(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
縫合糸の両リムがノットから延出する縫合糸で形成されたスライディング・ノットおよびオーバーハンド・ノットを含む複数タイプのノットを押圧するために使用可能なノットプッシャーであって、
遠位のノット押圧面で終端する頂壁および底壁を定義している遠位ヘッドと、
前記頂壁と底壁との間に定義されて、前記ノット押圧面の近傍から前記遠位ヘッドに沿って延びるサイド溝であって、前記オーバーハンド・ノットの押圧を助けるために前記遠位ヘッドを進める際に縫合糸の両リムの一方を受容するように機能する、サイド溝と、
前記スライディング・ノットの前進を助けるために前記遠位ヘッドを進める際に縫合糸の両リムの一方を受容するように、前記頂壁に付属する頂壁の縫合糸受け要素と、を含むノットプッシャー。
前記オーバーハンド・ノットを押圧するために前記遠位ヘッドを進める際に、前記サイド溝に受容された縫合糸の両リムの一方が当該ノットプッシャーから離脱することを防止するため、少なくとも1つのサイド溝内に、縫合糸の両リムの少なくとも一方を保持するための、少なくとも1つのサイド溝の縫合糸保持要素をさらに含む、請求項1ないし4のいずれか1つに記載のノットプッシャー。
前記弾性スナップアームは、一対の弾性スナップを含み、該一対の弾性スナップの各々は、前記サイド溝のうちの対応する1つに縫合糸の両リムのうちのそれぞれ一方を保持するための、前記サイド溝のうちの1つの一部を定義する、請求項6に記載のノットプッシャー。
前記一対の弾性スナップの各々は、前記縫合糸の両リムのうちのそれぞれ一方を前記サイド溝のうちの対応する1つへ進入させることを助けるための、面取り面を含む、請求項7に記載のノットプッシャー。
前記中心溝は、当該ノットプッシャーの中心軸に沿って配置されて、前記オーバーハンド・ノットを押圧するために前記遠位ヘッドを進める際に前記オーバーハンド・ノットの目視による中心配置を可能とするための、可視化チャネルを形成している、請求項3に記載のノットプッシャー。
【発明を実施するための形態】
【0010】
広い一態様において、本発明の実施形態は、患者の身体の組織領域内の部位に縫合糸で形成されたノットを進め、締め付けるための手段を提供する。一部の応用例では、これは、患者の身体の表面上にある部位を含むものと解釈してよい。別の応用例では、その部位は、遠隔、または、アクセスが限定もしくは制限されている組織領域内であってよい。そのような応用例では、特に、ノットを進め、締め付けるためにノットプッシャーの使用を必要とする。
【0011】
一部の応用例では、縫合糸を固定するためにスライディング・ノットを施すことが望ましい場合がある。具体例では、例えば椎間板の線維輪である欠損部位における組織領域を通じた縫合糸の送達後に、スライディング・ノットは、留置されてよい。そのような一部の例では、椎間板へのアクセスは、例えば椎弓板を通して挿入される、ポータルを介して提供されてよく、これにより、縫合糸を罹患椎間板まで通すことが可能となる。それから、スライディング・ノットは、縫合糸を固定するために留置されてよい。
【0012】
このような状況では、椎間板へのアクセスが制限されるので、ノットプッシャーは、スライディング・ノットを、ポータルを介して欠損部位に向けて進めるために利用されてよい。ノットプッシャーは、スライディング・ノットの前進を可能とし、さらに、欠損部位における組織の初期近接を可能としてよい。加えて、ノットプッシャーは、スライディング・ノットを締め付けて固定するために用いられてよい。多くの場合、医師は、スライディング・ノットをさらに補強するために、スライディング・ノットの上に1つ以上の追加のハーフヒッチまたはオーバーハンド・ノットを施すことを望む。これらは、処置後にスライディング・ノットが緩んだり解けたりしないことを確実とするのに役立ち得る。ノットを押圧して締め付けるための機序/処置は、スライディング・ノットとオーバーハンド・ノットの双方で異なり、これらの異なるタイプのノットを進めるには、一般に、それぞれ特定のタイプのノット用に設計された複数のノットプッシャーを使用する必要がある。
【0013】
本発明者らは、スライディング・ノットとオーバーハンド・ノットの両方を押圧するためのノットプッシャーのいくつかの実施形態を発見し、まとめた。医療処置においてスライディング・ノットとオーバーハンド・ノットの両方を同じ装置を使用して押圧することは、例えば、ノットプッシャーがスライディング・ノットを押圧することを可能とするように、スライディング・ノットを形成している縫合糸の両リムの一方を保持するための、中間溝のような縫合糸受け要素を含むノットプッシャーを提供することによって達成される。ノットプッシャーは、さらに、ノットプッシャーがオーバーハンド・ノットを押圧することを可能とするように、オーバーハンド・ノットを形成している縫合糸のリムの一方または両方を受容、保持、または案内するための、相対するサイド溝を有する。
【0014】
一部の実施形態では、ノットプッシャーは、ノットプッシャーへの縫合糸の係合を助け、手術時間を短縮するための機構を含む。具体的な一例では、ノットプッシャーは、オーバーハンド・ノットを押圧するために遠位ヘッドを進める際に、縫合糸リムがノットプッシャーから離脱することを防ぐために、サイド溝の1つに縫合糸のリムを保持するための、少なくとも1つの縫合糸保持要素を有する。
【0015】
このような実施形態は、例えば、ノットが留置される組織部位へのアクセスが制限されている場合に、特に有用かつ効果的である。本発明の実施形態によれば、異なるタイプのノットを留置するために複数の装置を使用することが回避され、従って、処置を完了するために使用の必要のある装置数が削減される。また、本発明の実施形態は、縫合糸が装置から離脱することなく、異なるタイプのノットを所望の組織位置に効果的かつ効率的に送達することを可能にする装置を提供する。
【0016】
以下、詳細な図面を特に参照するが、強調されるべきことは、図示される具体的詳細は、例として、本発明のいくつかの実施形態を例示的に説明するためのものにすぎないということである。本発明の少なくとも1つの実施形態について詳細に説明するに当たり、理解されるべきことは、本発明は、その適用において、以下の説明で記載または図示される構成要素の構造詳細および配置に限定されないということである。本発明は、他の実施形態、または多様な実施もしくは実現が可能である。また、本明細書で使用される表現および用語は、説明のためのものであって、限定するものとみなされるべきではないということも、理解されるべきである。
【0017】
本発明の一実施形態によれば、
図1Aに示すように、縫合糸に形成されたノットを患者の体内の部位に進めるための、さらにはノットを締め付けるための、ノットプッシャー100Aが開示されている。一部の実施形態では、ノットプッシャー100は、遠隔、または、アクセスが限定もしくは制限されている組織領域内であってよい部位に、ノットを進めることを可能とするものであり、ノットは、縫合糸の両ストランドで終端している。
【0018】
本明細書で使用される場合の「縫合糸の両ストランド」、「縫合糸の両端」、「縫合糸の両リム」という表現およびその変化形は、相互に置き換え可能であり、縫合糸ノットから/の外側に出る/引き出される縫合糸部分、すなわちノットにより拘束されていない縫合糸部分を指す。一般的に、これらの部分は、縫合糸の単一ストランドまたは単一スレッドからの部分である。本文脈では、「縫合糸の端」という表現が使用される場合であっても、縫合糸ストランドの実際の物理的な端ではなく、ノットから出るその縫合糸部分を指すものと理解されるべきである。
【0019】
また、本明細書で使用される場合のストランドという用語は、その中に含まれるフィラメントの数に関わりなく、縫合糸の一部分を指すものと理解されるべきである(すなわち、モノフィラメントおよびマルチフィラメント縫合糸またはその一部分は、ともに縫合糸のストランドと呼ばれる)。
【0020】
以下の説明の一部では、当業者であれば文脈によって理解できるように、縫合糸の「ストランド」とは、ノット構成体のうちのワーキングパート、またはスタンディングパート、またはワーキングパートとスタンディングパートの両方、のいずれかを指し得る。そのような一部の実施形態では、ノットから出る両ストランドまたはリムは、縫合糸のスタンディングパートであると理解され、縫合糸を保持するために用いられるノットを形成する縫合糸部分は、縫合糸のワーキングパートであると理解される。
