(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6235475
(24)【登録日】2017年11月2日
(45)【発行日】2017年11月22日
(54)【発明の名称】構造化された陰極を備える透明OLEDデバイス及びかかるOLEDデバイスの製造方法
(51)【国際特許分類】
H05B 33/26 20060101AFI20171113BHJP
H05B 33/28 20060101ALI20171113BHJP
H01L 51/50 20060101ALI20171113BHJP
H05B 33/24 20060101ALI20171113BHJP
H05B 33/10 20060101ALI20171113BHJP
【FI】
H05B33/26 Z
H05B33/28
H05B33/14 A
H05B33/24
H05B33/10
【請求項の数】12
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-537779(P2014-537779)
(86)(22)【出願日】2012年10月22日
(65)【公表番号】特表2014-531126(P2014-531126A)
(43)【公表日】2014年11月20日
(86)【国際出願番号】IB2012055797
(87)【国際公開番号】WO2013061237
(87)【国際公開日】20130502
【審査請求日】2015年10月20日
(31)【優先権主張番号】61/552,830
(32)【優先日】2011年10月28日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】KONINKLIJKE PHILIPS N.V.
(74)【代理人】
【識別番号】110001690
【氏名又は名称】特許業務法人M&Sパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】ルスケ マンフレッド ステファン
(72)【発明者】
【氏名】シュワブ ホルガー
(72)【発明者】
【氏名】リフカ ハーバート
【審査官】
辻本 寛司
(56)【参考文献】
【文献】
特開2011−134707(JP,A)
【文献】
国際公開第2000/070639(WO,A1)
【文献】
国際公開第2010/046833(WO,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2011/0215712(US,A1)
【文献】
特開2011−023336(JP,A)
【文献】
特開2001−035669(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2011/0193477(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 33/26
H01L 51/50
H05B 33/10
H05B 33/24
H05B 33/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
動作中に光を放射し、透明な陽極層と陰極層との間に位置付けられる有機層を有するOLEDデバイスであって、
前記陰極層は、導電材料により相互に接続される少なくとも2つの不透明な陰極領域と少なくとも1つの陰極のない領域とを有し、
前記陰極層は、前記OLEDデバイスの主延在面に沿って所定の形状のパターンを有し、
可視光が、前記陰極のない領域を通って、前記主延在面に交差する面の方向を通過する、
当該OLEDデバイス。
【請求項2】
前記透明な陽極層は、透明基板に付与される、請求項1に記載のOLEDデバイス。
【請求項3】
前記陰極層は、前記有機層の側から来る光を反射するように実現される、請求項1に記載のOLEDデバイス。
【請求項4】
前記陰極層は、金属を含む、請求項1に記載のOLEDデバイス。
【請求項5】
前記陰極のない領域は、前記OLEDデバイスに関して所定の位置での観察者の目により達成可能な最小解像度に従って形成された、請求項1に記載のOLEDデバイス。
【請求項6】
前記陽極層は、前記主延在面に沿ってパターンを有していない、請求項1に記載のOLEDデバイス。
【請求項7】
指定された観察者に向かう観察者方向を向く第1の表面と、反対方向を向く第2の表面とを備える窓ガラスであって、前記窓ガラスは、請求項1に記載の前記OLEDデバイスを有し、前記陽極層は、前記観察者方向に向くように配置されている、窓ガラス。
