特許第6235731号(P6235731)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6235731抽出物の少ない異相プロピレンコポリマー
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6235731
(24)【登録日】2017年11月2日
(45)【発行日】2017年11月22日
(54)【発明の名称】抽出物の少ない異相プロピレンコポリマー
(51)【国際特許分類】
   C08L 23/14 20060101AFI20171113BHJP
   C08L 23/16 20060101ALI20171113BHJP
   C08F 2/44 20060101ALI20171113BHJP
   C08F 255/02 20060101ALI20171113BHJP
【FI】
   C08L23/14
   C08L23/16
   C08F2/44 C
   C08F255/02
【請求項の数】19
【全頁数】41
(21)【出願番号】特願2016-556712(P2016-556712)
(86)(22)【出願日】2015年4月1日
(65)【公表番号】特表2017-509753(P2017-509753A)
(43)【公表日】2017年4月6日
(86)【国際出願番号】EP2015057200
(87)【国際公開番号】WO2015150467
(87)【国際公開日】20151008
【審査請求日】2016年11月9日
(31)【優先権主張番号】14163575.5
(32)【優先日】2014年4月4日
(33)【優先権主張国】EP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】511114678
【氏名又は名称】ボレアリス エージー
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(72)【発明者】
【氏名】ワン ジンボ
(72)【発明者】
【氏名】ドシェフ ペーター
(72)【発明者】
【氏名】ガーライトナー マルクス
(72)【発明者】
【氏名】レスキネン パウリ
【審査官】 今井 督
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2009/077034(WO,A1)
【文献】 国際公開第2013/083461(WO,A1)
【文献】 特表2013−523900(JP,A)
【文献】 特表2002−504953(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 23/00− 23/36
C08F 2/00− 2/60
C08F 255/00−255/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)プロピレン‐C〜C12α‐オレフィンコポリマー(C‐PP)であるマトリックス(M)であって、前記プロピレン‐C〜C12α‐オレフィンコポリマー(C‐PP)は、
(i.1)プロピレンと、
(i.2)少なくとも1つのC〜C12α‐オレフィンと、
から誘導可能な単位を含む、マトリックス(M)と、
(ii)前記マトリックス(M)内に分散されたエラストマープロピレンコポリマー(EC)であって、
(ii.1)プロピレンと、
(ii.2)エチレンおよび任意に少なくとも1つのC〜C12α‐オレフィンと、
から誘導可能な単位を含む、エラストマープロピレンコポリマー(EC)と、
を含む、異相プロピレンコポリマー(RAHECO)であって、
前記異相プロピレンコポリマー(RAHECO)は、
(a)ISO1133にしたがって測定されるメルトフローレートMFR(230℃)が2.5〜200.0g/10分の範囲であり;
(b)全コモノマー含有量が12.0〜35.0重量%の範囲であり;
(c)ISO16152(25℃)にしたがって決定される冷キシレン可溶(XCS)画分が10.0〜40.0重量%の範囲であり;
(d)前記冷キシレン可溶(XCS)画分の全コモノマー含有量が50〜90重量%の範囲であり;
記プロピレンコポリマー(RAHECO)は、
(e)不等式(I)
【数1】
を満たし、式中、
C2(total)は、前記異相プロピレンコポリマー(RAHECO)の前記エチレン含有量[重量%]であり;
Cx(total)は、前記異相プロピレンコポリマー(RAHECO)の前記C〜C12α‐オレフィン含有量[重量%]であ
さらに前記マトリックス(M)は、2つの異なったポリマー画分である第1ポリプロピレン画分(PP1)と第2プロピレン‐C〜C12α‐オレフィンコポリマー画分(C‐PP2)とを含み、前記第1ポリプロピレン画分(PP1)と前記第2ポリプロピレン画分(PP2)との間での前記コモノマー含有量の差は、少なくとも1.5重量%であり、前記第2ポリプロピレン画分(PP2)における前記コモノマー含有量は、前記第1ポリプロピレン画分(PP1)より高い、異相プロピレンコポリマー(RAHECO)。
【請求項2】
(a)全異相プロピレンコポリマー(RAHECO)の前記エチレン含有量[重量%]は、12.0〜33.0重量%の範囲であり;
および/または、
(b)全異相プロピレンコポリマー(RAHECO)の前記C〜C12α‐オレフィン含有量[重量%]は、0.5〜6.0重量%の範囲である、
請求項1に記載の異相プロピレンコポリマー(RAHECO)。
【請求項3】
(a)前記プロピレン‐C〜C12α‐オレフィンコポリマー(C‐PP)は、プロピレン‐1‐ヘキセンコポリマー(C‐PP)であり;
および/または、
(b)前記エラストマープロピレンコポリマー(EC)は、エチレン‐プロピレンゴム(EPR)である、
請求項1または2に記載の異相プロピレンコポリマー(RAHECO)。
【請求項4】
前記異相プロピレンコポリマー(RAHECO)の前記冷キシレン可溶(XCS)画分は、DIN ISO1628/1にしたがって(デカリン中135℃で)決定される固有粘度(IV)が少なくとも1.2dl/gである、
請求項1〜3のいずれか一項に記載の異相プロピレンコポリマー(RAHECO)。
【請求項5】
前記異相プロピレンコポリマー(RAHECO)の冷キシレン不溶(XCI)画分は、
(a)前記冷キシレン不溶(XCI)画分の重量に基づく全コモノマー含有量[重量%]が3.0〜12.0重量%の範囲であり;
および/または、
(b)前記冷キシレン不溶(XCI)画分の総重量に基づくエチレン含有量[重量%]が2.0〜11.0重量%の範囲であり;
および/または、
(c)前記冷キシレン不溶(XCI)画分の総重量に基づくC〜C12α‐オレフィン含有量[重量%]が0.5〜6.0重量%の範囲であり;
および/または、
(d)不等式(II)
【数2】
を満たし、式中、
C2(XCI)は、前記異相プロピレンコポリマー(RAHECO)の前記冷キシレン不溶(XCI)画分の前記エチレン含有量[重量%]であり;
Cx(XCI)は、前記異相プロピレンコポリマー(RAHECO)の前記冷キシレン不溶(XCI)画分の前記C〜C12α‐オレフィン含有量[重量%]、好ましくは前記1‐ヘキセン含有量[重量%]である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の異相プロピレンコポリマー(RAHECO)。
【請求項6】
(a)不等式(III)
【数3】
を満たし、式中、
C(XCS)は、前記異相プロピレンコポリマー(RAHECO)の前記冷キシレン可溶(XCS)画分の全コモノマー含有量[重量%]であり;
C(total)は、全異相プロピレンコポリマー(RAHECO)の全コモノマー含有量[重量%]であり;
および/または、
(b)不等式(IV)
【数4】
を満たし、式中、
C2(XCS)は、前記異相プロピレンコポリマー(RAHECO)の前記冷キシレン可溶(XCS)画分の前記エチレン含有量[重量%]であり;
C2(total)は、全異相プロピレンコポリマー(RAHECO)の前記エチレン含有量[重量%]であり;
および/または、
(c)不等式(V)
【数5】
を満たし、式中、
C2(XCS)は、前記異相プロピレンコポリマー(RAHECO)の前記冷キシレン可溶(XCS)画分の前記エチレン含有量[重量%]であり;
C(XCI)は、前記異相プロピレンコポリマー(RAHECO)の前記冷キシレン不溶(XCI)画分の全コモノマー含有量[重量%]であり;
および/または、
(d)不等式(VI)
【数6】
を満たし、式中、
C2(XCS)は、前記異相プロピレンコポリマー(RAHECO)の前記冷キシレン可溶(XCS)画分の前記エチレン含有量[重量%]であり;
C2(XCI)は、前記異相プロピレンコポリマー(RAHECO)の前記冷キシレン不溶(XCI)画分の前記エチレン含有量[重量%]である、
請求項1〜5のいずれか一項に記載の異相プロピレンコポリマー(RAHECO)。
【請求項7】
前記プロピレン‐C〜C12α‐オレフィンコポリマー(C‐PP)は、第1ポリプロピレン画分(PP1)と第2プロピレン‐C〜C12α‐オレフィンコポリマー画分(C‐PP2)とを含み、前記第1ポリプロピレン画分(PP1)と前記第2プロピレン‐C〜C12α‐オレフィンコポリマー画分(C‐PP2)との間の重量分率[(PP1)/(C‐PP2)]は、30/70〜70/30の範囲である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の異相プロピレンコポリマー(RAHECO)。
【請求項8】
記第1ポリプロピレン画分(PP1)と前記第2プロピレン‐C〜C12α‐オレフィンコポリマー画分(C‐PP2)との間での前記コモノマー含有量の差は、少なくとも2.5重量%である、
請求項7に記載の異相プロピレンコポリマー(RAHECO)。
【請求項9】
前記第1ポリプロピレン画分(PP1)は、
(a)プロピレンホモポリマー画分(H‐PP1);
または、
(b)第1プロピレン‐C〜C12α‐オレフィンコポリマー画分(C‐PP1)であって、C〜C12α‐オレフィン含有量が0.5〜4.0重量%の範囲であるのが好ましい、第1プロピレン‐C〜C12α‐オレフィンコポリマー画分(C‐PP1)である、
請求項7または8に記載の異相プロピレンコポリマー(RAHECO)。
【請求項10】
(a)第2プロピレン‐C〜C12α‐オレフィンコポリマー画分(C‐PP2)の前記C〜C12α‐オレフィン含有量が、2.0〜15.0重量%の範囲であり;
および/または、
(b)前記プロピレン‐C〜C12α‐オレフィンコポリマー(C‐PP)の前記コモノマー含有量、好ましくは前記C〜C12α‐オレフィン含有量が、1.5〜9.0重量%の範囲である;
請求項7または8に記載の異相プロピレンコポリマー(RAHECO)。
【請求項11】
前記エラストマープロピレンコポリマー(EC)は、コモノマー含有量、好ましくはエチレン含有量が、40〜90重量%の範囲である、
請求項1〜10のいずれか一項に記載の異相プロピレンコポリマー(RAHECO)。
【請求項12】
不等式(VIII)
【数7】
を満たし、式中、
(total)は、前記異相プロピレンコポリマー(RAHECO)の全コモノマー含有量[重量%]であり;
XCSは、前記異相プロピレンコポリマー(RAHECO)の前記冷キシレン可溶(XCS)画分の含有量[重量%]である、請求項1〜11のいずれか一項に記載の異相プロピレンコポリマー(RAHECO)。
【請求項13】
第1ガラス転移温度Tg(1)と第2ガラス転移温度Tg(2)とを有し、前記第1ガラス転移温度Tg(1)は前記第2ガラス転移温度Tg(2)より高
請求項1〜12のいずれか一項に記載の異相プロピレンコポリマー(RAHECO)。
【請求項14】
(a)第1ガラス転移温度Tg(1)は、−5〜+12℃の範囲であり;
および/または、
(b)第2ガラス転移温度Tg(2)は、−45〜−25℃の範囲である、
請求項1〜13のいずれか一項に記載の異相プロピレンコポリマー(RAHECO)。
【請求項15】
前記異相プロピレンコポリマー(RAHECO)はα‐核形成されている、
請求項1〜14のいずれか一項に記載の異相プロピレンコポリマー(RAHECO)。
【請求項16】
(a)ISO527‐1にしたがって23℃で測定した引張弾性率が少なくとも500MPaであり、
および/または、
(b)FDAの方法にしたがって100μmのキャストフィルムで決定したヘキサン抽出物含有量が3.0重量%未満である、
請求項1〜15のいずれか一項に記載の異相プロピレンコポリマー(RAHECO)。
【請求項17】
請求項1〜16のいずれか一項に記載の異相プロピレンコポリマー(RAHECO)の調製のためのプロセスであって、
(I)プロピレンとC〜C12α‐オレフィンを重合して、前記プロピレン‐C〜C12α‐オレフィンコポリマー(C‐PP)であるマトリックス(M)を形成するステップと;その後、
(II)プロピレンとエチレンと任意に少なくとも1つのC〜C12α‐オレフィンとを重合して、前記マトリックス(M)内に分散された前記エラストマープロピレンコポリマー(EC)を形成するステップと;
を含み、
ステップ(I)および(II)のいずれも、外部担体を含まない同じシングルサイト固体粒子触媒の存在下で行われ、
(i)化学式(I)の錯体であって、
(Cp’)MX (I)
式中、
「M」は、ジルコニウム(Zr)またはハフニウム(Hf)であり、
各「X」は、独立して一価陰イオン性σ‐リガンドであり、
各「Cp’」は、置換シクロペンタジエニル、置換インデニル、置換テトラヒドロインデニル、および置換または非置換フルオレニルからなる群より独立して選択されるシクロペンタジエニルタイプの有機リガンドであって、遷移金属(M)に配位する、有機リガンドであり、
「R」は、前記有機リガンド(Cp’)を連結する二価架橋基であり、
「n」は、1または2であり、1であるのが好ましい、
錯体と、
(ii)第13族金属の化合物、例えばAlまたはホウ素化合物を含む助触媒と
を含む触媒の存在下で行われる、
プロセス。
【請求項18】
