(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
該少なくとも1つの表面反応性白色無機物質の表面反応性白色無機物質含有粒子が、ISO 2469に従い測定した少なくとも70%の輝度R457を有する無機粒子である、請求項1に記載のポリマー組成物。
リン酸エステル混合物中の1つ以上のリン酸モノエステルおよびその塩反応生成物対1つ以上のリン酸ジエステルおよびその塩反応生成物のモル比は、1:1.1から1:80である、請求項1から3のいずれか一項に記載のポリマー組成物。
リン酸エステル混合物が、1つ以上のリン酸トリエステル、並びに/またはリン酸およびその塩反応生成物をさらに含む、請求項1から4のいずれか一項に記載のポリマー組成物。
i)1つ以上のリン酸モノエステルが、アルコール置換基中、C6からC30の炭素原子の総量を有する、不飽和または飽和の、分枝状または直鎖状の、脂肪族または芳香族アルコールから選択された1つのアルコール分子でモノエステル化されたo−リン酸分子からなり、および/または
ii)1つ以上のリン酸ジエステルが、アルコール置換基中、C6からC30の炭素原子の総量を有する、同一または異なる、不飽和または飽和の、分枝状または直鎖状の、脂肪族または芳香族脂肪アルコールから選択された2つのアルコール分子でジエステル化されたo−リン酸分子からなり、および/または
iii)1つ以上のリン酸トリエステルが、アルコール置換基中、C6からC30の炭素原子の総量を有する、同一または異なる、不飽和または飽和の、分枝状または直鎖状の、脂肪族または芳香族脂肪アルコールから選択された3つのアルコール分子でトリエステル化されたo−リン酸分子からなる、請求項1から5のいずれか一項に記載のポリマー組成物。
リン酸エステル混合物が、リン酸モノエステルのストロンチウム、カルシウム、マグネシウムおよび/またはアルミニウム塩を1つ以上、リン酸ジエステルのストロンチウム、カルシウム、マグネシウムおよび/またはアルミニウム塩を1つ以上、並びに場合によりリン酸のストロンチウム、カルシウム、マグネシウムおよび/またはアルミニウム塩を1つ以上から選択される塩反応生成物を含む、請求項1から6のいずれか一項に記載のポリマー組成物。
i)1つ以上のリン酸モノエステルが、アルコール置換基中、C6からC30の炭素原子の総量を有する、不飽和または飽和の、分枝状または直鎖状の、脂肪族または芳香族アルコールから選択された1つのアルコール分子でモノエステル化されたo−リン酸分子からなり、および/または
ii)1つ以上のリン酸ジエステルが、アルコール置換基中、C6からC30の炭素原子の総量を有する、同一または異なる、不飽和または飽和の、分枝状または直鎖状の、脂肪族または芳香族脂肪アルコールから選択されたアルコール2分子でジエステル化されたo−リン酸分子からなり、および/または
iii)1つ以上のリン酸トリエステルが、アルコール置換基中、C6からC30の炭素原子の総量を有する、同一または異なる、不飽和または飽和の、分枝状または直鎖状の、脂肪族または芳香族脂肪アルコールから選択されたアルコール3分子でトリエステル化されたo−リン酸分子からなる、請求項9または10に記載の方法。
請求項1から8のいずれか一項に記載のポリマー組成物および/または請求項17に記載のファイバおよび/または請求項18に記載のフィラメントおよび/または請求項19に記載のフィルムおよび/または請求項20に記載のスレッドおよび/または請求項21に記載の通気性フィルムを含む物品であって、前記物品は、衛生製品、医療およびヘルスケア製品、フィルタ製品、ジオテキスタイル製品、農業および園芸製品、衣料品、靴および荷物の製品、家庭用および工業用製品、包装製品、建造物を含む群から選択される物品。
【背景技術】
【0002】
実際には、充填材、特に炭酸カルシウム含有充填材は、多くの場合、通常、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリウレタン(PU)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエステル(PES)、および/またはポリアミド(PA)製のファイバ、フィラメント、フィルム、スレッド、および/または通気性フィルムのような熱可塑性ポリマー製品中の粒状充填材として実際には使用される。しかし、充填材に疎水性コーティングを提供し、ポリマー組成物中での前記無機充填材の分散性を向上させるために、並びに場合によりこのポリマー組成物の加工性および/またはファイバ、フィラメント、フィルム、スレッドおよび/または通気性フィルムのような最終用途製品の特性を改善するために、添加剤が導入される。そのような添加剤を除外すると、得られたファイバ、フィラメント、フィルム、スレッド、および/または通気性フィルムの品質が許容できないほど低下するであろう。さらに、そのような無機充填材は、そのような無機充填材の適用中に到達する温度および/またはそのような無機充填材を含むポリマー製品の加工中に放出する揮発性物質の存在に一般的に関連することに留意すべきである。そのような揮発性物質は、例えば、
− 無機充填材に本質的に関連し(「固有の揮発性物質」)、特に水に関連する、および/または
− 例えば、無機充填材をポリマープラスチック媒体内により分散可能にするために、無機充填材の処理中に導入される(「追加の揮発性物質」)、および/または
− 固有の有機材料および/または添加された有機材料と無機充填材との反応によって生成され、そのような反応は無機充填材を含むポリマー材料の導入および/または加工中、例えば、押出または配合過程中、に到達する温度によって特に誘発されまたは高められ得る、および/または
− 固有の有機材料および/または添加された有機材料の分解によって生成され、CO
2、水および場合によりこれらの有機材料の低分子量画分を形成し、そのような分解は無機充填材を含むポリマー材料の導入および/または加工中、例えば、押出または配合過程中、に到達する温度によって特に誘発されまたは高められ得る。
【0003】
そのような揮発性物質の存在の結果として、不均一な表面およびそのためそのような充填材を含む最終ポリマー製品の品質の劣化につながる空隙のないファイバ、フィラメント、フィルム、スレッド、および/または通気性フィルムを作製することは困難である場合がある。また、揮発性物質は、そのようなファイバ、フィラメント、フィルム、スレッド、および/または通気性フィルムの引張および引裂強度の低下をもたす場合があり、外見、特に、その外見の均一性を劣化させる場合がある。さらに、揮発性物質は、配合過程で無機充填ポリマー溶融物の過剰な泡立ちを生成し得、真空抽出で不要な生成物の蓄積の原因となり、生産率が低下することを余儀なくする。
【0004】
そのような処理された炭酸カルシウム含有充填材は、多くの文献に記載されている。例えば、国際公開第00/20336号は超微細天然炭酸カルシウムに関し、これは、場合により1つもしくはいくつかの脂肪酸または1つもしくはいくつかの塩またはそれらの混合物で処理することができ、ポリマー組成物のためのレオロジー調整剤として使用される。
【0005】
同様に、米国特許第4407986号明細書は、この炭酸カルシウムを結晶性ポリプロピレンと共に混練する際に潤滑油添加剤の添加を制限するために、およびポリプロピレンの衝撃強さを制限する炭酸カルシウム凝集体の形成を回避するために、高級脂肪酸およびその金属塩を含むことができる分散剤で表面処理された沈降炭酸カルシウムに関する。
【0006】
レオロジー特性および接着特性が改善されたポリ塩化ビニルに基づく自動車用非たるみアンダーシール(underseal)組成物に関する欧州特許出願公開第0325114号明細書では、実施例7が無機充填材を処理するために使用される脂肪酸との組み合わせで(1:1の重量比で)、12−ヒドロキシステアリン酸のアンモニウム塩の混合物を開示する。
【0007】
国際公開第03/082966号は、任意の実施形態では、ステアリン酸、ステアリン酸塩、シラン、シロキサンおよび/またはチタン酸塩で被覆されていてもいなくてもよい充填材を追加的に含むことができる架橋性および/または架橋したナノフィラー組成物に関する。そのようなナノフィラー組成物は、バリア性、強度、熱変形温度を増加させるために使用され、それにより医療、自動車、電子、建設、食品用途においてそれらが有用になる。
【0008】
米国特許出願公開第2002/0102404号明細書は、フタル酸エステルのような、有機化合物と一緒に、飽和および不飽和脂肪族カルボン酸およびその塩の組み合わせで、その表面上にコーティングされた分散性の炭酸カルシウム粒子を記載し、該粒子は粘度安定性および接着特性を改善するために接着剤組成物に使用される。
【0009】
また、米国特許出願公開第2002/0102404号明細書は、(1A)少なくとも1つの飽和脂肪酸およびその塩、(1B)少なくとも1つの不飽和脂肪酸およびその塩((1A):(1B)重量比が30:70から70:30の範囲にある)、並びに(2)フタル酸エステルのような有機化合物を含む脂肪酸混合物でその表面が被覆された炭酸カルシウム粒子を記載する。
【0010】
国際公開第92/02587号の請求項11は、さらなる方法の段階に進む前に炭酸カルシウム上に所望レベルの脂肪酸コーティングを最終的に生成するために、少なくとも1つの高分子量不飽和脂肪酸、または少なくとも1つの高分子量不飽和脂肪酸および少なくとも1つの高分子量不飽和脂肪酸の組み合わせの鹸化ナトリウム塩溶液を沈降炭酸カルシウムの予備加熱されたスラリーに添加してもよいことを示す。
【0011】
特開昭54−162746号公報の要約は、塩化ビニル組成物の熱安定性を向上させるために使用される硬質塩化ビニル樹脂、脂肪酸処理されたコロイド状炭酸カルシウム、およびステアリン酸バリウムの所定の相対量を含む組成物を開示する。
【0012】
米国特許第4520073号明細書は、コーティング材料の担体として水蒸気を用いる多孔質鉱物の圧力コーティングにより調製した、改良された疎水性コーティングを有する無機充填材を記載する。該コーティング材料は、長鎖脂肪族脂肪酸およびそれらの塩から、他の選択肢の中から、選択することができる。
【0013】
国際公開第01/32787号は、(a)炭酸アルカリ土類金属および少なくとも1つの所定の脂肪族カルボン酸との反応生成物を含む第一の成分、並びに(b)第1の成分よりも実質的に高い炭酸塩放出温度を有する第二の成分から形成される組成物を含む疎水性材料のコーティングをその粒子上に有するアルカリ土類金属炭酸塩材料製品が式CH
3(CH
2)
mCOORの化合物を含むことを記載する。
【0014】
国際公開第2008/077156号は、少なくとも1つのポリマー樹脂並びに約5ミクロン以下の平均粒径を有するおよび/または約15ミクロン未満のトップカット(top cut)を有する少なくとも1つの充填材を含み、前記少なくとも1つの充填材は、スパンレイドファイバの全重量に対して約40重量%未満の量で存在するスパンレイドファイバに関する。充填材のコーティングは、脂肪酸並びにその塩およびエステル、例えば、ステアリン酸、ステアリン酸塩、ステアリン酸アンモニウムおよびステアリン酸カルシウムから選択される少なくとも1つの有機材料として記載される。
【0015】
出願人は、6から9個の炭素原子を有する飽和脂肪族カルボン酸およびその塩から本質的になる無機充填材の表面に位置する処理層を含む、少なくとも250℃の揮発性物質発生温度を提供するフィルム用途のための炭酸カルシウム含有無機充填材生成物を記載する国際公開第2011/147778号についても知っている。
【0016】
出願人は、処理された無機充填材製品の表面に0.25mg/m
2と5mg/m
2の間のアルデヒドの理論上の全重量の処理レベルで6と14の間の炭素原子を有する1つ以上の脂肪族アルデヒドを使用して、少なくとも220℃の揮発性物質発生温度でのフィルム用途用の表面処理された無機充填材生成物を製造する方法を記載する国際公開第2011/147802号についても知っている。
【0017】
出願人は、C8からC24の脂肪族モノカルボン酸の少なくとも1つのII族またはIII族の塩で乾燥無機充填材を処理して中間体無機充填材生成物を製造し、その後、該中間体無機充填材生成物を第2の段階で少なくとも1つのC8からC24の脂肪族モノカルボン酸で処理して、処理された無機充填材生成物および揮発性物質を生成し、該生成物を25℃から300℃で0.25質量%未満まで加熱することによって、処理された無機充填材生成物を製造する方法を記載する国際公開第2008/125955号についても知っている。
【0018】
出願人は、無機充填材の表面上に位置する少なくとも1つのC8からC24の飽和脂肪族カルボン酸、および1つ以上のC8からC24の飽和脂肪族カルボン酸の少なくとも1つの2価および/または3価カチオン塩の処理層(前記脂肪族カルボン酸塩のすべて対前記脂肪族カルボン酸のすべての重量比が51:49から75:25である)を含む表面処理された無機充填材生成物を記載する国際公開第2010/023144号についても知っており、処理層は少なくとも2.5mg/m
2の量で存在し、25℃と280℃の間の全揮発性物質は0.25重量%未満である。
【0019】
出願人は、カルサイト(calcit)のための可能な表面改質剤としてリン酸塩に言及するSupaphol氏らの出版物(Colloids and surfaces A275(2006)114〜125)についても知っている。
【0020】
英国特許出願公開第2336366号明細書は、充填された熱可塑性組成物、特に、押出法によって製品または物品に成形するべき充填された低密度ポリエチレン組成物に関する。粒状無機充填材が中性からアルカリ性の表面反応を有する場合には、例えば、炭酸カルシウムの場合には、疎水化剤は好ましくは、8から28個の炭素原子を有する少なくとも1つの飽和または不飽和の炭化水素鎖を有する有機カルボン酸または部分的にもしくは完全に中和されたその塩であることがさらに記載される。
【0021】
国際公開第2005/011851号は、1つ以上の有機ホスフィン酸で処理された粒状無機固体に関する。粒状無機固体は好ましくは二酸化チタンである。
【0022】
LEE CHING SHYA氏(マレーシアプトラ大学、2008年1月)の修士論文は、リン酸エステルの製造のための異なる合成経路を記載する。この論文はこれらの脂肪族アルコール系リン酸エステルによる炭酸カルシウムの処理およびPVCにおける充填材としてのこの処理された炭酸カルシウムの使用をさらに記載する。また、リン酸エステルを製造するためのいくつかの方法が説明されているが、ポリマー生成物の品質を向上させるためのリン酸モノエステル対リン酸ジエステルのモル比の重要性はこの論文では示されていない。
【0023】
しかしながら、従来技術は、ポリマー組成物に適しており、以下の多面的な技術的課題を解決する無機充填材をほとんど開示していない。
− 無機充填材は、ポリマー組成物中の無機充填材の良好な分散性を必要とするポリマー組成物並びにそのようなポリマー組成物から調製された対応するファイバ、フィラメント、フィルム、スレッドおよび通気性フィルム製品に対し十分に疎水性である;
− 無機充填材は、水分吸着が例えば、≦0.8mg/gであるような低い吸湿感受性を有する;
− 無機充填材は、上昇した揮発性物質発生温度を特徴とする;
− 無機充填材は、25℃と350℃の間で放出する揮発性物質の限定された総量を特徴とする;
− 熱暴露下での表面処理時の安全性の要件を低減することができ、および/または同等の処理温度での安全性リスクが低減されるように、同じアルキル置換基を含む脂肪族カルボン酸よりも高い引火点を特徴とする表面処理剤を同定するために;
− 無機充填材の表面上に対応するカルシウム塩を生成するために表面処理剤と接触すると少なくとも1つの無機充填材が少なくとも部分的に塩交換を受けるか否かに関係なく、前記を実現する表面処理剤を同定するために;
− そのような無機充填材を含むファイバ、フィラメント、フィルム、スレッドおよび通気性フィルムは、引張弾性率、降伏点および破断点引張試験、破断時の伸びおよび引裂抵抗等の良好な機械的特性を示す。
【0024】
従って、処理された無機充填材、特に、上述の技術的課題を解決し、特に、そのようなポリマー組成物から製造されたファイバ、フィラメント、フィルム、スレッド、および通気性フィルムのような最終用途製品の機械的特性を改善することができる白色無機充填材を含むポリマー組成物に対する必要性が依然として存在する。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本発明の目的に対し、以下の用語は以下の意味を有すると理解されるべきである。
【0034】
本発明の目的に対し、用語「表面反応性白色無機物質」は、粒子表面の少なくとも一部に1つ以上のリン酸モノエステルおよびその塩反応生成物並びに1つ以上のリン酸ジエステルおよびその塩反応生成物のリン酸エステル混合物を含む表面反応性白色無機物質含有粒子を指す。
【0035】
本願の意味における表面反応性白色無機物質の用語「無機物質」は、水不溶性である無機含有粒子を指す。用語「水不溶性」とは、表面反応性白色無機物質含有粒子の全乾燥重量に基づいて、<0.1重量%の、20℃(±2℃)の水中での無機物質含有粒子の溶解度を意味する。
【0036】
本願の意味における用語「表面反応性」白色無機物質または「表面反応性」白色無機物質含有粒子は、ブレンステッド(Grundwissen Chemie、Allgemeine und anorganische Chemie、96頁、Arnold Ami, Ernst Klett Verlag,シュトゥットガルト)に定義されているプロトン供与体である酸と反応可能な無機表面を有し、ストロンチウム、カルシウム、マグネシウムおよび/またはアルミニウムカチオンのような2価および/または3価のカチオンと、炭酸塩、ホウ酸塩および/または水酸化物のようなアニオンを含み、リン酸および/またはリン酸モノエステルおよび/またはリン酸ジエステルのアニオン性基のようなアニオン性基によって置換可能である無機物質含有粒子を指す。即ち、無機物質含有粒子の無機表面に存在する、ストロンチウム、カルシウム、マグネシウムおよび/またはアルミニウムカチオンのような2価および/または3価のカチオンは、リン酸および/またはリン酸モノエステルおよび/またはリン酸ジエステルのアニオン性基と共に対応する塩を形成することができる。
【0037】
本発明の目的に対し、用語の表面反応性「白色」無機物質は、ISO 2469に従って測定した、少なくとも70%の輝度R457を指す。好ましくは、ISO 2469に従って測定した、少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%の輝度R457を指す。輝度R457は、測定された粒子の合計に対し測定された平均輝度R457を指すことに留意されたい。