【請求項8】
動作中に光を放射し、透明な陽極層と陰極層との間に位置付けられる有機層を有するOLEDデバイスの製造方法が、
不透明な陰極領域及び陰極のない領域を備える前記陰極層をOLEDデバイスの主延在面に沿って形成することと、
少なくとも2つの前記陰極領域を導電材料により相互接続することと、を含み、
可視光が、前記陰極のない領域を通って、前記OLEDデバイスの前記主延在面に交差する面の方向に通過することができるように形成する、
当該OLEDデバイスの製造方法。
【請求項9】
前記陰極層を形成することは、前記陰極層を部分的に除去することを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記陰極層の部分的な除去は、レーザーアブレーションにより行われる、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記陰極層の部分的な除去は、エッチング、好ましくはプラズマエッチングにより行われる、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記陽極層を前記主延在面に沿ってパターンを有さずに形成することをさらに含む、請求項8に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、動作中に光を放射し、基本的に透明な陽極層と基本的に不透明な陰極層との間に位置する有機層を有するOLEDデバイスを説明する。本願は、このようなデバイスを製造する方法も説明する。
【背景技術】
【0002】
OLEDデバイス、すなわち、有機発光ダイオードデバイスは、面光源というよりはむしろ点光源として一般に説明され得る通常のLEDとは対照的に、面光源である。OLED技術を用いて実現され得る1つの特徴は、オフ状態において透明である面光源を有することである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
透明な又は部分的に透明なOLEDのための従来の概念は、薄く、低吸収性の陰極の使用に基づく。換言すれば、陰極は、透明な又は半透明の材料でできている。OLEDデバイスの陽極及び有機層も、同様に透明であるため、完成品のOLEDデバイスは、一般に透明である。このコンテキストにおいて、用語「透明(transparent)」は、本願全体にわたって、「半透明(translucent)」と同義語としても使用される点に、概ね、留意されたい。「基本的に透明(Essentially transparent)」は、通常、可視周波数内の光が、80%未満、好ましくは50%未満、最も好ましくは20%未満の損失で通過することができる特定の層又はデバイスの状態として定義される。従って、「基本的に透明(essentially transparent)」の反対である「基本的に不透明(essentially opaque)」は、光が少なくとも80%の比率で吸収されるときに、常に達成される。本説明の全体を通して、「層(layer)」は、単一の一体の層を含むが、特に有機層に関して、層のスタックも含み得る。
【0004】
例えば、US 2011/0193477 A1は、透明な陽極と透明な陰極との間に有機発光層を備えるOLEDデバイスを開示する。加えて、有機層から離れる陰極の側に、構造化されたミラー層が、配置される。
【0005】
透明な陰極を実現するために、しばしば銀ベースの陰極が用いられる。このような薄い銀層と接続される1つの不利な点は、これらが信頼性の問題に悩まされるということである。加えて、銀は、高コストであり、比較的希少な材料である。いわゆるTCOs、すなわち、ITO(酸化インジウムスズ)などの透明な導電性の酸化物などの他の材料も理論的には用いられ得るが、光を放射する有機層は、このような層の堆積及び/又は硬化の間に容易に損傷を受け得る。
【0006】
従って、通過する少なくとも幾らかの周囲光に対して透明であり、製造と維持の両方が同時に容易であるOLEDデバイスを実現する方法の代替解決策を提供することが、本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の目的は、請求項1に記載のOLEDデバイスにより、及び請求項11に記載の方法により達成される。
【0008】
