(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0003】
冷却プロセスにおいては、蒸発の基本的な熱力学的性質を利用して、熱を除去する。冷媒が熱交換器で蒸発すると、熱交換器と接触している媒体(すなわち、空気、水、グリコール、食品)は熱交換器壁を介してそれ自体の熱を伝達し冷媒に吸収され、その結果として、冷媒は液状からガス状に変化する。冷媒がガス状になると、ガスを高圧状態に圧縮してから凝縮器(熱交換器)を通すことにより熱を除去する、つまり、凝縮器で冷却媒体がガスから熱を奪う結果、ガスは凝縮されて液体となる。熱を吸収する凝縮器内の媒体は、多くの場合、水、空気、または水と空気の両方である。この液状態の冷媒は、熱を吸収する冷媒として再び利用することができる。
【0004】
一般的に、工業用冷却装置はしばしば、複数の工業用圧縮器を必要とするような大容量出力を使う。この事実により、工業用冷却装置には、通常、大規模な集中型機関室や大型の集中型凝縮装置が含まれる。圧縮器がガスを圧縮すると、凝縮対象のガス (霜取り目的ではない)は、大規模な集中型凝縮装置に圧送される。大規模な集中型凝縮装置における複数の凝縮器は、しばしば「凝縮器集設所」とみなされる。冷媒が凝縮されると、得られた液状冷媒は受液器という容器に回収されるが、これは基本的に液状冷媒タンクである。
【0005】
冷却用として使用できるように液体を受液器から蒸発器へ搬送するには、一般的に三つの装置が存在する。液体過給装置と、直接膨張装置と、ポンプドラム装置とがそれにあたる。最も一般的な装置は、液体過給装置である。液体過給装置は、一般的に液体ポンプを使用して、「ポンプアキュムレータ」という複数の大きな容器から、時には「インタークーラ」という同様の容器から、液状冷媒を各蒸発器に圧送する。所定の冷却装置内にある多くの蒸発器に液状冷媒を供給するためには、単一のポンプまたは複数のポンプが必要となる。液状冷媒は蒸発しがちなので、ポンプに容量分の供給ができずに空洞ができてしまうのを防ぐために、容器中には大量の液体(正味の正吸込ヘッド、略称NPSH)を保有することが必要となる場合が多い。ポンプというものは、圧送しようとする液体がポンプの内側や周辺に熱を吸収してガス化すると、空洞ができてしまう。これが起こると、ポンプは、種々の蒸発器に液体を圧送できず蒸発器の液体が欠乏し、処理工程の温度上昇を引き起こす。液体過給装置は蒸発器に液体を過給するように設計されている点に留意することが重要である。すなわち、当該装置は、蒸発器がその回路全体を通して液状冷媒を確実に有するように、各蒸発器に液体を過剰に送り出す。こうすることで、大量の液状冷媒が蒸発器からアキュムレータに戻り、そこから液状冷媒が再び圧送されるのは普通のことである。通常、上記各装置は、約4:1の過給率で設定することが多いが、それは蒸発器に圧送される液体4ガロン(約15リットル)毎に、1ガロン(約4リットル)が冷却に必要な熱を吸収して蒸発し、3ガロン(約11リットル)が蒸発せずに戻ることを意味している。上記各装置には、必要な過給量を供給するために非常に大量の液状冷媒が必要となる。結果として、上記各装置が適正に動作するには大量の液状冷媒を維持する必要がある。
【0006】
図1を参照すると、代表的な工業用の二段冷却装置は参照番号10で示され、液体過給器を備えており、冷媒はアンモニアを採用している。様々な液体過給冷却装置があり配管は異なっても、一般的な原則は一致している。一般的な原則には、一つの集中型凝縮器または凝縮器集設所18と、凝縮した冷媒を回収するための高圧受液器26を使用することと、液状冷媒を高圧受液器26から個々の段12および14へ送出することとが含まれる。二段冷却装置10には、低段装置12および高段装置14が含まれる。圧縮装置16は低段装置12および高段装置14の両方を駆動し、高段装置14は圧縮されたアンモニアガスを凝縮器18に送る。圧縮装置16は、第一段圧縮器20と、第二段圧縮器22と、インタークーラ24とを備えている。インタークーラ24は、高段アキュムレータとみなされることもある。凝縮器18からは、凝縮されたアンモニアが凝縮器排液管27を介して高圧受液器26に供給され、そこには高圧液体アンモニアが通常は約100ポンド・平方インチ(psi)(約690kPa)から約200psi(約1379kPa)の間の圧力で保持される。低段装置12を参照すると、液体アンモニアは、液体管30と32を介して低段アキュムレータ28に配給される。低段アキュムレータ28内にある液体アンモニアは低段ポンプ34により、低段液体管36を介して低段蒸発器38に圧送される。低段蒸発器38で、液体アンモニアは処理工程の熱と接触して約25%から33%(蒸発率は大きく異なってもよい)が蒸発し、残りのアンモニアは液体として残る。ガスと液体の混合物が、低段吸引管40を介して低段アキュムレータ28に戻る。蒸発したガスは、低段圧縮器吸引管42を介して低段圧縮器20に吸引される。ガスは、低段圧縮器20を介して低段装置12から除去され、配管44を介してインタークーラ24に吐出される。蒸発したアンモニアを補充する必要があるため、液体アンモニアが受液器26から液体管30を介してインタークーラ24に送出され、その後液体管32を介して低段アキュムレータ28に送出される。
【0007】
高段装置14は、低段装置12と同様の方法で機能する。高段アキュムレータ、すなわちインタークーラ24内の液体アンモニアは、高段ポンプ50により高段液体管52を介して高段蒸発器54へ圧送される。蒸発器54において、液体アンモニアは、処理工程の熱と接触して約25%から33%(蒸発率は大きく異なってもよい)が蒸発し、残りのアンモニアは液体として残る。ガスと液体の混合物が、高段吸引管56を介して高段アキュムレータ、すなわちインタークーラ24に戻る。蒸発したガスは、高段圧縮器吸引管58を介して高段圧縮器22に吸引される。ガスが高段装置14から除去されるので、蒸発したアンモニアを補充する必要があり、液体アンモニアが高圧受液器26から液体管30を介してインタークーラ24に送出される。
【0008】
装置10は異なった配管構造を持つこともあるが、基本的な概念は、圧縮装置16の供給を受ける集中型凝縮器18があって、凝縮された高圧の液体アンモニアが高圧受液器26に必要時まで貯蔵され、次いで液体アンモニアは、高段アキュムレータ、すなわちインタークーラ24に流入し、高段蒸発器54に圧送される。また、インタークーラの圧力を受けた液体アンモニアは、液体管32を介して低段アキュムレータ28に流れ、そこで低段蒸発器38に圧送されるまで保持される。低段圧縮器20から出たガスは、通常は低段圧縮器吐出管44を介してインタークーラ24に配給され、そこでガスが冷却される。高段圧縮器22は、インタークーラ24からガスを導入し、そのガスを凝縮圧力に圧縮し、そのガスを高段吐出管60を介して凝縮器18に吐出し、そこでガスは凝縮して液体に戻る。液体は、凝縮器排液管27を介して高圧受液器26に排出され、そこで再びサイクルが始まる。
【0009】
