【課題を解決するための手段】
【0013】
第1の態様において、本発明は、スタックを有する発光半導体デバイスを提供し、該スタックは、カソード(特にはカソード層とし得る)と、300−900nmの範囲内での発光を持つ発光(酸化物)材料を有する半導体層と、(酸化物)絶縁層と、アノード(特にはアノード層とし得る)とを有し、前記カソードは前記半導体層と電気的に接触し、前記アノードは例えば金属酸化物層などの前記絶縁層と電気的に接触し、前記絶縁層は50nm以下の範囲内(すなわち、>0nm且つ≦50nm)の厚さを有
し、前記半導体層は、1−350ppmのAlを有するアルミニウムドープされた酸化マグネシウム亜鉛層を有する。
【0014】
このアプローチは、デバイススタック内への絶縁層の組み込みによって、すなわち、金属−絶縁体−半導体−金属(MISM)ダイオードによって、ダイオードを実現するものである。カソード又はアノードは、原理的に、それぞれカソード材料又はアノード材料として好適な如何なる材料ともし得る。特に、カソード又はアノードの少なくとも一方は透過性である。一実施形態において、カソードは、アルミニウムでドープされたZnO、又は酸化インジウムスズ(ITO)を有する。故に、一実施形態において、カソードは透過性である。ここでは、用語“透過性”は、その層が活性層の発光を透過させることを指し示す。更なる一実施形態において、アノードは、例えば金若しくは白金又はこれらの組み合わせなどの貴金属とし得る。
【0015】
半導体層の好適材料は、特に、例えば酸化亜鉛、酸化マグネシウム亜鉛、硫化亜鉛、セレン化亜鉛、酸化カドミウム、硫化カドミウム及びセレン化カドミウムなどの、亜鉛又はカドミウムの酸化物、硫化物又はセレン化物とすることができ、特には、ZnO、(Zn,Mg)O、ZnS、ZnSe、CdO、CdS、CdSeとし得る。また、酸硫化ガドリニウムのような酸硫化物も適用され得る。また、ZnO:Al、(Zn,Mg)O:Al、ZnO:Mn、(Zn,Mg)O:Mnなどのような、これらの材料のドープバージョンも適用され得る。故に、一実施形態において、発光材料は、ZnO、(Zn,Mg)O、ZnS、ZnSe、CdO、CdS、CdSe、及び(ZnO:Al、(Zn,Mg)O:Al、ZnO:Mn、(Zn,Mg)O:Mnなどのような)これらの何れかのドープされたもの、からなる群から選択される。また、可視域での発光を示すその他の半導電性材料が適用されてもよい。場合により、ZnTeのようなテルル化物が適用されてもよい。
【0016】
従って、特定の一実施形態において、半導体層は、酸化(マグネシウム)亜鉛及び酸化カドミウムからなる群から選択された発光材料を有する。ここでは、半導体層を、“活性層”とも称する。一実施形態において、この層は、例えば、CVD若しくはスパッタリング(及びアニール)、又はここに記載されるような技術的に知られたその他の技術によって取得可能な層などの、非粒状層である。しかしながら、他の一実施形態において、この層は、例えば半導電性ナノ粒子を有する層などの微粒子層を有する。他の一実施形態において、この層は、(半導電性)量子ドットを有する。この層は特には、多くても5%の気孔率を有する連続的な層である。
【0017】
用語“(酸化物)発光材料”は、発光材料が、例えばZnOなどの金属酸化物材料であり得ることを指し示す。しかしながら、発光層はまた、硫化物やセレン化物などの発光材料を有していてもよい(上記参照)。
【0018】
半導体層は、400−700nmのような、例えば300−800nmの範囲内などの、300−900nmの範囲内での発光を持つ発光材料を有する。特に、半導体層は、その発光の少なくとも一部を、光スペクトルのうちの可視部に有する。同様に、このことは、後述の発光材料にも当てはまり得る。
【0019】
