(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記デジタルアップコンバージョンシステム(20)は、前記マルチバンド多次電力増幅器(18)の1つ以上の性能パラメータが最適化されるように、前記複数のマルチバンド分割信号のうちの前記少なくともN−1個の各々についての前記マルチバンド信号の前記M個の周波数帯域の各々について、前記利得、位相及び遅延を独立的に制御する、ように構成される、請求項1のシステム(16)。
前記デジタルアップコンバージョンシステム(20)は、前記マルチバンド多次電力増幅器(18)についての1つ以上の予め定義される要件を充足するために十分な線型性を維持しつつ、前記マルチバンド多次電力増幅器(18)の効率性が最大化されるように、前記複数のマルチバンド分割信号のうちの前記少なくともN−1個の各々についての前記マルチバンド信号の前記M個の周波数帯域の各々について、前記利得、位相及び遅延を独立的に制御する、ように構成される、請求項1のシステム(16)。
前記マルチバンド信号の前記M個の周波数帯域のうちの各々についての前記N個のベースバンド分割信号についての前記デジタルアップコンバータ(28)の各々の前記1つ以上のキャリブレーションアクチュエータは、前記マルチバンド多次電力増幅器(18)の1つ以上の性能パラメータが最適化されるように、前記複数のマルチバンド分割信号のうちの各々についての前記マルチバンド信号の前記M個の周波数帯域のうちの各々について、利得、位相及び遅延を独立的に制御する、ように構成される、請求項6のシステム(16)。
前記マルチバンド信号の前記M個の周波数帯域のうちの各々についての前記N個のベースバンド分割信号についての前記デジタルアップコンバータ(28)の各々の前記1つ以上のキャリブレーションアクチュエータは、前記マルチバンド多次電力増幅器(18)についての1つ以上の予め定義される要件を充足するために十分な線型性を維持しつつ、前記マルチバンド多次電力増幅器(18)の効率性が最大化されるように、前記複数のマルチバンド分割信号のうちの各々についての前記マルチバンド信号の前記M個の周波数帯域のうちの各々について、利得、位相及び遅延を独立的に制御する、ように構成される、請求項6のシステム(16)。
マルチバンド多次電力増幅器(18)の複数の入力(22)をまたいで複数のマルチバンド分割信号として分割されるマルチバンド信号を増幅するように構成される前記マルチバンド多次電力増幅器(18)のためのデジタルアップコンバージョンシステム(20)であって、前記複数の入力(22)は、前記マルチバンド多次電力増幅器(18)のN個のオーダの各々について異なる入力を含み、Nは2以上であり、前記マルチバンド信号は、前記マルチバンド信号のM個の周波数帯域内のM個の狭帯域信号を含み、Mは2以上であり、
前記デジタルアップコンバージョンシステム(20)は、前記マルチバンド信号の前記M個の周波数帯域の各周波数帯域について、
当該周波数帯域向けのデジタルベースバンド信号を、当該周波数帯域向けのN個のベースバンド分割信号へと分割する、デジタル信号スプリッタ(26)と、
当該周波数帯域向けの前記N個のベースバンド分割信号のうちの、当該周波数帯域向けの各ベースバンド分割信号についてのデジタルアップコンバータ(28)と、
を含み、
前記周波数帯域向けの前記N個のベースバンド分割信号の各々は、前記マルチバンド多次電力増幅器(18)の前記N個のオーダのうちの別々のオーダごとであり、
前記デジタルアップコンバータ(28)は、前記周波数帯域向けの前記ベースバンド分割信号を所望のアップコンバージョン周波数へとアップコンバートして、それにより前記周波数帯域向けのアップコンバートされた分割信号を提供し、
前記デジタルアップコンバータ(28)は、前記周波数帯域向けの前記アップコンバートされた分割信号の利得、位相及び遅延を制御するように構成される1つ以上のキャリブレーションアクチュエータを含み、
前記デジタルアップコンバージョンシステム(20)は、前記マルチバンド多次電力増幅器(18)の前記N個のオーダの各々についての前記マルチバンド信号の前記M個の周波数帯域についての前記アップコンバートされた分割信号を処理して、前記マルチバンド多次電力増幅器(18)の前記複数の入力(22)のための前記複数のマルチバンド分割信号を提供する、ように構成される回路、を含み、
前記デジタルアップコンバージョンシステム(20)は、前記マルチバンド多次電力増幅器(18)の前記N個のオーダのうちの各オーダについて、
前記マルチバンド多次電力増幅器(18)の当該オーダ向けの前記マルチバンド信号の前記M個の周波数帯域についての前記アップコンバートされた分割信号をデジタル的に合成して、前記マルチバンド多次電力増幅器(18)の当該オーダ向けの合成アップコンバートデジタル信号を提供する、ように構成されるデジタル合成器(30)と、
前記マルチバンド多次電力増幅器(18)の当該オーダ向けの前記合成アップコンバートデジタル信号をデジタル−アナログ変換して、前記マルチバンド多次電力増幅器(18)の当該オーダ向けの合成アップコンバートアナログ信号を提供する、ように構成されるデジタル−アナログ変換器(32)と、
をさらに含む、
デジタルアップコンバージョンシステム(20)。
前記マルチバンド多次電力増幅器(18)の前記N個のオーダのうちの各オーダについて、前記マルチバンド多次電力増幅器(18)の当該オーダ向けの前記合成アップコンバートアナログ信号は、前記マルチバンド多次電力増幅器(18)の当該オーダに対応する、前記マルチバンド多次電力増幅器(18)の前記複数の入力(22)のうちの1つのための、前記複数のマルチバンド分割信号のうちの1つが提供されるように、アナログ回路(24)により処理される、請求項10のデジタルアップコンバージョンシステム(20)。
