(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第2部分上に位置する前記バリア領域の第1面と、前記第1部分上に位置する前記第1及び第2導電型領域の第1面との間に段差が存在する、請求項1に記載の太陽電池。
前記バリア領域の第1面に対向する前記バリア領域の第2面と、前記第1及び第2導電型領域の第1面に対向する前記第1及び第2導電型領域の第2面とが同一平面上に位置するか、または段差を有する、請求項3に記載の太陽電池。
前記第2部分は、前記半導体基板と前記バリア領域との間に位置する部分と、前記半導体基板と前記第1導電型領域との間に位置する部分と、前記半導体基板と前記第2導電型領域との間に位置する部分とを含む、請求項1に記載の太陽電池。
前記第1導電型領域と前記第2導電型領域との間の前記境界部分は、前記第1導電型領域と前記第2導電型領域が互いに接触する接触境界部を少なくとも部分的に含む、請求項1に記載の太陽電池。
前記第1導電型領域と前記第2導電型領域との間の前記境界部分は、前記第1導電型領域と前記第2導電型領域との間にバリア領域が位置する第1境界部と、前記第1導電型領域と前記第2導電型領域とが接触する第2境界部とを含む、請求項1に記載の太陽電池。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下では、添付の図面を参照して、本発明の実施例を詳細に説明する。しかし、本発明がこれらの実施例に限定されるものではなく、様々な形態に変形可能であることはもちろんである。
【0009】
図面では、本発明を明確且つ簡略に説明するために、説明と関係のない部分の図示を省略し、明細書全体において同一又は極めて類似の部分に対しては同一の図面参照符号を使用する。そして、図面では、説明をより明確にするために、厚さ、面積などを拡大又は縮小して示しており、本発明の厚さ、面積などは図面に示したものに限定されない。
【0010】
そして、明細書全体において、ある部分が他の部分を「含む」とするとき、特に反対の記載がない限り、他の部分を排除するのではなく、他の部分をさらに含むことができる。また、層、膜、領域、板などの部分が他の部分の「上に」あるとするとき、これは、他の部分の「直上に」ある場合のみならず、その中間に他の部分が位置する場合も含む。層、膜、領域、板などの部分が他の部分の「直上に」あるとするときは、中間に他の部分が位置しないことを意味する。
【0011】
以下、添付の図面を参照して、本発明の実施例に係る太陽電池を詳細に説明する。
【0012】
図1は、本発明の実施例に係る太陽電池を示す断面図であり、
図2は、
図1に示した太陽電池の部分背面平面図である。
【0013】
図1及び
図2を参照すると、本実施例に係る太陽電池100は、ベース領域110を含む半導体基板10と、半導体基板10上に位置するトンネル層20と、トンネル層20上に位置する導電性の導電型領域32,34と、導電型領域32,34に接続される電極42,44とを含む。ここで、導電型領域32,34は、第1導電型を有する第1導電型領域32と、第2導電型を有する第2導電型領域34とを含む。第1導電型領域32と第2導電型領域34との間にはバリア領域36が位置することができる。そして、電極42,44は、第1導電型領域32に接続される第1電極42と、第2導電型領域34に接続される第2電極44とを含むことができる。そして、太陽電池100は、パッシベーション膜24、反射防止膜26、絶縁層40などをさらに含むことができる。これについてより詳細に説明する。
【0014】
半導体基板10は、第2導電型ドーパントを相対的に低いドーピング濃度で含むことで第2導電型を有するベース領域110を含むことができる。ベース領域110は、第2導電型ドーパントを含む結晶質半導体で構成することができる。一例として、ベース領域110は、第2導電型ドーパントを含む単結晶または多結晶半導体(一例として、単結晶または多結晶シリコン)で構成してもよい。特に、ベース領域110は、第2導電型ドーパントを含む単結晶半導体(例えば、単結晶半導体ウエハ、より具体的には、半導体シリコンウエハ)で構成することができる。このように、ベース領域110が単結晶シリコンで構成されると、太陽電池100が単結晶シリコン太陽電池を構成することになる。このように、単結晶半導体を有する太陽電池100は、結晶性が高くて欠陥の少ないベース領域110または半導体基板10をベースとするので、電気的特性に優れている。
【0015】
第2導電型は、p型またはn型であってもよい。一例として、ベース領域110がn型を有すると、ベース領域110と光電変換によってキャリアを形成する接合(一例として、トンネル層20を挟んだpn接合)を形成するp型の第1導電型領域32を広く形成して、光電変換面積を増加させることができる。また、この場合には、広い面積を有する第1導電型領域32が、移動速度が相対的に遅い正孔を効果的に収集することで、光電変換効率の向上にさらに寄与することができる。しかし、本発明がこれに限定されるものではない。
【0016】
そして、半導体基板10は、前面側に位置する前面電界領域130を含むことができる。前面電界領域130は、ベース領域110と同じ導電型を有しながら、ベース領域110よりも高いドーピング濃度を有することができる。
【0017】
本実施例では、前面電界領域130が、半導体基板10に第2導電型ドーパントを相対的に高いドーピング濃度でドープして形成されたドーピング領域として構成された場合を例示した。これによって、前面電界領域130が、第2導電型を有する結晶質(単結晶または多結晶)半導体を含んで半導体基板10の一部を構成するようになる。一例として、前面電界領域130は、第2導電型を有する単結晶半導体基板(一例として、単結晶シリコンウエハ基板)の一部分を構成することができる。しかし、本発明がこれに限定されるものではない。したがって、半導体基板10と異なる別個の半導体層(例えば、非晶質半導体層、微結晶半導体層、または多結晶半導体層)に第2導電型ドーパントをドープして前面電界領域130を形成してもよい。または、前面電界領域130が、半導体基板10に隣接して形成された層(例えば、パッシベーション膜24及び/又は反射防止膜26)の固定電荷によってドープされたものと類似の役割を果たす電界領域として構成されてもよい。例えば、ベース領域110がn型である場合には、パッシベーション膜24が固定負電荷を有する酸化物(例えば、アルミニウム酸化物)で構成されて、ベース領域110の表面に反転領域(inversion layer)を形成し、これを電界領域として用いることができる。この場合には、半導体基板10が、別途のドーピング領域を備えずにベース領域110のみで構成されて、半導体基板10の欠陥を最小化することができる。その他の様々な方法により様々な構造の前面電界領域130を形成することができる。
【0018】
