(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置は、軽量、薄型、低消費電力等の特徴を生かして、パーソナルコンピュータ等のOA機器や情報端末機器等の表示装置として各種分野で利用されている。近年では、液晶表示装置は、スロットマシン等の遊技機にも利用されている。遊技機用の液晶表示装置は、例えば、遊技機の筐体の正面に設けられている。
【0003】
遊技機用の液晶表示装置が備える液晶表示パネルは、映像を表示可能な映像表示部を有し、基本的には通常用途のものと同一の構造を有するが、映像表示部の中央に透過部を有している。例えば、そのような液晶表示装置を備えるスロットマシンでは、遊技者は、外部から透過部を通して筐体の内部に収納された回転リールを視認することができる。
【0004】
以下、液晶表示パネルの透過部を通して観察者が視認可能な物体を表示物とも言う。表示物は、液晶表示装置及び液晶表示パネルの後方に配置されている。
【0005】
遊技機用の液晶表示装置又は遊技機に関して、例えば、以下のものが開示されている。
【0006】
回転リールの前面側に配置された透過型の液晶表示パネルと、液晶表示パネル及び回転リールの間に配置され、液晶表示パネルをその背面側から照明するバックライトとを備えた液晶表示装置であって、液晶表示パネルは、一対の基板間に液晶材料が封入され映像を表示可能に構成された映像表示部と、回転リールに対向する液晶材料が未封入の透過部とを有する液晶表示装置が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0007】
可変表示する表示媒体の前面側に配置された透過型の液晶表示パネルと、液晶表示パネルの外面にそれぞれ配置された一対の偏光板とを備えた液晶表示装置であって、液晶表示パネルは、映像を表示可能に構成された映像表示部と、表示媒体が配置される領域に対応するほぼ矩形状の透過表示部と、映像表示部及び透過表示部の間に配置された遮光部とを有し、一対の偏光板のそれぞれは、表示媒体が配置される領域に対応してほぼ矩形状の開口部を有し、開口部を規定するエッジが液晶表示パネルの遮光部上に位置する液晶表示装置が開示されている(例えば、特許文献2参照。)。
【0008】
スロット表示を用いた遊技機の前面化粧板に液晶表示器を用いるにあたって、略中央部の複数の透光部上を被う偏光板部分の偏光特性を無くした開口部を形成する技術が開示されている(例えば、特許文献3参照。)。
【0009】
演出用パネル部に液晶ディスプレイパネルを設け、液晶ディスプレイパネルに形成されている表示窓の裏面側にサブリールを備えたサブリール装置を配設し、演出用パネル部の上方にメインリールを有するメインリール装置を配置したスロットマシンが開示されている(例えば、特許文献4〜6参照。)。
【0010】
また、所定パターンの着色層を形成した固定表示部を有する液晶表示装置が開発されており、例えば、液晶セルと、液晶セルの前側及び後側の少なくとも一方に設けられた偏光部材と、前側偏光部材の前方に設けられた第1の透光性基板と、第1の透光性基板に形成された第1の透光性着色層からなる固定表示部と、偏光部材の少なくとも一方の固定表示部に対応する個所を除いた偏光部材除去部とを有する液晶表示装置が開示されている(例えば、特許文献7参照。)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、後方に配置されたメーターや回転リール等の別の表示物を液晶表示パネルの透過部を通して視認できる構造を有する液晶表示装置において、透過部の透過率を向上して後方の表示物の視認性を良くするために、透過部に対応して偏光板に開口部を形成すると、透過部周辺において映像表示部にシミ、ムラ等の表示不良が発生する。
【0013】
この理由は、以下の通りである。すなわち、偏光板には紫外光を遮光する機能があるため、映像表示部の液晶には紫外光は照射されない。しかしながら、透過部に対応して偏光板に開口部を形成すると、外光に含まれる紫外光、及び/又は、後方の表示物用照明の光に含まれる紫外光が透過部の液晶に照射され、透過部の液晶が劣化する。そして、この劣化した液晶が映像表示部にまで拡散し、結果として映像表示部においてシミ、ムラ等の表示不良が発生する。
【0014】
なお、特許文献2の段落[0039]には、映像表示部付近で表示不良が発生したとしても、映像表示部及び透過部の間に設けられた遮光部によって遮光できることが記載されている。しかしながら、紫外光によって透過部の液晶が劣化すると、長期間の使用において、劣化した液晶が遮光部を超えて映像表示部にまで拡散し、やはりシミ、ムラ等の表示不良が発生し得る。
【0015】
また、特許文献1に記載の液晶表示装置についても改善すべき点があった。まず、特許文献1に記載の液晶表示装置の概要について説明する。
図13は、特許文献1に記載の液晶表示装置に含まれる液晶表示パネルの平面模式図である。
【0016】
図13に示すように、特許文献1に記載の液晶表示装置は、液晶表示パネル102を備え、液晶表示パネル102は、一対のアレイ基板103及び対向基板104と、アレイ基板103及び対向基板104の間に液晶材料が封入され映像を表示可能に構成された映像表示部106Aと、液晶材料が未封入の透過部106Bとを有している。映像表示部106Aは、ループ状の第一シール151と、第一シール151で囲まれた内側に配置されたループ状の第二シール152とによって囲まれた領域に形成されており、透過部106Bは、第二シール152によって囲まれた領域に形成されている。
【0017】
そして、特許文献1に記載の液晶表示装置には、下記(1)〜(4)に示す点で改善の余地があった。
図14は、特許文献1に記載の液晶表示装置に含まれる液晶表示パネルの平面模式図である。
図15及び16は、特許文献1に記載の液晶表示装置に含まれる液晶表示パネルの断面模式図である。
【0018】
(1)第二シール152の硬化前、第二シール152に透過部106B側からかかる圧力と、第二シール152に映像表示部106A側からかかる圧力との間に圧力差が発生する。そのため、
図14に示すように、シール不良、例えば第二シール152が部分的に切れるシール切れ153が発生したり、第二シール152が映像表示部106A又は透過部106Bに部分的に吹き出すシール吹き出し154が発生したりする。
