特許第6235552号(P6235552)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6235552インクジェット印刷のための水溶性且つ耐水性染料
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6235552
(24)【登録日】2017年11月2日
(45)【発行日】2017年11月22日
(54)【発明の名称】インクジェット印刷のための水溶性且つ耐水性染料
(51)【国際特許分類】
   C09B 29/30 20060101AFI20171113BHJP
   C09B 33/10 20060101ALI20171113BHJP
   C09B 35/029 20060101ALI20171113BHJP
   C09B 35/039 20060101ALI20171113BHJP
   C09B 35/52 20060101ALI20171113BHJP
   C09B 43/24 20060101ALI20171113BHJP
   C09B 67/44 20060101ALI20171113BHJP
   C09D 11/32 20140101ALI20171113BHJP
【FI】
   C09B29/30CLA
   C09B33/10CSP
   C09B35/029
   C09B35/039
   C09B35/52
   C09B43/24
   C09B67/44 A
   C09D11/32
【請求項の数】25
【全頁数】109
(21)【出願番号】特願2015-500799(P2015-500799)
(86)(22)【出願日】2013年3月22日
(65)【公表番号】特表2015-514137(P2015-514137A)
(43)【公表日】2015年5月18日
(86)【国際出願番号】EP2013000878
(87)【国際公開番号】WO2013139485
(87)【国際公開日】20130926
【審査請求日】2016年2月12日
(31)【優先権主張番号】12002048.2
(32)【優先日】2012年3月22日
(33)【優先権主張国】EP
(31)【優先権主張番号】61/614,566
(32)【優先日】2012年3月23日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】514300568
【氏名又は名称】レックス−トーン・インダストリーズ・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】クルト・ベッティヒ
(72)【発明者】
【氏名】ダミアン・モワニョー
【審査官】 安藤 倫世
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭57−085858(JP,A)
【文献】 特開昭58−174458(JP,A)
【文献】 特表2007−517082(JP,A)
【文献】 特開平01−265205(JP,A)
【文献】 特開平01−172907(JP,A)
【文献】 特開昭63−056574(JP,A)
【文献】 特開平07−003172(JP,A)
【文献】 特開昭58−174462(JP,A)
【文献】 特開昭58−176256(JP,A)
【文献】 特開昭63−056573(JP,A)
【文献】 特開2009−007523(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09B
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:
【化1】
(式中、
Mは、H、Li、Na、K、N(HKR6m)からなる群から選択され、
各R6は、-H、及び1〜10の炭素数を有する、置換又は非置換の飽和又は不飽和脂肪族基からなる群から選択され、
kは0、1、2、3、4から選択される整数であり、
m=4−kであり;
R1は、-H又は-N=N-Ar2であり、
Ar2は、置換又は非置換の単環式、多環式、又は縮合環である、少なくとも1つの芳香族基を含む部分であり、該少なくとも1つの芳香族基は、少なくとも1つの5又は6員環の同素又は複素環構造を含み、
複素環構造は、N、O又はSである少なくとも1つのヘテロ原子を含み;
R2は、-C(=O)R6、-C(=O)-(CH2)v-Ar21〜10の炭素数を有する、置換又は非置換の飽和又は不飽和脂肪族基、-(CH2)q-X、-C(=O)-(CH2)vAr2、-SO2R6、-SO2Ar2からなる群から選択され、
Xは、-SO3M、-SO2NH2、-SO2NHR6、-NHSO2R6、-NO2、-COOM、-COOR、-CH3、-R6、-NH2、-NHR6、-OR6、-OM、-Cl、-Br、-I、-F、-CN、-CO2NHR6、-Ar2、-N=N-Ar2、-SO2R6、及び-NHC(=O)-R6からなる群から選択され、
M、R6、及びAr2は上記したとおりに定義され、
qは1〜10の範囲の整数であり、
vは0〜10の範囲の整数であり;
R3は、-NHR2又は-N=N-Ar2であり、
R2は上記で定義したとおりの意味を有し、
Ar2は上記で定義したとおりの意味を有し、
R4は、-N=N-Ar2であり、Ar2は上記で定義したとおりの意味を有する)
の染料D1。
【請求項2】
各Ar2が、
a) 式III
【化2】
(式中、 rは、式III中の置換基Xの数を表し、1〜5の範囲の整数であり、Xは請求項1で定義したとおりの意味を有し、
Mは請求項1で定義したとおりである);
b)式IV:
【化3】
(式中、
Xは請求項1で定義したとおりの意味を有し、tは式IV中の置換基Xの数を表し、1~4の範囲の整数である);
c)式V:
【化4】
(式中、
R7は、-R6、-SR6、-Ar2、及び-NHR6からなる群から選択され、
Z1は、-OH、-NHR6、-CN、-CO2M、-CO2R6、又は-NHR6であり、
Ar2、R6、及びMは、請求項1で定義したとおりの意味を有する);
d)式VI:
【化5】
(式中、
各Xは請求項1で定義したとおりの意味を有し、
Tは、C、N、及びPからなる群から選択され、
Mは、請求項1で定義したとおりの意味を有し、
uは、式VI中の置換基Xの数を表し、0~6の整数である);
e)式VII:
【化6】
(式中、
Xは、請求項1で定義したとおりの意味を有し、
wは、式VII中の置換基Xの数を表し、1又は2であり、
Yは、C又はNである);
f)式VIII:
【化7】
(式中、
Xは、上記で定義したとおりの意味を有し、
wは、式VIII中の置換基Xの数を表し、1〜4の範囲の整数であり、
YはC、N、O、又はSであり、
R6及びMは、上記で定義したとおりの意味を有する)、
から成る群から独立して選択される、請求項1に記載の染料D1。
【請求項3】
R1、R3、及びR4から選択される2つの基が、-N=N-Ar2であり、各Ar2は、他のAr2から独立して選択される、請求項1又は2に記載の染料D1。
【請求項4】
R1及びR4が-N=N-Ar2であり、各Ar2は、他のAr2から独立して選択される、請求項3に記載の染料D1。
【請求項5】
請求項1で定義した式Iの2つの部分と、1つの式II:
*-N=N-Ar1-N=N-* (II)
(式中、
Ar1は、置換又は非置換の、単環式、多環式又は縮合環の、リンカーを含む少なくとも1つの芳香族基であり、該少なくとも1つの芳香族基は少なくとも1つの5又は6員環の同素又は複素構造を含み、
該複素環構造は、N、O、又はSであるヘテロ原子を少なくとも1つ含み;
式Iの各部分において、独立に、R2、R3、及びMは、請求項1で定義したとおりの意味を有し、
式Iの各部分のR1及びR4は、
a. -H、
b. -N=N-Ar2(Ar2は請求項1で定義したとおりである)、又は
c. -R5
から選択され、
式Iの前記2つの部分のそれぞれにおいて、基R1及びR4のうちの少なくとも1つは式IIで定義するR5と等しく、R5は*で示した位置で式Iの前記2つの部分と結合する)
のR5部分を含む、染料D2。
【請求項6】
式Iの各部分において、R1がR5と等しい場合、R4のAr2が請求項2で定義した式IIIの構造か又は式VIの構造である、請求項5に記載の染料D2。
【請求項7】
R5が式IIa及び式IIb:
【化8】
(式中、
各Xは、独立に請求項1で定義したとおりの意味を有し、
それぞれの芳香環におけるsは、独立に、置換基Xの数を表し、0、1、2、及び3から選択される整数であり、
U1は、-CZ2-、-CZ2-CZ2-、-(SO2)-、-O-、-(C=O)-、-CH=CH-、-NH(C=O)-、
【化9】
及び-NR6-からなる群から選択され、
各Zは、独立して-H、-OH、及び-CH3から選択され、
yは0又は1であり、
U2、U3は、それぞれ、-(C=O)-及び-(SO2)-から選択され、
R7は、-R6、-Cl、-Br、-I、-F、及び-OHからなる群から選択され、
R6は、請求項1で定義したとおりの意味を有する)
からなる群から選択される、請求項5又は6に記載の染料D2。
【請求項8】
R5が、式IX:
【化10】
又は式X:
【化11】
から選択される、請求項5〜7のいずれか一項に記載の染料D2。
【請求項9】
M、R1、R2、及びR3は、式Iの両方の部分と同一であり、該式Iの両方の部分は、R4において式IIの1つのR5部分を介して互いに結合している、請求項5〜8のいずれか一項に記載の染料D2。
【請求項10】
M、R2、R3、及びR4は、式Iの両方の部分と同一であり、該式Iの両方の部分は、R1において式IIの1つのR5部分を介して互いに結合している、請求項5〜9のいずれか一項に記載の染料D2。
【請求項11】
式XI:
【化12】
により表される、請求項5に記載の染料D2。
【請求項12】
式XII:
【化13】
により表される、請求項5に記載の染料D2。
【請求項13】
式XIIIa:
【化14】
により表される、請求項5に記載の染料D2。
【請求項14】
式XIIIb:
【化15】
により表される、請求項5に記載の染料D2。
【請求項15】
少なくも以下の工程:
α.少なくとも1つの芳香族基を含む式XIVの化合物を準備する工程;
H2N-Ar2 (XIV)
(式中、Ar2は請求項1で定義したとおりの意味を有する);
β.前記少なくとも1つの芳香族基を含む式XIVの化合物をジアゾ化する工程;
γ.ジアゾ化された前記少なくとも1つの芳香族基を含む化合物を式XVのカップリング成分とカップリングさせて粗生成物を得る工程
【化16】
(式中、M、R1、R2、及びR3は、請求項1で定義したとおりであり、
R4は、-H又は-N=N-Ar2であり、Ar2は請求項1で定義したとおりである);
δ.前記粗生成物を精製して染料D1を得る工程;
を含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の染料D1を調製する方法。
【請求項16】
R1及びR4の少なくとも1つは-Hである、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
少なくとも以下の工程:
α.少なくとも1つの芳香族基を含む式XVIのリンカーを準備する工程
H2N-Ar1-NH2 (XVI)
(式中、Ar1は請求項5で定義したとおりの意味を有する);
β.前記少なくとも1つの芳香族基を含む式XVIのリンカーをジアゾ化する工程;
γ.ジアゾ化された前記少なくとも1つの芳香族基を含むリンカーを少なくとも1つの式XVIIのカップリング成分とカップリングさせて、粗生成物を得る工程
【化17】
(式中、M、R1、R2、R3、及びR4は、請求項5で定義したとおりであり、
R1及びR4の少なくとも1つは-Hである);
δ.前記粗生成物を精製して染料D2を得る工程;
を含む、請求項5〜14のいずれか一項に記載の染料D2を調製する方法。
【請求項18】
プロセスがワンポット合成で行われる、請求項15〜17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
1)少なくとも1つの、請求項1〜4のいずれか一項に記載の染料D1、又は請求項5〜14のいずれか一項に記載の染料D2、及び、
2)水
を含む、液体相。
【請求項20】
請求項1〜14のいずれか一項に記載の1以上の染料を含み、該染料の液体相中の量が、液体相の全量に基づいて0.5〜20wt%の範囲内である、請求項19に記載の液体相。
