(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6235622
(24)【登録日】2017年11月2日
(45)【発行日】2017年11月22日
(54)【発明の名称】自動車の車体構造
(51)【国際特許分類】
B62D 25/20 20060101AFI20171113BHJP
【FI】
B62D25/20 H
【請求項の数】7
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-3371(P2016-3371)
(22)【出願日】2016年1月12日
(65)【公開番号】特開2017-124657(P2017-124657A)
(43)【公開日】2017年7月20日
【審査請求日】2016年11月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002192
【氏名又は名称】特許業務法人落合特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】樺山 昌平
【審査官】
須山 直紀
(56)【参考文献】
【文献】
特表2005−521587(JP,A)
【文献】
特開2012−131281(JP,A)
【文献】
特開2006−264482(JP,A)
【文献】
特開2006−232030(JP,A)
【文献】
特開平03−266732(JP,A)
【文献】
特開2008−174122(JP,A)
【文献】
国際公開第2005/077738(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 25/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前後方向に延びる左右のリヤサイドフレーム(12)間を接続するリヤフロア(16)の後部下面にエアサスペンション用のコンプレッサ(29)が支持され、前記コンプレッサ(29)を覆うコンプレッサハウジング(32)と前記左右のリヤサイドフレーム(12)の前部とが、上面視で前側が拡開するV字状に配置された左右のリヤブレース(43)で連結され、四角枠状のサブフレーム(18)の四隅が前記左右のリヤサイドフレーム(12)に設けられた二つの前部固定部(12a)および二つの後部固定部(12b)に支持され、前記二つの後部固定部(12b)が前記リヤフロア(16)の下面に設けられた左右のサブフレーム支持ブラケット(24)に左右の連結部材(25)を介して連結され、前記左右のサブフレーム支持ブラケット(24)に前記コンプレッサハウジング(32)の車幅方向両端が固定されることを特徴とする自動車の車体構造。
【請求項2】
前後方向に延びる左右のリヤサイドフレーム(12)間を接続するリヤフロア(16)の後部下面にエアサスペンション用のコンプレッサ(29)が支持され、前記コンプレッサ(29)を覆うコンプレッサハウジング(32)と前記左右のリヤサイドフレーム(12)の前部とが、上面視で前側が拡開するV字状に配置された左右のリヤブレース(43)で連結され、前記コンプレッサハウジング(32)は、前記リヤフロア(16)の下面から下方に延びる前壁(32b)と、前記前壁(32b)の下端から後方に延びる底壁(32a)とを有して断面L字状に形成され、前記底壁(32a)の後端は前記リヤフロア(16)を下方に凹ませた収納凹部(26)に接続されることを特徴とする自動車の車体構造。
【請求項3】
前記コンプレッサハウジング(32)の前記底壁(32a)の後端は前記収納凹部(26)の下面を補強する補強部材(28)に接続されることを特徴とする、請求項2に記載の自動車の車体構造。
【請求項4】
前記コンプレッサ(29)は前記リヤフロア(16)の下面に車幅方向に設けられたクロスメンバ(14)のコンプレッサ固定壁(14a)に固定部(30)で固定され、前記コンプレッサハウジング(32)の前記前壁(32b)は前記固定部(30)の車幅方向外側で前記コンプレッサ固定壁(14a)に固定され、前記収納凹部(26)の前壁(26b)は前記コンプレッサ固定壁(14a)の後端に接続されることを特徴とする、請求項2または請求項3に記載の自動車の車体構造。
【請求項5】
前記コンプレッサハウジング(32)と前記収納凹部(26)との間に、前記コンプレッサ(29)から延びる圧縮エアの配管(38)が挿通される隙間(α)が形成されることを特徴とする、請求項2〜請求項4の何れか1項に記載の自動車の車体構造。
