特許第6235768号(P6235768)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6235768
(24)【登録日】2017年11月2日
(45)【発行日】2017年11月22日
(54)【発明の名称】染毛剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/49 20060101AFI20171113BHJP
   A61K 8/41 20060101ALI20171113BHJP
   A61K 8/46 20060101ALI20171113BHJP
   A61K 8/60 20060101ALI20171113BHJP
   A61Q 5/10 20060101ALI20171113BHJP
【FI】
   A61K8/49
   A61K8/41
   A61K8/46
   A61K8/60
   A61Q5/10
【請求項の数】5
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2011-285400(P2011-285400)
(22)【出願日】2011年12月27日
(65)【公開番号】特開2013-133320(P2013-133320A)
(43)【公開日】2013年7月8日
【審査請求日】2014年11月27日
【審判番号】不服2016-9646(P2016-9646/J1)
【審判請求日】2016年6月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】592255176
【氏名又は名称】株式会社ミルボン
(74)【代理人】
【識別番号】100111187
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 秀忠
(72)【発明者】
【氏名】前山 健吾
【合議体】
【審判長】 須藤 康洋
【審判官】 大熊 幸治
【審判官】 渡戸 正義
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−158049(JP,A)
【文献】 特開2002−322040(JP,A)
【文献】 特開2002−138024(JP,A)
【文献】 特開平9−30940(JP,A)
【文献】 特開平4−342518(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00-90/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブラジリン、ヘマトキシリン、ベルベリン、クロシン、モナスコルブリン、及びキサントモナシンから選ばれた一種又は二種以上の染料、チオール基を有する還元剤、並びに、アルカリ剤が配合されており、pHが8.0以上11.0以下であることを特徴とする染毛剤。
【請求項2】
ブラジリンを含有するスオウ色素、ヘマトキシリンを含有するアカミノキ色素、ベルベリンを含有するキハダ色素、クロシンを含有するクチナシ黄色素、モナスコルブリンを含有するベニコウジ色素、及びキサントモナシンを含有するベニコウジ色素から選ばれた一種又は二種以上が配合された請求項1に記載の染毛剤。
【請求項3】
pHが9.0以上10.0以下である請求項1又は2に記載の染毛剤。
【請求項4】
前記アルカリ剤として、アルカノールアミンが配合された請求項1〜3のいずれか1項に記載の染毛剤。
【請求項5】
前記アルカノールアミンとして、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノプロパノールアミン、ジプロパノールアミン、トリプロパノールアミン、モノイソプロパノールアミン、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、又は2−アミノ−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオールが配合された請求項4に記載の染毛剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定の染料が配合された染毛剤に関するものである。
