(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
第1の半導体膜と、前記第1の半導体膜上に形成された第1のソース電極、及び第1のドレイン電極と、前記第1の半導体膜上に形成された第1のゲート絶縁膜と、前記第1のゲート絶縁膜と接し、前記第1の半導体膜と重畳する領域に設けられたゲート電極と、を有した第1のトランジスタと、
前記ゲート電極上に形成された第2のゲート絶縁膜と、前記第2のゲート絶縁膜と接し、前記ゲート電極と重畳する領域に設けられた第2の半導体膜と、前記第2の半導体膜上に形成された第2のソース電極、及び第2のドレイン電極と、を有した第2のトランジスタと、を有し、
前記第1のトランジスタ、及び前記第2のトランジスタが積層して設けられ、
前記第1の半導体膜、または前記第2の半導体膜の少なくともいずれか一方が、非単結晶の酸化物半導体膜であり、
前記第1のトランジスタ、及び前記第2のトランジスタは、画素のスイッチング素子としての機能を有する半導体装置。
第1の半導体膜と、前記第1の半導体膜上に形成された第1のソース電極、及び第1のドレイン電極と、前記第1の半導体膜上に形成された第1のゲート絶縁膜と、前記第1のゲート絶縁膜と接し、前記第1の半導体膜と重畳する領域に設けられたゲート電極と、を有した第1のトランジスタと、
前記ゲート電極上に形成された第2のゲート絶縁膜と、前記第2のゲート絶縁膜と接し、前記ゲート電極と重畳する領域に設けられた第2の半導体膜と、前記第2の半導体膜上に形成された絶縁膜と、前記絶縁膜上に形成され、前記第2の半導体膜と電気的に接続された第2のソース電極、及び第2のドレイン電極と、を有した第2のトランジスタと、を有し、
前記第1のトランジスタ、及び前記第2のトランジスタが積層して設けられ、
前記第1の半導体膜、または前記第2の半導体膜の少なくともいずれか一方が、非単結晶の酸化物半導体膜であり、
前記第1のトランジスタ、及び前記第2のトランジスタは、画素のスイッチング素子としての機能を有する半導体装置。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下では、本明細書に開示する発明の実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。但し、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨およびその範囲から逸脱することなく、その形態および詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
【0028】
なお、図面等において示す各構成の、位置、大きさ、範囲などは、理解の簡単のため、実際の位置、大きさ、範囲などを表していない場合がある。このため、開示する発明は、必ずしも、図面等に開示された位置、大きさ、範囲などに限定されない。
【0029】
なお、本明細書等における「第1」、「第2」、「第3」などの序数詞は、構成要素の混同を避けるために付すものであり、数的に限定するものではないことを付記する。
【0030】
なお、本明細書等において「上」や「下」の用語は、構成要素の位置関係が「直上」または「直下」であることを限定するものではない。例えば、「ゲート絶縁膜上のゲート電極」の表現であれば、ゲート絶縁膜とゲート電極との間に他の構成要素を含むものを除外しない。
【0031】
また、本明細書等において「電極」や「配線」の用語は、これらの構成要素を機能的に限定するものではない。例えば、「電極」は「配線」の一部として用いられることがあり、その逆もまた同様である。さらに、「電極」や「配線」の用語は、複数の「電極」や「配線」が一体となって形成されている場合なども含む。
【0032】
また、「ソース」や「ドレイン」の機能は、異なる極性のトランジスタを採用する場合や、回路動作において電流の方向が変化する場合などには入れ替わることがある。このため、本明細書等においては、「ソース」や「ドレイン」の用語は、入れ替えて用いることができるものとする。
【0033】
なお、本明細書等において、「電気的に接続」には、「何らかの電気的作用を有するもの」を介して接続されている場合が含まれる。ここで、「何らかの電気的作用を有するもの」は、接続対象間での電気信号の授受を可能とするものであれば、特に制限を受けない。例えば、「何らかの電気的作用を有するもの」には、電極や配線をはじめ、トランジスタなどのスイッチング素子、抵抗素子、インダクタ、キャパシタ、その他の各種機能を有する素子などが含まれる。
【0034】
(実施の形態1)
本実施の形態では、半導体装置、及び半導体装置の作製方法の一形態を、
図1乃至
図3を用いて説明する。
【0035】
〈半導体装置の構成例〉
図1(A)、及び
図1(B)に半導体装置の一形態として、トランジスタの上面図、及び断面図を示す。なお、
図1(A)は、上面図を示し、
図1(B)は、
図1(A)におけるX1−Y1に係る断面図に相当する。なお、
図1(A)では、煩雑になることを避けるため、トランジスタの構成要素の一部(例えば、第1のゲート絶縁膜110など)を省略して図示している。
【0036】
図1(A)、及び
図1(B)に示す半導体装置は、基板102上に形成された下地絶縁膜104と、下地絶縁膜104上に形成された第1の半導体膜106と、第1の半導体膜106上に形成された第1のソース電極108a、及び第1のドレイン電極108bと、第1の半導体膜106上に形成された第1のゲート絶縁膜110と、第1のゲート絶縁膜110と接し、第1の半導体膜106と重畳する領域に設けられたゲート電極112と、を有した第1のトランジスタ150と、ゲート電極112上に形成された第2のゲート絶縁膜116と、第2のゲート絶縁膜116と接し、ゲート電極112と重畳する領域に設けられた第2の半導体膜118と、第2の半導体膜118上に形成された第2のソース電極120a、及び第2のドレイン電極120bと、を有した第2のトランジスタ152と、を有し、第1のトランジスタ150、及び第2のトランジスタ152が積層して設けられている。
【0037】
また、
図1に示す半導体装置は、第1のトランジスタ150と、第2のトランジスタ152の間に層間絶縁膜114を含む構成、または第2のトランジスタ152上に絶縁膜122、及び平坦化絶縁膜124を含む構成としてもよい。
【0038】
また、第1の半導体膜106、または第2の半導体膜118の少なくともいずれか一方が、酸化物半導体膜である。第1の半導体膜106、または第2の半導体膜118に酸化物半導体膜を用いることで、電界効果移動度が高く、高速動作が可能な半導体装置とすることができる。
【0039】
なお、本実施の形態においては、第1の半導体膜106、及び第2の半導体膜118は、いずれも酸化物半導体膜を用いた構成について説明を行う。第1の半導体膜106、及び第2の半導体膜118の電気的特性を同等としたい場合においては、このように、第1の半導体膜106、及び第2の半導体膜118ともに酸化物半導体膜とすることが好適である。
【0040】
また、第1のトランジスタ150と、第2のトランジスタ152は、ゲート電極112が共通である。すなわち、第1のトランジスタ150は、第1の半導体膜106上に第1のゲート絶縁膜110を介してゲート電極112が設けられたトップゲート型のトランジスタであり、第2のトランジスタ152は、ゲート電極112上に第2のゲート絶縁膜116を介して、第2の半導体膜118が設けられたボトムゲート型のトランジスタである。第1のトランジスタ150、と第2のトランジスタ152と、を積層して形成し、ゲート電極112を共通して用いることで、トランジスタの配置する面積を縮小することができる。また、第1のトランジスタ150と、第2のトランジスタ152と、でゲート電極112を共通して用いることで、トランジスタの作製工程数、または材料等を抑制することができる。
【0041】
なお、その他の構成要素の詳細については、後述する半導体装置の作製方法において、
図2、及び
図3を用いて説明する。
【0042】
〈半導体装置の作製方法1〉
以下、
図2、及び
図3を用いて、本実施の形態に係る
図1に示す半導体装置の作製方法の一例について説明する。
【0043】
まず、基板102を準備する。基板102に使用することができる基板に大きな制限はないが、少なくとも、後の熱処理に耐えうる程度の耐熱性を有していることが必要となる。例えば、バリウムホウケイ酸ガラスやアルミノホウケイ酸ガラスなどのガラス基板、セラミック基板、石英基板、サファイア基板などの基板を用いることができる。また、シリコンや炭化シリコンなどの単結晶半導体基板、多結晶半導体基板、シリコンゲルマニウムなどの化合物半導体基板、SOI基板などを適用することも可能である。
【0044】
また、基板102として、可撓性基板を用いてもよい。可撓性基板を用いる場合、可撓性基板上に第1の半導体膜106、及び第2の半導体膜118を含む第1のトランジスタ150、及び第2のトランジスタ152を直接作製してもよいし、他の作製基板に第1の半導体膜106、及び第2の半導体膜118を含む第1のトランジスタ150、及び第2のトランジスタ152を作製し、その後可撓性基板に剥離、転置してもよい。なお、作製基板から可撓性基板に剥離、転置するために、作製基板と第1の半導体膜106を含む第1のトランジスタ150との間に剥離層を設けるとよい。
【0045】
次に、基板102上に下地絶縁膜104を形成する(
図2(A)参照)。下地絶縁膜104は、基板102からの水素、水分、アルカリ金属などの不純物元素の拡散を防止する効果があり、酸化シリコン、窒化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム、窒化酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、酸化ガリウム、またはこれらの混合材料を含む膜から選ばれた一、または複数の膜による積層構造により形成することができる。
【0046】
また、下地絶縁膜104のその他の効果としては、のちに形成される第1の半導体膜106に酸素を供給することができる。例えば、下地絶縁膜104として、過剰酸素を含む絶縁膜を用いて、第1の半導体膜106として、酸化物半導体膜を用いた場合、当該下地絶縁膜104を加熱することにより酸素の一部を脱離させることができるので、酸化物半導体膜に酸素を供給し、酸化物半導体膜中の酸素欠損を補填することができる。特に、下地絶縁膜104中に少なくとも化学量論的組成を超える量の酸素が存在することが好ましく、例えば、下地絶縁膜104として、SiO
2+α(ただし、α>0)で表される酸化シリコン膜を用いることが好ましい。このような酸化シリコン膜を下地絶縁膜104として用いることで、酸化物半導体膜に酸素を供給することができ、当該酸化物半導体膜を用いた第1のトランジスタ150のトランジスタ特性を良好にすることができる。
【0047】
ただし、下地絶縁膜104は、設けない構成としても良い。例えば、基板102からの水、水分、アルカリ金属等の不純物が拡散しない基板等を用いることで、基板102上に第1の半導体膜106を直接形成してもよい。ただし、本実施の形態に示すように、下地絶縁膜104を設ける構成とした方が望ましい。
【0048】
また、下地絶縁膜104を形成する前に、基板102に対してプラズマ処理等を行っても良い。プラズマ処理としては、例えば、アルゴンガスを導入してプラズマを発生させる逆スパッタリングを行うことができる。逆スパッタリングとは、アルゴン雰囲気下で基板102側にRF電源を用いて電圧を印加して基板102近傍にプラズマを形成して表面を改質する方法である。なお、アルゴン雰囲気に代えて窒素、ヘリウム、酸素などを用いてもよい。逆スパッタリングを行うと、基板102表面に付着している粉状物質(パーティクル、ごみともいう)を除去することができる。
【0049】
次に、下地絶縁膜104上に酸化物半導体膜を成膜し、フォトリソグラフィ工程、及びエッチング工程を行い第1の半導体膜106を形成する(
図2(A)参照)。
【0050】
なお、下地絶縁膜104、及び第1の半導体膜106は、大気に触れさせることなく連続して成膜するのが好ましい。大気に触れさせることなく連続して成膜することで、下地絶縁膜104と、第1の半導体膜106との界面に不純物の付着、または混入を抑制することができる。
【0051】
第1の半導体膜106は、酸化物半導体膜を用いることができる。酸化物半導体膜は、単結晶、多結晶(ポリクリスタルともいう)、微結晶、または非晶質などの状態をとる。
【0052】
また、第1の半導体膜106に用いる酸化物半導体としては、少なくともインジウム(In)あるいは亜鉛(Zn)を含むことが好ましい。特にInとZnを含むことが好ましい。また、該酸化物半導体を用いたトランジスタの電気特性のばらつきを減らすためのスタビライザーとして、それらに加えてガリウム(Ga)を有することが好ましい。また、スタビライザーとしてスズ(Sn)を有することが好ましい。また、スタビライザーとしてハフニウム(Hf)、ジルコニウム(Zr)、チタン(Ti)、スカンジウム(Sc)、イットリウム(Y)、ランタノイド(例えば、セリウム(Ce)、ネオジム(Nd)、ガドリニウム(Gd))から選ばれた一種、または複数種が含まれていることが好ましい。
【0053】