【請求項6】
前後方向に延びる左右のリヤサイドフレーム(12)間を接続するリヤフロア(16)の後部下面にエアサスペンション用のコンプレッサ(29)が支持され、前記コンプレッサ(29)を覆うコンプレッサハウジング(32)と前記左右のリヤサイドフレーム(12)の前部とが、上面視で前側が拡開するV字状に配置された左右のリヤブレース(43)で連結され、前記リヤフロア(16)の前端はキックアップ部(17)を介してフロントフロア(15)の後端に連続し、前記フロントフロア(15)には前後方向に延びる左右のフロアフレーム(44)が設けられ、前記左右のリヤブレース(43)の前端は左右のフロントブレース(45)を介して前記左右のフロアフレーム(44)の後端に連結されることを特徴とする自動車の車体構造。
【請求項7】
前記左右のフロントブレース(45)および前記左右のリヤブレース(43)を接続する左右の接続部間に燃料タンク(46)が配置され、前記左右のリヤブレース(43)間に前記燃料タンク(46)のキャニスタ(47)が配置されることを特徴とする、請求項6に記載の自動車の車体構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リヤフロアの下面にエアサスペンション用のコンプレッサを支持するための自動車の車体構造に関する。
【背景技術】
【0002】
エアサスペンション用の圧縮空気を貯留するサブタンクをフロントフェンダーの内側に配置したものが、下記特許文献1により公知である。またエアサスペンション用の空気ばねをフロントサイドフレームと前輪を支持するサポートビームとの間に配置したものが、下記特許文献2により公知である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−1113号公報
【特許文献2】特許第3961114号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
フロントフロアに設けた左右のフロアフレームの後端から後方かつ車幅方向外側に延びる左右のフロントブレース(フロアブレース)を、左右のリヤサイドフレームに設けた左右の連結部材に接続し、かつ左右の連結部材から後方かつ車幅方向内側に延びる左右のリヤブレースを、リヤフロアの車幅方向中央部に設けた支持ブラケットに接続することで車体後部の剛性を高めるものが、本出願人により出願された特願2015−180952号(本願出願時未公開)により提案されている。
【0005】
ところで、かかるリヤブレースを備える自動車において、エアサスペンションを作動させる圧縮空気を発生させるコンプレッサをリヤフロアの下面に配置した場合、コンプレッサおよびリヤブレースが干渉してコンパクトなレイアウトが困難になる可能性がある。
【0006】
本発明は前述の事情に鑑みてなされたもので、リヤフロアの下面に配置されたコンプレッサおよびリヤブレースの干渉を回避しながら車体後部の捩じれ剛性を確保することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、請求項1に記載された発明によれば、前後方向に延びる左右のリヤサイドフレーム間を接続するリヤフロアの後部下面にエアサスペンション用のコンプレッサが支持され、前記コンプレッサを覆うコンプレッサハウジングと前記左右のリヤサイドフレームの前部とが、上面視で前側が拡開するV字状に配置された左右のリヤブレースで連結され
、四角枠状のサブフレームの四隅が前記左右のリヤサイドフレームに設けられた二つの前部固定部および二つの後部固定部に支持され、前記二つの後部固定部が前記リヤフロアの下面に設けられた左右のサブフレーム支持ブラケットに左右の連結部材を介して連結され、前記左右のサブフレーム支持ブラケットに前記コンプレッサハウジングの車幅方向両端が固定されることを特徴とする自動車の車体構造が提案される。
【0008】
また請求項
2に記載された発明によれば、前後方向に延びる左右のリヤサイドフレーム間を接続するリヤフロアの後部下面にエアサスペンション用のコンプレッサが支持され、前記コンプレッサを覆うコンプレッサハウジングと前記左右のリヤサイドフレームの前部とが、上面視で前側が拡開するV字状に配置された左右のリヤブレースで連結され
