(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記係合手段(7)は、前記シリンダブロック(4)と前記第1アセンブリまたは前記第2アセンブリとの摩擦によって係合するように構成されたことを特徴とする請求項1に記載の油圧装置(1)。
前記シリンダブロック(4)が前記第1アセンブリおよび前記第2アセンブリに対して回転自在であるとき、前記カム(3)に対する前記シリンダブロック(4)の指標を定義するように、前記複数の支持スプリング(43)のうちの一つは、前記複数の支持スプリング(43)のうちの他よりも剛性が大きいことを特徴とする請求項1又は2に記載の油圧装置(1)。
前記第1アセンブリまたは前記第2アセンブリの他方に回転時に接続され、且つ、前記シリンダブロック(4)内に設けられたハウジングと連携するように構成された同期ピストン(91)をさらに備えており、
前記ハウジングは、該ハウジング内で前記同期ピストン(91)の2つの停止位置を画定するように角度セクタを形成し、
前記2つの停止位置は、前記油圧装置(1)の回転部の回転の2つの方向に対応した、前記分配器および前記シリンダブロック(4)の内部流路の2つの構造を画定し、
前記同期ピストン(91)は、前記係合手段による前記第1アセンブリまたは前記第2アセンブリの他方への前記シリンダブロック(4)の固定に適合した前記停止位置に前記シリンダブロック(4)を位置させるように構成されたことを特徴とする請求項1乃至5の何れか一項に記載の油圧装置(1)。
前記係合手段(7)は、その作動中に、前記シリンダブロック(4)を前記第1アセンブリまたは前記第2アセンブリに固定するために、前記シリンダブロック(4)と摩擦エレメント(24)との間に引力を発生させる磁場を生成するように構成された電磁石を含むことを特徴とする請求項1乃至6の何れか一項に記載の油圧装置(1)。
前記係合手段(7)は、前記シリンダブロック(4)を前記第1アセンブリまたは前記第2アセンブリに固定するために、前記シリンダブロックまたは前記第1アセンブリ若しくは前記第2アセンブリに設けられた歯及び溝と連携するように構成された、係合手段(7)に設けられた歯及び溝を有するデバイスを含むことを特徴とする請求項1乃至6の何れか一項に記載の油圧装置(1)。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の他の特徴、目的および効果は、以下の説明から明らかとなる。なお、以下の説明は実例に関するものであるが、これに限定されるものではない。また、以下の説明は添付図面に関して考慮されなければならない。
全ての図において、共通の要素については同一の符号を付している。
【0023】
図1は、本発明の一態様に係る油圧装置の部分断面図である。この図には、油圧装置1の回転軸X−Xを示している。
油圧装置1は、シャフト2と、カム3と、典型的にはマルチローブカムと、シリンダブロック4と、分配器51と、分配器蓋52と、ケーシング6と、を備える。
ケーシング6及びシャフト2は、典型的にはベアリング手段(この場合は2つの円錐コロ)によって、互いに相対的に回転するように設けられている。
【0024】
以下、本発明の一実施形態として、シャフト2が固定され、ケーシングが回転する場合について説明する。しかし、これとは逆の構造、すなわち、固定されたケーシング6と、回転するシャフト2とを備えた構造としてもよいことは勿論である。
【0025】
カム3は、典型的には、ケーシング6の軸方向内面に隣接したリングによって形成され、その半径方向の内壁面に、軸X−Xについて等しく分配された一連のローブ(突出部)を有している。各々のローブは、全面的に正弦曲線状の外観を有する。
図示される実施形態では、カム3は、ケーシング6に固定された状態で共に回転するように接続されている。
【0026】
シリンダブロック4は、カム3を形成するリングの内側に配置されている。シリンダブロック4は複数のシリンダ41を画定する。複数のシリンダ41は、軸X−Xに対して放射状に配置され、カム3に対向するシリンダブロック4の外周面に端部を有する。
ピストン42は、複数のシリンダのそれぞれの内部において、半径方向にスライドするように取り付けられている。各ピストン42は、カム3の半径方向の内壁面に支持される。
シリンダブロック4は、油圧装置1のシャフト2の端部が結合する中央穴を有する。
【0027】
分配器51および分配器蓋52は、加圧された流体をピストン42のそれぞれに対して、より正確にはピストン近傍のシリンダ41の内部室のそれぞれに対して、制御下で連続的に供給するように構成される。このため、カム3のローブ上にピストンが継続的に支持されることとなり、シリンダブロック4と、カム3ひいてはケーシング6に対して接続されるエレメントとの間で相対的な回転が発生する。このために、カム3に形成されたローブの数と、シリンダブロック4内に配置され、連結されたピストン42の数とは非対称となる。
分配面53は、分配器51とシリンダブロック4との間を画定し、互いに当接するように構成された、分配器51およびシリンダブロック4の面に対応する。
図示される実施形態においては、分配器51が、詳細には図示されない手段によってケーシングに対して回転時に接続されている間、分配器蓋52はシャフト2に対して回転時に接続される。
【0028】
シリンダブロック4は、シリンダ41の各々に配置されたスプリング43をさらに含む。スプリング43は、ピストン42のそれぞれの半径方向の内壁面に支持されており、油圧が不足した場合においてもカム3に対してピストンが支持された状態を維持するようになっている。
【0029】
本発明の一態様に係る油圧装置1は、コマンドの実行中、シャフト2に対してシリンダブロック4を固定するように構成された係合手段7をさらに備える。
図示される実施形態では、係合手段7は、シリンダブロック4とシャフト2の間に部分的に配置されるように、シャフト2の端部付近に固定して取り付けられている。
係合手段7は、シリンダブロック4が係合されるように構成された支持面71をさらに有する。図示される実施形態では、支持面は径方向カラー(環状部材)であり、摩擦によってシリンダブロック4の外側面が係合されるように配置されている。
【0030】
したがって、係合手段7は、シリンダブロック4が係合するように制御し得る。十分な接触力を適用することによって、係合手段に対して延いてはシャフト2に対してシリンダブロック4が固定される。こういったシャフト2へのシリンダブロックの固定によって、油圧装置1のディスプレイスメントが実行される。すなわち、予め設定された試運転が実行される。
