(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を適宜参照して、本発明の好適な実施形態を詳細に説明する。図面において、同一又は同等の要素には同一の符号を付す。
【0014】
<塗装ガン>
図1を参照して、本発明の一実施形態に係る塗装ガン100を説明する。塗装ガン100は、液体二酸化炭素と塗料とを含む混合物を対象物に噴霧することができる。塗装ガン100は、ガン本体10と、ノズル温度制御部30と、を備える。混合物は、塗装ガン100の外部の混合物ラインLCからガン本体10内へ供給される。
【0015】
ガン本体10は、ノズル12と、混合物流路14と、バルブ機構22と、を有する。
【0016】
混合物流路14は、ノズル12と混合物ラインLCとを接続する。混合物流路14の入口14iから供給された混合物は、混合物流路14を通って、ノズル12へ供給される。
【0017】
バルブ機構22は、混合物流路14における混合物の流れを制御する。バルブ機構22は、ストッパー16と、ばね部18と、引き金20と、を有する。
【0018】
ストッパー16は、混合物流路14に設けられている。ばね部18は、ストッパー16の両端部のうち、ノズル12とは反対側の端部に取り付けられている。引き金20は、ガン本体10に取り付けられ、ストッパー16に接続されている。
【0019】
図1では、バルブ機構22は閉の状態であり、ストッパー16の両端部のうち、ノズル12側の端部が混合物流路14を塞いでいる。ばね部18は、ストッパー16をノズル12側に押圧している。これにより、ストッパー16に加わる混合物の圧力に抗して、バルブ機構22の閉の状態を維持している。引き金20をばね部18側に向かって引くと、引き金20と連動してストッパー16がばね部18側に移動し、混合物流路14が塞がれなくなり、バルブ機構22が開の状態となる。引き金20を引くのをやめると、ばね部18のばねの力により、引き金20がノズル12側に移動し、再びバルブ機構22が閉の状態となる。
【0020】
ノズル温度制御部30は、ノズル12の温度を制御する。ノズル温度制御部30は、ノズル温度取得部32と、ヒータ34と、コントローラ36と、を有する。
【0021】
ノズル温度取得部32は、ノズル12の温度を取得する。ノズル温度取得部32は、ノズル12内に設けられ、コントローラ36に接続されている。ノズル温度取得部32は、熱電対などの温度センサであってよい。
【0022】
ヒータ34は、ノズル12を加熱する。ヒータ34は、ノズル12上に設けられ、コントローラ36に接続されている。ヒータ34は、電気ヒータであってもよい。
【0023】
コントローラ36は、ノズル12の温度が20℃以上、31℃未満となるようにヒータ34を制御する。ノズル12の温度が20℃を下回ると、噴霧される混合物の温度が低くなって塗膜の結露が発生し易い傾向がある。また、ノズル12の温度が31℃を上回ると、二酸化炭素の臨界温度が約31℃であることから、混合物中の二酸化炭素が液体から超臨界状態となり、噴霧の際に気体となる際の膨張量が少なく、好ましくない。なお、液体二酸化炭素が気体になる際の膨張率は、超臨界二酸化炭素が気体になる際の膨張率と比べて大きく、膨張率が大きいほど混合物が冷却されるため、ノズルの温度低下は液体二酸化炭素の噴霧時の方が大きい。また、液体二酸化炭素が気体になる際には状態変化に伴う潜熱によって二酸化炭素は冷却されるが、超臨界二酸化炭素が気体になる際には連続的に状態が変化するため潜熱はなく、状態変化に伴うノズルの温度低下も液体二酸化炭素の噴霧時の方が大きい。そのため、液体二酸化炭素の噴霧におけるノズル温度の制御の必要性は高い。温度の下限は、21℃以上、22℃以上、23℃以上、24℃以上、25℃以上、26℃以上、27℃以上、28℃以上、29℃以上であってもよい。温度の上限は、30.8℃以下、30.5℃以下、30℃以下、29℃以下、28℃以下であってもよい。温度の上限、下限は、混合物の組成、環境条件(温度、湿度)等を考慮して適宜設定することができる。コントローラ36は、コンピュータを含んでよい。
