特許第6235645号(P6235645)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6235645
(24)【登録日】2017年11月2日
(45)【発行日】2017年11月22日
(54)【発明の名称】プレート式熱交換器
(51)【国際特許分類】
   F28F 3/08 20060101AFI20171113BHJP
   F28F 3/04 20060101ALI20171113BHJP
   F28D 9/02 20060101ALI20171113BHJP
   F25B 39/00 20060101ALI20171113BHJP
【FI】
   F28F3/08 301Z
   F28F3/04 B
   F28D9/02
   F25B39/00 Z
【請求項の数】4
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2016-87026(P2016-87026)
(22)【出願日】2016年4月25日
(65)【公開番号】特開2017-198353(P2017-198353A)
(43)【公開日】2017年11月2日
【審査請求日】2016年4月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000152480
【氏名又は名称】株式会社日阪製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100074332
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 昇
(74)【代理人】
【識別番号】100114432
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 寛昭
(72)【発明者】
【氏名】山口 要
【審査官】 伊藤 紀史
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−158140(JP,A)
【文献】 特開2008−170090(JP,A)
【文献】 特開2009−186142(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F28F 3/08
F28F 3/04
F28D 9/02
F25B 39/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一面と該第一面の裏側の第二面とを第一方向に有する伝熱部を含む複数の伝熱プレートであって、第一方向に伝熱部が重ね合わされ、自身の伝熱部の第一面を第一方向の一方側で隣り合う伝熱プレートの伝熱部の第一面と対向させるとともに、自身の伝熱部の第二面を第一方向の他方側で隣り合う伝熱プレートの伝熱部の第二面と対向させた複数の伝熱プレートを備えるとともに、隣り合う伝熱部の第一面間に形成される空間により形成される第一流路であって、第一流体を第一方向と直交する第二方向に流通させる第一流路と、隣り合う伝熱部の第二面間に形成される空間により形成される第二流路であって、第二流体を第二方向に流通させる第二流路とを有し、各伝熱プレートの伝熱部は、第一面上で第二方向に延びる縦中心線及び第一方向及び第二方向と直交する第三方向に延びる横中心線のそれぞれに対して交差する方向に延び且つ第二方向に交互に配置された凸条及び凹条と、第一面の凸条と表裏の関係にある凹条及び第一面の凹条と表裏の関係にある凸条であって、第二面上で縦中心線及び横中心線のそれぞれに対して交差する方向に延び且つ第二方向に交互に配置された凸条及び凹条とを有し、第二面同士を対向させて隣り合う伝熱プレートのうちの少なくとも何れか一方の伝熱プレートは、第二面における第二方向に延びて凸条に対して交差する基準線を境にした第三方向の一方側の領域内で第二方向に並ぶ複数の第一凹部であって、それぞれが単一の凸条と第三方向で並び且つ該凸条の両側にある一対の凹条と連続する複数の第一凹部を有し、第二面同士を対向させて隣り合う伝熱プレートのうちの少なくとも何れか一方の伝熱プレートは、第二面における基準線を境にした第三方向の他方側の領域内で第二方向に並ぶ複数の第二凹部であって、それぞれが単一の凸条と第三方向で並び且つ該凸条の両側にある一対の凹条と連続する複数の第二凹部を有し、伝熱部の第一面同士を対向させて隣り合う伝熱プレートは、互いの伝熱部の第一面上の凸条同士を交差衝合させて第一面間に第一流路を形成し、伝熱部の第二面同士を対向させて隣り合う伝熱プレートは、互いの伝熱部の第二面上の凸条の頂部同士を対向させ、該対向する凸条の頂部同士が接続されることで、対向する伝熱部の第二面上の凹条、第一凹部及び第二凹部を連ならせて第二流路を形成していることを特徴とするプレート式熱交換器。
【請求項2】
前記基準線は、縦中心線である請求項1に記載のプレート式熱交換器。
【請求項3】
複数の第二凹部のそれぞれは、第一凹部と第三方向で並ぶ凸条に対して第二方向で凹条を挟んで隣り合う単一の凸条と第三方向で並ぶ請求項1又は2に記載のプレート式熱交換器。
【請求項4】
第二面同士を対向させて隣り合う伝熱プレートのそれぞれは、伝熱部の第二面上に前記第一凹部及び第二凹部を有する請求項1乃至3の何れか1項に記載のプレート式熱交換器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、凝縮器や蒸発器として使用されるプレート式熱交換器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、第一流体と第二流体とを熱交換させる熱交換器の一つとして、プレート式熱交換器が提供されている。
【0003】
プレート式熱交換器は、凸条及び凹条の形成された第一面と、該第一面に対して反対側を向き、且つ第一面の凸条と表裏の関係にある凹条及び第一面の凹条と表裏の関係にある凸条の形成された第二面とを有する伝熱部をそれぞれ含む伝熱プレートであって、それぞれの伝熱部が第一方向に重ね合わされた複数の伝熱プレートを備える。
【0004】
伝熱部の第一面及び第二面のそれぞれにおいて、凸条は、第一方向と直交する第二方向に延びる伝熱部の中心線(以下、縦中心線という)を横切り、第一方向及び第二方向のそれぞれに直交する第三方向における伝熱部の全長に亘って形成される。凸条は、複数の伝熱プレートの伝熱部が第一方向に重ね合わされた状態で、隣り合う伝熱プレートの伝熱部の凸条に対して交差衝合するように形成される。
【0005】
複数の伝熱プレートは、第一方向に重ね合わされる。すなわち、複数の伝熱プレートのそれぞれは、自身の伝熱部の第一面を第一方向の一方側で隣り合う伝熱プレートの伝熱部の第一面と対向させるとともに、自身の伝熱部の第二面を第一方向の他方側で隣り合う伝熱プレートの伝熱部の第二面と対向させた状態にされる。この状態で、隣り合う伝熱プレートの伝熱部の凸条同士が交差衝合し、伝熱部の凹条によって隣り合う伝熱プレートの伝熱部間に空間が形成される。すなわち、第一流体を第二方向に流通させる第一流路が隣り合う二つの伝熱プレートの伝熱部の第一面間に形成されるとともに、第二流体を第二方向に流通させる第二流路が隣り合う二つの伝熱プレートの伝熱部の第二面間に形成される。
【0006】
上記構成のプレート式熱交換器は、第一流体を第一流路内で第二方向に流通させつつ、第二流体を第二流路内で第二方向に流通させることで、第一流路と第二流路とを仕切る伝熱部を介して第一流路内の第一流体と第二流路内の第二流体とを熱交換させる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2001−99588号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、この種のプレート式熱交換器は、第一流路内の第一流体との熱交換によって第二流路内の第二流体を凝縮させる凝縮器、或いは第一流路内の第一流体との熱交換によって第二流路内の第二流体を蒸発させる蒸発器として使用されることがある。
