特許第6235718号(P6235718)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6235718管路内浄化装置および管路内浄化システム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6235718
(24)【登録日】2017年11月2日
(45)【発行日】2017年11月22日
(54)【発明の名称】管路内浄化装置および管路内浄化システム
(51)【国際特許分類】
   C02F 3/06 20060101AFI20171113BHJP
   E03F 3/04 20060101ALI20171113BHJP
【FI】
   C02F3/06
   E03F3/04 Z
【請求項の数】15
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2016-534289(P2016-534289)
(86)(22)【出願日】2015年7月17日
(86)【国際出願番号】JP2015003621
(87)【国際公開番号】WO2016009655
(87)【国際公開日】20160121
【審査請求日】2016年9月6日
(31)【優先権主張番号】特願2014-147784(P2014-147784)
(32)【優先日】2014年7月18日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000844
【氏名又は名称】特許業務法人 クレイア特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松坂 勝雄
(72)【発明者】
【氏名】松原 善治
【審査官】 松井 一泰
(56)【参考文献】
【文献】 特開平07−233556(JP,A)
【文献】 特開平06−165995(JP,A)
【文献】 特開2001−286882(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F 3/02− 3/10
E03F 1/00−11/00
F16L 9/00−11/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
管路内に設置される管路内浄化装置において、
断面の少なくとも一部が前記管路の曲面に沿って形成された曲面状部材と、
前記曲面状部材の少なくとも一部の周囲または内周側に配設された微生物担体と、を含み、
前記管路内の内周径より前記曲面状部材の外周径が小さく、
前記微生物担体が、管路内に設置された場合の管路の最下部表面で欠損している、管路内浄化装置。
【請求項2】
管路内に設置される管路内浄化装置において、
断面の少なくとも一部が前記管路の曲面に沿って形成された曲面状部材と、
前記曲面状部材の少なくとも一部の周囲または内周側に配設された微生物担体と、を含み、
前記曲面状部材が前記管路内に嵌合するように構成され、
前記微生物担体が、管路内に設置された場合の管路の最下部表面で欠損している、管路内浄化装置。
【請求項3】
前記微生物担体は、前記曲面状部材の両端部にそれぞれ配設される第1の微生物担体と第2の微生物担体と、を含む、請求項1または2記載の管路内浄化装置。
【請求項4】
前記曲面状部材に配設される第1の微生物担体と第2の微生物担体と、を含み、
前記第1の微生物担体および前記第2の微生物担体は、管路内に設置された場合の前記曲面状部材の最下部を挟んで対向して配設された、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の管路内浄化装置。
【請求項5】
前記曲面状部材は、前記第1の微生物担体および前記第2の微生物担体の端部を超えて配設された、請求項4記載の管路内浄化装置。
【請求項6】
前記第1の微生物担体および前記第2の微生物担体の距離は、前記曲面状部材が設置された場合の管路径の10%以上40%以下の範囲内の距離を有するように前記第1の微生物担体および前記第2の微生物担体が配設された、請求項3から5のいずれか1項に記載の管路内浄化装置。
【請求項7】
前記第1の微生物担体および前記第2の微生物担体は、厚みが5mm以上50mm以下の範囲内で形成された、請求項3から6のいずれか1項に記載の管路内浄化装置。
【請求項8】
前記第1の微生物担体および前記第2の微生物担体は、幅の合計が前記管路の内周の30%以上95%以下の範囲内で形成された、請求項3から7のいずれか1項に記載の管路内浄化装置。
【請求項9】
前記第1の微生物担体および前記第2の微生物担体は、前記曲面状部材が設置される場合の前記管路の長手方向に連続して形成された、請求項3から8のいずれか1項に記載の管路内浄化装置。
【請求項10】
前記曲面状部材は、前記管路内に前記曲面状部材が設置された場合の前記管路の内周の30%以上95%以下の範囲の長さを有するように形成された、請求項3から9のいずれか1項に記載の管路内浄化装置。
【請求項11】
前記曲面状部材は、前記管路内に配設するための位置決めを行う固定部を含む、請求項1から10のいずれか1項に記載の管路内浄化装置。
【請求項12】
管路と、
断面の少なくとも一部が前記管路の曲面に沿って形成された曲面状部材および前記曲面状部材に配設される微生物担体を含む管路内浄化装置と、を含み、
前記曲面状部材の少なくとも一部の周囲または内周側に、微生物担体が形成されており、
前記管路内の内周径より前記曲面状部材の外周径が小さく、
前記微生物担体が、管路内に設置された場合の管路の最下部表面で欠損している、管路内浄化システム。
【請求項13】
管路と、
断面の少なくとも一部が前記管路の曲面に沿って形成された曲面状部材および前記曲面状部材に配設される微生物担体を含む管路内浄化装置と、を含み、