【背景技術】
【0002】
毛髪を着色するために用いられる染毛剤の一種として、酸化染料を配合した第1剤と過酸化水素を配合した第2剤とを混合した酸化染毛剤が知られており、他の染毛剤として、ウコン、蘇芳、アカミノ木、黄檗、藍等の植物に由来する色素を配合したものが知られている。後者の染毛剤における植物由来色素には染料となる色素が含まれており、当該色素によって毛髪を着色する。そして、特許文献1には、蘇芳、黄檗などの植物に由来する天然草木染成分を含むものの開示があり(請求項1)、特許文献2には、藍のすくもなど及び亜硫酸ソーダを配合した染毛剤の開示がある(実施例1等)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−138024号公報
【特許文献2】特開2004−2475号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような植物由来成分と同じ染料を用いて毛髪を染色することは、自然派志向者にも好まれやすい。また、染毛剤による染まりを濃くすることは、望まれる場面が多い。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑み、植物にも含まれている成分と同じ特定染料が配合され且つその染料による濃染性が高い染毛剤の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者が植物にも含まれている染料成分を配合した染毛剤について鋭意検討を行った結果、特定の染料と共にチオール基を有する還元剤及びアルカリ剤が配合された染毛剤であれば、濃染性が高いことを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明に係る染毛剤は、ブラジリン、ヘマトキシリン、ベルベリン、クロシン、モナスコルブリン、キサントモナシン、カルミン酸、クルクミン、及びクチナシ青色素から選ばれた一種又は二種以上の染料、チオール基を有する還元剤、並びに、アルカリ剤が配合されたことを特徴とする。当該染毛剤には、ブラジリンを含有するスオウ色素、ヘマトキシリンを含有するアカミノキ色素、ベルベリンを含有するキハダ色素、クロシンを含有するクチナシ黄色素、モナスコルブリンを含有するベニコウジ色素、キサントモナシンを含有するベニコウジ色素、カルミン酸を含有するコチニール色素、及びクルクミンを含有するウコン色素から選ばれた一種又は二種以上が配合されていても良い。
【0008】
本発明に係る染毛剤のpHは、例えば8.0以上11.0以下である。
【0009】
前記アルカリ剤として、アルカノールアミンが配合されていると好適である。当該アルカノールアミンとして、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノプロパノールアミン、ジプロパノールアミン、トリプロパノールアミン、モノイソプロパノールアミン、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、又は2−アミノ−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオールが配合されると良い。
【発明の効果】
【0010】
チオール基を有する還元剤及びアルカリ剤が配合された本発明に係る染毛剤によれば、特定の染料による毛髪の濃染性が高い。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施形態に係る染毛剤に基づき、本発明を以下に説明する。
本実施形態に係る染毛剤は、染料、還元剤、及びアルカリ剤を水と配合したものである(水の配合量は、例えば70質量%以上)。また、本実施形態に係る染毛剤には、更に公知の染毛剤用原料が任意原料として配合されていても良い。
【0012】
(染料)
本実施形態の染毛剤には、ブラジリン、ヘマトキシリン、ベルベリン、クロシン、モナスコルブリン、キサントモナシン、カルミン酸、クルクミン、及びクチナシ青色素から選ばれた一種又は二種以上が必須染料として配合される。
【0013】
