特許第6235553号(P6235553)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェの特許一覧

特許6235553周期的に動く物体を画像化するイメージングシステム
<>
  • 特許6235553-周期的に動く物体を画像化するイメージングシステム 図000002
  • 特許6235553-周期的に動く物体を画像化するイメージングシステム 図000003
  • 特許6235553-周期的に動く物体を画像化するイメージングシステム 図000004
  • 特許6235553-周期的に動く物体を画像化するイメージングシステム 図000005
  • 特許6235553-周期的に動く物体を画像化するイメージングシステム 図000006
  • 特許6235553-周期的に動く物体を画像化するイメージングシステム 図000007
  • 特許6235553-周期的に動く物体を画像化するイメージングシステム 図000008
  • 特許6235553-周期的に動く物体を画像化するイメージングシステム 図000009
  • 特許6235553-周期的に動く物体を画像化するイメージングシステム 図000010
  • 特許6235553-周期的に動く物体を画像化するイメージングシステム 図000011
  • 特許6235553-周期的に動く物体を画像化するイメージングシステム 図000012
  • 特許6235553-周期的に動く物体を画像化するイメージングシステム 図000013
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6235553
(24)【登録日】2017年11月2日
(45)【発行日】2017年11月22日
(54)【発明の名称】周期的に動く物体を画像化するイメージングシステム
(51)【国際特許分類】
   A61B 8/08 20060101AFI20171113BHJP
【FI】
   A61B8/08ZDM
【請求項の数】13
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2015-501042(P2015-501042)
(86)(22)【出願日】2013年3月20日
(65)【公表番号】特表2015-510813(P2015-510813A)
(43)【公表日】2015年4月13日
(86)【国際出願番号】IB2013052225
(87)【国際公開番号】WO2013140358
(87)【国際公開日】20130926
【審査請求日】2016年3月17日
(31)【優先権主張番号】61/614,550
(32)【優先日】2012年3月23日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】KONINKLIJKE PHILIPS N.V.
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 進介
(74)【代理人】
【識別番号】100133983
【弁理士】
【氏名又は名称】永坂 均
(72)【発明者】
【氏名】ベルト,ハルム ヤン ウィレム
(72)【発明者】
【氏名】フォッケンロート,ステフェン アントニー ウィレム
(72)【発明者】
【氏名】ズオ,フェイ
(72)【発明者】
【氏名】コーレン,アレクサンデル フランシスキュス
(72)【発明者】
【氏名】デラディ,サボルチ
(72)【発明者】
【氏名】ハルクス,ホデフリデュス アントニユス
【審査官】 冨永 昌彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−119250(JP,A)
【文献】 特開昭58−180138(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 8/00 − 8/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
周期的に動く物体を画像化するためのイメージングシステムであって、
− 異なる時に亘って前記物体の超音波信号を提供するための超音波信号提供ユニットと、
− 前記異なる時での前記物体の周期的な動きの運動位相を示す位相信号を提供するための位相信号提供ユニットと、
− 前記提供される位相信号に基づき前記超音波信号を前記運動位相に割り当てるための割当ユニットと、
− 前記異なる運動位相のために幾つかの超音波イメージを生成するための超音波イメージ生成ユニットと、
− ディスプレイユニットを制御するためのディスプレイ制御ユニットとを含み、
運動位相のための超音波イメージは、前記夫々の運動位相に割り当てられる前記超音波信号に基づき生成され、
前記ディスプレイ制御ユニットは、前記生成される超音波イメージが、前記物体の前記周期的な動きを示すために前記ディスプレイユニット上に時間的に連続的に表示されるように構成され、
前記超音波信号提供ユニットは、前記超音波信号としてAラインを連続的に提供するように構成され、前記超音波イメージ生成ユニットは、前記超音波イメージとしてMモードイメージを生成し、前記夫々の運動位相に割り当てられる実際に提供されるAラインを前記夫々のMモードイメージに付加することによって前記異なる運動位相のために生成される前記Mモードイメージを更新するように構成され、前記ディスプレイ制御ユニットは、前記物体の更新された周期的な動きを示すために前記更新されたMモードイメージを時間的に連続的に表示するよう前記ディスプレイユニットを制御するように構成される、
イメージングシステム。
【請求項2】
前記ディスプレイ制御ユニットは、前記提供される位相信号から前記生成される超音波イメージを表示する繰返し率を決定するように構成され、前記生成される超音波イメージを前記決定される繰返し率で時間的に連続的に表示するよう、前記ディスプレイユニットを制御するように構成される、請求項1に記載のイメージングシステム。
【請求項3】
前記ディスプレイ制御ユニットは、前記提供される位相信号から前記物体の前記周期的な動きの運動速度を決定し、該運動速度に依存して前記繰返し率を決定するように構成される、請求項2に記載のイメージングシステム。
【請求項4】
前記割当ユニットは、前記運動位相が前記位相信号に依存して異なる継続時間を有するよう、運動期間を前記運動位相に細分するように構成される、請求項1に記載のイメージングシステム。
【請求項5】
請求項4に記載のイメージングシステムであって、
− 前記超音波信号提供ユニットは、前記超音波信号としてAラインを提供するように構成され、
− 前記割当ユニットは、前記提供される位相信号に基づき、前記Aラインを前記運動位相に割り当てるように構成され、
− 前記超音波イメージ生成ユニットは、前記夫々の割り当てられるAラインに基づき、前記超音波イメージとして異なる運動位相のためのMモードイメージを生成するように構成され、
少なくとも1つの運動位相のAラインの幅は、異なる運動位相のために、前記夫々のMモードイメージを生成するために用いられる前記Aラインの幅が類似するように変更される、
イメージングシステム。
【請求項6】
前記割当ユニットは、前の運動期間のために提供される前記位相信号に基づき、前記物体の運動期間の前記超音波信号を前記運動位相に割り当てるように構成される、請求項1に記載のイメージングシステム。
【請求項7】
前記割当ユニットは、前記夫々の運動期間の完了後、前記夫々の運動期間の前記位相信号に基づき、前の運動期間のための前記位相信号に基づき前記運動位相に割り当てられた前記物体の夫々の運動期間の前記超音波信号を再割当てするように構成され、前記超音波イメージ生成ユニットは、前記再割当てされる超音波信号に基づき前記超音波イメージを生成するように構成され、前記ディスプレイ制御ユニットは、前記生成される超音波イメージを表示するよう前記ディスプレイユニットを制御するように構成される、請求項6に記載のイメージングシステム。
【請求項8】
前記位相信号提供ユニットは、前記物体の異なる種類の周期的な動きの運動位相を示す幾つかの位相信号を提供するように構成され、前記割当ユニットは、前記提供される幾つかの位相信号に基づき、前記超音波信号を前記異なる種類の周期的な動きの運動位相の組み合わせに割り当てるように構成され、前記超音波イメージ生成ユニットは、前記異なる組み合わせのために幾つかの超音波イメージを生成するように構成され、ある組み合わせのための超音波イメージは、前記夫々の組み合わせに割り当てられる前記超音波イメージに基づき生成される、請求項1に記載のイメージングシステム。
【請求項9】
前記画像化される物体は、生物のある領域であり、前記位相信号提供ユニットは、心臓運動を示す心臓運動信号及び呼吸運動を示す呼吸運動信号のうちの少なくとも1つを前記位相信号として提供するように構成される、請求項1に記載のイメージングシステム。
【請求項10】
前記画像化される物体は、生物のある領域であり、前記位相信号提供ユニットは、心房運動を示す心房運動信号及び心室運動を示す心室運動信号のうちの少なくとも1つを前記位相信号として提供するように構成される、請求項1に記載のイメージングシステム。
