(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記1つ又は複数の半晶質ポリマーは、1つ又は複数の半晶質ポリアミドを含み、かつ前記1つ又は複数の第2の材料は、1つ又は複数の非晶質ポリアミドを含む、請求項1に記載の方法。
前記1つ又は複数の半晶質ポリマーは、1つ又は複数のポリアリールエーテルケトンを含み、かつ前記1つ又は複数の第2の材料は、1つ又は複数のポリエーテルイミドを含む、請求項1に記載の方法。
前記1つ又は複数の半晶質ポリマーは、1つ又は複数のベースモノマーから重合されたものであり、かつ前記1つ又は複数の第2の材料は、前記1つ又は複数のベースモノマーの異性体である1つ又は複数のモノマーから重合された1つ又は複数の第2の半晶質ポリマーを含む、請求項1に記載の方法。
前記1つ又は複数の半晶質ポリマー及び前記1つ又は複数の第2の半晶質ポリマーは、それぞれ、1つ又は複数のポリ乳酸ポリマー、1つ又は複数のポリエーテルケトンケトンポリマー、又は1つ又は複数のポリエステルを含む、請求項7に記載の方法。
前記1つ又は複数の半晶質ポリマーは、1つ又は複数の半晶質ポリアミドを含み、かつ前記1つ又は複数の非晶質ポリマーは、1つ又は複数の非晶質ポリアミドを含む、請求項9に記載の方法。
プリントされた三次元パーツのパーツ材について予め決められた結晶化度レベルに達するように前記アニーリング温度を選択することを更に含む、請求項8に記載の方法。
前記1つ又は複数の半晶質ポリマーは、1つ又は複数の半晶質ポリアミドを含み、かつ前記1つ又は複数の非晶質ポリマーは、1つ又は複数の非晶質ポリアミドを含む、請求項15に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本開示は、3Dパーツを層ごとに、好ましい一実施形態においては1つ又は複数の半晶質ポリマーと該半晶質ポリマー(複数の場合もあり)の結晶化を遅延させる1つ又は複数の第2の材料、例えば上記半晶質ポリマー(複数の場合もあり)と少なくとも部分的に混和性の1つ又は複数の非晶質ポリマーとのブレンドを組成的に含むパーツ材からプリントするための積層造形法に関する。特に、上記方法は、溶融された状態から冷却するときに、プリントされたパーツ材の結晶化度率を最小化するか、又は他には低下させるように、上記半晶質ポリマー(複数の場合もあり)の結晶化速度を制御することを伴う一方で、また押出物−パーツ界面で分子レプテーションを引き起こすのに十分な結晶化発熱エネルギーを生成させることも伴う。
【0023】
以下に論じられるように、パーツ材の結晶化速度が制御される様式は、使用される積層造形技法、例えば押出方式の積層造形技法、電子写真方式の積層造形技法、又は選択的レーザー焼結技法に応じて変わり得る。これらの違いは、主として、プリントされた層が所定の積層造形技法の場合に典型的に保持される熱的状態の違いによるものである。したがって、以下の議論は、まず押出方式の積層造形システムにおける結晶化速度の制御に着目しており、引き続き電子写真方式の積層造形システム及び選択的レーザー焼結システムにおいて使用するための応用を論じることとする。
【0024】
押出方式の積層造形システムは、典型的には、3Dパーツを非晶質ポリマー材料、例えばアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)樹脂及びポリカーボネート樹脂からプリントするか、又は他には造形する。プリント作業の間に、上記非晶質ポリマー材料は溶融され、一連のロード(roads)として押出され、それが冷えることで、3Dパーツの層が形成される。該プリントの層ごとの性質のため、それぞれの逐次的な層の冷却は、該3Dパーツに残留応力を生じさせ、その残留応力は、該材料の熱膨張率と、収縮率と、引張弾性率との関数である。解放されないと、残留応力は、例えば3Dパーツの縁部及び角部に反り返し(「カール」又は「カーリング」と呼ばれる)を引き起こすことによって該3Dパーツを物理的に歪ませることがある。
【0025】
非晶質ポリマー材料は、その固体状態ではそのポリマー鎖の規則的配置をほとんど有さないか、又は全く有さない。したがって、これらの材料は、部分的に残留応力を解放するように制御することができるガラス転移効果を示す。例えばBatchelderによる米国特許第5,866,058号に開示されるように、非晶質ポリマー材料は、該材料の固化温度とガラス転移温度との間の温度に保持された加熱されたチャンバ(又は少なくとも局所加熱堆積領域)中に堆積され得る。これは、逐次プリントされたプリント層をアニールし、これらを冷やして、ゆっくりと固化させることで、残留応力は部分的に解放することができる。
【0026】
しかしながら、半晶質ポリマー材料は、非晶質ポリマー材料とは異なる機械的特性及び熱的特性を有する。例えば、それらの達成可能な結晶化度のため、半晶質ポリマー材料でプリントされた3Dパーツは、非晶質ポリマー材料でプリントされた3Dパーツと比較して優れた機械的特性を示すことがある。しかしながら、それらのより高いレベルの達成可能な結晶化度のため、半晶質ポリマー材料は、固化に際して断続的な体積変化を示すことがある。したがって、半晶質ポリマー材料の層は、堆積されると縮小及び収縮することがあり、それにより残留応力が蓄積していく。
【0027】
比較的広いアニーリングウィンドウを有し得る非晶質ポリマー材料と比較して、半晶質ポリマーをアニーリングするのに適した温度ウィンドウを保持するのは、特に押出方式の積層造形システムでは従来においては困難であった。例えば、ポリマーを、該ウィンドウを上回って保持するとカールが生ずることとなると同様に、該ウィンドウを下回ってもカールが生ずることとなる。この小さい温度ウィンドウ外のあらゆる変動は、上記温度ウィンドウを上回るか又は下回ると、断続的な体積変化、例えばカールを伴って固化を引き起こすこととなる。断続的な体積変化は、プリントされた3Dパーツ又はサポート構造が、下にある非収縮性の造形シートに結合される押出方式の積層造形システムの場合には特に問題となることがある。さらに、冷却過程で十分な結晶化度が生じないと垂れ下がりが生ずることがある。これらの状況のどれも、プリントされた3Dパーツの歪みをもたらすことがある。したがって、半晶質ポリマーから、押出方式の積層造形システムを使用して寸法的に安定な3Dパーツであって、冷却過程で形成される結晶化度の量が、3Dパーツが垂れ下がらずに、該3Dパーツが反るであろう反り力さえも引き起こさないほど十分である、3Dパーツをプリントするのは困難であった。
【0028】
しかしながら、以下に論じられるように、特定のパーツ材の結晶化速度は、押出方式の積層造形システムにおいて、半晶質ポリマー材料と同様の機械的特性(例えば強度及び延性)を有する3Dパーツをプリントするように制御することができる一方で、積層造形システムの加熱されたチャンバ(又は少なくとも局所加熱された堆積領域)においてアニーリングすることができ、こうして残留応力は部分的に解放される。
【0029】
図1〜
図3は、以下に論じられるように結晶化速度を制御する様式において、本明細書で論じられるパーツ材のブレンドから3Dパーツをプリントするか、又は他には造形するための押出方式の積層造形システムの一例であるシステム10を図解している。システム10に適した押出方式の積層造形システムは、Stratasys, Inc.(エデンプレイリー、ミネソタ州)によって商品名「FDM」として開発された溶融堆積モデリングシステムを含む。
【0030】
図1に示されるように、システム10は、チャンバ12、プラテン14、プラテンガントリ16、プリントヘッド18、ヘッドガントリ20、及び消耗品アセンブリ22及び24を含んでよい。チャンバ12は、3Dパーツ及びサポート構造のプリントのためのプラテン14を含む閉鎖型の造形環境の一例であり、その際、チャンバ12は、場合により省略されてよく、及び/又は他の種類の造形環境と置き換えられていてよい。例えば、3Dパーツ及びサポート構造は、大気条件に開放している造形環境中か、又は代替構造(例えばフレキシブルなカーテン)で閉鎖されていてよい造形環境中で造形され得る。
【0031】
示された例においては、チャンバ12の内側部は、パーツ材及びサポート材が押出及び堆積の後に固化する速度を下げるために(例えば歪み及びカーリングを減らすために)ヒーター12hで加熱されていてよい。ヒーター12hは、チャンバ12の内側部を、例えば輻射加熱によって、及び/又は加熱された空気若しくは他のガス(例えば不活性ガス)を循環させることによって加熱するのに適した任意のデバイス又はアセンブリであってよい。代替的な実施形態においては、ヒーター12hは、他のコンディショニング装置、例えば冷却空気又は他のガスを生成及び循環させる冷却ユニットと置き換えることもできる。造形環境のための具体的な熱的条件は、使用される具体的な消耗品の材料に応じて変化し得る。