本実施例において、半導体基板10の前面は、テクスチャリング(texturing)されて、ピラミッドなどの形状の凹凸を有することができる。このようなテクスチャリングにより半導体基板10の前面などに凹凸が形成されて表面粗さが増加すると、半導体基板10の前面を介して入射する光の反射率を低下させることができる。したがって、ベース領域110と第1導電型領域32によって形成されたpn接合まで到達する光の量を増加させることができるので、光損失を最小化することができる。
【0019】
そして、半導体基板10の後面は、鏡面研磨などによって前面よりも低い表面粗さを有する、相対的に滑らかで且つ平坦な面からなることができる。本実施例のように、半導体基板10の後面側に第1及び第2導電型領域32,34が共に形成される場合には、半導体基板10の後面の特性に応じて太陽電池100の特性が大きく変わり得るからである。これによって、半導体基板10の後面にはテクスチャリングによる凹凸を形成しないことで、パッシベーション特性を向上させることができ、これによって、太陽電池100の特性を向上させることができる。しかし、本発明がこれに限定されるものではなく、場合によって、半導体基板10の後面にテクスチャリングによる凹凸を形成してもよい。その他の様々な変形も可能である。
【0020】
半導体基板10の後面上にはトンネル層20が形成されてもよい。トンネル層20は、電子及び正孔にとって一種のバリア(barrier)として作用して、少数キャリア(minority carrier)が通過しないようにし、トンネル層20に隣接した部分で蓄積された後、一定以上のエネルギーを有する多数キャリア(majority carrier)のみがトンネル層20を通過できるようにする。このとき、一定以上のエネルギーを有する多数キャリアは、トンネル効果によって容易にトンネル層20を通過することができる。また、トンネル層20は、導電型領域32,34のドーパントが半導体基板10へ拡散することを防止する拡散バリアとしての役割を果たすことができる。
【0021】
本実施例に係るトンネル層20は、互いに異なる厚さを有する第1部分201と第2部分202を有することができる。このようなトンネル層20については、導電型領域32,34、そして、バリア領域36を説明した後にさらに詳細に説明する。
【0022】
トンネル層20上には導電型領域32,34が位置することができる。より具体的には、本実施例において、導電型領域32,34は、第1導電型ドーパントを有して第1導電型を示す第1導電型領域32と、第2導電型ドーパントを有して第2導電型を示す第2導電型領域34とを含むことができる。そして、第1導電型領域32と第2導電型領域34との間にバリア領域36が位置することができる。
【0023】
第1導電型領域32は、トンネル層20を挟んでベース領域110とpn接合(または、pnトンネル接合)を形成して、光電変換によってキャリアを生成するエミッタ領域を構成する。
【0024】
このとき、第1導電型領域32は、ベース領域110と反対の第1導電型ドーパントを含む半導体(一例として、シリコン)を含むことができる。本実施例では、第1導電型領域32が、半導体基板10上(より明確には、トンネル層20上)で半導体基板10と別個に形成され、第1導電型ドーパントがドープされた半導体層で構成される。これによって、第1導電型領域32は、半導体基板10上に容易に形成できるように、半導体基板10と異なる結晶構造を有する半導体層で構成することができる。例えば、第1導電型領域32は、蒸着などの様々な方法により容易に製造できる非晶質半導体、微結晶半導体、または多結晶半導体(一例として、非晶質シリコン、微結晶シリコン、または多結晶シリコン)などに第1導電型ドーパントをドープして形成することができる。第1導電型ドーパントは、半導体層を形成する工程において半導体層に共に含まれてもよく、または、半導体層を形成した後に熱拡散法、イオン注入法などの様々なドーピング方法により半導体層に含まれてもよい。
【0025】
このとき、第1導電型ドーパントは、ベース領域110と反対の導電型を示すことができるドーパントであれば足りる。すなわち、第1導電型ドーパントがp型である場合には、ボロン(B)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)などの3族元素を使用することができる。第1導電型ドーパントがn型である場合には、リン(P)、ヒ素(As)、ビスマス(Bi)、アンチモン(Sb)などの5族元素を使用することができる。
【0026】
第2導電型領域34は、後面電界(back surface field)を形成して、半導体基板10の表面(より正確には、半導体基板10の後面)で再結合によってキャリアの損失が発生することを防止する後面電界領域を構成する。
【0027】
このとき、第2導電型領域34は、ベース領域110と同一の第2導電型ドーパントを含む半導体(一例として、シリコン)を含むことができる。本実施例では、第2導電型領域34が、半導体基板10上(より明確には、トンネル層20上)で半導体基板10と別個に形成され、第2導電型ドーパントがドープされた半導体層で構成される。これによって、第2導電型領域34は、半導体基板10上に容易に形成できるように、半導体基板10と異なる結晶構造を有する半導体層で構成することができる。例えば、第2導電型領域34は、蒸着などの様々な方法により容易に製造できる非晶質半導体、微結晶半導体、または多結晶半導体(一例として、非晶質シリコン、微結晶シリコン、または多結晶シリコン)などに第2導電型ドーパントをドープして形成することができる。第2導電型ドーパントは、半導体層を形成する工程において半導体層に共に含まれてもよく、または、半導体層を形成した後に熱拡散法、イオン注入法などの様々なドーピング方法により半導体層に含まれてもよい。
【0028】
このとき、第2導電型ドーパントは、ベース領域110と同じ導電型を示すことができるドーパントであれば足りる。すなわち、第2導電型ドーパントがn型である場合には、リン(P)、ヒ素(As)、ビスマス(Bi)、アンチモン(Sb)などの5族元素を使用することができる。第2導電型ドーパントがp型である場合には、ボロン(B)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)などの3族元素を使用することができる。
【0029】
そして、第1導電型領域32と第2導電型領域34との間にバリア領域36が位置し、第1導電型領域32と第2導電型領域34とを互いに離隔させる。第1導電型領域32と第2導電型領域34が互いに接触する場合には、シャント(shunt)が発生して太陽電池100の性能を低下させることがある。そのため、本実施例では、第1導電型領域32と第2導電型領域34との間にバリア領域36を位置させることで、不必要なシャントを防止することができる。