ステップ(I)は、プロピレンと任意にC〜C12α‐オレフィンとを重合して、前記第1ポリプロピレン画分(PP1)を形成するステップと、その後、別の反応器においてプロピレンとC〜C12α‐オレフィンとを重合して、前記第2プロピレン‐C〜C12α‐オレフィンコポリマー画分(C‐PP2)を形成するステップとを含み、前記第1ポリプロピレン画分(PP1)と前記第2プロピレン‐C〜C12α‐オレフィンコポリマー画分(C‐PP2)とが、前記プロピレン‐C〜C12α‐オレフィンコポリマー(C‐PP)を形成する、請求項17に記載のプロセス。
【請求項19】
請求項1〜16のいずれか一項に記載の異相プロピレンコポリマー(RAHECO)を含む物品である、物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規な異相プロピレンコポリマー(RAHECO)、その調製、ならびに同より作製される物品に関する。
【背景技術】
【0002】
パッケージングの分野において、ポリプロピレンは重要な役割を果たす。いわゆる異相ポリプロピレン、すなわちゴムが分散された半結晶ポリプロピレンマトリックスが非常によく使用される。そのような材料は、良好な剛性および耐衝撃性を提供するが、光学的性質は、マトリックスにおけるゴムの分散の適切な調節に大きく依存しうる。さらに、非晶質部分により、多量の抽出物が生じうる。しかし、パッケージ材料は、特に食品産業では、または医薬製品/健康管理製品用には、抽出物が少なくなければならない。他方で、前述のように、パッケージ材料は、機械的に安定していなければならない。そのような材料のさらなる主要な態様は、その光学性能であり、すなわち許容可能なヘイズ値を有しなければならない。一部の必要な性質は矛盾した様式でふるまう、すなわち、1つの性質を向上させることが別の性質の性能を低下させうる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
それゆえに、機械的に安定な、良好な光学的性質を有する、抽出物の少ないポリプロピレンを提供することが、本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の成果は、マトリックスとしてプロピレン‐C〜C12α‐オレフィンコポリマーを有し、エラストマープロピレンエチレンコポリマーが前記マトリックス内に分散された、異相プロピレンコポリマーである。前記エラストマープロピレンエチレンコポリマーは、エチレンの含有量がかなり高いのが好ましい。
【0005】
したがって、本発明は、異相プロピレンコポリマー(RAHECO)を目的とし、この異相プロピレンコポリマー(RAHECO)は、
(i)プロピレン‐C〜C12α‐オレフィンコポリマー(C‐PP)であるマトリックス(M)であって、当該プロピレン‐C〜C12α‐オレフィンコポリマー(C‐PP)は、
(i.1)プロピレンと、
(i.2)少なくとも1つのC〜C12α‐オレフィンと
から誘導可能な単位を含む、マトリックス(M)と、
(ii)当該マトリックス(M)内に分散されたエラストマープロピレンコポリマー(EC)であって、
(ii.1)プロピレンと、
(ii.2)エチレンおよび任意に少なくとも1つのC〜C12α‐オレフィンと
から誘導可能な単位を含む、エラストマープロピレンコポリマー(EC)と、
を含み、
前記異相プロピレンコポリマー(RAHECO)は、
(a)ISO1133にしたがって測定されるメルトフローレートMFR(230℃)が2.5〜200.0g/10分の範囲であり;
(b)全コモノマー含有量が12.0〜35.0重量%の範囲であり;
(c)ISO16152(25℃)にしたがって決定される冷キシレン可溶(XCS)画分が10.0〜40.0重量%の量であり;
さらにプロピレンコポリマー(RAHECO)は、
(d)不等式(I)
【数1】
を満たし、式中、
C2(total)は、異相プロピレンコポリマー(RAHECO)のエチレン含有量[重量%]であり;
Cx(total)は、異相プロピレンコポリマー(RAHECO)のC〜C12α‐オレフィン含有量[重量%]である。
【0006】
前段落の記述から、プロピレン‐C〜C12α‐オレフィンコポリマー(C‐PP)とエラストマープロピレンコポリマー(EC)とは化学的に異なることが明らかになる。したがって、プロピレン‐C〜C12α‐オレフィンコポリマー(C‐PP)は、エチレンから誘導可能な単位を含まないのが好ましい。プロピレン‐C〜C12α‐オレフィンコポリマー(C‐PP)は、1つのタイプのC〜C12α‐オレフィンだけを含むのがより好ましい。他方で、エラストマープロピレンコポリマー(EC)は、エチレン‐プロピレンゴム(EPR)であるのが好ましい。
【0007】
全異相プロピレンコポリマー(RAHECO)のエチレン含有量[重量%]は、12.0〜33.0重量%の範囲であり、および/または、全異相プロピレンコポリマー(RAHECO)のC〜C12α‐オレフィン含有量[重量%]は、0.5〜6.0重量%の範囲であるのが好ましい。
【0008】
本発明の異相プロピレンコポリマーは特に、冷キシレン可溶(XCS)画分の性質ならびに冷キシレン不溶(XCI)画分を特徴とする。したがって、異相プロピレンコポリマー(RAHECO)の冷キシレン可溶(XCS)画分は、冷キシレン可溶(XCS)画分の重量に基づく全コモノマー含有量および/またはエチレン含有量が30〜90重量%の範囲であり、および/または、DIN ISO1628/1にしたがって(デカリン中135℃で)決定される固有粘度(IV)が少なくとも1.2dl/gである。
【0009】
好ましい一実施形態では、異相プロピレンコポリマー(RAHECO)の冷キシレン不溶(XCI)画分は、冷キシレン不溶(XCI)画分の重量に基づく全コモノマー含有量[重量%]が3.0〜12.0重量%の範囲であり、および/または、冷キシレン不溶(XCI)画分の全重量に基づくエチレン含有量[重量%]が2.0〜11.0重量%の範囲であり、および/または、冷キシレン不溶(XCI)画分の全重量に基づくC〜C12α‐オレフィン含有量[重量%]が0.5〜6.0重量%の範囲である。
【0010】
さらに好ましくは、異相プロピレンコポリマー(RAHECO)の冷キシレン不溶(XCI)画分は、不等式(II)
【数2】
を満たし、式中、
C2(XCI)は、異相プロピレンコポリマー(RAHECO)の冷キシレン不溶(XCI)画分のエチレン含有量[重量%]であり;
Cx(XCI)は、異相プロピレンコポリマー(RAHECO)の冷キシレン不溶(XCI)画分のC〜C12α‐オレフィン含有量[重量%]、好ましくは1‐ヘキセン含有量[重量%]である。
【0011】
さらに好ましい一態様では、本発明による異相プロピレンコポリマー(RAHECO)は、
(a)不等式(III)
【数3】
を満たし、式中、
C(XCS)は、異相プロピレンコポリマー(RAHECO)の冷キシレン可溶(XCS)画分の全コモノマー含有量[重量%]であり;
C(total)は、全異相プロピレンコポリマー(RAHECO)の全コモノマー含有量[重量%]であり;
および/または、
(b)不等式(IV)
【数4】
を満たし、式中、
C2(XCS)は、異相プロピレンコポリマー(RAHECO)の冷キシレン可溶(XCS)画分のエチレン含有量[重量%]であり;
C2(total)は、全異相プロピレンコポリマー(RAHECO)のエチレン含有量[重量%]であり;
および/または、
(c)不等式(V)
【数5】
を満たし、式中、
C2(XCS)は、異相プロピレンコポリマー(RAHECO)の冷キシレン可溶(XCS)画分のエチレン含有量[重量%]であり;
C(XCI)は、異相プロピレンコポリマー(RAHECO)の冷キシレン不溶(XCI)画分の全コモノマー含有量[重量%]であり;
および/または、
(d)不等式(VI)
【数6】
を満たし、式中、
C2(XCS)は、異相プロピレンコポリマー(RAHECO)の冷キシレン可溶(XCS)画分のエチレン含有量[重量%]であり;
C2(XCI)は、異相プロピレンコポリマー(RAHECO)の冷キシレン不溶(XCI)画分のエチレン含有量[重量%]である。
【0012】
本発明の異相プロピレンコポリマー(RAHECO)のマトリックス(M)は、2つの異なるポリマー画分を含むのが好ましい。したがって、プロピレン‐C〜C12α‐オレフィンコポリマー(C‐PP)は、第1ポリプロピレン画分(PP1)と第2プロピレン‐C〜C12α‐オレフィンコポリマー画分(C‐PP2)とを含むのが好ましく、これらからなるのが好ましく、さらに、第1ポリプロピレン画分(PP1)と第2プロピレン‐C〜C12α‐オレフィンコポリマー画分(C‐PP2)との間の重量分率[(PP1)/(C‐PP2)]は、30/70〜70/30の範囲であるのが好ましい。
【0013】
プロピレン‐C〜C12α‐オレフィンコポリマー(C‐PP)におけるコモノマー含有量、好ましくはC〜C12α‐オレフィン含有量[重量%]は、第1ポリプロピレン画分(PP1)より高いのが好ましく、および/または、第1ポリプロピレン画分(PP1)とプロピレン‐C〜C12α‐オレフィンコポリマー(C‐PP)との間でのコモノマー含有量、好ましくはC〜C12α‐オレフィン含有量の差は、少なくとも1.5重量%であり、および/または、第1ポリプロピレン画分(PP1)と第2プロピレン‐C〜C12α‐オレフィンコポリマー画分(C‐PP2)との間でのコモノマー含有量、好ましくはC〜C12α‐オレフィン含有量の差は、少なくとも2.5重量%である。
【0014】
第1ポリプロピレン画分(PP1)は、プロピレンホモポリマー画分(H‐PP1)であるのがさらに好ましく、または、第1ポリプロピレン画分(PP1)は、第1プロピレン‐C〜C12α‐オレフィンコポリマー画分(C‐PP1)であるのが特に好ましく、当該第1プロピレン‐C〜C12α‐オレフィンコポリマー画分(C‐PP1)は、C〜C12α‐オレフィン含有量が0.5〜4.0重量%の範囲であるのが好ましい。
【0015】
さらに、第2プロピレン‐C〜C12α‐オレフィンコポリマー画分(C‐PP2)は、C〜C12α‐オレフィン含有量が2.0〜15.0重量%の範囲であるのが好ましい。したがって1つの特定の実施形態では、プロピレン‐C〜C12α‐オレフィンコポリマー(C‐PP)は、コモノマー含有量、好ましくはC〜C12α‐オレフィン含有量が1.5〜9.0重量%の範囲である。
【0016】
異相プロピレンコポリマー(RAHECO)のエラストマープロピレンコポリマー(EC)は、コモノマー含有量、好ましくはエチレン含有量が40〜90重量%の範囲であるのが好ましい。
【0017】
1つの好ましい実施形態では、異相プロピレンコポリマー(RAHECO)は、不等式(VII)
【数7】
を満たし、式中、
C(XCS)は、異相プロピレンコポリマー(RAHECO)の全コモノマー含有量[モル%]であり;
XCSは、異相プロピレンコポリマー(RAHECO)の冷キシレン可溶(XCS)画分の含有量[重量%]である。
【0018】
さらに別の実施形態では、本発明による異相プロピレンコポリマー(RAHECO)は、第1ガラス転移温度Tg(1)および第2ガラス転移温度Tg(2)を有し、当該第1ガラス転移温度Tg(1)は第2ガラス転移温度Tg(2)より高く、第1ガラス転移温度Tg(1)と第2ガラス転移温度Tg(2)との間の差は少なくとも20℃であるのが好ましい。第1ガラス転移温度Tg(1)は、−5〜+12℃の範囲であり、および/または第2ガラス転移温度Tg(2)は−45〜−25℃の範囲であるのが好ましい。
【0019】
本発明の一態様において、異相プロピレンコポリマー(RAHECO)はα‐核形成されている。
【0020】
異相プロピレンコポリマー(RAHECO)は、
(a)ISO527‐1にしたがって測定した引張弾性率が少なくとも500MPaであり、および/または
(b)FDAの方法にしたがって100μmのキャストフィルムで決定したヘキサン抽出物含有量が3.0重量%未満である
のが好ましい。
【0021】
本発明は、本明細書に定義される異相プロピレンコポリマー(RAHECO)を含む物品も目的とし、当該物品は、(医療用)パウチ、食品包装物品、フィルムおよびボトルからなる群より選択されるのが好ましい。
【0022】
最後に、本発明は、
(I)プロピレンとC〜C12α‐オレフィン、好ましくは1‐ヘキセンを重合して、プロピレン‐C〜C12α‐オレフィンコポリマー(C‐PP)であるマトリックス(M)を形成し;その後、
(II)プロピレンとエチレンと任意に少なくとも1つのC〜C12α‐オレフィンとを気相で重合して、当該マトリックス(M)内に分散されたエラストマープロピレンコポリマー(EC)を形成する、
本明細書に定義される異相プロピレンコポリマー(RAHECO)の調製のためのプロセスも記載し、
ステップ(I)および(II)のいずれも、外部担体を含まないのが好ましい同じシングルサイト固体粒子触媒の存在下で行われ、
(i)化学式(I)
(Cp’)MX (I)
の遷移金属化合物であって、式中、
「M」は、ジルコニウム(Zr)またはハフニウム(Hf)であり、
各「X」は、独立して一価陰イオン性σ‐リガンドであり、
各「Cp’」は、置換シクロペンタジエニル、置換インデニル、置換テトラヒドロインデニル、および置換または非置換フルオレニルからなる群より独立して選択されるシクロペンタジエニルタイプの有機リガンドであって、遷移金属(M)に配位する、有機リガンドであり、
「R」は、当該有機リガンド(Cp’)を連結する二価架橋基であり、
「n」は、1または2であり、1であるのが好ましい、
遷移金属化合物と、
(ii)第13族金属の化合物、例えばAlまたはホウ素化合物を含む助触媒と
を含む触媒の存在下で行われるのがより好ましい。
【0023】
