(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6235480
(24)【登録日】2017年11月2日
(45)【発行日】2017年11月22日
(54)【発明の名称】放射線検出器
(51)【国際特許分類】
H01L 27/144 20060101AFI20171113BHJP
G01T 1/24 20060101ALI20171113BHJP
H01L 27/146 20060101ALI20171113BHJP
H01L 31/08 20060101ALI20171113BHJP
【FI】
H01L27/144 K
G01T1/24
H01L27/146 F
H01L31/00 A
【請求項の数】16
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-546707(P2014-546707)
(86)(22)【出願日】2012年12月12日
(65)【公表番号】特表2015-507841(P2015-507841A)
(43)【公表日】2015年3月12日
(86)【国際出願番号】IB2012057212
(87)【国際公開番号】WO2013088352
(87)【国際公開日】20130620
【審査請求日】2015年12月9日
(31)【優先権主張番号】61/569,833
(32)【優先日】2011年12月13日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】KONINKLIJKE PHILIPS N.V.
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】エンゲル,クラウス ユルゲン
(72)【発明者】
【氏名】ヘルマン,クリストフ
【審査官】
鈴木 肇
(56)【参考文献】
【文献】
特開2003−294845(JP,A)
【文献】
特開2010−093071(JP,A)
【文献】
独国特許出願公開第102007055676(DE,A1)
【文献】
特表平10−512372(JP,A)
【文献】
特開平10−056196(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/339
H01L 27/14 −27/148
H01L 29/762
H01L 31/00 −31/02
H01L 31/0232
H01L 31/0248
H01L 31/0264−31/0336
H01L 31/08 −31/119
H01L 31/18 −31/20
H01L 51/42
G01T 1/00 − 1/16
G01T 1/167 − 7/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
X線又はγ線の照射に応じて電子正孔対を生成する放射線感受性の半導体素子;
前記半導体素子の第1表面上に配置されて、陽極画素を表す陽極セグメントに区分化される陽極電極であって、前記陽極セグメント間には陽極ギャップが配置される、陽極電極;
前記第1表面とは反対に位置する前記半導体素子の第2表面上に配置されて、第1陰極セグメントと第2陰極セグメントに区分化される陰極電極であって、前記第1陰極セグメントは前記陽極セグメントに対向して配置され、かつ、前記第2陰極セグメントは前記陽極ギャップに対向して前記第2表面に沿って配置される、陰極電極;及び、
前記第1陰極セグメントと前記第2陰極セグメントに各異なる電位を結合させるように前記第1陰極セグメントと前記第2陰極セグメントに電気的接続を供する陰極端子;
を有する、放射線検出器。
【請求項2】
前記第1陰極セグメントが、前記第1陰極セグメントのアレイとして配置される、請求項1に記載の放射線検出器。
【請求項3】
前記第1陰極セグメントが、前記第2表面上で前記陽極セグメントと同一の形状を有する、請求項1に記載の放射線検出器。
【請求項4】
前記第1陰極セグメントが、互いに分離し、かつ、第1陰極端子と個別に結合する、請求項1に記載の放射線検出器。
【請求項5】
前記第1陰極セグメントが、前記半導体素子の第2表面上に配置される陰極接続電極によって、群をなして結合され、
前記群は第1陰極端子と個別に結合される、
請求項1に記載の放射線検出器。
【請求項6】
前記第2陰極セグメントが、前記第2陰極セグメントのグリッドとして配置される、請求項1に記載の放射線検出器。
【請求項7】
前記第2陰極セグメントが、1つ以上の第2陰極端子と結合する1つ以上の群をなして結合する、請求項1に記載の放射線検出器。
【請求項8】
前記陰極電極が少なくとも3つの陰極セグメントに区分化され、
前記第1陰極セグメントは、前記陽極セグメントに対向するように配置され、
前記第2陰極セグメントは、前記第1陰極セグメントの周りで入れ子構造をとり、
前記陰極端子は、各異なる陰極セグメントに各異なる電位を結合するため、前記各異なる陰極セグメントに電気的接続を供する、
請求項1に記載の放射線検出器。
【請求項9】
前記半導体素子が、元素半導体材料、周期律表のIV族から選ばれる2元半導体材料、周期律表のIII族とV族から選ばれる2元半導体材料、周期律表のII族とVI族から選ばれる2元半導体材料、周期律表のIV族とVI族から選ばれる2元半導体材料、3元半導体材料、又は、4元半導体材料から作られる、請求項1に記載の放射線検出器。
【請求項10】