【0030】
バリア領域36は、第1導電型領域32と第2導電型領域34との間でこれらを実質的に絶縁できる様々な物質を含むことができる。すなわち、バリア領域36として、ドープされていない(即ち、アンドープ)絶縁物質(一例として、酸化物、窒化物)などを使用することができる。または、バリア領域36が真性(intrinsic)半導体を含むこともできる。このとき、第1導電型領域32及び第2導電型領域34とバリア領域36とは、互いに側面が接触しながら連続的に形成される同一の半導体(一例として、非晶質シリコン、微結晶シリコン、多結晶シリコン)で構成され、バリア領域36は実質的にドーパントを含まなくてもよい。一例として、半導体物質を含む半導体層を形成した後、半導体層の一部の領域に第1導電型ドーパントをドープして第1導電型領域32を形成し、他の領域の一部に第2導電型ドーパントをドープして第2導電型領域34を形成すると、第1導電型領域32及び第2導電型領域34が形成されていない領域がバリア領域36を構成するようになる。これによれば、第1導電型領域32、第2導電型領域34及びバリア領域36の製造方法を単純化することができる。
【0031】
しかし、本発明がこれに限定されるものではない。したがって、バリア領域36を第1導電型領域32及び第2導電型領域34と別途に形成した場合には、バリア領域36と第1導電型領域32及び第2導電型領域34とが互いに異なる厚さを有することができる。一例として、第1導電型領域32及び第2導電型領域34のショートをより効果的に防止するために、バリア領域36が第1導電型領域32及び第2導電型領域34よりも厚い厚さを有してもよい。または、バリア領域36を形成するための原料を減らすために、バリア領域36の厚さを第1導電型領域32及び第2導電型領域34の厚さよりも小さくしてもよい。その他の様々な変形が可能であることは勿論である。また、バリア領域36の基本構成物質が、第1導電型領域32及び第2導電型領域34と異なる物質を含むこともできる。または、バリア領域36が、第1導電型領域32と第2導電型領域34との間に位置した空き空間(例えば、トレンチ)として構成されてもよい。
【0032】
そして、本実施例では、バリア領域36が第1導電型領域32と第2導電型領域34との間を全体的に離隔する場合を例示した。しかし、本発明がこれに限定されるものではない。したがって、バリア領域36が、第1導電型領域32と第2導電型領域34との境界部分の一部のみを離隔させるように形成されてもよい。これによれば、第1導電型領域32と第2導電型領域34との境界の他の一部は互いに接触することもできる。これについては、
図7及び
図8を参照してより詳細に後述する。また、バリア領域36を必ず備えなければならないわけではなく、第1導電型領域32と第2導電型領域34とが全体的に接触して形成されることも可能である。その他の様々な変形が可能である。
【0033】
ここで、ベース領域110と同じ導電型を有する第2導電型領域34の面積よりも、ベース領域110と異なる導電型を有する第1導電型領域32の面積を広く形成することができる。これによって、ベース領域110と第1導電型領域32との間でトンネル層20を通じて形成されるpn接合をさらに広く形成することができる。このとき、ベース領域110及び第2導電型領域34がn型の導電型を有し、第1導電型領域32がp型の導電型を有する場合に、広く形成された第1導電型領域32によって、移動速度が相対的に遅い正孔を効果的に収集することができる。このような第1導電型領域32、第2導電型領域34及びバリア領域36の平面構造は、
図2を参照してより詳細に後述する。
【0034】
導電型領域32,34及びバリア領域36上に絶縁層40が形成されてもよい。絶縁層40は、第1導電型領域32と第1電極42との接続のための第1開口部402と、第2導電型領域34と第2電極44との接続のための第2開口部404とを備える。これによって、絶縁層40は、第1導電型領域32及び第2導電型領域34が接続されてはならない電極(即ち、第1導電型領域32の場合には第2電極44、第2導電型領域34の場合には第1電極42)と接続されることを防止する役割を果たす。また、絶縁層40は、第1及び第2導電型領域32,34及び/又はバリア領域36をパッシベーションする効果を有することができる。
【0035】
半導体層30上で電極42,44が位置していない部分に絶縁層40が位置することができる。絶縁層40は、トンネル層20(より正確には、トンネル層20の第1部分201及び第2部分202)よりも厚い厚さを有することができる。これによって、絶縁特性及びパッシベーション特性を向上させることができる。しかし、本発明がこれに限定されるものではなく、絶縁層40の厚さが第1部分201よりも大きく、第2部分202よりも小さくてもよい。その他の様々な変形が可能である。
【0036】
絶縁層40は、様々な絶縁物質(例えば、酸化物、窒化物など)からなることができる。一例として、絶縁層40は、シリコン窒化膜、水素含有シリコン窒化膜、シリコン酸化膜、シリコン酸化窒化膜、Al
2O
3、MgF
2、ZnS、TiO
2及びCeO
2からなる群から選択されたいずれか1つの単一膜、または2つ以上の膜が組み合わされた多層膜構造を有することができる。しかし、本発明がこれに限定されるものではなく、絶縁層40が様々な物質を含むことができることはもちろんである。
【0037】
半導体基板10の後面に位置する電極42,44は、第1導電型領域32に電気的及び物理的に接続される第1電極42と、第2導電型領域34に電気的及び物理的に接続される第2電極44とを含む。
【0038】
このとき、第1電極42は、絶縁層40の第1開口部402を貫通して第1導電型領域32に接続され、第2電極44は、絶縁層40の第2開口部404を貫通して第2導電型領域34に接続される。このような第1及び第2電極42,44としては様々な金属物質を含むことができる。そして、第1及び第2電極42,44は、互いに電気的に接続されずに第1導電型領域32及び第2導電型領域34にそれぞれ接続されて、生成されたキャリアを収集して外部に伝達できる様々な平面形状を有することができる。すなわち、本発明が第1及び第2電極42,44の平面形状に限定されるものではない。
【0039】
以下では、
図1及び
図2を参照して、第1導電型領域32及び第2導電型領域34、バリア領域36、そして、第1及び第2電極42,44の平面形状の一例を詳細に説明する。
【0040】
図1及び
図2を参照すると、本実施例では、第1導電型領域32及び第2導電型領域34はそれぞれ、ストライプ状をなすように長く形成されると共に、長手方向と交差する方向において互いに交互に位置している。第1導電型領域32と第2導電型領域34との間に、これらを離隔させるバリア領域36が位置することができる。図示していないが、互いに離隔した複数の第1導電型領域32が一側縁部で互いに接続され、互いに離隔した複数の第2導電型領域34が他側縁部で互いに接続されてもよい。しかし、本発明がこれに限定されるものではない。
