特許第6235637号(P6235637)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6235637
(24)【登録日】2017年11月2日
(45)【発行日】2017年11月22日
(54)【発明の名称】自動車の車体構造
(51)【国際特許分類】
   B62D 25/20 20060101AFI20171113BHJP
【FI】
   B62D25/20 D
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-36751(P2016-36751)
(22)【出願日】2016年2月29日
(65)【公開番号】特開2017-154515(P2017-154515A)
(43)【公開日】2017年9月7日
【審査請求日】2016年11月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002192
【氏名又は名称】特許業務法人落合特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】立脇 正章
【審査官】 須山 直紀
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−004990(JP,A)
【文献】 特開2009−006903(JP,A)
【文献】 特開2004−217108(JP,A)
【文献】 特開2013−119359(JP,A)
【文献】 特開2015−160511(JP,A)
【文献】 特開2012−218538(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 25/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前上方から後下方に傾斜するダッシュボードロアパネル(13)の傾斜壁(13a)の前面に、前上方から後下方に傾斜するフロントサイドフレーム(18)の後部上面を接続し、前記フロントサイドフレーム(18)の後部下面に設けた側面視で三角形状の取付ブラケット(19)にサブフレーム(23)の支持部(23a)を支持する自動車の車体構造であって、
車幅方向内端が前記取付ブラケット(19)の前壁(19a)および下壁(19b)と前記フロントサイドフレーム(18)の車幅方向外壁(18c)とに接続され、車幅方向外端がサイドシル(11)の前端に接続されるアウトリガー(29)を備え、前記アウトリガー(29)は前記ダッシュボードロアパネル(13)の傾斜壁(13a)から前方に突出する形状であり、上部部材(30)および下部部材(31)に2分割されて車幅方向に延びるフランジ(30d,31c)にて一体に接続され、前記ダッシュボードロアパネル(13)の傾斜壁(13a)から後方に延びるフロアパネル(12)の上面に接続されたフロアフレーム(17)を備え、前記下部部材(31)は前記フロントサイドフレーム(18)、前記ダッシュボードロアパネル(13)の傾斜壁(13a)および前記フロアフレーム(17)に四枚重ねで接続されることを特徴とする自動車の車体構造。
【請求項2】
前上方から後下方に傾斜するダッシュボードロアパネル(13)の傾斜壁(13a)の前面に、前上方から後下方に傾斜するフロントサイドフレーム(18)の後部上面を接続し、前記フロントサイドフレーム(18)の後部下面に設けた側面視で三角形状の取付ブラケット(19)にサブフレーム(23)の支持部(23a)を支持する自動車の車体構造であって、
車幅方向内端が前記取付ブラケット(19)の前壁(19a)および下壁(19b)と前記フロントサイドフレーム(18)の車幅方向外壁(18c)とに接続され、車幅方向外端がサイドシル(11)の前端に接続されるアウトリガー(29)を備え、前記アウトリガー(29)は少なくとも上壁(30a)、前壁(30b)および下壁(31a)を有して後方に開放する開断面の部材であり、前記上壁(30a)は車幅方向外側に向かって前後方向の幅が狭まる三角形状であり、前記前壁(30b)および前記下壁(31a)は矩形状であることを特徴とする自動車の車体構造。
【請求項3】
前上方から後下方に傾斜するダッシュボードロアパネル(13)の傾斜壁(13a)の前面に、前上方から後下方に傾斜するフロントサイドフレーム(18)の後部上面を接続し、前記フロントサイドフレーム(18)の後部下面に設けた側面視で三角形状の取付ブラケット(19)にサブフレーム(23)の支持部(23a)を支持する自動車の車体構造であって、