例えば、酸化物半導体として、酸化インジウム、酸化スズ、酸化亜鉛、In−Zn系酸化物、Sn−Zn系酸化物、Al−Zn系酸化物、Zn−Mg系酸化物、Sn−Mg系酸化物、In−Mg系酸化物、In−Ga系酸化物、In−Ga−Zn系酸化物(IGZOとも表記する)、In−Al−Zn系酸化物、In−Sn−Zn系酸化物、Sn−Ga−Zn系酸化物、Al−Ga−Zn系酸化物、Sn−Al−Zn系酸化物、In−Hf−Zn系酸化物、In−Zr−Zn系酸化物、In−Ti−Zn系酸化物、In−Sc−Zn系酸化物、In−Y−Zn系酸化物、In−La−Zn系酸化物、In−Ce−Zn系酸化物、In−Pr−Zn系酸化物、In−Nd−Zn系酸化物、In−Sm−Zn系酸化物、In−Eu−Zn系酸化物、In−Gd−Zn系酸化物、In−Tb−Zn系酸化物、In−Dy−Zn系酸化物、In−Ho−Zn系酸化物、In−Er−Zn系酸化物、In−Tm−Zn系酸化物、In−Yb−Zn系酸化物、In−Lu−Zn系酸化物、In−Sn−Ga−Zn系酸化物、In−Hf−Ga−Zn系酸化物、In−Al−Ga−Zn系酸化物、In−Sn−Al−Zn系酸化物、In−Sn−Hf−Zn系酸化物、In−Hf−Al−Zn系酸化物を用いることができる。
【0054】
ここで、In−Ga−Zn系酸化物とは、InとGaとZnを主成分として有する酸化物という意味であり、InとGaとZnの比率は問わない。また、InとGaとZn以外の金属元素が入っていてもよい。
【0055】
また、酸化物半導体として、InMO
3(ZnO)
m(m>0、且つ、mは整数でない)で表記される材料を用いてもよい。なお、Mは、Ga、Fe、Mn及びCoから選ばれた一の金属元素または複数の金属元素、若しくは上記のスタビライザーとしての元素を示す。また、酸化物半導体として、In
2SnO
5(ZnO)
n(n>0、且つ、nは整数)で表記される材料を用いてもよい。
【0056】
例えば、In:Ga:Zn=1:1:1、In:Ga:Zn=3:1:2、あるいはIn:Ga:Zn=2:1:3の原子数比のIn:Ga:Zn系酸化物やその組成の近傍の酸化物を用いるとよい。
【0057】
また、酸化物半導体膜の成膜工程において、酸化物半導体膜に水素、または水がなるべく含まれないことが好ましい。例えば、酸化物半導体膜の成膜工程の前処理として、スパッタリング装置の予備加熱室で下地絶縁膜104が形成された基板102を予備加熱し、基板102、及び下地絶縁膜104に吸着した水素、水分などの不純物を脱離し排気することが好ましい。また、酸化物半導体膜の成膜時、残留水分が排気された成膜室(成膜チャンバーともいう)で行うことが好ましい。
【0058】
なお、予備加熱室、及び成膜室の水分を除去するためには、吸着型の真空ポンプ、例えば、クライオポンプ、イオンポンプ、チタンサブリメーションポンプを用いることが好ましい。また、排気手段は、ターボポンプにコールドトラップを加えたものであってもよい。クライオポンプを用いて排気した、予備加熱室、及び成膜室は、例えば、水素原子、水(H
2O)など水素原子を含む化合物(より好ましくは炭素原子を含む化合物も)等が排気されるため、第1の半導体膜106に含まれる水素、水分などの不純物の濃度を低減できる。
【0059】
なお、本実施の形態では、第1の半導体膜106としてIn−Ga−Zn系酸化物をスパッタリング法により成膜する。また、第1の半導体膜106は、希ガス(代表的にはアルゴン)雰囲気下、酸素雰囲気下、または希ガスと酸素の混合雰囲気下においてスパッタリング法により形成することができる。
【0060】
第1の半導体膜106として、In−Ga−Zn系酸化物をスパッタリング法で作製するためのターゲットとしては、例えば、原子数比がIn:Ga:Zn=1:1:1の金属酸化物ターゲットや、原子数比がIn:Ga:Zn=3:1:2の金属酸化物ターゲットや、原子数比がIn:Ga:Zn=2:1:3の金属酸化物ターゲットを用いることができる。ただし、第1の半導体膜106に用いることのできるターゲットは、これらのターゲットの材料、及び組成に限定されるものではない。
【0061】
また、第1の半導体膜106を上述した金属酸化物ターゲットを用いて形成した場合、ターゲットの組成と、基板上に形成される薄膜の組成と、が異なる場合がある。例えば、In
2O
3:Ga
2O
3:ZnO=1:1:1[mol比]の金属酸化物ターゲットを用いた場合、成膜条件にも依存するが、薄膜である第1の半導体膜106として用いる酸化物半導体膜の組成は、In
2O
3:Ga
2O
3:ZnO=1:1:0.6〜0.8[mol比]となる場合がある。これは、第1の半導体膜106として用いる酸化物半導体膜の成膜中において、ZnOが昇華する、またはIn
2O
3、Ga
2O
3、ZnOの各成分のスパッタリングレートが異なるためだと考えられる。
【0062】
したがって、所望の組成の薄膜を形成したい場合においては、予め金属酸化物ターゲットの組成を調整する必要がある。例えば、薄膜である第1の半導体膜106の組成を、In
2O
3:Ga
2O
3:ZnO=1:1:1[mol比]とする場合においては、金属酸化物ターゲットの組成を、In
2O
3:Ga
2O
3:ZnO=1:1:1.5[mol比]とすればよい。すなわち、金属酸化物ターゲットのZnOの含有量を予め多くすればよい。ただし、ターゲットの組成は、上記数値に限定されず、成膜条件や、形成される薄膜の組成により適宜調整することができる。また、金属酸化物ターゲットのZnOの含有量を多くすることにより、得られる薄膜の結晶性が向上するため好ましい。
【0063】
また、金属酸化物ターゲットの相対密度は90%以上100%以下、好ましくは95%以上99.9%以下である。相対密度の高い金属酸化物ターゲットを用いることにより、成膜した第1の半導体膜106を緻密な膜とすることができる。
【0064】
また、第1の半導体膜106を成膜する際に用いるスパッタリングガスとしては、水素、水、水酸基、または水素化物などの不純物が除去された高純度ガスを用いることが好ましい。
【0065】
また、第1の半導体膜106として用いる酸化物半導体膜は、CAAC−OS(C Axis Aligned Crystalline Oxide Semiconductor)膜とすることが好ましい。ここで、第1の半導体膜106に用いることができるCAAC−OS膜について、以下詳細な説明を行う。
【0066】
CAAC−OS膜は、完全な単結晶ではなく、完全な非晶質でもない。CAAC−OS膜は、非晶質相に結晶部を有する結晶−非晶質混相構造の酸化物半導体膜である。なお、当該結晶部は、一辺が100nm未満の立方体内に収まる大きさであることが多い。また、透過型電子顕微鏡(TEM:Transmission Electron Microscope)による観察像では、CAAC−OS膜に含まれる非晶質部と結晶部との境界は明確ではない。また、TEMによってCAAC−OS膜には粒界(グレインバウンダリーともいう)は確認できない。そのため、CAAC−OS膜は、粒界に起因する電子移動の低下が抑制される。
【0067】
CAAC−OS膜に含まれる結晶部は、c軸がCAAC−OS膜の被形成面の法線ベクトルまたは表面の法線ベクトルに平行な方向に揃い、かつab面に垂直な方向から見て三角形状または六角形状の原子配列を有し、c軸に垂直な方向から見て金属原子が層状または金属原子と酸素原子とが層状に配列している。なお、異なる結晶部間で、それぞれa軸およびb軸の向きが異なっていてもよい。本明細書において、単に垂直と記載する場合、85°以上95°以下の範囲も含まれることとする。また、単に平行と記載する場合、−5°以上5°以下の範囲も含まれることとする。
【0068】
なお、CAAC−OS膜において、結晶部の分布が一様でなくてもよい。例えば、CAAC−OS膜の形成過程において、酸化物半導体膜の表面側から結晶成長させる場合、表面の近傍では結晶部の占める割合が高くなることがある。また、CAAC−OS膜へ不純物を添加することにより、当該不純物添加領域において結晶部が非晶質化することもある。
【0069】
CAAC−OS膜に含まれる結晶部のc軸は、CAAC−OS膜の被形成面の法線ベクトルまたは表面の法線ベクトルに平行な方向に揃うため、CAAC−OS膜の形状(被形成面の断面形状または表面の断面形状)によっては互いに異なる方向を向くことがある。なお、結晶部のc軸の方向は、CAAC−OS膜が形成されたときの被形成面の法線ベクトルまたは表面の法線ベクトルに平行な方向となる。結晶部は、成膜することにより、または成膜後に加熱処理などの結晶化処理を行うことにより形成される。
【0070】
CAAC−OS膜を用いたトランジスタは、可視光や紫外光の照射によるトランジスタの電気特性の変動を低減することが可能である。また、しきい値の変動、及びバラツキを抑制できる。よって、当該トランジスタは、信頼性が高い。
【0071】
また、結晶部、または結晶性を有する酸化物半導体では、よりバルク内欠陥を低減することができる。さらに、結晶部、または結晶性を有する酸化物半導体膜表面の平坦性を高めることによって、該酸化物半導体を用いたトランジスタは、アモルファス状態の酸化物半導体を用いたトランジスタ以上の電界効果移動度を得ることができる。酸化物半導体膜表面の平坦性を高めるためには、平坦な表面上に酸化物半導体を形成することが好ましく、具体的には、平均面粗さ(Ra)が0.15nm以下、好ましくは0.1nm以下の表面上に形成するとよい。
【0072】
なお、Raは、JIS B0601:2001(ISO4287:1997)で定義されている算術平均粗さを曲面に対して適用できるよう三次元に拡張したものであり、「基準面から指定面までの偏差の絶対値を平均した値」と表現でき、以下の式にて定義される。
【0074】
ここで、指定面とは、粗さ計測の対象となる面であり、座標(x1,y1,f(x1,y1)),(x1,y2,f(x1,y2)),(x2,y1,f(x2,y1)),(x2,y2,f(x2,y2))の4点で表される四角形の領域とし、指定面をxy平面に投影した長方形の面積をS0、基準面の高さ(指定面の平均の高さ)をZ0とする。Raは原子間力顕微鏡(AFM:Atomic Force Microscope)にて測定可能である。
【0075】
また、第1の半導体膜106として、CAAC−OS膜を適用する場合、該CAAC−OS膜を形成する方法としては、三つ挙げられる。一つめは、成膜温度を200℃以上450℃以下として酸化物半導体膜の成膜を行うことで、酸化物半導体膜に含まれる結晶部のc軸が、被形成面の法線ベクトルまたは表面の法線ベクトルに平行な方向に揃った結晶部を形成する方法である。二つめは、酸化物半導体膜を薄い膜厚で成膜した後、200℃以上700℃以下の熱処理を行うことで、酸化物半導体膜に含まれる結晶部のc軸が、被形成面の法線ベクトルまたは表面の法線ベクトルに平行な方向に揃った結晶部を形成する方法である。三つめは、一層目の酸化物半導体膜を薄く成膜した後、200℃以上700℃以下の熱処理を行い、さらに二層目の酸化物半導体膜の成膜を行うことで、酸化物半導体膜に含まれる結晶部のc軸が、被形成面の法線ベクトルまたは表面の法線ベクトルに平行な方向に揃った結晶部を形成する方法である。
【0076】
また、基板102を加熱しながら成膜することにより、成膜した第1の半導体膜106に含まれる水素や水などの不純物濃度を低減することができる。また、スパッタリングによる損傷が軽減されるため好ましい。また、第1の半導体膜106を、ALD(Atomic Layer Deposition)法、蒸着法、塗布法などで成膜してもよい。
【0077】
なお、第1の半導体膜106として、CAAC−OS膜以外の結晶性を有する酸化物半導体膜(単結晶または微結晶)を成膜する場合には、成膜温度は特に限定されない。
【0078】
また、本実施の形態において、第1の半導体膜106の形成方法としては、ドライエッチング法により酸化物半導体膜のエッチングを行う。エッチングガスには、BCl
3、Cl
2、O
2等を用いることができる。エッチング速度の向上にはECRやICPなどの高密度プラズマ源を用いたドライエッチング装置を用いることができる。
【0079】
また、第1の半導体膜106の形成後、第1の半導体膜106に対して、熱処理を行ってもよい。当該熱処理の温度は、300℃以上700℃以下、または基板の歪み点未満とする。当該熱処理を行うことで、第1の半導体膜106として用いた酸化物半導体膜より過剰な水素(水や水酸基を含む)を除去することが可能である。なお、当該熱処理は、本明細書等において、脱水化処理(脱水素化処理)と記す場合がある。
【0080】
当該熱処理は、例えば、抵抗発熱体などを用いた電気炉に被処理物を導入し、窒素雰囲気下、450℃、1時間の条件で行うことができる。この間、第1の半導体膜106は大気に触れさせず、水や水素の混入が生じないようにする。
【0081】
熱処理装置は、電気炉に限られず、加熱されたガスなどの媒体からの熱伝導、または熱輻射によって、被処理物を加熱する装置を用いても良い。例えば、GRTA(Gas Rapid Thermal Anneal)装置、LRTA(Lamp Rapid Thermal Anneal)装置等のRTA(Rapid Thermal Anneal)装置を用いることができる。LRTA装置は、ハロゲンランプ、メタルハライドランプ、キセノンアークランプ、カーボンアークランプ、高圧ナトリウムランプ、高圧水銀ランプなどのランプから発する光(電磁波)の輻射により、被処理物を加熱する装置である。GRTA装置は、高温のガスを用いて熱処理を行う装置である。ガスとしては、アルゴンなどの希ガス、または窒素のような、熱処理によって被処理物と反応しない不活性気体が用いられる。
