(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記1以上の受力要素は、前記位置特定部の周りに、複数の開口及び/又はスリットを有する、強磁性材料で形成されるハウジングを有する、請求項1に記載の磁性素子。
前記制御手段は、前記磁性素子を前記目標位置の方向へと移動させるために前記磁性素子上への力を生成するための位置と、前記磁性素子が前記目標位置に到達するまで前記磁性素子を位置特定するための位置とに、視野を交互に移動させる磁場を生成するために、前記選択手段、前記駆動手段、及び前記集束手段を制御する、請求項14に記載の装置。
【背景技術】
【0002】
磁気操作は、患者内の素子の非接触操作を可能にする有望なアプローチである。例は、所望の方向へと誘導され得る磁気カテーテル先端や、局所的に薬剤を送達し、又は磁気誘導カプセル内視鏡(MGCE)のように情報を収集する、磁気錠剤である。これらのアプローチは、より安全かつ快適な介入手順を可能にする。しかしながら、既存の磁気操作システムは、大きな専用の磁場アプリケータを必要とする。例えば、Carpi等による「Controlled navigation of endoscopic capsules: Concept and preliminary experimental investigations」、IEEE Trans. Bio. Med. Eng., vol. 54, no. 11, pp. 2028-2036, Nov. 2007及び「Magnetic Maneuvering of Endoscopic Capsules by Means of a Robotic Navigation System」、IEEE Transactions on biomedical engineering, vol. 56, No. 5, May 2009は、ロボットによる磁気ナビゲーションシステムによって操作され監視されるための磁性シェルと共に配置される無線カプセル内視鏡を説明する。
【0003】
磁性粒子撮像(MPI)は、新たな医用撮像モダリティである。MPIの最初のバージョンは、二次元画像を生成するという点で二次元であった。より新しいバージョンは、三次元(3D)である。非静止対象物の四次元画像は、当該対象物が単一の3D画像のためのデータ取得中に著しく変化しないことを条件として、3D画像の時間シーケンスを組み合わせて動画にすることによって作成され得る。
【0004】
MPIは、コンピュータ断層撮影(CT)又は磁気共鳴撮像(MRI)と同様の再構成撮像法である。したがって、対象物の関心ボリュームのMP画像は、2つのステップで生成される。データ取得と呼ばれる第1のステップは、MPIスキャナを用いて実行される。MPIスキャナは、当該スキャナのアイソセンタに(単一の)無磁場点(field‐free point(FFP))又は無磁場線(field‐free line(FFL))を有する、「選択磁場」と呼ばれる静的な傾斜磁場を生成するための手段を有する。更に、このFFP(又はFFL。以下において「FFP」への言及は、通常、FFP又はFFLを意味するものとして理解されたい)は、低い磁場強度を有する第1のサブゾーンによって取り囲まれ、更に第1のサブゾーンは、より高い磁場強度を有する第2のサブゾーンによって取り囲まれる。加えて、スキャナは、時間依存の空間的にほぼ均一な磁場を生成するための手段を有する。実際には、この磁場は、「駆動磁場」と呼ばれる小さな振幅で速く変化する磁場と、「集束磁場」と呼ばれる大きな振幅でゆっくり変化する磁場とを重畳することによって得られる。時間依存の駆動磁場及び集束磁場を、静的な選択磁場に加えることによって、FFPは、アイソセンタを取り囲む「スキャンボリューム」にわたる所定のFFP軌道に沿って移動され得る。また、スキャナは例えば3つといった1以上の受信コイルのアレンジメントを有し、これらのコイル内に誘起される任意の電圧を記録することができる。データ取得のために、撮像されるべき対象物は、当該対象物の関心ボリュームがスキャンボリュームのサブセットであるスキャナの視野(field of view)によって囲まれるように、スキャナ内に配置される。
【0005】
対象物は、磁性ナノ粒子又は他の磁性非線形材料を含まなければならず、対象物が動物又は患者である場合、こうした粒子を含む造影剤がスキャンの前に当該動物又は患者に投与される。データ取得中、MPIスキャナは、スキャンボリューム又は少なくとも視野をトレースする/カバーする、意図的に選択された軌道に沿ってFFPを移動させる。対象物の内部の磁性ナノ粒子は、変化する磁場を経て、当該磁性ナノ粒子の磁化を変化させることによって反応する。ナノ粒子の変化する磁化は、各受信コイル内に時間依存の電圧を誘起する。この電圧は、受信コイルに関連付けられた受信器内でサンプリングされる。受信器によって出力されたサンプルは、記録され、取得データを構成する。データ取得の詳細を制御するパラメータは、「スキャンプロトコル」を構成する。
【0006】
画像再構成と呼ばれる画像生成の第2のステップでは、第1のステップにおいて取得されたデータから、画像が計算すなわち再構成される。画像は、視野内の磁性ナノ粒子の位置依存の濃度に対するサンプリングされた近似を表す、離散的な3Dデータのアレイである。通常、再構成は、適切なコンピュータプログラムを実行するコンピュータによって実行される。コンピュータ及びコンピュータプログラムは、再構成アルゴリズムを実現する。再構成アルゴリズムは、データ取得の数学的モデルに基づく。全ての再構成撮像法と同様に、このモデルは、取得データに作用する積分演算として公式化され、再構成アルゴリズムは、可能な限り、モデルのアクションを取り消そうとする。
【0007】
こうしたMPI装置及び方法は、例えば人体といった任意の検査対象物を、非破壊的な態様で、かつ、検査対象物の表面の近く及び表面から遠くの両方において、高い空間分解能で検査するために用いられ得るという利点を有する。こうした装置及び方法は一般的に知られており、独国特許出願公開第10151778A1号、並びに、Gleich, B.及びWeizenecker, J.による「Tomographic imaging using the nonlinear response of magnetic particles」、Nature, vol. 435, pp. 1214-1217(2005)において初めて説明され、これらには、再構成の原理も概略的に説明されている。これらの公刊物において説明される磁性粒子撮像(MPI)のための装置及び方法は、小さな磁性粒子の非線形磁化曲線を利用する。
【0008】
米国特許出願公開第2012/0157823号は、対象物を通るカテーテルの移動を制御するための、及び対象物の内部のカテーテルを位置特定するための装置であって、前記カテーテルは、当該カテーテルの先端に、又は先端の近くに磁性要素を有する装置を開示する。この発明は、カテーテルの位置特定及びカテーテルの移動の両方のために、MPIの原理及びハードウェアを適用し、カテーテルを移動命令によって指示される方向に対象物を通って移動させるために、及び対象物の内部のカテーテルを位置特定するために、適切な磁場を生成するように、それぞれの磁場コイルに制御電流を生成して提供するための信号生成器ユニットを制御するための、適切な制御手段を提供する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、MPIを用いて位置特定されること、及びMPI装置内で印加される磁場によって生成される磁力を用いて操作されることの両方が可能な磁性素子を提供することである。
