(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6235654
(24)【登録日】2017年11月2日
(45)【発行日】2017年11月22日
(54)【発明の名称】シート排出装置及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 21/00 20060101AFI20171113BHJP
B65H 31/00 20060101ALI20171113BHJP
B41J 29/377 20060101ALI20171113BHJP
G03G 15/00 20060101ALI20171113BHJP
【FI】
G03G21/00 538
B65H31/00 B
B41J29/377
G03G15/00 460
【請求項の数】10
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-119262(P2016-119262)
(22)【出願日】2016年6月15日
(65)【公開番号】特開2017-27027(P2017-27027A)
(43)【公開日】2017年2月2日
【審査請求日】2016年11月16日
(31)【優先権主張番号】特願2015-142552(P2015-142552)
(32)【優先日】2015年7月17日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000208743
【氏名又は名称】キヤノンファインテックニスカ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082337
【弁理士】
【氏名又は名称】近島 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141508
【弁理士】
【氏名又は名称】大田 隆史
(72)【発明者】
【氏名】田中 聡紀
【審査官】
岡▲崎▼ 輝雄
(56)【参考文献】
【文献】
特開2007−188043(JP,A)
【文献】
特開2002−128363(JP,A)
【文献】
特開平09−146320(JP,A)
【文献】
特開2014−051340(JP,A)
【文献】
実開平04−044251(JP,U)
【文献】
特開2007−331869(JP,A)
【文献】
特開2013−097011(JP,A)
【文献】
特開2010−181632(JP,A)
【文献】
特開2008−165110(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2011/0311262(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 21/00
B41J 29/377
B65H 31/00
G03G 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナー像が加熱定着されたシートを排出する排出手段と、
前記排出手段によって排出されたシートが積載される積載手段と、
前記シートの排出方向において前記排出手段よりも下流側に設けられ、前記排出手段からシートが排出される際に、前記積載手段上のエアーを吸引し、吸引したエアーをフィルタを介して外部に排出する吸引手段と、
前記排出方向において前記吸引手段よりも下流側に設けられ、前記排出手段からシートが排出される際に、前記吸引手段による吸引よりも前記排出手段によるシート排出方向の下流側の前記積載手段上にエアーを吐出する冷却手段と、を備えた、
ことを特徴とするシート排出装置。
【請求項2】
前記吸引手段は、前記排出方向と交差する方向にエアーを吸引し、
前記冷却手段は、前記排出方向と交差する方向であって、前記吸引手段による吸引方向に対して離れる方向に向けてエアーを吐出する、
ことを特徴とする請求項1に記載のシート排出装置。
【請求項3】
前記吸引手段は、前記排出手段によってシートが排出される排出口方向に向いてエアーを吸引する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のシート排出装置。
【請求項4】
前記冷却手段は、シートの前記排出方向の斜め下流の方向に向けてエアーを吐出する、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のシート排出装置。
【請求項5】
前記冷却手段は、前記積載手段のシート積載面に対して上方に向けてエアーを吐出する、
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のシート排出装置。
【請求項6】