【0009】
しかしながら、従来のプレート式熱交換器では、凝縮器や蒸発器とされた場合、凝縮や蒸発の対象となる第二流体の特性との関係で、熱伝達性能を向上させるのに限界がある。
【0010】
具体的に説明すると、伝熱部の凸条は、該伝熱部の縦中心線を横切り、第一方向及び第二方向のそれぞれに直交する第三方向における伝熱部の全長に亘って形成されるため、第一流路及び第二流路のそれぞれの流動抵抗を大きくする。
【0011】
一般的に、第一流体には、相変化を起こさない流体(単相流となる流体)が採用される。このため、第一流路の流動抵抗の増加は、伝熱部に対する熱影響の機会を増やすことになり、熱伝達性能を高める要因となる。
【0012】
これに対し、第二流体には、フロン等の相変化を起こす流体(液体と気体とを含む二相流となる流体)が採用される。これに伴い、第二流路を画定する伝熱部の第二面上に、第二流体の液膜が形成される。そのため、熱伝達性能を向上させるべく、第二流体の流速を速め、伝熱部の第二面上に形成される液膜の流れを乱す必要がある。
【0013】
しかしながら、伝熱部の凸条は、該伝熱部の縦中心線を横切って、第三方向における伝熱部の全長に亘って形成されるため、第二流路内での第二流体の流れを阻害する。すなわち、伝熱部の第二面にある凸条は、第二流路内での第二流体の流れに対して横切るように形成されるため、第二流路内での第二流体の流動抵抗が大きくなる。
【0014】
そのため、第二流路内での第二流体の流速を速めるには限界があり、伝熱部の第二面上に形成される第二流体の液膜の流れを十分に乱すことができない。
【0015】
従って、従来のプレート式熱交換器は、第二流路を流通する第二流体の伝熱部に対する熱伝達性能を高めるのに限界があった。
【0016】
そこで、本発明は、第一流体との熱交換によって相変化する第二流体の伝熱部に対する熱伝達性能を向上させることのできるプレート式熱交換器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は、第一面と該第一面の裏側の第二面とを第一方向に有する伝熱部を含む複数の伝熱プレートであって、第一方向に伝熱部が重ね合わされ、自身の伝熱部の第一面を第一方向の一方側で隣り合う伝熱プレートの伝熱部の第一面と対向させるとともに、自身の伝熱部の第二面を第一方向の他方側で隣り合う伝熱プレートの伝熱部の第二面と対向させた複数の伝熱プレートを備えるとともに、隣り合う伝熱部の第一面間に形成される空間により形成される第一流路であって、第一流体を第一方向と直交する第二方向に流通させる第一流路と、隣り合う伝熱部の第二面間に形成される空間により形成される第二流路であって、第二流体を第二方向に流通させる第二流路とを有し、各伝熱プレートの伝熱部は、第一面上で第二方向に延びる縦中心線及び第一方向及び第二方向と直交する第三方向に延びる横中心線のそれぞれに対して交差する方向に延び且つ第二方向に交互に配置された凸条及び凹条と、第一面の凸条と表裏の関係にある凹条及び第一面の凹条と表裏の関係にある凸条であって、第二面上で縦中心線及び横中心線のそれぞれに対して交差する方向に延び且つ第二方向に交互に配置された凸条及び凹条とを有し、第二面同士を対向させて隣り合う伝熱プレートのうちの少なくとも何れか一方の伝熱プレートは、第二面における第二方向に延びて凸条に対して交差する基準線を境にした第三方向の一方側の領域内で第二方向に並ぶ複数の第一凹部であって、それぞれが単一の凸条と第三方向で並び且つ該凸条の両側にある一対の凹条と連続する複数の第一凹部を有し、第二面同士を対向させて隣り合う伝熱プレートのうちの少なくとも何れか一方の伝熱プレートは、第二面における基準線を境にした第三方向の他方側の領域内で第二方向に並ぶ複数の第二凹部であって、それぞれが単一の凸条と第三方向で並び且つ該凸条の両側にある一対の凹条と連続する複数の第二凹部を有し、伝熱部の第一面同士を対向させて隣り合う伝熱プレートは、互いの伝熱部の第一面上の凸条同士を交差衝合させて第一面間に第一流路を形成し、伝熱部の第二面同士を対向させて隣り合う伝熱プレートは、互いの伝熱部の第二面上の凸条の頂部同士を対向させ、該対向する凸条の頂部同士が接続されることで、対向する伝熱部の第二面上の凹条、第一凹部及び第二凹部を連ならせて第二流路を形成していることを特徴とする。
【0018】
上記構成によれば、伝熱部の第一面同士を対向させて隣り合う伝熱プレートは、互いの伝熱部の第一面上の凸条同士を交差衝合させ、対向する第一面間に第一流体を第二方向の何れか一方側から他方側に向けて流通させる第一流路を形成しているため、伝熱部の第一面上の凸条が第一流路内で第一流体の流通を阻害し、第一流路内における第一流体の流動抵抗を増大させる。これにより、第一流体が伝熱部に対して熱影響を与える機会が増え、第二流体側への熱伝達性能が高くなる。
【0019】
これに対し、伝熱部の第二面同士を対向させて隣り合う伝熱プレートは、互いの伝熱部の第二面上の凸条の頂部同士を対向させ、該対向する凸条の頂部同士が接続されることで、対向する伝熱部の第二面上の凹条、第一凹部及び第二凹部を連なられて第二流路を形成しているため、第二流体の流速を速めることができる。
【0020】
具体的に説明すると、各伝熱プレートの伝熱部は、第一面の凸条と表裏の関係にある凹条及び第一面の凹条と表裏の関係にある凸条であって、第二面上で縦中心線及び横中心線のそれぞれに対して交差する方向に延び且つ第二方向に交互に配置された凸条及び凹条とを有する。
【0021】
従って、伝熱部の第二面同士を対向させて隣り合う伝熱プレートは、互いの伝熱部の第二面上の凸条の頂部同士を対向させ、該対向する凸条の頂部同士が接続されることで、第一方向で隣り合う伝熱部の第二面上の凹条が一体となり、空間を形成する。伝熱部の第二面上の凹条は、凸条と交互に配置されている(複数)あるため、対向する第二面間には、複数の空間が第二方向に並んで形成される。
【0022】
そして、第二面同士を対向させて隣り合う伝熱プレートのうちの少なくとも何れか一方の伝熱プレートは、第二面における第二方向に延びて凸条に対して交差する基準線を境にした第三方向の一方側の領域内で第二方向に並ぶ複数の第一凹部であって、それぞれが単一の凸条と第三方向で並び且つ該凸条の両側にある一対の凹条と連続する複数の第一凹部を有するため、第一方向で対向する凹条によって形成された空間は、第一凹部によって形成される空間を介して連続する。
【0023】
また、第二面同士を対向させて隣り合う伝熱プレートのうちの少なくとも何れか一方の伝熱プレートは、第二面における基準線を境にした第三方向の他方側の領域内で第二方向に並ぶ複数の第二凹部であって、それぞれが単一の凸条と第三方向で並び且つ該凸条の両側にある一対の凹条と連続する複数の第二凹部とを有するため、第一方向で対向する凹条によって形成された空間は、第二凹部によって形成される空間を介して連続する。
【0024】
すなわち、伝熱部の第二面上の凹条、第一凹部及び第二凹部が連なって第二流体の流通を阻害する部分の無い連続した第二流路が形成される。第一凹部、第二凹部及び凹条は、伝熱部の第二面上に配置されるため、伝熱部の第三方向のサイズよりも小さいため、これらによって形成される第二流路の断面積(第二流体の流れる方向から見た断面積)は、伝熱部の第三方向の全幅に亘って形成される流路の断面積よりも小さくなる。
【0025】
