特許第6235504号(P6235504)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6235504分布巻のラジアルギャップ型モータおよびその巻線配置方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6235504
(24)【登録日】2017年11月2日
(45)【発行日】2017年11月22日
(54)【発明の名称】分布巻のラジアルギャップ型モータおよびその巻線配置方法
(51)【国際特許分類】
   H02K 15/06 20060101AFI20171113BHJP
   H02K 3/28 20060101ALI20171113BHJP
   H02K 15/085 20060101ALI20171113BHJP
【FI】
   H02K15/06
   H02K3/28 J
   H02K15/085
【請求項の数】6
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2015-28637(P2015-28637)
(22)【出願日】2015年2月17日
(65)【公開番号】特開2016-152681(P2016-152681A)
(43)【公開日】2016年8月22日
【審査請求日】2016年6月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】390008235
【氏名又は名称】ファナック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100165191
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 章
(74)【代理人】
【識別番号】100151459
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 健一
(72)【発明者】
【氏名】任 鋼
(72)【発明者】
【氏名】植松 秀俊
【審査官】 服部 俊樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−069737(JP,A)
【文献】 特開2013−258835(JP,A)
【文献】 特開2003−153514(JP,A)
【文献】 特開2011−177012(JP,A)
【文献】 特開2011−205876(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 15/06
H02K 3/28
H02K 15/085
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
n極対(nは4の整数倍)の三相巻線が分布巻でステータのスロットに挿入されるラジアルギャップ型モータの巻線配置方法であって、
三相の各相ごとに、1極対ごとに巻回されるコイルを形成するコイル形成ステップと、
各前記相ごとに、回転方向に沿って奇数番目にある前記コイルの間を渡り線で連結して第1のコイルグループを形成し、回転方向に沿って偶数番目にある前記コイルの間を渡り線で連結して第2のコイルグループを形成するコイルグループ形成ステップと、
前記第1のコイルグループおよび前記第2のコイルグループのうちいずれか一方を、ステータのスロット内において半径方向の内側および外側のうちいずれか一方に挿入する第1の挿入ステップと、
前記第1のコイルグループおよび前記第2のコイルグループのうち他の一方を、前記スロット内において半径方向の内側および外側のうち他の一方に挿入する第2の挿入ステップと、
各前記相ごとに、前記第1のコイルグループと前記第2のコイルグループとが並列接続の関係となるように、前記第1のコイルグループの一端と前記第2のコイルグループの一端とを接続してこの接続点に電流入力側の引き出し線を形成するとともに前記第1のコイルグループの他の一端と前記第2のコイルグループの他の一端とを接続してこの接続点を中性点として形成する並列接続ステップと、
を備えることを特徴とするラジアルギャップ型モータの巻線配置方法。
【請求項2】
記第1の挿入ステップの後であって前記第2の挿入ステップの前に、前記引き出し線および前記中性点が配置されることになるコイルエンド近傍ならびに前記スロット内に、相間を絶縁する絶縁材をそれぞれ配置する絶縁ステップをさらに備える請求項1に記載のラジアルギャップ型モータの巻線配置方法。
【請求項3】
前記並列接続ステップの後に、前記引き出し線および前記渡り線を収容するための溝が形成された絶縁材を、前記引き出し線および前記中性点が配置されたコイルエンド近傍に配置する絶縁ステップと、
前記絶縁ステップの後に、前記引き出し線および前記渡り線を前記絶縁材の溝に収容する収容ステップと、
をさらに備える請求項1に記載のラジアルギャップ型モータの巻線配置方法。
【請求項4】
n極対(nは4の整数倍)の三相巻線が分布巻でステータのスロットに挿入されたラジアルギャップ型モータであって、
三相の各相ごとに設けられた、1極対ごとに巻回されたコイルのうち回転方向に沿って奇数番目にある前記コイルの間が渡り線によって連結された第1のコイルグループと、