前記曲面状部材の少なくとも一部の周囲または内周側に、微生物担体が形成されており、
前記曲面状部材が前記管路内に勘合するように構成され、
前記微生物担体が、管路内に設置された場合の管路の最下部表面で欠損している、管路内浄化システム。
【請求項14】
前記微生物担体は、第1の微生物担体と第2の微生物担体とを含み、
前記第1の微生物担体および前記第2の微生物担体は、前記曲面状部材の最下部を挟んで対向して配設された、請求項12または13記載の管路内浄化システム。
【請求項15】
前記管路と接続される接続部材をさらに含み、
前記接続部材は、前記管路内に前記管路内浄化装置を設置する設置部を備えた、請求項12から14のいずれか1項に記載の管路内浄化システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管路内浄化装置および管路内浄化システムに関する。
【0002】
従来、汚水は管路により下水処理施設まで移送され、汚水の浄化処理はすべて下水処理施設で行なわれていた。そのため、下水処理施設では、浄化用設備に伴う設備費用または設備スペースが必要であった。
【0003】
近年、下水処理施設の負担を軽減するために、微生物を用いて管路内で汚水を浄化する方法が提案されている。
例えば、特許文献1には、管路の内面に有用微生物群を含有したセラミック材の膜を設けることによって汚水を有用微生物と接触させ、汚水を浄化する管路用汚水浄化装置が開示されている。
【0004】
特許文献2には、管路内に、微生物が定着可能な通水性の固定床と、固定床中に浸漬した状態であっても、固定床中に酸素を供給し、好気性微生物の増殖を促進できる管路用浄水装置が開示されている。
【0005】
また、特許文献3には、圧送管の管路の内側にフィンを設け、圧送管内部に複数のパイプを設置することにより、汚水と微生物とが接触する面積を拡大させ、効率的に汚水を浄化する方法が開示されている。
【0006】
また、特許文献4には、安価かつ高効率で汚水を浄化することができる管路内浄化装置について開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平8−165704号公報
【特許文献2】特開2010−024773号公報
【特許文献3】実開平6−24799号公報
【特許文献4】国際公開第2013/172288A1号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1乃至特許文献3に記載の方法では、微生物を保持する面積が未だ充分でなく、微生物を高密度に保持することが難しいために浄化効率が低い。
また、酸素供給手段を用いる場合には、設備費、施工費が高価になる等の問題があった。さらに、管路用浄化装置は、汚水の流下性能を充分に確保し、埋設時等に生じる応力による破損を防止する必要がある。
また、特許文献4記載の管路内浄化装置および管路内浄化装置の接続構造は、高効率で汚水を浄化することができるが、構造が複雑で作業工数が多く費やされる。
【0009】
本発明の目的は、流下性能を充分に確保しつつ、安価かつ高効率で汚水を浄化することができる管路内浄化装置、および管路内浄化システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(1)
一局面に従う管路内浄化装置は、管路内に設置される管路内浄化装置において、断面の少なくとも一部が管路の曲面に沿って形成された曲面状部材と、曲面状部材の少なくとも一部の周囲または内周側に配設された微生物担体と、を含むものである。ここで、微生物担体は、管路内に設置された場合の管路の最下部表面で欠損している。
【0011】
この場合、微生物担体が曲面状部材の少なくとも一部の周囲または内周側に形成されているので、管路の最下部において流速を確保しつつ、微生物担体による浄化作用も保持することができる。
ここで、微生物担体は、管路内に設置された場合の管路の最下部表面で欠損しているので、管路の最下部において確実に流速を確保することができる。また、流量が少ない場合には、流速を低下させることがなく、流量が多い場合には、浄化を行うことができる。
【0012】
(2)
第2の発明にかかる管路内浄化装置は、一局面に従う管路内浄化装置において、曲面状部材が管路内に設置された場合の管路の最下部表面で欠損していてもよい。
【0013】
この場合、管路に対して管路内浄化装置が小さくなるため、管路への管路内浄化装置の設置が容易となる。
【0014】
(3)
第3の発明にかかる管路内浄化装置は、一局面または第2の発明にかかる管路内浄化装置において、微生物担体は、曲面状部材の両端部にそれぞれ配設される第1の微生物担体と第2の微生物担体と、を含んでもよい。
【0015】
この場合、微生物担体が曲面状部材の両端部にそれぞれ配設されるので、浄化に寄与しやすい当該両端部にそれぞれ分けて配設することができる。したがって、微生物担体の材料量に対する浄化効率がよい。
【0016】
(4)
第4の発明にかかる管路内浄化装置は、一局面から第3の発明にかかる管路内に設置される管路内浄化装置において、曲面状部材に配設される第1の微生物担体と第2の微生物担体と、を含み、第1の微生物担体および第2の微生物担体は、管路内に設置された場合の曲面状部材の最下部を挟んで対向して配設されたものである。
【0017】
この場合、第1の微生物担体および第2の微生物担体が、最下部を挟んで対向して配設されているので、管路の最下部において流速を確保しつつ、第1の微生物担体および第2の微生物担体による浄化作用も保持することができる。
また、流量が少ない場合には、流速を低下させることがなく、流量が多い場合には、浄化を行うことができる。