【請求項21】
N-メチル-2-ピロリドン又は2-ピロリドンを、液体相の全量に基づいて1〜30wt%の範囲内でさらに含む、請求項19又は20に記載の液体相。
【請求項22】
インクである、請求項19〜21のいずれか一項に記載の液体相。
【請求項23】
少なくとも以下の工程:
α) 基材を準備する工程、
β) 請求項19〜22のいずれか一項に記載の液体相を含むタンクを準備する工程、
γ) 前記タンクから前記液体相の少なくとも一部を前記基材に移す工程、
δ) 前記基材から、水、場合により溶媒を除去する工程
を含む、液体相を基材に塗布する方法。
【請求項24】
A. 基材、及び
B. 少なくとも1つの、請求項1〜4のいずれか一項に記載の染料D1、又は請求項5〜14のいずれか一項に記載の染料D2を含む層、
を含む、印刷された物品。
【請求項25】
インクジェット印刷若しくは筆記用具のための、又は光学及びオプトエレクトロニクス用途のためのカラーフィルタを製造する染色溶液における、請求項1〜14のいずれか一項に記載の染料の水系インクにおける使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、5-アミノ-4-ヒドロキシナフタレン-2-スルホン酸(CAS:35400-55-6、デスルホK酸(desulfo-K-酸)とも呼ばれる)のアゾ染料、これらの塩、これらの染料を調製する方法、又はその塩を調製する方法、これらの染料の少なくとも1つを含む液体相、この液体相を基材に塗布する方法、印刷物、及び、インクジェット印刷のための、又は筆記用具若しくは光電子用途及び/若しくはオプトエレクトロニクス用途のカラーフィルタの製造のための染料溶液における、これらの染料の水系インクにおける使用に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェット印刷において、特に本格的なインクジェット印刷用途において、より高速の印刷(高い処理能力(高スループット))及び良好な品質をもたらすデバイスに対する継続的な必要性がある。したがって、現代のインクジェットプリンタの速度は着実に増加している。今日では、デジタルカメラで撮影された、又はハロゲン化銀カメラフィルムのスキャンによって作成されたデジタル画像を、ハロゲン化銀材料上の伝統的なコピーとほとんど区別できない品質レベルで、こうした最新のプリンタで印刷できる。インクジェット印刷によって作成されるこれらの画像は、悪条件の下でも優れた保存安定性を有する必要がある。
【0003】
印刷デバイスの改良に伴い、これらの印刷デバイス用に用いられるインクも、着実に改良されている。これらのインクに要求されることの一つは、例えば、記録用紙等の基材上での、及び/又は基材による、速い吸着である。しかしながら、基材上の吸収層の種類がそうであるように、基材の種類は異なる。基材の第一のタイプは、基板と少なくとも1つの吸収層をふくみ、この吸収層は、例えば二酸化ケイ素等の多孔質無機化合物から製造される。基材の他のタイプは、ポリマー又は1以上のポリマー層で被膜された基板層であり、これによりインクは吸収される。それによって、インクはポリマーの膨潤を引き起こす。これは多孔質層によるインクの吸収に比べてかなり遅いプロセスである。
【0004】
さらに、インクジェット印刷のために用いられる染料は、中でも、大幅な高輝度、適切な色相、良好な彩度等のいくつかの重要な特性を示すべきである。また、染料は、良好な光安定性、オゾンによる劣化に対する優れた耐性、及び優れた拡散堅牢性を示すべきである。さらに、染料は、例えば、記録液等の水性媒体中での可用性に優れるべきであり、且つ、記録紙中に容易に浸透可能であるべきである。
【0005】
上述したように、インクジェット印刷用の染料は、多種多様の非常に異なる特性を満たさなければならない。これは、新規な改良されたインクの開発のための課題でとなっている。
【0006】
したがって、今日の市販の染料の多くは、以下の欠点の1以上を有している。
- 染料が黒ではない。
- 色相が中性的(ニュートラル)でない。
- 染料の色が種々の媒体(メディア)で異なる。
- 空気及び/又はオゾンに対する長期安定性が低い。
- 耐水性は限定的であり、染料がブリードしがちである。
- 水溶性が限られている。
- 耐光性が低い。
- オゾン安定性が限られている。
- 染料の退色が中性的(ニュートラル)でない。
【0007】
その結果、黒等の特定の色のインクの調製は、2以上の染料の混合すること、及び/又は揮発性有機溶剤を加えること等が必要とされる。
【0008】
したがって、水溶性に優れ、中性的な(ニュートラル)色相、光及び/又はオゾンに対する優れた安定性、並びに優れた耐水性を有する新規な染料の継続的で緊急の必要性が存在する。また、上記染料は、湿気又は水の存在下でのブリードし難いことが必要である。さらに、光又はオゾンによる劣化後であっても、中性の色相であることが好ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】WO 93/24,330、
【特許文献2】EP 0,885,940
【特許文献3】US 2002/0,121,219
【特許文献4】US 4,257,770
【特許文献5】US 5,358,558
【特許文献6】US 5,935,309
【特許文献7】US 2006/0,174,800
【特許文献8】US 4,365,998
【特許文献9】US 4,371,582
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
したがって、本発明の第一の目的は、インク等の液状調製物を調製することができ、このインクは、好ましくは任意の種類の基材上の、画像の高性能のプリントの作成に使用可能である、染料を提供することである。また、これらの染料は、高輝度及び高光学濃度(以下、「光学密度」とも言う)を示すべきである。さらに、これらの染料は、写真グラフィック媒体上に印刷する際に、ブロンズ光沢を示すべきではない。
【0011】
本発明の別の目的は、良好な耐水性を示す染料を提供することである。
【0012】
本発明のさらなる目的は、良好な耐光性を示す染料を提供することである。
【0013】
本発明の別の目的は、優れた耐摩耗性を示す染料を提供することである。
【0014】
本発明の別の目的は、優れたオゾン安定性を示す染料を提供することである。
【0015】
本発明の別の目的は、好ましくは高温及び/又は高湿であっても、長い時間にわたって保存することができる染料及びインクを提供することである。
【0016】
本発明の別の目的は、インクジェットノズルの目詰まりを起こさないか、又はほんの僅かな場合だけインクジェットノズルの目詰まりを引き起こすインクを提供することである。
【0017】
本発明の別の目的は、毒性がなく、引火性でなく、人間の皮膚に対して刺激性でなく、発癌性物質を含まない染料及びインクを提供することである。
【0018】
本発明の別の目的は、揮発性有機溶媒を含まないか、又は非常に微量の揮発性有機溶媒しか含まないインクを提供することである。
【0019】
本発明のさらなる目的は、上述した有利な特性の少なくともいくつか、好ましくはすべてを有する、例えばインク、記録液、織物用着色剤、並びに光学及び/又はオプトエレクトロニクス用途のカラーフィルタを製造するための染色溶液等の染料及び/又は染色組成物の製造方法を提供することである。さらに、少なくとも1つの前記した染料を含む、例えばインク、記録液、又は織物用着色剤等の染料組成物を、好ましくは揮発性有機溶媒を使用せずに、基材に適用する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0020】
驚くべきことに、本発明の染料を含む染色液が、染料自体の色から予想されるよりもより暗い色の印象を示す染色された基材を提供するのに使用され得ることが見出された。例えば、(通常の)染料は、青味又は茶色がかった色の印象を与えることが分っている。しかしながら、上記染料のみを含む染色液で染色された基材、例えばインクジェット記録紙は、黒色の印象を与える。
【0021】
上述した目的(課題)の少なくとも1つの解決への貢献は、カテゴリを形成する特許請求の範囲の発明特定事項によりもたらされ、カテゴリを形成する独立請求項の従属形式の請求項は本発明の好ましい態様を表し、これらの発明特定事項は上述した少なくとも1つの課題の解決に寄与する。
【0022】
本発明の第一の態様は、式Iの染料(又は「色素」ともいう)D1である。
【0023】
【化1】
【0024】
式中、
Mは、H、Li、Na、K、N(HKR6m)からなる群から選択され、
各R6は、-H、及び1〜10の炭素数を有する、置換又は非置換の飽和又は不飽和脂肪族基からなる群から選択され、kは0、1、2、3、4から選択される整数であり、m=4−kであり;
【0025】
R6が脂肪族基である場合、この脂肪族基は置換、非置換、飽和、不飽和、飽和置換、飽和非置換、不飽和非置換、又は不飽和置換されていることができる。さらに、上記した脂肪族基のそれぞれは直鎖又は分岐鎖状であり得る。
【0026】
上記の脂肪族基は、不飽和脂肪族基中に、1以上の、例えば2又は3以上のC-C二重又は三重結合を含んでもよく、ここで、この脂肪族基の長さは4以上、例えば、5、6、7、8又は9以上のC原子である。具体的な不飽和脂肪族基において、何個の不飽和結合が配置され得るかは当業者に知られている。
【0027】
上述した置換した飽和又は不飽和脂肪族基は、1以上の置換基を有し得る。それぞれの飽和炭素原子は、1又は2の置換基を有し得る。それぞれの不飽和炭素原子は、1つの置換基を有し得る。公知の多くの置換基は、当業者に考慮される。好ましい置換基は、-F、-Cl、-Br、-I、-NH2、-NHCH3、及び-NHC2H5である。それぞれの炭素原子における置換基は、同一の炭素原子及び隣接する炭素原子の他の置換基から独立して選択される。好ましくは、上述した脂肪族基は、1〜10個の炭素原子、例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10個の炭素原子を有し得る。
【0028】
好ましくは、R6は、1〜6個の炭素原子、又は-Hを有する、直鎖状又分岐鎖状の飽和脂肪族基である。
【0029】
R1は、-H又は-N=N-Ar2であり、
ここで、Ar2は、置換又は非置換の単環式、多環式、又は縮合環である、少なくとも1つの芳香族基を含む部分であり、この少なくとも1つの芳香族基は、少なくとも1つの5又は6員環の同素又は複素環構造を含み、
ここで、複素環構造は、N、O又はSである少なくとも1つのヘテロ原子を含み;
【0030】
好ましくは、Ar2は、6員の単環の、同素又は複素環構造であり、さらに好ましくは、1〜5の基Xで置換され、ここで、Xは、-SO3M、-SO2NH2、-SO2NHR6、-NHSO2R6、-NO2、-COOM、-COOR、-CH3、-R6、-NH2、-NHR6、-OR6、-OM、-Cl、-Br、-I、-F、-CN、-CO2NHR6、-Ar2、-N=N-Ar2、-SO2R6、及び -NHC(=O)-R6からなる群から選択され、好ましくは、Xは、-Cl、-Br、-I、-CN、-SO3M、-NH2、-NHR6、又は-R6であり;ここで、R6及びMは上記のように定義され;Ar2が少なくとも1つのヘテロ原子を含む場合、Nが好ましく;
【0031】
さらに好ましくは、Ar2は、置換又は非置換のフェニルスルホン酸及びナフタレンスルホネート、それらのM-塩(対イオンM+との塩であり、Mは上述のとおり定義される)、及び前述の誘導体から選択される。
【0032】
R2は、-H、C(=O)R6、-C(=O)-(CH2)v-Ar2、-R6、-(CH2)q-X、-C(=O)-(CH2)vAr2、-SO2R6、-SO2Ar2からなる群から選択され、
ここで、
Xは、-SO3M、-SO2NH2、-SO2NHR6、-NHSO2R6、-NO2、-COOM、-CH3、-R6、-NH2、-NHR6、-OR6、-OM、-Cl、-Br、-I、-F、-CN、-CO2NHR6、-Ar2、-SO2R6、及び-NHC(=O)-R6からなる群から選択され、
M、R6、及びAr2は上述したとおりに定義され、
qは1〜10の範囲の整数であり、
vは0〜10の範囲の整数である。
【0033】
