特許第6235632号(P6235632)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6235632
(24)【登録日】2017年11月2日
(45)【発行日】2017年11月22日
(54)【発明の名称】リアルタイム・ライティング支援装置
(51)【国際特許分類】
   G06F 17/27 20060101AFI20171113BHJP
   G06F 17/30 20060101ALI20171113BHJP
   G06F 17/24 20060101ALI20171113BHJP
【FI】
   G06F17/27 665
   G06F17/30 210A
   G06F17/30 320D
   G06F17/24
【請求項の数】15
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2016-23539(P2016-23539)
(22)【出願日】2016年2月10日
(65)【公開番号】特開2017-142653(P2017-142653A)
(43)【公開日】2017年8月17日
【審査請求日】2016年2月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】596100812
【氏名又は名称】京セラコミュニケーションシステム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092956
【弁理士】
【氏名又は名称】古谷 栄男
(74)【代理人】
【識別番号】100101018
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 正
(72)【発明者】
【氏名】谷口 友浩
(72)【発明者】
【氏名】井出 有加
【審査官】 長 由紀子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−211688(JP,A)
【文献】 特開2006−072436(JP,A)
【文献】 特開2001−147918(JP,A)
【文献】 特開2012−212254(JP,A)
【文献】 国際公開第2008/139568(WO,A1)
【文献】 特開2007−328713(JP,A)
【文献】 蓬莱 尚幸 外4名,連想ナビゲーション,情報処理学会研究報告,日本,社団法人情報処理学会,2000年 3月17日,第2000巻第28号,p.9-16
【文献】 柴田 文彦 外2名,最新テクノロジーに迫る Mac OS X 10.6 Snow Leopard,MAC POWER,日本,株式会社アスキー・メディアワークス,2009年 7月22日,第2巻,P.12
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 17/20−28
G06F 17/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザ操作により、記事をリアルタイムに作成して入力するための記事入力領域に入力された記事をリアルタイムに取得する入力記事取得手段と、
少なくとも前記取得された記事中における出現回数に基づいて、入力に応じてリアルタイムに重要語を抽出する重要語抽出手段と、
抽出された重要語を、前記記事入力領域の近傍の重要語表示領域に一覧として表示するための処理を行う重要語表示手段と、
前記抽出された重要語について、少なくとも過去の記事について、当該重要語が登場する記事と同一の記事内に登場する度合いの高い語を関連語として抽出する関連語抽出手段と、
抽出された関連語を、前記記事入力領域の近傍の関連語表示領域に一覧として表示するための処理を行う関連語表示手段と、
を備えたリアルタイム・ライティング支援装置。
【請求項2】
コンピュータによってリアルタイム・ライティング支援装置を実現するためのリアルタイム・ライティング支援プログラムであって、コンピュータを、
ユーザ操作により、記事をリアルタイムに作成して入力するための記事入力領域に入力された記事をリアルタイムに取得する入力記事取得手段と、
少なくとも前記取得された記事中における出現回数に基づいて、入力に応じてリアルタイムに重要語を抽出する重要語抽出手段と、
抽出された重要語を、前記記事入力領域の近傍の重要語表示領域に一覧として表示するための処理を行う重要語表示手段と、
前記抽出された重要語について、少なくとも過去の記事について、当該重要語が登場する記事と同一の記事内に登場する度合いの高い語を関連語として抽出する関連語抽出手段と、
抽出された関連語を、前記記事入力領域の近傍の関連語表示領域に一覧として表示するための処理を行う関連語表示手段として機能させるためのリアルタイム・ライティング支援プログラム。