ここで、対向とは、管路に対して鉛直(管路軸が法線となる状態)のみではなく、所定の角度を有する断面において、第1の微生物担体および第2の微生物担体が対向する場合を含む。すなわち、第1の微生物担体および第2の微生物担体が管路の長手方向に沿って千鳥状態で配設される場合も含む。
【0018】
(5)
第5の発明にかかる管路内浄化装置は、第4の発明にかかる管路内浄化装置において、曲面状部材は、第1の微生物担体および第2微生物担体の端部を超えて配設されてもよい。
【0019】
この場合、曲面状部材は、第1微生物担体および第2微生物担体の端部を超えて配設されているので、曲面状部材の両端部に固定のための部材を設ける、両端部を管路の内周面に接触させるなど、第1微生物担体および第2微生物担体が配設されない両端部も、管路内浄化装置の固定に用いることができる。したがって、管路内浄化装置の固定を容易にすることができる。
【0020】
(6)
第6の発明にかかる管路内浄化装置は、第3から第5の発明にかかる管路内浄化装置において、第1の微生物担体および第2微生物担体の距離は、曲面状部材が設置された場合の管路径の10%以上40%以下の範囲内の距離を有するように配設されてもよい。
【0021】
この場合、距離が、管路径の10%未満の場合、流速を確保し難い。また、距離が、管路径の40%超過の場合、第1の微生物担体および第2の微生物担体の反応効率が低下する。
【0022】
(7)
第7の発明にかかる管路内浄化装置は、第3から第6にかかる管路内浄化装置において、第1の微生物担体および第2の微生物担体は、厚みが5mm以上50mm以下の範囲内で形成されてもよい。
【0023】
この場合、第1の微生物担体および第2の微生物担体は、5mm未満の場合に微生物を高密度に保持できず反応性が低下する問題があり、50mm超の場合に抵抗が高くなり流速が低下する問題がある。
【0024】
(8)
第8の発明にかかる管路内浄化装置は、第3から第7の発明にかかる管路内浄化装置において、第1の微生物担体および第2の微生物担体は、幅の合計が前記管路の内周の30%以上95%以下の範囲内で形成されてもよい。
【0025】
この場合、第1の微生物担体および第2の微生物担体は、幅の合計が30%未満の場合、反応性が低下するという問題があり、幅の合計が95%超過の場合、抵抗が高くなり流速が低下する問題がある。
【0026】
(9)
第9の発明にかかる管路内浄化装置は、第3から第8の発明にかかる管路内浄化装置において、第1の微生物担体および第2の微生物担体は、曲面状部材が設置される場合の管路の長手方向に連続して形成されてもよい。
【0027】
この場合、第1の微生物担体および第2の微生物担体は、曲面状部材が設置される場合の管路の長手方向に連続して形成されていてもよい。その結果、流速を確保しつつ、さらに反応効率を向上させることができる。
【0028】
(10)
第10の発明にかかる管路内浄化装置は、第3から第9の発明にかかる管路内浄化装置において、曲面状部材は、管路内に曲面状部材が設置された場合の管路の内周の30%以上95%以下の範囲の長さを有するように形成されてもよい。
【0029】
この場合、曲面状部材は、管路の内周の30%未満の長さであれば、曲面状部材の設置が不安定となり、管路の内周の95%超過の長さであれば、曲面状部材の設置が困難となる。
【0030】
(11)
第11の発明にかかる管路内浄化装置は、一局面から第10の発明にかかる管路内浄化装置において、曲面状部材は、管路内に配設するための位置決めを行う固定部を含んでもよい。
【0031】
この場合、固定部により曲面状部材の最下部の位置決めを適切にすることで流速を確保することができる。ここで、固定部は、嵌合、係止、溶接、溶着、接着、ネジ、ボルト等の手法を用いてもよい。
【0032】
(12)
他の局面に従う管路内浄化システムは、管路と、断面の少なくとも一部が管路の曲面に沿って形成された曲面状部材および曲面状部材に配設される微生物担体を含む管路内浄化装置と、を含み、曲面状部材の少なくとも一部の周囲または内周側に、微生物担体が形成されており、微生物担体が、管路内に設置された場合の管路の最下部表面で欠損しているものである。
【0033】
この場合、微生物担体が曲面状部材の少なくとも一部の周囲または内周側に形成されているので、管路の最下部において流速を確保しつつ、微生物担体による浄化作用も保持することができる。
ここで、微生物担体は、管路内に設置された場合の管路の最下部表面で欠損しているので、管路の最下部において確実に流速を確保することができる。また、流量が少ない場合には、流速を低下させることがなく、流量が多い場合には、浄化を行うことができる。
【0034】
(13)
第13の発明にかかる管路内浄化システムは、第12の発明にかかる管内浄化システムにおいて、曲面状部材は、管路内に設置された場合の管路の最下部表面で欠損していてもよい。
【0035】
この場合、第1の微生物担体および第2の微生物担体が、最下部を挟んで対向して配設されているので、管路の最下部において流速を確保しつつ、第1の微生物担体および第2の微生物担体による浄化作用も保持することができる。
また、流量が少ない場合には、流速を低下させることがなく、流量が多い場合には、浄化を行うことができる。
【0036】
(14)
第14の発明にかかる管路内浄化システムは、他の局面または第13の発明にかかる管路内浄化システムにおいて、微生物担体は、第1の微生物担体と第2の微生物担体とを含み、第1の微生物担体および第2の微生物担体は、曲面状部材の最下部を挟んで対向して配設されてもよい。
【0037】