隣接する前記陽極セグメント間であって前記陽極ギャップ間に配置される陽極ギャップセグメント、及び、
前記陽極ギャップセグメントに電位を結合させるために前記陽極ギャップセグメントに電気的接続を供する陰極端子、
をさらに有する、請求項1に記載の放射線検出器。
【請求項11】
X線又はγ線の照射に応じて電子正孔対を生成する放射線感受性の半導体素子;
前記半導体素子の第1表面上に配置されて、陰極画素を表す陰極セグメントに区分化される陰極電極であって、前記陰極セグメント間には陰極ギャップが配置される、陰極電極;
前記第1表面とは反対に位置する前記半導体素子の第2表面上に配置されて、第1陽極セグメントと第2陽極セグメントに区分化される陽極電極であって、前記第1陽極セグメントは前記陰極セグメントに対向して配置され、かつ、前記第2陽極セグメントは前記陰極ギャップに対向して前記第2表面に沿って配置される、陽極電極;及び、
前記第1陽極セグメントと前記第2陽極セグメントに各異なる電位を結合させるように前記第1陽極セグメントと前記第2陽極セグメントに電気的接続を供する陽極端子;
を有する、放射線検出器。
【請求項12】
請求項1に記載の放射線検出器;
前記第1陰極セグメントと前記第2陰極セグメントに各異なる電位を結合させるように前記陰極端子に結合される電源;
を有する、放射線検出装置。
【請求項13】
前記電源は、前記第2陰極セグメントと前記陽極電極との間の電圧差が、前記第1陰極セグメントと前記陽極電極との間の電圧差より大きくなるように、前記第1陰極セグメントと前記第2陰極セグメントに各異なる電位を結合させる、
請求項12に記載の放射線検出装置。
【請求項14】
前記電源が、10V乃至200Vの範囲の電圧差を有する前記第1陰極セグメントと前記第2陰極セグメントに電位を結合させるように構成される、請求項12に記載の放射線検出装置。
【請求項15】
請求項11に記載の放射線検出器;
前記第1陽極セグメントと前記第2陽極セグメントに各異なる電位を結合させるように前記陽極端子に結合される電源;
を有する、放射線検出装置。
【請求項16】
前記第1陰極セグメントは、前記半導体素子の第2表面上に配置される陰極接続電極によって、行又は列毎に群をなして結合され、
前記群は第1陰極端子と個別に結合され、
前記第2陰極セグメントは、1つ以上の第2陰極端子と結合する1つ以上の群をなして結合し、
前記第2陰極セグメントは、前記第1陰極セグメントを部分的に囲むように配置される、
請求項1に記載の放射線検出器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特にX線とγ線用の放射線検出器及び放射線検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
直接変換材料−たとえばCdTe又はCZT−に基づくX線又はγ線用のエネルギー分解検出器は、光子エネルギーを測定する効率的な方法であることが証明されてきた。直接変換型X線及びγ線検出器は一般的に、電圧を印加するために金属電極を対向する複数の表面上に備える半導体材料層を有する。入射X線光子は、吸収された光子エネルギーにほぼ比例する多数の電子正孔対を生成する。電場の存在により、正孔と電子は、金属電極によって収集されるまで、反対方向にドリフトされる。通常は、連続する金属電極が、光子が入射して突き抜ける表面上に用いられ(通常は陰極として用いられる)、かつ、複数の画素電極からなるアレイが、前記表面に対向する表面上に用いられる(通常は陽極画素として用いられる)。非特許文献1に記載されているように、このような配置では、吸収される光子の位置とエネルギーは、対応する画素陽極上に誘起される電流パルスから決定されて良い。
【0003】
電子のドリフト運動は拡散によって表面を覆う。その結果、時間と共に電子群の拡大が起こる。電子群が隣接する画素間の境界付近に位置する場合、その電子群の一部分は一の画素によって収集され、かつ、その電子群の他の部分は隣接する画素によって収集されるということが起こる。これは、「電荷共有(charge sharing)」としてよく知られた過程である。その結果、いずれの画素においても、計数が惹起され、両画素の各々は本来の電荷の(ある程度ランダムな)一部を示す。その結果本来のエネルギー情報が失われる。
【0004】
特許文献1は、X線コンピュータ断層撮像の放射線検出器についての放射線変換器について開示している。前記変換器は、荷電担体、電子、及び正孔における放射線−たとえば粒子線−の直接変換用の固体変換層、及び、該変換層の一の面上に取り付けられる離散的な画素電極の組を有する。対向電極は、前記変換層の他の面上に取り付けられる。前記他の面は前記一の面の反対である。前記変換層は、削除電極とコンタクトを有する。前記削除電極のうちの一は、前記対向電極に割り当てられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】西独国特許出願公開第102007055676A1号明細書
【特許文献2】米国特許第6333504号明細書
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】K.J. Engel and C. Herrmann, Simulation of one-dimensionally polarized X-ray semiconductor detectors, Proceedings of SPIE 7961, 79610W (2011).