【0010】
本発明の更なる目的は、こうした磁性素子を位置特定し、及び移動させるための装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の態様では、磁場の利用によって移動され、及び/又は配向され得る、強磁性の1以上の受力要素によって形成される受力部と、位置特定部の位置にわたる磁場の実質的な無磁場領域の動きに反応して応答信号を提供する、前記受力部から所定の距離内又は所定の距離に配置される軟磁性の1以上の位置特定要素によって形成される当該位置特定部とを有する、磁性粒子撮像装置によって位置特定され、及び移動され得る、磁性素子が提示される。
【0012】
本発明の好ましい実施形態は、従属請求項に記載される。
【0013】
既存の磁気操作システムは、大きな専用の磁場アプリケータを必要とする。対照的に、MPI装置は、(大幅な)ハードウェアの修正なしに、必要とされる磁場及び磁場傾斜を生成することができると同時に、リアルタイムの素子の位置特定の可能性をもたらす。提案される磁性素子は、受力部とMPI信号生成(位置特定)部とを有する。受力部は、好ましくは傾斜磁場から力及びトルクを吸収する。位置特定部は、位置特定信号(すなわち、磁性素子の位置特定を可能にするMPI装置によって取得される適切な検出信号)を生成する。好ましくは、受力部は、MPI装置が位置特定信号を検出するのを干渉又は阻止しないように構成される。このデザインは、同時又はインターリーブされた撮像及び磁性素子の操作を可能にする。更に、磁性素子の特徴的な信号を除去することによって、血液又は組織内の粒子のMPIが同時に実行され得る。
【0014】
MPI装置内に非常に強い傾斜磁場を印加することの可能性は、磁性素子へのかなり強い力の作用を可能にする。これは、例えば、胃腸管を通る錠剤のような自律的な素子を誘導するために、又はカテーテルの磁気先端を誘導するために用いられ得る。
【0015】
実施形態では、位置特定部は、受力部が、位置特定部の位置特定のために印加される磁場の最も低い歪みを発生させる位置に配置される。これは、位置特定部からの検出信号が良好な品質で得られることを提供する。
【0016】
更に、実施形態では、位置特定部は、受力部の内部の中心領域、特に対称中心に配置される。このアレンジメントを用いると、位置特定部からの検出信号は、通常最高品質において得られ、受力部からの任意の信号による妨害は最も少ない。
【0017】
特定の実現形態、特に、利用可能な空間及び所望の信号精度に依存して、1以上の位置特定要素は、球、針、パッチ、粒子、又はフォイルの形状の、1以上の軟磁性要素を有する。異なる形状は、配向に依存する異なる減磁率を有する。減磁は、ある方向においてその率がN>0の場合、信号応答を低減させる。針は、磁場成分が当該針の軸と整列する場合(N≒0の場合)に限り高信号を送達する。したがって、当該針の配向軸は、配向に依存する応答から推測され得る。2つの直交する針を用いて、1つの軸だけでなく、完全な空間配向が決定され得る。パッチは、2方向において良好な信号を有し、このことは、位置特定のためには良いが、配向決定のためにはあまり良くない。軟磁性の球は、全配向において等しい減磁率を有し、したがって幾分低信号である。しかしながら、アニールされていない場合、より硬磁性の材料もまた、良好な信号を送達し得る。
【0018】
実施形態では、1以上の位置特定要素は、互いに対して非同一平面配向で配置される、少なくとも2つの軟磁性要素を有する。これは、磁性素子の配向を決定することを可能にする。
【0019】
更に、実施形態では、位置特定部は、1以上の位置特定要素が、印加される磁場と整列することを可能にする軸受、特に流体軸受を更に有する。これは特に、例えば、磁性素子が例えば胃腸管といった患者の体内を動き回るカテーテルの先端に配置される場合といった、磁性素子の配向が変化される場合に関心が持たれる。
【0020】
好ましくは、1以上の受力要素は、位置特定部の周りに配置される球の形状の、2以上の強磁性要素を有する。これは、単純に実施可能であるが効果的な受力部を提供する。
【0021】
更に、前記2以上の強磁性要素は、角錐の、特に四面体等の、高度な対称体の隅角に配置される。このアレンジメントは、依然としてかなり単純であるが、位置特定部での磁場歪みを低減させる一定の程度の対称性を有する。
【0022】
実施形態では、1以上の受力要素は、位置特定部の周りに、複数の開口及び/又はスリットを有する、強磁性材料で形成されるハウジングを有する。この実施形態は、体の内部での容易な操作を可能にするが、依然として磁場が十分に位置特定部に到達することを可能にする。
【0023】
好ましくは、1以上の受力要素は、アニールされた軟磁性材料で作られる。これは、位置特定部の検出信号が妨害されない(又は少なくともあまり妨害されない)ことを提供する。
【0024】
別の実施形態では、受力部は、磁性素子が位置特定されるときに、受力部の磁化を変化させ、特に受力部の磁化を低減させる。これは、例えば、一定の磁化方向を有する受力要素の配向を変化させることによって達成され得る。
【0025】
別の実現形態では、受力部は、受力部の磁化を変化させるために、スイッチ、特にアクチュエータ又はコントローラを有する。
【0026】
更に、実施形態では、受力部は、異方性材料で作られ、細長い形状で形成され、及び/又は1以上の永久磁石を有する。これは、磁性素子が、印加される磁場内でトルクを吸収し得ることを提供する。
【0027】
別の態様によると、本発明による磁性素子を位置特定し、及び移動させるための装置であって、
磁性素子の軟磁性の位置特定要素の磁化が飽和しない、低い磁場強度を有する第1のサブゾーンと、磁性素子の軟磁性の位置特定要素の磁化が飽和する、より高い磁場強度を有する第2のサブゾーンとが、視野内に形成されるような磁場強度の空間パターンを有する選択磁場を生成するための、選択磁場信号生成器ユニットと選択磁場要素とを含む、選択手段と、
磁性素子の軟磁性の位置特定要素の磁化が局所的に変化するように、駆動磁場によって視野内の第1のサブゾーン及び第2のサブゾーンの空間位置を変化させるための、駆動磁場信号生成器ユニットと駆動磁場コイルとを含む、駆動手段と、
視野の空間位置を変化させるための、集束手段と、
第1のサブゾーン及び第2のサブゾーンの空間位置における変化によって影響を受ける、視野内の磁化に依存する検出信号を取得するための、少なくとも1つの信号受信ユニットと少なくとも1つの受信コイルとを含む、受信手段と、
検出信号を処理するための、処理手段と、
目標位置の方向に磁性素子を移動させるための力を生成するために、磁性素子が磁性素子の目標位置と視野の中心との間に配置されるような位置に視野を移動させ、その後又は同時に、磁性素子を位置特定するために、磁性素子が視野の内部に配置されるような位置に視野を移動させるための磁場を生成するために、選択手段、駆動手段、及び集束手段を制御するための、制御手段と、
を有する、装置が提示される。
【0028】
好ましくは、制御手段は、磁性素子を目標位置の方向へと移動させるために磁性素子上への力を生成するための位置と、磁性素子が目標位置に到達するまで磁性素子を位置特定するための位置とに、視野を交互に移動させる磁場を生成するために、選択手段、駆動手段、及び集束手段を制御する。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明の詳細を説明する前に、
