(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明のいくつかの例示的な実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下の説明では、撮像素子実装用基板に撮像素子が実装され、撮像素子実装用基板の上面に蓋体が接合された構成を撮像装置とする。撮像素子実装用基板および撮像装置は、いずれの方向が上方または下方とされてもよいが、便宜的に、直交座標系xyzを定義するとともに、z方向の正側を上方として、上面または下面の語を用いるものとする。
【0010】
(第1の実施形態)
図1、
図2を参照して本発明の第1の実施形態における撮像装置21および撮像素子実装用基板1について説明する。本実施形態における撮像装置21は、撮像素子実装用基板1と撮像素子10とを備えている。
【0011】
図1、
図2に示す例において、撮像素子実装用基板1は、絶縁層から成り、内側部分に貫通孔2aを有する枠体2と、枠体2の下面側に実装された電子部品22と、枠体2の下面に貫通孔2aの開口を塞ぐとともに電子部品22とは非接触で設けられた、上面のうち枠体2で囲まれた領域に撮像素子実装部11を有する平板4とを備え、電子部品22の下面が、平板4の下面よりも上方に位置している。
【0012】
図1および
図2に示す例では、枠体2は、絶縁層から成り、内側部分に貫通孔2aを有する。
図1および
図2に示す例では、絶縁層からなる枠体2は、第1貫通孔2bを有する第1枠体2dと第1貫通孔2bよりも小さい第2貫通孔2cを有する第2枠体2eとを有している。第2枠体2eの上面に重ねて第1枠体2dが設けられており、第1貫通孔2bと第2貫通孔2cとは連結して枠体2の貫通孔2aを形成している。また、第1枠体2dの内側側面と第2枠体2eの上面とによって段差部が形成されており、この段差部に撮像素子接続用パッド3が設けられている。また、
図1および
図2に示すように、枠体2の下面のうち平板貫通孔5に露出した部位には、電子部品22が電気的に接続される電子部品接続用パッド33が複数設けられている。
【0013】
枠体2を構成する第1枠体2dおよび第2枠体2eの材料は例えば、電気絶縁性セラミックスまたは樹脂(プラスチック)等が使用される。
【0014】
枠体2を形成する第1枠体2dおよび第2枠体2eの材料として使用される電気絶縁性セラミックスとしては例えば、酸化アルミニウム質焼結体、ムライト質焼結体、炭化珪素質焼結体、窒化アルミニウム質焼結体、窒化珪素質焼結体またはガラスセラミック焼結体等が挙げられる。
【0015】
枠体2を形成する第1枠体2dおよび第2枠体2eの材料として使用される樹脂としては例えば、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂またはフッ素系樹脂等が挙げられる。フッ素系樹脂としては例えば、ポリエステル樹脂または四フッ化エチレン樹脂が挙げられる。
【0016】
図1および
図2に示す例において、枠体2を形成する第1枠体2dおよび第2枠体2eは、前述した材料から成る絶縁層を複数上下に積層して形成されている。
【0017】
枠体2を形成する第1枠体2dおよび第2枠体2eは、
図1および
図2に示すように、2層の絶縁層から形成されていてもよいし、単層または3層以上の絶縁層から形成されていてもよい。
図1に示す例では、枠体2を形成する第1枠体2dおよび第2枠体2eはそれぞれ2層の絶縁層で形成されており、前述した段差部には、複数の撮像素子接続用パッド3が設けられている。
【0018】
また、枠体2の上面、側面または下面に、外部回路接続用電極が設けられている。外部回路接続用電極は例えば、撮像装置21と外部回路基板または外部装置等とを電気的に接続するために設けられる。
【0019】
枠体2の内部には、例えば、絶縁層間に形成される内部配線、およびこの内部配線同士を上下に接続する貫通導体が設けられる。これら内部配線または貫通導体は、枠体2の表面に露出していてもよい。この内部配線または貫通導体によって、外部回路接続用電極、撮像素子接続用パッド3および電子部品接続用パッド33が電気的に接続されていてもよい。
【0020】
また、第1枠体2dおよび第2枠体2eは、例えば、それぞれの貫通導体同士が上述した表面に露出した部分で互いに接続されていてもよい。
【0021】