【0021】
図1Aに示すように、ノットプッシャー100Aは、遠位部20に連結された近位部10を備える。近位部10は、(近位部10の)細長シャフト14を介して遠位部20に連結されたハンドル12を有する。ハンドル12は、ノットを押圧するために遠位部20に伝達される力を、細長シャフト14に沿って作用させるように機能する。具体的な一例では、
図1Bおよび1Cに示すように、シャフト14は、ハンドル12と協働的に係合している。例えば、シャフト14は、ハンドル12の凹部11に受容されて、嵌合している。さらに、シャフト14を、Loctite(登録商標)4011接着剤のような接着剤を用いて凹部11内に固定することができる。
【0022】
遠位部20は、さらに、遠位部20に形成されたネック部(または、単に「ネック」)22を介して細長シャフト14に連結された遠位ヘッド30を有する。具体的な一例では、
図1Bおよび1Cに示すように、シャフト14は、遠位部20の凹部21に受容されてこれと協働的に係合するペグまたは突起16を有する。具体的な一例では、ペグ16は、Loctite(登録商標)4011接着剤のような接着剤を用いて凹部21内に固定されてよい。ノットを所望の組織部位に進めて締めるために、遠位ヘッド30は、遠位部20を進める際においてそのノットにつながっている1つ以上の縫合糸ストランドはもちろんのこと、そのノットとも連携する。他の実施形態では、遠位ヘッド30は、中間ネック部22を用いることなく、シャフト14に直接連結されてよい。一部の例では、ネック部22は、シャフト14の一部であってよい。他の実施形態では、遠位ヘッド30は、シャフト14またはネック部22に取り外し可能に連結されてよい。これにより、遠位ヘッド30を使い捨て部品として形成することが可能となり得る一方、シャフト14およびハンドル12は、再使用可能とすることができ、さらに複数回使用を認めるために滅菌可能とすることができる。さらに別の例では、遠位ヘッド30は、様々なサイズが提供されてよく、さらに、体内の様々に異なる部位で使用するため、または様々なサイズの縫合糸もしくは異なるタイプのノットに対応するために、カスタマイズ可能であってよい。
【0023】
次に
図1Dを参照すると、遠位ヘッド30は、ノットを遠位に押圧するためにノットと直接連携する遠位のノット押圧面38でそれぞれ終端している頂壁32および底壁34(または頂面および底面)(あるいは、上壁32および下壁34または上面および下面と呼ばれることもある)を有する。遠位のノット押圧面38は、遠位ヘッド30の正面図を示す
図1Eで見ることができる。一部の実施形態では、遠位のノット押圧面38は、略平坦な平面である。一部の実施形態では、底壁34は、
図1D〜1Eおよび2に見られるように、ネック22と一体に形成されるとともに、頂壁32から平面的にオフセットしている。すなわち、頂壁32と底壁34は、互いに対してオフセットしているが平行であり得る別々の平面に沿っている。さらに、頂壁32と底壁34は、
図3に示すように、頂壁32と底壁34のそれぞれの内面32’、34’間に延びる2つの横方向に相対するサイド溝40A、40Bを定義している。サイド溝40A、40Bの各々は、ノットから延びるまたは引き出される縫合糸の両ストランドの少なくとも一方を受容、保持、収容、または拘留するように設計されている。一例では、サイド溝40A、40B内への縫合糸の装着を助けるために、頂壁32と底壁34は、面取りされている。一部の実施形態では、これらのサイド溝は、連続しており、すなわち、両側に沿って延びるとともにノット押圧面38に沿って延びる単一の連続溝である。
【0024】
また、
図1Dおよび1Eに示すように、頂壁32と底壁34のそれぞれの一部分は、遠位ヘッド30の長手軸に沿って接合されてよく、長手方向に延びるサイド溝40A、40Bの間に横断方向に位置するとともに長手軸に沿って延びる支持部31’を定義してよい。支持部31’は、遠位ヘッド30の領域または構成要素として定義され、それは、遠位ヘッド30の長手軸に沿って相互に接続または一体化されるように頂壁32と底壁34とを接続する。具体的な一例では、図示のように、遠位ヘッド30は、中央指示部31を有し、それは、遠位ヘッド30の中心軸に沿って接続されるように頂壁32と底壁34とを接続する。サイド溝40A、40Bは、中心支持部31に沿った横断方向には延びていない。従って、サイド溝40A、40Bは、中央支持部31の幅に等しい距離であってよい固定距離で、相互に横方向に離間されている。これにより、ノットが押圧される、および/または進められる際に、サイド溝40A、40Bにそれぞれ配置されるオーバーハンド・ノットの2つの縫合糸ストランドは、強制的に別々に離される。これらの溝40A、40Bが相互に離間されていることによって、2つの縫合糸ストランドは、ノット押圧面38に沿ったオーバーハンド・ノットに対して、かつ相互に、約180°の角度の向きにすることができ、オーバーハンド・ノットの効果的な締め付けおよびロックを可能とする。サイド溝40A、40Bがより大きな距離で相互に離間されているほど、2つの縫合糸ストランド間の角度は180度に近くなる。一部の実施形態では、サイド溝40A、40B間の距離は、サイド溝40A、40Bの幅に関係しており、また、一部の実施形態では、この距離は、ノットプッシャーと共に使用される縫合糸の幅に関係したものであってもよい。具体的な一実施形態では、サイド溝40A、40Bは、使用される縫合糸の直径の約10倍に等しい距離で離間しており、それは、例えば、2つのサイド溝40A、40Bの各々の幅に略等しい距離であってよい。具体的な一例では、2−0縫合糸用のサイド溝間の距離は、約0.110”であってよい。
【0025】
図1Eおよび
図2に示すように、ノットプッシャー100Aは、さらに縫合糸受け要素を含み、これは、例えば、遠位ヘッドの頂壁に付属したもの、すなわち、頂壁の縫合糸受け要素である。頂壁の縫合糸受け要素は、例えば、頂壁から突出し、縫合糸を受容できる間隙または溝を定義する2つの側壁を有する「照準器」型構造体のような、縫合糸リムを受容可能な構成要素であってよい。あるいは、
図1Eおよび
図2に示すように、縫合糸受け要素は、頂壁または頂面32に形成された中間溝40Cを含み、これは、ノット押圧面38の近傍から延びるとともに、頂壁32に沿って長手方向に延びている。中間溝40Cは、頂面32に開口している。より具体的には、一部の実施形態において、中間溝40Cは、上述のような中央支持部31などの支持部31’内に形成されてよい。一部の実施形態では、中間溝40Cは、頂壁32に形成されてよいが、ただし、(その深さは)底壁34の一部におよび得る。中間溝40Cは、これによってノット押圧面38に連通し、ノット押圧面38で終端している。ノット押圧面38を用いてスライディング・ノットを押圧するためにノットプッシャー100Aが進められる際に、中間溝40Cによって、スライディング・ノットから出る縫合糸の両ストランドの一方が、その中に保持され得る。
【0026】
一部の実施形態では、中間溝40Cの少なくとも一部、例えば、部分40Cdのような少なくともその遠位部に沿った部分は、ノットのそれよりも小さい幅を有し、これにより、ノットを押圧するためにノットプッシャー100が遠位に進められる際に、ノットが溝内に滑り込むことが防止される。より具体的には、組織に対してスライディング・ノットを押圧するためにノットプッシャー100Aが進められる際に、中間溝40Cによって、スライディング・ノットの(
図7を参照して説明されるような)ポストが、中間溝40C内に配置または受容され得る。
【0027】
一部の実施形態では、
図1Eおよび2に示すように、中間溝40Cは、中央支持部31に沿って延在することができ、サイド溝40Aと40Bから等距離に位置して、ノットプッシャー100Aの中心軸C−Cに沿って中心溝40C’を形成してよい。中間溝40Cの構成が、スライディング・ノットを進めることを助ける。別の実施形態では、
図1Fに示すように、中間溝40Cは、中央支持部31に沿って横方向に転置されてよく、サイド溝の一方に対して、他方のサイド溝と比較して相対的に近く配置されてよい。すなわち、中間溝40Cは、中心軸C−Cに対して平行かつオフセットしている、遠位ヘッドの長手軸L−Lに沿って延在してよく、オフセット溝40C”を形成してよい。例えば、
