(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
20,000以上の分子量及び60以下の酸価を有するポリマーエマルション又はポリマー分散体の形態であり、30℃以上の最低皮膜形成温度を有する第1の水性樹脂組成物及び30℃を下回る最低皮膜形成温度を有する第2の水性樹脂組成物を含む水性樹脂と、
皮膜形成剤と、
色変化組成物と、
溶媒としての水とを含む化学指示組成物であって、
前記化学指示組成物の総重量に基づいて、
前記第1の水性樹脂組成物の固体重量パーセントが10〜30%であり、
前記第2の水性樹脂組成物の固体重量パーセントが0〜35%であり、
前記皮膜形成剤の重量パーセントが1〜10%であり、
前記色変化組成物の重量パーセントが15〜40%であり、
前記水性樹脂に含有された水及び溶媒としての前記水の総重量パーセントが、20〜70%であり、
前記水性樹脂及び前記色変化組成物の固形分が1:3以上の重量比である、化学指示組成物。
前記第1の水性樹脂組成物及び前記第2の水性樹脂組成物のうちの少なくとも1つが、アニオン性アクリルポリマーエマルション、スチレンアクリルポリマーエマルション又はポリマー分散体、シリコーン変性アクリルポリマーエマルション、アクリル変性ポリウレタンポリマーエマルション、シリコーン変性ポリウレタンポリマーエマルション及びポリカーボネート変性ポリウレタンポリマーエマルションのうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の化学指示組成物。
前記皮膜形成剤が、C6〜12有機炭化水素化合物、アルコール官能基を含むC3〜16有機化合物、エーテル官能基を含むC3〜16有機化合物、エステル官能基を含むC3〜16有機化合物及びケト官能基を含むC3〜16有機化合物のうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の化学指示組成物。
前記色変化組成物が、多価金属化合物、硫黄源及び高温で蒸気に曝露されたときにアルカリ性条件を生成することができる化合物を含む、請求項1に記載の化学指示組成物。
前記基材が、接着面及び非接着面を備えた接着テープを含み、前記化学指示組成物で前記テープの前記非接着面が被覆されている、請求項8に記載のオートクレーブプロセス指示材。
請求項1〜7のいずれか一項に記載の化学指示組成物で基材の表面を被覆して、オートクレーブプロセス指示材を形成することを含む、オートクレーブプロセス指示材の調製方法。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本記載の教示によると、当業者は、他の実施形態を考慮することができ、本開示の範囲又は趣旨から逸脱することなくそれらを改変することが可能でありうることが理解されるべきである。したがって、以下の特定の実施形態は、限定的な意味で解釈されるべきではない。
【0012】
特に指定のない限り、本明細書及び特許請求の範囲で使用される、寸法(feature size)、量及び物理的特性を表す全ての数値は、全ての場合において、用語「約」によって修飾されているものとして理解されるべきである。したがって、特にそうではないことが示されない限り、前述の明細書及び特許請求の範囲に記載される全ての数値パラメーターは、本明細書に開示された教示を利用して当業者が得ようとする所望の特性に応じて変わりうる近似値である。端点による数値範囲の使用は、その範囲内の全ての数字(例えば、1〜5は、1、1.1、1.3、1.5、2、2.75、3、3.80、4及び5などを含む)、並びにその範囲内の任意の範囲を含む。
【0013】
化学指示組成物
いくつかの実施形態において、本開示において提供される化学指示組成物は、
20,000以上の分子量及び60以下の酸価を有するポリマーエマルション又はポリマー分散体の形態であり、30℃以上の最低皮膜形成温度を有する第1の水性樹脂組成物及び30℃を下回る最低皮膜形成温度を有する第2の水性樹脂組成物を含む水性樹脂と、
皮膜形成剤と、
色変化組成物と、
溶媒としての水とを含み、
ここで、化学指示組成物の総重量に基づいて、
第1の水性樹脂組成物の固体重量パーセントは10〜30%であり、
第2の水性樹脂組成物の固体重量パーセントは0〜35%であり、
皮膜形成剤の重量パーセントは1〜10%であり、
色変化組成物の固体重量パーセントは15〜40%であり、
水性樹脂に含有された水及び溶媒としての水の総重量パーセントは、20〜70%であり、
水性樹脂及び色変化組成物の固形分は1:3以上の重量比である。
【0014】
水性樹脂
ポリマーエマルション又はポリマー分散体の形態の水性樹脂が、本開示に使用される。本開示では、「ポリマーエマルション」及び「ポリマー分散体」を交換可能に使用することができる。
【0015】
水性樹脂は、20,000以上の分子量を有し、いくつかの実施形態において、水性樹脂は、100,000以上の分子量を有し、いくつかの実施形態において、水性樹脂は、200,000以上の分子量を有し、このように化学指示組成物は、基材に対して良好な接着力を有する。
【0016】
水性樹脂は、60以下の酸価を有し、いくつかの実施形態において、水性樹脂は、50以下の酸価を有し、このように化学指示組成物は、良好な耐水性を有する。
【0017】