上記必須染料は植物由来色素とその構造が同じであり、その染料を使用した際の色などは次の通りである。ブラジリンは、スオウ(Caesalpinia sappan)の幹の芯材にも含まれている色素であり、ブラジリンのみを染料として配合した染毛剤で処理した白色ヤク毛の色は、赤色系である。ヘマトキシリンは、アカミノキ(Haematoxylum campechianum)の樹液に含まれている色素であり、ヘマトキシリンのみを染料として配合した染毛剤で処理した白色ヤク毛の色は、紫色系である。ベルベリンは、キハダ(Phellodendron amurense)の樹皮から水又はエタノールで抽出して得られるものに含まれる色素であり、ベルベリンのみを染料として配合した染毛剤で処理した白色ヤク毛の色は、黄色系である。クロシンは、クチナシ(Gardenia jasminoides)の果実から水又は含水エタノールで抽出して得られるものに含まれる色素であり、クロシンのみを染料として配合した染毛剤で処理した白色ヤク毛の色は、黄色系である。モナスコブリンは、ベニコウジカビ(Monascus purpureus)から含水エタノール又は含水プロピレングリコールで抽出して得られるものに含まれている色素であり、モナスコブリンのみを染料として配合した染毛剤で処理した白色ヤク毛の色は、赤色系である。キサントモナシンは、乾燥したベニコウジカビ(Monascus purpureus)の培養液を粉砕したものから弱塩酸酸性エタノールで抽出し、中和して得られる色素に含まれているものであり、キサントモナシンのみを染料として配合した染毛剤で処理した白色ヤク毛の色は、黄色系である。カルミン酸は、エンジムシ(Coccus cacti)の乾燥体から含水エタノールで抽出して得られるものに含まれている色素であり、カルミン酸のみを染料として配合した染毛剤で処理した白色ヤク毛の色は、紫色系である。クルクミンは、ウコン(Curcuma longa)の根茎の乾燥品からエタノールで抽出して得られるものに含まれている色素であり、クルクミンのみを染料として配合した染毛剤で処理した白色ヤク毛の色は、黄色系である。クチナシ青色素は、クチナシ(Gardenia jasminoides)の果実から水抽出して得られたイリドイド配糖体とタンパク質分解物の混合物に、β-グルコシダーゼを添加した後、分離して得られるものであり、クチナシ青色素のみを染料として配合した染毛剤で処理した白色ヤク毛の色は、青色系である。
【0014】
本実施形態の染毛剤における必須染料の配合量は、特に限定されないが、例えば1質量%以上10質量%以下である。
【0015】
上記必須染料以外の公知の染毛剤に配合されている染料を、本実施形態の染毛剤の染料として配合しても良い。
【0016】
(還元剤)
本実施形態の染毛剤には、チオール基を有する還元剤から選ばれた一種又は二種以上が必須還元剤として配合される。ここで、「還元剤」とは、毛髪のジスルフィド結合を還元切断可能な性質を有する化合物をいう。
【0017】
チオール基を有する還元剤としては、例えば、チオグリコール酸、チオグリコール酸ナトリウムなどのチオグリコール酸の塩、システイン、システイン塩酸塩などのシステインの塩、N−アセチルシステイン、N−アセチルシステイン塩酸塩などのN−アセチルシステインの塩、システアミン、チオグリセロール、チオ乳酸、チオ乳酸の塩、チオリンゴ酸、チオリンゴ酸の塩が挙げられる。
【0018】
本実施形態の染毛剤におけるチオール基を有する還元剤の配合量は、特に限定されないが、0.1質量%以上1.0質量%以下が良い。この配合量範囲を外れる場合には、濃染性の向上が不十分な場合がある。
【0019】
上記のチオール基を有する還元剤以外の公知の還元剤を、本実施形態の染毛剤に配合する還元剤としても良い。
【0020】
(アルカリ剤)
本実施形態の染毛剤には、アルカリ剤から選ばれた一種又は二種以上が配合される。ここで、「アルカリ剤」とは、水溶液とした場合にpHをアルカリ性にする原料を意味する。
【0021】