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、上述した電荷共有が減少する放射線検出器及び放射線検出装置を供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1態様では、放射線検出器が与えられる。当該放射線検出器は:
−
X線又はγ線の照射に応じて電子正孔対を生成する放射線感受性の半導体素子;
−
前記半導体素子の第1表面上に配置されて、陽極画素を表す陽極セグメントに区分化される陽極電極であって、前記陽極セグメント間には陽極ギャップが配置される、陽極電極;
−
前記第1表面とは反対に位置する前記半導体素子の第2表面上に配置されて、第1陰極セグメントと第2陰極セグメントに区分化される陰極電極であって、前記陰極電極は前記第1陰極セグメントは前記陽極セグメントに対向して配置され、かつ、前記第2陰極セグメントは前記陽極ギャップに対向して配置される、陰極電極;及び、
− 前記第1陰極セグメントと前記第2陰極セグメントに各異なる電位を結合させるように前記第1陰極セグメントと前記第2陰極セグメントに電気的接続を供する陰極端子;
を有する。
【0009】
本発明の他の態様では、放射線検出装置が与えられる。当該放射線検出装置は:
−
第1態様により提案される放射線検出器;
− 前記第1陰極セグメントと前記第2陰極セグメントに各異なる電位を結合させるように前記陰極端子に結合される電源;
を有する。
【0010】
本発明の好適実施例は従属請求項において規定される。請求項に記載された放射線検出装置は、請求項に記載された放射線検出器及び従属請求項に記載された好適実施例と同一及び/又は同様の好適実施例を有する。
【0011】
本発明は、電荷共有の問題を緩和するのに区分化された陰極を利用するという考え方に基づく。前記陰極セグメントは、各異なる電位で保持される。それにより不均一な電場が、画素境界領域直上の前記陰極付近に存在する。そのため発生した電子群は、画素の中心(つまり陽極セグメントの中心)へ向かうさらなるドリフト成分を得る。その結果、各電子群の重心は対応する画素中心付近に見いだされ、かつ、(複数の)隣接する画素による電荷共有は減少する。
【0012】
正孔による信号生成が、電子による信号生成よりも効率的である半導体素子に用いられる場合には、「陽極」及び「陰極」という語句並びにこれらの素子の機能は入れ替えられても良いことに留意して欲しい。換言すると、同一の幾何学構造が用いられるが、用いられる前記電極(陰極及び陽極)の極性は異なる。従ってそのような半導体素子が用いられる場合、当該放射線検出器及び放射線検出装置に係る請求項は、陽極と陰極が入れ替えられた−つまり前記陽極が放射線に対向し、かつ、前記陰極が前記半導体素子の反対面上に配置される−検出器及び検出装置を網羅すると解される。
【0013】
従って第2態様では、本発明は放射線検出器を供する。当該放射線検出器は:
−
X線又はγ線の照射に応じて電子正孔対を生成する放射線感受性の半導体素子;
− 前記半導体素子の第1表面上に配置されて、陰極画素を表す陰極セグメントに区分化される陰極電極であって、前記陰極セグメント間には陰極ギャップが配置される、陰極電極;
− 前記第1表面とは反対に位置する前記半導体素子の第2表面上に配置されて、第1陽極セグメントと第2陽極セグメントに区分化される陽極電極であって、前記陽極電極は前記第1陽極セグメントは前記陰極セグメントに対向して配置され、かつ、前記第2陽極セグメントは前記陰極ギャップに対向して配置される、陽極電極;及び、
− 前記第1陽極セグメントと前記第2陽極セグメントに各異なる電位を結合させるように前記第1陽極セグメントと前記第2陽極セグメントに電気的接続を供する陽極端子;
を有する。
【0014】
さらに他の態様では、放射線検出装置が与えられる。当該放射線検出装置は:
− 第2態様により提案される放射線検出器;
− 前記第1陽極セグメントと前記第2陽極セグメントに各異なる電位を結合させるように前記陰極端子に結合される電源;
