【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の一実施例に係る高分子電解質膜は、炭化水素系イオン伝導体層、及び前記炭化水素系イオン伝導体層の表面に非連続状に分散されたフッ素系イオン伝導体を含むことができる。
【0017】
前記フッ素系イオン伝導体の非連続状分散は、複数のファイバー(fiber)状またはスポット(spot)状のフッ素系イオン伝導体が前記炭化水素系イオン伝導体層の表面に分散されたものであってもよい。
【0018】
前記ファイバー状のフッ素系イオン伝導体は、平均直径が0.005〜5μmであってもよい。
【0019】
前記ファイバー状のフッ素系イオン伝導体は、平均直径に対する平均長さの比率が100%以上であってもよい。
【0020】
前記スポット状のフッ素系イオン伝導体は、平均直径が0.005〜10μmであってもよい。
【0021】
前記フッ素系イオン伝導体は、前記高分子電解質膜全体100重量%に対して0.1〜10重量%含まれてもよい。
【0022】
前記フッ素系イオン伝導体は、前記炭化水素系イオン伝導体層の表面を溶解させた後に接合することができる。
【0023】
前記フッ素系イオン伝導体は、パーフルオロスルホン酸(PFSA;Perfluorosulfonic acid)であってもよい。
【0024】
前記炭化水素系イオン伝導体は、スルホン化ポリイミド、スルホン化ポリアリールエーテルスルホン、スルホン化ポリエーテルエーテルケトン、スルホン化ポリベンズイミダゾール、スルホン化ポリスルホン、スルホン化ポリスチレン、スルホン化ポリホスファゼン及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるいずれか一つであってもよい。
【0025】
前記高分子電解質膜は、多孔性支持体と、前記多孔性支持体の内部に充填された炭化水素系イオン伝導体と、前記多孔性支持体の上下部に位置する炭化水素系イオン伝導体層と、前記炭化水素系イオン伝導体層の表面に非連続状に分散されたフッ素系イオン伝導体とを含むことができる。
【0026】
前記多孔性支持体は、ナイロン、ポリイミド、ポリベンズオキサゾール、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリアリーレンエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、これらの共重合体及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるいずれか一つであってもよい。
【0027】
本発明の他の一実施例に係る高分子電解質膜の製造方法は、炭化水素系イオン伝導体層を形成する段階と、前記炭化水素系イオン伝導体層の表面にフッ素系イオン伝導体を非連続状に分散させる段階とを含む。
【0028】
前記高分子電解質膜の製造方法は、多孔性支持体を製造する段階と、前記多孔性支持体の内部に炭化水素系イオン伝導体を充填させ、前記多孔性支持体の表面に炭化水素系イオン伝導体層を形成する段階と、前記炭化水素系イオン伝導体層の表面にフッ素系イオン伝導体を非連続状に分散させる段階とを含むことができる。
【0029】
前記フッ素系イオン伝導体を非連続状に分散させる段階は、電気紡糸またはスプレー方法で行うことができる。
【0030】
前記フッ素系イオン伝導体を形成するための溶液は、前記炭化水素系イオン伝導体層の表面を溶解させることができる有機溶媒を含むことができる。
【0031】
前記フッ素系イオン伝導体を形成するための溶液は、前記フッ素系イオン伝導体のアルコール分散液と、前記炭化水素系イオン伝導体層の表面を溶解させることができる有機溶媒とを混合して製造することができる。
【0032】
前記炭化水素系イオン伝導体層の表面を溶解させることができる有機溶媒は、N−メチル−2−ピロリドン(N−methyl−2−pyrrolidine、NMP)、ジメチルホルムアミド(dimethylformamide、DMF)、ジメチルアセトアミド(dimethylacetamide、DMA)、ジメチルスルホキシド(dimethylsulfoxide、DMSO)及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるいずれか一つであってもよい。