【請求項11】
前記位相信号提供ユニットは、前記超音波信号から前記位相信号を決定し、該決定される位相信号を提供するように構成される、請求項1に記載のイメージングシステム。
【請求項12】
周期的に動く物体を画像化するためのイメージング方法であって、
− 超音波信号提供ユニットによって、異なる時に亘って前記物体の超音波信号を提供すること、
− 位相信号提供ユニットによって、前記異なる時に前記物体の周期的な動きの運動位相を示す位相信号を提供すること、
− 割当ユニットによって、前記提供される位相信号に基づき前記運動位相に前記超音波信号を割り当てること、
− 超音波イメージ生成ユニットによって、前記異なる運動位相のために幾つかの超音波イメージを生成すること、及び
− ディスプレイ制御ユニットによって、ディスプレイユニットを制御することを含み、
運動位相のための超音波イメージは、夫々の運動位相に割り当てられる前記超音波信号に基づき生成され、
前記ディスプレイ制御ユニットは、前記生成される超音波イメージが、前記物体の前記周期的な動きを示すために前記ディスプレイユニット上に時間的に連続的に表示されるように構成さ
前記超音波信号提供ユニットは、前記超音波信号としてAラインを連続的に提供するように構成され、前記超音波イメージ生成ユニットは、前記超音波イメージとしてMモードイメージを生成し、前記夫々の運動位相に割り当てられる実際に提供されるAラインを前記夫々のMモードイメージに付加することによって前記異なる運動位相のために生成される前記Mモードイメージが更新され、前記ディスプレイ制御ユニットは、前記物体の更新された周期的な動きを示すために前記更新されたMモードイメージを時間的に連続的に表示するよう前記ディスプレイユニットを制御するように構成される、
イメージング方法。
【請求項13】
周期的に動く物体を画像化するためのコンピュータプログラムであって、
当該コンピュータプログラムが請求項1に記載のイメージング装置を制御するコンピュータの上で作動させられるときに前記イメージング装置に請求項12に記載のイメージング方法を実施させるためのプログラムコード手段を含む、
コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、周期的に動く物体を画像化するためのイメージングシステム、イメージング方法、及びイメージングコンピュータプログラムとに関する。
【背景技術】
【0002】
US2012/004547A1は、アブレーション手続き(焼灼手続き)を監視するためのモニタリング装置を開示している。医者が心臓組織のMモードイメージに基づきアブレーション手続きを制御し得るよう、モニタリング装置はアブレーション手続き中に心臓組織のMモードイメージを提供するための超音波イメージ提供ユニットを含む。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、周期的な動きにも拘わらず、例えば、視覚化に基づく改良された品質でアブレーション手続きを制御し得るような、代替的な方法において物体の超音波データを視覚化する、周期的に動く物体を画像化するためのイメージングシステム、イメージング方法、及びイメージングコンピュータプログラムを提供するである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の第1の特徴において、周期的に動く物体を画像化するためのイメージングシステムが提示され、イメージングシステムは、
− 異なる時に亘って物体の超音波信号を提供するための超音波信号提供ユニットと、
− 異なる時での物体の周期的な動きの運動位相を示す位相信号を提供するための位相信号提供ユニットと、
− 提供される位相信号に基づき超音波信号を運動位相に割り当てるための割当ユニットと、
− 異なる運動位相のために幾つかの超音波イメージを生成するための超音波イメージ生成ユニットと、
− ディスプレイユニットを制御するためのディスプレイ制御ユニットとを含み、
運動位相のための超音波イメージは、夫々の運動位相に割り当てられる超音波信号に基づき生成され、
ディスプレイ制御ユニットは、生成される超音波イメージが、物体の周期的な動きを示すためにディスプレイユニット上に時間的に連続的に表示されるように構成され、
超音波信号提供ユニットは、超音波信号としてAラインを連続的に提供するように構成され、超音波イメージ生成ユニットは、超音波イメージとしてMモードイメージを生成し、夫々の運動位相に割り当てられる実際に提供されるAラインを夫々のMモードイメージに付加することによって異なる運動位相のために生成されるMモードイメージを更新するように構成され、ディスプレイ制御ユニットは、物体の更新された周期的な動きを示すために更新されたMモードイメージを時間的に連続的に表示するよう前記ディスプレイユニットを制御するように構成される
【0005】
超音波イメージ生成ユニットは夫々の運動位相に割り当てられる超音波信号に基づき運動位相のための超音波イメージを生成し、これらの超音波イメージはディスプレイユニット上に時間的に連続的に表示されるので、従来的な静止的な超音波イメージの代わりに、具体的には、従来的な静止的なMモードイメージの代わりに、周期的に動く物体の動画のようなイメージを示すことができる。物体のこの動画のようなイメージは、医者のような使用者が、使用者が焼灼するかもしれない組織壁の厚さのような物体の特性を確実に決定するのを可能にする。ひいては、これは、使用者が超音波データに基づき物体に対するエネルギの適用、具体的には、組織壁のアブレーション(焼灼)を制御する品質を向上させることを可能にする。
【0006】
超音波信号提供ユニットは、物体のAラインを超音波信号として提供するように構成される。超音波信号提供ユニットは、Aラインに対してエンベロープ(envelope)検出手続きを適用し、結果として得られるAラインエンベロープを超音波信号として提供するよう更に優先的に構成される。具体的には、超音波イメージ生成ユニットは、異なる運動位相のために幾つかのMモードイメージを生成するように構成され、運動位相のためのMモードイメージが、夫々の運動位相に割り当てられるAライン、具体的には、Aラインエンベロープから生成される。異なる運動位相のために生成される幾つかのMモードイメージを心電図同期(gated)Mモードイメージと考え得る。
【0007】
音波信号は時間的に連続的に提供され、実際の超音波信号が提供されるならば、実際の超音波信号を対応する運動位相に割り当て、次に、実際の超音波信号が割り当てられる運動位相に対応する超音波イメージを更新するために、実際の超音波信号を用い得る。音波信号Aラインであり、生成される超音波イメージが心電図同期イメージであるので、夫々の実際のAラインを運動位相に割り当て、実際のAラインが割り当てられる運動位相に対応する心電図同期Mモードイメージに実際のAラインを付加し得る。
【0008】
超音波信号提供ユニットは、具体的には、Aラインを測定するために、異なる時に亘って、物体の超音波信号を測定するための超音波信号測定ユニットであり得る。よって、超音波信号提供ユニットは、超音波パルスを物体に及び物体内に送信するために並びに物体が超音波パルスを反射した後に一連の動的なエコーを受け取るために、1つ又は幾つかの超音波トランスデューサを含み得る。次に、受け取られる一連の動的なエコーに依存して、超音波信号、具体的には、夫々のAラインが生成される。物体は、優先的には組織であり、特に心臓組織であり、超音波パルスは心臓組織内に送信され、生成される超音波信号が異なる深さにおける心臓組織の特性を示すよう、一連の動的なエコーが心臓組織から受け取られる。
【0009】
超音波信号提供ユニットは、前もって測定した超音波信号を記憶させる記憶ユニットであり得るし、或いは、超音波信号提供ユニットは、超音波信号を受信するための並びに受信される超音波信号を提供するための受信ユニットであり得る。
【0010】
位相信号提供ユニットは、超音波信号を測定する異なる時での物体の周期的な動きの運動位相を示す位相信号を測定するための位相信号測定ユニットであり得る。しかしながら、位相信号提供ユニットは、測定した位相信号を前もって記憶させる記憶ユニット、又は測定した位相信号を受信するための並びに受信した位相信号を提供するための受信ユニットであってもよい。
【0011】
従って、イメージングシステムは、超音波信号及び/又は位相信号を測定するための測定コンポーネントを含み得るし、或いは、イメージングシステムは、測定コンポーネントを含まないコンピュータシステムであり得る。後者の場合、超音波信号提供ユニット及び位相信号提供ユニットは、それぞれ、コンピュータシステムの記憶ユニット又は受信ユニットである。
【0012】