図1乃至
図4を参照して、磁性粒子撮像の基礎を詳細に説明する。特に、医療診断用のMPIスキャナの4つの実施形態が説明される。また、データ取得の簡単な説明を行う。様々な実施形態の間の類似点及び相違点が指摘される。通常、本発明は、MPI装置のこれらの様々な実施形態の全てにおいて用いられ得る。
【0032】
図1に示されるMPIスキャナの第1の実施形態10は、同軸平行の円形コイルの3つのペア12、14、16を有し、これらのコイルペアは、
図1に示されるように配置される。これらのコイルペア12、14、16は、選択磁場、並びに駆動磁場及び集束磁場を生成する機能を果たす。3つのコイルペア12、14、16の軸18、20、22は互いに直交し、MPIスキャナ10のアイソセンタ24に指定される単一の点で交わる。加えて、これらの軸18、20、22は、アイソセンタ24に取り付けられる3Dデカルトxyz座標系の軸としての機能を果たす。垂直軸20がy軸に指定され、したがってx軸及びz軸は水平である。コイルペア12、14、16は、当該コイルペアの軸にちなんで名付けられる。例えば、yコイルペア14は、スキャナの上下のコイルによって形成される。更に、正の(負の)y座標を有するコイルは、y
+コイル(y
−コイル)と呼ばれ、残りのコイルについても同様である。より好都合な場合は、座標軸及びコイルは、x、y、及びzではなく、x
1、x
2、及びx
3を用いてラベルされる。
【0033】
スキャナ10は、これらのコイル12、14、16の各々を通じて、所定の時間依存の電流を、いずれかの方向に導くように設定され得る。コイルの軸に沿って見たときに電流がコイルの周りを時計回りに流れる場合、正とみなされ、そうでない場合は負とみなされる。静的な選択磁場を生成するために、一定の正電流I
Sがz
+コイルを通じて流され、電流−I
Sがz
−コイルを通じて流される。このときzコイルペア16は、逆平行の円形コイルペアとしての役割を果たす。
【0034】
この実施形態における軸のアレンジメント及び軸に与えられる名称は一例にすぎず、また、他の実施形態では異なり得ることに留意されたい。例えば、実際の実施形態では、垂直軸は多くの場合、本実施形態におけるようにy軸ではなく、z軸とみなされる。しかしながら、このことは通常、デバイスの機能及び動作、並びに本発明の効果を変えるものではない。
【0035】
通常は傾斜磁場である選択磁場は、
図2に磁力線50によって表される。選択磁場は、選択磁場を生成するzコイルペア16の(例えば水平な)z軸22の方向に略一定の傾斜を有し、軸22上のアイソセンタ24ではゼロ値に達する。この無磁場点(
図2に個別に示されていない)から開始して、無磁場点からの距離が増加するにつれ、選択磁場50の磁場強度は、3つの空間方向の全てにおいて増加する。アイソセンタ24の周りの破線によって示される第1のサブゾーンすなわち領域52では、磁場強度が小さいため、第1のサブゾーン52内に存在する粒子の磁化は飽和しない一方で、第2のサブゾーン54(領域52の外側)内に存在する粒子の磁化は飽和状態にある。第2のサブゾーン54内(すなわち、第1のサブゾーン52の外側のスキャナの視野28の残余部分内)では、選択磁場の磁場強度は十分強く、磁性粒子を飽和状態に保つ。
【0036】
視野28の内部で2つのサブゾーン52、54(無磁場点を含む)の位置を変化させることによって、視野28内の(全体的な)磁化が変化する。視野28内の磁化又は磁化によって影響を受ける物理的パラメータを決定することにより、視野28内の磁性粒子の空間分布に関する情報が得られる。視野28内の2つのサブゾーン52、54(無磁場点を含む)の相対空間位置を変化させるために、更なる磁場、すなわち駆動磁場及び該当する場合は集束磁場が、選択磁場50に重畳される。
【0037】
駆動磁場を生成するために、時間依存電流I
D1がxコイル12の両方を通じて流され、時間依存電流I
D2がyコイル14の両方を通じて流され、時間依存電流I
D3がzコイル16の両方を通じて流される。したがって、3つのコイルペアの各々が平行円形コイルペアとしての役割を果たす。同様に、集束磁場を生成するために、時間依存電流I
F1がxコイル12の両方を通じて流され、電流I
F2がyコイル14の両方を通じて流され、電流I
F3がxコイル16の両方を通じて流される。
【0038】
zコイルペア16は特殊であることに留意されたい。zコイルペア16は、当該コイルペアの駆動磁場及び集束磁場の共有だけでなく、選択磁場も生成する(もちろん、他の実施形態では別個のコイルが提供されてもよい)。z
±コイルを通じて流れる電流は、I
D3+I
F3±I
Sである。残りの2つのコイルペア12、14を通じて流れる電流は、I
Dk+I
Fkであり、ここでk=1、2である。これらのコイルの形状及び対称性のために、3つのコイルペア12、14、16は十分にデカップルされる。このことは望ましい。
【0039】
逆平行円形コイルペアによって生成されると、選択磁場はz軸に対し回転対称であり、選択磁場のz成分は、アイソセンタ24の周りのかなり大きなボリューム内で、zにおいてほぼ線形であり、x及びyから独立している。特に、選択磁場は、アイソセンタに単一の無磁場点(FFP)を有する。対照的に、平行円形コイルペアによって生成される駆動磁場及び集束磁場への寄与は、アイソセンタ24の周りのかなり大きなボリューム内で、空間的にほぼ均一であり、それぞれのコイルペアの軸に平行である。3つの平行円形コイルペアの全てによって共に生成される駆動磁場及び集束磁場は、空間的にほぼ均一であり、任意の方向と、ある最大強度までの任意の強度が与えられ得る。また、駆動磁場及び集束磁場は、時間依存である。集束磁場と駆動磁場との違いは、集束磁場はゆっくりと時間変化し、大きな振幅を有し得るのに対し、駆動磁場は速く変化し、小さな振幅を有することである。これらの磁場を別々に扱うことには物理的及び生物医学的理由がある。大きな振幅を有して速く変化する磁場を生成することは難しく、また、患者にとって有害である可能性がある。
【0040】
実際の実施形態では、FFPは、磁場がゼロであるとみなされる数学的な点として考えられる。磁場強度は、FFPからの距離の増加と共に増加し、増加率は様々な方向に対して異なり得る(例えば、デバイスの特定のレイアウトに依存する)。磁場強度が、磁性粒子を飽和状態にさせるのに要する磁場強度を下回る限り、粒子は、デバイスによって測定される信号の信号生成に能動的に寄与し、そうでない場合には、粒子は飽和し、いかなる信号も生成しない。
【0041】
MPIスキャナの実施形態10は、平行円形コイルの少なくとも1つの更なるペア、好ましくは、やはりx、y、z軸に沿って配向される3つの更なるペアを有する。これらのコイルペアは、
図1には示されていないが、受信コイルとしての機能を果たす。駆動磁場及び集束磁場のためのコイルペア12、14、16を用いるのと同様に、これらの受信コイルペアのうちの1つを通じて流れる定電流によって生成される磁場も、視野の内部で空間的にほぼ均一であり、それぞれのコイルペアの軸に平行である。受信コイルは、十分にデカップルされなければならない。受信コイル内に誘起される時間依存電圧は、コイルに取り付けられる受信器によって増幅され、サンプリングされる。より正確には、この信号の広大なダイナミックレンジに対処するために、受信器は、受信信号と基準信号との差をサンプリングする。受信器の伝達関数は、ゼロヘルツ(「DC」)から予期される信号レベルがノイズレベルを下回る周波数まで非ゼロである。代替的に、MPIスキャナは専用の受信コイルを有しない。代わりに、駆動磁場の送信コイルが受信コイルとして用いられる。