撮像素子接続用パッド3、外部回路接続用電極、内部配線、貫通導体および電子部品接続用パッド33は、枠体2が電気絶縁性セラミックスから成る場合には、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、マンガン(Mn)、銀(Ag)もしくは銅(Cu)またはこれらから選ばれる少なくとも1種以上の金属材料を含有する合金等から成る。また、撮像素子接続用パッド3、外部回路接続用電極、内部配線、貫通導体および電子部品接続用パッド33は、枠体2が樹脂から成る場合には、銅(Cu)、金(Au)、アルミニウム(Al)、ニッケル(Ni)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)またはこれらから選ばれる少なくとも1種以上の金属材料を含有する合金等から成る。
【0022】
撮像素子接続用パッド3、外部回路接続用電極、内部配線、貫通導体および電子部品接続用パッド33の露出表面に、めっき層が設けられてもよい。この構成によれば、撮像素子接続用パッド3、外部回路接続用電極、内部配線、貫通導体および電子部品接続用パッド33の露出表面を保護して酸化を抑制できる。また、この構成によれば、撮像素子接続用パッド3と撮像素子10とのワイヤボンディング等の接続部材13を介した電気的接続、外部回路接続用電極と外部回路基板との電気的接続および電子部品22と電子部品接続用パッド33との電気的接続を良好にできる。めっき層は、例えば、厚さ0.5〜10μmのニッケル(Ni)めっき層を被着させるか、またはこのNiめっき層および厚さ0.5〜3μmの金(Au)めっき層を順次被着させてもよい。
【0023】
図1および
図2に示す例のように、平板4は、枠体2の下面に貫通孔2aの下側の開口を塞ぐように設けられ、上面の中央部に撮像素子実装部11を有している。
【0024】
図1および
図2に示す例では、撮像素子10が撮像素子実装部11に実装されており、この撮像素子10は、枠体2の貫通孔2aの内壁面と平板4の上面とで形成される凹部に収納されている。
【0025】
図1および
図2に示す例のように、平板4の外周縁は、枠体2の外周縁と平面視において重なる位置に位置していてもよいし、平面視において枠体2の外周縁よりも内側の位置、あるいは枠体2の外周縁よりも外側の位置に位置していてもよい。また、平板4の外周縁が枠体2の外周縁よりも外側に位置する場合、平板4は、枠体2の外側に位置する外側領域に貫通孔または切欠きを有していてもよい。なお、貫通孔または切欠きは、例えば、撮像装置21と外部装置とを固定する際の孔として用いられる。
【0026】
平板4を形成する材料は例えば、電気絶縁性セラミックス、金属材料または樹脂(プラスチック)等が使用される。
【0027】
平板4の材料として使用される電気絶縁性セラミックスとしては例えば、酸化アルミニウム質焼結体、ムライト質焼結体、炭化珪素質焼結体、窒化アルミニウム質焼結体、窒化珪素質焼結体、またはガラスセラミック焼結体等が挙げられる。このとき、平板4は表面または内部に回路を形成していてもよく、その場合は枠体2の下面に設けられた接続電極または下面に露出した貫通電極に電気的に接続されていてもよい。
【0028】
また、平板4が電気絶縁性セラミックスから成る場合は、枠体2と平板4とは、ろう材、熱硬化性樹脂または低融点ガラス等からなる接合材によって接合されていてもよい。熱硬化性樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂等が用いられる。
【0029】
平板4の材料として使用される金属材料としては例えば、ステンレス(SUS)、Fe−Ni−Co合金、42アロイ、銅(Cu)または銅合金等が挙げられる。また、例えば、枠体2が約5×10
−6/℃〜10×10
−6/℃の熱膨張率を有する酸化アルミニウム質焼結体である場合には、平板4は約10×10
−6/℃の熱膨張率を有するステンレス(SUS410)であってもよい。この場合には、枠体2と平板4との熱収縮差・熱膨張差が小さくなるので、枠体2と平板4とを接合する工程または電子部品22を実装する工程において、熱応力を緩和することができ、撮像素子実装部11の変形を低減することができる。その結果、撮像素子10とレンズとの光軸がずれることによる、画像劣化を低減することができる。
【0030】