【0032】
更なる実施形態においては、上記加熱は、チャンバ12全体よりもむしろ局在化して行うことができる。例えば、堆積領域は、局所的に加熱され得る。堆積領域の局所加熱のための技法例は、加熱プラテン14の加熱を含み、及び/又はプラテン14及び/又はプリントされた3Dパーツ/サポート構造に対して熱気ジェットを当てることを含む。先に論じた通り、チャンバ12中及び/又は局所的な堆積領域中での加熱は、3Dパーツ(及びサポート構造)のプリントされた層をアニールすることで残留応力を部分的に解放し、それにより該3Dパーツのカーリングは減らされる。
【0033】
プラテン14は、3Dパーツ及びサポート構造が層ごとにプリントされるプラットフォームである。幾つかの実施形態においては、プラテン14は、3Dパーツ及びサポート構造が上にプリントされるフレキシブルなポリマーフィルム又はライナーを含んでもよい。示される例においては、プリントヘッド18は、プラテン14上に3Dパーツ30及びサポート構造32をプリントするために、消耗品集成体22及び24から(例えばガイドチューブ26及び28を介して)消耗品フィラメントを受け止めるように構成されたデュアルチップ型押出ヘッドである。消耗品集成体22は、パーツ材から3Dパーツ30をプリントするためにパーツ材の供給部を含んでよい。消耗品集成体24は、所定のサポート材からサポート構造32をプリントするためのサポート材の供給部を含んでよい。
【0034】
プラテン14は、プラテンガントリ16によって支持されている。そのプラテンガントリ16は、プラテン14を垂直のz軸に沿って(又は実質的に沿って)動かすように構成されたガントリアセンブリである。したがって、プリントヘッド18は、ヘッドガントリ20によって支持されている。そのヘッドガントリ20は、プリントヘッド18をチャンバ12上の水平なx−y平面において(又は実質的にその平面において)動かすように構成されたガントリアセンブリである。
【0035】
代替的な一実施形態においては、プラテン14は、チャンバ12内で水平なx−y平面において移動するように構成されていてよく、かつプリントヘッド18は、z軸に沿って移動するように構成されていてよい。他の類似の装置を、プラテン14及びプリントヘッド18の一方又は両方が互いに対して可動であるように使用することもできる。プラテン14及びプリントヘッド18は、異なる軸に沿って配向されていてもよい。例えば、プラテン14は垂直に配向されていてよく、かつプリントヘッド18は、x軸又はy軸に沿って3Dパーツ30及びサポート構造32をプリントすることができる。
【0036】
また、システム10は、制御装置34を含み、該制御装置34は、システム10の構成装置を監視及び操作するように構成された1つ又は複数の制御回路である。例えば、制御装置34によって発揮されるそれらの制御機能の1つ又は複数は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア等又はそれらの組合せにおいて実装することができる。制御装置34は、通信線36を通じてチャンバ12(例えばチャンバ12)用の加熱ユニット、プリントヘッド18、そして様々なセンサ、較正デバイス、ディスプレイデバイス、及び/又はユーザ入力デバイスと通信することができる。
【0037】
幾つかの実施形態においては、制御装置34は、プラテン14、プラテンガントリ16、ヘッドガントリ20、及びシステム10の任意の他の適切な構成装置の1つ又は複数と通信することもできる。単独の信号線として図解されているが、通信線36は、1つ又は複数の電気的、光学的、及び/又はワイヤレスの信号線を含んでよく、こうして制御装置34はシステム10の様々な構成装置と通信可能となる。さらに、システム10の外側に図解されているが、制御装置34及び通信線36は、システム10に対する内部構成装置であってよい。
【0038】
システム10及び/又は制御装置34は、コンピュータ38とも通信することができ、上記コンピュータ38は、システム10及び/又は制御装置34と通信する1つ又は複数のコンピュータ式のシステムであるとともにシステム10とは別個であってよく、又はその一方で、システム10の内部構成装置であってよい。コンピュータ38は、ツールパス及び関連のプリント命令を生成して記憶するために、コンピュータ式のハードウェア、例えばデータ記憶デバイス、プロセッサ、メモリモジュール等を含む。コンピュータ38は、プリント作業を実行するために、これらの命令をシステム10(例えば制御装置34)へと伝えることができる。制御装置34及びコンピュータ38は、まとめて、システム10用の制御装置アセンブリと呼ぶことができる。
【0039】
図2は、Leavittによる米国特許第7,625,200号に記載されるようなプリントヘッド18に適したデバイスを図解している。プリントヘッド18に適したデバイス及びプリントヘッド18とヘッドガントリ20との間の接続の追加の例には、Crumpらによる米国特許第5,503,785号、Swansonらによる米国特許第6,004,124号、LaBossiereらによる米国特許第7,384,255号及び同第7,604,470号、Batchelderらによる米国特許第7,896,209号、並びにCombらによる米国特許第8,153,182号に開示されるものが含まれる。プリントヘッド18が互換型の単一ノズル型プリントヘッドである追加の実施形態においては、それぞれのプリントヘッド18に適したデバイス及びプリントヘッド18とヘッドガントリ20との間の接続の例には、Swansonらによる米国特許出願公開第2012/0164256号に開示されるものが含まれる。
【0040】
示されているデュアルチップ型の実施形態において、プリントヘッド18は、2つの駆動機構40及び42と、2つの液化アセンブリ44及び46と、2つのノズル48及び50とを含む。この実施形態においては、上記パーツ材及びサポート材のそれぞれは、好ましくはプリントヘッド18で使用するためのフィラメント形状を有する。例えば、
図3に最も良く示されているように、該パーツ材は、フィラメント52として提供され得る。代替的な実施形態においては、本開示のパーツ材は、Bosveldらによる米国特許出願公開第2013/0333798号に開示されるようなオーガポンプ式プリントヘッドで使用するために粉末形又はペレット形で提供されてよい。
【0041】
作業中に、制御装置34は、駆動機構40のホイール54を、連続セグメントフィラメント52を消耗品集成体22から(ガイドチューブ26を介して)選択的に引き出すとともに、フィラメント52を液化アセンブリ44へと供給するように命令し得る。液化アセンブリ44は、液化チューブ56と、サーマルブロック58と、熱シールド60と、チップシールド62とを含んでよく、ここで液化チューブ56は、供給されたフィラメント52を受け止めるための入口端部64を含む。したがって、ノズル48とチップシールド62とは、液化チューブ56の出口端部66に固定されており、液化チューブ56は、サーマルブロック58及び熱シールド60を通じて延びている。
【0042】
液化アセンブリ44はその活動状態にある一方で、サーマルブロック58は液化チューブ56を加熱して加熱域68を画定する。液化チューブ56の加熱域68での加熱は、フィラメント52のパーツ材を液化チューブ56中で溶融させて、溶融物70を形成する。液化チューブ56の加熱域68の上にある上方領域(遷移域72と呼ばれる)は、サーマルブロック58によって直接的に加熱されない。これにより、液化チューブ56の長手方向長さに沿って熱勾配又は熱プロファイルが生ずる。
【0043】
上記パーツ材の溶融分(すなわち溶融物70)は、フィラメント52の未溶融分の周りにメニスカス74を形成する。溶融物70のノズル48を通じた押出の間に、フィラメント52の下向きの動きは、粘性ポンプとして機能することで、溶融物70のパーツ材をノズル48から押出されたロードとして押出して、3Dパーツ30は層ごとにプリントされる。サーマルブロック58は液化チューブ56を加熱域68で加熱する一方で、冷却空気を、マニホルド76を通じて液化チューブ56の入口端部64に向けて、矢印78によって示されるように吹き付けてもよい。熱シールド60は、空気流を入口端部64へと向けることを助ける。冷却空気は、液化チューブ56の入口端部64での温度を下げ、それにより、フィラメント52が遷移域72で軟化又は溶融することが抑えられる。
【0044】