これにより、第二流体を流通させたときに第二流体の流速を速めることができる。従って、相変化を起こす流体(液体と気体とを含む二相流となる流体)が第二流体として採用されたとしても、第二流体の流速により、伝熱部の第二面上に形成された第二流体の液膜の流れが乱される。従って、上記構成のプレート式熱交換器では、第二流路を流通する第二流体の伝熱部(第一流体側)に対する熱伝達性能が高まる。
【0026】
本発明の一態様として、前記基準線は、縦中心線であることが好ましい。このようにすれば、第一凹部が縦中心線を境にした第三方向の二つの領域の一方の領域(半分の領域)内に配置され、第二凹部が縦中心線を境にした第三方向の二つの領域の他方の領域(半分の領域)内に配置される。これにより、第二流路における凹条によって形成される部分の流路長を長くすることができる。従って、第二流路を流通する第二流体と第一流路を流通する第一流体とを熱交換させる機会を多くできる。すなわち、伝熱部の多くの領域を第一流体と第二流体との熱交換に貢献させることができる。
【0027】
本発明の他態様として、複数の第二凹部のそれぞれは、第一凹部と第三方向で並ぶ凸条に対して第二方向で凹条を挟んで隣り合う単一の凸条と第三方向で並ぶことが好ましい。このようにすれば、第一凹部に繋がった一方の凹条が第二凹部に繋がった一方の凹条となるため、第二流路の連続性が良好となる。
【0028】
また、本発明の別の態様として、第二面同士を対向させて隣り合う伝熱プレートのそれぞれは、伝熱部の第二面上に前記第一凹部及び第二凹部を有してもよい。このようにすれば、対向する第一凹部が一体となって凹条によって形成される流路(空間)同士と繋ぐ流路を構成し、対向する第二凹部が一体となって凹条によって形成される流路(空間)同士と繋ぐ流路を構成する。これにより、第二流路のうちの第一凹部によって形成される部分及び第二凹部によって形成される部分が急激に絞られることがなく、第二流体を安定して流通させることができる。
【発明の効果】
【0029】
以上のように、本発明は、第一流体との熱交換によって相変化する第二流体の伝熱部に対する熱伝達性能を向上させることができるという優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1図1は、本発明の一実施形態に係るプレート式熱交換器の斜視図である。
図2図2は、同実施形態に係るプレート式熱交換器の分解斜視図であって、第一流体及び第二流体の流通経路を含む分解斜視図である。
図3図3は、同実施形態に係るプレート式熱交換器の伝熱プレート(第一伝熱プレート)を第一面側から見た図である。
図4図4は、同実施形態に係るプレート式熱交換器の伝熱プレート(第一伝熱プレート)を第二面側から見た図である。
図5図5は、同実施形態に係るプレート式熱交換器の伝熱プレート(第二伝熱プレート)を第一面側から見た図である。
図6図6は、同実施形態に係るプレート式熱交換器の伝熱プレート(第二伝熱プレート)を第二面側から見た図である。
図7図7は、同実施形態に係るプレート式熱交換器の部分断面図であって、第三方向から見た縦中心線上の部分断面図である。
図8図8は、同実施形態に係るプレート式熱交換器の部分断面図であって、第三方向から見た第一凹部を含む部分の部分断面図である。
図9図9は、同実施形態に係るプレート式熱交換器の部分断面図であって、第三方向から見た第二凹部を含む部分の部分断面図である。
図10図10は、同実施形態に係るプレート式熱交換器における第一流路内での第一流体の流れを示す図である。
図11図11は、同実施形態に係るプレート式熱交換器における第二流路内での第二流体の流れを示す図である。
図12図12は、本発明の他実施形態に係るプレート式熱交換器における伝熱プレート(第二面)を含む第二流路内での第二流体の流れを示す図である。
図13図13は、本発明の別の実施形態に係るプレート式熱交換器における伝熱プレート(第二面)を含む第二流路内での第二流体の流れを示す図である。
図14図14は、本発明のさらに別の実施形態に係るプレート式熱交換器における伝熱プレート(第二面)を含む第二流路内での第二流体の流れを示す図である。
図15図15は、本発明のさらに別の実施形態に係るプレート式熱交換器における伝熱プレート(第二面)を含む第二流路内での第二流体の流れを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の一実施形態について、添付図面を参照して説明する。
【0032】
図1及び図2に示す如く、プレート式熱交換器1は、複数の伝熱プレート2,3を備える。本実施形態において、複数の伝熱プレート2,3には、二種類の伝熱プレート2,3が含まれる。これに伴い、以下の説明において、二種類の伝熱プレート2,3のうちの一方の伝熱プレート2を第一伝熱プレートといい、二種類の伝熱プレート2,3のうちの他方の伝熱プレート3を第二伝熱プレートということとするが、第一伝熱プレート2及び第二伝熱プレート3は、共通した構成を有するため、これらの共通する構成の説明においては、第一伝熱プレート2及び第二伝熱プレート3を総称して単に伝熱プレート2,3ということとする。
【0033】
まず、第一伝熱プレート2及び第二伝熱プレート3の共通する構成について説明する。図2図6に示す如く、伝熱プレート2,3は、第一面Sa1,Sb1と該第一面Sa1,Sb1の裏側の第二面Sa2,Sb2とを第一方向に有する伝熱部20,30を含む。本実施形態において、伝熱プレート2,3は、伝熱部20,30に加え、伝熱部20,30の外周縁全周から該伝熱部20,30と面交差する方向に延出した環状の嵌合部21,31を備える。
【0034】
伝熱部20,30の外周(輪郭)は、第一方向と直交する第二方向に延び且つ第一方向及び第二方向と直交する第三方向に間隔をあけた一対の第一辺と、第三方向に延び且つ第二方向に間隔をあけた一対の第二辺であって、それぞれの両端が一対の第一辺に接続された一対の第二辺によって画定されている。一対の第一辺及び一対の第二辺のそれぞれは、直線であり、一対の第一辺は、一対の第二辺よりも長く設定されている。これにより、伝熱部20,30は、第一方向から見て、第二方向に長手をなす長方形状に形成されている。
【0035】
伝熱部20,30は、図3図6に示す如く、第二方向の両端部に第一方向に貫通した開口200,201,300,301を有する。本実施形態の伝熱部20,30は、第二方向の一端部に二つの開口200,201,300,301を有し、第二方向の他端部に二つの開口200,201,300,301を有する。第二方向の一端部にある二つの開口200,201,300,301は、第三方向に間隔をあけて配置される。また、第二方向の他端部にある二つの開口200,201,300,301についても、第三方向に間隔をあけて配置される。
【0036】
伝熱部20,30は、図3及び図5に示す如く、第一面Sa1,Sb1上で第二方向に延びる縦中心線CL1及び第三方向に延びる横中心線CL2のそれぞれに対して交差する方向に延び且つ第二方向に交互に配置された凸条202,302及び凹条203,303と、図4及び図6に示す如く、第一面Sa1,Sb1の凸条202,302と表裏の関係にある凹条205,305及び第一面Sa1,Sb1の凹条203,303と表裏の関係にある凸条204,304であって、第二面Sa2,Sb2上で縦中心線CL1及び横中心線CL2のそれぞれに対して交差する方向に延び且つ第二方向に交互に配置された凸条204,304及び凹条205,305とを有する。
【0037】
図3及び図5に示す如く、本実施形態において、第一面Sa1,Sb1の凸条202,302及び凹条203,303は、縦中心線CL1上で屈曲して形成される。すなわち、第一面Sa1,Sb1上の凸条202,302及び凹条203,303は、伝熱部20,30の縦中心線CL1を境にした第三方向の一方側の領域で縦中心線CL1上を始点にして第三方向の一端部に向かうにつれて第二方向の一端側に傾斜し、伝熱部20,30の縦中心線CL1を境にした第三方向の他方側の領域で縦中心線CL1上を始点にして第三方向の他端部に向かうにつれて第二方向の一端側に傾斜している。