また、平板4が金属材料から成る場合は、枠体2と平板4とは、ろう材、熱硬化性樹脂または低融点ガラス等からなる接合材によって接合されていてもよい。熱硬化性樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂等を用いてもよい。
【0031】
平板4の材料として使用される樹脂としては例えば、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂またはフッ素系樹脂等が挙げられる。フッ素系樹脂としては例えば、ポリエステル樹脂または四フッ化エチレン樹脂が挙げられる。このとき、平板4は、上面または下面に回路を形成していてもよい。その場合は枠体2の下面に設けられた外部回路接続用電極に電気的に接続されていてもよい。
【0032】
また、平板4が樹脂材料から成る場合には、枠体2と平板4とは、熱硬化性樹脂等からなる接合材によって接合されていてもよい。熱硬化性樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂等が用いられる。
【0033】
また、平板4が電気絶縁性セラミックスまたは樹脂材料から成り、表面または内部に回路を形成している場合は、枠体2と平板4との接合材としては、異方性導電性樹脂(ACF)または半田等の導電性の接合材が用いられる。導電性の接合材を用いれば、枠体2と平板4との接合とそれぞれの電極間の電気的接合とを行なうことができる。
【0034】
枠体2と平板4とを接合する接合材は、撮像素子10の実装工程または電子部品22の実装工程において加えられる熱によって接合材が変性しないものとするのが好ましい。このような接合材としては、ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂等がある。この場合には、撮像素子10の実装工程または電子部品22の実装工程において、枠体2から平板4が剥離することを良好に抑制することができる。
【0035】
図1および
図2に示す例のように、撮像素子実装用基板1は、上下面に開口部5aを有する平板貫通孔5が平板4に設けられており、開口部5aの内部に収納された電子部品22をさらに有しており、電子部品22の下面は、平板4の下面よりも上方に位置している。なお、平板貫通孔5は、平板4のうち電子部品22と重なる部位に、平板4が電子部品22とは一部が非接触となるように設けられている。なお、平板4が電子部品22とは一部が非接触とは、電子部品22の下面が平板4の下面よりも上方に位置しているのであれば、電子部品22の表面の一部が平板4と接触していてもよいということである。具体例としては、電子部品22が例えば矩形状である場合に、4つの側面のうち3つの側面が平板貫通孔5において平板4と接触していてもよい。さらに、電子部品22の4つの側面が平板4と接触している場合であっても、側面の全面が平板4と接触していなければよい。
【0036】
一般的に、枠体2に電子部品22が接続される電子部品接続用パッド33を作製する工程において、複数の電子部品接続用パッド33の厚みには差が生じる。また、電子部品22を枠体2に接続する際に、電子部品接続用パッド33と電子部品22とを接合する接続材34の厚みに差が生じる。これらの差によって、電子部品22の下面は平板4の下面よりも下方に位置する可能性がある。よって、撮像素子実装用基板1内の各箇所における高さに差が生じる可能性があり、撮像装置21を外部回路あるいは外部筐体に搭載する際の撮像装置21の傾きの一因となり、光軸のずれや画像ノイズの発生が懸念されていた。
【0037】
これに対して、
図1および
図2に示す例のように、本構成では平板4を貫通する平板貫通孔5が設けられており、平板貫通孔5の内壁と枠体2の下面とで囲まれた領域に電子部品22が収納されている。また、電子部品22の下面は、平板4の下面よりも上方に位置している。このように電子部品22の下面が平板4の下面よりも上方に位置していることで、外部回路あるいは外部筐体に直接接するのは平板4となる。そのため、撮像素子実装用基板1の各箇所における高さに差が生じにくい。これらのことから、外部回路あるいは外部筐体等に撮像素子実装用基板1を設置したとしても、撮像素子実装用基板1に傾きが生じることを抑制することが可能となる。
【0038】
図1および
図2に示す例において、枠体2の下面には電子部品接続用パッド33が設けられ、枠体2の下面と平板4の平板貫通孔5の内壁とで囲まれた領域に電子部品22が収納されている。
【0039】