幾つかの実施形態においては、制御装置34は、液化アセンブリ44及び46を活動状態と待機状態という反対の状態の間でサーボ制御又はスワップ制御することができる。例えば、液化アセンブリ46は、サポート材を押出してサポート構造32の層をプリントするために、その活動状態へとサーボ制御されるが、その一方で、液化アセンブリ44は、パーツ材が液化アセンブリ46の使用中に押出されることを防ぐために待機状態へと切り替えられる。サポート材の所定の層が仕上がった後に、その際制御装置34は、液化アセンブリ46をその待機状態へとサーボ制御し、そして液化アセンブリ44を、上記パーツ材を押出して3Dパーツ30の層をプリントするためにその活動状態へと切り替える。このサーボ制御プロセスは、それぞれプリントされる層について、3Dパーツ30及びサポート構造32が仕上がるまで繰り返すことができる。
【0045】
液化アセンブリ46は、サポート材フィラメントからサポート構造32をプリントするためにその活動状態にあるが、その一方で、駆動機構42、液化アセンブリ46及びノズル50(それぞれ
図2に示されている)は、サポート材の押出のための駆動機構40、液化アセンブリ44及びノズル48と同様に作動し得る。特に、駆動機構40は、サポート材フィラメントの連続セグメントを、消耗品集成体24から(ガイドチューブ28を介して)引き出すことができるとともに、該サポート材フィラメントを液化アセンブリ46へと供給し得る。液化アセンブリ46は、受け止められたサポート材フィラメントの連続セグメントを、それが溶融されたサポート材となるまで熱により溶融する。次いで溶融されたサポート材を、ノズル50から一連のロードとして、サポート構造32のプリントのためのプラテン14上に層ごとに3Dパーツ30のプリントと協調して押出及び堆積させることができる。
【0046】
上述のように、上記パーツ材は、組成的に、1つ又は複数の半晶質ポリマーと、該半晶質ポリマー(複数の場合もあり)の結晶化を遅延させる1つ又は複数の第2の材料とのブレンドを含む。好ましくは、上記第2の材料(複数の場合もあり)は、上記半晶質ポリマー(複数の場合もあり)と少なくとも部分的に混和性である1つ又は複数の非晶質ポリマーを含む。上記パーツ材が半晶質ポリマー(複数の場合もあり)の結晶化を遅延させるために他の晶質でないポリマー(複数の場合もあり)を代わりに含んでよいという理解のもとに、上記第2の材料(複数の場合もあり)を非晶質ポリマー(複数の場合もあり)として参照して以下の議論がなされる。それでもなお、非晶質ポリマー(複数の場合もあり)は、該ポリマーがパーツ材に対して追加の所望の特性も提供することができるため好ましい。
【0047】
より好ましくは、上記半晶質ポリマー(複数の場合もあり)及び上記非晶質ポリマー(複数の場合もあり)は、実質的に互いに混和性である。その実質的に混和性のブレンドは、上記半晶質ポリマー(複数の場合もあり)及び上記非晶質ポリマー(複数の場合もあり)の共連続相を示してよく、又はより好ましくは上記半晶質ポリマー(複数の場合もあり)及び上記非晶質ポリマー(複数の場合もあり)の単独の連続相を示してよい。理論に縛られることを望むものではないが、この混和性は、上記非晶質ポリマー(複数の場合もあり)が、上記半晶質ポリマー(複数の場合もあり)を晶質領域の形成から物理的に妨げることを可能にし、したがって結晶化を遅延させると考えられている。
【0048】
幾つかの実施形態においては、上記パーツ材の非晶質ポリマー(複数の場合もあり)は、ASTM D3418−08に準じて示差走査熱量測定(DSC)を使用して実質的に測定不可能な融点(5カロリー/グラム未満)を有する。相応して、これらの実施形態においては、上記パーツ材の半晶質ポリマー(複数の場合もあり)は、ASTM D3418−08に準じてDSCを使用して測定可能な融点(5カロリー/グラム以上)を有する。以下に論じられるように、上記パーツ材は、場合により、ブレンド中に分散された1つ又は複数の添加剤を含んでもよい。
【0049】
図4は、1つ又は複数の半晶質ポリマーと1つ又は複数の非晶質ポリマーとの実質的に混和性のブレンドを有する本開示の例示的なパーツ材についてのDSCプロットを図解している。
図4中のDSCプロットは、パーツ材が示し得る様々な熱的遷移を示している。例えば初期の加熱段階の間には、例えばパーツ材が液化アセンブリ44中で溶融されたときには、上記パーツ材は、ガラス転移温度T
g、冷結晶化温度T
c,cold及び溶融温度T
mを伴う加熱プロファイル80を生じ得る。ガラス転移温度T
gは、パーツ材が二次転移を受けてその熱容量の増大に至った曲線80に沿った点を指す。
【0050】
幾つかの実施形態においては、上記半晶質コポリマー又はブレンドは、本質的に、実質的な混和性又は完全な混和性を示す半晶質ポリマーからなってよい。このことは、(i)1つ又は複数のベースモノマーと、(ii)かなり高い割合の、合成において通常使用される上記ベースモノマー(複数の場合もあり)の構造異性体又は光学異性体である1つ又は複数のモノマーとを使用して合成される密接に関連したポリマーの場合に該当し得る。他の選択肢は、関連のない追加のモノマーが、特定の一定速度での加熱又は冷却の間に測定される、ガラス転移温度、結晶化温度、再結晶化温度、融点、及び/又は融解エンタルピーを実質的に変更するのに十分な量で添加されることを含む。
【0051】
これらの実施形態に適した幾つかの技法の例は、ポリ−DL−ラクチドに至るために、最終ポリ乳酸ポリマー中に導入されるd−ラクチド及びl−ラクチドのレベルを制御することを含む。そのDLポリ乳酸コポリマーは、よりゆっくりとした結晶化速度を有し、完全に非晶質ポリマーの特性さえも示すことがある。
【0052】
もう一つの有用な例は、ポリエーテルケトンケトン(PEKK)を含む。結晶化度、融点、融解エンタルピー、結晶化速度、そしてガラス転移温度さえも、コポリマー主鎖中のテレフタル酸部対イソフタル酸部の比率の増加に伴って低下することが分かっている。PEKKにおいて、高度に晶質の挙動から実際に非晶質の挙動までの観察される範囲は、約80/20から約60/40までのテレフタル酸部対イソフタル酸部で観察される。
【0053】
第3の有用な例は、ポリエステル、特にポリ(エチレンテレフタレート)ポリマーをベースとするポリエステルの合成を含む。この場合に、先にPEKKについて論じられたように結晶化度及び結晶化挙動において同様の調整を与えるために、幾らかのイソフタル酸部をテレフタル酸部の代わりに使用することができる。追加的に、例えば類似の効果を達成するために、1つ又は複数のグリコールを、1つ又は複数のエチレングリコール、プロピレングリコール、及び/又はブチレングリコール、例えばシクロヘキサンジメタノールと交換することができる。
【0054】
冷結晶化温度T
c,coldは、典型的には、ガラス転移温度T
gを超過した後にポリマー分子の移動度が高まり、半晶質ポリマー(複数の場合もあり)の一部が晶質領域を形成可能となることから生ずる。結晶化は発熱過程であるので、加熱プロファイル80における逆さまのピークによって説明されるように、一次転移を基礎とする熱エネルギーが放出される。
【0055】
溶融温度T
mは、パーツ材がまた一次転移に基づき完全に液化する温度である。典型的には、上記パーツ材は、押出のための液化アセンブリ44において素早く加熱され、その溶融温度T
mを通過する。したがって、上記過程におけるこの時点の間に、ガラス転移温度T
g及び冷結晶化温度T
c,coldは、液化アセンブリ44においてメルトフロー及び温度を制御する側面の可能性以外は、押出物の結晶化状態に対して過度な関連性を有さない。
【0056】
また、
図4中のDSCプロットは、冷却プロファイル82を含み、該冷却プロファイル82は、熱結晶化温度T
c,hotを図解し、そして溶融温度T
mから冷えるときのパーツ材の結晶化速度を説明している。例えば、ノズル48から押出された後に、押出されたパーツ材は、3Dパーツ30の事前に形成された層上にロードとして堆積し、そして冷え始める。言い換えると、該パーツ材は、3Dパーツ30がプリントされる場所(例えばチャンバ12中)の環境温度だけでなく、該パーツ材の特定の組成及び3Dパーツ30のサイズに依存する冷却速度で、冷却プロファイル82をたどり始める。
【0057】
好ましくは、3Dパーツ30の層は、パーツ材の固化温度と冷結晶化温度T
c,coldとの間の温度で維持されたチャンバ12(又は少なくとも局所加熱された堆積領域)中でプリントされる。これは、逐次プリントされたプリント層をアニールすることができ、これらを冷やして、ゆっくりと固化させることで、残留応力は部分的に解放することができる。
【0058】
幾つかの実施形態においては、チャンバ12又は局所加熱された堆積領域は、パーツ材の固化温度とガラス転移温度T
