【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の第1の特徴において、周期的に動く物体を画像化するためのイメージングシステムが提示され、イメージングシステムは、
− 異なる時に亘って物体の超音波信号を提供するための超音波信号提供ユニットと、
− 異なる時での物体の周期的な動きの運動位相を示す位相信号を提供するための位相信号提供ユニットと、
− 提供される位相信号に基づき超音波信号を運動位相に割り当てるための割当ユニットと、
− 異なる運動位相のために幾つかの超音波イメージを生成するための超音波イメージ生成ユニットと、
− ディスプレイユニットを制御するためのディスプレイ制御ユニットとを含み、
運動位相のための超音波イメージは、夫々の運動位相に割り当てられる超音波信号に基づき生成され、
ディスプレイ制御ユニットは、生成される超音波イメージが、物体の周期的な動きを示すためにディスプレイユニット上に時間的に連続的に表示されるように構成さ
れ、
超音波信号提供ユニットは、超音波信号としてAラインを連続的に提供するように構成され、超音波イメージ生成ユニットは、超音波イメージとしてMモードイメージを生成し、夫々の運動位相に割り当てられる実際に提供されるAラインを夫々のMモードイメージに付加することによって異なる運動位相のために生成されるMモードイメージを更新するように構成され、ディスプレイ制御ユニットは、物体の更新された周期的な動きを示すために更新されたMモードイメージを時間的に連続的に表示するよう前記ディスプレイユニットを制御するように構成される。
【0005】
超音波イメージ生成ユニットは夫々の運動位相に割り当てられる超音波信号に基づき運動位相のための超音波イメージを生成し、これらの超音波イメージはディスプレイユニット上に時間的に連続的に表示されるので、従来的な静止的な超音波イメージの代わりに、具体的には、従来的な静止的なMモードイメージの代わりに、周期的に動く物体の動画のようなイメージを示すことができる。物体のこの動画のようなイメージは、医者のような使用者が、使用者が焼灼するかもしれない組織壁の厚さのような物体の特性を確実に決定するのを可能にする。ひいては、これは、使用者が超音波データに基づき物体に対するエネルギの適用、具体的には、組織壁のアブレーション(焼灼)を制御する品質を向上させることを可能にする。
【0006】
超音波信号提供ユニットは、物体のAラインを超音波信号として提供するよう
に構成される。超音波信号提供ユニットは、Aラインに対してエンベロープ(envelope)検出手続きを適用し、結果として得られるAラインエンベロープを超音波信号として提供するよう更に優先的に構成される。具体的には、超音波イメージ生成ユニットは、異なる運動位相のために幾つかのMモードイメージを生成するように構成され、運動位相のためのMモードイメージが、夫々の運動位相に割り当てられるAライン、具体的には、Aラインエンベロープから生成される。異なる運動位相のために生成される幾つかのMモードイメージを心電図同期(gated)Mモードイメージと考え得る。
【0007】
超音波信号は時間的に連続的に提供され、実際の超音波信号が提供されるならば、実際の超音波信号を対応する運動位相に割り当て、次に、実際の超音波信号が割り当てられる運動位相に対応する超音波イメージを更新するために、実際の超音波信号を用い得る。
超音波信号
はAラインであり、生成される超音波イメージが心電図同期イメージである
ので、夫々の実際のAラインを運動位相に割り当て、実際のAラインが割り当てられる運動位相に対応する心電図同期Mモードイメージに実際のAラインを付加し得る。
【0008】
超音波信号提供ユニットは、具体的には、Aラインを測定するために、異なる時に亘って、物体の超音波信号を測定するための超音波信号測定ユニットであり得る。よって、超音波信号提供ユニットは、超音波パルスを物体に及び物体内に送信するために並びに物体が超音波パルスを反射した後に一連の動的なエコーを受け取るために、1つ又は幾つかの超音波トランスデューサを含み得る。次に、受け取られる一連の動的なエコーに依存して、超音波信号、具体的には、夫々のAラインが生成される。物体は、優先的には組織であり、特に心臓組織であり、超音波パルスは心臓組織内に送信され、生成される超音波信号が異なる深さにおける心臓組織の特性を示すよう、一連の動的なエコーが心臓組織から受け取られる。
【0009】