本発明によると、上述のようなOLEDデバイスは、陰極層が存在する少なくとも一つの陰極領域と、可視光が陰極のない領域を通って、OLEDデバイスの断面伸展方向を通過できる、複数の陰極のない領域、及び/又は、少なくとも一つのより大きな伸展の陰極のない領域とを有するために、意図的にOLEDデバイスの主伸展面に沿って構造化された陰極層を有する。
【0009】
従って、説明されているものは、主伸展面に沿って陰極層が構造化され、それゆえ不透明な領域と透明な領域とに分けられる主伸展面を備える部分的に透明なOLEDデバイスである。これによって、表現「面(plane)」は、必ずしも面の完全に平坦な伸展を指すというわけではなく、曲面も意味することができる点に留意されたい。陰極層、有機層、及び陽極層は、互いの上に配置され、これは、これらがOLEDデバイスの断面伸展に沿って配置されることを意味する。
【0010】
第1の可能性によると、意図的に、すなわちわざと特定の所定の位置に陰極層を構造化することにより、複数の陰極のない領域、すなわち光、特に人間に可視な周波数の範囲にある光が、全OLEDデバイスを通過する孔又はホールを有する陰極層の構造が達成される。同様の効果は、上述のUS 2011/0193477 A1において達成され得るが、層の削減(不透明な反射構造を提供するために、追加の層が必要でない)、及びより複雑でない陰極材料で達成できる。しかしながら、光学的な結果は、非常に類似し、OLEDデバイスの動作中、陰極のない領域と陽極との間に発光は起こらない。軽微な散乱効果を除いて、光は、陽極の方向にのみ放射される。陰極のない領域を多くすればするほど、OLEDデバイスの全体の透明度は高くなるが、動作中に放射され得る光も少なくなる。
【0011】
代替又は追加の解決策である第2の可能性によると、少なくとも一つのより大きな伸展の陰極のない領域が供給される。ここで、「より大きな伸展(larger extension)」は、OLEDデバイスの主伸展面の全エリアの少なくとも5%、好ましくは少なくとも10%、及び最も好ましくは少なくとも20%を有すると定義される。両方の可能性が、周囲光が1つの面から他の面に容易に通過することができるOLEDデバイスに対して提供される。このようなOLEDデバイスに対して、銀又はTCOs以外の他の材料が、陰極を実現するために用いられ得る。これは、アルミニウム膜などのよく知られた、かなり安価な材料が用いられ得ることを意味し、アプリケーション及びメンテナンスの両方に関して、より複雑でない材料を使用する可能性を有する。
【0012】
このコンテキストにおいて、OLEDデバイスは、通常、表示領域と非表示領域とに分けられ得ることに留意されたい。例えば、接触エリアとしての役割を果たすOLEDデバイスの主伸展面に沿った全領域は、表示領域として機能しない。対照的に、表示領域は、意図的に観察者に表示される役割を果たすOLEDデバイスの領域であり、これは、好ましくは、有機層を活性化することにより光が放射されるエリア内の境界により規定される。
【0013】
本発明によると、上述のような方法は、陰極層が存在する少なくとも一つの陰極領域と、可視光が陰極のない領域を通って、OLEDデバイスの断面伸展方向を通過できる、複数の陰極のない領域、及び/又は、少なくとも一つのより大きな伸展の陰極のない領域とを有するために、陰極層がOLEDデバイスの主伸展面に沿って意図的に構造化されるステップを含む。
【0014】
この方法の結果は、本発明によるOLEDデバイスとなる。本発明による方法を使用する具体的な有利な点は、標準材料が陰極層として用いられ得るという事実にあり、これら標準材料は一般に不透明であるにもかかわらず、部分的に透明なOLEDデバイスが広範な追加の労力なしに実現されるということである。これは、従属請求項による実施形態のコンテキストに示されるだろう。
【0015】
このようなOLEDデバイスは、好ましくは窓ガラスに適用される。このような場合、指定された観察者の位置に依存して、陽極層及び陰極層は、種々異なる方向に向けられ得る。従って、指定された観察者に向かう観察者方向を向く第1の表面と、反対方向、すなわち指定された観察者から離れる方向を向く第2の表面とを備える窓ガラスは、陰極が反対方向に面するように配置され、陽極層が観察者方向に面するように配置される、本発明によるOLEDデバイスを有することが好ましい。このようなOLEDデバイスは、例えば、暗い時に、OLEDデバイスが室内を照らす一方で、昼間は入って来る光を減らすことができるように、観察者が位置する室内の窓ガラスに例えば適用され得る。