アルカリ剤としては、例えば、アンモニア、アルカノールアミン(モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノプロパノールアミン、ジプロパノールアミン、トリプロパノールアミン、モノイソプロパノールアミン、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、2−アミノ−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオールなど)、塩基性アミノ酸(アルギニンなど)、炭酸塩(炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムなど)、リン酸塩(リン酸一水素ナトリウムなど)、水酸化ナトリウムが挙げられる。濃染性を高めるためのアルカリ剤として好適なものとしては、例えばアルカノールアミンである。
【0022】
本実施形態の染毛剤におけるアルカリ剤の配合量は、特に限定されないが、例えば染毛剤のpHを8.0以上11.0以下にする量である。
【0023】
(任意原料)
本発明の染毛剤に配合される任意原料は、公知の染毛剤原料から適宜に選定される。染毛剤原料は、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、アルコール、多価アルコール、糖類、エステル油、油脂、脂肪酸、炭化水素、ロウ、シリコーン、高分子化合物、アミノ酸、動植物抽出物、微生物由来物、無機化合物、香料、防腐剤、金属イオン封鎖剤、紫外線吸収剤などである。
【0024】
エタノール、イソプロパノールなどの低級アルコール;プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、イソプロピレングリコール、グリセリンなどの多価アルコール;及び、ベンジルアルコール、ベンジルオキシエタノールなどの芳香族アルコール;のいずれかを配合すれば、濃染性を高めるためには好ましい。
【0025】
(剤型)
染毛剤の使用時の剤型は、特に限定されず、例えば、液状、クリーム状、フォーム状(泡状)が挙げられる。所望の剤型にするために粘度を高める必要がある場合には、公知の染毛剤と同様、高分子化合物などを配合すれば良い。
【0026】
(pH)
本実施形態の染毛剤のpHは、アルカリ性である。そのpHは、8.0以上11.0以下であると良い。なお、pHの調整が必要な場合には、上記のアルカリ剤の配合により行うと良い。
【実施例】
【0027】
以下、実施例に基づき本発明を詳述するが、本発明の趣旨を逸脱しない限り、この実施例の記載に基づいて本発明が限定的に解釈されるものではない。
【0028】
下記実施例及び比較例の染毛剤を製造し、この染毛剤を用いて白色毛束(ヤク毛の毛束)の染毛処理を行った。その染毛処理は、白色毛束に染毛剤を塗布して30分程度放置後に、シャンプーを用いて洗浄することにより行った。そして、温風乾燥させた後の毛束色を、目視により確認した。
【0029】
(実施例1a〜1e、比較例1a〜1c)
スオウ(Caesalpinia sappan)由来のブラジリンが配合された市販品(リアル化学社製「ボタニカルカラー・紅色」、全配合成分の表示名称:スオウ木、デキストリン、カラギーナン、褐藻エキス、アルギン酸Na、モナスカスエキス、ローズマリー、カミツレ、甘草)と温水を、市販品:温水=1:10の質量比で混合した。この混合物に、更に、表1に示す濃度となるように還元剤及びアルカリ剤を添加することで、pHが9.0〜10.0である実施例1a〜1e及び比較例1a〜1cの染毛剤を製造した。
【0030】
上記実施例1a〜1e及び比較例1a〜1cの染毛剤を用いて染毛処理を行った「濃染性の評価」結果を、下記表1に示す。「濃染性の評価」は、比較例1aによるものを基準として次の通り行った。
○○○:基準よりも非常に濃く染まっていた。
○○ :基準よりも濃く染まっていた。
○ :基準よりもやや濃く染まっていた。
― :基準(比較例1a)又は基準と同等。
× :基準よりも染まりが薄かった。
【0031】
【表1】
【0032】
上記表1の濃染性評価においては、チオール基を有する還元剤とアルカリ剤が配合された実施例1a〜1eは、還元剤及びアルカリ剤が配合されなかった比較例1a、チオール基を有する還元剤が配合されなかった比較例1b、及びアルカリ剤が配合されなかった比較例1cのいずれよりも、濃染性の評価が良好であったことを確認できる。また、還元剤としてシステアミンを用いることが濃染性に有利であること(実施例1aと、実施例1d及び1eとの対比)、アルカリ剤としてアルカノールアミンを用いることが濃染性に有利であること(実施例1a及び1bと、実施例1cとの対比)を、確認できる。