【0024】
ノズル温度制御部30の動作を説明する。まず、ノズル温度取得部32がノズル12の温度を取得する。続いて、コントローラ36が、ノズル12の温度が20℃を下回っているか否かを判断する。ノズル12の温度が20℃を下回っている場合、コントローラ36は、ヒータ34による加熱を実行する。そして、ヒータ34によりノズル12が加熱される。これにより、液体二酸化炭素が蒸発潜熱を奪うことによるノズル12の除熱がなされても、ノズル12の温度が20℃以上に保たれる。また、ノズル12の温度が31℃を超えた場合、コントローラ36は、ヒータ34による加熱を停止する。したがって、ノズル12の温度が31℃以上にならない。
【0025】
次に、この塗装ガン100の作用について説明する。ノズル12へ供給された混合物は、ノズル12内のオリフィス12oを通過して、外部へ放出される。オリフィス12oとは、ノズル12内の流路の最も断面積が小さい部分である。混合物がオリフィス12oを通過する際に、混合物中の液体二酸化炭素が蒸発し、混合物は細かい霧状となる。この際、液体二酸化炭素がノズル12から蒸発潜熱を得る。一方、ノズル12は、この蒸発潜熱分の熱量を奪われる。本実施形態に係る塗装ガン100では、ノズル温度制御部30によりノズル12の温度が20℃以上、31℃未満に制御されるため、ノズル12の温度低下が抑制される。その結果、連続塗装を行った場合でも、ノズル12から噴霧される混合物の温度が低下し過ぎず、塗膜の温度が低下し過ぎないため、塗膜の白化を抑制できる。また、ノズル12を加熱した場合であっても、ノズル12の温度が31℃未満となるので、ノズル12において二酸化炭素が超臨界になることも抑制されるので、液体二酸化炭素の体積膨張を利用した効率のよい霧化が可能となる。
【0026】
<塗装装置>
図2を参照して、本発明の一実施形態に係る塗装装置200を説明する。塗装装置200は、上述した塗装ガン100と、混合物供給部40と、を備える。
【0027】
混合物供給部40は、液体二酸化炭素と塗料とを含む混合物を塗装ガン100に供給する。混合物供給部40は、液体二酸化炭素源42と、二酸化炭素ラインLAと、二酸化炭素ポンプ44と、塗料タンク46と、塗料ラインLBと、塗料ポンプ48と、混合部50と、混合物ラインLCと、を備える。
【0028】
液体二酸化炭素源42は、液体二酸化炭素を供給する。液体二酸化炭素源42は、液体二酸化炭素ボンベであってよい。液体二酸化炭素ボンベは、液体二酸化炭素を貯留する圧力容器である。液体二酸化炭素ボンベは、特に限定されず、市販されている液体二酸化炭素ボンベであってよい。
【0029】
二酸化炭素ラインLAは、液体二酸化炭素源42と混合部50とを接続し、液体二酸化炭素を移送する。
【0030】
二酸化炭素ポンプ44は、二酸化炭素ラインLAに設けられている。二酸化炭素ポンプ44は、液体二酸化炭素源42から供給される液体二酸化炭素を加圧する。二酸化炭素ポンプ44は、特に限定されず、プランジャーポンプ、ギアポンプ等であってよい。
【0031】
塗料タンク46は、樹脂成分を含む液状の塗料を貯留する。塗料は、樹脂成分以外に溶剤、顔料、添加剤等を含んでよい。樹脂成分、溶剤、顔料及び添加剤は、塗料に通常用いられるものであれば特に限定されない。塗料タンク46内の圧力は、通常、常圧すなわち大気圧であってよく、塗料ポンプ48に塗料を安定して供給するため、0.05〜0.2MPaであってもよい。
