(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、アンテナを大型化すると、当該アンテナを搭載できる船が限られ、また、コストの増大を招来する。さらに、レーダー送信波の高周波化や広帯域化は、電波法により使用できる周波数帯域が決められているため、限界がある。
【0005】
そこで、本発明の目的は、上記課題に鑑み、データ処理により分解能を向上させることができるレーダー装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るレーダー装置は、レーダー波送信部、レーダー波受信部、解析処理部およびレーダー表示データ出力部を備える。
【0007】
解析処理部は、レーダー波受信部において受信したレーダー波データを解析し、物標の振幅データと速度データまたは物標の振幅データと加速度データを所定の座標上にセルごとに記憶し、これらのデータに基づいて速度または加速度を有する座標上の注目セルの振幅データを処理する。
【0008】
すなわち、解析処理部は、注目セルを挟んで注目セルに近接する近接セル間の速度差または加速度差の絶対値が閾値以上であるか否かを判定し、閾値以上であれば注目セルの振幅データを低下させる処理を行う。
【0009】
この処理では、アンテナの大型化、レーダー送信波の高周波化およびレーダー送信波の広帯域化をすることなく画像データ(受信データ)をデータ処理することで、近接する複数の物標をそれぞれ分離することができる。したがって、システムの規模に左右されることなく、どのようなシステムにおいてもこの処理を適用することができる。また、電波法等の各法律の規制の枠組みにとらわれることなく、この処理を適用することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係るレーダー装置は、システムを大型化することなく分解能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の第1実施形態に係るレーダー装置の主要な構成を示すブロック図である。
【
図2】本発明の第1実施形態に係る解析処理部の具体的な構成を示すブロック図である。
【
図3】本発明の第1実施形態に係る座標上における注目セルおよび近接セルを示す図である。
【
図4】本発明の第1実施形態に係るレーダー装置に備えられる制御部の処理内容を示すフローチャートである。
【
図5】本発明の第1実施形態に係る解析処理部の具体的な処理内容を示すブロック図である。
【
図6】本発明の第2実施形態に係るレーダー装置に備えられる制御部の処理内容を示すフローチャートである。
【
図7】本発明の第2実施形態に係る解析処理部の具体的な処理内容を示すブロック図である。
【
図8】本発明の第3実施形態に係る座標上における注目セルおよび近接セルを示す図である。
【
図9】本発明の第3実施形態に係るレーダー装置に備えられる制御部の処理内容を示すフローチャートである。
【
図10】本発明の第3実施形態に係る解析処理部の処理内容を示すブロック図である。
【
図11】本発明の第4実施形態に係る解析処理部の具体的な構成を示すブロック図である。
【
図12】本発明の第4実施形態に係るレーダー装置に備えられる制御部の制御内容を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態に係るレーダー装置を、図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0013】
まず、本発明の第1実施形態について説明する。
【0014】
図1は、レーダー装置の主要な構成を示すブロック図である。
【0015】
レーダー装置100は、アンテナ101、切替部102、レーダー波送信部(以下、送信部)110、レーダー波受信部(以下、受信部)120および解析処理部130、レーダー表示部150を備える。これらの各要素からなるレーダー装置は、周知の一般的構成である。
【0016】
アンテナ101は、所定間隔でレーダー波を送信するレーダー波送信機能を有する送信部110、および物標から反射されたレーダー波を受信するレーダー波受信機能を有する受信部120に、切替部102により順次切り替えて接続される。
【0017】
解析処理部130は、受信部120に接続されている。解析処理部130は、受信部120において受信したレーダー波の受信データを解析し、物標の振幅と速度をぞれぞれ別の記憶部の所定の座標上にセルごとに記憶し、これらのデータに基づいて速度を有する座標上の注目セルの振幅データを処理する。
【0018】
解析処理部130にはレーダー表示部150が接続されている。レーダー表示部150は、解析処理部130で処理された後の振幅データをレーダー表示データにしてモニター上に表示する。なお、受信部120は、アンテナ101で受信した1スキャン以内の一定時間のデータを一時記憶する受信バッファを備えている。この受信バッファは、解析処理部130に設けられていても良い。
【0019】
図2は、解析処理部の具体的な構成を示すブロック図である。
図3は、記憶部の座標上における注目セルおよび近接セルを示す図である。ここでは、単位画素をセルと称する。
【0020】
解析処理部130は、速度算出部131、データ記憶部132、振幅低下判定部135およびデータ補正部137を備える。
【0021】
速度算出部131は、受信部120の受信バッファに接続されている。速度算出部131は、受信部120において受信したデータ(レーダー波のエコーデータ)を解析して、物標の速度を算出する。速度の算出方法として、例えば、高速フーリエ変換を用いたアルゴリズムやパルスペア法が挙げられる。