【0038】
上述の如く、第二面Sa2,Sb2の凹条205,305及び凸条204,304は、第一面Sa1,Sb1上の凸条202,302及び凹条203,303と表裏の関係にあるため、図4及び図6に示す如く、縦中心線CL1上で屈曲して形成される。すなわち、第二面Sa2,Sb2上の凸条204,304及び凹条205,305は、伝熱部20,30の縦中心線CL1を境にした第三方向の一方側の領域で縦中心線CL1上を始点にして第三方向の一端部に向かうにつれて第二方向の一端側に傾斜し、伝熱部20,30の縦中心線CL1を境にした第三方向の他方側の領域で縦中心線CL1上を始点にして第三方向の他端部に向かうにつれて第二方向の一端側に傾斜している。
【0039】
本実施形態において、伝熱部20,30は、第二方向に延びる基準線であって、第二面Sa2,Sb2における凸条204,304に対して交差する基準線を境にした第三方向の一方側の領域内で第二方向に並ぶ複数の第一凹部206,306であって、それぞれが単一の凸条204,304と第三方向で並び且つ該凸条204,304の両側にある一対の凹条205,305と連続する複数の第一凹部206,306と、第二面Sa2,Sb2における基準線を境にした第三方向の他方側の領域内で第二方向に並ぶ複数の第二凹部207,307であって、それぞれが単一の凸条204,304と第三方向で並び且つ該凸条204,304の両側にある一対の凹条205,305と連続する複数の第二凹部207,307とを有する。
【0040】
本実施形態において、基準線は縦中心線CL1とされる。これにより、複数の第一凹部206,306は、伝熱部20,30における縦中心線CL1(基準線)を境にした二つの領域のうちの一方の領域(伝熱部20,30の半分の領域)内に配置され、複数の第二凹部207,307は、伝熱部20,30における縦中心線CL1(基準線)を境にした二つの領域のうちの他方の領域(伝熱部20,30の残りの半分の領域)内に配置される。
【0041】
より具体的には、複数の第一凹部206,306は、伝熱部20,30における縦中心線CL1(基準線)を境にした二つの領域のうちの一方の領域(伝熱部20,30の半分の領域)内において、第二方向に間隔をあけて、伝熱部20,30の輪郭を画定する一対の第一辺のうちの一方の第一辺に沿って配置される。これに対し、複数の第二凹部207,307は、伝熱部20,30における縦中心線CL1(基準線)を境にした二つの領域のうちの他方の領域(伝熱部20,30の残りの半分の領域)内において、第二方向に間隔をあけて、伝熱部20,30の輪郭を画定する一対の第一辺のうちの他方の第一辺に沿って配置される。
【0042】
本実施形態において、複数の第二凹部207,307のそれぞれは、第一凹部206,306と第三方向で並ぶ凸条204,304に対して第二方向で凹条203,303,205,305を挟んで隣り合う単一の凸条204,304と第三方向で並ぶ。すなわち、複数の第一凹部206,306のそれぞれは、第二凹部207,307と第三方向で並ぶ凸条204,304に対して第二方向で凹条205,305を挟んで隣り合う単一の凸条204,304と第三方向で並ぶ。
【0043】
これにより、単一の第一凹部206,306と単一の第二凹部207,307とが一つの凹条205,305(共通の凹条205,305)を介して繋がっている。すなわち、第一凹部206,306に繋がる一対の凹条205,305のうちの一方の凹条205,305は、第二凹部207,307に繋がる一対の凹条205,305のうちの一方の凹条205,305である。また、第一凹部206,306に繋がる一対の凹条205,305のうちの他方の凹条205,305は、別の第二凹部207,307に繋がる一対の凹条205,305のうちの他方の凹条205,305である。
【0044】
本実施形態において、第一凹部206,306は、第三方向で第二凹部207,307と並ぶ凸条204,304に対して、第二方向で凹条205,305を挟んで隣り合う凸条204,304に対して第三方向で並び、第二凹部207,307は、第三方向で第一凹部206,306と並ぶ凸条204,304に対して、第二方向で凹条205,305を挟んで隣り合う凸条204,304に対して第三方向で並ぶ。
【0045】
これにより、伝熱部20,30における第二面Sa2,Sb2上において、複数の凹条205,305が複数の第一凹部206,306及び複数の第二凹部207,307を介して一本に繋がった状態になっている。すなわち、本実施形態にかかる伝熱部20,30の第二面Sa2,Sb2には、第三方向に蛇行しつつ第二方向に向かって延びる連続した凹部が形成されている。
【0046】
なお、第一凹部206,306及び第二凹部207,307の配置の説明にあたり、上述の如く、基準線を境にした二つの領域のそれぞれについて、「一方の領域」及び「他方の領域」として総括的に説明しているが、第一伝熱プレート2の伝熱部20,30における基準線(縦中心線CL1)を境にした二つの領域の一方の領域と、第二伝熱プレート3の伝熱部20,30に対する基準線(縦中心線CL1)を境にした二つの領域のうちの一方の領域とは、第二面Sa2,Sb2を正面から見た状態において同じ配置になる領域ではなく、それぞれの伝熱部20,30の第二方向に並べて第二面Sa2,Sb2を正面から見た状態において、第二方向に延びる仮想線を基準として対称な関係となる領域である。
【0047】
すなわち、第一伝熱プレート2における伝熱部20,30の一方の領域、及び、第二伝熱プレート3における伝熱部20,30の一方の領域は、伝熱部20,30を第一方向に重ね合わせた状態において、第一方向から見て重なる(一致する)領域である。また、第一伝熱プレート2における伝熱部20,30の他方の領域、及び、第二伝熱プレート3における伝熱部20,30の他方の領域についても同様である。
【0048】
本実施形態において、第一凹部206,306は、第三方向で隣り合う凸条204,304に対し、直列に並ぶように配置されている。すなわち、第一凹部206,306は、凸条204,304の一部を凹ませて形成されたに等しい状態になっている。従って、第一凹部206,306の底は、第三方向に並ぶ凸条204,304の頂部よりも低い位置になっている。本実施形態において、第一凹部206,306の底は、第一方向において、第一面Sa1,Sb1上の凸条202,302の頂部と第二面Sa2,Sb2上の凸条204,304の頂部との中間位置にある。すなわち、第一凹部206,306は、第一方向における伝熱部20,30の中段として形成されている。
【0049】
また、第二凹部207,307は、第三方向で隣り合う凸条204,304に対し、直列に並ぶように配置されている。すなわち、第二凹部207,307は、凸条204,304の一部を凹ませて形成されたに等しい状態になっている。従って、第二凹部207,307の底は、第三方向に並ぶ凸条204,304の頂部よりも低い位置になっている。本実施形態において、第二凹部207,307の底は、第一方向において、第一面Sa1,Sb1上の凸条202,302の頂部と第二面Sa2,Sb2上の凸条204,304の頂部との中間位置にある。すなわち、第二凹部207,307は、第一方向における伝熱部20,30の中段として形成されている。
【0050】