【0032】
樹脂成分としては、例えば、エポキシ樹脂(約22)、アクリル樹脂(約19)、アクリルウレタン樹脂(約17〜22)、ポリエステル樹脂(約22)、アクリルシリコン樹脂(約17〜22)、アルキッド樹脂(約17〜25)、UV硬化樹脂(約17〜23)、塩酢ビ樹脂(約19〜22)、スチレンブタジエンゴム(約17〜18)、ポリエステルウレタン樹脂(約19〜21)、スチレンアクリル樹脂(約19〜21)、アミノ樹脂(約19〜21)、ポリウレタン樹脂(約21)、フェノール樹脂(約23)、塩化ビニル樹脂(約19〜22)、ニトロセルロース樹脂(約22〜24)、セルロースアセテテートブチレート樹脂(約20)、スチレン樹脂(約17〜21)、及び、メラミン尿素樹脂(約19〜21)が挙げられる。これらは、単独で又は2種類以上を混合して使用してもよい。樹脂成分は、1液硬化型樹脂であっても、2液硬化型樹脂であってもよく、UV等の活性エネルギー線硬化型樹脂であってもよい。上記括弧内の数値は溶解度パラメータであり、その単位は(MPa)
0.5である。
【0033】
溶解度パラメータは、Hildebrandの溶解度パラメータである。溶解度パラメータ(以下、SP値ともいう)は、物質間の親和性の尺度を表す熱力学的なパラメータであり、類似したSP値を有する物質同士は、溶解し易い傾向にあることが知られている。
【0034】
樹脂成分は、例えば、17(MPa)
0.5以上、18(MPa)
0.5以上、又は19(MPa)
0.5以上のSP値を有することができ、25(MPa)
0.5以下、24(MPa)
0.5以下、又は23.5(MPa)
0.5以下のSP値を有することができる。
【0035】
樹脂成分のSP値は以下のようにして求めることができる。すなわち、樹脂を良溶媒Aに溶かしておき、良溶媒よりもSP値の高い貧溶媒H、及び良溶媒よりもSP値の低い貧溶媒Lを別々に滴下して、樹脂が析出し白濁するまでに要したそれぞれの貧溶媒の量を記録する。良溶媒AのSP値をδ
A、貧溶媒HのSP値をδ
H、貧溶媒LのSP値をδ
Lとし、白濁した点での良溶媒A、貧溶媒H、貧溶媒Lの体積分率を、φ
A、φ
H、φ
Lとしたときに、2つの濁点における混合溶媒のSP値δ
良溶媒A+貧溶媒H、δ
良溶媒A+貧溶媒Lは、それぞれSP値の体積平均で表すことができ、下式が成立する。
δ
良溶媒A+貧溶媒H=(φ
A・δ
A2+φ
H・δ
H2)
0.5
δ
良溶媒A+貧溶媒L=(φ
A・δ
A2+φ
L・δ
L2)
0.5
したがって、樹脂のSP値SP
Rは、
SP
R=((V
良溶媒A+貧溶媒H・δ
良溶媒A+貧溶媒H2+V
良溶媒A+貧溶媒L・δ
良溶媒A+貧溶媒L2)/(V
良溶媒A+貧溶媒H+V
良溶媒A+貧溶媒L))
0.5
ここで、V
良溶媒A+貧溶媒H、V
良溶媒A+貧溶媒Lは、混合溶媒の濁点における平均モル体積であり、例えば、前者は次式により求められる。
1/V
良溶媒A+貧溶媒H=φ
A/V
A+φ
H/V
H
ここで、V
Aは良溶媒Aのモル体積であり、V
Hは貧溶媒Hのモル体積である。
【0036】
溶剤は、第一の溶剤と第二の溶剤との混合物であってよい。
【0037】
第一の溶剤は、SP値が23.5(MPa)
0.5未満の溶剤であり、樹脂成分を溶解することができる真溶剤である。第一の溶剤のSP値SP
第一の溶剤は、樹脂成分のSP値SP
Rに対して、SP
R−7≦SP
第一の溶剤≦SP