ディスプレイ制御ユニットは、提供される位相信号から生成される超音波イメージを表示することの繰返し率を決定し、生成される超音波イメージを決定される繰返し率で時間的に連続的に表示するようディスプレイユニットを制御するように優先的に構成される。繰返し率は、同じ運動位相の超音波イメージがある時間間隔内でどれぐらい頻繁に表示されるかを定める。ある時間間隔内に示されるイメージの総数として定め得る結果としてフレームレートは、超音波イメージを生成する運動位相の数で乗算した繰返し率によって定められる。
【0013】
好適実施態様において、ディスプレイ制御ユニットは、提供される位相信号から物体の周期的な動きの運動速度を決定し、その運動速度に依存して繰返し率を決定するように構成される。例えば、繰返し率は、運動測度、具体的には、最終の運動速度と等しくあり得るし、或いは、周期的な動きの幾つかの運動期間に亘って決定される幾つかの運動速度の平均であり得る。よって、フレームレートは、N連続超音波イメージが、その運動期間がN運動位相に細分されるならば、その運動の1つのサイクル期間と等しいある時間期間T内に示されるようであり得る。繰返し率は運動速度に優先的に依存するので、それは運動速度の可能な変動に依存して異なり得る。例えば、運動速度が増大するならば、繰返し率も増大し、運動速度が減少するならば、繰返し率も減少する。運動速度は、例えば、心拍速度又は呼吸速度である。
【0014】
イメージングシステムが、超音波信号を連続的に提供し、超音波信号を運動位相に割り当て、超音波イメージを生成し、生成される超音波イメージを表示するように構成され、超音波イメージ生成ユニットが、初期的な超音波イメージの生成後、実際に提供される超音波信号に基づき超音波画像を更新し、ディスプレイ制御ユニットが、物体の更新された周期的な動きを示すために、更新された超音波イメージを時間的に連続的に表示するようディスプレイユニットを制御するように構成されるのが好ましい。具体的には、超音波信号提供ユニットは、Aラインを超音波信号として連続的に提供するように構成され、イメージ生成ユニットは、超音波イメージとして心電図同期Mモードイメージを生成するように構成され、初期的なMモードイメージの生成後、心電図同期Mモードイメージは、実際に提供されるAラインを付加することによって更新され、ディスプレイ制御ユニットは、物体の更新された周期的な動きを示すために更新された心電図同期Mモードイメージを時間的に連続的に表示するようディスプレイユニットを制御するように構成される。従って、物体の図示する動画のようなイメージは、超音波によって感知されるような物体の実際の特性を考慮し得る、即ち、図示の動画のようなイメージを実際に提供される超音波信号、具体的には、実際に提供されるAラインに従って連続的に変更し得る。
【0015】
運動位相が位相信号に依存して異なる継続時間(duration)を有するように、運動期間を運動位相に細分するよう割当ユニットを構成し得る。よって、図示の動画のようなイメージの品質が更に改良させられるように、運動位相の継続時間を物体の夫々の運動に適合させ得る。例えば、物体の動きがより小さい運動位相は、物体の動きがより大きい他の運動位相の継続時間よりも大きい継続時間を有し得る。具体的には、位相信号が心臓運動信号であるならば、心筋が静止しているときに心拡張期を含む運動位相の継続時間が心収縮期を含む運動位相の継続時間よりも大きいように、割当ユニットを構成し得る。
【0016】
ある実施態様において、超音波信号提供ユニットは、超音波信号としてAラインを提供するように構成され、割当ユニットは、提供される位相信号に基づきAラインを運動位相に割り当てるように構成され、超音波イメージ生成ユニットは、夫々の割り当てられるAラインに基づき超音波イメージとして異なる運動位相のためのMモードイメージを生成するように構成され、少なくとも1つの運動位相のAラインの幅は、異なる運動位相のために、夫々のMモードイメージを生成するために用いられるAラインの幅が類似であるように変更される。よって、他の運動位相に属する一群のAライン大きさを整合させるために、特定の運動位相に属する一群のAラインを再縮尺するよう、超音波イメージ生成ユニットを構成し得るので、全ての運動位相は心電図同期Mモードイメージ内に同じ量の付加データを生成することになる。そのような大きさ調整は、物体の周期的な動きを示すために心電図同期Mモードイメージがディスプレイの上に時間的に連続的に表示されるならば、異なる大きさの心電図同期Mモードイメージによって引き起こされる示される動きのちらつき(flickering)を防止し得るよう、異なる心電図同期Mモードイメージが同じ大きさを有することを保証する。
【0017】
ある実施態様において、割当ユニットは、夫々の運動期間が終了した後に、超音波信号を夫々の運動期間の運動位相に割り当てるように構成される。夫々の運動期間の終了後、夫々の運動期間の継続時間は既知であるので、夫々の運動期間を運動位相に細分することによって、異なる運動位相を正確に決定し得る。相応して、運動位相への超音波信号の割当ては極めて正確であり、それにより、最終的に示される物体の動的イメージの品質の更なる改良をもたらす。
【0018】
更なる実施態様において、割当ユニットは、前の運動期間のために提供される位相信号に基づき物体の運動期間の超音波信号を運動位相に割り当てるように構成される。よって、実際の運動期間の終了前に、超音波信号を運動位相に割り当て得る。超音波イメージ生成ユニットが、最後に提供された超音波信号を含む異なる運動位相のために、実際の超音波イメージを極めて短い待ち時間で生成し得るよう、これは極めて低い待ち時間で運動位相に超音波信号を割り当てることを可能にする。例えば、時間的に連続的なAラインを超音波信号として提供することができ、運動位相への前の運動期間の細分に基づき実際の提供されるAラインを運動位相に割り当てることができ、実際のAラインを割り当てる運動位相に対応する心電図同期Mモードイメージに実際のAラインを付加し得る。
【0019】
夫々の運動期間の終了後、夫々の運動期間の位相信号に基づき、前の運動期間のための位相信号に基づき割り当てられた、物体の夫々の運動期間の超音波信号を再割当てするよう割当ユニットを構成することができ、超音波イメージ生成ユニットは、再割当てされる超音波信号に基づき超音波イメージを生成するように構成され、ディスプレイ制御ユニットは、生成される超音波イメージを表示するようディスプレイユニットを制御するように構成される。従って、夫々の運動期間の終了後、前の運動期間に基づく運動位相への超音波信号の初期的な近似的な割当てを矯正することができ、それにより、運動位相への超音波信号の正確な割当て、よって、物体の高品質の動的イメージをもたらし、実際に取得される最終の超音波信号を依然として極めて低い待ち時間で示し得る。
【0020】
物体の異なる種類の周期的な動きの運動位相を示す幾つかの位相信号を提供するよう位相信号提供ユニットを構成することができ、提供される幾つかの位相信号に基づき異なる種類の周期的な動きの運動位相の組み合わせに超音波信号を割り当てるよう割当ユニットを構成することができ、超音波イメージ生成ユニットは、異なる組み合わせのために幾つかの超音波イメージを生成するように構成され、ある組み合わせのための超音波イメージが夫々の組み合わせに割り当てられる超音波信号に基づき生成される。物体の異なる種類の周期的な動きの運動位相の異なる組み合わせは時間的に連続的に起こり、ディスプレイ制御ユニットは、生成される超音波イメージが夫々の組み合わせによって定められる時間的シーケンスに従ってディスプレイユニット上に時間的に連続的に表示されるようディスプレイユニットを制御するように構成される。これは単一の種類の周期的な動きを考慮するのみならず幾つかの種類の周期的な動きも考慮する物体の動的イメージを示すことを可能にし、それは周期的に動く物体の更なる改良された視覚化をもたらし得る。
【0021】
好適実施態様において、画像化される物体は、組織壁のような生物のある領域であり、位相信号提供ユニットは、心臓運動を示す心臓運動信号及び呼吸運動を示す呼吸運動信号のうちの少なくとも1つを位相信号として提供するように構成される。心房運動を示す心房運動信号及び心室運動を示す心室運動信号のうちの少なくとも1つを位相信号として提供するようにも位相信号提供ユニットを構成し得る。
【0022】
心臓運動信号は、例えば、生物の胸に取り付けられる心電図表面リード線からの心電図信号であり得る。代替的に又は追加的に、超音波信号提供ユニットをカテーテル内に、具体的には、カテーテルの先端内に統合することができ、心臓信号を測定するための電極もカテーテル内に、具体的には、カテーテル先端内に統合し得る。位相信号提供ユニットは、指又は耳朶にクリップ留めし得るパルス酸素濃度計でもあってもよく、パルス酸素濃度計は心臓信号をもたらす。呼吸信号は、例えば、気管挿管装置によって生成される空気流信号であり得る。心電図電極を介して測定し得る生体インピーダンス信号からも呼吸信号を生成し得る。
【0023】