【請求項3】
請求項1の装置において、
前記重要語抽出手段は、入力された記事中の各語が過去の記事に出現する回数を少なくとも考慮して、重要語を抽出することを特徴とする装置
【請求項4】
請求項3の装置において、
前記重要語抽出手段は、前記出現回数に加えて、特定の記事に偏って登場する希少性も考慮して、重要語を抽出することを特徴とする装置
【請求項5】
請求項1、3、4のいずれかの装置において、
前記重要語表示手段は、重要度が高い語ほど大きく表示することを特徴とする装置
【請求項6】
請求項1、3〜5のいずれかの装置において、
前記関連語表示手段は、操作者によって重要語表示領域に表示された重要語が選択されると、当該重要語に関連する関連語を示した関連語表示領域を表示することを特徴とする装置
【請求項7】
請求項1、3〜6のいずれかの装置において、
前記関連語表示手段は、重要語と関連語との関連度を線の太さによって示した図を表示することを特徴とする装置
【請求項8】
請求項7の装置において、
前記関連度を示す線が選択されると、過去の記事について、当該選択された線によって結びつけられている重要語と関連語をキーワードとして検索し、検索結果を表示する重要語−関連語検索手段をさらに備えたことを特徴とする装置。
【請求項9】
請求項1、3〜8のいずれかの装置において、
前記抽出された重要語について、当該重要語とともに検索キーワードとして用いられる頻度の高い語を検索語として抽出する検索語抽出手段と、
抽出された検索語を、前記記事入力領域の近傍の検索語表示領域に表示する検索語表示手段と、
をさらに備えることを特徴とする装置。
【請求項10】
請求項1、3〜9のいずれかの装置において、
前記記事入力領域に入力された記事に関連する過去の記事を検索し、検索結果を表示する関連記事検索手段をさらに備えることを特徴とする装置。
【請求項11】
請求項1、3〜10のいずれかの装置において、
前記リアルタイム・ライティング支援装置は、サーバ装置として構築されており、
前記入力記事取得手段は、当該サーバ装置に接続された端末装置において記事入力領域に入力された記事を取得するものであり、
重要語表示手段および関連語表示手段は、端末装置において表示するための表示内容を生成することを特徴とする装置
【請求項12】
ユーザ操作により、記事をリアルタイムに作成して入力するための記事入力領域と、
前記記事から、入力に応じてリアルタイムに抽出された重要語を一覧として表示する重要語表示領域と、
前記抽出された重要語について、少なくとも過去の記事について、当該重要語が登場する記事と同一の記事内に登場する度合いの高い語として抽出された関連語を一覧として表示する関連語表示領域と、
を備えたリアルタイム・ライティング支援装置。
【請求項13】
ユーザ操作により、文章をリアルタイムに作成して入力するための文章入力領域に入力された文章をリアルタイムに取得する入力文章取得手段と、
少なくとも前記取得された文章中における出現回数に基づいて、入力に応じてリアルタイムに重要語を抽出する重要語抽出手段と、
抽出された重要語を、前記文章入力領域の近傍の重要語表示領域に一覧として表示するための処理を行う重要語表示手段と、
前記抽出された重要語について、少なくとも過去の文章について、当該重要語が登場する文章と同一の文章内に登場する度合いの高い語を関連語として抽出する関連語抽出手段と、
抽出された関連語を、前記文章入力領域の近傍の関連語表示領域に一覧として表示するための処理を行う関連語表示手段と、
を備えたリアルタイム・ライティング支援装置。
【請求項14】
コンピュータによってリアルタイム・ライティング支援装置を実現するためのリアルタイム・ライティング支援プログラムであって、コンピュータを、
ユーザ操作により、文章をリアルタイムに作成して入力するための文章入力領域に入力された文章をリアルタイムに取得する入力文章取得手段と、
少なくとも前記取得された文章中における出現回数に基づいて、入力に応じてリアルタイムに重要語を抽出する重要語抽出手段と、
抽出された重要語を、前記文章入力領域の近傍の重要語表示領域に一覧として表示するための処理を行う重要語表示手段と、
前記抽出された重要語について、少なくとも過去の文章について、当該重要語が登場する文章と同一の文章内に登場する度合いの高い語を関連語として抽出する関連語抽出手段と、
抽出された関連語を、前記文章入力領域の近傍の関連語表示領域に一覧として表示するための処理を行う関連語表示手段として機能させるためのリアルタイム・ライティング支援プログラム。
【請求項15】
請求項13の装置において、
前記関連語表示領域は、ユーザ操作により表示されることを特徴とする装置
