特許第6235570号(P6235570)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6235570振動音響減衰のための粘弾性プラスチック中間層及び該中間層を含むグレージングユニット
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6235570
(24)【登録日】2017年11月2日
(45)【発行日】2017年11月22日
(54)【発明の名称】振動音響減衰のための粘弾性プラスチック中間層及び該中間層を含むグレージングユニット
(51)【国際特許分類】
   C03C 27/12 20060101AFI20171113BHJP
   B60J 1/00 20060101ALI20171113BHJP
【FI】
   C03C27/12 D
   B60J1/00 J
【請求項の数】8
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-513240(P2015-513240)
(86)(22)【出願日】2013年5月16日
(65)【公表番号】特表2015-525185(P2015-525185A)
(43)【公表日】2015年9月3日
(86)【国際出願番号】FR2013051074
(87)【国際公開番号】WO2013175101
(87)【国際公開日】20131128
【審査請求日】2016年4月15日
(31)【優先権主張番号】1254636
(32)【優先日】2012年5月22日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】500374146
【氏名又は名称】サン−ゴバン グラス フランス
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100077517
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 敬
(74)【代理人】
【識別番号】100087413
【弁理士】
【氏名又は名称】古賀 哲次
(74)【代理人】
【識別番号】100093665
【弁理士】
【氏名又は名称】蛯谷 厚志
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【弁理士】
【氏名又は名称】出野 知
(74)【代理人】
【識別番号】100111903
【弁理士】
【氏名又は名称】永坂 友康
(72)【発明者】
【氏名】マルク レーフェル
(72)【発明者】
【氏名】ダビ フルニエ
(72)【発明者】
【氏名】ジャン−フィリップ ブール
(72)【発明者】
【氏名】コリンヌ パヤン
【審査官】 岡田 隆介
(56)【参考文献】
【文献】 特表2008−532817(JP,A)
【文献】 特表2010−523379(JP,A)
【文献】 特表2010−508236(JP,A)
【文献】 特表2009−526731(JP,A)
【文献】 特表2010−524843(JP,A)
【文献】 特開2013−107821(JP,A)
【文献】 特開2011−084468(JP,A)
【文献】 特表2012−527392(JP,A)
【文献】 特開2010−037193(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C03C 27/00−29/00
B32B 17/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
振動音響減衰特性を備えた積層グレージングを形成するため2枚のガラス板の間に取り入れることを意図した粘弾性プラスチック中間層であって、
該中間層は振動音響減衰特性を備えた粘弾性プラスチック製の層(3)を少なくとも1つ含み、
該中間層は、間に該中間層が取り入れられるおのおのが2.1mmの厚さの2枚のガラス板から構成された表面積が25mm×300mmの積層グレージングバーの、ISO 16940標準規格に従って20℃での機械インピーダンスの測定(MIM)により求められる第2共振モードの共振振動数fが760Hzと1000Hzの間であり、かつ同じ条件下でMIMにより求められる同じバーの第2共振モードの損失係数ηが0.25以上であるようなものであり、そして
該層(3)が、ポリビニルブチラールと可塑剤とを基礎材料としている
粘弾性プラスチック中間層。
【請求項2】
前記共振振動数fが800Hzと900Hzの間であり、好ましくは800Hzと850Hzの間である、請求項1記載の中間層。