超音波信号提供ユニットは、前もって測定した超音波信号を記憶させる記憶ユニットであり得るし、或いは、超音波信号提供ユニットは、超音波信号を受信するための並びに受信される超音波信号を提供するための受信ユニットであり得る。
【0010】
位相信号提供ユニットは、超音波信号を測定する異なる時での物体の周期的な動きの運動位相を示す位相信号を測定するための位相信号測定ユニットであり得る。しかしながら、位相信号提供ユニットは、測定した位相信号を前もって記憶させる記憶ユニット、又は測定した位相信号を受信するための並びに受信した位相信号を提供するための受信ユニットであってもよい。
【0011】
従って、イメージングシステムは、超音波信号及び/又は位相信号を測定するための測定コンポーネントを含み得るし、或いは、イメージングシステムは、測定コンポーネントを含まないコンピュータシステムであり得る。後者の場合、超音波信号提供ユニット及び位相信号提供ユニットは、それぞれ、コンピュータシステムの記憶ユニット又は受信ユニットである。
【0012】
ディスプレイ制御ユニットは、提供される位相信号から生成される超音波イメージを表示することの繰返し率を決定し、生成される超音波イメージを決定される繰返し率で時間的に連続的に表示するようディスプレイユニットを制御するように優先的に構成される。繰返し率は、同じ運動位相の超音波イメージがある時間間隔内でどれぐらい頻繁に表示されるかを定める。ある時間間隔内に示されるイメージの総数として定め得る結果としてフレームレートは、超音波イメージを生成する運動位相の数で乗算した繰返し率によって定められる。
【0013】
好適実施態様において、ディスプレイ制御ユニットは、提供される位相信号から物体の周期的な動きの運動速度を決定し、その運動速度に依存して繰返し率を決定するように構成される。例えば、繰返し率は、運動測度、具体的には、最終の運動速度と等しくあり得るし、或いは、周期的な動きの幾つかの運動期間に亘って決定される幾つかの運動速度の平均であり得る。よって、フレームレートは、N連続超音波イメージが、その運動期間がN運動位相に細分されるならば、その運動の1つのサイクル期間と等しいある時間期間T内に示されるようであり得る。繰返し率は運動速度に優先的に依存するので、それは運動速度の可能な変動に依存して異なり得る。例えば、運動速度が増大するならば、繰返し率も増大し、運動速度が減少するならば、繰返し率も減少する。運動速度は、例えば、心拍速度又は呼吸速度である。
【0014】
イメージングシステムが、超音波信号を連続的に提供し、超音波信号を運動位相に割り当て、超音波イメージを生成し、生成される超音波イメージを表示するように構成され、超音波イメージ生成ユニットが、初期的な超音波イメージの生成後、実際に提供される超音波信号に基づき超音波画像を更新し、ディスプレイ制御ユニットが、物体の更新された周期的な動きを示すために、更新された超音波イメージを時間的に連続的に表示するようディスプレイユニットを制御するように構成されるのが好ましい。具体的には、超音波信号提供ユニットは、Aラインを超音波信号として連続的に提供するように構成され、イメージ生成ユニットは、超音波イメージとして心電図同期Mモードイメージを生成するように構成され、初期的なMモードイメージの生成後、心電図同期Mモードイメージは、実際に提供されるAラインを付加することによって更新され、ディスプレイ制御ユニットは、物体の更新された周期的な動きを示すために更新された心電図同期Mモードイメージを時間的に連続的に表示するようディスプレイユニットを制御するように構成される。従って、物体の図示する動画のようなイメージは、超音波によって感知されるような物体の実際の特性を考慮し得る、即ち、図示の動画のようなイメージを実際に提供される超音波信号、具体的には、実際に提供されるAラインに従って連続的に変更し得る。
【0015】
運動位相が位相信号に依存して異なる継続時間(duration)を有するように、運動期間を運動位相に細分するよう割当ユニットを構成し得る。よって、図示の動画のようなイメージの品質が更に改良させられるように、運動位相の継続時間を物体の夫々の運動に適合させ得る。例えば、物体の動きがより小さい運動位相は、物体の動きがより大きい他の運動位相の継続時間よりも大きい継続時間を有し得る。具体的には、位相信号が心臓運動信号であるならば、心筋が静止しているときに心拡張期を含む運動位相の継続時間が心収縮期を含む運動位相の継続時間よりも大きいように、割当ユニットを構成し得る。
【0016】
