(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明に係る給紙装置の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能、且つ、容易なもの、或いは実質的に同一のものが含まれる。
【0010】
〔実施形態〕
図1は、実施形態に係る給紙装置を備えるスキャナの模式図である。
図1に示すスキャナ1に備えられる給紙装置5は、積層された複数の被搬送体である原稿Sを1枚ずつ分離し、分離した原稿Sを、原稿Sの画像を読み取る画像読取部50側に搬送する装置として構成されている。給紙装置5は、画像読取部50側に送る原稿Sを載置する原稿載置台10を有している。原稿載置台10は、スキャナ1の使用時に、原稿Sの搬送方向における上流側から下流側に向かうに従って、上方から下方に向かう方向に傾斜するようにスキャナ1のスキャナ本体2に取り付けられており、上面側が、原稿Sを載置する載置面15になっている。
【0011】
また、給紙装置5は、原稿載置台10に載置された原稿Sを、原稿Sの送り方向における下流側に給送する給送機構30を有しており、スキャナ本体2は、給送機構30を支持するベース部としても設けられている。即ち、給送機構30を構成する各部材は、ベース部であるスキャナ本体2に、直接、或いは間接的に取り付けられている。このようにスキャナ本体2に取り付けられる給送機構30は、回転することにより原稿Sを送り出すピックローラ31と、ピックローラ31で給送する原稿Sを分離して、1枚だけ画像読取部50側に送ることが可能な分離部材35と、を有している。
【0012】
このうち、ピックローラ31は、略円柱状の形状で形成され、ゴム等の比較的摩擦係数が高い部材によって外周面が形成されており、回転軸33が、原稿Sの搬送方向に直交し、略水平方向に向かう向きで回転自在に形成されている。このピックローラ31は、給送駆動モータ45から伝達される駆動力により、外周面における上端側が、原稿Sの給送方向における下流側に向かう方向に、回転軸33を中心として回転可能に設けられている。
【0013】
また、分離部材35は、ピックローラ31の上端付近における下流寄りの位置で、ピックローラ31の直近に配設されている。この分離部材35は、回転するピックローラ31によって搬送方向における下流側に向かう原稿Sのうち、ピックローラ31に接触している原稿S以外の原稿Sの移動を規制することにより、1枚だけを画像読取部50側に送ることが可能になっている。
【0014】
スキャナ本体2に取り付けられる原稿載置台10は、第1回動軸21を中心として回動可能に、給送機構30での原稿Sの給送方向における下流側の端部がスキャナ本体2に連結されている。第1回動軸21は、給送機構30での原稿Sの給送方向における給送機構30の下流側に位置しており、ピックローラ31の回転軸33に平行な回転軸になって、原稿載置台10とスキャナ本体2とを連結している。
【0015】
このようにスキャナ本体2に連結される原稿載置台10は、第1部材11と第2部材12とを有しており、第1部材11は、第1回動軸21を中心として回動可能にスキャナ本体2に連結されている。また、第2部材12は、第1部材11における、スキャナ本体2に連結される側の端部の反対側の端部に連結されており、第1回動軸21に対して平行に設けられる第2回動軸22を中心として回動可能に、第1部材11に連結されている。
【0016】
これらの第1部材11と第2部材12とは、共にスキャナ1の通常の使用時における上面側が、原稿Sを載置する載置面15になっている。即ち、第1部材11の原稿Sの載置面である第1載置面16と、第2部材12の原稿Sの載置面である第2載置面17とは、共にスキャナ1の通常の使用時における第1部材11や第2部材12の上面側に形成されている。このうち、第1載置面16には、給送機構30での給送方向に移動する原稿Sに対する摩擦抵抗を低減する摩擦低減処理が施されている。例えば、第1載置面16には、フッ素系の材料等の摩擦係数が低い材料によって表面処理が施してあり、これにより第1載置面16は、摩擦係数が低くなっている。