【0041】
このとき、第1導電型領域32の面積を第2導電型領域34の面積よりも大きくすることができる。一例として、第1導電型領域32及び第2導電型領域34の面積は、これらの幅を異ならせることによって調節することができる。すなわち、第1導電型領域32の幅W1を第2導電型領域34の幅W2よりも大きくすることができる。
【0042】
そして、第1電極42が、第1導電型領域32に対応してストライプ状に形成され、第2電極44が、第2導電型領域34に対応してストライプ状に形成されてもよい。第1及び第2開口部(
図1の参照符号402,404、以下同様)のそれぞれが、第1及び第2電極42,44に対応して第1及び第2電極42,44の全長に形成されてもよい。これによると、第1及び第2電極42,44と第1導電型領域32及び第2導電型領域34との接触面積を最大化して、キャリア収集効率を向上させることができる。しかし、本発明がこれに限定されるものではない。第1及び第2開口部402,404が、第1及び第2電極42,44の一部のみを第1導電型領域32及び第2導電型領域34にそれぞれ接続するように形成されてもよいことはもちろんである。例えば、第1及び第2開口部402,404が複数個のコンタクトホールとして構成されてもよい。そして、図示していないが、第1電極42が一側縁部で互いに接続されて形成され、第2電極44が他側縁部で互いに接続されて形成されてもよい。しかし、本発明がこれに限定されるものではない。
【0043】
再び
図1を参照すると、半導体基板10の前面上(より正確には、半導体基板10の前面に形成された前面電界領域130上)にパッシベーション膜24及び/又は反射防止膜26が位置することができる。実施例によって、半導体基板10上にパッシベーション膜24のみが形成されてもよく、半導体基板10上に反射防止膜26のみが形成されてもよく、または半導体基板10上にパッシベーション膜24及び反射防止膜26が順に位置してもよい。図では、半導体基板10上にパッシベーション膜24及び反射防止膜26が順に形成され、半導体基板10がパッシベーション膜24と接触して形成される場合を例示した。しかし、本発明がこれに限定されるものではなく、半導体基板10が反射防止膜26に接触して形成されることも可能であり、その他の様々な変形が可能である。
【0044】
パッシベーション膜24及び反射防止膜26は、実質的に半導体基板10の前面に全体的に形成することができる。ここで、全体的に形成するということは、物理的に完璧に全てに形成されたことのみならず、不可避に一部の除外された部分がある場合を含む。
【0045】
パッシベーション膜24は、半導体基板10の前面に接触して形成されて、半導体基板10の前面またはバルク内に存在する欠陥を不動態化させる。これによって、少数キャリアの再結合サイトを除去して、太陽電池100の開放電圧を増加させることができる。反射防止膜26は、半導体基板10の前面に入射する光の反射率を減少させる。これによって、ベース領域110と第1導電型領域32との界面に形成されたpn接合まで到達する光量を増加させることができる。これによって、太陽電池100の短絡電流(Isc)を増加させることができる。このように、パッシベーション膜24及び反射防止膜26によって太陽電池100の開放電圧と短絡電流を増加させることで、太陽電池100の効率を向上させることができる。
【0046】
パッシベーション膜24及び/又は反射防止膜26は、様々な物質で形成することができる。一例として、パッシベーション膜24及び/又は反射防止膜26は、シリコン窒化膜、水素含有シリコン窒化膜、シリコン酸化膜、シリコン酸化窒化膜、アルミニウム酸化膜、MgF
2、ZnS、TiO
2及びCeO
2からなる群から選択されたいずれか1つの単一膜、または2つ以上の膜が組み合わされた多層膜構造を有することができる。一例として、パッシベーション膜24はシリコン酸化物を含み、反射防止膜26はシリコン窒化物を含むことができる。
【0047】
再びトンネル層20について説明すると、本実施例において、トンネル層20は、導電型領域32,34の少なくとも一部に対応して位置し、第1厚さT1を有する第1部分201と、第1導電型領域32と第2導電型領域34との間の境界部分に位置し、第1厚さT1よりも大きい第2厚さT2を有する第2部分202とを含む。これによって、第1部分201と第2部分202との間に一種の段差Pが形成される。本実施例では、第1導電型領域32と第2導電型領域34との間の境界部分に全体的にバリア領域36が位置し、第2部分202がバリア領域36に対応して位置する。
【0048】
バリア領域36は、第1導電型領域32と第2導電型領域34との間でこれらのシャントを防止する役割を果たす。しかし、半導体基板10のキャリア、特に、多数キャリア(例えば、半導体基板10がn型である場合に電子)がトンネル層20を通してバリア領域36にトンネリングする場合には、第1導電型領域32とバリア領域36との境界面において、トンネリングしたキャリアと、半導体基板10と反対の導電型を有する第1導電型領域32のキャリア、特に、多数キャリア(例えば、第1導電型領域32がp型である場合に正孔)とが再結合することがある。すると、太陽電池100の開放電圧を低下させ、効率を低下させることがある。
【0049】
本実施例では、キャリアのトンネリングが必要でないバリア領域36の少なくとも一部に対応するトンネル層20が、相対的に厚い第2厚さT2を有する。トンネル層20の厚さが増加すると、トンネル層20によるトンネリング確率が大きく低下するため、バリア領域36の少なくとも一部に対応して相対的に厚い第2厚さT2を有する第2部分202を位置させることによって、バリア領域36にキャリアがトンネリングされることを顕著に防止することができる。
【0050】
すなわち、キャリアのトンネリングが要求される第1及び第2導電型領域32,34の少なくとも一部に対応する部分には、相対的に薄い第1部分201を位置させ、トンネリング確率を向上させることができる。キャリアのトンネリングが必要でないバリア領域36の少なくとも一部に対応する部分には、相対的に厚い第2部分202を位置させ、不必要なトンネリングによる再結合を防止することができる。これによって、太陽電池100の特性を向上させ、効率を最大化することができる。
【0051】
第1部分201の第1厚さT1は、キャリアのトンネリングが十分に行われるようにする厚さであってもよい。第2部分202の第2厚さT2は、第1厚さT1よりも厚くて第1部分201よりもトンネリング確率を低下させることができる厚さであれば十分である。
【0052】