【0022】
データ記憶部132は、振幅データ記憶部133および速度データ記憶部134を備える。各記憶部は、
図3に示す座標が設定されている。振幅データ記憶部133は、受信部120に接続されている。振幅データ記憶部133は、受信部120において受信したデータの振幅を記憶セル(以下、セル)毎に記憶する。速度データ記憶部134は、速度算出部131に接続されている。速度データ記憶部134は、速度算出部131において算出された速度を記憶セル(以下、セル)毎に記憶する。振幅データ記憶部133の各セルと、速度データ記憶部134の各セルは相互に座標位置で対応している。なお、この実施形態では、振幅データ記憶部133及び速度データ記憶部134は、ともに、X軸をスイープ角度、Y軸を距離とする座標に設定されている。
【0023】
振幅低下判定部135は、速度データ記憶部134に接続されている。振幅低下判定部135は、速度データ記憶部134上の注目セル140を挟んで注目セル140に近接する近接セル141,142間の速度差の絶対値が閾値以上であるか否かを判定する。なお、近接セル141,142は、図示するように注目セル140に隣接しているが、注目セル140から数セル分のデータを平均処理したものを仮想セルとして扱うことも可能である。
【0024】
データ補正部137は、振幅低下判定部135に接続されている。データ補正部137は、振幅低下判定部135での判定結果に基づいて、近接セル141,142間の速度差の絶対値が閾値以上であれば、振幅データ記憶部133上の注目セル140の振幅を低下させる処理を行う。この場合、通常は注目セル140の振幅の低下量が大きいほど、分解能が向上する。以下の説明においては、注目セル140の振幅を低下させる処理を注目セル140の振幅を0にする処理とする。
【0025】
図4は、レーダー装置に備えられる制御部の処理内容を示すフローチャートである。なお、各図においては、制御部を省略している。
【0026】
送信部110から送信された1スイープ分又は適当な量のレーダー波を受信すると(S110)、制御部は、物標において反射された受信データ(エコーデータ)を処理する。すなわち、解析処理部130は、受信データからセル毎に振幅データを判定して振幅データ記憶部133に記憶し、セル毎に速度データを判定して速度データ記憶部134に記憶する。そして、それらのデータに対して以下の解析と処理を行う。
【0027】
制御部は、速度データ記憶部134を参照し、注目セル140毎に、近接セル141,142間の速度差を求める。そして、その絶対値が閾値以上であると(S130)、振幅データ記憶部133上の注目セル140の振幅を0にする処理を行う(S140)。注目セル140を移動させながら全てのセルに対してこの処理を行う(S150)。
【0028】
図5は、解析処理部の具体的な処理内容を示すブロック図である。
【0029】
まず、解析処理部130は、速度データ記憶部134を参照し、注目セル140に近接する近接セル141と近接セル142との速度差を算出する。次に、当該速度差の絶対値を算出し、近接セル141,142間の速度差の絶対値が閾値以上であれば、注目セル140のデータをTrueと判定する。この処理を全セルに対して繰り返し、その後に、Trueである注目セル140の振幅を0とする処理を行う。
【0030】
以上の処理を行う物理的意義は以下の通りである。
【0031】
すなわち、注目セルに対して近接するセル間の速度差が一定以上(閾値以上)であれば、近接する各セルは別の物標である可能性が高くなる。そこで、この場合に、注目セルの振幅をゼロにして近接する各セルを振幅データ記憶部133上で分離する(表示データ上分離する)ことが分解能を高めることに効果的となる。
【0032】
本実施形態の処理では、アンテナ101の大型化、レーダー送信波の高周波化および広帯域化をすることなく、近接する複数の物標を表示データ上それぞれに分離することができる。これらはデータ処理で行うことが出来るため、システムの規模に左右されることなく、どのようなシステムにおいてもこの処理を適用することができる。また、電波法等の各法律の規制の枠組みにとらわれることなく、この処理を適用することができる。
【0033】
次に、本発明の第2実施形態について説明する。なお、本実施形態以降の各実施形態においては、第1実施形態で説明した内容を適宜省略する。
【0034】
図6は、レーダー装置に備えられる制御部の処理内容を示すフローチャートである。
【0035】
送信部110から送信された1スイープ分又は適当な量のレーダー波を受信すると(S210)、制御部は、物標において反射された受信データ(エコーデータ)を処理する。すなわち、解析処理部130は、受信データからセル毎に振幅データを判定して振幅データ記憶部133に記憶し、セル毎に速度データを判定して速度データ記憶部134に記憶する。そして、それらのデータに対して以下の解析と処理を行う。
【0036】
制御部は、振幅データ記憶部133を参照し、注目セル140の振幅が閾値以上であるか否かを判断する(S230)。そして、振幅が閾値以上である注目セル140に対して、速度データ記憶部134を参照の上、注目セル140毎に、近接セル141,142間の速度差を求める。そして、その絶対値が閾値以上であると(S240)、振幅データ記憶部133上の注目セル140の振幅を0にする処理を行う(S250)。注目セル140を移動させながら全てのセルに対してこの処理を行う(S260)。
【0037】
図7は、解析処理部の具体的な処理内容を示すブロック図である。