【0042】
図1に示されるMPIスキャナの実施形態10は、z軸22に沿った、すなわち選択磁場の軸に沿った円柱状のボア26を有する。全てのコイルは、このボア26の外側に配置される。データ取得のために、撮像されるべき患者(又は対象物)は、撮像されるべき当該患者のボリュームである、患者の関心ボリュームが、スキャナが内容物を撮像し得るスキャナのボリュームである、スキャナの視野28によって囲まれるように、ボア26内に配置される。患者(又は対象物)は、例えば、患者台の上に配置される。視野28は、ボア26の内部の、立方体、球、円柱、又は任意の形状等の幾何学的に単純なアイソセントリックなボリュームである。
図1では、立方体の視野28が示される。
【0043】
第1のサブゾーン52の大きさは、選択磁場の傾斜の強度と、飽和に必要とされる磁場の強度とに依存し、当該飽和に必要とされる磁場の強度は、更に磁性粒子に依存する。80A/mの磁場強度での典型的な磁性粒子の十分な飽和、かつ、50×10
3A/m
2に達する選択磁場の磁場強度の(所与の方向における)傾斜に対し、粒子の磁化が飽和しない第1のサブゾーン52は、(所与の空間方向に)約1mmの寸法を有する。
【0044】
患者の関心ボリュームは、磁性ナノ粒子を含まなければならない。磁性粒子は、例えば腫瘍といった画像診断の前に、例えば、患者(対象物)の体内へと注射され、又は例えば経口でといった他のやり方で患者に投与される、磁性粒子を含む液体によって、関心ボリュームに運ばれる。
【0045】
一般的に、視野内へと磁性粒子を運ぶための様々な態様が存在する。特に、患者の体内へと磁性粒子が導入される患者の場合、磁性粒子は、外科的及び非外的方法を用いて投与されてよく、また、専門家(医師等)を必要とする方法と、例えば素人若しくは通常の技能を有する者又は患者自身によって実行され得る、専門家を必要としない方法との両方がある。外科的方法の中には、例えば、血管への造影剤の注射等の侵襲的なステップ(こうした注射がそもそも外科的方法と考えられる場合)を含む、潜在的にリスクのない及び/又は安全なルーチンの介入、すなわち、かなりの専門家の医療知識の実行は必要とせず、かつ深刻な健康リスクを伴わない介入がある。更に、嚥下又は吸入等の非外科的方法も適用され得る。
【0046】
通常、磁性粒子は、データ取得の実際のステップが実行される前に、事前に送達又は投与される。しかしながら、実施形態では、更なる磁性粒子が視野内へと送達/投与されることも可能である。
【0047】
例えば、磁性粒子の実施形態は、例えば5nmの厚さを有し、例えば鉄ニッケル合金(例えばパーマロイ)からなる軟磁性層を備える、例えばガラスの球状基材を含む。例えば、この層は、例えば酸といった化学的に及び/又は物理的に浸食性の環境に対して、粒子を保護する被覆層によって覆われてよい。こうした粒子の磁化の飽和のために必要とされる選択磁場50の磁場強度は、例えば粒径、磁性層のために用いられる磁性材料、及び他のパラメータといった、様々なパラメータに依存する。
【0048】
こうした磁性粒子の粒径が例えば10μmの場合、約800A/mの磁場(約1mTの磁束密度に相当)が必要とされ、一方、粒径が100μmの場合、80A/mの磁場で十分である。より低い飽和磁化を有する材料の被覆が選択されるとき、又は層の厚さが減少されるときは、更に小さい値が得られる。
【0049】
実際には、磁性材料のコアを有し、又は大きな球として形成され、例えば40nm又は60nmといったナノメートルレンジの直径を有する、リゾビストの商品名で市販されている磁性粒子(又は同様の磁性粒子)が多くの場合用いられる。
【0050】
一般的に使用可能な磁性粒子及び粒子組成物の更なる詳細のために、欧州特許出願公開第1304542号、国際特許公開第2004/091386号、国際特許公開第2004/091390号、国際特許公開第2004/091394号、国際特許公開第2004/091395号、国際特許公開第2004/091396号、国際特許公開第2004/091397号、国際特許公開第2004/091398号、国際特許公開第2004/091408号の対応部分がここで参照され、本明細書に参照により組み込まれる。これらの文献には、MPIの方法全般の更なる詳細も見つけることができる。
【0051】
データ取得中、x、y、及びzコイルペア12、14、16は、位置依存及び時間依存の磁場である、印加磁場を生成する。これは、磁場生成コイルを通じて適切な電流を導くことによって達成される。実際には、駆動磁場及び集束磁場は、視野のスーパーセットであるスキャンボリュームをトレースする、事前選択されたFFPの軌道に沿ってFFPが動くように、選択磁場を押し動かす。印加磁場は、患者内の磁性ナノ粒子を配向させる。印加磁場が変化するにつれ、結果としてもたらされる磁化も変化するが、これは印加磁場に対して非線形に応答する。変化する印加磁場と、変化する磁化との和は、x
k軸に沿った受信コイルペアの端子間に時間依存電圧V
kを誘起する。関連する受信器は、この電圧を、当該受信器が更に処理する信号S
kに変換する。
【0052】
図1に示される第1の実施形態10と同様に、
図3に示されるMPIスキャナの第2の実施形態30は、円形で互いに直交する3つのコイルペア32、34、36を有するが、これらのコイルペア32、34、36は、選択磁場及び集束磁場のみを生成する。選択磁場も生成するzコイル36は、強磁性材料37で充填される。この実施形態30のz軸42は垂直に配向され、一方、x軸38及びy軸40は水平に配向される。スキャナのボア46は、x軸38に平行であり、したがって選択磁場の軸42に対して垂直である。駆動磁場は、x軸38に沿ったソレノイド(示されていない)と、残りの2つの軸40、42に沿ったサドルコイルのペア(示されていない)とによって生成される。これらのコイルは、ボアを形成する管の周りに巻き付けられる。また、駆動磁場コイルは受信コイルとしても機能する。
【0053】
こうした実施形態にいくつかの典型的なパラメータを与えると、選択磁場Gのz傾斜は、G/μ
0=2.5T/mの強度を有し、ここでμ
0は真空透磁率である。駆動磁場の時間周波数スペクトルは、25kHz前後の狭い帯域内(約150kHzまで)に集中する。受信信号の有用な周波数スペクトルは、50kHz〜1MHzの間(最終的に約15MHzまで)にある。ボアは120mmの直径を有する。ボア46内に収まる最大の立方体28は、120mm/√2≒84mmの辺の長さを有する。
【0054】
磁場生成コイルの構成は、従来技術において、例えば磁気共鳴撮像の分野から一般的に知られているので、この主題について本明細書で更に説明する必要はない。
【0055】
選択磁場の生成のための代替的な実施形態では、永久磁石(示されていない)が用いられてよい。こうした(対向する)永久磁石(示されていない)の二極間の空間では、対向する磁極が同じ極性を有する場合、
図2に示される磁場と同様の磁場が形成される。別の代替的な実施形態では、少なくとも1つの永久磁石と、少なくとも1つのコイルとの混合によって選択磁場が生成されてよい。
【0056】
図4は、2つの実施形態のMPI装置200、300の全体的な外部レイアウトを示す。