ある実施態様において、超音波信号提供ユニットは、超音波信号としてAラインを提供するように構成され、割当ユニットは、提供される位相信号に基づきAラインを運動位相に割り当てるように構成され、超音波イメージ生成ユニットは、夫々の割り当てられるAラインに基づき超音波イメージとして異なる運動位相のためのMモードイメージを生成するように構成され、少なくとも1つの運動位相のAラインの幅は、異なる運動位相のために、夫々のMモードイメージを生成するために用いられるAラインの幅が類似であるように変更される。よって、他の運動位相に属する一群のAライン大きさを整合させるために、特定の運動位相に属する一群のAラインを再縮尺するよう、超音波イメージ生成ユニットを構成し得るので、全ての運動位相は心電図同期Mモードイメージ内に同じ量の付加データを生成することになる。そのような大きさ調整は、物体の周期的な動きを示すために心電図同期Mモードイメージがディスプレイの上に時間的に連続的に表示されるならば、異なる大きさの心電図同期Mモードイメージによって引き起こされる示される動きのちらつき(flickering)を防止し得るよう、異なる心電図同期Mモードイメージが同じ大きさを有することを保証する。
【0017】
ある実施態様において、割当ユニットは、夫々の運動期間が終了した後に、超音波信号を夫々の運動期間の運動位相に割り当てるように構成される。夫々の運動期間の終了後、夫々の運動期間の継続時間は既知であるので、夫々の運動期間を運動位相に細分することによって、異なる運動位相を正確に決定し得る。相応して、運動位相への超音波信号の割当ては極めて正確であり、それにより、最終的に示される物体の動的イメージの品質の更なる改良をもたらす。
【0018】
更なる実施態様において、割当ユニットは、前の運動期間のために提供される位相信号に基づき物体の運動期間の超音波信号を運動位相に割り当てるように構成される。よって、実際の運動期間の終了前に、超音波信号を運動位相に割り当て得る。超音波イメージ生成ユニットが、最後に提供された超音波信号を含む異なる運動位相のために、実際の超音波イメージを極めて短い待ち時間で生成し得るよう、これは極めて低い待ち時間で運動位相に超音波信号を割り当てることを可能にする。例えば、時間的に連続的なAラインを超音波信号として提供することができ、運動位相への前の運動期間の細分に基づき実際の提供されるAラインを運動位相に割り当てることができ、実際のAラインを割り当てる運動位相に対応する心電図同期Mモードイメージに実際のAラインを付加し得る。
【0019】
夫々の運動期間の終了後、夫々の運動期間の位相信号に基づき、前の運動期間のための位相信号に基づき割り当てられた、物体の夫々の運動期間の超音波信号を再割当てするよう割当ユニットを構成することができ、超音波イメージ生成ユニットは、再割当てされる超音波信号に基づき超音波イメージを生成するように構成され、ディスプレイ制御ユニットは、生成される超音波イメージを表示するようディスプレイユニットを制御するように構成される。従って、夫々の運動期間の終了後、前の運動期間に基づく運動位相への超音波信号の初期的な近似的な割当てを矯正することができ、それにより、運動位相への超音波信号の正確な割当て、よって、物体の高品質の動的イメージをもたらし、実際に取得される最終の超音波信号を依然として極めて低い待ち時間で示し得る。
【0020】
物体の異なる種類の周期的な動きの運動位相を示す幾つかの位相信号を提供するよう位相信号提供ユニットを構成することができ、提供される幾つかの位相信号に基づき異なる種類の周期的な動きの運動位相の組み合わせに超音波信号を割り当てるよう割当ユニットを構成することができ、超音波イメージ生成ユニットは、異なる組み合わせのために幾つかの超音波イメージを生成するように構成され、ある組み合わせのための超音波イメージが夫々の組み合わせに割り当てられる超音波信号に基づき生成される。物体の異なる種類の周期的な動きの運動位相の異なる組み合わせは時間的に連続的に起こり、ディスプレイ制御ユニットは、生成される超音波イメージが夫々の組み合わせによって定められる時間的シーケンスに従ってディスプレイユニット上に時間的に連続的に表示されるようディスプレイユニットを制御するように構成される。これは単一の種類の周期的な動きを考慮するのみならず幾つかの種類の周期的な動きも考慮する物体の動的イメージを示すことを可能にし、それは周期的に動く物体の更なる改良された視覚化をもたらし得る。
【0021】
好適実施態様において、画像化される物体は、組織壁のような生物のある領域であり、位相信号提供ユニットは、心臓運動を示す心臓運動信号及び呼吸運動を示す呼吸運動信号のうちの少なくとも1つを位相信号として提供するように構成される。心房運動を示す心房運動信号及び心室運動を示す心室運動信号のうちの少なくとも1つを位相信号として提供するようにも位相信号提供ユニットを構成し得る。