直接膨張装置は、集中型タンクから出る高圧液体または減圧液体を使用する。その液体は、集中型タンクのほうが蒸発器より高い圧力となっているので、集中型タンクと蒸発器との圧力差によって動く。膨張弁という特殊な弁が使用され、蒸発器へ流入する冷媒の流量を計る。流入量が多すぎると、未蒸発の液状冷媒が通り抜けて圧縮装置に流れる。流入量が少なすぎると、蒸発器がその最大容量まで使用されず、おそらく不十分な冷却・冷凍となってしまう。
【0010】
ポンプドラム装置は、液体過給装置とほぼ同じ方法で動作するが、主な違いは、小さな加圧タンクがポンプとして機能することである。通常は、液状冷媒がポンプドラムを満たしているが、より高圧な冷媒ガスがポンプドラムの頂部に注入されると、圧力差を利用して、液体は配管内に押し出されて蒸発器に向かう。過給比は通常は同じであり、このタイプの装置を利用するには大量の冷媒が必要となるという点は変わらない。
【発明を実施するための形態】
【0015】
凝縮・蒸発装置(CES)は冷却装置の一部とみなすことができ、その冷却装置は工業環境で有用なものである。工業用冷却装置には単一または複数のCESを使用することができる。CESを使用できる冷却装置は、通常は集中型圧縮器グループとなっている。CESは、集中型圧縮器グループを基に複数のCESが存在する場合、ガス状冷媒が集中型圧縮器グループから複数のCESに供給されるように分散化される点に特徴がある。ガス状冷媒を集中型圧縮器グループから一つ以上のCESへ送入・送出する結果、より少量の冷媒で他のタイプの冷却装置の冷却能力と同等の冷却能力を発揮できる。ここで他のタイプの冷却装置とは、
図1に記載の冷却装置により液状冷媒を複数の蒸発器に送出する、集中型凝縮器グループを使用して冷媒を凝縮する装置のことである。伝統的なアンモニア冷却装置は、通常は、集中型凝縮装置と、圧力制御受液器(Controlled Pressure Receiver,略称CPR)内に大量の液体アンモニアを保持する集中型貯蔵タンクまたは集中型貯蔵容器とを用いる。容器と冷却装置のタイプによっては、液体ポンプを使用して大量の液体アンモニアを送出し、冷却装置を通して液体アンモニアを蒸発器に供給し、そこで熱を液体アンモニア冷媒に移す。
【0016】
米国特許商標庁に2011年6月13日に提出された米国仮特許出願番号61/496,160には一つ以上のCESを利用できる冷却装置が記載されており、本明細書はその開示内容全体を参照し援用している。このような冷却装置は、単段装置、 二段装置、あるいは多段装置として提供され得る。通常、単段装置は、単一の圧縮器が冷媒を蒸発圧力から凝縮圧力まで圧縮するものである。例えば、アンモニア冷媒の場合には、蒸発圧力は約30psi(約207kPa)であり、凝縮圧力は約150psi(約1034kPa)である。二段装置などの多段装置は、二つ以上の圧縮器を直列にして、まず低圧(蒸発圧力)から中間圧まで圧縮して圧送し、次にそのガスを凝縮圧力まで圧縮する。この例を挙げれば、第一圧縮器がガスを約0psi(0Pa)の蒸発圧力から約30psi(約207kPa)の中間圧力まで圧縮し、第二圧縮器がガスを中間圧力から約150psi(約1034kPa)の凝縮圧力まで圧縮する。装置によっては、約華氏マイナス40度から約150psi(約1034kPa)まで動作し、例えばスクリュー圧縮器のように大きな圧縮比で動作可能な圧縮器を使用する、単段装置を含む場合もある。二段装置の目的は、一部のモデルの圧縮器における圧縮比制限に加えて、主として馬力の節約である。施設によっては、二つ以上の低段装置を備えて、ある段では冷凍器を例えば華氏マイナス10度での運転専用とし、別の段では急速冷凍器を華氏マイナス40度での運転専用とするかもしれない。施設によっては、二つ以上の高段を有していてもよいし、低段および高段の任意の組み合わせを有していてもよい。 CESは単段、二段、あるいは任意の数の段グループに対応することができる。
【0017】
CESは、冷却装置全体からみるとサブシステムとみなすことができ、弁を適正に配置することにより、冷却時に凝縮器として機能する熱交換器(オプションとして霜取りサイクル中には蒸発器として機能することができる)と、液状冷媒貯蔵器として機能する圧力制御受液器(CPR)と、処理工程から熱を吸収する蒸発器(オプションとして霜取りサイクル中には凝縮器として機能することができる)とを含む。CESは、凝縮器と、液状体冷媒貯蔵器と、蒸発器とをひとかたまりとして含むことが可能なので、上記構成要素を熱負荷に合わせた大きさにすることができる。さらに、一つ以上のCESを利用する冷却装置には、集中型凝縮器と、凝縮された液状冷媒を蒸発器に供給するために貯蔵する集中型受液器とが存在しないので、「分散型」として特徴付けられる。結果として、液状冷媒の冷却装置内移動を大幅に減少することができる。冷却装置内で輸送される液状冷媒の量を大幅に減少させることによって、冷却装置内の液状冷媒の全体量を大幅に削減することができる。一例として、
図1に記載したような従来技術の冷却装置の場合、一つの集中型圧縮器グループと複数の分散CESを備えた本発明に係る冷却装置を利用した結果、同じ冷却能力を維持しながら、冷媒の量を約85%以上減少することが可能となる。
【0018】
ここで
図2を参照すると、本発明に係る複数の凝縮・蒸発装置(CES)を利用する冷却装置が、参照番号100で示されている。冷却装置100には、集中型圧縮器グループ102と複数の凝縮・蒸発装置104が含まれる。多段式冷却装置100として 、二つの凝縮・蒸発装置106および108が示されている。なお、必要に応じて追加の凝縮・蒸発装置を備えてもよい。凝縮・蒸発装置106は低段凝縮・蒸発装置とみなし、凝縮・蒸発装置108は高段凝縮・蒸発装置とみなすことができる。通常、低段CES106と高段CES108を明示するのは、多段冷却装置100が様々な熱除去つまり冷却の要件に如何に対応可能であるかを図示するためである。例を挙げれば、低段CES106は、高段CES108が作る温度環境よりも低い温度環境を作るべく動作するようになっている。例えば、低段CES106は、約華氏マイナス40度で急速冷凍を行なうために使用できる。例を挙げれば、高段CES108は、例えば約華氏±10度〜約華氏30度のような華氏マイナス40度より著しく高い温度まで冷却する領域を提供できる。これらの値は例示のために提供したものである。本発明による多段冷却装置は、いかなる工業設備の冷却要件を取っても提供可能であることが理解できよう。
【0019】
多段式冷却装置100を形成するにあたり、集中型圧縮器グループ102には、第一段圧縮器グループ110と第二段圧縮器グループ112が含まれる。第一段圧縮器グループ110は第一もしくは低段圧縮器とみなされ、第二段圧縮器グループ112は、第二もしくは高段圧縮器とみなされる。第一段圧縮器グループ110と第二段圧縮器グループ112との間には、インタークーラ114が備えられる。通常、ガス状冷媒は、第一段圧縮器入口管109を介して第一段圧縮器グループ110に供給され、そこで中間圧まで圧縮され、中間圧のガス状冷媒は、中間圧冷媒ガス管116を介してインタークーラ114に搬送される。インタークーラ114は、中間圧のガス状冷媒を冷却できるだけでなく、任意の液状冷媒をガス状冷媒から分離することもできる。次いで、中間圧冷媒は、第二段圧縮器入口管111を介して第二段圧縮器グループ112に供給され、そこで冷媒は凝縮圧力まで圧縮される。一例として、冷媒にアンモニアを採用した場合、ガス状冷媒は約0psi(0Pa)の圧力で第一段圧縮器グループ110に入ると、約30psi(約207kPa)の圧力まで圧縮される。次いで、約30psi(約207kPa)のガス状冷媒は、第二段圧縮器グループ112を介して約150psi(約1034kPa)の圧力まで圧縮される。