【0082】
例えば、当該熱処理として、熱せられた不活性ガス雰囲気中に被処理物を投入し、数分間熱した後、当該不活性ガス雰囲気から被処理物を取り出すGRTA処理を行ってもよい。GRTA処理を用いると短時間での高温熱処理が可能となる。また、被処理物の耐熱温度を超える温度条件であっても適用が可能となる。なお、処理中に、不活性ガスを、酸素を含むガスに切り替えても良い。
【0083】
なお、不活性ガス雰囲気としては、窒素、または希ガス(ヘリウム、ネオン、アルゴン等)を主成分とする雰囲気であって、水、水素などが含まれない雰囲気を適用するのが望ましい。例えば、熱処理装置に導入する窒素や、ヘリウム、ネオン、アルゴン等の希ガスの純度を、6N(99.9999%)以上、好ましくは7N(99.99999%)以上(すなわち、不純物濃度が1ppm以下、好ましくは0.1ppm以下)とする。
【0084】
また、上述の脱水化処理(脱水素化処理)を行うと、酸化物半導体膜を構成する主成分材料である酸素が同時に脱離して減少してしまうおそれがある。酸化物半導体膜において、酸素が脱離した箇所では酸素欠損が存在し、該酸素欠損に起因してトランジスタの電気的特性変動を招くドナー準位が生じてしまう。よって、脱水化処理(脱水素化処理)を行った場合、酸化物半導体膜中に、酸素を供給することが好ましい。酸化物半導体膜中に酸素を供給することにより、膜中の酸素欠損を補填することができる。
【0085】
酸化物半導体膜中の酸素欠損を補填する方法の一例としては、酸化物半導体膜に対して脱水化処理(脱水素化処理)を行った後、同じ炉に高純度の酸素ガス、高純度の亜酸化窒素ガス、又は超乾燥エア(CRDS(キャビティリングダウンレーザー分光法)方式の露点計を用いて測定した場合の水分量が20ppm(露点換算で−55℃)以下、好ましくは1ppm以下、より好ましくは10ppb以下の空気)を導入すればよい。酸素ガス、または亜酸化窒素ガスに、水、水素などが含まれないことが好ましい。または、熱処理装置に導入する酸素ガス、または亜酸化窒素ガスの純度を、6N(99.9999%)以上、好ましくは7N(99.99999%)以上(即ち、酸素ガスまたは亜酸化窒素ガス中の不純物濃度を1ppm以下、好ましくは0.1ppm以下)とすることが好ましい。
【0086】
また、酸化物半導体膜中に酸素を供給する方法の一例としては、酸化物半導体膜に酸素(少なくとも、酸素ラジカル、酸素原子、酸素イオン、のいずれかを含む)を添加することで、酸化物半導体膜中に酸素を供給してもよい。酸素の添加方法としては、イオン注入法、イオンドーピング法、プラズマイマージョンイオンインプランテーション法、プラズマ処理などを用いる。
【0087】
また、第1の半導体膜106として、酸化物半導体膜を用い、当該酸化物半導体膜中に酸素を供給する方法の一例としては、下地絶縁膜104、または後に形成される第1のゲート絶縁膜110等を加熱することにより、酸素の一部を脱離させ、酸化物半導体膜に酸素を供給してもよい。
【0088】
上述のように、酸化物半導体膜の形成後において、脱水化処理(脱水素化処理)を行い酸化物半導体膜から、水素、または水分を除去して不純物が極力含まれないように高純度化し、脱水化処理(脱水素化処理)によって同時に減少してしまった酸素を酸化物半導体に加える、または酸素を供給し酸化物半導体膜の酸素欠損を補填することが好ましい。また、本明細書等において、酸化物半導体膜に酸素を供給する場合を、加酸素化処理と記す場合がある、または酸化物半導体膜に含まれる酸素を化学量論的組成よりも多くする場合を過酸素化処理と記す場合がある。
【0089】
なお、上述の方法では、酸化物半導体膜を島状に加工した後に脱水化処理(脱水素化処理)、および加酸素化処理を行う構成について説明したが、開示する発明の一態様はこれに限定して解釈されない。酸化物半導体膜を島状に加工する前に、当該処理を行ってもよい。また、後に形成される層間絶縁膜114の形成後に、加熱処理を行い、下地絶縁膜104、または第1のゲート絶縁膜110等から、酸化物半導体膜に酸素を供給してもよい。
【0090】
このように、第1の半導体膜106として、用いることのできる酸化物半導体膜は、脱水化処理(脱水素化処理)により、水素または水分が除去され、加酸素化処理により酸素欠損を補填することによって、i型(真性)化またはi型に限りなく近い酸化物半導体膜とすることができる。このような酸化物半導体膜中には、ドナーに由来するキャリアが極めて少なく(ゼロに近い)、キャリア濃度は1×10
14/cm
3未満、好ましくは1×10
12/cm
3未満、さらに好ましくは1×10
11/cm
3未満である。
【0091】
また、第1の半導体膜106として、酸化物半導体膜を用いる場合、当該酸化物半導体膜は、銅、アルミニウム、塩素などの不純物がほとんど含まれない高純度化されたものであることが望ましい。トランジスタの作製工程において、これらの不純物が酸化物半導体膜に混入または酸化物半導体膜表面に付着する恐れのない工程を適宜選択することが好ましい。また、これらの不純物が酸化物半導体膜表面に付着した場合には、シュウ酸や希フッ酸などに曝す、またはプラズマ処理(N
2Oプラズマ処理など)を行うことにより、酸化物半導体膜表面の不純物を除去することが好ましい。具体的には、酸化物半導体膜の銅濃度は1×10
18atoms/cm
3以下、好ましくは1×10
17atoms/cm
3以下とする。また、酸化物半導体膜のアルミニウム濃度は1×10
18atoms/cm
3以下とする。また、酸化物半導体膜の塩素濃度は2×10
18atoms/cm
3以下とする。
【0092】
また、酸化物半導体膜は成膜直後において、化学量論的組成より酸素が多い過飽和の状態とすることが好ましい。例えば、スパッタリング法を用いて酸化物半導体膜を成膜する場合、成膜ガスの酸素の占める割合が多い条件で成膜することが好ましく、特に酸素雰囲気(酸素ガス100%)で成膜を行うことが好ましい。例えば、酸化物半導体膜として、In−Ga−Zn系酸化物(IGZO)を用い、成膜ガスの酸素の占める割合が多い条件(特に酸素ガス100%の雰囲気)で成膜すると、成膜温度を300℃以上としても、膜中からZnの放出が抑えられる。
【0093】
また、酸化物半導体膜は水素などの不純物が十分に除去される、または、十分な酸素が供給されて酸素が過飽和の状態とされることにより、高純度化されたものであることが望ましい。具体的には、酸化物半導体膜の水素濃度は5×10
19atoms/cm
3以下、望ましくは5×10
18atoms/cm
3以下、より望ましくは5×10
17atoms/cm
3以下とする。なお、上述の酸化物半導体膜中の水素濃度は、二次イオン質量分析法(SIMS:Secondary Ion Mass Spectrometry)で測定されるものである。また、十分な酸素が供給されて酸素が過飽和の状態とするため、酸化物半導体膜を包みこむように過剰酸素を含む絶縁膜(SiOxなど)を接して設けると好ましい。
【0094】
過剰酸素を含む絶縁膜は、PE−CVD法やスパッタリング法における成膜条件を適宜設定して膜中に酸素を多く含ませたSiOx膜や、酸化窒化シリコン膜を用いる。また、さらに過剰酸素を絶縁膜に含ませたい場合には、イオン注入法やイオンドーピング法やプラズマ処理によって、絶縁膜中に酸素を添加する。
【0095】
また、過剰酸素を含む絶縁膜の水素濃度が、7.2×10
20atoms/cm
3以上である場合には、トランジスタの初期特性のバラツキの増大、トランジスタの電気特性に関するL長依存性の増大、さらにBTストレス試験において大きく劣化するため、過剰酸素を含む絶縁膜の水素濃度は、7.2×10
20atoms/cm
3未満とする。すなわち、酸化物半導体膜の水素濃度は5×10
19atoms/cm
3以下、且つ、過剰酸素を含む絶縁膜の水素濃度は、7.2×10
20atoms/cm
3未満とすることが好ましい。
【0096】
さらに酸化物半導体膜を包み、且つ、過剰酸素を含む絶縁膜の外側に配置されるように、酸化物半導体膜の酸素の放出を抑えるブロッキング膜(AlOxなど)を設けると好ましい。
【0097】
過剰酸素を含む絶縁膜、またはブロッキング膜で酸化物半導体膜を包み込むことで、酸化物半導体膜において化学量論的組成とほぼ一致するような状態、または化学量論的組成より酸素が多い過飽和の状態とすることができる。例えば、酸化物半導体膜がIGZOの場合、化学量論的組成の一例はIn:Ga:Zn:O=1:1:1:4[原子数比]であるため、酸素の原子数比が4または4以上含む状態となる。
【0098】
次に、第1の半導体膜106上に導電膜を形成し、フォトリソグラフィ工程、及びエッチング工程を行い、第1のソース電極108a、及び第1のドレイン電極108bを形成する(
図2(B)参照)。
【0099】
第1のソース電極108a、及び第1のドレイン電極108bに用いることのできる導電膜としては、後の加熱処理に耐えられる材料を用いる。例えば、Al、Cr、Cu、Ta、Ti、Mo、Wから選ばれた元素を含む金属膜、または上述した元素を成分とする金属窒化物膜(窒化チタン膜、窒化モリブデン膜、窒化タングステン膜)等を用いることができる。また、Al、Cuなどの金属膜の下側、上側の一方、または双方にTi、Mo、Wなどの高融点金属膜、またはそれらの金属窒化物膜(窒化チタン膜、窒化モリブデン膜、窒化タングステン膜)を積層させた構成としても良い。
【0100】
また、第1のソース電極108a、及び第1のドレイン電極108bに用いる導電膜としては、導電性の金属酸化物で形成しても良い。導電性の金属酸化物としては酸化インジウム(In
2O
3)、酸化スズ(SnO
2)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化インジウム酸化スズ(In
2O
3−SnO
2、ITOと略記する)、酸化インジウム酸化亜鉛(In
2O
3−ZnO)またはこれらの金属酸化物材料に酸化シリコンを含ませたものを用いることができる。
【0101】
次に、第1の半導体膜106、及び第1のソース電極108a、及び第1のドレイン電極108b上に第1のゲート絶縁膜110を形成する(
図2(C)参照。)
【0102】
また、第1のゲート絶縁膜110の膜厚は、例えば1nm以上500nm以下とすることができる。なお、第1のゲート絶縁膜110の作製方法に特に限定はないが、例えば、スパッタリング法、MBE法、PE−CVD法、パルスレーザ堆積法、ALD法等を適宜用いて第1のゲート絶縁膜110を作製することができる。
【0103】
また、第1のゲート絶縁膜110の材料としては、酸化シリコン、酸化ガリウム、酸化アルミニウム、窒化シリコン、酸化窒化シリコン、酸化窒化アルミニウム、または窒化酸化シリコン等を用いることができる。また、第1のゲート絶縁膜110は、第1の半導体膜106が酸化物半導体膜である場合、第1の半導体膜106と接する部分において過剰酸素を含む絶縁膜とすることが好ましい。特に、第1のゲート絶縁膜110は、膜中に少なくとも化学量論的組成を超える量の酸素が存在することが好ましく、例えば、第1のゲート絶縁膜110として、酸化シリコン膜を用いる場合には、SiO
2+α(ただし、α>0)とすることが好ましい。本実施の形態では、第1のゲート絶縁膜110として、SiO
2+α(ただし、α>0)である酸化シリコン膜を用いる。この酸化シリコン膜を第1のゲート絶縁膜110として用いることで、下地絶縁膜104と同様に、第1の半導体膜106として用いる酸化物半導体膜に酸素を供給することができ、電気特性を良好にすることができる。
【0104】
また、第1のゲート絶縁膜110のその他の材料としては、酸化ハフニウム、酸化イットリウム、ハフニウムシリケート(HfSi
xO
y(x>0、y>0))、窒素が添加されたハフニウムシリケート(HfSi
xO
yN
z(x>0、y>0、z>0))、ハフニウムアルミネート(HfAl
xO
y(x>0、y>0))、酸化ランタンなどのhigh−k材料を用いることができる。このような材料を用いることでゲートリーク電流を低減できる。さらに、第1のゲート絶縁膜110は、単層構造としても良いし、積層構造としても良い。
【0105】
次に、第1のゲート絶縁膜110上に、ゲート電極(これと同じ層で形成される配線を含む)となる導電膜を成膜する。ゲート電極となる導電膜としては、例えば、モリブデン、チタン、タンタル、タングステン、アルミニウム、銅、ネオジム、スカンジウム等の金属材料、またはこれらを主成分とする合金材料を用いることができる。また、ゲート電極に用いる導電膜としては、導電性の金属酸化物を用いて形成しても良い。導電性の金属酸化物としては酸化インジウム(In
2O
3)、酸化スズ(SnO
2)、酸化亜鉛(ZnO)、インジウムスズ酸化物(In
2O
3−SnO
2、ITOと略記する場合がある)、インジウム亜鉛酸化物(In
2O
3−ZnO)、または、これらの金属酸化物材料にシリコン、または酸化シリコンを含有させたものを用いることができる。ゲート電極に用いる導電膜は、上記の材料を用いて単層、または積層して形成することができる。形成方法も特に限定されず、蒸着法、PE−CVD法、スパッタリング法、スピンコート法などの各種成膜方法を用いることができる。
【0106】