【0031】
油圧装置1が運用中ではないとき、すなわち、回転時に係合手段がシリンダブロック4に接続されていないとき、スプリング43はピストンがカム3に接触するように保持する。
シリンダブロック4は、カム3に対して同期、すなわちカム3に回転時に接続される。
油圧装置1が運用中のとき、すなわち、係合手段が作動中のとき、シリンダブロック4はシャフト2に対して回転時に接続され、延いてはカムに対して回転する。
スプリング43は、カム3と接触した状態でピストン42を保持する。延いては、ポンプの作動を示す油圧装置の運転中においては、カム3に続くように力を与える。
ピストン42の動作は、自動吸引を含み、作動流体は、関連した油圧回路の流路において設定される。
【0032】
駆動される油圧装置の場合、シリンダブロック4を係合させるように係合手段7を作動させる関連回路の流路において加圧されている間、油圧装置1を運転する。
スプリング43は、係合手段が作動していないとき、ピストン42のカム3への接触の維持において積極的な役割を有する。
したがって、シリンダブロック4はカムと同期される。すなわち、回転時にシリンダブロック4はカム3に接続される。
【0033】
幾つかの変形例においては、係合手段7に対するシリンダブロック4の固定を想定することができる。
第1変形例によれば、制御可能な制御および固定エレメントを生成する電磁石が係合手段7またはシリンダブロック4に配置される。
他の実施形態によれば、摩擦トラックが係合手段7及び/又はシリンダブロック4に配置される。
図6において以下に説明される実施形態のような例では、係合手段6およびシリンダブロック4に対して接続されるブレーキディスクが用いられる。係合手段7およびシャフト2へのシリンダブロック4の固定化を向上させる。
他の変形例によれば、噛み合いクラッチ、すなわち係合手段7およびシリンダブロック4に配列された歯および溝を有して、回転時にこれらの歯および溝が係合したときに固定化するためのデバイスが用いられる。
【0034】
図2は、本発明の一態様に係る油圧装置の変形例を示す部分断面図である。
この変形例において、シャフト2は、回転時にカム3に接続される。
分配器51は、分配器51は、典型的には、回転時に分配器51の穴に形成された溝と連携したシャフト2の表面に配列された溝によって固定されて、シャフト2の周囲に取り付けられる。
分配器蓋52は、分配器51の外周部の周囲において回転するように取り付けられており、回転時にケーシング6に接続される。
【0035】
シャフト2は、シャフト2に対してシリンダブロック4の回転が許容されるように配置された幾つかの滑りエレメント24を含んでいる。これらの滑りエレメント24は、例えばパッド、ボール、ローラ、または、ニードル軸受である。
【0036】
スプリング22のような弾性復帰エレメントは、シリンダブロック4と分配器51との間を密閉するのに十分な力で、シリンダブロック4に対して分配器51を支持する。
【0037】
回転時に一方が他方に対して可動する2つのアセンブリは以下のように定義される。
第1アセンブリは、ケーシング6および分配器蓋52によって定義される。
第2アセンブリは、シャフト2、カム3、および分配器51によって定義される。第1及アセンブリおよび第2アセンブリは、回転時に一方が他方に対してフリーとなっている。
シリンダブロック4は、これら2つのアセンブリに対して回転するように取り付けられる。
【0038】
係合手段7は、分配器蓋52に取り付けられる。これらは、上述したように噛み合いクラッチである。すなわち、シリンダブロック4および分配器蓋52に配列された歯および溝に連携するように、係合手段7に配列された歯および溝を有するデバイスである。
係合手段7は、シリンダブロック4または分配器蓋52の一方または他方のみに配置されるように、あるいは、2つのエレメント4および41の間に跨って回転時に接続されるように、軸X−Xに沿ってシフト可能となっており、これらのエレメント4および52は、回転時に一方が他方に対してフリーとなっている。
【0039】
したがって、係合手段7は、回転時に、上記で定義されたアセンブリのうちの一つと共にシリンダブロック4に接続される。この場合、第1アセンブリ、すなわち、カム3を含まないアセンブリである。
【0040】
また、図示される分配器51は、チャネルを形成するための分配器蓋52内に配置された溝521,522と連携した、流体を移送するための溝511,512を含んでいる。
チャンネルを囲む溝523は、分配器蓋52に配置される。ハウジングを形成するこれらの溝は、動的な密閉エレメントを受けるように構成される。分配器51内に設けられた溝511,512は、それぞれが2つの側壁511a,511b,512aおよび512aを有するのに有利となるように形成されている。これらの側壁は、溝511,512のそれぞれのために形成されており、シリンダブロック4に近い側壁は、遠い側壁よりも表面が大きい。
図2に示される実施形態を参照して、側壁511a,512aは、側壁511b,512bの表面よりも大きい表面を有する。
したがって、加圧流体は、これらの側壁511a,512に適用される圧力によってもたらされる力の影響下で、シリンダブロック4へ向けて分配器51を移動させるようになっている。
この溝511,512の特融の構造は、シリンダブロック4と分配器51の間の密閉の自動メンテナンスを実現する。スプライン513は、回転時に分配器51をシャフト2に固定する。カムプロフィール上でピストンの動作が同期するように、シャフト2に回転自在に固定される範囲において分配器51はカム3に回転可能に固定される。
【0041】
図3は、
図2の実施形態の変形例を表しており、係合手段7が、噛み合いクラッチ構造と、分配器蓋52に対してシリンダブロック4を同期させるように構成された摩擦面とを組み合わせたものである。係合手段6は、噛み合いクラッチを介して2つの部品が係合する前に分配器蓋52に取り付けられている。
【0042】
係合手段7は、2つの可動部72,73によって構成されている。
第1可動部72は、典型的には複数の溝および複数の補助溝によって、分配器蓋52にスライド可能に取り付けられている。また、第1可動部72は、シリンダブロック4の摩擦面48に当接するように適合された摩擦面74を有している。これらの面48,74の接触は、分配器蓋52とシリンダブロック4を同期させるための摩擦を生じさせる。
第2可動部73は、例えば複数の溝および複数の補助溝によって、第1可動部72にスライド可能に取り付けられている。また、第2可動部73は、後部が分配器蓋52と同期した時点で、シリンダブロック4に配置された複数の溝および複数の補助溝と係合するように構成される。
