(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1のインタフェース手段に設けられ、前記通信事業者回線から受信した受信信号を識別すると共に、識別した情報を前記固定パターン制御手段に通知する固定パターン識別手段をさらに備え、
前記固定パターン制御手段は、前記固定パターン識別手段から第1の固定パターン情報を識別したことを受け取ると、前記固定パターン発生手段に対して前記第1の固定パターン情報とは異なる第2の固定パターン情報を発生するように制御すると共に該第2の固定パターン情報を前記通信事業者回線に送出するように制御し、
前記監視手段は、前記通信事業者回線から前記第1の固定パターン情報を受信すると、前記アラーム情報を出力する
請求項3記載の多重化装置。
前記固定パターン制御手段は、前記第2の固定パターン情報を前記通信事業者回線に送出している間に、前記固定パターン識別手段から前記第2の固定パターン情報を識別したことを受け取ると、前記回線障害の復旧を検知する
請求項4記載の多重化装置。
【背景技術】
【0002】
多重化装置は、各チャンネルからの信号を多重化し、伝送路インタフェースのフレーマーでフレームを付加して伝送路に送出する。また、多重化装置は、伝送路から受信した信号について、伝送路インタフェースのフレーマーでフレームを外し、各チャンネルに分離する。
【0003】
通信事業者回線と自営網回線とを中継接続する場合には、例えば、通信事業者回線の伝送路インタフェースを有する多重化装置と、自営網回線の伝送路インタフェースを有する多重化装置とを、各チャンネルを挟んで相対向させて接続してインタフェース変換を行う。
【0004】
図8は、特許文献1に記載される多重化装置1の構成を示すブロック図である。
図8に示すように、この多重化装置1は、通信事業者回線(「TTC標準JT−I.431a」に準拠等)に接続するI.431aインタフェース部20と、自営網回線(「ITV−TG.703」に準拠等)に接続するG.703インタフェース部40とを備える。I.431aインタフェース部20は、I.431aフレーマー21、クロック受信部22およびアラーム監視部23を備える。G.703インタフェース部40は、G.703フレーマー41、クロック変換部42およびアラーム制御部43を備える。
【0005】
多重化装置1は、また、I.431aインタフェース部20とG.703インタフェース部40とを接続して、チャンネルの組み換えなどを行うクロスコネクト部30と、アラーム監視部23からアラーム情報を受信すると、アラーム制御部43にアラーム情報を転送するアラーム情報転送部50とを備える。
【0006】
多重化装置1では、通信事業者回線に通信異常が発生すると、I.431aインタフェース部20のアラーム監視部23が、アラームを検知してアラーム情報転送部50にアラーム情報を通知する。アラーム情報転送部50は、G.703インタフェース部40のアラーム制御部43に、アラーム情報を転送する。アラーム制御部43は、アラーム情報の転送を受けると、G.703フレーマー41に出力信号を閉塞するように制御する。
【0007】
特許文献2には、障害の発生から障害回避処理の完了までにかかる時間を短縮する伝送システムが開示されている。この伝送システムは、通信異常またはAIS(Alarm Indication Signal)警報により障害を検知すると、対向装置へ伝送されるコンテナに所定の表示を付加することで、回線障害を通知する機能を有している。
【0008】
特許文献3には、SONET(Synchronous Optical Network)規格やITUT−T(International Telecommunication Union Telecommunication Standardization Sector)規格に準拠した多重化伝送装置において、回線未使用時に挿入するアイドルパターンに関して、それをサポートする大容量のアイドルパターン生成回路の回路規模を抑制する技術が開示されている。
【0009】
特許文献4には、AIS信号を受信した装置が障害の種別まで識別して保守を簡単にするデータ通信方式が開示されている。このデータ通信方式では、受信障害を検知して配下の受信側装置にAIS信号を転送する際にAIS信号に障害種別を示す情報を付加している。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、各図面及び明細書記載の各実施形態において、同様の構成要素には同一の符号を付与し、説明を適宜省略する。また、図面中の矢印の方向は、一例を示すものであり、本発明の実施形態を限定するものではない。
【0021】
第1の実施形態
図1は、本発明の第1の実施形態に係る多重化装置100の構成を示すブロック図である。