各前記相ごとに設けられた、前記1極対ごとに巻回されたコイルのうち回転方向に沿って偶数番目にある前記コイルの間が渡り線によって連結された第2のコイルグループと、
各前記相ごとに設けられた、互いに並列接続された前記第1のコイルグループと前記第2のコイルグループとにおける一方の接続点から延びる電流入力側の引き出し線と、
各前記相ごとに設けられた、互いに並列接続された前記第1のコイルグループと前記第2のコイルグループとにおける他の一方の接続点である中性点と、
前記第1のコイルグループおよび前記第2のコイルグループを収容するスロットであって、前記第1のコイルグループおよび前記第2のコイルグループのうちいずれか一方を、前記スロット内において半径方向の内側および外側のうちいずれか一方に収容し、前記第1のコイルグループおよび前記第2のコイルグループのうち他の一方を、前記スロット内において半径方向の内側および外側のうち他の一方に収容するスロットと、
を備えることを特徴とするラジアルギャップ型モータ。
【請求項5】
前記引き出し線および前記中性点が配置されたコイルエンド近傍ならびに前記スロット内に配置された、相間を絶縁する絶縁材をさらに備える請求項4に記載のラジアルギャップ型モータ。
【請求項6】
前記引き出し線および前記中性点が配置されたコイルエンド近傍に配置された、前記引き出し線および前記渡り線を収容した溝が形成された絶縁材をさらに備える請求項4に記載のラジアルギャップ型モータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、三相巻線が分布巻でステータのスロットに挿入されたラジアルギャップ型モータおよびその巻線配置方法に関する。
【背景技術】
【0002】
三相モータの巻線配置としては、大きく分けて集中巻と分布巻の2種類がある。
【0003】
集中巻では、スロットに直接巻き付けてコイルを形成するものであり、コイルエンドは隣のコイルと重ならず、コイルエンドを小さくすることができる。
【0004】
一方、分布巻は、各相のコイルをいくつかのスロットに分散して巻いたものである。分布巻によると、三相のコイルがコイルエンドで重なり合ってスロットに挿入されるため、コイルエンドは大きくなる。コイルエンドが大きくなると、巻線抵抗が増加し、モータに電流を流した時の銅損が増加する。つまり、入力した電力に対するモータの出力が低下してモータ効率が悪くなる。
【0005】
従来より用いられる三相のラジアルギャップ型モータの分布巻方法について説明すると次の通りである。図9は、分布巻の際に用いられるブレードを示す斜視図であり、図10は、ブレードとステータコアとの位置関係を示す部分断面図である。分布巻には、ステータコア52の内径よりわずかに小さい外径を有し、ステータコア52のティース61の歯先と同じ幅の形状を有するブレード51(棒)が用いられる。図11図14は、従来より用いられるラジアルギャップ型モータの分布巻の方法を示す図である。まず、図1に示すように、まず1極対分ずつ成型したコイル53をブレード51に掛ける。一度にスロット55に挿入する挿入する分だけコイル53をブレード51に順に掛けたところで、図12に示すようにコイル53を掛けたブレード51の先にステータコア52をセットし、スロット開口部の幅を有しかつステータコア52の内径を外とする突起を有する挿入棒54を挿入することによって、ステータコア52のスロット開口部からスロット55にコイル53を挿入する。図13および図14は、図12を周方向に沿って切断したときの断面図であり、このうち図13は挿入棒54を用いたスロット55へのコイル53の挿入の途中の状態を示しており、図14はスロット55へのコイル53の挿入が完了した状態を示している。
【0006】
分布巻の巻線配置方法として、三相の各相を順々に挿入する方法がある。図15は、従来の分布巻のラジアルギャップ型モータの8極対36スロットの巻線配置の一例を模式的に示す展開断面図であり、図16は、図15に示すラジアルギャップ型モータの8極対36スロットの巻線配置を示す横断面図である。図15および図16において、各スロットSについて、モータの回転方向に沿って1〜36の識別番号をB欄に付している。また、図15においてはコイルを太線の実線で表記し、各相の電源入力側の引き出し線の端子を「○」で表記し、各相の中性点を「□」で表記する。また、3相のコイルを8極対36スロットで2層巻する際は、1スロットあたり、同相のコイルが2個または異なる2つの相が1個ずつ配置されることになるが、図15においては図面を簡明なものとするためにスロットに配置される3相のコイルを相ごとに対応した3列にして模式的に表記している。また、図16においてはスロットS内のコイルの断面形状自体の表記は省略してスロット内の各相のコイルを「+U」、「−U」、「+V」、「−V」、「+W」および「−W」との文字で表記し、各相の電源入力側の引き出し線のみを太線の実線で表記している。
【0007】