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
記事などの文章を作成する作成者は、関連する過去の記事を参照したり、気になる用語があればこれに関連する用語を調べたりしながら、作業を行うことが多い。
【0002】
たとえば、特許文献1には、用語に関連する関連用語を百科事典などから収集するシステムが開示されている。このシステムによれば、関連する用語を取得して表示させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013−171450
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来技術のようなシステムは、文章を作成する作成者(文章発信者)のためにあるというよりは、むしろ、作成された文章を閲覧して知識を得ようとする文章受信者のためのものである。このため、これを文章作成者が用いた場合には、次のような問題が生じる。
【0005】
すなわち、上記のような従来技術では、記事などの文章の作成とは別に、関連語の収集を行わねばならず、作成者の文章作成の流れが中断してしまうおそれがあった。
【0006】
この発明は、上記のような問題点を解決して、文章作成者にとって文章作成の流れをできるだけ中断させずに、重要語や関連語を提示して、文章作成のアシストを行うことのできるリアルタイム・ライティング支援装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明のいくつかの独立して適用可能な特徴を以下に列挙する。
【0008】
(1)(2)この発明に係るリアルタイム・ライティング支援装置は、ユーザ操作により、記事をリアルタイムに作成して入力するための記事入力領域に入力された記事をリアルタイムに取得する入力記事取得手段と、前記取得された記事から、入力に応じてリアルタイムに重要語を抽出する重要語抽出手段と、抽出された重要語を、前記記事入力領域の近傍の重要語表示領域に表示するための処理を行う重要語表示手段と、前記抽出された重要語について、少なくとも過去の記事について、当該重要語が登場する記事と同一の記事内に登場する度合いの高い語を関連語として抽出する関連語抽出手段と、抽出された関連語を、前記記事入力領域の近傍の関連語表示領域に表示するための処理を行う関連語表示手段とを備えている。
【0009】
したがって、記事作成中に、リアルタイムでその記事中の重要語を抽出し、さらに重要語に関連する関連語を表示することができる。
【0010】
(3)この発明に係るリアルタイム・ライティング支援装置は、重要語抽出手段が、入力された記事中の各語が過去の記事に出現する回数を少なくとも考慮して、重要語を抽出することを特徴としている。
【0011】
したがって、過去の記事を参照して重要語を抽出することができる。
【0012】
(4)この発明に係るリアルタイム・ライティング支援装置は、重要語抽出手段が、前記出現回数に加えて、特定の記事に偏って登場する希少性も考慮して、重要語を抽出することを特徴としている。
【0013】
したがって、一般的な用語として各記事に登場する用語をできるだけ排除して重要語を抽出することができる。
【0014】
(5)この発明に係るリアルタム・ライティング支援装置は、重要語表示手段が、重要度が高い語ほど大きく表示することを特徴としている。
【0015】
したがって、一目で重要度を把握することができる。
【0016】
(6)この発明に係るリアルタイム・ライティング支援装置は、関連語表示手段が、操作者によって重要語表示領域に表示された重要語が選択されると、当該重要語に関連する関連語を示した関連語表示領域を表示することを特徴としている。
【0017】
したがって、必要なときのみ関連語を表示することができる。
【0018】
(7)この発明に係るリアルタイム・ライティング支援装置は、関連語表示手段が、重要語と関連語との関連度を線の太さによって示した図を表示することを特徴とている。
【0019】
したがって、一目で重要度を把握することができる。
【0020】
(8)(9)この発明に係るリアルタイム・ライティング支援装置は、関連度を示す線が選択されると、過去の記事について、当該選択された線によって結びつけられている重要語と関連語をキーワードとして検索し、検索結果を表示する重要語−関連語検索手段をさらに備えたことを特徴としている。
【0021】
したがって、表示された重要語、関連語に基づいて、関連する記事を容易に検索することができる。
【0022】
(10)(11)この発明に係るリアルタイム・ライティング支援装置は、抽出された重要語について、当該重要語とともに検索キーワードとして用いられる頻度の高い語を検索語として抽出する検索語抽出手段と、抽出された検索語を、前記記事入力領域の近傍の検索語表示領域に表示する検索語表示手段とをさらに備えることを特徴としている。