、前記コンプレッサハウジングは、前記リヤフロアの下面から下方に延びる前壁と、前記前壁の下端から後方に延びる底壁とを有して断面L字状に形成され、前記底壁の後端は前記リヤフロアを下方に凹ませた収納凹部に接続されることを特徴とする自動車の車体構造が提案される。
【0009】
また請求項
3に記載された発明によれば、請求項
2の構成に加えて、前記コンプレッサハウジングの前記底壁の後端は前記収納凹部の下面を補強する補強部材に接続されることを特徴とする自動車の車体構造が提案される。
【0010】
また請求項
4に記載された発明によれば、請求項
2または請求項
3の構成に加えて、前記コンプレッサは前記リヤフロアの下面に車幅方向に設けられたクロスメンバのコンプレッサ固定壁に固定部で固定され、前記コンプレッサハウジングの前記前壁は前記固定部の車幅方向外側で前記コンプレッサ固定壁に固定され、前記収納凹部の前壁は前記コンプレッサ固定壁の後端に接続されることを特徴とする自動車の車体構造が提案される。
【0011】
また請求項
5に記載された発明によれば、請求項
2〜請求項
4の何れか1項の構成に加えて、前記コンプレッサハウジングと前記収納凹部との間に、前記コンプレッサから延びる圧縮エアの配管が挿通される隙間が形成されることを特徴とする自動車の車体構造が提案される。
【0012】
また請求項
6に記載された発明によれば、前後方向に延びる左右のリヤサイドフレーム間を接続するリヤフロアの後部下面にエアサスペンション用のコンプレッサが支持され、前記コンプレッサを覆うコンプレッサハウジングと前記左右のリヤサイドフレームの前部とが、上面視で前側が拡開するV字状に配置された左右のリヤブレースで連結され
、前記リヤフロアの前端はキックアップ部を介してフロントフロアの後端に連続し、前記フロントフロアには前後方向に延びる左右のフロアフレームが設けられ、前記左右のリヤブレースの前端は左右のフロントブレースを介して前記左右のフロアフレームの後端に連結されることを特徴とする自動車の車体構造が提案される。
【0013】
また請求項
7に記載された発明によれば、請求項
6の構成に加えて、前記左右のフロントブレースおよび前記左右のリヤブレースを接続する左右の接続部間に燃料タンクが配置され、前記左右のリヤブレース間に前記燃料タンクのキャニスタが配置されることを特徴とする自動車の車体構造が提案される。
【0014】
なお、実施の形態のリヤクロスメンバ14は本発明のクロスメンバに対応し、実施の形態の後部連結部材25は本発明の連結部材に対応し、実施の形態の下部補強板28は本発明の補強部材に対応し、実施の形態のステー30は本発明の固定部に対応する。
【発明の効果】
【0015】
請求項1
、請求項2または請求項6の構成によれば、前後方向に延びる左右のリヤサイドフレーム間を接続するリヤフロアの後部下面にエアサスペンション用のコンプレッサが支持され、コンプレッサを覆うコンプレッサハウジングと左右のリヤサイドフレームの前部とが、上面視で前側が拡開するV字状に配置された左右のリヤブレースで連結されるので、リヤブレースおよびコンプレッサの干渉を回避し、かつコンプレッサをコンプレッサハウジングで覆って保護しながら、リヤブレースで車体後部の捩じれ剛性を高めるとともに、後面衝突時の衝突荷重をコンプレッサハウジングからリヤブレースを介してリヤサイドフレームに伝達して分散することができる。
【0016】
特に請求項
1の構成によれば、四角枠状のサブフレームの四隅が左右のリヤサイドフレームに設けられた二つの前部固定部および二つの後部固定部に支持され、二つの後部固定部がリヤフロアの下面に設けられた左右のサブフレーム支持ブラケットに左右の連結部材を介して連結され、左右のサブフレーム支持ブラケットにコンプレッサハウジングの車幅方向両端が固定されるので、左右のリヤサイドフレームがサブフレームで連結されて車体後部の捩じり剛性が高められるだけでなく、左右の連結部材およびコンプレッサハウジングが左右のリヤサイドフレームを連結するクロスメンバとして機能することで車体後部の捩じり剛性が一層高められる。
【0017】
特に請求項
2の構成によれば、コンプレッサハウジングは、リヤフロアの下面から下方に延びる前壁と、前壁の下端から後方に延びる底壁とを有して断面L字状に形成され、底壁の後端はリヤフロアを下方に凹ませた収納凹部に接続されるので、収納凹部を利用してコンプレッサの後方を覆うことでコンプレッサハウジングを小型軽量化することができる。
【0018】
また請求項