この巻線配置方法では、まず三相の各相ごとに、1極対分のコイルとして、例えば5スロットピッチの大コイルを2個、2スロットピッチの小コイルを1個、同心円状に形成する。そして、各相において、1極対分ずつ成型されるコイルを全て直列接続する。次いで、各相ごとに直列接続されたコイルについて、まずU相分のものをブレードに掛け、次にV相分のものをブレードに掛け、次にW相分のものをブレードに掛ける。そして、コイルがブレードに掛けられた状態のままステータコアに挿入する。このように「各相について1極対分ずつ成型されるコイルがすべて直列接続された状態のまま相ごとに順次ブレードに掛けられ、これをステータコアに挿入する」という単純な作業であるので、機械を用いた巻線配置の自動処理化が容易であるという利点がある。しかしながら、図16に示すようにコイルエンドは3相のコイルが複雑に交錯してしまう(重なり合ってしまう)。例えばV相について着目すると、+V相のコイルからの引き出し線と−V相のコイルからの引き出し線との間に、−U相のコイルからの引き出し線と+W相のコイルからの引き出し線が位置しており、3相のコイルが交錯している。このため、三相の各相を順々に挿入する方法は、コイルエンドが大型化するという問題がある。
【0008】
上述のようなコイルエンドでのコイルの交錯は、次に説明するように1極対分のコイル間の接続の仕方を工夫することである程度改善できる。図17は、従来の分布巻のラジアルギャップ型モータの8極対36スロットの巻線配置のさらなる一例を模式的に示す展開断面図であり、図18は、図17に示すラジアルギャップ型モータの8極対36スロットの巻線配置を示す横断面図である。図17および図18において、各スロットについて、モータの回転方向に沿って1〜36の識別番号をB欄に付している。また、図17においてはコイルを太線の実線で表記し、各相の電源入力側の引き出し線の端子を「○」で表記し、各相の中性点を「□」で表記する。また、図17においては図面を簡明なものとするためにスロットに配置される3相のコイルを2列に表記している。また、図18においてはスロット内のコイルの断面形状自体の表記は省略してスロット内の各相のコイルを「+U」、「−U」、「+V」、「−V」、「+W」および「−W」との文字で表記し、各相の電源入力側の引き出し線のみを太線の実線で表記している。図18に示すようにコイルエンドにおける各相のコイルが交錯しないよう、図17に示すように1極対ごとに巻回されたコイルを3相各相に順々に並べたうえで、同相間のコイルを直列接続する。これによりコイルエンドを小さくすることができるという利点がある。しかしながら、コイルエンドにおける各相のコイルが交錯しないことを優先すると、図17から分かるようにスロット内にてコイルが複雑に交錯してしまうことになり、「各相について1極対分ずつ成型されるコイルがすべて直列接続された状態のままブレードに掛ける」といった作業が複雑になり、機械を用いた巻線配置の自動処理化は困難を伴う。
【0009】
また例えば、同期式モータにおいて、多層巻かつ分布巻と同等の電気的透過性を維持しつつ、各スロット内の単位コイルの層数を低減して巻線工数の削減および巻線抵抗の減少を達成する発明が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平4−265645号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上述のように、各相について1極対分ずつ成型されるコイルをすべて直列接続された状態のまま相ごとに順次ブレードに掛けてこれをステータコアに挿入する方法によれば、機械を用いた巻線配置の自動処理化が容易であるという利点があるものの、コイルエンドにおいて3相のコイルが複雑に交錯してしまいコイルエンドが大型化するという問題がある。一方、コイルエンドを小さくするためにコイルエンドでは各相のコイルを交錯させずスロット内において各相のコイルを交錯させる巻線配置方法によると、「各相について1極対分ずつ成型されるコイルがすべて直列接続された状態のままブレードに掛ける」という作業が複雑になり、機械を用いた巻線配置の自動処理化の実現には困難が伴う。
【0012】
従って本発明の目的は、上記問題に鑑み、コイルエンドが大型化せずに構造容易な分布巻の巻線配置を実現することができるラジアルギャップ型モータおよびその巻線配置方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を実現するために、本発明においては、n極対(nは4の整数倍)の三相巻線が分布巻でステータのスロットに挿入されるラジアルギャップ型モータの巻線配置方法は、三相の各相ごとに、1極対ごとに巻回されるコイルを形成するコイル形成ステップと、各相ごとに、回転方向に沿って奇数番目にあるコイルの間を渡り線で連結して第1のコイルグループを形成し、回転方向に沿って偶数番目にあるコイルの間を渡り線で連結して第2のコイルグループを形成するコイルグループ形成ステップと、各相ごとに、第1のコイルグループと第2のコイルグループとが並列接続の関係となるように、第1のコイルグループの一端と第2のコイルグループの一端とを接続してこの接続点に電流入力側の引き出し線を形成するとともに第1のコイルグループの他の一端と第2のコイルグループの他の一端とを接続してこの接続点を中性点として形成する並列接続ステップと、を備える。
【0014】