【0016】
従属請求項及び以下の説明は、特に有利な実施形態及び本発明の特徴を開示する。実施形態の特徴は、適切に組み合わされてもよい。1つの請求項カテゴリのコンテキストに説明されている特徴は、別の請求項カテゴリに等しく適用できる。
【0017】
本発明の第1実施形態によると、OLEDデバイスは、陰極のない領域のパターンを有する。これは、逆に言えば、OLEDデバイスは、陰極領域のパターンを有することを意味し、これにより、好ましくは少なくとも1つの陰極のない領域が、陰極領域により囲まれる。このようなパターンは、特にOLEDデバイスのアプリケーションのコンテキストに依存して、規則的及び不規則的の両方があり得る。パターンは、例えば、陰極のない領域の等しいサイズ及び/又は形状を用いて実現され得る。同じことが、陰極領域に当てはまる。特に、パターンは、主伸展面に沿った少なくとも一つの方向に関する反復パターンであることが好ましい。これは、同じパターン構造が、少なくともこの一方向に沿って、好ましくは両方向に、数回見られ得ることを意味する。最も好ましいのは、一連の陰極のない領域及び陰極領域が連続的に、特に両方向において、同一であるパターンである。例えば、格子パターン、又は矩形若しくは丸形パターンの陰極のない領域及び/又は陰極領域が使用され、それぞれの領域は、OLEDデバイスの主伸展面の両方向に、各々から等しい距離に整列する。
【0018】
代替として又は第1の実施形態に加えて用いられ得る第2の実施形態によると、陰極領域は、図形要素の描写を形成するように構造化される。このような図形要素は、記号だけでなく文字又は数字などの符号を含むことができるが、一種の符号化された画像又は記号といった、必ずしもこれである必要はないが、図形要素を含んでもよい。OLEDデバイスは広告又はデザインの目的のために用いることができるため、図形要素は、特にデザイン要素等を含んでもよい。これは、動作中のOLEDデバイスの色及び光だけが画像又は描写を構成するのではなく、付加的な説明効果を提供できるように、スイッチオフ状態の陰極領域の形状もこれらを構成することを意味する。図形要素は、例えば1つ又は幾つかの陰極領域が図形要素を形作るように、これらを成形することにより実現することができる。しかしながら、図形要素は、別のパターン内の陰極のない領域及び陰極領域の異なるパターンにより実現することもできるので、前記異なるパターンを持つ領域が、それ自体の図形要素を構成するように見える。例えば、パターン内のホールなどの陰極のない領域が、別のエリアにおけるよりも、図形要素の選択されたエリアにおいて小さい場合、この効果は、図形要素の選択されたエリアが、この図形要素であるように見えることである。このような陰極のない領域が、別のエリアにおけるよりも、選択されたエリアにおいて小さい場合にも同様のことがいえる。
【0019】
好ましくは、透明な陽極層は、例えばガラス又は透明なプラスチックなどの透明基板に付与される。これは、OLED全体の更なる安定性を提供し、透明な陽極層(及びこの上の層)を環境から絶縁するのにも役立ち、従って、有機層だけでなく陽極層に及び陰極層にさえも損害を与えるであろう湿気又は他の影響に対する保護を提供する。
【0020】
陰極層が有機層の側から来る光を反射するように実現されるのが更に好ましい。これは、一方向に、すなわち、陰極層から離れる方向に、有機層により放射される光を焦点に集めるのに役立ち、このため、より多くの光が陽極層を介して観察者の方向に放射される。一般に、本発明によるOLEDデバイスは、光が、基本的に陽極層を通してのみ放射されるように実現され、陰極のない領域を通した光の特定の放出を提供する光の散乱効果は、おそらくほとんどない。この散乱効果は、反射する陰極層により更に減少され得る。加えて、このコンテキストにおける陰極層のミラー効果は、OLEDの全体印象に、動作中でない場合であってもデザイン要素の外観を与えるため、特に望ましい。陰極層は、種々異なる領域に構造化されるので、このようなミラーリング用陰極層は、デザイン要素として用いられることができ、このデザイン効果は、ミラー効果により強調される。
【0021】