ステップ(I)は、プロピレンと任意にC〜C12α‐オレフィン、好ましくは1‐ヘキセンとを重合して、第1ポリプロピレン画分(PP1)を形成するステップと、その後、別の反応器においてプロピレンとC〜C12α‐オレフィン、好ましくは1‐ヘキセンとを重合して、第2プロピレン‐C〜C12α‐オレフィンコポリマー画分(C‐PP2)を形成するステップとを含み、第1ポリプロピレン画分(PP1)と第2プロピレン‐C〜C12α‐オレフィンコポリマー画分(C‐PP2)とが、プロピレン‐C〜C12α‐オレフィンコポリマーn(C‐PP)を形成するのが好ましい。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下において、第1および第2実施形態を一緒にさらに詳述する。
【0025】
本発明は、異相プロピレンコポリマー(RAHECO)に関する。特に、本発明は、プロピレン‐C〜C12α‐オレフィンコポリマー(C‐PP)であるマトリックス(M)を含み、その中にエラストマープロピレンコポリマー(EC)が分散された、異相プロピレンコポリマー(RAHECO)を目的とする。したがってマトリックス(M)は、マトリックス(M)の一部ではない(微細に)分散された包含物を含み、当該包含物はエラストマープロピレンコポリマー(EC)を含む。本発明による「包含物」という用語は、好ましくはマトリックスと包含物とが、異相プロピレンコポリマー(RAHECO)内で異なる相を形成することを示すものとし、当該包含物は、例えば、電子顕微鏡観察または原子力顕微鏡観察のような高解像度顕微鏡観察によって、または動機械的熱分析(DMTA)によって見ることができる。特にDMTAでは、少なくとも2つの異なるガラス転移温度の存在によって、多相構造体の存在が特定できる。
【0026】
本発明の異相プロピレンコポリマー(RAHECO)は、ポリマー成分として、プロピレン‐C〜C12α‐オレフィンコポリマー(C‐PP)およびエラストマープロピレンコポリマー(EC)だけを含むのが好ましい。換言すれば、異相プロピレンコポリマー(RAHECO)は、さらなる添加剤を含んでもよいが、他のポリマーを、全異相プロピレンコポリマー(RAHECO)に基づいて5.0重量%を超える量で含むことができず、1.0重量%を超えるなど、3.0重量%を超える量で含むことができないのがより好ましい。そのような低い量で存在しうる1つの追加的ポリマーは、異相プロピレンコポリマー(RAHECO)の調製によって得られる反応副産物であるポリエチレンである。したがって、本発明の異相プロピレンコポリマー(RAHECO)は、プロピレン‐C〜C12α‐オレフィンコポリマー(C‐PP)、エラストマープロピレンコポリマー(EC)および任意にポリエチレンだけを、本段落に記載した量で含むのが特に好ましい。
【0027】
本発明の異相プロピレンコポリマー(RAHECO)は、中程度のメルトフローレートを特徴とする。したがって、異相プロピレンコポリマー(RAHECO)は、メルトフローレートMFR(230℃)が2.5〜200.0g/10分の範囲であり、5.0〜100.0g/10分の範囲であるのが好ましく、8.0〜50.0g/10分の範囲など、8.0〜80.0g/10分の範囲であるのがより好ましい。
【0028】
好ましくは、異相プロピレンコポリマー(RAHECO)は、熱機械的に安定であることが望ましい。したがって、異相プロピレンコポリマー(RAHECO)は、総融解エンタルピーの50%超を表す優勢な融解温度が少なくとも135℃であり、137〜155℃の範囲であるのがより好ましく、139〜150℃の範囲であるのがさらに好ましい。
【0029】
異相プロピレンコポリマー(RAHECO)は、結晶化温度Tcが最高105℃であり(α‐核形成されない場合)、結晶化温度Tcが少なくとも110℃である(α‐核形成される場合)のが好ましい。
【0030】
上述のように、異相プロピレンコポリマー(RAHECO)の多相構造体(マトリックス(M)内に分散されたエラストマープロピレンコポリマー(EC))は、少なくとも2つの異なったガラス転移温度の存在によって特定できる。高いほうの第1ガラス転移温度(Tg(1))がマトリックス(M)すなわちプロピレン‐C〜C12α‐オレフィンコポリマー(C‐PP)を表し、低いほうの第2ガラス転移温度(Tg(2))は異相プロピレンコポリマー(RAHECO)のエラストマープロピレンコポリマー(E)を反映する。
【0031】
したがって、本発明による異相プロピレンコポリマー(RAHECO)は、第1ガラス転移温度Tg(1)および第2ガラス転移温度Tg(2)を有し、当該第1ガラス転移温度Tg(1)は第2ガラス転移温度Tg(2)より高く、第1ガラス転移温度Tg(1)と第2ガラス転移温度Tg(2)との間の差は少なくとも20℃であるのが好ましい。第1ガラス転移温度Tg(1)と第2ガラス転移温度Tg(2)との間の差は少なくとも24℃であるのがさらに好ましく、20〜45℃の範囲であるのがなお好ましく、24〜40℃の範囲であるのがさらに好ましい。第1ガラス転移温度Tg(1)は、−5〜+12℃の範囲であり、および/または、第2ガラス転移温度Tg(2)は−45〜−25℃の範囲であるのが好ましい。
【0032】
第2ガラス転移温度Tg(2)は、−25℃以下であるのが好ましく、−45〜−25℃以下であるのがより好ましく、−40〜−28℃の範囲であるのがさらに好ましい。
【0033】
本発明の異相プロピレンコポリマー(RAHECO)は加えて、(異相プロピレンコポリマー(RAHECO)のマトリックス(M)を表す)第1ガラス転移温度Tg(1)が−5〜+12℃の範囲であり、+2〜+8℃など、0〜+10℃の範囲であるのがより好ましいものとさらに理解される。
【0034】
本発明による異相プロピレンコポリマー(RAHECO)は、α‐核形成されている、すなわちα‐成核剤を含むのが好ましい。本異相プロピレンコポリマー(RAHECO)は、β‐成核剤を含まないのがさらに好ましい。α‐成核剤が存在する場合には、
(i)モノカルボン酸およびポリカルボン酸の塩類、例えば安息香酸ナトリウムまたはtert‐ブチル安息香酸アルミニウム、および
(ii)ジベンジリデンソルビトール(例えば1,3:2,4ジベンジリデンソルビトール)、およびメチルジベンジリデンソルビトール、エチルジベンジリデンソルビトールまたはジメチルジベンジリデンソルビトール等のC〜C‐アルキル置換ジベンジリデンソルビトール誘導体類(例えば1,3:2,4ジ(メチルベンジリデン)ソルビトール)、または1,2,3‐トリデオキシ‐4,6:5,7‐ビス‐O‐[(4‐プロピルフェニル)メチレン]‐ノニトール等の置換ノニトール誘導体類、および
(iii)リン酸のジエステルの塩類、例えばナトリウム2,2’‐メチレンビス(4,6‐ジ‐tert‐ブチルフェニル)フォスフェートまたはアルミニウム‐ヒドロキシ‐ビス[2,2’‐メチレン‐ビス(4,6‐ジ‐t‐ブチルフェニル)フォスフェート]、および
(iv)ビニルシクロアルカンポリマーおよびビニルアルカンポリマー(以下に詳述)ならびに、
(v)これらの混合物
からなる群より選択されるのが好ましい。
【0035】
そのような添加剤は、一般に市販されており、例えば、ハンス・ツヴァイフェル(Hans Zweifel)「プラスチック添加剤ハンドブック(PlasticAdditives Handbook)」第6版、2009年(967〜990ページ)に記載されている。
【0036】
異相プロピレンコポリマー(RAHECO)のα‐成核剤含有量は、最大5.0重量%であるのが好ましい。好ましい実施形態では、異相プロピレンコポリマー(RAHECO)は、ジベンジリデンソルビトール(例えば1,3:2,4ジベンジリデンソルビトール)、ジベンジリデンソルビトール誘導体、好ましくはジメチルジベンジリデンソルビトール(例えば1,3:2,4ジ(メチルベンジリデン)ソルビトール)、または置換ノニトール誘導体類、例えば1,2,3‐トリデオキシ‐4,6:5,7‐ビス‐O‐[(4‐プロピルフェニル)メチレン]‐ノニトール、ビニルシクロアルカンポリマー、ビニルアルカンポリマー、およびこれらの混合物からなる群より特に選択されるα‐成核剤を、3000ppm以下含み、1〜2000ppm含むのがより好ましい。
【0037】
好ましい実施形態では、異相プロピレンコポリマー(RAHECO)は、例えばビニルシクロヘキサン(VCH)ポリマーおよび/またはビニルアルカンポリマーなどのビニルシクロアルカンを好ましいα‐成核剤として含む。本実施形態では、プロピレンコポリマーは、ビニルシクロヘキサン(VCH)ポリマーおよび/またはビニルアルカンポリマーなどのビニルシクロアルカンを含むのが好ましく、ビニルシクロヘキサン(VCH)を含むのが好ましい。異相プロピレンコポリマー(RAHECO)中のビニルシクロヘキサン(VCH)ポリマーおよび/またはビニルアルカンポリマーなどのビニルシクロアルカン、より好ましくはビニルシクロヘキサン(VCH)ポリマーの量は、500ppm以下であるのが好ましく、1〜200ppmであるのがより好ましく、5〜100ppmであるのが最も好ましい。
【0038】
α‐成核剤は、マスターバッチとして導入されることができる。あるいは、本発明に記載の一部のα‐成核剤は、BNT技術によって導入されることもできる。
【0039】
α‐成核剤は、例えば異相プロピレンコポリマー(RAHECO)の重合プロセスの間に異相プロピレンコポリマー(RAHECO)に導入されることができ、または、マスターバッチ(MB)の形で例えば担体ポリマーと一緒に異相プロピレンコポリマー(RAHECO)に取り込まれることができる。
【0040】
マスターバッチ(MB)取り込みの実施形態の場合には、マスターバッチ(MB)は、α‐成核剤を含み、このα‐成核剤は、以上または以下に記載されるように、ポリマーα‐成核剤であるのが好ましく、ビニルシクロヘキサン(VCH)ポリマーおよび/またはビニルアルカンポリマーなどのビニルシクロアルカンであるのが最も好ましく、ビニルシクロヘキサン(VCH)ポリマーであるのが好ましく、その量はマスターバッチ(MB)(100重量%)の重量に基づいて500ppm以下であり、1〜200ppmであるのがより好ましく、5〜100ppmであるのがさらに好ましい。この実施形態では、当該マスターバッチ(MB)は、10.0重量%以下の量で存在するのがより好ましく、5.0重量%以下の量で存在するのがより好ましく、3.5重量%以下の量で存在するのが最も好ましく、マスターバッチ(MB)の好ましい量は、異相プロピレンコポリマー(RAHECO)の総量に基づいて1.5〜3.5重量%である。最も好ましくは、マスターバッチ(MB)は、当技術分野で公知のBNT技術にしたがって核形成されているプロピレンのホモポリマーまたはコポリマーを含み、好ましくはこのホモポリマーまたはコポリマーからなり、好ましくはこのホモポリマーを含み、好ましくはこのホモポリマーからなる。BNT技術に関しては、国際特許出願公開第99/24478号、99/24479号および特に00/68315号を参照する。
【0041】
別の好ましい態様において、本発明の異相プロピレンコポリマー(RAHECO)は、
a)ISO527‐1にしたがって23℃で測定される引張弾性率が、少なくとも500MPaであり、500〜900MPaの範囲であるのがより好ましく、520〜800MPaの範囲であるのがなお好ましく;
および/または
b)FDAの方法にしたがって100μmのキャストフィルムで決定されるヘキサン可溶分が、3.0重量%未満であり、0.8重量%超〜3.0重量%未満の範囲であるのがより好ましく、1.0〜2.8重量%の範囲であるのがさらに好ましい。
【0042】
異相プロピレンコポリマー(RAHECO)は、プロピレン以外に他のコモノマーも含む。したがって、異相プロピレンコポリマー(RAHECO)の全コモノマー含有量は、12.0〜35.0重量%の範囲であるのが好ましく、15.0〜30.0重量%の範囲であるのがより好ましく、19.0〜25.0重量%の範囲など、18.0〜28.0重量%の範囲であるのがさらに好ましい。
【0043】
以上に言及し、以下にさらに詳しく説明するように、異相プロピレンコポリマー(RAHECO)は、プロピレン‐C〜C12α‐オレフィンコポリマー(C‐PP)であるマトリックス(M)と、プロピレンおよび少なくともエチレンから誘導可能な単位を含むエラストマープロピレンコポリマー(EC)とを含む。したがって、本発明の異相プロピレンコポリマー(RAHECO)は、
(a)プロピレン、
(b)エチレン、
および
(c)1‐ブテン、1‐ペンテン、1‐ヘキセン、1‐ヘプテンおよび1‐オクテンからなる群より選択される、C〜C12α‐オレフィン、好ましくはC〜Cα‐オレフィン、より好ましくは少なくとも1つの、例えば1つのα‐オレフィン、さらに好ましくは1‐ブテン、1‐ヘキセンおよび1‐オクテンからなる群より選択される少なくとも1つの、例えば1つのα‐オレフィン、さらに好ましくは1‐ブテンおよび/または1‐ヘキセン、例えば1‐ヘキセン
から誘導可能な単位を含み、この単位からなるのが好ましい、ポリプロピレンとして理解される。
【0044】
したがって、異相プロピレンコポリマー(RAHECO)の全コモノマー含有量を指定するときには、エチレンおよびC〜C12α‐オレフィンから誘導可能である、エチレンおよび1‐ブテンおよび/または1‐ヘキセンから誘導可能であるのがより好ましい、例えばエチレンおよび1‐ヘキセンから誘導可能である単位の総量(異相プロピレンコポリマー(RAHECO)の全重量に基づく)を意味する。
【0045】
本発明による異相プロピレンコポリマー(RAHECO)は、不等式(I)を満たすのが好ましく、不等式(Ia)を満たすのがさらに好ましく、不等式(Ib)を満たすのがさらに好ましく、不等式(Ic)を満たすのがなお好ましく、
【数8】
式中、
C2(total)は、異相プロピレンコポリマー(RAHECO)のエチレン含有量[重量%]であり;
Cx(total)は、異相プロピレンコポリマー(RAHECO)のC〜C12α‐オレフィン含有量、好ましくは1‐ブテンおよび/または1‐ヘキセン含有量[重量%]である。
【0046】
したがって、異相プロピレンコポリマー(RAHECO)のエチレン含有量は、12.0〜33.0重量%の範囲であることが好ましく、15.0〜30.0重量%の範囲であるのがより好ましく、16.0〜25.0重量%の範囲であるのがさらに好ましい。