【0019】
シール切れ153が発生すると、第二シール152によって液晶材料を一定の領域に封じられなくなり、映像表示部106Aから透過部106Bに液晶材料が漏れ出す。そのため、映像表示部106Aにおいてセル厚ムラが発生する。また、シール切れ153が発生した部分から液晶材料に不純物が侵入して液晶材料が劣化する。したがって、シール切れ153は、映像表示部106Aにおけるシミ、ムラ等の表示不良の原因になる。また、透過部106Bに液晶材料が漏れ出すと、透過部106Bでは液晶材料は配向しないため、この液晶材料を透過する光に散乱が発生する。したがって、シール切れ153は、透過部106Bの透過率のムラの原因になる。
【0020】
シール吹き出し154が発生すると、第二シール152の一部が本来の形成領域を超えて広がる。そのため、第二シール152が映像表示部106Aに吹き出すと、映像表示部106Aに侵入した第二シール152によって、その部分で点灯不良が発生する可能性がある。また、映像表示部106Aの液晶材料に硬化前の第二シール152が混入し、液晶材料が劣化する。したがって、シール吹き出し154は、映像表示部106Aにおけるシミ、ムラ等の表示不良の原因になる。他方、第二シール152が透過部106Bに広がると、第二シール152の広がった部分において透過率のムラの原因になる。
【0021】
(2)
図15に示すように、透過部106Bの空気層180と、各ガラス基板131、141又は各配向膜132、144との間における屈折率差に起因して、これらの界面において反射が大きくなり、透過部106Bの透過率が低下する。また、反射率が高いと透過部106Bのセル厚ムラに起因してニュートンリングが視認されやすくなり、透過部106Bの表示品位が低下する。
【0022】
(3)液晶材料の滴下注入と、アレイ基板103及び対向基板104の貼り合わせとは減圧状態で行われるため、
図16に示すように、透過部106Bにかかる外気圧(
図16中、白抜き矢印)に対して透過部106Bのセル内圧が低くなる、すなわち透過部106Bのセル内圧が負圧になる。このため、透過部106Bのセル厚が薄くなる。この透過部106Bのセル厚ムラは、映像表示部106Aのセル厚にも影響を与える場合があり、その場合、映像表示部106Aの表示品位の低下を招く。他方、透過部106Bのセル厚を保持するためにスペーサを多数配置することも考えられるが、そうすると透過部106Bの透過率が低下し、透過部における視認性が低下してしまう。
【0023】
(4)透過部106Bの透過率を向上するために、透過部106Bおいて、ブラックマトリクス(BM)、カラーフィルタ等の対向基板104の構成部材、及び/又は、画素電極、配線等のアレイ基板103の構成部材を削除すると、スペーサの上下における対向基板104及び/又はアレイ基板103の構成部材の全体の厚みが透過部106Bと映像表示部106Aとの間で異なることになる。そのため、映像表示部106Aと透過部106Bでセル厚を均一に保つことができなくなる。また、上述のように透過部106Bのセル内圧が負圧であるため、構成部材の削減による影響は顕著になる。このため、透過部106Bのスペーサの上下において対向基板104及び/又はアレイ基板103の構成部材を削除することができず、透過部106Bの透過率を向上することができず、透過部106Bにおける視認性を向上することができない。
【0024】
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、映像表示部における表示不良の抑制と、映像表示部及び透過部における表示品位の向上と、透過部における視認性の向上と、長期信頼性の向上とが可能な液晶表示装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0025】
本発明の一態様は、液晶表示パネルを備える液晶表示装置であってもよく、
前記液晶表示パネルは、前記液晶表示パネルの後方の視認が可能な透過部と、
複数の画素を含み、映像の表示が可能な映像表示部と、
前記映像表示部に対応して設けられた第一液晶層と、
前記透過部に対応して設けられた第二液晶層と、
前記第二液晶層を囲むシールとを含んでもよく、
前記第一液晶層及び前記第二液晶層は、前記シールによって隔てられてもよい。
以下、この液晶表示装置を本発明に係る液晶表示装置とも言う。
【0026】
本発明に係る液晶表示装置における好ましい実施形態について以下に説明する。なお、以下の好ましい実施形態は、適宜、互いに組み合わされてもよく、以下の2以上の好ましい実施形態を互いに組み合わせた実施形態もまた、好ましい実施形態の一つである。
【0027】
前記第二液晶層は、配向していない液晶を含んでもよい。
【0028】
前記第二液晶層は、配向した液晶を含んでもよい。
【0029】
この場合、前記液晶表示パネルは、前記第一液晶層及び前記第二液晶層を挟持する一対の基板を含んでもよく、
前記一対の基板は各々、前記映像表示部及び前記透過部に設けられた配向膜を含んでもよく、
前記配向膜は、前記映像表示部及び前記透過部において同じように配向処理が施されているか、又は、前記映像表示部及び前記透過部おいて配向処理が施されていなくてもよい。
【0030】
前記液晶表示パネルは、前記映像表示部に設けられた複数の第一スペーサと、
前記透過部に設けられた複数の第二スペーサとを含んでもよく、
前記複数の第二スペーサの配置密度及び/又は接触面積は、それぞれ、前記複数の第一スペーサの配置密度及び/又は接触面積よりも小さくてもよい。
【0031】
前記液晶表示パネルは、前記第一液晶層及び前記第二液晶層を挟持する一対の基板と、
前記映像表示部に設けられた第一スペーサと、
前記透過部に設けられた第二スペーサとを含んでもよく、
前記一対の基板の少なくとも一方は、絶縁基板と、前記絶縁基板及び前記第一スペーサの間に設けられた構成部材とを含んでもよく、前記絶縁基板及び前記第二スペーサの間には前記構成部材と同じ材料から形成された構成部材を含まなくてもよい。
【0032】
前記液晶表示パネルは、前記第一液晶層及び前記第二液晶層を挟持する一対の基板を含んでもよく、
前記一対の基板の少なくとも一方の構造は、前記映像表示部及び前記透過部の間で互いに異なってもよい。