ボールストップ75は、分配器蓋52とシリンダブロック4との間において摩擦面74,48が係合したときのみ、移動中に第2可動部73を解放する。実際には、この第2可動部73によって形成されるような噛み合いクラッチ式の係合は、すなわち、2つの関連したエレメントにおいて一方を他方に対して固定するとき、静的に有利である。
【0043】
コマンドの実行中、回転時に係合手段7はシリンダブロック4および分配器蓋52を第1アセンブリに接続する。すなわち、この場合、第1アセンブリは、カム3を含まない。
【0044】
係合手段7は、レバーまたはそれに係合する他のシステムを介して、その移動を許容する周囲溝をさらに含んでもよい。
【0045】
図4は、本発明に係る油圧装置1の他の変形例を示す。同図において、係合手段7は、分配器蓋52の適合面に圧力を付与するように構成された加圧源であり、シリンダブロック4に圧力を与えるとともに、回転時に部品6とシリンダブロック4とを接続する。
ここでは、加圧源は、油圧ポンプ722として図示されており、例えばブーストポンプを用いることができる。この加圧源は、ケーシング6と分配器52との間に、圧力とともに部分的な容積712を与えるように構成される。また、加圧源は、シリンダブロック4に向けて分配器蓋52がシフトするようにその後部に圧力を与えて、ケーシング6に接続された摩擦パッド64に対してシリンダブロック4を支持させるように構成される。そして、容積712に与えられた圧力によって、シリンダブロック4と摩擦パッド64との間の摩擦が生じて、ケーシング6に対してシリンダブロック4が固定されるようになっている。
分配器蓋52および/またはケーシング6は、有利には、圧力が付与される容積712のシール性を確保するためのシール手段713を含む。
【0046】
係合手段7は、コマンドを実行している間、回転時にシリンダブロック4を第1アセンブリに接続する。すなわち、第1アセンブリはカム3を含まない。
【0047】
この変形例の他の実施形態においては、シリンダブロック4は、シャフト2に配置されたスライドパッドに支持されるとき、摩擦パッドはシリンダブロック4と分配器蓋52との間の面に配置される。容積712内に付与される圧力は、分配器蓋52に対してシリンダブロック4を固定させ、これにより、シリンダブロック4と分配器蓋52の摩擦パッドとの間の摩擦によって、ケーシング55に対してシリンダブロック4を固定させる。
【0048】
図5は、上述の
図2に示した本発明に係る油圧装置1の他の変形例を示す。
この変形例において、分配器蓋52は、回転時に指数化エレメント52を介してシリンダブロック4に接続される。例えば、スクリューまたはボルトであり、回転時にケーシング6に対して回転自在に取り付けられる。
一方が他方に対して回転する2つの可動アセンブリは、以下のように定義される。
第1アセンブリは、ケーシング6によって定義される。
第2アセンブリは、シャフト2、カム3、および分配器51によって定義される。前記第1アセンブリおよび前記第2アセンブリは、一方に対して他方が回転自在となっている。
シリンダブロック4および分配器蓋52は、これらの2つのアセンブリに対して回転自在に取り付けられている。
係合手段7は、ここでは上述したような噛み合いクラッチ装置である。すなわち、ケーシング6および分配器52にそれぞれ配列された歯および溝と連携する係合手段7に配列された歯および溝を有する装置である。
係合手段7は、回転時にシリンダブロック4および分配器52を第1アセンブリに接続する。すなわち、第1アセンブリは、コマンドの実行中カム3を含まない。
【0049】
図6は、本発明の一態様に係る油圧装置以外の変形例を示す部分断面図である。
この変形例においては、シャフト2は、回転時にカム3に接続される。
分配器51は、回転時にシャフト2を囲むようにシャフト2に固定されており、典型的には分配器51の穴に形成された溝と連携するシャフト2の表面に配置されたスプラインによって固定される。
分配器蓋52は、大抵は分配器51を囲むように回転自在に取り付けられ、回転時にケーシング6に接続される。
上述の実施形態のように、カム3を形成するリング上にピストン42が位置するようにシリンダブロック4が配置されており、スプリング43によってカム3とピストン42との接触が維持されるようになっている。
シリンダブロック4は、ここでは、回転時に接続されるディスクトレイ44と関連しており、ディスクトレイ44は、複数の均一な空間を形成する複数のディスク45を有している。
分配器蓋52は、ディスクトレイ44のディスク45と交互に配置される複数の補助ディスク54さらに備えている。
これらの2つのディスク45,54のグループは、標準的なブレーキディスクと類似した機能を有する。すなわち、これらのグループは、分配器蓋52およびシリンダブロック4が接触せず、互いに離れて一方が他方に対して回転可能な配置と、配器蓋52およびシリンダブロック4が接触し、一方が他方に対して摩擦の影響下で固定された配置とを交互に実現するように構成される。
【0050】
支持エレメント8は、ここでは、シャフト2と分配器51との間においてシャフト2の周りに配置される。係合手段は、典型的には溝およびスプラインによって、回転時にシャフト2および分配器51に接続される。軸X−Xに沿って移動時における可動性を有する。
支持エレメント8は、シリンダブロック4に対する分配器51の圧縮力を発生させ、分配器51とシリンダブロック4との間を硬固に支持するように配置された圧縮スプリング82を含む。
弾性ワッシャ83は、シャフト2に支持されるように位置し、圧縮スプリング82によって与えられる圧縮力に対向する作用を支持エレメント8に付与して、ディスク45,54の解放位置に戻す。すなわち、シリンダブロック4が分配器51に対して、延いてはケーシング5に対して回転自在となるシステムの位置に戻すようになっている。ワッシャ83および圧縮スプリング82は、油圧装置が加圧状態または非加圧状態のいずれであっても、分配器51およびシリンダブロック4の間の近接支持を保持するように構成されている。
なお、ワッシャ83および圧縮スプリング82は、他の弾性手段に代替し得る。
【0051】
運転時、圧力の付与によって、上述したようにこれらの壁511a,512aに与えられる圧力に起因した力の影響下で、分配器51はシリンダブロック4へ向けて移動する傾向にある。シリンダブロック4に支持された分配器51とともに、その後部もまた同一の方向、すなわち分配器蓋52から離れる方向に移動する。このシリンダブロック4の分配器蓋52に対する相対的な移動は、ディスク45,54を係合させ、ケーシング6および分配器蓋52を含むアセンブリに対して回転時にシリンダブロック4を接続し、油圧装置1の試運転を実行する。