gとの間の温度で維持される。これらの実施形態は、低いレベルの晶質領域を有するパーツ材に適しており、その際、該晶質領域は、より高い温度ではスランピングさせずにプリントされた層を支持することができない。
【0059】
その一方で、他の実施形態においては、チャンバ12又は局所加熱された堆積領域は、ほぼパーツ材のガラス転移温度T
gの下限値と、パーツ材の冷結晶化温度T
c,cold未満の上限値を有するアニーリングウィンドウ84の範囲内の温度で維持される。特に、アニーリングウィンドウ84は、好ましくは、DSC加熱曲線80のプラトー領域86を含み、上記プラトー領域86は、ガラス転移温度T
gについての上昇する傾きの上にあるとともに、冷結晶化温度T
c,coldについての下降する傾きの下にある。これらの実施形態は、パーツ材のガラス転移温度T
gより高く保たれているにもかかわらず、プリントされた層をスランピングさせずに支持するのに十分な晶質領域を有するパーツ材に適している。
【0060】
更なる実施形態においては、例えば低温材料(例えば周囲温度に近いガラス転移温度を有する材料)で使用する場合には、チャンバ12は省略することができ、そしてパーツ材は室温(例えば25℃)でプリントすることができる。アニーリング温度にかかわらず、パーツ材にとっての実質的に混和性のブレンドは、そのパーツ材のガラス転移温度T
gを、典型的にはフローリーフォックスの式を通じて非晶質ポリマー(複数の場合もあり)のガラス転移温度T
gから変更することが判明した。上記実質的に混和性のブレンドは、パーツ材の熱結晶化温度T
c,hotを、純粋な半晶質ポリマー(複数の場合もあり)の熱結晶化温度T
c,hotから低下させることもある。このことは、冷却に際してのパーツ材についての結晶化の蓄積量を低減することができ、したがってこれによりパーツ材のプリントされた層が低いレベルの結晶化度を有することを可能にするという独特な利点を提供する。
【0061】
特に、ノズル48から押出及び堆積されているときに、パーツ材は、好ましくは、その熱結晶化温度T
c,hotを通過して該パーツ材の冷結晶化温度T
c,coldより低いそのアニーリング温度にまで(例えばアニーリングウィンドウ84の範囲内に)素早く冷却される。これは、パーツ材をその冷結晶化温度T
c,cold未満に効率的に過冷却する。
【0062】
結晶化度のレベルは、使用される特定のアニーリング温度に基づき制御することができることが判明した。例えば、より非晶質の特性が望まれる場合には、アニーリング温度は、パーツ材のガラス転移温度T
gの約5℃以内に定められる見込みであってよい。その一方で、より晶質の特性が望まれる場合には、アニーリング温度は、パーツ材の冷結晶化温度T
c,coldの5℃以内に定められる見込みであってよい。さらに、任意の中間的な非晶質−晶質の様々な種類は、アニーリングウィンドウ84の範囲内で選択された温度にアニーリング温度を維持することによって達成され得る。
【0063】
非晶質ポリマー(複数の場合もあり)の導入は、また、上記半晶質ポリマー(複数の場合もあり)が、一緒になって規則的配置で集合して晶質領域を形成することを物理的に妨げることも助ける。したがって、該パーツ材はその溶融温度T
mから素早く冷却するため、その熱結晶化温度T
c,hotとその冷結晶化温度T
c,coldとの間の領域の短い滞留時間は、結晶化の妨害と組み合わさって、該パーツ材における晶質領域の形成を好ましくは最小限にするか、又は他にはそれを低減する。
【0064】
例えば、所定の純粋な半晶質ポリマー(すなわちブレンドではない)が、その熱結晶化温度T
c,hotとその冷結晶化温度T
c,coldとの間の領域において約3秒でその十二分な程度にまで結晶化することができる場合と、この領域で約1秒間にわたり留まるように素早く冷却する場合に、上記所定の純粋な半晶質ポリマーは、達成可能な晶質領域の約1/3を形成し得る。比較において、上記パーツ材ブレンドの結晶化の妨害は、完全に結晶化するのに必要な時間の10倍から20倍を上回る増加を必要とすることがある。したがって、パーツ材がその熱結晶化温度T
c,hotとその冷結晶化温度T
c,coldとの間の上記領域において約1秒間にわたり留まる場合に、該パーツ材は、その完全に達成可能な結晶化度の、例えば約1%〜3%を形成できるにすぎないことがある。事実、過冷却されたパーツ材は、半透明で、実質的に不透明ではない外観を示すことが観察された。これは、結晶化度がかなり遅延されたことの証である。それというのも、晶質領域は、典型的には押出された層の屈折率をそれらに不透明性を与えるように変更するからである。
【0065】
相応して、最小化された又は低減された結晶化は、半晶質ポリマー(複数の場合もあり)の断続的な体積変化を減らし、それによりプリントされた層における残留応力が減らされる。さらに、該プリントされた層をアニーリング温度で(例えばアニーリングウィンドウ84の範囲内で)保持すると、逐次プリントされたプリント層もアニーリングされ、こうして該層を冷やして、ゆっくりと固化させることが可能となり、それにより典型的に非晶質の材料と関連する残留応力を解放することができる。
【0066】
言い換えると、上記パーツ材は、好ましくは、その押出温度から下がってアニーリングウィンドウ84中のアニーリング温度にまで素早く過冷却され、次いでアニーリングウィンドウ84の範囲内で適切な時間にわたり保持されて、残留応力が解放される。その後に、パーツ材のプリントされた層は、更に冷却されてよい(例えばそのガラス転移温度T
g及び/又はその固化温度より低く)。
【0067】
本開示のパーツ材のもう一つの興味深い特性は、最小化された又は低減された結晶化度にもかかわらず、過冷却の間に生ずる結晶化が、押出物−パーツの界面に極度の又は高められた分子レプテーションを引き起こすのに十分な熱量を生成することである。言い換えると、限られた結晶化−発熱反応の間に生成される熱は、押出物−パーツの界面にあるポリマー分子を動かし、高度に絡み合わせることを可能にする。押出されたロードの融解熱のため、押出されたパーツ材の温度崩壊の速度は変化することがあり、より遅い速度で冷えることが観察された。例えば、内部の走査パターンにおいて、これは界面温度上昇をもたらすことがあり、こうして押出されたパーツ材がチャンバ12中でアニーリング温度にまで冷却される前に、走査されたロードが互いに接触している限りはX−Y造形平面により良好なレプテーションが引き起こされる。したがって、これは、プリントされた3Dパーツ30の強度を、層内x−y方向と、また層間z方向の両方において高める。結果として、3Dパーツ30は、半晶質ポリマー(複数の場合もあり)と同様の機械的特性(例えば強度及び延性)を有し得る。
【0068】
プリント作業が完了したら、その後に3Dパーツ30は室温にまで冷却されてよく、場合により1つ又は複数のプリント後プロセスが行われてよい。その一方で、3Dパーツ30は、プリント後結晶化工程で再加熱することができる。この工程において、3Dパーツ30は、ほぼその冷結晶化温度T
c,coldにまで、半晶質ポリマー(複数の場合もあり)の更なる結晶化を引き起こすのに十分な時間にわたり加熱することができる。プリント後結晶化工程における適切なアニーリング時間の例は、約30分から3時間までの範囲であり、それはそれぞれの3Dパーツ30の寸法及びパーツ材の組成に応じて変化し得る。相応して、プリント後結晶化工程における適切なアニーリング温度の例は、パーツ材のほぼ冷結晶化温度T
c,coldから、その冷結晶化温度T
c,coldより約10℃高い範囲までの範囲であり、より好ましくはその冷結晶化温度T
c,coldより約5℃高い範囲までの範囲である。
【0069】
プリント後結晶化工程は、晶質領域の形成の増大により、3Dパーツ30の機械的特性、熱的特性、及び耐化学的特性を更に高めることができる。さらに、このプリント後結晶化工程は、3Dパーツ30に対して、層が個別にプリントされているときではなく、全体として実施される(すなわちコングルエント結晶化)。したがって、3Dパーツ30における晶質領域の形成からのいかなる潜在的な収縮も、カーリング効果を生じてしまう層ごとの場合と異なって、射出成形法での効果と同様に均一に生ずる。プリント後結晶化工程でのもう一つの重要な特徴は、3Dパーツ30が好ましくはプラテン14から(例えばプラテン14の造形シートから)外れることであり、こうして、3Dパーツ30は、非収縮性の造形シートによって決して制限されることなく更に結晶化することが可能となる。
【0070】