超音波信号から位相信号を決定し且つ決定される位相信号を提供するようにも位相信号提供ユニットを構成し得る。具体的には、例えば、横方向における、即ち、Aラインエンベロープによって形成されるMモードイメージの時間軸の方向におけるフーリエ解析又は相関解析を用いることによって、トリガ信号とも考え得る位相信号をAラインエンベロープから取り出し得る。よって、心電計のような更なる測定装置を必ずしも必要とせずに位相信号を決定することができ、それはイメージングシステムの取扱いを単純化し得る。
【0024】
イメージングシステムは、感知プローブを優先的に含み、超音波信号提供ユニット及び物体にエネルギを提供するためのエネルギ適用ユニットを感知プローブ内に統合し得る。感知プローブは、優先的にはカテーテルであり、カテーテルには、超音波信号提供ユニットの少なくとも一部、例えば、1つ又は幾つかの超音波トランスデューサ、及びエネルギ適用ユニットの少なくとも一部、例えば、アブレーション電極が統合される。よって、エネルギを物体に適用するために、具体的には、心臓アブレーション手続きを遂行するために、並びに超音波を用いることによってエネルギの適用をモニタリングするために用い得る、単一の感知プローブを提供し得る。
【0025】
本発明の更なる特徴において、周期的に動く物体を画像化するためのイメージング方法が提示され、イメージング方法は、
− 超音波信号提供ユニットによって、異なる時に亘って物体の超音波信号を提供すること、
− 位相信号提供ユニットによって、異なる時に前記物体の周期的な動きの運動位相を示す位相信号を提供すること、
− 割当ユニットによって、提供される位相信号に基づき運動位相に超音波信号を割り当てること、
− 超音波イメージ生成ユニットによって、異なる運動位相のために幾つかの超音波イメージを生成すること、及び
− ディスプレイ制御ユニットによって、ディスプレイユニットを制御することを含み、
運動位相のための超音波イメージは、夫々の運動位相に割り当てられる超音波信号に基づき生成され、
ディスプレイ制御ユニットは、生成される超音波イメージが、物体の周期的な動きを示すためにディスプレイユニット上に時間的に連続的に表示されるように構成され、
超音波信号提供ユニットは、超音波信号としてAラインを連続的に提供するように構成され、超音波イメージ生成ユニットは、超音波イメージとしてMモードイメージを生成し、夫々の運動位相に割り当てられる実際に提供されるAラインを夫々のMモードイメージに付加することによって異なる運動位相のために生成されるMモードイメージが更新され、ディスプレイ制御ユニットは、物体の更新された周期的な動きを示すために更新されたMモードイメージを時間的に連続的に表示するようディスプレイユニットを制御するように構成される
【0026】
本発明の更なる特徴において、周期的に動く物体を画像化するためのコンピュータプログラムが提示され、コンピュータプログラムは、当該プログラムプログラムがイメージング装置を制御するコンピュータの上で作動させられるときに請求項1に記載のイメージング装置に請求項12に記載のイメージング方法を実施させるためのプログラムコード手段を含む。
【0027】
請求項1のイメージングシステム、請求項12のイメージング方法、及び請求項13のコンピュータプログラムは、特に従属項に定められるような、類似の及び/又は同一の好適実施態様を有することが理解されなければならない。
【0028】
本発明の好適実施態様は、夫々の独立項と従属の任意の組み合わせであり得ることも理解されなければならない。
【0029】
本発明のこれらの及び他の特徴は、以下に記載する実施態様を参照して明確に解明されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】周期的に動く物体を画像化するためのイメージングシステムの例示的な実施態様を示す概略図である。
図2】イメージングシステムのカテーテルの先端の実施態様を例示的に示す概略図である。
図3】イメージングシステムによって提供されるAライン及びAラインエンベロープを例示的に示す概略図である。
図4】運動位相へのAラインの割当てを例示するための心電図非同期Mモードイメージ及び心臓位相信号を例示的に示す概略図である。
図5】超音波イメージデータに基づく運動期間の決定を例示するために心電図非同期Mモードイメージを例示的に示す概略図である。
図6】心電図同期Mモードイメージの生成を例示的に示すフローチャートである。
図7】周期的な心臓の動き及び呼吸の動きによって引き起こされる超音波イメージングの異なる種類の外乱を示す概略図である。
図8】周期的な心臓の動き及び呼吸の動きによって引き起こされる超音波イメージングの異なる種類の外乱を示す概略図である。
図9】周期的な心臓の動き及び呼吸の動きによって引き起こされる超音波イメージングの異なる種類の外乱を示す概略図である。
図10】周期的な心臓の動き及び呼吸の動きによって引き起こされる超音波イメージングの異なる種類の外乱を示す概略図である。
図11】心電図同期イメージを生成するプロセスを説明図である。
図12】周期的に動く物体を画像化するためのイメージング方法の実施態様を例示的に示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図1は、周期的に動く物体を画像化するためのイメージングシステム1を概略的に且つ例示的に示している。この実施態様において、周期的に動く物体は、テーブル3の上に横たわる人2の心臓4の組織壁である。イメージングシステム1は、カテーテル先端6を備えるカテーテル5を含み、図2は、カテーテル先端6をより詳細に示している。
【0032】
カテーテル先端6は、超音波トランスデューサ13を含み、超音波トランスデューサ13は、絶縁ワイヤのような電気接続15を介して、超音波トランスデューサ13を制御する超音波制御ユニット16に接続される。超音波トランスデューサ13及び超音波制御ユニット16は、異なる時に亘って組織壁24の超音波信号を提供する超音波信号提供ユニットを形成する。具体的には、超音波トランスデューサ13及び超音波制御ユニット16は、超音波パルスを組織壁24内に送信し、超音波パルスが組織壁24によって反射させられた後のエコー系列を受信し、受信するエコー系列に依存してAライン(A-line)を生成するように構成される。従って、超音波信号供給ユニット13,16は、異なる時に亘って組織壁24の超音波信号を提供するために、時間的に連続的にAラインを獲得する。即ち、各Aラインに、夫々の超音波パラスが超音波信号供給ユニット13,16によって送信され且つ受信される時間である時間を割り当て得る。
【0033】
超音波信号供給ユニット13,16を超音波送信モードにおいて並びに超音波受信モードにおいて優先的に動作させ得る。超音波送信モードにおいて、超音波制御ユニット16は電気パルスを超音波トランスデューサ13に提供し、超音波トランスデューサ13は圧電変換器であり、電気パルスを高周波数音波、即ち、超音波に変換し、超音波は組織壁24を通じて伝搬し、組織壁24が不均質な場所で反射させられ且つ/或いは散乱させられる。超音波受信モードにおいて、組織壁24から反射させられ且つ/或いは散乱させられる高周波数音波は同じ圧電変換器を用いて捕捉され、圧電変換器はそれを電気信号に変換し、電気信号は超音波制御ユニット16に送信される。他の実施態様では、カテーテル先端6も超音波トランスデューサを含み得る。全ての超音波トランスデューサは、超音波を組織壁内に送信するように構成され得るし、組織壁から反射させられ且つ/或いは散乱させられる超音波を受信するように構成され得る。或いは、超音波トランスデューサの少なくとも1つが超音波を組織へ機内に送信するように構成され、少なくとも1つの他の超音波トランスデューサが反射させられ且つ/或いは散乱させられる超音波を受信するように構成される。
【0034】
Aラインは、ノイズ及び外乱を除去するよう、超音波制御ユニット16によって優先的に事前フィルタリングされ、それにより、送信される超音波パルス毎に事前フィルタリングされたAラインを提供する。結果として得られるAライン25を図3に概略的且つ例示的に示す。図3では、任意的ユニットにおける振幅Aを任意的ユニットにおける時間tに依存して示す。
【0035】
超音波信号提供ユニット13,16、即ち、具体的には、超音波制御ユニット16は、更に、Aラインに対してエンベロープ(envelope)検出手続きを適用するように構成され、結果として得られるAラインエンベロープを超音波信号として提供するように構成される。エンベロープ検出手続きはDCを含まないAラインを非負振幅信号に変換し、非負の振幅信号は非負の強度又はコントラスト信号とも考えられ得る。そのようなAラインエンベロープ26を図3に概略的且つ例示的に示す。視覚化を向上させるためのコントラスト強化手続きのような更なる事後処理手続きをAラインに適用するよう超音波制御ユニット16を構成し得る。
【0036】
イメージングシステム1は、異なる時間での組織壁24の周期的な動きの運動位相(motion phase)を示す位相信号(phase signal)を提供するための位相信号提供ユニット17,36,37を更に含む。この実施態様において、位相信号提供ユニットは、人の胸に取り付けられる電極36を介して並びに絶縁電気ワイヤのような電気接続37を介して心電図信号を測定する心電図測定ユニット17を含み、測定される心電図信号は位相信号として提供される。