R+4であってよい。第一の溶剤としては、例えば、メチルイソブチルケトン(17.2)、酢酸3−メトキシブチル(20.5)、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(18.7)、ソルベッソ100(東燃ゼネラル石油社製、製品名)(17.6)、ソルベッソ150(東燃ゼネラル石油社製、製品名)(17.4)、エチルジグリコールアセテート(18.5)、n−ブタノール(23.3)、ジイソブチルケトン(16)、酢酸エチル(18.6)、酢酸ブチル(17.0)、キシレン(18.0)、及び、エチルベンゼン(18.0)が挙げられる。上記括弧内の数値はSP値であり、その単位は(MPa)
0.5である。
【0038】
第一の溶剤は、SP値が23.5(MPa)
0.5未満の溶剤の混合物であってもよい。塗料における第一の溶剤の配合量は、樹脂成分を溶解できる範囲であれば特に限定されないが、樹脂成分100質量部に対して、25〜10000質量部であってよく、25〜1000質量部であることが好ましく、87〜461質量部であることがより好ましい。
【0039】
第二の溶剤は、23.5〜40(MPa)
0.5のSP値を有する。第二の溶剤としては、例えば、ホルムアミド(39.3)、ヒドラジン(37.3)、グリセリン(33.8)、N−メチルホルムアミド(32.9)、1,4−ジホルミルピペラジン(31.5)、エチレンシアノヒドリン(31.1)、マロノニトリル(30.9)、2−ピロリジン(30.1)、エチレンカーボネート(30.1)、メチルアセトアミド(29.9)、エチレングリコール(29.9)、メタノール(29.7)、ジメチルスルホキシド(29.7)、フェノール(29.3)、1,4−ジアセチルピペラジン(28.0)、無水マレイン酸(27.8)、2−ピペリドン(27.8)、ギ酸(27.6)、メチルエチルスルホン(27.4)、ピロン(27.4)、テトラメチレンスルホン(27.4)、プロピオラクトン(27.2)、炭酸プロピレン(27.2)、N−ニトロソジメチルアミン(26.8)、N−ホルミルモルホリン(26.6)、3−メチルスルホラン(26.4)、ニトロメタン(26.0)、エタノール(26.0)、ε−カプロラクタム(26.0)、プロピレングリコール(25.8)、ブチロラクトン(25.8)、クロロアセトニトリル(25.8)、メチルプロピルスルホン(25.6)、フルフリルアルコール(25.6)、フェニルヒドラジン(25.6)、亜リン酸ジメチル(25.6)、2−メトキシエタノール(25.4)、ジエチルスルホン(25.4)、エチレンジアミン(25.2)、エチルアセトアミド(25.2)、2−クロロエタノール(25.0)、ベンジルアルコール(24.8)、4−エチル−1,3−ジオキソラン−2−オン(24.8)、フタル酸ビス(2−エチルヘキシル)(24.8)、ジメチルホルムアミド(24.8)、ジエチレングリコール(24.8)、1,4−ブタンジオール(24.8)、テトラヒドロ−2,4−ジメチルチオフェン1,1−ジオキシド(24.6)、アクリル酸(24.6)、1−プロパノール(24.3)、アセトニトリル(24.3)、アリルアルコール(24.1)、4−アセチルモルホリン(23.7)、1,3−ブタンジオール(23.7)、ホルミルピペリジン(23.5)、ペンタンジオール(23.5)、イソプロパノール(23.5)、エチレングリコールモノフェニルエーテル(23.5)、及びエチルセロソルブ(23.5)が挙げられる。上記括弧内の数値はSP値であり、単位は(MPa)
0.5である。第二の溶剤は、23.5〜40(MPa)
0.5のSP値を有する溶剤の混合物であってもよい。第二の溶剤のSP値は、24(MPa)
0.5以上、又は25(MPa)
0.5以上であってよい。
【0040】