【0020】
通常の動作では、集中型圧縮器グループ102で圧縮されたガス状冷媒は、高温ガス管118を介して複数の凝縮・蒸発装置104に流入する。高温ガス管118に流入する圧縮器グループ102からのガス状冷媒は、一つ以上の圧縮・蒸発装置104に供給する圧縮ガス状冷媒の供給源とみなすことができる。
図2に示すように、圧縮ガス状冷媒の供給源は、それをCES106とCES108の両方に供給する。圧縮ガス状冷媒の供給源を使って、三つ以上の圧縮・蒸発装置に供給することもできる。工業用アンモニア冷却装置の場合、単一の圧縮ガス状冷媒供給源を使用して、例えば、少なくとも一つ、少なくとも二つ、少なくとも三つ、少なくとも四つなど任意の数の圧縮・蒸発装置に、それを供給することができる。
【0021】
低段CES106から出たガス状冷媒は、低段吸入(LSS)管120を介して回収され、アキュムレータ122に供給される。高段CES108から出たガス状冷媒は、高段吸入(HSS)管124を介して回収され、アキュムレータ126に供給される。前述したように、インタークーラ114は、アキュムレータ126として特徴付けられる。アキュムレータ122および126は、ガス状冷媒の供給を受けるため、および、基本的にはガス状冷媒だけが第一段圧縮器グループ110および第二段圧縮器グループ112に送出されるようにガス状冷媒と液状冷媒とを分離するために、構築されている。
【0022】
ガス状冷媒は、それぞれ、低段吸引管120と高段吸引管124を介してアキュムレータ122と126に帰還する。帰還ガス状冷媒は、高すぎず低すぎない温度で提供することが望ましい。帰還冷媒が熱すぎると追加の熱(すなわち、過熱)が圧縮器グループ110と112内の圧縮熱に悪影響を及ぼすことがある。帰還冷媒が冷たすぎると、アキュムレータ122および126内に過剰な液状冷媒が貯蔵されることになる。帰還ガス状冷媒の温度を制御するには様々な技術を利用できる。
図2に示した一つの技術は、スケルチ装置160である。スケルチ装置160が動作すると、液状冷媒管162を介し帰還ガス状冷媒に液状冷媒が合流する。帰還ガス状冷媒に合流する低段吸引管120または高段吸引管124内の液状冷媒により、帰還ガス状冷媒の温度が低下する。液状冷媒管162を介して流れる液状冷媒を制御するために、弁164を備えて、アキュムレータ122および126からの信号166の結果として応答できるようにする。ガス状冷媒は、高温ガス管118からガス状冷媒スケルチ管168まで流れ、そこで弁169により流れを制御する。熱交換器170がガス状冷媒を凝縮し、液状冷媒が液状冷媒管172を介して圧力制御受液器174内に流入する。圧力制御受液器圧力管176は、液状冷媒管162を介した液状冷媒の流れをより良くするために、低段吸引管120もしくは高段吸引管124と圧力制御受液器174との間の通路を提供することができる。
【0023】
アキュムレータ122および126は、その中に液状冷媒を貯蔵可能にするように構成され得る。通常、低段吸引管120および高段吸引管124から戻る冷媒はガス状である。ガス状冷媒はその一部が、アキュムレータ122および126で凝縮し集まることがある。アキュムレータは、液状冷媒が蒸発するように構築することができる。また、アキュムレータは、そこから液状冷媒を回収するように構築することができる。使用環境によっては、アキュムレータを使用して液状冷媒を格納することができる。
【0024】
今度は
図3を参照すると、凝縮・蒸発装置106がより詳細に表されている。凝縮・蒸発装置106には、凝縮器200と、圧力制御受液器202と、蒸発器204が含まれる。通常、凝縮器200と、圧力制御受液器202と、蒸発器204とは、協働して蒸発器204に所望の冷却能力をもたせるようにそれらの大きさを設定することができる。一般的に、蒸発器204は、主として、処理工程から吸収する必要のある熱量でその大きさを決めている。即ち、蒸発器204は、主として、所定の施設で提供することが想定される冷却レベルに基づいてその大きさを決めている。凝縮器200は、CES内がバランスの取れた流れとなるために、冷却中に蒸発器204が冷媒を蒸発させる速度とほぼ同じ速度でガス状冷媒を凝縮するように、その定格を決めることができる。バランスの取れた流れとは、凝縮器200により冷媒から除去される熱が、蒸発器204内で冷媒に吸収された熱とほぼ同じであることを意味する。なお、バランスの取れた流れは、蒸発器が所望のレベルの性能を達成できる期間中ずっと流れ続けるものである。換言すれば、蒸発器204が所望通りに動作している限り、CESはバランスが取れているとみなすことができる。これは、数台の蒸発器にその出力を提供する集中型圧縮器集設所とは対照的である。数台の蒸発器にその出力を提供する集中型圧縮器集設所の場合には、いずれか一つの特定の蒸発器に対しても圧縮器集設所のバランスが取れているとはみなされない。その代わりに、圧縮器集設所は蒸発器全体に対してバランスが取れているとみなされる。対照的に、CESにおいては、凝縮器200を蒸発器204専用とすることができ、凝縮器200を蒸発器専用の凝縮器とみなすことができる。CES内では、凝縮器200は、単一ユニットとして、あるいは、直列または並列に配置された複数ユニットとして設けることができる。同様に、蒸発器204も、単一ユニットとして、あるいは、直列または並列に配置された複数ユニットとして設けることができる。
【0025】
CESが凝縮器200内の液状冷媒を蒸発させることができる必要がある場合がある。一つの理由としては、CESで高温ガスを用いた霜取りを行なうからである。その結果、凝縮器200は、バランスの取れた流れとするために、高温ガスを用いる霜取り時に蒸発器204が冷媒を凝縮するのとほぼ同じ速度で冷媒を蒸発させることのできる大きさにする。結果として、凝縮器200は、冷却サイクル中にガス状冷媒を凝縮するために必要とされるよりも「大きい」ことになる。
【0026】
集中型「凝縮器集設所」と、一つの集中型高圧受液器から液状冷媒を供給される複数の蒸発器とを用いる従来の工業用冷却装置の場合、凝縮器集設所はいずれの蒸発器に対してもバランスが取れていない。その代わりに、凝縮器集設所は、通常、すべての蒸発器の総熱容量とバランスが取れている。対照的に、CESの場合、凝縮器と蒸発器は相互にバランスを取ることができる。
【0027】
