【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的を達成し、そしてまたその上この方法を工業的規模で実施することができる装置を提供するベンガラ顔料の製造方法が今見いだされた。
【0011】
本発明の方法は、少なくとも
a)鉄と硝酸との反応によって硝酸鉄(II)溶液を製造し、それによって第1窒素酸化物含有流れを生成し、任意選択的にその後、このようにして製造された硝酸鉄(II)溶液からいかなる未反応の鉄をも分離する工程、
b)鉄と硝酸との反応によって水性ヘマタイト核懸濁液を製造し、それによって第2窒素酸化物含有流れを生成し、任意選択的にその後、このようにして製造されたヘマタイト核懸濁液からいかなる未反応の鉄をも分離する工程、
c)I.工程b)からの水性ヘマタイト核懸濁液を、少なくとも1つの酸素含有ガスの存在下で工程a)からの硝酸鉄(II)溶液および少なくとも1つのアルカリ性沈澱剤と反応させることによって、および/または
II.工程b)からの水性ヘマタイト核懸濁液を、工程a)からの硝酸鉄(II)溶液、鉄、および少なくとも1つの酸素含有ガスと反応させることによって水性ヘマタイト顔料懸濁液を製造し、
それによって第3窒素酸化物含有流れを生成する工程、
d)水性ヘマタイト顔料懸濁液中に存在するヘマタイト顔料を水相から単離する工程、
e)工程b)からの第2窒素酸化物含有流れを酸化し、酸化された第2窒素酸化物含有流れを生成する工程、
f)第1窒素酸化物含有流れおよび/または第3窒素酸化物含有流れおよび/または工程e)からの酸化された第2窒素酸化物含有流れを水性洗浄相と接触させ、それによって予備精製ガス流れおよび硝酸に富む洗浄相を生成する工程、
g)任意選択的に少なくとも1つの触媒の存在下で、200〜1400℃の、好ましくは少なくとも1つの触媒の存在下で250〜500℃および/または触媒の不在下で800〜1400℃の温度に加熱することによって工程f)からの予備精製ガス流れから一酸化二窒素および/またはナイトラスガスを除去し、それによって精製ガス流れを生成する工程
を含む。
【0012】
好ましい一実施形態では本発明の方法は、工程a)〜g)に付け加えて
h)少なくともアンモニウム化合物および/または亜硝酸塩化合物および/または硝酸塩化合物、非常にとりわけ少なくともアンモニウム化合物、硝酸塩化合物および亜硝酸塩化合物を、当業者にそれ自体公知の方法を用いて、工程d)からの水相から除去し、精製廃水および任意選択的に塩に富む廃水を生成する工程を含む。
【0013】
さらなる好ましい実施形態では、本発明の方法は、工程a)〜g)またはa)〜h)に付け加えて
i)工程f)において形成された硝酸に富む洗浄相を工程a)、および/もしくはb)および/もしくはc)に戻す工程、ならびに/または
j)工程g)からの加熱された精製ガス流れを利用して工程f)からの予備精製ガス流れを予熱し、予熱された、予備精製ガス流れおよび冷却された、精製廃ガスを形成する工程
の1つもしくは複数の工程を含む。
【0014】
この時点で、本発明の範囲は、一般的であろうと好ましい範囲に規定されるものであろうと、上に示されるおよび下に述べられるそれらの成分、値の範囲および/またはプロセスパラメータのすべての所望のそして可能な組み合わせを包含することが指摘されてもよい。
【0015】
使用される鉄は一般に、ワイヤ、シート、釘状のもの、小塊または粗いやすり屑の形態の鉄を含む。その場合に個々の一片は、任意の所望の形状のものであり、約0.1ミリメートル〜約10ミリメートル以下の厚さ(例えば、ワイヤの直径またはシートの厚さとして測定される)を慣例上有する。本方法に使用されるワイヤ束のまたはシートのサイズは典型的には、実用性の見地で決定される。それ故に、一般にマンホールを通って、困難なしに、この出発原料を反応装置に装入することが可能でなければならない。そのような鉄は、何よりも、スクラップとして、または金属加工工業における副生成物として発生し、例は穿孔金属シートである。
【0016】