【0047】
エチレン含有量に加えてまたはその代わりに、異相プロピレンコポリマー(RAHECO)のC〜C12α‐オレフィン含有量、好ましくは1‐ブテンおよび/または1‐ヘキセン含有量、例えば1‐ヘキセン含有量は、0.5〜6.0重量%の範囲であることが好ましく、1.0〜5.0重量%の範囲であるのがより好ましく、1.2〜4.5重量%の範囲であるのがさらに好ましく、1.5〜4.0重量%の範囲であるのがなお好ましい。
【0048】
ISO16152(25℃)にしたがって測定される異相プロピレンコポリマー(RAHECO)の冷キシレン可溶(XCS)画分は、10.0〜40.0重量%以下の範囲であり、12.0〜30.0重量%の範囲であるのが好ましく、12.0〜25.0重量%への範囲であるのがより好ましく、12.0〜23.0重量%の範囲であるのがさらに好ましい。
【0049】
残りの部分は、異相プロピレンコポリマー(RAHECO)の冷キシレン不溶(XCI)画分である。したがって、異相プロピレンコポリマー(RAHECO)の冷キシレン不溶(XCI)画分は、60.0以下〜90.0重量%の範囲であり、70.0〜88.0重量%の範囲であるのが好ましく、75.0〜88.0重量%の範囲であるのがより好ましく、77.0〜88.0重量%の範囲であるのがさらに好ましい。
【0050】
異相プロピレンコポリマー(RAHECO)の冷キシレン不溶(XCI)画分の全コモノマー含有量、すなわちエチレンおよびC〜C12α‐オレフィンの含有量を合わせたものは、3.0〜12.0重量%の範囲であり、4.0〜10.0重量%の範囲であるのがより好ましく、5.0〜9.5重量%の範囲であるのがなお好ましく、5.5〜9.0重量%の範囲であるのがさらに好ましい。
【0051】
冷キシレン不溶(XCI)画分中に存在するコモノマーは上記のもの、すなわち、
(i)エチレン
および
(ii)1‐ブテン、1‐ペンテン、1‐ヘキセン、1‐ヘプテンおよび1‐オクテンからなる群より選択されるC〜C12α‐オレフィン、好ましくはC〜Cα‐オレフィン、より好ましくは少なくとも1つの、例えば1つのα‐オレフィン、さらに好ましくは、1‐ブテン、1‐ヘキセンおよび1‐オクテンからなる群より選択される少なくとも1つの、例えば1つのα‐オレフィン、なお好ましくは1‐ブテンおよび/または1‐ヘキセン、例えば1‐ヘキセン
である。
【0052】
異相プロピレンコポリマー(RAHECO)の冷キシレン不溶(XCI)画分のエチレン含有量は、2.0〜11.0重量%の範囲であるのが好ましく、3.0〜9.0重量%の範囲であるのがより好ましく、3.5〜8.0重量%の範囲であるのがなお好ましく、4.0〜7.0重量%の範囲、例えば4.5〜6.5重量%の範囲であるのがさらに好ましい。
【0053】
異相プロピレンコポリマー(RAHECO)の冷キシレン不溶(XCI)画分のC〜C12α‐オレフィン含有量、例えば1‐ブテン含有量および/または1‐ヘキセン含有量は、0.5〜6.0重量%の範囲であるのが好ましく、1.0〜5.5重量%の範囲であるのがより好ましく、1.5〜5.0重量%の範囲であるのがなお好ましく、1.8〜4.5重量%の範囲、例えば2.0〜4.0重量%の範囲であるのがさらに好ましい。
【0054】
したがって、異相プロピレンコポリマー(RAHECO)は不等式(II)を満たすのが好ましく、不等式(IIa)を満たすのがより好ましく、不等式(IIb)を満たすのがさらに好ましく、不等式(IIc)を満たすのがなお好ましく;
【数9】
式中、
C2(XCI)は、異相プロピレンコポリマー(RAHECO)の冷キシレン不溶(XCI)画分のエチレン含有量[重量%]であり;
Cx(XCI)は、異相プロピレンコポリマー(RAHECO)の冷キシレン不溶(XCI)画分のC〜C12α‐オレフィン含有量[重量%]、好ましくは1‐ヘキセン含有量[重量%]である。
【0055】
異相プロピレンコポリマー(RAHECO)の冷キシレン可溶(XCS)画分に関しては、以下が特に好ましい。
【0056】
異相プロピレンコポリマー(RAHECO)の冷キシレン可溶(XCS)画分は、ISO1628/1にしたがって(デカリン中135℃で)測定される固有粘度(IV)が少なくとも1.2dl/gであるのが好ましく、1.2〜2.5dl/gの範囲であるのがより好ましく、1.4〜2.2dl/gの範囲であるのがより好ましく、1.5〜2.0dl/gの範囲であるのがさらに好ましい。
【0057】
加えて、異相プロピレンコポリマー(RAHECO)の冷キシレン可溶(XCS)画分の全コモノマー含有量および/またはエチレン含有量は、30.0〜90.0重量%の範囲であるのが好ましく、50.0〜90.0重量%の範囲であるのがさらに好ましく、60.0〜90.0重量%の範囲、例えば70.0〜85.0重量%の範囲であるのがなお好ましい。冷キシレン可溶(XCS)画分中に存在するコモノマーは上記のもの、すなわち、
(i)エチレン
および任意に
(ii)C〜C12α‐オレフィン、好ましくはC〜Cα‐オレフィン、より好ましくは1‐ブテン、1‐ペンテン、1‐ヘキセン、1‐ヘプテンおよび1‐オクテンからなる群より選択される少なくとも1つの、例えば1つのα‐オレフィン、さらに好ましくは1‐ブテン、1‐ヘキセンおよび1‐オクテンからなる群より選択される少なくとも1つの、例えば1つのα‐オレフィン、なお好ましくは1‐ブテンおよび/または1‐ヘキセン、例えば1‐ヘキセン
である。
【0058】
加えて、本発明の異相プロピレンコポリマー(RAHECO)は、不等式(III)を満たすのが好ましく、不等式(IIIa)を満たすのがより好ましく、不等式(IIIb)を満たすのがさらに好ましく、
【数10】
式中、
C(XCS)は、異相プロピレンコポリマー(RAHECO)の冷キシレン可溶(XCS)画分の全コモノマー含有量[重量%]であり;
C(total)は、異相プロピレンコポリマー(RAHECO)の全コモノマー含有量[重量%]である。
【0059】
不等式(III)に加えてまたその代わりに、異相プロピレンコポリマー(RAHECO)は、不等式(IV)を満たすのが好ましく、不等式(IVa)を満たすのがより好ましく、不等式(IVb)を満たすのがさらに好ましく、不等式(IVc)を満たすのがなお好ましく、
【数11】
式中、
C2(XCS)は、異相プロピレンコポリマー(RAHECO)の冷キシレン可溶(XCS)画分のエチレン含有量[重量%]であり;
C2(total)は、異相プロピレンコポリマー(RAHECO)のエチレン含有量[重量%]である。
【0060】
加えて、異相プロピレンコポリマー(RAHECO)は、不等式(V)を満たすのが好ましく、不等式(Va)を満たすのがより好ましく、不等式(Vb)を満たすのがさらに好ましく、
【数12】
式中、
C2(XCS)は、異相プロピレンコポリマー(RAHECO)の冷キシレン可溶(XCS)画分のエチレン含有量[重量%]であり;
C(XCI)は、異相プロピレンコポリマー(RAHECO)の冷キシレン不溶(XCI)画分の全コモノマー含有量[重量%]すなわちエチレン含有量およびC〜C12α‐オレフィン含有量を合わせたものである。
【0061】
1つの特定の好ましい実施形態では、異相プロピレンコポリマー(RAHECO)は、不等式(VI)を満たし、不等式(VIa)を満たすのがより好ましく、不等式(VIb)を満たすのがさらに好ましく、不等式(VIc)を満たすのがなお好ましく、
【数13】
式中、
C2(XCS)は、異相プロピレンコポリマー(RAHECO)の冷キシレン可溶(XCS)画分のエチレン含有量[重量%]であり;
C2(XCI)は、異相プロピレンコポリマー(RAHECO)の冷キシレン不溶(XCI)画分のエチレン含有量[重量%]である。
【0062】
最後に、本発明による異相プロピレンコポリマー(RAHECO)は、不等式(VII)を満たすのが好ましく、不等式(VIIa)を満たすのがより好ましく、不等式(VIIb)を満たすのがさらに好ましく、
【数14】
式中、
C(XCS)は、異相プロピレンコポリマー(RAHECO)の全コモノマー含有量すなわちエチレン含有量およびC〜C12α‐オレフィン含有量を合わせたもの[重量%]であり;
XCSは、異相プロピレンコポリマー(RAHECO)の冷キシレン可溶(XCS)画分の含有量[重量%]である。
【0063】
本発明において定義される異相プロピレンコポリマー(RAHECO)は、α‐成核剤に加えて、5.0重量%以下の添加剤、例えば抗酸化剤、掃酸剤、UV安定剤、ならびにスリップ剤およびブロッキング防止剤等の加工助剤を含むことができ、含むのが好ましい。添加剤含有量(α‐成核剤を含まない)は、3.0重量%未満、例えば1.0重量%未満であるのが好ましい。
【0064】
上述のように、異相プロピレンコポリマー(RAHECO)は、主成分としてプロピレン‐C〜C12α‐オレフィンコポリマー(C‐PP)であるマトリックス(M)と、当該マトリックス(M)内に分散されたエラストマープロピレンコポリマー(EC)とを含む。したがって、異相プロピレンコポリマー(RAHECO)は、これらの個々の成分によって、すなわちプロピレン‐C〜C12α‐オレフィンコポリマー(C‐PP)およびエラストマープロピレンコポリマー(EC)によってさらに定義されうる。
【0065】
したがって、本発明によるプロピレン‐C〜C12α‐オレフィンコポリマー(C‐PP)は、(i)プロピレンと(ii)少なくとも1つ、好ましくは1つの‐C〜C12α‐オレフィン、例えば1‐ヘキセンとから誘導可能な単位を含む。したがって、プロピレン‐C〜C12α‐オレフィンコポリマー(C‐PP)は、プロピレンと共重合可能なモノマー、すなわちC〜C12α‐オレフィン、特にC〜Cα‐オレフィン、例えばC〜Cα‐オレフィン、例えば1‐ブテンおよび/または1‐ヘキセンを含み、これらのモノマーからなる。好ましくは本発明によるプロピレン‐C〜C12α‐オレフィンコポリマー(C‐PP)は、1‐ブテン、1‐ヘキセン、1‐オクテンからなる群からのプロピレンと共重合可能なモノマーを含み、特にこれらのモノマーからなる。より具体的には、本発明のプロピレン‐C〜C12α‐オレフィンコポリマー(C‐PP)は、プロピレン以外に、1‐ブテンおよび/または1‐ヘキセンから、好ましくは1‐ヘキセンから誘導可能な単位を含む。好ましい実施形態では、プロピレン‐C〜C12α‐オレフィンコポリマー(C‐PP)は、プロピレンと1‐ヘキセンのみとから誘導可能な単位を含む、すなわちプロピレン‐1‐ヘキセンコポリマー(C‐PP)である。
【0066】
プロピレン‐C〜C12α‐オレフィンコポリマー(C‐PP)のコモノマー含有量、好ましくはC〜C12α‐オレフィン含有量、より好ましくは1‐ブテンおよび/または1‐ヘキセン含有量、例えば1‐ヘキセン含有量は、1.5〜9.0重量%の範囲であり、2.0〜6.0重量%の範囲であるのがなお好ましく、2.5〜5.0重量%の範囲であるのがさらに好ましい。
【0067】
プロピレン‐C〜C12α‐オレフィンコポリマー(C‐PP)は、メルトフローレートMFR(230℃)が5.0〜100.0g/10分の範囲であるのが好ましく、10.0〜80.0g/10分の範囲であるのが好ましく、20.0〜60.0g/10分の範囲であるのがより好ましい。
【0068】
ISO16152(25℃)にしたがって測定したプロピレン‐C〜C12α‐オレフィンコポリマー(C‐PP)の冷キシレン可溶(XCS)画分は、10.0重量%未満であるのが好ましく、0.2〜7.0重量%以下の範囲であるのがより好ましく、0.8〜5.0重量%の範囲であるのがさらに好ましく、0.8〜2.5重量%の範囲であるのがより好ましい。
【0069】
プロピレンコポリマー(R‐PP)は、少なくとも2つのポリマー画分、例えば2つまたは3つのポリマー画分を含むのが好ましく、それらのうちの少なくとも1つは、プロピレン‐C〜C12α‐オレフィンコポリマーである。なお好ましくはプロピレン‐C〜C12α‐オレフィンコポリマー(C‐PP)は、第1ポリプロピレン画分(PP1)と第2プロピレン‐C〜C12α‐オレフィンコポリマー画分(C‐PP2)とを含み、好ましくはこれらの画分からなる。特に好ましくはプロピレン‐C〜C12α‐オレフィンコポリマー(C‐PP)は、第1ポリプロピレン画分(PP1)と第2プロピレン‐C〜C12α‐オレフィンコポリマー画分(C‐PP2)とを含み、好ましくはこれら画分からなり、ここで第1ポリプロピレン画分(PP1)のコモノマー含有量は、最大4.0重量%である。
【0070】
第1ポリプロピレン画分(PP1)、例えば第1プロピレン‐C〜C12α‐オレフィンコポリマー画分(C‐PP1)と第2プロピレン‐C〜C12α‐オレフィンコポリマー画分(C‐PP2)との間の重量比[(PP1)/(C‐PP2)]は、30/70〜70/30の範囲であり、35/65〜65/35の範囲、例えば40/60〜55/45の範囲であるのがより好ましい。
【0071】
第1ポリプロピレン画分(PP1)、例えば第1プロピレン‐C〜C12α‐オレフィンコポリマー画分(C‐PP1)は、コモノマー希薄画分、例えばC〜C12α‐オレフィン希薄画分であり、第2プロピレン‐C〜C12α‐オレフィンコポリマー画分(C‐PP2)は、コモノマー豊富画分、例えばC〜C12α‐オレフィン豊富画分であるのが好ましい。したがって、1つの好ましい実施形態では、プロピレン‐C〜C12α‐オレフィンコポリマー(C‐PP)中のコモノマー含有量、例えばC〜C12α‐オレフィン含有量[重量%]は、第1プロピレン‐C〜C12α‐オレフィンコポリマー画分(C‐PP1)中よりも高い。
【0072】
したがって、第1ポリプロピレン画分(PP1)、例えば第1プロピレン‐C〜C12α‐オレフィンコポリマー画分(C‐PP1)は、コモノマー含有量がかなり低い、例えばC〜C12α‐オレフィン含有量がかなり低いのが好ましい。
【0073】
したがって、異相プロピレンコポリマー(RAHECO)の第1ポリプロピレン画分(PP1)は、
(a)プロピレンホモポリマー画分(H‐PP1);
または、