【0033】
前記フッ素系イオン伝導体を非連続状に分散させる段階は、前記炭化水素系イオン伝導体層の表面を溶解させることができる有機溶媒を含む、フッ素系イオン伝導体を形成するための溶液を製造する段階と、前記フッ素系イオン伝導体を形成するための溶液を前記炭化水素系イオン伝導体層の表面に塗布する段階とを含むことができる。
【0034】
本発明の更に他の一実施例に係る膜−電極アセンブリは、互いに対向して位置するアノード電極及びカソード電極と、前記アノード電極とカソード電極との間に位置する高分子電解質膜とを含み、前記高分子電解質膜は、炭化水素系イオン伝導体層、及び前記炭化水素系イオン伝導体層の表面に非連続状に分散されたフッ素系イオン伝導体を含む。
【0035】
前記アノード電極またはカソード電極はフッ素系バインダーを含むことができる。
【0036】
以下、本発明をより詳細に説明する。
【0037】
本発明の一実施例に係る高分子電解質膜は、炭化水素系イオン伝導体層と、前記炭化水素系イオン伝導体層の表面に非連続状に分散されたフッ素系イオン伝導体とを含む。
【0038】
一方、前記高分子電解質膜は、多孔性支持体と、前記多孔性支持体の内部に充填された炭化水素系イオン伝導体と、前記多孔性支持体の上下部に位置する炭化水素系イオン伝導体層と、前記炭化水素系イオン伝導体層の表面に非連続状に分散されたフッ素系イオン伝導体とを含むことができる。
【0039】
すなわち、前記高分子電解質膜は、前記炭化水素系イオン伝導体がシートまたはフィルム状に形成されて、前記炭化水素系イオン伝導体層をなし、前記炭化水素系イオン伝導体層の表面に前記フッ素系イオン伝導体が非連続状に分散されたものであってもよく、前記炭化水素系イオン伝導体が前記多孔性支持体の内部に充填されて、前記多孔性支持体の上下部に前記炭化水素系イオン伝導体層を形成し、前記炭化水素系イオン伝導体層の表面に前記フッ素系イオン伝導体が非連続状に分散された強化膜であってもよい。
【0040】
以下、前記高分子電解質膜が前記多孔性支持体を含む強化膜である場合について主に説明するが、本発明がこれに限定されるものではない。
【0041】
前記多孔性支持体は、3次元的に不規則で、且つ不連続的に連結されたナノ繊維の集合体からなり、これによって、均一に分布した多数の気孔を含む。このように、均一に分布した多数の気孔からなる前記多孔性支持体は、優れた多孔度及びイオン伝導体の物性を補完することができる特性(寸法安定性など)を有するようになる。
【0042】
前記多孔性支持体に形成される気孔の直径である孔径は、0.05〜30μmの範囲内であってもよい。前記孔径が0.05μm未満の場合、高分子電解質のイオン伝導度が低下し、前記孔径が30μmを超える場合、高分子電解質の機械的強度が低下することがある。
【0043】
また、前記多孔性支持体の気孔の形成度合を示す多孔度は、50〜98%の範囲内であってもよい。前記多孔性支持体の多孔度が50%未満の場合、高分子電解質のイオン伝導度が低下し、前記多孔度が98%を超える場合、高分子電解質の機械的強度及び形態安定性が低下することがある。
【0044】
前記多孔度(%)は、下記数式1のように、前記多孔性支持体の全体積に対する空気の体積の比率によって計算することができる。
【0045】
数式1
多孔度(%)=(空気の体積/全体積)×100
【0046】
このとき、前記多孔性支持体の全体積は、矩形状の多孔性支持体のサンプルを製造して、横、縦及び厚さを測定して計算し、前記多孔性支持体の空気の体積は、前記多孔性支持体サンプルの質量を測定した後、密度から逆算した高分子の体積を前記多孔性支持体の全体積から減算して得ることができる。
【0047】
前記多孔性支持体は、3次元的に不規則で、且つ不連続的に連結されたナノ繊維の集合体からなり、前記ナノ繊維の平均直径は0.005〜5μmの範囲であってもよい。前記ナノ繊維の平均直径が0.005μm未満の場合、多孔性支持体の機械的強度が低下し、前記ナノ繊維の平均直径が5μmを超える場合、多孔性支持体の多孔度の調節が容易でないことがある。
【0048】