図1に示すように、多重化装置100は、I.431aインタフェース部110、クロスコネクト部120、G.703インタフェース部130、アラーム情報転送部140および固定パターン制御部150を備える。
【0022】
I.431aインタフェース部110は、クロック受信部111、I.431aフレーマー112、アラーム監視部113、受信固定パターン識別部114、固定パターン発生部115および送信信号切替部116を備える。
【0023】
G.703インタフェース部130は、クロック変換部131、G.703フレーマー132およびアラーム制御部133を備える。
【0024】
図2は、多重化装置100により通信事業者回線と自営網回線とを中継する場合の構成を例示する図である。
図2は、それぞれが自営網回線3A、3Bを有するA局、B局間を、通信事業者回線2で接続した構成を示す。この構成において、A局、B局にそれぞれ多重化装置100A、100Bを配置し、通信事業者回線2と自営網回線3A、3Bとのインタフェース変換を行うことにより、回線間の中継を実現する。なお、
図2および以下の説明において、多重化装置100A、100Bは、
図1に示した多重化装置100と同一の構成を有し、「多重化装置100A」、「多重化装置100B」を、単に「多重化装置100」とも表記する。
【0025】
例えばB局に配置された多重化装置100Bの構成について、
図1を参照して説明する。まず、多重化装置100のI.431aインタフェース部110の各構成要素の概略について説明する。
【0026】
I.431aインタフェース部110が備えるI.431aフレーマー112は、通信事業者回線2から入出力信号4を受け取る。クロック受信部111は、I.431aフレーマー112で受信した信号からクロックを抽出して内部クロックとする。アラーム監視部113は、I.431aフレーマー112において回線障害が検知された場合にアラーム信号を発すると共に、アラーム情報をアラーム情報転送部140に転送する。
【0027】
受信固定パターン識別部114は、I.431aフレーマー112から受信信号6を受け取ると共に識別し、受信信号6が所定の固定パターンである場合、そのパターンにしたがって固定パターン情報信号7を固定パターン制御部150に通知する。
【0028】
固定パターン制御部150は、受信固定パターン識別部114からの固定パターン情報信号7またはアラーム情報転送部140からのアラーム情報信号8(詳細は後述する)に応じて、固定パターン発生部115に対して、送信固定パターン信号9を発生するように制御する。
【0029】
固定パターン制御部150は、また、送信信号切替部制御信号10によって、送信信号切替部116を切り替えることにより、通信事業者回線2への送信信号を止めると共に、送信固定パターン信号9を通信事業者回線2に送出するように制御する。
【0030】
固定パターン発生部115は、固定パターン制御部150による上記制御に基づいて、送信信号切替部116に対して送信固定パターン信号9を送出する。
【0031】
続いて、G.703インタフェース部130の各構成要素の概略について説明する。
【0032】
G.703インタフェース部130のG.703フレーマー132は、自営網回線3Bからの入出力信号5を受け取る。クロック変換部131は、自営網回線3Bへの出力信号を内部クロックに同期させる。アラーム制御部133は、アラーム情報転送部140からアラーム情報の転送を受けると自営網回線3Bに対する出力を閉塞するように制御する。
【0033】
クロスコネクト部120は、I.431aインタフェース部110とG.703インタフェース部130とを接続し、チャンネルの組み換えなどを行う。
【0034】
アラーム情報転送部140は、アラーム監視部113から転送されたアラーム情報を、G.703インタフェース部130に転送する。アラーム制御部133は、アラーム情報転送部140からアラーム情報を受けると、上述のように、自営網回線3Bに対する出力を停止させる。アラーム情報転送部140は、また、アラーム監視部113からのアラーム情報に応じて、アラーム情報信号8を固定パターン制御部150に通知する。この通知に応じて、固定パターン制御部150は、通信事業者回線2の障害を対向局に通知するように制御する(詳細は後述する)。
【0035】
図1に示した多重化装置100は、
図8に示した多重化装置1に、受信固定パターン識別部114、固定パターン発生部115、送信信号切替部116および固定パターン制御部150をさらに加えた構成を有する。
【0036】
次に、正常通信の際および通信事業者回線2において回線障害が発生した際の多重化装置100の動作について説明する。
【0037】
図3は、多重化装置100Aと多重化装置100Bの各I.431aインタフェース部110における相互通信時の動作遷移を説明する図である。
図3を参照して、I.431aインタフェース部110の動作遷移について説明する。なお、以下の説明における固定パターンA信号および固定パターンB信号は、通信事業者回線2で通常通信されている信号と区別できる信号であり、
