【0012】
本発明で使用する高炉徐冷スラグは、徐冷されて結晶化した高炉スラグである。高炉徐冷スラグの成分は高炉水砕スラグと同様の組成を有しており、具体的には、SiO
2、CaO、Al
2O
3、及びMgO等を主要な化学成分とし、その他、TiO
2、MnO、Na
2O、S、P
2O
5、及びFe
2O
3等が挙げられる。
化合物としては、ゲーレナイト2CaO・Al
2O
3・SiO
2とアケルマナイト2CaO・MgO・2SiO
2の混晶である、いわゆるメリライトを主成分とし、ダイカルシウムシリケート2CaO・SiO
2やランキナイト3CaO・2SiO
2やワラストナイトCaO・SiO
2等のカルシウムシリケート、メルビナイト3CaO・MgO・2SiO
2やモンチセライトCaO・MgO・SiO
2等のカルシウムマグネシウムシリケート、アノーサイトCaO・Al
2O
3・2SiO
2、リューサイト(K
2O、Na
2O)・Al
2O
3・SiO
2、スピネルMgO・Al
2O
3、マグネタイトFe
3O
4、硫化カルシウムCaSや硫化鉄FeS等の硫化物を含む場合がある。
【実施例】
【0021】
「実験例1」
モルタルにより収縮挙動を調べた。セメント100部に対して、細骨材200部、水40部を配合して練り混ぜ、モルタルを調製した。このモルタルを用いて、長さ変化率を測定し、収縮挙動を比較した(表1)。
【0022】
<使用材料>
骨材A:ケイ石系細骨材、5mm下、真比重2.65。
骨材B:石灰石細骨材、5mm下、真比重2.71。
骨材C:高炉徐冷スラグの細骨材、5mm下、真比重3.00、CO
2含有量0.3%。炭酸化処理を行っていないもの。
骨材D:高炉徐冷スラグの細骨材、5mm下、真比重3.00、CO
2含有量2.0%。細骨材の大きさに粉砕してから水に浸しながら20℃で炭酸化処理したもの。炭酸ガスとしてCO
2濃度10体積%のセメント工場の排ガスを使用。
【0023】
<測定方法>
乾燥収縮:JIS A 6202(B)に準じて材齢28日の長さ変化率を測定して評価した。
自己収縮:JCI SAS2−2に準じて材齢28日の自己収縮を測定した。
CO
2含有量:クーロメータ(日本アンス社製)を用いて無機の炭素量から測定。
【0024】
【表1】
【0025】
表1より、本発明の細骨材を用いると、乾燥収縮も、自己収縮も小さいことが分かる。一方、炭酸化処理していない高炉徐冷スラグの細骨材を用いると、ケイ石系や石灰石系の骨材よりもむしろ収縮が大きい。
【0026】
「実験例2」
コンクリートにより収縮挙動とひび割れ抵抗性を調べた。単位セメント量330kg/m
3、単位水量175kg/m
3、s/a=43%、空気量4.5±1.5%のコンクリートを調製した。このコンクリートを用いて、長さ変化率を測定し、収縮挙動を比較した(表2)。
【0027】
<使用材料>
骨材寸法:細骨材は5mm下、粗骨材は5〜40mm。
骨材A:ケイ石系の粗骨材と細骨材、真比重2.65。
骨材B:石灰石の粗骨材と細骨材、真比重2.71。
骨材C:高炉徐冷スラグの粗骨材と細骨材、真比重3.00、CO
2含有量0.3%。
炭酸化処理を行っていないもの。
骨材D:高炉徐冷スラグの粗骨材と細骨材、真比重3.00、CO
2含有量2.0%。粗骨材も細骨材も、それぞれの大きさに粉砕してから水に浸しながら炭酸化処理したもの。炭酸ガスとしてCO
2濃度10体積%のセメント工場の排ガスを使用。
骨材E:高炉徐冷スラグの粗骨材と細骨材、真比重3.00、CO
2含有量3.0%。粗骨材も細骨材も、それぞれの大きさに粉砕してから水に浸しながら炭酸化処理したもの。炭酸ガスとしてCO
2濃度10体積%のセメント工場の排ガスを使用。
骨材F:高炉徐冷スラグの粗骨材と細骨材、真比重3.01、CO
2含有量4.0%。粗骨材も細骨材も、それぞれの大きさに粉砕してから水に浸しながら炭酸化処理したもの。炭酸ガスとしてCO
2濃度10体積%のセメント工場の排ガスを使用。
骨材G:高炉徐冷スラグの粗骨材と細骨材、真比重3.02、CO
2含有量5.0%。粗骨材も細骨材も、それぞれの大きさに粉砕してから水に浸しながら炭酸化処理したもの。炭酸ガスとしてCO
2濃度10体積%のセメント工場の排ガスを使用。
骨材H:高炉徐冷スラグの粗骨材と細骨材、真比重3.00、CO
2含有量3.0%。、粗骨材も細骨材も、30cm大の塊状高炉徐冷スラグを炭酸化処理してから、それぞれの大きさに粉砕したもの。炭酸ガスとしてCO
2濃度10体積%のセメント工場の排ガスを使用。
【0028】
<測定方法>
乾燥収縮:JIS A 6202(B)に準じて材齢91日の長さ変化率を測定して評価した。
ひび割れ観察:厚さ100mmで面積10m
2の土間を造成した。材齢5日までシート養生を行い、その後、シートを取り除いた。材齢91日においてひび割れの発生観察を行った。1m
2当たり、2本を超えてひび割れが発生した場合は×、ひび割れが1〜2本発生した場合は△、ひび割れの発生がない場合は○とした。
【0029】
【表2】
【0030】
表2より、本発明の細骨材を用いると、乾燥収縮も、自己収縮も小さいことが分かる。一方、炭酸化処理していない高炉徐冷スラグ骨材を用いると、ケイ石系や石灰石系の骨材よりもむしろ収縮が大きい。