また、ラジアルギャップ型モータの巻線配置方法は、コイルグループ形成ステップの後に、第1のコイルグループおよび第2のコイルグループのうちいずれか一方をステータのスロットに挿入する第1の挿入ステップと、第1の挿入ステップの後に、引き出し線および中性点が配置されることになるコイルエンド近傍ならびにスロット内に、相間を絶縁する絶縁材をそれぞれ配置する絶縁ステップと、絶縁ステップの後であって並列接続ステップの前に、第1のコイルグループおよび第2のコイルグループのうち他の一方をスロットに挿入する第2の挿入ステップと、をさらに備えてもよい。
【0015】
また、ラジアルギャップ型モータの巻線配置方法は、並列接続ステップの後に、引き出し線および渡り線を収容するための溝が形成された絶縁材を、引き出し線および中性点が配置されたコイルエンド近傍に配置する絶縁ステップと、絶縁ステップの後に、引き出し線および渡り線を絶縁材の溝に収容する収容ステップと、をさらに備えてもよい。
【0016】
本発明においては、n極対(nは4の整数倍)の三相巻線が分布巻でステータのスロットに挿入されたラジアルギャップ型モータは、三相の各相ごとに設けられた、1極対ごとに巻回されたコイルのうち回転方向に沿って奇数番目にあるコイルの間が渡り線によって連結された第1のコイルグループと、各相ごとに設けられた、1極対ごとに巻回されたコイルのうち回転方向に沿って偶数番目にあるコイルの間が渡り線によって連結された第2のコイルグループと、各相ごとに設けられた、互いに並列接続された第1のコイルグループと第2のコイルグループとにおける一方の接続点から延びる電流入力側の引き出し線と、各相ごとに設けられた、互いに並列接続された第1のコイルグループと第2のコイルグループとにおける他の一方の接続点である中性点と、第1のコイルグループおよび第2のコイルグループを収容するスロットと、を備える。
【0017】
また、ラジアルギャップ型モータは、引き出し線および中性点が配置されたコイルエンド近傍ならびにスロット内に配置された、相間を絶縁する絶縁材をさらに備えてもよい。
【0018】
また、ラジアルギャップ型モータは、引き出し線および中性点が配置されたコイルエンド近傍に配置された、引き出し線および渡り線を収容した溝が形成された絶縁材をさらに備えてもよい。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、コイルエンドが大型化せずに構造容易な分布巻の巻線配置を実現することができるラジアルギャップ型モータおよびその巻線配置方法を実現することができる。
【0020】
本発明の第1の実施例によれば、各相について1極対分ずつ成型されるコイルがすべて直列接続された第1のコイルグループおよび第2のコイルグループのまま相ごとにブレードに掛けてこれをステータコアに挿入するといった単純な作業となるので、分布巻の巻線配置を容易に実現することができ、コイルの形成からスロットへの挿入までの処理の機械化、および機械による自動処理化が容易である。またさらに、本発明の第1の実施例によれば、コイルエンドにおけるコイルの交錯が少なく、巻線抵抗を小さくすることができる。
【0021】
また、本発明の第2の実施例によれば、第1のコイルグループを挿入した後、絶縁材を配置し、その後、第2のコイルグループを挿入するので、コイルの形成からスロットへの挿入までの処理のみならず、絶縁処理についても機械化および機械による自動処理化が容易である。また、第1の実施例と同様に、コイルエンドにおけるコイルの交錯が少なく、巻線抵抗を小さくすることができる。
【0022】
また、本発明の第3の実施例によれば、引き出し線および中性点が配置されたコイルエンド近傍に、溝が形成された絶縁材を配置し、この溝に引き出し線ならびに渡り線を収容するので、相間の絶縁を確保することができるとともにコイルエンドの大型化を抑制することができる。また、第1のコイルグループと第2のコイルグループとの並列接続の後、溝が形成された絶縁材をコイルエンド近傍に配置してこの溝に引き出し線ならびに渡り線を収容するという単純な作業となるので、コイルの形成からスロットへの挿入までの処理のみならず、絶縁処理についても機械化および機械による自動処理化が容易である。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の第1の実施例によるラジアルギャップ型モータの巻線配置方法の動作フローを説明するフローチャートである。
図2】本発明の第1の実施例によるラジアルギャップ型モータの8極対36スロットの巻線配置の一例を模式的に示す展開断面図である。
図3図2に示すラジアルギャップ型モータの8極対36スロットの巻線配置を示す横断面図である。
図4】本発明の第2の実施例によるラジアルギャップ型モータの巻線配置方法の動作フローを説明するフローチャートである。
図5】本発明の第2の実施例における8極対36スロットのラジアルギャップ型モータのコイルエンドにおける相間絶縁を示す横断面図である。
図6】本発明の第2の実施例における8極対36スロットのラジアルギャップ型モータのステータ内における相間絶縁を示す横断面図である。
図7】本発明の第3の実施例によるラジアルギャップ型モータの巻線配置方法の動作フローを説明するフローチャートである。
図8】本発明の第3の実施例における絶縁材を示す斜視図である。