【0017】
また、第1部材11には、ピックローラ31が通る孔であるピックローラ孔13が形成されている。つまり、ピックローラ31は、給送機構30での原稿Sの給送時には、回転軸33を中心として回転しつつ、外周面における上端側が原稿Sに接触することにより、原稿Sを送り出すことが可能になっている。一方、第1部材11の回動時における回動軸であり、給送機構30での原稿Sの給送方向における給送機構30の下流側に位置する第1回動軸21は、給送機構30での原稿Sの給送方向におけるピックローラ31の下流側に位置している。
【0018】
このため、第1部材11には、回転軸33が第1部材11の下方側に位置するピックローラ31の上半側の部分を第1部材11の下面側から上面側に向かって通し、ピックローラ31の上端部分を第1載置面16よりも上方側に位置させる孔であるピックローラ孔13が形成されている。スキャナ1の通常の使用時には、ピックローラ31は、上端付近がピックローラ孔13を通ることにより、上端部分が第1載置面16よりも上方側に位置する状態になっている。
【0019】
このように、第1部材11と第2部材12とからなる原稿載置台10は、載置台駆動モータ25で発生する駆動力が伝達されることにより、第1回動軸21や第2回動軸22を中心として回動可能になっている。つまり、原稿載置台10は、載置台駆動モータ25で発生した駆動力を伝達する伝動機構(図示省略)を有しており、これにより、原稿載置台10は、第1回動軸21を中心として第1部材11が回動し、第2回動軸22を中心として第2部材12が回動することが可能になっている。
【0020】
また、スキャナ本体2内には、給送機構30での原稿Sの給送方向における給送機構30の下流側に、搬送ローラ41が配設されている。さらに、搬送ローラ41での原稿Sの搬送方向における搬送ローラ41の下流側で、原稿Sの排出口3の近傍には、排出ローラ42が配設されている。画像読取部50は、原稿Sの搬送方向における搬送ローラ41と排出ローラ42との間に配設されており、即ち、画像読取部50は、給送機構30での原稿Sの給送方向における給送機構30の下流側に配設されている。これにより、画像読取部50は、給送機構30で給送した原稿Sの画像を読み取ることが可能になっている。
【0021】
図2は、実施形態に係る給紙装置を備えるスキャナの機能ブロック図である。スキャナ1は、スキャナ1の各部を制御する制御部70を有している。この制御部70のハード構成は、主に演算処理を行うCPU(Central Processing Unit)、プログラムや情報を格納するメモリ(RAM、ROM)、入出力インターフェースなどから構成され、既知のパーソナルコンピュータや、スキャナ装置と同様であるため、詳細な説明は省略する。載置台駆動モータ25や給送駆動モータ45は、制御部70に電気的に接続され、制御部70によって制御することが可能になっている。また、搬送ローラ41や排出ローラ42を回転させる駆動力を発生する搬送駆動モータ46も、制御部70に電気的に接続され、制御部70によって制御することが可能になっている。また、画像読取部50も制御部70に電気的に接続され、制御部70によって制御することが可能になっていると共に、画像読取部50で読み取った画像データを制御部70に伝達することができる。
【0022】
また、スキャナ1は、電源のONとOFFとを切り替える電源ボタン61と、スキャナ1に対してスキャンを開始させるスキャンボタン62と、原稿載置台10に載置される原稿Sの有無を検出する原稿センサ65と、を有しており、これらも制御部70に電気的に接続されている。このうち、電源ボタン61とスキャンボタン62とは、スキャナ1の表面に配設されており、スキャナ1の使用者が操作をすることが可能になっている。また、原稿センサ65は、スキャナ本体2内における原稿載置台10の近傍に配設され、赤外線等を利用することにより、原稿載置台10に載置される原稿Sの有無を検出することが可能になっている。