前記吸引手段のエアー吸引口と前記冷却手段のエアー吐出口との間に遮蔽部材を備えた、
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のシート排出装置。
【請求項7】
前記吸引手段は、前記排出手段がシートを排出している場合に、前記積載手段上のエアーを吸引する、
ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載のシート排出装置。
【請求項8】
前記冷却手段は、前記排出手段の排出枚数が所定の枚数以上である場合に、前記積載手段上にエアーを吐出する、
ことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載のシート排出装置。
【請求項9】
前記冷却手段は、前記排出手段によって排出されるシート上に画像を形成する画像形成手段の第1のジョブと、該第1のジョブよりも後の第2のジョブの時間間隔が、所定の時間間隔未満のとき、前記排出手段が前記第2のジョブの最初のシートを排出するまでに前記積載手段にエアーの吐出を開始する、
ことを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載のシート排出装置。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれか1項に記載のシート排出装置と、
前記排出手段によって排出されるシートに画像を形成する画像形成手段と、
を備えた、ことを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トナー像を加熱したシートを排出するシート排出装置、及び、このようなシート排出装置を備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、シートにトナー像を形成する複写機、ファクシミリ、プリンタ等の画像形成装置は、シートと共にトナー像を加熱してシート上にトナー像を定着させる。このため、画像形成装置が有するシート排出装置では、排出トレイに排出されるシートが熱を帯びている。そのため、排出トレイに排出されたシート同士が重なることによって、シート上に形成されたトナー像が再溶融することがある。このような場合、シート同士がトナーによって付着することがある。また、付着したシート同士を分離する際に、シートが損傷することがある。
【0003】
そこで、従来、排出トレイに排出されるシートをエアーで冷却して、シート同士が付着するのを防止した、画像形成装置が提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−145880号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、トナー像をシートと共に加熱する際に、トナーやシートから発生する気化物質としての揮発性有機化合
物(VOC:Volatile Organic Compound)を低減させるために、装置内に除去手段等を設けて装置外への排出量を抑える対策がとられている。しかし、最近の画像形成装置は、機外に放出される気化物質の量をより低減することが要望されている。
【0006】
この場合、従来の構成によって排出トレイ上のシートをエアーで冷却する冷却ファン(冷却手段)をただ単に配置すると、機内で除去しきれなかった気化物質が、吸引手段によって吸引される前に機外に拡散されてしまう場合がある。このため、従来の画像形成装置は、シートの冷却と気化物質の低減との両立が困難であった。
【0007】
本発明は、シートの冷却と、気化物質の量の低減とを効率良く行えるシート排出装置及び画像形成装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のシート排出装置は、トナー像が加熱定着されたシートを排出する排出手段と、前記排出手段によって排出されたシートが積載される積載手段と、
前記シートの排出方向において前記排出手段よりも下流側に設けられ、前記排出手段からシートが排出される際に、前記積載手段上のエアーを吸引
し、吸引したエアーをフィルタを介して外部に排出する吸引手段と、
前記排出方向において前記吸引手段よりも下流側に設けられ、前記排出手段からシートが排出される際に、前記吸引手段による吸引よりも前記排出手段によるシート排出方向の下流側の前記積載手段上にエアーを吐出する冷却手段と、を備えた、ことを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、シートの冷却と、気化物質の量の低減とを効率良く行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施形態における画像形成装置のシート搬送方向に沿った断面図である。