図9】分布巻の際に用いられるブレードを示す斜視図である。
図10】ブレードとステータコアとの位置関係を示す部分断面図である。
図11】従来より用いられるラジアルギャップ型モータの分布巻の方法を示す図(その1)である。
図12】従来より用いられるラジアルギャップ型モータの分布巻の方法を示す図(その2)である。
図13】従来より用いられるラジアルギャップ型モータの分布巻の方法を示す図(その3)である。
図14】従来より用いられるラジアルギャップ型モータの分布巻の方法を示す図(その4)である。
図15】従来の分布巻のラジアルギャップ型モータの8極対36スロットの巻線配置の一例を模式的に示す展開断面図である。
図16図15に示すラジアルギャップ型モータの8極対36スロットの巻線配置を示す横断面図である。
図17】従来の分布巻のラジアルギャップ型モータの8極対36スロットの巻線配置のさらなる一例を模式的に示す展開断面図である。
図18図17に示すラジアルギャップ型モータの8極対36スロットの巻線配置を示す横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下図面を参照して、n極対(nは4の整数倍)の三相巻線が分布巻でステータのスロットに挿入されるラジアルギャップ型モータおよびその巻線配置方法について説明する。
【0025】
図1は、本発明の第1の実施例によるラジアルギャップ型モータの巻線配置方法の動作フローを説明するフローチャートである。図2は、本発明の第1の実施例によるラジアルギャップ型モータの8極対36スロットの巻線配置の一例を模式的に示す展開断面図である。図3は、図2に示すラジアルギャップ型モータの8極対36スロットの巻線配置を示す横断面図である。ここでは、一例として、8極対36スロットのラジアルギャップ型モータ1の分布巻について説明する。図2および図3において、各スロットSについて、モータの回転方向に沿って1〜36の識別番号をB欄に付している。また、図2においてはコイルを太線の実線で表記し、各相の電源入力側の引き出し線の端子を「○」で表記し、各相の中性点を「□」で表記する。また、図3においてはスロットS内のコイルの断面形状自体の表記は省略してスロット内の各相のコイルを「+U」、「−U」、「+V」、「−V」、「+W」および「−W」との文字で表記し、各相の電源入力側の引き出し線のみを太線の実線で表記している。
【0026】
まず、ステップS101において、三相(U相、V相、W相)の各相について、1極対ごとに対応したコイルを巻回する。なお、スロットピッチおよび巻回数については本発明を特に限定するものではない。図2に示した極対数およびスロット数はあくまでも一例である。以下、形成された各相のコイルを次のように回転方向に沿って番号付けする。例えば図2および図3に示す8極対の場合、U相については、U相1番目コイルU1、U相2番目コイルU2、U相3番目コイルU3、およびU相4番目コイルU4とする。同様に、V相については、V相1番目コイルV1、V相2番目コイルV2、V相3番目コイルV3、およびV相4番目コイルV4とする。同様に、W相については、W相1番目コイルW1、W相2番目コイルW2、W相3番目コイルU3、およびW相4番目コイルW4とする。
【0027】
次いで、ステップS102において、各相ごとに、回転方向に沿って奇数番目にあるコイルの間を渡り線で連結して第1のコイルグループを形成し、回転方向に沿って偶数番目にあるコイルの間を渡り線で連結して第2のコイルグループを形成する。例えば図2および図3の例では、U相については、奇数番目のコイルであるU相1番目コイルU1とU相3番目コイルU3とを渡り線CU1で連結して第1のコイルグループを形成し、偶数番目のコイルであるU相2番目コイルU2とU相番目コイルU4とを渡り線CU2で連結して第2のコイルグループを形成する。同様に、V相については、奇数番目のコイルであるV相1番目コイルV1とV相3番目コイルV3とを渡り線CV1で連結して第1のコイルグループを形成し、偶数番目のコイルであるV相2番目コイルV2とV相番目コイルV4とを渡り線CV2で連結して第2のコイルグループを形成する。同様に、W相については、奇数番目のコイルであるW相1番目コイルW1とW相3番目コイルW3とを渡り線CW1で連結して第1のコイルグループを形成し、偶数番目のコイルであるW相2番目コイルW2とW相番目コイルW4とを渡り線CW2で連結して第2のコイルグループを形成する。
【0028】
次いで、ステップS103において、スロットS内を内側と外側とに分けた2層巻となるように、各相について形成された第1のコイルグループおよび第2のコイルグループをスロットSに挿入する。なお、2層巻に関する以下の説明では、スロットS内における第1のコイルグループおよび第2のコイルグループの半径方向の位置関係を、単に「内側」および「外側」と称することとする。図2および図3に示す例では、分布巻の配置とするべく、各相の第1のコイルグループについては回転方向に沿ってU相、W相、およびV相の順に各コイルが並ぶように配置し、各相の第2のコイルグループについても回転方向に沿ってU相、W相、およびV相の順に各コイルが並ぶように配置した上で、2層巻の配置とするべく、スロットS内において、内側には各相の奇数番目のコイルグループである第1のコイルグループを、外側には各相の偶数番目のコイルグループである第2のコイルグループをそれぞれ挿入する。なお、この代替例として、スロットS内において、外側に各相の奇数番目のコイルグループである第1のコイルグループを、内側に各相の偶数番目のコイルグループである第2のコイルグループを、それぞれ挿入してもよい。