【0023】
本実施形態に係る給紙装置5は、以上のような構成からなり、以下、その作用について説明する。
図3は、
図1に示すスキャナの不使用時の説明図である。実施形態に係るスキャナ1は、不使用時には、原稿載置台10を、スキャナ本体2の上面の上方から当該スキャナ本体2の上面に沿わせた状態にすることができ、これにより原稿載置台10は、収納状態にすることが可能になっている。具体的には、画像読取部50によって原稿Sの画像の読み取りを行わない時に、原稿載置台10を収納状態にする場合には、原稿載置台10は、第1回動軸21を中心として第1部材11を画像読取部50側に回動させる。このため、第1部材11は、上方に向かって立ち上がり、第1回動軸21側の端部の反対側の端部が、スキャナ本体2の上面側に位置する状態になる。
【0024】
さらに、第2回動軸22を中心として、第2部材12を画像読取部50側に回動させる。これにより、第2部材12は、スキャナ本体2内の画像読取部50の上方に位置し、スキャナ本体2の上面に沿った状態となる。スキャナ1の不使用時には、このように第2部材12がスキャナ本体2の上面に沿った収納状態となることによって、原稿載置台10は収納される。
【0025】
図4は、
図1に示す原稿載置台に原稿を載置する状態についての説明図である。スキャナ1で原稿Sの画像を読み取るために、原稿載置台10に原稿Sを載置する場合には、第1部材11を寝かせる方向に第1回動軸21を中心として第1部材11を回動させ、第2部材12がスキャナ本体2から離れる方向に第2回動軸22を中心として第2部材12を回動させる。これにより、原稿載置台10は、載置面15が、原稿Sの給送方向における上流側から下流側に向かうに従って上方側から下方側に向かう方向に傾斜する状態にする。この場合、第1部材11の第1載置面16と第2部材12の第2載置面17とでなす角度は、180°未満にする。
【0026】
このように、原稿載置台10を、当該原稿載置台10に原稿Sを載置する状態である原稿載置状態にする場合、原稿載置台10は、ピックローラ31がピックローラ孔13を通ることによってピックローラ31の上端が、第1部材11の第1載置面16よりも上方に位置しない程度の位置まで、第1回動軸21を中心として回動させる。これにより、原稿載置台10への原稿Sの載置時には、原稿載置台10は、原稿Sの載置面15がピックローラ31よりも上方に位置する角度で、原稿Sの給送方向における上流側の端部から第1回動軸21側の端部に向かうに従って、上方から下方に向かう方向に傾斜する状態になる。このため、原稿載置台10への原稿Sの載置時には、原稿載置台10は、第1部材11の第1載置面16が、ピックローラ31よりも上方に位置する状態になる。
【0027】
図5は、
図1に示す原稿載置台に載置された原稿を給送する状態についての説明図である。スキャナ1で原稿Sの画像を読み取るために、原稿載置台10に載置された原稿Sを給送機構30で給送する際には、原稿載置台10は、載置面15が下方に移動する方向に第1回動軸21を中心として回動させることにより、原稿給送状態にする。これにより、ピックローラ31は、第1部材11の下方側から、第1部材11のピックローラ孔13を通って、上端が第1部材11の第1載置面16よりも上方に位置するように、ピックローラ孔13から飛び出る。
【0028】
換言すると、原稿給送状態にする際には、原稿載置台10は、第1部材11の下方側からピックローラ孔13を通るピックローラ31の上端よりも、第1載置面16が下方に位置する程度まで、載置面15が下方に移動する方向に第1回動軸21を中心として回動させる。この場合も、原稿載置台10は、原稿Sの給送方向における上流側の端部から第1回動軸21側の端部に向かうに従って、上方から下方に向かう方向に傾斜する状態になっており、その傾斜角度が、原稿載置台10に原稿Sを載置する状態における傾斜角度よりも緩やかになる。