ここでの白色光なる用語は、当業者に知られたものである。それは特に、約2000と20000Kとの間、特には2700−20000K、一般照明では特に約2700Kから6500Kの範囲、そしてバックライティング目的では特に約7000Kから20000Kの範囲の相関色温度(CCT)を有し、且つ特にBBL(黒体軌跡)から約15SDCM(カラーマッチングの標準偏差)以内、特にはBBLから約10SDCM以内、いっそう特にはBBLから5SDCM以内の光に関係する。用語“紫外光”又は“紫外発光”は特には、約380−440nmの範囲内の波長を有する光に関係する。用語“青色光”又は“青色発光”は特には、約440−490nmの範囲内(一部の紫及び青緑の色相を含む)の波長を有する光に関係する。用語“緑色光”又は“緑色発光”は特には、約490−560nmの範囲内の波長を有する光に関係する。用語“黄色光”又は“黄色発光”は特には、約560−590nmの範囲内の波長を有する光に関係する。用語“橙色光”又は“橙色発光”は特には、約590−620nmの範囲内の波長を有する光に関係する。用語“赤色光”又は“赤色発光”は特には、約620−750nmの範囲内の波長を有する光に関係する。用語“可視光”又は“可視発光”は、約380−750nmの範囲内の波長を有する光を表す。
【0020】
活性層(材料)の具体的な実施形態を以下にて説明するが、先ずは絶縁層を説明する。
【0021】
上述のように、特に良好な結果は、障壁層と称することもある(酸化物)絶縁層の存在によって得られる。用語“酸化物絶縁層”は、障壁層が金属酸化物層であることを指し示す。この層はまた、場合により異なる金属酸化物の、複数の層を有し得る。用語“金属酸化物”はまた、混合された金属酸化物をも表し得る。この絶縁層は好ましくは、活性層の光学特性に影響を及ぼすべきでない。換言すれば、絶縁層は好ましくは、活性層の発光帯の発光位置に影響を及ぼすべきでない。特に、絶縁層又はバリア層は、活性層上に絶縁層を設ける間以外にも、活性層上に絶縁層を設ける間以外にも、あるいは活性層上に絶縁層を設ける間にも(“反転構造”)、活性層と実質的に反応しない。従って、空気中で安定であり、且つアニール(下記参照)を受けても、例えばZnO蛍光体層(下記参照)などの、下に位置する活性層と混ざり合わない阻止層、を有することがとても望ましい。そのような層の良い候補は、ZnO内で非常に限られた溶解性を有する化学量論的な酸化物であるZrOである。特に、この酸化物絶縁層は、SiO
2、MgO、SrTiO
3、ZrO
2、HfO
2、及びY
2O
3からなる群から選択される。更なる一変形例において、絶縁層は、例えば少なくとも5eV、特には少なくとも5.5eVのバンドギャップを有するなどの、高いバンドギャップの誘電体材料である。絶縁層はまた、酸化物以外の材料を有していてもよい。
【0022】
更に望ましくは、絶縁層の価電子帯及び伝導帯の位置は、絶縁層の(材料の)伝導帯が活性層の(材料の)伝導帯のそれより高いように位置する。さらに、絶縁層の(材料の)価電子帯の位置は活性層の(材料の)価電子帯の近傍内にし得る。
【0023】
特に、発光材料は、CBp>VBpとして、CBp eVにある伝導帯と、真空準位からVBp eVにある価電子帯とを有し、障壁層は、CBb>VBbとして、CBb eVにある伝導帯と、真空準位からVBb eVにある価電子帯とを有し、CBb>CBpであり、且つCBb≧CBp+0.25eVである。さらに、一実施形態において、特に、VBb≦VBp+1.5eVであり、いっそう特には、VBb≦VBp+1eVである。0Vにある真空準位が基準として使用される。
【0024】
Vc及びVbは通常、負の値を有する。故に、Vc>Vbであるとき、これは、|Vc|が|Vb|より小さいことを意味する。このような条件は、デバイスの効率の点で最良の結果を与え得る。例えば、活性層の伝導帯に近過ぎる、あるいは更にはそれより低い障壁層の伝導帯は、活性層内の電子輸送を阻止するのに必要な障壁が消失してしまっているので、上述のような障壁層と比較して非効率な発光につながり得る。特に、CBb≧CBp+0.35eVであり、いっそう特には、CBb≧CBp+0.5eVである。また、上述のように、特に、VBb≦VBp+1.5eVであり、いっそう特には、VBb≦VBp+1eVである。