3の構成によれば、コンプレッサハウジングの底壁の後端は収納凹部の下面を補強する補強部材に接続されるので、補強フレームによりコンプレッサハウジングの支持強度を高めることができる。
【0019】
また請求項
4の構成によれば、コンプレッサはリヤフロアの下面に車幅方向に設けられたクロスメンバのコンプレッサ固定壁に固定部で固定され、コンプレッサハウジングの前壁は固定部の車幅方向外側でコンプレッサ固定壁に固定され、収納凹部の前壁はコンプレッサ固定壁の後端に接続されるので、クロスメンバを利用してコンプレッサおよびコンプレッサハウジングを強固に支持することができる。
【0020】
また請求項
5の構成によれば、コンプレッサハウジングと収納凹部との間に、コンプレッサから延びる圧縮エアの配管が挿通される隙間が形成されるので、圧縮エアの配管の取り回しが容易になる。
【0021】
特に請求項
6の構成によれば、リヤフロアの前端はキックアップ部を介してフロントフロアの後端に連続し、フロントフロアには前後方向に延びる左右のフロアフレームが設けられ、左右のリヤブレースの前端は左右のフロントブレースを介して左右のフロアフレームの後端に連結されるので、上下方向に折れ曲がり易いキックアップ部の剛性をリヤブレースおよびフロントブレースにより高めるとともに、後方からの衝突荷重をリヤブレースおよびフロントブレースでリヤサイドフレームおよびフロアフレームに伝達して分散することができる。
【0022】
また請求項
7の構成によれば、左右のフロントブレースおよび左右のリヤブレースを接続する左右の接続部間に燃料タンクが配置され、左右のリヤブレース間に燃料タンクのキャニスタが配置されるので、リヤフロアの下方のスペースを有効利用して燃料タンクおよびキャニスタを配置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図3】
図2からサブフレーム、コンプレッサハウジング、リヤブレース、フロントブレース 等を取り外した状態を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、
図1〜
図5に基づいて本発明の実施の形態を説明する。なお、本明細書における前後方向、左右方向(車幅方向)および上下方向とは、運転席に着座した乗員を基準として定義される。
【0025】
図1に示すように、車体の左右両側部に沿って前後方向に延びる左右一対のサイドシル11,11の後端に、前後方向に延びる左右一対のリヤサイドフレーム12,12の前端が接続される。左右のサイドシル11,11の後端間が車幅方向に延びるミドルクロスメンバ13で接続され、左右のリヤサイドフレーム12,12の前後方向中間部間が車幅方向に延びるリヤクロスメンバ14で接続される。ミドルクロスメンバ13よりも前方の左右のサイドシル11,11間にフロントフロア15が掛け渡され、ミドルクロスメンバ13よりも後方の左右のリヤサイドフレーム12,12間にリヤフロア16が掛け渡される。リヤフロア16は、ミドルクロスメンバ13に沿って車幅方向に延びるキックアップ部17を介してフロントフロア15よりも一段高く形成される。
【0026】
図2〜
図4に示すように、図示せぬエアサスペンション装置等を支持するサブフレーム18は、前部横フレーム19、後部横フレーム20および左右一対の縦フレーム21,21を井桁状に結合して構成され、その四隅が左右のリヤサイドフレーム12,12の下面の前部固定部12a,12aおよび後部固定部12b,12b(
図3参照)にゴムブッシュマウント22…を介して吊下支持される。さらに左右の縦フレーム21,21の前端は前後方向に延びる前部連結部材23,23を介して左右のリヤサイドフレーム12,12の下面に連結される。リヤクロスメンバ14を後方に延長したコンプレッサ固定壁14aの下面に左右一対のサブフレーム支持ブラケット24,24が設けられており、サブフレーム18の左右の縦フレーム21,21の後端は車幅方向に延びる後部連結部材25,25を介して左右のサブフレーム支持ブラケット24,24に連結される。
【0027】
サブフレーム18の後方のリヤフロア16には、スペヤタイヤやバッテリを収納するための収納凹部26が下向きに窪むように形成される。収納凹部26の底壁26aの上面および下面には、それぞれ上部補強板27(
図4参照)および下部補強板28が重ね合わされて補強される。
【0028】