【0029】
図6は、
図4におけるピックローラの周辺の詳細図である。原稿載置台10を原稿載置状態(
図4参照)にして、載置面15に原稿Sを載置した場合、原稿載置状態の原稿載置台10は、原稿Sの給送方向における上流側から下流側に向かうに従って上方側から下方側に向かう方向に傾斜しているため、原稿Sは、自重によって給送方向における下流側に移動する。即ち、載置面15に載置された原稿Sは、第2載置面17側から第1載置面16側に移動する。
【0030】
この場合、原稿載置状態の原稿載置台10は、原稿給送状態の原稿載置台10よりも傾斜角度が急になっているため、原稿Sは、第1載置面16側に移動し易くなっている。また、第1載置面16には、摩擦低減処理が施されており、第1載置面16に接触する原稿Sと第1載置面16との間の摩擦力は小さくなるため、第1載置面16に接触した原稿Sは、よりいっそう、原稿Sの給送方向における下流側に移動し易くなっている。
【0031】
ここで、原稿Sの給送方向における原稿載置台10の下流側には、ピックローラ31が配設されているが、原稿載置台10が原稿載置状態の場合には、第1部材11の第1載置面16が、ピックローラ31よりも上方に位置する状態になっている。つまり、ピックローラ31が、ピックローラ孔13から上方に突出しない状態になっている。このため、原稿載置台10の載置面15に載置されて、給送方向における下流側に自重によって移動した原稿Sは、ピックローラ31に当接することなく、ピックローラ31の下流寄りに配設される分離部材35の位置まで移動する。
【0032】
分離部材35における、原稿Sの給送方向の上流側の面には、分離部材35に原稿Sが当接した場合における緩衝部材であるピックバネ36が設けられており、自重によって分離部材35の位置まで移動した原稿Sは、ピックバネ36によって緩衝されながら、端部が分離部材35に当接する。このように、原稿Sが分離部材35の位置まで移動して分離部材35に当接することにより、原稿載置台10に載置された原稿Sは、給送機構30での原稿Sの給送時に、ピックローラ31によって給送が可能な状態になる。
【0033】
なお、ピックローラ31よりも上方に位置する第1部材11の第1載置面16は、ピックローラ31から所定の距離a以上離れているのが好ましい。つまり、第1載置面16とピックローラ31との距離aが小さすぎると、原稿Sの一部がピックローラ孔13に入り込んだ際に、摩擦係数が高いピックローラ31に当たってしまい、原稿Sの移動が停止してしまうことが考えられる。このように、ピックローラ孔13内に入り込んだ原稿Sがピックローラ31に当たらないようにするため、第1載置面16とピックローラ31との距離aは、2mm程度であるのが好ましい。
【0034】
図7は、
図5におけるピックローラの周辺の詳細図である。原稿載置台10に載置された原稿Sを給送機構30によって給送する際には、載置面15が下方に移動する方向に第1回動軸21を中心として原稿載置台10を回動させることにより、原稿載置台10を、原稿給送状態(
図5参照)にする。これにより、原稿載置台10は、載置面15が、ピックローラ31における原稿Sの接触部32よりも下方に退避する。つまり、原稿載置台10に載置された原稿Sの給送時には、第1回動軸21を中心として原稿載置台10を回動させ、第1載置面16を、ピックローラ31における原稿Sの接触部32よりも下方に退避させる。これにより、原稿載置台10に載置された原稿Sは、これらの原稿Sのうち、一番下に位置する原稿Sが、ピックローラ31に接触する。
【0035】
ピックローラ31は、外周面の摩擦係数が高いため、このように原稿Sが接触した状態でピックローラ31が回転することにより、原稿載置台10に載置されている原稿Sのうち、一番下に位置する原稿Sが、ピックローラ31との摩擦力により、ピックローラ31の回転方向に給送される。即ち、ピックローラ31は、外周面における上端側が、原稿Sの給送方向における下流側に向かう方向に回転するため、原稿載置台10に載置されている原稿Sのうち、接触部32でピックローラ31に接触する原稿Sは、ピックローラ31の回転に伴って、給送方向における下流側に移動する。