前記マルチバンド信号の前記M個の周波数帯域のうちの各々についての前記N個のベースバンド分割信号についての前記デジタルアップコンバータ(28)の各々の前記1つ以上のキャリブレーションアクチュエータは、前記マルチバンド多次電力増幅器(18)の1つ以上の性能パラメータが最適化されるように、前記複数のマルチバンド分割信号のうちの各々についての前記マルチバンド信号の前記M個の周波数帯域のうちの各々について、利得、位相及び遅延を独立的に制御する、ように構成される、請求項11のデジタルアップコンバージョンシステム(20)。
前記マルチバンド信号の前記M個の周波数帯域のうちの各々についての前記N個のベースバンド分割信号についての前記デジタルアップコンバータ(28)の各々の前記1つ以上のキャリブレーションアクチュエータは、前記マルチバンド多次電力増幅器(18)についての1つ以上の予め定義される要件を充足するために十分な線型性を維持しつつ、前記マルチバンド多次電力増幅器(18)の効率性が最大化されるように、前記複数のマルチバンド分割信号のうちの各々についての前記マルチバンド信号の前記M個の周波数帯域のうちの各々について、利得、位相及び遅延を独立的に制御する、ように構成される、請求項11のデジタルアップコンバージョンシステム(20)。
マルチバンド多次電力増幅器(18)を介して、前記マルチバンド多次電力増幅器(18)の複数の入力(22)をまたいで複数のマルチバンド分割信号として分割されるマルチバンド信号を増幅することと、前記複数の入力(22)は、前記マルチバンド多次電力増幅器(18)のN個のオーダの各々について異なる入力を含むことと、Nは2以上であることと、
前記複数のマルチバンド分割信号のうちの少なくともN−1個の各々についての前記マルチバンド信号のM個の周波数帯域の各々について、利得、位相及び遅延を独立的に制御することと、
を含み、
前記マルチバンド多次電力増幅器(18)の前記N個のオーダのうちの各オーダについて、
前記マルチバンド多次電力増幅器(18)の当該オーダ向けの前記マルチバンド信号のM個の周波数帯域(Mは2以上)についてのアップコンバートされた前記マルチバンド分割信号をデジタル的に合成して、前記マルチバンド多次電力増幅器(18)の当該オーダ向けの合成アップコンバートデジタル信号を提供することと、
前記マルチバンド多次電力増幅器(18)の当該オーダ向けの前記合成アップコンバートデジタル信号をデジタル−アナログ変換して、前記マルチバンド多次電力増幅器(18)の当該オーダ向けの合成アップコンバートアナログ信号を提供することと、
を含む方法。
前記複数のマルチバンド分割信号のうちの少なくともN−1個の各々についての前記マルチバンド信号の前記M個の周波数帯域の各々について、前記利得、位相及び遅延を独立的に制御することは、
前記複数のマルチバンド分割信号のうちの前記少なくともN−1個の各々についての前記マルチバンド信号の前記M個の周波数帯域の各々について、前記利得、位相及び遅延をベースバンドにおいて独立的かつデジタル的に制御すること、
を含む、請求項15の方法。
前記複数のマルチバンド分割信号のうちの少なくともN−1個の各々についての前記マルチバンド信号の前記M個の周波数帯域の各々について、前記利得、位相及び遅延を独立的に制御することは、
前記マルチバンド多次電力増幅器(18)の1つ以上の性能パラメータが最適化されるように、前記複数のマルチバンド分割信号のうちの前記少なくともN−1個の各々についての前記マルチバンド信号の前記M個の周波数帯域の各々について、前記利得、位相及び遅延を独立的に制御すること、
を含む、請求項15の方法。
前記複数のマルチバンド分割信号のうちの少なくともN−1個の各々についての前記マルチバンド信号の前記M個の周波数帯域の各々について、前記利得、位相及び遅延を独立的に制御することは、
前記マルチバンド多次電力増幅器(18)についての1つ以上の予め定義される要件を充足するために十分な線型性を維持しつつ、前記マルチバンド多次電力増幅器(18)の効率性が最大化されるように、前記複数のマルチバンド分割信号のうちの前記少なくともN−1個の各々についての前記マルチバンド信号の前記M個の周波数帯域の各々について、前記利得、位相及び遅延を独立的に制御すること、
を含む、請求項15の方法。
前記マルチバンド多次電力増幅器(18)の前記N個のオーダの各々についての前記マルチバンド信号の前記M個の周波数帯域のうちの各々の前記アップコンバートされた分割信号の前記利得、位相及び遅延を制御することは、前記マルチバンド多次電力増幅器(18)の1つ以上の性能パラメータが最適化されるように行われる、請求項21の方法。
前記マルチバンド多次電力増幅器(18)の前記N個のオーダの各々についての前記マルチバンド信号の前記M個の周波数帯域のうちの各々の前記アップコンバートされた分割信号の前記利得、位相及び遅延を制御することは、前記マルチバンド多次電力増幅器(18)についての1つ以上の予め定義される要件を充足するために十分な線型性を維持しつつ、前記マルチバンド多次電力増幅器(18)の効率性が最大化されるように行われる、請求項21の方法。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に説明される実施形態は、当業者が実施形態を実践することを可能とするために必要な情報を表現し、実施形態の実践の最良の形態を例示する。添付図面の図を踏まえて以下の説明を読めば、当業者は、本開示の概念を理解し、ここでは特に書かれていないそれら概念の応用を認識するであろう。それら概念及び応用は本開示及び添付の請求項の範囲に入ることが理解されるべきである。