本発明の方法に使用される鉄は一般に、90%超の鉄含有量を有する。この鉄中に存在する不純物は慣例上、例えば、マンガン、クロム、ケイ素、ニッケル、銅、および他の元素などの外来金属である。しかしながら、高純度の鉄もまた、不都合なしに使用することができる。
【0017】
本発明の方法の工程a)およびb)に使用される硝酸は好ましくは、10〜67重量%HNO
3の、好ましくは20〜67重量%HNO
3の濃度を有する。工程b)および/またはc)において、硝酸に加えて、例えば、塩酸または硫酸などの、別の酸が使用されることもまた可能である。好ましくは、硝酸は別としてさらなる酸はこれらのプロセス工程にまったく使用されない。これは、本発明の方法によって得られる水性ヘマタイト核懸濁液、およびヘマタイトが、非常に低い硫黄含有量および塩素含有量を有するという利点を有する。これは、ある種の反応に対して硫黄および塩素は公知の触媒毒を構成するので、触媒での使用にとって利点である。
【0018】
硝酸鉄(II)溶液は典型的には、50〜300g/lのFe(NO
3)
2の濃度を有する(無水固体を基準とする数字)。Fe(NO
3)
2に加えて、硝酸鉄(II)溶液はまた、0〜50g/lの量のFe(NO
3)
3を含んでもよい。しかしながら、非常に低い量のFe(NO
3)
3が有利である。
【0019】
窒素酸化物は、本発明の目的のためには一般式NO
yの窒素−酸素化合物である。この群には、一般式NO
mのナイトラスガス(NO
xとも呼ばれる)が含まれ、ここで、窒素は+1〜+5の異なる酸化数を有することができる。それらの例は、NO(一酸化窒素、m=1、酸化数+2)、NO
2(二酸化窒素、m=2、酸化数+4)、およびN
2O
5(m=2.5、酸化数+5)である。NO
2は、その二量体N
2O
4と温度−および圧力依存性平衡にある(両方とも酸化数+IV)。以下、NO
2は、NO
2それ自体におよびその二量体N
2O
4に言及するものとする。N
2O(一酸化二窒素、笑気ガス、m=0.5、酸化数+1)もまた一般式NO
yの窒素酸化物の群に属するが、ナイトライトガスの中にあると見なされない。
【0020】
本発明の方法の工程a)からの第1窒素酸化物含有流れ、または工程c)からの第3窒素酸化物含有流れは典型的には、1〜200g/m
3のナイトラスガス(g/m
3 NO
2として計算される)および/または0.5〜50g/m
3のN
2Oを含有する。これらの流れ中のナイトラスガスおよび一酸化二窒素の量は、広い範囲内で変動し得る。本発明の方法の工程a)は一般に、少量のナイトラスガスおよび一酸化二窒素を生成し、それらは慣例上、これらの反応装置が慣例上閉鎖式であるので、反応装置中の反応混合物の上方に蓄積する。吸引または吹込みによる反応装置中への、外来空気とも呼ばれる、空気または、窒素などの、不活性ガスの導入は、第1窒素酸化物含有流れを生成する。
【0021】
本発明の方法の工程b)において、一般に、反応レジームによれば、工程a)の場合よりも著しく高い量のナイトラスガスおよび一酸化二窒素が生成し、これらの量は、これらの反応装置が閉鎖式である場合には反応装置中の反応混合物の上方に同様に蓄積するか、または、例えば、許容圧力を超えるときに、反応装置が開放式である場合には反応装置に連結されたライン中へ押し出される。吸引または吹込みによる反応装置中への、外来空気とも呼ばれる、空気または不活性ガス、例えば窒素の導入によって、定義されたレベルのナイトラスガスおよび一酸化二窒素の流れが次に発生し得る。これらの流れ中のナイトラスガスおよび一酸化二窒素の量はそのとき、反応中に形成されるこれらのガスの量に、および装置へ供給される外来空気の量に、および外来空気供給の継続時間に依存し、その結果としてさらなるプロセス工程に有利な所望のレベルに調節され得る。反応装置からの脱出後に第1および第2窒素酸化物含有流れを組み合わせること、または工程b)用の反応装置への外来空気の代用として第1窒素酸化物含有ガス流れを導入することが有利であり得る。得られた組み合わせ第1および第2窒素酸化物含有流れは典型的には、1〜50g/m
3のナイトラスガス(g/m
3 NO
2として計算される)および/または1〜50g/m