特に、陰極層を実現するために用いられる材料は、金属、例えばアルミニウム又は銀を含む。このコンテキストにおいて、銀で不透明度を達成するためには、上述の従来技術におけるよりも、より厚い層が使用される必要があることが留意されなければならない。従来の銀層は、充分な透明度を提供するために約10nmの厚みを有する。従って、本発明のコンテキストにおいて用いられる不透明な銀層は、以下に概略が説明されるように、著しくより大きな厚みを有する。不透明な銀層は、良好な反射特性という有利な点を有し、これは、層を幾つかのアプリケーションに対して有利にする。他方では、アルミニウム膜又は銀でない他の金属膜は、しばしば、低いコスト及びより少ない労力で提供されることができる。表現「膜(film)」は、前もって製造され、その後OLEDデバイスの他の層の上に配置される箔などのユニットを必ずしも指すわけではない点に留意されたい。むしろ、しばしば膜は、蒸着により、場合によっては、スパッタリングによっても他の層の上に配置される。
【0022】
陰極層の所望の不透明度を達成するために、陰極領域の陰極層は、少なくとも50nm、好ましくは少なくとも80nm、最も好ましくは少なくとも100nmの厚さを持つことが好ましい。上で述べたように、有機層の上方に位置するときに、一体の部品として有機層に付与され、構造化され得る膜から、最も好ましい陰極層が形成される。
【0023】
本発明によるOLEDデバイスの1つの有利な点は、不透明度は、陰極層の断面伸展の中の原子の特定の最小量も意味するということである。従って、比較的低いインピーダンスを達成することができる。それゆえ、陰極層は、3Ω/スクエア以下、好ましくは1.5Ω/スクエア以下、好ましくは1Ω/スクエア以下のシート抵抗を有することが好ましい。これは、しかるべき材料厚と組み合わせられる材料の適切な選択により実現することができる。
【0024】
本発明によるOLEDデバイスの基本構造は、陰極層が、OLEDデバイスの面全体に沿って陰極層として動作されるために、1つの特定のスポットにおいて接触されることのみを必要とするというものである。このため、OLEDデバイスは、正に1つの単一の陰極領域又は複数の陰極領域を有し、少なくとも2つ、好ましくは全ての陰極領域が、導電材料により相互接続されることが好ましい。これは、電気相互接続が明確に陰極層内にあることを意味する。OLEDデバイスが1つの完全な単一の陰極領域のみを有する場合、この領域は、これが存在する任意のスポットで接触することができることは、明らかである。同様の効果は、別々の陰極領域を、例えば陰極層のレベルで相互接続することにより、実現され得る。その相互接続は、例えば、銀などの透明な導電材料を別々の陰極領域の間に局所的に付与することにより実現し得る。従って、本発明による方法は、局所的に付与された透明な導電材料により、少なくとも2つの陰極領域を相互接続することにより、向上し得る。透明な導電材料を局所的に付与する手段は、透明な導電材料が、OLEDデバイスの主伸展面、特に表示領域の主伸展面に沿ってのみ、選択的に付与されることを意味する。
【0025】
一般にではあるが、特に上述の窓ガラスの適用において、本発明によるOLEDデバイスの具体的な実施形態で、陰極のない領域は、OLEDデバイスに関して所定の位置での観察者の目により達成可能な最小解像度に従って実現される。このことにより、陰極のない領域の形状及び/若しくはサイズ、並びに/又は、互いの距離は、一種のぼけ効果が発生するように、最小解像度が所定の位置での観察者に対して不十分であることが好ましい。例えば、OLEDデバイスの陰極層が、陰極のない領域として小さな丸いホールを含む場合、これらのホールのサイズ及び互いの距離のために、その結果、OLEDデバイスが動作中のときに、観察者が陰極領域と陰極のない領域とを区別することができず、従って、その代わりに発光面だけを見ることになる。対照的に、同様の効果が、この逆により達成され得る。つまり、陰極領域のサイズを減らすことにより、及び/又は、陰極領域をしかるべく成形することにより、及び/又は、しかるべく互いの距離を調整することにより、同様のぼけ効果が、周囲光に関して達成され得る。
【0026】