【0015】
本開示は、マルチバンド多次電力増幅器(MOPA:Multi-Order Power Amplifier)へ入力されるマルチバンド分割信号の利得、位相及び遅延の正確かつ高精度な制御を可能とする、マルチバンドMOPAのためのデジタルアップコンバージョンに関連する。この点において、
図1は、本開示の1つの実施形態に従って、マルチバンドMOPA10の各入力についてマルチバンドMOPA10により増幅されるべき各周波数帯域についての独立的な利得、位相及び遅延のキャリブレーションを有するマルチバンドMOPA10を示している。概して、マルチバンドMOPA10は、マルチバンドMOPA10のN個の入力12−1から12−Nをまたいでマルチバンド分割信号(S
MB−1からS
MB−N)として分割されているマルチバンド信号(S
MB)を増幅するように動作する。数値Nは、マルチバンドMOPA10の入力12−1から12−Nの数であり、マルチバンドMOPA10の“オーダ”ともいう。数値Nは、2以上である。マルチバンド信号(S
MB)は、M個の周波数帯域を有し、Mは2以上である。マルチバンドMOPA10は、例えば、マルチバンドのドハティ電力増幅器(例えば、2way又は3wayドハティ増幅器)、LINC(Linear Amplification with Nonlinear Components)増幅器、EER(Envelope Elimination and Restoration)増幅器及びチャイレックス増幅器であってもよい。
【0016】
ここで使用されるところによれば、“マルチバンド信号”は、複数の周波数帯域(即ち、第1の連続的な周波数帯域、第2の連続的な周波数帯域など)を占める複数の周波数成分であって、隣接する周波数帯域の間には周波数成分の無い周波数成分を含む信号である。各周波数帯域の内部で、マルチバンド信号は、当該マルチバンド信号の対応するキャリア周波数において、ここで“狭帯域(narrowband)信号”と呼ばれるものを含む。ここで使用されるところによれば、“狭帯域信号”は、旧来の意味において必ずしも“狭帯域”ではないが、マルチバンド信号の合計帯域幅よりも小さい(即ち、より狭い)帯域幅を有する。とりわけ、マルチバンド信号の周波数帯域内の狭帯域信号は、好適にはシングルバンドの信号である。しかしながら、1つの代替的な実施形態において、マルチバンド信号の周波数帯域の1つ以上における狭帯域信号の1つ以上は、それ自体マルチバンドの信号であってもよい。
【0017】
図示したように、マルチバンドMOPA10の入力12−1から12−Nへ供給されるマルチバンド分割信号(S
MB−1からS
MB−N)は、それぞれ分割信号S
1−1からS
1−N、S
M−1からS
M−N、として特定されるマルチバンド信号(S
MB)のM個の周波数帯域の各々についてのN個の分割される信号から生成される。より具体的には、図示したように、分割信号S
1−1からS
1−Nは、マルチバンド信号(S
MB)についての第1のキャリア周波数(f
1)向け(即ち、マルチバンド信号(S
MB)の第1の周波数帯域向け)である。同様に、分割信号S
M−1からS
M−Nは、マルチバンド信号(S
MB)についての第Mのキャリア周波数(f
M)向け(即ち、マルチバンド信号(S
MB)の第Mの周波数帯域向け)である。合成器14−1は、分割信号S
1−1からS
M−1(即ち、M個全ての周波数帯域についての、マルチバンドMOPA10の第1オーダあるいは入力向けの分割信号群)を合成して、マルチバンドMOPA10の入力12−1向けのマルチバンド分割信号(S
MB−1)を提供する。同様に、合成器14−Nは、分割信号S
1−NからS
M−N(即ち、M個全ての周波数帯域についての、マルチバンドMOPA10の第Nのオーダあるいは入力向けの分割信号群)を合成して、マルチバンドMOPA10の入力12−N向けのマルチバンド分割信号(S
MB−N)を提供する。図示していないものの、合成器14−1から14−Nは好適にはデジタル合成器であり、デジタル合成器の後に続くデジタル−アナログ変換器及びアナログ回路がさらにデジタル合成器の出力を処理して、マルチバンド分割信号(S
MB−1からS
MB−N)を提供する。但し、
図1では、これらエレメントは議論の明瞭さ及び容易さのために省略されている。
【0018】
マルチバンド分割信号(S
MB−1からS
MB−N)は、マルチバンドMOPA10により増幅されて、マルチバンド出力信号(S
OUT)が提供される。以下で詳細に議論するように、分割信号(S
1−1からS
1−N、S
M−1からS
M−N)の各々の利得、位相及び遅延は、独立的に制御されあるいは構成される。そのようなものとして、分割信号(S
1−1)の利得(G
1−1)、位相(Φ
1−1)及び遅延(τ
1−1)は、M個全ての周波数帯域についての他の分割信号の全ての利得、位相及び遅延から独立的に制御され、分割信号(S
1−2)の利得(G
1−2)、位相(Φ
1−2)及び遅延(τ
1−2)は、M個全ての周波数帯域についての他の分割信号の全ての利得、位相及び遅延から独立的に制御される、などとなる。このやり方で、マルチバンド分割信号(S
MB−1からS
MB−N)の各々についてM個の周波数帯域の各々についての利得、位相及び遅延が独立的に制御される。好適には、分割信号(S
1−1からS
1−N、S
M−1からS
M−N)の各々の利得、位相及び遅延、並びに、従ってマルチバンド分割信号(S
MB−1からS