(b)C〜C12α‐オレフィン含有量が0.5〜4.0重量%の範囲であるのが好ましい、第1プロピレン‐C〜C12α‐オレフィンコポリマー画分(C‐PP1)
であるのが好ましい。
【0074】
第1ポリプロピレン画分(PP1)が、本明細書に定義される第1プロピレン‐C〜C12α‐オレフィンコポリマー画分(C‐PP1)であるのが特に好ましい。
【0075】
本発明で使用されるところのプロピレンホモポリマー、例えば第1プロピレンホモポリマー(画分)(H‐PP1)という表現は、プロピレン単位から実質的になる、すなわち99.0モル%を上回るプロピレン単位からなる、例えば少なくとも99.5モル%のプロピレン単位からなる、少なくとも99.7モル%のプロピレン単位からなるのがさらに好ましい、ポリプロピレンに関する。好ましい実施形態では、プロピレンホモポリマー、例えば第1プロピレンホモポリマー(画分)(H‐PP1)におけるプロピレン単位だけが検出可能である。
【0076】
第1ポリプロピレン画分(PP1)が第1プロピレン‐C〜C12α‐オレフィンコポリマー画分(C‐PP1)である場合には、(i)プロピレンと(ii)少なくとも1つの、好ましくは1つのC〜C12α‐オレフィン、例えば1‐ヘキセンとから誘導可能な単位を含む。したがって、第1プロピレン‐C〜C12α‐オレフィンコポリマー画分(C‐PP1)は、プロピレンと共重合可能なモノマー、すなわちC〜C12α‐オレフィン、特にC〜Cα‐オレフィン、例えばC〜Cα‐オレフィン、例えば1‐ブテンおよび/または1‐ヘキセンを含み、これらのモノマーからなる。好ましくは本発明の第1プロピレン‐C〜C12α‐オレフィンコポリマー画分(C‐PP1)は、1‐ブテン、1‐ヘキセン、1‐オクテンからなる群からのプロピレンと共重合可能なモノマーを含み、特にこれらのモノマーからなる。特に、本発明の第1プロピレン‐C〜C12α‐オレフィンコポリマー画分(C‐PP1)は、プロピレン以外に、1‐ブテンおよび/または1‐ヘキセンから、好ましくは1‐ヘキセンから誘導可能な単位を含む。好ましい実施形態では、第1プロピレン‐C〜C12α‐オレフィンコポリマー画分(C‐PP1)は、プロピレンと1‐ヘキセンだけとから誘導可能な単位を含む、すなわち第1プロピレン‐1‐ヘキセンコポリマー画分(C‐PP1)である。
【0077】
第1プロピレン‐C〜C12α‐オレフィンコポリマー画分(C‐PP1)のコモノマー含有量、好ましくはC〜C12α‐オレフィン含有量、より好ましくは1‐ブテンおよび/または1‐ヘキセン含有量、例えば1‐ヘキセン含有量は、0.5〜4.0重量%の範囲であり、0.5〜3.5重量%の範囲であるのがなお好ましく、0.7〜3.0重量%の範囲であるのがさらに好ましい。
【0078】
さらに、例えば第1プロピレン‐C〜C12α‐オレフィンコポリマー画分(C‐PP1)の第1ポリプロピレン画分(PP1)の冷キシレン可溶(XCS)画分の量は、4.0重量%以下であるのが好ましく、0.5〜3.5重量%の範囲であるのがより好ましく、0.8〜2.5重量%の範囲であるのがさらに好ましい。
【0079】
第1ポリプロピレン画分(PP1)、例えば第1プロピレン‐C〜C12α‐オレフィンコポリマー画分(C‐PP1)は、メルトフローレートMFR(230℃)が5.0〜100.0g/10分の範囲であるのが好ましく、10.0〜80.0g/10分の範囲であるのが好ましく、20.0〜60.0g/10分の範囲であるのがより好ましい。
【0080】
プロピレン‐C〜C12α‐オレフィンコポリマー(C‐PP)の第2画分は、第1ポリプロピレン画分(PP1)よりもコモノマー含有量が高い、C〜C12α‐オレフィン含有量が高いのが好ましい、1‐ブテンおよび/または1‐ヘキセン含有量が高い、例えば1‐ヘキセン含有量が高いのがより好ましい、コポリマー画分、すなわち第2プロピレン‐C〜C12α‐オレフィンコポリマー画分(C‐PP2)である。
【0081】
プロピレン‐C〜C12α‐オレフィンコポリマー(C‐PP)と第1ポリプロピレン画分(PP1)、例えば第1プロピレン‐C〜C12α‐オレフィンコポリマー画分(C‐PP1)との間のコモノマー含有量の差、好ましくはC〜C12α‐オレフィン含有量の差、より好ましくは1‐ブテンおよび/または1‐ヘキセン含有量の差、例えば1‐ヘキセン含有量の差[(C‐PP)−(PP1)]は、少なくとも1.5重量%であるのが好ましく、1.5〜6.0重量%であるのがより好ましく、1.5〜4.0重量%であるのがなお好ましく、1.8〜3.5重量%であるのがさらに好ましい。
【0082】
したがって、第2プロピレン‐C〜C12α‐オレフィンコポリマー画分(C‐PP2)は、コモノマー含有量、好ましくはC〜C12α‐オレフィン含有量、より好ましくは1‐ブテンおよび/または1‐ヘキセン含有量、例えば1‐ヘキセン含有量が2.0重量%以上であるのが好ましく、2.0〜15.0重量%の範囲、例えば2.0〜10.0重量%の範囲であるのがより好ましく、3.0〜8.0重量%の範囲であるのがなお好ましい。
【0083】
したがって、第2プロピレン‐C〜C12α‐オレフィンコポリマー画分(C‐PP2)と第1ポリプロピレン画分(PP1)、例えば第1プロピレン‐C〜C12α‐オレフィンコポリマー画分(C‐PP1)との間のコモノマー含有量、好ましくはC〜C12α‐オレフィン含有量、より好ましくは1‐ブテンおよび/または1‐ヘキセン含有量、例えば1‐ヘキセン含有量の差[(R‐PP2)−(PP1)]は、少なくとも2.5重量%であるのがさらに好ましく、2.5〜10.0重量%、例えば3.0〜10.0重量%であるのがより好ましく、3.0〜8.0重量%であるのがなお好ましく、3.0〜6.0重量%であるのがさらに好ましい。
【0084】
第2プロピレン‐C〜C12α‐オレフィンコポリマー画分(C‐PP2)は、(i)プロピレンと(ii)少なくとも1つ、好ましくは1つのC〜C12α‐オレフィン、例えば1‐ヘキセンとから誘導可能な単位を含む。したがって、第2プロピレン‐C〜C12α‐オレフィンコポリマー画分(C‐PP2)は、プロピレンと共重合可能なモノマー、すなわちC〜C12α‐オレフィン、特にC〜Cα‐オレフィン、例えばC〜Cα‐オレフィン、例えば1‐ブテンおよび/または1‐ヘキセンを含み、これらのモノマーからなる。好ましくは本発明の第2プロピレン‐C〜C12α‐オレフィンコポリマー画分(C‐PP2)は、1‐ブテン、1‐ヘキセン、1‐オクテンからなる群からのプロピレンと共重合可能なモノマーを含み、特にこれらのモノマーからなる。特に、本発明の第2プロピレン‐C〜C12α‐オレフィンコポリマー画分(C‐PP2)は、プロピレン以外に、1‐ブテンおよび/または1‐ヘキセン、好ましくは1‐ヘキセンから誘導可能な単位を含む。好ましい実施形態では、第2プロピレン‐C〜C12α‐オレフィンコポリマー画分(C‐PP2)は、プロピレンと1‐ヘキセンだけとから誘導可能な単位を含む、すなわち第2プロピレン‐1‐ヘキセンコポリマー画分(C‐PP2)である。
【0085】
1つの特定の好ましい実施形態では、プロピレン‐C〜C12α‐オレフィンコポリマー(C‐PP)は、第1プロピレン‐C〜C12α‐オレフィンコポリマー画分(C‐PP1)と第2プロピレン‐C〜C12α‐オレフィンコポリマー画分(C‐PP2)とを含み、好ましくはこれらの画分からなり、両方の画分が、プロピレンと少なくとも1つのC〜C12α‐オレフィンとから誘導可能な単位、より好ましくはプロピレンと1つのC〜C12α‐オレフィンとから誘導可能な単位、なお好ましくはプロピレンと1‐ヘキセンとから、またはプロピレンと1‐ブテンとから誘導可能な単位を含み、これらの単位からなる。1つの特定の好ましい実施形態では、プロピレン‐C〜C12α‐オレフィンコポリマー(C‐PP)は、第1プロピレン‐C〜C12α‐オレフィンコポリマー画分(C‐PP1)と第2プロピレン‐C〜C12α‐オレフィンコポリマー画分(C‐PP2)を含み、好ましくはこれらの画分からなり、両方の画分が、プロピレンと1‐ヘキセンだけを含み、プロピレンと1‐ヘキセンだけからなる。
【0086】
マトリックス(M)すなわちプロピレン‐C〜C12α‐オレフィンコポリマー(C‐PP)とエラストマープロピレンコポリマー(EC)との間の重量比は、15/1〜2/1の範囲であるのが好ましく、10/1〜5/2の範囲であるのがより好ましく、8/1〜3/1の範囲であるのがさらに好ましい。
【0087】
したがって、1つの好ましい実施形態では、異相プロピレンコポリマー(RAHECO)は、異相プロピレンコポリマー(RAHECO)の総重量に基づいて、マトリックス(M)すなわちプロピレン‐C〜C12α‐オレフィンコポリマー(C‐PP)を65〜95重量%含むのが好ましく、70〜90重量%含むのがより好ましい。
【0088】
加えて、異相プロピレンコポリマー(RAHECO)は、異相プロピレンコポリマー(RAHECO)の総重量に基づいてエラストマープロピレンコポリマー(EC)を5〜35重量%含むのが好ましく、10〜30重量%含むのがより好ましい。
【0089】
したがって、異相プロピレンコポリマー(RAHECO)は、異相プロピレンコポリマー(RAHECO)の総重量に基づいて65〜95重量%、より好ましくは70〜90重量%のマトリックス(M)、すなわちプロピレン‐C〜C12α‐オレフィンコポリマー(C‐PP)と、5〜35重量%、より好ましくは10〜30重量%のエラストマープロピレンコポリマー(EC)とを好ましくは含み、より好ましくはこれらからなるものと理解される。
【0090】
したがって、異相プロピレンコポリマー(RAHECO)のさらなる成分は、マトリックス(M)内に分散されたエラストマープロピレンコポリマー(EC)である。エラストマープロピレンコポリマー(EC)は、
(i)プロピレンと
(ii)エチレンおよび任意に少なくとも1つのC〜C12α‐オレフィンと
から誘導可能な単位を含む。
【0091】
したがって、エラストマープロピレンコポリマー(EC)は、プロピレンと共重合可能なモノマー、すなわちエチレンおよび任意に少なくとも1つのC〜C12α‐オレフィン、例えば1つのC〜C12α‐オレフィン、特にエチレンおよび任意に1つのC〜Cα‐オレフィン、例えば1‐ブテンおよび/または1‐ヘキセンを含む。好ましくは、エラストマープロピレンコポリマー(EC)は、プロピレン、エチレン、ならびに任意に1‐ブテンおよび1‐ヘキセンを含み、特にこれらからなる。特に、エラストマープロピレンコポリマー(EC)は、プロピレン以外に、エチレンおよび任意に1‐ヘキセンから誘導可能な単位を含む。したがって、一実施形態では、エラストマープロピレンコポリマー(EC)は、エチレンおよびプロピレンだけから誘導可能な単位を含む、すなわちエチレン‐プロピレンゴム(EPR)である。
【0092】
エラストマープロピレンコポリマー(EC)のコモノマー含有量、好ましくはエチレンおよびC〜C12α‐オレフィン含有量を合わせたもの、より好ましくはエチレン含有量は、40.0〜95.0重量%の範囲であるのが好ましく、40.0〜90.0重量%の範囲であるのがさらに好ましく、50.0〜90.0重量%の範囲、例えば70.0〜90.0重量%の範囲であるのがなお好ましい。
【0093】
本発明は、本異相プロピレンコポリマー(RAHECO)だけでなく、物品、好ましくは(医療用)パウチ、食品包装物品、未配向フィルムなどのフィルムおよびボトルなどからなる群より選択される物品も目的とする。したがって、さらなる実施形態では、本発明は、本発明の異相プロピレンコポリマー(RAHECO)を少なくとも70.0重量%含む、少なくとも80.0重量%含むのが好ましい、少なくとも90.0重量%含むのがより好ましい、少なくとも95.0重量%含むのがさらに好ましい、少なくとも99.0重量%含むのがなお好ましい物品、特に(医療用)パウチ、食品包装物品、未配向フィルムなどのフィルム(すなわちキャストフィルムまたはブロウンフィルム、例えば空冷ブロウンフィルム)、およびボトルより選択される物品を目的とする。
【0094】
未配向フィルムと配向フィルムとは区別される(例えばポリプロピレンハンドブック(polypropylene handbook)、ネッロ・パスクイーニ(Nello Pasquini)、第2版、ハンサー(Hanser)を参照)。配向フィルムは通常、1軸または2軸配向フィルムであり、未配向フィルムはキャストフィルムまたはブロウンフィルムである。したがって、未配向フィルムは配向フィルムのように機械方向および/または横断方向に集中的に延伸されない。したがって本発明による未配向フィルムは、1軸または2軸配向フィルムではない。本発明による未配向フィルムは、ブロウンフィルムまたはキャストフィルムであるのが好ましい。
【0095】
1つの特定の実施形態では、未配向フィルムは、キャストフィルムまたは空冷ブロウンフィルムである。
【0096】
未配向フィルムの厚みは、10〜1000μmであるのが好ましく、20〜700μm例えば40〜500μmであるのがより好ましい。
【0097】
本発明は、(医療用)パウチ、食品包装システム、未配向フィルムなどのフィルム(すなわちキャストフィルムまたはブロウンフィルム、例えば空冷ブロウンフィルムまたは水急冷ブロウンフィルム)、およびボトルからなる群より選択される物品の製造における異相プロピレンコポリマー(RAHECO)の使用も目的とする。
【0098】
本発明の異相プロピレンコポリマー(RAHECO)は、直列に接続された少なくとも2つの反応器、好ましくは少なくとも3つの反応器を含む多段階プロセスで生産されるのが好ましい。
【0099】
したがって、本発明の異相プロピレンコポリマー(RAHECO)は、
(I)プロピレンと少なくとも1つのC〜C12α‐オレフィン、好ましくは1つのC〜C12α‐オレフィン、より好ましくは1‐ブテンおよび/または1‐ヘキセン、例えば1‐ヘキセンとを重合して、プロピレン‐C〜C12α‐オレフィンコポリマー(C‐PP)であるマトリックス(M)を形成するステップと;
その後、