【請求項3】
前記損失係数ηが0.30より大きい、請求項1又は2記載の中間層。
【請求項4】
標準的なPVBで作製した2つの外層(4、5)を更に含み、前記層(3)がこれら2つの外層(4、5)の間にある、請求項1〜の1つに記載の中間層。
【請求項5】
前記機械インピーダンスの測定を前記積層グレージングバーの組み立ての少なくとも1箇月後に行い、当該積層グレージングバー自体を当該中間層の製造の少なくとも1箇月後に組み立てる、請求項1〜の1つに記載の中間層。
【請求項6】
・厚さが0.5mmと2.6mmの間のガラス板(1)、
・厚さが0.5mmと1.6mmの間のガラス板(2)、
・これらのガラス板(1、2)の間にある、請求項1〜のいずれか1つに記載の中間層、
を含むグレージングであり、該ガラス板(1、2)の合計の厚さが厳密に3.7mm未満であるグレージング。
【請求項7】
請求項記載のグレージングを含む自動車であって、厚さが0.5mmと2.6mmの間の前記ガラス板(1)が該自動車の内部に面するようにされ、厚さが0.5mmと1.6mmの間の前記ガラス板(2)が該自動車の内部に面するようにされている自動車。
【請求項8】
請求項記載のグレージングの自動車フロントガラスとしての使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2枚のガラスの間に組み入れて、とりわけ移動機械、特に自動車のための、振動音響減衰特性を備えた積層グレージングを形成することを目的とした粘弾性プラスチック中間層に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば列車及び自動車などの現代的な輸送手段における快適さに寄与する全ての特性のうちで、静寂さは決定的要素になっている。
【0003】
音響上の快適さは、騒音源でのあるいは空気を介し又は固体を介しての騒音、例えばエンジンからの騒音、回転やサスペンションの騒音などを、例えば吸収性コーティングあるいはエラストマー接続部品などにより処理することにより、何年にもわたり改善されてきた。
【0004】
車両の形状も、それら自体が騒音源である空気中における走行の改善と乱流の軽減のために変更されてきた。
【0005】
近年は、グレージングが、特にプラスチック中間層フィルムを含む積層グレージングが、音響上の快適さを向上させる上で演じる役割に注目が集中している。積層グレージングには、例えば突然の破損時に破片が突き出す危険をなくす、不法侵入を遅らせるようにするなどの、別の利点もある。
【0006】
積層グレージングで標準的なプラスチックフィルムを使用するのは、音響上の快適さを向上させるのに適していないことが実証された。その後、音響上の快適さの向上を可能にする減衰特性を持った特定のプラスチックフィルムが開発された。
【0007】
更に、既存のフロントガラスでは、車両の外部に面するようにすることを意図したガラス板の厚さは一般に2.1mmであり、車両の内部に面するようにすることを意図したガラス板の厚さは一般に1.6mmである。しかし、それらの消費量と誘起されるCO2の放出を減らすために、自動車を軽量化する傾向が見られる。1つの手段は、より軽量の自動車用グレージングを提案することである。グレージングの重量を減らすための1つの解決策は、ガラス板の厚さを減らすことである。ところが、この厚さの低減は積層グレージングの音響特性の悪化をもたらす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って、振動音響減衰特性の低下なしにガラス板の厚さの低減を可能にする、振動音響減衰特性を備えた積層グレージングを形成するため2枚のガラス板の間に取り入れることを意図した粘弾性プラスチック中間層が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
このために、本発明は、振動音響減衰特性を備えた積層グレージングを形成するため2枚のガラス板の間に取り入れることを意図した粘弾性プラスチック中間層であって、該中間層は振動音響減衰特性を備えた粘弾性プラスチック製の層を少なくとも1つ含み、該中間層は、間に該中間層が組み入れられるおのおのが2.1mmの厚さの2枚のガラス板から構成された表面積が25mm×300mmの積層グレージングバーの、ISO 16940標準規格に従って20℃での機械インピーダンスの測定(MIM)により求められる第2共振モードの共振振動数f2が760Hzと1000Hzの間であり、同じ条件下でMIMにより求められる、同じバーの第2共振モードの損失係数η2が0.25以上であるようなものである、粘弾性プラスチック中間層を提案する。