次に、フォトリソグラフィ工程により導電膜上にレジストマスクを形成し、選択的にエッチングを行って、ゲート電極112を形成した後、レジストマスクを除去する。なお、この段階で第1のトランジスタ150が形成される(
図2(C)参照)。
【0107】
また、ゲート電極112を形成するためのレジストマスクをインクジェット法で形成してもよい。レジストマスクをインクジェット法で形成するとフォトマスクを使用しないため、製造コストを低減できる。なお、ゲート電極112のエッチングは、ドライエッチングでもウェットエッチングでもよく、両方を用いてもよい。
【0108】
次に、第1のゲート絶縁膜110、及びゲート電極112上に絶縁膜113を形成する(
図2(D)参照)。
【0109】
絶縁膜113としては、無機絶縁膜を用いることが好ましく、酸化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜、酸化アルミニウム膜、酸化窒化アルミニウム膜、酸化ガリウム膜、酸化ハフニウム膜などの酸化物絶縁膜を単層、または積層して用いればよい。また、上述の酸化物絶縁膜上に、窒化シリコン膜、窒化酸化シリコン膜、窒化アルミニウム膜、窒化酸化アルミニウム膜などの窒化物絶縁膜の単層、または積層をさらに形成してもよい。例えば、スパッタリング法を用いて、ゲート電極112側から順に酸化シリコン膜、及び酸化アルミニウム膜の積層を形成する。
【0110】
また、絶縁膜113として、緻密性の高い無機絶縁膜を設けてもよい。例えば、スパッタリング法により酸化アルミニウム膜を形成する。酸化アルミニウム膜を高密度(膜密度3.2g/cm
3以上、好ましくは3.6g/cm
3以上)とすることによって、第1のトランジスタ150に安定な電気特性を付与することができる。膜密度はラザフォード後方散乱法(RBS:Rutherford Backscattering Spectrometry)や、X線反射率測定法(XRR:X−Ray Reflection)によって測定することができる。
【0111】
第1のトランジスタ150上に設けられる無機絶縁膜として用いることのできる酸化アルミニウム膜は、水素、水分などの不純物、及び酸素の両方に対して膜を通過させない遮断効果(ブロック効果)が高い。したがって、第1の半導体膜106を酸化物半導体膜とした場合、酸化アルミニウム膜は、作製工程中及び作製後において、変動要因となる水素、水分などの不純物を酸化物半導体膜への混入、及び酸化物半導体膜を構成する主成分材料である酸素の放出を防止する保護膜として機能する。
【0112】
なお、絶縁膜113上に、さらに平坦化絶縁膜を設けても良い。平坦化絶縁膜としては、アクリル系樹脂、ポリイミド系樹脂、ベンゾシクロブテン系樹脂、ポリアミド系樹脂、エポキシ系樹脂等の、耐熱性を有する有機材料を用いることができる。また上記有機材料の他に、低誘電率材料(low−k材料)、シロキサン系樹脂等を用いることができる。なお、これらの材料で形成される絶縁膜を複数積層させてもよい。
【0113】
次に、絶縁膜113に研磨(切削、研削)処理を行い、ゲート電極112が露出するように絶縁膜113の一部を除去する。当該研磨処理によって、ゲート電極112上の絶縁膜113が除去され、層間絶縁膜114が形成される(
図3(A)参照)。
【0114】
研磨(切削、研削)方法としては、化学的機械研磨(Chemical Mechanical Polishing:CMP)処理を好適に用いることができる。
【0115】
なお、CMP処理は、1回のみ行ってもよいし、複数回行ってもよい。複数回に分けてCMP処理を行う場合は、高い研磨レートの一次研磨を行った後、低い研磨レートの仕上げ研磨を行うことが好ましい。このように研磨レートの異なる研磨を組み合わせることによって、被研磨面の平坦性をより向上させることができる。
【0116】
研磨(研削、研磨)方法は、上述したCMP処理以外の方法を用いてもよい。または、CMP処理等の研磨処理と、エッチング(ドライエッチング、ウェットエッチング)処理や、プラズマ処理などを組み合わせてもよい。例えば、CMP処理後、ドライエッチング処理やプラズマ処理(逆スパッタリングなど)を行い、処理表面の平坦性向上を図ってもよい。研磨処理に、エッチング処理、プラズマ処理などを組み合わせて行う場合、工程順は特に限定されず、絶縁膜113の材料、膜厚、及び表面の凹凸状態に合わせて適宜設定すればよい。
【0117】
また、本実施の形態においては、ゲート電極112の上端部は、層間絶縁膜114の上端部と概略一致している。ただし、ゲート電極112の形状は、絶縁膜113の研磨処理の条件によって異なる。例えば、ゲート電極112は、層間絶縁膜114より膜厚方向に突出した形状、または層間絶縁膜114より膜厚方向に後退した形状となる場合がある。
【0118】
次に、層間絶縁膜114、及びゲート電極112上に第2のゲート絶縁膜116を形成する(
図3(B)参照)。
【0119】
第2のゲート絶縁膜116としては、第1のゲート絶縁膜110と同様の材料、及び手法により形成することができる。
【0120】
次に、第2のゲート絶縁膜116上に、酸化物半導体膜を成膜し、フォトリソグラフィ工程、及びエッチング工程を行い第2の半導体膜118を形成する(
図3(B)参照)。また、第2の半導体膜118として用いる酸化物半導体膜は、CAAC−OS膜とすることが好ましい。
【0121】
第2の半導体膜118としては、第1の半導体膜106と同様の材料、及び手法により形成することができる。
【0122】
次に、第2の半導体膜118上に導電膜を形成し、フォトリソグラフィ工程、及びエッチング工程を行い、第2のソース電極120a、及び第2のドレイン電極120bを形成する。なお、この段階で第2のトランジスタ152が形成される(
図3(C)参照)。
【0123】
第2のソース電極120a、及び第2のドレイン電極120bとしては、第1のソース電極108a、及び第1のドレイン電極108bと同様の材料、及び手法により形成することができる。
【0124】
次に、第2のトランジスタ152上に、絶縁膜122、及び平坦化絶縁膜124を形成する(
図3(D)参照)。
【0125】
絶縁膜122としては、絶縁膜113と同様の材料、及び手法により形成することができる。また、平坦化絶縁膜124としては、アクリル系樹脂、ポリイミド系樹脂、ベンゾシクロブテン系樹脂、ポリアミド系樹脂、エポキシ系樹脂等の、耐熱性を有する有機材料を用いることができる。また上記有機材料の他に、低誘電率材料(low−k材料)、シロキサン系樹脂等を用いることができる。なお、これらの材料で形成される絶縁膜を複数積層させてもよい。
【0126】
以上の工程によって、本発明の一態様である半導体装置が形成される。
【0127】
本実施の形態に示す半導体装置は、第1の半導体膜、または第2の半導体膜の少なくともいずれか一方が、酸化物半導体膜である。第1の半導体膜、または第2の半導体膜に酸化物半導体膜を用いることで、電界効果移動度が高く、高速動作が可能な半導体装置とすることができる。
【0128】
また、第1の半導体膜を有した第1のトランジスタと、第2の半導体膜を有した第2のトランジスタと、を積層して形成し、ゲート電極を共通して用いることで、トランジスタの配置する面積を縮小することができる。第1のトランジスタと、第2のトランジスタと、でゲート電極を共通して用いることで、トランジスタの工程数、または材料等を抑制することができる。
【0129】
以上、本実施の形態に示す構成、方法などは、他の実施の形態に示す構成、方法などと適宜組み合わせて用いることができる。
【0130】
(実施の形態2)
本実施の形態では、実施の形態1の
図1に示した半導体装置の変形例、及び実施の形態1の
図2、及び
図3に示した半導体装置の作製方法と異なる作製方法について、
図4乃至
図6を用いて説明を行う。なお、
図1乃至
図3で示した符号については、同様の符号を用い、その繰り返しの説明は省略する。
【0131】
〈半導体装置の構成例(変形例1)〉
図4(A)、及び
図4(B)に半導体装置の一形態として、トランジスタの上面図、及び断面図を示す。なお、
図4(A)は、上面図を示し、
図4(B)は、
図4(A)におけるX2−Y2に係る断面図に相当する。なお、
図4(A)では、煩雑になることを避けるため、トランジスタの構成要素の一部(例えば、第1のゲート絶縁膜110など)を省略して図示している。
【0132】
図4(A)、及び
図4(B)に示す半導体装置は、基板102上に形成された下地絶縁膜104と、下地絶縁膜104上に形成された第1の半導体膜106と、第1の半導体膜106上に形成された第1のソース電極108a、及び第1のドレイン電極108bと、第1の半導体膜106上に形成された第1のゲート絶縁膜110と、第1のゲート絶縁膜110と接し、第1の半導体膜106と重畳する領域に設けられたゲート電極112と、を有した第1のトランジスタ160と、ゲート電極112上に形成された第2のゲート絶縁膜116と、第2のゲート絶縁膜116と接し、ゲート電極112と重畳する領域に設けられた第2の半導体膜118と、第2の半導体膜118上に形成された保護絶縁膜126と、保護絶縁膜126上に形成され、第2の半導体膜118に電気的に接続された第2のソース電極120a、及び第2のドレイン電極120bと、を有した第2のトランジスタ162と、を有し、第1のトランジスタ160、及び第2のトランジスタ162が積層して設けられている。
【0133】
また、
図4に示す半導体装置は、第1のトランジスタ160と、第2のトランジスタ162の間に層間絶縁膜114を含む構成、または第2のトランジスタ162上に絶縁膜122、及び平坦化絶縁膜124を含む構成としてもよい。
【0134】
また、第1の半導体膜106、または第2の半導体膜118の少なくともいずれか一方が、酸化物半導体膜である。第1の半導体膜106、または第2の半導体膜118に酸化物半導体膜を用いることで、電界効果移動度が高く、高速動作が可能な半導体装置とすることができる。
【0135】
なお、本実施の形態においては、第1の半導体膜106、及び第2の半導体膜118は、いずれも酸化物半導体膜を用いた構成である。第1の半導体膜106、及び第2の半導体膜118の電気的特性を同等としたい場合においては、このように、第1の半導体膜106、及び第2の半導体膜118ともに酸化物半導体膜とすることが好適である。
【0136】
また、第1のトランジスタ160と、第2のトランジスタ162は、ゲート電極112が共通である。すなわち、第1のトランジスタ160は、第1の半導体膜106上に第1のゲート絶縁膜110を介してゲート電極112が設けられたトップゲート型のトランジスタであり、第2のトランジスタ162は、ゲート電極112上に第2のゲート絶縁膜116を介して、第2の半導体膜118が設けられたボトムゲート型のトランジスタである。第1のトランジスタ160、と第2のトランジスタ162と、を積層して形成し、ゲート電極112を共通して用いることで、トランジスタの配置する面積を縮小することができる。また、第1のトランジスタ160と、第2のトランジスタ162と、でゲート電極112を共通して用いることで、トランジスタの作製工程数、または材料等を抑制することができる。
【0137】
本実施の形態に示す第1のトランジスタ160と、第2のトランジスタ162と、を有した半導体装置は、実施の形態1に示す第1のトランジスタ150、及び第2のトランジスタ152と、を有した半導体装置と、各トランジスタの構成が異なる。
【0138】
具体的には、本実施の形態に示す第1のトランジスタ160は、第1のトランジスタ150と比較し、第1のゲート絶縁膜110の構成が異なり、本実施の形態においては、第1のゲート絶縁膜110は、島状に加工され、ゲート電極112の下側のみに形成された構成である。
【0139】
また、本実施の形態に示す第2のトランジスタ162は、第2のトランジスタ152と比較し、第2の半導体膜118上に保護絶縁膜126を有した構成である。保護絶縁膜126を設ける構成とすることで、第2のソース電極120a、及び第2のドレイン電極120bの加工時に、第2の半導体膜118を保護することができる。なお、本実施の形態においては、保護絶縁膜126は、第2の半導体膜118の上面、及び側面を保護する形状について例示しているが、この構成に限定されない。例えば、保護絶縁膜126は、第2の半導体膜118上のチャネル形成部のみに島状に形成した構成としてもよい。
【0140】
なお、その他の構成要素の詳細については、後述する半導体装置の作製方法において、
図5、及び
図6を用いて説明する。
【0141】
〈半導体装置の作製方法2〉
以下、
図5、及び
図6を用いて、本実施の形態に係る
図4に示す半導体装置の作製方法の一例について説明する。
【0142】
まず、基板102上に、下地絶縁膜104、及び第1の半導体膜106を形成する(
図5(A)参照)。
【0143】
なお、基板102、下地絶縁膜104、及び第1の半導体膜106としては、実施の形態1に示した構成と、同様の構成とすることができる。
【0144】
次に、第1の半導体膜106上に絶縁膜、及び導電膜を形成し、フォトリソグラフィ工程、及びエッチング工程を行い、第1のゲート絶縁膜110、及びゲート電極112を形成する(
図5(B)参照)。
【0145】
なお、第1のゲート絶縁膜110は、ゲート電極112を形成後、ゲート電極112をマスクとしてエッチングを行うことで、形成することができる。