【0036】
その際に、ピックローラ31に接触している原稿S以外の原稿Sも、ピックローラ31に接触している原稿Sにつられて給送方向における下流側に移動しようとするが、これらの原稿Sは、ピックローラ31の下流寄りに配設される分離部材35によって、移動が規制される。このため、原稿載置台10に載置される原稿Sがピックローラ31に接触した状態でピックローラ31が回転した際には、一番下に位置してピックローラ31に接触している原稿Sのみが、ピックローラ31の下流側に給送される。即ち、給送機構30は、原稿載置台10に複数の原稿Sが載置されている場合に、複数の原稿Sを分離部材35によって分離し、1枚だけを画像読取部50側に給送する。
【0037】
なお、ピックローラ31における原稿Sの接触部32よりも下方に退避した場合における第1載置面16と、当該ピックローラ31における原稿Sの接触部32との距離bは、3mm以上であるのが好ましい。つまり、第1載置面16からのピックローラ31の突出量bは、3mm以上であるのが好ましい。原稿Sの給送時に、第1載置面16からのピックローラ31の突出量bが小さ過ぎると、ピックローラ31による原稿Sの押し上げ量が小さくなるので、ピックローラ31に原稿Sの荷重が乗らなくなってしまう。この場合、ピックローラ31と原稿Sとの間の摩擦力が小さくなってしまい、原稿Sを適切に搬送できなくなってしまう。このため、ピックローラ31と原稿Sとの間の摩擦力を確保することができるように、第1載置面16からのピックローラ31の突出量bは、3mm以上であるのが好ましい。
【0038】
図8は、第1部材と第2部材との角度についての説明図であり、原稿載置状態についての説明図である。
図9は、第1部材と第2部材との角度についての説明図であり、原稿給送状態についての説明図である。原稿載置台10は、第1回動軸21を中心として回動することにより、原稿載置状態と原稿給送状態とで切り替えることが可能になっているが、原稿載置台10は、原稿載置状態と原稿給送状態とでは、第1部材11と第2部材12との相対角度も変化させる。具体的には、原稿載置台10は、原稿載置台10への原稿Sの載置時には、原稿Sの給送時よりも、第1載置面16と第2載置面17とでなす角度θを小さくする。
【0039】
例えば、原稿載置台10を、原稿給送状態(
図9)から原稿載置状態(
図8)に切り替える際には、第2回動軸22を中心として第2部材12を第1部材11に対して相対回転させることにより、第1載置面16と第2載置面17とでなす角度θを小さくする。これにより、原稿載置台10に原稿Sを載置した際に、原稿Sと第2部材12との接触面積が小さくなるため、原稿Sと第2部材12との間の摩擦力が小さくなる。また、第1載置面16と第2載置面17とでなす角度θを小さくすることにより、第2部材12は起立した状態に近くなるため、原稿Sの自重は、第1部材11にかかる割合が高くなる。第1部材11の第1載置面16は、摩擦低減処理によって摩擦抵抗が小さくなっているため、これらにより、原稿載置台10に載置した原稿Sは、給送方向における下流側に移動し易くなり、給送機構30の分離部材35に到達し易くなる。
【0040】
反対に、原稿載置状態(
図8)から原稿給送状態(
図9)に切り替える際には、第2回動軸22を中心として第2部材12を第1部材11に対して相対回転させることにより、第1載置面16と第2載置面17とでなす角度θを大きくする。これにより、原稿載置台10の載置面15と原稿Sとの接触面積が大きくなるため、給送機構30での原稿Sの給送中は、原稿Sを安定して保持することができる。
【0041】
本実施形態に係る給紙装置5では、これらのように原稿載置台10を原稿載置状態と原稿給送状態とで切り替えることにより、原稿Sを適切に搬送するが、第1回動軸21と第2回動軸22と分離ニップ38(