水性樹脂は、第1の水性樹脂組成物を含む。第1の水性樹脂組成物は、アクリルポリマーエマルション又はポリマー分散体、ポリウレタンポリマーエマルション又はポリマー分散体及びこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つでありうる。アクリルポリマーエマルション又はポリマー分散体は、アニオン性アクリルポリマーエマルション又はポリマー分散体、スチレンアクリルポリマーエマルション又はポリマー分散体、シリコーン変性アクリルポリマーエマルション又はポリマー分散体、アクリル変性ポリウレタンポリマーエマルション又はポリマー分散体、シリコーン変性ポリウレタンポリマーエマルション又はポリマー分散体、ポリカーボネート変性ポリウレタンポリマーエマルション又はポリマー分散体及びこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つでありうる。ポリウレタン樹脂ポリマーエマルション又はポリマー分散体は、アクリル変性ポリウレタンポリマーエマルション又はポリマー分散体、シリコーン変性ポリウレタンポリマーエマルション又はポリマー分散体、ポリカーボネート変性ポリウレタンポリマーエマルション又はポリマー分散体及びこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つでありうる。第1の水性樹脂組成物は、30℃以上、いくつかの実施形態において、60℃以上の最低皮膜形成温度(MFT)を有する。第1の水性樹脂組成物の非限定例には、DSMにより製造されたNeoCryl A−1131(アニオン性アクリルポリマーエマルション)、NeoCryl XK−52(アニオン性メタクリルポリマーエマルション)及びNeoCryl A−1091(アニオン性スチレンアクリルポリマーエマルション)、並びにBASFにより製造されたJoncryl HPE 2157(スチレンアクリルポリマーエマルション)及びSILIKOPUR 8080(シリコーン変性ポリウレタンポリマーエマルション)が挙げられる。いくつかの実施形態において、第1の水性樹脂組成物は、20,000以上の分子量を有し、いくつかの実施形態において、第1の水性樹脂組成物は、100,000以上の分子量を有し、いくつかの実施形態において、第1の水性樹脂組成物は、200,000以上の分子量を有する。いくつかの実施形態において、第1の水性樹脂組成物は、60以下の酸価を有し、いくつかの実施形態において、第1の水性樹脂組成物は、50以下の酸価を有する。
【0018】
第1の水性樹脂組成物の固形分は、化学指示組成物の総重量に基づいて10〜30重量%である。第1の水性樹脂組成物の固形分(固体重量パーセント)が、10%未満などと低すぎると、オートクレーブ指示材テープの非接着剤面の側にある化学指示組成物は、化学指示組成物を含有するオートクレーブ指示材テープが巻かれた場合、巻かれたオートクレーブ指示材テープの接着面へと移行し、それによって化学指示組成物の汚染を引き起こすことがある。第1の水性樹脂組成物の固形分が、30%超などと高すぎると、水性樹脂組成物は、ポリマーエマルション又はポリマー分散体の形態で存在しないことがある。
【0019】
任意に水性樹脂は、第2の水性樹脂組成物を更に含むことができる。第2の水性樹脂組成物は、アクリルポリマーエマルション又はポリマー分散体、ポリウレタンポリマーエマルション又はポリマー分散体及びこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つでありうる。アクリルポリマーエマルション又はポリマー分散体は、アニオン性アクリルポリマーエマルション又はポリマー分散体、スチレンアクリルポリマーエマルション又はポリマー分散体、シリコーン変性アクリルポリマーエマルション又はポリマー分散体、アクリル変性ポリウレタンポリマーエマルション又はポリマー分散体、シリコーン変性ポリウレタンポリマーエマルション又はポリマー分散体、ポリカーボネート変性ポリウレタンポリマーエマルション又はポリマー分散体及びこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つでありうる。ポリウレタン樹脂ポリマーエマルション又はポリマー分散体は、アクリル変性ポリウレタンポリマーエマルション又はポリマー分散体、シリコーン変性ポリウレタンポリマーエマルション又はポリマー分散体、ポリカーボネート変性ポリウレタンポリマーエマルション又はポリマー分散体及びこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つでありうる。第2の水性樹脂組成物は、30℃を下回る最低皮膜形成温度を有する。第2の水性樹脂組成物の非限定例には、DSMにより製造されたNeoCryl A−2092(アクリルスチレンポリマーエマルション)、NeoCryl A−2099(アクリルスチレンポリマーエマルション)、NeoCryl A−1127(自己架橋性アクリルポリマーエマルション)、NeoPac E−200(アクリル変性ポリウレタンポリマーエマルション)、NeoRez R−650(ポリウレタンポリマー分散体)、NeoRez R−986(アニオン性脂肪族ポリカーボネートポリマーエマルション)及びBASFにより製造されたJoncryl 77(スチレンアクリルポリマーエマルション)、Acronal TL8821(スチレンアクリルポリマーエマルション)が挙げられる。いくつかの実施形態において、第2の水性樹脂組成物は、20,000以上の分子量を有し、いくつかの実施形態において、第2の水性樹脂組成物は、100,000以上の分子量を有し、いくつかの実施形態において、第2の水性樹脂組成物は、200,000以上の分子量を有する。いくつかの実施形態において、第2の水性樹脂組成物は、60以下の酸価を有し、いくつかの実施形態において、第2の水性樹脂組成物は、50以下の酸価を有する。
【0020】
第2の水性樹脂組成物の固形分は、化学指示組成物の総重量に基づいて0〜35重量%である。第2の水性樹脂組成物は、相対的に低い最低皮膜形成温度及び相対的に可塑性の分子鎖を有し、このことは基材の湿潤に寄与し、それによって化学指示組成物と基材との接着力を改善する。しかし、第2の水性樹脂組成物の固形分は高すぎるべきではなく、例えば、第2の水性樹脂組成物の固形分が35%より高いとき、オートクレーブプロセス指示材における化学指示組成物は、化学指示組成物を含有するオートクレーブプロセス指示材が、ガーゼなどの包装材料と一緒に配置される場合、隣接する包装材料に移行し、化学指示組成物による包装材料の汚染を引き起こすことがある。
【0021】
皮膜形成剤
本開示において提供される化学指示組成物は、少なくとも1つの皮膜形成剤(可塑剤とも呼ばれることがある)を含む。皮膜形成剤は、水性樹脂組成物においてポリマー粒子の自己誘導を介して一様の皮膜形成を加速することができる。加えて、皮膜形成剤は、化学指示組成物が基材を湿潤することを補助して、それによって化学指示組成物と基材との接着力を改善することができる。