MB−N)の各々についてのM個の周波数帯域の各々についての利得、位相及び遅延は、マルチバンドMOPA10の1つ以上の性能パラメータ(例えば、効率性、線型性及び/又は出力電力)が最適化されるように、独立的に制御される。1つの実施形態において、上記1つ以上の性能パラメータは、効率性と、線型性及び出力電力の一方又は双方と、を含む。1つの具体的な実施形態では、分割信号(S
1−1からS
1−N、S
M−1からS
M−N)の各々の利得、位相及び遅延は、マルチバンドMOPA10についての1つ以上の予め定義される要件(例えば、予め定義される放射要件)を充足するために十分な線型性を維持しつつ効率性を最大化するように、独立的に制御される。
【0019】
次へ進む前に、留意すべきこととして、分割信号(S
1−1からS
1−N、S
M−1からS
M−N)の各々の利得、位相及び遅延についての値は、いかなる適切な技法を用いて選択され又はキャリブレーションされてもよい。1つの具体的な実施形態では、分割信号(S
1−1からS
1−N、S
M−1からS
M−N)の各々の利得、位相及び遅延についての値は、工場でのキャリブレーション処理において選択される。例えば、マルチバンドMOPA10の1つ以上の性能パラメータが、当該1つ以上の性能パラメータの所望の最適化を提供する値が判定されるまで、何らかの適切なアルゴリズムを用いて、分割信号(S
1−1からS
1−N、S
M−1からS
M−N)の各々の利得、位相及び遅延についての値を調整しながら測定され得る。そして、それら値は、記憶され、及びマルチバンドMOPA10の動作の期間中に利用され得る。他の実施形態において、分割信号(S
1−1からS
1−N、S
M−1からS
M−N)の各々の利得、位相及び遅延についての値は、マルチバンドMOPA10の動作の間、出力信号(S
OUT)の測定に基づいて動的に選択され得る。このやり方で、分割信号(S
1−1からS
1−N、S
M−1からS
M−N)の各々の利得、位相及び遅延についての値を、マルチバンドMOPA10の1つ以上の性能パラメータを最適化するために必要とされる通りに、時間を追って更新することができる。
【0020】
図2は、本開示の1つの実施形態に係るマルチバンドMOPA18のためのマルチバンドMOPA18及びデジタルアップコンバージョンシステム20を含むシステム16を示している。概して、マルチバンドMOPA18は、マルチバンドMOPA18のN個の入力22−1から22−Nをまたいでマルチバンド分割信号(S
MB−1からS
MB−N)として分割されるマルチバンド信号(S
MB)を増幅するように動作する。数値Nは、マルチバンドMOPA18の入力22−1から22−Nの数であり、マルチバンドMOPA18の“オーダ(order)”ともいう。数値Nは、2以上である。マルチバンド信号(S
MB)は、M個の周波数帯域を有し、Mは2以上である。マルチバンドMOPA18は、例えば、マルチバンドのドハティ電力増幅器(例えば、2way又は3wayドハティ増幅器)、LINC増幅器、EER増幅器及びチャイレックス増幅器であってもよい。
【0021】
デジタルアップコンバージョンシステム20は、マルチバンド信号(S
MB)のM個の周波数帯域についてのデジタルベースバンド信号(S
BB,1からS
BB,M)をデジタル的にアップコンバートし、N個のマルチバンドアナログ信号(S
ANALOG−1からS
ANALOG−M)を生成し、アナログ回路24−1から24−Nによるさらなる処理の後に、N個のマルチバンドアナログ信号は、マルチバンドMOPA18のそれぞれの入力22−1から22−Nに向けてマルチバンド分割信号(S
MB−1からS
MB−N)を提供する。より具体的には、デジタルアップコンバージョンシステム20は、デジタル信号スプリッタ26−1から26−Mと、各々が1つ以上のキャリブレーションアクチュエータを含むデジタルアップコンバータ28(1−1)から28(M−N)と、デジタル合成器30−1から30−Nと、デジタル−アナログ(D/A)変換器32−1から32−Nとを含み、それらは図示されたように接続される。デジタル信号スプリッタ26−1は、デジタルベースバンド信号(S
BB,1)を、各々がマルチバンドMOPA18の別々のオーダあるいは入力に対応するN個のベースバンド分割信号(S
BB,1−1からS
BB,1−N)へと分割するように動作する。デジタル信号スプリッタ26−1がデジタルベースバンド信号(S
BB,1)を分割するやり方は、個別の実装に依存して変化し得る。さらに、任意の適切なデジタル的な分割技法が使用されてよい。1つの例として、デジタル信号スプリッタ26−1は、デジタルベースバンド信号(S
BB,1)をベースバンド分割信号(S
BB,1−1からS
BB,1−N)へと均等に分割する。他の例として、マルチバンドMOPA18が二次ドハティ増幅器である場合、デジタル信号スプリッタ26−1は、デジタル表現された信号の電圧が予め定義される閾値よりも小さい場合にはデジタルベースバンド信号(S
BB,1)の全体をベースバンド分割信号(S
BB,1−1からS
BB,1−N)へと供給し、デジタル表現された信号の電圧が予め定義される閾値以上である場合にはデジタルベースバンド信号(S
BB,1)をベースバンド分割信号(S
BB,1−1及びS
BB,1−2)をまたいで均等に分割する。また別の例として、マルチバンドMOPA18が二次ドハティ増幅器である場合、デジタル信号スプリッタ26−1は、デジタルベースバンド信号(S
BB,1)のピークをベースバンド分割信号(S
BB,1−2)へと供給し、デジタルベースバンド信号(S
BB,1)の残りの非ピーク部分をベースバンド分割信号(S