R3は、-NHR2又は-N=N-Ar2であり、ここで、
R2は上記で定義したとおりの意味を有し、
Ar2は上記で定義したとおりの意味を有し、
【0034】
R4は、-N=N-Ar2であり、ここで、Ar2は上記で定義したとおりの意味を有する。
【0035】
本発明の記載において、Mはカチオン、例えば、H+、Li+、Na+、K+、N(HkR6m)+を定義する。そのため、Mを含有する官能基は、カチオンMの塩及びこの官能基のアニオンを表す。したがって、-SO3Mは、-SO3-M+として記載することができ、-CO2Mは-CO2-M+として記載することができ、-COOMは-COO-M+として記載することができ、-OMは-O-M+として記載することができる。他も同様である。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1図1は、試験標本媒体a(左の列)及びb(右の列)上の試験パターンを示す。媒体(メディア)a及びbは以下に記載する。それぞれの試験パターンは4つのパッチからなる。上の3つのパッチは耐水性試験のために使用される。一番上のパッチは40%の印刷濃度(印刷密度とも言う)で印刷される。2番目及び3番目のパッチは100%の印刷濃度で印刷される。一番下のパッチは2つの部分に分かれており、どちらも参照として示される(耐水性試験には供されない)。一番下のパッチの左の部分は、100%の印刷濃度で印刷され、この右の部分は40%の印刷濃度で印刷される。
図2a図2aは、以下に記載する耐水性試験が行われた後の、本発明のインクである染料13を使用して印刷された試験パターンを示す。このインク組成物は、10gのインク(0.57gの染料13、1.25gの2-ピロリドン、0.015gのOlin(登録商標)10G(Arch Chemicals Inc., Norwalk,USAより入手可能)水溶液(50wt%)、0.0225gのSurfinol(登録商標)465(Air Products and Chemicals Inc., Allentown, USAより入手可能)及び3gの蒸留水)を調製するためのものであった(pH=9)。インク/パターンの色は黒である。基材は媒体a(左のパターン)及び媒体b(右側)であった。
図2b図2bは、以下に記載する耐水性試験が行われた後の、本発明のインクである染料19aを使用して印刷された試験パターンを示す。このインク組成物は、10gのインク(0.58gの染料19a、1.25gの2-ピロリドン、0.015gのOlin(登録商標)10G(Arch Chemicals Inc., Norwalk,USAより入手可能)水溶液(50wt%)、0.0225gのSurfinol(登録商標)465(Air Products and Chemicals Inc., Allentown, USAより入手可能)及び3gの蒸留水)を調製するためのものであった(pH=9)。インク/パターンの色はニュートラルブラックである。基材は媒体a(左のパターン)及び媒体b(右側)であった。
図3図3は、以下に記載する耐水性試験が行われた後の、比較のインク(Hewlett Packard GmbH, GermanyのHP364XL)で印刷された試験パターンを示す。インク/パターンの色はニュートラルブラックである。基材は媒体a(左のパターン)及び媒体b(右側)であった。
図4図4は、印刷された基材を示す。
【発明を実施するための形態】
【0037】
本発明の別の態様によれば、染料D1中の各Ar2は、独立して以下からなる群から独立して選択される:
a)式III:
【0038】
【化2】
【0039】
ここで、
rは、式III中の置換基Xの数を表し、1〜5の範囲の整数であり、Xは上記で定義したとおりの意味を有し、ここで、Xは好ましくは、-NO2、-SO3M、-SO2NHR6、-C(=O)NHR6、-NHC(=O)R6、-CO2M、-CO2R6、及び-OR6であり、
Mは上記で定義したとおりであり、
R6は上記で定義したとおりの意味を有し;
【0040】
b)式IV:
【0041】
【化3】
【0042】
ここで、
Xは請求項1で定義したとおりの意味を有し、Xは好ましくは、-CN、-CH3、-OH、-OR6、及び-NHR6であり、
tは、式IV中の置換基Xの数を表し、1~4の範囲の整数であり、
R6は、上記で定義したとおりの意味を有し;
【0043】
c)式V:
【0044】
【化4】
【0045】
ここで、
R7は、-R6、-SR6、-Ar2、及び-NHR6からなる群から選択され、
Z1は、-OH、-CN、-CO2M、-CO2R6、又は-NHR6であり、Z1は好ましくは-CN、-CH3、又は-CO2Mであり、
Ar2、R6、及びMは、上記で定義したとおりの意味を有し;
【0046】
d)式VI:
【0047】
【化5】
【0048】
ここで、
Xは請求項1で定義したとおりの意味を有し、Xは好ましくは、-H、-OH、-NHR6、又は-SO3Mであり、
Tは、C、N、及びPからなる群から選択され、
Mは、上記で定義したとおりの意味を有し、
uは、式VIの置換基Xの数を表し、0〜6の整数であり;
【0049】
e)式VII:
【0050】
【化6】
【0051】
ここで、
Xは、請求項1で定義したとおりの意味を有し、Xは好ましくは、-NO2、-CO2M、-SO2NHR6、-R6、-NHR6、又は-NHC(= O)R6であり、
wは、式VIIにおいて置換基Xの数を表し、1又は2であり、
Yは、C又はNであり、
R6及びMは、上記で定義したとおりの意味を有し;
【0052】
f)式VIII:
【0053】
【化7】
【0054】
ここで、
Xは、上記で定義したとおりの意味を有し、Xは好ましくは、-H、-NO2、-CH3、-Cl、-F、-Br、-SO3M、-SO2R6、-SO2NHR6、-OH、-OR6、-NHR6、-COOM、又は-COOR6であり、
zは、式VIIIの置換基Xの数を表し、1〜4の範囲の整数であり、
YはC、N、O、又はSであり、
R6及びMは、上記で定義したとおりの意味を有する。
【0055】
本発明のさらなる態様によれば、染料D1中のAr2は、以下からなる群から選択される:
【0056】
【化8】
【化9】
【化10】
【0057】
又はこれらの2以上の組み合わせ、ここで、各Mは、上記で定義したとおりの意味を有し、他のMから独立して選択される。
【0058】
染料D1の、本発明のさらなる態様によれば、R1、R3、及びR4から選択される2つの基が、-N=N-Ar2であり、各Ar2は、他のAr2から独立して選択される。
【0059】
染料D1の、本発明のさらなる態様によれば、R1及びR4の両方は、-N=N-Ar2であり、各Ar2は、他のAr2から独立して選択される。
【0060】
本発明のさらなる態様は、染料D1に対して上記で定義した式Iの少なくとも2つの部分と、少なくとも1つの式IIのR5部分を含む染料D2であり、
*-N=N-Ar1-N=N-* (II)
ここで、Ar1は、置換又は非置換の、単環式、多環式又は縮合環の、少なくとも1つの芳香族基を含むリンカーであり、この少なくとも1つの芳香族基は、少なくとも1つの5員環又は6員環の同素又は複素構造を含み、
この複素環構造は、N、O、又はSであるヘテロ原子を少なくとも1つ含み;
【0061】
好ましくは、Ar1は、2つ以上の芳香族基を含み;好ましくは、アゾ基のそれぞれは、リンカーAr1の芳香族基に結合し、ここで、すべてのアゾ基は、それぞれリンカーAr1の同じ芳香族基に結合しているか、若しくはリンカーAr1の異なる芳香族基に結合しているか、又は、アゾ基のいくつかはAr1の第1の(最初の)芳香族基に結合し、他のいくつかのアゾ基はAr1の別の芳香族基に結合しており;さらに、Ar1の2以上の芳香族基は、さらなるアゾ基により相互に結合され得る。
【0062】
好ましくは、Ar1は、少なくとも1つの6員の単環である、同素又は複素構造を含み、さらに好ましくは1〜5個の基Xにより置換され、ここで、Xは好ましくは、-Cl、-Br-、-I、-CN、-SO3M、-NH2、-NHR6、又はR6、-CO2M、-CO2R、-SO2NHR6、-NO2、又は-C(=O)NHR6であり、ここで、R6及びMは、上記したとおりに定義され;Ar1が少なくとも1つのヘテロ原子を含む場合、Nが好ましい。
【0063】
さらに好ましくは、Ar1は、少なくとも1つの置換もしくは無置換のフェニルスルホン酸、ナフタレンスルホネート、それらのM塩(Ar1部分の塩、Mは上述のとおり定義される)、及び前述の誘導体を含む。
【0064】
ここで、独立に、式Iのそれぞれの部分において、R2、R3、及びMは、上記染料D1で定義したとおりの意味を有し、
【0065】
式IのR1及びR4のそれぞれの部分は、
a. -H、
b. -N=N-Ar2 (ここでAr2は上記染料D1において定義したとおりである)、
c. -R5
から選択され、
ここで、式Iの2つの部分のそれぞれにおいて、基R1及びR4の少なくとも1つは、式IIで定義したR5と等しく、ここで、R5は、「*」で記した位置でこれらの式Iの2つの部分と結合する。
【0066】
本発明の記載におけるリンカーは、化学構造であり、これは少なくとも2つのアゾ基(-N=N-)と結合する。
【0067】
本発明の別の態様は、上述した染料D2であり、ここで、式Iのそれぞれの部分において、R1がR5と等しい場合、R4は上述した式IIIの構造か又は式VIの構造である。
【0068】
本発明の別の態様は、上述した染料D2であり、ここで、R5は以下の式IIa及び式IIbからなる群から選択される:
【0069】
【化11】
【0070】
ここで、
それぞれのXは、独立に上記した染料D1で定義したとおりの意味を有し、好ましくは、-SO3H、-CO2H、-OH、-CO2M、-CO2R、-CO2Ar、-CH3、-CN、-SO2NHR6、-NO2、-NHR6、及び-Clからなる群から選択され、
それぞれの芳香環に対するsは、独立に、置換基Xの数を表し、0、1、2、及び3から選択される整数であり、
U1は、-CZ2-、-CZ2-CZ2-、-(SO2)-、-O-、-(C=O)-、-CH=CH-、-NH(C=O)-、
【0071】
【化12】
【0072】
及び-NR6-からなる群から選択され、好ましくは、-NH-、-SO2-、-O-、-(C=O)-、-NHC(=O)-、-CH=CH-、-CH2-CH2-、又は-CHZCHZ-からなる群から選択され、
各Zは、独立して-H、-OH、及び-CH3から選択され、
yは0又は1であり、
U2、U3は、それぞれ、-(C=O)-及び-(SO2)-、好ましくは-(C=O)-から選択され、
R7は、-R6、-Cl、-Br、-I、-F、及び-OHからなる群から選択され、
R6は、請求項1で定義したとおりの意味を有する。
【0073】
本発明の別の態様は、上述した染料D2であり、ここで、R5は式IX:
【0074】
【化13】
【0075】
又は式X:
【化14】
【0076】
から選択される。
【0077】
本発明の別の態様は、上述した染料D2であり、ここで、M、R1、R2、及びR3は、式Iの両方の部分と同一である。好ましくは、式Iの両方の部分は、R4において式IIの1つのR5部分を介して互いに結合している。
【0078】
本発明の別の態様は、上述した染料D2であり、ここで、M、R2、R3、及びR4は、式Iの両方の部分と同一である。好ましくは、式Iの両方の部分は、R1において式IIの1つのR5部分を介して互いに結合している。
【0079】
本発明のさらなる態様によれば、Ar1は以下からなる群から選択される:
【0080】
【化15】
【0081】
本発明のさらなる態様は上記した染料D2であり、ここで、染料D2は以下からなる群から選択される:
【0082】
【化16】
【化17】
【化18】
【化19】
【化20】
【化21】
【化22】
【化23】
【化24】
【化25】
【化26】
【化27】
【化28】
【化29】
【化30】
【化31】
【化32】
【化33】
【化34】
【化35】
【化36】
【化37】
【化38】
【化39】
【化40】
【0083】
ここで、X及びMは上記で定義したとおりである。
【0084】
これらの染料D2を完全に又は部分的にプロトン化した形態がさらに好ましい。また、上記した染料D2の完全に又は部分的にプロトン化された形態において、Naが上記Mに対して記載した選択肢から選択される別の原子と置き換えられた形態も好ましく、又は上記した染料D2の2以上の組み合わせも好ましい。