図4Aは、2つの選択及び集束磁場コイルユニット210、220を有し、当該コイルユニット210、220は基本的には同一であり、コイルユニット210、220の間に形成される検査領域230の両側に配置される、提案されるMPI装置200の実施形態を示す。更に、選択及び集束磁場コイルユニット210、220の間に、患者(示されていない)の関心領域の周りに配置される駆動磁場コイルユニット240が配置される。この選択及び集束磁場コイルユニット210、220は、上記に説明された選択磁場と集束磁場とを表す結合磁場を生成するための、複数の選択及び集束磁場コイルを含む。特に、選択及び集束磁場コイルユニット210、220の各々は、好ましくは同一の選択及び集束磁場コイルのセットを含む。前記選択及び集束磁場コイルの詳細は下記に説明される。
【0057】
駆動磁場コイルユニット240は、駆動磁場を生成するための複数の駆動磁場コイルを有する。これらの駆動磁場コイルは、複数の駆動磁場コイルペア、特に、3つの空間方向の各々に、磁場を生成するための1つの駆動磁場コイルペアを有してよい。実施形態では、駆動磁場コイルユニット240は、2つの異なる空間方向のための2つのサドルコイルのペアと、患者の長手軸において磁場を生成するための1つのソレノイドコイルとを有する。
【0058】
選択及び集束磁場コイルユニット210、220は、通常、保持ユニット(示されていない)又は部屋の壁に取り付けられる。好ましくは、選択及び集束磁場コイルユニット210、220がそれぞれのコイルを担持するための磁極片を有する場合、保持ユニットは、選択及び集束磁場コイルユニット210、220を機械的に保持するだけでなく、2つの選択及び集束磁場コイルユニット210、220の磁極片を接続する磁束のための経路を提供する。
【0059】
図4Aに示されるように、2つの選択及び集束磁場コイルユニット210、220は各々、駆動磁場コイルユニット240の駆動磁場コイルによって生成される磁場から選択及び集束磁場コイルユニットを遮断するための遮断層211、221を含む。
【0060】
図4Bに示されるMPI装置201の実施形態では、単一の選択及び集束磁場コイルユニット220のみが、駆動磁場コイルユニット240と併せて提供される。通常、単一の選択及び集束磁場コイルユニットは、必要とされる結合選択及び集束磁場を生成するのに十分である。したがって、前記単一の選択及び集束磁場コイルユニット220は、患者台(示されていない)の上に、検査のために患者が配置される当該患者台と一体化されてよい。好ましくは、駆動磁場コイルユニット240の駆動磁場コイルは、例えば可撓性コイル素子として、前もって患者の体の周りに配置されていてよい。別の実装形態では、駆動磁場コイルユニット240は開いてよく、例えば、
図4Bに示される軸方向の分離線243、244によって示される2つのサブユニット241、242へと分離可能であり、したがって、患者が間に配置され、次いで駆動磁場コイルのサブユニット241、242が共に結合され得る。
【0061】
MPI装置の更に別の実施形態では、好ましくは検査領域230の周りに均等分布によって配置される、更に多くの選択及び集束磁場コイルユニットが提供されてもよい。しかしながら、より多くの選択及び集束磁場コイルユニットが用いられるほど、中に患者を配置するための、また、検査中メディカルアシスタント又は医師が患者自身にアクセスするための検査領域のアクセシビリティは、より限定される。
【0062】
図5は、本発明によるMPI装置100の概略的なブロック図を示す。別段に明記されない限り、上述の磁性粒子撮像の一般的原理は、この実施形態にも同様に有効及び適用可能である。
【0063】
図5に示される装置100の実施形態は、所望の磁場を生成するための様々なコイルを有する。まず、MPIにおけるコイルと当該コイルの機能について説明する。
【0064】
結合の選択及び集束磁場を生成するために、選択及び集束手段110が提供される。選択及び集束磁場は、低い磁場強度を有し磁性粒子の磁化が飽和しない第1のサブゾーン(
図2の52)と、高い磁場強度を有し磁性粒子の磁化が飽和する第2のサブゾーン(
図2の54)とが、検査領域230の小部分である視野28内に形成されるような磁場強度の空間パターンを有し、これは、従来、選択磁場の利用によって達成される。更に、従来は集束磁場の利用によって行われるように、選択及び集束磁場の利用によって、検査領域230内の視野28の空間位置を変化させることができる。
【0065】
選択及び集束手段110は、少なくとも1つのセットの選択及び集束磁場コイル114と、選択及び集束磁場の生成を制御するために、少なくとも1つのセットの選択及び集束磁場コイル114(
図4A、
図4Bに示される選択及び集束磁場コイルユニット210、220のうちの1つを表す)に供給される選択及び集束磁場電流を生成するための、選択及び集束磁場生成器ユニット112とを有する。好ましくは、少なくとも1つのセットの選択及び集束磁場コイル114のうちのコイル要素の各々(又はコイル要素のペアの各々)に対し、別々の生成器のサブユニットが提供される。選択及び集束磁場生成器ユニット112は、選択及び集束磁場に対する各コイルの傾斜強度及び磁場強度の寄与を個別に設定するために、それぞれのコイル要素に磁場電流を供給する、制御可能な電流源(通常は増幅器を含む)とフィルタユニットとを有する。フィルタユニットは省かれてもよいことに留意されたい。更に、他の実施形態では、別々の集束手段と選択手段とが提供される。
【0066】
駆動磁場を生成するために、装置100は駆動手段120を更に有し、駆動手段120は、磁性材料の磁化が局所的に変化するように、駆動磁場によって視野内の2つのサブゾーンの空間位置及び/又は大きさを変化させるための、駆動磁場信号生成器ユニット122と、駆動磁場コイルのセット124(
図4A、
図4Bに示される駆動コイルユニット240を表す)とを有する。上述のとおり、前記駆動磁場コイル124は、好ましくは、両側に配置されるサドルコイルの2つのペア125、126と、1つのソレノイドコイル127とを有する。例えばコイル要素の3つのペアといった他の実現形態も可能である。
【0067】
駆動磁場信号生成器ユニット122は、好ましくは、駆動磁場コイルのセット124のうちのコイル要素の各々(又は少なくともコイル要素のペアの各々)に対し、別々の駆動磁場信号生成サブユニットを有する。駆動磁場信号生成器ユニット122は、好ましくは、それぞれの駆動磁場コイルに時間依存の駆動磁場電流を提供するための、駆動磁場電流源(好ましくは電流増幅器を含む)と、フィルタユニット(本実施形態においても省かれてよい)とを有する。
【0068】
好ましくは、選択及び集束磁場信号生成器ユニット112と、駆動磁場信号生成器ユニット122とは、好ましくは選択磁場の全空間点の磁場強度の和及び傾斜強度の和が所定のレベルに設定されるように、選択及び集束磁場信号生成器ユニット112を制御する、制御ユニット150によって制御される。この目的のために、制御ユニット150は、MPI装置の所望のアプリケーションに従ってユーザによる制御命令を提供されてもよいが、しかしながら、これは本発明によると好ましくは省かれる。
【0069】
検査領域(又は検査領域内の関心領域)内の磁性粒子の空間分布を決定するために、特に関心領域の画像を取得するためにMPI装置100を用いるために、信号検出受信手段148、特に受信コイルと、受信手段148によって検出された信号を受信する信号受信ユニット140とが提供される。好ましくは、実際には3つの受信コイル148と、受信コイル毎に1つずつの3つの受信ユニット140とが提供されるが、4つ以上の受信コイルと受信ユニットとが用いられてもよく、この場合、取得検出信号は三次元ではなくK次元であり、ここでKは受信コイルの数である。
【0070】