前記ナノ繊維は、ナイロン、ポリイミド、ポリベンズオキサゾール、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリアリーレンエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、これらの共重合体及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるいずれか一つであってもよいが、本発明がこれに限定されるものではない。
【0049】
前記多孔性支持体は、5〜30μmの厚さに形成することができる。前記多孔性支持体の厚さが5μm未満の場合、高分子電解質の機械的強度及び形態安定性が低下し、前記多孔性支持体の厚さが30μmを超える場合、高分子電解質の抵抗損失が増加することがある。
【0050】
前記高分子電解質膜は、前記多孔性支持体の内部に充填された炭化水素系イオン伝導体を含む。
【0051】
前記炭化水素系イオン伝導体は、高分子電解質膜の主な機能であるイオン伝導機能を行うものであって、前記イオン伝導体としては、イオン伝導機能に優れ、価格の面でも有利な炭化水素系高分子を好ましく用いることができるが、本発明がこれに限定されるものではない。特に、前記多孔性支持体の気孔内に前記イオン伝導体を充填する工程の容易性のために、有機溶媒に対して溶解性を有する炭化水素系物質をより好ましく使用することができる。
【0052】
前記炭化水素系イオン伝導体は、スルホン化ポリイミド、スルホン化ポリアリールエーテルスルホン、スルホン化ポリエーテルエーテルケトン、スルホン化ポリベンズイミダゾール、スルホン化ポリスルホン、スルホン化ポリスチレン、スルホン化ポリホスファゼン及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるいずれか一つであってもよいが、本発明がこれに限定されるものではない。一方、前記イオン伝導体として炭化水素系物質を使用し、前記多孔性支持体として炭化水素系物質を使用する場合、前記炭化水素系イオン伝導体に含まれた炭化水素系物質と、多孔性支持体に含まれた炭化水素系物質とを互いに同じ物質系で構成することができ、具体的には、炭化水素系イオン伝導体としてS−PI(sulfonated polyimide)を使用し、多孔性支持体としてポリイミドを使用する場合、炭化水素系イオン伝導体と多孔性支持体との接着性を向上させることができる。
【0053】
前記高分子電解質膜は、前記炭化水素系イオン伝導体層の表面に非連続状に分散されたフッ素系イオン伝導体を含む。前記フッ素系イオン伝導体は、前記高分子電解質膜の表面に存在することで、前記高分子電解質膜と電極とを接合して燃料電池用膜−電極アセンブリを製造するとき、前記高分子電解質膜と前記電極との接合性を向上させる。
【0054】
すなわち、前記膜−電極アセンブリの製造のために使用される前記電極は、バインダーとしてフッ素系バインダーを含有したものが最も優れた性能を示しているが、このような電極は、最近活発に開発されている炭化水素系イオン伝導体とは根本的に接合性の問題が生じることがある。前記高分子電解質膜は、膜表面に塗布されたフッ素系イオン伝導体を含むことによって、このような電極との接合性が改善される。
【0055】
また、膜−電極アセンブリの製造時に、量産性が高い転写工程を適用するようになるが、炭化水素系高分子電解質膜は、フッ素系高分子電解質膜に比べて、表面特性のため転写が容易でないという欠点がある。そこで、前記高分子電解質膜は、膜表面に塗布されたフッ素系イオン伝導体を含むことによって、転写が容易に行われるという長所がある。
【0056】
前記フッ素系イオン伝導体は、複数のファイバー(fiber)状またはスポット(spot)状に前記炭化水素系イオン伝導体の表面に分散されて存在することができる。すなわち、前記フッ素系イオン伝導体は、前記炭化水素系イオン伝導体層の表面を全て覆うようにコーティングされるものではなく、非連続状に分散されることによって、前記炭化水素系イオン伝導体層の表面の一部が前記フッ素系イオン伝導体の間に露出される。また、前記フッ素系イオン伝導体は、複数のファイバー状またはスポット状を有するように形成されることによって、前記炭化水素系イオン伝導体の表面に非連続状に分散されて存在することができる。
【0057】