【0037】
イメージングシステム1は、提供される位相信号に基づき超音波信号を運動位相に割り当てるための割当ユニット18を更に含む。具体的には、決定される運動期間TをN運動位相に細分することができ、夫々の運動位相を各Aラインエンベロープに割り当て得る。拍期間(ビート期間)、即ち、例えば、ここに参照として援用する、V. Afonso et al.による”ECG beat detection using filter banks” IEEE Transactions on Biomedical Engineering, Volume 46, number 2, pages1 92-202 (1999)という論文に記載されるような、運動期間Tを決定するよう、割当ユニット18を構成し得る。具体的には、心電図信号の2つの続いて起こるRピークの間の期間によって或いは心拍周期中に一回起こる任意の他の2つの続いて起こるピークによって、心拍周期、即ち、運動期間Tを定め得る。図4に概略的に及び例示的に示すように、決定される心拍周期、即ち、運動期間TをN運動位相に細分し得る。
【0038】
図4において、上方部分は、Mモードイメージ42を形成するAラインエンベロープを時間的に連続的に示し、下方部分は、この実施例では心電図信号40である、提供される位相信号を示している。心電図信号40のRピークは、十字記号41によって示されている。1つの運動期間Tのために、N位相への細分が示されている。例えば参照番号43によって図5中に示される領域内の、全てのAラインエンベロープは、同じ運動位相、即ち、この実施態様では、第1の運動位相に割り当てられている。
【0039】
この実施態様において、位相信号提供ユニットは、人の胸に取り付けられる電極36を介して並びに電気接続37を介して位相信号としての心電図信号を測定するための心電図測定ユニット17を含むが、他の実施態様では、位相信号を他の方法においても提供し得る。例えば、カテーテル先端6の内側の電極から心臓トリガ信号を引き出すよう或いは人の指又は耳朶にクリップ嵌めし得る従来的なパルスオキシメータ検出器から心臓トリガ信号を引き出すよう位相信号提供ユニットを構成し得る。その上、代替的に或いは追加的に、呼吸トリガ信号を提供するよう位相信号供給ユニットを構成することができ、気管挿管装置によって生成される空気流からこの呼吸トリガ信号を引き出すことができる。心電図記録電極を介して測定される生体インピーダンス信号からも呼吸トリガ信号を抽出し得る。その上、他の生理学的モニタリング装置から、具体的には、遠隔の生理学的モニタリング装置から取られる、心臓トリガ信号及び/又は呼吸トリガ信号を提供するようにも、位相信号供給ユニットを構成し得る。獲得されるAラインから位相信号を決定し且つ決定される位相信号を提供するようにも、位相信号供給ユニットを構成し得る。
【0040】
獲得されるAラインから位相信号を決定するために、Mモードイメージを形成するよう生成される一連のAラインエンベロープを構成することができ、後続のMモードイメージコラムは後続のAラインエンベロープを含む。横方向において、即ち、位相信号を決定するためにAラインエンベロープによって形成されるMモードイメージの時間軸の方向において、フーリエ分析又は相関分析を適用するよう、位相信号提供ユニットを構成し得る。
【0041】
図5は、そのようなMモードイメージ34を概略的且つ例示的に示しており、横方向は、tによって示される時間の方向である。信号相関技法を用いることによって運動期間Tを見出すよう位相信号提供ユニットを構成し得る。Aラインサンプリング速度、即ち、1秒当たりのAラインの量に依存して、図5に示す一組の連続的なAラインエンベロープが、図5に長方形31,32,33によって示す他の時での幾つかの他の組の連続的なAラインと比較されている。長方形31は、一組の連続的なAラインエンベロープを定め、それは長方形30によって示される一組のAラインエンベロープと最も類似する。これらの2つの連続的なAラインエンベロープの間の時間の距離は、運動期間Tを定め、よって、トリガ信号、即ち、位相信号を定める。その比較は、整合エラー基準(match error criterion)、例えば、絶対差の合計に基づく。検索領域、即ち、予期される運動期間Tの範囲は、心臓運動及び/又は呼吸運動がそれぞれ考慮されるならば、典型的な心拍速度及び/又は典型的な呼吸速度によって優先的に定められる。典型的な心拍速度は、心房細動に関して毎分40〜140拍の範囲内又は毎分40〜300の範囲内にあり得る。決定される推定運動期間Tは、整合エラーを最小限化させる期間である。従って、ある時での推定運動期間Tは、Aラインエンベロープの2つの表示される組の最小整合エラーに優先的に対応する。期間Tを有する夫々の新しい運動周期の開始にだけ非ゼロであるようトリガ信号を選択し得る。
【0042】
位相信号提供ユニットが超音波信号からの位相信号を決定し、決定される位相信号を提供するように構成されるならば、電気生理学(EP)実験室内の異なるハードウェアシステム間の物理的な接続、例えば、心電図記録測定装置と心臓アブレーションモニタリング装置との間の物理的な接続を減少させ得る、具体的には、回避させ得る。
【0043】
イメージングシステム1は、異なる運動位相のために幾つかの超音波イメージを生成するための超音波イメージ生成ユニット19を更に含み、運動位相のための超音波イメージは、夫々の運動位相に割り当てられる超音波信号に基づき生成される。この実施態様において、超音波イメージ生成ユニット19は、各運動位相のためにMイメージを生成するように構成され、運動位相のためのMモードイメージが、夫々の運動位相に割り当てられるAラインエンベロープから生成される。幾つかのMモードイメージの生成を全ての心電図非同期(non-gated)Aラインエンベロープで構成される当初のMモードイメージからのN心電図同期(gated)超音波イメージの抽出と考えることができ、その抽出は心拍と同期する位相信号によって引き起こされる。他の実施態様では、追加的に或いは代替的に、位相信号は呼吸運動とも同期し得る。即ち、ある実施態様では、2つの位相信号を提供することができ、第1の位相信号は心臓の動きを示し、第2の位相信号は呼吸運動を示す。各心電図同期超音波イメージでは、運動周期の1つの特定の運動位相に属する数群の後続のAラインエンベロープが収集される。
【0044】
図6を参照して、Aラインエンベロープデータが生成される間の心電図同期Mモードイメージの生成を以下に例示的に記載する。
【0045】
超音波トランスデューサ13によって生成される生の超音波Aラインデータが収集され(52)、収集される生の超音波Aラインデータが生成されるフィルタリング済みAラインエンベロープデータのために処理される(50)。受信するトリガ信号(53)に基づき、Aラインエンベロープが異なる運動位相に割り当てられる(51)。次に、異なる運動位相に割り当てられるAラインエンベロープは、夫々の運動位相の夫々のMモードイメージに付加され(54)、それはN更新されたMモードイメージをもたらす(55)。よって、各運動位相のために、対応するAラインエンベロープが当初のMモードイメージから抽出され、以前の運動期間の同じ運動位相の以前に抽出されたAラインエンベロープの背後に配置される。このようにして、MモードイメージがN心電図同期イメージに細分され、各心電図同期イメージは、運動周期の1つの特定の運動位相に対応する。
【0046】
例えば、心臓速度の変動の故に、運動期間の間の継続時間中に異なり得る、フレーム内の、即ち、運動位相内の運動期間の正確な分割を、夫々の運動期間の終了後にのみ遂行し得るので、心電図同期超音波イメージの生成及び表示を比較的大きな待ち時間で遂行し得る。従って、データが到着する間に心電図同期イメージの生成を開始し得るよう、割当ユニット18は、以前の運動期間の継続時間に基づき運動期間を運動位相に分割するように優先的に構成され、割当ユニット18は、実際の運動期間の終了後の後続の運動期間の間の継続時間における潜在的な差の故の潜在的な誤りを補償/矯正し得る。次に、超音波イメージ生成ユニット19は、運動位相へのAラインの矯正された割当てに基づき、具体的には、矯正された割当てに基づき再び心電図同期超音波イメージを生成することによって、心電図同期超音波イメージを矯正するように優先的に構成される。以前の運動期間の継続時間に基づくAラインの、具体的には、Aラインエンベロープの予備的な割当ては、後続の矯正の故に短い持続期間の小さいアーチファクトを概ねもたらすに過ぎない。1つの運動期間に属する心電図同期イメージは順次的に並びに周期的な方法において表示されるので、僅かに不正確な運動期間を備える創成されたばかりの心電図同期イメージを、正しい運動期間を備える次の運動位相において再計算し得る。これは極めて低い待ち時間での心電図同期超音波イメージの生成及び表示を可能にする。
【0047】