このとき、第1部分201の第1厚さT1は、第1及び第2導電型領域32,34の厚さよりも小さくてもよい。第1部分201は、キャリアのトンネリングが十分に行われ得るように薄く形成され、第1及び第2導電型領域32,34は、光電変換が十分に行われ得るように一定の厚さを有するからである。
【0053】
そして、第2部分202の第2厚さT2が、第1及び第2導電型領域32,34の厚さよりも小さくてもよい。トンネリングは非常に薄い厚さでのみ円滑に行われるので、第2部分202の厚さを一定水準以上にさえ維持すればよく、第2部分202の厚さを過度に大きくしても、トンネリングを減少及び防止する効果が増加しないからである。そして、第2部分202の第2厚さT2が第1及び第2導電型領域32,34よりも大きくなると、このような構造のトンネル層20を形成することも難しくなり、このような構造のトンネル層20上に第1及び第2導電型領域32,34及びバリア領域36を形成することも難しくなることがある。一例として、第1及び/又は第2導電型領域32,34の厚さ:第2部分202の第2厚さT2の比率が、1:0.005〜1:0.5であってもよい。前記比率が1:0.005未満であると、第2部分202による効果が十分でなく、1:0.5を超えると、トンネル層20の安定性が低下することがある。しかし、本発明がこれに限定されるものではなく、第2部分202が、第1及び/又は第2導電型領域32,34よりも厚いことも可能であり、前記比率も様々な値を有することができる。
【0054】
また、第1部分201の第1厚さT1は、パッシベーション膜24及び/又は絶縁層40の厚さよりも小さくてもよい。第1部分201は、キャリアのトンネリングが十分に行われ得るように薄く形成され、パッシベーション膜24及び/又は絶縁層40は、パッシベーション特性、絶縁特性などのために一定の厚さを有するからである。
【0055】
そして、第2部分202の第2厚さT2が、パッシベーション膜24及び/又は絶縁層40の厚さよりも小さくてもよい。トンネリングは非常に薄い厚さでのみ円滑に行われるので、第2部分202の厚さを一定水準以上にさえ維持すればよく、第2部分202の厚さを過度に大きくしても、トンネリングを減少及び防止する効果が増加しないからである。しかし、本発明がこれに限定されるものではなく、第2部分202が、パッシベーション膜24及び/又は絶縁層40よりも厚いことも可能であり、その他の様々な変形が可能である。
【0056】
一例として、第1厚さT1が0.5〜2nmであり、第2厚さT2が2nm〜100nmであってもよい。第1厚さT1が0.5nm未満であると、所望の品質のトンネル層20を形成しにくいことがあり、第1厚さT1が2nmを超えると、トンネリングが円滑に起こらないことがある。より効果的なトンネリングのために、第1厚さT1が0.5nm〜1.5nmであってもよい。そして、第2厚さT2が2nm未満であると、トンネリングを防止及び減少する効果が十分でないことがあり、第2厚さT2が100nmを超えると、このような構造のトンネル層20を形成しにくいことがあり、このようなトンネル層20上に導電型領域32,34及びバリア領域36を形成しにくいことがある。トンネル層20、導電型領域32,34、そして、バリア領域36の形成を容易に行うことができるように、第2厚さT2を2nm〜10nmとすることができる。しかし、本発明がこれに限定されるものではなく、第1及び第2厚さT1,T2は様々な値を有することができる。
【0057】
本実施例において、第1部分201と第2部分202は、互いに同じ工程で形成されて一体化された構造を有する単一層で構成され、同一の物質を含むことができる。または、第1部分201と第2部分202が互いに異なる工程で形成され、互いに同じ物質を有するか、または互いに異なる物質を有することもできる。これは、トンネル層20の製造工程によって変わり得る。これについては、
図3A乃至
図3I、そして、
図4A及び
図4Bを参照してより詳細に説明する。
【0058】
トンネル層20は、キャリアがトンネリングされ得る様々な物質を含むことができる。例えば、第1部分201及び第2部分202が、それぞれシリコン酸化物、シリコン窒化物、シリコン炭化物、アルミニウム酸化物のうちの少なくとも1つを含み、互いに同一または異なる物質を含むことができる。第1及び/又は第2部分201,202がシリコン酸化物を含む場合、界面トラップ密度(interface trap density:ITD)を減少させることができ、シリコン窒化物、アルミニウム酸化物などを含む場合、固定電荷によって形成される電界効果を活用することができる。
【0059】
特に、第1部分201がシリコン酸化物を含むことができる。これは、第2部分202を別途の蒸着などによって形成した後に、熱的酸化(thermal oxide)によって半導体基板10と外部の酸素が化学的に反応して自然に形成されたシリコン酸化物層を第1部分201として使用できるからである。すると、単純な工程により第1部分201を形成することができる。しかし、本発明がこれに限定されるものではなく、第1及び第2部分201,202がそれぞれ様々な物質からなることができる。
【0060】
上述したようなトンネル層20の構造によって、第2部分202に隣接するバリア領域36の第1面S21と、第1部分201に隣接する第1及び第2導電型領域32,34の第1面S11との間に段差Pが存在する。より具体的には、バリア領域36の第1面S21よりも第1及び第2導電型領域32,34の第1面S11が、半導体基板10に向かって突出した位置に位置することができる。これは、トンネル層20が第1及び第2部分201,202を備えるからである。
【0061】
そして、本実施例において、バリア領域36の第1面S21に対向するバリア領域36の第2面S22と、第1及び第2導電型領域32,34の第1面S11に対向する第1及び第2導電型領域32,34の第2面S12とが連続的に形成され得る。これは、トンネル層20を覆う半導体層(
図3Eの参照符号30、以下同様)を形成した後にドーピングによって第1及び第2導電型領域32,34を形成し、ドープされていないバリア領域36として使用するからである。このとき、バリア領域36の第2面S22と、第1及び第2導電型領域32,34の第2面S12とが同一平面上で1つの平坦な面を構成するように形成され得る。これは、第1及び第2導電型領域32,34及びバリア領域36を構成する半導体層30が、トンネル層20よりも十分に厚く形成されて、トンネル層20と隣接しないバリア領域36の第2面S22及び第1及び第2導電型領域32,34の第2面S12が、トンネル層20の段差Pと関係なく平坦な面からなるからである。しかし、本発明がこれに限定されるものではなく、トンネル層20の段差Pによって、バリア領域36の第2面S22と第1及び第2導電型領域32,34の第2面S12との間に段差または屈曲が形成されてもよい。このような例については、
図9を参照して詳細に後述する。
【0062】