油圧装置を解放することは、流れをゼロにすることである。したがって、圧力の供給を停止すればよい。すなわち、分配器51の壁511a,512aに作用する圧力が、予め設定された閾値に到達したとき、回転時に分配器52およびケーシング6に対してシリンダブロック4を離してディスク54,45を解放する。
【0052】
したがって、係合手段は、ここではディスク45,54および支持エレメント8の組合せによって構成され、これらによって、回転時におけるシリンダブロック4とケーシング6および分配器52との係合を確保したり、係合を解除したりする。
【0053】
図7は、本発明の一態様に係る油圧装置の他の変形例を示す。
この変形例は、
図6において説明した構成と類似した機能を有しており、ディスク45,54が、回転時にシリンダブロック4および分配器蓋52にそれぞれ接続される2つの円錐状ハーフシェルに代替された構成となっている。これらの2つの円錐状ハーフシェルは、シリンダブロック4および分配器蓋52のうちの一方に対して他方が離れる方向にシフトしたとき、2つの円錐状ハーフシェル46,47が摩擦によって係合して、回転時にシリンダブロック4および分配器蓋を接続する。
図6に示した実施形態に関しては、上述したように、圧力付与によって、これらの壁511a,512aに作用する圧力に起因した力の影響下で、シリンダブロック4に向けて分配器51が移動するようになっていた。シリンダブロック4に支持された分配器51とともに、その後部は、同一方向、すなわち分配器蓋52から離れる方向に移動する。この分配器蓋52に対するシリンダブロック4の相対的な移動は、2つの円錐状ハーフシェル46,47を係合させ、回転時にケーシング6および分配器蓋52を含むアセンブリに対してシリンダブロック4を接続し、油圧装置1の試運転を実施させる。
したがって、油圧装置の解放は、圧力供給の停止を意味する。壁511a,512aに作用する圧力が予め設定された閾値に到達したとき、2つの円錐状ハーフシェル46,47が離れて、回転時に分配器蓋52およびケーシング6に対するシリンダブロック4が解放される。
【0054】
上述した実施形態においては、係合手段は、2つの円錐状ハーフシェル46,47および支持エレメント8によって構成され、これらによって、回転時におけるシリンダブロック4とケーシング6および分配器52との係合を確保したり、係合を解除したりする。
【0055】
図8および
図9は、
図6および
図7において説明した構成と類似した機能を有する変形例を示している。
【0056】
図8は、
図6の変形例を示している。同図の説明においては、支持エレメント8、圧縮スプリング82およびワッシャ83は省略している。
リターン手段9は、シリンダブロック4のディスク45および分配器蓋52の補助ディスク54を解放することによって、すなわちシリンダブロック4とディスク45,54により形成されるケーシング6との間に存在するクラッチを解放することによって、回転時にシリンダブロック4が分配器蓋およびケーシング6から解放されるようシリンダブロック4を移動させるように配置される。
図示される実施形態では、リターン手段はワッシャ型の圧縮スプリングであり、通常これは皿バネと呼ばれる。
また、リターン手段9は、シリンダブロック4を分配器51に接触させた状態で保持し、これにより、油圧装置の運転を実施するためにシリンダブロック4のピストン42を供給することによって2つの部品間において密閉性を確保する。
【0057】
上述した図において示したように、図示される分配器51は、流体を流すための溝511,512を含む。これらの溝511,512は、流路を形成するために、分配器蓋52に設けられた溝521,522に連携している。
このようにして形成された流路を含む溝523は分配器蓋52に配置され、動的な密閉エレメントを受けるように構成されたハウジングを形成する。
分配器51に設けられた溝511,512は、有利には、それぞれ2つの側壁511a,511b,512a,512bを形成し、これらの側壁によって、各溝511,512が形成される。シリンダブロック4に近い側壁は、遠い側壁よりも大きい面を有する。
図8に示される実施形態を参照して、側壁511a,512aの面は、側壁511b,512bの面よりも大きい。分配器51の直径は、シリンダブロックに接触する面に近づくにつれて増大する。分配器51は、段差状であってもよい。
したがって、加圧流体の供給は、これらの壁511a,512aに作用する圧力に起因した力の影響下でシリンダブロックに向けて分配器51を移動させるようになっていてもよい。
溝511,512の特有の構造は、シリンダブロック4および分配器51の間を密閉するための自動メンテナンスを確保する。カムプロフィールにピストンの動作が同期するために、側壁がシャフト2に回転自在に固定される範囲内において、分配器は回転時にシャフト2に接続され、分配器はカム3に回転自在に固定される。
類似した役割は、スラストチャンバの配置によって達成し得る。スラストチャンバは、分配器51内において、シリンダブロック4に向けて分配器が移動する圧力を発生させるように配置される。
【0058】
流体の供給中、側壁511a,512aに作用する圧力に起因した力の影響下でシリンダブロック4へ向けて分配器51が移動することによって、ディスク45,54が係合し、回転時にシリンダブロック4がケーシング5に接続されて、油圧装置1のディスプレイスメントが実施される。
【0059】
したがって、係合手段7は、
ディスクトレイ44によるシリンダブロック4と、分配器蓋52によるケーシング6と、の間のクラッチを形成するディスク45,54の組合せと、
リターン手段9と、
加圧中、シリンダブロック4の方へ分配器51を移動させる分配器51の構造と、
によって構成される。
【0060】
図9は、他の実施形態を示しており、この実施形態において、シリンダブロック4は回転時、コマンドの実行中にシャフト2に接続される。すなわち、シリンダブロック4は、シャフト2に接続された複数の他のディスク25と連携されるように構成された複数のディスク45を備えている。
【0061】
その機能は、
図8に示した実施形態の構成と類似している。
分配器によって付与される圧力が不足しているとき、リターン手段(図示される例では皿バネ)は、シリンダブロックが分配器51に支持されるように保持し、シリンダブロック4およびシャフト2の間クラッチを形成するディスク45,45を解放する。