凝縮・蒸発装置106は、冷却装置全体の一部装置とみなすことができる。一部装置として、凝縮・蒸発装置は、通常、冷却装置内に存在する他の凝縮・蒸発装置から独立して動作可能である。あるいは、凝縮・蒸発装置106を、冷却装置内の一つ以上の他の凝縮・蒸発装置と連携して動作するように構成してもよい。例えば、二つ以上のCESが共に動作して特定の環境を冷却するように構成してもよい。
【0028】
凝縮・蒸発装置106は、冷却サイクルおよび霜取りサイクルの両方で機能するように設けることができる。凝縮器200は、冷却サイクルでは凝縮器200として、高温ガスを用いる霜取りサイクルでは蒸発器200’として機能する熱交換器201とすることができる。同様に、蒸発器204は、冷却サイクルでは蒸発器204として、高温ガスを用いる霜取りサイクルでは凝縮器204’として機能する熱交換器205とすることができる。従って、当業者であれば、熱交換器201が、冷却サイクルで機能するときは凝縮器200とみなし、高温ガスを用いる霜取りサイクルで機能するときは蒸発器200’とみなすことができると理解できよう。同様に、熱交換器205は、冷却サイクルで機能するときは蒸発器204とみなし、高温ガスを用いる霜取りサイクルで機能するときは凝縮器204’とみなすことができる。高温ガスを用いる霜取りサイクルというのは、圧縮器からのガスを蒸発器内に導入し、蒸発器を加熱して蓄積した霜や氷を溶かす方法を指す。その結果、高温ガスは、熱を失って凝縮される。CESは、冷却及び高温ガスを用いる霜取りの両方で機能することができる場合、二重機能装置とみなされる。二重機能装置は、凝縮媒体が高温ガスを用いる霜取りサイクルでは冷やされ、エネルギーの節約をもたらして全体的な効率が上がるので、凝縮装置全体として有益である。高温ガスを用いる霜取りサイクルの周期は、一日一回の霜取りから毎時間霜取りまでさまざまであり、この熱を再利用することによる節約は相当なものとなり得る。この種の熱再利用は、高温ガスを用いる霜取りサイクルを行なわない従来システムでは不可能である。霜取りを行なう他の方法としては、空気、水、電熱を使用する方法もあるが、これらに限定されるものではない。凝縮・蒸発装置は、様々な霜取り方法に適用可能である。
【0029】
凝縮・蒸発装置106は、高温ガス管206を介してガス状冷媒の供給を受ける。凝縮・蒸発装置106は、冷却装置の集中型圧縮器グループから離れた位置に設けられている。ガス状冷媒を凝縮・蒸発装置106に供給することにより、凝縮・蒸発装置106に供給される冷媒が液状ではなくガス状で供給されるので、冷却装置の必要とする冷媒量を大幅に削減できる。その結果、冷却装置は、本質的に従来の液体を供給する装置の冷却能力と同等の冷却能力を持ちながら、装置全体として大幅に少ない冷媒で機能することができる。
【0030】
凝縮・蒸発装置106の動作を、冷却サイクルで動作する場合と霜取りサイクルで動作する場合について説明する。ガス状冷媒は高温ガス管206を通って流れることから、ガス状冷媒の流れは、高温ガス冷却サイクル流量制御弁208および高温ガス霜取り流量制御弁209によって制御できる。冷却サイクルで動作するとき、弁208は開いており、弁209が閉じている。霜取りサイクルで動作するとき、弁208は閉じており、弁209は開いている。弁208および209は、開閉ソレノイド弁もしくはガス状冷媒の流量を制御する調節弁として設けることができる。冷媒の流れは、圧力制御受液器202内の液状冷媒の液位に基づいて制御もしくは調整することができる。
【0031】
凝縮器200は、凝縮・蒸発装置106が冷却サイクルで機能しているときは凝縮器として機能し、凝縮・蒸発装置106が高温ガス霜取り法などの霜取りサイクルで機能しているときは蒸発器として機能することができる熱交換器201である。冷却サイクル中に凝縮器として機能する場合、凝縮器は、冷媒ガスから熱を除去して、高圧の冷媒ガスを凝縮する。冷媒ガスは、ガスから熱を除去するとガスが液体に凝縮する凝縮圧力で供給される。霜取りサイクル中は、熱交換器は蒸発器となって凝縮した冷媒を蒸発させる。なお、熱交換器は、
図3で単一ユニットとして示されている。しかし、それは複数のユニットを並列もしくは直列に配置し、所望の熱交換能力を提供することを表していると理解されるべきである。例えば、霜取り時に凝縮液が過剰で追加の処理能力を必要とする場合、熱交換器ユニットを追加して使用可能である。熱交換器201は、 「プレート・フレーム式」熱交換器として設けることができる。しかしながら、シェル・チューブ式熱交換器を含む別の熱交換器を利用することも可能である。熱交換器を駆動する凝縮媒体は、水、または水とグリコールの溶液もしくは食塩水等の水溶液、または二酸化炭素やグリコールや他の冷媒を含む任意の冷却媒体であってもよい。凝縮媒体は、例えば、冷却塔または地中熱交換などの従来技術を用いて冷却することができる。また、凝縮媒体の熱は、工業施設または商業施設の他の部分で利用できる。
【0032】
凝縮された冷媒は、熱交換器201から圧力制御受液器202に凝縮冷媒管210を介して流れる。凝縮冷媒管210には、凝縮排液流量制御弁212を含めてもよい。凝縮排液流量制御弁212は、冷却サイクル中に熱交換器200から圧力制御受液器202への凝縮された冷媒の流れを制御できる。霜取りサイクル中は、凝縮器排液流量制御弁212が備わることで、熱交換器201から圧力制御受液器202への冷媒の流れを停止できる。凝縮器排液流量制御弁212の一例は、液体のみを通過させガスが存在すると遮断する、ソレノイド・フロート弁である。
【0033】
圧力制御受液器202は、より単純にCPRまたは受液器とみなすことができる。通常、圧力制御受液器とは、動作中に、受液器内の圧力を凝縮圧未満に維持する受液器のことをいう。CPR中の圧力をより低くすると、例えば、凝縮器200からCPR202に、また、CPR202から蒸発器204に、流れを駆動しやすくなる。さらに、蒸発器204は、CPR202の存在によって圧力が低下する結果、より効率的に動作することができる。
【0034】
圧力制御受液器202は、冷却サイクル中および霜取りサイクル中ともに液状冷媒用貯蔵器として機能する。通常、圧力制御受液器202内の液状冷媒の液位は、冷却サイクル中は低く霜取りサイクル中は高くなる傾向がある。この理由は、霜取りサイクル中は蒸発器204内の液状冷媒が除去されて圧力制御受液器202内に置かれるためである。従って、圧力制御受液器202は、通常、冷却サイクル中に蒸発器204内に保持される液体の全量に加えて冷却サイクル中に圧力制御受液器202に保持される液体の量も保持するのに十分な大きさとすべきである。当然のことながら、圧力制御受液器202の大きさは、必要であれば変えることができる。霜取りサイクル中は圧力制御受液器202内の冷媒の液位が上昇するので、蓄積された液体は蒸発器200’内で蒸発させることができる。また、必要に応じて圧力制御受液器を複数のユニットとして設けることができる。
【0035】