図6、7参照)との位置関係が、適切な位置関係になることにより、これを実現することができる。つまり、給紙装置5は、第1回動軸21と第2回動軸22と分離ニップ38とが、原稿Sの給送方向における上流側から下流側に向かって、第2回動軸22→分離ニップ38→第1回動軸21の順番で配設されていることにより、原稿Sを適切に搬送することが可能になっている。なお、ここでいう分離ニップ38は、分離部材35とピックローラ31との接触部になっている。
【0042】
つまり、第1回動軸21が分離ニップ38よりも上流側に位置するようにする場合、ピックローラ31が適切にピックローラ孔13を通るようにしつつ、原稿載置状態と原稿給送状態とを切り替え可能にするためには、第1回動軸21が、原稿Sの給送路上に飛び出す位置に配設せざるを得なくなることが考えられる。この場合、原稿Sの給送路上に飛び出した第1回動軸21、或いは第1部材11に原稿Sが当たってしまうため、原稿Sを給送することができなくなってしまう。また、第2回動軸22が分離ニップ38よりも下流側に位置するようにする場合、原稿載置台10を1つの部材によって構成した場合と同じ形態になるため、原稿載置台10を収納状態にしたり、原稿載置状態において原稿Sを分離部材35に当接させ易くしたりする等の効果を得ることが出来なくなってしまう。
【0043】
これに対し、第1回動軸21と第2回動軸22と分離ニップ38とを、原稿Sの給送方向における上流側から下流側に向かって、第2回動軸22→分離ニップ38→第1回動軸21の順番で配設することにより、原稿Sを確実に給送可能にし、且つ、原稿載置台10の第1部材11と第2部材12との角度を変えることによる効果を得ることができる。
【0044】
次に、これらのように動作をするスキャナ1で原稿Sの画像を読み取る際の処理手順について説明する。
図10は、実施形態に係る給紙装置を備えるスキャナで原稿の画像を読み取る場合における処理手順を示すフロー図である。実施形態に係る給紙装置5を備えるスキャナ1で原稿Sの画像を読み取る場合には、電源ボタン61を操作することにより、電源をONにする(ステップST11)。次に、原稿載置台10を開く(ステップST12)。つまり、収納状態の原稿載置台10を、原稿載置状態にする。収納状態の原稿載置台10を開いて原稿載置状態にするのは、使用者が原稿載置台10を掴んで手動で行ってもよく、載置台駆動モータ25で発生する駆動力により、電動で収納状態から原稿載置状態にしてもよい。
【0045】
次に、使用者が、画像を読み取る原稿Sを原稿載置台10の載置面15に載置することにより、読み取る原稿Sをセットする(ステップST13)。原稿載置台10に原稿Sを載置したら、スキャンボタン62を押下する(ステップST14)。これにより、スキャナ1に対して、スキャンを開始する旨の入力指示を行う。
【0046】
スキャンボタン62を押下したら、まず、原稿載置台10に原稿Sが有るか否かを判定する(ステップST15)。この判定は、原稿センサ65での検出結果に基づいて、制御部70で行う。この判定により、原稿載置台10に原稿Sは無いと判定された場合(ステップST15、No判定)には、ステップST14に戻り、スキャンボタン62が押下されるのを待つ。
【0047】
これに対し、原稿載置台10に原稿Sは有ると判定された場合(ステップST15、Yes判定)には、次に、原稿載置台10をピックローラ31の下方に退避させる(ステップST16)。つまり、載置台駆動モータ25を駆動させて、原稿載置状態の原稿載置台10を原稿給送状態にする。その際に、第1載置面16と第2載置面17とでなす角度θも大きくする。
【0048】