【0023】
したがって、検索されやすい記事を生成するための参考情報を表示することができる。
【0024】
(12)(13)この発明に係るリアルタイム・ライティング支援装置は、記事入力領域に入力された記事に関連する過去の記事を検索し、検索結果を表示する関連記事検索手段をさらに備えることを特徴としている。
【0025】
したがって、現在作成中の記事に関連した記事を参照することが容易である。
【0026】
(14)この発明に係るリアルタイム・ライティング支援装置は、サーバ装置として構築されており、前記入力記事取得手段は、当該サーバ装置に接続された端末装置において記事入力領域に入力された記事を取得するものであり、重要語表示手段および関連語表示手段は、端末装置において表示するための表示内容を生成することを特徴としている。
【0027】
したがって、端末装置側においては表示処理ができればよく、ネットワークを介しての利用が容易である。
【0028】
(15)この発明に係るリアルタイム・ライティング支援装置は、ユーザ操作により、記事をリアルタイムに作成して入力するための記事入力領域と、前記取記事から、入力に応じてリアルタイムに抽出された重要語を表示する重要語表示領域と、前記抽出された重要語について、少なくとも過去の記事について、当該重要語が登場する記事と同一の記事内に登場する度合いの高い語として抽出された関連語を表示する関連語表示領域とを備えている。
【0029】
したがって、記事作成時に、重要語、関連語を知ることができる。
【0030】
(16)(17)この発明に係るリアルタイム・ライティング支援装置は、ユーザ操作により、文章をリアルタイムに作成して入力するための文章入力領域に入力された文章をリアルタイムに取得する入力文章取得手段と、前記取得された文章から、入力に応じてリアルタイムに重要語を抽出する重要語抽出手段と、抽出された重要語を、前記文章入力領域の近傍の重要語表示領域に表示するための処理を行う重要語表示手段と、前記抽出された重要語について、少なくとも過去の文章について、当該重要語が登場する文章と同一の文章内に登場する度合いの高い語を関連語として抽出する関連語抽出手段と、抽出された関連語を、前記文章入力領域の近傍の関連語表示領域に表示するための処理を行う関連語表示手段とを備えている。
【0031】
したがって、記事作成時に、重要語、関連語を知ることができる。
【0032】
(18)この発明に係るリアルタイム・ライティング支援装置は、関連語表示領域が、ユーザ操作により表示されることを特徴としている。
【0033】
したがって、必要なときのみ関連語を表示することができる。
【0034】
「入力記事取得手段」は、実施形態においては、ステップS12がこれに対応する。
【0035】
「重要語抽出手段」は、実施形態においては、ステップS14、S15がこれに対応する。
【0036】
「重要語表示手段」は、実施形態においては、ステップS17がこれに対応する。
【0037】
「関連語抽出手段」は、実施形態においては、ステップS19がこれに対応する。
【0038】
「関連語表示手段」は、実施形態においては、ステップS20がこれに対応する。
【0039】
「プログラム」とは、CPUにより直接実行可能なプログラムだけでなく、ソース形式のプログラム、圧縮処理がされたプログラム、暗号化されたプログラム等を含む概念である。
【図面の簡単な説明】
【0040】
図1】この発明の一実施形態によるリアルタイム・ライティング支援装置の機能ブロック図である。
図2】サーバ装置S、端末装置Tのハードウエア構成である。
図3】支援処理のフローチャートである。
図4】支援処理のフローチャートである。
図5】支援画面の表示例である。
図6】支援画面の表示例である。
図7】支援画面の表示例である。
図8】支援画面の表示例である。
図9】支援画面の表示例である。
図10】支援画面の表示例である。
図11】支援画面の表示例である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
1.リアルタイム・ライティング支援装置の機能ブロック図
この発明の一実施形態によるリアルタイム・ライティング支援装置の機能ブロック図を示す。この実施形態では、リアルタイム・ライティング支援装置をサーバ装置Sとして構築している。
【0042】
端末装置Tには、記事入力領域20、重要語表示領域22、関連語表示領域24が設けられている。ユーザが端末装置Tを操作して、記事入力領域20に記事を作成しながら入力しているとする。
【0043】