BB,1−1)へ供給してもよい。上の例は、単に例に過ぎず、本開示の範囲を限定することを意図しない。
【0022】
デジタルアップコンバータ28(1−1)から28(1−N)は、ベースバンド分割信号(S
BB,1−1からS
BB,1−N)をそれぞれ第1の周波数帯域についての所望のアップコンバージョン周波数へとデジタル的にアップコンバートし、それによりアップコンバートされた分割信号(S
UP,1−1からS
UP,1−N)を提供する。1つの実施形態において、所望のアップコンバージョン周波数は、マルチバンド信号(S
MB)の第1の周波数帯域についてのキャリア周波数である。しかしながら、所望のアップコンバージョン周波数は、それに限定されない。デジタルアップコンバータ28(1−1)から28(1−N)は、各々が1つ以上のキャリブレーションアクチュエータを含み、キャリブレーションアクチュエータは、対応するアップコンバートされた分割信号の利得、位相及び遅延を制御する。よって、デジタルアップコンバータ28(1−1)は、アップコンバートされた分割信号(S
UP,1−1)の利得(G
1−1)、位相(Φ
1−1)及び遅延(τ
1−1)を制御する1つ以上のキャリブレーションアクチュエータを含む。同様に、デジタルアップコンバータ28(1−N)は、アップコンバートされた分割信号(S
UP,1−N)の利得(G
1−N)、位相(Φ
1−N)及び遅延(τ
1−N)を制御する1つ以上のキャリブレーションアクチュエータを含む。
【0023】
同じやり方で、デジタル信号スプリッタ26−Mは、デジタルベースバンド信号(S
BB,M)を、各々がマルチバンドMOPA18の別々のオーダあるいは入力に対応するN個のベースバンド分割信号(S
BB,1−MからS
BB,1−N)へと分割するように動作する。デジタル信号スプリッタ26−1を基準として上で議論したように、デジタル信号スプリッタ26−Mがデジタルベースバンド信号(S
BB,M)を分割するやり方は、個別の実装に依存して変化し得る。さらに、任意の適切な分割技法が使用されてよい。デジタルアップコンバータ28(M−1)から28(M−N)は、ベースバンド分割信号(S
BB,M−1からS
BB,M−N)をそれぞれ第Mの周波数帯域についての所望のアップコンバージョン周波数へとデジタル的にアップコンバートし、それによりアップコンバートされた分割信号(S
UP,M−1からS
UP,M−N)を提供する。デジタルアップコンバータ28(M−1)から28(M−N)は、各々が1つ以上のキャリブレーションアクチュエータを含み、キャリブレーションアクチュエータは、対応するアップコンバートされた分割信号の利得、位相及び遅延を制御する。よって、デジタルアップコンバータ28(M−1)は、アップコンバートされた分割信号(S
UP,M−1)の利得(G
M−1)、位相(Φ
M−1)及び遅延(τ
M−1)を制御する1つ以上のキャリブレーションアクチュエータを含む。同様に、デジタルアップコンバータ28(M−N)は、アップコンバートされた分割信号(S
UP,M−N)の利得(G
M−N)、位相(Φ
M−N)及び遅延(τ
M−N)を制御する1つ以上のキャリブレーションアクチュエータを含む。
【0024】
次に、デジタル合成器30−1から30−Nは、マルチバンドMOPA18の対応するオーダあるいは入力向けのアップコンバートされた分割信号を合成して、対応する合成デジタル信号(S
COMB−1からS
COMB−N)を提供する。合成デジタル信号(S
COMB−1からS
COMB−N)の各々は、マルチバンドMOPA18のそれぞれのオーダ向けのアップコンバートされた分割信号群を含むマルチバンドデジタル信号である。より具体的には、デジタル合成器30−1は、マルチバンドMOPA18の第1オーダあるいは第1の入力22−1向けのアップコンバートされた分割信号(S
UP,1−1からS
UP,M−1)を合成して、マルチバンドMOPA18の第1オーダ向けの合成デジタル信号(S
COMB−1)を提供する。同様に、デジタル合成器30−Nは、マルチバンドMOPA18の第Nオーダあるいは第Nの入力22−N向けのアップコンバートされた分割信号(S
UP,1−NからS
UP,M−N)を合成して、マルチバンドMOPA18の第Nオーダ向けの合成デジタル信号(S
COMB−N)を提供する。そして、D/A変換器32−1から32−Nは、合成デジタル信号(S
COMB−1からS
COMB−N)をそれぞれデジタル−アナログ変換して、ここで合成アナログ信号ともいうマルチバンドアナログ信号(S
ANALOG−1からS
ANALOG−N)を提供する。
【0025】
最後に、マルチバンドアナログ信号(S
ANALOG−1からS
ANALOG−N)は、アナログ回路24−1から24−Nによりそれぞれ処理されて、マルチバンド分割信号(S
MB−1からS
MB−N)がマルチバンドMOPA18のそれぞれの入力22−1から22−Nへと供給される。アナログ回路24−1から24−Nは、例えば、マルチバンドアナログ信号(S
ANALOG−1からS
ANALOG−N)から望ましくない周波数成分を除去するように動作する1つ以上のアナログフィルタ、及び潜在的には1つ以上の前置増幅器(pre-amplifiers)といった任意の所望のアナログ回路を含んでよい。
【0026】
重要なこととして、デジタルアップコンバータ28(1−1)から28(M−N)内のキャリブレーションアクチュエータは、アップコンバートされた分割信号(S
UP,1−1からS
UP,M−N)の利得(G
1−1からG
M−N)、位相(Φ
1−1からΦ
M−N)及び遅延(τ
1−1からτ