【0033】
この場合、前記一対の基板の一方は、カラーフィルタ層、ブラックマトリクス及び対向電極の少なくとも一つを含んでもよく、
前記カラーフィルタ層、前記ブラックマトリクス及び前記対向電極の前記少なくとも一つは、前記透過部に設けられずに前記映像表示部に設けられてもよい。
【0034】
前記液晶表示装置は、前記液晶表示パネルの前面及び背面上にそれぞれ設けられた一対の偏光板を備えてもよく、
前記一対の偏光板の少なくとも一方は、前記透過部に重ならず、かつ、前記映像表示部に重なるように設けられてもよい。
【0035】
この場合、前記一対の偏光板の両方は、前記透過部に重ならず、かつ、前記映像表示部に重なるように設けられてもよい。
【発明の効果】
【0036】
本発明によれば、映像表示部における表示不良の抑制と、映像表示部及び透過部における表示品位の向上と、透過部における視認性の向上と、長期信頼性の向上とが可能な液晶表示装置を実現することができる。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下に実施形態を掲げ、本発明を図面に参照して更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施形態のみに限定されるものではない。
【0039】
(実施形態1)
図1は、実施形態1の液晶表示装置の斜視分解模式図である。
図2は、実施形態1の液晶表示装置に含まれる液晶表示パネルの平面模式図である。
図3は、実施形態1の液晶表示装置に含まれる液晶表示パネルの断面模式図である。
【0040】
図1に示すように、本実施形態の液晶表示装置1は、透過型の液晶表示装置であり、略矩形平板状の液晶表示パネル2を備えている。
図1〜3に示すように、液晶表示パネル2は、一対の基板、すなわちアレイ基板3及び対向基板4と、これらの間に保持された第一液晶層5A及び第二液晶層5Bとを含んでいる。第一液晶層5Aは、光変調層として機能し得る。また、液晶表示パネル2は、映像表示部6Aと、透過部6Bと、映像表示部6A及び透過部6Bの間に配置された遮光部6Cとを有している。透過部6Bは、液晶表示パネル2の後方に配置された表示物、例えば回転リール70を視認(目視)できる部分である。映像表示部6Aは、液晶による映像の表示が可能な部分であり、透過部6Bの周囲に設けられ、マトリクス状に配置された複数の画素7を含んでいる。
【0041】
アレイ基板3は、ガラス基板等の絶縁基板31と、絶縁基板31上に形成された構成部材とを含んでいる。アレイ基板3は、構成部材として、行方向に沿って延在する複数の走査線8と、列方向に沿って延在する複数の信号線9と、これら走査線8及び信号線9の交差部付近に画素7毎に配置され、スイッチング素子として機能する薄膜トランジスタ(TFT)10と、TFT10に各々接続された複数の画素電極11と、これらを覆う配向膜32とを含んでいる。これらの構成部材は、映像表示部6Aと透過部6Bとに同様のパターンで形成されている。
【0042】
各TFT10は、対応する走査線8に電気的に接続されるか、又は、対応する走査線8と一体に形成されたゲート電極10Gと、対応する信号線9に電気的に接続されるか、又は、対応する信号線9と一体に形成されたソース電極10Sと、対応する画素電極11に電気的に接続されたドレイン電極10Dとを有している。
【0043】
対向基板4は、ガラス基板等の絶縁基板41と、絶縁基板41上に形成され、画素7間を遮光するブラックマトリクス(BM)42と、絶縁基板41上であって遮光部6C内に形成された遮光膜43と、絶縁基板41上に形成され、全画素に共通の電圧(信号)を印加する対向電極12と、これらを覆う配向膜44とを含んでいる。BM42は、映像表示部6Aと透過部6Bとに同様のパターンで形成されており、対向電極12は、映像表示部6A、透過部6B及び遮光部6Cに切れ目なく一様に形成されている。ただし、対向電極12は、パターニングされていてもよく、映像表示部6Aと透過部6Bとに同様のパターンで形成されていてもよい。遮光膜43は、BM42と同じ材料から形成されている。
【0044】
画素電極11及び対向電極12は、例えば、ITO(インジウム錫酸化物)等の光透過性を有する導電材料から形成されている。なお、対向電極12は、対向基板4の絶縁基板41上ではなく、アレイ基板3の絶縁基板31上に形成されていてもよい。
【0045】
各配向膜32、44は、平面視において、映像表示部6A、遮光部6C及び透過部6Bの全領域を覆うように設けられており、第一及び第二液晶層5A及び5Bの液晶は、いずれも配向している。
【0046】
アレイ基板3及び対向基板4は、絶縁基板31及び41上の構成部材が互いに対向するように配置されている。また、アレイ基板3及び対向基板4の間には複数のスペーサ(図示せず)が設けられ、アレイ基板3及び対向基板4は、所定の間隔を空けて配置されている。更に、アレイ基板3及び対向基板4の間には第一シール51及び第二シール52が形成されている。
【0047】
第一及び第二シール51及び52は、途切れることなくループ状に、シール材(接着剤)から形成されており、アレイ基板3及び対向基板4の各々の内面に接触している。そして、第一及び第二シール51及び52は、アレイ基板3及び対向基板4を貼り合わせる(互いに接着する)とともに、第一及び第二液晶層5A及び5Bの液晶を基板3及び4の間に封入している。なお、アレイ基板3又は対向基板4の内面とは、アレイ基板3又は対向基板4の一対の主面のうち、第一及び第二液晶層5A及び5Bに対向する主面を意味し、アレイ基板3又は対向基板4の外面とは、アレイ基板3又は対向基板4の一対の主面のうち、第一及び第二液晶層5A及び5Bと反対側の主面を意味する。
【0048】
第一シール51は、アレイ基板3及び対向基板4の一方(好ましくは対向基板4)の端部に沿って映像表示部6Aを囲むように設けられている。
【0049】
第二シール52は、第一シール51の内側に設けられ、映像表示部6A及び透過部6Bの境界部分、すなわち遮光部6Cに沿って透過部6Bを囲むように設けられている。また、第二シール52は、外部から視認されないように遮光部6C内に配置されている。
【0050】
