【実施例】
【0027】
以下、実施例に基づき本発明を詳述するが、本発明の趣旨を逸脱しない限り、この実施例の記載に基づいて本発明が限定的に解釈されるものではない。
【0028】
下記実施例及び比較例の染毛剤を製造し、この染毛剤を用いて白色毛束(ヤク毛の毛束)の染毛処理を行った。その染毛処理は、白色毛束に染毛剤を塗布して30分程度放置後に、シャンプーを用いて洗浄することにより行った。そして、温風乾燥させた後の毛束色を、目視により確認した。
【0029】
(実施例1a〜1e、比較例1a〜1c)
スオウ(Caesalpinia sappan)由来のブラジリンが配合された市販品(リアル化学社製「ボタニカルカラー・紅色」、全配合成分の表示名称:スオウ木、デキストリン、カラギーナン、褐藻エキス、アルギン酸Na、モナスカスエキス、ローズマリー、カミツレ、甘草)と温水を、市販品:温水=1:10の質量比で混合した。この混合物に、更に、表1に示す濃度となるように還元剤及びアルカリ剤を添加することで、pHが9.0〜10.0である実施例1a〜1e及び比較例1a〜1cの染毛剤を製造した。
【0030】
上記実施例1a〜1e及び比較例1a〜1cの染毛剤を用いて染毛処理を行った「濃染性の評価」結果を、下記表1に示す。「濃染性の評価」は、比較例1aによるものを基準として次の通り行った。
○○○:基準よりも非常に濃く染まっていた。
○○ :基準よりも濃く染まっていた。
○ :基準よりもやや濃く染まっていた。
― :基準(比較例1a)又は基準と同等。
× :基準よりも染まりが薄かった。
【0031】
【表1】
【0032】
上記表1の濃染性評価においては、チオール基を有する還元剤とアルカリ剤が配合された実施例1a〜1eは、還元剤及びアルカリ剤が配合されなかった比較例1a、チオール基を有する還元剤が配合されなかった比較例1b、及びアルカリ剤が配合されなかった比較例1cのいずれよりも、濃染性の評価が良好であったことを確認できる。また、還元剤としてシステアミンを用いることが濃染性に有利であること(実施例1aと、実施例1d及び1eとの対比)、アルカリ剤としてアルカノールアミンを用いることが濃染性に有利であること(実施例1a及び1bと、実施例1cとの対比)を、確認できる。
【0033】
(実施例1f−1〜1f−2、実施例1g−1〜1g−2、実施例1h−1〜1h−2)
実施例1aと同様にして混合した市販品と温水の混合物に、更に、表2に示す濃度となるように還元剤及びアルカリ剤を添加することで、pH9.0〜10.0の実施例1f−1〜1f−2、実施例1g−1〜1g−2、及び実施例1h−1〜1h−2の染毛剤を製造した。
【0034】
上記実施例1f−1〜1f−2、実施例1g−1〜1g−2、及び実施例1h−1〜1h−2の染毛剤を用いて染毛処理を行った「濃染性の優劣」結果を、下記表2に示す。「濃染性の優劣」は、実施例1f−1と実施例1f−2との対比、実施例1g−1と実施例1g−2との対比、実施例1h−1と実施例1h−2との対比とし、対比の結果、濃く染まっている方の評価を「○」とし、薄く染まっている方又は両者同等の場合を「―」とした。
【0035】
【表2】
【0036】
上記表2は、還元剤の配合量を増加させることが、濃染性に必ず有利になるものではないことを示す。
【0037】
(実施例2a〜2e、比較例2a〜2b)
温水と混合する市販品としてアカミノキ(Haematoxylum
campechianum)由来のヘマトキシリンが配合された市販品(リアル化学社製「ボタニカルカラー・アカミノキ色」、全配合成分の表示名称:アカミノ木、カラギーナン、褐藻エキス、ローズマリー、カミツレ、甘草)を用いた以外は実施例1aと同様にして、pHが9.0〜10.0である実施例2a〜2e及び比較例2a〜2bの染毛剤を製造した。