【
図3】本実施形態のシート排出装置における、排出ローラ対、排出トレイ、吸気ファン、送風ファン等の斜視図である。
【
図5】
図3を矢印A方向から見たときの、排出トレイ、吸気ファン、送風ファン等の斜視図である。
【
図6】吸気ファンと送風ファンとの向きを同じ向きにしたときの
図3に相当する平面図である。
【
図7】吸気ファンと送風ファン等の動作説明用のフローチャートである。
【
図8】
図1において、吸気ファンのエアー吸引口と送風ファンのエアー吐出口との間に遮蔽部材を設けた場合の図である。
【
図9】
図8における、排出ローラ対、排出トレイ、吸気ファン、送風ファン、遮蔽部材等の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態の画像形成装置1を図に基づいて説明をする。なお、本実施形態で取り上げる数値は、あくまでも参考数値であって、本発明を限定する数値ではない。
【0012】
図1は、本発明の実施形態における画像形成装置1のシート搬送方向に沿った断面図である。なお、画像形成装置には、複写機、ファクシミリ、プリンタ等がある。
【0013】
画像形成装置1は、装置本体1Aの下部にシートPを収納したカセット2を備えている。ピックアップローラ23は、シートPをカセット2から給送する。搬送ローラ対10はカセット2から給送されたシートPの先端を、回転を停止しているレジストローラ対32に当接させて、シートを撓ませて、シートが斜行している場合、真っ直ぐに矯正をする。
【0014】
一方、画像読取装置6は、不図示の原稿を読み取って、画像データをレーザユニット12に送信する。レーザユニット12は、画像情報に基づいて、画像形成部3の感光ドラム11にレーザ光Lを照射する。感光ドラム11は、帯電器25によって帯電されており、レーザ光Lによって潜像を形成される。潜像は、現像器13によって、トナー現像されて、トナー像になり、可視像化される。
【0015】
レジストローラ対32は、感光ドラム11に形成されたトナー像の位置に合わせてシートを感光ドラム11と転写器14との間に送り込む。転写器14は回転して、感光ドラム11のトナー像をシートに転写して、感光ドラム11と共にシートを定着器4に送り込む。定着器4は、加熱ローラ15と加圧ローラ16とで、シートと共にトナー像を加熱加圧して、シートにトナー像を定着する。画像形成部3と定着器4は、トナー像を加熱し、シートに画像を形成する画像形成手段を構成している。定着排紙センサ26がシートを検知すると、排出ローラ対5の排紙ローラ17と排紙ころ18とが回転して、シートを排出口31から排出トレイ7に排出する。すなわち、排出手段としての排出ローラ対5は、加熱されてトナー像が定着されたシートを積載手段としての排出トレイ7に排出して積載する。排出センサ20は、シートによって回転させられるフラグ19の回転によってシートが排出トレイ7に排出されたことを検知する。排出トレイ7は、装置本体1Aに形成された胴内空間22の下部に形成された胴内型の排出トレイである。また、胴内空間22を形成する背面壁22aには、後述する吸気ファン8と送風ファン9とが、向きを背面壁22aから手前側に向けて設けてある。排出ローラ対5、排出トレイ7、吸気ファン8、送風ファン9によりシート排出装置70を構成している。
【0016】
図2は画像形成装置1の制御ブロック図である。CPU24は、画像形成装置1の基本制御を行うための情報処理回路である。CPU24には、制御プログラムが書き込まれたROM33と、画像形成装置の画像形成処理中の情報を一時的に記憶するRAM34と、ユーザが画像形成装置に画像記録情報を入力する操作部28とが接続されている。RAM34の一部の領域は、電源が切られてもデータが消去されないバックアップ機能を有している。
【0017】
また、CPU24には、入出力ポート27を介して、画像処理部101、露光制御部102、高圧制御部103等も接続されている。画像処理部101は、画像読取装置6が読み取った画像情報を処理するようになっている。露光制御部102は、レーザユニット12が画像処理部101からの画像情報に基づいて画像形成部3の感光ドラム11にレーザ光Lを照射できるようにレーザユニット12を制御するようになっている。高圧制御部103は、帯電器25が感光ドラム11を帯電させる電圧を制御するようになっている。さらに、CPU24には、I/O制御部104を介して、定着排紙センサ26、排出センサ20、吸気ファン8及び送風ファン9等も接続されている。
【0018】