この場合、第1の微生物担体および第2の微生物担体が、最下部を挟んで対向して配設されているので、管路の最下部において流速を確保しつつ、第1の微生物担体および第2の微生物担体による浄化作用も保持することができる。
また、流量が少ない場合には、流速を低下させることがなく、流量が多い場合には、浄化を行うことができる。
ここで、対向とは、管路に対して鉛直(管路軸が法線となる状態)のみではなく、所定の角度を有する断面において、第1の微生物担体および第2の微生物担体が対向する場合を含む。すなわち、第1の微生物担体および第2の微生物担体が管路の長手方向に沿って千鳥状態で配設される場合も含む。
【0038】
(15)
第15の発明にかかる管路内浄化システムは、他の局面から第14の発明にかかる管内浄化システムにおいて、管路と接続される接続部材をさらに含み、接続部材は、管路内に管路内浄化装置を設置する設置部を備えてもよい。
【0039】
この場合、接続部材は、管路内に管路内浄化装置を設置する設置部を備えることにより、接続部材の方向性を容易に認識することができるため、設置が容易となる。
例えば、設置部により接続部材の位置と、管路内浄化装置との相対的位置関係を調整することができる。その結果、第1の微生物担体および第2の微生物担体を曲面状部材の最下部を挟んで対向して配設させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
図1】本実施の形態にかかる管路内浄化装置の一例を示す模式図である。
図2】本実施の形態にかかる管路内浄化装置の一例を示す模式図である。
図3】本実施の形態にかかる管路内浄化装置の一例を示す模式図である。
図4】管路内浄化システムに汚水が流される場合を説明するための模式的断面図である。
図5】管路内浄化システムに汚水が流される場合を説明するための模式的断面図である。
図6】管路内浄化装置の他の例を示す模式図である。
図7】管路内浄化システムの他の例を示す模式図である。
図8】管路内浄化装置のさらに他の例を示す模式図である。
図9】管路内浄化システムおよび管路内浄化装置のさらに他の例を示す模式図である。
図10】管路内浄化装置の他の例を示す図である。
図11】管路内浄化装置を配管内に配設した管路内浄化システムの状態を示す図である。
図12】管路内浄化装置を配管内に配設した管路内浄化システムの状態を示す図である。
図13】管路内浄化装置の他の例を示す図である。
図14】管路内浄化装置を配管内に配設した管路内浄化システムの他の例を示す図である。
図15】管路内浄化装置の他の例を示す図である。
図16】管路内浄化装置を配管内に配設した管路内浄化システムの他の例を示す図である。
図17】管路内浄化システムのさらに他の例を示す模式図である。
図18】管路内浄化装置のさらに他の例を示す模式図である。
図19】管路内浄化システムのさらに他の例を示す模式図である。
図20】管路内浄化システムにおける接続部材を説明するための模式図である。
図21】管路内浄化システムにおける接続部材を説明するための模式図である。
図22】管路内浄化システムにおける接続部材を説明するための模式図である。
図23】管路内浄化システムにおける管路内浄化装置との嵌合を説明するための模式図である。
図24】管路内浄化システムにおける接続部材を説明するための模式図である。
図25】管路内浄化システムにおける接続部材を説明するための模式図である。
図26】管路内浄化システムにおける接続部材を説明するための模式図である。
図27】管路内浄化システムにおける管路内浄化装置との嵌合を説明するための模式図である。
図28】管路内浄化システムにおける管路内浄化装置を説明するための模式図である。
図29】管路内浄化システムにおける管路内浄化装置を説明するための模式図である。
【符号の説明】
【0041】
100、100a,〜,100i 管路内浄化装置
200 配管
280 シールホース部材
310,310c,〜,310g 微生物担体
320,320c,〜,320g 微生物担体
330,330a,330b 微生物担体
400,400a,〜,400g 曲面状部材
450c,〜,450g 固定部
500,500a,〜,500i 管路内浄化システム
700 接続部材
711 凸部
712 凸部
800 接続部材
810 凸部
P 最下部
U 最上部
R2 直径
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
【0043】
<実施の形態>
図1から図3は、本実施の形態にかかる管路内浄化装置100の一例を示す模式図である。図1は管路内浄化装置100の一例を示し、図2および図3は管路内浄化装置100を配管200内に配設した管路内浄化システム500の状態を示す。
【0044】
図1に示すように、管路内浄化装置100は、主に微生物担体310、320、および曲面状部材400を含む。
【0045】
曲面状部材400は、後述する配管200(図2参照)の内周面に沿った曲面からなる。また、曲面状部材400の端部には、微生物担体310,320が設けられる。
【0046】
さらに、曲面状部材400は、配管200の内周径よりもわずかに大きい外周径を有し、かつ弾性体からなる。その結果、曲面状部材400の弾性により微生物担体310,320を近づけることができる。この場合、配管200の内周径よりも曲面状部材400の外周径が小さくなり、配管200の内周に管路内浄化装置100を配設させることができる。
【0047】
また、図1および図2に示すように、微生物担体310,320は、最下部Pを挟んで対向して設けられる。さらに曲面状部材400は、最下部P近傍に存在しないよう、最下部Pを含まず、最上部Uを含む周で形成される。
ここで、最下部Pとは、配管200の最下部に位置されるポイントを示し、最上部Uとは、配管200の最上部に位置されるポイントを示す。