【0029】
ステップS103におけるスロットSへの挿入には、例えば、上述したブレードが用いられる。すなわち、各相の第1のコイルグループについては回転方向に沿ってU相、W相、およびV相の順に各コイルが並ぶように内側ブレードにコイルが掛けられ、各相の第2のコイルグループについては回転方向に沿ってU相、W相、およびV相の順に各コイルが並ぶように外側ブレードにコイルが掛けられ、これらブレードの先にステータコアをセットし、スロット開口部の幅を有しかつ当該ステータコアの内径を外とする突起を有する挿入棒を挿入することによって、ステータコアのスロット開口部からスロットSにコイルを挿入する。このように、本発明の第1の実施例によれば、「各相について1極対分ずつ成型されるコイルがすべて直列接続された第1のコイルグループおよび第2のコイルグループのまま相ごとに順次ブレードに掛けられ、これをステータコアに挿入する」という単純な作業となり、図3に示すようにブレードに掛けるべき各コイルのレイアウトも単純化されるので、機械を用いた巻線配置の自動処理化が容易である。
【0030】
次いで、ステップS104において、各相ごとに、第1のコイルグループと第2のコイルグループとが並列接続の関係となるように、第1のコイルグループの一端と第2のコイルグループの一端とを接続してこの接続点に電流入力側の引き出し線を形成するとともに第1のコイルグループの他の一端と第2のコイルグループの他の一端とを接続してこの接続点を中性点として形成する。図2および図3に示す例では、U相について、第1のコイルグループの一端と第2のコイルグループの一端とを接続したときの接続点PUに電流入力側の引き出し線LUを形成し、第1のコイルグループの他の一端と第2のコイルグループの他の一端とを接続してこの接続点を中性点NU1およびNU2として形成する。同様に、V相について、第1のコイルグループの一端と第2のコイルグループの一端とを接続したときの接続点PVに電流入力側の引き出し線LVを形成し、第1のコイルグループの他の一端と第2のコイルグループの他の一端とを接続してこの接続点を中性点NV1およびNV2として形成する。同様に、W相について、第1のコイルグループの一端と第2のコイルグループの一端とを接続したときの接続点PWに電流入力側の引き出し線LWを形成し、第1のコイルグループの他の一端と第2のコイルグループの他の一端とを接続してこの接続点を中性点NW1およびNW2として形成する。なお、図2および図3については、図面を簡明なものとするために、各中性点NU1およびNU2、NV1およびNV2、ならびにNW1およびNW2の間の結線については図示を省略しているが、実際は、中性点NU1とNU2、中性点NV1とNV2、および中性点NW1とNW2とは、それぞれ結線されている。
【0031】
上述した巻線配置方法により得られる8極対のラジアルギャップ型モータ1は、回転方向に沿って奇数番目にあるコイルU1およびU3、V1およびV3、ならびにW1およびW3のそれぞれの間がそれぞれ渡り線CU1、CV1およびCW1によって連結された第1のコイルグループと、回転方向に沿って偶数番目にあるコイルU2およびU4、V2およびV4、ならびにW2およびW4のそれぞれの間がそれぞれ渡り線CU2、CV2およびCW2によって連結された第2のコイルグループと、互いに並列接続された第1のコイルグループと第2のコイルグループとにおける一方の接続点PU、PVおよびPWから延びる電流入力側の引き出し線LU、LVおよびLWと、互いに並列接続された第1のコイルグループと第2のコイルグループとにおける他の一方の接続点である中性点NU1およびNU2、NV1およびNV2、ならびにNW1およびNW2と、第1のコイルグループおよび第2のコイルグループを収容するスロットSと、を備えたものとなる。図2に示ように、3相の電源入力側の引き出し線LU、LVおよびLWは、交錯が少なく綺麗な配置となるので、コイルエンドは大型化せず、したがって、従来技術に比べて巻線抵抗を小さくすることができる。
【0032】
以上説明したように、本発明の第1の実施例によれば、「各相について1極対分ずつ成型されるコイルがすべて直列接続された第1のコイルグループおよび第2のコイルグループのまま相ごとにブレードに掛けてこれをステータコアに挿入する」という単純な作業となるので、分布巻の巻線配置を容易に実現することができ、コイルの形成からスロットへの挿入までの処理の機械化および機械による自動処理化が容易である。またさらに、本発明の第1の実施例によれば、同じく機械による巻線配置が可能な図15および図16に示した従来技術に比べて、コイルエンドにおけるコイルの交錯が少なく、巻線抵抗を小さくすることができる。
【0033】