(II)プロピレンとエチレンと任意に少なくとも1つのC〜C12α‐オレフィン、好ましくはプロピレンとエチレンとを気相で重合して、当該マトリックス(M)内に分散されたエラストマープロピレンコポリマー(EC)を形成するステップと
によって生産され、
ステップ(I)および(II)のいずれも、外部担体を含まないのが好ましい同じシングルサイト固体粒子触媒の存在下で行われるのが好ましく、(i)以下に詳細に定義される化学式(I)の錯体を含む触媒の存在下で行われるのがより好ましい。
【0100】
異相プロピレンコポリマー(RAHECO)は、
(a)第1反応器において、(i)プロピレンと(ii)任意に少なくとも1つのC〜C12α‐オレフィン、好ましくは1つのC〜C12α‐オレフィン、より好ましくは1‐ブテンおよび/または1‐ヘキセン、例えば1‐ヘキセンとを重合し、これにより、第1ポリプロピレン画分(PP1)、例えば第1プロピレン‐C〜C12α‐オレフィンコポリマー画分(C‐PP1)を得るステップと、
(b)当該第1ポリプロピレン画分(PP1)、好ましくは当該第1プロピレン‐C〜C12α‐オレフィンコポリマー画分(C‐PP1)を、第2反応器に移すステップと、
(c)当該第2反応器において、第1ポリプロピレン画分(PP1)の存在下で、好ましくは第1プロピレン‐C〜C12α‐オレフィンコポリマー画分(C‐PP1)の存在下で、(i)プロピレンと(ii)少なくとも1つのC〜C12α‐オレフィン、好ましくは1つのC〜C12α‐オレフィン、より好ましくは1‐ブテンおよび/または1‐ヘキセン例えば1‐ヘキセンとを重合し、第2プロピレン‐C〜C12α‐オレフィンコポリマー画分(C‐PP2)を得るステップであって、当該第1ポリプロピレン画分(PP1)、好ましくは当該第1プロピレン‐C〜C12α‐オレフィンコポリマー画分(C‐PP1)と当該第2プロピレン‐C〜C12α‐オレフィンコポリマー画分(C‐PP2)とが、マトリックス(M)すなわちプロピレン‐C〜C12α‐オレフィンコポリマー(C‐PP)を形成する、ステップと、
(d)当該マトリックス(M)を第3反応器に移すステップと、
(e)当該第3反応器において、マトリックス(M)の存在下で、プロピレンとエチレンと任意に少なくとも1つのC〜C12α‐オレフィン、好ましくはプロピレンとエチレンとを重合して、エラストマープロピレンコポリマー(EC)を得るステップであって、当該マトリックス(M)と当該エラストマープロピレンコポリマー(EC)とが、異相プロピレンコポリマー(RAHECO)を形成する、ステップと
を含む逐次重合プロセスにより得られるのが好ましく、これらのステップは、外部担体を含まない同じシングルサイト固体粒子触媒の存在下で行われるのが好ましく、(i)以下に詳細に定義される化学式(I)の錯体を含む触媒の存在下で行われるのがより好ましい。
【0101】
異相プロピレンコポリマー(HECO)、プロピレン‐C〜C12α‐オレフィンコポリマー(C‐PP)、第1ポリプロピレン画分(PP1)、例えば第1プロピレン‐C〜C12α‐オレフィンコポリマー画分(C‐PP1)、第2プロピレン‐C〜C12α‐オレフィンコポリマー画分(C‐PP2)、およびエラストマーコポリマー(CE)の好ましい実施形態については、上述の定義を参照されたい。
【0102】
「逐次重合プロセス」という用語は、異相プロピレンコポリマー(HECO)が少なくとも2つ、例えば3つの直列に接続された反応器において生産されることを意味する。したがって本プロセスは、少なくとも第1反応器、第2反応器、および任意に第3反応器を含む。「重合プロセス」という用語は、本重合が生じることを示すものとする。したがって、プロセスが3つの重合反応器からなる場合、この定義は、全体のプロセスが例えば予備重合反応器における予備重合ステップを含む選択肢を排除しない。「からなる」という用語は、主重合プロセスからみた閉鎖語句にすぎない。
【0103】
第1反応器は、スラリー反応器であるのが好ましく、バルクまたはスラリーで運転する任意の連続または単純な撹拌バッチ槽反応器またはループ反応器でありうる。バルクは、少なくとも60%(w/w)のモノマーを含む反応媒体における重合を意味する。本発明によれば、スラリー反応器は(バルク)ループ反応器であるのが好ましい。
【0104】
第2反応器および第3反応器は、気相反応器であるのが好ましい。そのような気相反応器は、任意の機械混合または流動床反応器でありうる。気相反応器は、ガス速度が少なくとも0.2m/秒の機械撹拌流動床反応器を含むのが好ましい。このように、気相反応器は、機械的撹拌器を有するのが好ましい流動床型反応器であるものと理解される。
【0105】
したがって好ましい実施形態では、第1反応器はスラリー反応器、例えばループ反応器であり、第2反応器および第3反応器は気相反応器(GPR)である。したがって本プロセスでは、少なくとも3つ、好ましくは3つの重合反応器、すなわちスラリー反応器、例えばループ反応器、第1気相反応器および第2気相反応器が、直列に接続されて使用される。必要に応じて、スラリー反応器の前に、予備重合反応器が置かれる。
【0106】
好ましい多段階プロセスは、例えば欧州特許第0 887 379号、国際公開第92/12182号、国際公開第2004/000899号、国際公開第2004/111095号、国際公開第99/24478号、国際公開第99/24479号、または国際公開第00/68315号などの特許文献に記載されるデンマークのボレアリスA/S(Borealis A/S)によって開発されたもの(BORSTAR(登録商標)技術)などの「ループ‐気相」プロセスである。
【0107】
さらなる適切なスラリー‐気相プロセスは、バセル(Basell)のSpheripol(登録商標)プロセスである。
【0108】
好ましくは、上に定義された異相プロピレンコポリマー(RAHECO)を生産するための本プロセスにおいて、第1反応器すなわちスラリー反応器、例えばループ反応器の条件は、以下の通りである:
‐温度は50℃〜110℃の範囲であり、60℃〜100℃の間であるのが好ましく、65〜95℃の間であるのがより好ましい。
‐圧力は20〜80バールの範囲であり、40〜70バールの間であるのが好ましい。
‐それ自体が公知の様式でモル質量を制御するために、水素が添加されうる。
【0109】
その後、第1反応器の反応混合物が、第2反応器すなわち気相反応器へ移され、気相反応器での条件は、以下の通りであるのが好ましい:
‐温度は、50℃〜130℃の範囲であり、60℃〜100℃の間であるのが好ましく、
‐圧力は、5〜50バールの範囲内であり、15〜35バールの間であるのが好ましく、
‐それ自体が公知の様式でモル質量を制御するために、水素が添加されうる。
【0110】
第3反応器の条件は、第2反応器と同様である。
【0111】
滞留時間は、3つの反応器で変動しうる。
【0112】
異相プロピレンコポリマー(RAHECO)を生産するプロセスの一実施形態において、バルク反応器、例えばループにおける滞留時間は0.1〜2.5時間、例えば0.15〜1.5時間の範囲であり、気相反応器の滞留時間は一般に0.2〜6.0時間、例えば0.3〜4.0時間である。
【0113】
必要に応じて、重合は、第1反応器においてすなわちスラリー反応器、例えばループ反応器において超臨界条件下で、および/または気相反応器において凝縮モードとして、既知の様式で実行されうる。
【0114】
以下では、触媒成分がさらに詳細に定義される。触媒は、(i)化学式(I)の錯体:
(i)化学式(I)
(Cp’)MX (I)
の遷移金属化合物であって、式中、
「M」は、ジルコニウム(Zr)またはハフニウム(Hf)であり、
各「X」は、独立して一価陰イオン性σ‐リガンドであり、
各「Cp’」は、置換シクロペンタジエニル、置換インデニル、置換テトラヒドロインデニル、および置換または非置換フルオレニルからなる群より独立して選択されるシクロペンタジエニルタイプの有機リガンドであって、遷移金属(M)に配位する、有機リガンドであり、
「R」は、当該有機リガンド(Cp’)を連結する二価架橋基であり、
「n」は、1または2であり、1であるのが好ましい、
遷移金属化合物と、
(ii)第13族金属の化合物、例えばAlまたはホウ素化合物を含む助触媒と
を含むのが好ましい。
【0115】
1つの特定の実施形態では、シングルサイト固体粒子触媒は、ASTM4641にしたがって測定した細孔容積が1.40ml/g未満であり、および/または、ASTM D3663にしたがって測定した表面積が25m/g未満である。
【0116】
シングルサイト固体粒子触媒は、表面積が15m/g未満であるのが好ましく、さらに10m/g未満であるのが好ましく、測定下限である5m/g未満であるのが最も好ましい。本発明の表面積は、ASTM D3663(N)にしたがって測定される。
【0117】
代わりにまたは加えて、シングルサイト固体粒子触媒は、細孔容積が1.30ml/g未満であり、1.00ml/g未満であるのがより好ましいものと理解される。細孔容積は、ASTM4641(N)にしたがって測定されている。別の好ましい実施形態では、細孔容積はASTM4641(N)にしたがって適用される方法により決定される場合には検出不能である。
【0118】
さらに、シングルサイト固体粒子触媒は通常、平均粒径が500μm以下である、すなわち2〜500μmの範囲であるのが好ましく、5〜200μmの範囲であるのがより好ましい。平均粒径は、80μm未満であるのが特に好ましく、70μm未満であるのがさらに好ましい。平均粒径の好ましい範囲は、5〜70μm、または10〜60μmである。
【0119】
上述のように、遷移金属(M)は、ジルコニウム(Zr)またはハフニウム(Hf)であり、ジルコニウム(Zr)であるのが好ましい。
【0120】
「σ‐リガンド」という用語は、本明細書の全体において既知の様式で理解される、すなわちシグマ結合を介して金属に結合された基である。したがって、アニオン性リガンド「X」は、独立して、ハロゲンであってもよく、またはR’、OR’、SiR’、OSiR’、OSOCF、OCOR’、SR’、NR’もしくはPR’基からなる群より選択されてもよく、式中R’は独立して水素、直鎖または分岐鎖の環状または非環状C〜C20アルキル、C〜C20アルケニル、C〜C20アルキニル、C〜C12シクロアルキル、C〜C20アリール、C〜C20アリールアルキル、C〜C20アルキルアリール、C〜C20アリールアルケニルであり、R’基は、第14〜16族に属する1つ以上のヘテロ原子を任意に含むことができる。好ましい実施形態では、アニオン性リガンド「X」は同一であり、Clなどのハロゲン、またはメチルもしくはベンジルである。
【0121】
好ましい一価アニオン性リガンドはハロゲンであり、特に塩素(Cl)である。
【0122】
置換シクロペンタジエニル型のリガンド(単数または複数)は、ハロゲン、ヒドロカルビル(例えばC〜C20アルキル、C〜C20アルケニル、C〜C20アルキニル、C〜C20アルキル置換C〜C20シクロアルキルなどのC〜C20シクロアルキル、C〜C20アリール、シクロアルキル残基がC〜C20アルキルにより置換されたC〜C20シクロアルキル置換C〜C20アルキル、C〜C20アリールアルキル、環部分に1個、2個、3個または4個のヘテロ原子(単数または複数)を含むC〜C12シクロアルキル、C〜C20ヘテロアリール、C〜C20ハロアルキル)、‐SiR’’、‐SR’’、‐PR’’、または‐NR’’からなる群より選択される1つ以上の置換基(単数または複数)を有してもよく、式中、各R’は独立して水素またはヒドロカルビル(例えばC〜C20アルキル、C〜C20アルケニル、C〜C20アルキニル、C〜C12シクロアルキルまたはC〜C20アリール)であり、または、例えば‐NR’’の場合には、2つの置換基R’’は、それらが結合する窒素原子と一緒になって環、例えば五員環または六員環を形成しうる。
【0123】
さらに、化学式(I)の「R」は、1〜4個の原子の架橋であるのが好ましく、そのような原子は、独立して、炭素(C)、シリコン(Si)、ゲルマニウム(Ge)、または酸素(O)原子(単数または複数)であり、架橋原子の各々は、独立して、C〜C20‐ヒドロカルビル、トリ(C〜C20‐アルキル)シリル、トリ(C〜C20‐アルキル)シロキシ等の置換基を持つことができ、より好ましくは、「R」は、例えば‐SiR’’‐など、1つの原子架橋であり、式中、各R’’は、独立して、C〜C20‐アルキル、C〜C20‐アルケニル、C〜C20‐アルキニル、C〜C12シクロアルキル、C〜C20‐アリール、アルキルアリールもしくはアリールアルキル、またはトリメチルシリル‐等のトリ(C〜C20アルキル)シリル残基であり、または2つのR’’は、Si架橋原子を含む環系の一部でありうる。
【0124】
好ましい実施形態では、遷移金属化合物は、化学式(II)を有し、
【化1】
式中、
Mは、ジルコニウム(Zr)またはハフニウム(Hf)であり、ジルコニウム(Zr)であるのが好ましく、
Xは、金属「M」に対するσ‐結合を有するリガンドであり、化学式(I)につき上に定義したものであるのが好ましく、塩素(Cl)またはメチル(CH)であるのが好ましく、前者が特に好ましく、
は、互いに同じであるかまたは異なり、同じであるのが好ましく、直鎖飽和C〜C20アルキル、直鎖不飽和C〜C20アルキル、分枝鎖飽和C〜C20アルキル、分枝鎖不飽和C〜C20アルキル、C〜C20シクロアルキル、C〜C20アリール、C〜C20アルキルアリールおよびC〜C20アリールアルキルからなる群より選択され、周期表(IUPAC)の第14〜16族の1つ以上のヘテロ原子を任意に含み、互いに同じであるかまたは異なるのが好ましく、同じであるのが好ましく、直鎖または分岐鎖C〜C10ヒドロカルビルであり、互いに同じであるかまたは異なるのがより好ましく、同じであるのが好ましく、直鎖または分岐鎖C〜Cアルキルであり、