入力された記事は、順次、リアルタイムにてサーバ装置Sに送信される。サーバ装置Sの入力記事取得手段2は、送信されてきた記事を取得する。重要語抽出手段4は、取得した記事からリアルタイムに重要語を抽出する。重要語表示手段6は、抽出された重要語を端末装置Tの重要語表示領域22において表示する。
【0044】
関連語抽出手段8は、抽出された重要語について、記事DB12を参照し、過去の記事において、当該重要語が登場する記事と同一の記事内に登場する度合いの高い語を関連語として抽出する。関連語表示手段10は、抽出された関連語を端末装置Tの関連語表示領域24において表示する。
【0045】
したがって、ユーザが記事入力を進めるごとに、それまで入力された記事内容に応じて、リアルタイムに重要語、関連語を表示することができる。ユーザによる記事作業の流れに影響を与えることが少ない。
【0046】
2.サーバ装置Sのハードウェア構成
図2に、サーバ装置Sのハードウエア構成を示す。CPU30には、メモリ32、ディスプレイ34、ハードディスク38、DVD−ROMドライブ40、通信回路42、キーボード/マウス43が接続されている。通信回路42は、インターネットなどに接続するためのものである。
【0047】
ハードディスク38には、オペレーティングシステム44、サーバプログラム46が記録されている。サーバプログラム46は、オペレーティングシステム44と協働してその機能を発揮するものである。これらプログラムは、DVD−ROM48に記録されていたものを、DVD−ROMドライブ40を介して、ハードディスク38にインストールしたものである。
【0048】
端末装置Tのハードウエア構成も同様である。ただし、ハードディスク38には、サーバプログラム46に代えて、ブラウザプログラムが記録されている。
【0049】
3.リアルタイム・ライティング支援処理
図3図4に、端末装置Tのブラウザプログラム、サーバ装置Sのサーバプログラムのフローチャートを示す。
【0050】
ユーザの操作に応じ、端末装置TのCPU50(以下、端末装置Tと省略することがある)は、サーバ装置Sにアクセスし支援画面を要求する(ステップS1)。これを受けて、サーバ装置SのCPU30(以下、サーバ装置Sと省略することがある)は、支援画面を送信する(ステップS11)。端末装置Tは、受信した支援画面をディスプレイ54に表示する(ステップS2)。
【0051】
図5に、支援画面の例を示す。作成中の記事を入力するための記事入力領域80、重要語を表示するための重要語表示領域82、関連記事を表示するための関連記事表示領域84を備えている。
【0052】
ユーザが、記事入力領域80に記事を入力すると、端末装置Tは、入力された記事をサーバ装置に送信する(ステップS3)。この送信処理は、記事が入力されるごとにリアルタイムに行われる。サーバ装置Sは、送信されてきた記事を受信する(ステップS12)。
【0053】
サーバ装置Sは、受信した記事について形態素解析を行う(ステップS13)。なお、すでに形態素解析を行っている部分はそれを利用し、今回新たに入力された部分についてのみ形態素解析を行えばよい。続いて、サーバ装置Sは、抽出した形態素のうち名詞について、その重要度をそれぞれ算出する(ステップS14)。
【0054】
この実施形態では、過去の記事を記録した記事DB12を参照して入力された記事中の各名詞について、重要度を算出するようにしている。なお、記事DB12は、過去に発表された記事を収録したDBであることが好ましい。たとえば、ニュースサイトの過去の記事を集めたDB12などを用いることができる。
【0055】
重要度は、以下の1)2)に基づいて算出する。
【0056】
1)入力された記事中において当該名詞が出現した回数が多いほど重要度を高くする
2)過去記事において、当該名詞が用いられている記事数(記事割合)が多いほど重要度を高くする(当該名詞がタイトルに用いられている場合にはさらに重要度を高くする)
たとえば、下式によって算出する。
【0057】
IF=N・F
ここで、IFは重要度、Nは入力された記事中において当該名詞が出現した回数である。Fは下式によって表される。
【0058】
F=(T/M)・(M/A)
ここで、Aは記事DBに記録されている全記事数、Mは当該名詞が用いられている記事数、Tは当該名詞がタイトルとして用いられている記事数である。
【0059】
以上のようにして各名詞について重要度を算出すると、次に、重要度の高い順に所定個数の重要語を抽出する(ステップS15)。この実施形態では、入力された記事中の名詞の数に応じて抽出する重要語の数を変えるようにしている。名詞の数が50個以上となれば20個の重要語を選ぶようにしている。それ以下の名詞数の場合には、名詞数が少なくなるにつれて抽出する重要語の数も少なくするようにしている。
【0060】