上述のように、半透明で、実質的に不透明でない外観を有する3Dパーツ30は、結晶化度がプリント作業の間に遅延されたということの証である。同様に、その半透明で、実質的に不透明でない外観から不透明の外観への変換は、3Dパーツ30のパーツ材が、プリント後結晶化工程において明らかな結晶化を受けたことの証である。プリント後結晶化工程が完了した後に、得られた3Dパーツ30はその後に室温にまで冷却されてよく、場合により1つ又は複数のプリント後プロセスが行われてよい。
【0071】
プリント後結晶化工程は、システム10のチャンバ12中で、又は代替的に別個のアニーリングオーブン中で実施することができる。別個のアニーリングオーブンは、多くの状況において、例えばサポート構造32をプリント後アニーリング工程の前に除去する必要がある場合に、及び/又はシステム10を後続のプリント作業のために使用する必要がある場合に好ましいことがある。例えば、複数システム10のプリントファームは、システム10の使用率を最大にするために1つ又は複数の別個のアニーリングオーブンと協調して作業することができる。
【0072】
パーツ材の結晶化速度の上記の制御は、該パーツ材が1つ又は複数の半晶質ポリマーと、1つ又は複数の第2の材料、好ましくは上記半晶質ポリマー(複数の場合もあり)の結晶化を遅延させるとともに、上記半晶質ポリマー(複数の場合もあり)と少なくとも部分的に混和性である(又はより好ましくは実質的に混和性である)非晶質ポリマー(複数の場合もあり)とのブレンドを有することを必要とする。
【0073】
好ましくは、上記ブレンドにおける、上記半晶質ポリマー(複数の場合もあり)及び上記第2の材料(複数の場合もあり)は、均質にブレンドされた個別の化合物(例えば個別のポリマー)である。しかしながら、代替的な(又は追加的な)実施形態においては、パーツ材は、上記半晶質ポリマー(複数の場合もあり)に相当する鎖セグメントと上記第2の材料(複数の場合もあり)に相当する鎖セグメントとを有する1つ又は複数のコポリマーを含んでよく、その際、上記第2の材料(複数の場合もあり)の鎖セグメントは、上記半晶質ポリマー材料(複数の場合もあり)の鎖セグメントの結晶化を遅延させる。
【0074】
第1の実施形態においては、上記パーツ材は、組成的に、1つ又は複数の半晶質ポリアミドと、1つ又は複数の非晶質ポリアミドとのポリアミドブレンドであって、場合により該ポリアミドブレンド中に1つ又は複数の添加剤が分散されている、ポリアミドブレンドを含むポリアミドパーツ材である。上記半晶質ポリアミド(複数の場合もあり)は、カプロラクタム、ジアミンとジカルボン酸を含むモノマーとの組合せ、及びそれらの混合物を含むモノマーから得られるポリアミドのホモポリマー及びコポリマーを含んでよい。上記ジアミンモノマー及びジカルボン酸モノマーは、それぞれ好ましくは脂肪族モノマーであり、より好ましくはそれぞれ非環式の脂肪族モノマーである。
【0075】
しかしながら、他の実施形態においては、上記ジアミンモノマー及び/又はジカルボン酸モノマーは、晶質ドメインを維持したうえで芳香族基又は脂環式基を含んでよい。さらに、幾つかの実施形態においては、上記半晶質ポリアミド(複数の場合もあり)は、以下に論じられるように、グラフトされたペンダント鎖において環式基(例えばマレエート化基)を含んでよい。上記半晶質ポリアミド(複数の場合もあり)に好ましいポリアミドのホモポリマー及びコポリマーは、以下の構造式:
(式中、R
1、R
2及びR
3は、それぞれ炭素数3〜12の炭化水素鎖であってよい)によって表すことができる。R
1、R
2及びR
3についての炭化水素鎖は、分岐されていても(例えば小さいアルキル基、例えばメチル基を有する)、又は非分岐であってもよく、それらは好ましくは脂肪族で非環式の飽和炭化水素鎖である。
【0076】
本明細書で使用される場合に、ポリマー構造式における繰返単位記号「n」への言及は、括弧付けされた式が、n個の単位にわたり繰り返すことを意味し、その際、nは、所定のポリマーの分子量に応じて変化し得る整数である。さらに、括弧付けされた式の特定の構造は、繰返単位間で同じであるか(すなわちホモポリマー)、又は繰返単位間で変化してよい(すなわちコポリマー)。例えば、上述の式1において、R
1は、ホモポリマーを得るためにはそれぞれの繰返単位について同じ構造であってよく、又は交互コポリマーの様式で、ランダムコポリマーの様式で、ブロックコポリマーの様式で、グラフトコポリマーの様式で(以下に論じられる)若しくはそれらの組合せにおいて繰り返す2つ以上の異なる構造であってよい。
【0077】
半晶質ポリアミド(複数の場合もあり)に好ましいポリアミドには、ナイロンタイプの材料、例えば、ポリカプロラクタム(PA6)、ポリヘキサメチレンアジパミド(PA6,6)、ポリヘキサメチレンノナミド(PA6,9)、ポリヘキサメチレンセバカミド(PA6,10)、ポリエナントラクタム(PA7)、ポリウンデカノラクタム(PA11)、ポリラウロラクタム(PA12)、及びそれらの混合物がある。より好ましくは、半晶質ポリアミド(複数の場合もあり)のポリアミドには、PA6、PA6,6、及びそれらの混合物がある。芳香族基を有する好適な半晶質ポリアミド(複数の場合もあり)の例として、脂肪族ジアミン及びイソフタル酸、及び/又はテレフタル酸(例えば、半晶質ポリフタルアミド)の半晶質ポリアミドがある。
【0078】
さらに、幾つかの実施形態においては、上記半晶質ポリアミド(複数の場合もあり)の少なくとも一部は、グラフト型の半晶質ポリアミド(複数の場合もあり)であって、ポリアミド主鎖と、該主鎖にグラフトされた1つ又は複数の耐衝撃性改良剤とを有する、ポリアミドである。上記耐衝撃性改良剤は、上記ポリアミド主鎖へとモノマーをグラフトするように構成されたカップリング基を有するポリオレフィン鎖モノマー及び/又はエラストマーを含んでよい。上記耐衝撃性改良剤のために適したカップリング基は、ピペリジン基、アクリル酸/メタクリル酸基、無水マレイン酸基、エポキシ基を含む。
【0079】
好ましいカップリング基は、無水マレイン酸基及びエポキシ基、例えばそれぞれ以下の構造式:
(式中、R
4及びR
5は、それぞれ、炭素数2〜20の、より好ましくは炭素数2〜10の炭化水素鎖であってよく、かつR
6は、炭素数1〜4の炭化水素基であってよい)によって表される基を含む。R
4、R
5及びR
6の炭化水素鎖は、それぞれ分岐されていても、又は非分岐であってもよい。例えば、好ましい耐衝撃性改良剤は、マレエート化されたポリエチレン、マレエート化されたポリプロピレン、及びそれらの混合物を含む。耐衝撃性改良剤がエラストマーを含む実施形態においては、好ましい耐衝撃性改良剤は、マレエート化されたエチレンプロピレンジエンモノマー(EPDM)を含む。
【0080】
適切な市販の耐衝撃性改良剤の例は、Arkema Inc.(フィラデルフィア、ペンシルバニア州)から商品名LOTADERとして市販される耐衝撃性改良剤、E.I.du Pont de Nemours and Company(ウィルミントン、デラウェア州)から商品名ELVALOY PTW、FUSABOND Nシリーズ、及びNUCRELとして市販される耐衝撃性改良剤、並びにChemtura Corporation(フィラデルフィア、ペンシルバニア州)から商品名ROYALTURFとして市販される耐衝撃性改良剤を含む。好ましいグラフト型の半晶質ポリアミドの例は、BASF Corporation(フローハムパーク、ニュージャージー州)から商品名ULTRAMIDとして市販されるポリアミド、及びEMS-Chemie, Inc.(サムター、サウスカロライナ州)(EMS-Grivoryの事業部門)から商品名GRILAMIDとして市販されるポリアミドを含む。
【0081】
グラフトされる耐衝撃性改良剤は、上記グラフト型の半晶質ポリアミド(複数の場合もあり)の約1重量%から約20重量%までを構成し得る。幾つかの実施形態においては、グラフト型の耐衝撃性改良剤は、上記グラフト型の半晶質ポリアミド(複数の場合もあり)の約5重量%から約15重量%までを構成する。上記グラフト型の半晶質ポリアミド(複数の場合もあり)を導入する実施形態においては、上記グラフト型の半晶質ポリアミド(複数の場合もあり)は、パーツ材中の上記半晶質ポリアミド(複数の場合もあり)の約50重量%から100重量%までを、より好ましくは約80重量%から100重量%までを、更により好ましくは約95重量%から100重量%までを構成し得る。幾つかの好ましい実施形態においては、PA材料の上記半晶質ポリアミド(複数の場合もあり)は、本質的に、上記グラフト型の半晶質ポリアミド(複数の場合もあり)からなる。
【0082】