M−N)を独立的に制御する。そうすることで、デジタルアップコンバータ28(1−1)から28(M−N)内のキャリブレーションアクチュエータは、マルチバンド分割信号(S
MB−1からS
MB−N)の各々についてのM個の周波数帯域の各々について利得、位相及び遅延を独立的に制御する。とりわけ、アップコンバートされた分割信号(S
UP,1−1からS
UP,M−N)の利得(G
1−1からG
M−N)、位相(Φ
1−1からΦ
M−N)及び遅延(τ
1−1からτ
M−N)の独立的な制御は、デジタルアップコンバージョンシステム20におけるデジタル回路の利得、位相及び遅延への作用が決定論的であるのに対して、アナログ回路24−1から24−Nの利得、位相及び遅延への作用が非決定論的である(例えば、温度の変動、製造における変動、経年劣化(aging)など)、という点において有益である。
【0027】
好適には、デジタルアップコンバータ28(1−1)から28(M−N)内のキャリブレーションアクチュエータを用いて、アップコンバートされた分割信号(S
UP,1−1からS
UP,M−N)の利得(G
1−1からG
M−N)、位相(Φ
1−1からΦ
M−N)及び遅延(τ
1−1からτ
M−N)、並びに、従ってマルチバンド分割信号(S
MB−1からS
MB−N)の各々についてのM個の周波数帯域の各々について利得、位相及び遅延は、マルチバンドMOPA18の1つ以上の性能パラメータ(例えば、効率性、線型性及び/又は出力電力)を最適化するように独立的に制御され又は構成される。なお、他の実施形態において、アップコンバートされた分割信号(S
UP,1−1からS
UP,M−N)のうちのN−1個のみの各々についてのM個の周波数帯域の各々についての利得、位相及び遅延がキャリブレーションされてもよい。なぜなら、複数の利得、複数の位相及び複数の遅延の間でオフセットを制御する方が、それらの絶対値を制御するよりも好適であり得るからである。1つの実施形態において、上記1つ以上の性能パラメータは、効率性と、線型性及び出力電力の一方又は双方と、を含む。1つの具体的な実施形態では、デジタルアップコンバータ28(1−1)から28(M−N)内のキャリブレーションアクチュエータを用いて、アップコンバートされた分割信号(S
UP,1−1からS
UP,M−N)の利得(G
1−1からG
M−N)、位相(Φ
1−1からΦ
M−N)及び遅延(τ
1−1からτ
M−N)、並びに、従ってマルチバンド分割信号(S
MB−1からS
MB−N)の各々についてのM個の周波数帯域の各々について利得、位相及び遅延は、マルチバンドMOPA18についての1つ以上の予め定義される要件(例えば、予め定義される放射要件)を充足するために十分な線型性を維持しつつマルチバンドMOPA18の効率性を最大化するように、独立的に制御され又は構成される。
【0028】
アップコンバートされた分割信号(S
UP,1−1からS
UP,M−N)の利得(G
1−1からG
M−N)、位相(Φ
1−1からΦ
M−N)及び遅延(τ
1−1からτ
M−N)についての値は、いかなる適切な技法を用いて選択され又はキャリブレーションされてもよい。1つの具体的な実施形態では、アップコンバートされた分割信号(S
UP,1−1からS
UP,M−N)の利得(G
1−1からG
M−N)、位相(Φ
1−1からΦ
M−N)及び遅延(τ
1−1からτ
M−N)についての値は、工場でのキャリブレーション処理において選択される。例えば、マルチバンドMOPA18の1つ以上の性能パラメータが、当該1つ以上の性能パラメータの所望の最適化を提供する値が判定されるまで、何らかの適切なアルゴリズムを用いて、アップコンバートされた分割信号(S
UP,1−1からS
UP,M−N)の利得(G
1−1からG
M−N)、位相(Φ
1−1からΦ
M−N)及び遅延(τ
1−1からτ
M−N)についての値を調整しながら測定され得る。そして、それら値は、デジタルアップコンバージョンシステム20により記憶され、又はさもなくばデジタルアップコンバージョンシステム20内へプログラミングされ、及びマルチバンドMOPA18の動作の期間中に利用され得る。他の実施形態において、アップコンバートされた分割信号(S
UP,1−1からS
UP,M−N)の利得(G
1−1からG
M−N)、位相(Φ
1−1からΦ
M−N)及び遅延(τ
1−1からτ
M−N)についての値は、マルチバンドMOPA18の動作の間、マルチバンド出力信号(S
OUT)の測定に基づいて動的に選択され得る。このやり方で、アップコンバートされた分割信号(S
UP,1−1からS
UP,M−N)の利得(G
1−1からG
M−N)、位相(Φ
1−1からΦ
M−N)及び遅延(τ
1−1からτ
M−N)についての値を、マルチバンドMOPA18の1つ以上の性能パラメータを最適化するために必要とされる通りに、時間を追って更新することができる。
【0029】
図3は、本開示の1つの実施形態に従って、概して28(X−Y)として指定されている、
図2のデジタルアップコンバータ28(1−1)から28(M−N)のうちの1つのより詳細な例示図である。図示したように、デジタルアップコンバータ28(X−Y)は、複数のキャリブレーションアクチュエータ34、デジタルアップコンバータチェーン36、及びいくつかの実施形態ではレート変更フィルタ(RCF)38を含む。RCF38は、ベースバンド分割信号(S
BB,X−Y)のサンプリングレートがf
S/N
USに等しくない場合に望ましい可能性があり、ここでf
SはD/A変換器32−Yの実効サンプリングレート、N
USはデジタルアップコンバータチェーン36のアップサンプラ40のアップサンプリングレートである。事実上、RCF38は、ベースバンド分割信号(S