この状態で、給送駆動モータ45や搬送駆動モータ46を作動させることにより、ピックローラ31や搬送ローラ41の回転を開始する(ステップST17)。これにより、原稿載置台10に載置されている原稿Sを1枚ずつ原稿載置台10側から画像読取部50側に給送する。画像読取部50は、このように送られてくる原稿Sの画像を読み取る(ステップST18)。画像読取部50で読み取った画像は、制御部70に送信され、スキャナ1が有する記憶部(図示省略)等に保存される。
【0049】
次に、原稿載置台10に原稿Sは無いかを判定する(ステップST19)。この判定も、原稿センサ65の検出結果に基づいて制御部70で行う。制御部70での判定により、原稿載置台10に原稿Sは有ると判定された場合(ステップST19、No判定)には、ステップST17に戻り、原稿載置台10に載置されている原稿Sの給送を続ける。
【0050】
これに対し、原稿載置台10に原稿Sは無いと判定された場合(ステップST19、Yes)には、ピックローラ31と搬送ローラ41を停止する(ステップST20)。つまり、ピックローラ31や搬送ローラ41で画像読取部50側に給送する原稿Sが無くなったため、給送駆動モータ45と搬送駆動モータ46を停止することにより、ピックローラ31と搬送ローラ41を停止する。
【0051】
次に、原稿載置台10をピックローラ31の上方に突出させる(ステップST21)。つまり、載置台駆動モータ25を駆動させて、原稿給送状態の原稿載置台10を原稿載置状態にする。原稿載置台10を原稿載置状態にしたら、スキャナ1でのスキャンを終了する(ステップST22)。スキャンを終了したスキャナ1は、このように原稿載置台10を原稿載置状態にすることにより、原稿載置台10への原稿Sの載置待ちの状態になり、次回のスキャンに備える。
【0052】
以上の実施形態に係る給紙装置5は、原稿載置台10への原稿Sの載置時には、載置面15をピックローラ31よりも上方に位置させるため、載置面15の原稿Sを、より確実に分離部材35の位置まで移動させて分離部材35に当接させることができる。また、原稿載置台10に載置された原稿Sの給送時には、載置面15がピックローラ31における原稿Sの接触部32よりも下方に退避するように原稿載置台10を回動させることにより、分離部材35の位置まで移動した原稿Sを、ピックローラ31によって給送することができる。この結果、より確実に原稿Sの不送りの発生を抑制することができる。
【0053】
また、原稿載置台10は、第1部材11と第2部材12とからなり、原稿載置台10への原稿Sの載置時には、第1載置面16がピックローラ31よりも上方に位置し、原稿Sの給送時には、第1載置面16が、ピックローラ31よりも下方に退避するため、原稿Sをピックローラ31によって給送することができる。さらに、このように、原稿載置台10を第1部材11と第2部材12とから構成することにより、原稿載置台10を、スキャナ1の使用時の状態ごとに適した形態にすることができる。この結果、より確実に原稿Sの不送りの発生を抑制することができると共に、使い勝手の向上を図ることができる。
【0054】
また、原稿載置台10は、原稿載置台10への原稿Sの載置時には、原稿Sの給送時よりも、第1載置面16と第2載置面17とでなす角度が小さくなるため、原稿載置台10に載置した原稿Sを、分離部材35の位置まで移動させ易くすることができる。この結果、より確実に原稿Sの不送りの発生を抑制することができる。
【0055】
また、原稿Sの画像の読み取りを行わない時には、原稿載置台10は、第2部材12が画像読取部50の上方に位置する状態となって収納されることにより、スキャナ1の不使用時のコンパクト化を図ることができる。この結果、スキャナ1の使い勝手を向上させることができる。
【0056】
また、第1載置面16には、給送方向に移動する原稿Sに対する摩擦抵抗を低減する摩擦低減処理が施されているため、原稿載置台10への原稿Sの載置時に、載置面15の原稿Sを、より確実に分離部材35の位置まで移動させることができる。この結果、より確実に原稿Sの不送りの発生を抑制することができる。
【0057】
〔変形例〕