上記半晶質ポリアミド(複数の場合もあり)は、好ましくは、プリントヘッド18から押出するのに適したものにする分子量範囲を有し、それは上記ポリアミドのメルトフローインデックスによって特徴付けることができる。上記半晶質ポリアミド(複数の場合もあり)に好ましいメルトフローインデックスは、約1g/10分から約40g/10分までの、より好ましくは約3g/10分から約20g/10分までの、更により好ましくは約5g/10分から約10g/10分までの範囲であり、その際、本明細書で使用されるメルトフローインデックスは、ASTM D1238−10に準じて2.16キログラム重で260℃の温度で測定されるものである。
【0083】
上記PA材料は、また組成的に、上記半晶質ポリアミド(複数の場合もあり)と好ましくは混和性である1つ又は複数の非晶質ポリアミドを含む。上記非晶質ポリアミド(複数の場合もあり)は、ジアミンとジカルボン酸を含むモノマー、好ましくは脂環式及び/又は芳香族のモノマーとの組合せを含むモノマーから得られるポリアミドのホモポリマー及びコポリマーを含んでよい。しかしながら、他の実施形態においては、上記ジアミンモノマー及び/又はジカルボン酸モノマーは、非晶質特性を維持したうえで脂肪族基(例えば非環式の脂肪族基)を含んでよい。
【0084】
上記非晶質ポリアミド(複数の場合もあり)に好ましいポリアミドのホモポリマー及びコポリマーは、以下の構造式:
(式中、R
7及びR
10は、それぞれ炭素数3〜12の炭化水素鎖であってよい)によって表すことができる。R
7及びR
10についての炭化水素鎖は、分岐されていても(例えば小さいアルキル基、例えばメチル基を有する)、又は非分岐であってもよく、それらは好ましくは脂肪族で非環式の飽和炭化水素鎖である。比較において、R
8、R
9、R
11及びR
12は、それぞれ、炭素数5〜20の炭化水素鎖であって、分岐されていても(例えばアルキル基、例えばメチル基を有する)又は非分岐であってもよく、そのそれぞれが1つ若しくは複数の芳香族基(例えばベンゼン基)、1つ若しくは複数の脂環式基(例えばシクロヘキサン基)又はそれらの組合せを含む炭化水素鎖であってよい。
【0085】
非晶質ポリアミド(複数の場合もあり)に好ましいポリアミドには、ナイロンタイプの材料、例えば、ヘキサメチレンジアミン、イソフタル酸、テレフタル酸、及びアジピン酸(PA6i/6T)のポリアミド、PA12のポリアミド、3,3−ジメチル−4,4−ジアミノジシクロヘキシルメタン及びイソフタル酸(PA12/MACMI)、PA12のポリアミド、3,3−ジメチル−4,4−ジアミノジシクロヘキシルメタン及びテレフタル酸(PA12/MACMT)、(PA12/MACMI/MACMT)、PA6i、PA12/MACM36、PANDT/INDT、トリメチルヘキサメチレンジアミン及びテレフタル酸(PA6/3T)のポリアミド、脂環式ジアミン及びドデカン二酸のポリアミド、脂肪族ジアミン及びイソフタル酸、及び/又はテレフタル酸(例えば、非晶質ポリフタルアミド)の非晶質ポリアミド、並びにそれらの混合物がある。より好ましくは、非晶質ポリアミド(複数の場合もあり)のポリアミドには、PA6/3T、脂環式ジアミン及びドデカン二酸のポリアミド、並びにそれらの混合物がある。
【0086】
幾つかの実施形態においては、上記非晶質ポリアミド(複数の場合もあり)の少なくとも一部は、グラフト型の非晶質ポリアミド(複数の場合もあり)であって、それぞれポリアミド主鎖と、該主鎖にグラフトされた1つ又は複数の耐衝撃性改良剤とを有する、ポリアミドであってよい。上記非晶質ポリアミド(複数の場合もあり)にグラフトするのに好ましい耐衝撃性改良剤は、上記グラフト型の半晶質ポリアミド(複数の場合もあり)について上述した耐衝撃性改良剤、例えばポリアミド主鎖にモノマーをグラフトするように構成されたカップリング基(例えばピペリジン基、アクリル酸/メタクリル酸基、無水マレイン酸基、及びエポキシ基)を有するポリオレフィン鎖モノマー及び/又はエラストマーを含む。上記グラフト型の非晶質ポリアミド(複数の場合もあり)中のグラフトされる耐衝撃性改良剤の適切な濃度、及び上記パーツ材における、上記非晶質ポリアミド(複数の場合もあり)の全体に対するグラフト型の非晶質ポリアミドの適切な濃度は、上記グラフト型の半晶質ポリアミド(複数の場合もあり)について上述したそれらの濃度を含む。
【0087】
上記ポリアミドブレンドにおける上記非晶質ポリアミド(複数の場合もあり)の好ましい濃度は、約30重量%から約70重量%までの、より好ましくは約40重量%から約60重量%までの、更により好ましくは約45重量%から約55重量%までの範囲であり、その際、上記半晶質ポリアミド(複数の場合もあり)が該ポリアミドブレンドの残部を構成する。したがって、上記非晶質ポリアミド(複数の場合もあり)の、上記半晶質ポリアミド(複数の場合もあり)に対する好ましい比率は、約3:7から約7:3までの範囲であり、より好ましくは約4:6から約6:4までの範囲であり、更により好ましくは約4.5:5.5から約5.5:4.5までの範囲である。
【0088】
第2の実施形態において、部分材料には、1つ又は複数のポリエーテルイミド(PEI)と、1つ又は複数の半晶質ポリアリールエーテルケトン(PAEK)、例えば、1つ又は複数のポリエーテルケトン(PEK)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルケトンケトン(PEKK)、ポリエーテルエーテルケトンケトン(PEEKK)、ポリエーテルケトンエーテル−ケトンケトン(PEKEKK)、それらの混合物等、並びにより好ましくは1つ又は複数のポリエーテルエーテルケトン(PEEK)との実質的に混和性のブレンドがある。上記ブレンドにおける上記ポリアリールエーテルケトン(複数の場合もあり)の好ましい濃度は、約35重量%から約99重量%までの、より好ましくは約50重量%から約90重量%までの、更により好ましくは約60重量%から約80重量%までの範囲であり、その際、上記ポリエーテルイミド(複数の場合もあり)が該ブレンドの残部を構成する。
【0089】
第3の実施形態において、部分材料には、1つ又は複数のポリフェニルスルホン(PPSU)、ポリスルホン(PSU)、及び/又はポリエーテルスルホン(PES)と、1つ又は複数の半晶質ポリアリールエーテルケトンとの実質的に混和性のブレンドがある。上記ブレンドにおける上記ポリフェニルスルホン(複数の場合もあり)/ポリスルホン(複数の場合もあり)/ポリエーテルスルホン(複数の場合もあり)の好ましい濃度は、約1重量%から約65重量%までの、より好ましくは約20重量%から約50重量%までの範囲であり、その際、上記ポリアリールエーテルケトン(複数の場合もあり)が該ブレンドの残部を構成する。
【0090】
第4の実施形態において、部分材料には、1つ又は複数のポリカーボネートと、1つ又は複数の半晶質ポリブチレンテレフタレート(PBT)及び/又は1つ又は複数の半晶質ポリエチレンテレフタレート(PET)との実質的に混和性のブレンドがある。上記ブレンドにおける上記ポリカーボネート(複数の場合もあり)の好ましい濃度は、約30重量%から約90重量%までの、より好ましくは約50重量%から約70重量%までの範囲であり、その際、上記ポリブチレンテレフタレート(複数の場合もあり)/ポリエチレンテレフタレート(複数の場合もあり)が該ブレンドの残部を構成する。
【0091】
第5の実施形態において、部分材料には、1つ又は複数の非晶質ポリエチレンテレフタレート(例えば、グリコール変性ポリエチレンテレフタレート)と、1つ又は複数の半晶質ポリエチレンテレフタレートとの実質的に混和性のブレンドがある。上記ブレンドにおける上記非晶質ポリエチレンテレフタレート(複数の場合もあり)の好ましい濃度は、約10重量%から約40重量%までの、より好ましくは約15重量%から約25重量%までの範囲であり、その際、上記半晶質ポリエチレンテレフタレート(複数の場合もあり)が該ブレンドの残部を構成する。
【0092】
第6の実施形態において、部分材料には、1つ又は複数の非晶質ポリアリールエーテルケトンと、1つ又は複数の半晶質ポリアリールエーテルケトン、例えば、1つ又は複数の非晶質ポリエーテルケトンケトン(PEKK)及び1つ又は複数の半晶質ポリエーテルケトンケトン(PEKK)との実質的に混和性のブレンドがある。上記ブレンドにおける上記非晶質ポリアリールエーテルケトン(複数の場合もあり)の好ましい濃度は、約30重量%から約90重量%までの、より好ましくは約50重量%から約70重量%までの範囲であり、その際、上記半晶質ポリアリールエーテルケトン(複数の場合もあり)が該ブレンドの残部を構成する。
【0093】
幾つかの実施形態おいては、上記パーツ材は、追加の添加剤、例えば着色剤、充填剤、可塑剤、耐衝撃性改良剤、及びそれらの組合せを含んでもよい。着色剤を含む実施形態においては、パーツ材中の着色剤の好ましい濃度は、約0.1重量%から約5重量%までの範囲である。適切な着色剤は、二酸化チタン、硫酸バリウム、カーボンブラック及び酸化鉄を含み、有機染料及び顔料を含んでもよい。