【0085】
本発明の別の態様によれば、染料D1又は染料D2の色は黒である。
【0086】
本発明の記載における用語「黒色染料」は、染料のL*a*b*値が好ましくは、L≦40; -15≦a≦+15; -15≦b≦+15の範囲である染料を示す。
【0087】
本発明のさらなる態様は、上述した染料D1を調製する方法であり、少なくも以下の工程を含む:
α.少なくとも1つの芳香族基を含む式XIVの化合物を準備する工程、
H2N-Ar2 (XIV)
(ここで、Ar2は上記染料D1のAr2で定義したとおりの意味を有する);
β.少なくとも1つの芳香族基を含む式XIVの化合物をジアゾ化する工程;
γ.ジアゾ化された少なくとも1つの芳香族基を含む化合物を式XVのカップリング成分とカップリングさせる工程(ここで、粗生成物が得られる)
【0088】
【化41】
【0089】
(ここで、M、R1、R2、及びR3は、上記染料D1で定義したとおりであり、
R4は、-H又は-N=N-Ar2であり、ここで、Ar2は上記染料D1で定義したとおりである);
δ.前記した粗生成物を精製して染料D1を得る工程。
【0090】
好ましくは、R1及びR4の少なくとも1つは-Hである。
【0091】
本発明の記載におけるジアゾ化は、少なくとも1つのアミノ基を有する化合物Iでジアゾ化反応を行うこととして定義される。ジアゾ化を行う一般的な方法は、Organikum, 16. Auflage, 1986, D.8.2.1、特に539頁の方法A及びBに記載されている。ジアゾ化反応を行った後、化合物Iはジアゾ化され、すなわち、化合物Iの少なくとも1つのアミノ基はジアゾニウムカチオンに変換される。
【0092】
ジアゾ化合物Iのカップリングを、カップリング成分IIを用いて行うことは、上記した化合物I及びIIを含むアゾ化合物をもたらし、この化合物I及びIIはアゾ基で互いに結合しており、このアゾ基は、カップリング成分IIとのカップリングの間に化合物Iのジアゾニウムカチオンの変換に由来する。カップリング反応を行う一般的な方法は、Organikum, 16. Auflage, 1986, D.8.3.3(p. 549-551)、特に変形例A〜Dが記載されている549頁に記載されている。D.8.3.3のセクションの550頁の表は、具体的な成分I及びIIの組み合わせのための最良の変形例を、利用可能な変形例A〜Dの中から選択する際に考慮することができる。
【0093】
本発明のさらなる態様によれば、ジアゾ化及びカップリングを、あらゆる中間体のジアゾ化化合物Iの単離なしで行うことが好ましい。この場合、カップリング成分IIをジアゾ化化合物Iの分散物に加える。
【0094】
本発明のさらなる態様によれば、式I、XV、及びXVIIにおける-R2が-Hである場合、-R2は保護基により置換され得る。保護基を有するアゾ染料が得られた後で、保護基は開裂される。この場合、R2は-Hに変換して戻され、-OH基を有するアゾ染料が得られる。多くの公知の-OHのための保護基のうち、当業者は好適なものを見出すことができ、好ましくは、シリルエーテル基、エーテル基、及びスルホネート基から選択される。
【0095】
本発明のさらなる態様は、上記した染料D2を調製する方法であり、少なくとも以下の工程を含む:
α.少なくとも1つの芳香族基を含む式XVIのリンカーを準備する工程、
H2N-Ar1-NH2 (XVI)
(ここで、Ar1は上記染料D2のAr1で定義したとおりの意味を有する);
β.少なくとも1つの芳香族基を含む式XVIのリンカーをジアゾ化する工程;
γ.ジアゾ化された少なくとも1つの芳香族基を含むリンカーを少なくとも1つの式XVIIのカップリング成分とカップリングさせる工程(ここで、粗生成物が得られる)
【0096】
【化42】
【0097】
(ここで、M、R1、R2、R3、及びR4は、染料D2で定義したとおりであり、R1及びR4の少なくとも1つは-Hである);
δ.前記した粗生成物を精製して染料D2を得る工程。
【0098】
本発明の別の態様は、染料D1を調製する上記した方法であり、ここで、この方法はワンポット合成で、好ましくは一工程で行われる。
【0099】
本発明の別の態様は、染料D2を調製する上記した方法であり、ここで、この方法はワンポット合成で、好ましくは一工程で行われる。
【0100】
用語「一工程で」は、すべての反応物質が反応の前又は開始時に供給される化学反応を示す。一工程反応で得られる生成物は、さらなる反応には供されない。しかしながら、一工程反応で得られる生成物は、1以上の精製処理に供され得る。
【0101】
用語「ワンポット合成」は、「ワンポット反応」とも示され、一の反応容器中で行われる複数工程の化学反応を示す。典型的には、反応中間体が反応の最初の工程で生成するが、この反応中間体はその後同じ容器に存在する、又は導入される他の成分と反応する。生成した反応中間体は単離されないが、反応の次の工程において反応物質として直接的に作用する。ワンポット合成は、1、2、3、又は4以上の反応工程からなってもよい。ワンポット合成により最終的に得られる粗生成物の精製は分離した工程で行われてもよく、又は場合によりこの一の反応容器内で行われてもよい。
【0102】
本発明の別の態様によれば、ジアゾ化は繰り返されてもよい。この場合、最初の成分Aが上述したとおりにジアゾ化され、その後、カップリング成分Bにカップリングされ、このカップリングによりアゾ中間体が得られる。成分Aと同じか又は異なる別の成分A’がジアゾ化される。上述したアゾ中間体は、次にカップリング成分B’として用いられ、このカップリングにより別のアゾ中間体又は所望の染料が得られる。場合により、この方法はより頻繁に繰り返すことができる。さらに別の場合、1以上の工程を、2つのジアゾ化工程の間で、1以上のアゾ中間体を用いて行なうことができ、ここで保護基は除去される。この手法は、3以上のアゾ基を有する複合アゾ染料(又は、錯体アゾ染料)を調製するために用いられ得る。アゾ中間体はそれ自体を染料とすることもできる。
【0103】
本発明の別の態様は、上記したいずれかの方法により得られる染料である。
【0104】
本発明の別の態様は、
1)少なくとも1つの、染料D1、若しくは染料D2、若しくは上記したいずれかの方法により得られる染料、又は上記した染料の同じ種類か若しくは異なる種類の染料から選択される2以上の染料、及び、
2)水
を含む液体相である。
【0105】
本発明のさらなる態様によれば、この液体相は、1以上の本発明の染料、例えば、染料D1、染料D2、又は上記したいずれかの方法により得られる染料、又は上記した2以上の染料の組み合わせから選択される染料を含み、ここで、本発明の前記した染料の液体相中の量は、それぞれ液体相の全量に基づいて、0.5〜20wt%の範囲内であり、好ましくは1〜15wt%、又は2〜10wt%の範囲内である。
【0106】
本発明の別の態様によれば、液体相は、それぞれ液体相の全量に基づいて、20〜95wt%、好ましくは50〜80wt%の範囲内の水を含む。
【0107】
本発明の別の態様は液体相であり、これは30wt%以下、好ましくは20wt%以下、又は10wt%以下の揮発性有機化合物を含み、又は揮発性有機化合物を含まない。本発明の記載における揮発性有機化合物は、p=101.3kPaで測定した場合に250℃未満の沸点を有し、又は25℃で0.27kPa(2mm Hg)を越える蒸気圧を有し、又はその両方である。
【0108】
本発明の別の態様によれば、液体相は、N-メチル-2-ピロリドン、2-ピロリドン、またはこの両方を、それぞれ液体相の全量に基づいて、1〜30wt%、好ましくは2〜25wt%の範囲内で含む。
【0109】
本発明の別の態様によれば、液体相は、以下の1以上の添加剤を含む:殺生物剤、酸化防止剤、UV安定剤、希釈剤若しくは増粘剤等のレオロジー改質剤、顔料、乳化剤、湿潤剤、防腐剤、有機溶剤、緩衝液等のpH調整剤、又はこれらの2種以上の組み合わせを含む。
【0110】
本発明の別の態様によれば、液体相はインクである。
【0111】
本発明の別の態様は、基材上に液体相を塗布する(又は、「適用する」ともいう)方法であり、少なくとも以下の工程を含む:
α) 基材、好ましくは、上述したインクジェット記録用紙を準備する工程
β) 上記の液体相を含むタンク(容器、reservoir)を準備する工程、
γ) タンクから液体相の少なくとも一部を基材に移す工程、
δ) 基材から、水、場合により溶媒を除去する工程。
【0112】
上述の方法を実行することにより、染色された基材(又は、「被印刷物」ともいう)が得られ、これは少なくとも部分的に染料の層によって覆われており、又はこの染色された基材は少なくとも部分的に染料を吸収しており、又は両方の組み合わせである。
【0113】
本発明のさらなる態様によれば、上述した方法の工程β)及びγ)、又は工程β)〜δ)は、1回以上同じ基材上で繰り返されてもよく、それぞれの繰り返し工程において液体相が供給され、この液体相は、この繰り返し工程の前に試料(基材)上に供された液体相以外の別の染料組成物を含む。
【0114】
多くの公知の基材が上述した方法に適していると考えられる。好ましい基材は、天然又は合成繊維材料、多孔質材料、皮革、及びアルミニウム、又はこれらの2種以上の組み合わせである。好ましくは、本発明の1以上の染料を含む液体相を塗布する前述した方法は、1以上の任意の上述した基材上にテキストや画像を印刷するのに使用され、又は実質的に前記した基材を染色するために使用される。
【0115】
本発明の別の態様は、印刷された物品であって、
A. 基材、及び
B. 少なくとも1つの、上記染料D1、染料D2、又は上記した染料D1若しくは染料D2の調製方法により得られる染料、又は上記した染料の2以上の組み合わせを含む層、
を含む印刷された物品である。
【0116】
前述した染料の少なくとも1つを含む層は、基材の表面上に配置され得る。特に、前記した一の染料又複数の染料を少なくとも部分的に含む上述した液体相を吸収できる基材を用いて、液体相、つまり染料を吸収させた基材の一部は、前記した一の染料又は複数の染料を含む層である。
【0117】
本発明の別の態様は、インクジェット印刷若しくは筆記用具のための、又は光学及び/若しくはオプトエレクトロニクス用途のためのカラーフィルタを製造するための染色溶液における、本発明に係る染料の水系インクにおける使用である。
【0118】
本発明のさらなる態様は、好ましくは、紙、綿、ビスコース、セルロイド、皮革、及び羊毛からなる群から選択される、セルロース及び/又はセルロース誘導体を含む染色材料のための、本発明に係る染料の使用である。前記した材料が本発明の染料で染色された場合、良好な耐水性が確認される。前記した材料を直接染料で染色するための、特に、サイズ紙若しくは無サイズ紙のバルク又は表面処理のための、織物及び製紙産業で公知のあらゆる方法が、前記した材料を本発明の1以上の染料で染色するのに適当である。本発明のさらなる態様によれば、上述した材料の好ましい物品は、綿、ビスコース、及びリンネルのヤーン(糸)及び反物である。これらの材料は、長時間の浸漬又は連続プロセスで染色され得る。
【実施例】
【0119】
以下の実施例は、本発明の模範的な説明を示すが、これにより本発明を限定して解釈されるべきではない。
【0120】
実施例1 - 中間体(1)の調製
式(1)の中間体モノアゾ化合物を以下の方法により調製した。
【0121】
【化43】
【0122】
アニリン-2,5-ジスルホン酸のジアゾ化
0.07モル(20.3g)のアニリン-2,5-ジスルホン酸を80gの水及び17.5gの塩酸(濃度:37wt%)中に溶解させた。次いで、15gの水中の0.075モル(5.17g)の亜硝酸ナトリウムを5℃の温度で加えて、ジアゾ化溶液を生成した。過剰の亜硝酸ナトリウムを5.8gの10wt%スルファミン酸溶液で除去した。
【0123】
5-アミノ-4-ヒドロキシナフタレン-2-スルホン酸(desulfo-K-acid、デスルホK酸)によるジアゾ化化合物のカップリング