冷却サイクル中は、液状冷媒は、圧力制御受液器202から蒸発器204に蒸発器供給管214を経由して流れる。液状冷媒は、圧力制御受液器202から流出して制御圧液供給弁216を通って流れる。制御圧液供給弁216は、圧力制御受液器202から蒸発器204への液状冷媒の流れを調節する。供給弁218を蒸発器供給管214に設ければ、より正確な流れ制御を行なうことができる。しかし、電子膨張弁などの精密な流量制御弁を制御圧液供給弁216として使用する場合、供給弁218は不要となり得ることが理解できよう。
【0036】
蒸発器204は、空気、水、またはさまざまな他の媒体から熱を除去する蒸発器として設けることができる。蒸発器204により冷却することができる装置の例示的なタイプとして、蒸発器コイル、シェル・チューブ式熱交換器、プレート・フレーム式熱交換器、接触板式冷凍器、スパイラル式冷凍器、トンネル式冷凍器が含まれる。熱交換器は、貯蔵冷凍庫、処理を行なうフロア、空気、飲料および非飲料流体、および他の化学物質を冷却もしくは凍結することができる。熱を除去するほぼすべての応用製品で、実質的にどのようなタイプの蒸発器でもCES装置で使用することができる。
【0037】
ガス状冷媒は、LSS管220を経由して蒸発器204から回収され得る。 LSS管220内には、吸引制御弁222を設けることができる。オプションとして、管220にアキュムレータを備えて、液体が流れ出るのをさらに防ぐこともできる。吸引制御弁222は、蒸発器204から集中型圧縮器グループへの蒸発した冷媒の流れを制御する。吸引制御弁222は、通常、霜取りサイクル中は閉じている。また、霜取りサイクル中に、蒸発器204はガス状冷媒を液状冷媒に凝縮する凝縮器として機能し、凝縮された液状冷媒は蒸発器204から圧力制御受液器202へ液体冷媒回収管224を経由して流れる。霜取りサイクル中は、潜熱と顕熱を与えて蒸発器を霜取りしてもよい。水や電熱のような他のタイプの霜取り方法を用いて霜を除去してもよい。液状冷媒回収管224内に霜取り凝縮液弁226を備えてもよい。霜取り凝縮液弁226は、霜取りサイクル中に、蒸発器204から圧力制御受液器202への凝縮された冷媒の流れを制御する。霜取り凝縮液弁226は、通常、冷却サイクル中は閉じている。
【0038】
高温ガス霜取りサイクル中に、圧力制御受液器202の液位が高くなりすぎると、液状冷媒は圧力制御受液器202から流れて液状冷媒霜取り管228を介して蒸発器200’に流れる。液状冷媒霜取り管228内に、霜取り凝縮液蒸発供給弁230を備えてもよい。霜取り凝縮液蒸発供給弁230は、液状冷媒をガス状態に蒸発させる霜取りサイクル中は、圧力制御受液器202から蒸発器200’への液状冷媒の流れを制御する。霜取りサイクル中は蒸発器200’が動作して、蒸発器200’を流れる熱交換媒体を冷却する。こうして媒体が冷却され、冷却システムが作動している施設内のどこかにある他の凝縮器のために媒体温度を下げるようにすることで電力を節約できる。また、高温ガス霜取りサイクル中に、ガス状冷媒は蒸発器200’からHSS管232を経由して流出する。HSS管内には霜取り凝縮液蒸発圧力制御弁234がある。霜取り凝縮液蒸発圧力制御弁234は、霜取りサイクル中に蒸発器200’内の圧力を調節する。霜取り凝縮液蒸発圧力制御弁234は、通常、冷却サイクルの間は閉じている。霜取り凝縮液蒸発圧力制御弁234は、LSS管220に配管することが可能である。一般的に、このような配置は効率的ではない。管232に小さいアキュムレータを備えて、液体が流れ出るのをさらに防ぐこともオプションとして可能である。
【0039】
圧力制御受液器202とHSS管232との間には圧力制御受液器吸引管236が延びている。圧力制御受液器吸引管236内は圧力制御受液器圧力制御弁238がある。圧力制御受液器圧力制御弁238は圧力制御受液器202内の圧力を制御する。なお、圧力制御受液器吸引管236は、HSS管232の代わりにあるいはそれに加えて、圧力制御受液器202からLSS管220に延びるように配置することもできる。通常は、圧力制御受液器管はHSS管232、または可能であればスクリュー圧縮器の節減器ポートに延びるのがより効率的である。
【0040】
圧力制御受液器液位制御ユニット240は、圧力制御受液器202内の液状冷媒の液位を監視するために設けられている。圧力制御受液器液位制御ユニット240からの情報はコンピュータによって処理され、所望の液位を維持するために各種バルブを調整する。圧力制御受液器液位制御ユニット240内の液状冷媒の液位は観測可能であり、液状管242およびガス状管244を経由して交流を行なうことで液位の変更も可能である。液状管242およびガス状管244のどちらにも、流れを制御する弁246を含めることができる。
【0041】
圧力制御受液器202の下部には、オプションとしてオイル抜き弁248を設けることができる。オイル抜き弁248を設ければ、圧力制御受液器202から蓄積したオイルを除去することができる。オイルは、冷媒にときどき混入するが、液状冷媒から分離する傾向があり、比較的重いので底に沈む。
【0042】
圧縮器は、各CES用の専用圧縮器として設けることができる。しかしながら、複数のCESが一台の圧縮器または一つの集中型圧縮器グループに冷媒供給するほうが、より好ましい。工業用装置では、通常、集中型圧縮器グループがより望ましい。
【0043】
当業者であれば、凝縮・蒸発装置106に使われる様々な構成要素は、ASME(米国機械学会)、ANSI(米国規格協会)、AHSRAE(暖房、冷凍、エアコン技術者協会)およびIIAR(アンモニア冷凍国際研究所)で指定されるような、一般に認められた構成要素のうちから選択することができ、弁、熱交換器、容器、制御装置、管、継手、溶接手順、およびその他の構成要素は、一般に認められた規格に準拠しているはずであることが理解できよう。
【0044】
凝縮・蒸発装置は、工業用冷却装置の冷媒(例えば、アンモニア)の量を低減できる。工業用冷却システムには、通常、集中型の機関室を必要とするものが含まれ、そこで一台以上の圧縮器が複数の蒸発器の圧縮、および集中型凝縮装置用に圧縮を行なっている。このような装置では、液状冷媒は、通常は貯蔵容器から複数の蒸発器に搬送される。その結果、しばしば大量の液体が貯蔵され種々の蒸発器に搬送される。複数の凝縮・蒸発装置を利用することにより、冷媒量を約85%低減することができる。もちろん、より大きな削減を達成することも期待できるが、工業用冷却装置によって異なる。工業用冷却装置におけるアンモニア量をどのようにして低減するのか理解するためには、冷却サイクル中は冷媒が(空気、水、食材などのような)媒体から熱を吸収して液体からガスに変化することを考えれば分かる。(アンモニアのような)液状冷媒は蒸発器に搬送されて蒸発する。多くの工業用冷却装置において、液状冷媒は、装置内の機能に応じて受液器やアキュムレータやインタークーラという集中タンクに保持される。液体アンモニアは、その後冷却するためにさまざまなルートで施設内の各蒸発器へ送出される。つまり、これらの工業用装置内にある多くの管には液体アンモニアが含まれている。水のはいったグラスには水蒸気を含むグラスよりも多くの水分子が含まれているのとちょうど同じように、配管内の液体アンモニアにはアンモニアガスが含まれた配管と比べて、一定の長さの管あたり通常95%以上多くのアンモニアが含まれる。凝縮・蒸発装置は、一つ以上の凝縮・蒸発装置を用いて凝縮装置を分散することにより、装置全体に大量の液状冷媒を輸送する必要性を低減させる。各凝縮・蒸発装置には、通常、対応する蒸発器負荷のサイズに見合う凝縮器が含まれていればよい。例えば、10トン(120,000BTU)の蒸発器に対して、凝縮器は少なくとも10トン相当の大きさにすればよい。従来の工業用冷却装置においては、蒸発ガスを再び蒸発させることができるよう液体に戻すために、ガスが圧縮器で圧縮され、一つ以上の集中型凝縮器または凝縮器集設所に送られ、そこで熱をアンモニアから除去する結果、冷媒アンモニアが液状に凝縮する。この液体は、その後、冷却装置全体の様々な蒸発器に向けて送出される。