第一伝熱プレート2及び第二伝熱プレート3は、何れも上記構成の伝熱部20,30を有するが、互いの第一面Sa1,Sb1同士を対向させつつ互いの第二面Sa2,Sb2同士を対向させるように重ね合わされるため、図2図6に示す如く、第一伝熱プレート2において、嵌合部21は伝熱部20の第二面Sa2側に延出し、第二伝熱プレート3において、嵌合部31は伝熱部30の第一面Sb1側に延出する。
【0051】
図3及び図4に示す如く、第一伝熱プレート2において、伝熱部20の第二方向の一端部にある二つの開口200,201のうちの一方の開口201の周囲は、第一面Sa1側に膨出し、他方の開口200の周囲は、第二面Sa2側に膨出している。さらに、第一伝熱プレート2において、伝熱部20の第二方向の他端部にある二つの開口200,201のうちの一方の開口201の周囲は、第一面Sa1,Sb1側に膨出し、他方の開口200の周囲は、第二面Sa2側に膨出している。
【0052】
図5及び図6に示す如く、第二伝熱プレート3において、伝熱部30の第二方向の一端部にある二つの開口300,301のうちの一方の開口301の周囲は、第一面Sb1側に膨出し、他方の開口300の周囲は、第二面Sb2側に膨出している。さらに、第二伝熱プレート3において、伝熱部30の第二方向の他端部にある二つの開口300,301のうちの一方の開口301の周囲は、第一面Sb1側に膨出し、他方の開口300の周囲は、第二面Sb2側に膨出している。なお、図3図6において、伝熱部20,30の突出している部分(凸条202,204,302,304)及び膨出している部分(開口200,201,300,301の周囲)には、便宜上、凹凸関係を明確にすべく、ドットを付している。
【0053】
そして、第一伝熱プレート2の伝熱部20の第二面Sa2と第二伝熱プレート3の伝熱部30の第二面Sb2とにおいて、正面視において凸条204,304同士が鏡像関係となり、また、正面視において凹条205,305同士が鏡像関係になっている。すなわち、第二面Sa2,Sb2同士を重ね合わせた状態で、第一伝熱プレート2の伝熱部20の第二面Sa2上の凸条204と、第二伝熱プレート3の伝熱部30の第二面Sb2上の凸条304とが完全又はほぼ完全に一致(対向)するとともに、第一伝熱プレート2の伝熱部20の第二面Sa2上の凹条205と、第二伝熱プレート3の伝熱部30の第二面Sb2上の凹条305とが完全又はほぼ完全に一致(対向)するようになっている。
【0054】
これに伴い、第二面Sa2,Sb2同士を重ね合わせた状態で、第一伝熱プレート2の伝熱部20の第二面Sa2上の第一凹部206と、第二伝熱プレート3の伝熱部30の第二面Sb2上の第一凹部306とが完全又はほぼ完全に一致(対向)するとともに、第一伝熱プレート2の伝熱部20の第二面Sa2上の第二凹部207と、第二伝熱プレート3の伝熱部30の第二面Sb2上の第二凹部307とが完全又はほぼ完全に一致(対向)するようになっている。
【0055】
伝熱プレート2,3(第一伝熱プレート2及び第二伝熱プレート3)は、以上の通りであり、図1及び図2に示す如く、第一方向に重ね合わされる。本実施形態において、第一伝熱プレート2と第二伝熱プレート3とが、第一方向で交互に重ね合わされ、第一伝熱プレート2の嵌合部21と第二伝熱プレート3の嵌合部31とが嵌合される。
【0056】
これにより、第一伝熱プレート2の伝熱部20の第一面Sa1は、第一方向で隣り合う第二伝熱プレート3の伝熱部30の第一面Sb1と対向し、第一伝熱プレート2の伝熱部20の第二面Sa2は、第二伝熱プレート3の伝熱部30の第二面Sb2と対向する。
【0057】
ここで、第一伝熱プレート2の伝熱部20の第一面Sa1に伝熱部30の第一面Sb1を対向させた第二伝熱プレート3は、第一伝熱プレート2の伝熱部20の第一面Sa1上の凸条202に対し、自身の伝熱部30の第一面Sb1上の凸条302を交差衝合させる。すなわち、第一面Sa1,Sb1上の凸条202,302の配置が鏡像関係にある第一伝熱プレート2及び第二伝熱プレート3の何れか一方が第一方向に延びる軸線周りで180度回転した上で配置される。
【0058】
これに対し、第一伝熱プレート2の伝熱部20の第二面Sa2に伝熱部30の第二面Sb2を対向させた第二伝熱プレート3は、第一伝熱プレート2の伝熱部20の第二面Sa2上の凸条204の頂部に対し、自身の伝熱部20の第二面Sb2上の凸条304の頂部を対向させる。さらに、本実施形態においては、第二伝熱プレート3は、第一伝熱プレート2の伝熱部20の第二面Sa2上の第一凹部206に対し、自身の伝熱部30の第二面Sb2上の第一凹部306を対向させるとともに、第一伝熱プレート2の伝熱部20の第二面Sa2上の第二凹部207に対し、自身の伝熱部30の第二面Sb2上の第二凹部307を対向させる。
【0059】
そして、上述の如く、複数の伝熱プレート2,3が第一方向に重ね合わされることで、伝熱部20,30の対応する位置にある開口200,201,300,301が第一方向に連なり、互いに対向する開口200,201,300,301の周囲であって、相手方に向かって膨出した部分が当接する。この状態において、隣り合う伝熱プレート2,3の当接した部分同士がロウ付けされる。これにより、複数の伝熱プレート2,3(第一伝熱プレート2及び第二伝熱プレート3)の嵌合部21,31同士が接続され、これに併せて、伝熱部20,30の第一面Sa1,Sb1上の凸条202,302同士の交差点(交差衝合した部分)、伝熱部20,30の第二面Sa2,Sb2上の凸条204,304の頂部同士、開口200,201,300,301の周囲の膨出した部分同士等が一体的(機械的)に接続される。
【0060】
これにより、図7図9に示す如く、第一伝熱プレート2の伝熱部20の第一面Sa1と第二伝熱プレート3の伝熱部30の第一面Sb1との間の空間により、第一流体Aを流通させる第一流路R1が形成され、第一伝熱プレート2及び第二伝熱プレート3の伝熱部20,30の第二面Sa2,Sb2上の凹条205,305、第一凹部206,306、第二凹部207,307により、第二流体Bを流通させる第二流路R2が形成される。
【0061】
また、第一方向に重ね合わされた伝熱部20,30の対応する開口200,201,300,301が連なり、第一流路R1に第一流体Aを供給する第一流入路Ra1と、第一流路R1から第一流体Aを流出させる第一流出路Ra2と、第二流路R2に第二流体Bを供給する第二流入路Rb1と、第二流路R2から第二流体Bを流出させる第二流出路Rb2とが形成される(図2参照)。
【0062】
本実施形態に係るプレート式熱交換器1は、以上の通りである。図2図10及び図11に示す如く、第一流体Aは、第一流入路Ra1から複数の第一流路R1に流入し、該複数の第一流路R1のぞれぞれで第二方向に流通し、第一流出路Ra2に流出する。これに対し、第二流体Bは、第二流入路Rb1から複数の第二流路R2に流入し、該複数の第二流路R2のぞれぞれで第二方向に流通し、第二流出路Rb2に流出する。
【0063】
本実施形態において、第一流路R1は、図10に示す如く、伝熱部20,30の対角位置の一方の位置にある第一流入路Ra1を始点とし、伝熱部20,30の対角位置の他方の位置にある第一流出路Ra2を終点とする。これにより、第一流体Aは、第一流路R1内において、始点から広がりつつ流通した後、収束しつつ終点に到達する。
【0064】