前記ファイバーまたはスポット状を有するフッ素系イオン伝導体は、電気紡糸あるいはスプレー方式で製造することができる。この場合、前記フッ素系イオン伝導体の最小量のみでも前記電極との接合性を極大化することができ、前記炭化水素系イオン伝導体層の表面に前記フッ素系イオン伝導体を含みながらも、前記高分子電解質膜の厚さを最小化することができる。
【0058】
前記ファイバー状のフッ素系イオン伝導体は、平均直径が0.005〜5μmであってもよく、0.01〜3μmであることが好ましい。また、前記ファイバー状のフッ素系イオン伝導体は、平均直径に対する平均長さの比率が100%以上であってもよく、300〜1000%であることが好ましい。前記フッ素系イオン伝導体の平均直径が0.005μm未満の場合、コーティング層の強度の弱化によって接合性が低下するという問題が生じ、平均直径が5μmを超えるか、または平均直径に対する平均長さの比率が100%未満の場合、コーティング層の厚さが厚くなってしまい、膜抵抗が大きくなるという問題が生じることがある。
【0059】
前記スポット状のフッ素系イオン伝導体は、平均直径が0.005〜10μmであってもよく、0.01〜5μmであることが好ましい。前記スポット状のフッ素系イオン伝導体の平均直径が0.005μm未満の場合、コーティング層の強度の弱化によって接合性が低下するという問題が生じ、10μmを超える場合、コーティング層の厚さが厚くなってしまい、膜抵抗が大きくなるという問題が生じることがある。
【0060】
前記フッ素系イオン伝導体は、前記高分子電解質膜全体100重量%に対して0.1〜10重量%含まれてもよく、1〜10重量%含まれることが好ましい。すなわち、前記フッ素系イオン伝導体は、非連続状に分散されて存在することによって、最小量でも電極との接合性を向上させることができ、前記フッ素系イオン伝導体を含むことによる前記高分子電解質膜の厚さの増加を最小化して、前記高分子電解質膜の性能低下を防止することができる。前記フッ素系イオン伝導体の含量が0.1重量%未満の場合、接合性の改善効果が低下するという問題が生じ、10重量%を超える場合、高価なフッ素系イオン伝導体の過剰な使用による経済性低下の問題及び厚さの増加により性能低下が生じることがある。
【0061】
前記フッ素系イオン伝導体は、前記炭化水素系イオン伝導体層の表面を部分溶解させた後、接合することができる。すなわち、前記炭化水素系イオン伝導体層の一部の表面を溶解させた後、前記溶解された炭化水素系イオン伝導体と前記フッ素系イオン伝導体とを接合させ、前記炭化水素系イオン伝導体の溶解された部分が再び硬化しながら前記フッ素系イオン伝導体と結合されることによって、接合耐久性が向上することができる。
【0062】
前記フッ素系イオン伝導体は、燃料電池用電解質膜に使用できるものであれば本発明で特に限定されないが、約1〜3のpHで耐酸性があり、プロトン(proton)伝導性を有しているものを好ましく使用することができる。
【0063】
前記フッ素系イオン伝導体は、パーフルオロスルホン酸(PFSA;Perfluorosulfonic acid)であってもよく、商業的にはデュポン(duPont)社製のナフィオン(Nafion、登録商標)、旭硝子社製のフレミオン(登録商標)、または旭化成社製のアシプレックス(登録商標)などのパーフルオロスルホン酸系などを用いることができる。
【0064】
前記フッ素系イオン伝導体は、フッ素系イオン伝導体バインダーを含む電極と、前記炭化水素系高分子電解質膜との接合性を極大化することができる。
【0065】
本発明の他の一実施例に係る高分子電解質膜の製造方法は、炭化水素系イオン伝導体層を形成する段階と、前記炭化水素系イオン伝導体層の表面にフッ素系イオン伝導体を非連続状に分散させる段階とを含むことができる。
【0066】
一方、前記高分子電解質膜の製造方法は、多孔性支持体を製造する段階と、前記多孔性支持体の内部に炭化水素系イオン伝導体を充填させ、前記多孔性支持体の上下部に炭化水素系イオン伝導体層を形成する段階と、前記炭化水素系イオン伝導体層の表面にフッ素系イオン伝導体を非連続状に分散させる段階とを含むことができる。
【0067】
以下、前記高分子電解質膜の製造方法が前記多孔性支持体を含む強化膜である場合について主に説明するが、本発明がこれに限定されるものではない。
【0068】
図1は、本発明の他の一実施例に係る高分子電解質膜の製造方法を示す工程フローチャートである。以下、
図1を参照して、前記高分子電解質膜の製造方法を説明する。