3の一酸化二窒素を含有する。
【0022】
本発明の方法の工程b)からの第2窒素酸化物含有流れは典型的には、1〜2000g/m
3のナイトラスガス(g/m
3 NO
2として計算される)、および0.5〜2000g/m
3の一酸化二窒素の濃度を有する。反応中の反応装置への少なくとも1つの酸素含有ガスの導入の結果として、第2窒素酸化物含有流れが発生する。ナイトラスガスおよび一酸化二窒素の量はその結果としてまた、少なくとも1つの酸素含有ガスの流量によって調節され得る。
【0023】
工程e)後に得られた酸化された第2窒素酸化物含有流れは典型的には、一酸化窒素の元のフラクション、すなわち、工程f)の前に存在するフラクションの50%以下、好ましくは30%未満、より好ましくは15%未満を含有する。
【0024】
工程b)において製造された水性ヘマタイト核懸濁液は典型的には、50〜300g/lのヘマタイト、好ましくは80〜150g/lのヘマタイトの濃度を有する。工程b)に従って製造された、そして水性ヘマタイト核懸濁液中に存在するヘマタイト核は、例えば、100nm以下の粒径および/または40m
2/g〜150m
2/gの比BET表面積を有する。このヘマタイト(α−Fe
2O
3)はまた、他の相、例えば、ゲータイト(α−FeOOH)および/またはフェリハイドライト(5Fe
2O
3・9H
2O)のフラクションを含有してもよい。
【0025】
変形Iにおける工程c)からの少なくとも1つのアルカリ性沈澱剤は、例えば、NaOH、KOH、Na
2CO
3、K
2CO
3、NH
3もしくはNH
4OH、または他のアルカリ金属およびアルカリ土類金属水酸化物および炭酸塩、またはそれらの任意の所望の混合物である。アルカリ金属水酸化物またはアルカリ金属炭酸塩を使用することが好ましく、NaOHを使用することが特に好ましい。
【0026】
変形IまたはIIにおける工程c)からの少なくとも1つの酸素含有ガスは、例えば、空気、酸素、NO、NO
2、O
3、または述べられたガスの混合物である。空気が好ましい。
【0027】
工程d)に従った水相からの水性ヘマタイト顔料懸濁液中に存在するヘマタイト顔料の単離は、好ましくは沈降、濾過または遠心分離によって成し遂げられる。除去される水相は、とりわけ、硝酸塩化合物、亜硝酸塩化合物およびアンモニウム化合物を含み、こうして典型的には、0.2〜10g/lの窒素、好ましくは0.2〜5g/lの窒素(各場合に元素状窒素に関して計算される)の総窒素含有量を有する。
【0028】
あるいは本発明に関連してベマタイド顔料とも言われる、本発明の方法によって得られるベンガラ顔料は、好ましくは80〜100重量%のα−Fe
2O
3を含有し、α−Fe
2O
3の結晶格子は、0〜10重量%の結晶水を含有する。本発明の方法によって得られるヘマタイトは、広い色のスペクトルを有する。ヘマタイトの色は、粒径、粒度分布、結晶水の量および/または外来原子の組み込みによって左右される。明度は、当業者に公知の方法によって測定される。
【0029】
水性洗浄相は典型的には、水または希硝酸、好ましくは希硝酸、より好ましくは循環搬送される硝酸である。
【0030】
硝酸に富む洗浄相は典型的には、1〜67重量%、好ましくは5〜67重量%のHNO
3含有量を有する。
【0031】
触媒は好ましくはあるいは、ナイトラスガスの分解用のおよび/または一酸化二窒素の分解用の触媒である。触媒の例は、活性炭、シリカゲル、モレキュラーシーブ、バナジウム−亜鉛触媒またはクロム−亜鉛触媒である。
【0032】
プレ浄化ガス流れは典型的には、20〜90℃の、好ましくは30〜80℃の温度を有し、ナイトラスガス(NO
2として計算される)の元のフラクション、すなわち、工程f)の前に存在するフラクションの好ましくは50%以下、より好ましくは30%未満、非常に好ましくは15%未満を含む。
【0033】
予熱されたプレ浄化ガス流れは典型的には、250〜500℃の、より好ましくは300〜450℃の温度、および0.5〜20g/m
3のナイトラスガス(g/m
3 NO