を有する。
【0015】
好適実施例によると、前記第1陰極セグメントは、第1陰極セグメントのアレイとして配置される。好適には前記陽極セグメントも同様に−前記第1陰極セグメントのアレイと同一の構造として−配置される。この実施例は、単一の陰極及び陽極セグメントを単純にアドレス指定できる規則的な配置を供する。
【0016】
他の実施例によると、前記第1陰極セグメントは、前記陽極セグメントとは異なり、前記第2表面に対して平行な方向に同一の形態を有する。
【0017】
前記陰極端子を実装する複数の異なる実施例が存在する。一の実施例では、前記陰極端子は、前記第1陰極セグメントに結合される第1陰極端子、及び、前記第2陰極セグメントに結合される第2陰極端子を有する。それにより前記第1陰極端子と第2陰極端子には各異なる電位が結合される。
【0018】
他の実施例では、前記陰極端子は、前記半導体がたとえば「バンプボール」によって結合され、かつ、電気的接続経路を供する層であって良い。
【0019】
さらに他の実施例では、前記陰極端子は、2つ(以上)の電源と各陰極セグメント(又は複数の陰極セグメントが接続する群)との間に電気伝導性コンタクトを供する。
【0020】
前記第1陰極セグメントをアドレス指定する複数の異なる実施例が存在する。第1実施例では、前記第1陰極セグメントは、互いに分離(具体的には孤立)し、かつ、第1陰極端子と個別に結合する。この実施例は、各陰極セグメントに電位を個別に与えらることができるという利点を供するが、多数の陰極端子を必要とする。代替実施例では、前記第1陰極セグメントは、前記半導体素子の第2表面上に配置される陰極接続電極によって、−具体的には行又は列毎に−群をなして結合される。前記群は第1陰極端子と個別に結合される。この実施例が必要とする陰極端子の数は少ない。
【0021】
好適には前記陰極セグメントは、第2陰極セグメントのグリッドとして配置される。係る実施例では、すべてのグリッドと結合されるのに単一の第2陰極端子で十分あることが好ましい。あるいはその代わりに、前記第2陰極セグメントは、1つ以上の第2陰極端子と結合する1つ以上の群をなして結合する。それにより前記第2陰極セグメントへ、より個別的に電位を供することが可能となる。
【0022】
他の実施例では、前記陰極電極は少なくとも3つの陰極セグメントに区分化される。前記第1陰極セグメントは、前記陽極セグメントに対向するように配置される。前記第2陰極セグメントは、前記第1陰極セグメントの周りで入れ子構造をとる。前記陰極端子は、各異なる陰極セグメントに各異なる電位を結合するため、前記各異なる陰極セグメントに電気的接続を供する。本発明の実施例では、前記陰極端子は、前記各異なる陰極端子に各異なる電位を結合するため、各異なる陰極セグメントに結合される少なくとも3つの陰極端子を有することが好ましい。これらの実施例は、電荷共有を回避又は抑制するようなさらなる改善を与える。
【0023】
好適には前記半導体素子は、X線又はγ線による照射に応じて電子正孔対を生成するように構成される。たとえば前記半導体素子は、元素半導体材料−たとえばSi又はGe−、周期律表のIV族から選ばれる2元半導体材料−具体的にはSiGe又はSiC−、周期律表のIII族とV族から選ばれる2元半導体材料−たとえばInP、GaAs、又はGaN−、周期律表のII族とVI族から選ばれる2元半導体材料−たとえばCdTe、HgTe、CdSe、又はZnS−、周期律表のIV族とVI族から選ばれる2元半導体材料−たとえばPbO又はPbS−、3元半導体材料−たとえばCdZnTe、HgCdTe、又はAlGaAs−、又は、4元半導体材料−たとえばInGaAsP又はInGaAlP−から作られる。
【0024】