車幅方向内端が前記取付ブラケット(19)の前壁(19a)および下壁(19b)と前記フロントサイドフレーム(18)の車幅方向外壁(18c)とに接続され、車幅方向外端がサイドシル(11)の前端に接続されるアウトリガー(29)を備え、前記サイドシル(11)はアウター部材(25)およびインナー部材(26)間に挟まれたジャッキアップスチフナ(27)を備え、前記サイドシル(11)の前端から前方に突出するジャッキアップスチフナ(27)の前端を車幅方向内側に折り曲げたアウトリガー固定フランジ(27b)に、前記アウトリガー(29)の前面が前後方向に機械的に締結されることを特徴とする自動車の車体構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、前上方から後下方に傾斜するダッシュボードロアパネルの傾斜壁の前面に、前上方から後下方に傾斜するフロントサイドフレームの後部上面を接続し、前記フロントサイドフレームの後部下面に設けた側面視で三角形状の取付ブラケットにサブフレームの支持部を支持する自動車の車体構造に関する。
【背景技術】
【0002】
ダッシュボードロアパネルの下部の傾斜壁の前面にフロントサイドフレームの後部(エクステンションメンバ28)を接続し、このエクステンションメンバ28の下面にサスペンション装置を支持するサブフレーム(サスペンションメンバ35)をボルトで締結するにあたり、そのボルト締結部を補強すべく、エクステンションメンバ28にブラケット38を接続し、このブラケット38にアウトリガー40を接続したものが、下記特許文献1により公知である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3724079号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記従来のものは、エクステンションメンバ28の車幅方向内壁にブラケット38の車幅方向内端に設けた上向きフランジ38aを接続し、ブラケット38の車幅方向外端に設けた下向きフランジ38bにアウトリガー40の車幅方向内端に設けたフランジ40aを接続しているため、サスペンションメンバ35のボルト締結部をアウトリガー40で効果的に補強することができず、サスペンションメンバ35の支持剛性が不充分になって車両の操縦安定性が低下する懸念がある。
【0005】
本発明は前述の事情に鑑みてなされたもので、フロントサイドフレームの後部に対するサブフレームの支持剛性を高めて車両の操縦安定性を確保することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1に記載された発明によれば、前上方から後下方に傾斜するダッシュボードロアパネルの傾斜壁の前面に、前上方から後下方に傾斜するフロントサイドフレームの後部上面を接続し、前記フロントサイドフレームの後部下面に設けた側面視で三角形状の取付ブラケットにサブフレームの支持部を支持する自動車の車体構造であって、車幅方向内端が前記取付ブラケットの前壁および下壁と前記フロントサイドフレームの車幅方向外壁とに接続され、車幅方向外端がサイドシルの前端に接続されるアウトリガーを備え、前記アウトリガーは前記ダッシュボードロアパネルの傾斜壁から前方に突出する形状であり、上部部材および下部部材に2分割されて車幅方向に延びるフランジにて一体に接続され、前記ダッシュボードロアパネルの傾斜壁から後方に延びるフロアパネルの上面に接続されたフロアフレームを備え、前記下部部材は前記フロントサイドフレーム、前記ダッシュボードロアパネルの傾斜壁および前記フロアフレームに四枚重ねで接続されることを特徴とする自動車の車体構造が提案される。
【0007】
また請求項2に記載された発明によれば、前上方から後下方に傾斜するダッシュボードロアパネルの傾斜壁の前面に、前上方から後下方に傾斜するフロントサイドフレームの後部上面を接続し、前記フロントサイドフレームの後部下面に設けた側面視で三角形状の取付ブラケットにサブフレームの支持部を支持する自動車の車体構造であって、車幅方向内端が前記取付ブラケットの前壁および下壁と前記フロントサイドフレームの車幅方向外壁とに接続され、車幅方向外端がサイドシルの前端に接続されるアウトリガーを備え、前記アウトリガーは少なくとも上壁、前壁および下壁を有して後方に開放する開断面の部材であり、前記上壁は車幅方向外側に向かって前後方向の幅が狭まる三角形状であり、前記前壁および前記下壁は矩形状であることを特徴とする自動車の車体構造が提案される。