【0038】
上記実施例2a〜2e及び比較例2a〜2bの染毛剤を用いて染毛処理を行った「濃染性の評価」結果を、下記表3に示す。「濃染性の評価」は、比較例2aによるものを基準として実施例1aと同様に行った。
【0039】
【表3】
【0040】
上記表3においては、表1と同様の濃染性評価が示されている。すなわち、チオール基を有する還元剤とアルカリ剤が配合された実施例2a〜2eは、還元剤及びアルカリ剤が配合されなかった比較例2a、及びチオール基を有する還元剤が配合されなかった比較例2bのいずれよりも、濃染性の評価が良好であった。また、還元剤としてシステアミンを用いることが濃染性に有利であること(実施例2aと、実施例2d及び2eとの対比)、アルカリ剤としてアルカノールアミンを用いることが濃染性に有利であること(実施例2a及び2bと、実施例2cとの対比)を、確認できる。
【0041】
(実施例2f−1〜2f−2、実施例2g−1〜2g−2、実施例2h−1〜2h−2)
実施例2aと同様にして混合した市販品と温水の混合物に、更に、表4に示す濃度となるように還元剤及びアルカリ剤を添加することで、pHが9.0〜10.0である実施例2f−1〜2f−2、実施例2g−1〜2g−2、及び実施例2h−1〜2h−2の染毛剤を製造した。
【0042】
上記実施例2f−1〜2f−2、実施例2g−1〜実施例2g−2、及び2h−1〜2h−2の染毛剤を用いて染毛処理を行った「濃染性の優劣」結果を、下記表4に示す。「濃染性の優劣」は、実施例2f−1と実施例2f−2との対比、実施例2g−1と実施例2g−2との対比、実施例2h−1と実施例2h−2との対比とし、対比の結果、濃く染まっている方の評価を「○」とし、薄く染まっている方又は同等の場合を「―」とした。
【0043】
【表4】
【0044】
上記表4は、表2と同様、還元剤の配合量を増加させることが、濃染性に必ず有利になるものではないことを示す。
【0045】
(実施例3a〜3e、比較例3a〜3b)
温水と混合する市販品としてキハダ(Phellodendron amurense)由来のベルベリンが配合された市販品(リアル化学社製「ボタニカルカラー・キハダ色」、全配合成分の表示名称:キハダ末、スクロース、褐藻エキス、カラギーナン、ローズマリー、カミツレ、甘草)を用いた以外は実施例1aと同様にして、pH9.0〜10.0の実施例3a〜3e及び比較例3a〜3bの染毛剤を製造した。
【0046】
上記実施例3a〜3e及び比較例3a〜3bの染毛剤を用いて染毛処理を行った「濃染性の評価」結果を、下記表5に示す。「濃染性の評価」は、比較例3aによるものを基準として実施例1aと同様に行った。
【0047】
【表5】
【0048】
上記表5においては、表1と同様の濃染性評価が示されている。すなわち、チオール基を有する還元剤とアルカリ剤が配合された実施例3a〜3eは、還元剤及びアルカリ剤が配合されなかった比較例3a、及びチオール基を有する還元剤が配合されなかった比較例3bのいずれよりも、濃染性の評価が良好であった。また、還元剤としてシステアミンを用いることが濃染性に有利であること(実施例3aと、実施例3d及び3eとの対比)、アルカリ剤としてアルカノールアミンを用いることが濃染性に有利であること(実施例3a及び3bと、実施例3cとの対比)を、確認できる。
【0049】
(実施例4)
アルカリ剤及び還元剤を配合したpH10の組成物(2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール2質量%、システアミン1質量%、ベンジルアルコール8質量%、エタノール16質量%との配合濃度となるように、それら全てを水と配合した組成物)10質量部と、クロシンを含む市販品(ダイワ化成株式会社製クチナシ黄色素含有品「クロシンP-1900」)1質量部とを混合して、実施例4の染毛剤を製造した。