【0146】
また、第1のゲート絶縁膜110、及びゲート電極112としては、実施の形態1に示した構成と、同様の構成とすることができる。
【0147】
次に、第1の半導体膜106上に導電膜を形成し、フォトリソグラフィ工程、及びエッチング工程を行い、第1のソース電極108a、及び第1のドレイン電極108bを形成する。なお、この段階で第1のトランジスタ160が形成される(
図5(C)参照)。
【0148】
第1のソース電極108a、及び第1のドレイン電極108bとしては、実施の形態1に示した構成と、同様の構成とすることができる。
【0149】
次に、第1のトランジスタ160上に絶縁膜113を形成する(
図5(D)参照)。
【0150】
絶縁膜113としては、実施の形態1に示した構成と、同様の構成とすることができる。
【0151】
次に、絶縁膜113に研磨(切削、研削)処理を行い、ゲート電極112が露出するように絶縁膜113の一部を除去する。当該研磨処理によって、ゲート電極112上の絶縁膜113が除去され、層間絶縁膜114が形成される(
図6(A)参照)。
【0152】
研磨(切削、研削)方法としては、実施の形態1に示した構成と、同様の構成とすることができる。また、本実施の形態においては、ゲート電極112の上端部は、層間絶縁膜114の上端部と概略一致している。ただし、ゲート電極112の形状は、絶縁膜113の研磨処理の条件によって異なる。例えば、ゲート電極112は、層間絶縁膜114より膜厚方向に突出した形状、または層間絶縁膜114より膜厚方向に後退した形状となる場合がある。
【0153】
次に、層間絶縁膜114、及びゲート電極112上に第2のゲート絶縁膜116、第2の半導体膜118、及び絶縁膜125を形成する(
図6(B)参照)。
【0154】
第2のゲート絶縁膜116、及び第2の半導体膜118としては、実施の形態1に示した構成と、同様の構成とすることができる。また、絶縁膜125としては、酸化シリコン、酸化ガリウム、酸化アルミニウム、窒化シリコン、酸化窒化シリコン、酸化窒化アルミニウム、または窒化酸化シリコン等を用いることができる。また、絶縁膜125は、第2の半導体膜118が酸化物半導体膜である場合、第2の半導体膜118と接する部分において酸素を含むことが好ましい。特に、絶縁膜125は、膜中に少なくとも化学量論的組成を超える量の酸素が存在することが好ましく、例えば、絶縁膜125として、酸化シリコン膜を用いる場合には、SiO
2+α(ただし、α>0)とすることが好ましい。本実施の形態では、絶縁膜125として、SiO
2+α(ただし、α>0)である酸化シリコン膜を用いる。この酸化シリコン膜を絶縁膜125として用いることで、第2の半導体膜118として用いる酸化物半導体膜に酸素を供給することができ、電気特性を良好にすることができる。
【0155】
次に、フォトリソグラフィ工程により絶縁膜125上にレジストマスクを形成し、選択的にエッチングを行って、第2の半導体膜118に達する開口部が形成され、絶縁膜125が、保護絶縁膜126となる。その後、レジストマスクを除去し、該開口部を充填するように第2のソース電極120a、及び第2のドレイン電極120bを形成する。なお、この段階で第2のトランジスタ162が形成される(
図6(C)参照)。
【0156】
次に、第2のトランジスタ162上に、絶縁膜122、及び平坦化絶縁膜124を形成する(
図6(D)参照)。
【0157】
また、第2のソース電極120a、及び第2のドレイン電極120b、ならびに絶縁膜122、及び平坦化絶縁膜124としては、実施の形態1に示した構成と、同様の構成とすることができる。
【0158】
以上の工程によって、本発明の一態様である半導体装置が形成される。
【0159】
本実施の形態に示す半導体装置は、第1の半導体膜、または第2の半導体膜の少なくともいずれか一方が、酸化物半導体膜である。第1の半導体膜、または第2の半導体膜に酸化物半導体膜を用いることで、電界効果移動度が高く、高速動作が可能な半導体装置とすることができる。
【0160】
また、第1の半導体膜を有した第1のトランジスタと、第2の半導体膜を有した第2のトランジスタと、を積層して形成し、ゲート電極を共通して用いることで、トランジスタの配置する面積を縮小することができる。第1のトランジスタと、第2のトランジスタと、でゲート電極を共通して用いることで、トランジスタの工程数、または材料等を抑制することができる。
【0161】
以上、本実施の形態に示す構成、方法などは、他の実施の形態に示す構成、方法などと適宜組み合わせて用いることができる。
【0162】
(実施の形態3)
本実施の形態では、実施の形態1の
図1に示した半導体装置、または実施の形態2の
図4に示した半導体装置の変形例について、
図7を用いて説明を行う。なお、
図1、及び
図4で示した符号については、同様の符号を用い、その繰り返しの説明は省略する。
【0163】
〈半導体装置の構成例(変形例2)〉
図7(A)、及び
図7(B)に半導体装置の一形態として、トランジスタの上面図、及び断面図を示す。なお、
図7(A)は、上面図を示し、
図7(B)は、
図7(A)におけるX3−Y3に係る断面図に相当する。なお、
図7(A)では、煩雑になることを避けるため、トランジスタの構成要素の一部(例えば、第1のゲート絶縁膜110など)を省略して図示している。
【0164】
図7(A)、及び
図7(B)に示す半導体装置は、基板102上に形成された下地絶縁膜104と、下地絶縁膜104上に形成された第1のソース電極108a、及び第1のドレイン電極108bと、第1のソース電極108a、及び第1のドレイン電極108b上に形成された第1の半導体膜106と、第1の半導体膜106上に形成された第1のゲート絶縁膜110と、第1のゲート絶縁膜110と接し、第1の半導体膜106と重畳する領域に設けられたゲート電極112と、を有した第1のトランジスタ170と、ゲート電極112上に形成された第2のゲート絶縁膜116と、第2のゲート絶縁膜116上に形成された第2のソース電極120a、及び第2のドレイン電極120bと、第2のゲート絶縁膜116と接し、ゲート電極112と重畳する領域に設けられ、第2のソース電極120a、及び第2のドレイン電極120bと電気的に接続された第2の半導体膜118と、を有した第2のトランジスタ172と、を有し、第1のトランジスタ170、及び第2のトランジスタ172が積層して設けられている。
【0165】
また、
図7に示す半導体装置は、第1のトランジスタ170と、第2のトランジスタ172の間に層間絶縁膜114を含む構成、または第2のトランジスタ172上に絶縁膜122、及び平坦化絶縁膜124を含む構成としてもよい。
【0166】
また、第1の半導体膜106、または第2の半導体膜118の少なくともいずれか一方が、酸化物半導体膜である。第1の半導体膜106、または第2の半導体膜118に酸化物半導体膜を用いることで、電界効果移動度が高く、高速動作が可能な半導体装置とすることができる。
【0167】
なお、本実施の形態においては、第1の半導体膜106、及び第2の半導体膜118は、いずれも酸化物半導体膜を用いた構成である。第1の半導体膜106、及び第2の半導体膜118の電気的特性を同等としたい場合においては、このように、第1の半導体膜106、及び第2の半導体膜118ともに酸化物半導体膜とすることが好適である。
【0168】
また、第1のトランジスタ170と、第2のトランジスタ172は、ゲート電極112が共通である。すなわち、第1のトランジスタ170は、第1の半導体膜106上に第1のゲート絶縁膜110を介してゲート電極112が設けられたトップゲート型のトランジスタであり、第2のトランジスタ172は、ゲート電極112上に第2のゲート絶縁膜116を介して、第2の半導体膜118が設けられたボトムゲート型のトランジスタである。第1のトランジスタ170、と第2のトランジスタ172と、を積層して形成し、ゲート電極112を共通して用いることで、トランジスタの配置する面積を縮小することができる。また、第1のトランジスタ170と、第2のトランジスタ172と、でゲート電極112を共通して用いることで、トランジスタの作製工程数、または材料等を抑制することができる。
【0169】
このように本実施の形態に示す第1のトランジスタ170と、第2のトランジスタ172と、を有した半導体装置は、実施の形態1に示す第1のトランジスタ150、及び第2のトランジスタ152と、を有した半導体装置と、各トランジスタの構成が異なる。
【0170】
具体的には、本実施の形態に示す第1のトランジスタ170は、第1のトランジスタ150と比較し、第1の半導体膜106に対して第1のソース電極108a、及び第1のドレイン電極108bの位置が異なる。本実施の形態においては、第1の半導体膜106は、第1のソース電極108a、及び第1のドレイン電極108b上に形成され、第1のソース電極108a、及び第1のドレイン電極108bとの電気的接続を、第1の半導体膜106の下側で行う所謂、ボトムコンタクト構造のトランジスタである。
【0171】
また、本実施の形態に示す第2のトランジスタ172は、第2のトランジスタ152と比較し、第2の半導体膜118に対して第2のソース電極120a、及び第2のドレイン電極120bの位置が異なる。本実施の形態においては、第2の半導体膜118は、第2のソース電極120a、及び第2のドレイン電極120b上に形成され、第2のソース電極120a、及び第2のドレイン電極120bとの電気的接続を、第2の半導体膜118の下側で行う所謂、ボトムコンタクト構造のトランジスタである。
【0172】
なお、その他の構成要素については、実施の形態1に示す半導体装置、または実施の形態2の示す半導体装置と同様の構成とすることで形成することができる。
【0173】
また、第1のトランジスタ170、及び第2のトランジスタ172の作製方法としては、実施の形態1に示す半導体装置の作製方法のうち、第1の半導体膜106、第1のソース電極108a、及び第1のドレイン電極108b、ならびに第2の半導体膜118、第2のソース電極120a、及び第2のドレイン電極120bの形成順序を入れ替えることにより作製することができる。
【0174】
本実施の形態に示す半導体装置は、第1の半導体膜、または第2の半導体膜の少なくともいずれか一方が、酸化物半導体膜である。第1の半導体膜、または第2の半導体膜に酸化物半導体膜を用いることで、電界効果移動度が高く、高速動作が可能な半導体装置とすることができる。
【0175】
また、第1の半導体膜を有した第1のトランジスタと、第2の半導体膜を有した第2のトランジスタと、を積層して形成し、ゲート電極を共通して用いることで、トランジスタの配置する面積を縮小することができる。第1のトランジスタと、第2のトランジスタと、でゲート電極を共通して用いることで、トランジスタの工程数、または材料等を抑制することができる。
【0176】
以上、本実施の形態に示す構成、方法などは、他の実施の形態に示す構成、方法などと適宜組み合わせて用いることができる。
【0177】
(実施の形態4)
本実施の形態では、実施の形態2の
図4に示した半導体装置の変形例について、
図8を用いて説明を行う。なお、
図4で示した符号については、同様の符号を用い、その繰り返しの説明は省略する。
【0178】
〈半導体装置の構成例(変形例3)〉
図8(A)、及び
図8(B)に半導体装置の一形態として、トランジスタの上面図、及び断面図を示す。なお、
図8(A)は、上面図を示し、
図8(B)は、
図8(A)におけるX4−Y4に係る断面図に相当する。なお、
図8(A)では、煩雑になることを避けるため、トランジスタの構成要素の一部(例えば、第1のゲート絶縁膜110など)を省略して図示している。
【0179】
図8(A)、及び
図8(B)に示す半導体装置は、基板102上に形成された下地絶縁膜104と、下地絶縁膜104上に形成された第1の半導体膜105と、第1の半導体膜105上に形成された第1のソース電極108a、及び第1のドレイン電極108bと、第1の半導体膜105上に形成された第1のゲート絶縁膜110と、第1のゲート絶縁膜110と接し、第1の半導体膜105と重畳する領域に設けられたゲート電極112と、を有した第1のトランジスタ180と、ゲート電極112上に形成された第2のゲート絶縁膜116と、第2のゲート絶縁膜116と接し、ゲート電極112と重畳する領域に設けられた第2の半導体膜118と、第2の半導体膜118上に形成された保護絶縁膜126と、保護絶縁膜126上に形成され、第2の半導体膜118に電気的に接続された第2のソース電極120a、及び第2のドレイン電極120bと、を有した第2のトランジスタ182と、を有し、第1のトランジスタ180、及び第2のトランジスタ182が積層して設けられている。
【0180】
また、
図8に示す半導体装置は、第1のトランジスタ180と、第2のトランジスタ182の間に層間絶縁膜114を含む構成、または第2のトランジスタ182上に絶縁膜122、及び平坦化絶縁膜124を含む構成としてもよい。
【0181】
なお、本実施の形態においては、第1の半導体膜105が、酸化物半導体膜以外を用いて、第2の半導体膜118が酸化物半導体膜を用いた構成である。第2の半導体膜118に酸化物半導体膜を用いることで、電界効果移動度が高く、高速動作が可能な半導体装置とすることができる。
【0182】