【0025】
一例を挙げるに、(活性層の)発光材料は、−4eVにある伝導帯及び−7eVにある価電子帯を有し得る。このように、CBp>VBpである。また、障壁層は例えば、−3eVにある伝導帯及び例えば−6eV若しくは−8eVにある価電子帯を有し得る。このように、CBb>VBbである。さらに、CBb≧CBp+0.25eV及びVBb≦VBp+1eVも当てはまる。
【0026】
特に、絶縁層の厚さはトンネリング限界の範囲内である。故に、絶縁層は、特に50nm以下の厚さ、例えば30nm以下などの厚さ、特には2−30nmの範囲内のような厚さ、少なくとも4nmのような厚さを有する。
【0027】
ここで、高められた量子効率及びスペクトルの可視部での発光を有する新たな部類の酸化亜鉛ベースの蛍光体も提示する。それらはまた、例えばスパッタリングなどのロバストで大面積の薄層堆積技術を受け入れ可能であるとともに、上述のデバイス内の活性層の材料としても使用され得る。マグネシウムと微量のアルミニウムとの双方を組み入れ、次いで、特には空気中である非還元雰囲気内でアニールを行うことによって、促進された発光が達成される。促進された発光は、Al又はMgの何れかそれ自体に由来するもののようではなく、(変更された)ZnO格子内の放射性の欠陥(これの性質及び数が添加物によって影響されると考えられる)に起因する。Al及びMgの双方の存在は、相乗効果を有するようである。これらZnOベースの材料は、大面積LEDの発光層に関する有望な候補である。ここでは、発光層を、“活性層”とも称する。用語“活性層”は、半導体デバイスが適切条件下で駆動されるときに半導体デバイス内のこの層が所望のルミネッセンス(発光)を示すことを指し示す。この層は特に、例えば50nm−1000nm(1μm)の範囲内の厚さを有するものなどの薄膜である。この層は特に、多くても5%の気孔率を有する連続的な層である。
【0028】
更なる一態様において、本発明は、酸化亜鉛又は酸化マグネシウム亜鉛をベースとする層、特に酸化マグネシウム亜鉛ベースの層、を活性層として有し、酸化マグネシウム亜鉛ベースの層が、1−350ppmのAlを有した、アルミニウムドープされた、酸化マグネシウム亜鉛層を有する(あるいは特に、これで構成される)(発光)半導体デバイス(ここでは“デバイス”とも称する)を提供する。このアルミニウムドープ酸化マグネシウム亜鉛層の酸化マグネシウム亜鉛はZnO型であり、故に、より正確には(Zn,Mg)Oであり、すなわち、特には(Zn,Mg)O:Al層が提供される。Alドーパントに代えて、あるいは加えて、Mn(マンガン)のような他のドーパントも適用され得る。
【0029】
特に、本発明は、酸化マグネシウム亜鉛ベースの層を活性層として有する半導体デバイスを提供し、この酸化マグネシウム亜鉛ベースの層は、アルミニウムドープ酸化マグネシウム亜鉛層を有し(いっそう特に、これで構成され)、このアルミニウムドープ酸化マグネシウム亜鉛層は、1−350ppmのAlを有するZn
1−xMg
xOなる組成式(名目組成)を有し、を有し、xは0<x≦0.3の範囲内である。“1−350ppmのAlを有するZn
1−xMg
xO”なる表現はまた、技術的に知られているように、Zn
1−xMg
xO:Al(1−350ppm)とも示される。ここで、用語“組成式”は、そこに指し示される組成がその中で量ったままの組成に関係するときに適用される。故に、この組成式はまた、“1−350ppmのAlを有する(1−x)ZnO
*xMgO”とも示され得る。
【0030】
効率及び電気抵抗に関して望ましい特性を有する相対的に高効率の活性層が提供されると考えられる。また、このような層は、比較的容易に製造され得る。Mgを有しないかAlを有しないかの層は、あまり効率的でない。また、より高いAl含有量を有する層は、望ましくない導電特性を有し得る。
【0031】