図1Fに示すように、オフセット溝40C”は、サイド溝40Bに比較して、よりサイド溝40Aに近く配置されている。より具体的には、オフセット溝40C”は、サイド溝40Aから距離d1に、かつサイド溝40Bから距離d2に配置され、このとき、d1はd2よりも小さい。オフセット溝40C”の本構成によっても、同じくスライディング・ノット82を進めることを助ける。
【0028】
具体的な一例では、中心溝またはチャネル40Cは、スライディング・ノットを進めるまたは押圧することを助けることに加えて、オーバーハンド・ノットを進めて締め付けることを助けるための観察用チャネルとして機能する。すなわち、中間溝40Cによって、縫合糸の両ストランドを同等の張力に維持するようにそれが締め付けられている際の、オーバーハンド・ノットの可視化が可能となる。同等でない張力がノットに加えられている場合、ノットがノットプッシャーの先端で中心位置に維持せず、それがもはやユーザから中間溝40Cを通して見えなくなってよい。そこで、所望の対象組織表面で、オーバーハンド・ノットが正しく配置されて、適切かつ効果的に締め付けられていることを確保するためにそれが押圧されている際に、中間溝40Cによって、ユーザは、オーバーハンド・ノットの可視化を維持することが可能となる。一部の実施形態では、中間溝40Cは、所望の組織表面でスライディング・ノットの上に隣接して配置されていることを確認することを助けるために、オーバーハンド・ノットの可視化を可能とする。一部の実施形態では、オーバーハンド・ノットの可視性をさらに向上するために、
図2に示す部分40Cpのような中間溝40Cの少なくとも近位部分は、縫合糸または縫合糸ノットの幅よりも大きい幅を有する。そのような一部の実施形態では、
図2に示すように、中間溝40Cの幅は、その長さに沿って変化してよい。さらなる実施形態では、スライディング・ノットおよび/またはオーバーハンド・ノットの可視化を促すとともに、溝40A、40B、40Cのいずれかに縫合糸ストランドを配置することを助けるため、遠位ヘッド30は、半透明であってよく、さらに、透明材料を含んでよい。このような透明遠位ヘッド30は、ノットプッシャー100Aの使いやすさを向上させ、また、患者の体内の所望の組織位置にスライディング・ノットおよびオーバーハンド・ノットを進めて留置することを助けてよい。さらに、遠位ヘッド30は、スライディング・ノットおよびオーバーハンド・ノットを進めることを助けるためにストランドを配置することができる位置、および、スライディング・ノットおよびオーバーハンド・ノットの前進を促す順序を示すマークを、その上に含んでもよい。
【0029】
さらに別の実施形態では、
図1Gに示すように、溝40Cは、その溝40Cをその長さに沿って少なくとも部分的に閉じるカバーまたはキャップ41によって覆われ、トンネルまたは有蓋溝41Cを形成してもよい。一部の実施形態では、キャップ41は、溝40Cと一体に形成されてよい。このように、有蓋溝41Cは、中間溝40Cと、中間溝40Cを包むキャップ41と、を含む。有蓋溝41Cは、そこに縫合糸を通して溝内に保持することにより、ノットプッシャー100Aが患者の体内の組織の所望の標的位置にスライディング・ノットを配置するために進められて使用される際における、縫合糸の離脱を防いてよい。その場合、例えば、ノットプッシャー100Aが進められる際に、遠位ヘッド30によってスライディング・ノットに対して力が加えられたときに、有蓋溝41Cは、縫合糸が滑り出ることを防いてよい。
【0030】
さらなる実施形態では、
図1Hに示すように、ノットプッシャー100Aの遠位ヘッド30は、さらに、中間溝40C内に縫合糸を保持するための縫合糸保持機能を含んでよい。例えば、中間溝40Cは、その長さに少なくとも部分的に沿って延在する縫合糸保持要素を含む縫合糸保持機能を含んでよい。具体的な一例では、弾性材43は、中間溝40C内に、例えば中間溝40Cの内側に中間溝40Cの内壁の1つ以上に沿って配置されてよい。図示のような具体例では、弾性材43は、中間溝40Cの内側に中間溝40Cの両内壁に沿って配置され、中間溝40C内に形成されたチャネルを効果的に狭めている。その公称位置または閉位置にある弾性材43は、中間溝40Cの開口または通路を部分的に塞ぎ、これにより、その幅を狭める働きをする。縫合糸が中間溝40Cに挿入されるときに、弾性材は、その公称位置または閉位置から開位置に撓み、これにより、中間溝40C内のチャネルが広がり、縫合糸ストランドが中間溝40C内に受容され得る。その後、弾性材は、中間溝40C内に縫合糸を保持するために、その公称位置または閉位置に戻る。
【0031】
別の実施形態では、中間溝40Cは、縫合糸を保持するために、1つ以上の弾性スナップアームを含んでよく、それらは、サイド溝40A、40Bに関して後述するスナップアームと同様に機能してよい。スナップアームは、中間溝40C内に内向きに延出してよい。スナップアームは、中間溝40C内への縫合糸の進入を最初に阻止するが、中間溝40C内に縫合糸を通すことが可能となる撓み能力を有する。縫合糸が中間溝40C内に配置された後、スナップアームは、使用中にそれが滑り出ることを防止している中間溝40Cのチャネル内において縫合糸を補足している元の位置に戻ってよい。
【0032】
さらに別の実施形態では、中間溝40Cは、可動キャップの形態の縫合糸保持要素または構成部品を含むことができてよい。例えば、前述のように、キャップ41は、可動可能であって、動作可能なようにスライド構成で中間溝40Cと結合され得て、これにより、その開構成において縫合糸を挿入することができ、閉構成において縫合糸を保持または捕捉する。キャップは、例えば、それを溝40Cの上でスライドさせることによって、閉じられてよい。他の実施形態では、縫合糸保持要素は、スライドピンの形態であってよく、これは、その開構成では溝内への縫合糸の自由な進入を許可する一方、その閉構成では縫合糸を保持するために機能する。さらに別の例では、縫合糸保持要素は、ラッチを含む。
【0033】
本発明のさらなる実施形態では、遠位ヘッド30は、底壁に付属する追加の縫合糸受け要素、すなわち底壁の縫合糸受け要素を含んでよい。底壁の縫合糸受け要素は、溝であってよく、具体的には、中間溝40と揃った位置にあるか、または揃った位置にないものであって、底壁34内に形成された反対溝40Dである。反対溝40Dは、
図1Iおよび
図1Jに示すように、ノット押圧面38の近傍から延びるとともに、底壁34の外面に開口している底壁34に沿って長手方向に延在している。一部の実施形態では、反対溝40Dは、上述の中央支持部31のように、底壁または底面32に沿って、支持部31’内に形成されてよい。反対溝40Dによって、スライディング・ノットが遠位のノット押圧面38に対して所定位置に保持され得るので、使用の際に、Dines(ダインズ)ノットのようなスライディング・ノットをロックすることを助ける。すなわち、遠位ヘッドは、一実施形態において中間溝と揃えられ、底壁内に形成された反対溝を含み、これにより、その締め構成においてスライディング・ノットをロックするに先立ち、スライディング・ノットを締め付けることを助ける。追加の反対溝40Dを有する遠位ヘッド30を備えたノットプッシャー100Aの使用方法は、
図7A〜7B、
図1Iおよび
図1Jについて、さらに後述される。
【0034】
さらなる実施形態では、
図1Kに示すように、ノットプッシャー100Aは、さらに、テンショニング補助具または張力維持要素50を含み、これは、例えば、ノットプッシャー100Aのシャフト14の前面または上面に沿って配置される。テンショニング補助具50は、(中心溝40C’内など)中間溝40C内に保持された縫合糸ストランドにおいて張力を維持するように機能する。具体的な一例では、
図1Lに示すように、テンショニング補助具50は、ダブルペグ構成50Aを規定し、これは、シャフト14の前面または上面に取り付けられた2つのペグ51を含む。2つのペグ51は、それらの周りに縫合糸ストランド(これは、本明細書において後述するように、ポスト84を含んでよい)を巻き付けることを可能にしている。より具体的には、縫合糸ストランドは、2つのペグ51によって8の字構成に誘導されて、これにより、縫合糸をノットプッシャー100Aのシャフト14に固定している。他の実施形態では、テンショニング補助具50は、1つ以上のペグを含む構成であってよい。テンショニング補助具50の使用方法については、本明細書において、ノットプッシャー100Aの使用方法のステップを示す