電子部品22としては例えば、チップコンデンサ、インダクタ、抵抗器またはトランジスタ等が用いられる。
図1および
図2に示す例においては、電子部品22の各電極は、接続材34によって電子部品接続用パッド33に電気的に接続されている。接続材34は例えば、半田等の導電性の金属部材または異方性導電性樹脂等が用いられる。また、後述するが、平板貫通孔5の内壁と枠体2との下面とで囲まれた領域は電子部品22を実装後に絶縁性の樹脂等で封止してもよい。
【0040】
図1および
図2に示す例のように、平板4の平板貫通孔5は断面視において平板4の上面と下面とを貫通していてもよいし、後述するが断面視において平板4の上面から平板4の厚みの途中までの高さでもよい。
図1(b)に示す例のように、平板貫通孔5が断面視において平板4の上面と下面とを貫通していることで、電子部品22の実装の検査を目視ですることが可能となる。
【0041】
また、一般的に蓋体12を実装する工程、レンズ筐体を実装する工程または撮像素子10を実装する工程等では、撮像素子実装用基板1の上面から下面に向けて圧力が加えられる。そのため、平板4が平面視において電子部品22よりも内側(撮像素子実装部11近傍)のみに設けられていると、圧力をかけるポイントによっては、撮像素子実装用基板1が傾き、実装時に不具合が生じる可能性がある。そのため、
図1に示す例のように、撮像素子実装用基板1の平板4が電子部品22の周囲を囲む形状であることで(平板4に設けられた平板貫通孔5に電子部品22を収納することで)、蓋体12を実装する工程、レンズ筐体を実装する工程、または撮像素子10を実装する工程等において、枠体2の上面から圧力を加えられたとしても、撮像素子実装用基板1が傾くことを低減させることが可能となる。
【0042】
また、平板4を貫通している平板貫通孔5に対して、電子部品22は、平板貫通孔5の内壁に近接させて枠体2の下面(平板貫通孔5の底面)に設けられてもよい。この構成によれば、電子部品22を実装する工程においていわゆるマンハッタン現象が発生したとしても、電子部品22が平板貫通孔5の内壁に引っかかりやすくなる。そのため、電子部品22が平板4の下面から飛び出すことを抑制できる。
【0043】
また、電子部品22は、少なくとも平板貫通孔5の内壁のうち平板4の下面側の部位に近接するように設けられてもよい。この構成によれば、電子部品22は平板貫通孔5の内壁にさらに引っかかりやすくなる。なお、本構成になっていれば、平板貫通孔5の内壁は、傾斜の有無を問わず本効果を奏する。
【0044】
また、
図2に示す例のように、平板貫通孔5において、平板4の下面側の開口5aが平板4の上面側の開口5aよりも小さくなっていてもよい。この構成によれば、電子部品22は、平板貫通孔5の内壁における平板4の下面側の部位に近接するように設けられることとなるので、電子部品22は平板貫通孔5の内壁にさらに引っかかりやすくなると同時に、接続材34を、平板4の上面と枠体2の下面とによって鋭角に形成された角部にフィレット状に設けることができるので、電子部品22の枠体2への接合力を向上させることができ、さらに電子部品22の平板4の下面からの飛び出しを抑制できる。
【0045】
次に、
図1および
図2を用いて、撮像装置21について説明する。
図1および
図2に示す例において、撮像装置21は、撮像素子実装用基板1と、撮像素子実装部11に実装された撮像素子10と、撮像素子実装用基板1の上面に接合された蓋体12とを有している。
【0046】
撮像素子10は例えば、CCDまたはCMOS等の撮像素子が用いられる。
図1および
図2に示す例においては、撮像素子10の各電極は、接続部材(ボンディングワイヤ)13によって撮像素子接続用パッド3に電気的に接続されている。
【0047】
また、
図1および
図2に示す例においては、撮像素子10は、接着剤を介して平板4の上面に配置されている。この接着剤は、例えば、銀エポキシや熱硬化性樹脂等が使用される。
【0048】
蓋体12は、例えば平板状である。また、蓋体12は、ガラス材料または光学フィルタ等の透明度の高い部材が用いられる。蓋体12は、例えば熱硬化性樹脂または低融点ガラス等の接合部材14により、枠体2の上面に接合される。
【0049】
本発明の撮像装置21は、上記構成の撮像素子実装用基板1と、撮像素子実装部11に実装された撮像素子10とを有していることにより、撮像装置21の傾きを低減させることができ、光軸のずれや画像ノイズの発生を低減させることが可能となる。よって、良好な画像を得ることが可能な撮像装置21を提供することができる。