2として計算される)、好ましくは0.5〜20g/m
3のナイトラスガス(g/m
3 NO
2として計算される)、および/または1〜40g/m
3のN
2Oを有する。
【0034】
精製廃ガスは典型的には、150〜1500℃の、好ましくは150〜500℃の温度を有する。精製廃ガスは典型的には、0.001〜0.3g/m
3のナイトラスガス(g/m
3のNO
2として計算される)、好ましくは0.005〜0.3g/m
3のナイトラスガス(NO
2として計算される)、および/または0.001〜0.3g/m
3のN
2O、好ましくは0.005〜0.3g/m
3のN
2Oを有する。
【0035】
冷却された精製廃ガスは典型的には、80℃〜450℃の、好ましくは150〜350℃の温度を有する。冷却された精製廃ガスは典型的には、0.001〜0.3g/m
3のナイトラスガス(g/m
3のNO
2として計算される)、好ましくは0.005〜0.3g/m
3のナイトラスガス(NO
2として計算される)、および/または0.001〜0.3g/m
3のN
2O、好ましくは0.005〜0.3g/m
3のN
2Oを有する。
【0036】
精製廃水は、少ない残存量の溶解窒素化合物を含有するにすぎない。精製廃水は典型的には、0.2g/l以下の窒素、好ましくは0.1g/l以下の窒素、より好ましくは0.02g/l以下の窒素の総窒素含有量(各場合に元素状窒素に関して計算される)を有する。
【0037】
塩に富む廃水は典型的には、先行精製工程において除去された塩を含む。塩に富む廃水は好ましくは硫酸塩を含む。
【0038】
工程a)および/またはb)は、鉄と硝酸との反応のための当業者に公知の任意の方法によって行われてもよい。
【0039】
工程a)において、例えば、硝酸の1モル当たり0.4〜10モルの鉄が、硝酸鉄(II)溶液を与えるために、60℃以下、好ましくは10〜60℃の温度で反応させられる。過剰の鉄が使用される場合には、硝酸鉄(II)溶液は、未反応の鉄から容易に分離され得る。次のバッチにおいて、任意選択的に、さらなる鉄および/またはさらなる硝酸が添加される。
【0040】
本発明の方法の工程b)およびc)は、当業者に公知の任意の方法によって行われてもよい。工程b)およびc)は好ましくは、欧州特許出願公開第1106577A号明細書または国際公開第2013/045608号パンフレットの手順に従って実施される。
【0041】
これは、例えば、硝酸への鉄の暴露時の反応温度が少なくとも90℃、好ましくは90〜99℃である状態で、本発明の方法の工程b)を用いてヘマタイト核懸濁液を生み出すことによって成し遂げられる。
【0042】
工程b)の別の好ましい実施形態では、水性ヘマタイト核懸濁液は、硝酸が2〜6重量%HNO
3の濃度を有し、そして1.5〜16の鉄対硝酸(HNO
3)のモル反応比で使用される状態で、生み出される。工程b)のさらなる好ましい実施形態では、水性ヘマタイト核懸濁液は、硝酸が2〜15重量%HNO
3の濃度を有する状態で、生み出される。工程b)のさらなる好ましい実施形態では、鉄対硝酸(HNO
3)は、1.0〜16のモル反応比で使用される。
【0043】
工程b)のさらなる好ましい実施形態では、水性ヘマタイト核懸濁液は、水性ヘマタイト核懸濁液中に存在するヘマタイト核が100nm以下の粒径およびDIN 66131に従って測定される、40m
2/g〜150m
2/gの比BET表面積を有する状態で、製造され、その製造は、少なくとも
i)60〜120℃の温度を有する鉄と水との混合物を提供する工程、
ii)工程i)からの混合物に硝酸を添加する工程、および
iii)任意選択的にその後、このようにして製造された水性ヘマタイト核懸濁液からいかなる未反応の鉄をも分離する工程
を含む。
【0044】
さらなる好ましい実施形態では、工程ii)において、硝酸は、反応混合物が好ましくは、熱の外部供給なしでさえも、硝酸の添加の終了後の120分未満内に少なくとも15℃だけ温まるような速度で工程i)からの混合物に添加される。同様に好ましくは、工程ii)における反応混合物は、105〜160℃の最高温度に達する。同様に好ましくは、工程i)およびii)は、圧力容器で行われる。同様に好ましくは、工程ii)における硝酸の添加の終了後、工程iii)が実施される前に100℃未満への反応温度の低下が待たれる。