図1に示す送信固定パターン信号9として送信信号切替部116に送出される。固定パターンA信号は、回線障害を検知した際に対向局に返信する信号であり、固定パターンB信号は、固定パターンA信号または固定パターンB信号を受信した際に対向局に返信する信号である。
【0038】
通常の運用では、I.431aインタフェース部110は、正常通信を行う(動作210)。I.431aインタフェース部110は、常時、I.431aフレーマー112において受信信号を確認しており(動作211)、受信信号に変化がない場合は、そのまま確認を続ける(動作211において「正常通信」と判断される)。
【0039】
ここで、通信事業者回線2において回線障害が発生し、その回線障害を多重化装置100Aが受信したと仮定する。この場合、多重化装置100Aは、自営網回線3Aに回線障害を通知すると共に、対向局(B局)にも回線障害を通知する。
【0040】
I.431aインタフェース部110は、動作211において、異常信号を受信した場合(動作211において「異常信号受信」と判断された場合)、送信信号切替部116を切り替えると共に、固定パターンA信号を返信する(動作212)。
【0041】
I.431aインタフェース部110は、固定パターンA信号を返信した状態で、受信信号を確認する(動作213)。I.431aインタフェース部110は、動作213において異常信号を受信している間(動作213において「異常信号受信」と判断された場合)、固定パターンAを返信する。
【0042】
I.431aインタフェース部110は、固定パターンA信号を受信した場合(動作213において「固定パターンA受信」と判断された場合)、対向局に固定パターンB信号を返信する(動作214)。この場合、I.431aインタフェース部110は、引き続き受信信号の確認を行い(動作215)、固定パターンA信号を受信している間(動作215において「固定パターンA受信」と判断された場合)は、固定パターンB信号の返信を続ける。なお、動作212において固定パターンAを返信中に固定パターンAを受信するケースは、例えば、B局からA局への通信障害が発生し、後にその障害が復旧するのと同時またはほぼ同時にA局からB局への通信障害が発生した場合等に起こりうる。
【0043】
一方、I.431aインタフェース部110は、動作213において固定パターンB信号を受信した場合、回線が復旧したと判断して固定パターンB信号を返信する(動作216)。そして、I.431aインタフェース部110は、一定時間経過後に、送信信号切替部116を切り戻すことにより、正常通信に戻る(動作210)。
【0044】
ここで、動作211において、固定パターンA信号を受信した場合、I.431aインタフェース部110は、以下のように動作する。すなわち、I.431aインタフェース部110は、固定パターンA信号を受信した場合、対向局で回線障害が検出されたと判断し、固定パターンB信号を返信する(動作217)。
【0045】
I.431aインタフェース部110は、引き続き受信信号の確認を行い、固定パターンA信号を受信している間(動作218において「固定パターンA受信」と判断された場合)は、固定パターンB信号の返信を続ける。一方、動作218において固定パターンB信号の受信が検出されると、I.431aインタフェース部110は、回線が復旧したと判断して送信信号切替部116を切り戻すことにより、正常通信に戻る(動作210)。
【0046】
図4は、I.431aインタフェース部110の送信信号と受信信号の組み合わせに応じた動作を示すマトリックス図である。誤動作を防ぐため、回線障害(異常通信)状態から正常通信に戻るのは、必ず固定パターンB信号を、送信または受信した際とする。なお、A局およびB局間では、通信回線が不安定で回線障害の発生と復旧が繰り返し生じるケースや、A局とB局間での障害の発生および復旧が別々に生じるケース等も想定され、
図4には、それらの際の動作も含まれる。
【0047】
図5は、正常通信時、および通信事業者回線2の回線障害時(A局において受信障害の発生時)の多重化装置100Aおよび多重化装置100Bの動作を説明するシーケンス図である。
図5および
図1に示す構成を参照して、多重化装置100A、100Bの動作について説明する。また、
図5に示す処理が
図3に示した動作のいずれに相当するかについても説明する。なお、
図5において、同一の処理には同一符号を付し、その符号が付された処理が引き続き行われていることを示す。
【0048】
通常の運用では、多重化装置100A、100Bは、ともに、正常信号の送受信を行う(S301)(
図3の動作210に相当)。
【0049】
続いて、