【0069】
前記多孔性支持体を製造する段階(S1)は、前駆体(precursor)を紡糸溶媒に溶かして紡糸溶液を製造し、前記製造された紡糸溶液を紡糸して、平均直径が0.005〜5μmであるナノ繊維からなる多孔性ナノウェブを製造した後、製造されたナノウェブを後処理する工程を含む。
【0070】
前記多孔性支持体は、高い多孔度、微細な孔隙及び薄膜を得るために、電気紡糸工程により製造することが好ましいが、本発明がこれに限定されるものではない。
【0071】
前記多孔性支持体は、ナイロン、ポリイミド、ポリベンズオキサゾール、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリアリーレンエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、これらの共重合体及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるいずれか一つを紡糸して製造することができる。
【0072】
前記ポリイミドを用いて多孔性支持体を製造する場合について具体的に説明すると、次の通りである。ポリアミック酸(polyamicacid)前駆体を電気紡糸してナノウェブ前駆体を形成した後、ホットプレスを用いてナノウェブ前駆体をイミド化(imidization)させると、ポリイミド多孔性支持体を製造することができる。
【0073】
より具体的に説明すると、テトラヒドロフラン(THF)溶媒にポリアミック酸を溶解させて前駆体溶液を製造し、前記前駆体溶液を20〜100℃の温度及び1〜1,000kVの高電圧が印加された状態で紡糸ノズルを介して吐出させて、集電体(collector)にポリアミック酸ナノウェブを形成した後、前記ポリアミック酸ナノウェブを80〜400℃の温度に設定されたホットプレスで熱処理することによって、ポリイミド多孔性支持体を製造することができる。
【0074】
前記多孔性支持体に炭化水素系イオン伝導体を充填させて高分子電解質膜を製造する場合、イオン伝導体のみで製造された高分子電解質膜に比べて、高分子電解質の耐熱性、耐化学性及び機械的物性を向上させることができる。
【0075】
前記多孔性支持体の気孔内に前記炭化水素系イオン伝導体を充填させ、前記多孔性支持体の表面に炭化水素系イオン伝導体層を形成する(S2)。前記炭化水素系イオン伝導体についての説明は、前記本発明の一実施例に係る高分子電解質膜と同一であるので、その具体的な説明は省略する。
【0076】
ただし、前記炭化水素系イオン伝導体は、重量平均分子量が10,000〜500,000g/molであってもよく、好ましくは、50,000〜300,000g/molであってもよい。前記炭化水素系イオン伝導体の重量平均分子量が前記範囲よりも低い場合、耐久性低下の問題があり、高い場合、前記多孔性支持体の気孔内に浸透が容易でないという問題がある。
【0077】
前記多孔性支持体の気孔内に前記炭化水素系イオン伝導体を充填する工程は、担持または含浸工程を用いてもよいが、本発明がこれに限定されるものではなく、ラミネーティング工程、スプレー工程、スクリーンプリンティング工程、ドクターブレード工程など、当業界で公知の様々な方法を用いることができる。
【0078】
このとき、前記多孔性支持体の気孔内に前記炭化水素系イオン伝導体を充填する過程で前記多孔性支持体の表面に前記炭化水素系イオン伝導体層が形成される。
【0079】
前記含浸する方法は、前記炭化水素系イオン伝導体を溶媒に溶かしてイオン伝導体溶液を製造した後、前記多孔性支持体を前記イオン伝導体溶液に浸漬して充填することができる。前記含浸工程を用いる場合には、常温で5〜30分間浸漬した後、80℃の熱風オーブンで3時間以上乾燥し、このような浸漬、乾燥作業を2〜5回行うことが好ましい。
【0080】
一方、前記高分子電解質膜が前記多孔性支持体を含む強化膜ではない場合、前記イオン伝導体溶液を基板上にコーティングした後、乾燥して炭化水素系イオン伝導体層を形成してもよい。
【0081】
次に、前記炭化水素系イオン伝導体層の表面にフッ素系イオン伝導体を非連続状に分散させる(S3)。
【0082】