【0045】
工程c)の変形Iの好ましい一実施形態では、反応中の温度は、70〜100℃、好ましくは75〜90℃である。工程a)からの硝酸鉄(II)溶液および少なくとも1つのアルカリ性沈澱剤が計量供給され、反応混合物は、ベンガラ顔料が所望の色合いを達成するまで、少なくとも1つの酸素含有ガスで、好ましくは、1時間当たりおよび懸濁液の1リットル当たり、0.2〜100リットルの少なくとも1つの酸素含有ガス、好ましくは空気で酸化される。
【0046】
工程c)の変形IIの好ましい一実施形態では、ヘマタイト顔料懸濁液は、70〜100℃、好ましくは75〜90℃の温度でのヘマタイト核懸濁液と鉄および硝酸鉄(II)溶液との反応によって、およびベンガラ顔料が所望の色合いを達成するまで、1時間当たりおよび懸濁液の1リットル当たり、0.2〜100リットルの少なくとも1つの酸素含有ガス、好ましくは空気での酸化によって製造される。
【0047】
工程c)の変形IIのさらなる好ましい実施形態では、工程b)からの水性ヘマタイト核懸濁液は、ベンガラ顔料を与えるために、工程a)からの硝酸鉄(II)溶液、および鉄、少なくとも1つの酸素含有ガスならびに、例えば硫酸鉄(II)および/またはアルカリ金属もしくはアルカリ土類金属硫酸塩、好ましくは硫酸鉄(II)および/または硫酸ナトリウムのような、少なくとも1つの硫酸塩と反応させられる。反応の温度は、70〜100℃、好ましくは75〜90℃である。少なくとも1つの酸素含有ガスとして、好ましくは、空気が使用され、その量は好ましくは、ベンガラ顔料が所望の色合いに達するまで1時間当たりおよび懸濁液の1リットル当たり0.2〜50リットルの空気である。
【0048】
工程c)のさらなる好ましい実施形態では、工程b)からの水性ヘマタイト核懸濁液は、ベンガラ顔料を与えるために、工程a)からの硝酸鉄(II)溶液と、少なくとも、1つのアルカリ性沈澱剤、鉄、少なくとも1つの酸素含有ガスならびに任意選択的に、例えば硫酸鉄(II)および/またはアルカリ金属硫酸塩もしくはアルカリ土類金属硫酸塩、好ましくは硫酸鉄(II)および/または硫酸ナトリウムのような、少なくとも1つの硫酸塩と反応させられる。反応の温度は、70〜100℃、好ましくは75〜90℃である。少なくとも1つのアルカリ性沈澱剤はより好ましくは、酸素含有ガスの供給が続行されながら、例えば10g/l以下の鉄(II)イオンの残存濃度で、非常に好ましくは5g/l以下の鉄(II)イオンの残存濃度でのように、反応の終わりに、反応混合物に添加される。使用される酸素含有ガスは、その量が好ましくは、ベンガラ顔料が所望の色合いに達するまで1時間当たりおよび懸濁液の1リットル当たり0.2〜50リットルの空気であるという状態で、好ましくは空気を含む。
【0049】
少なくとも1つの酸素含有ガスの供給は、すべての好ましい実施形態で、工程b)からのヘマタイト核懸濁液、工程a)からの硝酸鉄(II)溶液、および鉄からなる反応混合物の加熱段階中にか、加熱段階の終了後にかのどちらかで、開始されてもよい。
【0050】
少なくとも1つの硫酸塩、例えば硫酸鉄(II)および/またはアルカリ金属硫酸塩もしくはアルカリ土類金属硫酸塩、好ましくは硫酸鉄(II)および/または硫酸ナトリウムが、溶液、懸濁液または固体の形態ですべての好ましい実施形態で使用されてもよい。固体はこの場合には、無水化合物のまたは結晶水を含有する異なる変態の形態にある。硫酸鉄(II)は好ましくは、水溶液の形態でまたは固体硫酸鉄(II)七水和物もしくはその懸濁液の形態で使用される。
【0051】
工程c)の別の好ましい実施形態では、少なくとも1つの硫酸塩、例えば硫酸鉄(II)および/またはアルカリ金属硫酸塩もしくはアルカリ土類金属硫酸塩、好ましくは硫酸鉄(II)および/または硫酸ナトリウムは、酸素含有ガスの供給の開始前におよび/または開始後に反応混合物に添加される。これは、使用されなければならない硝酸鉄(II)溶液がより少ないという、そしてヘマタイト顔料懸濁液からの、反応中に形成された、ヘマタイト顔料の沈降が加速されるという利点を有する。これは、本発明の方法の工程d)におけるヘマタイト顔料のその後の単離を容易にする。