液体二酸化炭素と塗料とを含む混合物における第二の溶剤の配合量は、液体二酸化炭素と第二の溶剤との合計100質量部に対して、通常、5〜95質量部であり、6〜84質量部、又は10〜80質量部であってもよい。
【0041】
塗料ラインLBは、塗料タンク46と混合部50とを接続し、塗料を移送する。
【0042】
塗料ポンプ48は、塗料ラインLBに設けられている。塗料ポンプ48は、塗料タンク46から供給される塗料を加圧して混合部50に供給する。塗料ポンプ48は、特に限定されず、プランジャーポンプ、ギアポンプ等であってよい。塗料ポンプ48は、エア駆動式ポンプであってよい。
【0043】
混合部50は、二酸化炭素ラインLAから供給される液体二酸化炭素と、塗料ラインLBから供給される塗料とを混合して、液状の混合物を生成する。混合部50は、インラインミキサーであってよい。
【0044】
混合物ラインLCは、混合部50と塗装ガン100とを接続し、混合物を移送する。
【0045】
塗装ガン100は、混合物ラインLCから供給された混合物を対象物に噴霧する。対象物は、特に限定されず、自動車ボディー等であってよい。
【0046】
<塗装方法>
続いて、上述の塗装装置200を用いた本発明の一実施形態に係る塗装方法を説明する。この方法は、液体二酸化炭素と塗料とを含む混合物をノズル12から噴霧する工程(噴霧工程)と、噴霧中にノズル12の温度が20℃以上、31℃未満となるようにノズル12を加熱する工程(加熱工程)と、を備える。
【0047】
噴霧工程では、まず、液体二酸化炭素源42内の液体二酸化炭素を二酸化炭素ポンプ44で加圧して、二酸化炭素ラインLAを介して混合部50に供給する。一方、塗料タンク46内の塗料を塗料ポンプ48で加圧して、塗料ラインLBを介して混合部50に供給する。混合部50で得られた混合物を塗装ガン100に供給し、対象物に噴霧する。塗装ガン100に供給する混合物の温度は、15〜30℃であってもよい。
【0048】
加熱工程では、噴霧中にノズル12の温度が20℃以上、31℃未満となるようにノズル12を加熱する。加熱工程は、少なくとも噴霧工程の間に行われればよいが、噴霧工程の前に行ってノズルを予熱してもよいし、噴霧工程終了の後に行って、次回の噴霧に備えてもよい。
【0049】
本実施形態に係る塗装装置200及び塗装方法によれば、噴霧中にノズル12の温度が適切に制御されるため、連続塗装を行った場合でも、塗膜の白化を抑制できる。
【0050】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されない。
【0051】
例えば、塗装ガン100において、ノズル温度取得部32はノズル12内に設けられているが、ノズル12の温度を測定できる位置であればよく、例えば、ノズル12とヒータ34との間に設けられてもよい。この場合、ノズル温度取得部32がヒータ34の熱の影響を受けないように、ノズル温度取得部32とヒータ34との間に断熱材を配置してよい。
【0052】
ノズル温度制御部30は、混合物ラインLCから混合物流路14に供給される混合物の温度を取得する混合物温度取得部を備え、コントローラ36は混合物温度取得部が取得した混合物の温度に基づいてノズル温度の上限及び下限を設定してもよい。ただし、ノズル12の温度の下限は20℃以上であり、上限は31℃未満である。
例えば、混合物の温度をTmとしたときに、コントローラ36は、ノズル12の温度の下限を、Tm以上、Tm+2℃以上、Tm+5℃以上となるように設定してもよい。例えば、混合物流路14に供給される混合物の温度が20℃であれば、ノズル12の温度の下限を20℃以上、22℃以上、25℃以上とすることができる。また、コントローラ36は、ノズル12の温度の上限を、Tm+10℃以下となるようにヒータ34を制御してよい。