〜Rは、互いに同じであるかまたは異なり、水素、直鎖飽和C〜C20アルキル、直鎖不飽和C〜C20アルキル、分岐鎖飽和C〜C20アルキル、分岐鎖不飽和C〜C20アルキル、C〜C20シクロアルキル、C6〜C20アリール、C〜C20アルキルアリールおよびC〜C20アリールアルキルからなる群より選択され、周期表(IUPAC)の第14〜16族の1つ以上のヘテロ原子を任意に含み、互いに同じであるかまたは異なり、直鎖または分岐鎖C〜C10ヒドロカルビルであり、互いに同じであるかまたは異なり、直鎖または分岐鎖C〜Cアルキルであるのがより好ましく、
およびRは、互いに同じであるかまたは異なり、水素、直鎖飽和C〜C20アルキル、直鎖不飽和C〜C20アルキル、分岐鎖飽和C〜C20アルキル、分岐鎖不飽和C〜C20アルキル、C〜C20シクロアルキル、C〜C20アリール、C〜C20アルキルアリール、C〜C20アリールアルキル(周期表(IUPAC)の第14〜16族の1つ以上のヘテロ原子を任意に含む)、SiR10、GeR10、OR10、SR10およびNR10からなる群より選択され、
ここで
10は、直鎖飽和C〜C20アルキル、直鎖不飽和C〜C20アルキル、分岐鎖飽和C〜C20アルキル、分岐鎖不飽和C〜C20アルキル、C〜C20シクロアルキル、C〜C20アリール、C〜C20アルキルアリールおよびC〜C20アリールアルキルからなる群より選択され、周期表(IUPAC)の第14〜16族の1つ以上のヘテロ原子を任意に含み、
および/または
およびRは、それらが結合されるインデニル炭素と一緒になって任意にC〜C20炭素環系の一部であり、C環の一部であるのが好ましく、任意に1個の炭素原子が窒素、硫黄または酸素原子によって置換されることができ、
は、互いに同じであるかまたは異なり、水素、直鎖飽和C〜C20アルキル、直鎖不飽和C〜C20アルキル、分岐鎖飽和C〜C20アルキル、分岐鎖不飽和C〜C20アルキル、C〜C20シクロアルキル、C〜C20アリール、C〜C20アルキルアリール、C〜C20アリールアルキル、OR10およびSR10からなる群より選択され、Rは、互いに同じであるかまたは異なり、HまたはCHであるのが好ましく、
ここで、
10は、上に定義した通りであり、
Lは、2つのインデニルリガンドを架橋する二価基であり、C11単位またはSiR11もしくはGeR11であるのが好ましく、
ここで、
11は、H、直鎖飽和C〜C20アルキル、直鎖不飽和C〜C20アルキル、分岐鎖飽和C〜C20アルキル、分岐鎖不飽和C〜C20アルキル、C〜C20シクロアルキル、C〜C20アリール、C〜C20アルキルアリールまたはC〜C20アリールアルキルからなる群より選択され、周期表(IUPAC)の第14〜16族の1つ以上のヘテロ原子を任意に含み、
Si、(CH、SiCH11またはSiPhであるのが好ましく、
ここでC11は、シクロヘキシルである。
【0125】
化学式(II)の遷移金属化合物は、C‐対称または擬C‐対称であるのが好ましい。対称の定義に関しては、レスコーニ(Resconi)ら、ケミカルレビューズ(Chemical Reviews)、2000、第100巻、No.4 1263および本明細書に引用される参考文献が参照される。
【0126】
残基Rは、互いに異なるかまたは同じであるのが好ましく、同じであるのがより好ましく、直鎖飽和C〜C10アルキル、直鎖不飽和C〜C10アルキル、分岐鎖飽和C〜C10アルキル、分岐鎖不飽和C〜C10アルキルおよびC〜C12アリールアルキルからなる群より選択される。残基Rは、互いに異なるかまたは同じであり、同じであるのがより好ましく、直鎖飽和C〜Cアルキル、直鎖不飽和C〜Cアルキル、分岐鎖飽和C〜Cアルキル、分岐鎖不飽和C〜CアルキルおよびC〜C10アリールアルキルからなる群より選択されるのがさらに好ましい。残基Rは、互いに異なるかまたは同じであり、同じであるのがより好ましく、例えばメチルまたはエチルなど、直鎖または分岐C〜Cヒドロカルビルからなる群より選択されるのがなお好ましい。
【0127】
残基R〜Rは、互いに同じであるかまたは異なり、直鎖飽和C〜Cアルキルまたは分岐鎖飽和C〜Cアルキルであるのが好ましい。残基R〜Rは、互いに同じであるかまたは異なるのがより好ましく、同じであり、メチル、エチル、イソプロピルおよびtert‐ブチルからなる群より選択されるのがより好ましい。
【0128】
およびRは互いに同じであるかまたは異なり、水素およびメチルより選択されるのが好ましく、または、RおよびRはそれらが結合された2個のインデニル環炭素を含む5‐メチレン環の一部である。別の好ましい実施形態では、Rは、OCHおよびOCより選択され、Rはtert‐ブチルである。
【0129】
好ましい実施形態では、遷移金属化合物は、rac‐メチル(シクロヘキシル)シランジイルビス(2‐メチル‐4‐(4‐tert‐ブチルフェニル)インデニル)ジルコニウムジクロリドである。
【0130】
第2の好ましい実施形態では、遷移金属化合物は、rac‐ジメチルシランジイルビス(2‐メチル‐4‐フェニル‐1,5,6,7‐テトラヒドロ‐s‐インダセン‐1‐イル)ジルコニウムジクロリドである。
【0131】
第3の好ましい実施形態では、遷移金属化合物は、rac‐ジメチルシランジイルビス(2‐メチル‐4‐フェニル‐5‐メトキシ‐6‐tert‐ブチルインデニル)ジルコニウムジクロリドである。
【0132】
さらなる要件として、本発明によるシングルサイト固体粒子触媒は、第13族金属の化合物、例えばAlまたはホウ素化合物を含む助触媒を含まなければならない。
【0133】
B(C、CN(CHH:B(C、(CC:B(CまたはNi(CN)[B(C2−のホウ酸塩助触媒が特に好ましい。適切な助触媒は、国際公開第2013/007650号に記載されている。
【0134】
Al助触媒の例は、アルミノキサン化合物等の有機アルミニウム化合物である。
【0135】
このようなAl化合物、好ましくはアルミノキサンは、助触媒中の唯一の化合物として、または他の助触媒化合物(単数または複数)と一緒に使用されうる。したがって、Alの化合物すなわちアルミノキサンの他にまたはこれに加えて、ホウ素化合物などの他のカチオン錯体を形成する助触媒化合物が使用されうる。当該助触媒は、市販されており、または従来技術文献にしたがって調製されうる。しかし、固体触媒系の製造では、助触媒としてAlの化合物だけが用いられるのが好ましい。
【0136】
特に好ましい助触媒は、アルミノキサン、特にC〜C10‐アルキルアルミノキサン、とりわけメチルアルミノキサン(MAO)である。
【0137】
シングルサイト固体粒子触媒の化学式(I)または(II)の有機ジルコニウム化合物または有機ハフニウム化合物および助触媒は、シングルサイト固体粒子触媒の少なくとも70重量%を占めるのが好ましく、少なくとも80重量%を占めるのがより好ましく、少なくとも90重量%を占めるのがなお好ましく、少なくとも95重量%を占めるのがさらに好ましい。したがって、シングルサイト固体粒子触媒は、自己担持型であること、すなわち、不均一触媒系において一般に使用される、例えばシリカ、アルミナもしくはMgClまたは多孔ポリマー材料などの触媒的に不活性な支持体材料を含まない、すなわち、触媒は外部支持体または担体材料に担持されないことを特徴とするものと理解される。その結果、シングルサイト固体粒子触媒は自己担持型であり、かなり小さい表面積を有する。
【0138】
一実施形態では、シングルサイト固体粒子触媒はエマルジョン凝固技術によって得られ、その基本的原理は国際公開第03/051934号に記載されている。この文書は、参照によって全体として本明細書に組み込まれる。
【0139】
したがって、シングルサイト固体粒子触媒は、
a)1つ以上の触媒成分の溶液を調製するステップと;
b)当該溶液を第2溶媒中に分散させて、当該1つ以上の触媒成分が分散相の液滴中に存在するエマルジョンを形成するステップと、
c)当該分散相を凝固させて、当該液滴を固体粒子に変換し、任意に当該粒子を回収して、当該触媒を得るステップと
を含むプロセスにより入手できる固体触媒粒子の形であるのが好ましい。
【0140】
第1溶媒、より好ましくは第1有機溶媒を使用して、当該溶液が形成されるのが好ましい。有機溶媒は、直鎖アルカン、環状アルカン、芳香族炭化水素およびハロゲン含有炭化水素からなる群より選択されるのがさらに好ましい。
【0141】
さらに、連続相を形成する第2溶媒は、触媒成分に対して不活性の溶媒である。第2溶媒は、少なくとも分散ステップ(dirpersing step)の間の(温度などの)条件下で、触媒成分の溶液に対して非混和性でありうる。「触媒液と非混和性」という用語は、第2溶媒(連続相)が分散相溶液と完全に非混和性であるか、または部分的に非混和性であること、すなわち完全には混和性でないことを意味する。
【0142】
非混和性溶媒は、フッ素化有機溶媒および/またはその官能化誘導体を含むのが好ましく、非混和性溶媒は、半フッ素化、高フッ素化もしくは過フッ素化炭化水素および/またはその官能化誘導体を含むのがさらに好ましい。当該非混和性溶媒は、ペルフルオロ炭化水素またはその官能化誘導体を含むのが特に好ましく、C〜C30ペルフルオロアルカン、‐アルケンまたは‐シクロアルカンを含むのが好ましく、C〜C10ペルフルオロ‐アルカン、‐アルケンまたは‐シクロアルカンを含むのがより好ましく、ペルフルオロヘキサン、ペルフルオロヘプタン、ペルフルオロオクタンもしくはペルフルオロ(メチルシクロヘキサン)もしくはペルフルオロ(1,3‐ジメチルシクロヘキサン)またはその混合物を含むのが特に好ましい。
【0143】
さらに、当該連続相および当該分散相を含むエマルジョンは、当技術分野で周知の2層または多相系であることが好ましい。エマルジョンを形成し安定させるために乳化剤が使用されてもよい。エマルジョン系の形成後、当該触媒が、当該溶液の触媒成分からin situで形成される。
【0144】
原則として、乳化剤は、エマルジョンの形成および/または安定化に寄与し、触媒の触媒活性に対して悪影響のない任意の適切な薬剤でありうる。乳化剤は例えば、ヘテロ原子(単数または複数)が任意に挿入された炭化水素ベースの、好ましくは官能基を任意に有するハロゲン化炭化水素ベースの、好ましくは半フッ素化、高フッ素化または過フッ素化炭化水素ベースの当技術分野で知られた界面活性剤でありうる。あるいは乳化剤は、エマルジョン調製の間に、例えば界面活性剤前駆体を触媒溶液の化合物と反応させることによって調製されてもよい。当該界面活性剤前駆体は、例えばアルミノキサン等の助触媒成分と反応して「実際の」界面活性剤を形成する、少なくとも1個の官能基を有するハロゲン化炭化水素、例えば高フッ素化C1〜n(C4〜30またはC5〜15が適切である)アルコール(例えば高フッ素化ヘプタノール、オクタノールまたはノナノール)、オキシド(例えばプロペンオキシド)またはアクリレートエステルでもよい。
【0145】
原則として、分散液滴から固体粒子を形成するために任意の凝固方法を使用できる。1つの好ましい実施形態によれば、凝固は温度変化処理によって達成される。したがってエマルジョンは、最大10℃/分、好ましくは0.5〜6℃/分、より好ましくは1〜5℃/分の徐々の温度変化を受ける。エマルジョンは、好ましくは10秒未満、好ましくは6秒未満で50℃超など、40℃超の温度変化を受けるのがさらに好ましい。
【0146】
詳しくは、連続相および分散相系、エマルジョン形成方法、乳化剤および凝固方法の実施形態ならびに実施例に関しては、例えば上で引用した国際公開第03/051934号が参照される。
【0147】
調製ステップの全部または一部は、連続的様式で行われうる。エマルジョン/凝固方法によって調製される固体触媒型のそのような連続的または半連続的調製方法の原理を記載する国際公開第2006/069733号が参照される。
【0148】
上述の触媒成分は、国際公開第01/48034号に記載される方法にしたがって調製される。
【0149】
以下では、本発明を実施例によってさらに説明する。
【実施例】
【0150】
1.測定方法
以下の用語の定義および決定方法は、別段の定めがない限り、以下の実施例だけでなく本発明の上述の一般的説明にも当てはまる。
【0151】
第2プロピレン‐C〜C12α‐オレフィンコポリマー画分(C‐PP2)のコモノマー含有量の計算:
【数15】
式中、
w(PP1)は、第1プロピレン‐C〜C12α‐オレフィンコポリマー画分(C‐PP1)の重量分率[重量%]であり、
w(PP2)は、第2プロピレン‐C〜C12α‐オレフィンコポリマー画分(C‐PP2)の重量分率[重量%]であり、
C(PP1)は、第1プロピレン‐C〜C12α‐オレフィンコポリマー画分(C‐PP1)のコモノマー含有量[重量%]であり、
C(PP)は、プロピレン‐C〜C12α‐オレフィンコポリマー画分(C‐PP)のコモノマー含有量[重量%]であり、
C(PP2)は、第2プロピレンコポリマー画分(R‐PP2)の計算されたコモノマー含有量[重量%]である。
【0152】
第2プロピレン‐C〜C12α‐オレフィンコポリマー画分(C‐PP2)の冷キシレン可溶(XCS)画分含有量の計算:
【数16】
式中、
w(PP1)は、第1プロピレン‐C〜C12α‐オレフィンコポリマー画分(C‐PP1)の重量分率[重量%]であり、
w(PP2)は、第2プロピレン‐C〜C12α‐オレフィンコポリマー画分(C‐PP2)の重量分率[重量%]であり、
XS(PP1)は、第1プロピレン‐C〜C12α‐オレフィンコポリマー画分(C‐PP1)の冷キシレン可溶(XCS)画分含有量[重量%]であり、
XS(PP)は、プロピレン‐C〜C12α‐オレフィンコポリマー(C‐PP)の冷キシレン可溶(XCS)画分含有量[重量%]であり、
XS(PP2)は、第2プロピレン‐C〜C12α‐オレフィンコポリマー画分(C‐PP2)の計算された冷キシレン可溶(XCS)画分含有量[重量%]である。
【0153】
第2プロピレン‐C〜C12α‐オレフィンコポリマー画分(C‐PP2)のメルトフローレートMFR(230℃)の計算:
【数17】
式中、
w(PP1)は、第1プロピレン‐C〜C12α‐オレフィンコポリマー画分(C‐PP1)の重量分率[重量%]であり、
w(PP2)は、第2プロピレン‐C〜C12α‐オレフィンコポリマー画分(C‐PP2)の重量分率[重量%]であり、