第一液晶層5Aは、基板3及び4の間の領域であって第一及び第二シール51及び52で囲まれた(挟まれた)領域に液晶材料(液晶組成物)が充填されることによって形成されている。第一液晶層5Aは、平面視において、少なくとも映像表示部6Aの全領域に重なり、かつ、透過部6Bに重ならないように設けられている。
【0051】
第二液晶層5Bは、基板3及び4の間の領域であって第二シールで囲まれた領域に液晶材料(液晶組成物)が充填されることによって形成されている。第二液晶層5Bは、平面視において、少なくとも透過部6Bの全領域に重なり、かつ、映像表示部6Aに重ならないように設けられている。
【0052】
第二液晶層5Bは、第二シール52で囲まれており、第二液晶層5Bと第一液晶層5Aとは、第二シール52によって分離されている。そのため、第二液晶層5Bの液晶と第一液晶層5Aの液晶とが互いに混ざらないようになっている。
【0053】
第二シール52の材料は、第一シール51の材料と異なっていてもよいが、同じであることが好ましい。材料及び/又はシール材の塗布工程の共通化が可能となり、材料コスト及び/又は生産工程の増加を防止できるためである。
【0054】
第二液晶層5Bと第一液晶層5Aとが第二シール52によって互いに分離されている構造は、滴下注入プロセスによって作製することが可能である。また、液晶表示パネル2は、アレイ基板の作製工程と、対向基板の作製工程と、液晶の滴下注入・基板の貼り合わせ工程とを含む、通常の液晶表示パネルの作製に必要な工程によって作製することができる。すなわち、製造工程数を増加させることなく液晶表示パネル2を製造することができる。
【0055】
透過部6B及び映像表示部6Aにおいて材料及び/又は配向処理工程の共通化を可能とし、材料コスト及び/又は生産工程の増加を防止する観点からは、以下の実施形態が好ましい。
すなわち、第二液晶層5B用の液晶材料は、第一液晶層5A用の液晶材料と異なっていてもよいが、同じであることが好ましい。また、第二液晶層5Bの液晶は、第一液晶層5Aの液晶と同様に配向していることが好ましい。第二液晶層5Bの配向状態は、第一液晶層5Aの配向状態と異なっていてもよいが、第二液晶層5Bの液晶は、第一液晶層5Aの液晶と同様に配向していることが好ましく、各配向膜32、44は、第一及び第二液晶層5A及び5Bの液晶を同様に配向させることが好ましい。第一及び第二液晶層5A及び5Bの配向状態としては、例えば、ツイスト配向、垂直配向、水平配向等が挙げられる。各配向膜32、44に配向処理が必要であれば、各配向膜32、44は、映像表示部6A及び透過部6Bで同じように配向処理が施されていることが好ましい。配向処理としては、例えば、ラビング処理、光配向処理等が挙げられる。このとき、各配向膜32、44は、映像表示部6A及び透過部6Bで同じ条件で配向処理が施されていることが好ましい。各配向膜32、44に配向処理が必要ない場合、例えば、各配向膜32、44が配向処理されなくとも液晶を垂直に配向させる垂直配向膜である場合は、各配向膜32、44は、映像表示部6A及び透過部6Bで配向処理されていないことが好ましい。各配向膜32、44に対して配向処理を施すか否かについては、液晶表示パネル2の表示モードに応じて適宜、決定することができる。液晶表示パネル2の表示モードとしては、例えば、TN(Twisted Nematic)モード、VA(Vertical Alignment)モード、IPS(In−Plane Switching)モード、FFS(Fringe Field Switching)モード等が挙げられる。
【0056】
なお、一般的に、配向した液晶の光散乱による透過率の低下は無視できる。そのため、配向した液晶を含む第二液晶層5Bにおける光散乱による透過率の低下も無視できる。
【0057】
他方、第二液晶層5Bの液晶は、配向していなくてもよい。配向していない液晶は、白く濁った状態であり、配向した液晶に比べて透過率が低下する。配向の方向が異なる多数の微小な領域が発生し、それらの界面で光が散乱されるためである。透過部6Bの透過率を確保したい場合は、上述のように、第二液晶層5Bの液晶は、配向していることが好ましいが、透過部6Bの透過率が高くなくてもよい場合や、透過部6Bをすりガラスのような見栄えにする場合には、第二液晶層5Bの液晶は、配向していないことが好ましい。
【0058】
第二液晶層5Bの液晶を配向させないためには、各配向膜32、44を配向処理が必要な材料から形成した場合には、透過部6Bに対応する領域において各配向膜32、44に配向処理を施さなければよい。また、配向膜32及び44を映像表示部6Aに形成する一方で、配向膜32及び44の少なくとも一方を透過部6Bに形成しなくてもよい。
【0059】
第二液晶層5Bの液晶が配向している場合も配向していない場合も、液晶の光吸収による透過率の低下は一般的に非常に小さいため、第二液晶層5Bにおける光吸収による透過率の低下はほとんどない。
【0060】
液晶表示パネル2の前面(観察者側の面)及び背面(バックライト側の面、すなわち後方の面)上には、それぞれ、一対の偏光板13及び14が設けられている。すなわち、偏光板13及び14は、それぞれ、対向基板4の外面及びアレイ基板3の外面上に設けられている。偏光板13及び14の偏光方向は、第一液晶層5Aの特性に合わせて適宜設定されている。偏光板13及び14は、通常、クロスニコル又はパラレルニコルに配置されている。
【0061】
偏光板13及び14には、それぞれ、開口部13A及び14Aが形成されている。開口部13A及び14Aは、平面視において、透過部6Bの全領域に重なるように設けられており、開口部13A及び14Aの端部は、遮光部6Cに重なる場所に位置している。このように、偏光板13及び14は、透過部6Bの全領域に重ならず、かつ、映像表示部6Aの全領域に重なるように設けられている。
【0062】
ただし、開口部13A及び14Aの一方のみを形成し、偏光板13及び14の一方は、透過部6B及び映像表示部6Aの全領域に重なるように設けられてもよい。
【0063】
各偏光板13、14は、通常、直線偏光素子を含む直線偏光板である。直線偏光素子としては、典型的にはポリビニルアルコール(PVA)フィルムに二色性を有するヨウ素錯体等の異方性材料を吸着配向させたものが挙げられる。機械強度、及び、耐湿熱性を確保するために、各偏光板13、14は、通常、PVAフィルムの両面に接着層を介してラミネートされた、トリアセチルセルロース(TAC)フィルム等の保護フィルムを更に含む。