サーバ装置Sは、次に、入力された記事に関連する記事を、記事DB12から検索する(ステップS16)。この実施形態では、上記で抽出した重要語を用いて(重要度の高い順に1以上を選択して)当該重要語を含む記事を取得するようにしている。
【0061】
次に、サーバ装置Sは、上記のようにして抽出した重要語を重要語表示領域82に示し、関連記事へのリンクを関連記事表示領域84に示した支援画面を生成し、端末装置Tに送信する(ステップS17)。端末装置Tは、これを受けて、重要語および関連記事へのリンクが追加されて更新された支援画面を表示する(ステップS4)。
【0062】
図6に、端末装置Tにおいて表示された支援画面を示す。図6においては、記事入力領域80に「もののインターネットと呼ばれるIoTが」という記事が途中まで入力されている。上記の重要語抽出処理により、「インターネット」「もの」「IoT」が重要語として抽出され、重要語表示領域82に表示されている。この実施形態では、重要度の高いものほど大きく表示するようにしている。また、関連記事表示領域84に、関連記事へのリンクが表示されている。
【0063】
この状態にて端末装置Tにおいて、重要語がクリックされるなどの特別な処理がなされなければ、端末装置Tは、ステップS3以下の処理を繰り返す。ユーザによって、さらに記事の入力が進むと、これに応じて、リアルタイムに上記の重要語抽出処理、関連記事抽出処理がなされ、重要語表示領域82に重要語が表示され、関連記事表示領域84に関連記事へのリンクが表示される。
【0064】
入力が進んだ状態における支援画面を図7に示す。記事入力領域80に「もののインターネットと呼ばれるIoTが進んでいる。単に、ものがインターネットに繋がったというだけではない影響が産業界を襲っている。その」という入力途中の記事が表示されている。これに対応して、重要語表示領域82には、抽出された重要語「産業界」「インターネット」「影響」「もの」「IoT」が表示されている。
【0065】
このように、記事入力領域80に記事が入力されると、これにつれて、リアルタイムに重要語が再抽出されて表示される。したがって、常に、入力された記事に対応して、重要語が抽出されて表示されることになる。
【0066】
図7の状態において、端末装置Tにおいて、ユーザがマウス43により関連記事へのリンク85をクリックすると、端末装置Tは、記事のリンク先にアクセスし、関連記事表示領域84に当該記事を表示する。
【0067】
また、図7の状態において、端末装置Tにおいて、ユーザがマウス43により重要語のいずれかをクリックすると(ステップS5)、端末装置Tは、関連語表示要求をサーバ装置Sに送信する(ステップS6)。この関連語表示要求には、クリックされた重要語が情報として含まれる。
【0068】
サーバ装置Sは、この要求を受けて、当該重要語に関連する関連語を抽出する(ステップS19)。関連語の抽出は以下のようにして行う。
【0069】
まず、サーバ装置Sは、記事DB12を参照して、当該重要語が現れる記事と同じ記事に現れる単語(名詞)を抽出する。さらに、この各単語について、何個の記事において前記重要語と同じ記事に出現したかを算出し、これを関連度とする。そして、関連度の高い単語を所定個数(この実施形態では10個)選んで、関連語とする。
【0070】
サーバ装置Sは、このようにして指定された重要語に関連する関連語を抽出し、この関連語を重要語と対応づけて示した支援画面を生成し、端末装置Tに送信する(ステップS20)。端末装置Tは、受信した支援画面を、ディスプレイ54において表示する(ステップS7)。
【0071】
図8に、端末装置Tにおいて表示された支援画面を示す。重要語表示領域82の重要語「インターネット」に対して、関連語表示領域88が示されている。この関連語表示領域88には、重要語を示す円90と、その周りに関連語を示す円92が表示されている。
【0072】
関連語を示す円92にマウスカーソルを合わせると、図9に示すように、サーバ装置Sは、関連語表示枠94を表示しその中に関連語を示す。なお、関連語を示す円92の大きさは、その関連度に応じた大きさとしている(関連度が高いほど大きい)。また、関連語を示す円92と重要語を示す円90とを結ぶ線は、関連度に応じた太さとしている(関連度が高いほど太い)。
【0073】
なお、この実施形態では、ユーザによって重要語と関連語を結ぶ線がクリック(選択)されると、この2つの用語を含む記事を記事DB12から検索し、該当する記事へのリンクを表示するようにしている(図示せず)。
【0074】
また、重要語を示す円90にマウスカーソルを合わせると、図10に示すように、サーバ装置Sは、重要語と関連語のリストを表示する。
【0075】