【0038】
本発明の意味における用語「ポリマー樹脂」は、それをポリマーファイバおよび/またはフィラメントおよび/またはフィルムに加工する前の、固体または液体のいずれかの、ポリマー材料を指す。
【0039】
本発明の意味における用語「リン酸モノエステル」は、アルコール置換基中、C6からC30、好ましくはC8からC22、より好ましくはC8からC20、最も好ましくはC8からC18の炭素原子の総量を有する、不飽和または飽和の、分枝状または直鎖状の、脂肪族または芳香族アルコールから選択された1つのアルコール分子でモノエステル化されたo−リン酸分子を指す。
【0040】
本発明の意味における用語「リン酸ジエステル」は、アルコール置換基中、C6からC30、好ましくはC8からC22、より好ましくはC8からC20、最も好ましくはC8からC18の炭素原子の総量を有する、同一または異なる、不飽和または飽和の、分枝状または直鎖状の、脂肪族または芳香族アルコールから選択された2つのアルコール分子でジエステル化されたo−リン酸分子を指す。
【0041】
本発明の意味における用語「塩反応生成物」は、表面反応性白色無機物質含有粒子を1つ以上のリン酸モノエステルおよび1つ以上のリン酸ジエステルおよび場合によりリン酸と接触させることにより得られた生成物を指す。適用された1つ以上のリン酸モノエステルおよび1つ以上のリン酸ジエステルおよび場合によりリン酸と表面反応性白色無機物質含有粒子の表面に位置する反応性分子との間に塩反応生成物が形成される。
【0042】
本願の意味における用語「揮発性物質発生温度」とは、温度(x軸)の関数として残りのサンプルの質量(y軸)をプロットする熱重量(TGA)曲線(そのような曲線の作成および解釈は後述する)上に観察されるように、粉砕助剤と共にあるいは粉砕助剤なしでの粉砕、浮遊助剤または他の薬剤および明確に前記されていない他の処理剤と共にあるいはこれらなしでの慈善(benefaction)を含む一般的な無機充填材の製造段階の結果として導入され、後述される熱重量分析に従って検出される揮発性物質をはじめとする揮発性物質が放出し始める温度を指す。
【0043】
本発明の意味における無機充填材の用語「比表面積」(m
2/gで表される)はBET法を用いて決定され、BET法は当業者に周知である(ISO 9277:1995)。次いで無機充填材の全表面積(m
2で表される)が、処理前に無機充填材の比表面積および質量(gで表される)を乗算することによって得られる。
【0044】
本発明の意味における用語「吸湿感受性」は、無機充填材の表面に吸着された水分の量を指し、+23℃(±2℃)の温度での水分(mg)/乾燥し処理された無機充填材生成物(g)で決定される。
【0045】
無機充填材生成物の「親水性」は、無機充填材生成物が家庭の茶ふるいを通過させることによって水エタノール混合物の表面上に堆積される場合には、無機充填材生成物の大部分を沈降させるのに必要な体積/体積ベースの水/エタノール混合物中での最小限の水対エタノールの比を決定することによって+23℃(±2℃)で評価される。体積/体積ベースはそれらを一緒にブレンドする前の両方の別々の液体の体積に関連し、混合物の体積収縮を含まない。
【0046】
本明細書に使用され、当該分野において一般に定義されるように、「d
50」値は、Micromeritics Instrument Corporation社のSedigraph(商標) 5100(動作機器のソフトウェアバージョン1.04)を使用して行われる測定に基づいて決定され、粒子体積又は質量の50%(重心)が指定された値に等しい直径を有する粒子で占められているサイズとして定義される。その方法と装置は当業者に知られており、充填材および顔料の粒径を決定するために一般的に使用されている。測定は、0.1重量%のNa
4P
2O
7の水溶液中で行われる。サンプルは高速スターラーおよび超音速を用いて分散される。
【0047】
「含む(comprising)」という用語が本明細書および特許請求の範囲において使用される場合には、それは主要な、またはささいな機能的重要性の他の非指定の要素を排除するものではない。本発明の目的に対し、用語を「からなる(consisting of)」は用語「含む(comprising of)」の好ましい実施形態であると考えられる。以降1つのグループが少なくとも特定数の実施形態を含むように定義されている場合には、これは、好ましくは、これらの実施形態のみからなるグループを開示するものと理解されるべきである。
【0048】
用語「含む(including)」または「有する(having)」が使用されるときはいつでも、これらの用語は上記で定義した「含む(comprising)」と同等であることを意味する。
【0049】
単数名詞を参照するときに不定冠詞または定冠詞、例えば、「a」、「an」もしくは「the」が使用されている場合には、これは、何か他のことが具体的に述べられていない限り、その名詞の複数形を含む。
【0050】
本発明の別の態様によれば、表面反応性白色無機物質を製造する方法であって、
(a)≦7.5μmの重量メジアン粒径d
50を有し、表面反応性白色無機物質含有粒子の全乾燥重量に基づき、20℃(±2℃)で0.1重量%未満の水中での溶解度を有する表面反応性白色無機物質含有粒子を提供する段階、
(b)1つ以上のリン酸モノエステルおよび1つ以上のリン酸ジエステル並びに場合により1つ以上のリン酸トリエステルおよび/またはリン酸を含むリン酸エステル混合物を提供する段階であって、リン酸エステル混合物中の1つ以上のリン酸モノエステル対1つ以上のリン酸ジエステルのモル比が1:1から1:100である段階、
(c)1つ以上のリン酸モノエステルおよびその塩反応生成物並びに1つ以上のリン酸ジエステルおよびその塩反応生成物並びに場合により1つ以上のリン酸トリエステルおよび/またはリン酸およびその塩反応生成物を含むリン酸エステル混合物が、段階(a)の表面反応性白色無機物質含有粒子の表面の少なくとも一部上に形成されるように、1つ以上の段階で、段階(a)の表面反応性白色無機物質含有粒子を段階(b)のリン酸エステル混合物と接触させる段階
を含み、段階(c)の前および/または間に、段階(b)のリン酸エステル混合物が液体であるように温度が調整される方法が提供される。
【0051】
段階(c)に従う表面反応性白色無機物質含有粒子のリン酸エステル混合物との接触は、20から200℃、好ましくは90から200℃、より好ましくは100から150℃、最も好ましくは110から130℃の温度で行われることが好ましい。さらに、i)1つ以上のリン酸モノエステルがアルコール置換基中、C6からC30、好ましくはC8からC22、より好ましくはC8からC20、最も好ましくはC8からC18の炭素原子の総量を有する、不飽和または飽和の、分枝状または直鎖状の、脂肪族または芳香族アルコールから選択された1つのアルコール分子でモノエステル化されたo−リン酸分子からなり、および/またはii)1つ以上のリン酸ジエステルは、アルコール置換基中、C6からC30、好ましくはC8からC22、より好ましくはC8からC20、最も好ましくはC8からC18の炭素原子の総量を有する、同一または異なる、不飽和または飽和の、分枝状または直鎖状の、脂肪族または芳香族脂肪アルコールから選択された2つのアルコール分子でジエステル化されたo−リン酸分子からなり、および/またはiii)1つ以上のリン酸トリエステルは、アルコール置換基中、C6からC30、好ましくはC8からC22、より好ましくはC8からC20、最も好ましくはC8からC18の炭素原子の総量を有する、同一または異なる、不飽和または飽和の、分枝状または直鎖状の、脂肪族または芳香族脂肪アルコールから選択された3つのアルコール分子でトリエステル化されたo−リン酸分子からなることがさらに好ましい。
【0052】
本発明のさらなる態様によれば、前記方法によって得られる表面反応性白色無機物質が提供される。
【0053】
本発明のさらなる態様によれば、ファイバおよび/またはフィラメントおよび/またはフィルムおよび/またはスレッドおよび/または通気性フィルムを製造する方法であって、
a)ポリマー組成物を提供する段階、および
b)段階a)のポリマー組成物を、該ポリマー組成物がファイバおよび/またはフィラメントおよび/またはフィルムおよび/またはスレッドおよび/または通気性フィルムに変換される条件に供する段階
を少なくとも含む方法が提供される。
【0054】
本発明のさらなる態様によれば、ポリマー組成物および/または表面反応性白色無機物質を含むファイバおよび/またはフィラメントおよび/またはフィルムおよび/またはスレッドおよび/または通気性フィルムが提供される。本発明の別の態様によれば、ポリマー組成物および/または表面反応性白色無機物質および/またはファイバおよび/またはフィラメントおよび/またはフィルムおよび/またはスレッドおよび/または通気性フィルムを含む物品が提供され、前記物品は、衛生製品、医療およびヘルスケア製品、フィルタ製品、ジオテキスタイル製品、農業および園芸製品、衣料品、靴および荷物の製品、家庭用および工業用製品、包装製品、建造物等を含む群から選択される。本発明のさらに別の態様によれば、表面反応性白色無機物質含有粒子の親水性および/または吸湿感受性を減少させるためのリン酸エステル混合物の使用が提供される。
【0055】
本発明の1つの実施形態によれば、該少なくとも1つの表面反応性白色無機物質の表面反応性白色無機物質含有粒子がISO 2469.に従い、測定した少なくとも70%の輝度R457を有する無機粒子であり、好ましくは少なくとも1つの表面反応性白色無機物質の表面反応性白色無機物質含有粒子が炭酸カルシウム含有粒子であり、より好ましくは該少なくとも1つの表面反応性白色無機物質の炭酸カルシウム含有粒子が重質炭酸カルシウム(GCC)、沈降炭酸カルシウム(PCC)およびそれらの混合物から選択される。
【0056】
本発明の別の実施形態によれば、該少なくとも1つの表面反応性白色無機物質は、i)該少なくとも1つの表面反応性白色無機物質の全乾燥重量に基づいて、≧90重量%、好ましくは≧95重量%、最も好ましくは≧97.5重量%の量で表面反応性白色無機物質含有粒子、および/またはii)該少なくとも1つの表面反応性白色無機物質の全乾燥重量に基づいて、0.1から5重量%、好ましくは0.2%から3重量%、最も好ましくは0.3から2重量%の量のリン酸エステル混合物を含む。
【0057】
本発明のさらに別の実施形態によれば、リン酸エステル混合物中の1つ以上のリン酸モノエステルおよびその塩反応生成物対1つ以上のリン酸ジエステルおよびその塩反応生成物のモル比は、1:1.1から1:80、好ましくは1:1.1から1:60、より好ましくは1:1.1から1:40、さらにより好ましくは1:1.1から1:20、最も好ましくは1:1.1から1:10である。
【0058】
本発明の1つの実施形態によれば、リン酸エステル混合物は1つ以上のリン酸トリエステルおよびその塩反応生成物を含む。
【0059】
本発明の別の実施形態によれば、i)1つ以上のリン酸モノエステルは、アルコール置換基中、C6からC30、好ましくはC8からC22、より好ましくはC8からC20、最も好ましくはC8からC18の炭素原子の総量を有する、不飽和または飽和の、分枝状または直鎖状の、脂肪族または芳香族アルコールから選択された1つのアルコール分子でモノエステル化されたo−リン酸分子からなり、および/またはii)1つ以上のリン酸ジエステルは、アルコール置換基中、C6からC30、好ましくはC8からC22、より好ましくはC8からC20、最も好ましくはC8からC18の炭素原子の総量を有する、同一または異なる、不飽和または飽和の、分枝状または直鎖状の、脂肪族または芳香族脂肪アルコールから選択された2つのアルコール分子でジエステル化されたo−リン酸分子からなり、および/またはiii)1つ以上のリン酸トリエステルは、アルコール置換基中、C6からC30、好ましくはC8からC22、より好ましくはC8からC20、最も好ましくはC8からC18の炭素原子の総量を有する、同一または異なる、不飽和または飽和の、分枝状または直鎖状の、脂肪族または芳香族脂肪アルコールから選択された3つのアルコール分子でトリエステル化されたo−リン酸分子からなる。
【0060】
本発明のさらに別の実施形態によれば、リン酸エステル混合物は、リン酸モノエステルの1つ以上のストロンチウム、カルシウム、マグネシウムおよび/またはアルミニウム塩並びにリン酸ジエステルの1つ以上のストロンチウム、カルシウム、マグネシウムおよび/またはアルミニウム塩並びに場合によりリン酸の1つ以上のストロンチウム、カルシウム、マグネシウムおよび/またはアルミニウム塩などのような塩反応生成物を含む。
【0061】
本発明の1つの実施形態によれば、少なくとも1つのポリマー樹脂は、少なくとも1つ熱可塑性ポリマー、好ましくはポリオレフィン、ポリアミド、ハロゲン含有ポリマーおよび/またはポリエステルのホモポリマーおよび/またはコポリマーを含む群から選択される熱可塑性ポリマーである。
【0062】
前述のように、ポイント(a)および(b)に記載のように、本発明のポリマー組成物は少なくとも1つのポリマー樹脂、および0.1から95重量%の少なくとも1つの表面反応性白色無機物質を含む。以下では、本発明のさらなる詳細、および特に本発明のポリマー組成物の上記の点に言及する。
【0063】
本発明のポイント(a)によれば、ポリマー組成物は、少なくとも1つのポリマー樹脂を含む。ポリマー樹脂は、組成物の主鎖を表し、最終のファイバおよび/またはフィラメントおよび/またはフィルムおよび/またはスレッドおよび/または通気性フィルムに強度、柔軟性、強靭性および耐久性を提供する。
【0064】
ポリマー組成物がファイバおよび/またはフィラメントおよび/またはフィルムおよび/またはスレッドおよび/または通気性フィルムの調製に適している限り、本発明による該少なくとも1つのポリマー樹脂は特定の樹脂材料に限定されないことが理解される。
【0065】
本発明の1つの実施形態では、該少なくとも1つのポリマー樹脂は、少なくとも1つの熱可塑性ポリマーである。従って、該少なくとも1つのポリマー樹脂は、ポリオレフィン、ポリアミド、ハロゲン含有ポリマーおよび/またはポリエステルのホモポリマーおよび/またはコポリマーを含む群から選択される熱可塑性ポリマーであることが好ましい。
【0066】
例えば、該少なくとも1つのポリマー樹脂がポリアミドである場合には、該少なくとも1つのポリマー樹脂は好ましくはナイロンである。
【0067】
さらにあるいはまた、該少なくとも1つのポリマー樹脂はポリオレフィンのホモポリマーおよび/またはコポリマーである。例えば、該少なくとも1つのポリマー樹脂は、ポリオレフィンのホモポリマーおよびコポリマーである。あるいは、該少なくとも1つのポリマー樹脂はポリオレフィンのホモポリマーまたはコポリマーである。
【0068】
該少なくとも1つのポリマー樹脂はポリオレフィンのホモポリマーであることが好ましいことが理解される。
【0069】
例えば、ポリオレフィンは、ポリエチレンおよび/またはポリプロピレンおよび/またはポリブチレンとすることができる。従って、ポリオレフィンがポリエチレンである場合には、ポリオレフィンは、高密度ポリエチレン(HDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、超低密度ポリエチレン(VLDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)のようなポリエチレンのホモポリマーおよび/またはコポリマーを含む群から選択される。
【0070】
例えば、ポリオレフィンはポリエチレンのホモポリマーおよび/またはコポリマーである。
【0071】
本発明で使用するポリエチレンのホモポリマーという表現は、実質的にエチレン単位からなる、即ち、ポリエチレンの全重量に基づいて、99.7重量%超の、さらにより好ましくは少なくとも99.8重量%のエチレン単位からなるポリエチレンを含むポリエチレンに関する。例えば、ポリエチレンのホモポリマー中のエチレン単位だけが検出可能である。
【0072】
ポリマー組成物の該少なくとも1つのポリマー樹脂がポリエチレンのコポリマーを含む場合では、ポリエチレンは主成分としてのエチレンに由来可能な単位を含むことが理解される。従って、ポリエチレンのコポリマーは、ポリエチレンの全重量に基づいて、少なくとも55重量%のエチレンに由来可能な単位、より好ましくは少なくとも60重量%のエチレン由来の単位を含む。例えば、ポリエチレンのコポリマーは、ポリエチレンの全重量に基づいて60から99.5重量%、より好ましくは90から99重量%のエチレンから誘導可能な単位を含む。ポリエチレンのそのようなコポリマー中に存在するコモノマーはC
3からC
10α−オレフィン、好ましくは1−ブテン、1−ヘキセンおよび1−オクテンであり、後者が特に好ましい。
【0073】
さらにあるいはまた、ポリオレフィンはポリプロピレンのホモポリマーおよび/またはコポリマーである。
【0074】
本発明を通じて使用されるポリプロピレンのホモポリマーという表現は、実質的にプロピレン単位からなる、即ち、ポリプロピレンの全重量に基づいて、99重量%超の、さらにより好ましくは少なくとも99.8重量%のような、少なくとも99.5重量%のプロピレン単位からなるポリプロピレンに関する。好ましい実施形態において、プロピレン単位のみがプロピレンのホモポリマー中で検出可能である。
【0075】
ポリマー組成物の少なくとも1つのポリマー樹脂がポリプロピレンのコポリマーを含む場合には、ポリプロピレンは好ましくは主成分としてのプロピレンから誘導可能な単位を含む。ポリプロピレンのコポリマーは、プロピレン並びにC
2および/または少なくとも1つのC
4からC
10のα−オレフィンから誘導される単位を好ましくは含み、好ましくは該単位からなる。本発明の1つの実施形態では、ポリプロピレンのコポリマーはプロピレン並びにエチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセンおよび1−オクテンからなる群から選択される少なくとも1つのα−オレフィンから誘導される単位を含み、好ましくはこれらからなる。例えば、ポリプロピレンのコポリマーは、プロピレンおよびエチレンから誘導される単位を含み、好ましくはこれらからなる。本発明の1つの実施形態では、プロピレンから誘導可能な単位はポリプロピレンの主な部分、即ちポリプロピレンの全重量に基づき少なくとも60重量%、好ましくは少なくとも70重量%、より好ましくは少なくとも80重量%、さらにより好ましくは60から99重量%、さらにより好ましくは70から99重量%、最も好ましくは80から99重量%を構成する。ポリプロピレンのコポリマー中のC