収納凹部26の前壁26bの前方のリヤフロア16の下方にエアサスペンション装置用の高圧空気を発生するコンプレッサ29が配置される。すなわち、リヤフロア16の下面に重なるリヤクロスメンバ14のコンプレッサ固定壁14aが収納凹部26の前壁26bに接続されており、このコンプレッサ固定壁14aの下面に固定した複数本のステー30…の各々に、振動を遮断するための弾性支持装置31…を介してコンプレッサ29が支持される。
【0029】
コンプレッサ29を覆うコンプレッサハウジング32は、L字状断面に折り曲げられた底壁32aおよび前壁32bと、底壁32aおよび前壁32bの車幅方向両端に接続する左右の側壁32c,32cとを備え、底壁32aの後端が収納凹部26を補強する下部補強板28の前端にボルト33…で固定され、前壁32bの上端がボルト34,34でコンプレッサ固定壁14aに固定され、左右の側壁32c,32cの上端がそれぞれボルト35,35で左右のサブフレーム支持ブラケット24,24に固定される。この状態でコンプレッサハウジング32の開放した後面は収納凹部26の前壁26bにより覆われ、コンプレッサハウジング32の開放した上面はコンプレッサ固定壁14aにより覆われるため、コンプレッサ29は基本的に全周を取り囲まれて騒音の漏れが防止される。
【0030】
収納凹部26の底壁26aの右端と右側のサブフレーム支持ブラケット24とがステー36で接続されており、このステー36に支持されたソレノイドバルブ37が配管38を介してコンプレッサ29に接続されるとともに、他の配管39を介して右側のリヤホイールハウス40内に配置されたエアタンク41(
図1参照)に接続される。このとき、コンプレッサ29およびソレノイドバルブ37を接続する配管38は、コンプレッサハウジング32の右側の側壁32cの後端と、収納凹部26の前壁26bの右端との間に形成された隙間αを通して外部に案内される(
図5参照)。
【0031】
左右のリヤサイドフレーム12,12の前部下面に左右一対の連結ブラケット42,42が設けられており、左右の連結ブラケット42,42とコンプレッサハウジング32の底壁32aの前端とが、左右一対のロッド状のリヤブレース43,43で連結される。キックアップ部17から前方に延びるフロントフロア15の上面には前後方向に延びる左右一対のフロアフレーム44,44が設けられており、左右のフロアフレーム44,44の後端と左右の連結ブラケット42,42とが、左右一対のロッド状のフロントブレース45,45で連結される。サブフレーム18の下方を跨ぐ左右のリヤブレース43,43は、前端側に対して後端側が車幅方向内側に傾斜するようにV字状に配置され、キックアップ部17を左右のフロントブレース45,45は、前端側に対して後端側が車幅方向外側に傾斜するようにハ字状に配置される。
【0032】
リヤフロア16の下方において、フロントブレース45,45およびリヤブレース43,43が接続される左右の連結ブラケット42,42間に挟まれる位置に燃料タンク46が配置され、井桁状のサブフレーム18の前部横フレーム19、後部横フレーム20および左右の縦フレーム21,21に囲まれる位置であって、左右のリヤブレース43,43間に挟まれる位置に、燃料タンク46において発生した燃料蒸気を吸着するためのキャニスタ47が配置される。
【0033】
次に、上記構成を備えた本発明の実施の形態の作用を説明する。
【0034】
前後方向に延びる左右のリヤサイドフレーム12,12間を接続するリヤフロア16の後部下面に支持されたエアサスペンション用のコンプレッサ29の全周を、底壁32a、前壁32bおよび左右の側壁32c,32cを有するコンプレッサハウジング32と、収納凹部26の前壁26bと、リヤクロスメンバ14のコンプレッサ固定壁14aとの協働で覆うので、前輪に撥ねられた飛び石等からコンプレッサ29を確実に保護することができるだけでなく、コンプレッサハウジング32だけでコンプレッサ29の全周を覆う場合に比べて、コンプレッサハウジング32を小型軽量化することができる。
【0035】
またコンプレッサハウジング32の底壁32aの後端は収納凹部26の下面を補強する下部補強部材28に接続されるので、下部補強部材28によりコンプレッサハウジング32の支持強度を高めることができる。さらにコンプレッサハウジング32と収納凹部26との間に、コンプレッサ29から延びる圧縮エアの配管38が挿通される隙間αが形成されるので、圧縮エアの配管38の取り回しが容易になる。
【0036】