有利となるように、当該放射線検出器は、隣接する陽極セグメント間であって前記陽極ギャップ間に配置される陽極ギャップセグメント、及び、前記陽極ギャップセグメントに電位−具体的には前記陽極セグメントの電位よりもより負の電位(又は実施例によってはより正の電位)−を結合させるために前記陽極ギャップセグメントに電気的接続を供する陰極端子をさらに有して良い。これにより、前記電子を画素陽極セグメントへさらに進めるすることが可能になる。従って前記境界を横切って隣接する画素へ向かう電子の数を減少させることによって電荷共有が緩和される。さらにバルク内部での電荷(つまり正孔)の前記陽極セグメントへの容量結合が減少する。それによりより信頼性のある信号が、前記陽極セグメントによって生成される。
【0025】
一般的には、前記陽極端子の実装には、前記陰極端子について上述したことと同じことが成立する。つまり様々な考えられ得る実施例が存在する。一の実施例では、前記陽極端子は、前記陽極セグメントに結合される第1陽極端子、及び、前記陽極ギャップセグメントに結合される第2陽極端子を有する。それにより前記第2陽極端子に電位が結合される。前記電位は、前記第1陽極端子と比較してより負であることが好ましい。
【0026】
当該放射線検出装置の実施例では、前記電源は、前記第2陰極セグメントに電位を結合するように構成される。前記第2陰極セグメントは、前記第1陰極セグメントに結合される電位よりも大きな電圧差を前記陽極電極に供する。さらに、前記電源は、10V〜200Vの範囲の電圧差を有する前記第1陰極セグメントと前記第2陰極セグメントに電位を結合させるように構成されることが好ましい。かつ/あるいは前記電源は、50V〜1000Vの典型的な範囲の前記陰極電極の電圧に対する電圧差を有する前記第1陰極セグメントと前記第2陰極セグメントに電位を結合させるように構成される。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本発明による放射線検出装置の実施例の断面図を示している。
【
図2】本発明による放射線検出器の第1実施例の上面図を示している。
【
図3】本発明による放射線検出器の第2実施例の上面図を示している。
【
図4】本発明による放射線検出器の第3実施例の上面図を示している。
【
図5】本発明による放射線検出器の第3実施例の上面図を示している。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明の上記及び他の態様は、以降に記載される(複数の)実施例を参照することで明らかにされる。
【0029】
図1は、放射線検出器2を含む本発明による放射線検出装置1の実施例の断面図を示している。図の視野方向は、陰極セグメントが配置されている面を通り抜けるように入射する放射線3(たとえばX線又はγ線)の方向に垂直な方向である。
図2は、入射放射線3の方向に沿った陰極セグメントの上面図内の放射線検出器2の第1実施例を示している。
【0030】
図1と
図2に示されているように、提案された放射線検出器2は、前記放射線3の照射に応じて電子正孔対を生成する放射線感受性の半導体素子10を有する。係る半導体素子10は一般的に当技術分野において知られ、かつ、元素半導体材料−たとえばSi又はGe−、周期律表のIV族から選ばれる2元半導体材料−具体的にはSiGe又はSiC−、周期律表のIII族とV族から選ばれる2元半導体材料−たとえばInP、GaAs、又はGaN−、周期律表のII族とVI族から選ばれる2元半導体材料−たとえばCdTe、HgTe、CdSe、又はZnS−、周期律表のIV族とVI族から選ばれる2元半導体材料−たとえばPbO又はPbS−、3元半導体材料−たとえばCdZnTe、HgCdTe、又はAlGaAs−、又は、4元半導体材料−たとえばInGaAsP又はInGaAlP−から作ることができる。他の実施例では、電子よりも正孔による信号生成の方が効率的となる半導体材料が選ばれて良い。その場合、放射線検出器の幾何学構造は同一だが、電極の極性は異なる(つまり陽極と陰極が入れ替わる)。
【0031】
放射線検出器2は、放射線3が当たらない半導体素子10の第1表面11上に配置される(金属)陽極電極20をさらに有する。前記陽極電極20は、陽極画素を表す陽極セグメント21に区分化される。電極の存在しない(つまりメタライズされていない)陽極ギャップ22が、前記陽極セグメント21間に配置される。