【0022】
皮膜形成剤は、C
6〜12有機炭化水素化合物、アルコール官能基を含むC
3〜16有機化合物、エーテル官能基を含むC
3〜16有機化合物、エステル官能基を含むC
3〜16有機化合物、ケト官能基を含むC
3〜16有機化合物及びこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つでありうる。C
6〜12有機炭化水素化合物は、イソパラフィン化合物、脂環式化合物及びこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つでありうる。いくつかの実施形態において、皮膜形成剤は、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノ−イソブチレート、アジピン酸ジエステル、ジメチルフタレート、シクロヘキサノン、エチレングリコールブチルエーテル、プロピレングリコールブチルエーテル、ジプロピレングリコールブチルエーテル、プロピレングリコール、N−メチルピロリドン、エチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテル及びこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つでありうる。
【0023】
化学指示組成物の総重量に基づいて、皮膜形成剤の重量パーセントは1〜10%であり、いくつかの実施形態において、膜形成剤の重量パーセントは2〜5%である。皮膜形成剤の重量パーセントが1%未満である場合、化学指示組成物の基材への接着力が十分ではないことがあり、皮膜形成剤の重量パーセントが10%より高い場合、化学指示組成物は十分に安定しないことがあり、したがって、化学指示組成物のオートクレーブ指示効果は低減されることがある。
【0024】
色変化組成物
いくつかの実施形態において、本明細書の色変化組成物は、オートクレーブの条件に曝露された結果として色を変化させる(又は光学密度の変更を被る)材料を意味する。いくつかの実施形態において、色変化組成物は、多価金属化合物、硫黄源、高温で蒸気に曝露されたときにアルカリ性条件を生成することができる化合物及びこれらの組み合わせを含む、多価金属化合物に基づいた色変化組成物である。
【0025】
多価金属化合物は、鉛、銅、コバルト、ニッケル、ビスマス、カルシウム及びこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの無機塩又はアルカリ性無機塩化合物である。
【0026】
硫黄源は、オートクレーブの条件に曝露された際に多価金属化合物と反応する硫黄を提供する物質である。硫黄源は、硫黄元素、硫黄染料、硫黄顔料、チオ尿素化合物及びこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つでありうる。チオ尿素化合物は、2−メトキシフェニルチオ尿素、1−アリル−2−チオ尿素、メチルチオ尿素、エチルチオ尿素、アニリノチオ尿素及びこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つでありうる。
【0027】
高温で蒸気に曝露されたときにアルカリ性条件を生成することができる化合物は、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸リチウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、重炭酸カリウム、重炭酸ナトリウム及びこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つでありうる。
【0028】
化学指示組成物の総重量に基づいて、色変化組成物の重量パーセントは、15〜40%、いくつかの実施形態において、20〜35%である。
【0029】
多価金属化合物−硫黄源−高温で蒸気に曝露されたときにアルカリ性条件を生成することができる化合物の系では、いくつかの実施形態において、3つの構成成分の量の比は、(2〜8):(2〜20):(2〜20)であり、いくつかの実施形態において、3つの構成成分の量の比は、(3〜7):(3〜18):(3〜18)である。
【0030】
任意の理論に拘束されることなく、色変化組成物を水性樹脂組成物により包むことができ、それによって、皮膜形成の際の乾燥及び脱水に起因して色変化組成物に起こりうる損傷を防止できると考えられる。色変化組成物を水性樹脂組成物により十分に包むことができることを確実にするため、水性樹脂組成物及び色変化組成物は、1:3以上の重量比である。水性樹脂組成物及び色変化組成物が、1:3未満の重量比である場合、オートクレーブ指示材テープの非接着剤面の側にある化学指示組成物は、化学指示組成物を含有するオートクレーブ指示材テープが巻かれた場合、巻かれたオートクレーブ指示材テープの接着面へと移行し、それによって接着表面への化学指示組成物の汚染を引き起こすことがある。
【0031】
溶媒としての水
いくつかの実施形態において、本発明の化学指示組成物は、溶媒としての水を含むことができる。水性樹脂組成物が十分な水を有する場合、溶媒として追加の水を加える必要はない。
【0032】
水性樹脂組成物に含有された水及び溶媒として使用される水を含む水の総量は、化学指示組成物の総重量に対して20〜70重量%である。
【0033】
他の構成成分
いくつかの実施形態において、本化学指示組成物は、色変化組成物の分散を最適化するように、水溶性樹脂を更に含むことができる。水溶性樹脂は、水溶性エチルセルロース、水溶性ロジン変性樹脂、ポリビニルアルコール、水溶性エポキシ樹脂、水溶性アルキド樹脂、水溶性ポリエステル樹脂、水溶性ポリウレタン、水溶性アクリレート樹脂及びこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つでありうる。
【0034】
化学指示組成物の総重量に基づいて、水溶性樹脂の重量パーセントは、0〜5%である。