混合物温度取得部は、混合物流路14に設けられてよい。混合物温度取得部は、温度センサであってよい。また、混合物温度取得部は、ユーザから入力された混合物の温度を取得してもよい。
【0053】
塗装装置200は、二酸化炭素ポンプ44を備えなくてもよい。二酸化炭素ポンプ44を用いない場合でも、液体二酸化炭素源42の内部の液体二酸化炭素の圧力により、液体二酸化炭素の供給が可能である。この場合、液体二酸化炭素の流量の脈動が生じ難く、また、塗装装置のコストが低くなり易い。
【実施例】
【0054】
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0055】
(実施例1、3、5、7、9、11)
実施例1、3、5、7、9及び11では、それぞれ
図2に示す塗装装置200を用いて、液体二酸化炭素と塗料とを含む混合物を噴霧し、塗膜を形成した。噴霧は、29℃、湿度70%の条件で行った。塗料タンク46には、樹脂組成物とジイソブチルケトン(DIBK)とメタノールとを表1に示す割合で混合した塗料を入れた。樹脂組成物としては、S.COAT No.2010 K−1(エスコート社製)を用いた。
この樹脂組成物は、アクリル系樹脂と溶媒とカーボンブラックと添加剤との混合物であり、非揮発成分の質量分率は(NV)は約50%であり、溶媒として、キシレン、エチルベンゼン、メチルイソブチルケトン、酢酸ブチルをそれぞれ、約15質量%、約5質量%、約10質量%、約20質量%含んでいた。
コントローラ36は、ノズル12の温度が表1に示すノズルの温度となるようにヒータ34を制御した。混合部50に供給される液体二酸化炭素及び塗料の各温度、塗装ガン100に供給される混合物の温度、並びに、塗装ガン100のノズル12の温度は、表1に示すとおりであった。表1に示すノズル12の温度は、噴霧を開始してから3分後に測定された温度である。
【0056】
塗面の状態を目視で評価した。評価結果を表1に示す。表1に示す結果において、「○」は、塗面につやがあり、白化が観察されなかったことを意味する。「△」は、塗面が若干白く霞んでいたことを意味する。「×」は、塗面が霧がかかったように白く、塗面につやがなかったことを意味する。
【0057】
(実施例2、4、6、8、10、12)
実施例2、4、6、8、10及び12では、それぞれ実施例1、3、5、7、9及び11で用いた樹脂組成物の代わりに、S.COAT No.2010 M−102(エスコート社製)を用いた。この樹脂組成物は、アクリル系樹脂と溶媒とアルミペーストと添加剤との混合物であり、非揮発成分の質量分率は(NV)は約25%であり、溶媒として、キシレン、エチルベンゼン、メチルイソブチルケトン、酢酸ブチルをそれぞれ、約25質量%、約20質量%、約20質量%、約10質量%含んでいた。以上の点を除いては、それぞれ実施例1、3、5、7、9及び11と同様とした。塗面の状態の評価結果を表1に示す。
【0058】
(比較例1〜8)
比較例1〜8では、それぞれ塗装ガン100の代わりに、ノズル温度制御部30を備えない塗装ガンを用いた。以上の点を除いては、それぞれ実施例1〜12と同様とした。したがって、ノズル温度は低下した。塗面の状態の評価結果を表1に示す。
【0059】
【表1】
【解決手段】塗装ガン100は、液体二酸化炭素と塗料とを含む混合物を噴霧する塗装ガンであって、ノズル12を有するガン本体10と、ノズル12の温度を制御するノズル温度制御部30と、を備える。ノズル温度制御部30は、ノズル12の温度を取得するノズル温度取得部32と、ノズル12を加熱するヒータ34と、ノズル12の温度が20℃以上、31℃未満となるようにヒータ34を制御するコントローラ36と、を有する。