また、本実施の形態においては、第2の半導体膜に酸化物半導体膜を用いた構成について、説明を行うが、これに限定されない。先の実施の形態に示すように、第1の半導体膜、及び第2の半導体膜ともに酸化物半導体膜を用いた構成、または第1の半導体膜が酸化物半導体膜を用いた構成、及び第2の半導体膜が酸化物半導体膜以外を用いた構成としてもよい。
【0183】
また、第1のトランジスタ180と、第2のトランジスタ182は、ゲート電極112が共通である。すなわち、第1のトランジスタ180は、第1の半導体膜105上に第1のゲート絶縁膜110を介してゲート電極112が設けられたトップゲート型のトランジスタであり、第2のトランジスタ182は、ゲート電極112上に第2のゲート絶縁膜116を介して、第2の半導体膜118が設けられたボトムゲート型のトランジスタである。第1のトランジスタ180、と第2のトランジスタ182と、を積層して形成し、ゲート電極112を共通して用いることで、トランジスタの配置する面積を縮小することができる。また、第1のトランジスタ180と、第2のトランジスタ182と、でゲート電極112を共通して用いることで、トランジスタの作製工程数、または材料等を抑制することができる。
【0184】
このように本実施の形態に示す第1のトランジスタ180と、第2のトランジスタ182と、を有した半導体装置は、実施の形態2に示す第1のトランジスタ160、及び第2のトランジスタ162と、を有した半導体装置と、第1のトランジスタの構成が異なる。
【0185】
具体的には、本実施の形態に示す第1のトランジスタ180は、第1のトランジスタ160と比較し、第1の半導体膜の材料が異なる。本実施の形態においては、第1の半導体膜105として、シリコン膜を用いた構成である。
【0186】
なお、第1の半導体膜105としては、酸化物半導体膜以外の材料により形成されればよく、例えば、シリコン膜を用いて形成することができる。シリコン膜としては、非晶質シリコン(アモルファスシリコンともいう)、単結晶シリコン、多結晶シリコン、非晶質シリコン中に結晶領域を含んでいる微結晶シリコン(マイクロクリスタルシリコンともいう)等を用いることができる。
【0187】
また、第1の半導体膜105としては、シリコン膜を用いた場合、該シリコン膜は、PE−CVD法等により形成することができる。また、ゲート電極112を形成後、第1のゲート絶縁膜110、及びゲート電極112をマスクとして、第1の半導体膜105に不純物を注入してもよい。第1の半導体膜105に注入する不純物としては、硼素、アルミニウム、ガリウムなどのp型の導電性を付与する不純物元素、またはリン、砒素などのn型の導電性を付与する不純物元素が挙げられる。
【0188】
以上、本実施の形態に示す構成、方法などは、他の実施の形態に示す構成、方法などと適宜組み合わせて用いることができる。
【0189】
(実施の形態5)
本実施の形態においては、実施の形態1乃至実施の形態4で例示したトランジスタを含む半導体装置を用いて表示機能を有する装置(表示装置ともいう)について、
図9、及び
図10を用いて説明を行う。また、実施の形態1乃至実施の形態4で例示したトランジスタを含む半導体装置を用いて、表示装置を駆動する駆動回路の一部、または全体を、画素部と同じ基板上に一体形成し、システムオンパネルを形成することができる。
【0190】
図9(A)に表示装置の一形態として、画素部を有するシステムオンパネルの上面図を示す。また、
図9(B)、及び
図9(C)に画素部に用いることのできる画素構成を示す。
【0191】
図9(A)において、第1の基板401上に設けられた画素部402と、第1の基板401上に設けられたソースドライバ回路部403、及びゲートドライバ回路部404とを囲むようにして、シール材406が設けられている。また画素部402と、ソースドライバ回路部403、及びゲートドライバ回路部404の上に第2の基板407が設けられている。よって画素部402と、ソースドライバ回路部403と、ゲートドライバ回路部404とは、第1の基板401とシール材406と第2の基板407とによって、表示素子と共に封止されている。
【0192】
また、
図9(A)においては、第1の基板401上のシール材406によって囲まれている領域とは異なる領域に、画素部402、ソースドライバ回路部403、及びゲートドライバ回路部404と電気的に接続されているFPC端子部405(FPC:Flexible printed circuit)が設けられており、FPC端子部405には、FPC418が接続され、画素部402、ソースドライバ回路部403、及びゲートドライバ回路部404に与えられる各種信号、及び電位は、FPC418により供給されている。
【0193】
また、
図9(A)においては、ソースドライバ回路部403、及びゲートドライバ回路部404を画素部402と同じ第1の基板401に形成している例を示しているが、この構成に限定されない。例えば、ゲートドライバ回路部404のみを第1の基板401に形成しても良いし、ソースドライバ回路部403のみを第1の基板401に形成しても良い。この場合、別途用意されたソースドライバ回路、またはゲートドライバ回路等が形成された基板(例えば、単結晶半導体膜、多結晶半導体膜で形成された駆動回路基板)を、第1の基板401に実装する構成としても良い。
【0194】
なお、別途形成した駆動回路基板の接続方法は、特に限定されるものではなく、COG(Chip On Glass)方法、ワイヤボンディング方法、またはTAB(Tape Automated Bonding)方法などを用いることができる。
【0195】
また、表示装置は、表示素子が封止された状態にあるパネルと、該パネルにコントローラを含むIC等を実装した状態にあるモジュールと、を含む構成としてもよい。
【0196】
なお、本明細書中における表示装置とは、画像表示デバイス、表示デバイス、または光源(照明装置含む)を指す。また、コネクター、例えばFPCもしくはTABテープもしくはTCP(Tape Carrier Package)が取り付けられたモジュール、TABテープやTCPの先にプリント配線板が設けられたモジュール、または表示素子にCOG方式により駆動回路基板、またはIC(集積回路)が直接実装されたモジュールも全て表示装置に含むものとする。
【0197】
また、第1の基板401上に設けられた画素部402、ソースドライバ回路部403、及びゲートドライバ回路部404は、トランジスタを有した半導体装置を複数有しており、実施の形態1乃至実施の形態4で例示したトランジスタを有した半導体装置を適用することができる。
【0198】
ここで、
図9(A)に示した表示装置の画素部402の具体的な画素構成について、
図9(B)、及び
図9(C)を用いて説明を行う。
【0199】
図9(B)、及び
図9(C)は、画素部402に用いることの出来る配置の画素構成の一例を示す上面図である。なお、
図9(B)、及び
図9(C)に示す画素構成においては、構成要素の一部(例えば、ゲート絶縁膜など)は、図面の煩雑を避けるために省略している。
【0200】
図9(B)に示す画素構成は、1つの画素に対して、画素の制御を行う素子(画素のスイッチング素子、または画素トランジスタともいう)1つが、同一平面上に設けられた構成であり、画素2つ分を例示してある。なお、
図9(B)に示す画素構成においては、本発明の一態様とは異なり、一般的な画素構成の一例とすることを付記する。
【0201】
なお、
図9(B)に示す画素構成は、第1の画素440と、第2の画素442により構成されている。また、第1の画素440は、ソース線408aと、ゲート線412と、第1の画素電極430と、第1の画素電極430の制御を行う第1のトランジスタ450と、を含む構成である。また、第2の画素442は、ソース線408bと、ゲート線412と、第2の画素電極432と、第2の画素電極432の制御を行う第2のトランジスタ452を含む構成である。
【0202】
また、
図9(B)に示す画素構成においては、第1の画素電極430、及び第2の画素電極432に対応する領域が、表示領域となる。また、第1のトランジスタ450は、第1の画素電極430のスイッチング機能を有し、第1の画素電極430の制御を行うことができ、第2のトランジスタ452は、第2の画素電極432のスイッチング機能を有し、第2の画素電極432の制御を行うことができる。
【0203】
次に、
図9(C)に示す画素構成は、1つの画素に対して、画素の制御を行う素子(画素のスイッチング素子、または画素トランジスタともいう)1つが、積層して設けられた構成であり、画素2つ分を例示してある。なお、
図9(C)に示す画素構成においては、本発明の一態様である。
【0204】
なお、
図9(C)に示す画素構成は、第1の画素444と、第2の画素446により構成されている。また、第1の画素444は、ソース線408aと、ゲート線412と、第1の画素電極434と、第1の画素電極434の制御を行う第1のトランジスタ460と、を含む構成である。また、第2の画素446は、ソース線408bと、ゲート線412と、第2の画素電極436と、第2の画素電極436の制御を行う第2のトランジスタ462を含む構成である。
【0205】
また、
図9(C)に示す画素構成においては、第1の画素電極434、及び第2の画素電極436に対応する領域が、表示領域となる。なお、
図9(C)において、ソース線408a、及びソース線408b、ならびに第1のトランジスタ460、及び第2のトランジスタ462が積層して形成されているため、上面図においては、同じ位置を示している。また、第1のトランジスタ460は、第1の画素電極434のスイッチング機能を有し、第1の画素電極434の制御を行うことができ、第2のトランジスタ462は、第2の画素電極436のスイッチング機能を有し、第2の画素電極436の制御を行うことができる。
【0206】
画素部402における画素構成を
図9(C)に示す構成とすることで、トランジスタの配置する面積を縮小させることができる。従って、画素電極の面積を増加させることができる。
【0207】
また、
図9(A)に示す表示装置に設けられる表示素子としては液晶素子(液晶表示素子ともいう)、発光素子(発光表示素子ともいう)、を用いることができる。発光素子は、電流または電圧によって輝度が制御される素子をその範疇に含んでおり、具体的には無機EL(Electro Luminescence)、有機EL等が含まれる。また、電子インクなど、電気的作用によりコントラストが変化する表示媒体も適用することができる。
【0208】
図9(A)に示す表示装置に設けられる表示素子の一形態について、
図10(A)、及び
図10(B)を用いて説明する。
図10(A)、及び
図10(B)に示す表示装置は、
図9(A)におけるX5−Y5に係る断面図に相当する。なお、
図9(A)に示す画素部402については、
図9(C)に示す画素構成を用いる。
【0209】
図10(A)、及び
図10(B)に示す表示装置は、第1の基板401上に設けられたFPC端子部405に、接続端子電極415、及び端子電極416を有しており、接続端子電極415、及び端子電極416はFPC418が有する端子と異方性導電膜419を介して、電気的に接続されている。
【0210】
接続端子電極415は、導電膜433、第1の画素電極434、及び第2の画素電極436と同じ工程で形成され、端子電極416は、第1のトランジスタ460のソース電極、及びドレイン電極と同じ工程で形成されている。
【0211】
また、第1の基板401上に設けられた画素部402と、ソースドライバ回路部403は、トランジスタを複数有しており、
図10(A)、及び
図10(B)では、画素部402に含まれる第1のトランジスタ460、及び第2のトランジスタ462、ならびにソースドライバ回路部403に含まれる第1のトランジスタ480、及び第2のトランジスタ482とを例示している。
【0212】
なお、本実施の形態においては、ソースドライバ回路部403は、第1のトランジスタ480と、第2のトランジスタ482と、を積層した構成のトランジスタについて例示したが、これに限定されず、ソースドライバ回路部を含む駆動回路においては、例えば、第1のトランジスタ480、または第2のトランジスタ482のみの構成としてもよい。
【0213】
また、ソースドライバ回路部403に含まれる第1のトランジスタ480、及び第2のトランジスタ482は、マトリクス状に配置された各々の画素に接続されているソース線の選択、制御等を行うことができる。
【0214】
また、本実施の形態においては、画素部402に含まれる第1のトランジスタ460、及び第2のトランジスタ462は、上方に導電膜を形成しない構成であり、ソースドライバ回路部403に含まれる第1のトランジスタ480、及び第2のトランジスタ482は、上方に導電膜433を形成する構成を示している。
【0215】
導電膜433は、外部からの電場を遮蔽する、すなわち外部の電場が内部(第1のトランジスタ480、及び第2のトランジスタ482を含む回路)に作用しないようにする機能(特に静電気に対する静電遮蔽機能)を有する。導電膜433の遮蔽機能により、静電気などの外部の電場の影響により第1のトランジスタ480、及び第2のトランジスタ482の電気的な特性が変動することを防止することができる。
【0216】