【0035】
いくつかの実施形態において、本化学指示組成物は、任意の補助構成成分を更に含むことができる。補助構成成分は、pH安定剤、殺菌剤、脱泡剤、分散剤、粘着防止剤、均展剤、湿潤剤、レオロジー調整剤、UV光線安定剤、ロウ及びこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つでありうる。これらの補助剤の種類及び含有量は、実際の要求に応じて選択することができる。
【0036】
化学指示組成物の調製方法
本発明の化学指示組成物は、化学指示組成物を調製する構成成分を混合することにより得られる。化学指示組成物の構成成分については、本記載の「化学指示組成物」の部分を参照すること。
【0037】
いくつかの実施形態において、化学指示組成物は、化学指示組成物を調製する構成成分を、ガラスジャーの中に入れ、ジルコニアビーズを使用して48時間にわたって研削することによって得てもよい。
【0038】
オートクレーブプロセス指示材
本開示において提供されるオートクレーブプロセス指示材は、基材と、基材を被覆する本開示の化学指示組成物とを含む。
【0039】
化学指示組成物の構成成分については、本記載の「化学指示組成物」の部分を参照すること。
【0040】
基材は、接着テープ、プラスチックフィルム、紙、不織布及びこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つであってもよく、いくつかの実施形態において、基材は接着テープを含み、いくつかの実施形態において、基材は感圧性接着テープを含む。
【0041】
基材が接着テープである場合、接着テープは、接着面及び非接着面を備え、化学指示組成物で、接着テープの非接着面が被覆され、いくつかの実施形態では、化学指示組成物で、接着テープの剥離層が被覆されていてもよい。
【0042】
オートクレーブプロセス指示材の調製方法
オートクレーブプロセス指示材の調製方法は、本開示の化学指示組成物で基材の表面を被覆して、オートクレーブプロセス指示材を形成することを含む。
【0043】
化学指示組成物については、本記載の「化学指示組成物」の部分を参照すること。
【0044】
基材は、接着テープ、プラスチックフィルム、紙、不織布及びこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つであってもよく、いくつかの実施形態において、基材は接着テープであってもよく、いくつかの実施形態において、基材は感圧性接着テープであってもよい。
【0045】
基材が接着テープである場合、接着テープは、接着面及び非接着面を備え、化学指示組成物で、接着テープの非接着面が被覆されていてもよく、いくつかの実施形態では、化学指示組成物で、接着テープの剥離層が被覆されていてもよい。
【0046】
オートクレーブプロセス指示材の調製方法は、このオートクレーブプロセス指示材を加熱することを更に含むことができる。いくつかの実施形態において、加熱温度は60℃以上であり、いくつかの実施形態において、加熱温度は100℃以上である。
【0047】
以下の実施形態は、本開示を例示することが意図され、限定するものではない。
【0048】
実施形態1は、20,000以上の分子量及び60以下の酸価を有するポリマーエマルション又はポリマー分散体の形態であり、30℃以上の最低皮膜形成温度を有する第1の水性樹脂組成物及び30℃を下回る最低皮膜形成温度を有する第2の水性樹脂組成物を含む水性樹脂と、皮膜形成剤と、色変化組成物と、溶媒としての水とを含む化学指示組成物であって、化学指示組成物の総重量に基づいて、第1の水性樹脂組成物の固体重量パーセントが10〜30%であり、第2の水性樹脂組成物の固体重量パーセントが0〜35%であり、皮膜形成剤の重量パーセントが1〜10%であり、色変化組成物の重量パーセントが15〜40%であり、水性樹脂に含有された水及び溶媒としての水の総重量パーセントが20〜70%であり、水性樹脂及び色変化組成物の固形分が1:3以上の重量比である、化学指示組成物に関する。
【0049】
実施形態2は、第1の水性樹脂組成物が、アクリルポリマーエマルション又はポリマー分散体及びポリウレタンポリマーエマルション又はポリマー分散体のうちの少なくとも1つを含む、実施形態1の化学指示組成物に関する。
【0050】
実施形態3は、第1の水性樹脂組成物が、アニオン性アクリルポリマーエマルション又はポリマー分散体、スチレンアクリルポリマーエマルション又はポリマー分散体、シリコーン変性アクリルポリマーエマルション又はポリマー分散体、アクリル変性ポリウレタンポリマーエマルション又はポリマー分散体、シリコーン変性ポリウレタンポリマーエマルション又はポリマー分散体及びポリカーボネート変性ポリウレタンポリマーエマルション又はポリマー分散体のうちの少なくとも1つを含む、実施形態1又は2の化学指示組成物に関する。
【0051】
実施形態4は、第2の水性樹脂組成物が、アクリルポリマーエマルション又はポリマー分散体及びポリウレタンポリマーエマルション又はポリマー分散体のうちの少なくとも1つを含む、実施形態1〜3のいずれかにおける化学指示組成物に関する。
【0052】
実施形態5は、第2の水性樹脂組成物が、アニオン性アクリルポリマーエマルション又はポリマー分散体、スチレンアクリルポリマーエマルション又はポリマー分散体、シリコーン変性アクリルポリマーエマルション又はポリマー分散体、アクリル変性ポリウレタンポリマーエマルション又はポリマー分散体、シリコーン変性ポリウレタンポリマーエマルション又はポリマー分散体及びポリカーボネート変性ポリウレタンポリマーエマルション又はポリマー分散体のうちの少なくとも1つを含む、実施形態1〜4のいずれかにおける化学指示組成物に関する。
【0053】
実施形態6は、第1の水性樹脂組成物が20,000以上の分子量を有する、実施形態1〜5のいずれかにおける化学指示組成物に関する。
【0054】
実施形態7は、第1の水性樹脂組成物が100,000以上の分子量を有する、実施形態1〜5のいずれかにおける化学指示組成物に関する。
【0055】