【0050】
次に、本実施形態の撮像素子実装用基板1の製造方法の一例について説明する。なお、下記で示す製造方法の一例は、多数個取り配線基板を用いた製造方法である。
【0051】
(1)まず、枠体2を構成するセラミックグリーンシートを形成する。例えば、酸化アルミニウム(Al
2O
3)質焼結体から成る枠体2を得る場合には、Al
2O
3の粉末に焼結助材としてシリカ(SiO
2)、マグネシア(MgO)またはカルシア(CaO)等の粉末を添加し、さらに適当なバインダー、溶剤および可塑剤を添加し、次にこれらの混合物を混錬してスラリー状とする。その後、従来周知のドクターブレード法またはカレンダーロール法等の成形方法によって多数個取り用のセラミックグリーンシートを得る。
【0052】
なお、枠体2が例えば樹脂から成る場合は、所定の形状に成形できるような金型を用いて、トランスファーモールド法またはインジェクションモールド法等で成形することによって枠体2を形成することができる。
【0053】
また、枠体2は、例えばガラスエポキシ樹脂のように、ガラス繊維から成る基材に樹脂を含浸させたものであってもよい。この場合には、ガラス繊維から成る基材にエポキシ樹脂の前駆体を含浸させ、このエポキシ樹脂前駆体を所定の温度で熱硬化させることによって枠体2を形成できる。
【0054】
(2)次に、スクリーン印刷法等によって、(1)の工程で得られたセラミックグリーンシートに撮像素子接続用パッド3、外部回路接続用電極、貫通導体または内部配線を含んだ内部配線、貫通導体、および電子部品接続用パッド33となる部分に金属ペーストを塗布または充填する。
【0055】
この金属ペーストは、前述した金属材料から成る金属粉末に適当な溶剤およびバインダーを加えて混練することによって、適度な粘度に調整して作製される。なお、金属ペーストは、枠体2との接合強度を高めるために、ガラス、セラミックスを含んでいても構わない。
【0056】
(3)次に、前述のグリーンシートを金型等によって加工する。枠体2となるグリーンシートの中央部に、貫通孔2aを形成する。
【0057】
(4)次に、各絶縁層となるセラミックグリーンシートを積層して加圧することにより、枠体2となるセラミックグリーンシート積層体を作製する。また、本工程では、例えば、第1枠体2dおよび第2枠体2eとなるグリーンシート積層体を別個に作製した後に、両者を積層して加圧することにより、枠体2となるグリーンシート積層体を作製してもよい。
【0058】
(5)次に、このセラミックグリーンシート積層体を約1500〜1800℃の温度で焼成して、枠体2が複数配列された多数個取り配線基板を得る。なお、この工程によって、前述した金属ペーストは、枠体2となるセラミックグリーンシートと同時に焼成され、撮像素子接続用パッド3、外部回路接続用電極、内部配線、貫通導体および電子部品接続用パッド33となる。
【0059】
(6)次に、焼成して得られた多数個取り配線基板を複数の枠体2に分断する。この分断においては、枠体2の外縁となる箇所に沿って多数個取り配線基板に分割溝を形成しておき、この分割溝に沿って破断させて分割する方法を用いることができる。または、スライシング法等によって枠体2の外縁となる箇所に沿って切断する方法を用いることができる。なお、分割溝は、焼成後にスライシング装置によって多数個取り配線基板の厚みよりも小さく切り込むことによって形成することができる。また、多数個取り配線基板用のセラミックグリーンシート積層体にカッター刃を押し当てたり、スライシング装置によってセラミックグリーンシート積層体の厚みよりも小さく切り込んだりすることによって形成してもよい。
【0060】
(7)次に、枠体2の下面に接合される平板4を用意する。平板4は、金属材料からなる板材に、従来周知のスタンピング金型を用いた打抜き加工やエッチング加工等によって作製される。しかる後、平板4がFe−Ni−Co合金、42アロイ、Cuまたは銅合金等の金属から成る場合には、その表面にニッケルめっき層および金めっき層を被着してもよい。これにより、平板4の表面の酸化腐食を有効に抑制することができる。
【0061】