次に、本発明の第2の実施例について説明する。本発明の第2の実施例は、上述の第1の実施例において、第1のコイルグループと第2のコイルグループとの間に絶縁材を挿入する処理を追加したものである。図4は、本発明の第2の実施例によるラジアルギャップ型モータの巻線配置方法の動作フローを説明するフローチャートである。また、図5は、本発明の第2の実施例における8極対36スロットのラジアルギャップ型モータのコイルエンドにおける相間絶縁を示す横断面図である。また、図6は、本発明の第2の実施例における8極対36スロットのラジアルギャップ型モータのステータ内における相間絶縁を示す横断面図である。なお、図5および図6では、図面を簡明にするために、上述の第1の実施例において説明した引き出し線および中性点について図示を省略している。
【0034】
本発明の第2の実施例におけるステップS101およびS102は、第1の実施例におけるステップS101およびS102と同様である。すなわち、ステップS101において、三相(U相、V相、W相)の各相について、1極対ごとに対応したコイルを巻回し、次いでステップS102において、各相ごとに、回転方向に沿って奇数番目にあるコイルの間を渡り線で連結して第1のコイルグループを形成し、回転方向に沿って偶数番目にあるコイルの間を渡り線で連結して第2のコイルグループを形成する。
【0035】
続くステップS103−1では、第1のコイルグループおよび第2のコイルグループのうちいずれか一方をステータのスロットに挿入する。図4に示す例では、第1のコイルグループをスロットS内の内側に挿入する。その際、第1の実施例の場合と同様、分布巻の配置とするべく、各相の第1のコイルグループについては回転方向に沿ってU相、W相、およびV相の順に各コイルが並ぶよう内側ブレードにコイルが掛けられ、この内側ブレードの先にステータコアをセットし、スロット開口部の幅を有しかつ当該ステータコアの内径を外とする突起を有する挿入棒を挿入することによって、ステータコアのスロット開口部からスロットSにコイルを挿入する。
【0036】
次いで、ステップS103−2において、引き出し線および中性点が配置されることになるコイルエンド近傍ならびに、第1のコイルグループが既に挿入されたスロットS内に、相間を絶縁する絶縁材をそれぞれ配置する。例えば、図5に示すように、引き出し線および中性点が配置されたコイルエンド近傍には絶縁材10(図中、太線の実線で示す。)が挿入され、図6に示すように、引き出し線および中性点が配置されたコイルエンド近傍には絶縁材11(図中、太線の実線で示す。)が挿入され、スロット内には絶縁材11が挿入される。絶縁材10および11の材質自体は本発明を限定するものではなく、モータの相間絶縁に用いられる一般的なものを用いればよい。
【0037】
次いで、ステップS103−3において、第1のコイルグループおよび第2のコイルグループのうち他の一方をステータのスロットに挿入する。図4に示す例では、ステップS103−1において第1のコイルグループがスロットS内の内側に既に挿入されたので、ステップS103−3では、第2のコイルグループがスロットS内の外側に挿入する。その際、第1の実施例の場合と同様、分布巻の配置とするべく、各相の第2のコイルグループについては回転方向に沿ってU相、W相、およびV相の順に各コイルが並ぶよう側ブレードにコイルが掛けられ、この側ブレードの先にステータコアをセットし、スロット開口部の幅を有しかつ当該ステータコアの内径を外径とする突起を有する挿入棒を挿入することによって、ステータコアのスロット開口部からスロットSにコイルを挿入する。ここで、ステップS103−1において第1のコイルグループがスロットS内の内側に挿入され、ステップS103−2において絶縁材10および11が挿入されるので、ステップS103−3の処理後は、スロットS内においては、第1のコイルグループと第2のコイルグループとの間に絶縁材11が位置することになり、スロットS内の相間絶縁を確保できる。
【0038】
なお、上述のステップS103−1とステップS103−3とは入れ替えて実行してもよい。
【0039】
本発明の第2の実施例におけるステップS104は、第1の実施例におけるステップS104と同様である。すなわち、ステップS104において、各相ごとに、第1のコイルグループと第2のコイルグループとが並列接続の関係となるように、第1のコイルグループの一端と第2のコイルグループの一端とを接続してこの接続点に電流入力側の引き出し線を形成するとともに第1のコイルグループの他の一端と第2のコイルグループの他の一端とを接続してこの接続点を中性点として形成する。
【0040】
このように、本発明の第2の実施例は、上述の第1の実施例において第1のコイルグループと第2のコイルグループとの間に絶縁材を挿入する処理を追加することにより、8極対のラジアルギャップ型モータ1では、引き出し線LU、LVおよびLWならびに中性点NU1、NU2、NV1、NV2、NW1およびNW2が配置されたコイルエンド近傍に絶縁材10が配置され、スロットS内に絶縁材11が配置されることになる。例えば図17および図18に示した従来技術では、互いに直列接続されたコイルを3相分まとめてスロットに挿入するが、この挿入後に、スロット内のコイル間の相間絶縁を確保するために絶縁材を挿入するのは難しい。これに対し、本発明の第2の実施例によれば、第1のコイルグループを挿入した後に絶縁材を配置し、その後、第2のコイルグループを挿入するので、相間絶縁を容易に実現でき、コイルの形成からスロットへの挿入までの処理のみならず、相間絶縁処理についても機械化および機械による自動処理化が容易である。