【0045】
CESを使用する装置では、蒸発器からのガスは圧縮器で圧縮され、高圧ガスとしてCESに送り戻される。このガスは次に凝縮器200に供給される。冷却サイクル中は、(プレート・フレーム式熱交換器のような)凝縮器200を通って冷却用媒体が流れる。冷却用媒体には、水、グリコール、二酸化炭素あるいは条件に合う任意の冷却用媒体が含まれる。高圧アンモニアガスは、圧縮中に吸収した熱を冷却用媒体に転送することにより、アンモニアが液状に凝縮する。この液体は、次いで、液体を容易に排出できるように凝縮器200より低い圧力に保持された圧力制御受液器202に供給される。圧力制御受液器の圧力は、圧力制御受液器管236にある弁238によって調節される。圧力制御受液器202内部の液位は、液位制御ユニット240で監視する。冷却中に液位が高すぎたり低すぎたりすると、それに応じて弁208が開いたり、閉じたり、調節したりして適正な液位を維持する。
【0046】
圧力制御受液器202は、蒸発器204に供給する液体を保持する貯蔵器として機能する。凝縮器200および圧力制御受液器202は、各蒸発器204に合わせたサイズとなっているので、冷媒は必要に応じて凝縮される。必要に応じて蒸発器204の近傍で冷媒を凝縮するので、長距離にわたって液状冷媒を輸送する必要性が少なくなり、アンモニアの必要量は全体として劇的に削減できる(例えば、ほぼ同じ冷却能力を有する従来の冷却装置に比べ約85%)。蒸発器204がさらにアンモニアを必要とする場合、アンモニアが蒸発器204から出る前に蒸発して液体アンモニアが圧縮器グループに戻らないように、弁216および218を開いて適正量のアンモニアを蒸発器204に供給する。弁222は、装置が動作していないときや霜取り中はアンモニアの流れを遮断する。
【0047】
凝縮・蒸発装置106の動作を、冷却サイクル及び霜取りサイクルの両方について説明する。凝縮・蒸発装置106が冷却サイクルで動作するとき、凝縮圧力のガス状冷媒が高温ガス管206を介して圧縮装置から凝縮器200に供給される。この場合、冷却サイクル流量制御弁208は開いており、高温ガス霜取り流量制御弁209は閉じている。ガス状冷媒は凝縮器200に入り、液状冷媒に凝縮される。凝縮器200は、水やグリコール水溶液などのような、凝縮器200を通って圧送される任意の適当な冷却用媒体を利用できる。冷却用媒体から回収された熱が回収後どこか別の場所で使用されることは理解できよう。
【0048】
凝縮された冷媒は、凝縮器200から圧力制御受液器202に凝縮冷媒管210および凝縮排液流量制御弁212を経由して流れる。凝縮された冷媒は圧力制御受液器202内に蓄積するが、液状冷媒の液位は圧力制御受液器液位制御ユニット240により判断できる。液状冷媒は、圧力制御受液器202から出て蒸発器供給管214と制御圧液供給弁216および218を経由して蒸発器204に流れる。蒸発器204内の液状冷媒は蒸発され、ガス状の冷媒は蒸発器204からLSS管220および吸引制御弁222を経由して回収される。
【0049】
興味深いことに、冷却サイクル中は、液体過給状態で蒸発器を動作させる必要はない。すなわち、蒸発器204に入る液体は全てガス状冷媒となって蒸発し冷却に供される。その結果、媒体から蒸発器を通って液状冷媒へ熱が移動し、液状冷媒がガス状冷媒となる。媒体としては、通常、冷却できるものであれば、基本的にどのような種類の媒体でもよい。媒体の例としては、空気や水や食材や二酸化炭素や他の冷媒が含まれる。
【0050】
冷却の影響の一つとして、蒸発器に霜や氷が蓄積する。そのため、霜や氷ができるのに十分な低温で冷媒を受けるコイルにはすべて、付着物の無い効率的なコイルを維持するため霜取りサイクルを行なう必要がある。一般的に、コイル上の霜や氷を除去する方法は四つある。これらの方法には、水、電気、空気、あるいは(高圧アンモニアのような)高温ガスが含まれる。CESはすべての霜取り方法で動作する。CESは、特に高温ガス霜取り技術を用いる霜取りに適している。
【0051】
高温ガス霜取り中には、CESを通過する高温ガス状冷媒の流れを、蒸発器が霜取りされるように逆流させることができる。高温ガスを蒸発器に供給し、液状冷媒に凝縮させることができる。得られた液状冷媒は、凝縮器で蒸発させることができる。この蒸発ステップは、CES内で発生するため「局所蒸発」とみなされる。その結果、アキュムレータのような集中型容器に液状冷媒を貯蔵目的で送ることを回避できる。 従って、CESは、大量の液状冷媒を貯蔵する必要が無く、蒸発器の高温ガス霜取りを行なうことができる。
【0052】
高温ガス霜取り中には、通常は凝縮器に向かう高圧アンモニアガスが、代わりに蒸発器に向けられる。この暖かいガスは液状に凝縮されて、蒸発器を暖め、蒸発器の内部温度がコイル外側の氷を溶かすのに十分熱くなる。従来の冷却装置では、多くの場合、この凝縮液を取り出し、配管を経由させ大型タンクに戻し、そこから冷却用に再利用する。対照的に、CESを用いた冷却装置では、装置内の余剰液体アンモニアが不要となるように、高温ガス霜取り中は凝縮された冷媒を使用し、その冷媒を蒸発させてガス状に戻し、凝縮用媒体を冷却する。
【0053】
高温ガス霜取り中には、凝縮圧力のガス状冷媒を、高温ガス管206を経由して凝縮器204’へ供給する。ガス状の冷媒は、高温ガス霜取り流量制御弁209を介して(冷却サイクル制御弁208は閉じている)蒸発器供給管214内へそして供給弁218を介して流れる。凝縮器204’内のガス状冷媒は凝縮されて液状冷媒(これが結果的に氷や霜を融解する)となり、液状冷媒回収管224および霜取り凝縮液弁226を経由して回収される。霜取り中は、吸引制御弁222は閉じている。次いで、液状冷媒は、液状冷媒回収管224を経由して圧力制御受液器202に流入する。別の方法として、複数の弁と制御装置を正しく設けたうえで、少なくとも一部の液状冷媒を、CPR202を迂回させて管224から管228に直接流すことも可能である。液状冷媒は、圧力制御受液器202から液状冷媒霜取り管228を経由し霜取り凝縮液蒸発供給弁230を介して蒸発器200’に流れる。このとき、制御圧液供給弁216および凝縮排液流量制御弁212は閉じており、霜取り凝縮液蒸発供給弁230は開いていて調節可能である。霜取りサイクル中は、蒸発器200’内の液状冷媒は蒸発してガス状冷媒となり、ガス状冷媒はHSS管232を経由して回収される。また、霜取り凝縮液蒸発圧力制御弁234は開いて調節を行ない、冷却サイクル流量制御弁208は閉じている。