その後、ジアゾ化アニリン-2,5-ジスルホン酸溶液を、水酸化ナトリウムの添加によりpHを0.8〜1.1の範囲内に維持させながら、このpHの値で0.075モル(19.0g)の5-アミノ-4-ヒドロキシナフタレン-2-スルホン酸(95wt%, CAS35400-55-6)とカップリングさせた。反応物を1.5時間、0〜5℃の温度で撹拌し、その後室温まで温めた。この混合物を、pH値を維持させながら、その後さらに室温(20℃)で2時間撹拌した。この反応混合物を最後に8℃まで冷却し、EtOHで沈殿させて濾過した。このフィルター中の沈殿をエタノール/水混合物(2:1 Vol./Vol.) で洗浄し、40℃、5時間真空中で乾燥させた。
【0124】
式(1)のモノアゾ染料を、アニリン-2,5-ジスルホン酸のモル数に基づいて、70%の収率で得た。
【0125】
実施例1a - 染料(1a)の調製
式(1a)の中間体モノアゾ化合物を以下の方法により調製した。
【0126】
【化44】
【0127】
化合物(1)を上述した実施例1と同じ方法により調製したが、生成物を沈殿させず、直接さらなる反応工程に用いた。このさらなる工程において、24.90gの30wt%NaOH溶液を用いてpHを12に調節し、その後反応混合物を20°Cまで冷却させた。0.09モル(15.90g)のベンゼンスルホニルクロリドを、pH値を11〜12の間に維持させながら、ゆっくりこの反応混合物に加えた。2時間後、37wt%HCl溶液でpHを0.8に調節し、15wt%のEtOH(すべての反応物容量に基づくwt%)を懸濁液に加えた。得られた生成物を濾過し、フィルター上の沈殿物をEtOHで洗浄した。
【0128】
式(1a)のモノアゾ染料を、アニリン-2,5-ジスルホン酸のモル数に基づいて85%の収率で得た。
【0129】
実施例2a -染料(2a)の調製
式(2a)の中間体モノアゾ化合物を実施例1のとおりに調製したが、実施例1のアニリン-2,5-ジスルホン酸の代わりに4-ニトロアニリン-2-スルホン酸を用いた。
【0130】
【化45】
【0131】
実施例2b - 染料(2b)の調製
【0132】
【化46】
【0133】
この実施例を実施例2aのとおりに調製した。しかしながら、実施例2aの4-ニトロアニリン-2-スルホン酸の代わりにスルファニルアミドを用いた。
【0134】
実施例2c - 染料(2c)の調製
【0135】
【化47】
【0136】
この実施例を実施例2aのとおりに調製した。しかしながら、実施例2aの4-ニトロアニリン-2-スルホン酸の代わりに4-アミノ-3-ニトロベンゼンスルホン酸を用いた。
【0137】
実施例2d - 染料(2d)の調製
【0138】
【化48】
【0139】
この実施例を実施例2aのとおりに調製した。しかしながら、実施例2aの4-ニトロアニリン-2-スルホン酸の代わりに、2-アミノベンゼンスルホン酸を用いた。
【0140】
実施例2e - 染料(2e)の調製
【0141】
【化49】
【0142】
この実施例を実施例2aのとおりに調製した。しかしながら、実施例2aの4-ニトロアニリン-2-スルホン酸の代わりに4-アミノベンゼンスルホン酸を用いた。
【0143】
実施例2f - 染料(2f)の調製
【0144】
【化50】
【0145】
この実施例を実施例2aのとおりに調製した。しかしながら、実施例2aの4-ニトロアニリン-2-スルホン酸の代わりに3-アミノベンゼンスルホン酸を用いた。
【0146】
実施例2g - 染料(2g)の調製
【0147】
【化51】
【0148】
この実施例を実施例2aのとおりに調製した。しかしながら、実施例2aの4-ニトロアニリン-2-スルホン酸の代わりに4-アミノベンズアミドを用いた。
【0149】
実施例2h - 染料(2h)の調製
【0150】
【化52】
【0151】
この実施例を実施例2aのとおりに調製した。しかしながら、実施例2aの4-ニトロアニリン-2-スルホン酸の代わりに3-アミノ安息香酸を用いた。
【0152】
実施例2i - 染料(2i)の調製
【0153】
【化53】
【0154】
この実施例を実施例2aのとおりに調製した。しかしながら、実施例2aの4-ニトロアニリン-2-スルホン酸の代わりに4-アミノ安息香酸を用いた。
【0155】
実施例3 - 染料3の調製
【0156】
【化54】
【0157】
0.012モル(2.0g)のスルファニルアミドを16gの氷水中に6gの塩酸(濃度: 37wt%)を用いて溶解させた。10mLの水中の0.012モル(0.85g)のNaNO2を0°Cでスルファニルアミドにゆっくり加え、ジアゾ化スルホンアミドを生成した。次いで、ジアゾ化スルホンアミド溶液を、50gの氷水中に溶解させた0.011モル(5.30g)の(実施例2の)中間体2に加えた。9~11のpH値、0~5℃温度で、水酸化ナトリウムを加えてpH値を維持させながらカップリングを行った。1時間後、反応混合物を室温まで温めて塩酸(37wt%溶液)を用いてpHを5.0にした。粗生成物を濾過して沈殿物を水酸化ナトリウム (30wt%溶液)を用いて水に溶解させ、次いでセライトを用いて洗浄し、Thomapor(登録商標)メンブレン(art. 50436, Reichelt Chemietechnik Heidelberg)を用いて逆浸透により透析した。残留した水を蒸発させた後、染料3をEtOHで沈殿させ、濾過し、5時間、40℃の真空中で沈殿物を乾燥させた。
【0158】
染料3を、スルファニルアミドのモル数に基づいて80%の収率で得た。
【0159】
実施例4 - 染料(4)の調製
【0160】
【化55】
【0161】
この実施例を実施例3のとおりに調製した。しかしながら、染料4は、実施例3の両方のカップリングのためにスルファニルアミドを用いて調製した。
【0162】
実施例5a - 染料5aの調製
【0163】
【化56】
【0164】
14.4g(0.06モル)の2,6-ジアミノアントラキノンを、75 mlの濃硫酸中に、この混合物の温度が40℃を超えないように10分かけて導入した。30分の室温での撹拌後、21.6mLの40wt%ニトロシル硫酸を、温度が22〜25℃の間に保持されるように、約20分かけて滴下によりゆっくり加えた。次いで、この混合物を室温で4時間撹拌した。テトラゾ化2,6-ジアミノアントラキノンの茶色の懸濁液を得た。
【0165】
テトラゾ化2,6-ジアミノアントラキノンの懸濁液を、0.5〜1.0のpH値、5〜10℃の温度で0.12モル(30.2g、95wt%)の5-アミノ-4-ヒドロキシナフタレン-2-スルホン酸とカップリングさせた。粗生成物を濾過し、沈殿物をエタノール/水混合物(2:1)で洗浄し、pH12で再溶解し、セライトとチャコールカーボンの混合物で濾過し、次いでThomapor(登録商標)メンブレン(art. 50436, Reichelt Chemietechnik Heidelberg)を用いて逆浸透により透析した。残留した水を蒸発させて除去して、得られた染料5aを乾燥させた。
【0166】
染料5aを、2,6-ジアミノアントラキノンのモル数に基づいて90%の収率で得た。
【0167】
実施例5b - 染料5bの調製
【0168】
【化57】
【0169】
この実施例を実施例5aのとおりに調製した。しかしながら、染料5bは、実施例5aの5-アミノ-4-ヒドロキシナフタレン-2-スルホン酸の代わりに[(8-ヒドロキシ-6-スルホ-1-ナフチル)アミノ]酢酸を用いて調製した。
【0170】
実施例6 - 染料6の調製
【0171】
【化58】
【0172】
この実施例を実施例5aのとおりに調製した。しかしながら、実施例5aの2,6-ジアミノアントラキノンの代わりに1,5-ジアミノアントラキノンを用いた。
【0173】
実施例 7 - 染料7の調製
【0174】
【化59】
【0175】
この実施例を実施例5aのとおりに調製した。しかしながら、実施例5aの2,6-ジアミノアントラキノンの代わりに5-アミノ-2-[(4-アミノフェニル)アミノ]ベンゼンスルホン酸を用いた。
【0176】
実施例8 - 染料8の調製
【0177】
【化60】
【0178】
この実施例を実施例5aのとおりに調製した。しかしながら、実施例5aの2,6-ジアミノアントラキノンの代わりに4,4'-ジアミノジフェニルスルホンを用いた。
【0179】
実施例9 - 染料9の調製
【0180】
【化61】
【0181】
この実施例を実施例5aのとおりに調製した。しかしながら、実施例5aの2,6-ジアミノアントラキノンの代わりに4,4'-ジアミノ-2,2'-スチルベンジスルホン酸を用いた。
【0182】
実施例10 - 染料10の調製
【0183】
【化62】
【0184】
テトラゾ化2,6-ジアミノアントラキノンの懸濁液を実施例5aのとおりに調製した。次いで、この懸濁液を、8.0~9.0のpH、0〜5℃の温度で0.12モル(30.2g, 95wt%)の5-アミノ-4-ヒドロキシナフタレン-2-スルホン酸とカップリングさせた。粗生成物を濾過し、沈殿物をエタノール/水混合物(2 : 1)で洗浄し、pH12で再溶解させ、セライトとチャコールカーボンの混合物で濾過し、次いでThomapor(登録商標)メンブレン(art. 50436, Reichelt Chemietechnik Heidelberg)を用いて逆浸透により透析した。残留した水を蒸発させて除去して、得られた染料10を乾燥させた。
【0185】
染料10を、2,6-ジアミノアントラキノンのモル数に基づいて80%の収率で得た。
【0186】
実施例11 - 染料11の調製
【0187】
【化63】
【0188】
この実施例を実施例10のとおりに調製した。しかしながら、実施例10の2,6-ジアミノアントラキノンの代わりに1,5-ジアミノアントラキノンを用いた。
【0189】
実施例12 - 染料12の調製
【0190】
【化64】
【0191】
この実施例を実施例10のとおりに調製した。しかしながら、実施例10の2,6-ジアミノアントラキノンの代わりに5-アミノ-2-[(4-アミノフェニル)アミノ]ベンゼンスルホン酸を用いた。
【0192】
実施例13 - 染料13の調製
【0193】
【化65】
【0194】
この実施例を実施例10のとおりに調製した。しかしながら、実施例10の2,6-ジアミノアントラキノンの代わりに4,4'-ジアミノジフェニルスルホンを用いた。
【0195】
実施例14 - 染料14の調製
【0196】
【化66】
【0197】
この実施例を実施例10のとおりに調製した。しかしながら、実施例10の2,6-ジアミノアントラキノンの代わりに4,4'-ジアミノ-2,2'-スチルベンジスルホン酸を用いた。
【0198】
実施例15 - 染料15の調製
【0199】
【化67】
【0200】
実施例5aのとおりに調製したテトラゾ化2,6-ジアミノアントラキノンの懸濁液を、8.0~9.0のpH、0〜5℃の温度で0.125モル(59.1g)のアゾ染料中間体(1)とカップリングさせた。混合物のpHを6.5に調整し、生成物を濾過した。沈殿物をエタノール/水混合物(2 : 1)で洗浄し、pH12で再溶解させ、セライトとチャコールカーボンの混合物で濾過し、次いでThomapor(登録商標)メンブレン(art. 50436, Reichelt Chemietechnik Heidelberg)を用いて逆浸透により透析した。残留した水を蒸発させて除去して、得られた染料(15)を乾燥させた。
【0201】
染料(15)を、2,6-ジアミノアントラキノンのモル数に基づいて60%の収率で得た。
【0202】
実施例16 - 染料16の調製
【0203】
【化68】
【0204】
この実施例を実施例15のとおりに調製した。しかしながら、実施例15の2,6-ジアミノアントラキノンの代わりに1,5-ジアミノアントラキノンを用いた。
【0205】
実施例17a - 染料(17a)の調製
【0206】
【化69】
【0207】
この実施例を実施例15のとおりに調製した。しかしながら、実施例15の実施例1において調製した中間体の代わりに実施例2aで調製した中間体を用いた。
【0208】
実施例17b - 染料(17b)の調製
【0209】
【化70】
【0210】
この実施例を実施例17aのとおりに調製した。しかしながら、実施例17aの実施例2aにおいて調製した中間体の代わりに、実施例2cの中間体を用いた。
【0211】
実施例18a - 染料(18a)の調製
【0212】
【化71】
【0213】
この実施例を実施例17aのとおりに調製した。しかしながら、実施例17aの2,6-ジアミノアントラキノンの代わりに1,5-ジアミノアントラキノンを用いた。
【0214】
実施例18b - 染料(18b)の調製
【0215】