陰極層を構造化する1つの方法は、一体の層としてではなく、これを局所的にのみ付与することによる。この方法で、例えばラインパターンが、実現され得る。しかしながら、陰極層は、これを部分的に除去することにより構造化されるのが好ましい。これは、陰極層を効果的に構造化する特に簡単な方法であり、というのは、陰極層は、まず一部に又は一つの層として付与されることができ、その結果、構造化は、その後の選択の決定的なプロセスであるからである。加えて、陰極抵抗は、このように低くなり得る。このコンテキストにおいて、陰極層を部分的に除去する1つの可能性は、レーザーアブレーションによる態様である。安定したプロセスを意味するこの標準的な方法は、所望の領域においてのみの非常に効率的な除去の単純かつ比較的速い方法を提供する。しかしながら、場合によっては、陰極層の除去は、残骸が生じない態様で行われることを望まれる。残骸は、短絡及び/又は薄膜封止に関する潜在的危険となり得る。従って、陰極層を部分的に除去する別の可能性は、エッチング、好ましくはプラズマエッチングによってである。除去されることになっているエリアは、例えば後続のフォトリソグラフィ又はインクジェット印刷を伴うスピン又はスリット被覆を介して堆積されたレジストでできているエッチングマスクで規定される。
【0027】
本発明の他の目的及び特徴は、添付の図面と組み合わされる以下の詳細な説明から明らかになるだろう。しかしながら、図面は、単に例示のためにだけであり、本発明の限定の規定としてデザインされたのではないことは、理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】
図1は、本発明によるOLEDデバイスの実施形態の断面図を示す。
【
図2】
図2は、
図1によるOLEDデバイスの陰極層のパターンの第1例を示す。
【
図3】
図3は、
図1によるOLEDデバイスの陰極層のパターンの第2例を示す。
【
図4】
図4は、
図1によるOLEDデバイスの陰極層のパターンの第3例であって、更に図形要素の第1例を含むように実現された第3例を示す。
【
図5】
図5は、
図1によるOLEDデバイスの陰極層のパターンの第4例を示す。
【
図6】
図6は、図形要素を含むように実現された
図1によるOLEDデバイスの陰極層の第2例を示す。
【
図7】
図7は、図形要素を含むように実現された
図1によるOLEDデバイスの陰極層の第3例を示す。
【
図8】
図8は、本発明によるOLEDデバイスの実施形態の適用位置を示す。
【0029】
図において、同様の数字は、全体を通して同じ対象物を指す。図の対象物は、必ずしも縮尺に合せて描かれているわけではない。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図1は、下から上に(すなわちOLEDデバイスの断面伸展CEに沿って)、透明なガラス基板9、透明な陽極層5、動作中に光L1を放射する有機層3、及び陰極層7を有するOLEDデバイス1を示す。陰極層7は、陰極層7が存在する陰極領域11と、陰極層7が存在しない陰極のない領域13との両方がある態様で構造化される。これらの陰極領域11及び陰極のない領域13は、OLEDデバイス1の主伸展面EPに沿って整列される。アルミニウムが、陰極のない領域に基本的に完全に消失されるように、構造化された陰極層7は、不透明なアルミニウム膜の局所的レーザーアブレーションにより実現されている。陰極領域11及び陰極のない領域13は、パターンPを作り出し、これは規則的な反復するパターンPである。
【0031】
OLEDデバイスのこの特定の構成は、幾つかの効果を有する。第1に、OLEDデバイスは、1つの放射面E、すなわち陰極層7から離れる面のみを有する。このため、陰極層7は、動作中に有機層3により放射される光がミラーリングされて、放射面Eの方向にOLEDデバイスを出るようになっている。第2に、周囲光L2は、放射面Eの反対の背面BからOLEDデバイスを通過することができ、またこの逆も成立する。このことは、製造が容易な、部分的に透明なOLEDを提供する、というのは、不透明な陰極層7は、標準の、それ故に比較的安価で使いやすい材料、すなわちアルミニウム膜でできていたからである。
【0032】
図2は、OLEDデバイス1の放射面Eから見た陰極層7のパターンP1の第1例を示す。ここで、陰極層7は、規則的なパターンで整列し、全体に電気的接触を提供するために任意のスポットで実質的に接触され得る1つの一体の陰極領域13により囲まれる、かなり小さく丸く成形された、(要するに、円形)の陰極のない領域を有することが分かる。
【0033】
図3は、OLEDデバイス1の放射面Eから見た陰極層7のパターンP2の第2例を示す。ここで、陰極のない領域13及び陰極領域11は、互いに沿って、一種のチェス盤パターンに整列された、大きさの等しい正方形である。更に、互いと接触するこれらの末端での陰極領域11の単一の正方形間の接触のため、陰極領域11は、1つの一体の領域であり、それゆえ、任意のスポットで再び接触し得る。