図7A〜7Eを参照して、さらに後述する。
【0035】
別の構成では、
図1Mに示すように、テンショニング補助具50は、シングルペグ構成50Bを含む。ポスト84は、シャフト14に固定されるために、ペグ51に巻き付けられてよい。さらに別の代替構成では、
図1Nに示すように、テンショニング補助具50は、シャフト14に取り付けられた本体53を含むキャッチまたはクリップ50Cを含む。例えば、本体53は、突起部を介してシャフト14と結合されてよい。本体とシャフト14との間に間隙があるように、本体53はシャフト14から離間しており、ポスト84は、この間隙を通って誘導されることが可能である。本体は、さらに、それに形成された少なくとも1つのスリットまたは開口部52を含み、これは、2つのアーム53a、53bを定義しており、これらは、これらの間に縫合糸の両ストランドの一方を保持することで、縫合糸ストランドの一方をシャフトに固定するためのものである。一部の例では、開口部52は、基部方向に尖部54を形成するその基部において狭まっており、その尖部54は、本体53の背後を通過し、それから、その後のポスト84が尖部54でつままれることを可能とする本体53の前面を通過するように開口部52を通過した後、縫合糸ストランドをつまむように機能する。
【0036】
一部の実施形態では、
図4A、4B、4Cに示すように、遠位ヘッド30は、さらに、サイド溝40A、40Bのうちの1つ以上に付属するサイド溝の縫合糸保持要素のような、サイド溝の縫合糸保持機能を含んでよい。一部の実施形態では、サイド溝40A、40Bの縫合糸保持機能は、中間溝40Cに関して本明細書において前述した縫合糸保持機能と同様のものであってよい。具体的な一例では、サイド溝の縫合糸保持要素は、スナップアーム44を含み、これは、例えば、圧力嵌めまたはスナップ嵌め構成によってネック22に結合されている。スナップアーム44は、長手方向に延在するステム46から放射状に延出するスナップ46a、46bを含む。具体的な一例では、さらに
図1Bおよび
図2に示すように、スナップアームのタブ45が、ネック22内の開口部23内に受容されて、これに係合する。図示の実施形態では、スナップ46a、46bはそれぞれ、底壁34の一部を形成する。一部の実施形態では、スナップアーム44は、スナップ46a、46bがその公称位置または閉位置から縫合糸の両端が相対するサイド溝40A、40B内に受容される開位置まで撓むことが可能な弾性体である。その後、スナップ46a、46bは、その公称位置または閉位置に戻ることで、サイド溝40A、40Bのそれぞれに縫合糸の両端を保持する。
【0037】
具体的な一例では、
図4Bおよび4Cに示すように、スナップ46a、46bの各々は、底壁34から頂壁32に向かって突出する突起48a、48bをそれぞれ含み、これにより、それらの壁の間の間隔または間隙49を最小限として、縫合糸がサイド溝40A、40Bから抜け出ることを実質的に防止する。一部の実施形態では、スナップ46a、46bが閉位置にある場合、間隔または間隙49は、サイド溝40A、40B内に縫合糸を保持/拘束するために縫合糸の外径または幅よりも小さく、ノットを押圧する過程で縫合糸が間隙49を通り抜けることを防ぐ。さらに、スナップは、縫合糸ストランドにおいて張力が維持されない場合に、縫合糸ストランドがサイド溝40A、40B内から位置を外れるリスクを軽減する。このことは、処置の最中に縫合糸ストランドがサイド溝40A、40Bから抜け出るリスクを最小限に抑えるのに役立ち、従って、ノットを押圧するためにノットプッシャーを遠位に進める際に、縫合糸ストランドをサイド溝40A、40Bに再挿入する必要性を最小限とするのに役立つ。一部の実施形態では、一対のスナップ46a、46bは、縫合糸ストランドをサイド溝40A、40B内に拘束またはロックするように作用するヒンジ式スナップを含む。サイド溝40A、40Bは、縫合糸を保持するのに十分な深さのものである。一部の実施形態では、サイド溝40A、40B内への縫合糸の装着を助けるために、スナップ46a、46bは、面取りされている。
【0038】
一部の実施形態では、ネック22は、
図4Bおよび4Cに示すように、その上面に沿ってテーパ部24を含み、これは、相対するサイド溝40A、40Bにつながっている。ネック22の上面が底壁34の内面と同一平面となるように、ネック22は、相対するサイド溝40A、40B内に向かってテーパ状になっている。相対するサイド溝40A、40Bの各々は、テーパ部24と連続して形成されているので、縫合糸の両ストランドを、サイド溝40A、40B内に案内/誘導することが可能である。すなわち、テーパ部24は、サイド溝40A、40Bと連続している。これによって、ノットの押圧処置を助けるためのノットプッシャー100A内において、縫合糸ストランドの装着がより容易となってよい。一部の実施形態では、テーパ部24は、平坦な平面25を含む。
【0039】
一部の実施形態では、サイド溝40A、40Bの各々は、湾曲を定義しているか、あるいは、遠位ヘッド30の中心軸から放射状に延びている。湾曲したサイド溝40A、40Bは、遠位のノット押圧面38の近傍からネック22に向かって延びている。一部の実施形態では、
図4Bに示すように、中央支持部31の近傍から延びる頂壁32の部分は、オーバハング33を形成している。サイド溝40A、40Bのそれぞれの一部は、オーバハング33とネック22との間に形成される。オーバハング33は、遠位ヘッド30によって縫合糸を捕えることを助けるためのフックとして機能する。これらのフックを用いることで、ノットプッシャー100A内において縫合糸の装着をより容易とするためのサイド溝40A、40B内に、縫合糸の両ストランドが、容易に案内されてよい。
【0040】
次に
図4Bを参照して、一部の実施形態では、ノットプッシャー100Aは、縫合糸の装着および/またはノットの押圧を助けるための追加機能を含んで良い。そのような一部の実施形態(図示せず)では、ノット押圧面38は、ノットプッシャーの(平面Fに沿った)長手軸に垂直な平面Pに沿って定義されてよい(または延在してよい)。(図示のような)他の実施形態では、ノット押圧面38が平面Pに対して傾斜するように、ノット押圧面38は、テーパを定義している。一部の実施形態では、ノット押圧面38の平面P’は、(平面Fで規定される頂面32に対して)約90度未満の角度θである(または、別の表現によると、平面P’は、ノットプッシャー100の長手軸から約90度超の角度[180−θ]に向いている)。具体的な一例では、ノット押圧面38と頂面32との間の角度θは、約89度である。ノット押圧面38の傾斜は、ノットを中間溝40C(
図2を参照)の開口から離して保持するのに役立つ。ノットを押圧して締める際に、ノットを中間溝40Cの開口から離れる方向に(下向きに)誘導するために長手方向の力成分が作用するように、ノットプッシャーの遠位のノット押圧面38は垂線から角度をなしている。傾斜したノット押圧面38は、患者に傷害を与えることを防止するため、またはノットをノットプッシャー100Aに再係合させる必要性を回避するために、スライディング・ノットのようなノットがノットプッシャー100Aから離脱することを防ぐ助けとなってよい。
【0041】
図1Aに示すように、ノットプッシャーは、長さlを有してよい。一部の実施形態では、長さlは、約3.00”(インチ)〜約20.00”の間の値に等しくてよい。具体的な一例では、ノットプッシャー100Aは、約11.09”に等しい長さlを有する。前述のように、ノットプッシャー100Aは、近位部10のシャフト14に連結された遠位部20を含む。
図1Dに示すように、遠位部20は、長さYを有してよい。一部の実施形態では、遠位部20の長さYは、約0.10”超の値に等しくてよい。このような一例では、遠位部20は、ハンドル12の先の遠位に延出する本装置の重要な部分または主要部分を形成してよい。具体的な一例では、
図1Dに示すように、遠位部20は、約1.00”に等しい長さYを有する。また、シャフト14と遠位部20は、約2.00”〜約19.00”の、例えば約7.35”の、合わせた長さSを有してよい。さらに、シャフト14は、約0.10”〜約1.00”の間の、より具体的には約0.10”〜約0.50”の、幅S
wを有してよい。具体的な一例では、シャフト14は、約0.20”の幅S