【0062】
流体の供給中、分配器51の段差状構造によって、シリンダブロック4へ向けて分配器51が移動し、ディスク45,25を係合して、回転時にシリンダブロック4を→ふと2に接続して油圧装置1のディスプレイスメントを実施する。
【0063】
固定されたカム構造3は、摩擦の観点から有利である。油圧装置1が運転していないとき、カム3、シリンダブロック4、分配器51および分配器蓋52は固定され、特に部品間の密閉エレメントにおける摩擦を回避する。
【0064】
幾つかの他のタイプのリターン手段も使用し得る。具体例として、一または複数の圧縮スプリングを有する摩擦パッドを利用することができる。分配器5に取り付けられた圧縮スプリングは、引っ張り要素と連携している。また、リターン手段9は、分配器51に対してシリンダブロック4を保持させるように、油圧装置の他のエレメントに支持されるように取り付けられてもよい。
【0065】
図10は、他の実施形態を示しており、この実施形態において、シリンダブロック4は、回転時、コマンドの実行中にシャフト2に接続されるように構成される。
【0066】
この実施形態では、回転時におけるシリンダブロック4とシャフト2の間のリンクが、回転時の同期エレメントおよび義歯によって形成される。
【0067】
提示されるような同期エレメントは、同期ピストン91であり、これは回転時に例えばキー溝によってシャフト2に接続される。同期ピストン91は、軸X−Xに沿ってスライドするように取り付けられており、シャフト2に支持されるように配置され、シャフト2と同期ピストン91との間のスプリング機能を達成するように構成されたワッシャ92に連結されている。
【0068】
シリンダブロック4およびシャフト2は、それぞれ、キー溝94,95を有している。キー溝94,95は、軸X−Xに沿ってシリンダブロック4が移動するとき、シャフト2を停止させるよう係合するように設けられている。
【0069】
軸X−Xに沿ったシリンダブロックのディスプレイスメントは、典型的には、シリンダブロック4に分配器51の圧縮力を発生する、分配器51の流体供給の影響によってなされる。
図示される実施形態では、作動ピストン96をさらに備える。シリンダブロックに圧縮力を発生させて、分配器51の流体供給の作用と共にディスプレイスメントを確保する。
【0070】
シリンダブロック4は、同期ピストン91に対向して配置された角度セクタの形態で、一または複数のハウジングを備える。同期ピストン91とシリンダブロック4との接触は、摩擦によって形成される。シリンダブロック4と同期ピストン91とが接触することによって、回転時に、同期ピストン91、延いてはシャフト2に対してシリンダブロック4が係合される。
【0071】
ハウジングの角度セクタの形態は、シリンダブロック4の回転時、同期ピストンへの係合を可能とし、これらの2つの部品の間に、角度に関する横方向の遊びを可能とする。
このようにして、油圧装置1の回転部の回転の方向の機能として、ハウジングの2つの異なる壁に対するシリンダブロック4での同期ピストン91の2つの停止位置が定義される。
これらの2つの停止位置は、油圧装置1の運転の方向、すなわちその回転部の回転する方向に従った適切な構造において、シリンダブロック4の内部流路および分配器51の内部流路を直線状に接続する。
【0072】
こういった回転時の第1の係合が完了したら、シリンダブロック4およびシャフト2の間の噛み合いクラッチ係合を形成するようにシリンダブロック4およびシャフト2の各キー溝94,95が係合するまで、シリンダブロック4は、軸X−Xに沿ったディスプレイスメントを継続する。ワッシャ92は、軸X−Xに沿ってシリンダブロック4と共に同期ピストン91の移動を可能とする。
【0073】
したがって、2回のディスプレイスメントが終了したら、軸X−Xに沿ったシリンダブロック4のディスプレイスメントの間、
第1に、計画的な構造においてその内部流路を位置づけるように、また噛み合いクラッチリンクの係合のノイズを回避する速さで同期されるように、シリンダブロック4の流動的な係合が達成され、
第2に、シリンダブロック4の流動的な係合が、噛み合いクラッチ型の係合によってシャフト2とともに固定される。
ディスプレイスメントは、シリンダブロック4の流動的な係合に起因した、油圧装置1の運転の方向に適合され、油圧装置1の回転方向に適合した内部流路の位置づけを可能とする。
【0074】
図11及び
図12は、
図9を参照して説明したような運転を示す構造を示しており、車輪お駆動する2つのハーフシャフトに接続された作動装置を含むアセンブリに組み込まれた構成を示している。
【0075】
この実施形態では、ケーシング6は固定されており、油圧装置は、ケーシング6内に配置された差動装置23に連携されている。
カム3、分配器51および分配器蓋52は、ここでは、回転時にケーシング6、回転シャフトからなるシャフト2に接続されている。
【0076】
油圧装置1のシャフト2に取り付けられた差動装置23は、異なる速度で回転し得る2つのハーフシャフト2a,2bに接続される。差動装置23の本体(通常はケージと呼ばれる)は、回転時にシャフト2に接続される。
この変形例は、例えば車両の車軸を補助するために用いられる。2つのハーフシャフト2a,2bは車輪2c,2dにそれぞれ接続される。したがって、これらを係合してシャフト2の油圧補助を提供するためのモータとして動作させるように油圧装置1に動力を供給するために、ポンプを始動するには十分となる。
【0077】
段差状の分配器51およびリターン手段9または9を含み、且つ、シリンダブロック4と分配器51との間の近接接触を確保するようなこういった異なる変形例は、動的な密閉手段の使用を制限することによって、小型で且つロバストなシステムを実現する。
シリンダブロックの回転時の係合は進歩を革新的であり、すなわち、分配器51によって与えられるより高い圧力、並びに、シリンダブロック4のクラッチのディスク45と、補助ディスク54又は25との間のより大きな摩擦力を発生させる。
【0078】
より一般的には、本発明の一態様に係る油圧装置は、一方に対して他方が回転するような2つの可動アセンブリを有しており、これらの可動アセンブリは以下のように定義される。
第1アセンブリはケーシング6によって定義される。
第2アセンブリは、シャフト2によって定義され、第1アセンブリおよび第2アセンブリは、一方に対して他方が回転自在に構成される。
カム3は、回転時、これらのアセンブリの一方または他方に接続される。例えば、