【0022】
心臓運動信号は、例えば、生物の胸に取り付けられる心電図表面リード線からの心電図信号であり得る。代替的に又は追加的に、超音波信号提供ユニットをカテーテル内に、具体的には、カテーテルの先端内に統合することができ、心臓信号を測定するための電極もカテーテル内に、具体的には、カテーテル先端内に統合し得る。位相信号提供ユニットは、指又は耳朶にクリップ留めし得るパルス酸素濃度計でもあってもよく、パルス酸素濃度計は心臓信号をもたらす。呼吸信号は、例えば、気管挿管装置によって生成される空気流信号であり得る。心電図電極を介して測定し得る生体インピーダンス信号からも呼吸信号を生成し得る。
【0023】
超音波信号から位相信号を決定し且つ決定される位相信号を提供するようにも位相信号提供ユニットを構成し得る。具体的には、例えば、横方向における、即ち、Aラインエンベロープによって形成されるMモードイメージの時間軸の方向におけるフーリエ解析又は相関解析を用いることによって、トリガ信号とも考え得る位相信号をAラインエンベロープから取り出し得る。よって、心電計のような更なる測定装置を必ずしも必要とせずに位相信号を決定することができ、それはイメージングシステムの取扱いを単純化し得る。
【0024】
イメージングシステムは、感知プローブを優先的に含み、超音波信号提供ユニット及び物体にエネルギを提供するためのエネルギ適用ユニットを感知プローブ内に統合し得る。感知プローブは、優先的にはカテーテルであり、カテーテルには、超音波信号提供ユニットの少なくとも一部、例えば、1つ又は幾つかの超音波トランスデューサ、及びエネルギ適用ユニットの少なくとも一部、例えば、アブレーション電極が統合される。よって、エネルギを物体に適用するために、具体的には、心臓アブレーション手続きを遂行するために、並びに超音波を用いることによってエネルギの適用をモニタリングするために用い得る、単一の感知プローブを提供し得る。
【0025】
本発明の更なる特徴において、周期的に動く物体を画像化するためのイメージング方法が提示され、イメージング方法は、
− 超音波信号提供ユニットによって、異なる時に亘って物体の超音波信号を提供すること、
− 位相信号提供ユニットによって、異なる時に前記物体の周期的な動きの運動位相を示す位相信号を提供すること、
− 割当ユニットによって、提供される位相信号に基づき運動位相に超音波信号を割り当てること、
− 超音波イメージ生成ユニットによって、異なる運動位相のために幾つかの超音波イメージを生成すること、及び
− ディスプレイ制御ユニットによって、ディスプレイユニットを制御することを含み、
運動位相のための超音波イメージは、夫々の運動位相に割り当てられる超音波信号に基づき生成され、
ディスプレイ制御ユニットは、生成される超音波イメージが、物体の周期的な動きを示すためにディスプレイユニット上に時間的に連続的に表示されるように構成さ
れ、
超音波信号提供ユニットは、超音波信号としてAラインを連続的に提供するように構成され、超音波イメージ生成ユニットは、超音波イメージとしてMモードイメージを生成し、夫々の運動位相に割り当てられる実際に提供されるAラインを夫々のMモードイメージに付加することによって異なる運動位相のために生成されるMモードイメージが更新され、ディスプレイ制御ユニットは、物体の更新された周期的な動きを示すために更新されたMモードイメージを時間的に連続的に表示するようディスプレイユニットを制御するように構成される。
【0026】
本発明の更なる特徴において、周期的に動く物体を画像化するためのコンピュータプログラムが提示され、コンピュータプログラムは、当該プログラムプログラムがイメージング装置を制御するコンピュータの上で作動させられるときに請求項1に記載のイメージング装置に請求項
12に記載のイメージング方法を実施させるためのプログラムコード手段を含む。
【0027】
請求項1のイメージングシステム、請求項
12のイメージング方法、及び請求項
13のコンピュータプログラムは、特に従属項に定められるような、類似の及び/又は同一の好適実施態様を有することが理解されなければならない。
【0028】
本発明の好適実施態様は、夫々の独立項と従属の任意の組み合わせであり得ることも理解されなければならない。
【0029】
本発明のこれらの及び他の特徴は、以下に記載する実施態様を参照して明確に解明されるであろう。