前記炭化水素系イオン伝導体層の表面に前記フッ素系イオン伝導体を塗布する工程は、電気紡糸、ラミネーティング工程、スプレー工程、スクリーンプリンティング工程、ドクターブレード工程、浸漬工程など、当業界で公知の様々な方法を用いることができ、好ましくは、電気紡糸またはスプレー方法を用いることができる。また、前記スプレー方法は電気スプレー方法を含む。
【0083】
前記炭化水素系イオン伝導体層の表面に前記フッ素系イオン伝導体を電気紡糸またはスプレー方法を用いて塗布する場合、前記フッ素系イオン伝導体をファイバー(fiber)状またはスポット(spot)状に塗布することができる。前記フッ素系イオン伝導体が前記炭化水素系イオン伝導体層の表面にファイバー状またはスポット状に存在する場合、前記フッ素系イオン伝導体の最小量のみでも前記電極との接合性を極大化することができ、前記フッ素系イオン伝導体を含むことによる前記高分子電解質膜の厚さの増加を最小化して、前記高分子電解質膜の性能低下を防止することができる。
【0084】
一方、前記炭化水素系イオン伝導体層の表面にフッ素系イオン伝導体を塗布する段階は、前記炭化水素系イオン伝導体層の表面を溶解させることができる有機溶媒を含む、フッ素系イオン伝導体を形成するための溶液を製造する段階(S3−1)と、前記フッ素系イオン伝導体を形成するための溶液を前記炭化水素系イオン伝導体層の表面に塗布する段階(S3−2)とを通じて製造することができる。
【0085】
前記フッ素系イオン伝導体を形成するための溶液を用いて塗布する場合、前記炭化水素系イオン伝導体層の一部の表面を部分溶解させた後、前記溶解された炭化水素系イオン伝導体層と前記フッ素系イオン伝導体とを接合させ、前記炭化水素系イオン伝導体層の溶解された部分が再び硬化しながら前記フッ素系イオン伝導体と結合されることによって、接合耐久性を向上させることができる。
【0086】
前記炭化水素系イオン伝導体層を前記フッ素系イオン伝導体と溶融接合することは、前記フッ素系イオン伝導体が非連続状に形成される場合にのみ可能である。すなわち、前記フッ素系イオン伝導体が前記炭化水素系イオン伝導体層上に連続状にコーティング層を形成する場合、前記炭化水素系イオン伝導体層が損傷して変形することがある。すなわち、一般に、前記フッ素系イオン伝導体を連続状にコーティング層を形成する場合、前記炭化水素系イオン伝導体を前記フッ素系イオン伝導体を形成するための溶液に浸漬させるが、前記フッ素系イオン伝導体を形成するための溶液が前記炭化水素系イオン伝導体を溶解させることができる有機溶媒を含む場合、前記炭化水素系イオン伝導体層が損傷して変形することがある。反面、前記フッ素系イオン伝導体を非連続状に分散させる場合、主に電気紡糸またはスプレーを用いるようになり、この場合には、前記炭化水素系イオン伝導体層の損傷が発生しない。
【0087】
このとき、前記高分子電解質膜を溶解させることができる有機溶媒としては、N−メチル−2−ピロリドン(N−methyl−2−pyrrolidine、NMP)、ジメチルホルムアミド(dimethylformamide、DMF)、ジメチルアセトアミド(dimethylacetamide、DMA)、ジメチルスルホキシド(dimethylsulfoxide、DMSO)、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるいずれか一つを使用することができる。
【0088】
本発明の更に他の一実施例に係る膜−電極アセンブリは、互いに対向して位置するアノード電極及びカソード電極と、前記アノード電極とカソード電極との間に位置する前記高分子電解質膜とを含む。前記高分子電解質膜は、前記本発明の一実施例に係る高分子電解質膜と同一であるので、ここで、反復説明は省略する。
【0089】
前記膜−電極アセンブリは、燃料の酸化反応と酸化剤の還元反応により電気を発生させる部分であって、一つまたは数個が積層されてスタックを形成する。
【0090】
前記アノード電極及びカソード電極は触媒及びバインダーを含む。前記電極のバインダーとしてフッ素系イオン伝導体を好ましく使用することができる。本発明の前記高分子電解質膜は、多孔性支持体を含む炭化水素系高分子電解質膜であって、前記フッ素系イオン伝導体をバインダーとして含む電極層との接合性が問題となり得るが、前記高分子電解質膜は、表面に塗布された前記フッ素系イオン伝導体を含むことによって、電極との接合性が改善される。