BB,X−Y)のサンプリングレートとD/A変換器32−Yの実効サンプリングレートとの間のブリッジである。
【0030】
図示したように、本実施形態において、ベースバンド分割信号(S
BB,X−Y)は複素信号である。いくつかの実施形態において、ベースバンド分割信号(S
BB,X−Y)のサンプリングレートは、RCF38により変更される。そして、ベースバンド分割信号(S
BB,X−Y)は、キャリブレーションアクチュエータ34へと供給される。概して、キャリブレーションアクチュエータ34は、対応するキャリブレーション値(G
X−Y,CAL,Φ
X−Y,CAL及びτ
X−Y,CAL)を介して、アップコンバートされた分割信号(S
UP,X−Y)の利得(G
X−Y)、位相(Φ
X−Y)及び遅延(τ
X−Y)を制御する。より具体的には、キャリブレーションアクチュエータ34は、等化器42、複素乗算器44及び46、粗遅延回路48、並びに精細遅延回路50を含む。なお、等化器42、複素乗算器44及び46、粗遅延器48、並びに精細遅延器50の順序は変更されてもよい。等化器42は、対応するアナログ回路24−Yの応答を実質的に等化するように動作する。複素乗算器44及び46は、等化されたベースバンド分割信号に、それぞれ位相及び利得のキャリブレーション値(Φ
X−Y,CAL,G
X−Y,CAL)を乗算する。位相及び利得のキャリブレーション値(Φ
X−Y,CAL,G
X−Y,CAL)は、アップコンバート後の分割信号(S
UP,X−Y)が所望の位相(Φ
X−Y)及び利得(G
X−Y)を有するようにする。とりわけ、1つの代替的な実施形態では、複素乗算器44及び46は、利得及び位相の双方をキャリブレーションする単一の複素乗算器へと組み合わせられる。次へ進む前に、留意すべきこととして、本実施形態ではキャリブレーションアクチュエータ34はベースバンドにおいて実装されているが、本開示はそれに限定されない。キャリブレーションアクチュエータ34の1つ以上、又は恐らくは全ては、デジタルアップコンバージョンの途中に又は後に実装されてもよい。
【0031】
次いで、位相及び利得がキャリブレーションされたベースバンド分割信号は、キャリブレーションされたベースバンド分割信号(S
BB,CAL,X−Y)を提供するために、粗及び精細遅延回路48及び50を通過する。粗遅延回路48により適用される粗い遅延は、粗遅延キャリブレーション値(τ
X−Y,COARSE)により制御される。1つの例として、粗遅延回路48は、一連のフリップフロップとして実装されてよく、粗遅延キャリブレーション値(τ
X−Y,COARSE)はフリップフロップのうちの1つの出力を粗遅延回路48の出力として選択し、それにより粗遅延回路48により提供される遅延が制御される。精細遅延回路50により適用される精細な遅延は、精細遅延キャリブレーション値(τ
X−Y,FINE)により制御される。1つの例として、精細遅延回路50は、フィルタとして実装されてよく、精細遅延キャリブレーション値(τ
X−Y,FINE)は1つ以上のフィルタ係数である。粗及び精細遅延キャリブレーション値(τ
X−Y,COARSE,τ
X−Y,FINE)は併せて、遅延キャリブレーション値(τ
X−Y,CAL)を形成する。
【0032】
次いで、キャリブレーションされたベースバンド分割信号(S
BB,CAL,X−Y)は、所望のアップコンバージョン周波数のアップコンバートされた分割信号(S
UP,X−Y)を提供するために、デジタルアップコンバータチェーン36によりデジタル的にアップコンバートされる。1つの実施形態において、所望のアップコンバージョン周波数は、マルチバンド信号(S
MB)の対応する周波数帯域についてのキャリア周波数である。一方、他の実施形態において、所望のアップコンバージョン周波数は、D/A変換器32−Y及びアナログ回路24−Yによるアップコンバートされた分割信号(S
UP,X−Y)の処理の後に生み出される信号がマルチバンド信号(S
MB)の対応する周波数帯域についての所望のキャリア周波数にあたるように選択される、予め決定される周波数である。
【0033】
この例において、デジタルアップコンバータチェーン36は、複素信号であるキャリブレーションされたベースバンド分割信号(S
BB,CAL,X−Y)を所望の周波数へとチューニングする複素チューナ56を含む。複素チューナ56は、キャリブレーションされたベースバンド分割信号(S
BB,CAL,X−Y)を所望のベースバンドチューニング周波数へとチューニングして、それによりチューニングされた複素デジタル分割信号を生成する。1つの実施形態において、ベースバンドチューニング周波数は、プログラミング可能であり又はさもなくば−f
S/2N
US及びf
S/2N
USのレンジ内で選択可能であり、ここでf
SはD/A変換器32−Yの実効サンプリングレート、N
USはアップサンプラ40のアップサンプリングレートである。
【0034】
アップサンプラ40は、チューニングされた複素デジタル分割信号をアップサンプリングレートN
USでアップサンプリングし(N
US≧2)、f
Sというサンプリングレートを有するアップサンプリングされたデジタル分割信号を生成する。周波数領域において、アップサンプリングされたデジタル分割信号は、0からf
Sまでの周波数レンジ内に等間隔で隔てられたチューニングされた複素デジタル分割信号のN
US個のイメージを含み、ここでf