2および/または少なくとも1つのC
4からC
10のα−オレフィンから誘導される単位の量は、ポリプロピレンのコポリマーの全重量に基づいて1から40重量%の範囲であり、より好ましくは1から30重量%の範囲であり、最も好ましくは、1から20重量%の範囲である。
【0076】
ポリプロピレンのコポリマーがプロピレンおよびエチレンから誘導可能な単位のみを含む場合には、エチレンの量はポリプロピレンのコポリマーの全重量に基づいて1から20重量%の範囲であることが好ましく、好ましくは1から15重量%の範囲であり、最も好ましくは1から10重量%の範囲である。従って、プロピレンの量はポリプロピレンのコポリマーの全重量に基づいて好ましくは80から99重量%の範囲であり、好ましくは85から99重量%の範囲であり、最も好ましくは90から99重量%の範囲である。
【0077】
さらにあるいはまた、ポリオレフィンは、ポリブチレンのホモポリマーおよび/またはコポリマーである。
【0078】
本発明を通じて使用されるポリブチレンのホモポリマーという表現は、実質的に、即ち、ポリブチレンの全重量に基づいて99重量%を超える、さらにより好ましくは少なくとも99.8重量%のような、少なくとも99.5重量%のブチレン単位からなるポリブチレンに関する。好ましい実施形態において、ブチレン単位のみがポリブチレンのホモポリマー中で検出可能である。
【0079】
ポリマー組成物の少なくとも1つのポリマー樹脂がポリブチレンのコポリマーを含む場合には、ポリブチレンは好ましくは主成分としてのブチレンから誘導可能な単位を含む。ポリブチレンのコポリマーは、ブチレン並びにC
2および/またはC
3および/または少なくとも1つのC
5からC
10のα−オレフィンから誘導される単位を好ましくは含み、好ましくは該単位からなる。本発明の1つの実施形態では、ポリブチレンのコポリマーはブチレン並びにエチレン、1−プロペン、1−ペンテン、1−ヘキセンおよび1−オクテンからなる群から選択される少なくとも1つのα−オレフィンから誘導される単位を含み、好ましくはこれらからなる。例えば、ポリブチレンのコポリマーは、ブチレンおよびエチレンから誘導される単位を含み、好ましくはこれらからなる。本発明の1つの実施形態では、ブチレンから誘導可能な単位はポリブチレンの主な部分、即ちポリブチレンの全重量に基づき少なくとも60重量%、好ましくは少なくとも70重量%、より好ましくは少なくとも80重量%、さらにより好ましくは60から99重量%、さらにより好ましくは70から99重量%、最も好ましくは80から99重量%を構成する。ポリブチレンのコポリマー中のC
2および/またはC
3および/または少なくとも1つのC
5からC
10のα−オレフィンから誘導される単位の量は、ポリブチレンのコポリマーの全重量に基づいて1から40重量%の範囲であり、より好ましくは1から30重量%の範囲であり、最も好ましくは、1から20重量%の範囲である。
【0080】
該少なくとも1つのポリマー樹脂がハロゲン含有ポリマーのホモポリマーおよび/またはコポリマーである場合には、該少なくとも1つのポリマー樹脂は、好ましくは、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)およびポリテトラフルオロエチレン(PTFE)から選択される。
【0081】
該少なくとも1つのポリマー樹脂が、ポリエステルのホモポリマーおよび/またはコポリマーである場合には、該少なくとも1つのポリマー樹脂は、好ましくは、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)だけでなく、ポリ乳酸(ポリラクチド、PLA)などのような分解性ポリエステルから選択される。
【0082】
本発明の1つの実施形態では、該少なくとも1つのポリマー樹脂はポリエチレンおよび/またはポリプロピレンおよび/またはポリブチレンのホモポリマーである。例えば、該少なくとも1つのポリマー樹脂はポリエチレンおよびポリプロピレンのホモポリマーである。あるいは、該少なくとも1つのポリマー樹脂はポリエチレンまたはポリプロピレンのホモポリマーである。本発明の1つの実施形態では、少なくとも1つのポリマー樹脂はポリプロピレンのホモポリマーである。
【0083】
「少なくとも1つの」ポリマー樹脂という表現は、1種以上のポリマー樹脂が本発明のポリマー組成物中に存在し得ることを意味する。
【0084】
従って、該少なくとも1つのポリマー樹脂は、2種以上のポリマー樹脂の混合物であってもよいことが理解される。例えば、該少なくとも1つのポリマー樹脂が2つ以上のポリマー樹脂の混合物である場合には、1つのポリマー樹脂は、ポリプロピレンのホモポリマーまたはコポリマーであり、一方、第2のまたはさらなるポリマー樹脂は、ポリエチレン、ポリブチレン、ポリアミド、ポリエステル、ハロゲン含有ポリマーおよびそれらの混合物のホモポリマーおよび/またはコポリマーを含む群から選択される。
【0085】
本発明の1つの実施形態では、該少なくとも1つのポリマー樹脂は1種のポリマー樹脂である。好ましくは、該少なくとも1つのポリマー樹脂はポリエチレンまたはポリプロピレンのホモポリマーである。
【0086】
本発明の1つ実施形態では、該少なくとも1つのポリマー樹脂は、100℃を超える、より好ましくは200℃を超えるような150℃を超える融点Tmを有する。例えば、該少なくとも1つのポリマー樹脂の融点は、100から350℃の範囲、より好ましくは150から325℃の範囲であり、最も好ましくは200から300℃の範囲である。
【0087】
さらに、該少なくとも1つのポリマー樹脂は、メルトフローレートの広いスペクトルを有するポリマー樹脂から選択することができることが理解される。一般には、該少なくとも1つのポリマー樹脂が0.1から3000g/10分、より好ましくは0.2から2500g/10分のメルトフローレートMFR(190℃)を有することが好ましい。例えば、該少なくとも1つのポリマー樹脂は、0.3から2000g/10分または0.3から1600g/10分のメルトフローレートMFR(190℃)を有する。さらにあるいはまた、該少なくとも1つのポリマー樹脂は、0.1から3000g/10分、より好ましくは0.2から2500g/10分のメルトフローレートMFR(230℃)を有する。例えば、該少なくとも1つのポリマー樹脂は、0.3から2000g/10分または0.3から1600g/10分のメルトフローレートMFR(230℃)を有する。
【0088】
例えば、該少なくとも1つのポリマー樹脂がポリプロピレンのホモポリマーおよび/またはコポリマーであるポリオレフィンである場合には、該少なくとも1つのポリマー樹脂は1から3000g/10分、より好ましくは3から2500g/10分のメルトフローレートMFR(190℃、2.16kg)を有することが好ましい。例えば、ポリプロピレンのホモポリマーおよび/またはコポリマーである該少なくとも1つのポリマー樹脂は、5から2000g/10分または10から1600g/10分のメルトフローレートMFR(190℃)を有する。ポリプロピレンのホモポリマーおよび/またはコポリマーである該少なくとも1つのポリマー樹脂は,1から3000g/10分、より好ましくは3から2500g/10分のメルトフローレートMFR(230℃)を有することが好ましい。例えば、ポリプロピレンのホモポリマーおよび/またはコポリマーである該少なくとも1つのポリマー樹脂は、5から2000g/10分または10から1600g/10分のメルトフローレートMFR(230℃)を有する。
【0089】
該少なくとも1つのポリマー樹脂がポリエチレンのホモポリマーおよび/またはコポリマーであるポリオレフィンである場合には、該少なくとも1つのポリマー樹脂は、やや低いメルトフローレートを有することが理解される。従って、ポリエチレンのホモポリマーおよび/またはコポリマーである該少なくとも1つのポリマー樹脂は0.5から20g/10分、より好ましくは0.7から15g/10分のメルトフローレートMFR(190℃)を有することが好ましい。例えば、該少なくとも1つのポリマー樹脂は、0.9から10g/10分または0.9から5g/10分のメルトフローレートMFR(190℃)を有する。さらにあるいはまた、ポリエチレンのホモポリマーおよび/またはコポリマーである該少なくとも1つのポリマー樹脂は、0.1から3000g/10分、より好ましくは0.2から2500g/10分のメルトフローレートMFR(230℃)を有する。例えば、ポリエチレンのホモポリマーおよび/またはコポリマーである該少なくとも1つのポリマー樹脂は、0.3から2000g/10分または0.3から1600g/10分のメルトフローレートMFR(230℃)を有する。
【0090】
ポリマー組成物は、ポリマー組成物の全重量に基づき、5から99.9重量%の量の該少なくとも1つのポリマー樹脂を含むことが理解される。本発明の1つの実施形態では、ポリマー組成物は、ポリマー組成物の全重量に基づいて、5から95重量%、好ましくは15から90重量%の量の該少なくとも1つのポリマー樹脂を含む。例えば、ポリマー組成物は、ポリマー組成物の全重量に基づいて20から85重量%の量の該少なくとも1つのポリマー樹脂を含む。
【0091】
本発明のポリマー組成物のさらなる必須成分は、少なくとも1つの表面反応性白色無機物質である。ポリマー組成物がポリマー組成物の全重量に基づき、0.1から95重量%までの量の該少なくとも1つの表面反応性白色無機物質を含むことは本発明の1つの要件である。
【0092】
本発明の1つの実施形態では、ポリマー組成物は、ポリマー組成物の全重量に基づき、5から95重量%、好ましくは10から85重量%の量の該少なくとも1つの表面反応性白色無機物質を含む。例えば、ポリマー組成物は、ポリマー組成物の全重量に基づいて、15から80重量%の量の該少なくとも1つの表面反応性白色無機物質を含む。
【0093】
従って、ポリマー組成物は、ポリマー組成物の全重量に基づいて、5から99.9重量%の量の該少なくとも1つのポリマー樹脂、および0.1から95重量%までの量の該少なくとも1つの表面反応性白色無機物質を含み、好ましくはこれらからなることが理解される。本発明の1つの実施形態では、ポリマー組成物は、ポリマー組成物の全重量に基づいて、5から95重量%の量の該少なくとも1つのポリマー樹脂、および5から95重量%までの量の該少なくとも1つの表面反応性白色無機物質を含み、好ましくはこれらからなる。本発明の別の実施形態では、ポリマー組成物は、ポリマー組成物の全重量に基づいて、15から90重量%の量の該少なくとも1つのポリマー樹脂、および10から85重量%までの量の該少なくとも1つの表面反応性白色無機物質を含み、好ましくはこれらからなる。本発明の別の実施形態では、ポリマー組成物は、ポリマー組成物の全重量に基づいて、20から85重量%の量の該少なくとも1つのポリマー樹脂、および15から80重量%までの量の該少なくとも1つの表面反応性白色無機物質を含み、好ましくはこれらからなる。
【0094】
例えば、ポリマー組成物は、少なくとも1つのポリマー樹脂および炭酸カルシウム含有無機材料を含み、好ましくはこれらからなり、炭酸カルシウム含有無機材料はポリマー組成物の全重量に基づいて、15から82重量%の量で存在する。
【0095】
本発明の1つの実施形態では、ポリマー組成物はマスターバッチである。
【0096】
用語「マスターバッチ」は、ファイバおよび/またはフィラメントおよび/またはフィルムおよび/またはスレッドおよび/または通気性フィルムなどのような最終用途製品を製造するために使用されるポリマー組成物の濃度より高い該少なくとも1つの表面反応性白色無機物質の濃度を有する組成物を指す。即ち、このようなファイバおよび/またはフィラメントおよび/またはフィルムおよび/またはスレッドおよび/または通気性フィルムなどのような最終用途製品を調製するのに適したポリマー組成物を得られるようにマスターバッチはさらに希釈される。
【0097】
例えば、マスターバッチは、マスターバッチの全重量に基づいて、50から95重量%、好ましくは60から95重量%、より好ましくは70から95重量%の量の該少なくとも1つの表面反応性白色無機物質を含む。例えば、マスターバッチは、マスターバッチの全重量に基づいて、80から95重量%の量の該少なくとも1つの表面反応性白色無機物質を含む。
【0098】
本発明の1つの実施形態によれば、マスターバッチは、ファイバおよび/またはフィラメントおよび/またはフィルムおよび/またはスレッドおよび/または通気性フィルムを製造するために使用される。
【0099】
本発明の別の実施形態では、ファイバおよび/またはフィラメントおよび/またはフィルムおよび/またはスレッドおよび/または通気性フィルムなどのような最終用途製品を製造するために使用されるポリマー組成物は、ポリマー組成物の全重量に基づいて、1から50重量%、好ましくは5から45重量%、最も好ましくは10から40重量%の量の該少なくとも1つの表面反応性白色無機物質を含む。例えば、ファイバおよび/またはフィラメントおよび/またはフィルムおよび/またはスレッドおよび/または通気性フィルムなどのような最終用途製品を製造するために使用されるポリマー組成物は、ポリマー組成物の全重量に基づいて、15から25重量%の量の該少なくとも1つの表面反応性白色無機物質を含む。
【0100】
本発明の別の実施形態では、ファイバおよび/またはフィラメントおよび/またはフィルムおよび/またはスレッドおよび/または通気性フィルムなどのような最終用途製品を製造するために使用されるポリマー組成物は、ポリマー組成物の全重量に基づいて、1から10重量%の量の該少なくとも1つの表面反応性白色無機物質を含む。ポリマー組成物は柑橘類のような酸性食品のための包装材料またはフルーツジュースの容器および/またはボトルとして使用される場合には、ポリマー組成物は好ましくはこの量を含むことが理解される。
【0101】
マスターバッチが、ファイバおよび/またはフィラメントおよび/またはフィルムおよび/またはスレッドおよび/または通気性フィルムを製造するために使用される場合には、マスターバッチは、ファイバおよび/またはフィラメントおよび/またはフィルムおよび/またはスレッドおよび/または通気性フィルムなどのような最終用途製品を調製するのに適したポリマー組成物を得られるように希釈することが好ましい。即ち、マスターバッチは、ポリマー組成物の全重量に基づいて1から50重量%、好ましくは5から45重量%、最も好ましくは10から40重量%の量の該少なくとも1つの表面反応性白色無機物質を含むように希釈される。
【0102】
本発明の別の実施形態によれば、ポリマー組成物は、ファイバおよび/またはフィラメントおよび/またはフィルムおよび/またはスレッドおよび/または通気性フィルムである。例えば、ファイバおよび/またはフィラメントおよび/またはフィルムおよび/またはスレッドおよび/または通気性フィルムは、ファイバおよび/またはフィラメントおよび/またはフィルムおよび/またはスレッドおよび/または通気性フィルムの全重量に基づいて、1から50重量%、好ましくは5から45重量%、より好ましくは10から40重量%、最も好ましくは15から25重量%の量の該少なくとも1つの表面反応性白色無機物質を含む。
【0103】
本発明によれば、該少なくとも1つの表面反応性白色無機物質は、粒子の表面の少なくとも一部に1つ以上のリン酸モノエステルおよびその塩反応生成物並びに1つ以上のリン酸ジエステルおよびその塩反応生成物並びに場合により1つ以上のリン酸トリエステルおよび/またはリン酸およびその塩反応生成物のリン酸エステル混合物を含有する表面反応性白色無機物質含有粒子を含み、好ましくは該粒子からなる。
【0104】
従って、該少なくとも1つの表面反応性白色無機物質は表面反応性白色無機物質含有粒子を含む。
【0105】
該少なくとも1つの表面反応性白色無機物質の表面反応性白色無機物質含有粒子は、該粒子がISO 2469に従い測定した少なくとも70%の輝度R457を有するように選択された無機粒子である。本発明の1つの実施形態では、該少なくとも1つの表面反応性白色無機物質の表面反応性白色無機物質含有粒子は、ISO 2469に従い測定した少なくとも80%または少なくとも90%の輝度R457を有する無機粒子である。例えば、該少なくとも1つの表面反応性白色無機物質の表面反応性白色無機物質含有粒子は、ISO 2469に従い測定した70%から100%、好ましくは80%から98%、最も好ましくは90%から98%の輝度R457を有する無機粒子である。
【0106】
本発明の1つの実施形態では、少なくとも1つの表面反応性白色無機物質の表面反応性白色無機物質含有粒子は、リン酸および/またはリン酸モノエステルおよび/またはリン酸ジエステルのアニオン性基と共に対応する2価および/または3価の塩を形成することができる2価および/または3価カチオンを含有する無機粒子である。例えば、該少なくとも1つの表面反応性白色無機物質の表面反応性白色無機物質含有粒子は、ストロンチウム、カルシウム、マグネシウムおよび/またはアルミニウムカチオンを含有する無機粒子である。好ましくは、該少なくとも1つの表面反応性白色無機物質の表面反応性白色無機物質含有粒子は、カルシウムおよびマグネシウムカチオンを含有する無機粒子である。あるいは、該少なくとも1つの表面反応性白色無機物質の表面反応性白色無機物質含有粒子は、カルシウム、マグネシウムまたはアルミニウムカチオンを含有する無機粒子である。それに加えて、少なくとも1つの表面反応性白色無機物質の表面反応性白色無機物質含有粒子は、炭酸塩、ホウ酸塩および/または水酸化物などのようなアニオンを含有する無機粒子であり、これらのアニオンはリン酸および/またはリン酸モノエステルおよび/またはリン酸ジエステルのアニオン性基で置換することができる。
【0107】
本発明の1つの実施形態では、該少なくとも1つの表面反応性白色無機物質の表面反応性白色無機物質含有粒子は炭酸カルシウム含有粒子である。従って、「炭酸カルシウム含有物質」は、炭酸カルシウム含有粒子を本発明のリン酸エステル混合物に接触させることによって得られる。
【0108】
本発明の目的に対し、用語「炭酸カルシウム含有粒子」は、炭酸カルシウム含有粒子の全乾燥重量に基づいて少なくとも80重量%の炭酸カルシウムを含む材料を指す。
【0109】
本発明の目的に対し、用語「炭酸カルシウム含有粒子」は、炭酸カルシウム含有粒子がドロマイトであれば、全モルに基づいて少なくとも50モル%の炭酸カルシウムを含む材料も指す。
【0110】
本発明の意味において、炭酸カルシウム含有粒子は、重質炭酸カルシウム(GCC)、沈降炭酸カルシウム(PCC)およびそれらの混合物から選択された炭酸カルシウム材料を指す。