【0094】
充填剤を含む実施形態においては、パーツ材中の充填剤の好ましい濃度は、一部の充填剤(例えばガラス充填剤及びカーボン充填剤)の場合には約1重量%から約45重量%までの範囲であり、そして金属充填剤及びセラミック充填剤のような他の充填剤の場合には、約80重量%までの範囲である。好適な充填剤には、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ガラススフィア、グラファイト、カーボンブラック、カーボンファイバー、ガラスファイバー、タルク、珪灰石、マイカ、アルミナ、シリカ、カオリン、炭化ケイ素、タングステン酸ジルコニウム、可溶塩、金属、セラミック、及びそれらの組合せがある。
【0095】
上述の追加の添加剤を含む実施形態においては、上記ポリマーブレンドは、好ましくはパーツ材の残部を構成する。したがって、該ポリマーブレンドは、約55重量%から100重量%までの、より好ましくは約75重量%から100重量%までのパーツ材を構成してよい。幾つかの実施形態においては、該ポリマーブレンドは、約90重量%から100重量%までの、より好ましくは約95重量%から100重量%までのパーツ材を構成する。更なる実施形態においては、上記パーツ材は、本質的に、ポリマーブレンドと、場合により1つ又は複数の着色剤及び/又は酸化防止剤とからなる。
【0096】
好ましくは、上記ポリマーブレンドは、また実質的に均質であり、こうして積層造形システムで使用されるパーツ材のそれぞれの部分が一貫して同じ熱的特性及び物理特性を示すことが可能となる。例えば、プリントヘッド18を有するシステム10では、ノズル48からの溶融されたパーツ材(すなわち溶融物70)の流速は、フィラメント52が液化チューブ56に入る速度と、加熱域68内でのフィラメント52の溶融速度とによって制御される。システム10は、ツールパス形状に基づいて所望の流速で溶融物70の押出のために事前設定された命令によって作動し得る。これらの事前設定された命令は、好ましくは、パーツ材の熱的特性、すなわちパーツ材の溶融速度及び粘度だけでなく、パーツ材の結晶化速度に基づくものである。
【0097】
したがって、上記ポリマーブレンドがそれにもかかわらず不均質であるとしたら、該パーツ材は均一ではなくなる。これは、フィラメント52の連続セグメントが種々の速度で溶融することを引き起こし、こうしてメニスカス74の高さに影響が及ぼされることが考えられる。したがってこれは、溶融物70の押出速度を、事前設定された命令から変更することがあり、それは3Dパーツ30のパーツ品質を損なうことがある。さらに、不均質のブレンドは、パーツ材の結晶化速度に不均衡をもたらすことがあり、それにより、結晶化速度の制御の上述の利益が低下することがある。したがって、フィラメント52は、好ましくは、上記半晶質ポリマー(複数の場合もあり)と上記第2の材料(複数の場合もあり)(例えば非晶質ポリマー(複数の場合もあり))との実質的に均質なポリマーブレンドを有するパーツ材から製造される。1つ又は複数の添加剤を含む実施形態においては、上記添加剤(複数の場合もあり)は、好ましくは上記ポリマーブレンド中に実質的に均一に分散されている。
【0098】
上述のように、先に論じられた方法は、また電子写真方式の積層造形システム及び選択的レーザー焼結システムで利用することもできる。電子写真方式の積層造形システムに関しては、パーツ材は、電子写真方式の積層造形システムで使用するための粉末形で、例えばHansonらによる米国特許出願公開第2013/0077996号及び同第2013/0077997号、並びにCombらによる米国特許出願公開第2013/0186549号及び同第2013/0186558号に開示される形で提供され得る。上記引用文献の開示は、本開示と矛盾しない範囲で引用することにより本明細書の一部をなす。
【0099】
これらの引用文献で論じられるように、電子写真方式の積層造形システムは、好ましくは、層間のポリマー絡み合い(すなわちレプテーション)を基礎としてそれぞれの逐次現像された層を相互溶融する層相互溶融アセンブリを用いて動作する。したがって、押出方式の積層造形システムのためのパーツ材の結晶化速度を制御するための先に論じられた方法は、電子写真方式の積層造形システムと同じように使用することもできる。
【0100】
しかしながら、比較において、選択的レーザー焼結システムは、ナイロン材料を該ナイロン材料の溶融温度と熱結晶化温度との間でゼラチン状の過冷された非晶質状態に保持して、ナイロン材料から3Dパーツをプリントすることができる。しかしながら、ナイロン材料は、典型的に、その溶融温度と熱結晶化温度との間の小さい温度ウィンドウを有するため、レーザー光線で溶融された後にプリントされた層をこの非晶質状態に保持することを困難にする。
【0101】
しかしながら、上述のように、本開示のパーツ材についての実質的に混和性のブレンドは、パーツ材の熱結晶化温度T
c,hotを、半晶質ポリマー(複数の場合もあり)の熱結晶化温度T
c,hotから低下させることが判明した。その反対に、パーツ材の溶融温度T
mは、実質的に変わらないままである。したがって、パーツ材についての実質的に混和性のブレンドは、プリントされた層が反りと歪みとを防ぐためにゼラチン状の過冷された非晶質状態で保持され得る作業ウィンドウ(
図4では作業ウィンドウ88と呼ばれる)を広げる。この場合に、該粉末材料は、レーザー光線で選択的に溶融され、そしてプリント作業が完了するまでこの作業ウィンドウ88内で保持することができる。次いで3Dパーツ30全体を従来の様式で冷却することができる。
【0102】
選択的レーザー焼結システム(例えば、Deckardによる米国特許第4,863,538号及び同第5,132,143号に開示されるシステム)で使用される先に論じられた技法を伴う実施形態においては、上記パーツ材は、他の粉末方式の積層造形システムにおいて使用するための粉末形で提供することができる。幾つかの代替的な実施形態においては、例えば幾つかのポリアミド材料(例えばガラス充填されたPA6/10材料)では、この技法は、押出方式の、及び/又は電子写真方式の積層造形システムで利用することもできる。これは、したがって可溶性のサポート材と一緒に使用するために有益なことがある高い熱たわみ温度を有する3Dパーツを生産することができる。
【実施例】
【0103】
本開示は、以下の実施例においてより詳細に述べられ、以下の実施例は、本開示の範囲内の多数の修正及び変形が当業者に明らかになるため、単に例証するものとして意図される。特段の記載が無い限り、以下の実施例で報告される全ての部、パーセンテージ及び比率は、重量を基準とするものであり、該実施例で使用される全ての試薬は、以下に記載される化学供給業者から得られたものであるか、又は入手可能なものであり、又は従来の技法によって合成してもよい。
【0104】
I.実施例1〜実施例4
実施例1〜実施例4並びに比較例A及び比較例Bのパーツ材を、様々な重量比のPEEK/PEIブレンドとして調製した。次いで、それぞれのパーツ材を、DSCを使用して分析することで、ガラス転移温度T
g、冷結晶化温度T
c,cold、溶融温度T
m、及び熱結晶化温度T
c,hotを求めた。表1は、複数のPEEK/PEI比を有する試験されたパーツ材についてのDSCの結果を列挙しており、そこでは温度は摂氏度で報告されている。
【0105】
【表1】
【0106】
表1における結果は、種々のPEEK/PEI比の場合の、ガラス転移温度T
g、冷結晶化温度T
c,cold、溶融温度T
m、及び熱結晶化温度T
c,hotにおける相対変化を示している。例えば、ガラス転移温度T
gは、実質的に、PEIの濃度の増大に伴って高まる。さらに、冷結晶化温度T
c,cold及び熱結晶化温度T
c,hotは、PEIの濃度の増大に伴って近い値に集まるが、溶融温度T
mは、相対的に同じに留まった(例えば実施例1と実施例3の間は4度の低下であるのに対して、熱結晶化温度T
c,hotについては22度の低下)。
【0107】
したがって、実施例1〜実施例3の場合の、ガラス転移温度T
gと冷結晶化温度T
c,coldとの間の差は、押出方式の、及び/又は電子写真方式の積層造形システムを用いて3Dパーツをプリントするために適したアニーリングウィンドウ(例えばアニーリングウィンドウ84)を提供する。同様に、実施例1〜実施例3についての、溶融温度T
mと熱結晶化温度T
c,hotとの間の差は、選択的レーザー焼結システムを用いて3Dパーツをプリントするために適した作業ウィンドウ(例えば作業ウィンドウ88)を提供する。