wを有してよい。
【0042】
前述のように、シャフト14は、遠位部20に連結されており、遠位部20は、さらに遠位ヘッド30を含む。
図1Eに示すように、遠位ヘッドの幅は、Uで定義される。一部の実施形態では、遠位ヘッド30は、約0.10”〜約1.00”の間の、より具体的には約0.10”〜約0.50”の間の、幅Uを有してよい。具体的な一例では、遠位ヘッド30は、約0.33”に等しい幅Uを有する。
【0043】
一部の実施形態では、サイド溝40A、40Bの長さは、頂壁32および底壁34の長さに略等しくてよい。具体的な一例では、
図1Dに示すように、頂壁32と底壁34は、約0.33”と0.32”にそれぞれ等しい長さZ、Wを有する。また、2つの相対するサイド溝は、約0.33”に等しい長さで、遠位のノット押圧面38から延びている。一部の実施形態では、遠位ヘッド30およびサイド溝40A、40Bの各々の長さは、約0.10”〜約1.00”の範囲、より具体的には約0.10”〜約0.50”の範囲であってよい。他の実施形態では、遠位ヘッド30の長さは、約1.00”超であってよい。
【0044】
前述のように、サイド溝40A、40B間の距離は、中央支持部31の幅で規定されてよい。具体的ないくつかの実施形態では、サイド溝間の距離は、使用される縫合糸の幅/直径(これらの用語は本明細書では区別なく使用される)の約3倍以上の値であってよい。具体的な一例では、使用される縫合糸の幅が約0.004”である場合に、サイド溝40A、40B間の間隔、すなわち中央支持部31の幅は、約0.012”である。このように、サイド溝間の間隔は、使用される縫合糸のサイズに対応(すなわち、比例)してよい。一部の実施形態では、サイド溝間の間隔は、「サイズ5」までの縫合糸に対応してよく、つまり、これらの実施形態では、サイド溝間の間隔は、本装置で使用されると想定される縫合糸に応じて、最大で「サイズ5」の縫合糸の幅の約3倍であってよい。他の実施形態では、サイド溝40A、40Bは、縫合糸の幅の約5倍〜縫合糸の幅の約70倍の距離で、離間されてよい。具体的な一実施形態では、サイド溝40A、40Bは、使用される縫合糸の幅の約10倍の距離で、離間される。例えば2−0縫合糸と共に使用され得る
図1Eに示すような装置の1つでは、中央支持部31の幅X、すなわちサイド溝40A、40B間の距離は、約0.11”に等しく、これは、2−0縫合糸の幅の約10倍に等しい。
【0045】
一部の実施形態では、サイド溝40A、40B間の距離は、使用される縫合糸の幅に比例するのではなく、サイド溝40A、40Bの各々の実際の幅に相関してよい。再び
図1Eを参照して、サイド溝40A、40B間の距離(すなわち、中央支持部31の幅X)は、遠位ヘッド30の幅Uからサイド溝40A、40Bの幅を減算したものに略同等である。これの具体的な一例では、中央支持部31の幅は、約0.11”であり、これは、2つのサイド溝40A、40Bの各々の幅に等しい。一部の実施形態では、サイド溝間の距離は、サイド溝40A、40Bの幅の約5倍〜約70倍の間に相当してよい。そのような一部の実施形態では、サイド溝の各々の幅は、使用される縫合糸の幅に等しい。
【0046】
次に
図1Dを参照して、遠位ヘッド30の中央支持部31は、遠位ヘッド30の全長Wよりも短い長さVを規定しており、その結果として、オーバハング33が形成され得る。より具体的には、サイド溝40A、40Bの各々の近位部分は、中央支持部31の近傍から延出する頂壁32の近位部分により形成されるオーバハング33によって定義されてよい。オーバハングは、遠位ヘッド30の長さWから支持部31の長さVを減算したものに略等しい長さを有してよい。具体的な一例では、中央支持部31は、約0.250”の長さVを有し、オーバハング33はそれぞれ、約0.076”の対応する長さを有しており、すなわち、サイド溝40A、40Bの各々の近位部分は、約0.076”の長さを有している。
【0047】
再び
図2を参照して、遠位部分40Cdのような中間溝40Cの少なくとも一部分は、使用される縫合糸の幅に略等しい幅を有してよい。より具体的には、中間溝40Cの遠位部分40Cdは、そこに縫合糸を通して配置するのに十分な大きさの幅であるように、寸法設定されている。一部の実施形態では、遠位部分40Cdは、縫合糸幅の約1倍〜縫合糸幅の約3倍の間である幅を有してよい。中間溝の幅を制限することは、遠位のノット押圧面38に配置されたノットが中間溝40C内に引き込まれることを防ぐ助けとなり得る。一部の実施形態では、中間溝の遠位部分40Cdの幅は、約0.012”〜約0.042”の範囲であってよい。具体的な一例では、
図1Eに示すように、中間溝40Cの遠位部分は、0.011”幅の縫合糸で使用する場合に、約0.025”の幅X’を有する。別の例では、約0.004”の縫合糸幅を有する縫合糸で使用する場合に、中間溝の遠位部分40Cdは、約0.012”の幅を有する。
【0048】
一部の実施形態では、中間溝40Cの近位部分40Cpの幅は、遠位部分40Cdの幅と略同等である。別の実施形態では、近位部分40Cpに沿った中心溝40Cの幅は、遠位部分40Cdに沿った幅よりも大きい。そのような一部の実施形態では、近位部分40Cpの幅は、サイド溝40A、40B間の総距離よりも僅かに小さい。
【0049】
一部の実施形態では、処置中に遠位ヘッド30への可視化および見通しを向上するために、例えば
図1Aに示すように、ノットプッシャーの遠位ヘッド30を、ハンドル12からオフセットされてよい。要するに、遠位ヘッドの長手軸は、ハンドルの長手軸と一致せず/そこからオフセットしており、すなわち、(図示のように、ハンドルと遠位ヘッドにより規定されるそれぞれの平面は相互に平行であってよいが)遠位ヘッドは、ハンドルに対して、位置がずれているか、または平面的にオフセットされてよい。これは、医師の手によって遠位ヘッド30が視界から遮られることを防ぐ助けとなる。一部の実施形態では、遠位ヘッド30は、ハンドル12から、約1.0”〜約4.0”でオフセットされてよい。遠位部20がハンドル12から横方向にオフセットした実施形態の具体的な一例では、頂壁32の上面は、ハンドル12の底面から、約1.74”でオフセットされている。さらに別の実施形態では、ハンドル12は、遠位ヘッド30からオフセットされなくてもよく、遠位ヘッド30と同軸状に整列されてよい。
【0050】
一部の実施形態では、ハンドル12は、約0.5”〜約1.0”の範囲の幅と、約1.0”〜約5.0”の長さを有してよい。具体的な一例では、ハンドル12は、約0.56”の幅h
Wと、約3.74”の長さを有する。別の例では、ハンドル12は、エルゴノミックなペン型グリップを規定するように、サイズ設定、構成、および形状が設定されてよい。従って、本発明の一部の実施形態によれば、ハンドルは、快適かつ容易にハンドルを握ることを可能とするエルゴノミックな形状を有する。一部の実施形態では、ハンドル12のいくつかの部分は、ノットプッシャーを把持/保持および操作するのに適した材料で、コーティング/被覆/オーバーレイされてよい。例えば、ハンドル12は、エルゴノミックなサイドグリップを、ハンドルの側面の1つ以上に含んでよく、そのサイドグリップは、Santoprene(登録商標)などの熱可塑性エラストマを含むものである。別の実施形態では、他の材料を使用することができる。前述の寸法は、特に、椎間板線維輪の欠損の閉鎖のため、ならびに他の同様の用途に使用されるノットプッシャーに、よく適合することが分かっている。
【0051】
別の実施形態では、
図5A〜5Bに示すように、ノットプッシャー100Bは、シャフト14またはネック22の上面に結合し得るスナップアーム44’を含む。スナップ46a’、46b’は、ノットプッシャー100Bの頂面32の一部を形成する。スナップ46a’、46b’は、スナップ46a、46bと同様に、張力が解除されたときに縫合糸がノットプッシャーの遠位ヘッド30から離脱することを防ぐため、縫合糸をサイド溝40A、40B内に保持するように機能する。スナップ46a’、46b’は、下向きに延出する突起48a’、48b’を含み、これらは、本例では底壁34を含む対向する壁に向かって延出して、それにより、縫合糸はその間に保持される。
図5A〜5Bに示す実施形態では、さらに、スライディング・ノットを進めることを可能とするために、中間溝40C(図示せず)を含んで良い。
【0052】
さらに別の実施形態では、