【0008】
また請求項3に記載された発明によれば、前上方から後下方に傾斜するダッシュボードロアパネルの傾斜壁の前面に、前上方から後下方に傾斜するフロントサイドフレームの後部上面を接続し、前記フロントサイドフレームの後部下面に設けた側面視で三角形状の取付ブラケットにサブフレームの支持部を支持する自動車の車体構造であって、車幅方向内端が前記取付ブラケットの前壁および下壁と前記フロントサイドフレームの車幅方向外壁とに接続され、車幅方向外端がサイドシルの前端に接続されるアウトリガーを備え、前記サイドシルはアウター部材およびインナー部材間に挟まれたジャッキアップスチフナを備え、前記サイドシルの前端から前方に突出するジャッキアップスチフナの前端を車幅方向内側に折り曲げたアウトリガー固定フランジに、前記アウトリガーの前面が前後方向に機械的に締結されることを特徴とする自動車の車体構造が提案される。
【0009】
なお、実施の形態の下部フランジ30dおよび前部フランジ31cは本発明のフランジに対応する。
【発明の効果】
【0010】
請求項1、請求項2または請求項3の構成によれば、前上方から後下方に傾斜するダッシュボードロアパネルの傾斜壁の前面に、前上方から後下方に傾斜するフロントサイドフレームの後部上面を接続し、フロントサイドフレームの後部下面に設けた側面視で三角形状の取付ブラケットにサブフレームの支持部を支持する。車幅方向内端が取付ブラケットの前壁および下壁とフロントサイドフレームの車幅方向外壁とに接続され、車幅方向外端がサイドシルの前端に接続されるアウトリガーを備えるので、取付ブラケットをアウトリガーおよびフロントサイドフレームを強固に接続することで、取付ブラケットの剛性を高めてサブフレームを強固に支持し、車両の操縦安定性を確保することができる。
【0011】
特に請求項1の構成によれば、アウトリガーはダッシュボードロアパネルの傾斜壁から前方に突出する形状であり、上部部材および下部部材に2分割されて車幅方向に延びるフランジにて一体に接続されるので、金型の抜き勾配を考慮することなく上部部材および下部部材を容易にプレス成形することが可能になるだけでなく、上部部材および下部部材の材料強度を異ならせて取付ブラケットを効果的に補強することができ、しかもダッシュボードロアパネルの傾斜壁から後方に延びるフロアパネルの上面に接続されたフロアフレームを備え、下部部材はフロントサイドフレーム、ダッシュボードロアパネルの傾斜壁およびフロアフレームに四枚重ねで接続されるので、取付ブラケットの剛性および車体前部の構成を高めることができる。
【0012】
特に請求項2の構成によれば、アウトリガーは少なくとも上壁、前壁および下壁を有して後方に開放する開断面の部材であり、上壁は車幅方向外側に向かって前後方向の幅が狭まる三角形状であり、前壁および下壁は矩形状であるので、ダッシュボードロアパネルの傾斜壁との間に大きな閉断面を構成して車体前部の剛性を高めるとともに、フロントサイドフレームおよび取付ブラケットに対するアウトリガーの接続部の面積を最大限に確保し、前面衝突の衝突荷重をフロントサイドフレームからアウトリガーに効果的に伝達することができる。
【0013】
特に請求項3の構成によれば、サイドシルはアウター部材およびインナー部材間に挟まれたジャッキアップスチフナを備え、サイドシルの前端から前方に突出するジャッキアップスチフナの前端を車幅方向内側に折り曲げたアウトリガー固定フランジに、アウトリガーの前面が前後方向に機械的に締結されるので、アウトリガーを介して伝達される剪断荷重をサイドシルの前端に効率的に伝達することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】自動車の車体前部の下面図。
図2図1の2−2線断面図。
図3図2の3方向矢視図。
図4図3の4−4線断面図。
図5図3の5A−5A線および5B−5B線断面図。
図6図2の6方向矢視図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図1図6に基づいて本発明の実施の形態を説明する。尚、本明細書において前後方向、左右方向(車幅方向)および上下方向とは、運転席に着座した乗員を基準として定義される。
【0016】