【0111】
GCCは、石灰石またはチョークなどのような堆積岩からまたは変成大理石の岩から採掘され、例えば、サイクロンまたは分級器によって、湿式および/または乾式で粉砕、スクリーニングおよび/または細分化などのような処理を通じて加工される炭酸カルシウムの天然に存在する形態であると理解される。本発明の1つの実施形態では、GCCは、大理石、チョーク、ドロマイト、石灰石およびそれらの混合物を含む群から選択される。
【0112】
一方、PCCタイプの炭酸カルシウムは、水中で水和された細かく分割された酸化カルシウム粒子に由来する場合には、石灰又は石灰乳のスラリーと当業界で一般的に呼ばれる水酸化カルシウムのスラリーの炭酸化により、またはイオン性の塩溶液からの沈殿により得られた合成炭酸カルシウム生成物を含む。PCCは菱面体晶および/または偏三角面体および/または霰石であってもよく、好ましい合成炭酸カルシウムまたは沈降炭酸カルシウムは、霰石、バテライトの(vateritic)またはカルサイトの(calcitic)鉱物結晶形またはそれらの混合物を含む。
【0113】
1つの好ましい実施形態では、表面反応性白色無機物質含有粒子は、大理石、ドロマイト大理石、およびこれらの混合物から選択される炭酸カルシウム含有粒子である。
【0114】
炭酸カルシウム含有粒子中の炭酸カルシウムの量は、炭酸カルシウム含有粒子の全乾燥重量に基づいて、少なくとも80重量%、例えば、少なくとも95重量%、好ましくは97から100重量%、より好ましくは98.5と99.95重量%との間であることが理解される。
【0115】
表面反応性白色無機物質含有粒子は好ましくは粒状物質の形態であり、製造されるべき生成物の種類に関係する物質に従来使用されるような粒径分布を有することができる。一般的には、表面反応性白色無機物質含有粒子、好ましくは炭酸カルシウム含有粒子が≦7.5μmの重量メジアン粒径d
50を有することが本発明の1つの要件である。例えば、該少なくとも1つの表面反応性白色無機物質の表面反応性白色無機物質含有粒子、好ましくは炭酸カルシウム含有粒子が、0.1μmから7.5μm、より好ましくは0.25μmから5μm、最も好ましくは0.7μmから4μmの重量メジアン粒径d
50を有する。25ミクロン未満の無機充填材d
98も有利であり得る。
【0116】
さらにあるいはまた、該少なくとも1つの表面反応性白色無機物質の表面反応性白色無機物質含有粒子、好ましくは炭酸カルシウム含有粒子は、ISO 9277に従い窒素およびBET法を用いて測定した、0.5から150m
2/g、より好ましくは0.5から35m
2/g、最も好ましくは0.5から15m
2/gのBET比表面積を有する。
【0117】
例えば、大理石が該少なくとも1つの表面反応性白色無機物質の表面反応性白色無機物質含有粒子として使用される場合には、メジアン粒径d
50値は好ましくは0.1μmから7.5μm、より好ましくは0.25μmから5μm、最も好ましくは0.7μmから4μmである。この場合には、大理石は、ISO 9277に従い窒素およびBET法を用いて測定した、好ましくは0.5から150m
2/g、より好ましくは0.5から35m
2/g、最も好ましくは0.5から15m
2/gのBET比表面積を示す。
【0118】
該少なくとも1つの表面反応性白色無機物質の表面反応性白色無機物質含有粒子、好ましくは炭酸カルシウム含有粒子が、乾燥粉砕材料、湿式粉砕し、乾燥した材料またはこれらの材料の混合物である。一般的に、粉砕段階は任意の従来の粉砕装置を用いて、例えば、改良が二次体、即ち、ボールミル、ロッドミル、振動ミル、ロールクラッシャー、遠心衝撃ミル、垂直ビードミル、アトリションミル、ピンミル、ハンマーミル、粉砕機、シュレッダー、脱クランパー(clumper)、ナイフカッター、あるいは当業者に公知の他のそのような装置の1つ以上との衝撃から主に生じるような条件下で行うことができる。
【0119】
該少なくとも1つの表面反応性白色無機物質の表面反応性白色無機物質含有粒子、好ましくは炭酸カルシウム含有粒子が、湿式粉砕表面反応性白色無機物質含有粒子、好ましくは炭酸カルシウム含有粒子を含み、粉砕段階は自己粉砕が起こるような条件下で、および/または水平ボールミル粉砕、および/または当業者に公知の他のそのような方法によって行うことができる。該少なくとも1つの表面反応性白色無機物質のこのようにして製造された湿式加工粉砕表面反応性白色無機物質含有粒子、好ましくは、湿式粉砕炭酸カルシウム含有粒子は、周知の方法、例えば、乾燥前の凝集、濾過または強制蒸発によって洗浄し、脱水してもよい。乾燥後の段階は、噴霧乾燥のような単一の段階で、または少なくとも2つの段階、例えば、表面反応性白色無機物質含有粒子、好ましくは炭酸カルシウム含有粒子、の乾燥重量に基づいて約0.5重量%を超えないレベルにまで関連する含水量を低減するために、表面反応性白色無機物質含有粒子、好ましくは炭酸カルシウム含有粒子、に第1の加熱段階を適用し、表面反応性白色無機物質含有粒子、好ましくは炭酸カルシウム含有粒子の乾燥重量に基づいて約0.15重量%以下であるレベルにまで残留含水量を低減するために、炭酸カルシウムに第2の加熱段階を適用することによって行うことができる。前記乾燥が2以上の乾燥段階によって実施される場合には、第1の段階は空気の高温流中で加熱することにより行うことができ、第2およびさらなる乾燥段階は、好ましくは、対応する容器中の雰囲気が表面処理剤を含む間接加熱によって行われる。そのような表面反応性白色無機物質含有粒子、好ましくは炭酸カルシウム含有粒子が、不純物を除去する(例えば、浮遊選鉱、漂白または磁気分離段階のような)選鉱段階を経ることも一般的である。
【0120】
1つの好ましい実施形態では、該少なくとも1つの表面反応性白色無機物質の表面反応性白色無機物質含有粒子、好ましくは炭酸カルシウム含有粒子が、乾燥粉砕表面反応性白色無機物質含有粒子、好ましくは炭酸カルシウム含有粒子を含む。別の好ましい実施形態では、該少なくとも1つの表面反応性白色無機物質の表面反応性白色無機物質含有粒子、好ましくは炭酸カルシウム含有粒子が、ボールミルおよび/またはアトライターミルで湿式粉砕され、続いて噴霧乾燥の周知の方法を使用して乾燥させた材料である。
【0121】
該少なくとも1つの表面反応性白色無機物質の表面反応性白色無機物質含有粒子に応じて、表面反応性白色無機物質含有粒子、好ましくは炭酸カルシウム含有粒子の全表面含水率は、表面反応性白色無機物質含有粒子の乾燥重量に基づいて好ましくは0.2重量%未満、より好ましくは<0.1%である。
【0122】
1つの好ましい実施形態では、該少なくとも1つの表面反応性白色無機物質の表面反応性白色無機物質含有粒子、好ましくは炭酸カルシウム含有粒子が、表面反応性白色無機物質含有粒子の乾燥重量に基づいて0.01から0.2重量%、好ましくは0.02から0.15重量%、より好ましくは0.04から0.07重量%の全表面含水率を有する。
【0123】
例えば、湿式粉砕し、噴霧乾燥した大理石が該少なくとも1つの表面反応性白色無機物質の表面反応性白色無機物質含有粒子として使用される場合には、炭酸カルシウム含有粒子の全表面含水率は、表面反応性白色無機物質含有粒子の乾燥重量に基づいて、好ましくは0.01から0.1重量%、より好ましくは0.02から0.08重量%、最も好ましくは0.04から0.07重量%である。PCCが該少なくとも1つの表面反応性白色無機物質の表面反応性白色無機物質含有粒子として使用される場合には、表面反応性白色無機物質含有粒子の全表面含水率は、表面反応性白色無機物質含有粒子の乾燥重量に基づいて、好ましくは0.01から0.2重量%、より好ましくは0.05から0.17重量%、最も好ましくは0.05から0.10重量%である。
【0124】
該少なくとも1つの表面反応性白色無機物質の表面反応性白色無機物質含有粒子が、表面反応性白色無機物質含有粒子の全乾燥重量に基づいて、0.1重量%未満の、20℃(±2℃)での水への溶解度を有することがさらに要求される。例えば、該少なくとも1つの表面反応性白色無機物質の表面反応性白色無機物質含有粒子は、表面反応性白色無機物質含有粒子の全乾燥重量に基づいて、0.05重量%未満の、好ましくは0.01重量%未満の、20℃(±2℃)での水への溶解度を有する。
【0125】
本発明に従って、該少なくとも1つの表面反応性白色無機物質の表面反応性白色無機物質含有粒子は、表面反応性白色無機物質含有粒子の表面の少なくとも一部に1つ以上のリン酸モノエステルおよびその塩反応生成物並びに1つ以上のリン酸ジエステルおよびその塩反応生成物のリン酸エステル混合物を含む。
【0126】
従って、少なくとも1つの表面反応性白色無機物質は、表面反応性白色無機物質含有粒子と1つ以上のリン酸モノエステルおよびその塩反応生成物並びに1つ以上のリン酸ジエステルおよびその塩反応生成物のリン酸エステル混合物とを含み、好ましくはこれらからなることが理解される。
【0127】
本発明の1つの実施形態では、該少なくとも1つの表面反応性白色無機物質は、表面反応性白色無機物質の全乾燥重量に基づいて、≧90重量%の量で表面反応性白色無機物質含有粒子を含む。例えば、該少なくとも1つの表面反応性白色無機物質は、表面反応性白色無機物質の全乾燥重量に基づいて、≧95重量%、好ましくは≧97.5重量%の量で表面反応性白色無機物質含有粒子を含む。
【0128】
該少なくとも1つの表面反応性白色無機物質が、該少なくとも1つの表面反応性白色無機物質の全乾燥重量に基づいて、少なくとも0.1重量%の量のリン酸エステル混合物を含むことは本発明の1つの要件である。例えば、少なくとも1つの表面反応性白色無機物質は、少なくとも1つの表面反応性白色無機物質の全乾燥重量に基づいて、少なくとも0.2重量%の量の、または少なくとも0.3重量%の量のリン酸エステル混合物を含む。
【0129】
本発明の1つの実施形態では、該少なくとも1つの表面反応性白色無機物質は、表面反応性白色無機物質の全乾燥重量に基づいて、0.1から5重量%の量のリン酸エステル混合物を含む。例えば、該少なくとも1つの表面反応性白色無機物質は、表面反応性白色無機物質の全乾燥重量に基づいて、0.2から3重量%、好ましくは0.3から2重量%の量のリン酸エステル混合物を含む。
【0130】
従って、該少なくとも1つの表面反応性白色無機物質は、表面反応性白色無機物質の全乾燥重量に基づいて、≧90重量%の量で表面反応性白色無機物質含有粒子、および0.1から5重量%の量のリン酸エステル混合物を含むことが理解される。あるいは、該少なくとも1つの表面反応性白色無機物質は、表面反応性白色無機物質の全乾燥重量に基づいて、≧95重量%の量で表面反応性白色無機物質含有粒子、および0.2から3重量%の量のリン酸エステル混合物を含む。あるいは、該少なくとも1つの表面反応性白色無機物質は、表面反応性白色無機物質の全乾燥重量に基づいて、≧97.5重量%の量で表面反応性白色無機物質含有粒子、および0.3から2重量%の量のコーティング層を含む。
【0131】
少なくとも1つの表面反応性白色無機物質の表面反応性白色無機物質含有粒子の表面の少なくとも一部は、1つ以上のリン酸モノエステルおよびその塩反応生成物並びに1つ以上のリン酸ジエステルおよびその塩反応生成物のリン酸エステル混合物を含む。
【0132】
リン酸のアルキルエステルは特に、界面活性剤、潤滑剤、帯電防止剤(Die Tenside; Kosswig und Stache, Carl Hansen Verlag ミュンヒェン、1993)としてこの業界でよく知られている。
【0133】
異なる方法によるリン酸のアルキルエステルの合成および無機物質のリン酸アルキルエステルによる表面処理は、例えばPesticide Formulations and Application Systems: 15巻; Collins HM, Hall FR, Hopkinson M, STP1268;発行:1996,米国特許第3897519号明細書、米国特許第4921990号明細書、米国特許第4350645号明細書、米国特許第6710199号明細書、米国特許第4126650号明細書、米国特許第5554781号明細書、欧州特許第1092000号明細書および国際公開第2008/023076号から当業者に周知である。
【0134】
表現「1つ以上の」リン酸モノエステルは1種以上のリン酸モノエステル種がリン酸エステル混合物中に存在してもよいことを意味することが理解される。
【0135】
従って、1つ以上のリン酸モノエステルは1種のリン酸モノエステルであってもよいことに留意すべきである。あるいは、1つ以上のリン酸モノエステルは2種以上のリン酸モノエステルの混合物であってもよい。例えば、1つ以上のリン酸モノエステルは2種類のリン酸モノエステルのような、2または3種類のリン酸モノエステルの混合物であってもよい。
【0136】
本発明の1つの実施形態において、1つ以上のリン酸モノエステルは、アルコール置換基中、C6からC30の炭素原子の総量を有する、不飽和または飽和の、分枝状または直鎖状の、脂肪族または芳香族アルコールから選択された1つのアルコールでエステル化されたo−リン酸分子からなる。例えば、1つ以上のリン酸モノエステルは、アルコール置換基中、C8からC22、より好ましくはC8からC20、最も好ましくはC8からC18の炭素原子の総量を有する、不飽和または飽和の、分枝状または直鎖状の、脂肪族または芳香族アルコールから選択された1つのアルコールでエステル化されたo−リン酸分子からなる。
【0137】
本発明の1つの実施形態において、1つ以上のリン酸モノエステルは、アルコール置換基中、C6からC30の炭素原子の総量を有する、飽和および直鎖状または分枝状の脂肪族アルコールから選択された1つのアルコールでエステル化されたo−リン酸分子からなる。例えば、1つ以上のリン酸モノエステルは、アルコール置換基中、C8からC22、より好ましくはC8からC20、最も好ましくはC8からC18の炭素原子の総量を有する、飽和および直鎖状または分枝状の、脂肪族アルコールから選択された1つのアルコールでエステル化されたo−リン酸分子からなる。
【0138】
本発明の1つの実施形態において、1つ以上のリン酸モノエステルは、アルコール置換基中、C6からC30、好ましくはC8からC22、より好ましくはC8からC20、最も好ましくはC8からC18の炭素原子の総量を有する、飽和および直鎖状の脂肪族アルコールから選択された1つのアルコールでエステル化されたo−リン酸分子からなる。あるいは、1つ以上のリン酸モノエステルは、アルコール置換基中、C6からC30、好ましくはC8からC22、より好ましくはC8からC20、最も好ましくはC8からC18の炭素原子の総量を有する、飽和および分枝状の脂肪族アルコールから選択された1つのアルコールでエステル化されたo−リン酸分子からなる。
【0139】
本発明の1つの実施形態において、1つ以上のリン酸モノエステルは、ヘキシルリン酸モノエステル、ヘプチルリン酸モノエステル、オクチルリン酸モノエステル、2−エチルヘキシルリン酸モノエステル、ノニルリン酸モノエステル、デシルリン酸モノエステル、ウンデシルリン酸モノエステル、ドデシルリン酸モノエステル、テトラデシルリン酸モノエステル、ヘキサデシルリン酸モノエステル、ヘプチルノニルリン酸モノエステル、オクタデシルリン酸モノエステル、2−オクチル−1−デシルリン酸モノエステル、2−オクチル−1−ドデシルリン酸モノエステルおよびそれらの混合物を含む群から選択される。
【0140】
例えば、1つ以上のリン酸モノエステルは、2−エチルヘキシルリン酸モノエステル、ヘキサデシルリン酸モノエステル、ヘプチルノニルリン酸モノエステル、オクタデシルリン酸モノエステル、2−オクチル−1−デシルリン酸モノエステル、2−オクチル−1−ドデシルリン酸モノエステルおよびそれらの混合物を含む群から選択される。本発明の1つの実施形態において、1つ以上のリン酸モノエステルは、2−オクチル−1−ドデシルリン酸モノエステルである。
【0141】
表現「1つ以上の」リン酸ジエステルは1種以上のリン酸ジエステル種が少なくとも1つの炭酸カルシウム含有材料および/またはリン酸エステル混合物のコーティング層中に存在してもよいことを意味することが理解される。
【0142】
従って、1つ以上のリン酸ジエステルは1種のリン酸ジエステルであってもよいことに留意すべきである。あるいは、1つ以上のリン酸ジエステルは2種以上のリン酸ジエステルの混合物であってもよい。例えば、1つ以上のリン酸ジエステルは2種類のリン酸ジエステルのような、2または3種類のリン酸ジエステルの混合物であってもよい。
【0143】
本発明の1つの実施形態において、1つ以上のリン酸ジエステルは、アルコール置換基中、C6からC30の炭素原子の総量を有する、不飽和または飽和の、分枝状または直鎖状の、脂肪族または芳香族アルコールから選択された2つのアルコールでエステル化されたo−リン酸分子からなる。例えば、1つ以上のリン酸ジエステルは、アルコール置換基中、C8からC22、より好ましくはC8からC20、最も好ましくはC8からC18の炭素原子の総量を有する、不飽和または飽和の、分枝状または直鎖状の、脂肪族または芳香族アルコールから選択された2つの脂肪アルコールでエステル化されたo−リン酸分子からなる。
【0144】
リン酸をエステル化するために使用される2つのアルコールは、アルコール置換基中、C6からC30の炭素原子の総量を有する、同一または異なる、不飽和または飽和の、分枝状または直鎖状の、脂肪族または芳香族アルコールから独立に選択され得ることが理解される。言い換えれば、1つ以上のリン酸ジエステルは、同じアルコールに由来する2つの置換基を含むことができ、またはリン酸ジエステル分子は異なるアルコールに由来する2つの置換基を含んでもよい。
【0145】
本発明の1つの実施形態において、1つ以上のリン酸ジエステルは、アルコール置換基中、C6からC30の炭素原子の総量を有する、同一または異なる、飽和および直鎖状または分枝状の脂肪族アルコールから選択された2つのアルコールでエステル化されたo−リン酸分子からなる。例えば、1つ以上のリン酸ジエステルは、アルコール置換基中、C8からC22、より好ましくはC8からC20、最も好ましくはC8からC18の炭素原子の総量を有する、同一または異なる、飽和および直鎖状または分枝状の脂肪族アルコールから選択された2つのアルコールでエステル化されたo−リン酸分子からなる。
【0146】
本発明の1つの実施形態において、1つ以上のリン酸ジエステルは、アルコール置換基中、C6からC30、好ましくはC8からC22、より好ましくはC8からC20、最も好ましくはC8からC18の炭素原子の総量を有する、同一または異なる、飽和および直鎖状の脂肪族アルコールから選択された2つのアルコールでエステル化されたo−リン酸分子からなる。あるいは、1つ以上のリン酸ジエステルは、アルコール置換基中、C6からC30、好ましくはC8からC22、より好ましくはC8からC20、最も好ましくはC8からC18の炭素原子の総量を有する、同一または異なる、飽和および分岐状の脂肪族アルコールから選択された2つのアルコールでエステル化されたo−リン酸分子からなる。