図6A〜6Cに示すように、中心の観察用チャネルを有するノットプッシャーが開示される。ノットプッシャー100Cは、ハンドル12とシャフト14とを含む近位部10を含む。ノットプッシャー100Cは、さらに、ネック22と遠位ヘッド30とを含む遠位部20を含み、遠位ヘッドは、頂壁32と底壁34(34は図面に示されていないが、ノットプッシャー100Cの底面/下面にある)との間にサイド溝40A、40Bを定義している。遠位ヘッドは、遠位ヘッド30の頂面32を長手方向に貫通して延在する中心チャネルまたは溝40C’を定義している。中間溝またはチャネル40C’は、遠位ヘッド30の近位部分からノット押圧面38まで貫通して延在する。中間溝40C’は、オーバーハンド・ノットの締め付けを助けるためにオーバーハンド・ノットを見えるようにする、観察用チャネルの役割を果たす。
【0053】
図6Aを参照すると、オフセットシャフトの別の実施形態を示している。この具体的な実施形態では、シャフトは、ハンドル12に対して非平行な長手軸を規定するように、湾曲している。
【0054】
前述のように、一部の医療用途では、組織を近接させるとともに、組織領域に通した縫合糸を固定するために、1つ以上のノットを施すことが望ましい。(a)組織の近接を助けるため、および(b)欠損の周辺に縫合糸を固定するために、例えば、欠損のある組織領域に通した縫合糸に1つ以上のノットが施されてよい。そのような一部の応用例では、スライディング・ノットとオーバーハンド・ノットの両方を使用する必要があり、これらのノットは、組織部位へと進めるための機序、ならびに組織部位において締め付けるための機序が異なる。治療される組織部位が遠隔であるか、または他の理由で組織部位へのアクセスが制限される応用例では、ノット(複数の場合もある)を進めるため、および/または締め付けるために、ノットプッシャーを使用することが望ましい場合がある。そこで、縫合される組織へのアクセスが制限されるとともに、処置を完了するために両タイプのノットが求められる/必要とされるような応用例では、ユーザが両方の形態のノットを進めて締め付けるために同じ装置を使用できると、有益であろう。
【0055】
そのような一部の応用例では、組織領域内の欠損を治療するために、スライディング・ノットを組織部位へと進める一方で、そのスライディング・ノットを所定位置に固定するために、引き続き1つ以上のハーフヒッチまたは他のタイプのオーバーハンド・ノットが施されてよい。これらの追加ノットは、処置に伴って、スライディング・ノットが緩んだり解けたりしないことを確実とするのに役立つ。
【0056】
そのような処置の一実施形態により、処置の過程でスライディング・ノットとオーバーハンド・ノットの両方を進める/押圧するために、本明細書において上述したようなノットプッシャーを使用する方法について開示する。本実施形態の具体的な一例では、組織部位は、例えば椎間板線維輪の欠損を示す組織領域を含んでよい。このような一例では、椎間板へのアクセスは、例えば椎弓板を通して挿入される手術用ポートを介して提供されてよく、これにより、縫合糸を罹患椎間板組織に通すことが可能となる。
【0057】
例えば、2012年2月10日に出願された、その全体が参照により本明細書に組み込まれる米国仮特許出願第61/597,449号に開示されているように、欠損の周辺に縫合糸ループを通すことに続いて、縫合糸を固定するために、スライディング・ノットが留置されてよい。欠損において組織を近接させることを可能とするため、さらにはスライディング・ノットを締め付けてロックするために、ポートを介して縫合糸に沿ってスライディング・ノットを進めるにあたり、ノットプッシャーが用いられる。スライディング・ノットを椎間板表面に固定するために、1つ以上の追加のハーフヒッチまたは他のオーバーハンド・ノットが、スライディング・ノットの上に施される。
【0058】
スライディング・ノットは、縫合糸が椎間板に通された後に形成されてもよく、または、後に留置される、予め形成もしくは予め結節されたノットであってもよい。
図7A〜7Bに示すように、スライディング・ノット82は、縫合糸の両ストランドで終端しており、その一方のストランドは、ポスト84と定義され、第2の縫合糸ストランドは、ロッカ86と定義され、これらの用語は当業者には周知である。
【0059】
以下の解説では、
図7A〜7Eを参照する。本発明の方法の具体的な一例では、スライディング・ノット82は、Dinesノット83を含む。
図7Aに示すように、ポスト84は、具体的には中心溝40C’である中間溝40C内に配置され、このとき、スライディング・ノット82は、遠位のノット押圧面38に当接して配置される。次に、例えば、遠位ヘッド30がスラインディング・ノット82を直接押圧することにより、スライディング・ノット82を押圧するまたは進めることができるポートを介して、ノットプッシャーまたは装置100Aは、組織部位に向けて進められる。ノットプッシャー100Aが進められる際、ポスト84において張力が維持される。遠位のノット押圧面38によってスライディング・ノット82に対して長手方向の力が付与されることで、
図7Bに示すように、それは、欠損95を有する組織表面70に配置されるまで、ポスト84に沿って(例えばポートを介して)遠位にスライドし、ここでの組織は、例えば、椎間板の線維輪であってよい。組織を近接させるためにスライディング・ノット82が進められる際、近位に「引く」力がポスト84に加えられ、それを張った状態に維持する。
【0060】
また、例えば
図4Bに示すように、ノット押圧面38が傾斜している実施形態では、傾斜によって、長手方向の力成分が、スライディング・ノット82を、中心溝40C’の開口から離れる方向に誘導し得る。これにより、スライディング・ノット82の締め付けをさらに助けるためにノットプッシャー100Aが進められる際、スライディング・ノット82は、ノット押圧面38と係合された状態となり得る。
【0061】
具体的な一実施形態では、スライディング・ノット82がDinesノット83である場合に、欠損を近接させるために、ノットプッシャー100Aを用いて、連続した張力が加えられる。他の実施形態では、ノットプッシャー100Aは、組織表面でスライディング・ノット82に押し当てられ、解放されてよい。これは(すなわち、押しては引っ込める動作は)、スライディング・ノット82をさらに締め付けるために、複数回、繰り返されてよい。そのような実施形態では、スライディング・ノットが完全に締め付けられるまで、ノットプッシャー100Aは、4回、押し当てられ、解放されてよい。この段階で、欠損95における組織の近接が十分であるかどうかが判断される。組織の近接が十分ではないと認められる場合には、ノットプッシャー100Aを押し当て、解放するステップが、さらに繰り返されてよい。
【0062】
組織が所望の程度まで近接されたら、Dinesノットのその位置をロックするためにロッカ86が引っ張られている間、すなわち、本具体例ではDinesノット83を含むスライディング・ノット82が再構成されるまでロッカ86が引っ張られている間、ポスト84に沿って張力が維持される。これにより、Dinesノット83をロックする。一部の実施形態では、Dinesノット83の完全なロックを確保するために、ロッカ86は、複数回、引っ張られ、解放されてよい。具体的な一例では、ロッカ86は、4回、引っ張られ、解放されてよい。その後、ポートを介して、ノットプッシャー100Aは、引き抜かれてよい
【0063】
具体的な一例では、
図1Jに示すように、遠位ヘッド30は、中間溝40Cならびに反対溝40Dを含む。そのような一実施形態では、中間溝は、中心溝40C’を含む。本発明の方法によれば、縫合糸のポスト84は、中心溝40C内に配置または受容され、引っ張られることで、
図7Aおよび7Bを参照した上記解説と同様に、Dinesノット83のようなスライディング・ノット82を、遠位のノット押圧面38に当接させて所定位置に保持する。次に、ロッカは、遠位ヘッド30の下で底壁34に沿って引っ張られることで、反対溝40内に配置または受容され、その中に保持される。ポスト84とロッカ86がこの向きに保持されている場合、ポスト84が、Dinesノット83に付与される張力を最適化する十分な力で引っ張られ得る。これにより、Dinesノットが、組織の効果的な近接が確保されるために十分に締め付けられ得る。ロッカが引っ張られ、締め付け構成でDinesノット83をロックするまでは、Dinesノット83に対する力が維持されるように、ポスト84は、張った状態かつ張力が加えられた状態に維持される。従って、Dinesノット83のような「スライディング/ロッキング・ノット」の締め付けおよびロックを最適化するために、反対溝40Dによって、スライディング・ノット82が、遠位のノット押圧面38に対して所定位置に保持され得る。