この実施例を実施例18aのとおりに調製した。しかしながら、実施例18aの実施例2aで調製した中間体の代わりに実施例2cの中間体を用いた。
【0216】
実施例19a - 染料(19a)の調製
【0217】
【化72】
【0218】
この実施例を実施例15のとおりに調製した。しかしながら、実施例15の実施例1で調製した中間体の代わりに実施例2bの中間体を用いた。
【0219】
実施例19b - 染料(19b)の調製
【0220】
【化73】
【0221】
この実施例を実施例15のとおりに調製した。しかしながら、実施例15の実施例1で調製した中間体の代わりに実施例2gの中間体を用いた。
【0222】
実施例20a - 染料(20a)の調製
【0223】
【化74】
【0224】
この実施例を実施例15のとおりに調製した。しかしながら、実施例15のジアゾ化2,6-ジアミノアントラキノンの代わりに実施例2dの中間体に用いた。
【0225】
実施例20b - 染料(20b)の調製
【0226】
この実施例を実施例20aのとおりに調製した。しかしながら、実施例20aの中間体2dの代わりに実施例2fで調製した中間体を用いた。
【0227】
実施例20c - 染料(20c)の調製
【0228】
この実施例を実施例20aのとおりに調製した。しかしながら、実施例20aの中間体2dの代わりに実施例2eで調製した中間体を用いた。
【0229】
実施例21 - 染料(21)の調製
【0230】
【化75】
【0231】
この実施例を実施例20cのとおりに調製した。しかしながら、実施例20cの2,6-ジアミノアントラキノンの代わりに1,5-ジアミノアントラキノンを用いた。
【0232】
実施例22a - 染料(22a)の調製
【0233】
【化76】
【0234】
この実施例を実施例17bのとおりに調製した。しかしながら、実施例17bの2,6-ジアミノアントラキノンの代わりに4,4'-ジアミノジフェニルスルホンを用いた。
【0235】
実施例22b - 染料(22b)の調製
【0236】
【化77】
【0237】
この実施例を実施例22aのとおりに調製した。しかしながら、実施例22aの中間体2cの代わりに中間体2bを用いた。
【0238】
実施例22c - 染料(22c)の調製
【0239】
【化78】
【0240】
この実施例を実施例22aのとおりに調製した。しかしながら、実施例22aの中間体2cの代わりに中間体2hを用いた。
【0241】
実施例22d - 染料(22d)の調製
【0242】
【化79】
【0243】
この実施例を実施例22aのとおりに調製した。しかしながら、実施例22aの中間体2cの代わりに中間体2fを用いた。
【0244】
実施例23a - 染料(23a)の調製
【0245】
【化80】
【0246】
この実施例を実施例22bのとおりに調製した。しかしながら、実施例22bの4,4'-ジアミノジフェニルスルホンの代わりに5-アミノ-2-[(4-アミノフェニル)アミノ]ベンゼンスルホン酸を用いた。
【0247】
実施例23b - 染料(23b)の調製
【0248】
【化81】
【0249】
この実施例を実施例23aのとおりに調製した。しかしながら、実施例23aの中間体2bの代わりに中間体2gを用いた。
【0250】
実施例24a - 染料(24a)の調製
【0251】
【化82】
【0252】
この実施例を実施例20cのとおりに調製した。しかしながら、実施例20cの中間体2eの代わりに4-アミノベンゼンスルホン酸を用い、実施例20cの2,6-ジアミノアントラキノンの代わりに染料5aを用いた。
【0253】
実施例24b - 染料(24b)の調製
【0254】
【化83】
【0255】
この実施例を実施例24aのとおりに調製した。しかしながら、実施例24aの染料5aの代わりに染料8を用い、実施例24aの4-アミノベンゼンスルホン酸の代わりに4-ニトロ-2-アミノベンゼンスルホン酸を用いた。
【0256】
実施例25 - 染料(25)の調製
【0257】
【化84】
【0258】
0.03モル(19.31g)の化合物1aを130 gのH2O及び7.39 gの37 wt%塩酸中に懸濁させた。この懸濁液を0°Cに冷却し、5gの水中の0.035モル(2.42g)のNaNO2をゆっくり加えた。この懸濁液を2時間、0°Cで撹拌した。次いで、8.0gの10 wt%スルファミン酸溶液を加えて過剰なNaNO2を除去し、ジアゾ化化合物1aの懸濁液を生成した。
【0259】
ジアゾ化化合物1aを、水酸化ナトリウムを加えてpHを1.5に維持させながら、このpHで0.035モル(13.27g, 90wt%)の4-アミノ-5-ヒドロキシナフタレン-1,7 -ジスルホン酸(K酸)一ナトリウム塩とカップリングさせた。この反応物を5時間、0〜5℃で撹拌し、次いで室温まで温めた。この反応混合物を濾過して過剰なK酸を除去し、中間体I25を得た。濾過物のpHを、NaOHの30wt%溶液で5.0〜6.0に調整した。
【0260】
次いで、実施例1と同じ方法で調製したジアゾ化4-ニトロアニリン-2-スルホン酸を加えて、ジアゾ化4-ニトロアニリン-2-スルホン酸を中間体I25にカップリングさせた。追加の間、NaOHの30wt%溶液を加えてpHの値を5.0〜6.0に維持した。
【0261】
次いで、得られた反応混合物のpHをNaOHの30wt%溶液で12に調整し、40°Cまで温め、この温度で1時間撹拌した。次いで、この混合物を室温まで冷却し、生成物をEtOHで沈殿させ、濾過した。沈殿した染料25を乾燥させた。
【0262】
【化85】
【0263】
染料25を全体の収率70%で得た。
【0264】
実施例26 - 染料26の調製
【0265】
【化86】
【0266】
この実施例を実施例25のとおりに調製した。しかしながら、実施例25の4-ニトロアニリンスルホン酸の代わりに4-アミノ-3-ニトロベンゼン-1-スルホン酸を用いた。
【0267】
実施例27 - 染料27の調製、染料27:
【0268】
【化87】
【0269】
アミノ成分(27p)の調製
以下の化合物27pを0.05モルの1-アミノ-8-ナフトール-4,6-ジスルホン酸及び0.06モルのベンゼンスルホニルクロリドから以下の手順により調製した:
【0270】
【化88】
【0271】
0.1モル(38g, 90 wt%)の1-アミノ-8-ナフトール-4,6-ジスルホン酸一ナトリウム塩及び0.12モル(20.7 g)のベンゼンスルホニルクロリドを、pH:10.0〜12.0、20°C、及び2時間の反応に供した後、この反応混合物を4.0のpH値まで37 wt%塩酸溶液で酸性化し、生成物を濾過して乾燥させた。中間体27pを定量的な収率で得た。
【0272】
ジアゾニウム懸濁液A
0.04モル(15 g)の式(27p)の化合物を室温で70 mLの水及び30 mLの酢酸(80 wt%)中に懸濁させ、0° C〜5° Cまで冷却させた。次いで、10 mL塩酸(37 wt%)溶液を、撹拌させながら、滴下した。次いで、10 mLの水中の0.042モル(2.90 g)の亜硝酸ナトリウムを、0° C〜5°Cで滴下して加えた。過剰な亜硝酸塩を、スルファミン酸を加えることにより除去して、ジアゾニウム懸濁液Aを得た。
【0273】
同じ懸濁液(懸濁液B)を第2の(2回目の)カップリング反応のために調製した。
【0274】
式(27p2)の中間体染料の調製
上記で得られたジアゾニウム懸濁液Aを30分間にわたり、0°C〜5°Cの温度で、撹拌条件下、4.7gの飽和酢酸ナトリウム溶液を同時に加えてpHを0.8〜1.0に維持させながら、100 mLの水中の0.04モル(10.07g,95wt%)の5-アミノ-4-ヒドロキシナフタレン-2-スルホン酸の懸濁液に加えた。ジアゾニウム懸濁液Aの追加後、0°C〜5°Cの温度で撹拌を4時間続けた。
【0275】
30wt%のNaOH溶液を用いてpHを8.5にした。次いで、ジアゾニウム懸濁液Bを、30wt%の水酸化ナトリウム溶液を同時に加えてpHの値を8〜10に維持させながら、30分間にわたり0°C〜5°Cの温度で加えた。ジアゾニウム懸濁液Bの追加後、0°C〜5°Cの温度で撹拌を2時間続けた
【0276】
次いで、NaOH (30wt%)溶液でpHを13.5に調整し、混合物を50°Cまで加熱し、エーテル結合の開裂を引き起こした。得られた中間体(27p2)をエタノールで沈殿させて乾燥させた。
【0277】
【化89】
【0278】
染料27の調製
実施例1のアニリン-2,5-ジスルホン酸のジアゾ化と同じ方法で、5-アミノイソフタル酸をジアゾ化し、次いで、8.0〜9.0のpH値、0〜5°Cの温度で中間体27p2にカップリングさせた。粗生成物をThomapor(登録商標)メンブレン(art. 50436, Reichelt Chemietechnik Heidelberg)を用いて逆浸透により精製し、染料27を70 %の全体収率で生成した。
【0279】
実施例28 - 染料28の調製
【0280】
【化90】
【0281】
0.016モル(8.0 g)の化合物1aを23gの酢酸及び50gの氷水中に懸濁させた。4.1gのH2SO4(97wt%)をこの懸濁液にゆっくり加えて、この混合物を0°Cまで冷却させた。15mLの水中の0.017モル(1.15 g)のNaNO2を、温度を0〜5℃に維持させながら、この懸濁液にゆっくり加えた。この反応混合物をゆっくり10°Cまで加温し、この温度で1時間撹拌した。過剰な亜硝酸塩をスルファミン酸の追加により除去した。次いで、0.008モル(3g、90wt%)の1-アミノ-8-ナフトール-4,6-ジスルホン酸一ナトリウム塩をこの反応混合物に加え、13gの飽和酢酸ナトリウム溶液を加えることによりpH値を1.0に調整した。この反応混合物をさらに0〜5°Cで1時間撹拌した。次いで、pHを、4.8gの飽和酢酸ナトリウム溶液を加えることにより2.0に調整した。さらに1時間後、25.5gの飽和酢酸ナトリウム溶液を加えることによりpHを4.0に調整した。さらに1時間後、35.5gの30wt%NaOH溶液を加えてpHを5.0に調整した。次いで、この反応混合物を室温まで加温した。
【0282】
室温で1時間置いた後、33gの30wt%NaOH溶液をゆっくり加え、この混合物を60°Cで30分間撹拌した。次いで、この混合物を室温まで冷却し、37wt%の塩酸を加えることによりpHを4.5に調整した。次いで、エタノールをゆっくり加えて生成物を沈殿させた。この沈殿生成物をThomapor(登録商標)メンブレン(art. 50436, Reichelt Chemietechnik Heidelberg)を用いる逆浸透により処理した。
【0283】
染料28を全体で75%の収率で得た。
【0284】
実施例29 - 染料29の調製
【0285】
【化91】
【0286】
アニリン-2,5-ジスルホン酸を実施例1と同じ方法でジアゾ化し、染料26にpH 8.5〜9.5、温度= 0〜5°Cでカップリングさせた。この染料26をEtOHで沈殿させ、濾過して乾燥させた。
【0287】
染料29を、2,5-ジアミノアニリンのモル数に基づいて70%の収率で得た。
【0288】
市販で入手可能なインク(HP364XL photo black)との比較
【0289】
実施例30 - 記録液の調製
【0290】
記録液を染料(2)〜(29)を用いて調製した。公知の染料の記録液を比較のために調製した。
【0291】
各染料において、可視光の範囲の吸収スペクトルが1.0の光学密度と等しくなるように記録液中の染料の量を調整した。染料濃度を調整するため手始めとして、100mLの2〜5mg染料水溶液、この溶液のpHを7.0に調整するための緩衝液、及び場合により15mLのN-メチル-2-ピロリドンを調製した。場合により、15mLのN-メチル-2-ピロリドンを加えた。上記した全量が100mLになるように水の量を調節した。染料が完全に溶解しない場合、N-メチル-2-ピロリドンを加える。次いで、スペクトルを測定する。溶液の光学密度が1.0の値を超える場合、染料の量を減らし、再度吸収スペクトルを測定する。しかしながら、溶液の光学密度が1.0未満である場合、染料の量を増加し、吸収スペクトルを再度測定する。
【0292】
この方法により得られた量を、mg/L (例えば、4 mgを100mLの水に溶解させた場合、これは40mg/Lの濃度でOD = 1を達成する)に変換し、1.8倍して、インクを調製するのに1kgあたりのインクに必要とされる染料の量(g)が得られる。1.0の光学密度への記録液の標準化により、異なる染料の比較が可能になる。