Mg(マグネシウム)は、少なくとも部分的にZnO格子内に組み込まれ得る(代わりに、MgOがZnO格子内に溶解するとも云い得る)。組成式内でMgの量はxで指し示され、これは、特に0<x≦0.3の範囲内、いっそう更には最大で0.2である。0.02<x≦0.2の範囲内で、最良の光学特性を得ることができ得る。xの内在値は、或る層では約0.15のように、特に0.1−0.2とすることができるが、多結晶材料では、xの値は特に0.04又はそれ未満となり得る。内在値は、混合酸化物のx値を表す。酸化亜鉛内のMgの存在は、XRD(x線回折)、又はSIMS、RBS若しくはICP/MSから決定されることができる(下記も参照)。
【0032】
Al(アルミニウム)に関しては、1−350ppm(百万分の一)のAl、特に1−200ppm、いっそう特には1−100ppmが、良好な光学特性を与えるとともに、高い導電率(これは、望ましくないものであり、高いAl量が使用されるときに起こり得る)をもたらさない。例えば5−100など、2−100ppmの範囲内のAl量が、特に適したものとなることがあり、更には、例えば2−70ppm、例えば10−60ppm、20−60ppmのような、特には30−50ppmのような、2−80ppmの範囲も使用することができる。一実施形態において、アルミニウム含有量は、少なくとも10ppmである。アルミニウムは、ドーパントとして、酸化マグネシウム亜鉛格子内に部分的に存在し得る。Alは、Zn又はMgの格子位置を置換してもよいし、格子内の格子間位置を形成あるいは占有してもよい。Alの存在は、材料のSIMS(二次イオン質量分析)又はRBS(ラザフォード後方散乱)に反映され得る。必要に応じて、Alの存在を検出するために、ICP/MS(誘導結合プラズマ質量分析法)を伴うレーザ切断を用いることができる。ドーパントのppm値は、系の全モル量に関係する。故に、1モルのZn
1−xMg
xO:Al内の10μモルのAlは、10ppmの値のAl、すなわち、Zn
1−xMg
xO:Al(10ppm)をもたらすことになる。
【0033】
従って、特定に一実施形態において、酸化マグネシウム亜鉛は、5−100ppmのAlを含有し、xは0.02<x≦0.2の範囲内である(名目組成)。また、特に、酸化マグネシウム亜鉛(ベース層)内の硫黄含有量は50ppm未満である。より高い硫黄含有量は、所望の組成の層を容易に形成することができない系をもたらし得る。半導体応用では、アルミニウムドープ酸化マグネシウム亜鉛層の層厚は、例えば少なくとも100nmなど、50−1000nmの範囲内とし得る。このような活性層を形成し得る手法については、以下にて更に説明する。
【0034】
このようなアルミニウムドープ酸化マグネシウム亜鉛層の活性層を有する半導体デバイスは、可視光、特に500−650nmの波長域内に主波長を有する可視光を生成するのに、有利に使用されることができる。主波長なる用語は、指し示されるスペクトル領域内に発光強度の最大値が見い出されることを指し示す。また、xが0<x≦0.3の範囲内である1−350ppmAlを有する組成式Zn
1−xMg
xOを持つアルミニウムドープ酸化マグネシウム亜鉛層は、1cm
2以上のダイ面積を少なくとも有する大面積LEDにおける活性層として有利に使用されることができると考えられる。
【0035】
ZnOの前提は、kTより大きい60meVの励起子結合エネルギーによる、ダイ面積照明への適用である。III−V族LED(例えばGaNなど)においては、結合エネルギーがkTより小さい。故に、高いフォトルミネッセンス効率のためには、非放射性の欠陥を回避しなければならない。エピタキシャル成長された薄膜が必要であるが、そのテクノロジーを大面積にスケーリングすることはできない。一方、OLEDにおいては、励起子結合エネルギーが約0.5eVである。ロール・ツー・ロールプロセスによって製造される非晶質膜内で光を生成することができる。OLEDでの課題は原価及び封止である。
【0036】