【0032】
放射線3が当たる半導体素子10の反対の表面12では、放射線検出器2はさらに、(金属)陰極電極30を有する。前記陰極電極30は、第1陰極セグメント31と第2陰極セグメント32に区分化される。前記第1陰極セグメント31は、前記陽極セグメント21に対向するように配置される。前記第2陰極セグメント32は、前記陽極ギャップ22に対向するように配置される。前記第1陰極セグメント31と前記第2陰極セグメント32の間には、メタライズされていない陰極ギャップ33が隔離用に供される。
【0033】
さらに前記第1陰極セグメント31に結合される第1陰極端子41、及び、前記第2陰極セグメント32に結合される第2陰極端子42を有する他の陰極端子40が供される。それにより第1陰極端子31と第2陰極端子32には各異なる電位が結合される。
【0034】
好適には、陽極セグメント21に電位−たとえば接地電位−を結合するため、並びに/又は信号読み取り及び信号処理のために陽極セグメントに放射線検出装置1の信号電子機器4(たとえば増幅器、信号処理装置、記憶素子等)を結合するために陽極セグメント21に結合される陽極端子50が供される。
【0035】
この実施例では、正方形状の第1陰極セグメント31は、横方向位置が陽極セグメント21に対応する一方で、格子状の第2陰極セグメント32は、陽極セグメント21間の境界領域(つまり陽極ギャップ22)に対応する。好適には本発明の実施例によると、第2陰極セグメント32には、-U
bias1の電位が与えられている第1陰極セグメント31の電位よりも負性の大きい電位-U
bias2が与えられる。これは、前記陰極端子41,42に各異なる電位を結合するために前記陰極端子41,42に結合する電源5(又は複数の別個の電源)を用いることによって実現されることが好ましい。
【0036】
図1に示されているように、一画素(一画素は陽極セグメント21によって画定され、画素の境界は
図1の破線23によって示されている)に関連する最大体積内部では、電気力線6aは、ほぼ均一な電場を表す。画素の境界に対応する体積内では、電気力線6bは、第2陰極セグメント32付近で曲げられる。曲げられることで、電子(主として電気力線に追随する)は、画素の中心−つまり陽極セグメント21の中心−へ向かうように押される。この結果、電子群が陽極電極20に接近する場合には、その電子群が画素の中心へ向かって横方向にシフトする。それにより隣接する画素と重なりは小さくなり、その結果電荷共有は小さくなる。よって正しい本来の光子エネルギーを有する計数が記録される確率が増大する。
【0037】
図2に示された放射線検出器2の実施例では、画素の境界23は理想的には第2陰極セグメント32によって覆われる。この実施例では、第1陰極セグメント31は第1陰極端子41によって個別に電気的に接触する必要があるが、一般的にはすべてが電気的に接続される第2陰極セグメント32と接触するのに単一の第2陰極端子42で十分である。
【0038】
放射線検出装置1内においても用いられ得る放射線検出器2aの第2実施例上面図が、特に陰極電極30aの区分を示す
図3に示されている。この実施例では、画素の境界23は理想的に第2陰極セグメント32aには覆われていない。この実施例において、第1陰極セグメント31aは、接続された陰極セグメント31aの各群に単一の接触点(つまり単一の第1陰極端子41)でバイアス電圧供給を可能にする陰極接続電極33aによって、群をなすようにして電気的に接続される。第2陰極セグメント32aは依然として、すべて接続されているが、
図2に図示されているような連続的で規則的なグリッドではなくギャップを備える。
【0039】
電荷共有の効果は、放射線の相互作用が起こる陰極側に近ければ近いほど大きくなることに留意して欲しい。なぜならこの場合、画素陽極へ向かうように生成された電子のドリフト時間が最大に到達することで、画素陽極に到達するまで拡張する電子群の時間は最大となるからである。