しかもコンプレッサハウジング32と左右のリヤサイドフレーム12,12の前部に設けた左右の連結ブラケット42,42とが、上面視で前側が拡開するV字状に配置された左右のリヤブレース43,43で連結されるので、リヤブレース43,43およびコンプレッサ29の干渉を回避しながら、リヤブレース43,43で車体後部の捩じれ剛性を高めるとともに、後面衝突時の衝突荷重をコンプレッサハウジング32からリヤブレース43,43を介してリヤサイドフレーム12,12に伝達して分散することができる。
【0037】
また四角枠状のサブフレーム18の四隅が左右のリヤサイドフレーム12,12に設けられた二つの前部固定部12a,12aおよび二つの後部固定部12b,12bに支持されるので、左右のリヤサイドフレーム12,12がサブフレーム18を介して相互に連結されることで、車体後部の捩じれ剛性を高めることができる。
【0038】
しかもリヤサイドフレーム12,12の二つの後部固定部12b,12bがリヤフロア16の下面に設けられた左右のサブフレーム支持ブラケット24,24に左右の後部連結部材25,25を介して連結され、かつ左右のサブフレーム支持ブラケット24,24にコンプレッサハウジング32の左右の側壁32c,32cが固定されるので、左右の後部連結部材25,25およびコンプレッサハウジング32が左右のリヤサイドフレーム12,12を連結するクロスメンバとして機能することで車体後部の捩じり剛性が一層高められる。
【0039】
またコンプレッサ29はリヤフロア16の下面に車幅方向に設けられたリヤクロスメンバ14のコンプレッサ固定壁14aに固定され、その車幅方向両側でコンプレッサハウジング32の前壁32bがコンプレッサ固定壁14aに固定され、さらに収納凹部26の前壁26bはコンプレッサ固定壁14aの後端に接続されるので、リヤクロスメンバ14を利用してコンプレッサ29およびコンプレッサハウジング32を強固に支持することができる。
【0040】
またリヤフロア16の前端はキックアップ部17を介してフロントフロア15の後端に連続するため、車体の屈曲部となるキックアップ部17の曲げ剛性が低下するが、フロントフロア15に設けられた強度部材である左右のフロアフレーム44,44の後端と、強度部材である左右のリヤサイドフレーム12,12の前部とが、キックアップ部17を跨ぐ左右のフロントブレース45,45で連結されるので、キックアップ部17の曲げ剛性が効果的に高められる。
【0041】
しかも左右のフロントブレース45,45の後端および左右のリヤブレース43,43の前端は、リヤサイドフレーム12,12に設けた左右の連結ブラケット42,42において相互に接続されるので、後方からの衝突荷重を左右のリヤブレース43,43からリヤサイドフレーム12,12およびフロアフレーム44,44に伝達して分散することができる。
【0042】
また左右のフロントブレース45,45および左右のリヤブレース43,43を接続する左右の連結ブラケット42,42間に燃料タンク46が配置され、左右の連結ブラケット42,42から後方に延びる左右のリヤブレース43,43間にキャニスタ47が配置されるので、リヤフロア16の下方のスペースを有効利用して燃料タンク46およびキャニスタ47を配置することができる。
【0043】
またリヤホイールハウス40内にコンプレッサ29により畜圧されるエアタンク41が配置されるので、リヤホイールハウス40内のスペースを利用してエアタンク41をコンパクトにレイアウトすることができる。
【0044】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明はその要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更を行うことが可能である。
【符号の説明】
【0045】
12 リヤサイドフレーム
12a 前部固定部
12b 後部固定部
14 リヤクロスメンバ(クロスメンバ)
14a コンプレッサ固定壁
15 フロントフロア
16 リヤフロア
17 キックアップ部
18 サブフレーム
24 サブフレーム支持ブラケット
25 後部連結部材(連結部材)
26 収納凹部
26b 前壁
28 下部補強板(補強部材)
29 コンプレッサ
30 ステー(固定部)
32 コンプレッサハウジング
32a 底壁
32b 前壁
38 配管
40 リヤホイールハウス
41 エアタンク
43 リヤブレース
44 フロアフレーム
45 フロントブレース
46 燃料タンク
47 キャニスタ
α 隙間