【0052】
本発明の方法の工程d)において、懸濁液中に存在するベンガラ顔料の単離は、好ましくは濾過および/または沈降および/または遠心分離によって、成し遂げられる。同様に好ましくは、フィルターケーキは洗浄され、その後フィルターケーキは乾燥させられる。同様に好ましくは、水相からのベンガラ顔料の単離の前に、1つもしくは複数のスクリーニング工程が、より好ましくは異なる網目サイズを使っておよび(数が)小さくなる網目サイズを使って、実施される。これは、この手段によって、さもなければヘマタイト顔料を汚染するであろう、外来物質、例えば金属片が、ヘマタイト顔料懸濁液から除去されるという利点を有する。
【0053】
水相からのヘマタイト顔料の単離のために、当業者に公知の方法のすべて、例えば、水相のその後の除去ありの沈降、または例えば膜フィルタープレスを用いるような、フィルタープレスを用いる濾過を実施することが可能である。
【0054】
工程d)の好ましい一実施形態では、少なくとも1つの硫酸塩、例えば硫酸鉄(II)および/またはアルカリ金属硫酸塩もしくはアルカリ土類金属硫酸塩、好ましくは硫酸鉄(II)および/または硫酸ナトリウムが、スクリーニング中にもしくはスクリーニング後におよび/または単離中にもしくは単離前にヘマタイト顔料に添加されてもよい。これは、ヘマタイト顔料懸濁液からのヘマタイト顔料の沈降が加速されるという利点を有する。これは、本発明の方法の工程d)におけるベンガラ顔料のその後の単離を容易にする。
【0055】
その後、任意選択的に、このようにして単離されたフィルターケーキまたは沈降物の少なくとも1つの洗浄がある。単離および/または洗浄後に、任意選択的に、このようにして単離されたベンガラ顔料は、例えばフィルター乾燥機、ベルト乾燥機、捏和乾燥機、スピンフラッシュ乾燥機、乾燥キャビネットまたは噴霧乾燥機で乾燥させられる。乾燥は好ましくは、ベルト乾燥機、プレート乾燥機、捏和乾燥機および/または噴霧乾燥機を用いて行われる。
【0056】
工程e)における、工程b)からの第2窒素酸化物含有流れの酸化は、例えば、第2窒素酸化物含有流れを、任意選択的に1つもしくは複数の触媒のおよび/または高エネルギー放射線、例えばUV放射線の存在下で、少なくとも1つの酸化剤と接触させることによって成し遂げられる。酸化剤は典型的には、空気、酸素、オゾンまたは過酸化水素、好ましくは空気である。
【0057】
酸化は、例えば20〜300℃の温度で行われる。
【0058】
酸化は、例えば0.08MPa〜2MPa(0.8〜20バール)の圧力で行われる。好ましくは酸化は、0.08MPa〜1MPa(0.8〜10バール)の圧力で行われる。典型的には酸化は、より高い圧力で加速される。第2窒素酸化物含有流れの酸化中の反応の1つは、NO
2へのNOの酸化である。
【0059】
工程f)において、第1窒素酸化物含有流れ−および、工程c)が変形IIに従って実施された場合に、その上第3窒素酸化物含有流れ−およびまた工程e)からの酸化された第2窒素酸化物含有流れは、プレ浄化ガス流れおよび硝酸に富む洗浄相を生成するために、水性洗浄相と接触させられる。この操作において、特に、NO
2は、工程a)およびc)の窒素酸化物含有流れから、または工程e)からの酸化された窒素酸化物含有流れから除去される。
【0060】
NO
2と水性洗浄相との反応によって、硝酸が形成され、だから水性洗浄相のHNO
3濃度は、所望の最終濃度に達するまで、NO
2含有流れのスクラビング中に連続的に上昇する。最終HNO
3濃度は好ましくは、10〜67重量%、より好ましくは20〜67重量%である。所望の最終HNO
3濃度に達したとき、形成された硝酸は、スクラブサーキットから取り出され、水にまたは所望の最終HNO
3濃度よりも下の硝酸に置き換えられる。
【0061】