【0033】
(実施例1f−1〜1f−2、実施例1g−1〜1g−2、実施例1h−1〜1h−2)
実施例1aと同様にして混合した市販品と温水の混合物に、更に、表2に示す濃度となるように還元剤及びアルカリ剤を添加することで、pH9.0〜10.0の実施例1f−1〜1f−2、実施例1g−1〜1g−2、及び実施例1h−1〜1h−2の染毛剤を製造した。
【0034】
上記実施例1f−1〜1f−2、実施例1g−1〜1g−2、及び実施例1h−1〜1h−2の染毛剤を用いて染毛処理を行った「濃染性の優劣」結果を、下記表2に示す。「濃染性の優劣」は、実施例1f−1と実施例1f−2との対比、実施例1g−1と実施例1g−2との対比、実施例1h−1と実施例1h−2との対比とし、対比の結果、濃く染まっている方の評価を「○」とし、薄く染まっている方又は両者同等の場合を「―」とした。
【0035】
【表2】
【0036】
上記表2は、還元剤の配合量を増加させることが、濃染性に必ず有利になるものではないことを示す。
【0037】
(実施例2a〜2e、比較例2a〜2b)
温水と混合する市販品としてアカミノキ(Haematoxylum
campechianum)由来のヘマトキシリンが配合された市販品(リアル化学社製「ボタニカルカラー・アカミノキ色」、全配合成分の表示名称:アカミノ木、カラギーナン、褐藻エキス、ローズマリー、カミツレ、甘草)を用いた以外は実施例1aと同様にして、pHが9.0〜10.0である実施例2a〜2e及び比較例2a〜2bの染毛剤を製造した。
【0038】
上記実施例2a〜2e及び比較例2a〜2bの染毛剤を用いて染毛処理を行った「濃染性の評価」結果を、下記表3に示す。「濃染性の評価」は、比較例2aによるものを基準として実施例1aと同様に行った。
【0039】
【表3】
【0040】
上記表3においては、表1と同様の濃染性評価が示されている。すなわち、チオール基を有する還元剤とアルカリ剤が配合された実施例2a〜2eは、還元剤及びアルカリ剤が配合されなかった比較例2a、及びチオール基を有する還元剤が配合されなかった比較例2bのいずれよりも、濃染性の評価が良好であった。また、還元剤としてシステアミンを用いることが濃染性に有利であること(実施例2aと、実施例2d及び2eとの対比)、アルカリ剤としてアルカノールアミンを用いることが濃染性に有利であること(実施例2a及び2bと、実施例2cとの対比)を、確認できる。
【0041】
(実施例2f−1〜2f−2、実施例2g−1〜2g−2、実施例2h−1〜2h−2)
実施例2aと同様にして混合した市販品と温水の混合物に、更に、表4に示す濃度となるように還元剤及びアルカリ剤を添加することで、pHが9.0〜10.0である実施例2f−1〜2f−2、実施例2g−1〜2g−2、及び実施例2h−1〜2h−2の染毛剤を製造した。
【0042】
上記実施例2f−1〜2f−2、実施例2g−1〜実施例2g−2、及び2h−1〜2h−2の染毛剤を用いて染毛処理を行った「濃染性の優劣」結果を、下記表4に示す。「濃染性の優劣」は、実施例2f−1と実施例2f−2との対比、実施例2g−1と実施例2g−2との対比、実施例2h−1と実施例2h−2との対比とし、対比の結果、濃く染まっている方の評価を「○」とし、薄く染まっている方又は同等の場合を「―」とした。
【0043】
【表4】
【0044】
上記表4は、表2と同様、還元剤の配合量を増加させることが、濃染性に必ず有利になるものではないことを示す。
【0045】
(実施例3a〜3e、比較例3a〜3b)
温水と混合する市販品としてキハダ(Phellodendron amurense)由来のベルベリンが配合された市販品(リアル化学社製「ボタニカルカラー・キハダ色」、全配合成分の表示名称:キハダ末、スクロース、褐藻エキス、カラギーナン、ローズマリー、カミツレ、甘草)を用いた以外は実施例1aと同様にして、pH9.0〜10.0の実施例3a〜3e及び比較例3a〜3bの染毛剤を製造した。
【0046】
上記実施例3a〜3e及び比較例3a〜3bの染毛剤を用いて染毛処理を行った「濃染性の評価」結果を、下記表5に示す。「濃染性の評価」は、比較例3aによるものを基準として実施例1aと同様に行った。