図1図4に示すように、左右一対のサイドシル11,11間に挟まれたフロアパネル12の前端からダッシュボードロアパネル13の傾斜壁13aが前上方に立ち上がっており、その前方にエンジンルーム14が区画される。フロアパネル12の車幅方向中央部からダッシュボードロアパネル13の傾斜壁13aに跨がるように断面台形状のトンネル部15が上方に隆起する。フロアパネル12の下面には、トンネル部15の車幅方向両側に沿うように左右一対のトンネル部補強フレーム16,16が前後方向に配置され、またフロアパネル12の上面における左右のトンネル部補強フレーム16,16の車幅方向外側には、左右一対のフロアフレーム17,17が前後方向に配置される。
【0017】
エンジンルーム14内に前後方向に配置された左右一対のフロントサイドフレーム18,18の後部は、上下方向の厚さを次第に減じながら後下方に湾曲し、フロアパネル12の前端から前上方に傾斜するダッシュボードロアパネル13の傾斜壁13aの前面に接続される。前上方に湾曲するフロアフレーム17,17の前端は前上方に傾斜するダッシュボードロアパネル13の傾斜壁13aの後面に接続されており、フロントサイドフレーム18,18の後端とフロアフレーム17,17の前端とは、ダッシュボードロアパネル13の傾斜壁13aを挟んで前後方向に整列する。
【0018】
図2図4および図6に示すように、フロントサイドフレーム18の後部は、下壁18aと、下壁18aの車幅方向内端から起立する車幅方向内壁18bと,下壁18aの車幅方向外端から起立する車幅方向外壁18cと、車幅方向内壁18bの上端を車幅方向内側に折り曲げた内側フランジ18dと、車幅方向外壁18cの上端を車幅方向外側に折り曲げた外側フランジ18eとを備えて断面逆ハット状に形成されており、内側フランジ18dおよび外側フランジ18eがダッシュボードロアパネル13の傾斜壁13aの前面に接続される。
【0019】
フロントサイドフレーム18の後部下面に設けられる取付ブラケット19は、前壁19aと、下壁19bと、車幅方向内壁19cと、車幅方向外壁19dと、前壁19aの前部を前方に延長した前部フランジ19eと、下壁19bの後部を後方に延長した後部フランジ19fと、車幅方向内壁19cの上部を上方に延長した内側フランジ19gと、車幅方向外壁19dの上部を上方に延長した外側フランジ19hとを備える側面視で三角形状の部材であり、前部フランジ19eおよび後部フランジ19fがフロントサイドフレーム18の下壁18aに接続され、車幅方向内壁19cおよび車幅方向外壁19dがフロントサイドフレーム18の車幅方向内壁18bおよび車幅方向外壁18cにそれぞれ接続される。
【0020】
取付ブラケット19に内部に配置される補強プレート20は、上壁20aと、車幅方向外壁20bと、後壁20cと、上壁20aの前端および車幅方向外壁20bの前端を折り曲げた二つの前部フランジ20d,20eと、上壁20aの車幅方向内端を折り曲げた内側フランジ20fと、車幅方向外壁20bの下端を折り曲げた外側フランジ20gと、後壁20cの後端を延長した後部フランジ20hとを備えており、二つの前部フランジ20d,20eが取付ブラケット19の前壁19aに接続され、内側フランジ20fが取付ブラケット19の車幅方向内壁19cに接続され、外側フランジ20gが取付ブラケット19の下壁19bに接続され、後部フランジ20hが取付ブラケット19の後部フランジ19fおよびダッシュボードロアパネル13の傾斜壁13aとの間に挟まれるように接続される。
【0021】
取付ブラケット19の下壁19bと補強プレート20の上壁20aとの間にカラー21が設けられ、補強プレート20の上壁20aの上面にカラー21と同軸にナット22が設けられる。そして中央部が開口する四角枠状のサブフレーム23がエンジンルーム14に配置されており、その左右後部の支持部23a,23aおよびカラー21,21を下から上に貫通するボルト24,24をナット22,22に螺合することで、サブフレーム23の左右の支持部23a,23aが取付ブラケット19,19に締結される。
【0022】
図3および図5(A)に示すように、サイドシル11は、車幅方向内側に開放するハット状断面のアウター部材25と、車幅方向外側に開放するハット状断面のインナー部材26とを、ジャッキアップスチフナ27およびフロントピラーインナー28を挟むように接続したもので、ジャッキアップスチフナ27の下端には車幅方向内側に折り曲げられたジャッキアップフランジ27aが形成され、ジャッキアップスチフナ27の前端には車幅方向内側に折り曲げられたアウトリガー固定フランジ27bが形成される。
【0023】
図1図3および図4に示すように、車幅方向に配置されて取付ブラケット19およびサイドシル11の前端を接続するアウトリガー29は、上部部材30および下部部材31を接続して後向きに開放する開断面に形成され、ダッシュボードロアパネル13の傾斜壁13aの前面に前方に突出するように接続されて閉断面を構成する。