本発明の方法の工程f)に従って得られたプレ浄化ガス流れは、工程f)の前に存在するNO
2の元のフラクションの例えば50%以下、好ましくは30%未満、より好ましくは15%未満を含有する。工程f)に使用される流れ中に存在するNOは、NO
2よりもはるかに少ない程度に水相に溶解するが、NO含有量は、一つには平衡反応または酸化によってスクラブ中でさえも変わる。N
2Oは、NO
2よりも著しく低い程度に水相に可溶である。ガス流れのN
2O濃度へのスクラブの影響は典型的には、わずかであるにすぎない。
【0062】
工程g)は好ましくは、1つもしくは複数の触媒の存在下で実施される。対応するプロセスは、DeNOxプロセスあるいはSCR(選択接触還元)またはNSCR(非選択接触還元)プロセスとして当業者に十分に周知である。一酸化二窒素の熱分解法はまた、DeN2O(登録商標)プロセス名の下で公知である。
【0063】
プレ浄化ガス流れはここでは典型的には、任意選択的に少なくとも1つの担体に適用されていてもよい、1つもしくは複数の触媒の存在下で、アンモニアと、または分解してアンモニアを形成する化合物、例えば尿素と接触させられる。触媒は典型的には、二酸化チタン、五酸化バナジウムおよび酸化タングステンおよび/またはゼオライトおよび/または白金および/または他の金属酸化物を含む。ナイトラスガスおよびアンモニアはここでは共均化反応で反応して窒素および水を形成するか、またはアンモニアよりはむしろ尿素が使用される場合には窒素、二酸化炭素および水を形成する。同時に、使用される触媒に依存して、一酸化二窒素は、窒素および酸素へ熱分裂する(分解触媒作用)。しかしながら、一酸化二窒素はまた、触媒なしに、他の窒素酸化物の除去前または除去後に熱分裂し得る。この目的のためには、一酸化二窒素は、必要とされる温度に間接的にまたは直接加熱されてもよい。直接加熱は、一酸化二窒素を含有する廃ガスの存在下で、炭素質燃料、例えば天然ガスまたはガソリンの燃焼によって行われる。この場合には二酸化炭素および窒素が直接形成される。工程g)は好ましくは、一段階でおよび少なくとも1つの触媒の存在下でおよびアンモニアまたは分解してアンモニアを形成する少なくとも1つの化合物、例えば尿素の存在下で実施される。工程f)からのプレ浄化ガス流れは、この工程で250〜500℃、より好ましくは300〜450℃の温度に上げられる。
【0064】
別の実施形態では、工程g)は2段階で実施される。その場合には、工程f)からのプレ浄化ガス流れは、
i)250〜500℃、より好ましくは300〜450℃の温度に加熱され、その後
ii)800〜1400℃の温度に加熱される。
【0065】
この場合には、第1工程において、一酸化窒素および二酸化窒素などの窒素酸化物が分解される、接触DeNOx反応があり、第2工程において、一酸化二窒素の無触媒熱分解がある。
【0066】
本発明の方法の工程h)において、典型的には、鉄含有化合物、例えば鉄塩、とりわけ鉄(II)塩、および/または窒素含有化合物、例えばアンモニウム化合物、硝酸塩化合物もしくは亜硝酸塩化合物、および/または硫黄含有化合物、例えば硫酸塩化合物は、例えば酸化的沈澱および/または脱窒および/または凝固および/または凝集および/または沈降および/または濾過および/または限外濾過および/または逆浸透によって工程d)からの水相から除去される。浄化廃水は、反応装置での化学操作のためにまたは、例えば濾過操作用の洗浄水として、他の工程のために再び使用することができる。
【0067】
これらの目的のために、本発明の方法の工程d)からの廃水は、脱窒される、および/または少なくとも1つの凝固工程にかけられる、および/または少なくとも1つの凝集工程にかけられる、および/または少なくとも1つの沈降工程にかけられる、および/または少なくとも1つの濾過工程にかけられる、および/または少なくとも1つの限外濾過工程にかけられる、ならびに/または少なくとも1つの逆浸透工程によってさらに浄化される。
【0068】
工程d)からの水相からのアンモニウム化合物、亜硝酸塩化合物および硝酸塩化合物の除去は、例えば生物学的脱窒によるまたはAnammoxプロセスとして公知の方法によるように、様々な方法によって行われてもよい。