【0064】
各偏光板13、14は、紫外光を遮光する機能を有することが好ましい。これにより、第一液晶層5Aの液晶の紫外線による劣化を抑制することができる。偏光板13及び14に紫外光を遮光する機能を付与する具体的な方法は特に限定されず、例えば、保護フィルムとして、紫外線吸収剤が添加されたTACフィルムを用いる方法が挙げられる。
【0065】
液晶表示装置1は、モノクロ表示を行うものであってもよいし、カラー表示を行うものであってもよい。カラー表示を行う場合、液晶表示パネル2の各画素7は、複数色のサブ画素、例えば赤(R)を表示する赤色画素、緑(G)を表示する緑色画素、青(B)を表示する青色画素を含み、対向基板4の絶縁基板41上には複数色のカラーフィルタ、例えば赤色カラーフィルタ45R、緑色カラーフィルタ45G及び青色カラーフィルタ45Bを含むカラーフィルタ層45が形成されている。赤色、緑色及び青色カラーフィルタ45R、45G及び45Bは、それぞれ、赤色、緑色及び青色の主波長の光を透過する。赤色画素、緑色画素及び青色画素は、それぞれ、赤色、緑色及び青色カラーフィルタ45R、45G及び45Bを備えている。なお、カラーフィルタ層45は、対向基板4の絶縁基板41上ではなく、アレイ基板3の絶縁基板31上に形成されていてもよい。
【0066】
液晶表示パネル2は、矩形枠状のベゼルカバー15と、面光源装置としてのバックライト16との間に配置されている。すなわち、バックライト16は、その表面(出射面)を液晶表示パネル2の背面(アレイ基板)に対向させた状態で、液晶表示パネル2とともにベゼルカバー15と一体化されており、液晶表示パネル2をその背面側から照明する。
【0067】
液晶表示パネル2に駆動信号を供給するドライバ回路17は、フレキシブルなプリント配線基板18を介して液晶表示パネル2に電気的に接続されている。ドライバ回路17は、プリント配線基板18を湾曲させることにより、バックライト16の背面側に配置される。
【0068】
図4は、実施形態1の液晶表示装置に含まれるバックライトの斜視分解模式図である。
図4に示すように、バックライト16は、一対の光源部20、導光板21、光学シート24〜26、フレーム30等の構成部材を備えている。各光源部20は、光源としての冷陰極管22と、ランプリフレクタ23とを備えている。冷陰極管22は、略矩形状の導光板21の長手方向に延在する細長い円筒状の光源である。ランプリフレクタ23は、冷陰極管22から放射された光を導光板21に向けて反射するものであり、冷陰極管22の周囲を取り囲むように配置されている。
【0069】
導光板21は、アクリル系樹脂やポリカーボネート系樹脂等の光透過性を有する樹脂材料から形成されている。導光板21は、略矩形状に成型されており、全体に亘って略均一な厚さに形成されている。
【0070】
一対の光源部20は、導光板21の一対の長辺に沿って、それらの外側に配置されている。また、各冷陰極管22は、導光板21の長辺に沿った側面に対して略平行に配置されている。
【0071】
導光板21には、冷陰極管22から放射され光が冷陰極管22に対向する側面から入射する。導光板21は、入射した光を伝搬し、液晶表示パネル2に対向する主面(出射面)から出射することが可能である。
【0072】
光学シート24は、導光板21の外形寸法と略同等の略矩形状であり、導光板21の出射面を覆うように配置されている。光学シート24は、導光板21から出射された光に対して所定の光学特性を付与するものであり、例えば、導光板21からの出射光を集光する機能を有する集光シートである。
【0073】
光学シート26は、導光板21の外形寸法と略同等の略矩形状であり、光学シート24に重ねて配置されている。光学シート26は、導光板21から出射された光に対して所定の光学特性を付与するものであり、例えば、導光板21からの出射光を拡散する機能を有する拡散シートである。
【0074】
また、光学シート25は、導光板21の外形寸法と略同等の略矩形状であり、導光板21の液晶表示パネル2と反対側の主面(背面)を覆うように配置されている。光学シート25は、光を反射する反射機能を有した反射シートである。導光板21に入射した光の一部は、背面から漏れ出るが、光学シート25は、背面から漏れ出た光を再び導光板21に向けて反射するものである。
【0075】
フレーム30は、略矩形状であり、光源部20、導光板21及び光学シート24〜26は、フレーム30に収容されている。
【0076】
上述したような構成のバックライト16の出射面からは、均一化された光が出射され、液晶表示パネル2の背面に照射される。液晶表示パネル2に照射された光は、液晶表示パネル2の映像表示部6Aを選択的に透過し得る。これにより、映像表示部6Aにおいて映像が表示可能となる。
【0077】
次に、液晶表示装置1を備える遊技機、例えばスロットマシンについて説明する。
図5は、実施形態1の液晶表示装置を含む遊技機の断面模式図である。
【0078】
図1及び5に示すように、液晶表示装置1を備える遊技機は、筐体60と、液晶表示装置1と、表示が変化可能な表示媒体としての回転リール70とを備えている。液晶表示装置1及び回転リール70は、筐体60の内部に配置されている。
【0079】
回転リール70は、回転軸Oを中心として回転可能な複数、例えば3個の円筒状のリール本体71を備えている。各リール本体71の円筒面には、等間隔に配置された複数の絵柄を有する帯状のリールテープ(図示せず)が貼付されている。
【0080】
液晶表示装置1は、筐体60の内部において、回転リール70の前方(すなわち観察者側)に配置されている。液晶表示パネル2は、回転リール70の前方に配置され、また、バックライト16は、液晶表示パネル2と回転リール70との間に配置されている。
【0081】
筐体60は、液晶表示装置1に表示された映像を目視可能とする窓部61を有しており、窓部61にガラス板等の光透過性を有する保護板62が備えられている。
【0082】
バックライト16は、その略中央に回転リール70の配置位置に対応して開口部16Aを有している。すなわち、