【0147】
本発明の1つの実施形態において、1つ以上のリン酸ジエステルは、ヘキシルリン酸ジエステル、ヘプチルリン酸ジエステル、オクチルリン酸ジエステル、2−エチルヘキシルリン酸ジエステル、ノニルリン酸ジエステル、デシルリン酸ジエステル、ウンデシルリン酸ジエステル、ドデシルリン酸ジエステル、テトラデシルリン酸ジエステル、ヘキサデシルリン酸ジエステル、ヘプチルノニルリン酸ジエステル、オクタデシルリン酸ジエステル、2−オクチル−1−デシルリン酸ジエステル、2−オクチル−1−ドデシルリン酸ジエステルおよびそれらの混合物を含む群から選択される。
【0148】
例えば、1つ以上のリン酸ジエステルは、2−エチルヘキシルリン酸ジエステル、ヘキサデシルリン酸ジエステル、ヘプチルノニルリン酸ジエステル、オクタデシルリン酸ジエステル、2−オクチル−1−デシルリン酸ジエステル、2−オクチル−1−ドデシルリン酸ジエステルおよびそれらの混合物を含む群から選択される。本発明の1つの実施形態において、1つ以上のリン酸ジエステルは、2−オクチル−1−ドデシルリン酸ジエステルである。
【0149】
本発明の1つの実施形態において、1つ以上のリン酸モノエステルは、2−エチルヘキシルリン酸モノエステル、ヘキサデシルリン酸モノエステル、ヘプチルノニルリン酸モノエステル、オクタデシルリン酸モノエステル、2−オクチル−1−デシルリン酸モノエステル、2−オクチル−1−ドデシルリン酸モノエステルおよびそれらの混合物を含む群から選択され、1つ以上のリン酸ジエステルは、2−エチルヘキシルリン酸ジエステル、ヘキサデシルリン酸ジエステル、ヘプチルノニルリン酸ジエステル、オクタデシルリン酸ジエステル、2−オクチル−1−デシルリン酸ジエステル、2−オクチル−1−ドデシルリン酸ジエステルおよびそれらの混合物を含む群から選択される。
【0150】
例えば、該少なくとも1つの表面反応性白色無機物質の表面反応性白色無機物質含有粒子の表面の少なくとも一部は、1つのリン酸モノエステルおよびその塩反応生成物並びに1つのリン酸ジエステルおよびその塩反応生成物のリン酸エステル混合物を含む。この場合には、1つのリン酸モノエステルは、2−エチルヘキシルリン酸モノエステル、ヘキサデシルリン酸モノエステル、ヘプチルノニルリン酸モノエステル、オクタデシルリン酸モノエステル、2−オクチル−1−デシルリン酸モノエステルおよび2−オクチル−1−ドデシルリン酸モノエステルを含む群から選択され、1つのリン酸ジエステルは、2−エチルヘキシルリン酸ジエステル、ヘキサデシルリン酸ジエステル、ヘプチルノニルリン酸ジエステル、オクタデシルリン酸ジエステル、2−オクチル−1−デシルリン酸ジエステルおよび2−オクチル−1−ドデシルリン酸ジエステルを含む群から選択される。
【0151】
該少なくとも1つの表面反応性白色無機物質の表面反応性白色無機物質含有粒子の表面の少なくとも一部が、1つのリン酸モノエステルおよびその塩反応生成物並びに1つのリン酸ジエステルおよびその塩反応生成物のリン酸エステル混合物を含む場合には、1つのリン酸モノエステルおよび1つのリン酸ジエステルのアルコール置換基は好ましくは同一であることが理解される。例えば、該少なくとも1つの表面反応性白色無機物質の表面反応性白色無機物質含有粒子の表面の少なくとも一部は、2−エチルヘキシルリン酸モノエステルおよびその塩反応生成物並びに2−エチルヘキシルリン酸ジエステルおよびその塩反応生成物のリン酸エステル混合物を含む。あるいは、該少なくとも1つの表面反応性白色無機物質の表面反応性白色無機物質含有粒子の表面の少なくとも一部は、2−オクチル−1−デシルリン酸モノエステルおよびその塩反応生成物並びに2−オクチル−1−デシルリン酸ジエステルおよびその塩反応生成物のリン酸エステル混合物を含む。あるいは、該少なくとも1つの表面反応性白色無機物質の表面反応性白色無機物質含有粒子の表面の少なくとも一部は、ヘキサデシルリン酸モノエステルおよびその塩反応生成物並びにヘキサデシルリン酸ジエステルおよびその塩反応生成物のリン酸エステル混合物を含む。あるいは、該少なくとも1つの表面反応性白色無機物質の表面反応性白色無機物質含有粒子の表面の少なくとも一部は、オクタデシルリン酸モノエステルおよびその塩反応生成物並びにオクタデシルリン酸ジエステルおよびその塩反応生成物のリン酸エステル混合物を含む。あるいは、該少なくとも1つの表面反応性白色無機物質の表面反応性白色無機物質含有粒子の表面の少なくとも一部は、2−オクチル−1−ドデシルリン酸モノエステルおよびその塩反応生成物並びに2−オクチル−1−ドデシルリン酸ジエステルおよびその塩反応生成物のリン酸エステル混合物を含む。
【0152】
本発明の1つの実施形態では、リン酸エステル混合物は2つ以上のリン酸モノエステルおよびその塩反応生成物並びに2つ以上のリン酸ジエステルおよびその塩反応生成物を含む。この場合には、2つ以上のリン酸モノエステルは、2−エチルヘキシルリン酸モノエステル、ヘキサデシルリン酸モノエステル、ヘプチルノニルリン酸モノエステル、オクタデシルリン酸モノエステル、2−オクチル−1−デシルリン酸モノエステルおよび2−オクチル−1−ドデシルリン酸モノエステルを含む群から選択され、2つ以上のリン酸ジエステルは、2−エチルヘキシルリン酸ジエステル、ヘキサデシルリン酸ジエステル、ヘプチルノニルリン酸ジエステル、オクタデシルリン酸ジエステル、2−オクチル−1−デシルリン酸ジエステルおよび2−オクチル−1−ドデシルリン酸ジエステルを含む群から選択される。
【0153】
本発明の1つの実施形態では、リン酸エステル混合物は2つのリン酸モノエステルおよびその塩反応生成物並びに2つのリン酸ジエステルおよびその塩反応生成物を含む。例えば、該少なくとも1つの表面反応性白色無機物質の表面反応性白色無機物質含有粒子の表面の少なくとも一部は、ヘキサデシルリン酸モノエステル、オクタデシルリン酸モノエステル、ヘキサデシルリン酸ジエステル、オクタデシルリン酸ジエステルおよびその塩反応生成物およびその塩反応生成物のリン酸エステル混合物を含む。
【0154】
該少なくとも1つの表面反応性白色無機物質のリン酸エステル混合物が特定のモル比で1つ以上のリン酸ジエステルおよびその塩反応生成物に対し1つ以上のリン酸モノエステルおよびその塩反応生成物を含むことが本発明の1つの要件である。具体的には、コーティング層および/またはリン酸エステル混合物中1つ以上のリン酸モノエステルおよびその塩反応生成物対1つ以上のリン酸ジエステルおよびその塩反応生成物のモル比は1:1から1:100である。
【0155】
本発明の意味における文言「1つ以上のリン酸モノエステルおよびその塩反応生成物対1つ以上のリン酸ジエステルおよびその塩反応生成物のモル比」は、リン酸モノエステル分子の分子量の合計およびその塩反応生成物におけるリン酸モノエステル分子の分子量の合計対リン酸ジエステル分子の分子量の合計およびその塩反応生成物におけるリン酸ジエステル分子の分子量の合計を指す。
【0156】
本発明の1つの実施形態では、該少なくとも1つの表面反応性白色無機物質のリン酸エステル混合物中の1つ以上のリン酸モノエステルおよびその塩反応生成物対1つ以上のリン酸ジエステルおよびその塩反応生成物のモル比は1:1から1:80である。例えば、該少なくとも1つの表面反応性白色無機物質のリン酸エステル混合物中の1つ以上のリン酸モノエステルおよびその塩反応生成物対1つ以上のリン酸ジエステルおよびその塩反応生成物のモル比は、1:1.1から1:60、より好ましくは1:1.1から1:40、さらに好ましくは1:1.1から1:20、最も好ましくは1:1.1から1:10である。
【0157】
さらにあるいはまた、該少なくとも1つの表面反応性白色無機物質のリン酸エステル混合物は、1つ以上のリン酸モノエステルおよびその塩反応生成物並びに1つ以上のリン酸ジエステルおよびその塩反応生成物の合計モルに基づいて、1から50モル%の量の1つ以上のリン酸モノエステルおよびその塩反応生成物を含む。例えば、該少なくとも1つの表面反応性白色無機物質のリン酸エステル混合物は、1つ以上のリン酸モノエステルおよびその塩反応生成物並びに1つ以上のリン酸ジエステルおよびその塩反応生成物の合計モルに基づいて、10から45モル%の量の1つ以上のリン酸モノエステルおよびその塩反応生成物を含む。
【0158】
本発明の1つの実施形態では、該少なくとも1つの表面反応性白色無機物質のリン酸エステル混合物は、1つ以上のリン酸トリエステルおよび/またはリン酸およびその塩反応生成物をさらに含む。
【0159】
本発明の1つの実施形態では、該少なくとも1つの表面反応性白色無機物質のリン酸エステル混合物は、1つ以上のリン酸トリエステル並びにリン酸およびその塩反応生成物をさらに含む。
【0160】
本発明の意味において、用語「リン酸トリエステル」は、アルコール置換基中、C6からC30、好ましくはC8からC22、より好ましくはC8からC20、最も好ましくはC8からC18の炭素原子の総量を有する、同一または異なる、不飽和または飽和の、分岐状または直鎖状の、脂肪族または芳香族アルコールから選択された3つのアルコール分子でトリエステル化されたo−リン酸分子を指す。
【0161】
表現「1つ以上の」リン酸トリエステルは1種以上のリン酸トリエステルが表面反応性白色無機物質含有粒子の表面の少なくとも一部上に存在し得ることを意味することが理解される。
【0162】
従って、1つ以上のリン酸トリエステルは1種のリン酸トリエステルであってもよいことに留意すべきである。あるいは、1つ以上のリン酸トリエステルは2種以上のリン酸トリエステルの混合物であってもよい。例えば、1つ以上のリン酸トリエステルは2種のリン酸トリエステルのような、2または3種類のリン酸トリエステルの混合物であってもよい。
【0163】
本発明の1つの実施形態において、1つ以上のリン酸トリエステルは、アルコール置換基中、C6からC30の炭素原子の総量を有する、同一または異なる、不飽和または飽和の、分枝状または直鎖状の、脂肪族または芳香族アルコールから選択された3つのアルコールでエステル化されたo−リン酸分子からなる。例えば、1つ以上のリン酸トリエステルは、アルコール置換基中、C8からC22、より好ましくはC8からC20、最も好ましくはC8からC18の炭素原子の総量を有する、同一または異なる、不飽和または飽和の、分枝状または直鎖状の、脂肪族または芳香族脂肪アルコールから選択された3つのアルコールでエステル化されたo−リン酸分子からなる。
【0164】
リン酸をエステル化するために使用される3つのアルコールは、それぞれ独立に、アルコール置換基中、C6からC30の炭素原子の総量を有する、不飽和または飽和の、分枝状または直鎖状の、脂肪族または芳香族アルコールから選択され得ることが理解される。言い換えれば、1つ以上のリン酸トリエステル分子は、同じアルコールに由来する3つの置換基を含んでもよく、またはリン酸トリエステル分子は異なるアルコールに由来する3つの置換基を含んでもよい。
【0165】
本発明の1つの実施形態において、1つ以上のリン酸トリエステルは、アルコール置換基中、C6からC30の炭素原子の総量を有する、同一または異なる、飽和および直鎖状または分枝状の脂肪族アルコールから選択された3つのアルコールでエステル化されたo−リン酸分子からなる。例えば、1つ以上のリン酸トリエステルは、アルコール置換基中、C8からC22、より好ましくはC8からC20、最も好ましくはC8からC18の炭素原子の総量を有する、同一または異なる、飽和および直鎖状または分枝状の脂肪族アルコールから選択された3つのアルコールでエステル化されたo−リン酸分子からなる。
【0166】
本発明の1つの実施形態において、1つ以上のリン酸トリエステルは、アルコール置換基中、C6からC30、好ましくはC8からC22、より好ましくはC8からC20、最も好ましくはC8からC18の炭素原子の総量を有する、飽和および直鎖状の脂肪族アルコールから選択された3つのアルコールでエステル化されたo−リン酸分子からなる。あるいは、1つ以上のリン酸トリエステルは、アルコール置換基中、C6からC30、好ましくはC8からC22、より好ましくはC8からC20、最も好ましくはC8からC18の炭素原子の総量を有する、飽和および分枝状の脂肪族アルコールから選択された3つのアルコールでエステル化されたo−リン酸分子からなる。
【0167】
本発明の1つの実施形態において、1つ以上のリン酸トリエステルは、ヘキシルリン酸トリエステル、ヘプチルリン酸トリエステル、オクチルリン酸トリエステル、2−エチルヘキシルリン酸トリエステル、ノニルリン酸トリエステル、デシルリン酸トリエステル、ウンデシルリン酸トリエステル、ドデシルリン酸トリエステル、テトラデシルリン酸トリエステル、ヘキサデシルリン酸トリエステル、ヘプチルノニルリン酸トリエステル、オクタデシルリン酸トリエステル、2−オクチル−1−デシルリン酸トリエステル、2−オクチル−1−ドデシルリン酸トリエステルおよびそれらの混合物を含む群から選択される。
【0168】
例えば、1つ以上のリン酸トリエステルは、2−エチルヘキシルリン酸トリエステル、ヘキサデシルリン酸トリエステル、ヘプチルノニルリン酸トリエステル、オクタデシルリン酸トリエステル、2−オクチル−1−デシルリン酸トリエステル、2−オクチル−1−ドデシルリン酸トリエステルおよびそれらの混合物を含む群から選択される。
【0169】
本発明の1つの実施形態では、該少なくとも1つの表面反応性白色無機物質の表面反応性白色無機物質含有粒子の表面の少なくとも一部は、1つ以上のリン酸モノエステルおよびその塩反応生成物、並びに1つ以上のリン酸ジエステルおよびその塩反応生成物、並びに1つ以上のリン酸トリエステル、並びに場合によりリン酸およびその塩反応生成物のリン酸エステル混合物を含む。例えば、該少なくとも1つの表面反応性白色無機物質の表面反応性白色無機物質含有粒子の表面の少なくとも一部は、1つ以上のリン酸モノエステルおよびその塩反応生成物、並びに1つ以上のリン酸ジエステルおよびその塩反応生成物、並びに1つ以上のリン酸トリエステル、並びにリン酸およびその塩反応生成物のリン酸エステル混合物を含む。
【0170】
あるいは、該少なくとも1つの表面反応性白色無機物質の表面反応性白色無機物質含有粒子の表面の少なくとも一部は、1つ以上のリン酸モノエステルおよびその塩反応生成物、並びに1つ以上のリン酸ジエステルおよびその塩反応生成物、並びに場合によりリン酸およびその塩反応生成物のリン酸エステル混合物を含む。例えば、該少なくとも1つの表面反応性白色無機物質の表面反応性白色無機物質含有粒子の表面の少なくとも一部は、1つ以上のリン酸モノエステルおよびその塩反応生成物、並びに1つ以上のリン酸ジエステルおよびその塩反応生成物、並びにリン酸およびその塩反応生成物のリン酸エステル混合物を含む。
【0171】
該少なくとも1つの表面反応性白色無機物質の表面反応性白色無機物質含有粒子の表面の少なくとも一部が1つ以上のリン酸トリエステルを含有するリン酸エステル混合物を含む場合には、リン酸エステル混合物は、1つ以上のリン酸モノエステルおよびその塩反応生成物、並びに1つ以上のリン酸ジエステルおよびその塩反応生成物、並びに1つ以上のリン酸トリエステル、並びにリン酸およびその塩反応生成物の合計モルに基づいて、≦10モル%の量の1つ以上のリン酸トリエステルを含むことが好ましい。例えば、リン酸エステル混合物は、1つ以上のリン酸モノエステルおよびその塩反応生成物、並びに1つ以上のリン酸ジエステルおよびその塩反応生成物、並びに1つ以上のリン酸トリエステル、並びにリン酸およびその塩反応生成物の合計モルに基づいて、≦8モル%、好ましくは≦6モル%、より好ましくは0.1から4モル%のような、≦4モル%の量の1つ以上のリン酸トリエステルを含む。
【0172】
さらにあるいはまた、該少なくとも1つの表面反応性白色無機物質の表面反応性白色無機物質含有粒子の表面の少なくとも一部がリン酸およびその塩反応生成物を含むリン酸エステル混合物を含む場合には、リン酸エステル混合物は、1つ以上のリン酸モノエステルおよびその塩反応生成物、並びに1つ以上のリン酸ジエステルおよびその塩反応生成物、並びに1つ以上のリン酸トリエステル、並びにリン酸およびその塩反応生成物の合計モルに基づいて、≦10モル%の量のリン酸およびその塩反応生成物を含むことが好ましい。例えば、リン酸エステル混合物は、1つ以上のリン酸モノエステルおよびその塩反応生成物、並びに1つ以上のリン酸ジエステルおよびその塩反応生成物、並びに1つ以上のリン酸トリエステル、並びにリン酸およびその塩反応生成物の合計モルに基づいて、≦8モル%、好ましくは≦6モル%、より好ましくは0.1から4モル%のような、≦4モル%の量のリン酸およびその塩反応生成物を含む。
【0173】
リン酸エステル混合物がリン酸およびその塩反応生成物、並びに1つ以上のリン酸トリエステルをさらに含む場合には、リン酸エステル混合物中のリン酸およびその塩反応生成物対1つ以上のリン酸モノエステルおよびその塩反応生成物対1つ以上のリン酸ジエステルおよびその塩反応生成物対1つ以上のリン酸トリエステルのモル比が、1つ以上のリン酸モノエステルおよびその塩反応生成物、並びに1つ以上のリン酸ジエステルおよびその塩反応生成物、並びに1つ以上のリン酸トリエステル、並びにリン酸およびその塩反応生成物の合計モルに基づいて、≦10モル%:≦40モル%:≧40モル%:≦10モル%であることが好ましい。
【0174】
本発明の意味において、文言「リン酸およびその塩反応生成物対1つ以上のリン酸モノエステルおよびその塩反応生成物対1つ以上のリン酸ジエステルおよびその塩反応生成物対1つ以上のリン酸トリエステルのモル比」は、リン酸の分子量の合計およびその塩反応生成物中のリン酸分子の分子量の合計対リン酸モノエステル分子の分子量の合計およびその塩反応生成物中のリン酸モノエステル分子の分子量の合計対リン酸ジエステル分子の分子量の合計およびその塩反応生成物中のリン酸ジエステル分子の分子量の合計対リン酸トリエステル分子の分子量の合計を指す。
【0175】
リン酸エステル混合物は、該少なくとも1つの表面反応性白色無機物質含有粒子を1つ以上のリン酸モノエステルおよび1つ以上のリン酸ジエステルおよび場合によりリン酸と接触させることから得られた塩反応生成物を含んでもよいことが理解される。そのような場合には、リン酸エステル混合物は、好ましくは、リン酸モノエステルの1つ以上のストロンチウム、カルシウム、マグネシウムおよび/またはアルミニウム塩並びにリン酸ジエステルの1つ以上のカルシウム、マグネシウムおよび/またはアルミニウム塩並びに場合によりリン酸の1つ以上のストロンチウム、カルシウム、マグネシウムおよび/またはアルミニウム塩などのような塩反応生成物を含む。