【0293】
各染料において、1/100の量の上記で測定した染料の量(0.5g〜1.0g)、0.6gのエチレングリコール、0.3gのプロピレン-1,2-グリコール、0.3gの1-メチル-2-ピロリドン、0.03gのOlin(登録商標)10G(Arch Chemicals Inc., Norwalk, USAから入手可能)水溶液(50 wt%)、0.03gのSurfinol(登録商標)465 (Air Products and Chemicals Inc., Allentown, USAから入手可能)、及び0.01gのMergal(登録商標)K 10N (殺生物剤、Riedel-de-Haen, Seelze, Germanyから入手可能)溶液を、蒸留水と共に、50°Cの温度で、約1時間撹拌させながら加熱することにより、10gの記録液を調製した。得られた溶液を20°Cの室温まで冷却し、このpH値を水酸化ナトリウム(30wt%)水溶液で8.5〜10に調整し、次いで、この溶液を0.5μmの孔径のMillipore(登録商標)フィルターに通した。
【0294】
上記した配合で完全に溶解しない染料のために、以下の配合を用いた:
【0295】
10gの記録液を、必要量の染料(0.5 g〜1.0 g)、25wt%の2-ピロリドン、0.3wt%のOlin(登録商標)10G (Arch Chemicals Inc., Norwalk, USAから入手可能)水溶液 (50wt%)、0.45wt%のSurfinol(登録商標)465 (Air Products and Chemicals Inc., Allentown, USAから入手可能)、及び74.25wt%の蒸留水を、約1時間撹拌して加熱することにより調製した。得られた溶液を20°Cの室温まで冷却し、このpH値を、水酸化リチウム(5wt%)水溶液又は水酸化ナトリウム(30wt%)水溶液で9.5~10に調整し、この溶液を0.5μmの孔径のMillipore(登録商標)フィルターに通した。
【0296】
実施例31 - 染料31の調製
【0297】
式(31)の中間体モノアゾ化合物を実施例1のとおりに調製したが、実施例1のアニリン-2,5-ジスルホン酸の代わりに1-アミノナフタレン-7 -スルホン酸を用いて調製した。
【0298】
【化92】
【0299】
実施例32 - 染料32の調製
【0300】
式(32)の中間体モノアゾ化合物を実施例1のとおりに調製したが、実施例1のアニリン-2,5-ジスルホン酸の代わりに2-アミノナフタレン-8-スルホン酸を用いた。
【0301】
【化93】
【0302】
実施例33 - 染料33の調製
【0303】
式(33)の中間体モノアゾ化合物を実施例1のとおりに調製したが、実施例1のアニリン-2,5-ジスルホン酸の代わりに2-アミノナフタレン-7-スルホン酸を用いた。
【0304】
【化94】
【0305】
実施例34 - 染料34の調製
【0306】
式(34)の中間体モノアゾ化合物を実施例1のとおりに調製したが、実施例1のアニリン-2,5-ジスルホン酸の代わりに2-アミノナフタレン-5-スルホン酸を用いた。
【0307】
【化95】
【0308】
実施例35 - 染料35の調製
【0309】
式(35)の中間体モノアゾ化合物を実施例1のとおりに調製したが、実施例1のアニリン-2,5-ジスルホン酸の代わりに3-[2-(4-アミノ-3-メトキシフェニル)ジアゼン-1-イル]ベンゼン-1-スルホン酸(Acid Yellow MAA、Ciba-Geigy AG, Baselから入手可能)を用いた。
【0310】
【化96】
【0311】
実施例36 - 染料36の調製
【0312】
式(36)の中間体モノアゾ化合物を実施例1のとおりに調製したが、実施例1のアニリン-2,5-ジスルホン酸の代わりに2-アミノナフタレン-6,8-ジスルホン酸を用いた。
【0313】
【化97】
【0314】
実施例37 - 染料37の調製
【0315】
式(37)の中間体モノアゾ化合物を実施例1のとおりに調製したが、実施例1のアニリン-2,5-ジスルホン酸の代わりに1-アミノナフタレン-4,7 -ジスルホン酸を用いた。
【0316】
【化98】
【0317】
実施例38 - 染料(38)の調製
【0318】
式(38)の中間体モノアゾ化合物を実施例1のとおりに調製したが、実施例1のアニリン-2,5-ジスルホン酸の代わりにp-メトキシアニリン-2-スルホン酸を用いた。
【0319】
【化99】
【0320】
実施例39 - 染料(39)の調製
【0321】
【化100】
【0322】
この実施例を実施例23bのとおりに調製したが、5-アミノ-2-[( 4-アミノフェニル)アミノ]ベンゼンスルホン酸の代わりにフラボン酸を用いた。
【0323】
実施例40 - 染料(40)の調製
【0324】
【化101】
【0325】
この実施例を実施例39のとおりに調製した。しかしながら、実施例39の中間体2gの代わりに中間体38を用いた。
【0326】
実施例41 - 染料(41)の調製
【0327】
【化102】
【0328】
この実施例を実施例39のとおりに調製した。しかしながら、実施例39の中間体2gの代わりに中間体2hを用いた。
【0329】
実施例42 - 染料(42)の調製
【0330】
【化103】
【0331】
この実施例を実施例23aのとおりに調製した。しかしながら、実施例23aの中間体2bの代わりに中間体31を用いた。
【0332】
実施例43 - 染料(43)の調製
【0333】
【化104】
【0334】
この実施例を実施例24bのとおりに調製した。しかしながら、実施例24bの4-ニトロアニリン- 2-スルホン酸の代わりに4-アミノベンズアミドを用い、実施例24bの染料8の代わりに染料9を用いた。
【0335】
実施例44 - 染料(44)の調製
【0336】
【化105】
【0337】
この実施例を実施例43のとおりに調製した。しかしながら、実施例43の4-アミノベンズアミドの代わりに1-アミノナフタレン-7-スルホン酸を用いた。
【0338】
実施例45 - 染料(45)の調製
【0339】
【化106】
【0340】
この実施例を実施例43のとおりに調製した。しかしながら、実施例43の4-アミノベンズアミドの代わりにp-フェニレンジアミン-モノスルホン酸を用いた。
【0341】
実施例46 - 染料(46)の調製
【0342】
【化107】
【0343】
この実施例を実施例39のとおりに調製した。しかしながら、実施例39の中間体2gの代わりに中間体31を用いた。
【0344】
実施例47 - 染料(47)の調製
【0345】
【化108】
この実施例を実施例39のとおりに調製した。しかしながら、実施例39の中間体2gの代わりに中間体2aを用いた。
【0346】
実施例48 - 染料(48)の調製
【0347】
【化109】
【0348】
この実施例を実施例39のとおりに調製した。しかしながら、実施例39の中間体2gの代わりに中間体32を用いた。
【0349】
実施例49 - 染料(49)の調製
【0350】
【化110】
【0351】
この実施例を実施例39のとおりに調製した。しかしながら、実施例39の中間体2gの代わりに中間体33を用いた。
【0352】
実施例50 - 染料(50)の調製
【0353】
【化111】
【0354】
この実施例を実施例45のとおりに調製した。しかしながら、実施例45のp-フェニレンジアミンモノスルホン酸の代わりにm-フェニレンジアミン-モノスルホン酸を用いた。
【0355】
実施例51 - 染料(51)の調製
【0356】
【化112】
【0357】
この実施例を実施例39のとおりに調製した。しかしながら、実施例39の中間体2gの代わりに中間体35を用いた。
【0358】
実施例52 - 染料(52)の調製
【0359】
【化113】
【0360】
この実施例を実施例39のとおりに調製した。しかしながら、実施例39の中間体2gの代わりに中間体36を用いた。
【0361】
実施例53 - 染料(53)の調製
【0362】
【化114】
【0363】
この実施例を実施例39のとおりに調製した。しかしながら、実施例39の中間体2gの代わりに中間体37を用いた。
【0364】
実施例54 - 染料(54)の調製
【0365】
【化115】
【0366】
この実施例を実施例45のとおりに調製した。しかしながら、実施例45のp-フェニレンジアミンモノスルホン酸の代わりに5-アミノイソフタル酸を用いた。
【0367】
実施例55 - 染料(55)の調製
【0368】
式(55)の中間体モノアゾ化合物を実施例1aのとおりに調製した。しかしながら、実施例1aのアニリン-2,5-ジスルホン酸の代わりにアニリン-2,4-ジスルホン酸を用いた。
【0369】
【化116】
【0370】
実施例56 - 染料(56)の調製
【0371】
式(56)の中間体モノアゾ化合物を実施例1aのとおりに調製した。しかしながら、実施例1aのアニリン-2,5-ジスルホン酸の代わりにアニリン-4-スルホン酸を用いた。
【0372】
【化117】
【0373】
実施例57 -染料(57)の調製
【0374】
式(57)の中間体モノアゾ化合物を実施例1aのとおりに調製した。しかしながら、実施例1aのアニリン-2,5-ジスルホン酸の代わりにアニリン-2-スルホン酸を用いた。
【0375】
【化118】
【0376】
実施例58 - 染料(58)の調製
【0377】
【化119】
【0378】
この実施例を実施例I25 (実施例25に示している)のとおりに調製した。しかしながら、実施例25の中間体1aの代わりに中間体55を用いた。
【0379】
実施例59 - 染料(59)の調製
【0380】
【化120】
【0381】
この実施例を実施例25のとおりに調製した。しかしながら、実施例25の中間体1aの代わりに中間体56を用いた。
【0382】
実施例60 - 染料(60)の調製
【0383】
【化121】
【0384】
この実施例を実施例25のとおりに調製した。しかしながら、実施例25の中間体1aの代わりに中間体57を用いた。
【0385】
実施例61 - 染料(61)の調製
【0386】
【化122】
【0387】
この実施例を実施例29のとおりに調製した。しかしながら、実施例29のo-ニトロアニリン-4-スルホン酸の代わりにアニリン-2,5-ジスルホン酸を用いた。
【0388】
実施例62 - 染料(62)の調製
【0389】
【化123】
【0390】
この実施例を実施例29のとおりに調製した。しかしながら、実施例29の中間体26の代わりに中間体I25(実施例25に示している)を用い、実施例29の2,5-ジスルホン酸の代わりに5-アミノイソフタル酸を用いた。
【0391】
実施例63 - 染料(63)の調製
【0392】
【化124】
【0393】
この実施例を実施例29のとおりに調製した。しかしながら、実施例29のアニリン-2,5-ジスルホン酸の代わりにアニリン-2-ニトロ-4-スルホン酸を用いた。
【0394】
実施例64 - 染料(64)の調製
【0395】
【化125】
【0396】
アニリン-2-ニトロ-4-スルホン酸を実施例1と同じ方法でジアゾ化し、8.5〜9.5のpH値、0〜5℃の温度で中間体I25 (実施例25に示している)にカップリングさせた。この染料64をEtOHで沈殿させ、濾過して乾燥させた。染料64を、アニリン-2-ニトロ-4-スルホン酸のモル数に基づいて71%の全体収率で得た。
【0397】
実施例65 - 染料(65)の調製
【0398】
【化126】
【0399】
この実施例を実施例64のとおりに調製した。しかしながら、実施例25の中間体1aの代わりに中間体55を用いた。
【0400】
実施例66 - 染料(66)の調製
【0401】
【化127】
【0402】
この実施例を実施例26のとおりに調製した。しかしながら、実施例26の中間体1aの代わりに中間体55を用いた。
【0403】
実施例67 - 染料(67)の調製
【0404】
【化128】
【0405】
この実施例を実施例25のとおりに調製した。しかしながら、実施例25のアニリン-4-ニトロ-2-スルホン酸の代わりにアニリン-2,5-ジスルホン酸を用いた。
【0406】
実施例68 - 染料(68)の調製
【0407】
【化129】
【0408】