【0108】
また、DSC試験は、プリント後結晶化工程をシミュレートするために、冷却工程の後にパーツ材の再加熱を含んでいた。この再加熱工程の間に、実施例2及び実施例3のそれぞれのパーツ材は、2つの異なるガラス転移温度T
gを示した。実施例2のパーツ材は、164℃の第1のガラス転移温度と、209℃の第2のガラス転移温度を有した。実施例2のパーツ材は、167℃の第1のガラス転移温度と、210℃の第2のガラス転移温度を有した。この現象は、結晶化に際してPEEKポリマーとPEIポリマーとが分離することで、PEIがPEEK晶質領域中に導入されなかったことによって惹起されると考えられる。
【0109】
該パーツ材についての熱結晶化温度T
c,hotでの融解エンタルピーは、また、以下に表2で列挙されるように求めた。
【0110】
【表2】
【0111】
表2における結果は、実施例1〜実施例3のパーツ材が結晶化に際して高いレベルの発熱エネルギーを呈することを示している。実施例4のパーツ材は、非常に少ない結晶化しか生じないと思われる。しかしながら、これは、よりゆっくりした冷却では無くなるであろう動力学的現象によるものと考えられる。実施例4のパーツ材は、融点を示し(表1で上記した)、再加熱に際して不透明に変わった(すなわち再結晶化)。
【0112】
II.実施例5
60/40のPEEK/PEI重量比を有する実施例5のパーツ材を、約0.07インチの平均直径を有する円柱形フィラメントへとコンパウンディングし、消耗品集成体のスプール上に巻き付けた。各試験につき、該消耗品集成体を、Stratasys, Inc.(エデンプレイリー、ミネソタ州)から商品名「FDM」及び「FORTUS 400mc」として市販される押出方式の積層造形システムへと装填した。次いで、該フィラメントを消耗品集成体から該システムのプリントヘッドの液化アセンブリへと供給し、溶融させ、そしてプリントヘッドノズルから160℃(すなわちそのガラス転移温度T
g未満)で保持された加熱されたチャンバ中で押出して、3Dパーツをプリントした。
【0113】
図5は、ペレットと、実施例5のパーツ材からプリントされた3Dパーツを図示している。プリントされた3Dパーツと関連のペレットとは、低レベルの結晶化度のため金色の半透明の外観を呈した。相応の3Dパーツとペレット分をまた約200℃(すなわちプリント後結晶化プロセス)にパーツ材中のPEEKを再結晶化させるのに十分な時間にわたり再加熱させた。示されるように、アニーリングされた3Dパーツとペレットとはそれぞれ不透明の外観を呈し、それは再結晶化されていないパーツ/ペレットの金色よりも色的に褐色/帯白色であった。
【0114】
III.実施例6
実施例6のパーツ材は、半晶質ポリアミドが、EMS-Chemie, Inc.(サムター、サウスカロライナ州)(EMS-Grivoryの事業部門)から商品名GRILAMID L16として市販されているグラフト型のPA12ポリアミドであり、かつ非晶質ポリアミドが、EMS-Chemie, Inc.(サムター、サウスカロライナ州)(EMS-Grivoryの事業部門)から商品名GRILAMID TR90として市販されているPA12ポリアミドであるポリアミドブレンドとして調製された。
【0115】
実施例6のそれぞれのパーツ材について、該パーツ材における半晶質ポリアミド濃度は、27.2重量%から28.2重量%までの範囲であり、かつ該パーツ材における非晶質ポリアミド濃度は、65.2重量%から66.2重量%までの範囲であり、その際、該非晶質ポリアミドの半晶質ポリアミドに対するブレンド比は約70:30であった。また、該パーツ材は、4.5重量%から5.5重量%までの範囲のパーツ材における濃度を有する耐衝撃性改良剤と、0.03重量%から0.13重量%までの範囲のパーツ材における濃度を有する酸化防止剤とを含んでいた。
【0116】
実施例6のそれぞれのパーツ材を、DSCを使用して分析することで、55℃の平均ガラス転移温度T
g、130℃の平均冷結晶化温度T
c,cold、178℃の平均溶融温度T
m、及び148℃の平均熱結晶化温度T
c,hotが得られた。それぞれのパーツ材をまた、約0.07インチの平均直径を有する円柱形フィラメントへとコンパウンディングし、消耗品集成体のスプール上に巻き付けた。
【0117】
各試験につき、該消耗品集成体を、Stratasys, Inc.(エデンプレイリー、ミネソタ州)から商品名「FDM」及び「FORTUS 400mc」として市販される押出方式の積層造形システムへと装填した。液化装置温度は355℃に定め、加熱されたチャンバ温度は、プリントされる3Dパーツ形状に応じて、80℃、100℃、又は120℃に定めた。それぞれの3Dパーツは、良好な寸法安定性及び低いレベルの結晶化度を示した。
【0118】
IV.実施例7及び実施例8
実施例7のパーツ材は、半晶質PETが、SK Chemicals(韓国)から商品名「SKYPET BR」として市販されているポリエチレンテレフタレートコポリマーであり、かつ非晶質PETが、SK Chemicals(韓国)から商品名「SKYGREEN S2008」として市販されているグリコール変性ポリエチレンテレフタレートである耐衝撃性改良されたPETブレンドとして調製された。該パーツ材は、76重量%の半晶質PET、19重量%の非晶質PET、及び5重量%のE.I.du Pont de Nemours and Company(ウィルミントン、デラウェア州)から商品名「ELVALOY PTW」して市販されている耐衝撃性改良剤を含むものであった。
【0119】
実施例7のパーツ材を、約0.07インチの平均直径を有する円柱形フィラメントへとコンパウンディングし、消耗品集成体のスプール上に巻き付けた。各試験につき、該消耗品集成体を、Stratasys, Inc.(エデンプレイリー、ミネソタ州)から商品名「FDM」及び「FORTUS 400mc」として市販される押出方式の積層造形システムへと装填した。
【0120】
プリント作業の間に、フィラメントは溶融され、320℃の温度のプリントヘッドから加熱された造形チャンバ中に押出された。その際、該造形チャンバの温度は、4つの異なる試験のために90℃、100℃、110℃及び120℃で保持した。パーツ材は、約78℃のガラス転移温度を有していた。したがって、これらの種々の温度は、種々のアニーリングウィンドウが、得られた3Dパーツにおける結晶化度のレベルにどのような影響を及ぼすかを試すものであった。
【0121】
プリントした後に、4種の3Dパーツのそれぞれをゆっくりと加熱し、そして生ずる引張応力は、
図6に図解されるように測定した。
図6に示されるように、90℃でアニーリングされたパーツ材はほぼ非晶質の機械的挙動を維持し、その一方、120℃でアニーリングされたパーツ材は、ほぼ半晶質の機械的挙動を維持した。100℃及び110℃でアニーリングされたパーツ材は、上記の2つの終点の間にあった。
【0122】
理解されるように、約30℃の加熱されたチャンバ温度の範囲にわたり、試験されたパーツ材の動的機械的挙動は、ほぼ非晶質からほぼ晶質へと大きく変化した。これは、さらに、
図7におけるtanδピークの開始によって説明される。ここで、該ピークの開始は、後に加熱されたチャンバ中の温度が高まったときに生じ、それは晶質がより高い3Dパーツに相当する。したがって、これらの結果は、パーツ材についての得られた3Dパーツにおける結晶化の程度を、適切に選択されたアニーリングウィンドウによって制御することができることを確認するものである。
【0123】
実施例8のパーツ材は、70重量%の実施例7のPETブレンド及び30重量%のガラスベースの充填剤を含むものであった。実施例8のパーツ材はまた、実施例6のパーツ材について先に論じられたようにプリントされた。その際、加熱されたチャンバは、ほぼ非晶質の機械的挙動を維持するためにわずか80℃で保持した。次いで、3Dパーツ試料の一部を約135℃(すなわちプリント後結晶化プロセス)にパーツ材中の半晶質のPETを再結晶化させるのに十分な時間にわたり再加熱させた。
【0124】
プリントした後に、次いでそれぞれの3Dパーツ試料をゆっくりと加熱し、そして生ずる引張応力は、
図8に図解されるように測定した。その引張応力は、120℃に加熱されたチャンバ中でプリントされた実施例7の場合のパーツ材の結果とも同等である。
図8に示されるように、プリント後結晶化プロセスは、初期試料と比較してパーツ材の結晶化度を大きく高めた。
【0125】
本開示は好ましい実施形態を参照して述べられたが、本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形態及び詳細において変更を行うことができることを当業者は認識するであろう。