また、平板4が樹脂材料から成る場合は、トランスファーモールド法またはインジェクションモールド法などによって形成することによって形成することができる。また、例えばガラスエポキシ樹脂のように、ガラス繊維から成る機材に樹脂を含浸させたものであってもよい。この場合は、ガラス繊維から成る基材にエポキシ樹脂の前駆体を含浸させ、このエポキシ樹脂前駆体を所定の温度で熱硬化させることによって形成することができる。このとき、エポキシ樹脂前駆体の上面または下面に銅等の金属材料をスクリーン印刷法等によって印刷し、回路を被着形成してもよい。
【0062】
(8)次に、接合材を介して平板4を枠体2に接合する。この工程では、ペースト状の熱硬化性樹脂をスクリーン印刷法またはディスペンス法等で枠体2または平板4のいずれか一方の接合面に塗布する。その後、トンネル式の雰囲気炉またはオーブン等で乾燥させた後、枠体2と平板4とを重ねた状態でトンネル式の雰囲気炉またはオーブン等に入れて、約150℃で約90分間加熱することで接合材を熱硬化させ、枠体2と平板4とを強固に接着させる。
【0063】
接合材は、例えばビスフェノールA型液状エポキシ樹脂、ビスフェノールF型液状エポキシ樹脂、フェノールノボラック型液状樹脂等からなる主剤を用いる。この主剤に、球状の酸化珪素等から成る充填材、テトラヒドロメチル無水フタル酸等の酸無水物などを主とする硬化剤および着色剤としてカーボン紛末等を添加し、遠心攪拌機等を用いて混合、混練してペースト状とすることによって得られる。
【0064】
また、接合材としては、この他にも例えばビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールA変性エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、特殊ノボラック型エポキシ樹脂、フェノール誘導体エポキシ樹脂、ビスフェノール骨格型エポキシ樹脂等のエポキシ樹脂にイミダゾール系、アミン系、リン系、ヒドラジン系、イミダゾールアダクト系、アミンアダクト系、カチオン重合系、ジシアンジアミド系等の硬化剤を添加したもの等を使用することができる。
【0065】
また、平板4が樹脂材料から成り、上面または下面に回路を形成している場合には、接合材として異方性導電性樹脂を用いて枠体2と平板4とを電気的に接合してもよい。
【0066】
(9)次に、作製した撮像素子実装用基板1に電子部品22を接合する。電子部品22は枠体2の下面に設けられた電子部品接続用パッド33の位置に例えば半田等の導電性の接続材34によって実装する。電子部品22の枠体2への実装は、枠体2と平板4とを接合した後に行なってもよいし、接合する前または撮像素子10を実装後に実装してもよい。また、電子部品22を実装後に、平板貫通孔5を絶縁性の樹脂等で封止してもよい。
【0067】
上記(1)〜(9)の工程によって、撮像素子実装用基板1が得られる。なお、上記(1)〜(9)の工程順番は必ずしもこの順に指定されるものではない。
【0068】
このようにして形成された撮像素子実装用基板1の撮像素子実装部11に撮像素子10を実装し、撮像装置21を作製することができる。
【0069】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態における撮像素子実装用基板1および撮像装置21について、
図3および
図4を参照しつつ説明する。
【0070】
図3および
図4は、本実施形態の断面図を示しており、
図3(a)は平板4の上面のうち電子部品22と重なる部位に、平板4の厚みよりも小さい深さの平板凹部6が設けられた構造の例を示している。また、
図3(b)は枠体2の下面のうち電子部品22が実装された部位に枠体凹部51が設けられている構造の例を示している。また、
図4は平板4に平板凹部6および枠体2に枠体凹部51が互いに重なるように設けられている構造の例を示している。
【0071】
本実施形態における撮像装置21において、第1の実施形態の撮像装置21と異なる点は、平板4の平板凹部6が、平板貫通孔5と違って、平板4の上面と下面とを貫通していない点である。なお、枠体凹部51は、枠体2の下面のうち電子部品22が実装された部位に、上方に凹んで設けられている。
【0072】
図3(a)に示す例では、枠体2の下面に電子部品22が設けられており、平板4の上面に開口部6aを有する平板凹部6が設けられている。また、
図3(b)に示す例では、枠体2の下面に開口部51aを有する枠体凹部51が設けられており、枠体凹部51の底面に電子部品22が設けられている。また、