大きい結合エネルギーが、ZnOを、耐欠陥性のホスト材料にする。エピタキシャル薄膜は必要でなく、大面積にわたって堆積される多結晶の薄膜を用いて、高い効率を得ることができ得る。数多くの論文が、様々な堆積法によって製造した多結晶酸化物LEDからの発光を報告している。現状の効率は低いが、必ずしも本質的限界が存在するわけではない。効率を最適化することができるとき、それは、大面積の半導体照明のための道を開くことになる。その利点は、産業的に確立された堆積技術を用いて大面積に製造されることが可能な、低コストで環境的に安定なダイオードである。
【0037】
技術的に理解され得るように、ZnOベースの層は、半導体デバイスの電極間に挟み込まれることがある。半導体デバイスを実現するためのZnOベースの層の更なる変更も付含められ得る。例えば、必要に応じて、1つ以上の電子阻止層又は正孔阻止層が設けられ得る。これは効率を向上させ得る。1つ以上の電子阻止層又は正孔阻止層は、スタック内の異なる位置に配置され得る。
【0038】
従って、一実施形態において、本発明は、1−350ppmのAlを有するアルミニウムドープ酸化マグネシウム亜鉛層を半導体層が有する発光半導体デバイスを提供する。特に、半導体層は、組成式Zn
1−xMg
xOを有し、1−350ppmのAlを有し、xは0<x≦0.3の範囲内である。
【0039】
スタックは特に、カソードと、発光(酸化物)材料を有する半導体層と、(酸化物)絶縁層と、アノード(及びサポート(支持体))とを有する。必要に応じて、サポートとカソード又はアノードとの間に、1つ以上のその他の(機能)層が存在し得る。また、必要におじて、カソードと半導体層との間に、1つ以上のその他の機能層が存在し得る。特に、半導体層と(酸化物)絶縁層(障壁層)との間、及び障壁層とアノードとの間には、更なるその他の層は存在しない。しかしながら、半導体層とアノードとの間の絶縁層に加えて(あるいは代えて)、スタック内に、必ずしもアノード(又はカソード)と接触しない1つ以上の更なる(あるいはその他の)他の阻止層が存在してもよい。しかしながら、正孔注入の手助け及び支援のため、殊にアノードの位置のものは設けられる。
【0040】
本発明はまた、半導体デバイス内の活性(薄)層としてのみでなく、(微粒子状)発光材料それ自体も提供する。従って、上述のように、本発明はまた、Alでドープされた酸化マグネシウム亜鉛を有する発光材料を提供する。この酸化マグネシウム亜鉛はZnO型であり、故に、特には(Zn,Mg)O:Alが提供される。従って、本発明はまた、組成式Zn
1−xMg
xOを有し、1−350ppmのAlを有し、xは0<x≦0.3の範囲内であるという、Alでドープされた酸化マグネシウム亜鉛を有する発光材料を提供する。これは、微粒子状又は粒状の材料となり得る。Mg含有量及びAl含有量に関する好適範囲は、アルミニウムドープ酸化マグネシウム亜鉛層に関して上述したものと同じである。例えば、この酸化マグネシウム亜鉛(発光材料)は、5−40ppmのAlを含有することができ、xは0.02<x≦0.2の範囲内である。組成式“Zn
1−xMg
xO”が適用されるということは、例えば最大で5%程度など(小さく)非化学量論的なバリエーションを排除するものではない。また、この化学組成式は、アルミニウム(及びマンガン)以外のドーパントの存在を排除するものではない。例えば、硫黄も存在してもよい。一実施形態において、硫黄は存在しない。
【0041】
本発明はまた、ここに記載される発光半導体デバイスを製造する方法を提供する。従って、更なる一態様において、本発明は、発光半導体デバイスを製造する方法であって、当該方法は、サポートを用意して前記サポート上にスタックを形成することを有し、前記スタックは、カソードと、300−900nmの範囲内での発光を持つ発光材料を有する半導体層と、(酸化物)絶縁層と、アノードとを有し、前記カソードは前記半導体層と電気的に接触され、前記アノードは前記絶縁層と電気的に接触され、前記絶縁層は50nm以下の範囲内の厚さを有する、方法を提供する。このようなデバイスは、従来からの半導体製造テクノロジーを用いて製造され得るが、半導体層すなわち活性層の形成は、特にパルスレーザ蒸着(PLD)及び無線周波数(RF)スパッタリングによって行われ得る。