MFR(PP1)は、第1プロピレン‐C〜C12α‐オレフィンコポリマー画分(C‐PP1)のメルトフローレートMFR(230℃)[g/10分]であり、
MFR(PP)は、プロピレン‐C〜C12α‐オレフィンコポリマー(C‐PP)のメルトフローレートMFR(230℃)[g/10分]であり、
MFR(PP2)は、第2プロピレン‐C〜C12α‐オレフィンコポリマー画分(C‐PP2)の計算されたメルトフローレートMFR(230℃)[g/10分]である。
【0154】
エラストマープロピレンコポリマー(EC)のコモノマー含有量のそれぞれの計算:
【数18】
式中、
w(PP)は、プロピレン‐C〜C12α‐オレフィンコポリマー画分(C‐PP)すなわち第1および第2反応器で生産されるポリマー(R1+R2)の重量分率[重量%]であり、
w(E)は、エラストマープロピレンコポリマー(EC)すなわち第3および任意に第4反応器で生産されるポリマー(R3+R4)の重量分率[重量%]であり、
C(PP)は、プロピレン‐C〜C12α‐オレフィンコポリマー(C‐PP)のコモノマー含有量[重量%]、すなわち第1および第2反応器で生産されるポリマー(R1+R2)のコモノマー含有量[重量%]であり、
C(RAHECO)は、異相プロピレンコポリマー(RAHECO)のコモノマー含有量[重量%]であり、
C(E)は、エラストマープロピレンコポリマー(EC)の、すなわち第3および任意に第4反応器で生産されるポリマー(R3+R4)の計算されたコモノマー含有量[重量%]である。
【0155】
MFR(230℃)は、ISO1133(230℃、荷重2.16kg)にしたがって測定する。
【0156】
数平均分子量(M)、重量平均分子量(M)、および分子量分布(MWD)は、以下の方法にしたがってゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって決定される:
重量平均分子量Mw、および分子量分布(MWD=Mw/Mnであり、Mnは数平均分子量であり、Mwは重量平均分子量である)は、ISO16014‐1:2003およびISO16014‐4:2003に基づく方法により測定される。屈折率検出器およびオンライン粘度計を備えたWaters社のAlliance GPCV2000機器を、TosoHaasからの3×TSK‐ゲルカラム(GMHXL‐HT)と溶媒として1,2,4‐トリクロロベンゼン(TCB、200mg/Lの2,6‐ジtertブチル‐4‐メチルフェノールによって安定化)とともに、145℃で1mL/分の一定流速で使用した。分析毎に216.5μLの試料溶液を注入した。カラムセットは、11500kg/モル〜0.5kg/モルの範囲の19の狭いMWDのポリスチレン(PS)標準による相対的較正およびよく特徴づけされた広いポリプロピレン標準のセットを使用して較正した。全ての試料は、5〜10mgのポリマーを10mLの安定化TCB(移動相と同じ)に(160℃で)溶解し、連続的に振動しながら3時間維持することによって調製し、その後GPC機器にサンプリングした。
【0157】
NMR分光法によるコモノマー含有量
定量的核磁気共鳴(NMR)分光法を用いて、ポリマーのタクティシティ、レギオ規則性およびコモノマー含有量を定量した。
【0158】
Bruker Advance III 500NMR分光器を使用してHおよび13Cにつきそれぞれ500.13および125.76MHzで運転して、溶融状態において定量的13C{H}NMRスペクトルを記録した。すべてのスペクトルを、13Cに最適化した7mmマジックアングルスピニング(MAS)プローブヘッドを使用して180℃ですべての空気圧に窒素ガスを使用して記録した。約200mgの材料を、7mm外径ジルコニアMASロータに詰め、4kHzで回転させた。この設定は主に、迅速な同定および正確な定量に必要な高感度のために選択した。標準のシングルパルス励起を、短い繰り返し遅延時間でのNOEおよびRS‐HEPTデカップリングスキームを利用して用いた。スペクトル毎に合計1024(1k)の中間体を得た。
【0159】
定量的13C{H}NMRスペクトルを、処理、積分し、積分から関連の定量的性質を決定した。すべての化学シフトは、21.85ppmのメチルアイソタクチックペンタッド(mmmm)を内部標準とする。
【0160】
レギオ欠陥およびコモノマーに対応する特徴的シグナルが観察された。
【0161】
タクティシティ分布は、23.6〜19.7ppmの間のメチル領域の積分によって、目的の立体シーケンスに関係のない部位につき補正して定量した。
【0162】
特に、立体シーケンスの特定の積分領域からの代表的なレギオ欠陥およびコモノマー積分の減算によって、タクティシティ分布の定量に対するレギオ欠陥およびコモノマーの影響を補正した。
【0163】
アイソタクティシティを、トライアドレベルで決定し、すべてのトライアドシーケンスに対するアイソタクチックなトライアド(mm)シーケンスの百分率としてレポートした:
[mm] %=100(mm/(mm+mr+rr))
式中、mrは、反転可能なmrおよびrmトライアドシーケンスの合計を表す。
【0164】
2,1エリスロレギオ欠陥の存在が、17.7および17.2ppmでの2つのメチル部位の存在によって示され、他の特徴的部位によって確認された。
【0165】
他のタイプのレギオ欠陥に対応する特徴的シグナルは、観察されなかった。
【0166】
2,1エリスロレギオ欠陥の量を、17.7および17.2ppmの2つの特徴的メチル部位の平均積分を使用して定量した:
21e=(Ie6+Ie8)/2
【0167】
1,2一次挿入プロペンの量を、メチル領域に基づいて、一次挿入に関係のないこの領域に含まれる部位およびこの領域から除外される一次挿入部位につき補正を行って、定量した:
12=ICH3+P12e
【0168】
プロペンの総量を、一次(1,2)挿入プロペンおよび他の全ての存在するレギオ欠陥の合計として定量した:
total=P12+P21e
【0169】
すべてのプロペンに対して2,1エリスロレギオ欠陥のモルパーセントを定量した:
[21e] モル%=100(P21e/Ptotal
【0170】
5〜12アルファ‐オレフィンの組み込みに対応する特徴的シグナルが観察された。PPC5〜12PPシーケンスに組み込まれた単離C5〜12アルファ‐オレフィンの量を、コモノマーあたりのレポート部位の数を示す対応部位の積分を使用して定量した。
【0171】
PPHPPシーケンスに組み込まれた単離1‐ヘキセンの量を、コモノマーあたりのレポート部位の数を示す44.1ppmのαB4部位の積分を使用して定量した:
H=I[αB4]/2
【0172】
連続的組み込みを示す部位は観察されなかったため、全1‐ヘキセンコモノマー含有量をこの量だけに基づいて計算した:
total=H
【0173】
PPOPPシーケンスに組み込まれた単離1‐オクテンの量を、コモノマーあたりのレポート部位の数を考慮示す44.0ppmのαB6部位の積分を使用して定量した:
O=I[αB6]/2
【0174】
連続的組み込みを示す部位が観察されなかったため、全1‐オクテンコモノマー含有量をこの量だけに基づいて計算した:
total=O
【0175】
エチレンの組み込みに対応する特徴的シグナルが観察された。PPEPPシーケンスに組み込まれた単離エチレンの量を、コモノマーあたりのレポート部位の数を示す37.8ppmのSαγ部位の積分を使用して定量した:
E=I[Sαγ]/2
【0176】
PPEEPPシーケンスに連続的に組み込まれたエチレンの量を、コモノマーあたりのレポート部位の数を示す26.9ppmのSβδ部位の積分を使用して定量した:
EE=ISβδ
【0177】
さらなるタイプのエチレン組み込み、例えばPPEPEPPおよびPPEEEPPを示す部位を、特徴的シグナルからEPEおよびEEEとして定量し、PPEEPPシーケンスと同様の方法で表した。全エチレンコモノマー含有量を、単離、連続的および非連続的に組み込まれたエチレンの合計に基づいて計算した:
total=E+EE+EPE+EEE
【0178】
ポリマー中のコモノマーの総モル分率を、
=(Etotal/(Etotal+Ptotal+C5〜12;total
C5〜12=(Etotal/(Etotal+Ptotal+C5〜12;total
として計算した。
【0179】
ポリマー中のコモノマーの組み込みのモルパーセントを、
[C5〜12]モル%=100C5〜12
[E]モル%=100
にしたがってモル分率から計算した。
【0180】
重量パーセントでのポリマー中の1‐ヘキセンおよびエチレン組み込みを、
[H]重量%=100(f84.16)/((f28.05)+(f84.16)+((1−(f+f))42.08))
[E]重量%=100(f28.05)/((f28.05)+(f84.16)+((1−(f+f))42.08))
にしたがってモル分率から計算した。
【0181】
重量パーセントでのポリマー中の1‐オクテンおよびエチレン組み込みを、
[O]重量%=100(f112.21)/((f28.05)+(f112.21)+((1−(f+f))*42.08))
[E]重量%=100(f28.05)/((f28.05)+(f112.21)+((1−(f+f))42.08))
にしたがってモル分率から計算した。
【0182】
固有粘度は、DIN ISO1628/1、1999年10月にしたがって(デカリン中135℃で)測定する。
【0183】
キシレン可溶分(XCS、重量%):冷キシレン可溶分(XCS)の含有量は、ISO16152;初版;2005‐07‐01にしたがって25℃で決定する。不溶のままである部分が、冷キシレン不溶(XCI)画分である。
【0184】
ヘキサン抽出可能画分は、FDAの方法(連邦登録、第21編、第1章、第177部、第1520節、s.付録B)にしたがって、220℃の溶融温度および20℃のチルロール温度で、単層キャストフィルムライン上で生産された厚さ100μmのキャストフィルムで決定する。50℃の温度および30分の抽出時間で抽出を行った。
【0185】
溶融温度(T)および融解熱(H)、結晶化温度(T)および結晶化熱(H):Mettler TA820示差走査熱量測定(DSC)により5〜10mgの試料に対して測定する。DSCを、ISO11357‐3:1999にしたがって、加熱/冷却/加熱サイクルで、10℃/分の走査速度で、+23〜+210℃の温度範囲で実行する。結晶化温度および結晶化熱(H)は、冷却ステップから決定する一方、溶融温度および融解熱(H)は、第2加熱ステップから決定する。すべての材料は複数の融点を有するが、総融解エンタルピーの50%超を表す1つの優勢な融点を有する。
【0186】
ガラス転移温度Tgは、ISO6721‐7にしたがって動的機械分析によって決定する。測定は、ねじりモードで圧縮鋳造された試料(40×10×1mm)に対して−100℃〜+150℃の間で、2℃/分の加熱速度および1Hzの周波数で行う。
【0187】
機械方向および横断方向の引張弾性率は、ISO527‐1にしたがって23℃で、220℃の溶融温度および20℃のチルロール温度で単層キャストフィルムライン上で生産された厚さ50μmのキャストフィルムで決定した。1mm/分のクロスヘッド速度で試験を行った。
【0188】
ノッチ付きシャルピー衝撃強さは、ISO179 1eAにしたがって23℃で、および−20℃で、EN ISO1873‐2にしたがって射出成形された80×10×4mmの試験用バーを使用して決定される。
【0189】
応力白化は、欧州特許出願公開第1860147(A1)号に詳述されるように、125×12.5×2mm(長さ×幅×厚さ)の寸法の射出成形されたUL94標本に対して決定した。
【0190】
応力白化の測定は、万能試験機(ズウィックZ010)で反転3点曲げ試験において、50mm/分の試験速度で行う。この特定の試験方法における技術用語(例えば屈折、支持、負荷エッジ)の定義は、ISO178(曲げ試験)に記載される通りである。
【0191】
2つの異なるパラメータを決定する:
i.応力白化角度[°]は、応力白化が生じる屈曲角度である。応力白化の発生は、特定の屈折値での屈曲の間の光学反応の急激な低下に対応する。
ii.残留応力白化90°[mm]は、90℃の屈曲直後の白化ゾーンの残余サイズである。90℃の屈曲角度への曲げ試験を行う。それから標本を、400mm/分のクロスヘッド速度で解放する。解放直後に測定される(試料の長さ方向と平行に測定される)白化域の長さが、残留応力白化90°である。
【0192】
平均粒径(d50)は、Coulter Counter LS200によって室温でn‐ヘプタンを溶媒として測定し、100ナノメートル未満の粒径は透過型電子顕微鏡によって測定する。
【0193】
2.実施例
本発明の実施例IE1およびIE2の異相プロピレンコポリマー(RAHECO)の重合プロセスにおいて使用した触媒は、国際公開第2010/052263(A1)号の実施例10に記載されるメタロセン触媒であった。
【0194】
CE1は、Borealis AGの市販のランダムプロピレンコポリマー「Borpact SH950MO」である。CE2は、Borealis AGの市販のランダムプロピレンコポリマー「BorPure RG466MO」である。CE3は、Borealis AGの市販のランダム異相コポリマー「BorSoft SD233CF」である。
【0195】
【表1】
【0196】
【表2】
【0197】
すべてのポリマー粉末は、共回転2軸押出機Coperion ZSK57において220℃で、0.2重量%のIrganox B225(ドイツ、BASF AG、Irganox1010(ペンタエリスリチル‐テトラキス(3‐(3’,5’‐ジ‐tert.ブチル‐4‐ヒドロキシトルイル)‐プロピオネートとトリス(2,4‐ジ‐t‐ブチルフェニル)フォスフェート)フォスファイト)の1:1混合物)、0.1重量%のステアリン酸カルシウム、および存在する場合には0.2重量%の成核剤Millad3988またはAdekastab NA‐21を用いて合成した。
【0198】
【表3】