【0176】
本発明の1つの実施形態では、1つ以上のリン酸モノエステルおよび/または1つ以上のリン酸ジエステルおよび場合によりリン酸は、少なくとも1つの炭酸カルシウム含有材料が調製される前に、1価および/または2価および/または3価のカチオンの1つ以上の水酸化物並びに/または1価および/または2価および/または3価のカチオンの弱酸の1つ以上の塩によって少なくとも部分的に中和され得る。2価および/または3価のカチオンの1つ以上の水酸化物は、Ca(OH)
2、Mg(OH)
2、Al(OH)
3およびそれらの混合物から選択することができる。
【0177】
さらにあるいはまた、1つ以上のリン酸モノエステルおよび/または1つ以上のリン酸ジエステル、および場合によりリン酸が1つ以上の水酸化物および/または1価のカチオンの弱酸の1つ以上の塩によって少なくとも部分的に中和される場合には、1価のカチオンの量は、1つ以上のリン酸モノエステルおよび1つ以上のリン酸ジエステル、および場合によりリン酸中の酸性基の合計モルに基づいて、好ましくは≦10モル%であり、中和するための1つ以上の水酸化物および/または1価のカチオンの弱酸の1つ以上の塩はLiOH、NaOH、KOH、Na
2CO
3、Li
2CO
3、K
2CO
3およびそれらの混合物から選択することができる。
【0178】
本発明の1つの実施形態では、1つ以上のリン酸モノエステルおよび/または1つ以上のリン酸ジエステル、および場合によりリン酸の部分的中和に使用される2価カチオンは、そのようなカチオンの弱酸の塩、好ましくは炭酸塩および/またはホウ酸塩、例えば、炭酸カルシウムから誘導される。
【0179】
本願の意味における用語「弱酸」はブレンステッド−ローリー酸、即ち、すなわち>2、好ましくは4から7のpK
aを特徴とするH
3O
+イオンを提供するものを指す。
【0180】
従って、該少なくとも1つの表面反応性白色無機物質のリン酸エステル混合物は、リン酸モノエステルの1つ以上のマグネシウム塩およびリン酸ジエステルの1つ以上のマグネシウム塩、および場合によりリン酸の1つ以上のマグネシウム塩などのような塩反応生成物をさらに含む。さらにあるいはまた、該少なくとも1つの表面反応性白色無機物質のリン酸エステル混合物は、リン酸モノエステルの1つ以上のアルミニウム塩およびリン酸ジエステルの1つ以上のアルミニウム塩、および場合によりリン酸の1つ以上のアルミニウム塩などのような塩反応生成物をさらに含む。さらにあるいはまた、該少なくとも1つの表面反応性白色無機物質のリン酸エステル混合物は、リン酸モノエステルの1つ以上のリチウム塩およびリン酸ジエステルの1つ以上のリチウム塩、および場合によりリン酸の1つ以上のリチウム塩などのような塩反応生成物をさらに含む。さらにあるいはまた、該少なくとも1つの表面反応性白色無機物質のリン酸エステル混合物は、リン酸モノエステルの1つ以上のナトリウム塩およびリン酸ジエステルの1つ以上のナトリウム塩、および場合によりリン酸の1つ以上のナトリウム塩などのような塩反応生成物をさらに含む。さらにあるいはまた、少なくとも1つの表面反応性白色無機物質のリン酸エステル混合物は、リン酸モノエステルの1つ以上のカリウム塩およびリン酸ジエステルの1つ以上のカリウム塩、および場合によりリン酸の1つ以上のカリウム塩などのような塩反応生成物をさらに含む。
【0181】
1つ以上のリン酸モノエステルおよび/または1つ以上のリン酸ジエステル、および場合によりリン酸が、1つ以上の水酸化物および/または1価のカチオンの弱酸の1つ以上の塩により少なくとも部分的に中和されている場合には、コーティング層および/またはリン酸エステル混合物は、1つ以上のリン酸モノエステルおよび1つ以上のリン酸ジエステル、および場合によりリン酸における酸性基の合計モルに基づいて、好ましくは、≦10モル%の1価のカチオンの量を含む。
【0182】
本発明の1つの実施形態では、該少なくとも1つの表面反応性白色無機物質のリン酸エステル混合物は、本発明の1つ以上のリン酸モノエステル、1つ以上のリン酸ジエステル、並びに場合により1つ以上のリン酸トリエステルおよび/またはリン酸に対応しない追加の表面処理剤をさらに含んでいてもよい。そのような追加の表面処理剤は好ましくはポリシロキサンなどのような少なくとも1つの有機材料である。例えば、ポリシロキサンは好ましくはポリジメチルシロキサン(PDMS)である。
【0183】
ポリシロキサンは、好ましくは、該少なくとも1つの表面反応性白色無機物質の表面反応性白色無機物質含有粒子の表面の少なくとも一部上のポリシロキサンの合計量が1000ppm未満、より好ましくは800ppm未満、最も好ましくは600ppm未満であるような量で存在する。例えば、該少なくとも1つの表面反応性白色無機物質の表面反応性白色無機物質含有粒子の表面の少なくとも一部上のポリシロキサンの合計量は100から1000ppmであり、より好ましくは200から800ppmであり、最も好ましくは300から600ppmであり、例えば、400から600ppmである。
【0184】
本発明の1つの実施形態では、該少なくとも1つの表面反応性白色無機物質のリン酸エステル混合物は<50ppmのC6からC30カルボン酸を含む。
【0185】
さらに、該少なくとも1つの表面反応性白色無機物質が特定の特徴を有することが本発明の1つの要件である。
【0186】
特に、該少なくとも1つの表面反応性白色無機物質が≧250℃の揮発性物質発生温度を有することが本発明の1つの要件である。例えば、該少なくとも1つの表面反応性白色無機物質は、≧255℃、好ましくは、≧265℃、最も好ましくは≧270℃の揮発性物質発生温度を特色とする。
【0187】
さらにあるいはまた、該少なくとも1つの表面反応性白色無機物質は、25および350℃の間で0.25%未満、好ましくは0.23質量%未満、例えば、0.04から0.21質量%、好ましくは0.08から0.15質量%、より好ましくは0.1から0.12質量%の全揮発性物質を特色とする。
【0188】
また、該少なくとも1つの表面反応性白色無機物質は低い吸湿感受性を特色とする。該少なくとも1つの表面反応性白色無機物質の吸湿感受性は、その全表面水分レベルが約+23℃(±2℃)の温度で、≦0.8mg/gの乾燥した表面反応性白色無機物質であるようなものであることが好ましい。例えば、該少なくとも1つの表面反応性白色無機物質は、+23℃(±2℃)の温度で、0.7mg/g未満、より好ましくは0.6mg/g未満、最も好ましくは0.5mg/gの乾燥した表面反応性白色無機物質の吸湿感受性を有する。本発明の1つの実施形態では、該少なくとも1つの表面反応性白色無機物質は、+23℃(±2℃)の温度で 、0.1および0.8mg/gの間、より好ましくは0.2および0.7mg/gの間、最も好ましくは0.3および0.6mg/gの間の乾燥した表面反応性白色無機物質の吸湿感受性を有する。
【0189】
該少なくとも1つの表面反応性白色無機物質が、+23℃(±2℃)の温度で沈殿法により測定した水:エタノールの体積比が8:2より小さい親水性を有することが本発明のさらなる要件である。例えば、該少なくとも1つの表面反応性白色無機物質は、+23℃(±2℃)の温度で沈殿法により測定した水:エタノールの体積比が7:3より小さい親水性を有する。
【0190】
本発明の別の態様によれば、上記で定義された表面反応性白色鉱物物質を製造する方法が提供される。この方法は、
(a)≦7.5μmの重量メジアン粒径d
50を有し、表面反応性白色無機物質含有粒子の全乾燥重量に基づき、20℃(±2℃)で0.1重量%未満の水中での溶解度を有する表面反応性白色無機物質含有粒子を提供する段階、
(b)1つ以上のリン酸モノエステルおよび1つ以上のリン酸ジエステル、並びに場合により1つ以上のリン酸トリエステルおよび/またはリン酸を含むリン酸エステル混合物を提供する段階であって、リン酸エステル混合物中の1つ以上のリン酸モノエステル対1つ以上のリン酸ジエステルのモル比が1:1から1:100である段階、
(c)1つ以上のリン酸モノエステルおよびその塩反応生成物、並びに1つ以上のリン酸ジエステルおよびその塩反応生成物、並びに場合により1つ以上のリン酸トリエステルおよび/またはリン酸およびその塩反応生成物を含むリン酸エステル混合物が、段階(a)の表面反応性白色無機物質含有粒子の表面の少なくとも一部上に形成されるように、1つ以上の段階で、段階(a)の表面反応性白色無機物質含有粒子を段階(b)のリン酸エステル混合物と接触させる段階
を含み、段階(c)の前および/または間に、段階(b)のリン酸エステル混合物が液体であるように温度が調製される。
【0191】
本発明の意味における「液体」状態は、材料が完全に液体である、言い換えれば完全に溶融された状態と定義される。溶融という現象は一定の温度でエネルギーを適用する際に起こる一方で、動的走査熱量測定、DSC(DIN 51005:1983−11)によって得られた温度対エネルギー入力をプロットした曲線上に観察されるように、温度が上昇し始めたときに、物質は溶融に続く瞬間において溶融されていると見なされる。
【0192】
この方法によって調製された表面反応性白色無機物質、段階a)で提供される表面反応性白色無機物質含有粒子、段階b)のリン酸エステル混合物中に提供され得るリン酸モノエステルおよび1つ以上のリン酸ジエステル、並びに場合により1つ以上のリン酸トリエステルおよび/またはリン酸については、表面反応性白色無機物質、表面反応性白色無機物質含有粒子、リン酸モノエステルおよび1つ以上のリン酸ジエステル並びに1つ以上のリン酸トリエステルおよび/またはリン酸を定義する際に、それは上述した定義が参照される。
【0193】
段階(b)で提供されるリン酸エステル混合物中の1つ以上のリン酸モノエステル対1つ以上のリン酸ジエステルのモル比が1:1から1:100であることが本発明の1つの要件である。
【0194】
本発明の1つの実施形態では、段階(b)で提供されるリン酸エステル混合物中の1つ以上のリン酸モノエステル対1つ以上のリン酸ジエステルのモル比は1:1.1から1:80である。例えば、段階(b)で提供されるリン酸エステル混合物中の1つ以上のリン酸モノエステル対1つ以上のリン酸ジエステルのモル比は1:1.1から1:60、より好ましくは1:1.1から1:40、さらにより好ましくは1:1.1から1:20、最も好ましくは1:1.1から1:10である。
【0195】
本発明の1つの実施形態では、段階(b)で提供されるリン酸エステル混合物は、1つ以上のリン酸モノエステルおよび1つ以上のリン酸ジエステルの合計モルに基づいて1から50モル%、好ましくは10から45モル%の量で1つ以上のリン酸モノエステルを含む。
【0196】
段階(b)で提供されるリン酸エステル混合物は、1つ以上のリン酸トリエステルおよび/またはリン酸をさらに含むことができることが理解される。例えば、段階(b)で提供されるリン酸エステル混合物は、1つ以上のリン酸トリエステルおよびリン酸をさらに含む。
【0197】
段階(b)で提供されるリン酸エステル混合物がリン酸および1つ以上のリン酸トリエステルを含む場合には、リン酸エステル混合物中のリン酸対1つ以上のリン酸モノエステル対1つ以上のリン酸ジエステル対1つ以上のリン酸トリエステルのモル比は、1つ以上のリン酸モノエステルおよび1つ以上のリン酸ジエステルおよび1つ以上のリン酸トリエステルおよびリン酸の合計モルに基づいて、≦10モル%:≦40モル%:≧40モル%:≦10モル%あることが好ましい。
【0198】
本発明の1つの実施形態では、段階(b)のリン酸エステル混合物は、1つ以上のリン酸モノエステルおよび/または1つ以上のリン酸ジエステルおよび場合によりリン酸が1価および/または2価および/または3価のカチオンの1つ以上の水酸化物により少なくとも部分的に中和されるように提供される。例えば、段階(b)のリン酸エステル混合物中の1つ以上のリン酸モノエステルおよび1つ以上のリン酸ジエステルおよび場合によりリン酸は、1価および/または2価および/または3価のカチオンの1つ以上の水酸化物並びに/または1価および/または2価および/または3価のカチオンの弱酸の1つ以上の塩により少なくとも部分的に中和される。従って、1つ以上のリン酸モノエステルおよび/または1つ以上のリン酸ジエステルおよび場合によりリン酸のそのような少なくとも部分的な中和は、好ましくは、接触段階(c)が実施される前に行われる。1価および/または2価および/または3価のカチオンの1つ以上の水酸化物は、Ca(OH)
2、Mg(OH)
2、Al(OH)
3およびそれらの混合物から選択することができることが好ましい。さらにあるいはまた、1つ以上の水酸化物および/または1価のカチオンの弱酸の一つ以上の塩はLiOH、NaOH、KOH、Na
2CO
3、Li
2CO
3、K
2CO
3およびそれらの混合物から選択することができる。
【0199】
段階(b)のリン酸エステル混合物が1つ以上のリン酸モノエステルおよび1つ以上のリン酸ジエステル、および場合によりリン酸における酸性基の合計モルに基づいて、≦10モル%の、リチウム、ナトリウム、および/またはカリウムのような1価のカチオンの量を含むことが好ましい。
【0200】
本発明のさらに好ましい実施形態では、段階(b)のリン酸エステル混合物中のリン酸モノエステルおよびリン酸ジエステルおよびリン酸は、アンモニアおよび/またはアミンで、より好ましくはアルカノールアミンで、最も好ましくはトリイソプロパノールアミンで少なくとも部分的に中和される。
【0201】
段階(a)の表面反応性白色無機物質含有粒子を、1つ以上の段階で、段階(b)のリン酸エステル混合物と接触させる段階は、好ましくは混合条件下で行う。当業者は、その方法用機器に応じて(例えば、混合パレットの構成および混合速度のような)これらの混合条件を適応させる。
【0202】
1つの実施形態では、本発明の方法は連続法であってもよい。この場合には、リン酸エステル混合物の一定濃度が接触段階中に提供されるように、一定流量で表面反応性白色無機物質含有粒子を段階(b)のリン酸エステル混合物と接触させることができる。
【0203】
あるいは、表面反応性白色無機物質含有粒子は、1つの段階で、段階(b)のリン酸エステル混合物と接触させ、ここでリン酸エステル混合物は好ましくは一度に添加される。
【0204】
別の実施形態では、本発明の方法はバッチ処理であってもよく、即ち、表面反応性白色無機物質含有粒子は、2以上の段階で、段階(b)のリン酸エステル混合物と接触させ、ここでリン酸エステル混合物はほぼ等分で添加されることが好ましい。あるいは、表面反応性白色無機物質含有粒子に等しくない割り当て、即ち、より大きいおよびより小さい割り当てでリン酸エステル混合物を添加することもできる。
【0205】
本発明の1つの実施形態によれば、接触段階(c)は0.1から1000秒の時間の間、バッチまたは連続法で行われる。例えば、接触段階(c)は連続法であり、1つまたはいくつかの接触段階を含み、全接触時間は0.1から20秒、好ましくは0.5から15秒、最も好ましくは1から10秒である。
【0206】
段階(b)のリン酸エステル混合物中の1つ以上のリン酸モノエステルおよび1つ以上のリン酸ジエステル、および場合によりリン酸トリエステルが液体であるように、温度が段階(c)の間調整されることが本発明の方法の1つの要件である。本発明の1つの実施形態では、表面反応性白色無機物質含有粒子と段階(b)のリン酸エステル混合物との接触は、20から200℃、好ましくは90から200℃、より好ましくは100から150℃、最も好ましくは110から130℃の温度で行われる。
【0207】
表面反応性白色無機物質含有粒子と段階(b)のリン酸エステル混合物との接触を行うための処理時間は、1000秒以下の期間、好ましくは500秒以下の期間、より好ましくは250秒以下の期間、最も好ましくは0.1〜1000秒の期間実施される。例えば、接触段階(c)は、0.1から20秒、好ましくは0.5から15秒、最も好ましくは1から10秒の期間行われる。一般に、表面反応性白色無機物質含有粒子と段階(b)のリン酸エステル混合物との接触の長さは、前記接触の間に適用される処理温度によって決定される。例えば、約200℃の処理温度が適用される場合には、処理時間は例えば、約0.1と短い。約90℃の処理温度が適用される場合には、処理時間は、例えば、約1000秒と長くすることができる。
【0208】
本発明の1つの実施形態では、表面反応性白色無機物質含有粒子は、接触段階(c)が実行される前に、予熱、即ち、活性化される。即ち、表面反応性白色無機物質含有粒子は、接触段階(c)が実行される前に、90から200℃、好ましくは100から150℃、最も好ましくは110から130℃の温度で処理される。
【0209】
表面反応性白色無機物質含有粒子の予熱を行うための処理時間は、30分以下の期間、好ましくは20分以下、より好ましく15分以下の期間行われる。
【0210】
本発明の1つの実施形態では、表面反応性白色無機物質含有粒子の予熱は、接触段階(c)の間に実施される温度にほぼ等しい温度で行われる。
【0211】
本発明の意味における用語「等しい」温度は、最大20℃、好ましくは最大15℃、より好ましくは10℃、最も好ましくは最大5℃、接触段階(c)の間に実施される温度より下または上である予熱温度を指す。
【0212】
本発明の1つの実施形態によれば、この方法は段階(a)の表面反応性白色無機物質含有粒子を、1つ以上の段階で、ポリシロキサンのような少なくとも1つの有機材料と接触させる段階(d)をさらに含む。
【0213】
本発明の方法が接触段階(d)をさらに含む場合には、表面反応性白色無機物質含有粒子と少なくとも1つの有機材料とのそのような接触は、表面反応性白色無機物質含有粒子と段階(b)のリン酸エステル混合物との接触の間および/または後に行ってもよい。本発明の1つの実施形態では、少なくとも1つの有機材料とのそのような接触は、表面反応性白色無機物質含有粒子と段階(b)のリン酸エステル混合物との接触の後に行われる。
【0214】
上記で定義された表面反応性白色無機物質を製造する方法の非常に良好な結果を考慮すると、本発明のさらなる態様は、本発明に係る方法により得られる表面反応性白色無機物質を指す。
【0215】
本発明の少なくとも1つの表面反応性白色無機物質は、ファイバおよび/またはフィラメントおよび/またはフィルムおよび/またはスレッドおよび/または通気性フィルムなどのような最終用途製品に優れた機械的特性を付与する。具体的には、該少なくとも1つの表面反応性白色無機物質は、該少なくとも1つの表面反応性白色無機物質が本発明のポリマー組成物の形態で提供される場合には、ファイバおよび/またはフィラメントおよび/またはフィルムおよび/またはスレッドおよび/または通気性フィルムなどのような最終用途製品に優れた機械的特性を付与する。