これに対し、第二流路R2は、図11に示す如く、伝熱部20,30の別の対角位置の一方の位置にある第二流入路Rb1を始点とし、伝熱部20,30の別の対角位置の他方の位置にある第二流出路Rb2を終点とする。本実施形態において、上述の如く、第二流路R2は、凹条205,305、第一凹部206,306及び第二凹部207,307によって形成されるため、第二流体Bは、始点から凹条205,305、第一凹部206,306、及び第二凹部207,307の少なくとも何れか一つによって形成される空間(図11においては、凹条205、305によって形成される空間)に流入した後において、凹条205,305によって形成される空間を通って、伝熱部20,30における第三方向の何れか一端側から他端側に流通すること、第二凹部207,307によって形成される空間を通って、伝熱部20,30における第二方向の一端側から他端側に流通すること、凹条205,305によって形成される空間を通って、伝熱部20,30における第三方向の何れか他端側から一端側に流通すること、第一凹部206,306によって形成される空間を通って、伝熱部20,30における第二方向の一端側から他端側に流通すること、を繰り返して終点に到達する。すなわち、第二流体Bは、伝熱部20,30の第三方向の一端側及び他端側で複数回ターンしつつ第二方向に流通することで終点に到達する。
【0065】
このとき、第一流路R1を流通する第一流体A、及び第二流路R2を流通する第二流体Bは、第一流路R1と第二流路R2とを仕切る伝熱プレート2,3(伝熱部20,30)を介して熱交換する。これにより、第二流体Bは、第二流路R2内で第二方向に流通する過程において、凝縮或いは蒸発する。
【0066】
以上のように、本実施形態に係るプレート式熱交換器1は、第一面Sa1,Sb1と該第一面Sa1,Sb1の裏側の第二面Sa2,Sb2とを第一方向に有する伝熱部20,30を含む複数の伝熱プレート2,3であって、第一方向に伝熱部20,30が重ね合わされ、自身の伝熱部20,30の第一面Sa1,Sb1を第一方向の一方側で隣り合う伝熱プレート2,3の伝熱部20,30の第一面Sa1,Sb1と対向させるとともに、自身の伝熱部20,30の第二面Sa2,Sb2を第一方向の他方側で隣り合う伝熱プレート2,3の伝熱部20,30の第二面Sa2,Sb2と対向させた複数の伝熱プレート2,3を備えるとともに、隣り合う伝熱部20,30の第一面Sa1,Sb1間に形成される空間により形成される第一流路R1であって、第一流体Aを第一方向と直交する第二方向に流通させる第一流路R1と、隣り合う伝熱部20,30の第二面Sa2,Sb2間に形成される空間により形成される第二流路R2であって、第二流体Bを第二方向に流通させる第二流路R2とを有し、各伝熱プレート2,3の伝熱部20,30は、第一面Sa1,Sb1上で第二方向に延びる縦中心線CL1及び第一方向及び第二方向と直交する第三方向に延びる横中心線CL2のそれぞれに対して交差する方向に延び且つ第二方向に交互に配置された凸条202,302及び凹条203,303と、第一面Sa1,Sb1の凸条202,302と表裏の関係にある凹条205,305及び第一面Sa1,Sb1の凹条203,303と表裏の関係にある凸条204,304であって、第二面Sa2,Sb2上で縦中心線CL1及び横中心線CL2のそれぞれに対して交差する方向に延び且つ第二方向に交互に配置された凸条204,304及び凹条205,305とを有し、第二面Sa2,Sb2同士を対向させて隣り合う伝熱プレート2,3は、第二面Sa2,Sb2における第二方向に延びて凸条204,304に対して交差する基準線を境にした第三方向の一方側の領域内で第二方向に並ぶ複数の第一凹部206,306であって、それぞれが単一の凸条204,304と第三方向で並び且つ該凸条204,304の両側にある一対の凹条205,305と連続する複数の第一凹部206,306と、第二面Sa2,Sb2における基準線を境にした第三方向の他方側の領域内で第二方向に並ぶ複数の第二凹部207,307であって、それぞれが単一の凸条204,304と第三方向で並び且つ該凸条204,304の両側にある一対の凹条205,305と連続する複数の第二凹部207,307とを有し、伝熱部20,30の第一面Sa1,Sb1同士を対向させて隣り合う伝熱プレート2,3は、互いの伝熱部20,30の第一面Sa1,Sb1上の凸条202,302同士を交差衝合させて第一面Sa1,Sb1間に第一流路R1を形成し、伝熱部20,30の第二面Sa2,Sb2同士を対向させて隣り合う伝熱プレート2,3は、互いの伝熱部20,30の第二面Sa2,Sb2上の凸条204,304の頂部同士を対向させ、該対向する凸条204,304の頂部同士が接続されることで、対向する伝熱部20,30の第二面Sa2,Sb2上の凹条205,305、第一凹部206,306及び第二凹部207,307を連ならせて第二流路R2を形成している(図7図9図11参照)。
【0067】
これにより、本実施形態に係るプレート式熱交換器1によれば、伝熱部20,30の第一面Sa1,Sb1同士を対向させて隣り合う伝熱プレート2,3は、互いの伝熱部20,30の第一面Sa1,Sb1上の凸条202,302同士を交差衝合させ、対向する第一面Sa1,Sb1間に第一流体Aを第二方向の何れか一方側から他方側に向けて流通させる第一流路R1を形成しているため、伝熱部20,30の第一面Sa1,Sb1上の凸条202,302が第一流路R1内で第一流体Aの流通を阻害し、第一流路R1内における第一流体Aの流動抵抗を増大させる。これにより、第一流体Aが伝熱部20,30に対して熱影響を与える機会が増え、第二流体B側への熱伝達性能が高くなる。
【0068】
これに対し、伝熱部20,30の第二面Sa2,Sb2同士を対向させて隣り合う伝熱プレート2,3は、互いの伝熱部20,30の第二面Sa2,Sb2上の凸条204,304の頂部同士を対向させ、該対向する凸条204,304の頂部同士が接続されることで、対向する伝熱部20,30の第二面Sa2,Sb2上の凹条205,305、第一凹部206,306及び第二凹部207,307を連なられて第二流路R2を形成しているため、第二流体Bの流速を速めることができる。
【0069】
具体的に説明すると、各伝熱プレート2,3の伝熱部20,30は、第一面Sa1,Sb1の凸条202,302と表裏の関係にある凹条205,305及び第一面Sa1,Sb1の凹条203,303と表裏の関係にある凸条204,304であって、第二面Sa2,Sb2上で縦中心線CL1及び横中心線CL2のそれぞれに対して交差する方向に延び且つ第二方向に交互に配置された凸条204,304及び凹条205,305とを有する。
【0070】
従って、伝熱部20,30の第二面Sa2,Sb2同士を対向させて隣り合う伝熱プレート2,3は、互いの伝熱部20,30の第二面Sa2,Sb2上の凸条204,304の頂部同士を対向させ、該対向する凸条204,304の頂部同士が接続されることで、第一方向で隣り合う伝熱部20,30の第二面Sa2,Sb2上の凹条205,305が一体となり、空間を形成する。伝熱部20,30の第二面Sa2,Sb2上の凹条205,305は、凸条204,304と交互に配置されている(複数)あるため、対向する第二面Sa2,Sb2間には、複数の空間が第二方向に並んで形成される。
【0071】
そして、第二面Sa2,Sb2同士を対向させて隣り合う伝熱プレート2,3は、第二面Sa2,Sb2における第二方向に延びて凸条204,304に対して交差する基準線を境にした第三方向の一方側の領域内で第二方向に並ぶ複数の第一凹部206,306であって、それぞれが単一の凸条204,304と第三方向で並び且つ該凸条204,304の両側にある一対の凹条205,305と連続する複数の第一凹部206,306を有するため、第一方向で対向する凹条203,303,205,305によって形成された複数の空間は、第一凹部206,306によって形成される空間を介して連続する(図8参照)。
【0072】
また、第二面Sa2,Sb2同士を対向させて隣り合う伝熱プレート2,3は、第二面Sa2,Sb2における基準線を境にした第三方向の他方側の領域内で第二方向に並ぶ複数の第二凹部207,307であって、それぞれが単一の凸条204,304と第三方向で並び且つ該凸条204,304の両側にある一対の凹条205,305と連続する複数の第二凹部207,307とを有するため、第一方向で対向する凹条203,303,205,305によって形成された複数の空間は、第二凹部207,307によって形成される空間を介して連続する(図9参照)。