各心電図同期Mモードイメージは、後続のMモードイメージコラムを含み、Mモードイメージコラムは、現時点の時間の瞬間まで後続のAラインエンベロープを含むのが好ましい。時間が進行すると、夫々の心電図同期Mモードイメージは右に伸び、1つのブラックイメージコラムを、夫々の心電図同期Mモードイメージの運動位相に割り当てられた新たに獲得されるAラインエンベロープと一度に置換する。ディスプレイの端に達した後、新しいAラインエンベロープが、夫々の心電図同期Mモードイメージの履歴から最も古く表示されたAラインエンベロープを置換する第1のディスプレイコラムの上に描かられる等する。ディスプレイの端に達するまでAラインエンベロープを夫々の心電図同期Mモードイメージに付加し、夫々の心電図同期Mモードイメージの次のAラインエンベロープが第1のディスプレイコラム上に描かれるこの手続きは、物体の周期的な動きを示すためにディスプレイユニット上に時間的に連続的に表示される心電図同期Mモードイメージの各々のために遂行される。
【0048】
図2を再び参照すると、カテーテル先端6は、エネルギ適用ユニット12を更に含み、この実施例において、エネルギ適用ユニット12は、エネルギを組織壁24に適用するためのRFアブレーション電極である。従って、カテーテル5は、超音波トランスデューサ13及びRFアブレーション電極12が統合された感知プローブを形成する。RFアブレーション電極12は、絶縁ワイヤのような電気接続部14を介してRF源22に接続される。
【0049】
イメージングシステム1は、モニタのようなディスプレイユニット21を制御するためのディスプレイ制御ユニット20を更に含む。ディスプレイ制御ユニット21は、組織壁24の周期的な動きを示すために生成される超音波イメージがディスプレイユニット20上に時間的に連続的に表示されるように構成される。結果として示される組織壁24の並びに同様にカテーテル先端6の動画のようなイメージは、使用者、特に、医者が、イメージングシステム1によって提供される動的なイメージの代わりに静的な心電図非同期Mモードイメージが用いられるならば正確に観察するのが困難である、組織壁の厚さ、貫壁性のレベル、もし存在するならば、ガス形成のレベル等のような、重要な特徴を監視するのを可能にする。従来的な静的な心電図非同期Mモードイメージに基づくこれらの特徴の不正確な観察は、図7乃至10を参照して以下に例示的に記載する超音波イメージング外乱に起因する。
【0050】
図7は、カテーテル5の先端6を2つの異なる位置において示しており、それらの位置は、カテーテル先端6が組織壁24の外周面と囲む2つの異なる角度α、αに対応する。組織壁24の周期的な運動の故に、カテーテル先端6は、組織壁24の外周面に対して異なる位置70,71の間で周期的に変化する。図7から明らかなように、2つの位置70,71に対応する組織壁24の2つの厚さd、dは等しくない。相応して、破線72によって図7に示す損傷形成が、カテーテル先端6の夫々の位置70,71に依存して「より深い」か或いは「余り深くない」ことも分かる。これらの効果は、既知の静的Mモードイメージ、即ち、異なる運動位相を考慮しない心電図非同期Mモードイメージでは、医者が極めて急速であり得る厚さ変動を解釈するのは困難であり、医者は厚さが実際にはdであるのにdであると判断し得るという事実をもたらす。よって、医者が既知の静的なMモードイメージに基づきアブレーション手続きを遂行するならば、医者は侵襲的過ぎるアブレーション体制を選択し得る。その上、医者が既知の静的なMモードイメージに基づくアブレーション手続きを監視するならば、医者は第1の貫壁点を見逃し、アブレーションが非効果的で長過ぎるようになり、それにより、隣接する組織を潜在的に損傷させ得る。
【0051】
図8は、超音波トランスデューサ13によってもたらされる超音波ビームに出入りし得る異なる組織構成素子73を示している。既知の静的なMモードイメージにおいて、組織構成素子73のこの出入り移動は、Mモードイメージを擾乱し、従って、損傷形成の可視性を減少させる。
【0052】
図9には、周期的な嚢、肺組織、又は脂肪層のような、第2の組織層74が、組織層24の背後に示されている。既知の静的なMモードイメージにおいて、第2の組織層74及び組織壁24は分離可能でない。何故ならば、組織壁24及び第2の組織層74の運動は、既知の心電図非同期Mモードイメージ内でこれらの2つの素子を混ぜるからである。例えば、図9に示す実施例において、距離dは距離dと等しく、Mモードイメージ中に暗領域として示されるdに沿う組織間隙は観察し難い。何故ならば、時間的に少し後に、カテーテル先端6がdに沿って位置付けられるときに、組織間隙は存在せず、Mモードイメージ内の対応する領域は明るく現れるからである。損傷進展を見るために例えば60秒の長い所要の時間期間をカバーする既知の静的なMモードイメージにおいて、個々のAラインは密接に描かれるので、dに沿う組織間隙を観察し得ない。よって、実際の組織層の厚さ、即ち、組織壁24の厚さはdであるが、医者はその厚さがdと等しいと信じ得る。
【0053】
図10には、心臓鼓動及び呼吸によって引き起こされる運動を矢印75,76によって示し、組織を局所的に収縮させることによって引き起こされる運動を矢印77,78によって示している。既知の静的なMモードイメージにおいて、心臓鼓動及び呼吸運動に起因するMモードイメージ中のコントラスト変動は、局所的な筋肉収縮に起因するコントラスト変動と干渉し得る。この干渉の故に、静的なMモードイメージ中に局所的な筋肉収縮を観察し得ないが、アブレーション前後のそれらの大きさの差は壊死のレベルの重要な表示、換言すれば、アブレーション手続きがどれぐらい巧く行ったかの重要な表示であり得る。
【0054】
イメージングシステム1は、視覚化、特に心臓アブレーションモニタリングのための視覚化をもたらし、それは既知の静的な、即ち、周期的に動く物体の心電図非同期Mモードイメージに関連する上述の問題を解決し、その場合、「周期的」という用語は、パターンが繰り返し現れ、パターン反復頻度は必ずしも一定である必要がないことを優先的に意味する。視覚化は、動的なMモード履歴を静的な心電図非同期イメージの代わりに一連の心臓同期イメージとして優先的に示す。一連の心電図同期イメージは、図7に従った厚さ変動及び損傷深さ、図8に従ったシーケンスにおける異なる時での異なる構造、図9に従った互いに移動し合う異なる組織構造、及び図10に従った心臓組織の局所的な収縮性を現し得る。具体的には、反復するサイクルとしてNイメージを示すことによって、Nイメージが図6に従って時間内に蓄積される間、使用者、具体的には、EP医者は、静的な心電図非同期の従来的なMイメージに比べて損傷形成のより一層はっきりした眺め(view)を有する。
【0055】
以下、図11を参照して、動的なイメージの生成を例示的に示す。
【0056】
肺運動期間でもあり得るが、この実施態様では心臓運動期間である、T秒の継続時間を備える第1の運動期間の後、超音波信号提供ユニット13,16は、その期間に属するAラインエンベロープ60を提供する。継続時間Tを備える運動期間はN運動位相に細分され、各運動位相はT/N秒の継続時間を有する。次に、割当ユニット18は、図11に素子61によって表示されるように、提供されたAラインエンベロープを異なる移動する位相に割り当てる。超音波イメージ生成ユニット19は、夫々の運動位相に割り当てられた提供されたAラインエンベロープを用いることによって、異なるN運動位相のためにN初期Mモードイメージ62を生成する。このようにして、第1の運動期間に属する提供されたAラインエンベロープはN心電図同期イメージに亘って分配され、後続のAライン、即ち、この実施態様では、T/N秒の時間期間に亘る後続のAラインエンベロープが、グループ化される。ディスプレイ制御ユニット20は、ディスプレイユニット21を制御するように構成される。これらのN初期心電図同期イメージが特定のビデオフレームレートを備える連続として示されている。次に、継続時間T秒の第2の運動期間の後に、第2の運動期間に属する更なるAラインエンベロープ63が提供され、図11に示される素子64によって表示されるように、N運動位相に割り当てられ、割り当てられたAラインエンベロープは、更新されたMモードイメージ65を生成するために、超音波イメージ生成ユニット19によって夫々の初期Mモードイメージに付加される。よって、各心電図同期イメージにおいて、前の繰返しからのAラインデータが新しいAラインデータと付加される。ディスプレイ制御ユニット20は、更新されたN心電図同期イメージを特定のビデオフレームレートを備える連続として示すようディスプレイユニット21を制御する。この時点で、第1の運動期間からのN心電図同期イメージがディスプレイユニット21の上に二度示される。このプロセスは各々の新しい運動周期のために反復される。
【0057】