【0038】
解析処理部130は、速度データ記憶部134を参照し、注目セル140に近接する近接セル141と近接セル142との速度差を算出し、近接セル141,142間の速度差の絶対値が閾値以上であれば、注目セル140のデータをTrueと判定する(第1条件)。一方、振幅データ記憶部133を参照し、注目セル140の振幅が閾値以上であるか否かを判断し、閾値以上であれば、注目セル140のデータをTrueと判定する(第2条件)。注目セル140について第1条件と第2条件が満たされると、この注目セル140の振幅を0とする処理を行う。
【0039】
以上の処理を行う物理的意義は以下の通りである。
【0040】
すなわち、注目セルに対して近接するセル間の速度差が一定以上(閾値以上)であって、且つ、注目セルの振幅が閾値以上であれば、近接する各セルは別の物標である可能性が高くなる。そこで、この場合に、注目セルの振幅をゼロにして近接する各セルを振幅データ記憶部133上で分離する(表示データ上分離する)ことが分解能を高めることに効果的となる。なお、第1条件が満たされるセルに対してのみ、第2条件の判定を行うか、第2条件が満たされるセルに対してのみ、第1条件の判定を行うようしても良い。このような処理で全体の処理効率を向上することができる。
【0041】
次に、本発明の第3実施形態について説明する。
【0042】
図8は、座標上における注目セルおよび近接セルを示す図である。
【0043】
本実施形態における近接セルは、注目セル140を中心に第1方向およびこれに直交する第2方向に近接するセルである。本実施形態では、第1方向の近接セルは近接セル141,142とし、第2方向の近接セルは近接セル143,144とする。
【0044】
図9は、レーダー装置に備えられる制御部の処理内容を示すフローチャートである。
【0045】
送信部110から送信された1スイープ分又は適当な量のレーダー波を受信すると(S310)、制御部は、物標において反射された受信データ(エコーデータ)を処理する。すなわち、解析処理部130は、受信データからセル毎に振幅データを判定して振幅データ記憶部133に記憶し、セル毎に速度データを判定して速度データ記憶部134に記憶する。そして、それらのデータに対して以下の解析と処理を行う。
【0046】
制御部は、速度データ記憶部134を参照し、注目セル140毎に、第1方向の近接セル141,142間の速度差と、第2方向の近接セル143,144間の速度差とを求める。そして、それらの絶対値のいずれかが閾値以上であると(S330、S350)、振幅データ記憶部133上の注目セル140の振幅を0にする処理を行う(S340)。注目セル140を移動させながら全てのセルに対してこの処理を行う(S360)。
【0047】
図10は、解析処理部の処理内容を示すブロック図である。
【0048】
解析処理部130は、速度データ記憶部134を参照し、注目セル140に近接する第1方向の近接セル141と近接セル142との速度差、および第2方向の近接セル143と近接セル144との速度差を算出し、それらのいずれかの速度差の絶対値が閾値以上であれば、注目セル140のデータをTrueと判定する(第1条件)。注目セル140について第1条件が満たされると、この注目セル140の振幅を0とする処理を行う。
【0049】
以上の処理を行う物理的意義は、本発明の第1実施形態と同様であるが、スイープ方向または距離方向に対応する近接セル間の速度差が閾値以上であれば、その近接セルを分離することになるため、分解能をより向上させることができる。
【0050】
次に、本発明の第4実施形態について説明する。
【0051】
図11は、解析処理部の具体的な構成を示すブロック図である。
図12は、レーダー装置に備えられる制御部の制御内容を示すフローチャートである。
【0052】
解析処理部130Aは、第1〜第3実施形態の構成に対して消去エリア補正部136をさらに備える。消去エリア補正部136は、各セルに対して画像処理として良く使われる膨張・収縮処理を行う(S440)。画像データが二値化された白黒画像データである場合、膨張処理とは、注目セルの周辺に1セルでも白い画素があれば白のデータに置き換える処理をいい、収縮処理とは、注目セルの周辺に1セルでも黒い画素があれば黒のデータに置き換える処理をいう。画像データが階調のある画像データである場合、例えば、膨張処理では、注目セルの近傍の最大輝度値を注目セルの輝度値に置き換え、収縮処理では、注目セルの近傍の最小輝度値を注目セルの輝度値に置き換える。このような処理を適切に行うことでノイズを除去する。なお、画像処理のためのスループットの低下がなければ、ノイズ除去のために上記膨張・収縮処理以外の画像処理を追加的に或いは代替的に行っても良い。
【0053】
以上の実施形態では、受信データから物標の速度データを求めるようにしたが、速度データに代えて加速度データを求めるようにしても良い。注目セルに対する近接セルの加速度が異なる場合でも、それらの近接セルの物標は異なるものと考えられるからである。この場合、上記各実施形態では、速度算出部を加速度算出部とし、速度データ記憶部を加速度データ記憶部とする。
【0054】
最後に、上述の実施形態の説明は、すべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述の実施形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。さらに、本発明の範囲には、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。