なお、本実施の形態においては、画素部402に含まれる第1のトランジスタ460、及び第2のトランジスタ462と、ソースドライバ回路部403に含まれる第1のトランジスタ480、及び第2のトランジスタ482は、同一のサイズの構成としているが、これに限定されない。画素部402、及びソースドライバ回路部403に用いるトランジスタは、適宜サイズ(L/W)、または用いるトランジスタ数などを変えて用いることができる。また、
図10(A)、及び
図10(B)においては、ゲートドライバ回路部404は、図示していないが、接続先、または接続方法等が異なるが、ソースドライバ回路部403と同様の構成とすることができる。
【0217】
また、
図10(A)、及び
図10(B)に示す表示装置において、画素部402に含まれる第1のトランジスタ460、及び第2のトランジスタ462は、第1の半導体膜466、及び第2の半導体膜468を有し、第1の半導体膜466、または第2の半導体膜468の少なくともいずれか一方が、酸化物半導体膜である。第1の半導体膜466、または第2の半導体膜468に酸化物半導体膜を用いることで、電界効果移動度が高く、高速動作が可能な半導体装置とすることができる。なお、本実施の形態においては、第1の半導体膜466、及び第2の半導体膜468は、いずれも酸化物半導体膜を用いた構成である。
【0218】
また、第1のトランジスタ460と、第2のトランジスタ462は、ゲート電極472が共通である。すなわち、第1のトランジスタ460は、第1の半導体膜466上に第1のゲート絶縁膜467を介してゲート電極472が設けられたトップゲート型のトランジスタであり、第2のトランジスタ462は、ゲート電極472上に第2のゲート絶縁膜469を介して、第2の半導体膜468が設けられたボトムゲート型のトランジスタである。第1のトランジスタ460、と第2のトランジスタ462と、を積層して形成し、ゲート電極472を共通して用いることで、トランジスタの配置する面積を縮小することができる。また、第1のトランジスタ460と、第2のトランジスタ462と、でゲート電極472を共通して用いることで、トランジスタの作製工程数、または材料等を抑制することができる。また、ゲート電極472と接続しているゲート線412の本数も減らすことができる。また、第1のトランジスタ460は、ソース線408aと接続されたソース電極を有し、第2のトランジスタ462は、ソース線408bと接続されたソース電極を有している。
【0219】
また、
図10(A)、及び
図10(B)に示す表示装置において、ソースドライバ回路部403に含まれる第1のトランジスタ480、及び第2のトランジスタ482についても、画素部402に示す第1のトランジスタ460、及び第2のトランジスタ462と同様の構成とすることができる。
【0220】
したがって、本発明の一態様であるトランジスタを含む半導体装置を用いることで、開口率を向上させ、高精細化を達成した表示装置を提供することができる。
【0221】
また、画素部402に設けられた第1のトランジスタ460、及び第2のトランジスタ462は、表示素子と電気的に接続し、表示パネルを構成する。表示素子は表示を行うことができれば特に限定されず、様々な表示素子を用いることができる。
【0222】
図10(A)に示す表示装置は、表示素子として液晶素子を用いた液晶表示装置を例示している。
図10(A)において、表示素子である液晶素子420は、画素電極(第1の画素電極434、及び第2の画素電極436)、対向電極421、及び液晶層422を含む。なお、液晶層422を挟持するように配向膜423、及び配向膜424が設けられている。対向電極421は、第2の基板407側に設けられ、画素電極(第1の画素電極434、及び第2の画素電極436)と対向電極421とは液晶層422を介して積層する構成となっている。
【0223】
また、スペーサ425は、絶縁膜を選択的にエッチングすることで得られる柱状のスペーサであり、液晶層422の膜厚(セルギャップ)を制御するために設けられている。なお、球状のスペーサを用いていても良い。
【0224】
表示素子として、液晶素子を用いる場合、サーモトロピック液晶、低分子液晶、高分子液晶、高分子分散型液晶、強誘電性液晶、反強誘電性液晶等を用いることができる。これらの液晶材料は、条件により、コレステリック相、スメクチック相、キュービック相、カイラルネマチック相、等方相等を示す。
【0225】
また、横電界方式を採用する場合、配向膜を用いないブルー相を示す液晶を用いてもよい。ブルー相は液晶相の一つであり、コレステリック液晶を昇温していくと、コレステリック相から等方相へ転移する直前に発現する相である。ブルー相は狭い温度範囲でしか発現しないため、温度範囲を改善するために数重量%以上のカイラル剤を混合させた液晶組成物を用いて液晶層に用いる。ブルー相を示す液晶とカイラル剤とを含む液晶組成物は、応答速度が短く、光学的等方性であるため配向処理が不要であり、視野角依存性が小さい。また配向膜を設けなくてもよいのでラビング処理も不要となるため、ラビング処理によって引き起こされる静電破壊を防止することができ、作製工程中の液晶表示装置の不良や破損を軽減することができる。よって液晶表示装置の生産性を向上させることが可能となる。また、酸化物半導体膜を用いるトランジスタは、静電気の影響によりトランジスタの電気的な特性が著しく変動して設計範囲を逸脱する恐れがある。よって酸化物半導体膜を用いるトランジスタを有する液晶表示装置にブルー相の液晶材料を用いることはより効果的である。
【0226】
また、液晶材料の固有抵抗は、1×10
9Ω・cm以上であり、好ましくは1×10
11Ω・cm以上であり、さらに好ましくは1×10
12Ω・cm以上である。なお、本明細書における固有抵抗の値は、20℃で測定した値とする。
【0227】
液晶表示装置に設けられる保持容量の大きさは、画素部に配置されるトランジスタのリーク電流等を考慮して、所定の期間の間電荷を保持できるように設定される。保持容量の大きさは、トランジスタのオフ電流等を考慮して設定すればよい。例えば、高純度化され、且つ酸素欠損の形成を抑制した酸化物半導体膜を有するトランジスタを用いることにより、各画素における液晶容量に対して1/3以下、好ましくは1/5以下の容量の大きさを有する保持容量を設ければ充分である。また、高純度化され、且つ酸素欠損の形成を抑制した酸化物半導体膜を有するトランジスタは、オフ状態における電流値(オフ電流値)を低くすることができる。よって、画像信号等の電気信号の保持時間を長くすることができ、電源オン状態では書き込み間隔も長く設定できる。よって、リフレッシュ動作の頻度を少なくすることができるため、消費電力を抑制する効果を奏する。
【0228】
また、本実施の形態で用いる高純度化され、且つ酸素欠損の形成を抑制した酸化物半導体膜を有するトランジスタは、高い電界効果移動度が得られるため、高速駆動が可能である。例えば、このような高速駆動が可能なトランジスタを液晶表示装置に用いることで、画素部のスイッチングトランジスタと、駆動回路部に使用するドライバトランジスタを同一基板上に形成することができる。すなわち、別途駆動回路として、シリコンウェハ等により形成された半導体装置を用いる必要がないため、半導体装置の部品点数を削減することができる。また、画素部においても、高速駆動が可能なトランジスタを用いることで、高画質な画像を提供することができる。
【0229】
液晶表示装置には、TN(Twisted Nematic)モード、IPS(In−Plane−Switching)モード、FFS(Fringe Field Switching)モード、ASM(Axially Symmetric aligned Micro−cell)モード、OCB(Optical Compensated Birefringence)モード、FLC(Ferroelectric Liquid Crystal)モード、AFLC(AntiFerroelectric Liquid Crystal)モードなどを用いることができる。
【0230】
また、ノーマリブラック型の液晶表示装置、例えば垂直配向(VA)モードを採用した透過型の液晶表示装置としてもよい。垂直配向モードとしては、いくつか挙げられるが、例えば、MVA(Multi−Domain Vertical Alignment)モード、PVA(Patterned Vertical Alignment)モードなどを用いることができる。また、VA型の液晶表示装置にも適用することができる。VA型の液晶表示装置とは、液晶表示パネルの液晶分子の配列を制御する方式の一種である。VA型の液晶表示装置は、電圧が印加されていないときにパネル面に対して液晶分子が垂直方向を向く方式である。また、画素(ピクセル)をいくつかの領域(サブピクセル)に分け、それぞれ別の方向に分子を倒すよう工夫されているマルチドメイン化あるいはマルチドメイン設計といわれる方法を用いることができる。
【0231】
また、表示装置において、ブラックマトリクス(遮光層)、偏光部材、位相差部材、反射防止部材などの光学部材(光学基板)などは適宜設ける。例えば、偏光基板及び位相差基板による円偏光を用いてもよい。また、光源としてバックライト、サイドライトなどを用いてもよい。
【0232】
また、画素部における表示方式は、プログレッシブ方式やインターレース方式等を用いることができる。また、カラー表示する際に画素で制御する色要素としては、RGB(Rは赤、Gは緑、Bは青を表す)の三色に限定されない。例えば、RGBW(Wは白を表す)、又はRGBに、イエロー、シアン、マゼンタ等を一色以上追加したものがある。なお、色要素のドット毎にその表示領域の大きさが異なっていてもよい。ただし、開示する発明はカラー表示の表示装置に限定されるものではなく、モノクロ表示の表示装置に適用することもできる。
【0233】
また、表示装置に含まれる表示素子として、エレクトロルミネッセンスを利用する発光素子を適用することができる。エレクトロルミネッセンスを利用する発光素子は、発光材料が有機化合物であるか、無機化合物であるかによって区別され、一般的に、前者は有機EL素子、後者は無機EL素子と呼ばれている。
【0234】
有機EL素子は、発光素子に電圧を印加することにより、一対の電極から電子および正孔がそれぞれ発光性の有機化合物を含む層に注入され、電流が流れる。そして、それらキャリア(電子および正孔)が再結合することにより、発光性の有機化合物が励起状態を形成し、その励起状態が基底状態に戻る際に発光する。このようなメカニズムから、このような発光素子は、電流励起型の発光素子と呼ばれる。
【0235】
無機EL素子は、その素子構成により、分散型無機EL素子と薄膜型無機EL素子とに分類される。分散型無機EL素子は、発光材料の粒子をバインダ中に分散させた発光層を有するものであり、発光メカニズムはドナー準位とアクセプター準位を利用するドナー−アクセプター再結合型発光である。薄膜型無機EL素子は、発光層を誘電体層で挟み込み、さらにそれを電極で挟んだ構造であり、発光メカニズムは金属イオンの内殻電子遷移を利用する局在型発光である。なお、ここでは、発光素子として有機EL素子を用いて説明する。
【0236】
発光素子は発光を取り出すために少なくとも一対の電極の一方が透光性であればよい。そして、基板上にトランジスタ、及び発光素子を形成し、基板とは逆側の面から発光を取り出す上面射出や、基板側の面から発光を取り出す下面射出や、基板側及び基板とは反対側の面から発光を取り出す両面射出構造の発光素子があり、どの射出構造の発光素子も適用することができる。
【0237】
図10(B)に示す表示装置は、表示素子として発光素子を用いた表示装置を例示している。表示素子である発光素子490は、画素部402に設けられたトランジスタ(第1のトランジスタ460、または第2のトランジスタ462)と電気的に接続している。なお発光素子490の構成は、画素電極(第1の画素電極434、または第2の画素電極436)、電界発光層492、上部電極494の積層構造であるが、示した構成に限定されない。発光素子490から取り出す光の方向などに合わせて、発光素子490の構成は適宜変えることができる。
【0238】
また、隔壁496は、有機絶縁材料、又は無機絶縁材料を用いて形成する。特に感光性の樹脂材料を用い、画素電極(第1の画素電極434、及び第2の画素電極436)上に開口部を形成し、その開口部の側壁が連続した曲率を持って形成される傾斜面となるように形成することが好ましい。
【0239】
また、電界発光層492は、単数の層で構成されていても、複数の層が積層されるように構成されていてもどちらでも良い。
【0240】
発光素子490に酸素、水素、水分、二酸化炭素等が侵入しないように、上部電極494、及び隔壁496上に保護膜を形成してもよい。保護膜としては、窒化シリコン膜、窒化酸化シリコン膜、DLC膜等を形成することができる。また、第1の基板401、第2の基板407、及びシール材406によって封止された空間には充填材498が設けられ密封されている。このように外気に曝されないように気密性が高く、脱ガスの少ない保護フィルム(貼り合わせフィルム、紫外線硬化樹脂フィルム等)やカバー材でパッケージング(封入)することが好ましい。
【0241】
充填材498としては、窒素やアルゴンなどの不活性な気体の他に、紫外線硬化樹脂または熱硬化樹脂を用いることができ、PVC(ポリビニルクロライド)、アクリル系樹脂、ポリイミド系樹脂、エポキシ系樹脂、シリコーン系樹脂、PVB(ポリビニルブチラル)またはEVA(エチレンビニルアセテート)を用いることができる。例えば充填材498として、窒素を用いればよい。