図4及び5に示すように、導光板21及びフレーム30にはそれぞれ、回転リール70に対向する開口部21A及び30Aが形成されている。また、光学シート24及び26もそれぞれ同様に、開口部21Aに対応した位置に開口部24A及び26Aが形成されている。更に、光学シート25も同様に、開口部21Aに対応した位置に開口部25Aが形成されている。このようなバックライト16の開口部16Aは、バックライト16の後方に位置する回転リール70上の所定数の絵柄を目視可能としている。これにより、バックライト16を介することなく回転リール70が目視可能になる。
【0083】
上述したように、液晶表示パネル2は、映像表示部6A及び透過部6Bを有し、
図1に示したように、透過部6Bは、液晶表示パネル2と回転リール70とを組み合わせた際に回転リール70と対向する領域に形成されている。したがって、遊技者は、透過部6Bを通して液晶表示装置1の後方に配置された回転リール70等の表示物を視認(目視)することが可能となる。
【0084】
以下、本実施形態の液晶表示装置1の主な特徴と、それによる効果について説明する。
【0085】
本実施形態においては、第二シール52が透過部6Bに対応して設けられた第二液晶層5Bを囲み、第二液晶層5Bは、第二シール52によって、映像表示部に対応して設けられた第一液晶層5Aと隔てられている。このため、第二液晶層5Bの液晶が第一液晶層5Aの液晶と混ざらないようにすることができる。したがって、偏光板13の開口部13A及び/又は偏光板14の開口部14Aを通して第二液晶層5Bに紫外光が照射され、第二液晶層5Bの液晶が劣化したとしても、この劣化した、すなわち信頼性が低下した液晶が第一液晶層5Aへ拡散することを防止することができる。その結果、映像表示部6Aにおいて、劣化した液晶を原因とするシミ、ムラ等の表示不良の発生を防止することができる。
【0086】
また、第二液晶層5Bと第一液晶層5Aとが、第二液晶層5Bを囲む第二シールによって隔てられているため、本実施形態の液晶表示装置1を長期間使用したとして、劣化した液晶が映像表示部6Aに拡散することを防止することができる。したがって、長期信頼性の向上が可能である。
【0087】
更に、透過部6Bに対応して第二液晶層5Bが配置されているため、第二液晶層5Bの代わりに空気層を配置した場合と異なり、以下の効果を奏することができる。
【0088】
(1)液晶の滴下注入・基板の貼り合わせ工程において、硬化前の第二シール52の材料の内側と外側に液晶材料が存在するため、硬化前の第二シール52の材料に内側と外側からかかる圧力の差を小さくすることができる。したがって、シール切れやシール吹き出しといったシール不良が第二シール52で発生することを抑制することができる。そのため、映像表示部6Aにおけるシミ、ムラ、点灯不良等の表示不良の発生を抑制することができる。また、透過部6Bにおける透過率のムラの発生を抑制することができるため、透過部6Bにおける視認性を向上することができる。
【0089】
(2)第二液晶層5Bの液晶材料及び各配向膜32、44の材料として、絶縁基板31及び41の材料、例えばガラスと屈折率が合うような材料を選定することが可能であるため、液晶表示パネル2内の界面、例えば各配向膜32、44及び第二液晶層5Bの界面における反射を抑制することができる。このため、透過部6Bにおける視認性を向上することが可能である。すなわち、透過部6Bの透過率を向上でき、液晶表示装置1の後方の表示物の視認性を向上することが可能である。また、透過部6Bにおいてニュートンリングを視認されにくくすることができるため、透過部106Bの表示品位を向上することができる。
【0090】
(3)透過部6Bにおいてセル内圧(アレイ基板3及び対向基板4に対してアレイ基板3及び対向基板4の間の領域からかかる圧力)と外気圧との差が緩和されるため、透過部6Bのスペーサの数を増加させなくても、映像表示部6A及び透過部6Bにおいて、セル厚の均一性を確保することができる。したがって、映像表示部6Aにおける表示品位を向上することができる。また、透過部6Bにおいて、透過率の低下を防止ができるとともにニュートンリングの発生を抑制することができるため、透過部6Bにおける視認性を向上することができる。更に、透過部6Bのスペーサの数を削減したとしてもセル厚を保持できるため、透過部6Bの透過率を向上することができる。なお、透過部6Bのスペーサの数を削減する実施形態については、下記実施形態3で詳述する。
【0091】
(4)透過部6Bにおいてセル内圧と外気圧との差が緩和されるため、透過部6Bのスペーサが配置された場所において、絶縁基板31及び/又は41上の構成部材、例えばBM42やカラーフィルタ層45を削減するか、又は、必要最小限にしたとしても、セル厚を保持することができる。そのため、透過部6Bの開口率及び透過率を向上することができる。なお、透過部6Bのスペーサが配置された場所において、絶縁基板31及び/又は41上の構成部材を削減する実施形態については、下記実施形態3で詳述する。
【0092】
以上より、本実施形態によれば、映像表示部6Aにおける表示不良の抑制と、映像表示部6A及び透過部6Bにおける表示品位の向上と、透過部6Bにおける視認性の向上と、長期信頼性の向上とが可能である。
【0093】
また、一対の偏光板13及び14の少なくとも一方は、透過部6Bに重ならず、かつ、映像表示部6Aに重なるように設けられている。このため、透過部6Bの透過率を更に向上することが可能であり、液晶表示装置1の後方の表示物の視認性を更に向上することができる。
【0094】
(実施形態2)
本実施形態は、アレイ基板及び対向基板の透過部におけるパターンが異なることを除いて、実施形態1と実質的に同じである。したがって、本実施形態では、本実施形態に特有の特徴について主に説明し、実施形態1と重複する内容については説明を省略する。また、本実施形態と実施形態1とにおいて、同一又は同様の機能を有する部材には同一の符号を付し、本実施形態において、その部材の説明は省略する。
図6は、実施形態2の液晶表示装置に含まれる液晶表示パネルの断面模式図である。
図7は、実施形態2の液晶表示装置に含まれる液晶表示パネルの平面模式図である。
【0095】
本実施形態においても、実施形態1と同様に、透過部6Bでは液晶を利用した映像の表示は行われない。そのため、映像表示部6Aに設けられたパターンと同様のパターンが透過部6Bに設けられていなくても特に問題はない。そこで、