SはD/A変換器32−Yの実効サンプリングレートである。イメージ選択フィルタ54は、チューニングされた複素デジタル分割信号のイメージのうちの所望の1つを選択するためにアップサンプリングされたデジタル分割信号をフィルタリングし、それによりフィルタリングされた分割信号を提供する。より具体的には、イメージ選択フィルタ54は、好適には、イメージ選択フィルタ54の通過帯域が所望のフィルタチューニング周波数の中央となるように1つ以上のパラメータ(例えば、フィルタ係数)を介してプログラミング可能である。フィルタチューニング周波数は、チューニングされた複素デジタル分割信号の所望のイメージがイメージ選択フィルタ54の通過帯域内に入るように選択される。
【0035】
デジタル直交変調器56は、フィルタリングされた分割信号を直交変調して、デジタルアップコンバータチェーン36により出力されるアップコンバートされた分割信号(S
UP,X−Y)を提供する。周波数領域において、直交変換は、フィルタリングされた分割信号内のチューニングされた複素デジタル分割信号のイメージのf
QMODだけの周波数変換又は周波数シフトをもたらし、ここでf
QMODは、デジタル直交変調器56の変調周波数であり、複素信号を実信号へと変換する。変調周波数(f
QMOD)は、ゼロを含む任意の所望の周波数であり得る。デジタル直交変換の後、チューニングされた複素デジタル分割信号の周波数変換されたイメージの中央は、デジタルアップコンバータチェーン36についての所望のアップコンバージョン周波数に合わせられる。
【0036】
とりわけ、デジタル直交変調器56は、a+jb又はa−jbとしての直交変調の定義上で動作するように構成可能であり得る。これは望ましいかもしれず、なぜなら、例えば様々なセルラー通信標準(例えば、CDMA(Code Division Multiple Access)2000及び3GPP(3rd Generation Partnership Project))が異なる形で直交変調を定義し得るためである。従って、様々な通信標準に適合する目的で、デジタル直交変調器56はこのやり方で構成可能であってよい。代替的に、この構成は、必要に応じてアクティブ化又は非アクティブ化可能な複素チューナ52の前の複素共役機能によりハンドリングされてもよい。さらに、1つの実施形態において、デジタル直交変調器56は、イメージ選択フィルタ54と組み合わさせられてもよい。
【0037】
デジタルアップコンバータチェーン36及び複素チューナ52、アップサンプラ40、イメージ選択フィルタ54及びデジタル直交変調器56のいくつかの例示的な実装に関するさらなる情報のために、興味のある読者には、共通的に所有され譲り受けられた“METHODS AND SYSTEMS FOR PROGRAMMABLE DIGITAL UP-CONVERSION”というタイトルの米国特許出願公開第2010/0098191A1号(2008年10月20日提出、2010年8月22日公開、その全体は参照によりここに取り入れられる)を案内する。例えば、アップサンプラ40及びイメージ選択フィルタ54は別個のコンポーネントとして実装され得るものの、それらはそのように限定されない。アップサンプラ40及びイメージ選択フィルタ54は、代替的に、アップサンプリング及びイメージ選択フィルタリングの双方を実行する多相フィルタとして併せて実装されてもよい。他の例として、デジタルアップコンバータチェーン36は、複数のアップサンプリング及びフィルタリングステージ内に配置される複数のアップサンプラ40及びイメージ選択フィルタ54を含んでもよい。また、本開示の理解にとって本質的ではないものの、デジタルアップコンバージョンに関するさらなる情報のために、興味のある読者には、共通的に所有され譲り受けられた“PROGRAMMABLE DIGITAL UP-CONVERSION FOR CONCURRENT MULTI-BAND SIGNALS”というタイトルの米国特許出願第13/490,801号(2012年6月7日提出、その全体は参照によりここに取り入れられる)を案内する。
【0038】
アップコンバートされた分割信号(S
UP,1−1からS
UP,M−N)の利得、位相及び遅延の独立的な制御を含むデジタルアップコンバージョンシステム20は、マルチバンド分割信号(S
MB−1からS
MB−N)の各々についてのM個の周波数帯域の各々についての利得、位相及び遅延の正確な制御を可能とする。この正確な制御の1つの利点は、マルチバンド分割信号(S
MB−1からS
MB−N)の各々についてのM個の周波数帯域の各々についての利得、位相及び遅延を、所望の動作ポイントにおいてマルチバンドMOPA18が動作するように構成することができることである。この所望の動作ポイントが、1つ以上の性能パラメータ(例えば、効率性、線型性及び/又は出力電力)を最適化するように選択されてもよい。
【0039】
本開示を通じて、以下の頭字語が使用されている。
・3GPP 3rd Generation Partnership Project
・CDMA Code Division Multiple Access
・D/A Digital-to-Analog
・DAC Digital-to-Analog Converter
・EER Envelope Elimination and Restoration
・LINC Linear Amplification with Nonlinear Components
・MOPA Multi-Order Power Amplifier
・RCF Rate Change Filter
・RF Radio Frequency
【0040】
当業者は、本開示の好適な実施形態への改善及び修正を認識するであろう。全てのそうした改善及び修正は、ここで開示された概念及び次の請求項の範囲内であるものと見なされる。