CPU24は、ROM33の制御プログラムと、入出力ポート27を介しての定着排紙センサ26と排出センサ20とのシート検知情報等に基づいて、順次、各部の制御を行い、画像形成処理を実行する。また、CPU24は、操作部28にユーザによって入力された画像形成情報に基づいて、各部を制御し、また、各部の動作状態を操作部28に表示するようになっている。
【0019】
次に、
図1、
図3乃至
図7に基づいて、画像形成装置の排出トレイ7における吸気ファン8と送風ファン9の位置関係及び動作を説明する。
図3は、
図1における画像形成装置1の排出ローラ対5、排出トレイ7、吸気ファン8、送風ファン9等の斜視図である。
図4は、
図3の平面図である。
図5は、
図3を矢印A方向から見たときの、排出トレイ7、吸気ファン8、送風ファン9等の斜視図である。
図6は、吸気ファン8と送風ファン9との向きを同じ向きにしたときの
図3に相当する平面図である。
図7は、吸気ファン8と送風ファン9等の動作説明用のフローチャートである。ここで、
図3乃至
図6において、背面壁22aは省略している。
【0020】
図1、
図3、
図4において、排出トレイ7の上面7eには、排出トレイ7に排出されたシートをユーザが掴んで取出し易くするため、切込み部7aと凹部7bとが形成されている。また、排出トレイ7の上面7eの排出ローラ対5に近い部分は、排出ローラ対5に近づくにしたがって、下方に傾斜した傾斜部7cとなっている。このため、排出トレイ7に排出されたシートは、自重によって、排出ローラ対5側に滑降して排出ローラ対5の下側の壁面7dに受け止められて、後端を整合されるようになっている。
【0021】
図1において、胴内空間22を形成する背面壁22aに形成された通風口21には、吸引手段としての吸気ファン8と冷却手段としての送風ファン9とが、背面壁22aから手前側に向いて設けられている。吸気ファン8と送風ファン9は、前面にシートが引っ掛からないようにするため、背面壁22aの後方に突出して、背面壁22aから排出トレイ7側へ突出しないようになっている。
【0022】
吸気ファン8は、排出ローラ対5の近傍に、具体的には排出ローラ対5のシート排出方向Bの下流側に配置され、排出ローラ対5によるシート排出方向Bに対して直交(交差)する方向(シートの幅方向)で、かつ排出トレイ7の上面7eに沿った方向に向いている。このため、吸気ファン8は、排出ローラ対5によってシートが排出される排出口31方向
に向いてエアーを吸引する。具体的には、吸気ファン8は、画像形成装置1の手前から後側(奥側)に排出トレイ7上の空気(エアー)AR1を吸引するようになっている。すなわち、吸引手段としての吸気ファン8は、排出トレイ7のシート排出方向Bにおける一方の側端の側(奥側)に配置されて、排出トレイ7に排出されたシート上に漂っている気化物質をシートの幅方向に吸引するようになっている。ここで、気化物質としては、揮発性有機化合物(VOC:Volatile Organic Compound)等がある。これは、定着器4がトナー像をシートと共に加熱すると、トナーやシートから発生する気体である。
【0023】
吸気ファン8の背後には、装置本体1Aの外部に通じる不図示のダクトが設けられている。ダクト内には、吸気ファン8が吸引した気化物質を機外へ拡散させないための不図示のフィルタが設けられている。
【0024】
気化物質は、定着器4がシートとトナー像とを加熱加圧すると発生して、排出ローラ対5によって排出トレイ7へ排出されるシートとともに排出口31から流出する場合がある。したがって、吸気ファン8は、排出口31から流出する気化物質と、排出トレイ7に排出されたシート上に漂っている気化物質とをシートの幅方向に吸引して、気化物質の臭い等が、画像形成装置の装置本体1Aから漏れるのを防止することができる。しかも、吸気ファン8は、送風ファン9よりも、シート排出方向Bの上流側に位置しているため、排出ローラ対5から排出されたシートの気化物質を速やかに吸引して、胴内空間22から画像形成装置の外部に気化物質が拡散されるのを防止することができる。
【0025】
また、吸気ファン8は、胴内空間22内のエアーも吸引するため、胴内空間22の温度上昇を抑制して、熱を帯びて排出トレイ7に排出されたシートによってトナー像が再溶融してしまうことを防ぐことができる。そのため、トナー像の再溶融によって、シート同士が付着するのを防止して、トナー像の損傷を防止することもできる。
【0026】
送風ファン(冷却手段)9は、吸気ファン8による吸引よりもシート排出方向Bの下流側の排出トレイ7上にエアーを吐出する。具体的には、送風ファン9は、排出トレイ7のシート排出方向Bにおける一方の側端の側(奥側)で、かつ吸気ファン8のエアー吸引口8aに対してシート排出方向Bの下流側に配置されて、排出トレイ7の上面7eに後側(奥側)から手前側へエアーAR2を送風するようになっている。また、