【0010】
別の特別の特徴によれば、上記の層はポリビニルブチラールと可塑剤とを基礎材料とする。
【0011】
別の特別の特徴によれば、共振振動数f2は800Hzと900Hzの間であり、好ましくは800Hzと850Hzの間である。
【0012】
別の特別の特徴によれば、損失係数η2は0.30より大きい。
【0013】
別の特別の特徴によれば、中間層は標準的なPVBで製作した2つの外層をも含み、当該層はこれら2つの外層の間にある。
【0014】
別の特別の特徴によれば、機械インピーダンスの測定は、積層グレージングバーの組み立ての少なくとも1箇月後に行われ、積層グレージングバー自体が中間層の製造の少なくとも1箇月後に組み立てられる。
【0015】
本発明はまた、
・厚さが0.5mmと2.6mmの間のガラス板、
・厚さが0.5mmと1.6mmの間のガラス板、
・上記のガラス板の間にある、上述の中間層、
を含み、ガラス板の合計の厚さが厳密に3.7mm未満である、グレージングにも関する。
【0016】
本発明はまた、上述のグレージングを含む自動車であり、厚さが0.5mmと2.6mmの間のガラス板が該自動車の内部に面するようにされ、厚さが0.5mmと1.6mmの間のガラス板が該自動車の内部に面するようにされている自動車にも関する。
【0017】
本発明はまた、上述のグレージングを自動車のフロントガラスとして使用することにも関する。
【0018】
次に、本発明のこのほかの特徴と利点を、図面に関して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】3つのフロントガラスについて測定した、振動数の関数としての防音性の曲線を示す図である。
図2】本発明によるグレージングの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明は、振動音響減衰特性を備えた積層グレージングを形成するため2枚のガラス板の間に取り入れることを意図した粘弾性プラスチック中間層に関する。この中間層は、振動音響減衰特性を備えた粘弾性プラスチックで製作した少なくとも1つの層を含む。
【0021】
上記の中間層は、間に該中間層が組み入れられるおのおのが2.1mmの厚さの2枚のガラス板から構成された25mm×300mmの表面積を有する積層グレージングバーの、ISO 16940標準規格に従って20℃での機械インピーダンスの測定(MIM)(4mmでなく2.1mmであるバーのガラス板の厚さに関して唯一の違いがある)により求められる第2共振モードの共振振動数f2が760Hzと1000Hzの間であり、同じ条件下でMIMにより求められる同じバーの第2共振モードの損失係数η2が0.25以上であるようなものである。
【0022】
発明者らは、後に理解されるように、これらの特性を有する中間層は、向上した音響特性を持つ既知の中間層を取り入れた標準的厚さのガラスを用いた積層グレージングのものと同等であるかあるいは更に優れた音響性能の、薄くした積層グレージングを得るのを可能にするということを実証した。
【0023】
本発明による中間層は、2枚のガラス板の間に取り入れて積層グレージングを形成しようとするものである。
【0024】
図2は、本発明によるグレージングの断面図を示している。
【0025】
このグレージングは、本発明による中間層が間に挿入された2枚のガラス板1、2を含む。中間層のガラス板へのしっかりとした結合が、既知の手段によって、例えばガラス板と中間層とを積み重ねそしてこの集成体をオートクレーブ内に送ることによって、なされる。
【0026】
グレージングのガラス板1は、車両の外部に面するようにしようとするものであるのに対して、ガラス板2は、車両の内部に面するようにしようとするものである。ガラス板1は、グレージングにより外部からの攻撃(荒れ模様の天気、砂利の飛来など)からより良好に保護することができるように、ガラス板2よりも厚いことが好ましい。具体的には、ガラスが厚くなればなるほど、その機械的強度は大きくなる。しかし、ガラスが厚くなればなるほど、それは重くなる。従って、機械的強度とグレージングの重量との間で妥協点を見つけなければならない。よって、ガラス板1の厚さは、例えば0.5mmと2.6mmの間、好ましくは1.4mmと2.0mmの間であり、ガラス板2の厚さは、例えば0.5mmと1.6mmの間、好ましくは1.1mmと1.5mmの間である。
【0027】
既存のグレージングでは、ガラス板1の厚さは一般に2.1mmであり、ガラス板2の厚さは一般に1.6mmであって、すなわち3.7mmの合計厚さである。