【0216】
このように本発明は、さらなるなる態様で、上記で定義されたポリマー組成物および/または上記で定義された炭酸カルシウム含有材料を含むファイバおよび/またはフィラメントおよび/またはフィルムおよび/またはスレッドに言及する。
【0217】
さらに、本発明は、別の態様で、ファイバおよび/またはフィラメントおよび/またはフィルムおよび/またはスレッドおよび/または通気性フィルムを製造するための方法であって、
a)上記で定義されたポリマー組成物を提供する段階、および
b)段階a)のポリマー組成物を、該ポリマー組成物がファイバおよび/またはフィラメントおよび/またはフィルムおよび/またはスレッドおよび/または通気性フィルムに変換される条件に供する段階
を少なくとも含む方法に言及する。
【0218】
ファイバおよび/またはフィラメントおよび/またはフィルムおよび/またはスレッドおよび/または通気性フィルムを調製する適切な方法の条件は一般に当業者に知られており、および/または通常の知識に基づく日常の改変によって確立することができる。
【0219】
例えば、本発明のポリマー組成物は、有利には、ファイバおよび/またはフィラメントおよび/またはフィルムおよび/またはスレッドおよび/または通気性フィルムを調製するための混合および/または押出および/または配合および/またはブロー成形の方法で実施することができ、そこで少なくとも1つのポリマー樹脂は、好ましくは、ポリオレフィン、ポリアミドおよび/またはポリエステルのホモポリマーおよび/またはコポリマーを含む群から選択される熱可塑性ポリマーである。
【0220】
本発明の意味における用語「ファイバ」は、典型的には、例えば、機械的な方法によって一緒に結合されたファイバウェブからなる不織布のような織物を形成する線状の構造を指す。従って、用語「ファイバ」は、有限構造を指すものと理解される。
【0221】
本発明の意味における用語「スレッド」は、典型的には、例えば、機械的な方法によって一緒に結合されたスレッドウェブからなる不織布のような織物を形成する線状の構造を指す。従って、用語「スレッド」は、有限構造を指すものと理解される。スレッドは、モノスレッド、バイスレッドまたはマルチスレッドとして構成されてもよい。バイまたはマルチスレッドが存在する場合には、シングルスレッドの組成は実質的に同じであってもよい。即ち、シングルスレッドの組成は、同じ量で実質的に同一の成分、即ち、少なくとも1つのポリマー樹脂および少なくとも1つの表面反応性白色無機物質を含む。あるいは、シングルスレッドの組成は異なっていてもよい。即ち、シングルスレッドの組成は、様々な量で同一の成分、即ち、少なくとも1つのポリマー樹脂および少なくとも1つの表面反応性白色無機物質を含むか、またはシングルスレッドの組成は同じ量で異なる成分を含んでもよく、即ち、少なくとも1つのポリマー樹脂および/または少なくとも1つの表面反応性白色無機物質が異なっていてもよく、またはシングルスレッドの組成は、様々な量で異なる成分を含んでいてもよく、即ち、少なくとも1つのポリマー樹脂および/または少なくとも1つの表面反応性白色無機物質が異なっていてもよい。
【0222】
本発明の意味において用語「フィラメント」は、その構造の長さによってファイバとは異なる構造を指す。従って、用語「フィラメント」は、無限のファイバを指すものと理解される。フィラメントは、モノフィラメント、バイフィラメントまたはマルチフィラメントとして構成されてもよいことがさらに理解される。バイフィラメントまたはマルチフィラメントが存在する場合には、シングルフィラメントの組成は実質的に同じであってもよい。即ち、シングルフィラメントの組成は、同じ量で実質的に同一の成分、即ち、少なくとも1つのポリマー樹脂および少なくとも1つの表面反応性白色無機物質を含む。あるいは、シングルフィラメントの組成は異なっていてもよい。即ち、シングルフィラメントの組成は、様々な量で同一の成分、即ち、少なくとも1つのポリマー樹脂および少なくとも1つの表面反応性白色無機物質を含むか、シングルフィラメントの組成は同じ量で異なる成分を含んでもよく、即ち、少なくとも1つのポリマー樹脂および/または少なくとも1つの表面反応性白色無機物質が異なっていてもよく、またはシングルフィラメントの組成は、様々な量で異なる成分を含んでいてもよく、即ち、少なくとも1つのポリマー樹脂および/または少なくとも1つの表面反応性白色無機物質が異なっていてもよい。
【0223】
フィラメントおよび/またはファイバおよび/またはスレッドの断面は多種多様な形状を有することができる。フィラメントおよび/またはファイバおよび/またはスレッドの断面形状は、円形、楕円形またはnが≧3、例えば、nが3であるn角形であり得ることが好ましい。例えば、フィラメントおよび/またはファイバおよび/またはスレッドの断面形状は円形のような、円形または三葉状である。さらにあるいはまた、フィラメントおよび/またはファイバおよび/またはスレッドの断面形状は中空である。
【0224】
フィラメントおよび/またはファイバおよび/またはスレッドは、そのようなフィラメントおよび/またはファイバおよび/またはスレッドを製造するために使用される当分野で知られているすべての技術により調製することができることが理解される。例えば、本発明のフィラメントおよび/またはファイバおよび/またはスレッドは、周知のメルトブローン方法、スパンボンド法またはステープルファイバ製造によって調製することができる。
【0225】
これに加えて、充填されたPPマスターバッチは、当業者に公知の手段によってファイバおよびフィラメントおよび連続フィラメント不織布を形成するために、溶融押出法によって使用された。
【0226】
ヤーン(yarn)またはステープルファイバ用の連続フィラメントの紡糸のような既知の技術、およびスパンボンド製造およびメルトブローン製造のような不織法に従って、ファイバおよびフィラメントは、小さなオリフィスを通して溶融ポリマーの押出により形成される。一般に、こうして形成されたファイバまたはフィラメントは引き出されまたは延ばされ、分子配向を誘導し、結晶性に影響を与え、小径化および物理的特性の改良をもたらす。スパンメルト(spunmelt)は,熱可塑性ポリマーから直接不織ウェブ(織物)を製造することを説明する一般名称である。これは、2つの方法(スパンレイドとメルトブローン)およびその両方の組み合わせを包含する。
【0227】
この方法では、ポリマー顆粒は溶融され、溶融ポリマーは、複数の連続ポリマーフィラメントを作成する紡糸口金アセンブリを介して押し出される。フィラメントは次いで急冷され、引き出され、集められて不織ウェブを形成する。いく分かの残留温度によってフィラメントが互いに付着することがあるが、これを結合の主要な方法とみなすことはできない。結合段階(カレンダー、ハイドロエンタングリング(hydroentangling)、ニードリングおよび/または化学物質や接着剤を用いる結合を含むが、これらに限定されない)で連続フィラメントの収集ウェブを有用な製品に形成するのに利用可能ないくつかの方法がある。
【0228】
(また、スパンボンデッドと呼ばれる)スパンレイド法は不織布により大きな強度を与えるという利点を有する。第2の成分の共押出しが、通常、余分な特性または結合能力を提供するために、いくつかのスパンレイド法で使用される。
【0229】
メルトブローンウェブの形成においては、低粘度のポリマーが紡糸口金を出ると高速気流中に押し出される。これは、溶融物を散乱して固化し、繊維ウェブに分割する。
【0230】
特定の望ましい特性を有する複合織物を製造するために別の方法から方法または布を組み合わせることが当業者に知られている。この例は、スパンボンド布の2つの外層およびメルトブローン布の内側層を表すことを意味する、SMSとして最もよく知られた接着布を生成するためにスパンボンドおよびメルトブローンを組み合わせることである。さらに、これらの方法のいずれかまたは両方は、ステープルファイバカーディング法または不織布ステープルファイバカーディング法から得られる結合布と任意の構成で組み合わせることができる。このような記載された接着布では、層は、一般に、少なくとも部分的に上記結合段階の1つによって強化される。
【0231】
方法は当該分野において周知であり、ポリプロピレンポリマー樹脂のスパンボンド布を製造するために商業的に利用可能である。2つの典型的な方法はLurgi法およびReifenh▲a▼user法として知られている。
【0232】
Lurgi法は紡糸口金オリフィスを通しての溶融ポリマーの押し出し、続いて新たに形成された押し出されたフィラメントを空気で急冷し、ベンチュリ管を介して吸引することによって引き出すことに基づいている。形成後、フィラメントはコンベヤベルト上で分配され不織ウェブを形成する。
【0233】
Reifenh▲a▼user法はフィラメント用の急冷領域が封止される点でLurgi法と異なり、急冷空気流は促進され、このように空気流中にフィラメントのより効果的な引っ張りを誘導する。
【0234】
上記のシステムでは、不織布は、一般に約25から40g/10分のメルトフローインデックスを有するポリプロピレン樹脂を用いて製造される。Lurgiラインはポリプロピレン不織布を製造するのに使用された。押出機の温度は230℃および250℃の間である。4つのスピンビームは、溶融ポンプ、および各々0.8ミリメートルの直径を有する600個のオリフィスを含む紡糸口金を備えている。押し出されたフィラメントは不織ウェブに形成される。コンベヤベルトの速度を20メートル/分に調整し、不織布ウェブを結合するためにハイドロタングリングを使用した。ハイドロタングリングは、スパンレースとしても知られているが、これはルーズウェブ中でファイバを絡ませ、それによってファイバ間の摩擦力によって一緒に保持された布を作成するために高圧水ジェットを使用する方法である。100cm幅の最終結合不織布ウェブは385g/m
2の布重量を有する。
【0235】
本発明に従ったCaCO
3を含む不織布のサンプルおよび従来技術のCaCO
3を含む不織布のサンプルを表7および8において、以下、比較した。異なる量の充填されたマスターバッチをさらにポリプロピレン(PP HF420FB、MFR19g/10分間(230℃、2.16kg、ISO1133)を有するBorealisからのホモポリプロピレン)と混合し、この混合物から不織布を作成した。
【0236】
本発明の意味において用語「フィルム」または「通気性フィルム」は、その次元構造によりフィラメントおよび/またはファイバとは異なる構造を指す。従って、用語「フィルム」または「通気性フィルム」は、シートを指すと理解される。
【0237】
フィルムおよび/または通気性フィルムはそのようなフィルムを製造するために使用されるこの分野で知られているすべての技術により調製することができることが理解される。例えば、本発明のフィルムは延伸/配向膜、好ましくは押出コーティングフィルム、インフレーションフィルム、技術的なインフレーションフィルム、モノテープ(monotapes)、キャストフィルム等を製造するために使用される周知の技術によって調製することができる。
【0238】
従って、本発明のファイバおよび/またはフィラメントおよび/またはフィルムおよび/またはスレッドおよび/または通気性フィルムは、それらが前記ポリマー組成物および/または表面反応性白色無機物質を含み、それらが改善された機械的特性などのような改善された材料特性を有することを特徴とする。
【0239】
別の利点として、本発明のファイバおよび/またはフィラメントおよび/またはフィルムおよび/またはスレッドおよび/または通気性フィルムは、フィルム押出し中に、より低い圧力低下の原因となる。それに加えて、本発明のファイバおよび/またはフィラメントおよび/またはフィルムおよび/またはスレッドおよび/または通気性フィルムは、引張弾性率、降伏点および破断引張試験、破断伸びおよび引裂抵抗などのような良好な機械的特性をさらに示す。
【0240】
上記で定義されたように、リン酸エステル混合物で処理された表面反応性白色無機物質含有粒子の親水性に関して得られた非常に良好な結果を考慮すると、本発明のさらなる態様は、表面反応性白色無機物質含有粒子表面の親水性を減少させるためのリン酸エステル混合物の使用を対象とする。具体的には、上記で定義されたようなリン酸エステル混合物は、表面反応性白色無機物質含有粒子がファイバおよび/またはフィラメントおよび/またはフィルムおよび/またはスレッドおよび/または通気性フィルムでの使用に適するように、表面反応性白色無機物質含有粒子表面の親水性を減少させるために使用することができる。
【0241】
本発明の別の態様は、上記で定義されたポリマー組成物および/または上記で定義された表面反応性白色無機物質および/または上記で定義されたファイバおよび/またはフィラメントおよび/またはフィルムおよび/またはスレッドおよび/または通気性フィルムを含む物品を対象とする。物品は、好ましくは、衛生製品、医療およびヘルスケア製品、フィルタ製品、ジオテキスタイル製品、農業および園芸製品、衣料品、靴および荷物の製品、家庭用および工業用製品、包装製品、建造物等を含む群から選択される。
【0242】
好ましくは、衛生製品は、赤ちゃんのおむつ(diapers or nappies)、女性用衛生、成人用失禁製品、脱毛ストリップ、包帯および創傷被覆材、使い捨てバスおよびフェイスタオル、使い捨てスリッパおよび靴、トップシートまたはカバーストック(coverstocks)、消費者のフェイスマスク、レッグカフ(leg cuffs)、獲得/分配層、コアラップ(core wraps)、バックシート、ストレッチイヤー(stretch ears)、着陸ゾーン、ダスティング層(dusting layers)および締め付けシステムなどのような吸収性衛生製品;並びにウェットティッシュ、スキンケアティッシュ、ベビ−ティッシュ、フェイシャルティッシュ、クレンジングティッシュ、ハンドおよびボティティッシュ、ウェットペーパータオル、個人衛生ティッシュ、女性用衛生ティッシュ、抗菌ティッシュおよび薬用ティッシュなどのようなティッシュを含む群から選択される。
【0243】
好ましくは、医療およびヘルスケア製品は、医療包装、手術用使い捨てキャップのようなキャップ、防護服、手術衣、外科用マスクおよびフェイスマスク、外科用スクラブスーツ、手術用カバー、手術用ドレープ、ラップ、パック、スポンジ、包帯、ティッシュ、シーツおよび枕カバー、汚染制御ガウン、検査ガウン、白衣、分離ガウン、経皮薬物送達、埋葬布、アンダーパッド、手順パック、熱パック、造孔術袋ライナー、固定テープ、インキュベーターマットレス、滅菌ラップ(CSRラップ)、創部のケア、冷/熱パック、パッチ等の薬物送達システムを含む群から選択される。
【0244】
好ましくは、フィルタ製品は、ガソリンフィルタ、オイルフィルタ、エアーフィルタ、水フィルタ、コーヒーフィルタ、ティーバッグ、製薬業界フィルタ、鉱物処理フィルタ、液体カートリッジおよびバッグフィルター、真空バッグ、アレルゲン膜並びに不織布層を有する積層体を含む群から選択される。
【0245】
好ましくは、ジオテキスタイル製品は、土壌安定剤および車道下敷き、基盤安定剤、砂防、運河の建設、排水システム、ジオメンブレンの保護、霜保護、農業マルチ、池および運河の水の障壁、排水タイル用砂の浸透障壁並びに埋立ライナーを含む群から選択される。
【0246】
好ましくは、農業および園芸産物は、作物カバー、植物保護、シードブランケット、雑草防除用布、温室シェーディング、根制御バッグ、生分解性の植木鉢、キャピラリーマット、並びに景観生地を含む群から選択される。
【0247】
好ましくは、衣料品、靴および荷物の製品は、オーバーコートの前部、襟、フェーシング、ウエストバンド、下襟等の芯地、使い捨て下着、靴紐のアイレット補強、運動靴およびサンダルの強化および中底ライニングのような靴の構成要素、バッグ部品、接着剤、組成物および(洗浄)ケアラベルを含む群から選択される。
【0248】
好ましくは、包装製品は、乾燥剤の包装、吸着剤の包装、ギフトボックス、ファイルボックス、不織布バッグ、ブックカバー、封筒、エクスプレス封筒、宅配便の袋等の芯地を含む群から選択される。
【0249】
好ましくは、家庭用および工業用製品は、研磨剤、ポケットスプリング用のポケット布、分離層、スプリングカバー、トップカバー、キルト裏地、羽毛布団カバー、枕カバー等のシーツおよび枕カバー、ブラインド/カーテン、散布ラグ、カーペットタイル、バスマット等のカーペット/カーペット裏地、被覆および分離材、洗剤パウチ、布柔軟剤シート、床材、内側ライニング、クッション用逆ファブリック、ダストカバー、スプリングカバー、プルストリップ等の家具/室内装飾品、モップ、テーブルリネン、紅茶およびコーヒーバッグ、真空掃除バッグ、壁カバー、家庭用ケアティッシュ、床ケアティッシュ、クリーニングティッシュ、ペットケアティッシュ等のようなティッシュ、自動車建物、ケーブルラッピング、土木、ろ過包装、防護服、一次および二次カーペット裏地、複合材料、海洋帆ラミネート、テーブルカバーラミネート、チョップドストランドマット(chopped strand mats)、機械刺繍用バッキング/安定剤、多孔性が必要とされるパッケージング、ガラス繊維バッティングのような絶縁、枕、クッション、椅子張りパディングのようなパディング、キルトまたは掛け布団内のバッティング、消費者および医療フェイスマスク、封筒、防水シート、テント、輸送(木材、スチール)ラッピング、フットカバーおよびカバーオールのような使い捨てウェア、並びに耐候性ハウスラップを含む群から選択される。
【0250】
好ましくは、建造物は、ハウスラップ、アスファルトオーバーレイ、道路および鉄道のベッド、ゴルフおよびテニスコート、壁装バッキング、音響壁装材、屋根材およびタイル下敷き、土壌安定剤および車道下敷き、基盤安定剤、砂防、運河建設、排水システム、ジオメンブレンの保護、霜保護、農業マルチ、池および運河の水障壁、並びに排水タイル用砂の浸透障壁を含む群から選択される。
【0251】
以下の実施例はさらに本発明を説明することができるが、例示的な実施形態に本発明を限定するものではない。以下の例は、少なくとも1つの表面反応性白色無機物質の全揮発性物質の減少、吸湿感受性の減少および親水性の減少並びに本発明のポリマー組成物から調製されたファイバおよび/またはフィラメントおよび/またはフィルムおよび/またはスレッド表面反応性白色無機物質の良好な機械的特性を示す。
【実施例】
【0252】
測定方法
実施例および特許請求の範囲で付与したパラメータを評価するために以下の測定方法を使用する。
【0253】
総揮発性物質の測定