【0069】
生物学的脱窒の場合には、廃水に溶解した硝酸塩化合物は、特異的な微生物を用いて、嫌気条件下に、すなわち、酸素を排除して分子窒素に還元される。生物学的脱窒の特異的な一変形は、微生物が二酸化炭素の形態で、脱窒のために必要とされる炭素を吸収する、Anammoxプロセスである。他の方法では、微生物は、他の炭素源、例えばメタノールまたはエタノールなどのアルコールを与えられなければならない。
【0070】
廃水中に溶解したアンモニウム化合物および亜硝酸塩化合物はさらに、特異的な微生物を用いて、好気条件下に、すなわち、酸素の存在下で硝酸塩化合物へ酸化されてもよい(硝化)。硝化(好気性)および脱窒(嫌気性)の工程が組み合わせられてもよい。この目的のためには、それらは相次いで実施されてもよく、その場合に硝化は、脱窒の後に行われてもよい、および/または脱窒は、硝化の後に行われてもよい。好ましい実施形態では、硝化および脱窒の工程は、相次いで多数回実施される。これは、結果として、廃水中に溶解した窒素化合物の量をさらに低下させることができるという利点を有する。
【0071】
これに好ましくは、少なくとも1つの凝固および少なくとも1つの凝集が続く。この場合には、廃水中に懸濁した固形分は好ましくは、より大きい粒子へ集合させられ、凝集によって除去される。凝集工程において、あらかじめ凝固した粒子の凝集を促進する化学薬品が廃水に添加され;そのような化学薬品の例は、有機もしくは無機ポリマーである。これらの工程において、廃水中に存在する鉄イオもまた沈澱によって除去される。
【0072】
これに好ましくは、少なくとも1つの沈降が続き、沈降で凝集した粒子は、懸濁液の底部に沈降し、連続的にまたは不連続的に取り出すことができる。このようにして分離されたスラッジは、プレスし、乾燥させ、次に廃棄物再利用のために送ることができる。
【0073】
これに好ましくは、少なくとも1つの濾過が続く。この場合には、このように処理された廃水の水相は、1つもしくは複数の段階によって濾過される。これに好ましくは、少なくとも1つの限外濾過が続き、限外濾過で特有の膜が、0.1〜0.001μmの範囲の粒子−例えば、高分子物質、コロイド状物質、ポリマー物質−を水相から分離する。
【0074】
これに好ましくは、少なくとも1つの逆浸透が続く。ここで、イオンまたはより大きい分子は、半透膜に保持され、その結果ほぼ純粋な形態の水のみが半透膜を通過する。本発明の方法では、逆浸透は、塩、例えばリン酸塩、塩化物および/または硫酸塩を廃水から好ましくは分離し、塩は逆浸透後に塩に富む廃水中にある。好ましい一実施形態では、工程c)および/またはd)が、硫酸塩を使用して実施される場合には、塩に富む廃水は、工程c)および/または工程d)に戻される。これは、プロセス中に存在する硫酸塩が大部分再使用され、そして硫酸塩を外部原材料としてプロセスへ導入する必要がまったくないという利点を有する。
【0075】
本発明の方法の工程h)において浄化された廃水は、反応装置での化学操作のためにまたは、例えば濾過操作用の洗浄水として、他の工程のために再使用することができる。廃水浄化の代替手段として、述べられたアンモニウム化合物、亜硝酸塩化合物および硝酸塩化合物を含有する、工程d)からの廃水は、任意選択的に他の好適な成分とともにおよび/または逆浸透もしくは蒸発による濃縮後に、肥料として、単独でまたは混合物で、使用することができる。
【0076】
本発明の方法のさらなる好ましい実施形態では、工程j)において、典型的には200〜1400℃の、工程g)が少なくとも1つの触媒の存在下で実施された場合には、好ましくは250〜500℃の、工程g)が触媒の不在下で実施された場合には、好ましくは800〜1400℃の温度の、工程g)後に得られた加熱されたプレ浄化ガス流れは、工程f)からのプレ浄化ガス流れを予熱するために利用される。
【0077】
本発明は、本発明の方法を実施するために好適な装置をさらに包含する。この装置は図を用いて、より詳細に以下に説明される。