必要とする。そのような設計の空隙は、紙カップの一部分上にわたって摺動するスリーブによって、もたらされ得る。
【0105】
本開示の一態様による断熱気泡質の非芳香族ポリマー材料で形成された断熱性カップの潜在的な特徴は、剛性で測定すると予想外の強度を持つことである。剛性は、室温および高温(例えば、カップを熱い液体で満たすことによって)で行われる測定であり、材料の剛性を測定する。カップ材料の強度は、使用者がカップを取り扱うときのカップの変形を最小限にするために重要である。
【0106】
本開示による断熱気泡質の非芳香族ポリマー材料で形成された断熱性カップの潜在的な特徴は、断熱性カップが、下記で説明するように、標準的な衝撃試験で測定されるように、例えばストロー、フォーク、スプーン、指の爪などによる穿孔に耐性があることである。試験材料は、ビーズの発泡ポリスチレンカップと比較したときに、実質的により高い耐衝撃性を実証した。その結果、本開示による断熱性カップは、穿孔および熱い液体の漏れの可能性を最小限にし得る。
【0107】
本開示の断熱性カップ10は、断熱性能、リサイクル性への備え、高品質のグラフィックス、耐化学性、耐穿孔性、耐破砕性(frangibility resistance)、耐汚染性、マイクロ波性、および上記で説明するような飲料カップの内部領域に保管される生産物への望ましくない物質に関する耐浸出性の特徴の全てではないが多くを含む、器に対する長年のニーズを満たす。他のものは、添付の特許請求の範囲にある通りのこれらの特徴の組み合わせを達成する器の提供に失敗した。この失敗は、多くの特徴が、競合する設計選択に関連付けられている結果である。一例として、他のものは、断熱されてはいるものの、耐穿孔性が劣り、マイクロ波性がなく、かつ内部領域に保管された生産物に望ましくない物質を浸出させる、設計選択に基づいた器を形成した。比較すると、断熱性カップ10は、断熱気泡質の非芳香族ポリマー材料を使用することによって、他のものの失敗を打開している。本書において、そのような断熱気泡質の非芳香族ポリマー材料に関連する開示のための2012年6月7日出願の米国特許出願第 号明細書(POLYMERIC MATERIAL FOR AN INSULATED CONTAINER)を参照し、この出願全体を本書に援用する。
【実施例】
【0108】
実施例
以下の実施例は、説明のためのものにすぎない。そのような実施例に現れる部およびパーセンテージは、別段の定めがある場合を除き、重量によるものである。参照されるASTM、ISO、および他の標準的な試験方法の引用、および本開示で参照する他の試験法は全て、それら全体が本書に援用される。
【0109】
実施例1−配合および押出
DAPLOY(商標)WB140 ポリプロピレンホモポリマー(Borealis A/Sから入手可能)をポリプロピレンベースの樹脂として使用した。Braskemから入手可能なF020HCのポリプロピレンホモポリマー樹脂を二次樹脂として使用した。これら2種類の樹脂を:一次核生成剤としてHydrocerol(商標)CF−40E(商標)、二次核生成剤としてタルク、発泡剤としてCO2、スリップ剤、および着色剤として二酸化チタンとブレンドした。パーセンテージは以下の通りであった:
79.9% 一次樹脂:高溶融強度ポリプロピレン Borealis WB140 HMS15%
二次樹脂:F020HC(Braskem)
0.1% 一次核形成剤:Clariant Hyrocerol CF−40E(商標)
2% 二次核形成剤:タルク
1% 着色剤:TiO2 PE(あるいは、PPを使用できる)
2% スリップ剤:Ampacet(商標) 102823 LLDPE(線状低密度ポリエチレン)、Ampacet Corporationから入手可能
【0110】
配合物は、押出機ホッパーに加えられた。押出機は配合物を加熱し、溶融樹脂混合物を形成した。この混合物に、以下のものが添加された:
1.1ポンド/時でCO2
0.7ポンド/時でR134a
【0111】