故に、一実施形態において、この層の形成は、パルスレーザ蒸着(PLD)及び無線周波数(RF)スパッタリングからなる群から選択された堆積技術を有する。同様に使用され得る他の技術は、例えば、原子層成長(ALD)、化学気相成長(CVD)及び例えば有機金属CVD(MOCVD)若しくはプラズマCVD(PECVD)などのCVDの変形、水熱成長、噴霧熱分解などであり、概して如何なる物理的及び化学的な蒸着技術も適用され得る。同様に、このことは、スタック内のその他の層のうちの1つ以上にも当てはまり得る。
【0042】
一実施形態において、この製造法は、サポート上にカソードを形成し、カソード上に半導体層を形成し、半導体層上に(酸化物)絶縁層を形成し、(酸化物)絶縁層上にアノードを形成し、次いで、スタックをアニールすることを有し、アニールは、400−1100℃の範囲内の温度で実行される。しかしながら、逆にした構築も可能である。
【0043】
上述のように、絶縁層の伝導帯及び価電子帯について特に、CBb>CBp、特にはCBb≧CBp+0.25、及び/又はVBb≦VBp+1.5eV、いっそう特にはVBb≦VBp+1eVを適用する。CBbは障壁の伝導帯を表し、CBpは活性層(フォトルミネッセント層)の伝導帯を表し、同様に、VBbは障壁の価電子帯を表し、VBpは活性層の価電子帯を表す。例えば、(酸化物)絶縁層は、SiO
2、MgO、SrTiO
3、ZrO
2、HfO
2、及びY
2O
3からなる群から選択される。好適な発光材料についても上述してある。
【0044】
特定の一実施形態において、(斯くして形成された)半導体層は、組成式Zn
1−xMg
xOを有し、1−350ppmのAlを有し、xは0<x≦0.3の範囲内である。更なる一実施形態において、この方法は、(a)Zn、Mg及びAlを有する組成物を用意し、該組成物は、組成式Zn
1−xMg
xOを有し、1−350ppmのAlを有し、xは0<x≦0.3の範囲内であり、必要に応じて、上昇させた温度で該組成物を熱処理し、且つ(b)その後、前記必要に応じて熱処理された組成物をアニールして、アルミニウムドープされた酸化マグネシウム亜鉛を提供することを有する。
【0045】
上述のように、本発明はまた、上述したようなアルミニウムドープ酸化マグネシウム亜鉛を製造する方法を提供する。従って、更なる一態様において、本発明は、アルミニウムドープされた酸化マグネシウム亜鉛を製造する方法を提供し、当該方法は、(a)Zn、Mg及びAlを有する組成物を用意し、該組成物は、組成式Zn
1−xMg
xOを有し、1−350ppmのAlを有し、xは0<x≦0.3の範囲内であり、必要に応じて、上昇させた温度で該組成物を熱処理し、且つ(b)その後、前記必要に応じて熱処理された組成物をアニールして、上記のアルミニウムドープされた酸化マグネシウム亜鉛を提供することを有する。
【0046】
いっそう特には、本発明は、組成式Zn
1−xMg
xOを有し、1−350ppmのAlを有し、xは0<x≦0.3の範囲内であるという、アルミニウムドープ酸化マグネシウム亜鉛の製造方法を提供する。これは、(微粒子状)発光材料を生成する方法を含み得るが、これはまた、基板上に薄層を作り出す方法を含み得る。特に、この方法は、所定の組成式を有するZn、Mg及びAlを有する組成物を、上昇させた温度で(特に、酸化条件下で)熱処理することと、その後、熱処理した組成物をアニールして、アルミニウムドープ酸化マグネシウム亜鉛を提供することとを有する。“Zn、Mg及びAlを有する組成物”なる表現は、特に、Zn、Mg及び/又はAlをそれぞれ有する1つ以上の化合物を意味し得る。これらはまた、前駆物質とも称され得る(下記参照)。
【0047】