そして、本実施例では、バリア領域36の側面SS1と第2部分202の側面SS2が同一平面上に位置する。すなわち、第2部分202がバリア領域36と同じ形状、同じ幅などを有することで、第2部分202とバリア領域36が互いに一致する位置に形成され得る。しかし、本発明がこれに限定されるものではなく、第2部分202とバリア領域36の側面が互いにずれるように位置してもよい。これについては、
図5及び
図6を参照してより詳細に後述する。
【0063】
本実施例に係る太陽電池100に光が入射すると、ベース領域110と第1導電型領域32との間に形成されたpn接合での光電変換によって電子と正孔が生成され、生成された正孔及び電子は、トンネル層20をトンネリングして、それぞれ第1導電型領域32及び第2導電型領域34に移動した後、第1及び第2電極42,44に移動する。これによって、電気エネルギーを生成するようになる。
【0064】
本実施例のように、半導体基板10の後面に電極42,44が形成され、半導体基板10の前面には電極が形成されない後面電極構造の太陽電池100においては、半導体基板10の前面でシェーディング損失(shading loss)を最小化することができる。これによって太陽電池100の効率を向上させることができる。しかし、本発明がこれに限定されるものではない。
【0065】
そして、第1及び第2導電型領域32,34が、トンネル層20を挟んで半導体基板10上に形成されるので、半導体基板10と異なる別個の層として構成される。これによって、半導体基板10にドーパントをドープして形成されたドーピング領域を導電型領域として使用する場合よりも、再結合による損失を最小化することができる。
【0066】
このとき、トンネル層20が、互いに異なる厚さを有する第1部分201と第2部分202を含むことで、キャリアのトンネリングが要求される部分でのトンネリング確率を高く維持しながらも、キャリアのトンネリングが必要でない部分では、不必要なトンネリングによる再結合を防止することができる。これによって、太陽電池100の特性を向上させ、効率を最大化することができる。
【0067】
上述した構造の太陽電池100の製造方法を、
図3A乃至
図3Iを参照して詳細に説明する。
図3A乃至
図3Iは、本発明の実施例に係る太陽電池の製造方法を示す断面図である。
【0068】
まず、
図3Aに示すように、第2導電型ドーパントを有するベース領域110で構成される半導体基板10を準備する。本実施例において、半導体基板10は、n型のドーパントを有するシリコン基板(一例として、シリコンウエハ)からなることができる。n型のドーパントとしては、リン(P)、ヒ素(As)、ビスマス(Bi)、アンチモン(Sb)などの5族元素を使用することができる。しかし、本発明がこれに限定されるものではなく、ベース領域110がp型のドーパントを有してもよい。
【0069】
このとき、半導体基板10の前面及び後面のうちの少なくとも一面が凹凸を有するようにテクスチャリングしてもよい。半導体基板10の表面のテクスチャリングとしては、湿式または乾式テクスチャリングを用いることができる。湿式テクスチャリングは、テクスチャリング溶液に半導体基板10を浸漬することによって行うことができ、工程時間が短いという利点がある。乾式テクスチャリングは、ダイヤモンドドリルまたはレーザーなどを用いて半導体基板10の表面を削ることであって、凹凸を均一に形成することができる一方、工程時間が長く、半導体基板10に損傷が発生することがある。その他に、反応性イオンエッチング(RIE)などにより半導体基板10をテクスチャリングしてもよい。このように、本発明では、様々な方法で半導体基板10をテクスチャリングすることができる。
【0070】
一例として、半導体基板10の前面が凹凸を有するようにテクスチャリングされ、半導体基板10の後面が、鏡面研磨などによって処理されて、半導体基板10の前面よりも小さい表面粗さを有する平坦な面として構成されてもよい。しかし、本発明がこれに限定されるものではなく、様々な構造の半導体基板10を使用することができる。
【0071】
次いで、
図3B乃至
図3Dに示すように、半導体基板10の後面にトンネル層(
図3Dの参照符号20、以下同様)を形成する。これをより具体的に説明する。
【0072】
まず、
図3Bに示すように、トンネル層20の第2部分(
図3Cの参照符号202、以下同様)に対応する、第2厚さ(
図1の参照符号T2、以下同様)を有するトンネル形成層202aを、半導体基板10の後面に全体的に形成する。トンネル形成層202aは、様々な方法により形成することができ、一例として、熱的成長法、蒸着法(例えば、化学気相蒸着法(PECVD)、原子層蒸着法(ALD))などによって形成することができる。しかし、本発明がこれに限定されるものではなく、様々な方法によりトンネル形成層202aを形成することができる。
【0073】
次いで、
図3Cに示すように、トンネル形成層202aをパターニングして、第2部分202を構成する部分だけを残し、その他の部分は全体的に除去する。これによって、第2厚さT2を有する第2部分202のみが半導体基板10の後面に位置するようになる。パターニング方法としては、公知の様々な方法、例えば、エッチングペースト、フォトリソグラフィーを用いたエッチング、レーザーなどの方法を適用することができる。そして、本実施例では、トンネル形成層202aを全体的に形成した後にこれをパターニングする場合を例示したが、本発明がこれに限定されるものではない。したがって、マスクまたはマスク層などを用いて第2部分202に該当する部分にのみトンネル形成層202aを形成し、これをそのまま第2部分202として用いることもできる。その他の様々な変形が可能である。
【0074】
次に、
図3Dに示すように、第2部分202が形成されていない部分に第1部分201を形成する。一例として、半導体基板10を一定の温度で熱処理すると、熱的酸化によって半導体基板10の半導体物質(例えば、シリコン)と外部の酸素が化学的に反応し、半導体基板10の表面(即ち、第2部分201が形成されていない半導体基板10の後面)にシリコン酸化物層が形成され得、このようなシリコン酸化物層が第1部分201を構成することができる。このように、熱的酸化によって第1部分201を形成すると、マスク、パターニングなどを使用しない単純な工程によって、第2部分202が位置していない部分に全体的に薄い厚さを有する第1部分201を形成することができる。
【0075】
この場合には、第1部分201と第2部分202が互いに異なる工程によって形成されるので、第1部分201と第2部分202が互いに同じ物質を有することもでき、または異なる物質を有することもできる。
【0076】
第1及び第2部分201,202を有するトンネル層20は、上述した方法以外の様々な方法により形成することができる。変形例として、
図4Aに示すように、第2厚さT2を有するトンネル形成層202aを半導体基板10の後面に全体的に形成する。その後、