図1に示される実施形態においては第1アセンブリに接続され、
図2に示される実施形態では第2アセンブリに接続される。
【0079】
係合手段7は、例えば、油圧装置1の圧力供給、または、回転時にシリンダブロック4およびカム3がそれぞれ異なるアセンブリに接続されるようなアクチュエータの係合、油圧装置のディスプレイスメントのようなコマンドの実行中に、前記第1アセンブリまたは前記第2アセンブリの他方に対してシリンダブロック4を固定する。
【0080】
係合手段7は、例えば
図1に示される実施形態のように、シリンダブロック4に直接的に作用する。係合手段は、回転時にシリンダブロック4を固定するために、シリンダブロックに直接的に、あるいは、例えば
図2に示される実施形態では分配器蓋52または
図1に示される実施形態では分配器51のような他のエレメントに働く動作を介して間接的に、接触した状態となる。
2つのアセンブリのうち一方または他方に対するシリンダブロック4の固定は、有利には革新的になされる。例えば、接触力の革新的な活用、および段階的に革新的な試運転等である。
係合手段7は、特に、油圧装置に連携した油圧回路のブーストポンプによって動作し得る。
【0081】
また、ピストン42をカム3に適合するスプリング43は、油圧装置が、
図1を参照して上述したように、自身で吸引することを意味する。すなわち、この油圧装置1は、キャビテーションのリスクを回避するためにブーストポンプに連結される必要なく、ポンプとして利用し得る。
実際に、シリンダブロック4はカムに対して回転するので、ピストン42およびカム3の間における接触によって吸引力が発生するため、キャビテーションのリスクを回避できる。
【0082】
本発明は、油圧装置において速度がゼロで且つ流れがゼロではない試運転を提供する。流れがゼロとなる構造から、2つのアセンブリの相対的な回転によって流れを発生させる構造に移行する。
【0083】
従来技術の油圧装置とは逆に、ピストンの伸張および関連した油圧回路またはケーシングの閉回路の加圧を実行するための漸進的な圧力増加の一時的なフェーズを実行する必要はない。
実際には、2つのアセンブリの一方または他方に対してシリンダブロックを固定化するくらいに、試運転は革新的になし得る。例えば、摩擦の影響下にて、幾つかの変形例において、噛み合いクラッチまたは他の固定手段の適用によって固定を倍増することができる。
ブーストポンプは、選択的且つ最小限である。もし必要であれば、その機能によってリークの補償を制限する。
【0084】
本発明は、例えばトラック、農業用車両、建設機器、あるいは作業者や自動車等の車両の油圧補助回路において特有の活用を有する。上述したように、回転するケーシング6および固定されたシャフト2を有する油圧装置1の場合、油圧装置1は、典型的には、その固定された部品がホイールスピンドルを形成するように構成され、回転するケーシングは車両に接続される。
油圧装置1の試運転は、典型的には、牽引型や駆動型のトランスミッションから、4輪駆動型のトランスミッションへ移行させる。前輪を駆動するための第1モータを有する車両の場合、後輪が有利には上述したような油圧装置を備えることによって、油圧装置の試運転の間は4輪駆動のトランスミッションに移行する。
【0085】
図13は、本発明の一態様に係る油圧装置を用いた他の変形例を示す。
【0086】
ディスク45,25は、ここでは、制御チャンバ57によって圧力が制御される密閉チャンバ56に設けられる。
制御チャンバ57は、分配器51の流路に接続される。密閉チャンバ56は油で満たされている。
制御チャンバ57は、密閉チャンバ56内の圧力を制御するように構成されており、密閉チャンバ56内の油の粘度を変更する。密閉チャンバ56内の油の粘度が上昇することによって、粘性結合によりディスク45とディスク25とが係合する。制御チャンバ57による圧力が不足する場合には、密閉チャンバ56内の粘度が低くなり、そのためディスク45とディスク25とが結合されない。
【0087】
例えばワッシャスプリングのような自由回転制御手段は、密閉チャンバ56内の圧力を解放するように配置され、油圧装置1を自由回転構造に移行させる。
【0088】
この粘性結合による係合は、幾つかの有利な点がある。摩擦を必要とせずクラッチ機能を実行でき、これにより、標準的な噛み合いクラッチ型に対して摩耗を低減できる。また、クラッチの適用中におけるノイズのリスクも低減できる。
【0089】
特有の適用によれば、本発明に係る数個の油圧装置をチェーンで取り付けることもできる。
第1油圧装置は車軸に取り付けられ、第2油圧装置は、車両のサーマルモータのようなモータに接続された駆動軸に取り付けられる。油圧補助を目的とした場合、2つの油圧装置は、サービスを必要としており、第2油圧装置は、モータとして動作して関連した車軸を駆動する第1油圧装置に対して動力を供給するようなポンプ動作を有する。
【0090】
図14は、そのような取り付けに関する実施形態を示している。
この取り付けは、油圧回路Cを含み、油圧回路Cは、ポンプおよびモータとしての油圧装置110,120を有する。
これらの2つの油圧装置110,120は、それぞれ、クラッチ112,122に連結される。
クラッチ112は、ポンプ110に対して、典型的にはギアボックスにリンクし得るサーマルモータであるブロックモータMを連結する。
クラッチ122は、例えば車軸であるシャフト130に対して、油圧モータ120を連結する。
図示される実施形態では、クラッチ112,122は、それぞれ、油圧制御部114,124によって制御され、制御圧が適用されたとき、関連したクラッチを起動するように構成される。その圧力が、設定された閾値よりも小さくなったとき、解放される。
油圧制御部114,124は、それぞれ、第1制御部115,125によって代替される。クラッチ112,122は、第1制御部または油圧制御部のいずれかによって、あるいはこれらの組合せによって、始動し得る。図示される実施形態では、第1制御部115,125は電子制御部であるが、例えば、空気式、機械式または油圧式のような他の変形例を採用することもできる。
【0091】
油圧回路Cは、油圧ポンプ110の入口と油圧モータ120の出口を接続するラインと、油圧ポンプ110の出口と油圧モータ120の入口を接続するラインと、を有する。以下、動作例の説明に際して、これらのラインを、油圧回路Cの低圧ラインに対応したBPと、高圧ラインに対応したHPと称する。
図示されるような油圧回路Cは、ラインHPをラインBPに接続し、油圧制御部114,124のそれぞれに圧力を与える2つのシャトルバルブ116,126を含む。