【0064】
一部の実施形態では、Dinesノット83のようなスライディング・ノット82の締め付けおよびロックを助けるために、
図1K〜1Nに示すように、ノットプッシャー100Aは、さらに、前述のようなテンショニング補助具50を含んでよい。テンショニング補助具50は、使用中に、ポスト84における張力を維持する。後に、ノットプッシャー100Aは、スライディング・ノット82を配置すべき対象部位の組織内に進められる。Dinesノット83がロックされ得るまで組織が所望の程度に近接されたことを確保するために、ポスト84は、引っ張られてDinesノット83を締め付ける。その後、ポスト84は、テンショニング補助具50によって保持され得る。例えば、ポスト84は、テンショニング補助具50に巻き付けられる、または、それに保持されてテンショニング補助具50のスロットに捕捉される。例えば、
図1Kに示すように、ダブルポスト構成50Aの周りに、ポスト84は8の字に巻き付けられる。このように、テンショニング補助具50は、スライディング・ノット82を締め付けるためにポスト84が引っ張られた後に、ポスト84における張力を維持するように機能し、これにより、手術者は、ポスト84を一部または完全に放すことが可能となる。ポスト84を放すことによって、手術者は、ノットプッシャー100Aのハンドルを片方の手で、スライディング・ノット82がその所望の締まり具合になったら引っ張られるべきロッカ86をもう片方の空いた手で、保持することができる。従って、ポスト84が引っ張られつつ、同時にロッカ86が引っ張られ得る。また、テンショニング補助具50によって、例えば、ノットプッシャー100Aを使用している医師の片手を空けることができ、医師は、処置中に他の器具を使用することが可能となる。
【0065】
要約すると、本発明の方法のいくつかの実施形態により、スライディング・ノット82を所望の程度まで締め付けて、欠損において組織を近接させて締まり構成にすべく、ポスト84のような縫合糸の両ストランドのうちの一方に張力を加えるステップを含む方法を提供する。これは、例えば、前述のような反対溝40Dを設けることによって、補助されてよい。その後、その締まり構成においてそのスライディング・ノット82を維持するために、ポスト84において張力が維持されてよい。これは、例えば、ポスト84のような縫合糸ストランドをノットプッシャー100Aのシャフト14に固定するためのテンショニング補助具50を設けることによって、補助されてよい。次に、その締まり構成においてスライディング・ノット82をロックするために、縫合糸の両ストランドのうちの他方に、同時に張力が加えられ得る。
【0066】
スライディング・ノットをロックすることに続いて、医師は、スライディング・ノット82を所定位置にさらに固定するために、1つ以上の追加のノットを留置してよい。具体的な一実施形態では、1つ以上のハーフヒッチまたは他のオーバーハンド・ノット90が、形成および/または留置されてよい。そして、これらは、ノットプッシャー100Aを用いて、欠損95を有する組織部位に向けて進められてよい。具体的な一例では、ハーフヒッチまたはオーバーハンド・ノット90は、ポスト84とロッカ86を用いて形成される。ノットプッシャー100Aを、オーバーハンド・ノット90の背後に直接配置される。
図7Cに示すように、ノットプッシャー100Aは、ロッカ86が、テーパ部24に対して当接しているネック22の上面に対して載置されるように、縫合糸の両ストランドの一方に、最初に配置される。相対するサイド溝40A、40Bの各々は、テーパ部24に連続して形成されているので、縫合糸の両ストランドのそれぞれは、それらのサイド溝40A、40Bに案内/誘導され得る。
【0067】
図7Cに示すように、テーパ部24の平坦な平面25によって、ロッカ86は、サイド溝40B内に誘導されて、頂壁32と底壁34との間に載置される。次に、ノットプッシャー100Aは、例えば時計回りに回転し、
図7Dに示すように、ポスト84のような第2の縫合糸ストランドを反対側のサイド溝40A内に配置してよい。テーパ部24の平坦な平面25は、同様に、サイド溝40A内へのポスト84の配置を補助する。このように、テーパ部24は、ノットを押圧する処置を支援するためのノットプッシャー100Aへの縫合糸ストランドの装着を助ける。さらに、頂壁32および底壁34の面取り部も、2つの縫合糸ストランド(ポスト84、ロッカ86)を2つのサイド溝40A、40B内に案内するのに役立つ。頂壁32のオーバハング33のような追加機能によって、縫合糸80の両ストランドのそれぞれを、サイド溝40A、40B内に捕捉/固定することが可能である。オーバハング33によって、医師は、縫合糸80をサイド溝40A、40B内に引っ掛けて、ノットプッシャー100Aに係合させることが可能となる。このように、サイド溝40A、40B内への2つの縫合糸ストランドの案内を補助するのに先立って、オーバハング33は、2つの縫合糸ストランドを係合/捕捉する。これにより、ノットプッシャー100Aが横方向に動かされる際に、縫合糸ストランド(ポスト84、ロッカ86)が抜け出ることを防止する。
【0068】
一部の実施形態では、サイド溝40A、40Bは、縫合糸において張力が維持される場合に、ポスト84およびロッカ86のような縫合糸ストランドを保持するのに十分な深さを有する。加えて、一部の実施形態では、2つの縫合糸ストランドを独立に保持するために、受動的保持機構が設けられてよい。そのような一部の実施形態では、例えば、ポスト84およびロッカ86のような縫合糸ストランドが、サイド溝40A、40Bの各々に案内される際に(
図2、4B〜4Cに示す)、スナップ46a、46bのような一対のスナップを通り抜ける場合、これらのスナップは、縫合糸ストランドをサイド溝40A、40B内に保持するように機能する。さらに、スナップ46a、46bの面取りも、縫合糸80をサイド溝40A、40B内に案内する助けとなってよい。
【0069】
スナップ46a、46bは、縫合糸において張力が維持されない場合であっても、縫合糸をサイド溝40A、40B内に拘束するのに役立つ。従って、スナップ46a、46bは、例えば、患者が動くとき、または別の器具の操作のために縫合糸ストランドから張力が解放されたときに、縫合糸ストランドがノットプッシャーから離脱することを防ぐ助けとなってよく、これにより、縫合糸80をノットプッシャーに再装着する必要性を排除または低減してよい。このように、スナップ46a、46bは、ノットを押圧する処置に要する時間を短縮する助けとなってよい。
【0070】
一部の実施形態では、縫合糸のストランドまたはリムは、患者の体外で、ノットプッシャー100Aに装着されてよい。
図7Dに示すように、オーバーハンド・ノット90から出る/引き出される/延びる縫合糸ストランドのそれぞれがサイド溝40A、40Bの各々に配置された後に、ノットプッシャー100Aは、オーバーハンド・ノット90の直ぐ背後に置かれる。そして、ノットプッシャーと、それに結合された縫合糸ストランドは一緒に、患者の体内で対象組織表面へと進められてよい。その後、ノットプッシャー100Aは、オーバーハンド・ノット90をスライディング・ノット82に向かって押すように進められる。例えば
図7Eに示すように、ノットプッシャー100Aがさらに進められと、ノットプッシャー100Aは、(Dinesノット83のような)スライディング・ノット82の上でオーバーハンド・ノット90を締め上げるように機能する。
【0071】