【0048】
また、曲面状部材400を構成する材料としては、例えば、ポリエチレン、塩化ビニル等の樹脂、繊維強化プラスチック、鋼、ダクタイル鋳鉄等の金属、鉄筋コンクリート等が挙げられる。
【0049】
本実施の形態にかかる管路内浄化装置100においては、微生物担体310,320が距離L1で対向して設けられる。
また、本実施の形態における微生物担体310,320は、厚みがt1からなり、幅はL3からなる。本実施の形態においては、厚み(t1)は、5mm以上50mm以下の範囲内で形成され、微生物担体の幅(L3)の合計は、前記管路の内周の30%以上95%以下の範囲内で形成される。
【0050】
微生物担体310,320は、厚みt1が5mm未満の場合に微生物を高密度に保持できず反応性が低下する問題があり、50mm超過の場合に抵抗が高くなり流速が低下する問題がある。また、微生物担体310,320は、幅の合計が30%未満の場合、反応性が低下するという問題があり、幅の合計が95%超過の場合、抵抗が高くなり流速が低下する問題がある。
そのため、上記のサイズであることが好ましい。
【0051】
微生物担体310,320は、好気性微生物等を付着させるために使用する粒状または小片の材料からなる。具体的に、微生物担体310,320を構成する材料は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタン等の樹脂またはセラミックス等からなる。
【0052】
なお、微生物担体310,320には、透水性が必要であることから、微生物担体310,320がポリエチレン、ポリプロピレン等の疎水性材料からなる場合、親水化処理が施されていることが好ましい。
また、微生物担体310,320は、酸素と微生物(好気性微生物)とを効率よく接触させる必要があるため、表面積が大きく、かつ、目詰まりし難い繊維状体、発泡体、多孔質体、または網状体等を用いることが好ましい。
【0053】
また、微生物担体310,320が発泡体からなる場合は、微生物担体310,320内部まで、汚水が透水する性質が好ましいことから、独立気泡タイプの発泡体よりも連続気泡タイプの発泡体を用いることが好ましい。なお、独立気泡タイプを用いてもよい。
【0054】
微生物担体310,320の形状は、例えば、球状、直方体状、立方体状、シート状、繊維状、網状等であってもよい。本実施の形態においては、微生物担体310,320を直方体状として説明する。
また、微生物担体310,320の流出防止のために、微生物担体310,320をさらに透水性の高い容器、例えば、網状体または有孔管等に封入してもよい。
【0055】
微生物担体310,320が繊維状体、発泡体、多孔質体、または網状体等からなる場合、微生物担体310,320の表面積を大きくするために空隙率が高いものが好ましい。具体的には、空隙率が50%を超えるものが好ましく、80%を超えるものがさらに好ましい。
なお、上記の空隙率とは、単位体積あたりにおける隙間の割合を100分率で表したものを意味する。
【0056】
また、図1および図2に示すように、微生物担体310,320の対向する距離(L1)は、管路内浄化システム500の直径R2の10%以上40%以下の範囲内の距離を有するものである。
また、図3に示すように、管路内浄化装置100は、配管200の延在方向に沿って延在して形成される。
なお、本実施の形態においては、曲面状部材400を配管200の延在方向に沿って延在して形成されることとしているが、これに限定されず、曲面状部材400が一定距離間隔で形成されてもよい。
【0057】
図2および図3に示す配管200は、下水管路として使用可能な材料であれば、特に限定されず、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル等の樹脂、繊維強化プラスチック、鋼、ダクタイル鋳鉄等の金属、鉄筋コンクリート等からなってもよい。また、配管200の断面形状は、円形、卵形などの断面形状が閉じた図形である管が挙げられるが、円形であることが好ましい。
なお、円形でない場合には、曲面状部材400が、各内周に沿って形成される。
【0058】
続いて、図4および図5は、管路内浄化システム500に汚水が流される場合を説明するための模式的断面図である。
【0059】
図4に示すように、管路内浄化システム500に水量の少ない汚水WLが流れる場合、微生物担体310,320は、空気による曝露状態となる。また、汚水WLは、流速を阻害されること無く下流へ流れる。
【0060】
一方、図5に示すように、水量の多い汚水WHが流れる場合、微生物担体310,320は、汚水WHによる浸漬により浄化作用を働かせることができる。
【0061】
以上のように、微生物担体310,320が、管路内の水位に応じて汚水による浸漬と、空気による曝露とを繰り返す。
その結果、微生物担体310,320に、微生物(好気性微生物)が自然に付着して増殖することができ、浄化作用を働かせることができる。
【0062】
<他の例>
次に図6から図9は、図1および図2に示した管路内浄化システム500および管路内浄化装置100の他の例を示す模式図である。
図6は管路内浄化装置100の他の例を示す模式図であり、図7は管路内浄化システム500の他の例を示す模式図である。
また、図8は、管路内浄化装置100の他の例を示す模式図であり、図9は管路内浄化システム500の他の例を示す模式図である。
【0063】
以下、管路内浄化装置100a,100b、管路内浄化システム500a,500bが、管路内浄化装置100、管路内浄化システム500と異なる点について説明する。なお、同じ部分については、説明を省略する。以下の他の例においても、同様の部分については、説明を繰り返さない。