実施形態8は、第1の水性樹脂組成物が200,000以上の分子量を有する、実施形態1〜5のいずれかにおける化学指示組成物に関する。
【0056】
実施形態9は、第1の水性樹脂組成物が60以下の酸価を有する、実施形態1〜8のいずれかにおける化学指示組成物に関する。
【0057】
実施形態10は、第1の水性樹脂組成物が50以下の酸価を有する、実施形態1〜8のいずれかにおける化学指示組成物に関する。
【0058】
実施形態11は、第2の水性樹脂組成物が20,000以上の分子量を有する、実施形態1〜10のいずれかにおける化学指示組成物に関する。
【0059】
実施形態12は、第2の水性樹脂組成物が100,000以上の分子量を有する、実施形態1〜10のいずれかにおける化学指示組成物に関する。
【0060】
実施形態13は、第2の水性樹脂組成物が200,000以上の分子量を有する、実施形態1〜10のいずれかにおける化学指示組成物に関する。
【0061】
実施形態14は、第2の水性樹脂組成物が60以下の酸価を有する、実施形態1〜13のいずれかにおける化学指示組成物に関する。
【0062】
実施形態15は、第2の水性樹脂組成物が50以下の酸価を有する、実施形態1〜13のいずれかにおける化学指示組成物に関する。
【0063】
実施形態16は、第1の水性樹脂組成物が60℃以上の最低皮膜形成温度を有する、実施形態1〜15のいずれかにおける化学指示組成物に関する。
【0064】
実施形態17は、皮膜形成剤が、C6〜12有機炭化水素化合物、アルコール官能基を含むC3〜16有機化合物、エーテル官能基を含むC3〜16有機化合物、エステル官能基を含むC3〜16有機化合物及びケト官能基を含むC3〜16有機化合物のうちの少なくとも1つを含む、実施形態1〜16のいずれかにおける化学指示組成物に関する。
【0065】
実施形態18は、有機炭化水素化合物が、イソパラフィン化合物及び脂環式化合物のうちの少なくとも1つを含む、実施形態17の化学指示組成物に関する。
【0066】
実施形態19は、皮膜形成剤が、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノ−イソブチレート、アジピン酸ジエステル、ジメチルフタレート、シクロヘキサノン、エチレングリコールブチルエーテル、プロピレングリコールブチルエーテル、ジプロピレングリコールブチルエーテル、プロピレングリコール、N−メチルピロリドン、エチレングリコールメチルエーテル及びエチレングリコールエチルエーテルのうちの少なくとも1つを含む、実施形態1〜17のいずれかにおける化学指示組成物に関する。
【0067】
実施形態20は、色変化組成物が、多価金属化合物、硫黄源及び高温で蒸気に曝露されたときにアルカリ性条件を生成することができる化合物のうちの少なくとも1つを含む、実施形態1〜19のいずれかにおける化学指示組成物に関する。
【0068】
実施形態21は、多価金属化合物、硫黄源及び高温で蒸気に曝露されたときにアルカリ性条件を生成することができる化合物が、(2〜8):(2〜20):(2〜20)の比である、実施形態20の化学指示組成物に関する。
【0069】
実施形態22は、多価金属化合物、硫黄源及び高温で蒸気に曝露されたときにアルカリ性条件を生成することができる化合物が、(3〜7):(3〜18):(3〜18)の比である、実施形態20の化学指示組成物に関する。
【0070】
実施形態23は、多価金属化合物が、鉛の無機塩、銅の無機塩、コバルトの無機塩、ニッケルの無機塩、ビスマスの無機塩、カルシウムの無機塩及びアルカリ性無機塩化合物のうちの少なくとも1つを含む、実施形態1〜22のいずれかにおける化学指示組成物に関する。
【0071】
実施形態24は、硫黄源が、硫黄元素、硫黄染料、硫黄顔料及びチオ尿素化合物のうちの少なくとも1つを含む、実施形態1〜23のいずれかにおける化学指示組成物に関する。
【0072】
実施形態25は、チオ尿素化合物が、2−メトキシフェニルチオ尿素、1−アリル−2−チオ尿素、メチルチオ尿素、エチルチオ尿素及びアニリノチオ尿素のうちの少なくとも1つを含む、実施形態24の化学指示組成物に関する。
【0073】
実施形態26は、高温で蒸気に曝露されたときにアルカリ性条件を生成することができる化合物が、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸リチウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、重炭酸カリウム及び重炭酸ナトリウムのうちの少なくとも1つを含む、実施形態1〜25のいずれかにおける化学指示組成物に関する。
【0074】
実施形態27は、皮膜形成剤の重量パーセントが2〜5%である、実施形態1〜26のいずれかにおける化学指示組成物に関する。
【0075】
実施形態28は、色変化組成物の重量パーセントが20〜35%である、実施形態1〜27のいずれかにおける化学指示組成物に関する。
【0076】
実施形態29は、化学指示組成物の総重量に基づいて、0〜5%の重量バーセントで水溶性樹脂を更に含む、実施形態1〜28のいずれかにおける化学指示組成物に関する。
【0077】
実施形態30は、水溶性樹脂が、水溶性エチルセルロース、水溶性ロジン変性樹脂、ポリビニルアルコール、水溶性エポキシ樹脂、水溶性アルキド樹脂、水溶性ポリエステル樹脂、水溶性ポリウレタン及び水溶性アクリレート樹脂のうちの少なくとも1つを含む、実施形態29の化学指示組成物に関する。
【0078】
実施形態31は、添加剤を更に含み、添加剤が、pH安定剤、殺菌剤、脱泡剤、分散剤、粘着防止剤、均展剤、湿潤剤、レオロジー調整剤、UV光線安定剤及びロウのうちの少なくとも1つを含む、実施形態1〜30のいずれかの化学指示組成物に関する。
【0079】
実施形態32は、基材と、基材を被覆する実施形態1〜31のいずれかにおける化学指示組成物とを含む、オートクレーブプロセス指示材に関する。
【0080】
実施形態33は、基材が、テープ、プラスチックフィルム、紙及び不織布のうちの少なくとも1つを含む、実施形態32のオートクレーブプロセス指示材に関する。
【0081】