信号受信ユニット140は、受信検出信号をフィルタリングするためのフィルタユニット142を有する。このフィルタリングの目的は、2つの部分領域(52、54)の位置変化の影響を受ける検査領域内の磁化によってもたらされる測定値を、他の干渉信号から分離することである。この目的で、フィルタユニット142は、例えば、受信コイル148の動作時間周波数よりも小さい、又はこうした時間周波数の2倍よりも小さい時間周波数を有する信号が、フィルタユニット142を通過しないようにデザインされてよい。信号は次いで、増幅器ユニット144を介してアナログ/デジタルコンバータ146(ADC)に送信される。
【0071】
アナログ/デジタルコンバータ146によって生成されたデジタル化信号は、画像処理ユニット(再構成手段とも呼ばれる)152に供給され、画像処理ユニット152は、これらの信号、及び、画像処理ユニット152が制御ユニット150から取得する、それぞれの信号の受信中に検査領域内の第1の磁場の第1の部分領域52が取ったそれぞれの位置から、磁性粒子の空間分布を再構成する。再構成された磁性粒子の空間分布は、最終的に制御手段150を介してコンピュータ154に送信され、コンピュータ154は当該空間分布をモニタ156上に表示する。したがって、検査領域の視野内の磁性粒子の分布を示す画像が表示され得る。
【0072】
MPI装置100の他のアプリケーションでは、例えば、磁性粒子に影響を及ぼすために(例えばハイパーサーミア治療のために)、又は(例えば、カテーテルを移動させるためにカテーテルに付着される、若しくは医薬を特定の位置に移動させるために医薬に付着される)磁性粒子を移動させるために、受信手段は省かれてもよく、又は単に用いられなくてもよい。
【0073】
更に、オプションで、例えばキーボードといった入力ユニット158が提供されてよい。したがって、ユーザは、最高解像度の所望の方向を設定することができ、次いでモニタ156上に作用領域のそれぞれの画像を受信する。最高解像度が必要とされる重要な方向が、ユーザによって最初に設定された方向からずれる場合には、更なる画像を改善された解像度で生成するために、ユーザは依然として手動で方向を変更し得る。また、この解像度改善プロセスは、制御ユニット150とコンピュータ154とによって自動的に実行されてもよい。この実施形態における制御ユニット150は、自動的に推定され、又はユーザによって初期値として設定される第1の方向に傾斜磁場を設定する。次いで傾斜磁場の方向は、コンピュータ154によって比較される、制御ユニット150により受信された画像の分解能が最大でそれぞれもはや改善されなくなるまで、段階的に変更される。したがって、最も重要な方向は、可能な最高解像度を受信するために、それぞれ自動的に適合されて見つけられ得る。
【0074】
図6は、上述のようなMPI装置(又は任意の他の実施形態のMPI装置)によって位置特定され、及び移動され得る、第1の実施形態の磁性素子400aを示す。磁性素子400aは、受力部410aと、位置特定部420aとを有する。
【0075】
受力部410aは、傾斜磁場の利用によって移動され、及び/又は磁場の利用によって配向され得るように構成される。通常、受力部410aは、1以上の強磁性の受力要素によって形成される。この実施形態では、受力部410aは、力を効率的に吸収するが、検出信号を生成せずに(又は少なくとも大幅には生成せずに)、したがって位置特定部420aが妨害されない(又は少なくとも大幅には妨害されない)ように、四面体の隅角に配置される4つの強磁性の球411、412、413、414を有する。
【0076】
位置特定部420aは、位置特定部420aの位置にわたる(MPI装置によって生成される)磁場の実質的な無磁場点(又はより一般的には、例えば線又は通常任意の形状を有してよい実質的な無磁場領域)の動きに反応して、応答信号(検出信号)を生成するように構成される。位置特定部420aは、通常、受力部410aの内部に(又は受力部から所定の距離に)配置される、1以上の軟磁性の位置特定要素によって形成される。この実施形態では、位置特定部420aは、受力部410aの対称中心、すなわち強磁性の球411、412、413、414によって形成される四面体の中心に配置される、軟磁性のフォイル421を有する。軟磁性のフォイル421は、無磁場点が当該軟磁性のフォイル421にわたって通過するときに、非常に強く鮮明な応答を作り出す。軟磁性材料の形状は、好ましくは、形状により誘発される減磁を低減するように最適化される。実現形態では、軟磁性材料は、良好な応答信号を与える針の形状を有する。
【0077】
図7は、(
図2においても示される)磁力線50によって示される、選択コイル16によって生成される選択磁場の様々な位置における磁性素子400aを示す。矢印Fは、磁場に略比例し略平行な、磁性素子400aの磁化ベクトルを示す。磁化の大きさに比例し、無磁場領域52から遠ざかって向く、磁性素子400aに印加される磁力、特に力の強さ及び方向は、したがって、磁性素子400aの位置に依存する。見られるように、実質的な無磁場領域52(すなわち第1のサブゾーン)では、磁化ひいては力は磁性素子に実質的に印加されず、したがって、例えば集束磁場を利用することによって、磁性素子に対する無磁場領域の位置を変化させることにより、磁化ひいては力が調節され得る。
【0078】
図8は、受力部410bと位置特定部420bとを有する、第2の実施形態の磁性素子400bを示す。受力部410bは、強磁性材料で作られ、錠剤の形状を有する、細長いハウジング(又はシェル)415として構成される単一の部分を有する。ハウジング415は、MPI装置によって印加される磁場が位置特定部420bに突き抜けることのできるように、スリット416を有する。位置特定部420bは、ハウジング415の内部に配置され、位置特定部420aと同様に形成されてよい。
【0079】
図9は、受力部410cと位置特定部420cとを有する、第3の実施形態の磁性素子400cを示す。受力部410cは、強磁性材料で作られ、上側及び/又は下側で開口するディスクの形状を有する、ハウジング(又はシェル)416として形成される単一の部分を有する。位置特定部420cは、ハウジング416の内部に配置され、位置特定部420aと同様に形成されてよいが、この実施形態では、位置特定部420cは、FFP軌道の全配向において良好な検出信号を得るために、非同一平面の態様で(好ましくは直交して)組み合わされる、複数の軟磁性の針又はパッチ422、423、424を有する。位置特定部420cのこれらの様々な及び/又は追加的な要素は、上述の他の実施形態においても用いられ得ることに留意されたい。
【0080】
図10は、受力部410dと位置特定部420dとを有する、第4の実施形態の磁性素子400dを示す。位置特定部420dは、例えばハウジング427内に格納される、標準のMPIを用いて撮像され得る1以上の磁性ナノ粒子426を有する。
【0081】
通常、位置特定部の1以上の位置特定要素は、受力部が磁場歪みを少ししか発生させない位置に配置される。受力部は、通常、コンパクトな又は球の形状を有し、したがって力を効率的に吸収するように最適化される。更に、受力部は、好ましくはアニールされた軟磁性材料で作られ、したがって検出信号を生成しないように最適化され、その結果、位置特定部の検出信号は妨害されない(又は少なくともあまり妨害されない)。
【0082】