【0028】
本発明によるグレージングは、合計のガラス厚さが厳密に3.7mm未満であり、好ましくは3.2mm以下である。
【0029】
好ましくは、本発明によれば、グレージングの重量を制限してそのようなグレージングを装備した車両の燃料消費量を減らすのを可能にするように、ガラス板1の厚さは1.8mm、ガラス板2の厚さは1.4mmである。これはまた、グレージングの取り扱いをより容易にし且つ材料を節約するのも可能にする。
【0030】
本発明によるグレージングは、厚さ1.6mmのガラス板1と厚さ1.2mmのガラス板2を有してもよく、あるいは厚さ1.4mmのガラス板1と厚さ1.1mmのガラス板2を有してもよい。
【0031】
中間層は、振動音響減衰特性を備えた粘弾性プラスチックで作製した少なくとも1つの層3により構成される。それは、ポリビニルブチラールと可塑剤とを基礎材料とするのが好ましい。可塑剤の含有量と性質及びポリビニルブチラールのアセタール化度とが、ポリビニルブチラールと可塑剤とを基礎材料とする構成部品の剛性を既知の方法で変更するのを可能にする。
【0032】
図2の例では、中間層は、層3が間に挿入された、外層と呼ばれる2つの層4、5も含んでいる。
【0033】
外層4、5は、標準的なPVBで製作されるのが好ましい。層3は、適切に振動して所望の音響減衰を保証するように、外層4、5ほど硬質ではない。
【0034】
別の実施形態として、中間層は、振動音響減衰特性を備えた粘弾性プラスチックで製作され、標準的なPVBの層で任意選択的に取り囲まれた、少なくとも2つの層を含んでもよい。
【0035】
中間層の音響特性は、本発明による中間層、すなわち振動音響減衰特性を備えた粘弾性プラスチックの層を少なくとも1つ含む中間層、を間に取り入れた、おのおのの厚さが2.1mm(ISO 16940標準規格で推奨されるように4mmの厚さでなく)の2枚のガラス板で構成された表面積が25mm×300mmの積層グレージングバーの、ISO 16940標準規格に準拠した20℃での機械インピーダンスの測定(MIM)によって求められる。
【0036】
MIMは、積層グレージングバーの種々の共振モードの共振振動数と損失係数を求めるのを可能にする。
【0037】
中間層は、MIMで求めた積層グレージングバーの第2共振モードの共振振動数f2が760Hzと1000Hzの間であり、そしてMIMで求めた積層グレージングバーの第2共振モードの損失係数η2が0.25以上であれば、本発明によるものである。
【0038】
好ましくは、共振振動数f2は800Hzと900Hzの間であり、これは向上した音響性能品質を有することを可能にする一方で、臨界振動数に至る以前に積層グレージングの弱体化するレベル未満に低下させるのを可能にする。より好ましくは、共振振動数f2は800Hzと850Hzの間であり、これはより向上した音響性能品質を有することを可能にする一方で、臨界振動数に至る前に積層グレージングの弱体化するレベル未満に更に低下させるのを可能にする。
【0039】
好ましくは、損失係数η2は0.30より大きく、これは向上した音響性能品質を有することを可能にする一方で、音響減衰の向上を可能にする。
【0040】
機械インピーダンスの測定(MIM)は、積層グレージングバー組み立ての少なくとも1箇月後に行われ、積層グレージングバー自体は中間層の製造の少なくとも1箇月後に組み立てられる。これは、中間層と積層グレージングが安定な状態を獲得し、それゆえに信頼できる値の測定を確実にするのを可能にする。
【0041】
図1は、3つのフロントガラスについて測定した、振動数の関数としての防音性の曲線を示している。このグレージングの防音性は、当該グレージングを装備した車両について観測することができる音響性能品質を検討するものである。
【0042】
第1のフロントガラス(21−16既知)は、
・厚さがそれぞれ2.1mmと1.6mmの2枚のガラス板、及び、
・標準的なPVBで作製した2つの外層と振動音響減衰特性を備えた粘弾性プラスチックで作製した中心層とを含む中間層であって、共振振動数f2が675Hz(±15Hz)であり損失係数η2が0.35(±0.03)に等しい中間層、
を含む。
【0043】
この第1のフロントガラスは、音響減衰特性を備えた既知の中間層を有する標準的なフロントガラスに相当する。
【0044】
第1のフロントガラスの防音性の曲線(ひし形で示した)は、約6500Hzで一時的な下落を示している。
【0045】
第2のフロントガラス(18−14既知)は、
・厚さがそれぞれ1.8mmと1.4mmの2枚のガラス板、及び、