以上のようにして、リアルタイムに表示された重要語に対し、ユーザ操作によって関連語を表示することができる。この実施形態では、重要語をリアルタイムに表示するのに対し、関連語はユーザが操作した場合にのみ表示されるようにしている。したがって、重要語表示のリアルタイム性を損なうことなく、必要な場合のみ関連語を表示できる。
【0076】
なお、記事が完成すれば、通常の文書処理装置と同じようにサーバ装置Sまたは端末装置Tのハードディスク38(58)に記録することができる。
【0077】
4.その他
(1)上記実施形態においては、キーボードから記事を入力するようにしている。しかし、音声にて記事を入力するようにしてもよい。また、重要語や関連語などを音声にて出力するようにしてもよい。
【0078】
(2)上記実施形態では、入力された記事中に当該用語が何回登場したかを考慮して重要度を算出するようにしている。しかし、これを考慮せず、記事DB12を参照して重要度を算出するようにしてもよい。また、入力された記事中に当該用語が何回登場したかのみに基づいて重要度を算出するようにしてもよい。
【0079】
(3)上記実施形態では、サーバ装置Sは、入力された記事に少しの変化でもあれば、リアルタイムに重要語の抽出・表示を行うようにしている。しかし、所定時間経過ごと(たとえば5秒ごと)や、所定文字数(たとえば5文字)入力された文字が増えるごと等に、重要語の抽出・表示を行うようにしてもよい。
【0080】
(4)上記実施形態では、重要語表示領域82、関連語表示領域88、関連記事表示領域84を備えている。しかし、これらの一部のみを設けるようにしてもよい。また、これらに加えて、あるいは代えて、要約表示領域を設け、リアルタイムに入力された記事に対する要約文を表示するようにしてもよい。
【0081】
なお、要約は、たとえば、入力された記事中の文(句点によって分割される文)に含まれる用語の重要度を合計し、当該文に含まれる用語の数で除した値(文の重要度)を算出して、この値の大きい文を所定個数選ぶことで生成することができる。
【0082】
(5)上記実施形態では、重要語、関連記事リンク、要約のいずれもリアルタイムで表示するようにしている。しかし、これらの一部または全部を、リアルタイムでなく、関連語のようにユーザの操作に応じて表示するようにしてもよい。
【0083】
一方、関連語について、リアルタイムに表示するようにしてもよい。関連語についてもリアルタイムで表示する場合、全ての重要語について表示するのではなく、一部の重要語についてのみリアルタイムで表示し、その他の重要語についてはユーザの指示によって表示するようにしてもよい。たとえば、最も重要度の高い重要語や更新されて新たに採用された重要語についてのみリアルタイムに関連語を表示するようにすることができる。
【0084】
(6)上記実施形態では、関連語の表示において、まず図形のみを表示し、この図形を選択することで関連語を表示するようにしている。しかし、図形に重ねて、あるいは図形に代えて関連語を表示するようにしてもよい。
【0085】
(7)上記実施形態では、図7に示すように、重要語表示領域82において、重要度の高い順に重要語を表示するようにしている。しかし、図11に示すように、重要語の表示位置や向きは、ランダム(同じ方向でない)にするようにしてもよい。この場合、重要度は文字の大きさによって示されることになる。なお、表示位置と向きをランダムにした場合、重要語同士の区別が付きにくくなるので、各重要語の色を変えるようにしてもよい。
【0086】
(8)上記実施形態では、重要語や関連語の抽出において、記事DB12に記録されている全ての記事を対象に行うようにしている。しかし、現在入力している記事の分野(経済、スポーツなど)を指定し、当該分野の記事のみを対象として、抽出するようにしてもよい。
【0087】
(9)上記実施形態では、重要語に対する関連語を抽出して表示するようにしている。しかし、検索語表示領域を設け(リアルタイムにまたはユーザ指示により表示する)、重要語と共にウエブ検索に用いられる頻度の高い検索語を抽出して検索語表示領域に表示するようにしてもよい。このような検索語の抽出は、過去に検索されたキーワードを収録したDB(検索時に用いられた複数のキーワードの組み合わせを記録したもの)を参照して行うことができる。
【0088】
(10)上記実施形態では、リアルタイム・ライティング支援装置をサーバ装置として構築している。しかし、端末装置側において、上記サーバ装置側で行っている処理を全部または一部行うようにしてもよい。端末装置側で全ての処理を行う場合には、サーバ装置は設けなくともよい。
【0089】
(11)上記実施形態では、記事入力を行う場合について説明した。しかし、論文、小説などを入力する場合にも適用することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11