組成物なる用語は、一実施形態において、例えば、金属酸化物、又は、硝酸塩、硫酸塩、塩化物、フッ化物、臭化物、水酸化物、例えばシュウ酸塩などのカルボン酸塩のような金属塩などの、発光材料の1つ以上の前駆物質の組み合わせに関係し得る。必要に応じて、例えば硫化亜鉛などの硫化物(又は、更に必要に応じて、セレン化物及び/又はテルル化物)も前駆物質として適用され得る。特に、金属酸化物、硝酸塩、塩化物、水酸化物、及びカルボン酸塩(例えばシュウ酸塩など)のうちの1つ以上が適用される。これらの前駆物質種類のうちの2つ以上の組み合わせも適用されることができる。熱処理により、アルミニウムドープ酸化マグネシウム亜鉛が形成され得るが、特には、この材料はアニール中に形成され得る。熱処理及びアニールは、一実施形態において、少なくとも多結晶材料が形成されるまで行われ得る。
【0048】
他の一実施形態において、この組成物は基板上に形成され得る。これは、昇温下で実行され得る。例えば、基板が加熱され得る。従って、方法の特定の一実施形態において、当該方法は、組成式Zn
1−xMg
xOを有し、1−350ppmのAlを有し、xは0<x≦0.3の範囲内であるという、アルミニウムドープされた酸化マグネシウム亜鉛ベースの層を形成することを有し、当該方法は、所定の組成式を有するZn、Mg及びAlを含む組成物を有する層を、上昇された温度の基板上に形成することと、斯くして形成した層をアニールして、アルミニウムドープされた酸化マグネシウム亜鉛ベースの層を提供することとを有する。このような一実施形態において、この層の形成は、パルスレーザ蒸着(PLD)及び無線周波数(RF)スパッタリングからなる群から選択された堆積技術を有する。しかしながら、その他の堆積技術も適用され得る(上記参照)。
【0049】
ターゲット材料として、上記酸化物を適用することができ、あるいは混合した酸化物を適用してもよい。特に、ターゲット材料として、(結晶性)アルミニウムドープ酸化マグネシウム亜鉛が適用される。従って、この方法は特に、組成式Zn
1−xMg
xOを有し、1−350ppmのAlを有し、xは0<x≦0.3(名目組成)の範囲内であるという、アルミニウムドープ酸化マグネシウム亜鉛(ここでは、ターゲット材料)のパルスレーザ蒸着又はRFスパッタリングによる、上記酸化マグネシウム亜鉛の層の基板上への堆積を有し得る。パルスレーザ蒸着(PLD)及び無線周波数(RF)スパッタリングを用いることで、所望の組成を有する層が基板上に堆積され得る。斯くして、半導体デバイス用のII−VI族半導体層が作り出され得る。
【0050】
用語“所定の組成式”は特に、最終生成物、すなわち、組成式Zn
1−xMg
xOを有し、1−350ppmのAlを有し、xは0<x≦0.3の範囲内であるというアルミニウムドープ酸化マグネシウム亜鉛、の所望の組成を元素の比がもたらすように、開始成分又は組成物が構成されるということに関係する。上述のように、式“1−350ppmのAlを有するZn
1−xMg
xO”から得ることが可能な値は、検量される組成を意味し、これが酸化マグネシウム亜鉛を形成する。形成される材料は、酸化マグネシウム亜鉛に加えて、場合により(残存する)MgOを有し得る。
【0051】
(半導体層すなわち活性層の)堆積に関し、この堆積は特に、或る堆積時間の間に実行され、その堆積時間のうちの少なくとも一部の間、基板が、RFスパッタリングで450℃以上、又はパルスレーザ蒸着では500℃以上の温度に維持される。上述の技術を用いると、0.6nm/sのような、例えば0.4−0.8nm/sなどの、約0.3−1nm/sの速度で層が成長され得る。
【0052】
(第1の)熱処理は、特に450℃以上の温度においてであるが、発光材料の合成では、例えば1100℃以上などの900℃以上の温度でさえも選択され得る。例えば、発光材料の提供のための熱処理の場合、温度は1000−1800℃の範囲内とし得る。その後、材料が冷却され、すりつぶされ(微粒子材料の場合)、そして、アニールに掛けられ得る。半導体層を作製する場合、(第1の)熱処理は一般に450℃以上であるが800℃以下においてとなる。しかしながら、更なる他の一実施形態において、450℃より低い温度の基板にて堆積が行われる。必要に応じて、基板は室温でさえあってもよい。しかしながら、特には、基板は、例えば上述のように、上昇された温度にされる。