図6に示すように、対向基板4の絶縁基板41上に設けられた構成部材(BM42、カラーフィルタ層45、対向電極12等)の一部又は全部が透過部6Bにおいて削除されている。また、アレイ基板3の絶縁基板31上に設けられた構成部材(画素電極11、TFT10、配線等)の一部又は全部が透過部6Bにおいて削除されている。このため、本実施形態は、実施形態1に比べて、透過部6Bの透過率をより向上させることができる。
【0096】
例えば、透過部6Bにおいて、絶縁基板41上にはBM42、カラーフィルタ層45及び対向電極12が設けられていなくてもよく、透過部6Bにおいて、絶縁基板31上には画素電極11、TFT10及び配線(走査線や信号線)が設けられていなくてもよい。
【0097】
他方、絶縁基板31及び/又は41上には、透過部6Bにおいて、映像表示部6Aとは異なるパターンが設けられてもよい。
【0098】
例えば、透過部6Bにおいて、絶縁基板31及び/又は41上には後方の表示物の表示を補助する文字等のパターンを配置してもよい。
【0099】
また、
図7に示すように、映像表示部6Aに必要な信号用配線208、例えば、走査線や信号線の形状、配置場所及び/又は線幅を透過部6Bと映像表示部6Aとで変化させてもよい。例えば、信号用配線208は、映像表示部6Aを横断する配線208Aと、透過部6Bを迂回しつつ映像表示部6Aを横断する配線208Bとを含んでもよく、配線208Bは、透過部6Bの周辺に配置されてもよく、配線208Bの線幅は、配線208Aの線幅よりも小さくてもよい。
【0100】
また一般的に、液晶にDC(直流)電圧が印加されると液晶が劣化する可能性がある。しかしながら、第二液晶層5Bの液晶と第一液晶層5Aの液晶は、実施形態1と同様に、第二シール52で区切られているため、第二液晶層5Bの液晶がDC電圧の印可によって劣化したとしても、その影響が映像表示部6Aに及ぶことを防止することができる。したがって、第二液晶層5Bの液晶に印加される電圧を考慮する必要がなく、透過部6Bに任意の電極及び/又は配線のパターンを設けてもよい。
【0101】
以上説明したように、アレイ基板3及び対向基板4の少なくとも一方の構造を映像表示部6A及び透過部6Bで互いに異ならせることによって、透過部6Bの透過率を調整したり、後方の表示物の見栄えを良くしたりすることが可能になる。
【0102】
(実施形態3)
本実施形態は、スペーサの配置部分における構造が異なることを除いて、実施形態1と実質的に同じである。したがって、本実施形態では、本実施形態に特有の特徴について主に説明し、実施形態1と重複する内容については説明を省略する。また、本実施形態と実施形態1とにおいて、同一又は同様の機能を有する部材には同一の符号を付し、本実施形態において、その部材の説明は省略する。
図8及び9は、実施形態3の液晶表示装置に含まれる液晶表示パネルの断面模式図である。
【0103】
図8及び9に示すように、本実施形態の液晶表示パネル2は、映像表示部6Aに設けられた複数の第一スペーサ53と、透過部6Bに設けられた複数の第二スペーサ54とを含んでいる。第一及び第二スペーサ53及び54は、それぞれ、映像表示部6A及び透過部6Bにおいてセル厚を保持するための部材である。第一及び第二スペーサ53及び54は、いずれも柱状のスペーサであり、例えば感光性材料から形成されている。
【0104】
透過部6Bでは第二液晶層5Bの液晶の屈折率異方性を利用した表示は行われないため、映像表示部6Aほどセル厚の均一性は要求されない。また、透過部6Bにおいてセル厚ムラによるニュートンリングが視認されない範囲であって、映像表示部6Aのセル厚の均一性に悪影響を与えない範囲であれば、透過部6Bのセル厚が不均一であっても表示品位に悪影響を与えない。更に、透過部6Bに対応して第二液晶層5Bが設けられているため、透過部6Bにおいてセル内圧と外気圧との差が緩和され、透過部6Bにおいてセル厚を保持しやすい。
【0105】
このため、
図8に示すように、映像表示部6Aのセル厚の均一性に悪影響を与えない範囲で、第二スペーサ54の配置密度及び/又は接触面積を削減してもよい。これにより、実施形態1に比べて、透過部6Bの開口率及び透過率をより向上させることができる。また、第二スペーサ54の配置密度及び/又は接触面積を削減した結果として、映像表示部6Aに比べて透過部6Bにおいてセル厚がやや薄くなってもよい。
【0106】
また、透過部6Bに対応して第二液晶層5Bが設けられているため、透過部6Bにおいてセル内圧と外気圧との差が緩和され、透過部6Bにおいてセル厚が保持されやすい。したがって、
図9に示すように、映像表示部6Aのセル厚の均一性に悪影響を与えない範囲で、第二スペーサ54の配置場所において、絶縁基板31及び/又は41上の構成部材、好ましくは、対向基板4のBM42及びカラーフィルタ層や、アレイ基板3の金属配線等の遮光部材及び/又は着色部材を削除してもよい。これにより、実施形態1に比べて透過部6Bの開口率及び透過率をより向上させることができる。また、第二スペーサ54の配置場所における構成部材を削除した結果として、映像表示部6Aに比べて透過部6Bにおいてセル厚がやや薄くなってもよい。
【0107】
このように、透過部6Bの透過率向上の観点からは、
図8に示すように、複数の第二スペーサ54の配置密度及び/又は接触面積は、それぞれ、複数の第一スペーサ53の配置密度及び/又は接触面積よりも小さくてもよい。
【0108】
なお、複数の第二スペーサ54の配置密度及び/又は接触面積をそれぞれ複数の第一スペーサ53の配置密度及び/又は接触面積からどの程度小さくするかは、映像表示部6Aのセル厚の均一性に悪影響を与えない範囲であれば特に限定されず、適宜決定することができる。
【0109】
また、複数の第一スペーサ53の配置密度とは、第一スペーサ53の総数を映像表示部1Aの面積で除した値であり、複数の第二スペーサ54の配置密度とは、第二スペーサ54の総数を透過部6Bの面積で除した値である。
【0110】
また、複数の第一スペーサ53の接触面積とは、平面視において、複数の第一スペーサ53が占める領域の面積の平均値であり、複数の第二スペーサ54の接触面積とは、平面視において、複数の第二スペーサ54が占める領域の面積の平均値である。
【0111】