【0047】
【表5】
【0048】
上記表5においては、表1と同様の濃染性評価が示されている。すなわち、チオール基を有する還元剤とアルカリ剤が配合された実施例3a〜3eは、還元剤及びアルカリ剤が配合されなかった比較例3a、及びチオール基を有する還元剤が配合されなかった比較例3bのいずれよりも、濃染性の評価が良好であった。また、還元剤としてシステアミンを用いることが濃染性に有利であること(実施例3aと、実施例3d及び3eとの対比)、アルカリ剤としてアルカノールアミンを用いることが濃染性に有利であること(実施例3a及び3bと、実施例3cとの対比)を、確認できる。
【0049】
(実施例4)
アルカリ剤及び還元剤を配合したpH10の組成物(2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール2質量%、システアミン1質量%、ベンジルアルコール8質量%、エタノール16質量%との配合濃度となるように、それら全てを水と配合した組成物)10質量部と、クロシンを含む市販品(ダイワ化成株式会社製クチナシ黄色素含有品「クロシンP-1900」)1質量部とを混合して、実施例4の染毛剤を製造した。
【0050】
(比較例4)
実施例4におけるpH10の組成物を水に変更した以外は実施例4と同様にして、比較例4の染毛剤を製造した。
【0051】
実施例4の染毛剤で処理した毛束と比較例4の染毛剤で処理した毛束の濃染性を比較すると、実施例4の染毛剤で処理した毛束の方が濃く染まっていた。
【0052】
(実施例5)
実施例4における「クロシンを含む市販品」を「クチナシ青色素を含む市販品(ダイワ化成株式会社製「ハイブルーGP−4A」)に変更した以外は実施例4と同様にして、実施例5の染毛剤を製造した。
【0053】
(比較例5)
実施例5におけるpH10の組成物を水に変更した以外は実施例5と同様にして、比較例5の染毛剤を製造した。
【0054】
実施例5の染毛剤で処理した毛束と比較例5の染毛剤で処理した毛束の濃染性を比較すると、実施例5の染毛剤で処理した毛束の方が濃く染まっていた。
【0055】
(実施例6)
実施利4における「クロシンを含む市販品」を「モナスコルブリンを含む市販品(ダイワ化成株式会社製ベニコウジ色素含有品「ダイワモナスPH−3000」)」に変更した以外は実施例4と同様にして、実施例6の染毛剤を製造した。
【0056】
(比較例6)
実施例6におけるpH10の組成物を水に変更した以外は実施例6と同様にして、比較例6の染毛剤を製造した。
【0057】
実施例6の染毛剤で処理した毛束と比較例6の染毛剤で処理した毛束の濃染性を比較すると、実施例6の染毛剤で処理した毛束の方が濃く染まっていた。
【0058】
(実施例7)
実施利4における「クロシンを含む市販品」を「キサントモナシンを含む市販品(ダイワ化成株式会社製ベニコウジ色素含有品「ダイワモナスイエローTK」)」に変更した以外は実施例4と同様にして、実施例7の染毛剤を製造した。
【0059】
(比較例7)
実施例7におけるpH10の組成物を水に変更した以外は実施例7と同様にして、比較例7の染毛剤を製造した。
【0060】
実施例7の染毛剤で処理した毛束と比較例7の染毛剤で処理した毛束の濃染性を比較すると、実施例7の染毛剤で処理した毛束の方が濃く染まっていた。
【0061】
(実施例8)
実施利4における「クロシンを含む市販品」を「カルミン酸を含む市販品(ダイワ化成株式会社製コチニール色素含有品「コチニールレッドP−900」)」に変更した以外は実施例4と同様にして、実施例8の染毛剤を製造した。
【0062】
(比較例8)
実施例8におけるpH10の組成物を水に変更した以外は実施例8と同様にして、比較例8の染毛剤を製造した。
【0063】
実施例8の染毛剤で処理した毛束と比較例8の染毛剤で処理した毛束の濃染性を比較すると、実施例8の染毛剤で処理した毛束の方が濃く染まっていた。
【0064】
(実施例9)
実施利4における「クロシンを含む市販品」を「クルクミンを含む市販品(ダイワ化成株式会社製ウコン色素「クルクミン精製品」)」に変更した以外は実施例4と同様にして、実施例9の染毛剤を製造した。
【0065】
(比較例9)
実施例9におけるpH10の組成物を水に変更した以外は実施例9と同様にして、比較例9の染毛剤を製造した。