【0054】
高温ガス霜取りサイクル中には、凝縮器204’の対面にある媒体は加熱され、蒸発器200’の対面にある媒体は冷却されることが理解できよう。霜取りサイクル中に発生する蒸発は、圧縮器の吐出圧力を低下させ熱交換器の冷却媒体温度を低くするが故に、凝縮装置内の(水または水とグリコールのような)媒体を冷却するのに役立つという点で付加的効果を奏し、これによって節電できる。
【0055】
なお、高温ガス霜取りサイクルを行なわずにCESを利用することも可能である。CESに利用する他のタイプの霜取り手段としては、空気霜取り、水霜取り、あるいは電気霜取りが含まれる。
図2および
図3に示した概略図に関していえば、当業者であれば、高温ガス霜取りを行なわず代わりに空気霜取り、水霜取り、あるいは電気霜取りを利用するように装置を改変する方法が理解できよう。
【0056】
アンモニアの削減は、アンモニアが労働安全衛生局(OSHA)により「放出すると毒性危険物、火災危険物、あるいは爆発危険物となるおそれのある毒性化学物、反応性化学物、引火性化学物、あるいは爆発性化学物」(OSHAから引用)として分類されているので、重要になってきている。アンモニアは、この法令で規制されるので、OSHAはプロセス安全管理(PSM)プログラムを作成すべき要件として、施設内のアンモニア一万ポンド(約4536kg)以上という閾値量を定めている。毒性化学物、反応性化学物、引火性化学物、あるいは爆発性化学物の削減は常に望ましいものだが、多くの工業用冷却装置が、同じサイズおよび処理能力で設計可能でありながら一万ポンド(約4536kg)の閾値を下回る装置として提供できるので、PSMプログラム要件を無くせる点に留意すべきである。PSMプログラムは、一般的に高価で時間のかかるものである。
【0057】
CESは屋上型冷却装置で使用することができるが、このタイプは各蒸発器または限られた数の蒸発器が、ペアを組む圧縮器と凝縮器が搭載された一台の凝縮ユニットに局所的に配管されている。複数の屋上型ユニットは互いに自律しており、冷却管が相互に接続されていることはない。
【0058】
若干の変更を行なえば、CESを変更し満液式装置もしくは再循環式装置で動作できることに留意されたい。満液法における配管は異なるが、CESの基本である局所的凝縮動作は同じである。再循環式装置ではCES専用の小さなポンプを組み込む必要があるが、満液法とポンプ方法の両者は、どの施設においてもアンモニア量が増えるので理想的とは言えない。
【0059】
図3の凝縮・蒸発装置106は、冷媒を蒸発器に供給するために直接膨張を使用するので、直接膨張供給式装置として特徴付けることができる。凝縮・蒸発装置において、冷媒を蒸発器に供給するために別の装置を使用してもよい。例えば、凝縮・蒸発装置は、ポンプ供給式、満液供給式、あるいは加圧供給式で構成されてもよい。
【0060】
ここで
図4を参照すると、別の凝縮・蒸発装置が参照番号300で示されている。凝縮・蒸発装置300は、液状冷媒を蒸発器304に供給するポンプ315を使用しているので、ポンプ供給式凝縮・蒸発装置とみなすことができる。凝縮圧力での高温ガスは、高温ガス管306を経由して導入し、高温ガス弁308で調節して凝縮器300に導入する。凝縮器300および蒸発器304は、それぞれ熱交換器301と305である。高温ガス霜取り中は、熱交換器301を蒸発器300’とみなし、熱交換器305は凝縮器304’とみなすことができる。凝縮した液状冷媒は、液状冷媒管310を経由して凝縮器300から圧力制御受液器302に流れる。液体冷媒管310に弁312を備えて、圧力制御受液器302への流れを調節できる。圧力制御受液器302内の液状冷媒の液位レベルを液位モニタ340で監視し、弁346で隔絶させることができる。圧力制御受液器302内の液状冷媒は、液状冷媒供給管314を経由して蒸発器304へ供給することができ、ポンプ315で流れを制御することができる。蒸発器304から出る冷媒は蒸発器戻し管324を経由して流れ、圧力制御受液器302に戻るが、戻し弁325で流れを制御してもよい。圧力制御受液器302内で、ガス状冷媒と液状冷媒は分離される。ガス状冷媒は、ガス状冷媒回収管320を経由して吸引し、その先で回収し圧縮装置で圧縮する。ガス状冷媒回収管320を経由する流れは、ガス状冷媒回収弁322で制御してもよい。
【0061】
高温ガス霜取り中には、弁308、312、および325は閉じるが、弁322は閉じてもよいし、流れ調節に使用してもよい。高温ガスは、高温ガス管306から高温ガス霜取り管304へ導入され、高温ガス霜取り弁309を介して熱交換器305、すなわち凝縮器304’へと導かれる。液状冷媒は、熱交換器305から液状冷媒戻し管350を経由して圧力制御受液器302に流れる。弁352および354は、冷媒の流れを液状冷媒戻し管350から圧力制御受液器302もしくは熱交換器301に制御するために使用される。弁354が開いているときは、冷媒が圧力制御受液器302に流れ込み、その液位を液位制御装置340で監視し弁346で隔絶させる。弁352が開いているときは、冷媒が熱交換器供給管358を経由して、熱交換器301に流れる。熱交換器301を蒸発器300’として使用し、液状冷媒を沸騰させてガス状冷媒とし、それをガス状冷媒戻し管360を経由して圧縮装置に戻し、戻し管弁362で制御する。CES300では、高温ガス霜取り中には圧力制御受液器302を迂回させて冷媒を流すことができる。なお、CES300は、電気、水、空気などを含め、別の方法で霜取りを行なうこともできることに留意されたい。
【0062】
次に、
図5と
図6を参照しながら、満液供給式装置とみなされる、別の流れを有する凝縮・蒸発装置を示す。
【0063】
図5は、熱交換器405の吸引側にある圧力制御受液器402(冷却サイクル中は蒸発器404とみなし、高温ガス霜取り中は凝縮器404’とみなすことができる)に供給する様子を示している。高温ガス管406を経由して高温ガス冷媒を熱交換器401(冷却サイクル中は凝縮器400とみなし、高温ガス霜取り中は蒸発器400’とみなすことができる)へ導入し、弁408で流れを制御する。冷媒は熱交換器401で凝縮されるので、凝縮された冷媒は凝縮冷媒管410と弁412(フロートを含んでいてもよい)を経由して熱交換器405に流れる。なお、冷却サイクル中は、弁430および432は閉じる。液状冷媒で熱交換器405は満液となるので、冷媒は熱交換器405から圧力制御受液器供給管436を経由して溢れ出て、圧力制御受液器402に向かう流れは弁438で制御される。液状冷媒とガス状冷媒は圧力制御受液器402の内部で分離される。圧力制御受液器402内部の液状冷媒の液位は液位モニタ440で監視し、弁446で隔絶させる。液位が高くなりすぎると、弁408と412の両方またはいずれかで熱交換器405に向かう冷媒の流れを減少させる。ガス状冷媒は、圧力制御受液器402から吸引し、管420(さらに弁422で流れを制御できる)を経由して機関室へ送り、そこで圧縮する。
【0064】