図4に示す例では、枠体2の下面に枠体凹部51が設けられ、平板4の上面に平板凹部6が設けられている。
図3および
図4に示す例では、平板4の下面に開口部を有さない構造である。このように平板4の下面に開口部を有さないことによって、電子部品22の下面が平板4の下面よりも下方に位置する可能性を確実に低減させることができる。
【0073】
また、一般的に、平板4に平板4の上面と下面とを貫通する平板貫通孔5を設ける場合は、金型での打抜き等を行う。その際、平板4の下面に設けられる開口部には下面側に向かうバリまたは撓みが生じる可能性がある。この下面側に向かうバリまたは撓みの部分が外部筐体等と接することで、撮像素子実装用基板1に傾きが生じる可能性がある。よって、本構成のように、平板4の下面に開口部を有さないことによって、撮像素子実装用基板1が傾いて実装されることを効果的に低減させることができる。
【0074】
また、一般的に、近年、撮像素子実装用基板1は小型化している、また、チップコンデンサ等の電子部品22も小型化してきている。これらのことにより、複数の電子部品接続用パッド33同士の距離、電子部品接続用パッド33と平板4との距離および電子部品22と平板4との距離は小さくなってきている。そのため、電子部品22を収納する枠体2の下面と平板凹部6の内壁とに囲まれた領域に埃または水分等のダストが浸入すると、複数の電子部品接続用パッド33同士、電子部品接続用パッド33と平板4と、あるいは電子部品22と平板4とが短絡してしまう可能性があった。これに対して、本構成によると、平板4に設けられた平板凹部6が平板4の上面から下面まで貫通しておらず、平板4の下面に開口部を有さないため、上述したダストが浸入することを低減することができる。よって、複数の電子部品接続用パッド33同士、電子部品接続用パッド33と平板4と、あるいは電子部品22と平板4とが短絡することを低減することが可能となる。
【0075】
また、
図3(b)に示す例では、枠体2に枠体凹部51を設け、平板4は平板凹部6を有さない。そのため、平板4に平板貫通孔5または平板凹部6を設ける工程を削減することができ、平板貫通孔5または平板凹部5を設ける工程において平板4にかかるストレスを低減させることができる。よって、平板4の下面の平坦度を保つことができ、撮像素子実装用基板1の傾きを低減させることができる。また、平板4にかかるストレスを低減させることが可能となるため、平板4を薄型化することが可能となる。このことで、平板4が例えば金属材料から成る場合に、撮像素子10が作動したときの発熱を、外部筐体あるいは外部のヒートシンク等によってより多く放熱することが可能となる。
【0076】
また、
図3(b)に示す例のように、撮像装置21は枠体2の下面に設けられた撮像素子接続用パッド3に撮像素子10の上面の電極が金バンプ等から成る接続部材13によってフリップチップ実装されていてもよい。
【0077】
図4に示す例では、枠体2の下面に枠体凹部51を設け、平板4の上面に平板凹部6を設けている。なお、平板凹部6は、平板4の上面のうち枠体凹部51と重なる部位に設けられている。このように枠体2と平板4との両方に凹部を設け、その2つの凹部で挟まれた空間内に電子部品22を実装することで、例えば電子部品22の厚みが平板4または枠体2の1つの絶縁層よりも大きい場合でも収納することが可能となる。また、平板4および枠体2の厚みを小さくすることができるため、撮像素子実装用基板1の薄型化が可能となる。また、枠体2の各絶縁層を薄くすることができるため、各絶縁層に設けられた配線の電気特性の向上を図ることが可能となる。
【0078】
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態における撮像素子実装用基板1および撮像装置21について、
図5を参照しつつ説明する。なお、
図5の撮像装置21は蓋体12の図示を省略している。
【0079】
本実施形態における撮像装置21において、第2の実施形態の撮像装置21と異なる点は、断面視において枠体2の上面と下面とを貫通している枠体貫通孔51を有している点である。
【0080】
図5に示す例では、枠体2の下面に開口部52aを有する枠体貫通孔52が枠体2に設けられており、枠体貫通孔52は、枠体2の上面まで貫通している。本構成のように、枠体2の上面と下面とを貫通する枠体貫通孔52を設け、電子部品22はその枠体貫通孔52に収納され、下面側の開口部52aを有する枠体貫通孔52を塞ぐように平板4が設けられていると、電子部品22が平板4の下面から突出することを確実に低減することができ、撮像素子実装用基板1の傾きを低減させることができる。また平板4が枠体2の下面側を塞ぐように設けられていることで、電子部品22が枠体2の下面側に行き過ぎることを低減することができる。