【0024】
上部部材30は、上壁30aと、前壁30bと、上壁30aの上端を折り曲げた上部フランジ30cと、前壁30bの下端を延長した下部フランジ30dと、上壁30aの車幅方向内端を折り曲げた第1内端フランジ30eと、前壁30bの車幅方向内端を延長した第2内端フランジ30fとを備える。上壁30aは車幅方向外側に向かって幅狭になる三角形状であり、その中央部に車幅方向に延びるビード30gが形成され、前壁30bは車幅方向に沿って略一定幅の矩形状であり、その中央部に車幅方向に延びるビード30hが形成される。
【0025】
下部部材31は、下壁31aと、後壁31bと、下壁31aの前端を折り曲げた前部フランジ31cと、後壁31bの後端を折り曲げた後部フランジ31dと、下壁31aの車幅方向内端を延長した第3内端フランジ31eと、後壁31bの車幅方向内端を折り曲げた第4内端フランジ31fとを備える。下壁31aは車幅方向に沿って略一定幅の矩形状であり、その中央部に車幅方向に延びるビード31gが形成される。
【0026】
このような形状の上部部材30の下部フランジ30dおよび下部部材31の前部フランジ31cを重ね合わせて接続することで、アウトリガー29が組み立てられる。アウトリガー29の上部部材30の上部フランジ30cおよび下部部材31の後部フランジ31dをダッシュボードロアパネル13の傾斜壁13aの前面に接続することで、ダッシュボードロアパネル13の傾斜壁13aおよびアウトリガー29間に閉断面が構成される。
【0027】
さらに、上部部材30の第1内端フランジ30eと、下部部材31の第4内端フランジ31fとをフロントサイドフレーム18の車幅方向外壁18cに接続し、上部部材30の第2内端フランジ30fを取付ブラケット19の前壁19aに接続し、下部部材31の第3内端フランジ31eを取付ブラケット19の下壁19bに接続することで、アウトリガー29の車幅方向内端がフロントサイドフレーム18および取付ブラケット19に接続される。
【0028】
ダッシュボードロアパネル13の傾斜壁13aの後面には、前方に向けて開放するダッシュクロスメンバ32の上部フランジ32aおよび下部フランジ32bが接続され、ダッシュボードロアパネル13の傾斜壁13aおよびダッシュクロスメンバ32間に閉断面が構成される。そしてアウトリガー29の上部部材30の上部フランジ30cと、フロントサイドフレーム18の外側フランジ18eと、ダッシュボードロアパネル13の傾斜壁13aと、ダッシュクロスメンバ32の下部フランジ32bとが四枚重ねで溶接W1される(図4参照)。またアウトリガー29の下部部材31の後部フランジ31dと、フロントサイドフレーム18の外側フランジ18eと、ダッシュボードロアパネル13の傾斜壁13aと、フロアフレーム17の外側フランジ17aとが四枚重ねで溶接W2される(図4参照)。
【0029】
一方、アウトリガー29の車幅方向外端はフロントピラーインナー28の車幅方向内面に付き当てられ、かつアウトリガー29の上部部材30の前壁30bと、下部部材31の前部フランジ31cとが、ジャッキアップスチフナ27のアウトリガー固定フランジ27bに前後方向に延びる2本のボルト33,33およびナット34,34で締結される。
【0030】
次に、上記構成を備えた本発明の実施の形態の作用を説明する。
【0031】
フロントサイドフレーム18,18の後部下面に取付ブラケット19,19を設け、この取付ブラケット19,19にボルト24,24で締結されたサブフレーム23は前輪のサスペンション装置を支持するため、フロントサイドフレーム18,18に対するサブフレーム23の支持剛性が不充分であると車両の操縦安定性に悪影響を及ぼす可能性がある。
【0032】
しかしながら、本実施の形態によれば、ダッシュボードロアパネル13の傾斜壁13aの前面にアウトリガー29を接続して閉断面を構成するとともに、アウトリガー29の車幅方向内端の第2内端フランジ30fおよび第3内端フランジ31eを取付ブラケット19の前壁19aおよび下壁19bに接続するとともに、第1内端フランジ30eおよび第4内端フランジ31fをフロントサイドフレーム18の車幅方向外壁18cに接続し、かつアウトリガー29の車幅方向外端をサイドシル11の前端に接続したので、取付ブラケット19およびフロントサイドフレーム18をアウトリガー29を介して強固に接続するとともに、取付ブラケット19をアウトリガー29を介してサイドシル11に強固に接続することで、取付ブラケット19の剛性を高めることができる。これにより、サブフレーム23の支持剛性を高めて車両の操縦安定性を確保することができる。