図5の障害aで示すように、通信事業者回線2において回線障害が発生した(A局の多重化装置100Aで受信障害が発生した)と仮定する。このとき、多重化装置100Bは、正常信号の送受信を継続するが(S302)、多重化装置100Aは、I.431aインタフェース部110のI.431aフレーマー112において受信信号の異常を検知する(S303)。
【0050】
このとき、アラーム監視部113は、自営網回線3Aにアラーム情報を転送する(S304)。すなわち、アラーム監視部113は、アラーム信号を発すると共に、アラーム情報転送部140にアラーム情報を転送する。アラーム情報転送部140は、アラーム情報をアラーム制御部133に転送すると共に、固定パターン制御部150にアラーム情報信号8を通知する。なお、アラーム情報転送部140は、上述の通り、アラーム制御部133を介して、G.703フレーマー132に自営網回線3Aへの出力信号を閉塞するように制御する。
【0051】
固定パターン制御部150は、アラーム情報信号8に応じて、送信信号を止めてB局に固定パターンA信号を送信するように制御する(S305)。すなわち、固定パターン制御部150は、固定パターン発生部115に対して、固定パターンA信号を発生すると共に、それを送信固定パターン信号9として送信信号切替部116に送るように制御する。固定パターン制御部150は、また、送信信号切替部116を切り替えることにより、送信信号を止めて送信固定パターン信号9を通信事業者回線2に送出する。これにより、B局に回線障害が通知される(
図5において信号bで示す)。
【0052】
続いて、B局の多重化装置100Bは、I.431aインタフェース部110のI.431aフレーマー112において、A局からの固定パターンA信号(信号b)の受信を検知する(S307)(
図3の動作211において「固定パターンA受信」と判断された場合に相当)。
【0053】
上記検知に応じて、アラーム監視部113は、多重化装置100Aのアラーム監視部113と同様に、アラーム信号を発すると共に、アラーム情報転送部140にアラーム情報を転送する。これにより、自営網回線3Bにアラーム情報が転送され(S308)、自営網回線3Bへの信号の伝送は停止される。つまり、A局およびB局間の通信において、両方向とも回線断(リンクダウン状態)となる。
【0054】
上記動作により、A局の多重化装置100Aにおいて通信事業者回線2の回線障害が検出された際、その障害をB局に通知するので、両方向とも回線断にでき、回線障害を迅速に検出できる。
【0055】
続いて、B局の多重化装置100BのI.431aインタフェース部110は、固定パターンB信号を返信する(S309)。この処理は、多重化装置100Aおよび多重化装置100Bにおいて、障害復旧を検知するための処理である。具体的には、I.431aフレーマー112は、S307において受信した固定パターンA信号を、受信信号6として受信固定パターン識別部114に送出する。受信固定パターン識別部114は、受信信号6のパターンを識別し、受信信号6が固定パターンA信号であることを検出すると、固定パターン制御部150に対して、受信信号6がパターンA信号であることを含む固定パターン情報信号7を送出する。
【0056】
固定パターン制御部150は、固定パターン情報信号7に応じて、固定パターン発生部115に対して、固定パターンB信号を発生すると共に、それを送信固定パターン信号9として送信信号切替部116に送出するように制御する。固定パターン制御部150は、また、送信信号切替部116を切り替えることにより、送信信号を止めて送信固定パターン信号9を通信事業者回線2に送出する(
図5において信号cで示す)(
図3の動作217に相当)。
【0057】
多重化装置100Aは、通信事業者回線2の障害が復旧するまで(
図3の動作213において「異常信号受信」に相当)、処理S305を繰り返す。また、多重化装置100Bは、通信事業者回線2の障害が復旧するまで(
図3の動作218において「固定パターンA受信」に相当)、処理S309を繰り返す。
【0058】
続いて、
図6を参照して、通信事業者回線2の回線障害が復旧した(A局の多重化装置100Aでの受信障害が復旧した)際の多重化装置100Aおよび多重化装置100Bの動作について説明する。なお、
図6において
図5と同一符号が付された処理は、
図5に示した処理と同一である。また、
図6において、同一の処理には同一符号を付し、その符号が付された処理が引き続き行われていることを示す。
【0059】
回線障害が復旧すると、
図5のS309で送信していた固定パターンB信号が、
図6の信号dで示すように、多重化装置100Aに到達する。多重化装置100Aは、固定パターンB信号を受信する(S310)(
図3の動作213における「固定パターンB受信」に相当)。多重化装置100AのI.431aインタフェース部110の固定パターン制御部150は、回線復旧を検知する(S311)。
【0060】
そして、I.431aインタフェース部110は、固定パターンA信号を止めて固定パターンB信号を送信する(S312)(