本願の目的に対し、無機充填材と関連しており、25から350℃の温度範囲にわたり放出される「全揮発性物質」は、熱重量(TGA)曲線上で読み取られた温度範囲にわたる無機充填材サンプルの質量損失%に応じて特徴づけられる。
【0254】
TGA分析方法は、高い精度で質量の損失および揮発性物質発生温度に関する情報を提供し、一般的な知識である。それは、例えば、「Principles of Instrumental analysis」、第5版、Skoog、Holler、Nieman、1998(初版1992)31章、798から800頁および他の多くの一般的に知られている参考文献に記載されている。本発明においては、熱重量分析(TGA)は、70ml/分の気流下で500+/−50mgのサンプルおよび20℃/分の速度で25から350℃の走査温度に基づいてMettler Toledo TGA 851を使用して実行される。
【0255】
当業者は、以下のようにTGA曲線を分析することによって「揮発性物質発生温度」を決定することができる。即ち、TGA曲線の一次導関数を得、150および350℃の間のその上の変曲点を識別する。横線に対し45°を超える接線の勾配値を持つ変曲点のうち、200℃を超える最低の関連する温度を有するものを識別する。一次導関数曲線のこの最低温度の変曲点に関連した温度値が「揮発性物質発生温度」である。
【0256】
TGA曲線上で放出される「全揮発性物質」をStar
e SW 9.01ソフトウェアを用いて決定する。このソフトウェアを使用して、元のサンプルに対する%値の質量損失を得るために元のサンプル重量に対し該曲線をまず標準化する。その後、25から350℃の温度範囲を選択し、水平段階(ドイツ語:「Stufe horizontal」)オプションが、選択された温度範囲にわたって質量損失%を得るために選択される。
【0257】
粒状物質の粒径分布(直径<Xを有する質量%の粒子)および重量メジアン径(d
50)
本明細書で使用され、当該分野において一般に定義されるように、「d
50」値をMicromeritics Instrument CorporationのSedigraph(商標)5100を使用して行われた測定に基づいて決定し、粒子体積または質量の50%(重心)が指定した値に等しい直径を有する粒子で占めているサイズとして定義する。
【0258】
その方法および装置は当業者に知られており、一般に充填材および顔料の粒径を決定するために使用される。測定は0.1重量%のNa
4P
2O
7の水溶液中で行われる。サンプルは高速スターラーおよび超音波を用いて分散される。
【0259】
材料のBET比表面積
本明細書全体を通して、無機充填材の比表面積(m
2/gで表される)はBET法(吸着ガスとして窒素を使用して)を用いて決定され、該BET法は当業者に周知である(ISO9277:1995)。無機充填材の全表面積は(m
2で表される)は、処理前に無機充填材の比表面積および質量(gで表される)を乗算することによって得られる。
【0260】
吸湿性
本発明の意味における用語「吸湿感受性」は無機充填材の表面に吸着された水分の量を指し、+23℃(±2℃)の温度で2.5時間、それぞれ相対湿度10および85%の大気に暴露した後、水分(mg)/乾燥した処理された無機充填材製品(g)で決定される。処理された無機充填材製品を、まず相対湿度10%の雰囲気に2.5時間維持し、次いで、雰囲気を相対湿度85%に変更して、そこでサンプルをさらに2.5時間維持する。次いで、10%および85%の相対湿度の間の重量増加を、水分(mg)/乾燥した処理された無機充填材製品(g)で表される吸湿性を計算するために使用する。機器の空試験値を、0.15から0.2mg/g、例えば0.19mg/gであると決定した。以下に概説するような実施例の結果は正味値、即ち、測定値−空試験値である。
【0261】
親水性
無機充填材製品の「親水性」は、無機充填材製品が家庭用茶ふるいを通過させることによって水/エタノール混合物の表面上に堆積される場合には、無機充填材製品の大半の沈降のために必要な体積/体積ベースの水/エタノール混合物中での最小の水対エタノール比を測定することにより23℃で評価される。体積/体積ベースはそれらを一緒に混合する前の両方の別々の液体の体積に関連しており、混合物の体積収縮を含まない。+23℃での評価は+23℃±2℃の温度を指す。
【0262】
8:2の体積比の水/エタノール混合物は、典型的には、「Handbook of Chemistry and Physics」、第84版、David R. Lide、2003年 (初版1913年)に記載されたように、+23℃±2℃で測定された41mN/mの表面張力を有し、6:4の体積比の水/エタノール混合物は典型的には26mN/mの表面張力を有する。
【0263】
電位差滴定
サンプルを電位差滴定により分析する。サンプルは、加熱下、イソプロパノール、エタノールおよびアセトンの混合物に溶解し、0.1モル/Lの水酸化カリウムエタノール溶液で滴定する。
【0264】
典型的には誘導体は2つの主なシグナルを示した。最初のものは酸性領域(pH5および6の間)にあり、2番目のものはpH10および11.5の間にある。リン酸モノエステルおよびリン酸ジエステルのモル比を、書籍「D. C. Cullum、Springer、1994によるIntroduction to Surfactant Analysis」で説明された、提案の化学量論に基づいて決定する。
【0265】
リン酸トリエステルの含有量は、実際のサンプル重量からリン酸モノエステルおよびリン酸ジエステルの計算量を減算することにより推定される。すべてのサンプルについて、リン酸トリエステルの量は10モル%未満である。
【0266】
ダート(dart)ドロップ試験
ダートドロップ試験はASTM D1709/Aに従って測定される。
【0267】
輝度R457
輝度R457はISO2469に従って測定される。
【0268】
炭酸カルシウム含有材料の湿度測定
220℃のオーブン中の水分を脱着し、10分間100ml/分で乾燥N
2を使用してKF電量計(MettlerオーブンDO 0337と組み合わせたMettler Toledo電量KF Titrator C30)に連続的にそれを通すカールフィッシャー電量滴定法に従って炭酸カルシウム含有材料の湿度を測定する。水を用いた較正曲線を用意する必要があり、サンプルなしでの10分間のガス流の障害を考慮しなければならない。
【0269】
フィラメントサンプルに行われた測定
滴定量または線密度[dtex]を、EN ISO 2062に従って測定でき、10,000mヤーン(yarn)のグラムにおける重量に対応する。25または100メートルのサンプルを0.5cN/texのプリテンション(pretension)の下で標準的なリールに巻き取り、分析スケール上で重み付けする。次いで、10,000mのヤーンの長さ当たりのグラム数を計算する。
【0270】
引っ張り強さを破壊力および線密度から計算し、tex当たりのセンチニュートン[cN/tex]で表す。一定の延伸速度でダイナモメータ上で試験を行い、この試験の適用規格はEN ISO 5079およびASTM D 3822である。
【0271】
破断時の破壊力および伸び:破壊力はヤーンを破壊するためにヤーンに適用することが必要な力である。これはニュートン[N]で表される。破断伸びは破断点までヤーンを延伸して生じた長さの増加分である。これはその最初の長さの割合[%]として表される。
【0272】
引張指数は引っ張り強さ[cN/tex]および破断時の伸び[%]の平方根との積である。
【0273】
不織布サンプルに行われた測定
布重量または単位面積当たりの質量[g/m
2]をEN ISO 9864に従って測定する。
【0274】
ジオテキスタイルの引張特性を、引張試験機上で200mmの幅および100mmの長さを有する幅広のストリップを使用して、EN ISO 10319に従って測定する。
【0275】
引張強さ[kN/m]および最大負荷伸び[%]を機械方向(MD)および幅方向(CD)で測定する。EN ISO 10319に従うエネルギー値を引張強度(MD+CD)/2により計算する。
【0276】
[kN]で表される静的穿刺抵抗(CBRテスト)をEN ISO 12236に従って測定する。この方法は、ジオシンセティックスを介してフラットエンディド(flat−ended)のプランジャーを押すのに必要な力を測定することによる、穿刺抵抗の決定を特定する。
【0277】
ファイバおよびマスターバッチの[%]で表される灰分を、570℃で2時間焼却炉に入れた焼却るつぼ内のサンプルの焼却によって決定する。灰分は残りの無機残留物の合計量として測定される。
【0278】
[実施例1]
この実施例は、本発明による炭酸カルシウム含有材料の調製に関する。
【0279】
水平ボールミル(Dynomill)における水道水中で25重量%で湿式粉砕し、噴霧乾燥した、約1.6ミクロンのd
50、4.1m
2/gの比表面積、94.5%の輝度R457および0.05重量%の湿度を特色とする、イタリア、カラーラからの500gの湿式粉砕し、噴霧乾燥した大理石をMTIミキサーに加えた。サンプルを、120℃、3000rpmで10分間活性化した。その後、処理剤(リン酸モノエステルおよびリン酸ジエステル並びに場合によりリン酸トリエステルおよび/またはリン酸)を表1に示される量でミキサーに導入した。ミキサーの内容物を120℃で3000rpmの攪拌速度下、10分間混合した。
【0280】
その後、サンプルを密閉プラスチック袋中に保存した。分析のためにサンプルを密閉プラスチック袋から直接取り出して、すぐに分析した。
【0281】
【表1】
【0282】
TA1は2−エチルヘキシルリン酸のモノエステルおよびジエステルの混合物に関する。リン酸モノエステルおよびリン酸ジエステルの間の比率は65モル%:35モル%である。トリエステルの含有量は10重量%未満である。
【0283】
TA2は2−オクチルデカンリン酸モノエステルおよびジエステルの混合物に関する。リン酸モノエステルおよびリン酸ジエステルの間の比率は63モル%:37モル%である。トリエステルの含有量は10重量%未満である。
【0284】
TA3は2−オクチル−1−ドデカンリン酸モノエステルおよびジエステルの混合物に関する。リン酸モノエステルおよびリン酸ジエステルの間の比率は45モル%:55モル%である。トリエステルの含有量は10重量%未満である。
【0285】
前述のように得られた材料をその後分析し、結果を表2に概説する。
【0286】
【表2】
【0287】
表2に示すデータから、本発明の炭酸カルシウム含有材料は優れた特性を示すことを推測できる。特に、本発明の炭酸カルシウム含有材料は、0.8mg/g未満の吸湿感受性、≧250℃の揮発性物質発生温度、および水:エタノールの体積比が8:2(80体積/体積%の水)より小さい親水性を有することが示される。
【0288】
[実施例2]
この実施例は、炭酸カルシウム含有材料および少なくとも1つのポリマー樹脂を含むインフレーションフィルムの製造に関する。
【0289】
得られたフィルムの全重量に基づいて、インフレーションフィルムのポリマー組成物に関する詳細が表3に記載される。
【0290】
【表3】
【0291】
インフレーションフィルムを調製するために使用されるポリマー組成物を、その後、得られたフィルムの全重量に基づき、20重量%の炭酸カルシウム含有材料まで希釈した。
【0292】
*1 ポリマー樹脂は、Dow Chemical Company、即ちDow ヨーロッパ社、ホルゲン、スイスからDowlex NG 5056Gとして市販されている直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(LLDPE)に関する。
【0293】
*2 処理された炭酸塩Aは、1.7μmのメジアン径(d
50)および6.8μmのトップカット(d
98)を有する疎水性、脂肪酸表面処理乾燥重質炭酸カルシウム(イタリアの大理石)であり、粒子の57重量%が2μm未満の直径を有する。
【0294】
ポリマー組成物F0は、純粋なポリマー樹脂のみを含み、炭酸カルシウム含有材料は含まれない。
【0295】
インフレーションフィルムは、37.5g/m
2の膜坪量および40μmの膜厚を有するコリン(Collin)インフレーションフィルムライン上で調製した。
【0296】
図1に示すような本発明の実施例に従うファイバおよび/またはフィラメントおよび/またはフィルムおよび/またはスレッドは優れた機械的特性を示す。
【0297】
図1は、本発明のポリマー組成物を含む本発明のファイバおよび/またはフィラメントおよび/またはフィルムおよび/またはスレッドがダートドロップ中で増加した値を示す。特に、本発明の実施例に従うファイバおよび/またはフィラメントおよび/またはフィルムおよび/またはスレッドのダートドロップに対し決定された値が標準サンプル(F1)に対して決定された値と同様にポリマー樹脂(F0)のみからなるサンプルに対し決定された値よりも有意に高いことが示される。
【0298】
さらに、本発明のポリマー組成物を含み、かつ、ファイバおよび/またはフィラメントおよび/またはフィルムおよび/またはスレッドを調製するために使用されるポリマー混合物は、表4から収集することができるように、優れたフィルタの圧力値(FPV)も示すことが認められる。
【0299】
【表4】
【0300】
[比較例3]
この例は板状非表面反応性ケイ酸塩含有材料の調製に関する。
【0301】
約9.3ミクロンのd
50および5.5m
2/gの比表面積および<1重量%の湿度を特色とするマイカTM(Aspanger Bergbau und Mineralwerke社、アスパング、オーストリア)500gをMTIミキサーに添加した。このサンプルを120℃、3000rpmで10分間活性化した。その後、処理剤TA3(表1の下の説明を参照されたい)を、表5(試験4)に示すように、マイカTMに対して0.6重量%の量でミキサーに導入した。ミキサーの内容物を120℃で3000rpmでの撹拌速度下、10分間混合した。続いて、サンプルを密閉プラスチック袋に保管した。分析のために試料を密閉プラスチック袋から直接取り出して、すぐに分析した。
【0302】
参考のために、約9.3ミクロンのd
50および5.5m
2/gの比表面積および<1重量%の湿度を特色とするマイカTM(Aspanger Bergbau und Mineralwerke社、アスパング、オーストリア)500gをMTIミキサーに添加した。また、表5(試験5)に示すように、処理剤をミキサーに導入しなかった。このサンプルを120℃、3000rpmで10分間活性化した。その後、サンプルを120℃で3000rpmでの撹拌速度下、10分間さらに混合した。続いて、サンプルを密閉プラスチック袋に保管した。分析のために試料を密閉プラスチック袋から直接取り出して、すぐに分析した。
【0303】
【表5】
【0304】
その後、上記で得られた材料の各々のサンプルを分析し、結果を表6に概説した。各サンプルから、2つの別々の測定を行った。
【0305】
【表6】
【0306】
表6に与えられたデータから、本発明に対し定義されたような表面反応性でない無機物質は、上記の本発明のサンプルIE3(0.56mg/g、上記の表2を参照されたい)と比較して、はるかに高い吸湿感受性(サンプルPA4の2.18および2.19mg/g)を示すことが推量できる。表面処理マイカの吸湿感受性(サンプルPA4の2.18および2.19mg/g)は、基準サンプルPA5(2.55および2.65mg/g)について測定されたものとほぼ同程度に高い。
【0307】
[実施例4]
この実施例は、本発明に従った表面処理充填材生成物および少なくとも1つのポリマー樹脂を含む不織布の調製に関する。
【0308】
その後、本発明に従ったCaCO
3を含む前記不織布のサンプルおよび従来技術のCaCO
3を含む不織布のサンプルを表7および8で比較する。異なる量の充填されたマスターバッチをさらにポリプロピレン(PP HF420FB、MFR19g/10分(230℃、2.16kg、ISO 1133)を有するBorealisからのホモポリプロピレン)と混合し、不織布をこれらの混合物から作成した。
【0309】
【表7】
【0310】
【表8】
【0311】
70%MB発明1はMFR37g/10分(230℃、2.16kg、ISO 1133)を有するBorealisからの28重量%のPP HH450 FBホモポリプロピレン、2重量%のBASFからのIrgastab FS301処理および熱安定剤、および70重量%の本発明に従ったCaCO
3のマスターバッチ70重量%を指し、ここで、処理されたCaCO
3は1.7μmのメジアン粒径d
50および6μmのd
98のトップカットを有する。
【0312】
CaCO
3の処理:0.8重量%の2−オクチル−1−ドデカンリン酸モノエステルおよびジエステル。リン酸モノエステルおよびリン酸ジエステルの間の比は45モル%:55モル%である。リン酸トリエステルの含有量は10重量%未満である。500gの噴霧乾燥した炭酸カルシウム含有充填材をMTIミキサーに添加し、サンプルを120℃、3000rpmで10分間活性化した。その後、2−オクチル−1−ドデカンリン酸モノエステルおよびジエステルを0.8重量%の量でミキサーに導入した。ミキサーの内容物を3000rpmでの撹拌速度下、120℃で10分間混合した。
【0313】
得られた表面処理充填材生成物を密閉プラスチック袋中に保存した。分析のためにサンプルを密閉プラスチック袋から取り出して、すぐに分析した。T発生:275℃;吸湿性:0.75mg/g。
【0314】
70%MA PA1は、MFR37g/10分(230℃、2.16kg、ISO 1133)を有するBorealisからの28重量%のPP HH450 FBホモポリプロピレン、2重量%のBASFからのIrgastab FS301処理および熱安定剤、および70重量%の従来技術の湿式粉砕表面処理CaCO
3のマスターバッチ70重量%を指し、処理されたCaCO
3は1.7μmのメジアン粒径d
50および6μmのd
98のトップカットを有する。
【0315】
表7および8の実施例2から分かるように、ポリプロピレン不織布のサンプルは本発明に従ったCaCO
3を含み、表7および8の実施例3に見られるように、従来技術のCaCO
3を含むポリプロピレン不織布のサンプルは未充填ポリプロピレンPP HF420FBである実施例1に比べてわずかに低下した機械的特性を有する良好な品質で製造できる。
【0316】
前述のポリプロピレンは唯一のものでなく、他のPPポリマーもしくはPEポリマーまたはPPおよびPEのポリマーの混合物が本発明のCaCO
3を含むマスターバッチを製造するために使用されるだけでなく、適切であることは本発明の範囲内にある。