所望のイメージフレームレート及び/又は夫々の心電図同期Mモードイメージの所望の方位分解能に依存して運動位相の数Nを選択することができ、より大きな値のNのために、心電図同期イメージフレームレートは比例的により高く、心電図同期イメージ方位分解能は比例的により少なく、より小さな値のNのために、心電図同期イメージフレームレートは比例的により小さく、心電図同期イメージ方位分解能は比例的により高い。イメージングシステム1は、所望の心電図同期イメージフレームレート又は所望の心電図同期イメージ方位分解能を直接的に又は間接的に設定することによって、使用者が所望の数Nの運動位相を設定するのを可能にするために、ユーザインターフェースを含み得る。
【0058】
イメージングシステム1は、超音波信号を連続的に提供し、超音波信号を運動位相に割り当て、超音波イメージを生成し、生成される超音波イメージを表示するように優先的に構成され、超音波イメージ生成ユニット19は、初期的な超音波イメージが生成された後に、実際に提供される超音波信号に基づき超音波イメージを更新するように構成され、ディスプレイ制御ユニット20は、物体24の更新された周期的な動きを示すために、更新された超音波イメージを時間的に連続的に表示するようディスプレイユニット21を制御するように構成される。具体的には、超音波信号提供ユニット13,16は、Aライン、具体的には、Aラインエンベロープを超音波信号として連続的に提供するように構成され、イメージ生成ユニット19は、Mモードイメージを超音波イメージとして生成するように構成され、初期Mモードが生成された後に、Mモードイメージは実際に提供されるAラインを付加することによって更新され、ディスプレイ制御ユニット20は、物体の更新された周期的な動きを示すために、ディスプレイユニット21が更新されたMモードイメージを時間的に連続的に表示するように構成される。
【0059】
ディスプレイ制御ユニット20は、提供された位相信号から生成された超音波イメージを表示することの繰返し率を決定するように構成され、生成された超音波イメージを決定される繰返し率で時間的に連続的に表示するようディスプレイユニット21を制御するように構成される。繰返し率は同じ運動位相の超音波イメージがある時間間隔内にどれぐらい頻繁に表示されるかを優先的に定める。ある時間間隔内に示されるイメージの総数として定め得る、結果として得られるフレームレートは、超音波イメージが生成される運動位相の数Nによって乗算される繰返し率によって定められる。この実施態様において、ディスプレイ制御ユニット20は、提供される位相信号から組織壁24の周期的な動きの運動速度を決定し、運動速度に依存して繰返し率を決定するように構成される。例えば、繰返し率は、運動速度、具体的には、最後の運動期間によって定められるような最後の運動速度と等しくあり得るし、或いは、繰返し率は、周期的な動きの幾つかの運動期間によって定められる幾つかの運動速度の平均であり得る。よって、ビデオフレームレートは、運動期間がN運動位相に細分されるならば、N連続超音波イメージが、運動の1つのサイクル期間と等しいある時間期間T内に示されるようなビデオフレームレートであり得る。繰返し率は、この実施態様では心拍速度である、運動速度に優先的に依存するので、それは運動速度の変化に依存して異なり得る。例えば、心拍速度が増大するならば、繰返し率も増大し得るし、心拍速度が減少するならば、繰返し率も減少し得る。
【0060】
よって、イメージングシステム1は、N連続心電図同期イメージが運動の1つのサイクル期間と等しい時間期間T内に示されるように選択されるよう提案される特定のビデオフレームレートで、周期的に動的な方法において信号履歴を示すように優先的に構成され、その場合には、最後に測定されるサイクル期間が優先的に用いられる。
【0061】
図11を参照して上述した実施態様において、割当ユニット18は運動期間を同じ継続時間を有する運動位相に細分するが、運動位相が位相信号に依存して異なる継続時間を有するよう運動期間を運動位相に細分するようにも、割当ユニット18を構成し得る。換言すれば、N心電図同期Mモードイメージは、異なる方位分解能を有し得る。具体的には、この実施態様において、心拍サイクルの特定の運動位相はより短く持続し、それは同じ心拍サイクルの他の運動位相よりも少ないAラインをもたらす。例えば、心筋が静止している心拡張期を含む運動位相の継続時間が、心収縮期を含む運動位相の継続時間よりも大きいように、割当ユニット18を構成し得る。
【0062】
ある実施態様において、超音波信号提供ユニット13,16は、Aラインを超音波信号として提供するように構成され、割当ユニット18は、提供される位相信号に基づきAラインを運動位相に割り当てるように構成され、イメージ生成ユニット19は、夫々の割り当てられるAラインに基づき異なる運動位相のためのMモードイメージを超音波イメージとして生成するように構成され、少なくとも1つの運動位相のAラインの幅は、異なる運動位相のために、夫々のMモードイメージを生成するために用いられるAラインの幅が類似するように変更させられる。よって、全ての運動位相が心電図同期Mモードイメージ内に同じ量の付加データを生成するに至るよう、他の運動位相に属する一群のAラインの大きさを整合させるために、特定の運動位相に属する一群のAラインを再縮尺するよう、イメージ生成ユニット19を構成し得る。物体の周期的な動きを示すために心電図同期Mモードイメージがディスプレイユニット21上に時間的に連続的に表示されるならば、異なる大きさの心電図同期Mモードイメージによって引き起こされる示される動作のちらつき(flickering)を防止し得るよう、そのような大きさ調整は、異なる心電図同期Mモードイメージが同じ大きさを有することを保証する。Aラインの幅を変更するために、双線形大きさ調整手続き(bi-linear resizing procedure)又は任意の他のイメージ縮尺方法(image scaling method)を用い得る。
【0063】
人2の中のカテーテル5の先端6の位置を検出するために位置検出システム7を用い得る。この実施態様において、位置検出システム7は、X線蛍光透視システム、具体的には、X線Cアームシステムである。X線蛍光透視システムは、テーブル3の上の人2を横断するX線9を生成するためのX線源8を含み、人2を横断するX線9は、X線検出器10によって検出される。X線蛍光透視システム7は、X線源8及びX線検出器10を制御するための蛍光透視制御ユニット11を更に含む。X線検出器10は、人2のX線イメージを生成し、それはディスプレイユニット21の上に表示される。X線イメージが人2の中のカテーテル5の先端6の位置を示すように、生成されるX線イメージ上でカテーテル5の先端6は人2の中で可視的である。他の実施態様では、人の中のカテーテル先端6の位置を検出するために、電磁センサ、超音波センサ等に基づく位置検出システムのような、他の位置検出システムを用い得る。
【0064】
イメージングシステム1は、カテーテル5、具体的には、カテーテル先端6が人2の中の所望の場所に操縦されるのを可能にするためのナビゲーションユニット23(操縦ユニット)を更に含む。使用者がカテーテルを完全に手動で或いは半自動的に操縦するのを可能にするよう、ナビゲーションユニット23を構成し得る。カテーテル5は、ナビゲーションユニット23によって制御し得る(図1には示されていない)内蔵案内手段を含む。カテーテル先端6を人2の中の所望の場所まで案内するために、例えば、操縦ワイヤの使用によって、カテーテル5を進行させ且つ操縦し得る。
【0065】
以下、図12に示すフローチャートを参照して、周期的に動く物体を画像化するためのイメージング方法の実施態様を例示的に記述する。
【0066】
ステップ101において、超音波信号提供ユニットによって異なる時に亘って物体の超音波信号を提供する。具体的には、超音波信号提供ユニットは、Aラインを取得し、ノイズを除去するためにAラインを事前フィルタリングし、Aラインエンベロープを超音波信号として生成するために事前フィルタリングしたAラインに対してエンベロープ検出アルゴリズムを適用する。ステップ102において、位相信号提供ユニットによって、異なる時での物体の周期的な動きの運動位相を示す位相信号を提供する。例えば、Aラインを提供する異なる時での物体の振動運動を示す心臓信号を位相信号として提供する。ステップ103において、割当ユニットによって、提供される位相信号に基づき、超音波信号を運動位相に割り当てる。優先的には、心臓信号に基づき、提供されるAラインエンベロープを異なる心臓位相に割り当てる。ステップ104において、超音波信号生成ユニットによって、異なる運動位相のために幾つかの超音波信号を生成し、夫々の運動位相に割り当てる超音波信号に基づき、運動位相のための超音波イメージを生成する。この特定の運動位相のためのMモードイメージを生成するために、例えば、特定の運動位相に割り当てるAラインエンベロープを用いる。よって、新しいAラインエンベロープを提供して特定の運動位相に割り当てるならば、このAラインエンベロープを夫々の運動位相の夫々のMモードイメージに付加し得る。ステップ105において、ディスプレイ制御ユニットによってディスプレイユニットを制御する。物体の周期的な動きを示すために生成される超音波イメージがディスプレイユニット上に時間的に連続的に表示されるように、その制御を遂行する。