【0041】
次に、本発明の第3の実施例について説明する。本発明の第3の実施例は、上述の第1の実施例において、引き出し線および中性点が配置されたコイルエンド近傍に配置された、引き出し線および渡り線を収容した溝が形成された絶縁材を配置する処理を追加したものである。図7は、本発明の第3の実施例によるラジアルギャップ型モータの巻線配置方法の動作フローを説明するフローチャートである。また、図8は、本発明の第3の実施例における絶縁材を示す斜視図である。
【0042】
本発明の第3の実施例におけるステップS101〜S104は、第1の実施例におけるステップS101〜S104と同様である。すなわち、ステップS101において、三相(U相、V相、W相)の各相について、1極対ごとに対応したコイルを巻回し、ステップS102において、各相ごとに、回転方向に沿って奇数番目にあるコイルの間を渡り線で連結して第1のコイルグループを形成し、回転方向に沿って偶数番目にあるコイルの間を渡り線で連結して第2のコイルグループを形成する。そして、ステップS103において、各相について形成された第1のコイルグループおよび第2のコイルグループを、スロットS内を内側と外側とに分けた2層巻にて各コイルが配置されることになるよう、スロットSに挿入する。そして、ステップS104において、各相ごとに、第1のコイルグループと第2のコイルグループとが並列接続の関係となるように、第1のコイルグループの一端と第2のコイルグループの一端とを接続してこの接続点に電流入力側の引き出し線を形成するとともに第1のコイルグループの他の一端と第2のコイルグループの他の一端とを接続してこの接続点を中性点として形成する。
【0043】
続くステップS105では、図8に示すような引き出し線および渡り線を収容するための溝20が形成された絶縁材12を、引き出し線および中性点が配置されたコイルエンド近傍に配置する。図8に示す溝20の配置は一例であり、引き出し線および渡り線を保持して相間を絶縁できる構造であればよい。また、絶縁材12の材質自体は本発明を限定するものではなく、モータの相間絶縁に用いられる一般的なものを用いればよい。
【0044】
次いで、ステップS106において、引き出し線および渡り線を絶縁材の溝に収容する。図3に示された例では、引き出し線LU、LVおよびLWならびに渡り線CU1、CV1、CW1、CU2、CV2およびCW2を絶縁材12の溝20に収容する。
【0045】
このように、本発明の第3の実施例による8極対のラジアルギャップ型モータ1は、図2および図3に示した構成要素に加え、引き出し線LU、LVおよびLWならびに中性点NU1、NU2、NV1、NV2、NW1およびNW2が配置されたコイルエンド近傍に、溝20が形成された絶縁材12をさらに備える。本発明の第3の実施例によれば、引き出し線LU、LVおよびLWならびに渡り線CU1、CV1、CW1、CU2、CV2およびCW2を絶縁材12の溝20に収容することにより、相間の絶縁を確保することができるとともにコイルエンドの大型化を抑制することができる。また、第1のコイルグループと第2のコイルグループとの並列接続の後、「溝20が形成された絶縁材12をコイルエンド近傍に配置し、引き出し線LU、LVおよびLWならびに渡り線CU1、CV1、CW1、CU2、CV2およびCW2を溝20に収容する」といった単純な作業となるので、コイルの形成からスロットへの挿入までの処理のみならず、絶縁処理についても機械化および機械による自動処理化が容易である。
【0046】
以上、実施例として8極対36スロットのラジアルギャップ型モータの巻線配置について説明した。しかしながら、本発明は極対数は8に限定されず、4の整数倍の極対数のラジアルギャップ型モータであれば適用可能である。すなわち、本発明によれば、4の整数倍の極対数のラジアルギャップ型モータの場合も、各相ごとに、回転方向に沿って奇数番目にあるコイルの間を渡り線で連結して第1のコイルグループを形成し、回転方向に沿って偶数番目にあるコイルの間を渡り線で連結して第2のコイルグループを形成し、そして、各相ごとに、これら第1のコイルグループと第2のコイルグループとが並列接続の関係となるように、第1のコイルグループの一端と第2のコイルグループの一端とを接続してこの接続点に電流入力側の引き出し線を形成するとともに第1のコイルグループの他の一端と第2のコイルグループの他の一端とを接続してこの接続点を中性点として形成すればよい。絶縁材に係る上述の実施例についても4の整数倍の極対数のラジアルギャップ型モータに適用可能である。
【符号の説明】
【0047】
1 ラジアルギャップ型モータ
10、11、12 絶縁材
20 溝
CU1、CU2、CV1、CV2、CW1、CW2 渡り線
LU、LV、LW 引き出し線
NU1、NU2、NV1、NV2、NW1、NW2 渡り線
PU、PV、PW 接続点
S スロット
U1、U2、V1、V2、W1、W2 コイル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18