【0034】
図4は、OLEDデバイス1の放射面Eから見た陰極層7のパターンP3の第3例を示す。
図3に示されるように、基本的にパターンP2で作り出され、パターンP2におけるのと同じく、第1の陰極のない領域13a及び第1のカソード領域11aで作り出される。しかしながら、中間エリアでは、十字を表している図形要素が、第2の陰極のない領域13b及び第2の陰極領域11bのわずかに異なるパターンにより実現され、これによって、後者は第1のカソード領域11aよりもサイズが大きく、前者は第1の陰極のない領域13aよりサイズが小さい。視覚的効果は、その外側の境界が実際に明確に描かれていないにもかかわらず、図形要素としての十字が観察され得ることである。
【0035】
図5は、OLEDデバイス1の放射面Eからの陰極層7のパターンP3の第4例を示す。ここで、陰極層7の領域における大部分の空間は、陰極のない領域13である。陰極領域11は、規則的に成形された格子パターンにすぎない。にもかかわらず、格子パターンは、再び一体の陰極領域11を提供するので、再び任意のスポットで接触し得る。
【0036】
図6は、図形要素F1を有するOLEDデバイスの陰極層7の第2例を示す。ここで、名称「Otto」、すなわち文字の組み合わせ、つまり一般に符号が、図形要素F1として描写されている。図形要素F1は、陰極領域11により作り出されるのに対し、Oのホール内部及びOLEDデバイス1の表示領域の周辺部は、陰極のない領域13でできている。これは、OLEDデバイス1のスイッチがオフのときにも、OLEDデバイス1がスイッチがオンのときにも、図形要素F1が見られることを意味する。
【0037】
図7は、図形要素F2を有するOLEDデバイス1の陰極層7の第3例を示す。このコンテキストでは、表示領域Dの規定も説明する。図形要素F2は、周囲円15により囲まれる陰陽符号である。この周囲円15は、OLEDデバイス1の表示領域Dの境界を定める。陰陽符号は、特定の魚のような形の中央にホールを有する。1つの陰極のない領域13は、魚のような形の陰極領域11内でホールを構成するのに対し、第2の陰極領域11は、魚のような形の陰極のない領域13内でホールを構成する。1つの接触で同時に両方の陰極領域11を接触させるために、導電材料の2本の導電トレース17は、これらの2つの導電領域11を相互接続するので、これら両方がただ1つの接触に基づいて光を放射することができる。OLEDデバイス1がスイッチオフの間又は動作している間のいずれにも、これらの導電トレース17は、観察者がこれらを見ることができないように、透明なトレース17である。
【0038】
図8は、OLEDデバイス1の実施形態の特定のアプリケーション位置を示す。
図2に示されるパターンP1を用いて実現されるOLEDデバイス1は、窓21の窓ガラス19に取り付けられる。陽極層5は、窓21からの所定の距離d2での所定のユーザ位置UPから窓21を見る観察者Uの方向を向けられた窓ガラス19の第1の表面S1の方向に向いている。従って、陰極層7は、反対方向、すなわち第1の表面S1の反対側にある第2の表面S2の方向を向く。OLEDデバイス1のパターンP1は、陰極のない領域13が互いから等しい距離d1にあるように実現される。この距離d1は、観察者の所定のユーザ位置UPで、観察者Uの所定の距離d2に依存して規定される。距離d1は、観察者Uが、OLEDデバイス1の動作中に、陰極領域11と陰極のない領域13とを区別することが可能でないように選択される。従って、観察者Uに、彼がその面の全体にわたって光を放射する発光源に直面しているという全体的な印象を与える、一種の不鮮明な効果が発生する。
【0039】
本発明は、好ましい実施形態及びバリエーションの形式で開示されているにもかかわらず、多数の付加的な変更及びバリエーションが、本発明の範囲から離れることなくなされることができることが理解されるだろう。例えば、陰極領域のパターン及び形状は、非常に多様な可能性からの選択を構成する。更に、
図1に示される層から離れて、本発明によるOLEDデバイスは、一つ以上の付加的な機能的な又はデザイン性のある層を有する。
【0040】
明確にするために、「a」又は「an」の本願全体にわたる使用は、複数を除外せず、「を有する(comprising)」は、他のステップ又は要素を除外しないことは理解されるべきである。