【0053】
還元雰囲気でのアニールは、全体として望ましい結果をもたらさない。特に、アニールは中性雰囲気又は酸化雰囲気の中で実行される。特に、この方法は、酸化雰囲気内でのアニールを含む。また、この方法は特に、少なくとも30分にわたる900℃以上の温度でのアニールを有し得る。例えば、温度は900−1800℃の範囲内とし得る。なお、熱処理及びアニールは、一般に例えば冷却工程を含むなどの1つ以上の他の工程によって隔てられた、2つの異なるアクションである。層の合成では、(第1の)熱処理及びアニールの最大温度は、基板の温度安定性及び/又は基板の反応性によって制限され得る。一般に、温度は、例えば1100℃以下など、1200℃以下にされるべきである。粉末合成では、アニール温度は、例えば1200℃以上など、1000℃より高くてもよい。
【0054】
例えば“実質的に全ての発光”又は“実質的に構成される”などにおける、ここでの“実質的に”なる用語は、当業者に理解されるものである。用語“実質的に”はまた、“全体に”、“完全に”、“全ての”などを用いた実施形態を含み得る。当てはまる場合、用語“実質的に”はまた、100%を含め、例えば95%以上、特に99%以上、いっそう特には99.5%以上など、90%以上に関係し得る。用語“有する”はまた、用語“有する”が“からなる”を意味する実施形態を含む。
【0055】
さらに、本明細書及び請求項における第1、第2、及び第3などの用語は、同様の要素間で区別を行うために使用されており、必ずしも連続的な順序又は時間的な順序を記述するためのものではない。理解されるべきことには、そのように使用される用語は、適切な状況下で相互に交換可能であり、ここに記載される発明の実施形態は、ここに記載あるいは図示されるものとは異なる順に動作することができる。
【0056】
ここでのデバイスは、数ある中でとりわけ、動作中に関して記載されている。当業者には明らかなように、本発明は、動作の方法又は動作中のデバイスに限定されない。従って、“II−VI族ベースの発光半導体デバイス”なる表現はまた、オフに切り換えられたデバイス、及び発光しないようにスイッチオフ状態にされることになるデバイスにも関する。発光材料を有する半導体層は、特にn型発光材料を有し得る。従って、半導体層は、例えばn−ZnO又はn−CdSなどのn型半導体層とし得る。
【0057】
なお、上述の実施形態は、本発明を限定するものではなく、例示するものであり、当業者は、添付の請求項の範囲を逸脱することなく、数多くの代替実施形態を設計することができるであろう。請求項において、括弧内に置かれた如何なる参照符号も、請求項を限定するものとして解釈されるべきでない。動詞“有する”及びその活用形の使用は、請求項中で言明される要素又はステップ以外の要素又はステップの存在を排除するものではない。要素の前の冠詞“a”又は“an”は、その要素が複数存在することを排除するものではない。本発明は、幾つかの別個の要素を有するハードウェアによって実施されてもよいし、好適にプログラムされたコンピュータによって実施されてもよい。複数の手段を列挙するデバイスの請求項において、それらの手段のうちの幾つかが単一且つ同一のハードウェア品目によって具現化されてもよい。特定の複数の手段が相互に異なる従属請求項に記載されているという単なる事実は、それらの手段の組み合わせが有利に使用され得ないということを指し示すものではない。
【0058】
本発明は更に、本明細書に記載され且つ/或いは添付の図面に示された特徴的な機構のうちの1つ以上を有するデバイスに適用される。本発明は更に、本明細書に記載され且つ/或いは添付の図面に示された特徴的な機能のうちの1つ以上を有する方法又はプロセスに関する。
【0059】
本出願にて説明される様々な態様は、更なる利点を提供するために組み合わされることができる。また、これらの特徴のうちの一部は、1つ以上の分割出願の基礎を形成し得る。