高温ガス霜取り中には、弁438、412および408を閉じ、弁422は閉じるか、または流れを調節するために使用する。高温ガスは、高温ガス管406と高温ガス供給管470と高温ガス供給弁472を経由して熱交換器405に導入される。熱交換器405内で凝縮された液状冷媒は、管474を経由して熱交換器405から流れる。弁430が熱交換器401に至る流れを制御し、弁432が圧力制御受液器402に至る流れを制御する。高温ガス霜取り中は、熱交換器401は蒸発器として使用され、液体を沸騰させてガスにし、管480と弁482を経由して機関室に戻す。なお、別の配管配置も考えられる。冷媒は、管474を経由して弁432を通り圧力制御受液器402に流すようにしてもよい。液状冷媒は、圧力制御受液器402に集めることができる。必要であれば、ガス状冷媒は管420と弁422を経由して回収することができる。
【0065】
ここで
図6を参照すると、圧力制御受液器402を熱交換器505の吸引側と液体側の両方に配管した凝縮・蒸発装置が示されている。冷却時は、高温ガスは高温ガス管506を経由して熱交換器501に導入され、弁508によって調節される。熱交換器501は冷却サイクル中には凝縮器500とみなし、高温ガス霜取りサイクル中には蒸発器500’とみなすことができる。冷媒が凝縮されると、圧力制御受液器供給管510と弁512(フロートを含んでいてもよい)を経由して圧力制御受液器502に供給する。圧力制御受液器502内の液体は、満液となって満液管520と満液管弁522を経由して熱交換器505に流れる。熱交換器505は冷却サイクル中には蒸発器504とみなし、高温ガス霜取りサイクル中には凝縮器504’とみなすことができる。管524にある弁526は、冷却中は閉じる。液体とガスの混合物は、冷媒戻し管530を経由して圧力制御受液器502に戻り、その流れは弁532によって制御される。液体とガスは圧力制御受液器502で分離され、ガスは管527および弁528を経由して吸引され、機関室に送られて圧縮される。
【0066】
圧力制御受液器502内部の液位は、液位モニタ540で監視され、弁546で隔絶させる。液位が高くなりすぎると弁508と弁512の両方またはいずれかを閉じるか、または流れを少なくして圧力制御受液器502内の必要な液位に調節する。(例えば、華氏マイナス40度のような)低温の用途では、圧力制御受液器を追加して熱交換器501と圧力制御受液器502との間に配管し、処理能力を増やすことが望ましい。この圧力制御受液器は、熱交換器501から流れ出た液体冷媒から、それが圧力制御受液器502に流入するに先だって、熱の一部を除去するために、冷却装置の吸引圧力がより高い部分に配管すればよい。こうすれば、効率が優れたものとなる。
【0067】
高温ガス霜取り中には、 弁532、512および508を閉じる。高温ガスは、高温ガス管511と弁509を経由して熱交換器505に導入される。熱交換器505から戻る、液状とガス状の冷媒は弁管520および弁522を経由して圧力制御受液器502に流れる。圧力制御受液器502内の液位が高くなりすぎると、弁522は閉じる。あるいは、液状とガス状の冷媒は管524および弁526(フロートを含んでいてもよい)を経由して熱交換器501に流れてもよい。熱交換器501は蒸発器として使用され、液体を沸騰させて再度ガスにし、管532および弁234を経由して機関室に戻す。オプションとして供給弁550を示しているが、これで戻し冷媒を調節することができる。配管は様々に変更可能である。
【0068】
ここで
図7を参照すると、加圧供給装置として特徴付けられる別の圧縮・蒸発装置が示されている。冷却サイクル中には、高温ガスは管606を経由して熱交換器601(熱交換器601は、冷却サイクル中は凝縮器600とみなし、高温ガス霜取り中は蒸発器600’とみなすことができる)に導入され、弁608を介して調節される。冷媒は凝縮されるので、液状冷媒が管610および弁612(フロートを含んでいてもよい)を経由して圧力制御受液器602内に供給される。圧力制御受液器602内の液位は液位モニタ640で監視され、弁646で隔絶させる。
【0069】
液状冷媒は、圧力制御受液器602から加圧貯蔵装置660を通って蒸発器604(熱交換器605は、冷却サイクル中は蒸発器604とみなし、高温ガス霜取り中は凝縮器604’とみなすことができる)に移動する。加圧貯蔵装置660は、単一の貯蔵庫として備えても複数の貯蔵庫として備えてもよい。
図7では、第一貯蔵庫661および第二貯蔵庫662として複数の貯蔵庫を示している。液状冷媒は、CPR602から液状冷媒管663および第一弁680を経由して第一貯蔵庫661へ流れる。第一貯蔵庫661が十分に満杯になると、高温ガスが高温ガス管606および弁666を経由して第一貯蔵庫661を加圧し、冷媒が蒸発器604に流入する。ソレノイド670をオプションとして示しているが、ソレノイド666が開いて液体を移送するときにこれを開く。冷媒が第一貯蔵庫661から蒸発器604に流れる一方で、CPR602からの冷媒は管663および弁681を経由して第二貯蔵庫662に流れる。第二貯蔵庫662が十分に満杯になると、第二貯蔵庫662を高温ガス管606、708、709および弁667を経由する高温ガスにより加圧し、冷媒を第二貯蔵庫662から蒸発器604に押し出す。ソレノイド671をオプションとして示しているが、ソレノイド667が開いて液体を移送するときにこれを開く。二つの貯蔵庫661と662は、液の充填と蒸発器604への供給を交互に行なう。必要であれば、三つ以上の貯蔵庫を利用してもよい。
【0070】
必要であれば、管672に計量装置を備えて流れを調整してもよい。弁682および683を用いて、第一貯蔵庫661と第二貯蔵庫662の圧力を均等化すれば、液体が圧力制御受液器602から第一貯蔵庫661と第二貯蔵庫662に重力排出する。弁680および681は、圧力制御受液器602から第一貯蔵庫661と第二貯蔵庫662への冷媒の流れを制御する。三方バルブのような組み合わせ弁を使用すれば、配管のいくつかは無くせる。
【0071】
戻し冷媒は、管690を経由し弁692を介して圧力制御受液器602に配管を通じて戻り、そこでガスと液体が分離される。ガスは、管620および弁622を経由して吸引され、機関室に戻ってそこで圧縮される。
【0072】
高温ガス霜取り中には、高温ガスを管708および弁710を経由して熱交換器605に導入する。戻し高温ガスおよび液体は、管720およびソレノイド弁721(フロートを含んでいてもよい)を経由して戻す。この戻しを弁730および732で、圧力制御受液器602または熱交換器601のいずれかへ送出し、後者は蒸発器として使用され、液体を沸騰させて再度ガスにし、管632および弁634を経由して機関室に戻す。設計エンジニアの好みに応じてさまざまな配管の変形があるが、基本的な前提は記載の通りである。
【0073】
上記の仕様は、本発明に基づく製品を製造して使用するための完全な説明を提供するものである。本発明の多くの実施形態は本発明の精神および範囲から逸脱することなく行なうことができるので、本発明は添付の特許請求の範囲に存する。