【0064】
図6および図7に示すように、管路内浄化装置100aは、管路内浄化装置100と異なり、微生物担体310,320の代わりに、微生物担体330aが形成されたものである。微生物担体330aは、曲面状部材400aの内周側全体に設けられる。
【0065】
なお、本実施の形態においては、微生物担体330aを曲面状部材400aの内周側全体に設けられることとしたが、これに限定されず、曲面状部材400aの周囲全体に設けることとしてもよい。
【0066】
また、図6および図7における微生物担体330aは、配管200内の最下部に配設されないように配設すれば、抵抗が高くなり流速が低下する問題は生じにくい。
【0067】
また、図8および図9に示すように、管路内浄化装置100bは、管路内浄化装置100aの曲面状部材400aの代わりに、曲面状部材400bを設けたものである。曲面状部材400aよりも曲面状部材400bは、短く形成され、曲面状部材400aよりも短く形成された曲面状部材400bの端部に微生物担体330aよりも厚みの大きな微生物担体330bが形成される。
【0068】
図8および図9においては、汚水に浸漬する可能性の大きな部分について、曲面状部材400bが形成されず、代わりに微生物担体330bが形成されているものである。
【0069】
その結果、汚水による浸漬と、空気による曝露とが繰りかえされ、微生物担体330a,330bに、微生物(好気性微生物)が自然に付着して増殖し、浄化作用を働かせることができる。
【0070】
<さらに他の例>
次いで、図10から図12は、管路内浄化装置100の一例を示す模式図である。図10は管路内浄化装置100の他の例を示し、図11および図12は管路内浄化装置100cを配管200内に配設した管路内浄化システム500cの状態を示す。
【0071】
図10に示すように、管路内浄化装置100cは、主に微生物担体310c、320c、曲面状部材400cおよび固定部450cを含む。
【0072】
曲面状部材400cは、配管200(図11参照)の内周面に沿った曲面からなる。また、曲面状部材400cの端部には、微生物担体310c,320cが設けられる。微生物担体310c,320cは、最下部Pを挟んで対向して設けられる。
ここで、最下部Pとは、配管200の最下部に位置されるポイントを示す。
【0073】
次いで、図11に示すように、管路内浄化システム500cは、管路内浄化装置100cが固定部450cにより配管200の最下部Pに固定される。固定部450cは、管路内浄化装置100cを配管200に固定するためのものである。
例えば、固定部450cは、ネジ、ボルト、溶接体等である。なお、固定部450cと配管200との間を接着剤により固定してもよい。なお、その他溶接、嵌合、接着等を用いてもよい。
そのため、図10、11に示すように、固定部450cを設けなくてもよい。
【0074】
また、管路内浄化装置100cにおいては、微生物担体310c,320cが距離L1で対向して設けられる。
また、微生物担体310c,320cは、厚みがt1からなり、幅はL3からなる。本実施の形態においては、厚み(t1)は、5mm以上50mm以下の範囲内で形成され、幅(L3)の合計は、管路の内周の30%以上95%以下の範囲内で形成される。
【0075】
微生物担体310c,320cは、厚みt1が5mm未満の場合に微生物を高密度に保持できず反応性が低下する問題があり、50mm超過の場合に抵抗が高くなり流速が低下する問題がある。また、微生物担体310c,320cは、幅の合計が管路の内周の30%未満の場合、反応性が低下するという問題があり、幅の合計が管路の内周の95%超過の場合、抵抗が高くなり流速が低下する問題がある。そのため、上記のサイズであることが好ましい。
【0076】
<さらに他の例>
次に、図13および図14は、管路内浄化装置100のさらに他の例を示す模式図である。図13は管路内浄化装置100の他の例を示し、図14は管路内浄化装置100を配管200内に配設した管路内浄化システム500の他の例を示す。
以下、図10から図12の管路内浄化装置100cおよび管路内浄化システム500cと異なる点についてのみ説明する。
【0077】
図13に示すように、曲面状部材400dが、配管200の内周面(底面)に接触しないように形成されており、微生物担体310d,320dが曲面状部材400dの端部に取り付けられている。これにより、曲面状部材400dに、微生物担体を固定しやすくなる。
また、図13に示すように、曲面状部材400dは、固定部450dが形成されている。固定部450dは、管路内浄化装置100dを配管200の内周面から浮かせて固定するためのものである。
【0078】
なお、微生物担体310d,320dを直方体状としているが、凹凸を形成し、汚水とが接触する表面積をさらに大きくすることもできる。
また、曲面状部材400dの曲面率を一定にしているが、これに限定されず、少なくとも一部が、配管200の内周面に沿っていればよい。
管路内浄化システム500dは、配管200内に管路内浄化装置100dを設けることにより浄化の効率を高めることができる。
【0079】
<さらに他の例>
図15および図16は、管路内浄化装置100のさらに他の例を示す模式図である。図15は管路内浄化装置100の他の例を示し、図16は管路内浄化装置100を配管200内に配設した管路内浄化システム500の他の例を示す。
【0080】
図15に示すように、管路内浄化装置100eは、微生物担体310e,320eに曲面状部材400eが貫通して設けられている。また、曲面状部材400eの両端部に固定部450eが形成されている。
図16に示すように、管路内浄化システム500eは、管路内浄化装置100eを配管200内に設けることで形成される。