【0073】
すなわち、伝熱部20,30の第二面Sa2,Sb2上の凹条205,305、第一凹部206,306及び第二凹部207,307が連なって第二流体Bの流通を阻害する部分の無い連続した第二流路R2が形成される。第一凹部206,306、第二凹部207,307及び凹条205,305は、伝熱部20,30の第二面Sa2,Sb2上に配置されるため、伝熱部20,30の第三方向のサイズよりも小さく、これらによって形成される第二流路R2の断面積(第二流体Bの流れる方向から見た断面積)は、伝熱部20,30の第三方向の全幅に亘って形成される流路(第一流路R1と同等の流路)の断面積よりも小さくなる。
【0074】
これにより、第二流体Bを流通させたときに第二流体Bの流速を速めることができる。従って、相変化を起こす流体(液体と気体とを含む二相流となる流体)が第二流体Bとして採用されたとしても、第二流体Bの流速により、伝熱部20,30の第二面Sa2,Sb2上に形成された第二流体Bの液膜の流れが乱される。これにより、本実施形態に係るプレート式熱交換器1では、第二流路R2を流通する第二流体Bの伝熱部20,30(第一流体A側)に対する熱伝達性能が高まる。
【0075】
本実施形態において、基準線は、縦中心線CL1であるため、第一凹部206,306が縦中心線CL1を境にした第三方向の二つの領域の一方の領域(半分の領域)内に配置され、第二凹部207,307が縦中心線CL1を境にした第三方向の二つの領域の他方の領域(半分の領域)内に配置される。これにより、第二流路R2における凹条205,305によって形成される部分の流路長を長くすることができる。従って、第二流路R2を流通する第二流体Bと第一流路R1を流通する第一流体Aとが熱交換する機会を多くできる。すなわち、伝熱部20,30の多くの領域を第一流体Aと第二流体Bとの熱交換に貢献させることができる。
【0076】
また、複数の第二凹部207,307のそれぞれは、第一凹部206,306と第三方向で並ぶ凸条204,304に対して第二方向で凹条205,305を挟んで隣り合う単一の凸条204,304と第三方向で並ぶため、第一凹部206,306に繋がった一方の凹条205,305が第二凹部207,307に繋がった一方の凹条205,305となる。これにより、第二流路R2の連続性が良好となる。
【0077】
また、本実施形態において、第二面Sa2,Sb2同士を対向させて隣り合う伝熱プレート2,3のそれぞれは、伝熱部20,30の第二面Sa2,Sb2上に前記第一凹部206,306及び第二凹部207,307を有しているため、対向する第一凹部206,306が一体となって凹条205,305によって形成される流路(空間)同士と繋ぐ流路を構成し、対向する第二凹部207,307が一体となって凹条205,305によって形成される流路(空間)同士と繋ぐ流路を構成する。これにより、第二流路R2のうちの第一凹部206,306によって形成される部分及び第二凹部207,307によって形成される部分が急激に絞られることがなく、第二流体Bを安定して流通させることができる。
【0078】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で、適宜変更を加え得ることは勿論のことである。
【0079】
上記実施形態において、第一伝熱プレート2及び第二伝熱プレート3の伝熱部20,30の第二面Sa2,Sb2上の凸条204,304及び凹条205,305が、縦中心線CL1上で屈曲して形成されたが、これに限定されない。
【0080】
例えば、図12に示す如く、伝熱部20,30の第二面Sa2,Sb2上の凸条204,304及び凹条205,305は、伝熱部20,30の第三方向における一端側から他端側に向けて真っ直ぐに延びて形成されてもよい。但し、隣り合う伝熱プレート2,3の伝熱部20,30の第一面Sa1,Sb1上の凸条202,302同士を交差衝合させるために、第一面Sa1,Sb1上の凸条202,302及び凹条203,303と表裏の関係にある凸条204,304及び凹条205,305は、第二面Sa2,Sb2上で縦中心線CL1及び横中心線CL2のそれぞれに対して交差する方向に延び且つ第二方向に交互に配置されることが前提である。
【0081】
上記実施形態において、第一凹部206,306及び第二凹部207,307の配置を規定する基準線が縦中心線CL1とされたが、これに限定されない。例えば、第一凹部206,306及び第二凹部207,307を配置する二つの領域を区切る基準線は、第三方向において縦中心線CL1からずれた位置に設定されてもよい。
【0082】
すなわち、第一凹部206,306及び第二凹部207,307は、縦中心線CL1を基準とした対称位置を通る一対の仮想線上に配置されたものに限定されず、第一凹部206,306及び第二凹部207,307の少なくとも何れか一方が、縦中心線CL1を基準とした対称位置を通る仮想線から外れた位置に配置されてもよい。
【0083】
上記実施形態において、複数の第一凹部206,306及び複数の第二凹部207,307を規定する基準線を一本の縦中心線CL1としたが、上述の如く、基準線が第三方向において縦中心線CL1から外れた位置に設定される場合、基準線は二本以上設定されてもよい。
【0084】
具体的には、伝熱部20,30の第二面Sa2,Sb2を第三方向で二つ以上の中領域に区画するとともに、各中領域に対して該領域を第三方向でさらに二つの小領域に区切る一つの基準線を設定し、各中領域内の二つの小領域のうちの一方の小領域に複数の第一凹部206,306を配置し、各中領域内の二つの小領域のうちの他方の小領域に複数の第二凹部207,307を配置してもよい。
【0085】
このようにすれば、隣り合う伝熱部20,30の第二面Sa2,Sb2間に流路断面積の小さな二つ以上の第二流路R2が形成される。なお、この場合、二つ以上の第二流路R2を独立させるべく、隣り合う伝熱部20,30のそれぞれの第二面Sa2,Sb2における隣り合う中領域の境界に対して第二方向に延びる仕切り用の凸条を設け、対向する仕切り用の凸条の頂部同士を接続してもよい。
【0086】
上記実施形態において、複数の第一凹部206,306が伝熱部20,30の輪郭を画定する一方の第一辺に沿って上に配置され、複数の第二凹部207,307が伝熱部20,30の輪郭を画定する他方の第一辺に沿って上に配置されたが、これに限定されない。例えば、複数の第一凹部206,306及び複数の第二凹部207,307の少なくとも何れか一方が、伝熱部20,30の第一辺よりも内側の位置に配置されてもよい。
【0087】
上記実施形態において、第一凹部206,306が、第三方向で第二凹部207,307と並ぶ凸条204,304に対して、第二方向で凹条205,305を挟んで隣り合う凸条204,304に対して第三方向で並び、第二凹部207,307が、第三方向で第一凹部206,306と並ぶ凸条204,304に対して、第二方向で凹条205,305を挟んで隣り合う凸条204,304に対して第三方向で並んだが、これに限定されない。
【0088】
すなわち、第二方向で隣り合う第一凹部206,306間に第二凹部207,307と第三方向で並ぶ凸条204,304が介在するとともに、第二方向で隣り合う第二凹部207,307間に第一凹部206,306と第三方向で並ぶ凸条204,304が介在するように、複数の第一凹部206,306及び複数の第二凹部207,307が配置されたが、これに限定されない。
【0089】