実施形態34は、基材が、接着面及び非接着面を備えた接着テープを含み、化学指示組成物でテープの非接着面が被覆されている、実施形態32のオートクレーブプロセス指示材に関する。
【0082】
実施形態35は、基材が、剥離層を備えた接着テープを含み、化学指示組成物で接着テープの剥離層が被覆されている、実施形態32のオートクレーブプロセス指示材に関する。
【0083】
実施形態36は、請求項1〜9のいずれか一項に記載の化学指示組成物で基材の表面を被覆して、オートクレーブプロセス指示材を形成することを含む、実施形態1〜31のいずれかにおけるオートクレーブプロセス指示材の調製方法に関する。
【0084】
実施形態37は、基材が、接着面及び非接着面を備えた接着テープを含み、化学指示組成物でテープの非接着面が被覆されている、実施形態36の方法に関する。
【0085】
実施形態38は、オートクレーブプロセス指示材を加熱することを更に含む、実施形態36又は37の方法に関する。
【0086】
実施形態39は、加熱温度が60℃以上である、実施形態38の方法に関する。
【0087】
この開示は、以下の実施例を組み込むことによって更に詳細に記載される。しかし、本開示の範囲はこれらの特定の実施例により限定されるものではない。
【実施例】
【0088】
本発明の化学指示組成物の調製に使用される必須の構成成分材料の名称、機能、化学名、並びに供給元を表1に示す。
【表1】
【0089】
実施例に使用される水性樹脂組成物の化学名及び物理化学的特徴を表2に示す。
【表2】
【0090】
化学指示組成物の調製
化学指示組成物は、化学指示組成物の構成成分を、ガラスジャーの中に入れ、ジルコニアビーズを使用して48時間にわたって研削することによって調製される。
【0091】
オートクレーブプロセス指示材(オートクレーブプロセステープ/タグ)の調製
実施例に使用された紙テープは、3Mから市販されているTape 2213(紙基材を備える)であった。実施例に使用されたタグは、3Mから市販されているPolyester Tag 57817であった。
【0092】
オートクレーブプロセステープの調製:オートクレーブプロセステープは、green bar #3(RK Print−Coat Instruments Ltd.,UK)を使用して、化学指示組成物で紙テープの非接着面を被覆し、被覆されたテープをオーブンにより60℃で1分間、次に120℃で3分間乾燥することによって得た。
【0093】
オートクレーブプロセスタグの調製:オートクレーブプロセスタグは、green bar #3(RK Print−Coat Instruments Ltd.,UK)を使用して、化学指示組成物でポリエステルタグの表面を被覆し、被覆されたラベルをオーブンにより60℃で1分間、次に120℃で3分間乾燥することによって得た。
【0094】
化学指示組成物のオートクレーブ指示効果についての試験
試験機器は、ISO18472及びISO11140−1標準を満たすBIER Vesselであった。被覆されたオートクレーブプロセステープを、前真空滅菌条件に直接曝露しながら試験した。ISO11140−1に準じて指示テープはクラスI指示材であり、したがって、134℃で0.5分間(ISO不合格循環)、134℃で2分間(ISO合格循環)、121℃で3分間(ISO不合格循環)、121℃で10分間(ISO合格循環)及び140℃の無蒸気乾燥で30分間(ISO不合格循環)の条件下で色変化を目視により評価した。ISO11140−1の要件に従うと、テープは、134℃で0.5分後より134℃で2分後のほうが暗色に変化し、121℃で3分後より121℃で10分後のほうが暗色に変化し、ISO合格循環条件の134℃及び121℃より140℃で30分の無蒸気乾燥後のほうが明るい色に変化した。色の強度は、X−Rite分光光度計(X−Rite,Inc.Grand Rapids,MI,US)により測定した色密度により特徴づけた。
【0095】
即時接着力試験(ASTM D3359方法を参照)
実施例に使用されたマスキングテープは、3Mから市販されているTape 2213(紙基材を備える)であった。実施例に使用されたタグは、3Mから市販されているPolyesterラベル57817(ポリエステル基材を備える)であった。
【0096】
被覆には、green bar #3(RK Print−Coat Instruments Ltd.,UK)を使用した。化学指示組成物で、マスキングテープの非感圧性接着面又はポリエステルタグの表面を被覆した。被覆されたテープ/タグを、オーブンにより60℃で1分間、続いて120℃で3分間乾燥した。
【0097】
ブランクTape 2213は、ブランクTape 2213の接着面をマスキングテープ又はポリエステルタグの化学指示材と密着させることによって、被覆されたマスキングテープ又はポリエステルタグに接着させた。続いて、Tape 2213をマスキングテープ又はポリエステルタグから剥がし、マスキングテープ又はポリエステルタグからTape 2213の接着剤への化学指示組成物の移行性を評価した。
【0098】
容易な観察のため、剥がしたTape 2213を134℃で2分間にわたってオートクレーブプロセスに付し、化学指示組成物がブランクTape 2213の接着剤に移行したかを観察した(オートクレーブの後、移行した化学指示組成物は黒くなった)。
【0099】
試験結果を以下のようにスコア付けした。1(化学指示組成物の完全な移行)、1.5(約87.5%の化学指示組成物の移行)、2(約75%の化学指示組成物の移行)、2.5(約62.5%の化学指示組成物の移行)、3(約50%の化学指示組成物の移行)、3.5(約37.5%の化学指示組成物の移行)、4(約25%の化学指示組成物の移行)、4.5(約12.5%の化学指示組成物の移行)及び5(化学指示組成物の移行なし)。
【0100】
スコアが高いほど、化学指示組成物と基材との接着力が高いことを示した。4以上のスコアを有する化学指示組成物は、良好な接着力を有するものと見なされた。
【0101】
オートクレーブプロセステープの表面からその接着剤への化学指示組成物の移行についての粘着性試験