【0040】
放射線検出器2,2aの幾何学的サイズは縮尺変更可能である。典型的には、放射線検出器2,2aの厚さは0.5〜5mmで、画素サイズ(陽極セグメント21)は50〜2000μmである。陽極セグメント21間の典型的な陽極ギャップ22のサイズは20〜500μmである。
【0041】
U
bias1は典型的には、30〜500V/mmの電場を発生させるように選ばれる。陽極セグメント21は典型的には、0Vの電場(すなわち仮想的なGND)がかかっている。
【0042】
第2陰極セグメント32の典型的なサイズは、X線相互作用の典型的な深さ−つまり約50〜500μm−に相当する。曲げられた電気力線の領域の深さは、第2陰極セグメント32の格子線の「厚さ」に相当する。従ってU
bias1とU
bias2との間での電圧差は、(陽極画素21によって部分的に収集される)第2陰極セグメント32の放出電流の抑制と、第2陰極セグメント32周辺での電場の曲がりの最大化との間での最善の妥協として選ばれなければならない。
【0043】
電場の曲がりは、3つ以上の陰極の区分化−つまり本発明による放射線検出器2bの第3実施例を示す
図4において概略的に表されている画素間の境界領域23へ向かう負の電位が増大する入れ子構造のセグメント31b,32b,33b−を利用することによって最適化されて良い。
図4は、第2陰極セグメント32bと第3陰極セグメント33bが中心の第1陰極セグメント31bの周りに配置される陰極電極30bの区分化を具体的に示している。
【0044】
任意で陽極の区分化は、たとえば周知の操縦電極技術(たとえば
特許文献2に記載されているような)を用いることによってさらに改善することができる。放射線検出器2cの実施例の断面が
図5に示されている。この実施例では、陽極電極20cは、陽極セグメント21cと陽極ギャップ22cだけではなく、隣接する陽極セグメント21cの間であって前記陽極ギャップ22c内に配置される陽極ギャップセグメント23cをも有する。陽極ギャップセグメント23cの電位が陽極セグメント21cの電位よりも負になるように各異なる電位を前記第1陽極端子51と前記第2陽極端子52に結合するため、さらに前記陽極セグメント21cと結合する第1陽極端子51及び前記陽極ギャップセグメント23cと結合する第2陽極端子52が供される。これにより、隣接する画素との電荷共有を減少させる画素陽極セグメントの中心へ向かって電子をさらに進めることが可能となる。前記陽極ギャップセグメントによる前記第2陰極セグメント32の協働的な操作効果は最も有利な点である。前記陰極セグメント32は理想的には、初期の段階で電子群全体を画素の中心へ向かうように進める一方で、陽極ギャップセグメント23cの操作は、電子群(拡散によって時間と共に拡張する)の一部(つまり外側)が、隣接する画素によって収集されるのを回避する。さらにバルク内部での電荷の画素陽極セグメントへの容量結合が減少する。それによりより信頼性のある信号が、画素陽極セグメントによって生成される。
【0045】
さらに一般的には、より負の電位U
bias2は暗電流をわずかに増大させうる。よってU
bias2は、電流信号へのさらなるノイズが許容可能となるように選ばれなければならない。
【0046】
本発明は特に、電子正孔対が光子によって生成されるすべての種類の直接変換型検出器に適用可能である。より詳細にはこれらの光子はX線又はγ線光子であって良い。本発明の一の用途は特に、X線スペクトルイメージングにおける光子計数検出器である。従って提案された放射線検出装置には、様々な種類のX線装置、CT装置、又はγ線検出装置が含まれて良い。
【0047】
たとえ本発明が、図面及び上述の説明によって詳細に説明されているとしても、係る図面及び上述の説明は、例示であって限定ではないと解されるべきである。本発明は開示された実施例に限定されない。開示されている実施例の変化型及び修正型は、図面、開示事項、及び請求項の検討から、当業者によって理解可能であり、かつ、実現可能である。