【0033】
またアウトリガー29はダッシュボードロアパネル13の傾斜壁13aから前方に突出する形状であり、上部部材30および下部部材31に2分割されて車幅方向に延びる下部フランジ30dおよび前部フランジ31cにて一体に接続されるので、プレス金型の抜き勾配を考慮することなく上部部材30および下部部材31を容易にプレス成形することが可能になるだけでなく、上部部材30および下部部材31をの材料強度を異ならせて取付ブラケット19を効果的に補強することができる。
【0034】
また取付ブラケット19は、下壁19bの上面に固定されたカラー21と、前壁19aの後面および下壁19bの後部フランジ19fの上面に接続されてカラー21の上面に当接する補強プレート20と、補強プレート20の上壁20aに固定されたナット22とを備え、カラー21を貫通してナット22に螺合するボルト24でサブフレーム23の支持部23aを取付ブラケット19に締結するので、補強プレート20で取付ブラケット19の剛性を更に高めることが可能になるだけでなく、取付ブラケット19に対するサブフレーム23の取付作業が容易になる。
【0035】
またスポット溶接部w1(図3および図4参照)でアウトリガー29の上部部材30の上部フランジ30cと、フロントサイドフレーム18の外側フランジ18eと、ダッシュボードロアパネル13の傾斜壁13aと、ダッシュクロスメンバ32の下部フランジ32bとを四枚重ねで接続するので、取付ブラケット19の剛性および車体前部の構成を高めることができる。
【0036】
またスポット溶接部w2(図3および図4参照)でアウトリガー29の下部部材31の後部フランジ31dと、フロントサイドフレーム18の外側フランジ18eと、ダッシュボードロアパネル13の傾斜壁13aと、フロアフレーム17の外側フランジ17aとを四枚重ねで接続するので、取付ブラケット19の剛性および車体前部の構成を高めることができる。
【0037】
またアウトリガー29は上壁30a、前壁30b、下壁31aおよび後壁31bを有して後方に開放する開断面の部材であり、上壁30aは車幅方向外側に向かって前後方向の幅が狭まる三角形状であり、前壁30bおよび下壁31aは矩形状であるので、ダッシュボードロアパネル13の傾斜壁13aとの間に大きな閉断面を構成して車体前部の剛性を高めるとともに、フロントサイドフレーム18および取付ブラケット19に対するアウトリガー29の接続部の面積を最大限に確保し、前面衝突の衝突荷重をフロントサイドフレーム18からアウトリガー29に効果的に伝達することができる。
【0038】
しかもアウトリガー29の上壁30a、前壁30bおよび下壁31aは車幅方向に延びるビード30g,30h,31gを有するので、アウトリガー29の剛性を更に高めて前面衝突の衝突荷重のフロントサイドフレーム18からサイドシル11への伝達効率を高めることができる。
【0039】
またサイドシル11はアウター部材25およびインナー部材26間に挟まれたジャッキアップスチフナ27を備え、サイドシル11の前端から前方に突出するジャッキアップスチフナ27の前端を車幅方向内側に折り曲げたアウトリガー固定フランジ27bに、アウトリガー29の前面が前後方向に延びるボルト33,33で締結されるので、アウトリガー29を介して伝達される剪断荷重をサイドシル11の前端に効率的に伝達することができる。
【0040】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明はその要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更を行うことが可能である。
【符号の説明】
【0041】
11 サイドシル
12 フロアパネル
13 ダッシュボードロアパネル
13a 傾斜壁
17 フロアフレーム
18 フロントサイドフレーム
18c 車幅方向外壁
19 取付ブラケット
19a 前壁
19b 下
23 サブフレーム
23a 支持
25 アウター部材
26 インナー部材
27 ジャッキアップスチフナ
27b アウトリガー固定フランジ
29 アウトリガー
30 上部部材
30a 上壁
30b 前壁
30d 下部フランジ(フランジ
31 下部部材
31a 下壁
31c 前部フランジ(フランジ
図1
図2
図3
図4
図5
図6