なお、実施形態に係る給紙装置5は、第1載置面16に施される摩擦低減処理として、摩擦係数が低い材料による表面処理が用いられているが、摩擦低減処理は、これ以外であってもよい。
図11は、実施形態に係る給紙装置の変形例であり、摩擦低減処理として突起部が形成される場合の説明図である。第1載置面16に施される摩擦低減処理としては、例えば、
図11に示すように、第1載置面16に複数の突起部80を形成してもよい。この突起部80は、原稿Sの搬送方向においては高さが一定で、原稿Sの搬送方向に直交する方向において凹凸になるように、第1載置面16に複数が形成される。つまり、突起部80は、原稿Sの搬送方向視において、第1載置面16から突出するように形成されている。第1載置面16に、このように複数の突起部80を形成することにより、第1載置面16と原稿Sとの接触面積を低減できるので、双方の間の摩擦力を低減することができ、原稿載置台10への原稿Sの載置時に、より確実に原稿Sを分離部材35の位置まで移動させることができる。
【0058】
また、第1部材11は、原稿Sの給送時には、ピックローラ31の上端部分よりも下方側に退避するため、突起部80は、給送される原稿Sによって摩耗が発生し難くなっている。このため、突起部80によって摩擦低減を行う場合でも、継続的に第1載置面16と原稿Sとの間の摩擦力を低減することができる。
【0059】
図12は、実施形態に係る給紙装置の変形例であり、摩擦低減処理としてコロが用いられる場合の説明図である。また、第1載置面16に施される摩擦低減処理としては、例えば、
図12に示すように、第1載置面16に複数のコロ85を配設してもよい。このコロ85は、略円柱形の形状で形成されており、ピックローラ31の回転軸33と平行な回転軸を中心として回転自在に配設されている。また、コロ85は、上端付近が第1載置面16よりも若干突出する程度の位置関係となって、第1部材11に埋め込まれている。第1載置面16に、このように複数のコロ85を配設することにより、第1載置面16上で原稿Sが移動する際の抵抗を低減することができるので、原稿載置台10への原稿Sの載置時に、より確実に原稿Sを分離部材35の位置まで移動させることができる。
【0060】
図13は、実施形態に係る給紙装置の変形例であり、摩擦低減処理として段差が形成される場合の説明図である。また、第1載置面16に施される摩擦低減処理としては、例えば、
図13に示すように、ピックローラ孔13の周囲と、それ以外の部分とで、段差を形成してもよい。つまり、ピックローラ孔13の周囲は、それ以外の部分よりも突出した凸部91として形成し、ピックローラ孔13から離れた部分は、高さが凸部91よりも低くなった凹部92として形成してもよい。第1載置面16に、このように凸部91と凹部92とからなる段差を形成することにより、第1載置面16と原稿Sとの接触面積を低減できるので、双方の間の摩擦力を低減することができ、原稿載置台10への原稿Sの載置時に、より確実に原稿Sを分離部材35の位置まで移動させることができる。
【0061】
図14は、実施形態に係る給紙装置の変形例であり、摩擦低減処理として振動発生部材が配設される場合の説明図である。また、第1載置面16に施される摩擦低減処理としては、例えば、
図14に示すように、第1部材11に振動発生部材95を設けてもよい。振動発生部材95は、電動によって、第1載置面16に振動を発生させることができるものになっている。このように、第1部材11に振動発生部材95を設け、振動発生部材95によって第1載置面16に振動を発生させることにより、第1載置面16と原稿Sとの接触時間が短くなるので、双方の間の摩擦力を低減することができる。これにより、原稿載置台10への原稿Sの載置時に、より確実に原稿Sを分離部材35の位置まで移動させることができる。
【0062】
なお、振動発生部材95を作動させて第1載置面16に振動を発生させるのは、原稿載置台10に原稿Sが載置されたことを原稿センサ65で検出した後で、且つ、給送機構30での原稿Sの給送前に発生させるのが好ましい。