【0081】
この場合、管路内浄化システム500eにおいては、固定部450eが汚水と接触する可能性が極端に低くなるため、流速の低下を防止することができる。
【0082】
<さらに他の例>
図17は、管路内浄化システム500のさらに他の例を示す模式図である。
【0083】
図17に示すように、管路内浄化システム500fは、管路内浄化装置100fの微生物担体310f,320fが配管200の延在方向に沿って相互に設けられている。
【0084】
また、図17に示すように、曲面状部材400fが固定部450fにより固定され、曲面状部材400fに微生物担体310f,320fが設けられている。
【0085】
この場合、管路内浄化システム500fは、同じ長さで配管200内に設置する場合、微生物担体310f,320fの量を削減しつつ浄化を行うことができる。
【0086】
<さらに他の例>
図18および図19は、管路内浄化システム500および管路内浄化装置100のさらに他の例を示す模式図である。図18は管路内浄化装置100のさらに他の例を示す模式図であり、図19は管路内浄化システム500のさらに他の例を示す模式図である。
【0087】
管路内浄化装置100gにおいては、固定部450gの下部に嵌合部455gが形成されている。
また、図19に示すように、配管200においては、嵌合部455gと嵌合する溝255gが形成されている。
【0088】
その結果、配管200に管路内浄化装置100gを確実に固定することができ、容易に管路内浄化システム500gを形成することができる。
すなわち、配管200の最下部に管路内浄化装置100gを容易に配設することができる。
【0089】
また、図19に示すように、曲面状部材400gには、固定部450gが取り付けられており、曲面状部材400gの端部には、微生物担体310g,320gが設けられている。
【0090】
<接続部材を含む管路内浄化システム>
図20図21および図22は、管路内浄化システム500における接続部材700を説明するための模式図であり、図23は、管路内浄化システム500における管路内浄化装置100,100aとの嵌合を説明するための模式図である。図23においては、管路内浄化装置100を例に挙げて説明する。
図20は、接続部材700の正面を示し、図21は、接続部材700の側面を示し、図22は、接続部材700の下面を示す。
【0091】
図20から図22に示すように、接続部材700は、エルボ(L字状)の接続部材からなる。以下、通常の接続部材と異なる点について説明を行う。
【0092】
図20から図22に示すように、接続部材700は、2つの凸部711,712を備える。凸部711,712は、管路内浄化装置100,100aにおける配管200内に設けられた管路内浄化装置100,100aの微生物担体310,330a,320,の内側(最下点P側)を支持するよう形成される。
【0093】
その結果、図23に示すように、接続部材700を鉛直方向に配設させることで、配管200内に管路内浄化装置100,100aを配設させて外側から管路内浄化装置100,100aを視認できない場合あっても、容易に配管200の所定の位置に管路内浄化装置100,100aを配設することができる。
また、凸部711,712は、逆挿防止効果を得ることができるように形成される。
【0094】
なお、凸部711,712を形成する面は、テーパまたはR形状、C面からなってもよい。その結果、容易に接続部材700を管路内浄化装置100と容易に嵌合することができる。
【0095】
なお、接続部材700は、継手のエルボ形状としたが、これに限定されず、ソケット形状、T字形状(チーズ形状)等からなってもよい。また、曲面状部材400の部分または固定部450のいずれかを固定してもよい。
その結果、微生物担体310,330a,320,330bの外側が空気または汚水に交互に接触できるので、浄化作用を高めることができる。
【0096】
<接続部材を含む管路内浄化システムの他の例>
図24図25および図26は、管路内浄化システム500における接続部材800を説明するための模式図であり、図27は、管路内浄化システム500c,〜,500gにおける管路内浄化装置100c,〜,100gとの嵌合を説明するための模式図である。図27においては、管路内浄化装置100cを例に挙げて説明する。
図24は、接続部材800の正面を示し、図25は、接続部材800の側面を示し、図26は、接続部材800の下面を示す。
【0097】
図24から図26に示すように、接続部材800は、凸部810を有する。凸部810は、配管200の内周に嵌合するように形成されている。
すなわち、配管200の内周の一部に凸部810が嵌合するように形成される。
また、接続部材800の凸部810の面811,812は、管路内浄化システム500cにおける配管200内に設けられた管路内浄化装置100cの微生物担体310c,320cの外側(最上点U側)を支持するよう形成される。
【0098】
その結果、接続部材800を鉛直方向に配設させることで、配管200内に管路内浄化装置100c,〜,100gを配設させて外側から管路内浄化装置100c,〜,100を視認できない場合であっても、容易に配管200の最下部Pに管路内浄化装置100c,〜,100gを配設することができる。
また、凸部810は、管路内浄化装置100c,〜,100g以外のサイズで形成されているため、配管200の位置は、一様に決定することができる。すなわち、逆挿防止効果を得ることができる。
【0099】
なお、面811,812は、テーパまたはR形状、C面からなってもよい。
このように、容易に面811,812を、管路内浄化装置100cと容易に嵌合することができる。
【0100】