R134aと共に二酸化炭素を樹脂ブレンドに注入し、樹脂を膨張させ、かつ密度を低下させた。そのように形成された混合物を、ダイヘッドを通してシートに押し出した。その後、シートを裁断して、カップに形成した。
【0112】
実施例1−試験結果
実施例1に従って形成された材料の試験結果は、材料の密度が0.1902g/cc、および公称シートゲージが0.089インチであったことを示した。
【0113】
マイクロ波性
この材料を使用して作製され、12オンスの室温の水で満たされた容器は、燃焼したり、焼けたりまたはカップに他の目に見える影響がない状態で、FISO Microwave Station(1200ワット)の電子レンジで2.5分間加熱された。比較すると、同じ電子レンジで加熱された紙カップは、90秒未満で焼けたかまたは燃焼した。
【0114】
剛性
試験方法
サンプルは、73°Fおよび50%の相対湿度にあった。カップのスチフネス/剛性試験では、荷重計を含む水平力ゲージによって、以下の試験条件にさらされたときのカップの耐性の測定を実施した:(a)カップの試験箇所は、カップのへりから1/3下方であった。(b)試験する移動距離は、1/4インチである。(c)試験する移動時間は10秒であった。
【0115】
試験結果
平均壁厚さ0.064インチ、平均密度0.1776g/cc、および平均カップ重量9.86gの場合の材料の剛性を、下記の表1〜2に示す。
【0116】
【表2】
【0117】
【表3】
【0118】
【表4】
【0119】
断熱性
試験方法
以下の典型的な工業カップ断熱性試験方法を使用した:
・接着剤で(カップ外面)表面温熱電対をカップに取り付ける。
・取り付けられた熱電対をカップにセロハンテープで貼り付けて、熱電対を、シームに対向するカップの中央にする。
・電子レンジなどで水または他の水性液体をほぼ沸騰するまで加熱する。
・液体の温度を観察しながら熱い液体を球温度計で継続的に撹拌する。
・熱電対の温度を記録する。
・液体が200°Fになったら、カップにほぼ満杯になるまで注ぐ。
・カップに蓋を載せる。
・表面温度を最低でも5分間記録する。
【0120】
上述の配合物から形成されたカップは、密度0.1902g/cm3および壁厚さ0.089インチ(2.2606mm)を有して使用された。200°F(93.3℃)の熱い液体をカップに入れた。
【0121】
試験結果
カップの外壁で測定した温度は、約140.5°F(60.3℃)であった、すなわち、59.5°F(33℃)低下していた。5分間の期間にわたって、最高温度は、140.5°F(60.3℃)でピークを観察した。
【0122】
温度が低いほど、材料が液体からカップ材料の外面への熱伝達を低下させているため、カップ材料の断熱特性は良好である。
【0123】
壊れやすさ
壊れやすさは、破砕の原因となる引裂または穿孔に対する耐性と定義できる。
【0124】
試験方法
ASTM D1922−93に説明されているエルメンドルフ試験方法を使用した。引裂の半径は1.7インチであった。
【0125】
試験結果
試験結果は、下記の表3〜4に示す。本開示の例示的な一実施形態において形成されたような材料は、EPSと比較したときの引裂力に対する耐性が優れている。
【0126】
【表5】
【0127】
【表6】
【0128】
EPSに関する横断方向試験のデータは得られなかったことに留意されたい。なぜなら、EPSは、それ自体が材料の向き、すなわち、縦方向または横断方向を有しないためである。本開示の試験材料のレンジ(低いレンジ=平均−(3×標準偏差);高いレンジ=平均+(3×標準偏差)として計算される)は、縦方向において213−351g−f、および横断方向において143−281g−fであった。比較すると、試験された発泡ポリスチレン材料のレンジは、103−121g−fであった。
【0129】
耐穿孔性
試験方法