【0081】
また、本構成のように、電子部品22と枠体2との電気的導通は電子部品22の側面と枠体2に設けられた枠体貫通孔52の側面とでとられていると、枠体2の厚みを電子部品22と同程度とすることが可能となり、撮像素子実装用基板1の更なる薄型化と電気特性の向上とが可能となる。
【0082】
(第4の実施形態)
次に、本発明の第4の実施形態における撮像素子実装用基板1および撮像装置21について、
図6を参照しつつ説明する。なお、
図6の撮像装置21は蓋体12を省略している。
【0083】
本実施形態における撮像装置21において、第3の実施形態の撮像装置21と異なる点は、枠体2の枠体貫通孔52と平板4の平板貫通孔5とを連続した孔として有している点である。なお、平板貫通孔5は、平板4の電子部品22と重なる部位に上下方向に貫通して設けられている。
【0084】
図6に示す例では、平板4の上面に開口部5aを有する平板貫通孔5が平板4に設けられており、平板貫通孔5は平板4の下面まで貫通しており、電子部品22は枠体2の平板貫通孔52に収納されている。枠体2の枠体貫通孔52と平板4の平板貫通孔5とを連続した孔として設け、電子部品22をその孔に収納することにより、枠体2または枠体2と平板4との合計の厚みを電子部品22の厚みよりも小さくすることが可能となる。よって、撮像素子実装用基板1をより薄型化することが可能となる。この場合には、電子部品22の下面は平板4の下面よりも上方に位置させて、電子部品22を枠体2の上側に突出させるように実装する。
【0085】
(第5の実施形態)
次に、本発明の第5の実施形態における撮像素子実装用基板1および撮像装置21について、
図7を参照しつつ説明する。
【0086】
本実施形態における撮像装置21において、第1の実施形態の撮像装置21と異なる点は、枠体2の下面にも枠体凹部51が設けられており、この枠体凹部51が封止材35によって封止されている点である。
【0087】
図7に示す例では、枠体2の下面側に設けられた枠体凹部51と、平板4の上面と下面とを貫通する平板貫通孔5とを有しており、枠体2の下面に設けられた枠体凹部51の底面に電子部品22が実装され、枠体2の枠体凹部51および平板4の平板貫通孔5が封止材35によって封止されている。これにより、埃や水分等のダストが浸入することを低減することができる。よって、複数の電子部品接続用パッド33同士、電子部品接続用パッド33と平板4と、あるいは電子部品22と平板4とが短絡することを低減することが可能となる。また、封止材35の下面は、平板4の下面よりも上方に位置しているのがよい。なお、封止材35は、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂から成る。
【0088】
また、
図7に示すように、枠体2に設けられた枠体凹部51の開口部51aと平板4に設けられた平板貫通孔5の開口部5aとでは、平板4に設けられた平板貫通孔5の開口部5aの方を大きくするとよい。これにより、枠体2と平板4とを接合する際に、枠体2と平板4とがずれても、電子部品22が実装できない、あるいは実装の際に電子部品22が斜めになって平板4の下面から飛び出てしまう可能性を低減することが可能となる。また、枠体2と平板4とで段差部を形成することができるので、封止材35で封止を行なう際に、余分な封止材35が段差部へ広がることで封止材35の下面が平板4の下面よりも下方に位置することを低減することができ、撮像素子実装用基板1の傾きを低減させることができる。
【0089】
なお、本発明は上述の実施形態の例に限定されるものではなく、数値などを変更してもよく、構成についても本質的でない部分についての種々の変形は可能である。また、例えば、
図1〜
図7に示す例では、枠体2の貫通孔2a(枠体2の内側)の形状は矩形状であるが、円形状やその他の多角形状であっても構わない。また、本実施形態における撮像素子接続用パッド3または電子部品接続用パッド33の配置、数、形状などは特に限定されない。また、本実施形態における各種凹部または貫通孔の配置、数、形状なども特に限定されない。