【0050】
(比較例4)
実施例4におけるpH10の組成物を水に変更した以外は実施例4と同様にして、比較例4の染毛剤を製造した。
【0051】
実施例4の染毛剤で処理した毛束と比較例4の染毛剤で処理した毛束の濃染性を比較すると、実施例4の染毛剤で処理した毛束の方が濃く染まっていた。
【0052】
(実施例5)
実施例4における「クロシンを含む市販品」を「クチナシ青色素を含む市販品(ダイワ化成株式会社製「ハイブルーGP−4A」)に変更した以外は実施例4と同様にして、実施例5の染毛剤を製造した。
【0053】
(比較例5)
実施例5におけるpH10の組成物を水に変更した以外は実施例5と同様にして、比較例5の染毛剤を製造した。
【0054】
実施例5の染毛剤で処理した毛束と比較例5の染毛剤で処理した毛束の濃染性を比較すると、実施例5の染毛剤で処理した毛束の方が濃く染まっていた。
【0055】
(実施例6)
実施利4における「クロシンを含む市販品」を「モナスコルブリンを含む市販品(ダイワ化成株式会社製ベニコウジ色素含有品「ダイワモナスPH−3000」)」に変更した以外は実施例4と同様にして、実施例6の染毛剤を製造した。
【0056】
(比較例6)
実施例6におけるpH10の組成物を水に変更した以外は実施例6と同様にして、比較例6の染毛剤を製造した。
【0057】
実施例6の染毛剤で処理した毛束と比較例6の染毛剤で処理した毛束の濃染性を比較すると、実施例6の染毛剤で処理した毛束の方が濃く染まっていた。
【0058】
(実施例7)
実施利4における「クロシンを含む市販品」を「キサントモナシンを含む市販品(ダイワ化成株式会社製ベニコウジ色素含有品「ダイワモナスイエローTK」)」に変更した以外は実施例4と同様にして、実施例7の染毛剤を製造した。
【0059】
(比較例7)
実施例7におけるpH10の組成物を水に変更した以外は実施例7と同様にして、比較例7の染毛剤を製造した。
【0060】
実施例7の染毛剤で処理した毛束と比較例7の染毛剤で処理した毛束の濃染性を比較すると、実施例7の染毛剤で処理した毛束の方が濃く染まっていた。
【0061】
(実施例8)
実施利4における「クロシンを含む市販品」を「カルミン酸を含む市販品(ダイワ化成株式会社製コチニール色素含有品「コチニールレッドP−900」)」に変更した以外は実施例4と同様にして、実施例8の染毛剤を製造した。
【0062】
(比較例8)
実施例8におけるpH10の組成物を水に変更した以外は実施例8と同様にして、比較例8の染毛剤を製造した。
【0063】
実施例8の染毛剤で処理した毛束と比較例8の染毛剤で処理した毛束の濃染性を比較すると、実施例8の染毛剤で処理した毛束の方が濃く染まっていた。
【0064】
(実施例9)
実施利4における「クロシンを含む市販品」を「クルクミンを含む市販品(ダイワ化成株式会社製ウコン色素「クルクミン精製品」)」に変更した以外は実施例4と同様にして、実施例9の染毛剤を製造した。
【0065】
(比較例9)
実施例9におけるpH10の組成物を水に変更した以外は実施例9と同様にして、比較例9の染毛剤を製造した。
【0066】
実施例9の染毛剤で処理した毛束と比較例9の染毛剤で処理した毛束の濃染性を比較すると、実施例9の染毛剤で処理した毛束の方が濃く染まっていた。
【0067】
(実施例10〜16)