【0092】
これらのシャトルバルブ116,126は、2つのラインHP,BPのより高い圧力を低下させるように構成される。油圧ポンプの出口に接続された高圧ラインの場合、油圧制御部114,124のそれぞれに対してそれを伝える。
【0093】
油圧回路Cは、油圧回路Cにおける流れを排出するように構成された過圧バルブ142,144をさらに備える。これらの過圧バルブは、それぞれ、ラインBPおよびラインHPに接続されており、ライン内の圧力が閾値を超えたときに圧力を解放するようになっている。
これらの2つの過圧バルブは、分配器146に接続されており、ラインHPおよび/またはBPの排油の可否を決定する機能を有する。
また、油圧装置110,120は、それぞれ、同一のドレンライン117によって共に接続されたケーシングを有しており、順に、チェックバルブ118,119によってそれぞれラインHP,BPに接続されている。
この共通化されたドレンライン117は、油圧装置の解放を実行するために、油圧装置110,120のケーシングにおける圧力間の均衡を取るようになっている。油圧装置110,120から油圧回路Cへ向けてリークの吸引を実行する。チェックバルブ118,119は、油圧回路Cの再供給を実施し、ブースト手段を必要としない自己吸引システムを実現する。
ドレンライン117は、典型的には、給排気管127を含むか、あるいは外部へ油を蒸発させるための蒸発システムを含む。
【0094】
ギアボックスを有する取り付け手段において、ドレンライン117は有利にはギアボックスのケーシングに接続されて、ギアボックス及び油圧装置のための給排気管に装着されたドレンラインを有するシステムを提供する。ドレンは、2つの油圧装置への油供給のために蓄油される。
【0095】
動作時において、初期状態では2つのクラッチ112,122が解放されており、このため油圧ポンプ110および油圧モータ120は解放され、油圧回路への流れもゼロである。
シャフト130への油圧補助を開始するために、クラッチ112の第1制御部115は、油圧ポンプ110を油圧モータMへ連結するように動作し、油圧ポンプ110を介した油圧回路Cにおける流れを開始させ、その動作方向の役割として、高圧ラインHPおよび低圧ラインBPを定義する。
次いで、第1制御部125は、→鬱モータ120をシャフト130に連結させるように動作する。例えば上述の
図6〜9に示したような段差状の分配器を有する油圧モータ120の場合、油圧モータからの供給は、2つのアセンブリの一方または他方に対してシリンダブロックの回転を係合し、油圧モータ120の動力供給を開始する。
また、ラインHPおよびラインBP内の圧力を設定することは、制御部114,124を介した圧力適用を実施する。クラッチ位置におけるクラッチ112,122が保持されるように、上述したようにラインHP内の圧力を逃す。
【0096】
このように、係合された状態のシステムは、シャフト130を駆動して油圧補助を提供し、そのメンテナンスを実施する。
補助の解放は、第1制御部115,125の実行を停止することによって、あるいは、第1制御部を逆に適用することによって、実施し得る。これは、クラッチ112及び/又は120の解放の方向において、及び/又は、モータ120及び/又はポンプ110のケーシングへ流体を送ることによってラインHPおよびラインBPを排出するための分配器146を介して実施できる。クラッチ112,122のトルクは、関連した油圧装置を駆動するための閾値以下となるように減少し得る。
【0097】
本発明の一態様に係る油圧装置1に関連した取り付けは、容易に実施でき、油圧装置1を試運転するためのいくつかの圧力レベルを設定するための多数のスイッチ要素が不要である。
【0098】
特有の実施形態によれば、油圧装置110は、第1車軸に取り付けられ、一又は複数のモータ付車輪に接続され、油圧モータ120は、第2車軸に取り付けられる。第1車軸は、第1モータ、典型的にはサーマルモータによって駆動される。
油圧ポンプ110は、車両の第1車軸のモータ付車輪と同一速度で回転し、油圧モータ120は、車両の第2車軸と同一速度で回転する。
油圧ポンプ110および油圧モータ120が解放されたとき、第1モータのみが車両を駆動する。
油圧ポンプ110および油圧モータ120の作業中には、油圧ポンプ110は第1車軸のトルクから解放されて、油圧モータを駆動して油圧モータ120を介して第2車軸に伝達する。
これにより、統合的なトランスミッションを提供できる。油圧ポンプ110、油圧モータ120および車両の車輪の回転速度の間が1:1の比率となり、油圧回路のリークおよび損失を低減できる。
このタイプの油圧装置の軸への取付けは、特に、従来の油圧装置のサーマルモータの動力取出装置または速度軸への取付けにおける固有の減速比を無くすことができ、車両の油圧補助を実行するための構造を簡素化することができる。
変形例として、油圧ポンプ110は、2つの油圧モータに供給し、それぞれが、車両を駆動する軸のハーフ軸に再接続されるようにしてもよい。
【0099】
図15は、上述した取り付けの変形例を示す図である。
この取付けもまた、上述したような2つの油圧装置1を備えており、一つはポンプ110として動作し、他の一つはモータとして動作する。この図には、油圧装置110,120のケーシングの各ドレンラインを示しており、これらのドレンラインは、それぞれ、周囲圧力でタンクRに接続されている。
上述と同様に、この取り付けは、クラッチ122を介してモータ120に連結されるシャフト130に油圧補助を提供するための2つの油圧装置の試運転を実施する。
過圧バルブ142,144は、ラインHPおよびラインBPから油圧回路C内または油圧装置110,120のケーシング内への圧力過剰を放出するように設けられている。
分配器146は、ここでは、これらの2つのラインの高圧油をタンクR内に排出することによって、ラインHPおよびラインBPを空にする機能を有する。この2つのラインHP,BP内の高圧油は、シャトルバルブ136を用いて解放される。
【0100】
この取り付けは、タンクR内の流体を回路に供給するためのブーストポンプ150を備えている。ブーストポンプ150は過圧バルブに連結されており、タンクRに圧力過剰を放出するようになっている。
このブーストポンプ150は、クラッチ112,122をそれぞれ制御する油圧制御部114,124を、ブーストポンプ150またはタンクRの何れかに周囲圧力にて接続するために、係合分配器156にも連結されている。したがって、係合分配器156の動作は、クラッチ112,122の両方の係合、延いては油圧装置110,120の両方の試運転を実行する。