図4Bに示すように、第1部分201に該当する部分を第1厚さ(
図1の参照符号T1、以下同様)となるまでエッチングして、第1厚さT1を有する第1部分201を形成することができる。これは、マスクまたはマスク層を用いて第2部分202に該当する部分がエッチングされないようにしながら、第1部分201に該当する部分のエッチング速度(etching rate)を調節することによって具現することができる。これによって、単純な工程によって、第1及び第2部分201,202を備えるトンネル層20を形成することもできる。この場合には、第1及び第2部分201,202が同じトンネル形成層202aにより構成されるので、第1及び第2部分201,202が互いに同一の物質を含み、一体の構造を有する単一層を構成することができる。その他の様々な変形が可能である。
【0077】
次いで、
図3E及び
図3Fに示すように、トンネル層20上に第1導電型領域32及び第2導電型領域34を形成する。これをより具体的に説明すると、次の通りである。
【0078】
図3Eに示したように、トンネル層20上に半導体層30を形成する。半導体層30は、微結晶質、非晶質、または多結晶半導体で構成することができる。半導体層30は、一例として、熱的成長法、蒸着法(例えば、化学気相蒸着法(PECVD))などによって形成することができる。しかし、本発明がこれに限定されるものではなく、様々な方法により半導体層30を形成することができる。
【0079】
次いで、
図3Fに示すように、半導体層30に第1導電型領域32、第2導電型領域34、及びバリア領域36を形成する。例えば、第1導電型領域32に該当する領域に、イオン注入法、熱拡散法、レーザードーピング法などのような様々な方法により第1導電型ドーパントをドープし、第2導電型領域34に該当する領域に、イオン注入法、熱拡散法、レーザードーピング法などによる様々な方法により第2導電型ドーパントをドープすることができる。すると、第1導電型領域32と第2導電型領域34との間に位置した領域がバリア領域36を構成することになる。
【0080】
しかし、本発明がこれに限定されるものではなく、導電型領域32,34、そして、バリア領域36を形成する方法としては、公知の様々な方法を使用することができる。そして、バリア領域36を形成しないなどの様々な変形が可能である。
【0081】
次いで、
図3Gに示すように、半導体基板10の前面に第2導電型ドーパントをドープして前面電界領域130を形成することができる。前面電界領域130は、イオン注入法、熱拡散法、レーザードーピング法などのような様々な方法により形成することができる。その他の様々な方法を使用することができる。また、前面電界領域130が別途に形成されないことも可能である。
【0082】
次いで、
図3Hに示すように、半導体基板10の前面にパッシベーション膜24及び反射防止膜26を順次形成し、半導体基板10の後面に絶縁層40を形成する。すなわち、半導体基板10の前面上にパッシベーション膜24及び反射防止膜26を全体的に形成し、半導体基板10の後面上に第1及び第2導電型領域32,34を覆うように全体的に絶縁層40を形成する。パッシベーション膜24、反射防止膜26及び絶縁層40は、真空蒸着法、化学気相蒸着法、スピンコーティング、スクリーン印刷またはスプレーコーティングなどのような様々な方法により形成することができる。パッシベーション膜24及び反射防止膜26、そして、絶縁層40の形成順序は多様に変形可能である。
【0083】
次いで、
図3Iに示すように、第1及び第2導電型領域32,34にそれぞれ接続される第1及び第2電極42,44を形成する。
【0084】
一例として、絶縁層40に第1及び第2開口部402,404を形成し、第1及び第2開口部402,404内にめっき法、蒸着法などの様々な方法で第1及び第2電極42,44を形成することができる。他の実施例として、第1及び第2電極形成用ペーストを絶縁層40上にそれぞれスクリーン印刷などで塗布した後、ファイヤースルー(fire through)またはレーザー焼成コンタクト(laser firing contact)などを行うことで、上述した形状の第1及び第2電極42,44を形成することも可能である。この場合には、第1及び第2電極42,44を形成するときに第1及び第2開口部402,404が形成されるので、別途に第1及び第2開口部402,404を形成する工程を追加しなくて済む。
【0085】
本実施例によれば、第1及び第2部分201,202を備えるトンネル層20を単純な工程によって製造して、太陽電池100の効率及び生産性を共に向上させることができる。
【0086】
以下、
図5乃至
図9を参照して、本発明の他の実施例に係る太陽電池及びその製造方法を詳細に説明する。上述した説明と同一又は極めて類似の部分に対しては、上述の説明をそのまま適用できるので、詳細な説明を省略し、互いに異なる部分に対してのみ詳細に説明する。そして、上述した実施例又はその変形例と下記の実施例又はその変形例を互いに結合したものもまた本発明の範囲に属する。
【0087】
図5は、本発明の他の実施例に係る太陽電池を示す断面図である。
【0088】
図5を参照すると、本実施例では、第2部分202の側面SS2がバリア領域36の側面SS1と互いにずれて位置することができる。このとき、第2部分202の両側面SS2がいずれもバリア領域36の両側面SS1とずれていてもよい。または、第2部分202の両側面SS2のいずれか一方の側面SS2がバリア領域36の一方の側面SS1と一致し、第2部分202の他方の側面SS2がバリア領域36の他方の側面SS2とずれていてもよい。
【0089】
バリア領域36と第2部分202との幅を互いに異なるように形成して、これらの側面SS1,SS2が互いにずれることもでき、バリア領域36と第2部分202との幅を互いに同一にした場合にも、意図的にまたは工程誤差などによってこれらの側面SS1,SS2が互いにずれることもできる。
【0090】
本実施例では、第2部分202が第1導電型領域32にわたって形成される場合を例示した。より詳細には、第2部分202の一部が前記半導体基板10とバリア領域36との間に位置し、第2部分202の一部が半導体基板10と第1導電型領域32との間に位置することができる。
【0091】
このとき、
図5に示したように、半導体基板10とバリア領域36との間において、第2部分202が半導体基板10とバリア領域36との間に部分的に位置することができる。このとき、第2部分202が、第1導電型領域32と第2導電型領域34との間の境界部分を構成するバリア領域36において第1導電型領域32と第2導電型領域34との間の仮想の中心線CLを含むように位置することができる。すなわち、半導体基板10とバリア領域36との間に位置した第2部分202の幅W4が、バリア領域36の幅W3の50%以上であってもよい。これによって、第1導電型領域32に隣接するバリア領域36側へのキャリアのトンネリングを防止することができる。図示したものとは異なり、第2部分202は、半導体基板10とバリア領域36との間において半導体基板10とバリア領域36との間に全体的に位置してもよい。