図4に示すように、送風ファン9のエアー吐出口9aは、吸気ファン8のエアー吸引口8aに対して角度θ1の角度をもって、送風ファン9の送風方向は吸気ファン8の吸引方向に対してシート排出方向Bの斜め下流の方向を向いている。さらに、送風ファン9のエアー吐出口9aは、
図5に示すように、排出トレイ7の上面(シート積載面)7eに対して角度(仰角)θ2をもって上向きの方向(上方向)を向いている。ここで、送風ファン9との背後には、装置本体1Aの外部に通じる不図示のダクトが設けられている。
【0027】
したがって、送風ファン9は、エアーAR2をシートの幅方向に吐出して、シートを冷却し、胴内空間22の温度上昇を抑制して、トナー像の再溶融を防ぐことができる。そのため、トナー像の再溶融によって、シート同士が付着するのを防止して、トナー像の損傷を防止することができる。
【0028】
また、送風ファン9は、角度θ1だけ傾いている。このため、
図6に示すように、送風ファン9の送風方向が、吸気ファン8の吸引方向に対して平行になるように送風ファン9が配置されている場合よりも、送風ファン9から吐出されるエアーAR2を吸気ファン8の吸引によるエアーAR1に引き込まれて吸引されにくくなる。つまり、胴内空間22の空気を循環させるための送風ファン9による送風量の低下を軽減でき、排出トレイ7上のシートの冷却効果をより高めることができる。また、
図5に示すように送風ファン9は、仰角θ2だけ上向きになっているので、排出トレイ7におけるシートを積載できる最大の積載高さよりも、上方にエアーを送ることができて、胴内空間22内を容易に冷却することができる。
【0029】
以上の説明において、吸気ファン8のエアー吸引口8aは、気化物質がシートとともに排出口31から流出するのを防ぐため、排出ローラ対5に向いていてもよい。この場合においても、吸気ファン8は、気化物質をシートの幅方向に吸引することができる。いずれにしても、吸気ファン8の吸引方向と送風ファン9の送風方向は、互いに離れる方向に向いていればよい。この構成によって、送風ファン9の吐出エアーが吸気ファン8に吸い込まれてしまうことを軽減し、気化物質の吸引効率と、シートPと胴内空間22の冷却効率とを高めることができる。また、送風ファン9から吐出されるエアーによって拡散される前に、気化物質を吸気ファン8によって吸引することができるため、気化物質の吸引効率を高めることができる。
【0030】
なお、送風ファン9から吐出されるエアーが吸気ファン8に吸い込まれてしまうことを軽減するために、
図8、
図9に示すシート排出装置70aのように、吸気ファン8のエアー吸引口8aと送風ファン9のエアー吐出口9aとの間に遮蔽部材29を設けてもよい。
図8は、
図1において、吸気ファン8のエアー吸引口8aと送風ファン9のエアー吐出口9aとの間に遮蔽部材29を設けた場合の図である。
図9は、
図8における、排出ローラ対5、排出トレイ7、吸気ファン8、送風ファン9、遮蔽部材29等の斜視図である。尚、
図9においても背面壁22aは省略している。
【0031】
このように、遮蔽部材29を設けることで、送風ファン9の吐出エアーが吸気ファン8に吸い込まれてしまうことを軽減できるため、気化物質の吸引効率とシートPと胴内空間22の冷却効率とを高めることができる。
【0032】
次に、
図7に基づいて、画像形成装置1の全体動作と、吸気ファン8及び送風ファン9の動作との関係を説明する。なお、
図7に示すフローチャートは、CPU24がROM33に記憶されるプログラムを読み出すことにより実現される。
【0033】
CPU24は、ユーザから操作部28を介して印刷ジョブの指示を受けると、吸気ファン8を始動させる(S101)。カセット2にセットされたシートPは、ピックアップローラ23、搬送ローラ対10、レジストローラ対32によって、画像形成部3まで搬送される。この間に、露光制御部102が、画像読取装置6から転送されてきた画像データに応じてレーザユニット12を制御して、感光ドラム11にレーザを照射させる。このとき、感光ドラム11は、高圧制御部103の制御によって作動する帯電器25によって、既に、帯電されている。感光ドラム11は、現像器13によりトナー現像されてトナー像を形成される。感光ドラム11と転写器14は、カセット2から搬送されてきたシートPにトナー像を転写する。そして、定着器4は、トナー像をシートに定着する。これによって、シート上に画像が形成されたことになる(S102)。そして、CPU24は、ユーザによって操作部28を介して要求されている画像形成枚数(画像形成要求枚数)を判断する(S103)。
【0034】