別の実施形態では、受力部は、大きな双極子磁場を生成するために、強い異方性材料を用いて、及び/又は細長い素子として形成される。更に、永久磁石が取り付けられてよい。したがって、受力部の配向は、均一な磁場によって(少なくとも2自由度において)支配され、一方、力の強さは、磁化の大きさを決定する、傾斜の強さ及び無磁場点までの距離によって支配される。永久磁石は、磁化の方向と材料との間の一定の関係を有し、したがってトルクを吸収し得る。したがって、この実施形態は、トルクの利用によって磁性素子の配向の変化を可能にし、例えば、カメラを有する錠剤が例えば胃腸管の内部といった患者の体に対して配向されるアプリケーションで利用され得る。
【0083】
錠剤の形式の別の実施形態の磁性素子400eが、
図11に示される。この実施形態では、
図9に示される位置特定部420cに実質的に相当する位置特定部420eの一部として、軸受425が提供される。磁性素子400eは、受力部としての役割を果たし、又は別個の受力部(示されていない)を含み、軸受425と位置特定部420eとを封入する、ハウジング410eを更に有する。軸受425は、位置特定部420eが、受力部410eの配向と無関係に外部磁場と整列し得ることを提供する。
【0084】
この実施形態では、軸受425は、ハウジング425a内に充填された液体425b内を浮遊する、針又はパッチである位置特定部420eを封入するハウジング425aを有する(例えば液体コンパスに匹敵する)流体軸受を有し、したがって、位置特定部420eはハウジング425a及び磁性素子400eの残部から独立して動くことができる。軸受425は、好ましくは、位置特定部420eを磁場と整列させるトルクが発生するように、位置特定部420e内に何らかの異方性を有する。
【0085】
改善された撮像のために、
図12に示されるように、素子操作に関係のない撮像シーケンスの間、磁性素子の磁化を低減させる、スイッチング可能な磁性素子400fが着想される。磁性素子内の磁性材料の構成を再配置するために、専用の磁場シーケンスを用いるか、又は内部の電子機器及び/若しくはアクチュエータを介したスイッチングが着想され得る。磁性素子400fの実施形態は、2つの永久磁石428、429のアレンジメントを含む受力部410fと、例えば感熱ボルトによって形成されるスイッチング要素430とを有する。位置特定部は
図12に示されておらず、磁性素子400fの他端に配置されるか、又はスイッチング可能な磁気アレンジメントの内部に配置されてよいが、このときはスリットされなければならない。
【0086】
永久磁石428は永久磁石429を取り囲み、永久磁石428、429は、互いに対して独立して動かされ得る。例えばこの実施形態では、永久磁石429は、
図11における上記に示されたような軸受425内に含まれる。
【0087】
例えば、強い外部磁場の利用によって、永久磁石428の相対配向は、環状又は
図12Aに示されるような反平行配向(エネルギ的に低磁場で好ましく、低い総双極子モーメントを提供する)から、
図12Bに矢印で示されるような平行配向(高い双極子モーメントを提供する)へと変化され得る。したがって、所望の相対配向は、永久磁石が互いに対して配向を変化し得る限り(すなわち、永久磁石の適切な軸受の場合)、強磁場の印加又は不存在によって制御され得る。
図12に示される異なる状態間の切換えのために、接続(すなわち、例えばバイメタルによって形成されるボルト430)が内側の磁石429を非ブロック化するように交番磁場によって加熱される。外部磁場がない場合、磁石428、429は、ボルト430によって実際の配向で固定され得る。したがって、磁性素子400fは、外部磁場の利用によってスイッチング可能である。
【0088】
スイッチングのために機械的要素を必要としない更に別の実施形態(示されていない)では、「オフにスイッチングする」ために、交番磁場の利用によって永久磁石がキュリー温度を超えて加熱されてよい。その後、磁場の印加がなく永久磁石が冷却される場合、永久磁石はその後、より低い総磁化を有する。代替的に、総磁化に影響を及ぼすために、フェリ磁性体における副格子磁化が熱の印加によって影響を及ぼされてもよい。
【0089】
更に別の実施形態の磁性素子400gが
図13に示される。この実施形態では、受力部410gと位置特定部420gとは、離れて、特に磁性素子400gのハウジング431の両側に配置される。着想は、こうしたアレンジメントは、(例えば大きな錠剤又はカテーテルといった)かなり大きな素子を有するときに、より単純かつ有用であり得ることである。特に、複雑な対称アレンジメントを構築することなく、410g部分と420g部分との間の相互妨害が最小化される。
【0090】
磁性素子を位置特定すること、及びMPI装置によって印加される磁場によって生成される磁力を用いて磁性素子を操作することの両方のための、MPI装置の制御に利用可能な様々なオプションがある。
【0091】
位置特定のために、時間に基づくグリッディング位置特定が適用され得る。こうしたグリッディングアルゴリズムは、(通常用いられる)システム関数を用いることなく、検出信号から視野の画像を直接生成するのに用いられる。信号はFFPの現在位置における時間領域に書き込まれる。例えば軟磁性材料で作られた針といった位置特定部の位置における画像内の明画素をもたらすハイパスフィルタリングによって、SNRの改善を可能にする非常に鮮明な時間信号が得られる。
【0092】
高速の位置特定のために、閾値に加えて複数のFFP通過の質量の中心にわたる平均が適用され得る。この態様では、位置特定部の明画素が残りの信号から分離され得る。軟磁性材料を除いて検出信号をもたらす他の材料が視野内にない場合、軟磁性材料の位置を決定するために、画像にわたる信号の質量中心が決定され得る。
【0093】
位置特定部(例えば磁性フォイル)は、駆動磁場に対する配向に依存して応答する。フォイル配向は、様々なFFP軌道配向(様々なピーク振幅及び幅、様々な方向を含む軌道)に対する瞬時応答から決定され得る。これは、方向に依存した位置特定におけるエラーの決定、軌道及びフォイル配向に関する知識を用いた最も鮮明なピークの事前選択、及び/又は素子配向の決定を可能にする。
【0094】
代替的に、3D駆動磁場シーケンスが用いられる場合、磁場内の素子(の位置特定部分の)配向を決定するために、(例えば位置特定部としての針の)減磁効果が用いられてよい。針のみは軸に沿って磁化される。1つの軌道サイクルにわたり平均化された信号又はスペクトル内の信号内容は、コイル軸上の磁化の投射に比例する。この目的のために、例えばFFP軌道を急速に再配向することによって、直交方向を検出するためにこの方向依存を効率的に検出し得る、様々なFFP軌道が用いられ得る。代替的に、軌道は常に最も強い信号が得られるように配向されてよい。
【0095】
更に、多色MPIが用いられてよく、当該多色MPIに従って、検出信号をもたらす様々な材料が同時に検出され得る。得られた信号は、異なる色の再び結合され得る2つの画像が生成されるように、再構成中に分離される。多色MPIが用いられる場合、例えば位置特定の後といった時間に基づくピークの除去は、例えば血液又は組織内の粒子からもたらされる検出信号の、妨害されない再構成を可能にする。
【0096】
操作のために、素子の位置特定と力の作用との一時的な分離を提供する、インターリーブモードが用いられ得る。同時モードでは、撮像と力の作用とは併用されるが、しかしながら、磁性素子は常に駆動磁場パッチ(すなわち視野)の内部に保たれなければならない。
【0097】