アルカリ剤及び還元剤を配合したpH10の組成物(2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール2質量%、システアミン0.5質量%、ベンジルアルコール8質量%、エタノール16質量%との配合濃度となるように、それら全てを水と配合した組成物)10質量部と、染料を含む市販品1質量部とを混合して、実施例10〜16の染毛剤を製造した。ここで用いた染料を含む市販品は、実施例10では、ダイワ化成株式会社製「ダイワモナスPH−3000」2質量部、ダイワ化成株式会社製「クロシンP-1900」2質量部、及びリアル化学社製「ボタニカルカラー・アカミノキ色」1質量部の混合物とし、実施例11では、リアル化学社製「ボタニカルカラー・アカミノキ色」とし、実施例12では、ダイワ化成株式会社製「ハイブルーGP−4A」とし、実施例13では、ダイワ化成株式会社製「クロシンP-1900」とし、実施例14では、ダイワ化成株式会社製「ダイワモナスPH−3000」1質量部、及びダイワ化成株式会社製「クロシンP-1900」1質量部の混合物とし、実施例15では、リアル化学社製「ボタニカルカラー・紅色」とし、実施例16では、リアル化学社製「ボタニカルカラー・紅色」1質量部、及びリアル化学社製「ボタニカルカラー・アカミノキ色」1質量部の混合物とした。
【0068】
上記実施例10の染毛剤で染色処理を行った毛束は、茶色系の色に染まっていた。また、実施例11〜16の染毛剤による処理を行った毛束は、実施例11の場合には紫色系の色に、実施例12の場合には青色系の色に、実施例13の場合には黄色系の色に、実施例14の場合には橙色系の色に、実施例15の場合には赤色系の色に、実施例16の場合には紫色系の色に、夫々染まっていた。
【0069】
(比較例10a〜10h)
温水と混合する市販品としてインジゴが配合された市販品(リアル化学社製「ボタニカルカラー・藍色」、全配合成分の表示名称:アイ、カラギーナン、セルロース、褐藻エキス、ムクロジエキス、ローズマリー、カミツレ、甘草)を用いた以外は実施例1aと同様にして、pH9.0〜10.0の比較例10〜10の染毛剤を製造した。
【0070】
上記比較例10a〜10hの染毛剤を用いて染毛処理を行った「濃染性の評価」結果を、下記表6に示す。「濃染性の評価」は、比較例10fによるものを基準として実施例1aと同様に行った。
【0071】
【表6】
【0072】
上記表6においては、表1と異なる傾向の濃染性評価が示されている。すなわち、還元剤を配合しても染色性が悪くなり(比較例10fと、比較例10hとの対比)、還元剤とアルカリ剤の双方を配合しても染色性が悪くなった(比較例10fと、比較例10a〜10eとの対比)。なお、比較例10fの毛束のみが青色系の色に染まっていたが、他の毛束については、染まっていなかった。
【0073】
(比較例11a)
実施例4における「クロシンを含む市販品」を「シアニジンアシルグリコシドを含むアカキャベツ色素含有市販品」に変更した以外は実施例4と同様にして、比較例11aの染毛剤を製造した。
【0074】
(比較例11b)
比較例11aにおけるpH10の組成物を水に変更した以外は比較例11aと同様にして、比較例11bの染毛剤を製造した。
【0075】
比較例11aの染毛剤で処理した毛束と比較例11bの染毛剤で処理した毛束の濃染性を確認した結果、双方共に毛束の染まりを確認できなかった。
【0076】
(比較例12a)
実施例4における「クロシンを含む市販品」を「ペラルゴニジンアシルグリコシドを含むアカダイコン色素含有市販品」に変更した以外は実施例4と同様にして、比較例12aの染毛剤を製造した。
【0077】
(比較例12b)
比較例12aにおけるpH10の組成物を水に変更した以外は比較例12aと同様にして、比較例12bの染毛剤を製造した。
【0078】
比較例12aの染毛剤で処理した毛束と比較例12bの染毛剤で処理した毛束の濃染性を確認した結果、双方共に毛束の染まりを確認できなかった。