ハーフヒッチまたはオーバーハンド・ノット90は、スライディング・ノット82を固定するために、サイド溝40A、40Bの間の中心に配置される。中心溝40C’によって、それが進められる際にオーバーハンド・ノット90の観察ができ、オーバーハンド・ノットの中心配置を確保することができるので、それにより、スライディング・ノット82上のオーバーハンド・ノットを案内する縫合糸の両ストランドにおいて同等の張力が維持される。さらには、ノットプッシャー100Aが進められる際に、2つの縫合糸ストランドであるポスト84とロッカ86において安定した張力が維持される。ハーフヒッチまたはオーバーハンド・ノット90を締め付けるために、ノットプッシャー100Aは、複数回、押し付けられ、引っ込められ/解放されてよい。具体的な一例では、ハーフヒッチまたはオーバーハンド・ノット90を締め付けるために、ノットプッシャー100Aは、4回、押し付けられ、解放されてよい。一部の実施形態では、組織70内の欠損95においてスライディング・ノット82を固定するため、4つのハーフヒッチまたはオーバーハンド・ノット90が、スライディング・ノット82に向かって進められて、締め付けられてよい。4つのハーフヒッチまたはオーバーハンド・ノットを進めて締めることにより、以下の例でさらに説明するように、荷重条件下でノットがずれたり緩んだりすることを防止するという、さらなる効果が得られる。
【0072】
オーバーハンド・ノット90を押圧する機序について、さらに
図8を参照して解説する。ユーザによって、長手方向の力がノットプッシャー100Aに対して遠位方向に加えられる。これは、縫合糸ストランド(ポスト84およびロッカ86)に対して遠位ヘッド30によって作用する下向きの力(F
down)に変換される。ノットプッシャー100Aの一部、例えばサイド溝の湾曲部またはテーパ部(C1,C2)は、ノットプッシャーの遠位面における縫合糸ストランドに略垂直な印加力(F
down)の成分を、ノットプッシャーの遠位面に略平行な縫合糸80部分に対して作用する水平方向の力成分または締付け力(F
tight1およびF
tight2)に変換するように機能する。
【0073】
より具体的には、下向きの力(F
down)は、遠位ヘッド30によって、縫合糸ストランドに対して作用する印加力(F
a1,F
a2)となる。ノットプッシャー100Aは、この印加力(F
a1,F
a2)の成分を、縫合糸80に対して作用する水平力成分(F
tight1およびF
tight2)に変換するように機能する。さらに、ノットプッシャー100Aは、印加力(F
a1,F
a2)の成分を、縫合糸ストランドに対して遠位方向に作用する垂直力成分または下向きの力(F
a1’,F
a2’)に変換する。縫合糸ストランドはユーザにより保持されているので、縫合糸ストランドに対して抵抗力(F
up1,F
up2)が作用し、これは、印加力(F
a1,F
a2)の垂直力成分(F
a1’,F
a2’)と反対に作用する。このように、印加力(F
a1,F
a2)の垂直成分(F
a1’,F
a2’)は、抵抗力(F
up1,F
up2)と釣り合う一方、印加力(F
a1,F
a2)の平行力成分または水平力成分(F
tight1およびF
tight2)は、オーバーハンド・ノット90から延出する縫合糸ストランドに対して、オーバーハンド・ノット90を締めるように、両反対方向に作用し続ける。すなわち、水平力成分(F
tight1およびF
tight2)のカウンタバランスによって、オーバーハンド・ノット90の締め付けが可能となる。より具体的には、オーバーハンド・ノット90を、これが当接する組織表面に対して締め付けるため、平行力成分(F
tight1およびF
tight2)は、縫合糸ストランドを約180度で広げるように作用する。
【0074】
さらに、オーバーハンド・ノット90を締め付けるためにノットプッシャー100Aが進められる際には、例えば
図7Eに示すように、対象表面に向かって押圧されて締め付けられるときのオーバーハンド・ノット90を観察するための中心の観察用チャネルとして、中間溝40Cが利用される。本明細書において上述したように、この視覚フィードバックによって、対象表面上にオーバーハンド・ノット90を適切に位置決めして締め付けるために縫合糸の両ストランドにおいて同等の張力を維持できることで、オーバーハンド・ノット90の中心配置が可能となる。
【実施例1】
【0075】
ブタの脊椎分節を用いて、以下の試験を実施した。頸椎椎間板に欠損を作成し、本明細書で上述したようなDinesノットで閉じ、様々に異なる数のハーフヒッチ・オーバーハンド・ノットでバックアップした。2つのハーフヒッチ、3つのハーフヒッチ、4つのハーフヒッチを進めてから、1500Nの圧縮荷重で屈曲/伸展の4000サイクルの後に、ノットずれの程度または度合いを観測した。各々のノット構成体について、5つのサンプルを観測した。2つのハーフヒッチの場合に観測された平均ノットずれは、約8.8mmであったが、一方、3つのハーフヒッチの場合に観測された平均ノットずれは、約2.8mmであった。ところが、4つのハーフヒッチの場合は、本発明者らが驚いたことに、ノットずれがないことが観測された。この驚くべき予想外の結果は、増加させた荷重条件下で、再現された。4つのハーフヒッチのノット構成体の場合、1500Nの圧縮荷重で屈曲/伸展の85000サイクルの後に、ノットずれが観測された。平均のずれは、約0.8mmに等しかった。結論として、本発明者らが驚いたことに、増加させた荷重条件下であっても、4つのハーフヒッチのノット構成体によって、通常の荷重条件下でのノットずれは略防止されることが観測された。
【実施例2】
【0076】
別の例では、2つ、3つ、または4つのハーフヒッチでバックアップされたDinesノットの形態のスライディング・ノットを含むノット構成体について、ずれまたは破壊が生じる場合の力値を特定した。(構成体の破壊またはノットずれを生じさせるのに要する力と定義される)ノット強度は、2つのハーフヒッチの場合は47ニュートン、3つのハーフヒッチの場合は75ニュートン、4つのハーフヒッチの場合は105ニュートンであると特定された。2つのハーフヒッチのノットについて観測された不全モードは、ずれであったが、一方、4つのハーフヒッチについて観測された不全モードは、主に破壊であった。これは、4つのハーフヒッチのノット構成体は、ずれが生じる傾向がないことをさらに示す、驚くべき予想外の結果であった。4つのハーフヒッチの破壊は、椎間板のような身体内の組織領域で縫合糸が留置される部位において一般に見られる力を超えた力の条件下で発生した。これにより、4つのハーフヒッチのノット構成体は、ずれが略生じないことが、さらに確認された。
【0077】
このように、ノットプッシャー、およびその使用方法について、本明細書において上述したような種々の実施形態が開示される。これらの実施形態により、スライディング・ノットならびにオーバーハンド・ノットを含む複数タイプのノットを押圧するまたは進めるように機能するノットプッシャーが提供される。そのような一部の実施形態では、ノットプッシャーによりスライディング・ノットを押圧することを可能とするように、スライディング・ノットを形成する縫合糸の両ストランドのうちの一方を保持するために、ノット押圧面の近傍から遠位ヘッドに沿って延びる中間溝を含む。ノットプッシャーの実施形態は、典型的には、さらに、ノットプッシャーによりオーバーハンド・ノットを押圧することも同様に可能とするように、オーバーハンド・ノットを形成する縫合糸の両ストランドを保持および案内するための、相対するサイド溝を有する。
【0078】
本発明の上記実施形態は、単に例示するためのものにすぎない。よって、本発明の範囲は、添付の請求項の範囲によってのみ限定されるものとする。
【0079】
また、認識されるべきことは、明確にするために別々の実施形態の文脈で記載された本発明のいくつかの特徴を、ある1つの実施形態で組み合わせて提供することもできるということである。逆に、簡潔にするために1つの実施形態の文脈で記載された本発明のいくつかの特徴を、別々に、またはいずれかの適切なサブコンビネーションで提供することもできる。
【0080】
本発明について、その具体的な実施形態と関連させて説明したが、数多くの代替案、変更、および変形が当業者に明らかであろうことは言うまでもない。よって、添付の請求項の広義の範囲から逸脱しない、かかる代替案、変更、および変形は、すべて包含するものとする。本明細書に記載されたすべての刊行物、特許、および特許出願は、個々の刊行物、特許、または特許出願が具体的かつ個別に提示されて参照により本明細書に組み込まれるのと同じように、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。また、本出願における如何なる参照文献の引用もしくは明示も、かかる参照文献を本発明の先行技術とされることを認めるものと解釈されてはならない。