実施形態では、素子の位置の正射ビュー又は3D視覚化が提供される。更に、磁気位置の所望の配置は、例えばジョイスティック又は他のユーザインターフェースによって制御され得る。例えば、ポインティング素子によって向けられる所望の方向は、(上述のとおり、無磁場領域を所望の方向と反対の一定の距離に配置することによって)素子又はカテーテル先端を所望の方向に押す効果を有する十分な磁場シーケンスに自動的に変換され得る。素子を振動させ、又は回転させる磁場シーケンスは、素子が動かないときに、当該素子が自由に動けるようにするのを助ける。これらは、オペレータが素子は動いていないという印象を持ったときに、当該オペレータによって有効にされてよい。また、これらは組織を穿孔するのにも用いられ得る。力の制御は、磁化の程度を決定するFFPの対象物までの距離を介して達成され得る。
【0098】
図14は、本発明による磁性素子を制御する第1の実施形態を示す図を示す。
図14Aは、提案される制御方法のステップを示す。最初に、磁性素子400は視野(FOV)28の内部にあると推定される(ステップS10)。これは平均信号の利用によってチェックされる。信号が低すぎる場合、磁性素子400はFOV28の内部にないと推定され、
図16を参照して下記に説明される探索のルーチンが実行される。
【0099】
磁性素子400上に力を作用させるために、FOV28は、平均FFP位置の磁性素子400がFOV28と目標位置500との間にあるように、一時的に別の位置に移動される(ステップS11)。駆動磁場によって誘発されるFFPの動きは、磁性素子400の変位を導くのに速すぎる。したがって、力を作用させるためには、(1つの駆動磁場軌道にわたって平均化される)平均FFP位置が適切である。この位置は、集束磁場を用いて変化される。
【0100】
磁性素子400の受力部は、したがって、磁化反転し、傾斜磁場を介してFOV28から遠ざかって目標位置500に向かって加速される。力は、FFPから常に遠ざかる、最高(絶対)磁場傾斜の方向を常に向く。したがって、FFPが磁性素子400の一方側に置かれるとき、磁性素子400は反対側に移動される。平均FFPと磁性素子400との間の距離は、磁性素子の磁化ひいては力の強さを決定する。続くステップS12では、FOV28は磁性素子400が以前位置特定された位置に戻って移動される。次いで、ステップのループが再び開始する。
【0101】
図14Bに示されるように、磁性素子400の位置特定のための磁気位置特定パルスP
Lと、磁性素子400に力を作用させるための磁力作用パルスP
Fとが交番して印加される。このコンテキストでは、位置特定シーケンスは、実際にはパルス化されず、単に継続することに留意されたい。しかしながら、集束磁場の変更の間、信号は妨害される恐れがある。したがって、位置特定パルスP
Lは、時間窓の間、位置特定信号が妨害されずに評価され得る、当該時間窓に対応する。
【0102】
図15は、本発明による磁性素子を制御する第2の実施形態を示す図を示す。
図15Aは、この実施形態の制御方法のステップを示す。この実施形態では、
図14を参照して説明された方法においては、ステップS11でFOV28が磁性素子400から遠すぎる位置に移動されるために発生するデッドタイムが回避される。この実施形態によると、最初にステップS21において、磁性素子400が位置特定される。続くステップS22では、FOV28が別の位置に移動されるが、ステップS11におけるほどは遠くない。FOV28は、磁性素子400がFOV28の境界に配置され、依然として位置特定され得るように配置されるにすぎない。したがって、この実施形態では、
図15Bに示されるように、磁性素子の位置特定と、移動のための力の作用とが同時に行われ得る。しかしながら、欠点は、力はFOV28と磁性素子400との間の距離の増加と共に増加するため、印加される力がより低いことである。しかしながら、この実施形態を用いると、磁性素子400はより頻繁に又は常時にさえ位置特定され、したがって磁性素子400の位置特定はより良好にかつ高速に制御され得る。
【0103】
図16は、本発明による磁性素子を制御する第3の実施形態を示す図を示す。
図16Aは、この実施形態の制御方法のステップを示す。この実施形態では、磁性素子400は最初に探索され得る。この目的のために、FOV28は、ステップS31、S32、S33に示されるような様々な位置に、続いて移動される。次いで、得られた平均信号強度が比較される。磁性素子400が配置される位置は、FFPが位置特定部を通って直接移動し、位置特定部の磁化を変化させるため、最も強い信号を生成する。この磁化の変化により、電圧信号が受信コイル内へと誘起される。最初の探索の後、例えば
図14又は
図15を参照して上述されたような制御方法を実行することによって、ステップS34に示されるような「実際の」制御がその後開始されるように、FOV28は最も強い平均信号をもたらす位置に配置される。
図16Bは、集束磁場手段(例えば集束磁場コイル又は選択及び集束磁場コイル)によって印加される磁気移動パルスP
Mの利用によるFOV28の移動と、磁気位置特定パルスP
Lの利用による磁性素子400の位置特定とを示す。
【0104】
図17は、本発明による磁性素子を制御する特定の実施例を示す図を示す。磁性素子400の最初の探索の後、操作が開始される。磁性素子は、目標位置500の下の近距離に配置されていることがわかる。位置を補正するために、FOV28は、平均FFPが目標位置500の下のより遠い距離に配置されるように、一定の時間期間移動される。FOV28は、受力部が磁化において変化され、傾斜磁場が磁性素子を目標位置500の方向へと移動させる力を作用させる間の、一定の時間この位置に留まる。続いて、FOV28は磁性素子400の上部に移動され、磁性素子400の位置は再び位置特定される。今度は磁性素子400が目標位置により近いので、磁性素子400を更に目標位置500の方向へと押し進めるために、FOV28は再び遠ざかって移動される。最終的に、磁性素子400は、目標位置500で位置特定され、したがって磁性素子400の位置は安定化される。
【0105】
図18は、本発明による磁性素子を制御する別の実施例を示す図を示す。より頻繁に、かつ中断なしに位置特定するために、FOV28は磁性素子400が依然としてFOV28によって覆われる程度に磁性素子から遠ざかって移動されるにすぎない。したがって、磁性素子400は依然としてこの位置で位置特定され得る。これは、磁性素子400が目標位置500に配置されるまで、続いて何回か実行される。特に、FOVを移動させることによって、移動される素子を常にFOVの端の近くに保って、目標位置に達するまで一定の力を作用させることが試みられる。
【0106】
本発明は、図面及び前述の説明において詳細に例示され説明されたが、こうした例示及び説明は、例示的又は典型的であると考えられるべきであり、限定と考えられるべきではなく、本発明は、開示された実施形態に限定されない。当業者によって、特許請求された発明を実施するにあたり、図面、明細書、及び添付の請求項の研究から、開示された実施形態の他のバリエーションが理解され達成されることができる。
【0107】
請求項で、「有する」の文言は他の要素又はステップを除外するものではなく、不定冠詞「a」又は「an」は複数を除外するものではない。単一の要素又は他のユニットは、請求項に記載される複数項目の機能を満たすことができる。特定の手段が、相互に異なる従属請求項に記載されているという単なる事実は、これらの手段の組み合わせを有利に使用できないことを意味するわけではない。
【0108】
請求項のいかなる参照符号も、範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。