また、透過部6Bの透過率向上の観点からは、アレイ基板3は、絶縁基板31及び第一スペーサ53の間に構成部材(例えば金属配線)を含む一方で、絶縁基板31及び第二スペーサ54の間には、この構成部材と同じ材料から形成された構成部材(例えば金属配線)を含まなくてもよい。
【0112】
同様の観点からは、
図9に示すように、対向基板4は、絶縁基板41及び第一スペーサ53の間に構成部材(例えばBM42)を含む一方で、絶縁基板41及び第二スペーサ54の間には、この構成部材と同じ材料から形成された構成部材(例えばBM42)を含まなくてもよい。
【0113】
なお、透過部6Bにおいて絶縁基板31及び/又は41上からどの構成部材を削除するかは、映像表示部6Aのセル厚の均一性に悪影響を与えない範囲であれば特に限定されず、適宜決定することができる。
【0114】
他方、セル厚を確実に保持する観点からは、第二スペーサ54の配置場所における絶縁基板31及び41上の構造は、それぞれ、第一スペーサ53の配置場所における絶縁基板31及び41上の構造と同じであることが好ましい。
【0115】
また、透過部6Bにおける対向基板4及び/又はアレイ基板3の構造、複数の第二スペーサ54の配置密度及び/又は接触面積等の条件に合わせて、液晶材料の滴下量を映像表示部6Aと透過部6Bとで変更してもよい。これにより、透過部6Bにおける液晶材料の滴下量を最適化することができ、透過部6Bにおけるセル厚の均一性を更に向上することができる。
【0116】
以下、比較形態に係る液晶表示装置について説明する。
【0117】
(比較形態1)
本比較形態の液晶表示装置に含まれる液晶表示パネルでは、透過部においてアレイ基板及び対向基板の間に、第二液晶層の代わりにシール材が充填されている。しかしながら、シール材の材料設計は、光学特性を考慮して行われていないため、シール材の透過率は非常に低い。また、シール材の屈折率は、ガラスの屈折率に合うように考慮されていないため、透過部の透過率が大幅に低下する。更に、シール材をアレイ基板又は対向基板上に描画した後、アレイ基板と対向基板でシール材を挟んで加圧し、セル厚に見合ったシールの厚みを決定するが、透過部の全域に配置されたシール材と、通常幅のシール材(例えば対向基板の端部に沿って配置されたシール材)とでは、加圧の際の圧縮され方が違う(透過部のシール材は圧縮されたり広がったりしにくい)ため、セル厚ムラが発生する。
【0118】
(比較形態2)
本比較形態の液晶表示装置に含まれる液晶表示パネルでは、透過部においてアレイ基板及び対向基板の間に、第二液晶層の代わりにスペーサ材が充填されている。しかしながら、スペーサ材の材料設計は、光学特性を考慮して行われていないため、スペーサ材の透過率は非常に低い。また、スペーサ材の屈折率は、ガラスの屈折率に合うように考慮されていないため、透過部の透過率が大幅に低下する。更に、映像表示部のスペーサの径と、透過部にスペーサ材を充填して形成されたスペーサの径とが互いに大きく異なるため、アレイ基板と対向基板を貼り合せた際に、映像表示部と透過部との間でスペーサの厚みの圧縮のされ方が異なり、セル厚ムラが発生する。なお、この圧縮率の差をあらかじめ見越して、映像表示部と透過部とでスペーサの高さを互いに異ならせることも考えられるが、このためには、スペーサ形成工程に余分な工程を追加する必要が生じる。
【0119】
(比較形態3)
本比較形態の液晶表示装置に含まれる液晶表示パネルは、透過部においてアレイ基板及び対向基板の間に、第二液晶層の代わりに特別に用意した材料が充填されている。しかしながら、通常のパネル製造工程では使用しない材料(光学特性と、セル厚ムラが発生しないように粘度とを考慮した材料)を導入する必要があり、液晶の滴下注入工程とは別に、この材料を充填する工程が必要になる。
【0120】
このように、比較形態1〜3の液晶表示装置には種々のデメリットがあるため、その実用性は非常に低い。それに対して、実施形態1〜3の液晶表示装置は、新規な工程及び材料の導入なしに実現可能であり、その実用性は非常に高い。また、実施形態1〜3は、比較形態1〜3に比べて、セル厚ムラに起因する表示不良の発生が少ないという点で優位性がある。
【0121】
なお、実施形態1〜3では、遊技機用の液晶表示装置について説明したが、各実施形態の液晶表示装置の用途は特に限定されず、例えば、車載用途であってもよく、液晶表示装置の後方に表示物としてメーターを配置してもよい。
【0122】
また、各実施形態の液晶表示装置の後方には必ずしも表示物を配置する必要はなく、透過部を通して後方、例えば背景を視認できるようにしてもよい。
【0123】
更に、各実施形態において、透過部及び映像表示部のレイアウトは特に限定されず、適宜設定することができる。ここで、透過部及び映像表示部のレイアウトの変形例について説明する。
図10〜12は、実施形態1〜3の液晶表示装置に含まれる液晶表示パネルの変形例の平面模式図である。
【0124】
図10に示すように、2以上の透過部6Bを設け、各透過部6Bに対応して第二液晶層5Bを設け、各第二液晶層5Bを囲むように第二シール52を設けてもよい。
【0125】
また、
図11及び12に示すように、透過部6Bの全周囲に映像表示部6Aを設けずに、透過部6Bの周囲の一部にのみ映像表示部6Aを設けてもよい。この場合、第一液晶層5Aを囲むとともに、第二液晶層5Bを囲むシール50を形成してもよい。シール50は、上述の第一シールに相当し、第一液晶層5Aを囲む第一シール部分51と、上述の第二シールに相当し、第二液晶層5Bを囲む第二シール部分52とを含んでいる。また、シール50の一部であって透過部6B及び映像表示部6Aの境界部分に配置された部分は、第一及び第二液晶層5A及び5Bのいずれにも隣接している。
【0126】
更に、実施形態1〜3では、透過型の液晶表示装置について説明したが、各液晶表示装置の液晶表示パネルは、反射型又は半透過型の液晶表示装置であってよく、外光を反射することで表示を行う反射表示部を備えていてもよい。反射型の場合は、バックライトを設けなくてよい。
【0127】
上述した実施形態は、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、適宜組み合わされてもよい。また、各実施形態の変形例は、他の実施形態に組み合わされてもよい。