図3の動作216に相当)。この固定パターンB信号は、
図6の信号eで示すように、A局からB局へ回線復旧を知らせる通知である。
【0061】
多重化装置100BのI.431aインタフェース部110は、I.431aフレーマー112において固定パターンB信号を受信し、受信固定パターン識別部114においてそれを識別する(S313)(
図3の動作218において「固定パターンB受信」に相当)。このとき、I.431aインタフェース部110は、回線が復旧したと判断する(S314)。そして、多重化装置100Bは、一定時間後に正常通信へ移行する(S315)(
図3の動作218において「固定パターンB受信」と判断した後の動作210への遷移に相当)。
【0062】
多重化装置100Aは、固定パターンB信号を送信して、一定時間後に正常通信に移行する(S316)(
図3の動作S216の一定時間後の動作210への遷移に相当)。
【0063】
以上のように、本第1の実施形態によれば、多重化装置100AのI.431aインタフェース部110は、通信事業者回線2からの受信障害を検出すると、自営網回線3Aへのアラームの通知とともに、異常信号に対して固定パターン制御部150の制御により、対向局(B局)に固定パターンA信号を返信する。B局の多重化装置100Bは、固定パターンA信号を受けると、自営網回線3Bに対する出力を停止させる。
【0064】
上記構成を採用することにより、本第1の実施形態によれば、多重化装置100は、通信事業者回線と自営網回線とを中継する際に、通信事業者回線での通信障害を受信した場合、自局の自営網回線だけでなく、対向局の自営網回線にもアラームを転送することが可能となるという効果が得られる。
【0065】
また、これにより、通信事業者回線の障害時にA局およびB局間の通信で両方向ともリンクダウン状態とすることができるので、IP通信において回線障害の検出を迅速化することができる。したがって、回線障害時に、例えば回線迂回の動作を迅速に実行できるので、回線障害による通信停止等の影響を抑えることができるという効果が得られる。また、多重化装置100は、通信事業者回線の回線障害を対向局に通知するので、通信事業者回線と自営網回線とを多重化装置100により中継するシステムにおいて、障害箇所の特定が可能となるという効果が得られる。
【0066】
また、本第1の実施形態によれば、B局の多重化装置100Bは、通信事業者回線2の障害を通知する固定パターンA信号に応じて、固定パターンB信号を返信する。多重化装置100Aは固定パターンB信号を受信すると、回線障害の復旧を検知すると共に、固定パターンB信号を送信する。B局の多重化装置100Bは、固定パターンB信号を受信すると、回線障害の復旧を検知する。この構成により、本第1の実施形態によれば、多重化装置100において、通信事業者回線2の回線復旧を迅速に検知できるという効果が得られる。
【0067】
第2の実施形態
図7は、第2の実施形態に係る多重化装置400の構成を示すブロック図である。上述の第1の実施形態に係る多重化装置100は、多重化装置400を基本としている。
【0068】
図7に示すように、多重化装置400は、通信事業者回線と自営網回線とに接続され、通信事業者回線に接続された第1のインタフェース部と、自営網回線に接続された第2のインタフェース部との間でインタフェース変換を行って、通信事業者回線からの伝送信号を自営網回線へ伝送する。
【0069】
多重化装置400は、監視部410、固定パターン発生部420および制御部430を備える。
【0070】
監視部410は、第1のインタフェース部に設けられ、通信事業者回線から回線障害を示す信号を受信すると、アラーム情報を出力する。固定パターン発生部420は、第1のインタフェース部に設けられ、固定パターン情報を発生する。
【0071】
制御部430は、伝送信号の伝送路と別に設けられたアラーム情報用通信路を通じて、監視部410からアラーム情報を受け取り、そのアラーム情報を第2のインタフェース部に転送し、固定パターン発生部420に対して固定パターン情報を発生するように制御すると共に該固定パターン情報を通信事業者回線に送出するように制御する。監視部410は、上記第1の実施形態におけるアラーム監視部113に相当し、制御部430は、上記第1の実施形態におけるアラーム情報転送部140と固定パターン制御部150に相当する。また、第1のインタフェース部および第2のインタフェース部は、それぞれ上記第1の実施形態におけるI.431aインタフェース部110およびG.703インタフェース部130に相当する。
【0072】
以上のように、本第2の実施形態によれば、多重化装置400は、上記構成を採用するので、通信事業者回線と自営網回線とを中継する際に、通信事業者回線での通信障害を受信した場合、自局の自営網回線だけでなく、対向局の自営網回線にもアラームを転送することができるという効果が得られる。