カップ側壁および底部を穿孔するのに必要な力および移動距離を決定する。10インチ/分の移動速度に設定された圧縮モードにおいて、Instron機器を使用する。Instronのベース上のカップ穿孔試験装置を使用する。この試験装置は、カップを、Instron試験機の移動方向に垂直な最も外側の面を有するカップの内側に適合する形状に上側から適合させることを可能にする。試験装置の1インチの直径の穴を、上方に位置決めする必要がある。Instronの動く部分は、0.300インチ(7.62mm)直径のパンチを備える必要がある。穴付きパンチは、試験装置に整列している。カップは、試験装置に置かれ、かつカップ側壁を穿孔するのに必要な力および移動距離を記録する。側壁穿孔試験を3つの等間隔の位置で繰り返す一方、カップのシームには穿孔試験を行わない。カップの底部を試験する。これは、試験装置を使用しないことを除いて、側壁試験と同じ方法で行う必要がある。カップは、パンチをカップの底部の中心に下げる間、Instronのベースにちょうど逆さまにして置く。
【0130】
試験結果
典型的な側壁穿孔および底部の穿孔の力曲線および図を、下記の表5に示す。
【0131】
【表7】
【0132】
緩慢な穿孔−ストロー
試験方法
本開示の例示的な一実施形態において形成されたような材料は、ASTM D−3763−86に説明されているような緩慢な穿孔に対する耐性の試験方法を使用してEPSと比較するとき、穿孔に対する耐性が優れている。試験結果を下記の表6〜9に示す。
【0133】
【表8】
【0134】
【表9】
【0135】
【表10】
【0136】
【表11】
【0137】
実施例2−配合および押出
以下の配合を使用した:
81.70% Borealis WB140HMS 一次ポリプロピレン
0.25% Amco A18035 PPRO タルク充填濃縮物
2% Ampacet 102823 Process Aid PE MB 線状低密度ポリエチレンスリップ剤
0.05% Hydrocerol CF−40E 化学発泡剤
1% Colortech 11933−19 着色剤
15% Braskem F020HC 高結晶性ホモポリマーポリプロピレン
3.4 ポンド/時でCO2が溶融樹脂に投入された。
形成されたシートの密度は、0.155〜0.182g/ccの範囲であった。
【0138】
配合物を押出機ホッパーに加えた。押出機は配合物を加熱して、溶融樹脂混合物を形成した。この混合物にCO2を添加して、樹脂を膨張させ、かつ密度を低下させた。そのように形成された混合物を、ダイヘッドを通して帯条片に押し出した。その後帯条片を裁断してカップに形成した。
【0139】
実施例2−試験結果
剛性
試験方法
試験方法は、実施例1の剛性試験の説明と同じである。
【0140】
試験結果
剛性試験結果を下記の表10に示す。
【0141】
【表12】
【0142】
断熱性
試験方法−壁の温度
上述の配合物から形成されたカップは、密度0.18g/cm3および壁厚さ0.074インチ(1.8796mm)を有して使用した。200°F(93.3℃)の熱い液体をカップに入れた。
【0143】
試験結果
カップの外壁で測定した温度は、約151°F(66.1℃)であった、すなわち、49.0°F(27.2℃)低下していた。5分間の期間にわたっての最高温度は、151°F(66.1℃)でピークが観察された。
【0144】
熱伝導率の形態の断熱性試験を行った。
【0145】
熱伝導率
試験方法
この試験は、周囲温度および93℃で測定したバルク熱伝導率(W/m−K)を測定する。ISO/DIS 22007−2.2の試験方法を用い、かつ低密度/高断熱性オプションを使用して、ThermTest TPS 2500 S Thermal Constants Analyzer機器を使用した。Kapton(登録商標)断熱材を備えるTPSセンサー#5501(半径6.403mm)を全測定に使用した。0.02ワットの電力を使用して20秒間の試験を行った。点100〜200を使用するデータを報告した。
【0146】
試験結果
試験結果を下記の表11に示す。
【0147】
【表13】