実施例に使用したTape 2213は、3Mから市販されていた。
【0102】
Tape 2213は、Tape 2213の接着剤をオートクレーブプロセステープの化学指示組成物に直接接触させ、25Kpa及び54℃の条件下に
図1に示されている装置で48時間保持することによって、本発明により提供されるオートクレーブプロセステープの指示面(化学指示組成物が被覆されている)に接着させた。Tape 2213をオートクレーブプロセステープから剥がした。剥がしたTape 2213を134℃で2分間にわたってオートクレーブプロセスに付し、次に化学指示組成物がTape 2213の接着剤に移行したかを観察した(オートクレーブの後、移行した化学指示組成物は黒くなった)。
【0103】
試験結果を以下のようにスコア付けした。1(化学指示組成物の完全な移行)、1.5(約87.5%の化学指示組成物の移行)、2(約75%の化学指示組成物の移行)、2.5(約62.5%の化学指示組成物の移行)、3(約50%の化学指示組成物の移行)、3.5(約37.5%の化学指示組成物の移行)、4(約25%の化学指示組成物の移行)、4.5(約12.5%の化学指示組成物の移行)及び5(化学指示組成物の移行なし)。
【0104】
スコアが高いほど、接着剤への化学指示組成物の移行性が低いことを示した。4以上のスコアを有する化学指示組成物は、接着剤への化学指示組成物の低い移行性の要件を満たすものと見なされた。
【0105】
化学指示組成物の耐水性試験
本発明の耐水性試験は、湿式耐擦傷性試験及び沸騰抵抗性試験から構成された。
【0106】
式耐擦傷性試験:オートクレーブプロセス指示材(オートクレーブプロセステープ/タグ)のオートクレーブ指示面を、134℃で2分間にわたってオートクレーブプロセスに付し、次に、濡れた木綿タオルを使用して、オートクレーブ指示面を手作業によっておよそ6回拭き取り、オートクレーブプロセス指示材(オートクレーブテープ/タグ)の表面の化学指示組成物の摩耗を評価した。
【0107】
沸騰抵抗性試験:オートクレーブ指示材(オートクレーブテープ/タグ)を100℃の水浴に1分間保持し、次に取り出し、オートクレーブプロセス指示材(オートクレーブテープ/タグ)の表面の化学指示組成物の移行性を評価した。
【0108】
試験の結果を以下のようにスコア付けした。1(化学指示組成物が完全に擦り切れた又は基材から移行した)、1.5(約87.5%の化学指示組成物が擦り切れた又は移行した)、2(約75%の化学指示組成物が擦り切れた又は移行した)、2.5(約62.5%の化学指示組成物が擦り切れた又は移行した)、3(約50%の化学指示組成物が擦り切れた又は移行した)、3.5(約37.5%の化学指示組成物が擦り切れた又は移行した)、4(約25%の化学指示組成物が擦り切れた又は移行した)、4.5(約12.5%の化学指示組成物が擦り切れた又は移行した)及び5(化学指示組成物の摩耗又は除去なし)。
【0109】
スコアが高いほど、化学指示組成物の耐水性が高いことを示した。湿式耐擦傷性試験では、4以上のスコアを有する化学指示組成物が、良好な湿式耐擦傷性を有するものと見なされた。沸騰抵抗性試験では、3以上のスコアを有する化学指示組成物が、良好な沸騰抵抗性を有するものと見なされた。
【0110】
包装材料への化学指示組成物の移行性試験
図2に示されているように、包装材料への化学指示組成物の移行性試験は、ステップ1)指示テープを一片の木綿包装材料に接着させること、ステップ2)テープを木綿包装材料の別の一片(第2の木綿包装材料)で更に覆うこと、ステップ3)(長さ9インチ)
*(幅9インチ)
*(高さ4インチ)の包装したタオルパックを第2の木綿包装材料の上に置くこと、ステップ4)オートクレーブプロセスを、オートクレーブにより134℃で10分間実施し、次に第2の木綿包装材料とオートクレーブプロセステープとの境界面を移行レベルについて評価すること、を含む。
【0111】
結果を以下のようにスコア付けした。1(化学指示組成物の完全な移行)、1.5(約87.5%の化学指示組成物の移行)、2(約75%の化学指示組成物の移行)、2.5(約62.5%の化学指示組成物の移行)、3(約50%の化学指示組成物の移行)、3.5(約37.5%の化学指示組成物の移行)、4(約25%の化学指示組成物の移行)、4.5(約12.5%の化学指示組成物の移行)及び5(化学指示組成物の移行なし)。
【0112】
スコアが高いほど、包装材料への化学指示組成物の移行性が低いことを示した。4以上のスコアを有する化学指示組成物は、包装材料への化学指示組成物の低い移行性の要件を満たすものと見なされた。
【0113】
比較例1〜10及び実施例1〜7
上記に記載された手順に従って、化学指示組成物1〜17は、表3、4、5−1及び5−2に示されている配合に従って構成成分をガラスジャーの中に入れ、ジルコニアビーズを使用して48時間にわたって研削することによって調製し、化学指示組成物1〜10を比較例1〜10に使用し、化学指示組成物11〜17を実施例1〜7に使用した。
【表3】
【表4】
【表5】
【表6】
【0114】
化学指示組成物のオートクレーブ指示効果についての試験
比較例1〜10及び実施例1〜7の化学指示組成物のオートクレーブ指示効果を、上記に記載された「化学指示組成物のオートクレーブ指示効果についての試験」の手順に従って試験し、比較例1〜9及び実施例1〜7に提供された化学指示組成物のオートクレーブ指示効果は、全て、ISO11140−1の要件を満たした。比較例10に提供された化学指示組成物では、皮膜形成剤の重量パーセントが10%より高く、したがって、化学指示組成物は十分に安定せず、したがって、オートクレーブ指示効果は、ISO11140−1の要件を満たさなかった。
【0115】
化学指示組成物の即時接着力試験
上記に記載された「即時接着力試験」の手順に従って、比較例3、4、6及び実施例1〜7に提供された化学指示組成物の接着力を試験し、試験結果を表6に示した。
【0116】
化学指示組成物が第1の水性樹脂組成物のみを含んだ比較例3及び4は、紙基材及びポリエステル基材の両方において4より低い接着力スコアを有した。
【0117】