【0101】
図16は、動力回復回路を形成するためのアキュムレータによって動力供給される油圧装置を備える他の変形例を示している。
この図にもまた、本発明に係る油圧装置120が示されている。この油圧装置120は、ここでは、シャフト130に接続されたモータである。このモータ120の試運転は、クラッチ122を用いて制御される。なお、クラッチ122は、油圧制御部124によって制御される。
シャトルバルブ126は、モータ120に接続された2つの油圧支流の過剰圧力を取り出し、制御部124にそれを適用する。
圧力供給は、2つのアキュムレータ171,172を用いて行われる。図示される運転例では、アキュムレータ171は高圧アキュムレータであり、アキュムレータ172は低圧アキュムレータである。
チェックバルブ173は、高圧アキュムレータ171のレベルの圧力に対して低圧アキュムレータ172のレベルを超える圧力を回避するように、これらの2つのアキュムレータの間に配置される。
2つの過圧バルブ174,175は、周囲圧力でタンクR内に圧力を排出するようになっている。
【0102】
図示される油圧回路は、
高圧アキュムレータ171に接続された第1オリフィス161と、
タンクRに接続された第2オリフィス162と、
低圧アキュムレータ172に接続された第3オリフィス163と、
モータ120の入口側および出口側に接続された第4オリフィス164および第5オリフィス165と、
を含む5つのオリフィスを有する分配器160をさらに備えている。
この分配器は、例えば油圧式、空気式または電子式の制御部を含む制御手段と、制御コマンドを実施していないときに分配器160を均衡位置に戻すためのリターン手段と、によって制御される。
分配器160は、後述するような3つの構成の間で交互に変化する。
第1の構成は
図16に示される構成であり、第4オリフィス164および第5オリフィス165が第2オリフィスに接続されており、第1オリフィス161および第3オリフィス163が閉じている。この構成によれば、モータ120の出口側および入口側がタンクRに接続されており、クラッチ122を始動するための圧力が存在せず、モータ120は解放されている。
第2の構成においては、第1オリフィス161が第5オリフィス154に接続されており、第3オリフィス163が第4オリフィス164に接続されており、第2オリフィス162が閉じている。この構成によれば、モータ120がアキュムレータ171,172に接続されており、よって、高圧ラインおよび低圧ラインが画定される。また、高圧アキュムレータ171に接続されるラインおよび低圧アキュムレータ172に接続されるラインがクラッチ122を始動し、シャフト130を回転状態として駆動するようにモータ120が試運転される。
第3の構成は第2の構成に類似しているが、モータ120の回転の方向が逆になるように、第1オリフィス161および第2オリフィス162の第4オリフィス164および第5オリフィス165との連結が逆になっている。
第1の構成または第3の構成のいずれであっても、モータ120は、高圧アキュムレータによって圧力が供給される。そして、動力回復を実施する低圧アキュムレータ内に蓄圧される。
【0103】
前述した図に示される回路に関しては、本発明に係る油圧装置の有利な構造が適用されている。モータ120の場合、簡単な試運転が実施でき、摩耗やノイズが抑制可能で、容積、コストおよび質量を低減できる。
【0104】
車両に適用した特有の場合においては、
クラッチを備えているか又は備えていない可変容量型の油圧ポンプを選択的に駆動するように構成された第1モータと、
N個の駆動軸(Nは1以上の自然数)と、
を備えており、各々の駆動軸は、油圧装置に取り付けられている。上述したように、複数の駆動軸に対応した油圧装置は、一つの駆動軸に対応した油圧装置に対して平行に取り付けられている。
【0105】
車両は、有利には、車輪に接続される駆動モータの速度の情報特性および回転時のポンプの駆動速度の情報特性を受け取る計算機をさらに備えている。
【0106】
計算機は、油圧装置が始動したらすぐに、ポンプの容積に回転時の駆動速度を乗じたポンプの容積が、車輪に連結された駆動モータの駆動速度を乗じたモータのN個全ての容積にイプシロンを加算した値と等しくなるように、油圧ポンプの容積調整を実行する。
イプシロンの値は、けん引の影響による滑りを表す。イプシロンは、ゼロまたはクラッチのモーメントで極めて低く設定してもよい。
予測されるモータの容積は、回路のリークまたは損失の割合を考慮してもよい。
【0107】
ポンプが起動したとき、上述したように一つの油圧装置又は複数の油圧装置のクラッチおよびモータは、ポンプの起動に付随して、あるいは、短い遅れの後で、運転が開始する。モータが動力供給されているがクラッチが作動していないとき、モータはトルクなしにシャフトの回転に近い速度で回転する。これは、特にシリンダブロックの結合システムが噛み合いクラッチ型のケーシングである場合において、クラッチに衝撃が発生しない好ましく有利な状態である。このとき、ポンプが流体を流しており、モータが回転していても、ほんのわずかなトルクしか発生せず、油圧の供給ラインと返送ラインの間の圧力差は極めて小さい。
【0108】
油圧回路の閉ループにおいて圧力が設定されたとき、低圧の返送ラインと高圧の供給ラインとが形成される。計算機は、例えば、回路の異なるポイントで正確な圧力を読み取ることによって、油圧回路において圧力を変化させる機能としてのポンプのディスプレイスメントを制御する。
【0109】
一または複数の油圧モータにおいてクラッチ操作されたら、モータによって提供されるトルクに比例した油圧ラインの圧力の差が発生し、過圧機能としてのポンプの制御が可能となる。油圧ポンプのディスプレイスメントの制御はトルクまたは速度として変化し得る。当業者にとって公知のように、駆動軸がけん引または抑制される。この圧力情報からの制御は、油圧供給ラインおよび油圧返送ラインの間の圧力差が、当業者にとって望ましい値に設定された閾値よりも大きくなったときから、実施される。これは、
クラッチ動作またはモータのクラッチ動作が効果的となることを検出するための他の手段の動作から遅延して実施されてもよい。
【0110】
この特有の実施形態は、駆動モータによってより迅速に駆動可能であり、滑り、摩耗またはノイズを低減し、衝撃または圧力ピークを回避することができる。
【0111】
上述したように、油圧装置の衝撃を発生させないようなクラッチの効果的な結合は、特に、漸進的な場合に、油圧補助の柔軟で静かな結合を実現できる。