【0067】
超音波信号、具体的には、Aライン、より具体的には、Aラインエンベロープを連続的に生成し、夫々の運動位相に割り当て、異なる運動位相のために生成する連続的に更新されるMモードイメージのためにMモードイメージに付加するよう、並びに、物体の実際に更新される周期的な動きを示すために連続的に更新されるMモードイメージをディスプレイユニットの上に時間的に連続的に表示するよう、ステップ101乃至105を連続的に遂行し得る。
【0068】
イメージングシステム及びイメージング方法は、運動歪みの問題を解決するためにMモードイメージを視覚化する代替的な方法を提供し、運動の周期的な性質を活用する。優先的には、Mモードイメージは心電図同期されて幾つかの心電図同期イメージをもたらし、各心電図同期イメージは運動周期の運動位相に対応し、これらの心電図同期イメージは、特に実時間において、運動シーケンスとして視覚化される。これは、医者のような使用者が、例えば、心臓組織−カテーテル相互作用を解釈するのを可能にし、局所的な壁厚、損傷形成、局所的な組織収縮性、及び組織−カテーテル相互作用/接触のような、関連する心壁パラメータを容易に知覚するのを可能にする。
【0069】
イメージングシステムは、優先的に、人の体の内側を超音波画像化するためにカテーテルの内側に取り付けられる超音波トランスデューサを含む。イメージングシステムは心臓アブレーションを監視するように優先的に構成され、それは特定の不整脈を治癒するために優先的に遂行される。従って、EP実験室内の医者が心壁の特定の関連するパラメータに内側から殆ど実時間においてアクセスすることを可能にするために、イメージングシステムは、その先端にアブレーション電極と超音波トランスデューサとを備えるカテーテルを優先的に含む。表示される運動シーケンスの目視検査によって、医者は心壁厚さを測定して最良のアブレーション体制を決定し得る、即ち、医者は、観察される心壁厚さに基づき、アブレーション電力、流体冷却の流速、及びアブレーション継続時間を設定し得る。その上、医者は焼灼しながら損傷形成を監視し、損傷が貫壁性になるときに、即ち、治療が心壁の裏側に達したときに、アブレーションを停止し得る。心臓組織の内側に蒸気ポケットが形成される場合には、組織破裂、即ち、所謂「ポップ」(“pop”)を防止するために、医者はこれをディスプレイユニットの上で見てアブレーションを停止し得る。
【0070】
一般的には、心壁の特定の特徴の視覚化のために、N心電図同期イメージのうちの1つを他のイメージとより良好に比較する。例えば、図7を参照して例示的に記載されるように、N心電図同期イメージのうちの1つが心臓の組織壁の最小の観察される壁厚と関連付けられる。よって、N心電図同期イメージのうちの1つは、一般的には、特定の特徴のために最適なものであり、同じシーケンスの他の心電図同期イメージは、他の特徴のために最適であり得る。イメージングシステムは、医者のような使用者が短い時間枠内に全ての特徴を見ることができるよう、N心電図同期イメージを繰返し現れる移動シーケンスとして視覚化する。よって、使用者は、組織壁の表示される動画のような周期的な動きに基づき、即ち、N心電図同期イメージの移動する視覚化に基づき、異なる特徴を同時に観察し得る。
【0071】
上述の実施態様において、位相信号提供ユニットは、具体的には心臓トリガ信号である単一の位相信号を提供するように優先的に構成されるが、位相信号提供ユニットは、物体の異なる種類の周期的な動きの運動位相を示す幾つかの位相信号を提供するようにも構成され得る。この場合には、提供される幾つかの位相信号に基づき超音波信号を異なる種類の周期的な動きの運動位相の組み合わせに割り当てるよう割当ユニットを構成することができ、異なる組み合わせのために幾つかの超音波イメージを生成するよう超音波イメージ生成ユニットを構成することができ、ある組み合わせのための超音波イメージは夫々の組み合わせに割り当てられる超音波信号に基づき生成される。例えば、第1のトリガ信号に従って心電図同期させられる1つの特定の心電図同期イメージを、他のトリガ信号に基づき、二重心電図同期イメージに再び細分し得る。具体的には、そのようなイメージ心電図同期のカスケードでは、第1に、心拍運動アーチファクトを除去することができ、第2に、呼吸運動アーチファクトを除去することができ、或いはその逆でもよい。
【0072】
上述の実施態様では、特定のトリガ信号を位相信号として記載したが、他の実施態様では、運動位相を決定するために、他の位相信号も提供し得る。例えば、心房運動を示す心房運動信号及び心室運動を示す心室運動信号の少なくとも1つを提供するよう位相信号提供ユニットを構成し得る。具体的には、心房が心室よりも高い頻度で収縮する心房細動の場合には、第1に、心房運動と同期する第1のトリガ信号を用いることによって心房運動アーチファクトを除去し、第2に、心室運動と同期する第2のトリガ信号を用いることによって心室運動アーチファクトを除去し得るし、或いはその逆でもあってもよい。その上、2つよりも多くの位相信号も提供し得る。例えば、心房鼓動トリガ信号、心室鼓動トリガ信号、及び呼吸運動トリガ信号のような、異なる適切なトリガ信号を用いた心電図同期の連続的な適用によって、三種類の運動アーチファクトを如何なる順序においても除去し得る。
【0073】
図2を参照する上述の実施態様において、カテーテル先端は単一の超音波トランスデューサのみを含むが、他の実施態様において、カテーテル先端は2つ又はそれよりも多くの超音波トランスデューサも含み得る。優先的に、異なる超音波トランスデューサは、ディスプレイユニットの上に移動するシーケンスにおいて示し得る、異なる組の心電図同期Mモードイメージを生成するために用い得る、異なるAラインを取得し得る、即ち、例えば、夫々の心電図同期Mモードイメージを時間的に連続的に表示することによって、各組の心電図同期Mモードイメージのために、周期的な動きの動画のようなイメージを示し得る。
【0074】
Aラインに関して上述した手続きをAラインエンベロープを用いても遂行し得るし、逆も同様である。
【0075】
上述の実施態様において、イメージングシステム及びイメージング方法は人の心臓の組織壁を画像化するように構成されるが、他の実施態様では、人の又は動物の他の周期的に動く組織構造のような或いは周期的に動く技術的な物体のような、他の周期的に動く物体を画像化するようにもイメージングシステム及びイメージング方法を構成し得る。
【0076】
請求項の発明を実施する当業者は、図面、本開示、及び付属の請求項の研究から、開示の実施態様の変形を理解し且つ行い得る。
【0077】
請求項において、「含む」という用語は、他の素子又はステップを排除せず、単数形は、複数形を排除しない。
【0078】
単一のユニット又は装置が請求項において引用する幾つかの品目の機能を充足し得る。特定の手段が相互に異なる従属項において引用されているという単なる事実は、これらの手段の組み合わせを有利に用い得ないことを示さない。
【0079】
1つ又は幾つかのユニット又は装置によって遂行される、運動位相を提供される超音波信号に割り当てるための割当て手続き、超音波信号に基づき超音波イメージを生成するための超音波イメージ生成手続き、生成される超音波イメージを時間的に連続的に表示するための表示手続き等のような手続きを、任意の他の数のユニット又は装置によって遂行し得る。例えば、単一のユニットによって或いは任意の他の数の異なるユニットによって、ステップ103乃至105を遂行し得る。イメージング方法に従ったイメージングシステムの手続き及び/又は制御を、コンピュータプログラムのプログラムコード手段として並びに/或いは専用ハードウェアとして実施し得る。
【0080】
他のハードウェアと一体に又はその一部として供給される光記憶媒体又はソリッドステート媒体のような適切な媒体にコンピュータプログラムを記憶/流通させ得るが、インターネット或いは他の有線又は無線通信システムを介してのような他の形態においても流通させ得る。
【0081】
請求項における如何なる参照符号も範囲を限定するものとして解釈されてはならない。
【0082】
本発明は周期的に動く物体を画像化するためのイメージングシステムに関する。割当ユニットが提供される位相信号に基づきAラインのような超音波信号を運動位相に割り当て、超音波イメージ生成ユニットが夫々の運動位相に割り当てられる超音波信号に基づき異なる運動位相のために心電図同期Mモードイメージのような幾つかの超音波イメージを生成する。超音波イメージは物体の周期的な動きを示すためにディスプレイユニット上に時間的に連続的に表示される。結果として得られる物体の動画のようなイメージは、医者のような使用者が、特にアブレーション手続きの間に、組織壁の厚さのような物体の特性をより確実に決定するのを可能にする。従って、イメージングシステムは心臓アブレーション手続きをモニタリングするのに特に有用である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12