・標準的なPVBで作製した2つの外層と振動音響減衰特性を備えた粘弾性プラスチックで作製した中心層とを含む中間層であって、共振振動数f2が675Hz(±15Hz)であり損失係数η2が0.35(±0.03)に等しい中間層、
を含む。
【0046】
この第2のフロントガラスは、第1のフロントガラスのものと同一の中間層を有する薄型化したフロントガラスに相当する。
【0047】
第2のフロントガラスの防音性の曲線(正方形で示した)は、約5000Hzまでは第1のフロントガラスのものと同様の挙動を示しているが、下落部は約8000Hzの高い振動数の方へシフトしている。下落部のこのシフトは、このフロントガラスが人間の耳にとって不愉快な高い振動数の空気騒音が通過するのを可能にすることを意味するので、非常に厄介である。
【0048】
第3のフロントガラス(18−14本発明)は、
・厚さがそれぞれ1.8mmと1.4mmの2枚のガラス板、及び、
・標準的なPVBで作製した2つの外層と振動音響減衰特性を備えた粘弾性プラスチックで作製した中心層とを含む中間層であって、共振振動数f2が800Hz(±15Hz)であり損失係数η2が0.30(±0.03)に等しい中間層、
を含む。
【0049】
この第3のフロントガラスは、本発明による中間層を備えた薄型化したフロントガラスに相当する。
【0050】
第3のフロントガラスの防音性の曲線(三角形で示した)は、第1のフロントガラスのものと同様の挙動を示しており、下落部は約6500Hzに集中していて、防音性の値は第1のフロントガラスのものと同様である。
【0051】
このように、本発明による中間層を備えたフロントガラスは実際に、グレージングを薄型化することに伴う音響上の悪化を相殺するのを可能にする。
【0052】
本発明による積層グレージングは、自動車のフロントガラスとして使用することができる。この場合、それは当然ながら、機械的強度を確保するための強力な衝撃強さの国連の規則43(規則R43として知られる)の全ての条件を満たす。このために、標準的なPVBで作製した2つの外層を含む中間層の場合は、これらの外層4、5の厚さは、例えばフランス国特許出願第0952567号明細書によって、既知のやり方でもって適合させられる。
本発明の典型的な態様としては、以下を挙げることができる:
《態様1》
振動音響減衰特性を備えた積層グレージングを形成するため2枚のガラス板の間に取り入れることを意図した粘弾性プラスチック中間層であって、該中間層は振動音響減衰特性を備えた粘弾性プラスチック製の層(3)を少なくとも1つ含み、該中間層は、間に該中間層が取り入れられるおのおのが2.1mmの厚さの2枚のガラス板から構成された表面積が25mm×300mmの積層グレージングバーの、ISO 16940標準規格に従って20℃での機械インピーダンスの測定(MIM)により求められる第2共振モードの共振振動数fが760Hzと1000Hzの間であり、同じ条件下でMIMにより求められる同じバーの第2共振モードの損失係数ηが0.25以上であるようなものである、粘弾性プラスチック中間層。
《態様2》
前記層(3)がポリビニルブチラールと可塑剤とを基礎材料としている、態様1記載の中間層。
《態様3》
前記共振振動数fが800Hzと900Hzの間であり、好ましくは800Hzと850Hzの間である、態様1又は2記載の中間層。
《態様4》
前記損失係数ηが0.30より大きい、態様1〜3の1つに記載の中間層。
《態様5》
標準的なPVBで作製した2つの外層(4、5)を更に含み、前記層(3)がこれら2つの外層(4、5)の間にある、態様1〜4の1つに記載の中間層。
《態様6》
前記機械インピーダンスの測定を前記積層グレージングバーの組み立ての少なくとも1箇月後に行い、当該積層グレージングバー自体を当該中間層の製造の少なくとも1箇月後に組み立てる、態様1〜5の1つに記載の中間層。
《態様7》
・厚さが0.5mmと2.6mmの間のガラス板(1)、
・厚さが0.5mmと1.6mmの間のガラス板(2)、
・これらのガラス板(1、2)の間にある、態様1〜6のいずれか1つに記載の中間層、
を含むグレージングであり、該ガラス板(1、2)の合計の厚さが厳密に3.7mm未満であるグレージング。
《態様8》
態様7記載のグレージングを含む自動車であって、厚さが0.5mmと2.6mmの間の前記ガラス板(1)が該自動車の内部に面するようにされ、厚さが0.5mmと1.6mmの間の前記ガラス板(2)が該自動車の内部に面するようにされている自動車。
《態様9》
態様7記載のグレージングの自動車フロントガラスとしての使用。
図1
図2