化学指示組成物が第1の水性樹脂組成物及び皮膜形成剤を含んだ実施例1、3、4、5、6及び7は、紙基材及びポリエステル基材の両方において4以上の接着力スコアを有した。
【0118】
化学指示組成物が第1の水性樹脂組成物、第2の水性樹脂組成物及び皮膜形成剤を含んだ実施例2は、紙基材及びポリエステル基材の両方において4以上の接着力スコアを有した。
【0119】
化学指示組成物中の水性樹脂組成物の分子量が20,000より低い比較例6は、紙基材及びポリエステル基材の両方において4より低い接着力スコアを有した。
【表7】
【0120】
接着剤への化学指示組成物の移行性についての試験
上記の「オートクレーブプロセステープの表面からその接着剤への化学指示組成物の移行についての粘着性試験」に記載された手順に従って、比較例9及び実施例1〜7に提供された化学指示組成物の移行性を試験し、結果を下記の表7に示した。
【0121】
表7に示されている試験結果から分かるように、水性樹脂組成物と色変化組成物との固形分の重量比は、接着剤への化学指示組成物の移行性に影響を及ぼす重要な要素である。比が1:3より低いとき、接着剤への化学指示組成物の移行比は高く、要件を満たしていない。比が1:3より高いとき、接着剤への化学指示組成物の移行比は低く、要件を満たしている。
【0122】
実施例1〜7において、化学指示組成物中の水性樹脂組成物と色変化組成物との固形分の重量比は、1:3より高く、移行性試験のスコアは4以上であり、接着剤への化学指示組成物の移行比が低いことを示し、要件を満たしている。
【0123】
比較例9において、化学指示組成物中の水性樹脂組成物と色変化組成物との固形分の重量比は、1:3より低く、移行性試験のスコアは4より低く、接着剤への化学指示組成物の移行比が高いことを示し、要件を満たしていない。
【表8】
【0124】
化学指示組成物の耐水性試験
上記に記載された「化学指示組成物の耐水性試験」の手順に従って、比較例7〜8及び実施例1〜7に提供された化学指示組成物の耐水性を試験し、試験結果を下記の表8に示した。
【0125】
表8に示した結果から分かるように、水性樹脂組成物の酸価は、化学指示組成物の耐水性に影響を及ぼす重要な要素であった。水性樹脂組成物の酸価が高いほど、化学指示組成物の耐水性が不足した。水性樹脂組成物の酸価が低いほど、化学指示組成物の耐水性が良好になった。
【0126】
実施例1〜7において、化学指示組成物中の水性樹脂組成物の酸価は全て60より低く、湿式耐擦傷性試験におけるこれらのスコアは4より高く、沸騰抵抗性試験のスコアは3より高く、これらの化学指示組成物が良好な耐水性を有することを示した。
【0127】
比較例7〜8において、化学指示組成物中の水性樹脂組成物の酸価は全て60より高く、湿式耐擦傷性試験におけるこれらのスコアは、一応及第点であったが、沸騰抵抗性試験のスコアは3より低く、これらの化学指示組成物の劣っている耐水性を示した。
【表9】
【0128】
包装材料への化学指示組成物の移行性試験
上記に記載された「包装材料への化学指示組成物の移行性試験」の手順に従って、包装材料への比較例1、2、5、7、8及び実施例1〜7に提供された化学指示組成物の移行性を試験し、試験結果を下記の表9に示した。
【0129】
表9に示した結果から分かるように、水性樹脂組成物の酸価は、包装材料への化学指示組成物の移行性に影響を及ぼす重要な要素であった。水性樹脂組成物が高い酸価を有するほど、化学指示組成物の移行性が大きくなり、そのことによって要件を満たさなかった。水性樹脂組成物が低い酸価を有するほど、化学指示組成物の水移行性が低くなり、そのことによって要件を満たした。
【0130】
比較例7及び8において、化学指示組成物中の水性樹脂組成物の酸価は、全て60より高く、包装材料(指示テープ)への化学指示組成物の移行性試験のスコアは、全て4より低く、包装材料(指示テープ)への化学指示組成物の移行比が高いほど、要件を満たさないことを示した。
【0131】
実施例1〜7において、化学指示組成物中の水性樹脂組成物の酸価は、全て60より低く、包装材料(指示テープ)への化学指示組成物の移行性試験のスコアは、全て4より高く、包装材料(指示テープ)への化学指示組成物の移行比が低いほど、要件を満たしていることを示した。
【0132】
比較例1、2及び5において、化学指示組成物は第1の水性樹脂組成物を含まず、そのため、包装材料(指示テープ)への化学指示組成物の移行性試験のスコアは、全て4より低く、包装材料(指示テープ)への化学指示組成物の移行比が高いほど、要件を満たさないことを示した。
【表10】
【0133】
まとめると、本開示の化学指示組成物は基材への良好な接着力を有し、したがって化学指示組成物で基材を被覆してオートクレーブプロセス指示材を調製することができる。化学指示組成物は、良好な耐水性も有する。加えて、化学指示組成物は、接着剤への化学指示組成物の低い移行性に起因して、オートクレーブプロセス指示材中の接着剤に少ない程度の汚染しか有さない。そして、滅菌包装材料への化学指示組成物の移行性も低く、したがって包装材料に少ない程度の汚染しか引き起こさない。更に、本開示の化学指示組成物は、低粘度及び高固形分を有する水性系であり、したがって環境に優しく、取り扱いが安全である。
【0134】
上記の実施形態は、例示の目的のために多くの特定の詳細を含有しているが、当業者は、これらの詳細の様々な変更、修正、置き換え及び改変が、全て本開示の特許請求の範囲の範囲内であることを理解する。したがって、特定に実施形態に記載されている開示は、本開示の特許請求の範囲の範囲を制限するものではない。本開示の正確な範囲は、以下の特許請求の範囲及びその均等物によって画定される。引用された全ての参考文献は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
化学指示組成物。この組成物は、ポリマーエマルション又はポリマー分散体の形態であり、第1の水性樹脂組成物及び第2の水性樹脂組成物を含む水性樹脂と、皮膜形成剤と、色変化組成物と、溶媒としての水とを含むことができる。本開示の化学指示組成物は、オートクレーブプロセス指示材に使用することができる。