図28は、管路内浄化システム500hにおける管路内浄化装置100hを説明するための模式図である。
【0101】
図28に示すように、管路内浄化システム500hにおいては、配管200に対して、シールホース部材280が形成され、シールホース部材280に微生物担体330が予め取り付けられている。
【0102】
すなわち、いわゆるホースライニング工程を用いてシールホース部材280および微生物担体330を形成するものである。具体的には、予め微生物担体330が取り付けられたシールホース部材280を、配管200の内部に挿入して、空気を送り込み、配管200内にシールホース部材280および微生物担体330を反転させて、形成するものである。
【0103】
この場合、図28に示すように、配管200の最下部には、微生物担体330を形成していないため、配管200内を流れる水の流速を阻害することを防止することができる。
【0104】
次に、図29は、管路内浄化システム500iにおける管路内浄化装置100iを説明するための模式図である。
【0105】
以下、図29に示す管路内浄化システム500iは、図28に示した管路内浄化システム500hと異なる点のみについて説明を行う。
【0106】
図29に示す管路内浄化システム500iは、微生物担体330の代わりに、微生物担体310、320が形成される。
【0107】
図29に示す管路内浄化システム500iは、図28と同様に、配管200内にシールホース部材280および微生物担体310、320を反転させて、形成するものである。
【0108】
なお、本実施の形態においては、微生物担体310,330,330a,310,310c,〜310g,320,330b,320c,〜,320gが、配管200の長手方向に連続して延在する場合について説明したが、これに限定されず、断続的に配設されてもよい。例えば、微生物担体310,330a,310c,〜310gと、微生物担体320,330b,320c,〜,320gとが配管200の延在方向に対して千鳥状に配設されていてもよい。
さらに、曲面状部材400,400a,〜,400gが配管200の長手方向に沿って連続して延在する場合について説明したが、これに限定されず、配管200の長手方向に部分的に、または断続的に配設されていてもよい。
また、管路内浄化装置100,100a,〜,100iが、配管200の長手方向に沿って連続して延在する場合について説明したが、これに限定されず、ユニット化して、ロケット鉛筆のように、ユニットごと押し込みつつ配管200内に連続して挿入できる形態であってもよい。
【0109】
なお、接続部材800は、エルボ形状としたが、これに限定されず、ソケット形状、T字形状(チーズ形状)等からなってもよい。また、曲面状部材400c,〜,400gの部分または固定部450c,〜,450gのいずれかを固定してもよい。
その結果、微生物担体310c,〜310g,320c,〜,320gの外側が空気または汚水に交互に接触できるので、浄化作用を高めることができる。
【0110】
以上のように、本発明にかかる管路内浄化装置100、100a,〜,100iは、微生物担体310,330,330a,310c,〜,310g,320,330b,320c,〜,320gが、最下部Pを挟んで対向し、かつ配管200の長手方向に延在して設けられるので、配管200の最下部Pにおいて流速を確保しつつ、微生物担体310,330,330a,310c,〜,310g,320,330b,320c,〜,320gによる浄化作用も保持することができる。
【0111】
また、流量が少ない汚水WLの場合には、微生物担体310,330,330a,310c,〜,310g,320,330b,320c,〜,320gと接触せず、汚水の流速を低下させることがなく、流量が多い汚水WHの場合には、微生物担体310,330,330a,310c,〜,310g,320,330b,320c,〜,320gと接触し、浄化を行うことができる。
【0112】
また、接続部材700,800を用いることにより、凸部711,712、凸部810の面811,812が管路内浄化装置100、100a,〜,100gを配管200内に確実に配設させるので、管路内浄化装置100、100a,〜,100gを確実に所定の位置に配設させることができる。
【0113】
本発明においては、配管200が「管路」に相当し、管路内浄化装置100、100a,〜,100iが「管路内浄化装置」に相当し、曲面状部材400,400a,〜,400g、シールホース部材280が「曲面状部材」に相当し、微生物担体310,310c,〜,310gが「第1の微生物担体」に相当し、微生物担体320,320c,〜,320gが「第2の微生物担体」に相当し、微生物担体310,310c,〜,310g、微生物担体320,320c,〜,320g、微生物体330,330a,330bが「微生物担体」に相当し、最下部Pが「最下部」に相当し、距離L1が「第1の微生物担体および第2の微生物担体の距離」に相当し、直径R2が「管路径」に相当し、固定部450c,〜,450gが「固定部」に相当し、管路内浄化システム500,500a,〜,500iが「管路内浄化システム」に相当し、接続部材700,800は、「接続部材」に相当し、凸部711,712および凸部810が「設置部」に相当する。
【0114】
本発明の好ましい一実施の形態は上記の通りであるが、本発明はそれだけに制限されない。本発明の精神と範囲から逸脱することのない様々な実施形態が他になされることは理解されよう。さらに、本実施形態において、本発明の構成による作用および効果を述べているが、これら作用および効果は、一例であり、本発明を限定するものではない。
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