ここで、少数枚の画像形成の場合は、シート束としての熱容量が小さく短時間の自然放熱で充分に温度が下がるので、シートを冷却する必要がない。このため、CPU24は、操作部28による画像形成枚数情報が、所定の画像形成枚数未満であるとき送風ファン9を始動させないことで吸気ファン8による気化物質の吸気の効率を高める。もし、画像形成枚数情報(排出ローラ対5の排出枚数)が、所定の画像形成枚数以上(所定の枚数以上)の場合、CPU24は、送風ファン9を始動させる。すなわち、例えば、要求されている画像形成枚数が5枚以上であれば(S103でYes)、CPU24は、送風ファン9を始動させて(S104)、排出されるシートの冷却を行う。
【0035】
要求されている画像形成枚数が5枚未満の場合(S103でNo)、CPU24は、前回のジョブ(第1のジョブ)の画像形成後、例えば、30秒(参考数値)以上経過しているか判断する(S105)。前回のジョブの画像形成後の経過時間が30秒未満である場合(S105でNo)、送風ファン9を始動させて(S104)、排出されるシートの冷却を行う。即ち、送風ファン9は、前回のジョブ(第1のジョブ)と、前回のジョブよりも後の今回のジョブ(第2のジョブ)の時間間隔が、所定の時間間隔未満(30秒未満)のとき、排出ローラ対5が今回のジョブの最初のシートを排出するまでに排出トレイ7にエアー
の吐出
を開始する。これは、ジョブ同士の時間間隔が短い状態で、胴内空間22の排出トレイ7に前回のジョブのシートPが積載されると、排出トレイ7上のシートの積載枚数が少なくても、自然放熱による温度低下が鈍くなるからである。CPU24は、ユーザが要求した枚数のシートに画像を形成したか否かを判定し(S106)、ユーザが要求した枚数のシートに画像を形成していない場合(S106でNo)、次のシートに対して画像形成を行う(S107)。
【0036】
そして、CPU24は、ユーザが要求した枚数のシートに画像を形成すると(S106でYes)、気化物質の吸気と、シート及び胴内空間22の冷却とが終了したか否かを判定するための所定時間が経過したか否かの判定を行う(S108)。所定時間が経過していない場合(S108でNo)、所定時間が経過するまで吸気ファン8による吸引と送風ファン9による送風を継続する。所定時間が経過すると(S108でYes)、送風ファン9と、吸気ファン8とを停止させる(S109,S110)。
【0037】
S105において、前回のジョブの画像形成後の経過時間が30秒以上の場合(S105でYes)、CPU24は、送風ファン9を始動させずに、S111へと進む。CPU24は、ユーザが要求した枚数のシートに画像を形成したか否かを判定する(S111)。ユーザが要求した枚数のシートに画像を形成していない場合(S111でNo)、次のシートに対して画像形成を行う(S112)。
【0038】
そして、CPU24は、ユーザが要求した枚数のシートに画像を形成すると(S111でYes)、気化物質の吸気が終了したか否かを判定するための所定時間が経過したか否かの判定を行う(S113)。所定時間が経過していない場合(S113でNo)、所定時間が経過するまで吸気ファン8による吸引を継続する。所定時間が経過すると(S113でYes)、吸気ファン8を停止させる(S110)。
【0039】
このように、吸気ファン8は、排出ローラ対5がシートの排出動作をしている間、吸気動作を行っている。また、送風ファン9は、画像形成枚数が所定の画像形成枚数以上であると、始動し、所定の画像形成枚数以下のときには、始動しないようになっている。但し、送風ファン9は、画像形成枚数が所定の画像形成枚数以下であっても、シートのジョブ同士の時間間隔が、所定の時間間隔以下のとき、排出ローラ対5が後のジョブの最初のシートを排出するまでに始動するようになっている。
【0040】
以上のように、本実施形態の画像形成装置1は、排出ローラ対5からシートと共に排出される気化物質の拡散を効率良く低減できて、ユーザが不愉快に感じる臭い等をさらに低減できて、画像形成装置の製品品位を向上させることができる。また、本実施形態の画像形成装置1は、排出トレイ7に積載されているシートの温度を効率良く低減することができるので、トナーの再溶融によるシート同士の貼り付きを防ぐことができる。
【符号の説明】
【0041】
1:画像形成装置、1A:画像形成装置の装置本体、2:カセット、3:画像形成部(画像形成手段)、4:定着器(画像形成手段)、5:排出ローラ対(排出手段)、6:画像読取装置、7:排出トレイ(積載手段)、7e:上面(シート積載面)、8:吸気ファン(吸引手段)、8a:エアー吸引口、9:送風ファン(冷却手段)、9a:エアー吐出口、21:通風口、22:胴内空間、22a:背面壁、24:CPU、29:遮蔽部材、70、70a:シート排出装置、B:シート排出方向、θ1:下流方向の角度、θ2:仰角、P:シート。