【0092】
このように、第2部分202が第1導電型領域32側のみにわたって形成されると(即ち、第2部分202が第1導電型領域32側に偏って形成されると)、半導体基板10の多数キャリアがバリア領域36にトンネリングされて第1導電型領域32の多数キャリアと結合して発生し得る再結合を効果的に防止することができる。半導体基板10の多数キャリアがバリア領域36にトンネリングされて第2導電型領域34側に移動しても、太陽電池100の特性が低下しないので、第2部分202が第2導電型領域34までにわたって形成されなくてもよい。しかし、本発明がこれに限定されるものではなく、実施例によっては、第2部分202が、第1導電型領域32ではない第2導電型領域34にわたって形成されることも可能である。
【0093】
更に他の実施例として、
図6に示すように、第2部分202が第1及び第2導電型領域32,34の両方にわたって形成されてもよい。すると、第2部分202は、半導体基板10とバリア領域36との間に形成される部分と、第1導電型領域32と半導体基板10との間に部分的に位置する部分と、第2導電型領域34と半導体基板10との間に部分的に位置する部分とを含むことができる。
【0094】
このように、第2部分202の幅W6をバリア領域36の幅W5よりも大きくすると、工程誤差などが発生しても、バリア領域36に対応する部分に全体的に第2部分202が位置するようにして、バリア領域36へのトンネリングを効果的に防止することができる。
【0095】
ここで、バリア領域36の幅T5:第2部分202の幅T6の比率(W5:W6)が1:1.1〜1:2.5であってもよい。前記比率(W5:W6)が1:1.1未満であると、工程誤差などが発生する場合に、第2部分202がバリア領域36全体に対応しにくいことがあり、前記比率(W5:W6)が1:2.5を超えると、第2部分202の幅W6が過度に大きくなるため、第1及び第2導電型領域32,34へのトンネリングを妨げることがある。しかし、本発明がこれに限定されるものではなく、前記比率(W5:W6)が様々な値を有することができる。
【0096】
本実施例において、第2部分202の仮想の中心線とバリア領域36の中心線とが互いに一致して、第2部分202がバリア領域36に対して対称的に位置することができる。すると、第1導電型領域32側に位置した第2部分202の部分と、第2導電型領域34側に位置した第2部分202の部分との幅が同一であり得る。しかし、本発明がこれに限定されるものではない。したがって、第2部分202が第1導電型領域32側に偏って形成されて、第1導電型領域32側に位置した第2部分202の部分の幅が、第2導電型領域34側に位置した第2部分202の部分の幅よりも大きくてもよい。これによれば、第1導電型領域32とバリア領域36との間で発生し得る再結合をより効果的に防止することができる。または、第2部分202が第2導電型領域34側に偏って形成されて、第1導電型領域32側に位置した第2部分202の部分の幅が第2導電型領域34側に位置した第2部分202の部分の幅よりも小さくてもよい。その他の様々な変形が可能である。
【0097】
図7は、本発明の更に他の実施例に係る太陽電池を示す断面図であり、
図8は、
図7に示した太陽電池の部分背面平面図である。
【0098】
図7及び
図8を参照すると、本実施例では、第1導電型領域32と第2導電型領域34との間の境界部分において、第1導電型領域32と第2導電型領域34が互いに接触して位置する部分が少なくとも一部存在する。すなわち、第1導電型領域32と第2導電型領域34との間の境界部分は、バリア領域36が存在する第1境界部B1と、バリア領域36が存在せず、第1導電型領域32と第2導電型領域34が互いに接触して位置する第2境界部(または、接触境界部)B2とを備える。
【0099】
このように、バリア領域36が存在せずに、第1導電型領域32と第2導電型領域34とが互いに接触する第2境界部B2が存在する場合、第2境界部B2が、電流が速く流れ出ることができる通路を提供することで、熱が局部的な部分で集中してしまい問題となることを防止することができる。これによって、太陽電池100で発生し得る熱による問題を最小化することができる。しかし、第2境界部B2の比率が大きすぎると、第1導電型領域32と第2導電型領域34との間でのシャントによる問題が大きくなることがあるため、このような部分の比率が50%未満(一例として、10%以下)であってもよい。しかし、本発明がこれに限定されるものではなく、このような部分の比率などは様々に変化可能である。
【0100】
第1境界部B1と第2部分202の位置関係は、上述した実施例で説明した通りであるので、これについての詳細な説明を省略する。第2境界部B2では、第1導電型領域32と第2導電型領域34との接触面CSが第2部分202上に位置することができる。しかし、本発明がこれに限定されるものではなく、様々な変形が可能である。
【0101】
図9は、本発明の更に他の実施例に係る太陽電池を示す断面図である。
【0102】
図9を参照すると、第1及び第2導電型領域32,34、そして、バリア領域36が位置する半導体層が、トンネル層20の屈曲に従って屈曲を有するように形成されてもよい。
【0103】
より具体的には、第2部分202上に位置するバリア領域36の第1面S21よりも第1部分201上に位置する第1及び第2導電型領域32,34の第1面S11が、半導体基板10に向かって突出した位置に位置することができる。そして、第1面S21に対向する、バリア領域36の第2面S22と、第1面S11に対向する、第1及び第2導電型領域32,34の第2面S12とが段差を有することができる。これによって、第2部分202上に位置するバリア領域36の第2面S22よりも第1部分201上に位置する第1及び第2導電型領域32,34の第2面S12が、半導体基板10に向かって突出した位置に位置することができる。
【0104】
図9では、第2部分202及びバリア領域36が、
図1に示したような配置を有する場合を例示して説明した。しかし、本発明がこれに限定されるものではなく、様々な変形が可能である。
【0105】
上述したような特徴、構造、効果などは、本発明の少なくとも一つの実施例に含まれ、必ずしも一つの実施例にのみ限定されるものではない。さらに、各実施例で例示した特徴、構造、効果などは、実施例の属する分野における通常の知識を有する者によって、他の実施例に対しても組み合わせ又は変形して実施可能である。したがって、このような組み合わせ及び変形に係わる内容は、本発明の範囲に含まれるものと解釈されるべきである。