この実施例を実施例29のとおりに調製した。しかしながら、実施例29の中間体1aの代わりに中間体55を用いた。
【0409】
実施例69 - 染料(69)の調製
【0410】
【化130】
【0411】
この実施例を実施例63のとおりに調製した。しかしながら、実施例63の染料26の代わりに染料67を用いた。
【0412】
実施例70 - 染料(70)の調製
【0413】
【化131】
【0414】
この実施例を実施例69のとおりに調製した。しかしながら、実施例69の2-ニトロ-4-スルホン酸の代わりにアニリン-4-ニトロ-2-スルホン酸を用いた。
【0415】
実施例71 - 染料(71)の調製
【0416】
【化132】
【0417】
この実施例を実施例29のとおりに調製した。しかしながら、実施例29の中間体26の代わりに中間体I25(実施例25に示す)を用いた。
【0418】
実施例72 - 染料(72)の調製
【0419】
【化133】
【0420】
この実施例を実施例71のとおりに調製した。しかしながら、実施例71のアニリン-2,5-ジスルホン酸の代わりにアニリン-2-スルホン酸を用いた。
【0421】
実施例73 - 染料(73)の調製
【0422】
【化134】
【0423】
この実施例を実施例71のとおりに調製した。しかしながら、実施例71のアニリン-2,5-ジスルホン酸の代わりに4-アミノベンズアミドを用いた。
【0424】
実施例74 - 染料(74)の調製
【0425】
【化135】
【0426】
この実施例を実施例71のとおりに調製した。しかしながら、実施例71のアニリン-2,5-ジスルホン酸の代わりにアニリン-3-スルホン酸を用いた。
【0427】
実施例75 - 染料(75)の調製
【0428】
【化136】
【0429】
この実施例を実施例64のとおりに調製した。しかしながら、実施例64の中間体1aの代わりに中間体57を用いた。
【0430】
参照染料I - 式(I)のC.I. Direct Black 168
【0431】
式(I)のC.I. Direct Black 168は広く使用されており、市販されている黒色染料である。C.I. Direct Black 168を含むインクジェット印刷のための記録液は、特許文献WO 93/24,330, EP 0,885,940、及びUS 2002/0,121,219に記載されている。しかしながら、紙印刷のために、又はインクジェット印刷のための記録液に用いられる場合、これは十分に溶解せず、ナノ多孔質性媒体(メディア)上に、不十分な耐水性を有し、ブロンズ化及び非ニュートラルな色相を示す記録された画像をもたらす。これは、染料の堆積のために、プリントヘッドのノズルの目詰まりを引き起こす。Direct Black 168は、中性の色相を示すために、和らげられた(pacified) C.I. Reactive Black 31と混合する必要がある。
【0432】
【化137】
【0433】
参照インクII - 式(II)のC.I. Reactive Black 5
【0434】
式(II)のC.I. Reactive Black 5も広く用いられており、市販されている黒色染料である。C.I. Reactive Black 5を含むインクジェット印刷のための記録液は、特許文献US 4,257,770、US 5,358,558、US 5,935,309、及び特許出願US 2006/0,174,800に記載されている。しかしながら、記録された画像の黒の色合いは、黒色よりも青みがかっている。
【0435】
【化138】
【0436】
参照インクIII -式(III)のC.I. Acid Black 1
【0437】
式(III)のC.I. Acid Black 1も広く用いられており、市販されている黒色染料である。C.I. Acid Black 1を含むインクジェット印刷のための記録液は、特許文献US 4,365,998及びUS 4,371,582に記載されている。しかしながら、この染料の、普通紙及びインクジェット印刷のためのポリマーベースの記録紙上での対光性は非常に低い。多孔質性メディアでの光安定性は幾分良いが、今日の市場で要求されるものからは依然として不十分である。
【0438】
【化139】
【0439】
参照染料IV - 染料IVの調製
【0440】
【化140】
【0441】
この実験例を実施例14のとおりに調製した。しかしながら、実施例14の合成の間、K-酸をデスルホ K酸の代わりに用い、水酸化リチウムを水酸化ナトリウムの代わりに用いた。
【0442】
実施例 75 - 記録液の調製
【0443】
実施例30のとおりに記録液を調製したが、染料(31)〜(74)を用いた。参照染料I〜IVの記録液を比較のために調製した。
【0444】
記録液の適用(塗布)の実施例
【0445】
1.2±0.3の密度を有する着色した四角いパッチを、インクジェットプリンタ(Model Canon PIXMA iP4000)で、以下のインクジェット印刷のための記録紙に印刷した:
a: HP Printing Paper HP 1122 (非被膜紙),
b: Sterling Papers Standard Glossy Coated stock for Litho Web (被膜紙),
c: ILFORD Premium Plus Glossy Paper 270 g/m2 (インクジェット記録紙)
【0446】
黒色の四角いパッチの印刷のために、インクを空のカートリッジに充填し、純粋なインクのみが印刷されるように、プリンタセッティングの黄色のチャンネルに設置した。ソフトウェアに関して、Photoshop 4 (Adobe Systems, Inc.)を用いた。ここで、プリンタセッティングを「photo paper pro」に設定し、品質を「high」に設定し、カラーセッティングパラメータを「manual」オプションにした。ピクチャーの種類に関して、オプション「none」を選択した。黄色のパッチをPhoto shopで描き、イエローカートリッジ中の黒色インクで印刷した。得られた着色したパッチを耐水性、光安定性、染色の彩度、及びオゾンによる劣化(以下、「分解」とも言う。)に対する抵抗性を測定するのに用いた。
【0447】
試験
【0448】
1.色の彩度
着色した四角いパッチの色座標L*a*b*を分光光度計 Spectrolino(登録商標、Gretag Macbeth, Regensdorf, Switzerlandから入手可能)の反射モードで、CIE標準イルミナントD65を用いて測定した。
【0449】
2.光安定性
【0450】
印刷したサンプル上の着色したパッチ内の染料の光学密度(着色濃度)D0を、上記したパッチを印刷した後測定した。その後、パッチを印刷したサンプルを6500 Wのキセノンランプを備えたWeather-Ometer(登録商標)Ci35A(Atlas Material Testing Technology, Chicago, USAから入手可能)を用いて、20°C、相対湿度50%で、10及び20メガlux時間の照射に達するまで照射した。その後、着色し、照射されたパッチ内の着色濃度D1を濃度計Spectrolino(登録商標)で測定した。着色したパッチ内の、光の照射によりに減少した着色濃度の割合(%)を以下の式で計算した:
DLLight = 100% * (D0 - D1)/D0
【0451】
DLLightの高い値は、染料の良好な光安定性を示す。
【0452】
染料の光安定性(DLLightとして示される)を以下の方法により等級分けした:
A: 20%未満の着色濃度の減少
B: 20%〜30%の着色濃度の減少
C: 30%〜40%の着色濃度の減少
D: 40%を超える着色濃度の減少
【0453】
3. オゾンによる分解に対する安定性
【0454】
着色した四角いパッチの光学密度を測定した後(上記参照)、印刷したサンプルを、48、96、及び192時間の間、30°Cの温度、50%の空気中の相対湿度、及び、13mm/sのオゾン含有空気の循環速度の中、1ppmのオゾン密度のオゾンチャンバー、モデル903(SatraiHampden, Great Britainから入手可能)内で保持した。保持後、サンプルの着色した四角いパッチをの色濃度を再度測定してDIIを求めた。オゾン処理による着色したパッチの着色濃度の減少の割合を以下の式により計算した:
DLOzone = 100 % * (DI - DII)/DI
【0455】
DLOzoneの高い値は、染料の良好なオゾン安定性を示す。
【0456】
染料のオゾンによる分解に対する安定性(DLOzoneとして示される)を以下の方法により等級分けした:
A: 20%未満の着色濃度の減少
B: 20%〜30%の着色濃度の減少
C: 30%〜40%の着色濃度の減少
D: 40%を超える着色濃度の減少
【0457】
4. 耐水性
【0458】
以下の変更点とともに、ISO試験18935:2005(E)、方法3 - 「水浸漬」に記載されているとおりにパターンを記録媒体a及びb上に印刷した:
a. 本試験の浸漬時間を、浸漬時間が1時間と設定されているISO 18935:2005(E)と比べて、1分以上に設定した;
b. 上述の手順に従って、黒色のパターンのみを準備した。
【0459】
最初に、サンプル上に着色した光学密度(浸漬されていないパターンOD)をSpectrolino(登録商標)密度計で、印刷されてから1日後(=100%印刷濃度での光学密度(Optical Density vis.))に測定した。その後、パターンを描いたサンプルを室温で脱イオン水に1分間浸漬した。次いで、パターンを描いたサンプルを取り出し、垂直に掛けて1時間乾燥させた。各サンプルに別々の容器を用いて、クロスコンタミネーションを防いだ。着色し、水処理したパターンの光学密度(浸漬したパターン OD)をSpectrolino(登録商標)密度計を用いて測定した。耐水性%を以下の式により計算した:
【0460】
【数1】
【0461】
光学密度の低い減少は、染料の良好な耐水性を示す。
【0462】
染料の耐水性(WFとして示す)を以下の方法で等級分けした:
A: 10%未満の光学密度の減少
B: 10%〜20%の光学密度の減少
C: 20%〜30%の光学密度の減少
D: 30%〜40%の光学密度の減少
E: >40%の光学密度の減少
【0463】
結果
上述した、水溶液における吸収最大値 λmax、記録紙c上の色座標、及び記録紙c上のオゾンによる分解に対する安定性(DLOzone)を表1にまとめる。
【0464】
【表1】
【0465】
表1の結果は、本発明のすべての染料が、比較の市販の黒色染料の試料(HP364XL)、C.I. Direct Black 168 (I)、C.I. Reactive Black 5 (II)、及びC.I. Acid Black 1 (III)よりも、非常に良好なオゾンによる分解に対する安定性を有することを直接的に示している。
【0466】
記録紙a及びcでの光による分解に対する安定性を表2にまとめる。
【0467】
【表2】
【0468】
表2の結果は、本発明の全ての染料が、比較の市販の黒色染料の試料(HP364XL)、C.I. Direct Black 168 (I)、C.I. Reactive Black 5 (II)、及びC.I. Acid Black 1 (III)よりも、光による分解に対して非常に良好な安定性を有することを直接的に示している。
【0469】
オゾンと光の分解に対する安定性に関して、本発明のすべての染料は、黒色染料(HP364XL)、C.I. Direct Black 168 (I)、C.I. Reactive Black 5 (II)、及びC.I. Acid Black 1 (III)よりも、非常に良好な安定性を有する。
【0470】
記録紙a及びbでの耐水性(WF)を表3にまとめる。
【0471】
【表3】
【表4】
【0472】
耐水性に関して、染料(5b)、(7)、(12)、(14)、(17b)、(18b)、(19b)、(20a)、(21)、(22c)、(22d)、(23a)、及び(24a)、特に、染料(5a)、(6)、(8)、(10)、(13)、(19a)、(22b)、(23b)、(39)、及び(42)〜(54) は、市販の黒色染料HP364XL及び参照染料IVよりも、非常に良好な耐水性を有する。
【符号の説明】
【0473】
1 基材
2 染料
図1
図2a
図2b
図3
図4