例えば、図13及び図14に示す如く、複数の第一凹部206,306が所定数(二つ以上)を一群として複数の群(グループ)に分けられ、各群の第一凹部206,306が凹条205,305を介して繋がるように配置されるとともに、複数の第二凹部207,307が所定数(二つ以上)を一群として複数の群(グループ)に分け割れ、各群における所定数の第一凹部206,306が凹条205,305を介して繋がるように配置されるとともに、各群における所定数の第二凹部207,307が凹条205,305を介して繋がるように配置され、第一凹部206,306の群と第二凹部207,307の群とが、複数の凹条205,305を介して繋がるように配置されてもよい。
【0090】
このようにしても、一群を構成する二つ以上の第二凹部207,307のそれぞれは、第一凹部206,306と第三方向で並ぶ凸条204,304に対して第二方向で凹条205,305を挟んで隣り合う単一の凸条204,304と第三方向で並んだ状態になる。これに伴い、一群を構成する二つ以上の第一凹部206,306のそれぞれは、第二凹部207,307と第三方向で並ぶ凸条204,304に対して第二方向で凹条205,305を挟んで隣り合う単一の凸条204,304と第三方向で並んだ状態になる。
【0091】
そして、伝熱部20,30が重ね合わされることで、一群の第一凹部206,306により形成される単一の空間であって、第二方向に延びる単一の空間と、第二方向に並ぶ複数の凹条205,305のそれぞれによって形成される複数の空間であって、一群の第一凹部206,306により形成される単一の空間に繋がる複数の空間と、一群の第二凹部207,307により形成される単一の空間であって、第二方向に延び、一群の第一凹部206,306による単一の空間に繋がった凹条203,303,205,305による空間、及び別の一群の第一凹部206,306による単一の空間に繋がった凹条203,303,205,305による空間に繋がる単一の空間とが形成され、第二流路R2となる。
【0092】
この場合、複数の第一凹部206,306による単一の空間と複数の第二凹部207,307による単一の空間とに繋がる複数の凹条205,305による複数の空間(複数の流路)の流路断面積の総和が、第一流路R1における第二方向から見た流路断面積より小さくなることが前提である。この場合、一群をなす第一凹部206,306の数と、一群をなす第二凹部207,307の数は、異なっていてもよい。
【0093】
また、第二方向に並ぶ複数の第一凹部206,306が凹条205,305を介して繋がる(複数の第一凹部206,306が第二方向に連なって連続した凹部を形成する)ように配置されるとともに、第二方向に並ぶ複数の第二凹部207,307が凹条205,305を介して繋がる(複数の第二凹部207,307が第二方向に連なって連続した凹部を形成する)ように配置され、複数の第一凹部206,306が連なって形成される凹部と、複数の第二凹部207,307が連なって形成される凹部とが複数の凹条203,303,205,305を介して繋がるように配置されてもよい。この場合においても、複数の第一凹部206,306が連なって形成される凹部による空間と、複数の第二凹部207,307が連なって形成される凹部による空間とに繋がる複数の凹条203,303,205,305による複数の空間(それぞれが第三方向に延び且つ第二方向に間隔をあけて形成される複数の空間(複数の流路))の流路断面積の総和が、第一流路R1における第二方向から見た流路断面積より小さくなることが前提である。
【0094】
上記実施形態において、第一伝熱プレート2及び第二伝熱プレート3のそれぞれの伝熱部20,30が第二面Sa2,Sb2上に第一凹部206,306及び第二凹部207,307を有したが、これに限定されない。例えば、第一伝熱プレート2又は第二伝熱プレート3の何れか一方の伝熱部20,30のみが第二面Sa2,Sb2上に第一凹部206,306及び第二凹部207,307を有していてもよい。
【0095】
また、第一伝熱プレート2又は第二伝熱プレート3の何れか一方の伝熱部20,30のみが第二面Sa2,Sb2上に第一凹部206,306を有し、第一伝熱プレート2又は第二伝熱プレート3の何れか他方の伝熱部20,30のみが第二面Sa2,Sb2上に第二凹部207,307を有していてもよい。
【0096】
このようにすれば、第二流路R2内で第一凹部206,306及び第二凹部207,307が凹条203,303,205,305によって形成される空間と繋がる空間を形成する。
【0097】
従って、上記実施形態と同様に、流路断面積の小さな第二流路R2が形成される結果、第二流体Bの流速を速めることができ、相変化を起こす流体(液体と気体とを含む二相流となる流体)が第二流体Bとして採用されたとしても、第二流体Bの流速により、伝熱部20,30の第二面Sa2,Sb2上に形成された第二流体Bの液膜の流れが乱される。これにより、本実施形態に係るプレート式熱交換器1では、第二流路R2を流通する第二流体Bの伝熱部20,30(第一流体A側)に対する熱伝達性能が高まる。
【0098】
上記実施形態において、第一凹部206,306は、第三方向で隣り合う凸条204,304に対し、直列に並ぶように配置されたが、これに限定されない。例えば、図15に示す如く、第一凹部206,306は、第三方向で凸条204,304と並ぶ(隣り合う)ことを前提に、凸条204,304の延びる方向(凸条204,304の延長線)に対して傾斜するように配置されてもよい。
【0099】
また、第二凹部207,307についても、第三方向で隣り合う凸条204,304に対し、直列に並ぶように配置されたが、これに限定されない。例えば、第二凹部207,307は、第三方向で凸条204,304と並ぶ(隣り合う)ことを前提に、凸条204,304の延びる方向(凸条204,304の延長線)に対して傾斜するように配置されてもよい。
【0100】
上記実施形態において、第一凹部206,306の底が、第一方向において、第一面Sa1,Sb1上の凸条202,302の頂部と第二面Sa2,Sb2上の凸条204,304の頂部との中間位置に配置され、第二凹部207,307の底が、第一方向において、第一面Sa1,Sb1上の凸条202,302の頂部と第二面Sa2,Sb2上の凸条204,304の頂部との中間位置に配置されたが、これに限定されない。例えば、第一凹部206,306の底及び第二凹部207,307の底は、第二面Sa2,Sb2上の凹条205,305の底と同レベルであってもよい。
【0101】
また、第一凹部206,306の底及び第二凹部207,307の底は、同レベルに配置される必要はなく、第一凹部206,306の底又は第二凹部207,307の底の何れか一方が他方よりも高い位置にあってもよい。但し、第一凹部206,306の底又は第二凹部207,307の底は、第二面Sa2,Sb2上の凸条204,304の頂部よりも低い位置(凸条204,304の頂部より凹条205,305の底側の位置)にあることが前提である。
【符号の説明】
【0102】
1…プレート式熱交換器、2…第一伝熱プレート(伝熱プレート)、3…第二伝熱プレート(伝熱プレート)、20,30…伝熱部、21,31…嵌合部、200,201,300,301…開口、202,302,204,304…凸条、203,303,205,305…凹条、206,306…第一凹部、207,307…第二凹部、A…第一流体、B…第二流体、CL1…縦中心線、CL2…横中心線、R1…第一流路、R2…第二流路、Ra1…第一流入路、Ra2…第一流出路、Rb1…第二流入路、Rb2…第二流出路、Sa1,Sb1…第一面、Sa2,Sb2…第二面
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