【0066】
実施例9の染毛剤で処理した毛束と比較例9の染毛剤で処理した毛束の濃染性を比較すると、実施例9の染毛剤で処理した毛束の方が濃く染まっていた。
【0067】
(実施例10〜16)
アルカリ剤及び還元剤を配合したpH10の組成物(2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール2質量%、システアミン0.5質量%、ベンジルアルコール8質量%、エタノール16質量%との配合濃度となるように、それら全てを水と配合した組成物)10質量部と、染料を含む市販品1質量部とを混合して、実施例10〜16の染毛剤を製造した。ここで用いた染料を含む市販品は、実施例10では、ダイワ化成株式会社製「ダイワモナスPH−3000」2質量部、ダイワ化成株式会社製「クロシンP-1900」2質量部、及びリアル化学社製「ボタニカルカラー・アカミノキ色」1質量部の混合物とし、実施例11では、リアル化学社製「ボタニカルカラー・アカミノキ色」とし、実施例12では、ダイワ化成株式会社製「ハイブルーGP−4A」とし、実施例13では、ダイワ化成株式会社製「クロシンP-1900」とし、実施例14では、ダイワ化成株式会社製「ダイワモナスPH−3000」1質量部、及びダイワ化成株式会社製「クロシンP-1900」1質量部の混合物とし、実施例15では、リアル化学社製「ボタニカルカラー・紅色」とし、実施例16では、リアル化学社製「ボタニカルカラー・紅色」1質量部、及びリアル化学社製「ボタニカルカラー・アカミノキ色」1質量部の混合物とした。
【0068】
上記実施例10の染毛剤で染色処理を行った毛束は、茶色系の色に染まっていた。また、実施例11〜16の染毛剤による処理を行った毛束は、実施例11の場合には紫色系の色に、実施例12の場合には青色系の色に、実施例13の場合には黄色系の色に、実施例14の場合には橙色系の色に、実施例15の場合には赤色系の色に、実施例16の場合には紫色系の色に、夫々染まっていた。
【0069】
(比較例10a〜10h)
温水と混合する市販品としてインジゴが配合された市販品(リアル化学社製「ボタニカルカラー・藍色」、全配合成分の表示名称:アイ、カラギーナン、セルロース、褐藻エキス、ムクロジエキス、ローズマリー、カミツレ、甘草)を用いた以外は実施例1aと同様にして、pH9.0〜10.0の比較例10〜10の染毛剤を製造した。
【0070】
上記比較例10a〜10hの染毛剤を用いて染毛処理を行った「濃染性の評価」結果を、下記表6に示す。「濃染性の評価」は、比較例10fによるものを基準として実施例1aと同様に行った。
【0071】
【表6】
【0072】
上記表6においては、表1と異なる傾向の濃染性評価が示されている。すなわち、還元剤を配合しても染色性が悪くなり(比較例10fと、比較例10hとの対比)、還元剤とアルカリ剤の双方を配合しても染色性が悪くなった(比較例10fと、比較例10a〜10eとの対比)。なお、比較例10fの毛束のみが青色系の色に染まっていたが、他の毛束については、染まっていなかった。
【0073】
(比較例11a)
実施例4における「クロシンを含む市販品」を「シアニジンアシルグリコシドを含むアカキャベツ色素含有市販品」に変更した以外は実施例4と同様にして、比較例11aの染毛剤を製造した。
【0074】
(比較例11b)
比較例11aにおけるpH10の組成物を水に変更した以外は比較例11aと同様にして、比較例11bの染毛剤を製造した。
【0075】
比較例11aの染毛剤で処理した毛束と比較例11bの染毛剤で処理した毛束の濃染性を確認した結果、双方共に毛束の染まりを確認できなかった。
【0076】
(比較例12a)
実施例4における「クロシンを含む市販品」を「ペラルゴニジンアシルグリコシドを含むアカダイコン色素含有市販品」に変更した以外は実施例4と同様にして、比較例12aの染毛剤を製造した。
【0077】
(比較例12b)
比較例12aにおけるpH10の組成物を水に変更した以外は比較例12aと同様にして、比較例12bの染毛剤を製造した。
【0078】
比較例12aの染毛剤で処理した毛束と比較例12bの染毛剤で処理した毛束の濃染性を確認した結果、双方共に毛束の染まりを確認できなかった。