【0148】
本開示は、容器に関する。非限定的な説明のみのために、例示的な実施形態においてカップを説明している;しかしながら、容器は、任意の様々な考えられる器の形状または構造において、または例えば限定されるものではないが、従来の飲料カップ、貯蔵容器、ボトルなどの様々な応用のために、供し得る。非限定的な説明のみのために、容器に入れられ得る材料として液体飲料を使用する;しかしながら、本開示による容器は、液体、固体、ゲル、これらの組み合わせ、食料品、または他の材料を保持し得る。
【0149】
本開示による器の形成方法は、器の側壁用のブランクを形成するステップと、ブランクの第1および第2の部分を加熱するステップと、第1の部分と第2の部分が重なり合うようにブランクを巻き付けるステップと、側壁を形成するように第1および第2の部分を固定するためにそれらの部分を加熱しながら、重なり合った部分を圧縮するステップとを含み得る。ブランクは、密度の高い領域がブランクに形成されてブランクに窪みを画成する状態で、密度が不均一である断熱気泡質の非芳香族ポリマー材料を含み得る。
【0150】
一部の実施形態では、器の形成方法は、器の底面用の底面ブランクを形成し、かつ底面ブランクを、細長い壁の第1の端部に隣接させて配置するステップと、底面ブランクを側壁に固定するステップと、底面ブランクを側壁に固定するステップの前に底面ブランクを加熱するステップと、底面ブランクを側壁に固定するステップの前に、底面ブランクに接触する側壁の部分を加熱するステップとを含み得る。一部の実施形態では、器の形成方法は、底面ブランクと側壁の部分とに圧力を加えて、底面ブランクによって細長い壁の一部分を固定するステップを含み得る。
【0151】
一部の実施形態では、器の形成方法は、底面ブランクに係合する側壁の部分を変位させて、側壁の部分を底面ブランクの一部分に巻き付けるステップを含み得る。一部の実施形態では、器の形成方法は、側壁の一部分を圧縮し、圧縮された部分の局所的な密度を高めて、側壁の変位した部分が変位される折り目を規定するステップを含み得る。
【0152】
一部の実施形態では、器の形成方法は、側壁用のブランク全体を加熱して、ブランクをアニーリングするステップと、ブランクの第1および第2の部分を加熱するステップの前に、ブランクを冷却できるようにするステップとを含み得る。一部の実施形態では、器の形成方法は、断熱気泡質の非芳香族ポリマー材料と、断熱気泡質の非芳香族ポリマー材料に接着された少なくとも1つのポリマーフィルムとを含む複合材を形成するステップと、複合材から、器の細長い壁用のブランクを形成するステップとを含み得る。
【0153】
一部の実施形態では、少なくとも1つのポリマーフィルムは、ニ軸延伸ポリプロピレンを含み得る。一部の実施形態では、器の形成方法は、側壁用のブランクを形成する前に、複合材を加熱して、ニ軸延伸ポリプロピレンフィルムの応力を解放するステップを含み得る。一部の実施形態では、器の形成方法は、ブランクを側壁に固定する前に、底面ブランクに接着剤を塗布するステップを含み得る。
【0154】
一部の実施形態では、器の形成方法は、底面ブランクを細長い壁に固定する前に、底面ブランクに接触する細長い壁の部分に接着剤を塗布するステップと、底面ブランクと側壁の部分とに圧力を加えて、底面ブランクによって細長い壁の部分を固定するステップと、底面ブランクに係合する細長い壁の部分を変位させて、細長い壁の部分を、底面ブランクの一部分の周りに巻き付けるステップと、細長い壁の一部分を圧縮し、圧縮された部分の局所的な密度を高めて、細長い壁の変位した部分が変位される折り目を画成するステップとを含み得る。
図1
図1A
図2
図3
図3A
図3B
図3C
図3D
図4
図4A
図4B
図4C
図5
図6
図6A
図6B
図7
図7A
図8
図9
図9A
図9B
図10
図11
図12A
図12B
図12C
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