【0242】
また、必要であれば、発光素子の射出面に偏光板、又は円偏光板(楕円偏光板を含む)、位相差板(λ/4板、λ/2板)、カラーフィルタなどの光学フィルムを適宜設けてもよい。また、偏光板又は円偏光板に反射防止膜を設けてもよい。例えば、表面の凹凸により反射光を拡散し、映り込みを低減できるアンチグレア処理を施すことができる。
【0243】
なお、
図10(A)、及び
図10(B)において、第1の基板401、第2の基板407としては、ガラス基板の他、可撓性を有する基板も用いることができ、例えば透光性を有するプラスチック基板などを用いることができる。プラスチックとしては、FRP(Fiberglass−Reinforced Plastics)板、PVF(ポリビニルフルオライド)フィルム、ポリエステルフィルムまたはアクリル系樹脂フィルムを用いることができる。また、アルミニウムホイルをPVFフィルムやポリエステルフィルムで挟んだ構造のシートを用いることもできる。
【0244】
以上のように実施の形態1乃至実施の形態4で示したトランジスタを有する半導体装置を適用することで、様々な機能を有する表示装置を提供することができる。
【0245】
本実施の形態は、他の実施の形態に記載した構成と適宜組み合わせて実施することが可能である。
【0246】
(実施の形態6)
本明細書に開示する半導体装置は、さまざまな電子機器(遊技機も含む)に適用することができる。電子機器としては、例えば、テレビジョン装置(テレビ、またはテレビジョン受信機ともいう)、コンピュータ用などのモニタ、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ等のカメラ、デジタルフォトフレーム、携帯電話機(携帯電話、携帯電話装置ともいう)、携帯型ゲーム機、携帯情報端末(PDA)、携帯端末(スマートフォン、タブレットPC等を含む)、音響再生装置、パチンコ機などの大型ゲーム機などが挙げられる。上記実施の形態で説明した半導体装置を用いた電子機器の例について
図11、及び
図12を用いて説明する。
【0247】
図11(A)は、ノート型のパーソナルコンピュータであり、本体3001、筐体3002、表示部3003、キーボード3004などによって構成されている。上記実施の形態のいずれかで示した半導体装置を表示部3003に適用することにより、高精細の表示装置を有したノート型のパーソナルコンピュータとすることができる。
【0248】
図11(B)は、携帯情報端末(PDA)であり、本体3021には表示部3023と、外部インターフェイス3025と、操作ボタン3024等が設けられている。また操作用の付属品としてスタイラス3022がある。上記実施の形態のいずれかで示した半導体装置を表示部3023に適用することにより、より高精細の表示装置を有した携帯情報端末(PDA)とすることができる。
【0249】
図11(C)は、電子書籍の一例を示している。例えば、電子書籍2700は、筐体2701および筐体2703の2つの筐体で構成されている。筐体2701および筐体2703は、軸部2711により一体とされており、該軸部2711を軸として開閉動作を行うことができる。このような構成により、紙の書籍のような動作を行うことが可能となる。
【0250】
筐体2701には表示部2705が組み込まれ、筐体2703には表示部2707が組み込まれている。表示部2705および表示部2707は、続き画面を表示する構成としてもよいし、異なる画面を表示する構成としてもよい。異なる画面を表示する構成とすることで、例えば右側の表示部(
図11(C)では表示部2705)に文章を表示し、左側の表示部(
図11(C)では表示部2707)に画像を表示することができる。上記実施の形態のいずれかで示した半導体装置を表示部2705、表示部2707に適用することにより、高精細の表示装置を有した電子書籍とすることができる。表示部2705として半透過型、または反射型の液晶表示装置を用いる場合、比較的明るい状況下での使用も予想されるため、太陽電池を設け、太陽電池による発電、及びバッテリーでの充電を行えるようにしてもよい。なおバッテリーとしては、リチウムイオン電池を用いると、小型化を図れる等の利点がある。
【0251】
また、
図11(C)では、筐体2701に操作部などを備えた例を示している。例えば、筐体2701において、電源2721、操作キー2723、スピーカー2725などを備えている。操作キー2723により、頁を送ることができる。なお、筐体の表示部と同一面にキーボードやポインティングデバイスなどを備える構成としてもよい。また、筐体の裏面や側面に、外部接続用端子(イヤホン端子、USB端子など)、記録媒体挿入部などを備える構成としてもよい。さらに、電子書籍2700は、電子辞書としての機能を持たせた構成としてもよい。
【0252】
また、電子書籍2700は、無線で情報を送受信できる構成としてもよい。無線により、電子書籍サーバから、所望の書籍データなどを購入し、ダウンロードする構成とすることも可能である。
【0253】
図11(D)は、携帯電話であり、筐体2800及び筐体2801の二つの筐体で構成されている。筐体2801には、表示パネル2802、スピーカー2803、マイクロフォン2804、ポインティングデバイス2806、カメラ用レンズ2807、外部接続端子2808などを備えている。また、筐体2800には、携帯型情報端末の充電を行う太陽電池セル2810、外部メモリスロット2811などを備えている。また、アンテナは筐体2801内部に内蔵されている。上記実施の形態のいずれかで示した半導体装置を表示パネル2802に適用することにより、高精細の表示装置を有した携帯電話とすることができる。
【0254】
また、表示パネル2802はタッチパネルを備えており、
図11(D)には映像表示されている複数の操作キー2805を点線で示している。なお、太陽電池セル2810で出力される電圧を各回路に必要な電圧に昇圧するための昇圧回路も実装している。
【0255】
表示パネル2802は、使用形態に応じて表示の方向が適宜変化する。また、表示パネル2802と同一面上にカメラ用レンズ2807を備えているため、テレビ電話が可能である。スピーカー2803及びマイクロフォン2804は音声通話に限らず、テレビ電話、録音、再生などが可能である。さらに、筐体2800と筐体2801は、スライドし、
図11(D)のように展開している状態から重なり合った状態とすることができ、携帯に適した小型化が可能である。
【0256】
外部接続端子2808はACアダプタ及びUSBケーブルなどの各種ケーブルと接続可能であり、充電及びパーソナルコンピュータなどとのデータ通信が可能である。また、外部メモリスロット2811に記録媒体を挿入し、より大量のデータ保存及び移動に対応できる。
【0257】
また、上記機能に加えて、赤外線通信機能、テレビ受信機能などを備えたものであってもよい。
【0258】
図11(E)は、デジタルビデオカメラであり、本体3051、表示部(A)3057、接眼部3053、操作スイッチ3054、表示部(B)3055、バッテリー3056などによって構成されている。上記実施の形態のいずれかで示した半導体装置を表示部(A)3057、表示部(B)3055に適用することにより、高精細の表示装置を有したデジタルビデオカメラとすることができる。
【0259】
図11(F)は、テレビジョン装置の一例を示している。テレビジョン装置9600は、筐体9601に表示部9603が組み込まれている。表示部9603により、映像を表示することが可能である。また、ここでは、スタンド9605により筐体9601を支持した構成を示している。上記実施の形態のいずれかで示した半導体装置を表示部9603に適用することにより、高精細の表示装置を有したテレビジョン装置とすることができる。
【0260】
テレビジョン装置9600の操作は、筐体9601が備える操作スイッチや、別体のリモコン操作機により行うことができる。また、リモコン操作機に、当該リモコン操作機から出力する情報を表示する表示部を設ける構成としてもよい。
【0261】
なお、テレビジョン装置9600は、受信機やモデムなどを備えた構成とする。受信機により一般のテレビ放送の受信を行うことができ、さらにモデムを介して有線または無線による通信ネットワークに接続することにより、一方向(送信者から受信者)または双方向(送信者と受信者間、あるいは受信者間同士など)の情報通信を行うことも可能である。
【0262】
図12は、タブレット型端末の一例を示しており、
図12(A−1)乃至
図12(A−3)は、タブレット型端末5000を示し、
図12(B)は、タブレット型端末6000を示している。
【0263】
図12(A−1)、(A−2)、及び(A−3)に示すタブレット型端末5000において、
図12(A−1)は正面図を、
図12(A−2)は側面図を、
図12(A−3)は背面図を、それぞれ示している。また、
図12(B)に示すタブレット型端末6000においては、正面図を示している。
【0264】
タブレット型端末5000は、筐体5001、表示部5003、電源ボタン5005、前面カメラ5007、背面カメラ5009、第1の外部接続端子5011、及び第2の外部接続端子5013などにより構成されている。
【0265】
また、表示部5003は、筐体5001に組み込まれており、タッチパネルとしても用いることができる。例えば、表示部5003上にアイコン5015等を表示させて、メールや、スケジュール管理といった作業を行うことができる。また、筐体5001には、正面側に前面カメラ5007が組み込まれており、使用者側の映像を撮影することができる。また、筐体5001には、背面側に背面カメラ5009が組み込まれており、使用者と反対側の映像を撮影することができる。また、筐体5001には、第1の外部接続端子5011、及び第2の外部接続端子5013を備えており、例えば、第1の外部接続端子5011により、イヤホン等に音声を出力し、第2の外部接続端子5013により、データの移動等を行うことができる。
【0266】
図12(B)に示すタブレット型端末6000は、第1の筐体6001、第2の筐体6003、ヒンジ部6005、第1の表示部6007、第2の表示部6009、電源ボタン6011、第1のカメラ6013、第2のカメラ6015などにより構成されている。
【0267】
また、第1の表示部6007は、第1の筐体6001に組み込まれており、第2の表示部6009は、第2の筐体6003に組み込まれている。第1の表示部6007、及び第2の表示部6009は、例えば、第1の表示部6007を表示用パネルとして使用し、第2の表示部6009をタッチパネルとする。第1の表示部6007に表示されたテキストアイコン6017を確認し、第2の表示部6009に表示させたアイコン6019、またはキーボード6021(実際には第2の表示部6009に表示されたキーボード画像)を用いて、画像の選択、または文字の入力等を行うことができる。もちろん、第1の表示部6007がタッチパネルであり、第2の表示部6009が表示用パネルといった構成や、第1の表示部6007、及び第2の表示部6009ともにタッチパネルといった構成としてもよい。
【0268】
また、第1の筐体6001と、第2の筐体6003は、ヒンジ部6005により接続されており、第1の筐体6001と、第2の筐体6003と、を開閉することができる。このような構成とすることにより、タブレット型端末6000を持ち運ぶ際に、第1の筐体6001に組み込まれた第1の表示部6007と、第2の筐体6003に組み込まれた第2の表示部6009と、を合わせることで、第1の表示部6007、及び第2の表示部6009の表面(例えば、プラスチック基板等)を保護することができるので好適である。
【0269】
また、第1の筐体6001と第2の筐体6003は、ヒンジ部6005により、分離できる構成としても良い(所謂コンバーチブル型)。このような構成とすることで、例えば、第1の筐体6001を縦置きとし、第2の筐体6003を横置きとして使用するといったように、使用範囲が広がるので好適である。
【0270】
また、第1のカメラ6013、及び第2のカメラ6015により、3D画像の撮影を行うこともできる。
【0271】
また、タブレット型端末5000、及びタブレット型端末6000は、無線で情報を送受信できる構成としてもよい。例えば、無線により、インターネット等に接続し、所望の情報を購入し、ダウンロードする構成とすることも可能である。
【0272】
また、タブレット型端末5000、及びタブレット型端末6000は、様々な情報(静止画、動画、テキスト画像など)を表示する機能、カレンダー、日付又は時刻などを表示部に表示する機能、表示部に表示した情報をタッチ入力操作又は編集するタッチ入力機能、様々なソフトウェア(プログラム)によって処理を制御する機能、等を有することができる。また、外光の光量に応じて表示の輝度を最適にすることができる光センサや、ジャイロ、加速度センサの傾きを検出するセンサなどといった検出装置を内蔵させてもよい。
【0273】
上記実施の形態で示した半導体装置をタブレット型端末5000の表示部5003、タブレット型端末6000の第1の表示部6007、または/および第2の表示部6009に適用することにより、高精細の表示装置を有したタブレット型端末とすることができる。
【0274】
本実施の形態は、他の実施の形態に記載した構成と適宜組み合わせて実施することが可能である。